以下、図面に基づいて、本発明の本実施形態に係る共用車両管理装置について説明する。本実施形態では、本発明の共用車両管理装置を、複数の利用者が複数の車両を共用するカーシェアリングシステムを管理運営する装置に適用した例を用いて説明する。本実施形態のカーシェアリングシステムは、一のポートから借り出した共用車両を、他のポートへ返却することが許される、いわゆる乗り捨て型のシステムである。
図1は、本実施形態に係るカーシェアリングシステムを管理運営する共用車両管理システム1000のブロック構成図である。図1に示すように、本実施形態の共用車両管理システム1000は、共用車両管理装置100と、複数のユーザに利用される複数の共用車両V1〜Vn(以下、共用車両Vnと総称することもある)がそれぞれ備える車載装置200V1〜200Vn(以下、車載装置200Vnと総称することもある)と、ユーザがそれぞれ所持するユーザ端末装置400X〜400Y(以下、ユーザ端末装置400Xと総称することもある)とを有する。また、本実施形態の共用車両管理システム1000は、共用車両Vnが配置されるポートPRがそれぞれ備えるポート端末装置500X〜500Yを備えてもよい。
共用車両管理装置100、車載装置200V1〜200Vn、ユーザ端末装置400X〜400Y、及びポート端末装置500X〜500Yは、それぞれ通信装置(20、220、420、520)を備え、インターネット300などを介して相互に情報の授受が可能である。通信経路は、有線であっても無線であってもよい。共用車両管理装置100は、ポート端末装置500X〜500Yを介して、車載装置200V1〜200Vn、ユーザ端末装置400X〜400Yと通信できる。本実施形態の共用車両管理システム1000を構成する共用車両V1〜Vnがそれぞれ備える車載装置200V1〜200Vn、ユーザ端末装置400X〜400Y、ポート端末装置500X〜500Yの台数は限定されない。
本実施形態のユーザ端末装置400Xは、本発明の本実施形態に係るユーザ端末装置400Xに適用されるプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)と、このROMに格納されたプログラムを実行することで、各機能を実行させる動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)とを備えるコンピュータである。本実施形態のユーザ端末装置400Xは、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、又はPDA(Personal Digital Assistant(Personal)その他の可搬型の端末装置であってもよい。本実施形態のユーザ端末装置400Xは、共用車両管理装置100などの外部装置と通信を行う通信装置420を備える。
本実施形態の車載装置200V1〜200Vnは、各車両の現在位置を検出するGPS(Global Positioning System)210を備え、自車両の位置を通信装置220を介して送出する。
次に、本実施形態の共用車両管理装置100について説明する。本実施形態の共用車両管理装置100は、ユーザ端末装置400を介して入力されたリクエスト情報に基づき、一のポートPRから利用可能な共用車両Vnを利用者に貸し出し、リクエスト情報に基づき、他のポートPRで利用者から共用車両Vnの返却を受け付ける。
図2は、本実施形態の共用車両管理装置100が用いられるカーシェアリングシステムのポートPRを示す図である。地図上の所定の利用領域(図中破線で示す領域)内に複数の地点にポートPRを設ける。図2において、ポートPRを丸印で示す。本実施形態のカーシェアリングシステムでは、地図上において直交する2本の線の各交点にポートPRを設けた例を示すが、ポートPRの配置の態様は特に限定されない。図2に示す例では、隣り合うポートPR間の距離が等しくなるように、各ポートPRが配置されているが、配置の態様はこれに限定されるものではない。本実施形態のカーシェアリングシステムは、共用車両Vnを借り出した場所に返却することを義務付けるものではなく、借り出した場所とは異なる場所に共用車両Vnを返却することを許容するいわゆる乗り捨て型のカーシェアリングシステムである。ユーザは、一の貸出ポートPRLで共用車両Vnを借り、他の返却希望ポートPRWに共用車両Vnを返却できる。
