JP2009155280A - γ−ブチロラクトン化合物の製造方法 - Google Patents

γ−ブチロラクトン化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】γ−ブチロラクトン化合物を、低コストで収率よく、安全に製造する方法を提供する。
【解決手段】プロパノール化合物(例えば2−メチル−3−クロロプロパノール)又はその環状亜硫酸エステル化合物誘導体の溶液にシアン化物(例えばシアン化ソーダ)を添加して、シアノプロパノール化合物(例えば2−メチル−3−シアノプロパノール)を含む反応液(1)を得、反応液(1)に、金属水酸化物(例えば水酸化ナトリウム)を添加して、ヒドロキシカルボン酸塩を含む反応液(2)を得、反応液(2)に次亜塩素酸塩を添加して、反応液(2)中に残存するシアン化物が分解された反応液(3)を得、反応液(3)に酸を添加して、γ−ブチロラクトン化合物を含む反応液(4)を得るγ−ブチロラクトン化合物(例えば4−メチル−γ−ブチロラクトン)の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ガラス転移温度の高い成形材料となる、α−メチレン−β−アルキル−γ−ブチロラクトン等の製造中間体として有用なγ−ブチロラクトン化合物の製造方法に関する。
α−メチレン−β−アルキル−γ−ブチロラクトンは、ガラス転移温度の高い成形材料の製造原料等として有用である。
かかるα−メチレン−β−アルキル−γ−ブチロラクトンやその関連物質の製造方法に関して、これまで数々の報告がされている。
例えば、特許文献1、及び非特許文献2,3には、下記に示すように、式(A)で示されるγ−ブチロラクトン化合物のα位をオキサリル化して式(B)で示される化合物を得た後、塩基の存在下、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド前駆物質を反応させて、式(C)で示されるα−メチレン−β−アルキル−γ−ブチロラクトンを得る方法が開示されている。
Figure 2009155280
(式中、R、Rはアルキル基を表す。)
この方法によれば、安価な出発原料、汎用の反応装置を使用して、目的とするα−メチレン−β−アルキル−γ−ブチロラクトンを容易に製造することができる。
ところで、上記した製造方法において、出発原料となるγ−ブチロラクトン化合物(A)は、例えば、下記に示すように、3−クロロプロパノール(D)にシアン化ナトリウムを反応させて、3−シアノプロパノール(E)を得た後、このものを加水分解し、次いで、酸処理を行うことにより得ることができる。この方法は、低コストで収率よく目的物を得ることができるため、工業的に有利である。
Figure 2009155280
しかしながら、この方法においては、シアン化ナトリウムを過剰に用いるため、式(E)で示される化合物のシアノ基を加水分解した後、酸処理を行った際、毒性の高いシアン化水素が発生する。そのため、この方法を実施する場合には、安全対策を施した高価な設備が必要になるため、製品の製造コストが高くなるという問題があった。
特開2006−312616号公報 J.Org.Chem.,42(27)、1977、1991−2001 Macromolecule,12(4)、546−551、1979
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたものであり、ガラス転移温度の高い成形材料の製造原料であるα−メチレン−β−アルキル−γ−ブチロラクトン等の製造原料として有用なγ−ブチロラクトン化合物を、低コストで収率よく、安全に製造する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、前記式(D)で示される化合物を式(E)で示される化合物に導き、次いで、式(A)で示される化合物に変換する製造方法について鋭意研究した。その結果、前記式(D)で示される化合物にシアン化ナトリウムを反応させて、式(E)で示される化合物を得、次いで加水分解反応を行った後、酸処理を行う前に、得られた反応液に次亜塩素酸塩を添加して過剰のシアン化ナトリウムを無毒化しておく方法を案出した。そして、この方法によれば、酸処理を行った際、毒性の高いシアン化水素が発生することもなく、シアン化水素に対する特別な安全対策が不要となり、目的とするγ−ブチロラクトン化合物を、低コストで、収率よく、安全に製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、式(1)
Figure 2009155280
(式中、R、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、Lは脱離基を表す。)
