JP6449859B2 - 分離膜構造体、および分離膜構造体モジュール - Google Patents

分離膜構造体、および分離膜構造体モジュール Download PDF

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Description

関連する出願の参照
本出願は、2014年4月30日に出願された日本特許出願第2014−93320号に基づく優先権を主張し、その開示の全てが参照によって本願に組み込まれる。
本発明は、分離膜を備える分離膜構造体に関する。
分離膜構造体には、多孔質構造を有する柱状の基材と、基材の軸方向と平行な流路の内壁面に形成された分離膜と、を備えるものがある。分離膜構造体は、集塵、除菌、精製、脱水、液体分離、ガス分離等、様々な用途で利用されている。分離膜構造体において、従来、被処理流体が導入される面と、処理後の濃縮流体が排出される面とには、ガラス製のシール層が形成されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−237109号公報
分離膜構造体で処理する被処理流体がアルカリ性の流体の場合や、分離膜構造体を、苛性ソーダ等を用いたアルカリ洗浄を行う場合がある。ガラスは、耐アルカリ性が低いため、アルカリ性の被処理流体の処理を繰り返したり、アルカリ洗浄を繰り返すことにより、分離膜構造体のガラス製シール層が溶解して剥離するおそれがある。また、分離膜構造体は、Oリング等のシール材を介してハウジング内に格納されて用いられる。アルカリ洗浄等により、ガラス製のシール層の表面が荒れると、分離膜構造体とOリングとの間に隙間が生じ、被処理流体の漏洩が生じる恐れがある。そこで、分離膜構造体のシール層の耐久性を向上させる技術が望まれていた。そのほか、従来の分離膜構造体においては、低コスト化、省資源化、製造の容易化、性能の向上等が望まれていた。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することができる。
本発明の一形態によれば、分離膜構造体が提供される。この分離膜構造体は、長手方向の第1の端面と、第2の端面と、前記第1の端面と前記第2の端面とを連通し、被処理流体が流通する流路と、を備える多孔質無機材料からなる基材と、前記流路の内壁面又は外壁面に形成された分離膜と、少なくとも前記第1,2の端面に形成されたシール層と、を備える。前記シール層は、フッ素系樹脂から形成される。前記基材の前記第1の端面と前記基材の外周面との間、前記基材の前記第2の端面と前記基材の外周面との間、前記基材の前記第1の端面と前記流路の前記内壁面との間、および前記基材の前記第2の端面と前記流路の前記内壁面との間、の少なくともいずれかにおいて形成される基材角部、および前記基材角部上に形成された前記シール層のシール層角部は、丸みを有している。前記シール層角部の曲率半径Rsは、前記基材角部の曲率半径Rbより大きい。
(1)本発明の一形態によれば、分離膜構造体が提供される。この分離膜構造体は、長手方向の第1の端面と、第2の端面と、前記第1の端面と前記第2の端面とを連通し、被処理流体が流通する流路と、を備える多孔質無機材料からなる基材と、前記流路の内壁面又は外壁面に形成された分離膜と、少なくとも前記第1,2の端面に形成された、耐アルカリ性が高いシール層と、を備えてもよい。この形態の分離膜構造体によれば、シール層は耐アルカリ性が高いため、アルカリ性の被処理流体の処理や、アルカリ洗浄による劣化が抑制され、シール層の耐久性を向上させることができる。
(2)上記形態の分離膜構造体において、前記シール層は、80℃、4重量%の水酸化ナトリウム水溶液中に1000時間浸漬した後の表面粗さRaが0.5μm以下であってもよい。表面粗さRaは、JIS B 0601(1994)に従い、測定長さ2.0mm、カットオフ波長0.25mmの条件で、無作為に選定した箇所を測定するものとする。このようなシール層であれば、アルカリ性の被処理流体の処理や、アルカリ洗浄による劣化が抑制され、シール層の耐久性を向上させることができる。
(3)上記形態の分離膜構造体において、前記シール層は、前記浸漬前後の表面粗さRaの変化量の前記浸漬前の表面粗さRaに対する比が、0.5未満であってもよい。このようなシール層であれば、アルカリ性の被処理流体の処理や、アルカリ洗浄による劣化が抑制され、シール層の耐久性を向上させることができる。
(4)上記形態の分離膜構造体において、前記シール層は、静摩擦係数μsが、0.5未満であってもよい。静摩擦係数μsは、バウデンレーベル型測定機器(直径8mmの鋼球、荷重1.0kg、線速度0.27mm/sec)を用いて測定することができる。この分離膜構造体を筐体内にシール部材を介して支持して使用する際に、シール層上にシール部材を配置すると、シール層の表面が滑らかであるため、分離膜構造体とシール部材との摺動性を良好にすることができる。その結果、分離膜構造体と筐体とのシール性を向上することができ、被処理流体の漏洩を抑制することができる。また、分離膜構造体によるシール部材のねじれが生じる可能性が低減され、分離膜構造体を筐体内に格納する際の作業効率を向上させることができる。
(5)上記形態の分離膜構造体において、前記シール層は、フッ素系樹脂から形成されてもよい。このようにしても、耐アルカリ性を有し、表面の滑らかなシール層を容易に得ることができる。
(6)上記形態の分離膜構造体において、前記シール層は、テトラフルオロエチレン、またはテトラフルオロエチレンを基本分子骨格とした共重合体フッ素樹脂化合物から形成されてもよい。このようにしても、耐アルカリ性を有し、表面の滑らかなシール層を容易に得ることができる。
