JP2017008006A - 3,3−ジフルオロ−1−クロロ−2−プロパノンの実用的な製造方法 - Google Patents

3,3−ジフルオロ−1−クロロ−2−プロパノンの実用的な製造方法 Download PDF

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春樹 小林
Haruki Kobayashi
春樹 小林
大塚 隆史
Takashi Otsuka
隆史 大塚
たか子 山崎
Takako Yamazaki
たか子 山崎
安本 学
Manabu Yasumoto
学 安本
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Abstract

【課題】本発明は、3,3−ジフルオロ−1−クロロ−2−プロパノンの実用的な製造方法に関する。【解決手段】3,3−ジフルオロ−1−クロロ−2−プロパノンの製造において、4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エステルを、塩素(Cl2)と反応させることにより4,4−ジフルオロ−2−クロロ−3−オキソブタン酸エステルを得る第一工程と、4,4−ジフルオロ−2−クロロ−3−オキソブタン酸エステルを酸性水溶液と反応させる第二工程を採用することにより、上記課題が解決する。【選択図】なし

Description

本発明は、3,3−ジフルオロ−1−クロロ−2−プロパノンの実用的な製造方法に関する。
3,3−ジフルオロ−1−クロロ−2−プロパノンは、医農薬中間体として重要な化合物である。3,3−ジフルオロ−1−クロロ−2−プロパノン類の代表的な製造方法としては、ジフルオロ酢酸から製造する方法がある(非特許文献1)。
本発明の塩素化工程に関連する従来技術としては、4,4,4−トリフルオロ−3−オキソブタン酸エステルから4,4,4−トリフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エステルを製造する方法がある(特許文献1、非特許文献2)。
また、本発明の減炭工程に関連する従来技術としては、4,4,4−トリフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エステルから3,3,3−トリフルオロ−1,1−ジクロロ−2−プロパノンを製造する方法がある(特許文献1)。
特開平9−227440号公報
Journal of Medicinal Chemistry(米国),2000年,第43巻,p.3168−3185 Tetrahedron(オランダ),2009年,第65巻,p.7538−7552
非特許文献1に記載の発明は、反応工程数が長く実用的な製造方法には成り得なかった。また、特許文献1は、減炭工程においても過酷な反応条件が採用されており、工業的な実施においては、高温反応に対する材質の制限および大量の廃硫酸処理の問題がある。非特許文献2に記載の発明は、塩素化剤として比較的高価な塩化スルフリルを大過剰用いており、更に長時間反応させても収率は中程度である。さらに、反応溶媒として特殊引火物のジエチルエーテルを用いている。
本発明の課題は、医農薬中間体として重要な3,3−ジフルオロ−1−クロロ−2−プロパノンを、工業的にも採用しうる穏和な反応条件で、従来技術と比べて短工程かつ高い生産性で製造することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エステルを塩素ガスと反応させることにより4,4−ジフルオロ−2−クロロ−3−オキソブタン酸エステルに変換し、次に酸性水溶液と反応させることにより3,3−ジフルオロ−1−クロロ−2−プロパノンが製造できることを新たに見出した。本発明は、スキーム1で示す2工程から成り、第一工程は塩素化工程、第二工程は減炭工程である。また、本発明の製造方法において、新規化合物の3,3−ジフルオロ−1−クロロ−2−プロパノンの水和物や該アルコール付加体も新たに見出した。
Figure 2017008006
なお、特許文献1や非特許文献2に記載の方法を本発明に適用しようとした場合、化学的にも採用しにくい問題があった。例えば、特許文献1や非特許文献2では塩素化工程が開示されており、それによれば、4,4,4−トリフルオロ−3−オキソブタン酸エステルを塩素化することで、塩素原子が2つ導入された4,4,4−トリフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エステルの生成が開示されている。本発明で対象とする4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エステルについても、該文献と同様、塩素原子が2つ導入された化合物の生成が容易に副生するものと予想される。そのような副反応は工業的な実施においては、塩素ガスの使用量が増加し、コストおよび塩素系廃棄物の観点からも好ましくないものであり、当然、目的物の高純度化に伴う精製操作も煩雑となる。