で示されるプロパノール化合物、又は、式(2)
Figure 2009155280
(式中、R、R及びRは前記と同じ意味を表す。)
で示される環状亜硫酸エステル化合物の溶液に、シアン化物を添加して、式(3)
Figure 2009155280
(式中、R、R及びRは前記と同じ意味を表す。)
で示されるシアノプロパノール化合物を含む反応液(1)を得る工程(I)、得られた反応液(1)に、式(4):M(OH)(Mは、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、又は遷移金属原子を表し、nは金属Mの原子価を表す。)で示される金属水酸化物を添加して、式(5)
Figure 2009155280
(式中、R、R、R、M及びnは前記と同じ意味を表す。)
で示されるヒドロキシカルボン酸塩を含む反応液(2)を得る工程(II)、得られた反応液(2)に次亜塩素酸塩を添加して、反応液(2)中に残存するシアン化物が分解された反応液(3)を得る工程(III)、及び、反応液(3)に酸を添加して、式(6)
Figure 2009155280
(式中、R、R及びRは前記と同じ意味を表す。)
で示されるγ−ブチロラクトン化合物を含む反応液(4)を得る工程(IV)を有するγ−ブチロラクトン化合物の製造方法が提供される。
本発明の製造方法によれば、α−メチレン−β−アルキル−γ−ブチロラクトン等の製造中間体として有用なγ−ブチロラクトン化合物を、低コストで、収率よく、かつ、安全に製造することができる。
本発明の製造方法は、毒性の高いシアン化水素に対する特別な安全対策が不要であり、工業的生産規模でγ−ブチロラクトン化合物を製造する場合において、従来技術で必要としたシアン化水素対策のための高価な設備が不要になることから、設備面及び製造コスト面で有利である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、下記工程(I)〜(IV)を有するγ−ブチロラクトン化合物の製造方法である。
(I)前記式(1)で示されるプロパノール化合物、又は、式(2)で示される環状亜硫酸エステル化合物の溶液に、シアン化物を添加して、式(3)で示されるシアノプロパノール化合物を含む反応液(1)を得る工程(I)
(II)得られた反応液(1)に、式(4):M(OH)(nは、金属Mの原子価を表す。)で示される金属水酸化物を添加してシアノ基の加水分解反応を行って、式(5)で示されるヒドロキシカルボン酸塩を含む反応液(2)を得る工程(II)
(III)得られた反応液(2)に次亜塩素酸塩を添加して、反応液(2)中に残存するシアン化物を分解して反応液(3)を得る工程(III)
(IV)反応液(3)に酸を添加して、式(6)で示されるγ−ブチロラクトン化合物を含む反応液(4)を得る工程(IV)
(I)工程(I)
工程(I)は、前記式(1)で示されるプロパノール化合物(以下、「プロパノール化合物(1)」ということがある。)、又は、式(2)で示される環状亜硫酸エステル化合物(以下、「環状亜硫酸エステル化合物(2)」ということがある。)の溶液に、シアン化物を添加して、式(3)で示されるシアノプロパノール化合物を含む反応液(1)を得るものである。
前記プロパノール化合物(1)において、式(1)中、R、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、若しくは置換基を有していてもよいアリール基を表す。
、R及びRの炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基,sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−エシル基等が挙げられる。
、R及びRの炭素数3〜10のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
、R及びRの置換基を有していてもよいアリール基のアリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。
またアリール基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子:メチル基、エチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;ニトロ基;等が挙げられる。
これらの置換基は、アリール基の任意の位置に結合していてもよく、同一又は相異なって複数個が結合していてもよい。
