以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
〔第1実施形態〕
初めに、図1〜図3を参照して本発明の第1実施形態について説明する。本第1実施形態に係る電力変換装置Aは、図1(a)に示すように、一対のパワーモジュール(第1パワーモジュールPM1及び第2パワーモジュールPM2)と、二対のバスバー(第1バスバーB1、第2バスバーB2、第3バスバーB3及び第4バスバーB4)と、2つの絶縁板(第1絶縁板I1及び第2絶縁板I2)を主要部品として備える。
なお、この図1(a)では、一対のパワーモジュールを作動させるための制御信号(スイッチング信号)を一対のパワーモジュールに供給するためのバスバー(制御系バスバー)については、便宜上割愛している。
一対のパワーモジュール(第1パワーモジュールPM1及び第2パワーモジュールPM2)は、全く同一の構成を備えるスイッチングモジュールであり、図1(b)に示すように、正面視で略長方形の外形形状を備えている。また、一対のパワーモジュール(第1パワーモジュールPM1及び第2パワーモジュールPM2)は、2つのトランジスタQ1,Q2、1つのダイオードD、2つのトランジスタQ1,Q2の入出力端に各々接続される二対のトランジスタ用電力端子T1,T2,T3,T4、ダイオードDの入出力端に各々接続される一対のダイオード用端子T5,T6、2つのトランジスタQ1,Q2の入力端に共通接続されるトランジスタ用制御端子T7、一方のトランジスタQ1の入出力端に互助的に各々接続される一対の補助電力端子T8,T9を備える。なお、上記2つのトランジスタQ1,Q2及び1つのダイオードDは、本実施形態における半導体スイッチング素子である。
なお、図1(b)に示すに、2つのトランジスタQ1,Q2は、各々に一対の入出力端に保護用ダイオードが接続されたIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)であり、よって2つのトランジスタQ1,Q2における一対の入出力端のうち、一方の入出力端はコレクタであり、他方の入出力端はエミッタである。また、上記各端子のうち、二対のトランジスタ用電力端子T1,T2,T3,T4、一対のダイオード用端子T5,T6及び一対の補助電力端子T8,T9は、上記入出力端に各々接続される電力端子である。
すなわち、二対のトランジスタ用電力端子T1,T2,T3,T4のうち、2つのトランジスタ用電力端子T1,T2は、一方の対を構成し、他の2つのトランジスタ用電力端子T3,T4は、他方の対を構成している。上記第1の対における第1トランジスタ用電力端子T1は第1トランジスタQ1のコレクタに接続され、同じく第1の対における第2トランジスタ用電力端子T2は第1トランジスタQ1のエミッタに接続されている。一方、第2の対における第3トランジスタ用電力端子T3は第2トランジスタQ2のコレクタに接続され、第2の対における第4トランジスタ用電力端子T4は第2トランジスタQ2のエミッタに接続されている。
また、トランジスタ用制御端子T7は、2つのトランジスタQ1,Q2のゲートに共通接続され、第1の補助電力端子T8は一方のトランジスタQ1のコレクタに接続され、第2の補助電力端子T9は一方のトランジスタQ1のエミッタに接続されている。なお、一対のダイオード用端子T5,T6のうち、一方のダイオード用端子T5はダイオードDの一方の入出力端であるカソードに接続され、他方のダイオード用端子T6はダイオードDの他方の入出力端であるアノードに接続されている。
また、第1の対を構成する第1トランジスタ用電力端子T1と第2トランジスタ用電力端子T2と、第2の対を構成する第3トランジスタ用電力端子T3と第4トランジスタ用電力端子T4と、一対のダイオード用端子T5,T6、つまり3つの端子対は、図1(a)に示すように、正面視で略長方形の外形形状を有する第1パワーモジュールPM1及び第2パワーモジュールPM2の縦方向(第1方向)に並列配置されている。また、これら3つの端子対は、各々に正面視で第1パワーモジュールPM1及び第2パワーモジュールPM2の横方向(第2方向)に配列している。
すなわち、上記3つの端子対は、全体として第1方向に2列に、かつ、各端子対を構成する2つの端子が一対のパワーモジュール(第1パワーモジュールPM1及び第2パワーモジュールPM2)の第1方向において同一位置となるように、つまり直交格子の各交点に位置するように配列している。また、一対のパワーモジュール(第1パワーモジュールPM1及び第2パワーモジュールPM2)は、所定の載置面(平面)上に配置されており、上記3つの端子対は、載置面に対して同一位置(同一高さ)に配置されている。