(7)上記形態の分離膜構造体において、前記シール層は、前記基材の前記第1,2の端面、前記第1,2の端面近傍の外周面、および前記第1,2の端面近傍の前記分離膜を被覆し、前記外周面および前記分離膜に形成された前記シール層は、前記第1,2の端面に形成された前記シール層から連続して形成されていてもよい。このようにすると、シール層と基材との接着面積を大きく確保することができ、シール性を向上させることができる。また、分離膜構造体を筐体内にシール部材を介して支持して使用する際に、側面に形成されたシール層上にシール部材を配置すると、分離膜構造体と筐体とのシール性を向上することができ、被処理流体の漏洩を抑制することができる。
(8)上記形態の分離膜構造体において、前記基材の前記第1の端面および前記第2の端面と、前記外周面および前記流路の前記内壁面と、で形成される基材角部、および前記基材角部上に形成された前記シール層のシール層角部は、丸みを有しており、前記シール層角部の曲率半径Rsは、前記基材角部の曲率半径Rbより大きくてもよい。このようにすると、シール層と基材との接触面積を大きくすることができシール層の密着性が向上する。また、角部が丸みを有することで、被処理流体の流通が良好になるため、好ましい。
(9)本発明の一形態によれば、分離膜構造体モジュールが提供される。この分離膜構造体モジュールは、上記形態の分離膜構造体と、前記分離膜構造体を内部に格納する筐体と、を備えてもよい。この分離膜構造体モジュールによれば、分離膜構造体のシール層の耐アルカリ性が高いため、シール層の耐久性が向上する。その結果、分離膜構造体モジュールの耐久性が向上される。
(10)上記形態の分離膜構造体モジュールにおいて、前記分離膜構造体は、弾性材料から成るシール部材を介して、前記基材の外周面の前記第1,2の端面近傍が支持されて前記筐体内に格納され、前記シール層は、前記第1,2の端面、前記第1,2の端面近傍の前記分離膜、および前記外周面の前記第1,2の端面から前記シール部材と接する位置までを、少なくとも被覆してもよい。このようにすると、シール部材が分離膜構造体のシール層上に配置され、シール層の表面が滑らかである場合に、分離膜構造体とシール部材との摺動性を良好にすることができる。その結果、分離膜構造体と筐体とのシール性を向上することができ、被処理流体の漏洩を抑制することができる。また、分離膜構造体によるシール部材のねじれが生じる可能性が低減され、分離膜構造体を筐体内に格納する際の作業効率を向上させることができる。
本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、分離膜構造体を備えた装置、分離膜構造体の製造方法、分離膜構造体モジュールの製造方法等の形態で実現することができる。
本発明の実施形態としての分離膜構造体モジュールの構造を模式的に示す切断部端面図である。 分離膜構造体の外観を示す説明図である。 基材の外観を示す説明図である。 分離膜構造体の断面構成を拡大して示す部分拡大端面図である。 実施形態におけるシール層の形成工程の流れを示すフローチャートである。 実施形態の分離膜構造体を用いた耐アルカリ性の試験結果を示すグラフである。
A.実施形態:
A−1.分離膜構造体モジュールの構造:
図1は、本発明の実施形態としての分離膜構造体モジュールの構造を模式的に示す切断部端面図である。図1は、略円柱状に形成された分離膜構造体20の中心軸を含む切断面を図示している。図1に示すように、分離膜構造体モジュール100は、分離膜構造体20と、筐体30と、を主に備える。
図1に示すように、分離膜構造体20は、基材22と、分離膜24と、第1のシール層28,第2のシール層29と、を備える。以下、第1のシール層28,第2のシール層29とをまとめて、シール層28,29とも称する。図2は、分離膜構造体の外観を示す説明図である。図2に示すように、分離膜構造体20は、外形が略円柱状に形成され、その一方の端面(第1の端面)から他方の端面(第2の端面)までを貫通する複数の貫通孔(流路26)が形成されている。図2では、分離膜構造体20を筐体30内に格納する際に用いられるOリング37,38を、破線で図示している。分離膜構造体20では、シール層28,29上に、それぞれ、Oリング37,38が配置されるように、シール層28,29が形成されている。本実施形態におけるOリング37,38が、請求項におけるシール部材に相当する。
図3は、基材の外観を示す説明図である。図3に示すように、基材22は、略円形状を成す第1の端面221と、第2の端面222と、外周面223とを備え、全長約1000mmの略円柱状に形成されたアルミナ製の多孔質体である。基材22には、第1の端面221と第2の端面222とを連通し、分離膜構造体20によって処理される被処理液が流通する流路26が複数形成されている。本実施形態では、表面粗さRaが2μmの基材を用いたが、表面粗さはこれに限定されず、例えば、5μm、1μm、0.5μm等種々の表面粗さの基材を用いることができる。
分離膜24は、基材22よりも平均孔径の小さい微細孔を多数備えるアルミナ製の多孔質膜である。分離膜24は、図1に示すように、基材22に形成された流路26の表面(内壁面)に形成されている。