Lは脱離基を表す。脱離基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチルスルホニルオキシ基、エチルスルホニルオキシ基、プロピルスルホニルオキシ基等のアルキルスルホニルオキシ基;トリフルオロメチルスルホニルオキシ基等のハロアルキルスルホニルオキシ基;フェニルスルホニルオキシ基、4−メチルフェニルスルホニルオキシ基等の置換基を有していてもよいフェニルスルホニルオキシ基;等が挙げられる。
プロパノール化合物(1)の多くは公知物質であり、公知の製造方法により製造・入手することができる。プロパノール化合物(1)の製造方法の例を下記に示す。
(製造方法1)
Figure 2009155280
(式中、R、R、Rは前記と同じ意味を表し、Xはハロゲン原子を示す。)
すなわち、ジオール化合物(7)に、塩化水素、臭素化水素等のハロゲン化剤を反応させることにより、式(1)中、Lがハロゲン原子である化合物(1a)を得ることができる。
(製造方法2)
Figure 2009155280
〔式中、L’はO−L”(L”は、ハロゲン原子を除く前記Lと同じ意味を表す。)で表される基を示す。〕
すなわち、ジオール化合物(7)に、メチルスルホニルクロライド、トリフルオロメチルスルホニルクロライド、4−メチルフェニルスルホニルクロライド等の、式:L’−X’で示される化合物を反応させることにより、式(1)中、LがL”(L”は前記と同じ意味を表す。)である化合物(1b)を得ることができる。
プロパノール化合物(1)の具体例としては、3−クロロプロピルアルコール、3−ブロモプロピルアルコール、3−ヨードプロピルアルコール、3−クロロ−2−メチルプロピルアルコール、3−ブロモ−2−メチルプロピルアルコール、3−ヨード−2−メチルプロピルアルコール、3−クロロ−2−フェニルプロピルアルコール、3−ブロモ−2−フェニルプロピルアルコール、3−クロロ−2−シクロヘキシルアルコール、3−クロロブチルアルコール、3−ブロモブチルアルコール、3−クロロ−2−メチルブチルアルコール、3−ブロモ−2−メチルブチルアルコール等の、式(1)において、Lがハロゲン原子である化合物;
3−メチルスルホニルオキシプロピルアルコール、3−トリフルオロメチルスルホニルオキシプロピルアルコール、3−エチルスルホニルオキシプロピルアルコール、3−プロピルスルホニルオキシプロピルアルコール、3−フェニルスルホニルオキシプロピルアルコール、3−メチルスルホニルオキシ−2−メチルプロピルアルコール、3−エチルスルホニルオキシ−2−メチルプロピルアルコール、3−フェニルスルホニルオキシ−2−メチルプロピルアルコール、3−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)−2−フェニルプロピルアルコール、3−メチルスルホニルオキシブチルアルコール等の、式(1)において、Lが、アルキルスルホニルオキシ基、ハロアルキルスルホニルオキシ基又は置換基を有していてもよいフェニルスルホニルオキシ基である化合物;等が挙げられる。
前記環状亜硫酸エステル化合物(2)において、式(2)中、R、R及びRは前記と同じ意味を表す。
環状亜硫酸エステル化合物(2)の多くは、公知物質であり、公知の方法により製造・入手することができる。環状亜硫酸エステル化合物(2)の製造方法の例を以下に示す。
Figure 2009155280
(式中、R、R、Rは前記と同じ意味を表し、X”はハロゲン原子を示す。)
すなわち、ジオール化合物(7)に、チオニルクロライド、チオニルブロマイド等の式:SOX”で示されるチオニルハライドを反応させることにより、目的とする環状亜硫酸エステル化合物(2)を得ることができる(特開2006−312616号公報参照)。
環状亜硫酸エステル化合物(2)の具体例としては、以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2009155280
本発明に用いるシアン化物としては、シアン化リチウム、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム等のアルカリ金属シアン化物;シアン化マグネシウム、シアン化カルシウム等のアルカリ土類金属シアン化物;シアン化第1銅、シアン化銀等の遷移金属シアン化物等が挙げられる。これらの中でも、製造コスト、収率の観点から、アルカリ金属シアン化物が好ましい。
シアン化物の使用量は、プロパノール化合物(1)、又は環状亜硫酸エステル化合物(2)に対して、通常1〜3倍モル、好ましくは1〜1.5倍モル、より好ましくは1.05〜1.3倍モルである。
プロパノール化合物(1)、又は環状亜硫酸エステル化合物(2)とシアン化物との反応は、適当な溶媒中で行なわれる。