本発明者らが採用した条件は、これらの予想に反して、第一工程の塩素化工程で、塩素化剤として最も安価な塩素を理論量(1.0当量)用いるだけで高い選択性が得られる。
これらの特定された反応条件は、3,3−ジフルオロ−1−クロロ−2−プロパノンを工業的に製造する上で、好ましい態様である。
具体的には、本発明は、以下の[発明1]から[発明7]を提供する。
[発明1]
式[3]:
Figure 2017008006
で示される3,3−ジフルオロ−1−クロロ−2−プロパノンの製造において、
一般式[1]:
Figure 2017008006
[式中、R1はそれぞれ独立に炭素数1から18の直鎖状、分岐状または環状(炭素数3以上の場合)のアルキル基、置換アルキル基、炭素数1から18の芳香族基、または置換芳香族基を表す。]
で示される4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エステルを、塩素(Cl2)と反応させることにより、一般式[2]:
Figure 2017008006
[式中、R1は式[1]に同じ。]
で示される4,4−ジフルオロ−2−クロロ−3−オキソブタン酸エステルを得る第一工程と、4,4−ジフルオロ−2−クロロ−3−オキソブタン酸エステルを酸性水溶液と反応させる第二工程を含む、3,3−ジフルオロ−1−クロロ−2−プロパノンの製造方法。
[発明2]
一般式[2]で示される4,4−ジフルオロ−2−クロロ−3−オキソブタン酸エステルを酸性水溶液と反応させる工程(第二工程)を、ハロゲン化物イオン低減剤の存在下で行うことを特徴とする、発明1に記載の製造方法。
[発明3]
ハロゲン化物イオン低減剤が複合金属水酸化物、金属水酸化物、金属塩化物、金属酸化物、または酸化ケイ素化合物であることを特徴とする、発明2に記載の製造方法。
[発明4]
一般式[1]で示される4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エステルのR1が、エチル基またはメチル基である、発明1乃至3の何れかに記載の製造方法。
[発明5]
式:
Figure 2017008006
で示される3,3−ジフルオロ−1−クロロ−2−プロパノンの水和物。
[発明6]
式:
Figure 2017008006
で示される3,3−ジフルオロ−1−クロロ−2−プロパノンのエタノール付加体。
[発明7]
式:
Figure 2017008006
で示される3,3−ジフルオロ−1−クロロ−2−プロパノンのメタノール付加体。
本発明は、3,3−ジフルオロ−1−クロロ−2−プロパノンを、塩素化工程においては極めて高い選択性で塩素化を行い、工業的にも採用しうる穏和な反応条件により製造が可能となった。従来技術の問題点を高度に解決することができ、実用的な製造方法としての本発明の優位性は高い。
本発明の詳細について、塩素化工程および減炭工程の順に以下に説明する。
1.第一工程(塩素化工程)
本工程は、一般式[1]で示される4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エステルを、塩素と反応させることにより、一般式[2]で示される4,4−ジフルオロ−2−クロロ−3−オキソブタン酸エステルを得る工程である。
一般式[1]で示される4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エステルのR1は炭素数1から18の直鎖状、分岐状または環状(炭素数3以上の場合)のアルキル基、該アルキル基の任意の炭素にハロゲン原子、芳香環基などの置換基を有する置換アルキル基、炭素数1から18の芳香環基、該芳香環基の任意の炭素にハロゲン原子、芳香環基、ニトロ基などの置換基を有する置換芳香環基を表す。その中でも炭素数1から4のアルキル基が好ましく、メチル基およびエチル基が特に好ましい。
一般式[1]で示される4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エステルは、Journal of American Chemical Society(米国),1953年,第75巻,p.3152−3153等を参考にして調製することができる。当然、市販品を利用することもできる。
塩素ガスを必要以上に作用させると、4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エステルを副生するため、塩素の使用量は、一般式[1]で示される4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エステル1molに対して0.95〜1.05当量、より好ましくは0.98〜1.02当量である。
また、本工程は、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、ジ−tert−ブチルペルオキシド、過酸化ベンゾイル等のラジカル開始剤もしくは酢酸、塩化水素、硫酸等の酸等の存在下に、または光照射下に反応させることにより、所望の反応を円滑に行うことができる。当然、好適な反応条件を採用することにより、これらの反応条件を必ずしも用いる必要はない。