第1のシール層28は、図1の吹出し中に図示するように、基材22の第1の端面221と、分離膜24の第1の端面221近傍と、外周面223の第1の端面221近傍とを被覆している。第1のシール層28は、基材22の第1の端面221から連続して、分離膜24の内表面、基材22の外周面223に形成されている。第2のシール層29は、図1の吹出し中に図示するように、基材22の第2の端面222と、分離膜24の第2の端面222近傍と、外周面223の第2の端面222近傍とを被覆している。第2のシール層29は、基材22の第2の端面222から連続して、分離膜24の内表面、基材22の外周面223に形成されている。本実施形態では、第1のシール層28は、外周面223において、第1の端面221から約15mmまでの範囲、第2のシール層29は、外周面223において、第2の端面222から約15mmまでの範囲を、それぞれ被覆している。シール層28,29が外周面223を被覆する範囲は、本実施形態に限定されず、第1,2の端面221,222の近傍を被覆すればよい。近傍とは、例えば、基材22の全長の15%未満をいう。外周面223において、少なくともOリング37,38が配置される位置まで、第1のシール層28,第2のシール層29で被覆するのが好ましい。
図4は、分離膜構造体20の断面構成を拡大して示す部分拡大端面部図である。図4では、図1において吹出し中に拡大して示した部分(第2のシール層29側)を、さらに拡大して示している。図4(A)は、図1の吹出し中、基材22の外周面223側を、図4(B)は、基材22の流路26側(分離膜24が形成されている側)を、図示している。
本実施形態の分離膜構造体20において、基材22の端面(第1の端面221および第2の端面222)と、外周面223および流路26の内壁面226と、で形成される角部(以下、基材角部とも称する)は、丸みを有している。そして、基材角部上に形成されたシール層28,29の角部(以下、シール層角部とも称する)も、丸みを有している。以下、略円柱状に形成された分離膜構造体20の中心軸を含む切断面(図4)に基づいて、基材22および第2のシール層29の角部の曲率半径について説明する。図4(A)に示すように、基材22の第2の端面222と外周面223とで形成される基材角部RC1は、丸みを有している。図4(A)に示す切断面において、基材22の基材角部RC1は、第1の直線L11と、第2の直線L12と、曲線CL1と、で構成されている。図4(A)において、曲線CL1の両端は、点P11と点P13である。曲線CL1上の任意の3点(図4(A)におけるP11,P12,およびP13)を通る第1仮想円C1を描いたとき、第1仮想円C1の半径R1を、基材角部RC1の曲率半径Rb1とする。一方、基材22の基材角部RC1上に形成された第2のシール層29の角部であるシール層角部RC3も、丸みを有している。切断面(図4(A))において、第2のシール層29のシール層角部RC3は、第1の直線L31と、第2の直線L32と、曲線CL3と、で構成されている。図4(A)において、曲線CL3の両端は、点P31と点P33である。曲線CL3上の任意の3点(図4(A)におけるP31,P32,およびP33)を通る第3仮想円C3を描いたとき、第3仮想円C3の半径をR3を、シール層角部RC3の曲率半径Rs3とする。本実施形態の分離膜構造体20では、半径R3>半径R1である。すなわち、基材22の基材角部RC1上に形成された第2のシール層29のシール層角部RC3の曲率半径Rs3は、基材22の基材角部RC1の曲率半径Rb1より大きい。
また、図4(B)に示すように、基材22の第2の端面222と流路26の内壁面226とで形成される基材角部RC2は、丸みを有している。図4(B)に示す切断面において、基材22の基材角部RC2は、第1の直線L21と、第2の直線L22と、曲線CL2と、で構成されている。図4(B)において、曲線CL2の両端は、点P21と点P23である。曲線CL2上の任意の3点(図4(B)におけるP21,P22,およびP23)を通る第2仮想円C2を描いたとき、第2仮想円C2の半径R2を、基材角部RC2の曲率半径Rb2とする。一方、基材22の基材角部RC2上に、分離膜24を介して形成された第2のシール層29の角部であるシール層角部RC4も、丸みを有している。切断面(図4(B))において、第2のシール層29のシール層角部RC4は、第1の直線L41と、第2の直線L42と、曲線CL4と、で構成されている。図4(B)において、曲線CL4の両端は、点P41と点P43である。曲線CL4上の任意の3点(図4(B)におけるP41,P42,およびP43)を通る第4仮想円C4を描いたとき、第4仮想円C4の半径R4を、シール層角部RC4の曲率半径Rs4とする。本実施形態の分離膜構造体20では、半径R4>半径R2である。すなわち、基材22の基材角部RC2上に形成された第2のシール層29のシール層角部RC4の曲率半径Rs4は、基材22の基材角部RC2の曲率半径Rb2より大きい。ここで、基材22における曲率半径Rb1とRb2は、同一であっても、異なっていてもよい。同様に、第2のシール層29における曲率半径Rs3とRs4は、同一であっても、異なっていてもよい。
上記では、図1の吹出し中に示した部分(第2のシール層29側)について説明したが、分離膜構造体20の第2の端面222の全周に亘って、基材22の基材角部RC1上に形成された第2のシール層29のシール層角部RC3の曲率半径Rs3は、基材22の基材角部RC1の曲率半径Rb1より大きい。また、1本の流路26の全周に亘って、基材22の基材角部RC2上に形成された第2のシール層29のシール層角部RC4の曲率半径Rs4は、基材22の基材角部RC2の曲率半径Rb2より大きい。また、この関係は、分離膜構造体20が備える全ての流路26について成立する。基材22の第1の端面221側(第1のシール層28側)においても、角部は同様の形状になっており、基材22の角部の曲率半径は、その角部上に形成された第1のシール層28の曲率半径より小さい。以上説明した曲率半径は、分離膜構造体20の切断面を、光学顕微鏡で、例えば、100倍の倍率で撮像した画像を用いて、求めることができる。本実施形態における曲率半径Rb1,Rb2が請求項における曲率半径Rbに相当し、曲率半径Rs1,Rs2が請求項における曲率半径Rsに相当する。なお、他の実施形態では、基材22の全ての基材角部が丸みを有していなくてもよく、少なくとも1つの基材角部において丸みを有しており、丸みを有している基材角部上に形成されたシール層のシール層角部が丸みを有しており、そのシール層の曲率半径が、対応する基材の曲率半径より大きければよい。