かかる溶媒としては、反応に不活性な溶媒であれば、特に制限されない。例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセタミド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等のアミド系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、1,3−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン等の脂環式炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;及び、これらの2種以上からなる混合溶媒;等が挙げられる。
これらの中でも、スルホキシド系溶媒、アミド系溶媒、ニトリル系溶媒、エーテル系溶媒等の、水と混和性を有する溶媒が好ましい。
溶媒の使用量は、特に限定されないが、プロパノール化合物(1)、又は環状亜硫酸エステル化合物(2)1gに対して、通常0.1〜100ml、好ましくは0.5〜50ml、より好ましくは1〜10mlである。
プロパノール化合物(1)、又は環状亜硫酸エステル化合物(2)とシアン化物との反応の反応温度は、通常、20℃から用いる溶媒の沸点までの温度範囲、好ましくは50〜120℃、より好ましくは70〜100℃である。
反応時間は、反応規模にもよるが、通常、数分から数時間である。
以上のようにして、式(3)で表されるシアノプロパノール化合物(以下、「シアノプロパノール化合物(3)」ということがある。)を含む反応液(1)を得ることができる。
(II)工程(II)
工程(II)は、工程(I)で得られた反応液(1)に、式(4):M(OH)(nは、金属Mの原子価を表す。)で示される金属水酸化物(以下、「金属水酸化物(4)」ということがある。)を添加して、式(5)
Figure 2009155280
(式中、R、R、R、M及びnは前記と同じ意味を表す。)
で示されるヒドロキシカルボン酸塩を含む反応液(2)を得る工程である。
金属水酸化物(4)において、式(4)中、Mは、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子;マグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属原子;又は、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛等の遷移金属原子;を表す。
nはMの原子価を表す。
金属水酸化物(4)の具体例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属水酸化物;水酸化第2鉄、水酸化第2銅、水酸化亜鉛等の遷移金属水酸化物;が挙げられる。これらの中でも、製造コストや反応収率の観点から、アルカリ金属水酸化物が好ましく、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムが特に好ましい。
金属水酸化物(4)の使用量は、プロパノール化合物(1)、又は環状亜硫酸エステル化合物(2)に対して、通常1〜3当量、好ましくは1〜1.5当量、より好ましは1.05〜1.3当量である。
シアノプロパノール化合物(3)のシアノ基の加水分解反応は、反応液(1)に、所定量の金属水酸化物(4)及び水を添加して、全容を攪拌することにより行うことができる。
水の添加量は、特に限定されないが、プロパノール化合物(1)、又は環状亜硫酸エステル化合物(2)1モルに対して、通常10〜1000ml、好ましくは50〜500ml、より好ましくは100〜300mlである。
シアノプロパノール化合物(3)のシアノ基の加水分解反応の反応温度は、0〜100℃、好ましくは10〜70℃、より好ましくは15〜50℃である。
反応時間は反応規模にもよるが、通常30分から10時間である。
以上のようにして、式(5)で表されるヒドロキシカルボン酸塩を含む反応液(2)を得ることができる。
(III)工程(III)
工程(III)は、工程(II)で得られた反応液(2)に、次亜塩素酸塩を添加して、反応液(2)中に残存するシアン化物が分解された反応液(3)を得る工程である。
用いる次亜塩素酸塩としては、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム等が挙げられる。
次亜塩素酸塩は、反応を安全に行う観点、及び収率よく目的物が得られる観点から水溶液で用いるのが好ましい。
次亜塩素酸塩の添加量は、残存するシアン化物を分解するのに必要な量であればよいが、添加したシアン化物に対して、通常0.1〜1当量、好ましくは0.2〜0.7当量である。
また、本発明においては、次亜塩素酸塩を用いて、反応液(2)中に残存するシアン化物を分解する反応は、pHを2段階に変化させて、2段階で行うことが、シアン化物の分解を安全かつ確実に行う観点から好ましい。
