JP2007039384A - クロロパーフルオロアシル酢酸エステルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、農薬や医薬の製造中間体として有用な化合物であるクロロパーフルオロアシル酢酸エステルを製造する方法に関する。
従来、パーフルオロアシル酢酸エステルを塩素化してクロロパーフルオロアシル酢酸エステルを製造する、中でもトリフルオロアセト酢酸エチルを塩素化して、クロロトリフルオロアセト酢酸エチルを製造する方法としては、例えば特許文献1〜3,非特許文献1などが知られている。しかし、収率は87〜95%であり、必ずしも満足のいくものではない。また、原料のトリフルオロアセト酢酸エチルを蒸留するか、加熱後冷却してから塩素化を行うという方法は知られていない。
特開2001−220302号公報
特開2001−172269号広報
特開2001−172270号広報
ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサエティ,(1958年),第80巻,187ページ
アグリカルチュラル ケミストリー アンド バイオテクノロジー(イングリッシュ エディション),(2002年),第45巻(1),37ページ
ビュレティン オブ ザ コリアン ケミカル ソサエティ,(2001年),第22巻(2),149ページ
アーカイブズ オブ ファルマカル リサーチ,(2000年),第23巻(4),315ページ
セリヤ キミシェスカヤ(SeriyaKhimicheskaya),(1984年),(5),1106ページ
上記の通り、既存の方法は、クロロパーフルオロアシル酢酸エステル、特にクロロトリフルオロアセト酢酸エチルを製造する方法としては収率面で改善の余地を残している。
本発明者らは、このような状況に鑑み、鋭意検討した結果、クロロトリフルオロアセト酢酸エチルを製造する際に、原料のトリフルオロアセト酢酸エチルを蒸留するか、あるいは100℃程度で加熱後冷却してから行うと収率が向上することを見いだし、発明に至った。
すなわち、本発明は、
〔1〕式(1):
すなわち、本発明は、
〔1〕式(1):
(但し、R1はトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基を表し、R2はC1−4アルキル基を示す)で表される化合物を加熱した後、20℃以下に冷却してから塩素化を行うことを特徴とする、式(2)
(但し、R1はトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基を表し、R2はC1−4アルキル基を示す)で表される2−クロロ−パーフルオロアシル酢酸エステルの製造方法。
〔2〕加熱が蒸留である、〔1〕記載の製造方法。
〔3〕加熱が沸点以下での加熱である、〔1〕記載の製造方法。
〔4〕加熱が80℃ないし120℃での加熱である、〔1〕記載の製造方法。
〔5〕R1がトリフルオロメチル基であり、R2がエチル基である、〔1〕、〔2〕、〔3〕または〔4〕記載の製造方法。
である。
〔2〕加熱が蒸留である、〔1〕記載の製造方法。
〔3〕加熱が沸点以下での加熱である、〔1〕記載の製造方法。
〔4〕加熱が80℃ないし120℃での加熱である、〔1〕記載の製造方法。
〔5〕R1がトリフルオロメチル基であり、R2がエチル基である、〔1〕、〔2〕、〔3〕または〔4〕記載の製造方法。
である。
本発明の製造方法により、農医薬の製造中間体として重要なクロロパーフルオロアシル酢酸エステルを定量的に製造することが出来る。
本発明において、原料となるパーフルオロアシル酢酸エステルを蒸留する際の条件としては常圧でもかまわないが、減圧下70℃〜80℃、好ましくは75℃程度である。
加熱する際の温度としては、通常80℃〜120℃であり、好ましくは90℃〜110℃である。
加熱は不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。
加熱時間は通常2〜10時間であり、好ましくは4〜8時間である。
不活性ガスとしては、窒素、アルゴンが挙げられるが、工業的な入手のしやすさ、取り扱い等の観点から窒素ガスが好ましい。
加熱後に塩素化を行う際の塩素化剤としては塩素ガス、または液化塩素が好ましい。
塩素化の際の温度としては、20℃以下が好ましく、10℃以下が更に好ましい。
塩素の使用量は、原料に対し0.9〜5当量までの範囲から選べるが、好ましくは1〜1.5当量の範囲である。
本発明の製造方法は無溶媒で実施することが最も好ましいが、溶媒中で行ってもよい。