このように、本実施形態の分離膜構造体20では、基材22の角部の曲率半径Rb(Rb1,Rb2をまとめてRbと称する)より,対応するシール層28,29の角部の曲率半径Rs(Rs3,Rs4をまとめてRsと称する)が大きい。基材22の角部の曲率半径Rbよりシール層28,29の角部の曲率半径Rsが小さい場合には、基材22の角部よりもシール層の角部の方が尖った形状になるため、分離膜構造体20の角による抵抗により、被処理流体が分離膜構造体20に流入しにくくなる可能性がある。これに対し、本実施形態の分離膜構造体20は、被処理流体が分離膜構造体20の流路26に流入する際に、抵抗が小さく流入しやすくなり、また、被処理流体が流路26を通って分離膜構造体20から流出する際も流路26の開口面積が大きいため、流出しやすくなり、被処理流体の流通が良好になる。さらに、シール層28,29の角部の曲率半径Rsが、基材22の角部の曲率半径Rbより大きいことで、基材22に対するシール層28,29の接触面積が大きくなり、シール層の密着性も向上する。なお、図4では、各角の丸みを構成する曲線CL1〜CL4それぞれの両端の点を含む3点を用いて仮想円を描いているが、必ずしも両端の点を含まなくてもよく、任意の3点を通る仮想円を描いて、曲率半径を求めればよい。
本実施形態において、シール層28,29は、耐アルカリ性が高いPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)を用いて形成されている。本実施形態において、「耐アルカリ性が高い」とは、80℃、4重量%の水酸化ナトリウム水溶液中に1000時間浸漬した後の表面粗さRaが0.5μm以下であり、かつ浸漬前後の表面粗さRaの変化量の前記浸漬前の表面粗さRaに対する比が、0.5未満であることをいう。表面粗さRaは、JIS B 0601(1994)に従い、測定長さ2.0mm、カットオフ波長0.25mmの条件で、無作為に選定した箇所を測定する。また、PFAは、静摩擦係数μsが小さいため、シール層28,29の表面は滑らかである。本実施形態において、「表面が滑らか」とは、静摩擦係数μsが0.5未満であることをいう。静摩擦係数μsは、バウデンレーベル型測定機器(直径8mmの鋼球、荷重1.0kg、線速度0.27mm/sec)を用いて測定する。
本実施形態において、シール層28,29は、基材22および分離膜24の細孔にも流入する。そのため、基材22および分離膜24と、シール層28,29との密着性が、細孔に流入しない場合に比べて向上する。その結果、分離膜構造体20に対し、外部から衝撃が加わった場合でも、シール層28,29が基材22および分離膜24から剥離するのを抑制することができる。なお、シール層28,29が、基材22および分離膜24の細孔に流入しているか否かは、光学顕微鏡で、例えば、100倍の倍率で撮像した画像を用いて、目視により判断することができる。
筐体30は、内部に分離膜構造体20を収容する空間を有する中空の金属製容器であって、図1に示すように、被処理液を導入する導入口31と、分離膜構造体20によって濾過された濾過液を流出する第1の濾過液口33と、第2の濾過液口34と、分離膜構造体20によって、被処理液が濃縮された濃縮液が排出される濃縮液排出口32と、を備える。分離膜構造体20は、外周面223の第1の端面221近傍に、Oリング37を介して環状の金属製遮断部材35が嵌設され、外周面223の第2の端面222近傍に、Oリング38を介して環状の金属製遮断部材36が嵌設されている。分離膜構造体20は、筐体30の内壁と金属製遮断部材35,36との間にOリング39,40を介して、筐体30内に支持されて収容されている。このように分離膜構造体20が筐体30内に収容されているため、筐体30内の空間が、第1の端面221と筐体30内壁で囲まれた第1の空間、外周面223と筐体30内壁で囲まれた第2の空間、第2の端面222と筐体30内壁で囲まれた第3の空間に、それぞれ、密閉性を保って分割されている。
被処理液が導入口31から筐体30内の第1の空間に導入されると、被処理液は、分離膜構造体20の流路26を流通しつつ、分離膜24を通過可能な成分だけが、分離膜24,基材22を通過して、第2の空間に流出し、濾過液として第1の濾過液口33,第2の濾過液口34から流出する。被処理液は、分離膜構造体20により被処理液が濃縮されて第3の空間に流出し、濃縮液として濃縮液排出口32から排出される。
本実施形態では、上述の通り、分離膜構造体20の第1の端面221、第2の端面222近傍がシール層28,29により被覆されているため、被処理液が、分離膜24を通過することなく、基材22だけを通過して濾過液中に混じったり、分離膜24を通過した濾過液が基材22を介して濃縮液中に混じることにより、処理効率が低下することを抑制することができる。本実施形態では、シール層28,29は、基材22の第1の端面221と、分離膜24の第1の端面221近傍と、外周面223の第1の端面221近傍とに形成されているが、シール層28,29が形成される範囲は本実施形態に限定されない。シール層28,29は、少なくとも基材22の第1の端面221と第2の端面222に形成されていればよい。このようにしても、処理効率が低下することを抑制することができる。