すなわち、反応混合物に次亜塩素酸塩を添加してシアン化物の分解を行う場合に、反応混合物のpHを11以上としてシアン化物の分解(一次分解反応)を行なった後、反応混合物に酸を添加して、pHを7〜9、好ましくは7〜8に調整して、シアン化物の分解反応(二次分解反応)を行うのが好ましい。
シアン化物の一次分解反応においては、以下のような反応が主に進行すると考えられる。
Figure 2009155280
また、シアン化物の二次分解反応においては、以下のような反応が主に進行すると考えられる。
Figure 2009155280
もちろん、上記の、シアン化合物の一次分解反応及び二次分解反応は、完全に段階的に進行するものではなく、シアン化合物の一次分解反応及び二次分解反応がほぼ同時に連続的に進行する場合もある。
シアン化合物の一次分解反応及び二次分解反応の反応温度は、通常0〜50℃、好ましくは10〜40℃である。
反応時間は反応規模にもよるが、通常10分から5時間である。
また、本発明の製造方法においては、シアン化物の分解反応を行なった後、反応混合物に残存する過剰の次亜塩素酸塩を、還元剤により分解させておくことが好ましい。次亜塩素酸塩が残存した状態で、次工程(IV)で反応系を酸性にすると、次亜塩素酸塩が分解して塩素ガスが発生するためである。
ここで用いる還元剤としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等の亜硫酸塩が挙げられる。
還元剤の添加量は、残存する次亜塩素酸塩を分解するのに必要な量であればよいが、添加した次亜塩素酸塩1モルに対して、通常0.01〜0.5モル程度である。
(IV)工程(IV)
工程(IV)は、反応液(3)に酸を添加して、式(6)で示されるγ−ブチロラクトン化合物を含む反応液(4)を得る工程である。
用いる酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸等の無機酸;酢酸、クエン酸、プロピオン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸;等が挙げられる。
酸の使用量は、反応液(3)のpHが2以下、好ましくは1以下となる量である。
反応液(3)に酸を添加すると、中和反応が進行して、反応系内にフリーのカルボン酸が生成すると同時に、分子内閉環反応により、目的とする、式(6)で示されるγ−ブチロラクトン化合物(以下、「γ−ブチロラクトン化合物(6)」ということがある。)が生成する。
反応液(3)に酸を添加して、γ−ブチロラクトン化合物(6)を含む反応液(4)を得る工程での反応温度は、通常0〜50℃、好ましくは10〜40℃である。
反応時間は反応規模にもよるが、通常10分から5時間である。
反応終了後においては、有機合成化学における通常の後処理操作を行うことにより、目的とするγ−ブチロラクトン化合物(6)を単離することができる。また、必要に応じて、蒸留法やカラムクロマトグラフィー等の公知の精製手段により精製を行って、高純度の
γ−ブチロラクトン化合物(6)を得ることができる。
いずれの反応おいても、反応の終了は、ガスクロマトグラフィー等の公知の分析手段により、反応混合物から原料が消失したことで確認することができる。
また、目的物の構造は、NMRスペクトル、IRスペクトル、マススペクトルなどを測定することにより、確認し、同定することができる。
本発明の製造方法により得られるγ−ブチロラクトン化合物は、ガラス転移温度の高い成形材料の製造原料として有用である。すなわち、本発明の製造方法により得られるγ−ブチロラクトン化合物を使用して、そのα位がメチレン化されたα−メチレン−γ−ブチロラクトン化合物に誘導し、このものをメタクリル酸エステル類やスチレンなどと共重合させることにより、ガラス転移温度の高い成形材料を製造することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
なお、分析に用いたガスクロマトグラフィーは、以下のものを使用した。
カラム:30m×0.32mm、φ0.25μm;Agilent HP−5(ヒューレット・パッカード社製)
キャリアーガス:ヘリウムガス
測定条件:
・INIT.TEMP:50℃
・INIT.TIME:5分
・昇温速度:10℃/分
・FINAL TEMP:270℃
・検出器:FID
(実施例1)4−メチル−γ−ブチロラクトンの製造
Figure 2009155280
Figure 2009155280
(工程I−1)