本実施形態の共用車両管理装置100は、カーシェアリングシステムを管理運営するための制御処理を実行する制御装置10と、通信装置20と、データベース30とを備える。共用車両管理装置100は、共用車両管理システム1000のサーバとして機能する。
本実施形態の制御装置10は、カーシェアリングシステムを管理運営する処理を実行するためのプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)12と、このROM12に格納されたプログラムを実行することで、共用車両管理装置100として機能する動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)11と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)13とを備える。
本実施形態に係る共用車両管理装置100の制御装置10は、情報取得機能と、代替返却ポート選択機能と、返却ポート設定機能とを実現する。さらに、本実施形態の制御装置10は、推奨返却ポート選択機能を実現する。加えて、本実施形態の制御装置10は、返却確認機能を実現する。本実施形態に係る共用車両管理装置100は、上記機能を実現するためのソフトウェアと、上述したハードウェアの協働により各機能を実現するコンピュータである。
以下において、共用車両管理装置100の制御装置10が実現する各機能についてそれぞれ説明する。
まず、本実施形態の制御装置10が実行する情報取得機能について説明する。本実施形態の共用車両管理装置100の制御装置10は、共用車両の利用申込であるリクエスト情報31を取得する。リクエスト情報31は、申込み直後に共用車両Vnの利用を開始できる即時利用の申込みでもよいし、ユーザが指定する日時から共用車両Vnの利用を開始できる利用予約の申込みでもよい。本実施形態の制御装置10は、取得したリクエスト情報31をデータベース30に記憶する。
本実施形態のリクエスト情報31は、共用車両Vnの利用を要求する「貸出情報」と共用車両Vnの返却を希望する返却希望ポートPRWの特定情報を含む「返却情報」とを有する。図3Aにリクエスト情報の一例を示す。同図に示すように、本実施形態のリクエスト情報31の「貸出情報」は、利用者を特定するユーザID(IDは識別情報である。以下同じ)と、共用車両Vnを借り出す貸出ポートPRLと、貸出ポートPRLが備える複数の駐車スペースのうち、どの駐車スペースに存在する共用車両Vnを借り出すかを特定する駐車スペースIDと、車両を貸り出す時間、すなわち利用開始時間とを含む。
本実施形態のリクエスト情報31は、共用車両Vnの返却時刻を含んでもよいし、含まなくてもよい。利用申込みの時点に取得するリクエスト情報31において返却予定時間を設定しない場合には、共用車両Vnを利用した後に、ユーザが決める任意のタイミングで、共用車両Vnを返却できる。
本実施形態のリクエスト情報31の「返却情報」は、共用車両Vnを返却する返却希望ポートPRWの識別情報を含む。返却希望ポートPRWの識別情報は、ポートPRを特定する情報である。ポートPRは、直接的にポートPRの位置やポートPRの識別情報により特定してもよいし、付近のPOI(地点)により特定してもよい。例えば、駅、店舗、施設などの地点の特定情報により、その地点に最も近いポートPRを特定してもよい。つまり、駅、店舗、施設などの地点の情報を共用車両Vnの返却希望ポートPRWの特定情報として扱ってもよい。
本実施形態のリクエスト情報31の「返却情報」には、目的地の情報を含ませてもよい。制御装置10は、共用車両Vnを利用するユーザの目的地に基づいてポートPRを判断し、そのポートPRを返却希望ポートPRWとして取得してもよい。具体的に、制御装置10は、ユーザの目的地からの距離が最も近いポートPR、ユーザの目的地からイグレス距離(:アクセス時間)が最も短いポートPRを返却希望ポートPRWと判断し、そのポートを返却希望ポートPRWとして取得してもよい。
また、本実施形態のリクエスト情報31の「返却情報」には、返却希望ポートPRWに加えて、その後の処理で選択された代替返却ポートPRA、推奨返却ポートPRRを対応づけて記憶してもよい。返却希望ポートPRWが返却ポートPRBとして利用できない場合には、代替返却ポートPRAや推奨返却ポートPRRが返却ポートPRBとして設定される。
さらに、本実施形態のリクエスト情報31には、返却処理情報を対応づけることができる。返却処理情報は、共用車両Vnの現在位置、共用車両Vnの返却が承認されたか否かを含む。返却処理情報は、返却が承認(確認)された時刻(返却時間)を含んでもよい。