このような一対のパワーモジュール(第1パワーモジュールPM1及び第2パワーモジュールPM2)は、図1(a)に示すように、第1パワーモジュールPM1の一対のダイオード用端子T5,T6と第2パワーモジュールPM2の一対のダイオード用端子T5,T6とが隣り合うように、また第1パワーモジュールPM1の第2トランジスタ用電力端子T2、第4トランジスタ用電力端子T4及び他方のダイオード用端子T6からなる端子列と第2パワーモジュールPM2の第1トランジスタ用電力端子T1、第3トランジスタ用電力端子T3及び一方のダイオード用端子T5からなる端子列とが一列に並ぶ(つまり、第1パワーモジュールPM1の第1トランジスタ用電力端子T1、第3トランジスタ用電力端子T3及び一方のダイオード用端子T5からなる端子列と第2パワーモジュールPM2の第2トランジスタ用電力端子T2、第4トランジスタ用電力端子T4及び他方のダイオード用端子T6からなる端子列とが一列に並ぶ)姿勢関係かつ位置関係で上記載置面上に配置されている。
すなわち、一対のパワーモジュール(第1パワーモジュールPM1及び第2パワーモジュールPM2)は、載置面上において、互いに逆向きの姿勢、かつ、縦方向(第1方向)に隣接配置されている。なお、上記載置面は、例えば放熱部品であるヒートシンクの一面(第1パワーモジュールPM1及び第2パワーモジュールPM2の取付面)である。
一方、このような一対のパワーモジュール(第1パワーモジュールPM1及び第2パワーモジュールPM2)に接続される二対のバスバー(第1バスバーB1、第2バスバーB2、第3バスバーB3及び第4バスバーB4)のうち、第1バスバーB1及び第2バスバーB2は、第1の対を構成する第1接続導体であり、一対のパワーモジュール(第1パワーモジュールPM1及び第2パワーモジュールPM2)に外部から供給される直流電力を入力する直流電力入力用バスバーである。また、第3バスバーB3及び第4バスバーB4は、第2の対を構成する第2接続導体であり、一対のパワーモジュール(第1パワーモジュールPM1及び第2パワーモジュールPM2)から出力される変換電力を外部の負荷(電動機)に供給する変換電力出力用バスバーである。
このような二対のバスバー(第1バスバーB1、第2バスバーB2、第3バスバーB3及び第4バスバーB4)は、所望に形状設定された導電板(例えば銅板)を必要に応じて折り曲げた接続導体である。これら二対のバスバー(第1バスバーB1、第2バスバーB2、第3バスバーB3及び第4バスバーB4)のうち、第1バスバーB1は、図1(a)に示すように、第1パワーモジュールPM1の第2トランジスタ用電力端子T2、第4トランジスタ用電力端子T4及び他方のダイオード用端子T6に接続されている。一方、第2バスバーB2は、図1(a)に示すように、第2パワーモジュールPM2の第1トランジスタ用電力端子T1、第3トランジスタ用電力端子T3及び一方のダイオード用端子T5に接続されている。
すなわち、第1の対を構成する第1バスバーB1及び第2バスバーB2は、図1(a)に示すように、縦方向に配列した第1パワーモジュールPM1及び第2パワーモジュールPM2の両側のうち、第1パワーモジュールPM1の第2トランジスタ用電力端子T2、第4トランジスタ用電力端子T4及び他方のダイオード用端子T6(第2パワーモジュールPM2の第1トランジスタ用電力端子T1、第3トランジスタ用電力端子T3及び一方のダイオード用端子T5)、つまり上述した3つの端子対の一部である直流電力を入力する端子列に近い側に位置し、各々に一方の面が第1絶縁板I1を挟んで対向すると共に当該対向面が上記載置面に直交する状態、かつ、上記縦方向に延在する主部(第1主部b11及び第2主部b21)を備える。
このような第1バスバーB1及び第2バスバーB2における第1主部b11及び第2主部b21は、第1絶縁板I1を挟んで対向することによって寄生静電容量を呈する。すなわち、第1主部b11、第2主部b21及び第1絶縁板I1は、平滑コンデンサーC1を構成する。図示していないが、第1主部b11、第2主部b21及び第1絶縁板I1には、上記第1のコンデンサーC1を補完する所定の静電容量を有するフィルムコンデンサー(電子部品)が設けられている。なお、第1バスバーB1の第1主部b11は、後述する直流電源Eの負極に接続され、第2バスバーB2の第2主部b21は、上記直流電源Eの正極に接続されている。