また、図1,2に示すように、シール層28,29が、基材22の外周面223の一部を被覆しており、シール層28,29上でOリング37,38を介して筐体30内に支持されている。シール層は、表面が滑らかであるため、シール層28,29が基材22の外周面223を被覆していない場合と比較して、分離膜構造体20とOリング37,38とのシール性が高く、第1の空間から第2の空間への被処理液の漏洩、第2の空間から第3の空間への濾過液の漏洩を抑制することができる。
A−2.シール層の形成工程:
図5は、本実施形態におけるシール層の形成工程の流れを示すフローチャートである。まず、基材22の流路26の表面に分離膜24が形成された分離膜構造体本体の露出面を洗浄し、乾燥させる(ステップS12)。基材22の外周面223の両端部15mmを残し、その他の部分をマスキングテープで保護する(ステップS16)。続いて、分離膜構造体本体の両端に、シール層となる塗料(以下、「シール層形成塗料」と称する)をスプレーコートする(ステップS24)。本実施形態において、シール層形成塗料は、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)の分散塗料を混合して、粉末成分を十分に分散させ、金網を通し、凝集体やゴミを除去したものを用いた。スプレーコートは、ノズル直径1.0mmのスプレーガンを用いて、霧化圧力0.2MPaにて行った。その後、室温で10分間予備乾燥を行い(ステップS26)、80℃の温風乾燥機で30分間乾燥する(ステップS28)。マスキングテープを剥離した後(ステップS30)、360℃の熱処理炉で20分焼成する(ステップS32)。これにより、図2に示すように、第1のシール層28および第2のシール層29が形成される。
なお、シール層形成塗料を塗布する前に、下地処理として下地塗料を塗布してもよい。
本実施形態のシール層の形成工程では、ステップS16において、基材22の外周面223の両端部約15mmを残し、その他の部分をマスキングテープで保護している。そのため、基材22の第1の端面221と、分離膜24の第1の端面221近傍と、外周面223の第1の端面221近傍とを被覆する第1のシール層28を形成することができる。同時に、基材22の第2の端面222と、分離膜24の第2の端面222近傍と、外周面223の第2の端面222近傍とを被覆する第2のシール層29を形成することができる。本実施形態では、図2に示すように、分離膜構造体モジュール100を構成する場合に、Oリング37が第1のシール層28上に、Oリング38が第2のシール層29上に配置されるように、シール層28,29が形成されている。
A−3.実施形態の効果:
図6は、本実施形態の分離膜構造体を用いた耐アルカリ性の試験結果を示すグラフである。図6は、本実施形態の分離膜構造体20と、比較例としてガラス製のシール層を用いた分離膜構造体について、耐アルカリ性試験を行った結果を示す。本実施形態、比較例共に、サンプル数は20である。図6では、平均値を示し、ばらつきを縦線(ひげ)で示している。耐アルカリ性試験として、80℃、4重量%の水酸化ナトリウム水溶液中に、本実施形態と比較例の分離膜構造体のシール層部分を、100時間、200時間、500時間、1000時間浸漬した後の表面粗さRaを測定した。表面粗さRaは、JIS B 0601(1994)に従い、測定長さ2.0mm、カットオフ波長0.25mmの条件で、無作為に選定した箇所を測定した。
図6に示すように、比較例の分離膜構造体では、浸漬時間の経過と共に、シール層の表面粗さRaが増加しているのに対し、本実施形態の分離膜構造体20では、浸漬時間が1000時間になっても、シール層の表面粗さRaが、浸漬前と略同一であった。浸漬時間1000時間の分離膜構造体のシール層部分の表面粗さRaは、本実施形態の分離膜構造体20が0.133μm、比較例の分離膜構造体が0.686μmであった。本実施形態の分離膜構造体20は、上記アルカリ性溶液に1000時間浸漬した後のシール層の表面粗さRaが0.5μm以下であるため、耐アルカリ性が高いと言える。また、浸漬時間1000時間における、浸漬前後の表面粗さRaの変化量の浸漬前の表面粗さRaに対する比は、比較例の分離膜構造体では、52.3であるのに対し、本実施形態の分離膜構造体20では、0.247である。すなわち、本実施形態の分離膜構造体20のシール層は、上記浸漬前後の表面粗さRaの変化量の浸漬前の表面粗さRaに対する比が、0.5未満であるため、耐アルカリ性が高いと言える。
本実施形態の分離膜構造体20によれば、シール層28,29が、耐アルカリ性が高いPFAの分散塗料を用いて形成されているため、分離膜構造体20のアルカリ洗浄や、アルカリ性の被処理液の処理に対して、シール層28,29の溶解、剥離等の劣化が抑制され、シール層28,29の耐久性が向上する。