その際の溶媒としては、反応に不活性であればよく、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン、メチルシクロペンチルエーテル等のエーテル類、ベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の脂肪族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1、2−ジクロロエタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、あるいはこれらの混合溶媒等が挙げられる。
反応終了後は、得られたクロロパーフルオロアシル酢酸エステルは反応系内に窒素ガスを吹き込むなどして塩酸ガス、及び過剰の塩素を除去すれば生成物をそのまま次の反応に供することが出来る。
必要に応じ蒸留等の通常の手段で単離精製することも出来る。
本発明によれば、反応に供する原料のパーフルオロアシル酢酸エステルは蒸留を実施するか、操作的には加熱のみでも良い。加熱のみの場合は蒸留設備が不要となり設備面での負荷軽減をもたらすことから工業的にも非常に有利である。
また、蒸留あるいは加熱処理により収率が向上するため蒸留精製しなくても次工程での高収率が期待できる。
以下、本発明を実施例を挙げて具体的に述べるが、本発明はこれによって限定されるものではない。
〔実施例1〕
トリフルオロアセト酢酸エチル60g(0.326mol)を窒素雰囲気下100℃で6時間加熱した後、5〜10℃に冷却し、そこへ塩素ガス25.4g(0.358mol、すなわちトリフルオロアセト酢酸エチルに対し1.1当量)を、窒素気流下にて温度を5〜10℃に保ちながら加え、さらに室温で30分反応させた。窒素ガスを2時間通じて過剰な塩素ガス、発生した塩酸ガスを追い出し、70.62gのクロロトリフルオロアセト酢酸エチルを得た(収率99%)。
〔実施例2〕
トリフルオロアセト酢酸エチル38gを減圧蒸留(74℃/100mmHg)して、36.6gを得た。窒素気流下、蒸留品5.0g(27.17mmol)を5〜10℃に冷却し、その温度を維持しながら2.1g(29.56mmol、すなわちトリフルオロ酢酸エチルに対し1.1当量)を吹き込んだ。このときガスクロマトグラフィー(GC)により反応を確認したが、原料のトリフルオロアセト酢酸エチルはほぼ消失していた。
〔比較例:100℃に加熱しない例〕
窒素気流下トリフルオロアセト酢酸エチル5.47g(29.73mmol)を5〜10℃に冷却し、その温度を維持しながら塩素ガス3.17g(44.60mmol、すなわちトリフルオロアセト酢酸エチルに対し1.5当量)を吹き込んだ。このときガスクロマトグラフィー(GC)により反応を確認したが、原料のトリフルオロアセト酢酸エチルが16.4%残留していた。さらに塩素ガス1.18g(16.62mmol)を追加したが、反応は進まなかった。
加熱する際の温度としては、通常80℃〜120℃であり、好ましくは90℃〜110℃である。
加熱は不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。
加熱時間は通常2〜10時間であり、好ましくは4〜8時間である。
不活性ガスとしては、窒素、アルゴンが挙げられるが、工業的な入手のしやすさ、取り扱い等の観点から窒素ガスが好ましい。
加熱後に塩素化を行う際の塩素化剤としては塩素ガス、または液化塩素が好ましい。
塩素化の際の温度としては、20℃以下が好ましく、10℃以下が更に好ましい。
塩素の使用量は、原料に対し0.9〜5当量までの範囲から選べるが、好ましくは1〜1.5当量の範囲である。
本発明の製造方法は無溶媒で実施することが最も好ましいが、溶媒中で行ってもよい。
その際の溶媒としては、反応に不活性であればよく、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン、メチルシクロペンチルエーテル等のエーテル類、ベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の脂肪族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1、2−ジクロロエタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、あるいはこれらの混合溶媒等が挙げられる。
反応終了後は、得られたクロロパーフルオロアシル酢酸エステルは反応系内に窒素ガスを吹き込むなどして塩酸ガス、及び過剰の塩素を除去すれば生成物をそのまま次の反応に供することが出来る。
必要に応じ蒸留等の通常の手段で単離精製することも出来る。
本発明によれば、反応に供する原料のパーフルオロアシル酢酸エステルは蒸留を実施するか、操作的には加熱のみでも良い。加熱のみの場合は蒸留設備が不要となり設備面での負荷軽減をもたらすことから工業的にも非常に有利である。