また、このような第1バスバーB1及び第2バスバーB2のうち、第1バスバーB1は、図1(a)に示すように、上記第1主部b11に連続すると共に上記載置面に平行な3つの接続部b12,b13,b14を備え、第2バスバーB2は、上記第2主部b21に連続すると共に上記載置面に平行な3つの接続部b22,b23,b24を備える。
第1バスバーB1において、接続部b12は、第1パワーモジュールPM1の第2トランジスタ用電力端子T2に接続され、接続部b13は第1パワーモジュールPM1の第4トランジスタ用電力端子T4に接続され、また接続部b14は第1パワーモジュールPM1の他方のダイオード用端子T6に接続されている。一方、第2バスバーB2において、接続部b22は、第2パワーモジュールPM2の第1トランジスタ用電力端子T1に接続され、接続部b23は第2パワーモジュールPM2の第3トランジスタ用電力端子T3に接続され、また接続部b24は第2パワーモジュールPM2の一方のダイオード用端子T5に接続されている。
一方、第2の対を構成する第3バスバーB3及び第4バスバーB4は、図1(a)に示すように、縦方向(第1方向)に配列した第1パワーモジュールPM1及び第2パワーモジュールPM2の両側のうち、第1パワーモジュールPM1の第1トランジスタ用電力端子T1、第3トランジスタ用電力端子T3及び一方のダイオード用端子T5(第2パワーモジュールPM2の第2トランジスタ用電力端子T2、第4トランジスタ用電力端子T4及び他方のダイオード用端子T6)、つまり変換電力を出力する端子列に近い側に位置し、各々に一方の面が第2絶縁板I2を挟んで対向すると共に当該対向面が上記載置面に平行な状態、かつ、上記縦方向に延在する主部(第3主部b31及び第4主部b41)を備える。
このような第3バスバーB3及び第4バスバーB4における第3主部b31及び第4主部b41は、第2絶縁板I2を挟んで対向することによって寄生静電容量を呈する。すなわち、第3主部b31、第4主部b41及び第2絶縁板I2は、ノイズ低減用のコンデンサーを構成する。なお、図示していないが、第3バスバーB3の第3主部b31は、後述する電動機のステータコイルの一端に接続され、第4バスバーB4の第4主部b41は、上記ステータコイルの他端に接続されている。
また、このような第3バスバーB3及び第4バスバーB4のうち、第3バスバーB3は、図1(a)に示すように、上記第3主部b31に連続すると共に上記載置面に平行な3つの接続部b32,b33,b34を備え、第4バスバーB4は、上記第4主部b41に連続すると共に上記載置面に平行な3つの接続部b42,b43,b44を備える。
第3バスバーB3において、接続部b32は、第1パワーモジュールPM1の第1トランジスタ用電力端子T1に接続され、接続部b33は第1パワーモジュールPM1の第3トランジスタ用電力端子T3に接続され、また接続部b34は第2パワーモジュールPM2の他方のダイオード用端子T6に接続されている。一方、第4バスバーB4において、接続部b42は、第2パワーモジュールPM2の第2トランジスタ用電力端子T2に接続され、接続部b43は第2パワーモジュールPM2の第4トランジスタ用電力端子T4に接続され、また接続部b44は第1パワーモジュールPM1の一方のダイオード用端子T5に接続されている。
このような電力変換装置Aは、図2に示すように、例えば3つが直流電源Eに対して並列接続され、三相電動機の各相に対応する3つのステータコイルにそれぞれ駆動電流を供給する。第1の電力変換装置Auは、三相電動機のU相に対応するU相ステータコイルLuに駆動電流を供給し、第2の電力変換装置Avは、三相電動機のV相に対応するV相ステータコイルLvに駆動電流を供給し、第3の電力変換装置Awは、三相電動機のW相に対応するW相ステータコイルLwに駆動電流を供給する。
すなわち、3つの電力変換装置Au,Av,Awにおいて、各々の第1バスバーB1は直流電源Eの負極と接続され、各々の第2バスバーB2は直流電源Eの正極と接続される。また、電力変換装置Auの第3バスバーB3は、U相ステータコイルLuの一端に接続され、同じく電力変換装置Auの第4バスバーB4は、U相ステータコイルLuの他端に接続される。電力変換装置Avの第3バスバーB3は、V相ステータコイルLvの一端に接続され、同じく電力変換装置Avの第4バスバーB4は、V相ステータコイルLvの他端に接続される。電力変換装置Awの第3バスバーB3は、W相ステータコイルLwの一端に接続され、同じく電力変換装置Awの第4バスバーB4は、W相ステータコイルLwの他端に接続される。