上記耐アルカリ性試験に用いた分離膜構造体(浸漬時間1000時間)を用いて、分離膜構造体モジュールを構成し、Oリングとのシール性を確認した。浸漬時間1000時間の分離膜構造体のシール層部分の表面粗さRaは、本実施形態の分離膜構造体が0.133μm、比較例の分離膜構造体が0.686μmであった。分離膜構造体の流路を、栓で封止し、図1に示すように、Oリングを介して筐体30内に組み付けて分離膜構造体モジュールを構成し、筐体30の導入口31から水を導入した。以下、本実施形態の分離膜構造体(浸漬時間1000時間)を用いた分離膜構造体モジュールを、本実施形態の分離膜構造体モジュール、比較例の分離膜構造体(浸漬時間1000時間)を用いた分離膜構造体モジュールを、比較例の分離膜構造体モジュールと称する。比較例の分離膜構造体モジュールでは、濾過液口33,34から水の流出が確認された。この試験では、上述の通り、分離膜構造体の流路が封止されている。そのため、導入口31から導入された水が、流路を流通しつつ、分離膜24,基材22を通過して濾過液口33,34から流出することはない。比較例の分離膜構造体モジュールでは、長時間アルカリ性環境に晒されたことによりシール層の表面が荒れ、シール層とOリング37とのシール性が低下し、分離膜構造体とOリング37との間を通って、第1の空間から第2の空間に水が流入したと考えられる。一方、本実施形態の分離膜構造体モジュールでは、濾過液口33,34から水の流出が確認されなかった。本実施形態の分離膜構造体モジュールは、アルカリ性環境下で長時間用いられても、シール層の表面粗さがほとんど変らないため、シール層とOリング37とのシール性が確保され、筐体30内の各空間の密閉性を確保することができた。
また、実施形態の分離膜構造体20のシール層部分の静摩擦係数μsは0.09、上述の比較例の分離膜構造体のシール層部分の静摩擦擦係数μsは0.60であった。これらは、バウデンレーベル型測定機器(直径8mmの鋼球、荷重1.0kg、線速度0.27mm/sec)を用いて測定した結果である。本実施形態の分離膜構造体20のシール層は、静摩擦係数μsが、0.5未満であり、表面が滑らかであると言える。
本実施形態の分離膜構造体20によれば、図2に示すように、分離膜構造体モジュール100を構成する場合に、Oリング37が第1のシール層28上に、Oリング38が第2のシール層29上に配置されるように、シール層28,29が形成されている。シール層28,29は、PFAの分散塗料を用いて形成されており、表面が滑らかであるため、分離膜構造体モジュール100を構成した場合に、分離膜構造体20とOリング37,38とのシール性を良好にすることができ、被処理液等の漏洩を抑制することができる。
また、ガラスは、静摩擦係数が0.5よりも大きく、摺動性が乏しいため、分離膜構造体を筐体に組み付ける場合に、Oリングがねじれることがある。Oリングがねじれると、筐体内の各空間の密閉性が低下するため、Oリングのねじれを解消して組み付け直す。そのため、組み付け作業の作業性が低下する。一方、本実施形態のシール層28,29は、静摩擦係数μsが0.09であり、分離膜構造体20とOリング37,38との摺動性が、ガラス製のシール層を用いる場合と比較して良好になるため、分離膜構造体20を筐体30内に格納する際、分離膜構造体20によるOリング37,38のねじれが生じる可能性が低減され、筐体30内の各空間の密閉性が向上する。また、分離膜構造体20を筐体30内に組み付ける際、分離膜構造体20によるOリング37,38のねじれを気にすることなく組み付けることができるため、作業効率が向上する。
また、高温の被処理液を処理したり、高温の洗浄液を用いて分離膜構造体の洗浄を行う場合、筐体と分離膜構造体との熱膨張率の違いにより、Oリングに力が加わることがある。本実施形態の分離膜構造体20では、上述の通り、ガラスと比較して摺動性の良好なPFA製のシール層を備えるため、Oリングに力が加わってもねじれが生じにくく、分離膜構造体20とOリング37,38とのシール性の低下が抑制される。
本実施形態の分離膜構造体20において、第1のシール層28は、基材22の第1の端面221と、分離膜24の第1の端面221近傍と、外周面223の第1の端面221近傍とを被覆し、第2のシール層29は、基材22の第2の端面222と、分離膜24の第2の端面222近傍と、外周面223の第2の端面222近傍とを被覆している。シール層28,29が、第1,2の端面221,222のみを被覆する場合に比較して、シール層28,29と基材22との接着面積を大きく確保することができ、シール性を向上させることができる。
B.変形例:
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。例えば、例えば次のような変形も可能である。
B−1.第1変形例:
上記実施形態では、シール層28,29を形成する材料として、PFAを例示したが、これに限定されない。例えば、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、ETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)等のテトラフルオロエチレンを基本分子骨格とした共重合フッ素樹脂化合物や、テトラフルオロエチレン単体等のフッ素系樹脂を用いてもよい。テトラフルオロエチレンを基本分子骨格とした共重合フッ素樹脂化合物は、比較的溶融粘度が低く溶融時の流動性が良いため、クラックを生じさせることなく厚くシール層を形成することが可能であるため、表面粗さの大きな表面にシール層を形成する場合に、好適である。さらに、フッ素系樹脂以外の材料であっても、耐アルカリ性が高く、第1,2の端面221,222を、被処理流体が流路を除く基材の内部を通過不可能に被覆するシール層を形成可能な材料であればよい。例えば、ポリプロピレン、酢酸セルロース、メチルペンテン樹脂等を用いてもよい。耐アルカリ性が高いシール層としては、例えば、80℃、4重量%の水酸化ナトリウム水溶液中に1000時間浸漬した後の表面粗さRaが0.5μm以下のものが好ましい。上記浸漬後の表面粗さRaが0.2μm以下のものがさらに好ましい。また、浸漬前後の表面粗さRaの変化量の前記浸漬前の表面粗さRaに対する比が、0.5未満のものが好ましい。上記比が0.3未満のものがさらに好ましい。加えて、シール層の表面を滑らかに形成可能な材料が好ましい。表面が滑らかなシール層としては、例えば、静摩擦係数μsが0.5よりも小さいものが好ましい。静摩擦係数μsが0.1よりも小さいものがさらに好ましい。