ちなみに、本実施形態の制御装置10は、ユーザから共用車両Vnの返却処理の要求を受け付け、共用車両Vnが設定された返却ポートPRBに返却された場合には、制御装置10は返却処理を実行する。返却処理はユーザの返却義務の履行と、ユーザへの課金処理を含む。これにより、共用車両Vnの貸し出しが実行され、貸し出された共用車両Vnが返却されたことを、各リクエスト情報31に対応づけて記憶することができる。
本実施形態のリクエスト情報31は、共用車両Vnの利用に関する予約情報として機能する。図3Aに示すリクエスト情報31は、ユーザからの要求ごとに整理されているが、リクエスト情報31は、共用車両Vnごと又はポートPRの駐車スペースごとに整理してもよい。
次に、本実施形態の制御装置10が実行する代替返却ポート選択機能について説明する。
本実施形態の制御装置10は、共用車両Vnが貸し出され又は共用車両Vnが返却されるポートPRの利用状況を管理するポート管理情報32を参照し、リクエスト情報31の取得時において返却希望ポートPRWが利用可能であるか否かを判断する。本実施形態のポート管理情報32は、共用車両Vnを駐車するためにポートPRに設けられた複数の駐車スペースの状態(満車、空車、予約済)が記憶されている。なお、本実施形態のカーシェアリングシステムにおいては、これらの駐車スペースには、共用車両Vnが駐車されており、ユーザがユーザ端末装置400からリクエスト情報31を入力することにより利用申込みをすることで、所望の共用車両Vnを利用できる。
図3Bは、ポート管理情報32の一例を示す図である。図3Bに示すように、ポート管理情報32は、ポートPR1〜PRnごとに整理されている。つまり、ポート管理情報32は、ポートPR1〜PRn分存在する。ポート管理情報32は、各ポートPR1〜PRnの駐車スペースGR1〜GRnごとに、貸出情報と返却情報とを含む。貸出情報は、そのポートPRnの駐車スペースGRnから貸し出される共用車両VnのID(識別情報)と、共用車両Vnが配車され貸出が可能となる時刻と、共用車両Vnが貸し出され貸出が不可能となる時刻とを含む。返却情報は、駐車スペースGRnにあった共用車両Vnが出庫(貸出又は回送)し、別の共用車両Vnの返却が可能となった時刻と、駐車スペースGRnに共用車両Vnが返却され、他の共用車両Vnの返却を受け付けることができなくなった時刻を含む。貸出情報と返却情報とは一元的に管理してもよい。貸出情報と返却情報とは、駐車スペースGRnの車両の存否を時間軸に沿って表現したものであってもよい。本実施形態の制御装置10は、ポート管理情報32を参照し、リクエスト情報31の取得時において返却希望ポートPRWが利用可能であるか否かを判断する。
本実施形態の制御装置10は、ユーザからリクエスト情報31を取得した時に返却希望ポートPRが利用不可能である場合には、利用可能なポートPRのうち、返却希望ポートPRWに最も近いポートPRを代替返却ポートPRAとして選択する。そして、選択した代替返却ポートPRAをユーザに提示する。
続いて、本実施形態の制御装置10が実行する返却ポート設定機能について説明する。本実施形態の制御装置10は、ユーザからリクエスト情報31を取得した時に返却希望ポートPRWが利用可能である場合には、返却希望ポートPRWを返却ポートPRBとして設定する。他方、ユーザからリクエスト情報31を取得した時に返却希望ポートPRWが利用可能であり、選択した代替返却ポートPRAをユーザに提示したときにユーザが共用車両Vnを提示された代替返却ポートPRAに返却することを承認した場合には、返却希望ポートPRWに代えて代替返却ポートPRAを車両が返却される返却ポートPRBとして設定する。
図3Aに示すリクエスト情報31を例にして説明する。リクエストIDがRQ1の要求において、返却希望ポートPRWがPR13である場合に、リクエスト情報31を受け付けたときに共用車両VnがポートPR13のいずれかの駐車スペースGRから出庫している状態であれば、ポートPR13は利用可能であるので、返却ポートはPR13に設定される(図3Aにおいて黒丸を付した)。また、リクエストIDがRQ2の要求において、返却希望ポートPRWがPR14である場合に、リクエスト情報31を受け付けたときにポートPR14のすべての駐車スペースGRに共用車両Vnが存在しており、返却不可能な状態であれば、代替返却ポートPRA(PR21)を選択する。代替返却ポートPRA(PR21)は、リクエスト情報RQ2を受け付けたときに空きの(返却可能である)駐車スペースを有するポートPRのうち、返却希望ポートPRW(PR14)に最も近いポートPRである。制御装置10は、この代替返却ポートPRA(PR21)をユーザに提示し、共用車両Vnの返却場所を代替返却ポートPRA(PR21)とすることに同意した場合には、この代替返却ポートPRA(PR21)を返却ポートPRBとして設定する(図3Aにおいて黒丸を付した)。