反応溶媒は、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、2,4−ジクロロベンゾトリフルオリド、1,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等のハロゲン系等である。その中でもクロロホルム、四塩化炭素、1,1,2,2−テトラクロロエタンおよび2,4−ジクロロベンゾトリフルオリドが好ましく、四塩化炭素および2,4−ジクロロベンゾトリフルオリドが特に好ましい。これらの反応溶媒は、単独でまたは組み合わせて用いることができる。本工程は、反応溶媒を用いずに反応させることもでき、ニートでの反応が好ましい態様と成る場合がある。
反応溶媒の使用量は、一般式[1]で示される4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エステル1molに対して0.01L以上を用いれば良く、0.02から7Lが好ましく、0.03から5Lが特に好ましい。
さらに、本工程は、緩和な反応温度を採用することにより、過塩素化物の副生を効果的に抑制することができる。
反応温度は、+70℃以下で行えば良く、+50から−30℃が好ましく、+30から−10℃が特に好ましい。
反応時間は、36時間以内で行えば良く、原料基質および反応条件により異なるため、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、核磁気共鳴等の分析手段により反応の進行状況を追跡し、原料基質の減少が殆ど認められなくなった時点を終点とすることが好ましい。
後処理は、有機合成における一般的な操作を採用することにより、一般式[2]で示される4,4−ジフルオロ−2−クロロ−3−オキソブタン酸エステルを得ることができる。回収した粗体は、必要に応じて分別蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等により、高い純度に精製することができる。反応終了液に窒素(N2)等を吹き込んで残留する塩素をパージして、次工程の原料基質として供するのが操作的に簡便である。第一工程の塩素化と第二工程の減炭をワンポット反応として行うこともできる。
2.第二工程(減炭工程)
本工程は、塩素化工程で得られた、一般式[2]で示される4,4−ジフルオロ−2−クロロ−3−オキソブタン酸エステルを酸性水溶液と反応させ、式[3]で示される3,3−ジフルオロ−1−クロロ−2−プロパノンを得る工程である。
酸性水溶液に用いられる酸は、ホウ酸、リン酸、塩化水素、臭化水素、硝酸、硫酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、安息香酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸である。その中でも無機酸が好ましく、塩化水素および硫酸が特に好ましい。
酸性水溶液に用いられる酸の使用量は、一般式[2]で示される4,4−ジフルオロ−2−クロロ−3−オキソブタン酸エステル1molに対して0.01mol以上を用いれば良く、0.03から15molが好ましく、0.05から10molが特に好ましい。前工程の生成物に残留する塩化水素は、本工程の酸として利用できる。
酸性水溶液は、上記の酸と水から調製することができる。
酸性水溶液の濃度は、0.1%以上を用いれば良く、0.3から90%が好ましく、0.5から80%が特に好ましい。
反応溶媒は、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、tert−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等のアルコール系等である。その中でもアルコール系が好ましく、メタノールおよびエタノールが特に好ましい。これらの反応溶媒は、単独でまたは組み合わせて用いることができる。本工程は、反応溶媒を用いずに反応させることもでき、ニートでの反応が好ましい態様と成る場合がある。
反応溶媒の使用量は、一般式[2]で示される4,4−ジフルオロ−2−クロロ−3−オキソブタン酸エステル1molに対して0.01L以上を用いれば良く、0.02から7Lが好ましく、0.03から5Lが特に好ましい。
反応温度は、150℃以下で行えば良く、135から0℃が好ましく、120から15℃が特に好ましい。
本発明では、含フッ素化合物を原料に用いている為、前記工程並びに本工程といった反応を経由すると、系内にフッ化物イオン(F-)等のハロゲン化物イオン(F-、Cl-、Br-、I-)が混在することが多い。