なお、シール層28,29を形成する材料として、エラストマーを用いるのは好ましくない。エラストマーはゴム弾性を有するため、エラストマー製のシール層は、柔らかく、摺動性が悪いからである。エラストマー製のシール層を用いると、Oリング37,38がシール層に食い込んだり、滑りが悪くなり、分離膜構造体を筐体30に組み付ける際に、Oリング37,38の変形やねじれが生じやすく、組み付け作業の作業性が低下する。また、エラストマー製のシール層は、摺動性が良好でないため、筐体30と分離膜構造体との熱膨張率の違いによりOリング37,38に力が加わった場合に、シール層にねじれが生じたり、破損して、シール層とOリング37,38間のシール性が低下し、被処理流体が漏洩するおそれがある。例えば、フッ素系エラストマーは、耐アルカリ性を有するものの、ゴム弾性を有するため、シール層28,29を形成する材料としては好ましくない。
耐アルカリ性を有するフッ素系樹脂とフッ素系エラストマーを用いて、シール層を形成し、その摺動性を比較するために、静摩擦係数を測定した。サンプル1は、上記実施形態の分離膜構造体20(PFA製のシール層)であり、サンプル2は、シール層を形成する材料として、パーフルオロエーテルエラストマー(フッ素系エラストマー)を用いて、上記実施形態の分離膜構造体20と同様の分離膜構造体を作成したものである。サンプル1とサンプル2のシール層部分の静摩擦係数μsを、バウデンレーベル型測定機器(直径12mmの鋼球、荷重1.0kg、線速度0.2mm/sec)を用いて測定した。サンプル1のシール層部分(PFA製)の静摩擦係数μsは0.11、サンプル2のシール層部分(パーフルオロエーテルエラストマー製)の静摩擦係数μsは0.67であった。この結果から、少なくとも、パーフルオロエーテルエラストマーは、静摩擦係数μsが0.5以上であるため、摺動性が悪いといえる。ここでは、エラストマーの一例として、フッ素系エラストマー(パーフルオロエーテルエラストマー)を用いて、静摩擦係数μsを測定したが、一般に、エラストマーはゴム弾性を有するため、他のエラストマーでも同様に静摩擦係数μsが高くなり、少なくとも0.5以上になるといえる。なお、ここでは、バウデンレーベル型測定機器において、直径12mmの剛球、線速度0.2mm/secを用いており、上記実施形態においては、直径8mmの剛球、線速度0.27mm/secを用いているが、静摩擦係数μsの値は、剛球の大きさ(直径)によらず、略一定の値が得られる。また、線速度は速く移動させることは好ましくなく、線速度0.2mm/sec以上、線速度0.3mm/sec以下で測定することが好ましい。この範囲であれば、測定結果は略一定の値が得られる。
B−2.第2変形例:
上記実施形態において、基材22の形状として、断面形状(基材22の軸線と垂直な切断面)が円形状の流路26が形成された円柱状を例示したが、基材の形状はこれに限定されない。例えば、第1,2の端面の形状が楕円形を成す円柱状であってもよい。第1,2の端面の形状が多角形状(三角形、四角形、五角形、六角形等)の多角柱状であったもよい。さらに、板状であってもよい。また、流路の断面形状は、楕円形状、多角形状(三角形、四角形、五角形、六角形等)であってもよい。また、上記実施形態においては、複数の流路を備える例を示したが、流路の数は上記実施形態に限定されず、上記実施形態よりも多くても少なくてもよい。例えば、流路の数が1つでもよい。流路の数が1つの場合、基材の形状を管状(筒状)に形成することができる。流路の数が1つの場合には、分離膜を流路の内壁面に形成してもよいし、流路の外壁面に形成してもよい。流路の外壁面に分離膜を形成すると、基材の外周面に分離膜が形成された状態になる。
B−3.第3変形例:
上記実施形態において、シール層の形成工程の一例を示したが、シール層の形成工程は、上記実施形態に限定されない。乾燥温度、時間、シール層形成塗料の塗布方法等、適宜選択すればよい。例えば、塗布方法は、ディップコート、スピンコート、静電塗装法等を用いてもよい。シール層形成塗料の塗布を、複数回繰り返してもよい。
B−4.第4変形例:
上記実施形態において、基材22としてアルミナ製の多孔質体、分離膜24としてアルミナ製の多孔質膜を用いたが、基材および分離膜の材料は、これに限定されない。基材としては、例えば、ムライト、チタニア、ジルコニア等のセラミックを用いてもよいし、ステンレス、チタン等の金属材料を用いてもよい。分離膜としては、ムライト、チタニア、ジルコニア、ゼオライト、パラジウム、カーボン、アモルファスシリカ、MOF(金属有機構造体)等からなる固液分離膜(精密ろ過膜(MF),ナノろ過膜(NF),限外ろ過膜(UF),逆浸透ろ過膜(RO))、分子レベルでの分離が可能な分離膜等を用いてもよい。
B−5.第5変形例:
上記実施形態において、孔径や材料の異なる複数の層を基材の分離膜が形成される領域に有する多層構造の基材を用いてもよい。例えば、上記実施形態の基材22と同一形状の支持体の流路26の表面に、孔径が基材22よりも小さく、分離膜24よりも大きい多孔質構造の中間層を設けた2層構造の基材を用いることができる。この場合、中間層の表面に分離膜24を形成すればよい。中間層は、支持体と同一の材料で形成してもよいし、異なる材料で形成してもよい。また、中間層を、支持体と同一の孔径で、支持体と異なる材料で形成してもよい。さらに、中間層を2層以上とし、3層以上の層を有する基材を形成してもよい。