このような電力変換装置A(電力変換装置Au,Av,Aw)は、第2パワーモジュールPM2の2つのトランジスタQ1,Q2と第1パワーモジュールPM1の1つのダイオードDとによって構成された一方のスイッチングレグと、第1パワーモジュールPM1の2つのトランジスタQ1,Q2と第2パワーモジュールPM2の1つのダイオードDとによって構成された他方のスイッチングレグを備える。
すなわち、電力変換装置A(電力変換装置Au,Av,Aw)は、多相電動機を駆動する場合の基本ユニットとなる電力変換装置であり、多相電動機の相数に応じた個数(電力変換装置Au、電力変換装置Av及び電力変換装置Aw)が備えられることによって多相電動機の駆動が可能な電力変換装置となる。なお、上記三相電動機は、スイッチトリラクタンスモータ(SRモータ)である。なお、図2に示す回路構成は、SRモータ用の駆動回路として周知のものであり、よって動作等の詳細説明については省略する。
以下に、このように構成された第1実施形態に係る電力変換装置Aの特徴的な作用効果について説明する。
この電力変換装置Aでは、全く同一の構成を備える第1パワーモジュールPM1と第2パワーモジュールPM2とを第1パワーモジュールPM1の一対のダイオード用端子T5,T6と第2パワーモジュールPM2の一対のダイオード用端子T5,T6とが隣り合うように逆向きの姿勢で縦方向に配置し、かつ、一方の対を構成する第1バスバーB1及び第2バスバーB2の主部(第1主部b11及び第2主部b21)を第1パワーモジュールPM1の第2トランジスタ用電力端子T2、第4トランジスタ用電力端子T4及び他方のダイオード用端子T6(第2パワーモジュールPM2の第1トランジスタ用電力端子T1、第3トランジスタ用電力端子T3及び一方のダイオード用端子T5)、つまり直流電力を入力する端子列に近い側に位置し、また他方の対を構成する第3バスバーB3及び第4バスバーB4を第1パワーモジュールPM1の第1トランジスタ用電力端子T1、第3トランジスタ用電力端子T3及び一方のダイオード用端子T5(第2パワーモジュールPM2の第2トランジスタ用電力端子T2、第4トランジスタ用電力端子T4及び他方のダイオード用端子T6)、つまり変換電力を出力する端子列に近い側に位置した。
この結果、図1(a)に示すように、第1バスバーB1の第1主部b11から連続する3つの接続部b12,b13,b14、第2バスバーB2の第2主部b21から連続する3つの接続部b22,b23,b24、第3バスバーB3の第3主部b31から連続する3つの接続部b32,b33,b34及び第4バスバーB4の第4主部b41から連続する3つの接続部b42,b43,b44の長さを最短化することが可能である。すなわち、第1の対を構成する第1バスバーB1と第2バスバーB2を最短化することができる。
したがって、第1実施形態に係る電力変換装置Aによれば、一方の対を構成する第1バスバーB1及び第2バスバーB2における浮遊インダクタンスを抑制し、以って第1パワーモジュールPM1及び第2パワーモジュールPM2の2つのトランジスタQ1,Q2がON/OFFした際のサージ電圧を十分に低減することが可能である。
このような電力変換装置Aに対して、例えば図3に示す参考例のように第1パワーモジュールPM1と第2パワーモジュールPM2とを逆向きの姿勢ではなく同一姿勢で縦方向に配置した場合には、電力変換装置Aの第1バスバーB1に対応する第1バスバーBaの長さが第1バスバーB1よりも長くなり、浮遊インダクタンスが電力変換装置Aよりも増大し、第1パワーモジュールPM1及び第2パワーモジュールPM2の2つのトランジスタQ1,Q2がON/OFFした際のサージ電圧を十分に低減することができない。