そこで本工程では、ハロゲン化物イオン低減剤を反応系内に共存させることで、このハロゲン化物イオンを低減させることも可能である。なお、本発明で言う「ハロゲン化物イオン低減剤」とは、反応液中に含まれるハロゲン化物イオンを除去することが出来る剤のことを示し、ハロゲン化物イオンを含む反応溶液であれば、別段、ハロゲン化物イオンの混入源を問わず、利用することができる。ハロゲン化物イオン低減剤の具体例としては、マグネシウムアルミネート等の複合金属水酸化物(例えば、化学式で「MgxAly(OH)z・X・nH2O」(Xは陰イオン源、nは正の整数、x、y、zは各イオンの数)で示されるもの等)、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、塩化リチウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウムや塩化マグネシウム等の金属塩化物、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナ等の金属酸化物、またはシリカゲル(二酸化ケイ素)等の酸化ケイ素化合物が挙げられる。
中でも、複合金属水酸化物である「ハロゲンキラー」(登録商標;ホーリュウ化学株式会社製)は、商用的にも入手しやすい為、これを用いるのが簡便である。これらのハロゲン化物イオン低減剤は、単独でまたは1種類以上を組み合わせて用いることができる。
ハロゲン化物イオン低減剤の使用量は一般式[2]で示される4,4−ジフルオロ−2−クロロ−3−オキソブタン酸エステルに対して0.01〜100質量%用いれば良く、0.05〜50質量%が好ましく、0.1〜10質量%が特に好ましい。
反応時間は、48時間以内で行えば良く、原料基質および反応条件により異なるため、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、核磁気共鳴等の分析手段により反応の進行状況を追跡し、原料基質の減少が殆ど認められなくなった時点を終点とすることが好ましい。
後処理は、有機合成における一般的な操作を採用することにより、式[3]で示される3,3−ジフルオロ−1−クロロ−2−プロパノンを得ることができる。回収した粗体は、必要に応じて分別蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等により、高い純度に精製することができる。
本工程においては水の存在下に反応させるため、式[3]で示される3,3−ジフルオロ−1−クロロ−2−プロパノンが該水和物として得られることがある(下記式を参照)。第一工程の塩素化と第二工程の減炭をワンポット反応として実施した場合、一般式[1]で示される4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エステル由来のアルコールが、式[3]で示される3,3−ジフルオロ−1−クロロ−2−プロパノンに付加した該アルコール付加体が得られることもある(下記式を参照)。
Figure 2017008006
[式中、R1は式[1]におけるR1と同じである。]
当然、式[3]で示される3,3−ジフルオロ−1−クロロ−2−プロパノンの水和物や該アルコール付加体は、脱水反応や蒸留により3,3−ジフルオロ−1−クロロ−2−プロパノン(カルボニル化合物)として容易に得ることもできるが、次工程の原料基質として該無水物同等、供することができる。よって、上記式で示される水和体やアルコール付加体が含まれる場合も、本発明の請求項に含まれるものとして扱う。反応溶媒を用いずに反応させた場合は、反応終了液から直接、蒸留回収する操作が簡便である。
[実施例]
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エチル1.4kg(8.43mol)に内温を0から10℃に制御しながら塩素(Cl2)602g(8.49mol)を5時間かけて吹き込んだ。そのまま1時間反応を続け、引き続いて反応終了液に窒素(N2)を流量0.3mL/minで15分間吹き込んで残留する塩素をパージし、19F−NMR分析を行った。変換率は99.6%であり、4,4−ジフルオロ−2−クロロ−3−オキソブタン酸エチルと4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エチルのモル比は96:4であった。
塩素化工程で得られた反応終了液に、硫酸1.24kg(12.6mol、1.5eq)と水(1L)から調整される酸性水溶液を加えて90℃で16時間攪拌した。反応終了液の単蒸留(44℃/6.8kPa)により、1.61kgを得た。該水溶液を19F−NMRで定量(内部標準法)したところ、3,3−ジフルオロ−1−クロロ−2−プロパノンの水和物が6.62mol、3,3−ジフルオロ−1−クロロ−2−プロパノンのエタノール付加体が1.48molが含まれていた。2工程のトータル定量収率は96%であった。留分のフッ素イオン濃度は445ppmであった。
4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エチル1.4kg(8.43mol)に内温を0から10℃に制御しながら塩素(Cl2)598g(8.43mol)を7時間かけて吹き込んだ。そのまま1時間反応を続け、引き続いて反応終了液に窒素(N2)を流量0.3mL/minで15分間吹き込んで残留する塩素をパージし、19F−NMR分析を行った。変換率は99.5%であり、4,4−ジフルオロ−2−クロロ−3−オキソブタン酸エチルと4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エチルのモル比は99:1であった。