B−6.第6変形例:
上記実施形態において、第1のシール層28は、基材22の第1の端面221を被覆しているが、第1の端面221全体が第1のシール層28によって覆われていなくてもよい。シール層28は、基材22の細孔のうち、第1の端面221に露出する細孔を塞ぐように細孔に染み込んでいてもよい。分離膜24の第1の端面221近傍と、外周面223の第1の端面221近傍に形成された第1のシール層28,基材22の第2の端面222と、分離膜24の第2の端面222近傍と、外周面223の第2の端面222近傍に形成された第2のシール層29も同様である。このようにしても、被処理液が、分離膜24を通過することなく、基材22だけを通過して濾過液中に混じったり、分離膜24を通過した濾過液が基材22を介して濃縮液中に混じることにより、処理効率が低下することを抑制することができる。但し、基材22の外周面223については、少なくともOリング37,38と接する領域は、シール層28,29によって覆われていることが好ましい。このようにすると、分離膜構造体20とOリング37,38とのシール性を良好にすることができ、被処理液等の漏洩を抑制することができる。また、上記実施形態において、シール層28,29が、細孔に流入している例を示したが、細孔に流入していなくてもよい。シール層が、少なくとも前記第1,2の端面に形成されていればよい。このようにしても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
B−7.第7変形例:
上記実施形態において、基材22の角部の曲率半径Rbよりシール層28,29の角部の曲率半径Rsが大きい例を示したが、基材22の角部やシール層28,29の角部が丸みを有さなくてもよいし、基材22の角部の曲率半径Rbがシール層28,29の角部の曲率半径Rs以上であってもよい。但し、基材22の角部の曲率半径Rbよりシール層28,29の角部の曲率半径Rsが大きい方が、シール層28,29の密着性や、被処理流体の流通が良好になるため、好ましい。
20…分離膜構造体
22…基材
24…分離膜
26…流路
28…第1のシール層
29…第2のシール層
30…筐体
31…導入口
32…濃縮液排出口
33…第1の濾過液口
34…第2の濾過液口
35…金属製遮断部材
36…金属製遮断部材
37〜40…Oリング
100…分離膜構造体モジュール
221…第1の端面
222…第2の端面
223…外周面

Claims (7)

  1. 長手方向の第1の端面と、第2の端面と、前記第1の端面と前記第2の端面とを連通し、被処理流体が流通する流路と、を備える多孔質無機材料からなる基材と、
    前記流路の内壁面又は外壁面に形成された分離膜と、
    少なくとも前記第1,2の端面に形成されたシール層と、
    を備え、
    前記シール層は、フッ素系樹脂から形成され、
    前記基材の前記第1の端面と前記基材の外周面との間、前記基材の前記第2の端面と前記基材の外周面との間、前記基材の前記第1の端面と前記流路の前記内壁面との間、および前記基材の前記第2の端面と前記流路の前記内壁面との間、の少なくともいずれかにおいて形成される基材角部、および前記基材角部上に形成された前記シール層のシール層角部は、丸みを有しており、前記シール層角部の曲率半径Rsは、前記基材角部の曲率半径Rbより大きく、前記シール層は、80℃、4重量%の水酸化ナトリウム水溶液中に1000時間浸漬した後の表面粗さRaが0.5μm以下である、分離膜構造体。
  2. 請求項に記載の分離膜構造体において、
    前記シール層は、前記浸漬前後の表面粗さRaの変化量の前記浸漬前の表面粗さRaに対する比が、0.5未満である、分離膜構造体。
  3. 請求項1または請求項2に記載の分離膜構造体において、
    前記シール層は、静摩擦係数μsが、0.5未満である、分離膜構造体。
  4. 請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の分離膜構造体において、
    前記シール層は、テトラフルオロエチレン、またはテトラフルオロエチレンを基本分子骨格とした共重合体フッ素樹脂化合物から形成される、分離膜構造体。
  5. 請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の分離膜構造体において、
    前記シール層は、前記基材の前記第1,2の端面、前記第1,2の端面近傍の前記外周面、および前記第1,2の端面近傍の前記分離膜を被覆し、
    前記外周面および前記分離膜に形成された前記シール層は、前記第1,2の端面に形成された前記シール層から連続して形成されている、分離膜構造体。
  6. 請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の分離膜構造体と、前記分離膜構造体を内部に格納する筐体と、を備える分離膜構造体モジュール。
  7. 請求項に記載の分離膜構造体モジュールにおいて、
    前記分離膜構造体は、
    弾性材料から成るシール部材を介して、前記基材の外周面の前記第1,2の端面近傍が支持されて前記筐体内に格納され、
    前記シール層は、
    前記第1,2の端面、前記第1,2の端面近傍の前記分離膜、および前記外周面の前記第1,2の端面から前記シール部材と接する位置までを、少なくとも被覆する、
    分離膜構造体モジュール。
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