なお、この図3において、第2バスバーBbは電力変換装置Aの第2バスバーB2に対応し、第3バスバーBcは電力変換装置Aの第3バスバーB3に対応し、第4バスバーBdは電力変換装置Aの第4バスバーB4に対応する。すなわち、図3に示す参考例において、第1バスバーBaは、直流電源Eの負極と電力変換装置Aの一方の直流電力入力端とを接続する接続導体であり、第2バスバーBbは、直流電源Eの正極と電力変換装置Aの他方の直流電力入力端とを接続する接続導体であり、第3バスバーBcは、ステータコイルの一端と電力変換装置Aの一方の変換電力出力端とを接続する接続導体であり、第4バスバーBdは、ステータコイルの他端と電力変換装置Aの他方の変換電力出力端とを接続する接続導体である。
また、第1実施形態に係る電力変換装置Aによれば、一方の対を構成する第1バスバーB1及び第2バスバーB2の形状が図3に示す参考例よりも単純なので、コスト削減を実現することが可能である。
〔第2実施形態〕
次に、図4及び図5を参照して本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態の電力変換装置Sは、図4(a)に示すように、一対のパワーモジュール(第1パワーモジュールPM3と第2パワーモジュールPM4)を第1パワーモジュールPM3の一方の対を構成する第1トランジスタ用電力端子T1と第2トランジスタ用電力端子T2と第2パワーモジュールPM4の一方の対を構成する第1トランジスタ用電力端子T1と第2トランジスタ用電力端子T2とが隣り合うように逆向きの姿勢で縦方向に配置すると共に、一方の対を構成する第1バスバーB5及び第2バスバーB6の主部(第1主部b51及び第2主部b61)を第1パワーモジュールPM3の第1トランジスタ用電力端子T1、第3トランジスタ用電力端子T3及び一方のダイオード用端子T5(第2パワーモジュールPM4の第2トランジスタ用電力端子T2、第4トランジスタ用電力端子T4及び他方のダイオード用端子T6)、つまり直流電力を入力する端子列に近い側に位置したものである。
すなわち、この電力変換装置Sにおける一対のパワーモジュール(第1パワーモジュールPM3及び第2パワーモジュールPM4)は、上述した第1実施形態に係る電力変換装置Aとは異なり、第1パワーモジュールPM3の一方の対を構成する第1トランジスタ用電力端子T1と第2トランジスタ用電力端子T2と第2パワーモジュールPM4の一方の対を構成する第1トランジスタ用電力端子T1と第2トランジスタ用電力端子T2とが隣り合うように隣接配置するものの、載置面上において、互いに逆向きの姿勢、かつ、縦方向(第1方向)に隣接配置されている。
なお、この電力変換装置Sにおける一対のパワーモジュール(第1パワーモジュールPM3と第2パワーモジュールPM4)は、図4(b)に示すように、第1実施形態の第1パワーモジュールPM1と第2パワーモジュールPM2との比較において、ダイオードDが逆向きに収容されたものである。すなわち、一対のパワーモジュール(第1パワーモジュールPM3と第2パワーモジュールPM4)において、ダイオードDのアノードは一方のダイオード用端子T5に接続され、カソードは他方のダイオード用端子T6に接続されている。
また、このような第1バスバーB5及び第2バスバーB6のうち、第1バスバーB5の第1主部b51は直流電源Eの負極に接続され、第2バスバーB6の第2主部b61は、上記直流電源Eの正極に接続されている。また、上記第1主部b51及び第2主部b61は、絶縁板I3を挟んで対向しており、よって第1主部b51、第2主部b61及び絶縁板I3は平滑コンデンサーC2を構成する。
さらに、第1バスバーB5及び第2バスバーB6のうち、第1バスバーB5は、図4(a)に示すように、上記第1主部b51に連続すると共に上記載置面に平行な3つの接続部b52,b53,b54を備え、第2バスバーB6は、上記第2主部b61に連続すると共に上記載置面に平行な3つの接続部b62,b63,b64を備える。
すなわち、第1バスバーB5において、接続部b52は第1パワーモジュールPM3の一方のダイオード用端子T5に接続され、接続部b53は第2パワーモジュールPM4の第2トランジスタ用電力端子T2に接続され、また接続部b54は第2パワーモジュールPM4の第4トランジスタ用電力端子T4に接続されている。一方、第2バスバーB6において、接続部b62は第2パワーモジュールPM2の他方のダイオード用端子T6に接続され、接続部b63は第1パワーモジュールPM3の第1トランジスタ用電力端子T1に接続され、また接続部b64は第1パワーモジュールPM3の第3トランジスタ用電力端子T3に接続されている。