共用車両の利用開始時に返却ポートが確保されない場合には、ユーザが目的地付近に到着した際に目的地付近のポートが満車となり、予定していたポートに共用車両を返却できない場合がある。このような場合は、目的地から離れたポートまで移動しなければならない。そして、そのポートから目的地まで移動しなければならず、共用車両を借りたメリットが低減されてしまう。ユーザが目的地へ急いでいるときなど、共用車両を所定の返却ポートへ移動させることができない場合には、共用車両の管理が困難になる場合がある。
このように、共用車両Vnの利用を要求するリクエスト情報31に返却希望ポートPRWを含ませて、リクエスト情報31の受領時に利用可能なポートPRを設定するので、共用車両Vnを利用しているうちに、利用する予定だったポートPRが使えなくなってしまうというような事態が生じることを防止できる。ユーザは、共用車両Vnの利用開始時において計画していた行動を、計画通りに実行できる。つまり、刻々と変化するポートPRの空き状況によって、返却予定地に到着してから返却するポートPRが変更になったり、返却予定地よりも目的地から遠い返却ポートPRBに共用車両Vnを返却させられることを抑制できる。
次に、本実施形態の制御装置10が実行する推奨返却ポート選択機能について説明する。本実施形態の推奨返却ポート選択機能は、返却希望ポートPRWが使用できないため、返却ポートPRBを代替返却ポートPRAに変更した場合に実行される。本実施形態の制御装置10は、リクエスト情報31に含まれる返却ポートPRBの特定情報が代替返却ポートPRAに変更された場合において、返却希望ポートPRW及び代替返却ポートPRAを含む領域に存在するポートPRの利用状況を所定周期で継続的に確認する。
そして、制御装置10は、リクエスト情報31において設定された代替返却ポートPRAよりも返却希望ポートPRWに近いポートPRの利用状況が利用不可能から利用可能に変化したときには、利用可能となったポートPRを推奨返却ポートPRRとして選択し、ユーザに提示する。
本実施形態の制御装置10は、ユーザが推奨返却ポートPRRに共用車両Vnを返却することを承認した場合には、代替返却ポートPRAに代えて推奨返却ポートPRRを返却ポートPRBとして設定する。図3Aに示すリクエスト情報31を例にして説明する。リクエストIDがRQ3の要求において、返却希望ポートPRWがPR15である場合に、リクエスト情報31を受け付けたときに空きの駐車スペースGRが無く、ポートPR15に共用車両Vnを返却することが不可能である場合には代替返却ポートPRA(PR22)が設定される。共用車両Vnの利用が開始された後に、代替返却ポートPRA(PR22)よりも返却希望ポートPRW(PR15)に近いポートPR25が空いた場合には、このポートPR25を推奨返却ポートPRR(PR25)としてユーザに提示する。制御装置10は、ユーザが推奨返却ポートPRR(PR25)に共用車両Vnを返却することを承認した場合には、代替返却ポートPRA(PR22)に代えて推奨返却ポートPRR(PR25)を返却ポートPRBとして設定する。なお、ユーザが共用車両Vnの返却場所を推奨返却ポートPRRとすることに同意した場合は、推奨返却ポートPRRが目的地に近いとユーザが判断した蓋然性が高いと考えられる。この観点からすれば、本実施形態の共用車両管理装置100によれば、推奨返却ポートPRRから目的地に至るイグレス距離を、返却希望ポートPRWから目的地に至るイグレス距離以下にすることができる。本明細書において、イグレス距離とは、ある地点から目的地に至るまでの距離である。本実施形態におけるイグレス距離は、共用車両を返却するポートPRから目的地に至るまでの距離である。
図2に示す状態を例にして、上記代替返却ポートPRAの選択処理、推奨返却ポートPRRの選択処理、及び返却ポートPRBの設定処理を説明する。