ジメチルスルホキシド(DMSO)100ml、及びシアン化ナトリウム56.75g(純度95%、1.10mol)を反応容器に仕込み、反応容器内の温度を95℃に昇温した。そこへ、3−クロロ−2−メチルプロパノール(CLP)110.79g(純度98%、1.00mol)を、攪拌下、同温度でゆっくりと滴下し、滴下終了後、95〜99℃でさらに5時間全容を攪拌した。ガスクロマトグラフィーにより、原料のCLPの消失を確認した後、反応液を室温に戻した。
次いで、反応液に水を272ml添加し、反応混合物から、3−シアノ−2−メチルプロパノール(CMP)を含む有機層を分取した。
(工程II−1)
工程I−1で得たCMPを含む有機層に、30%水酸化ナトリウム水溶液146.67g(NaOHとして1.10mol)を添加し、全容を攪拌しながら100℃まで昇温し、同温度でさらに2時間攪拌した。この間、反応液からアンモニアガスが17.00g発生した。ガスクロマトグラフィーにより、CMPの消失を確認した後、反応液を室温に戻した。反応液のpHが11以上であることを確認した後、12%次亜塩素酸ナトリウム水溶液310.7g(NaClOとして、0.50mol)を反応液に添加し、全容を、20〜30℃で90分間攪拌することにより、過剰のシアン化ナトリウムの一次分解反応を行った。この間、反応混合物から窒素ガスの発生が認められた。
(工程III−1)
次いで、シアン化ナトリウムの一次分解反応を行って得られた反応混合物に、35%塩酸の31.26g(HClとして0.30mol)を20〜30℃で添加し、反応混合物のpHを7〜8に調整した後、同温度でさらに90分間攪拌して二次分解反応を行った。この間、反応混合物から窒素ガスの発生が認められた。
(工程III−2)
次に、二次分解反応を行って得られた反応混合物に、亜硫酸ナトリウム6.40g(0.05mol)を添加して、全容を20〜30℃で10分間攪拌して、過剰の次亜塩素酸を分解した。この際、KIでんぷん紙を用いて、次亜塩素酸が完全に分解されたことを確認した。
(工程IV−1)
上記で得られた反応混合物に、35%塩酸130.25gを、20〜30℃で滴下し、滴下終了後、さらに1時間攪拌することにより、目的とする4−メチル−γ−ブチロラクトン(6−1)を含む溶液を得た。
(工程IV-2)
工程IV−1で得られた溶液にクロロホルムを添加して、溶媒抽出を3回(クロロホルム170ml×3)行った。有機層を集め、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ別した後、ろ液を濃縮して、目的とする4−メチル−γ−ブチロラクトン(6−1)の粗生成物135.20gを得た。この粗生成物をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、4−メチル−γ−ブチロラクトン(6−1)が収率87.4%で得られたことがわかった。
さらに、得られた4−メチル−γ−ブチロラクトン(6−1)の粗生成物を減圧蒸留することにより、4−メチル−γ−ブチロラクトン(6−1)の高純度品を89.03g得た(蒸留収率95%)。

Claims (1)

  1. 式(1)
    Figure 2009155280
    (式中、R、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、または置換基を有していてもよいアリール基を表し、Lは脱離基を表す。)
    で示されるプロパノール化合物、または、式(2)
    Figure 2009155280
    (式中、R、RおよびRは前記と同じ意味を表す。)
    で示される環状亜硫酸エステル化合物の溶液に、シアン化物を添加して、式(3)
    Figure 2009155280
    (式中、R、RおよびRは前記と同じ意味を表す。)
    で示されるシアノプロパノール化合物を含む反応液(1)を得る工程(I)、得られた反応液(1)に、式(4):M(OH)(Mは、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子または遷移金属原子を表し、nはMの原子価を表す。)で示される金属水酸化物を添加して、式(5)
    Figure 2009155280
    (式中、R、R、R、Mおよびnは前記と同じ意味を表す。)
    で示されるヒドロキシカルボン酸塩を含む反応液(2)を得る工程(II)、得られた反応液(2)に次亜塩素酸塩を添加して、反応液(2)中に残存するシアン化物が分解された反応液(3)を得る工程(III)、および、反応液(3)に酸を添加して、式(6)
    Figure 2009155280
    (式中、R、RおよびRは前記と同じ意味を表す。)
    で示されるγ−ブチロラクトン化合物を含む反応液(4)を得る工程(IV)
    を有するγ−ブチロラクトン化合物の製造方法。
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