なお、この電力変換装置Sにおいて、他方の対を構成する第3バスバーB7及び第4バスバーB8は、図4(a)に示すように直線状に形成されている。また、第3バスバーB7は、第1パワーモジュールPM3の第2トランジスタ用電力端子T2、第4トランジスタ用電力端子T4及び他方のダイオード用端子T6に接続されている。一方、第4バスバーB8は、第2パワーモジュールPM4の第1トランジスタ用電力端子T1、第3トランジスタ用電力端子T3及び一方のダイオード用端子T5に接続されている。
この電力変換装置Sでは、全く同一の構成を備える一対のパワーモジュール(第1パワーモジュールPM3と第2パワーモジュールPM4)を、第1パワーモジュールPM3の一方の対を構成する第1トランジスタ用電力端子T1と第2トランジスタ用電力端子T2と第2パワーモジュールPM4の一方の対を構成する第1トランジスタ用電力端子T1と第2トランジスタ用電力端子T2とが隣り合うように逆向きの姿勢で縦方向に配置すると共に、一方の対を構成する第1バスバーB5及び第2バスバーB6の主部(第1主部b51及び第2主部b61)を第1パワーモジュールPM3の第1トランジスタ用電力端子T1、第3トランジスタ用電力端子T3及び一方のダイオード用端子T5(第2パワーモジュールPM4の第2トランジスタ用電力端子T2、第4トランジスタ用電力端子T4及び他方のダイオード用端子T6)、つまり直流電力を入力する端子列に近い側に配置している。
この結果、図4(a)に示すように、第1バスバーB5の第1主部b51から連続する3つの接続部b52,b53,b54、第2バスバーB6の第2主部b61から連続する3つの接続部b62,b63,b64の長さを最短化することが可能である。したがって、第2実施形態に係る電力変換装置Sによれば、一方の対を構成する第1バスバーB5及び第2バスバーB6における浮遊インダクタンスを抑制し、以って第1パワーモジュールPM3及び第2パワーモジュールPM4の2つのトランジスタQ1,Q2がON/OFFした際のサージ電圧を十分に低減することが可能である。すなわち、第1バスバーB5及び第2バスバーB6を最短化することができる。
続いて、図5を参照して第2実施形態の変形例に係る電力変換装置Zについて説明する。
この電力変換装置Zは、上述した電力変換装置Sと同様に全く同一の構成を備える一対のパワーモジュール(第1パワーモジュールPM3及び第2パワーモジュールPM4)を採用するものであるが、図5に示すように第1パワーモジュールPM3と第2パワーモジュールPM4とを縦方向ではなく横方向に隣り合うように配置し、また第1パワーモジュールPM3と第2パワーモジュールPM4との間に一方の対を構成する第1バスバーB9及び第2バスバーB10の主部(第1主部b91及び第2主部b101)を配置している。
上記第1バスバーB9及び第2バスバーB10のうち、第1バスバーB9は、図5に示すように、上記第1主部b91に連続すると共に上記載置面に平行な3つの接続部b92,b93,b94を備え、第2バスバーB10は、上記第2主部b101に連続すると共に上記載置面に平行な3つの接続部b102,b103,b104を備える。上記第1主部b91と第2主部b101とは絶縁板I4を挟んで対向しており、よって第1主部b91、第2主部b101及び絶縁板I4は平滑コンデンサーC3を構成している。
すなわち、第1バスバーB9において、接続部b92は第1パワーモジュールPM3の第2トランジスタ用電力端子T2に接続され、接続部b93は第1パワーモジュールPM3の第4トランジスタ用電力端子T4に接続され、また接続部b94は第2パワーモジュールPM4の一方のダイオード用端子T5に接続されている。一方、第2バスバーB10において、接続部b102は第1パワーモジュールPM3の他方のダイオード用端子T6に接続され、接続部b103は第2パワーモジュールPM4の第3トランジスタ用電力端子T3に接続され、また接続部b104は第2パワーモジュールPM4の第1トランジスタ用電力端子T1に接続されている。
なお、この電力変換装置Zにおいて、他方の対を構成する第3バスバーB11及び第4バスバーB12は、図5に示すように直線状に形成されている。また、第3バスバーB11は、第1パワーモジュールPM3の第1トランジスタ用電力端子T1、第3トランジスタ用電力端子T3及び一方のダイオード用端子T5に接続されている。一方、第4バスバーB12は、第2パワーモジュールPM4の第2トランジスタ用電力端子T2、第4トランジスタ用電力端子T4及び他方のダイオード用端子T6に接続されている。