図2の貸出ポートPRL0において、ユーザAが共用車両Vnを貸りることを希望する場合を例にする。ユーザAは、共用車両Vnの貸し出しの要求と、共用車両Vnの返却を希望する返却希望ポートPRWの指定をリクエスト情報31として、ユーザ端末装置400Xに入力する。制御装置10は、ユーザ端末装置400Xを介して返却希望ポートPRWを含むリクエスト情報31を取得する。この返却希望ポートPRWは、ユーザAがポートPRを直接指定してもよいし、ユーザAが指定した目的地Xに最も近いポートPRを返却希望ポートPRWとして自動的に指定してもよい。制御装置10は、リクエスト情報31を取得したタイミングにおいて、返却希望ポートPRWに空きが無い場合には、返却希望ポートPRWに最も近く、空の駐車スペースGRを有する代替返却ポートPRAを選択する。制御装置10は目的地Xに最も近く、空の駐車スペースGRを有する代替返却ポートPRAを選択してもよい。ユーザAがこの代替返却ポートPRAに共用車両Vnを返却することを承認した場合には、制御装置10は、この代替返却ポートPRAを返却ポートPRBとして設定する。さらに、ユーザAが共用車両Vnの利用を開始した後に、代替返却ポートPRAよりも目的地又は返却希望ポートPRWに近いポートPRに空きが発生したとする。この場合に、制御装置10は、ポートPRを推奨返却ポートPRRとして選択する。ユーザAがこの推奨返却ポートPRRに共用車両Vnを返却することを承認した場合には、制御装置10はこの推奨返却ポートPRRを返却ポートPRBとして設定する。
共用車両の利用開始時(リクエスト情報31の入力時)には、駐車スペースの空きが無いために利用できないポートPRであっても、共用車両利用中に駐車スペースに空きが生じる場合がある。このような場合に、ユーザの返却ポートPRBを空が生じたポートPRに変更できれば、ポートPRから目的地に至るイグレス距離を短縮することができ、カーシェアリングシステムの利便性を向上させることができる。目的地に至るまでのイグレス距離が短いポートPRに共用車両を返却できれば、指定のポートPR以外に共用車両を乗り捨てたり、道路の路肩に乗り捨てるなどの行為も防止できる。
このように、本実施形態の共用車両管理装置100によれば、共用車両Vnの利用開始後において、ポートPRの空き状況が変化し、代替返却ポートPRAよりも返却希望ポートPRWに近いポートPRに空きが生じた場合に、当初の希望に沿うポートPRを推奨返却ポートPRRとしてユーザに提案できる。言い換えると、ポートPRの空き状況に変化があったとしても、当初に設定された代替返却ポートPRAよりも返却希望ポートPRWから遠いポートPRに共用車両Vnをユーザに返却させることが無い。本実施形態の共用車両管理装置100を利用するユーザは、利用した共用車両Vnを返却するために、利用開始時に設定された代替返却ポートPRAに共用車両Vnを返却するよりも重い負担を負うことが無い。例えば、共用車両Vnを返却しようとしたときに遠い返却場所が指定されて、共用車両Vnの返却に時間がかかり、目的地への到着が遅れるなどの不便を生じさせない。この結果、利用開始時におけるユーザの予測以下の負担で共用車両Vnを利用することができ、利便性の高いカーシェアリングシステムを提供できる。
本実施形態の制御装置10は、リクエスト情報31において設定された代替返却ポートPRAよりも返却希望ポートPRWに近いポートPRの利用状況が利用不可能から利用可能に変化したリクエスト情報31を抽出し、抽出されたリクエスト情報31が複数存在する場合には、代替返却ポートPRAと返却希望ポートPRWとの距離が遠いリクエスト情報31から降順を付する。そして、制御装置10は、代替返却ポートPRAと返却希望ポートPRWとの距離が遠いリクエスト情報31から降順に、各リクエスト情報31を発したユーザに利用可能となったポートPRを推奨返却ポートPRRとして提示する。
本実施形態の共用車両管理装置100は、本来希望する返却希望ポートPRWから遠い代替返却ポートPRAが選ばれ、それが返却ポートPRBとして設定されているユーザから順に、推奨返却ポートPRRの選択処理を行う。これにより、利用開始時に自らが希望する返却希望ポートPRWを利用することができずに、返却希望ポートPRWから遠い代替返却ポートPRAが指定されたユーザの不便を改善できる。カーシェアリングの利用者全体を観察すると、各ユーザ間における返却希望ポートPRWと代替返却ポートPRAとの差を小さくして、ユーザ間の公平性を高めることができる。カーシェアリングの利用者ごとの観点から見ると、利用の都度ごとに返却希望ポートPRWと代替返却ポートPRAとの距離がバラつくということを防止できる。つまり、前回利用時には返却希望ポートPRWの近くの代替返却ポートPRAに共用車両Vnを返却できたが、今回利用時には返却希望ポートPRWからかなり離れた代替返却ポートPRAに共用車両Vnを返却しなければならないという事態の発生を抑制できる。この結果、ユーザに常時安定した利便性を感じさせることができ、カーシェアリングシステムサービスへの信頼性を向上させることができる。