塩素化工程で得られた反応終了液に、硫酸1.24kg(12.6mol、1.5eq)と水(1L)から調整される酸性水溶液とハロゲンキラー(登録商標)(20g、1.4質量%)を加えて90℃で6時間攪拌した。反応終了液の単蒸留(41℃/5.2kPa)により、1.46kgを得た。該水溶液を19F−NMRで定量(内部標準法)したところ、3,3−ジフルオロ−1−クロロ−2−プロパノンの水和物が6.93mol、3,3−ジフルオロ−1−クロロ−2−プロパノンのエタノール付加体が1.34molが含まれていた。2工程のトータル定量収率は98%であった。留分のフッ素イオン濃度は36ppmであった。
本発明の塩素化工程は、塩素化剤として最も安価な塩素を理論量(1.0当量)用いるだけで極めて高い選択性で塩素化を実施することができる。また、反応時間が短く収率も高い。さらに、工業的な実施に不向きな反応溶媒を用いる必要がない。
また減炭工程は、酸性水溶液と反応させることにより緩和な反応条件を採用することができる。またさらにハロゲンキラーのようなハロゲン化物イオン低減剤を添加すればフッ素イオンを低減することも可能である。
Figure 2017008006
実施例1の生成物の1H−NMRと19F−NMRを以下に示す。
・3,3−ジフルオロ−1−クロロ−2−プロパノン(水和体)/1H−NMR(基準物質;テトラメチルシラン,溶媒;重アセトン),δppm;5.89(t,1H),水酸基のプロトンは帰属できず.19F−NMR(基準物質;ベンゾトリフルオリド,溶媒;NONE),δ ppm;−73.1(d,2F).
・3,3−ジフルオロ−1−クロロ−2−プロパノン(エタノール付加体)/1H−NMR(基準物質;テトラメチルシラン,溶媒;重アセトン),δ ppm;1.25(t,3H),3.65(q,2H),5.94(t,1H),水酸基のプロトンは帰属できず.19F−NMR(基準物質;ベンゾトリフルオリド,溶媒;NONE),δ ppm;−73.7(dd,2F)
本発明で対象とする3,3−ジフルオロ−1−クロロ−2−プロパノンは、医農薬中間体として利用できる。

Claims (7)

  1. 式[3]:
    Figure 2017008006
    で示される3,3−ジフルオロ−1−クロロ−2−プロパノンの製造において、
    一般式[1]:
    Figure 2017008006
    [式中、R1はそれぞれ独立に炭素数1から18の直鎖状、分岐状または環状(炭素数3以上の場合)のアルキル基、置換アルキル基、炭素数1から18の芳香族基、または置換芳香族基を表す。]
    で示される4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エステルを、塩素(Cl2)と反応させることにより、一般式[2]:
    Figure 2017008006
    [式中、R1は式[1]に同じ。]
    で示される4,4−ジフルオロ−2−クロロ−3−オキソブタン酸エステルを得る第一工程と、4,4−ジフルオロ−2−クロロ−3−オキソブタン酸エステルを酸性水溶液と反応させる第二工程を含む、3,3−ジフルオロ−1−クロロ−2−プロパノンの製造方法。
  2. 一般式[2]で示される4,4−ジフルオロ−2−クロロ−3−オキソブタン酸エステルを酸性水溶液と反応させる工程(第二工程)を、ハロゲン化物イオン低減剤の存在下で行うことを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
  3. ハロゲン化物イオン低減剤が複合金属水酸化物、金属水酸化物、金属塩化物、金属酸化物、または酸化ケイ素化合物であることを特徴とする、請求項2に記載の製造方法。
  4. 一般式[1]で示される4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エステルのR1が、エチル基またはメチル基である、請求項1乃至3の何れかに記載の製造方法。
  5. 式:
    Figure 2017008006
    で示される3,3−ジフルオロ−1−クロロ−2−プロパノンの水和物。
  6. 式:
    Figure 2017008006
    で示される3,3−ジフルオロ−1−クロロ−2−プロパノンのエタノール付加体。
  7. 式:
    Figure 2017008006
    で示される3,3−ジフルオロ−1−クロロ−2−プロパノンのメタノール付加体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN115894191A (zh) * 2022-11-22 2023-04-04 山东华安新材料有限公司 一种三氟丙酮与二氟乙酸酯联产的方法

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