このような電力変換装置Zでは、全く同一の構成を備える一対のパワーモジュール(第1パワーモジュールPM3と第2パワーモジュールPM4)を同一姿勢で横方向に隣り合うように配置し、また第1パワーモジュールPM3と第2パワーモジュールPM4との間に一方の対を構成する第1バスバーB9及び第2バスバーB10の主部(第1主部b91及び第2主部b101)を配置している。
この結果、図5に示すように、第1バスバーB9の第1主部b91から連続する3つの接続部b92,b93,b94、第2バスバーB10の第2主部b101から連続する3つの接続部b102,b103,b104の長さを最短化することが可能である。したがって、この第2実施形態の変形例に係る電力変換装置Zによれば、一方の対を構成する第1バスバーB9及び第2バスバーB10を最短化できるので浮遊インダクタンスを抑制し、以って第1パワーモジュールPM3及び第2パワーモジュールPM4の2つのトランジスタQ1,Q2がON/OFFした際のサージ電圧を十分に低減することが可能である。
なお、電力変換装置Zでは、図5に示すように、横方向に配置された第1パワーモジュールPM3と第2パワーモジュールPM4とが縦方向に若干ずれて配置されている。すなわち、第1パワーモジュールPM3は、縦方向において第2パワーモジュールPM4よりも上側に位置している。このような第1パワーモジュールPM3及び第2パワーモジュールPM4の縦方向における位置のずれ(配置オフセット)は、導電板を例えば90°折り曲げることによって第1バスバーB9の第1主部b91と第1バスバーB9の接続部b92,b93,b94とが、また第2バスバーB10の第2主部b101と接続部b102,b103,b104とが90°異なる姿勢で形成されていることに依るものである。
すなわち、上記配置オフセットを設けない場合には、第1バスバーB9の第1主部b91及び第2バスバーB10の第2主部b101の延在方向(縦方向)において、第1バスバーB9の接続部b92,b93,b94と第2バスバーB10の接続部b102,b103,b104とが同一位置になるので、導電板の折り曲げ加工に依って第1バスバーB9及び第2バスバーB10を実現することができない。
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)上記各実施形態では、2つのトランジスタQ1,Q2と1つのダイオードDを収容する第1パワーモジュールPM1及び第2パワーモジュールPM2を用いたが、本発明はこれに限定されない。本発明は、例えば各々1つのトランジスタ及びダイオードDを収容する形態のパワーモジュール、あるいは3つ以上のトランジスタQ1,Q2と2つ以上のダイオードDを収容する形態のパワーモジュールにも適用可能である。
また、一対のパワーモジュールに収容される半導体スイッチング素子は、トランジスタQ1,Q2及びダイオードDに限定されない。例えば、各パワーモジュールに収容される半導体スイッチング素子の全てがトランジスタでもよい。さらに、これらトランジスタは、IGBTに限定されず、周知の各種トランジスタ(例えば接合型あるいはMOS型の電界効果トランジスタ)でもよい。
(2)上記各実施形態では、一方の対を構成する第1バスバーB1の第1主部b11と第2バスバーB2の第2主部b21との間に第1絶縁板I1を挟むことによりコンデンサーC1,C2,C3を構成したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1絶縁板I1を挟むこと無く、第1主部b11と第2主部b21との間に所定の静電容量を有するフィルムコンデンサー(電子部品)のみを設けてもよい。
(3)上記各実施形態では、本発明を三相のSRモータ(電動機)の駆動回路に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明は、SRモータ以外の形態の電動機に適用することが可能である。
(4)上記各実施形態では、本発明を三相のSRモータ(電動機)の駆動回路に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明は、例えば直流電源Eを2次電池とし、また第2接続導体を介することにより上記電動機から回生する回生電力あるいは発電機が発生する発電電力を外部電力として取り込むことにより直流電源E(2次電池)を充電する電力変換装置(充電回路)にも適用可能である。