また、蒸留あるいは加熱処理により収率が向上するため蒸留精製しなくても次工程での高収率が期待できる。
以下、本発明を実施例を挙げて具体的に述べるが、本発明はこれによって限定されるものではない。
〔実施例1〕
トリフルオロアセト酢酸エチル60g(0.326mol)を窒素雰囲気下100℃で6時間加熱した後、5〜10℃に冷却し、そこへ塩素ガス25.4g(0.358mol、すなわちトリフルオロアセト酢酸エチルに対し1.1当量)を、窒素気流下にて温度を5〜10℃に保ちながら加え、さらに室温で30分反応させた。窒素ガスを2時間通じて過剰な塩素ガス、発生した塩酸ガスを追い出し、70.62gのクロロトリフルオロアセト酢酸エチルを得た(収率99%)。
〔実施例2〕
トリフルオロアセト酢酸エチル38gを減圧蒸留(74℃/100mmHg)して、36.6gを得た。窒素気流下、蒸留品5.0g(27.17mmol)を5〜10℃に冷却し、その温度を維持しながら2.1g(29.56mmol、すなわちトリフルオロ酢酸エチルに対し1.1当量)を吹き込んだ。このときガスクロマトグラフィー(GC)により反応を確認したが、原料のトリフルオロアセト酢酸エチルはほぼ消失していた。
〔比較例:100℃に加熱しない例〕
窒素気流下トリフルオロアセト酢酸エチル5.47g(29.73mmol)を5〜10℃に冷却し、その温度を維持しながら塩素ガス3.17g(44.60mmol、すなわちトリフルオロアセト酢酸エチルに対し1.5当量)を吹き込んだ。このときガスクロマトグラフィー(GC)により反応を確認したが、原料のトリフルオロアセト酢酸エチルが16.4%残留していた。さらに塩素ガス1.18g(16.62mmol)を追加したが、反応は進まなかった。
本発明の製造方法は、農薬や医薬の製造中間体として有用な化合物であるクロロパーフルオロアシル酢酸エステルの製造方法として有用である。
Claims (5)
- 加熱が蒸留である、請求項1記載の製造方法。
- 加熱が沸点以下での加熱である、請求項1記載の製造方法。
- 加熱が80℃ないし120℃での加熱である、請求項1記載の製造方法。
- R1がトリフルオロメチル基であり、R2がエチル基である、請求項1、2、3または4記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005225685A JP2007039384A (ja) | 2005-08-03 | 2005-08-03 | クロロパーフルオロアシル酢酸エステルの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005225685A JP2007039384A (ja) | 2005-08-03 | 2005-08-03 | クロロパーフルオロアシル酢酸エステルの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007039384A true JP2007039384A (ja) | 2007-02-15 |
Family
ID=37797698
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005225685A Pending JP2007039384A (ja) | 2005-08-03 | 2005-08-03 | クロロパーフルオロアシル酢酸エステルの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2007039384A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2016158365A1 (ja) * | 2015-03-27 | 2016-10-06 | セントラル硝子株式会社 | 3,3-ジフルオロ-2-ヒドロキシプロピオン酸の実用的な製造方法 |
-
2005
- 2005-08-03 JP JP2005225685A patent/JP2007039384A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2016158365A1 (ja) * | 2015-03-27 | 2016-10-06 | セントラル硝子株式会社 | 3,3-ジフルオロ-2-ヒドロキシプロピオン酸の実用的な製造方法 |
US10273200B2 (en) | 2015-03-27 | 2019-04-30 | Central Glass Company, Limited | Practical method for manufacturing 3,3-difluoro-2-hydroxypropionic acid |
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