もちろん、リクエスト情報31に目的地が含まれる場合には、返却希望ポートPRWに加えて目的地を考慮して推奨返却ポートPRRを提示してもよい。具体的に、本実施形態の制御装置10は、代替返却ポートPRAよりもリクエスト情報31に含まれる目的地又は返却希望ポートPRWに近いポートPRの利用状況が利用不可能から利用可能に変化したときには、利用可能となったポートPRのうち、目的地までの距離が最短のポートを推奨返却ポートPRRとして選択し、共用車両Vnを利用するユーザに提示する。
ユーザは、返却ポートPRBと目的地までの距離(イグレス距離)を短縮させる観点から、目的地に近い返却希望ポートPRWを選択する。一般的には、返却希望ポートPRWに近いポートPRの方が目的地に至るイグレス距離が短いと考えられる。しかし、返却希望ポートPRWと目的地との位置関係、及びその間の経路によっては、返却希望ポートPRWからの距離は短いが目的地からのイグレス距離が遠くなるという位置関係にあるポートPRも存在しうる。このような場合に、本実施形態の共用車両管理装置100は、代替返却ポートPRAよりも、目的地又は返却希望ポートPRWに近いポートPRの利用状況が利用不可能から利用可能に変化したときには、利用可能となったポートPRのうち、目的地までの距離が最短のポートを推奨返却ポートPRRとして選択する。これにより、最終的な目的地に最も近いポートPRを選択しユーザに勧めることができる。この結果、ユーザの最終目的地に至る際に考慮されるべき共用車両Vnの返却ポートPRBと目的地までの距離が最短となるポートPRを推奨返却ポートPRRとして選択できる。
最後に、本実施形態の共用車両管理装置100の返却確認機能について説明する。本実施形態の共用車両管理装置100の制御装置10は、共用車両Vnの返却処理の要求を受け付けた場合には、共用車両Vnの現在位置を取得する。共用車両VnはGPS210の検出した現在位置を共用車両管理装置100の制御装置10へ送出する。制御装置10は、設定された返却ポートPRBの位置と取得した現在位置とを比較する。制御装置10は、比較の結果、返却ポートPRBの位置と取得した現在位置との差が所定距離以内の場合には、共用車両Vnが返却ポートPRBに存在すると判断し、共用車両Vnが返却ポートPRBに返却されたことを確認する。制御装置10は、返却ポートPRBの位置と取得した現在位置との差が所定距離を超える場合には、共用車両Vnが返却ポートPRBに存在しないと判断し、共用車両Vnが所定の返却ポートPRBに返却されていないとして、返却処理の実行を拒否する。返却処理が拒否された場合には、制御装置10は共用車両Vnの返却を認めず、ユーザが使用を継続していると判断し、貸与契約の継続及び貸与に伴う課金処理を継続する。なお、各ポートPRの位置情報は、ポート管理情報32に含まれる。
このように、本実施形態の共用車両管理装置100は、共用車両Vnと返却ポートPRBとの位置が所定距離以内である場合に限って共用車両Vnが所定の返却ポートPRBに返却されたと確認するので、共用車両Vnが設定された返却ポートPRB以外の他のポートPRに置き去られることを防止できる。この結果、共用車両Vnの所在及びポートPRの状況を正確に管理できる。
ここで、本実施形態の共用車両管理システム1000が備えるユーザ端末装置400Xについて説明する。ユーザ端末装置400Xは、共用車両管理装置100が管理するカーシェアリングシステムを利用するためのプログラムを電気通信回線を通じて取得する。本実施形態のユーザ端末装置400Xが実行するプログラムは、ユーザ端末装置400Xにダウンロードされ、ユーザ端末装置400Xに格納される。もちろん、本実施形態のプログラムは、ASP:Application Service Providerから電気通信回線経由で提供され、ユーザ端末装置400Xによって実行されるものであってもよい。
本実施形態に係るプログラムは、ユーザ端末装置400Xにリクエスト情報受付機能と、代替返却ポート提示機能と、返却ポート設定機能と、を実行させる。本実施形態のユーザ端末装置400X〜400Yは、各ユーザの共用車両Vnの利用を求めるリクエスト情報などの入力情報を受け付ける入力装置410を備える。入力された情報は、通信装置420を介して共用車両管理装置100、ポート端末装置500へ送出される。
本実施形態のユーザ端末装置400Xに実行させるリクエスト情報受付機能は、共用車両Vnの利用を要求する貸出情報と、共用車両Vnの返却を希望する返却希望ポートPRWの特定情報を含む返却情報と、を含むリクエスト情報の入力を受け付ける。そして、受け付けたリクエスト情報を外部の共用車両管理装置100へ送出する。
本実施形態のユーザ端末装置400Xに実行させる代替返却ポート提示機能は、共用車両管理装置100などの外部装置から取得した代替返却ポートPRAをユーザに提示する。共用車両管理装置100は、リクエスト情報31の取得時において返却希望ポートPRWに最も近く、かつ利用可能な代替返却ポートPRAを求める。共用車両管理装置100などの外部装置が行う代替返却ポートPRAの導出処理は、上述した共用車両管理装置100において説明した処理と共通するのでその記載を援用する。
本実施形態のユーザ端末装置400Xに実行させる返却ポート設定機能は、提示された代替返却ポートPRAに共用車両Vnを返却することを承認するか否かの入力をユーザから受け付け、その情報を共用車両管理装置100へ送出する。共用車両管理装置100(外部装置)は、代替返却ポートPRAに共用車両Vnを返却することを承認する旨を取得した場合には、返却希望ポートPRWに代えて、代替返却ポートPRAを共用車両Vnが返却される返却ポートPRBとして設定する。つまり、ユーザ端末装置400Xは、代替返却ポートPRAに共用車両Vnを返却することを承認する旨の情報を共用車両管理装置100(外部装置)に送出することにより、共用車両管理装置100(外部装置)に、返却希望ポートPRWに代えて、代替返却ポートPRAを共用車両Vnが返却される返却ポートPRBとして設定させる。
また、本実施形態のプログラムは、推奨返却ポート提示機能をユーザ端末装置400Xに実行させる。推奨返却ポート提示機能は、共用車両管理装置100などの外部装置から取得した推奨返却ポートPRRをユーザに提示する。共用車両管理装置100などの外部装置が行う推奨返却ポートPRRの導出処理は、上述した共用車両管理装置100において説明した処理と共通するのでその記載を援用する。
先述した本実施形態のユーザ端末装置400Xに実行させる返却ポート設定機能は、提示された推奨返却ポートPRRに共用車両Vnを返却することを承認するか否かの入力をユーザから受け付けた場合には、代替返却ポートPRAに代えて、推奨返却ポートPRRを共用車両Vnが返却される返却ポートPRBとして設定させる。
以下、図4乃至図6に基づいて、本実施形態の共用車両管理システム1000における共用車両Vnの管理処理の制御手順を説明する。
図4は本実施形態の共用車両管理装置100の共用車両Vnの利用許可処理の制御手順を示すフローチャートである。
本処理は、ユーザに共用車両Vnを利用させる際の処理である。ステップS01において、本実施形態の共用車両管理装置100の制御装置10は、ユーザからリクエスト情報31を取得する。ユーザ端末装置400Xは、リクエスト情報受付機能を実行し、リクエスト情報31の入力を受け付ける。リクエスト情報31は、ユーザが共用車両Vnの利用を要求する貸出情報と、共用車両Vnの返却を希望する返却希望ポートPRWの特定情報を含む返却情報とを有する。本実施形態のリクエスト情報31は、ユーザが共用車両Vnの返却を希望する返却希望ポートPRWの特定情報を含む。返却希望ポートPRWの特定情報には、ユーザの目的地を含む。目的地の情報から、その目的地を利用するのに最も適した返却希望ポートPRWを特定することができるからである。ユーザ端末装置400Xにより受け付けたリクエスト情報31は、共用車両管理装置100の制御装置10へ送出される。
ステップS02において、制御装置10は、受信したリクエスト情報31から返却希望ポートPRWの特定情報を取得する。制御装置10は、リクエスト情報31に含まれる目的地の情報に基づいて、返却希望ポートPRWを取得してもよい。具体的に、制御装置10は、目的地からの直線距離が最短のポートPR、目的地からの経路距離が最短のポートPR、目的地からの所要時間が最短のポートPRを求め、これを返却希望ポートPRWとして取得する。
ステップS03において、制御装置10は、リクエスト情報31の取得時において、そのリクエスト情報31に含まれる返却希望ポートPRWに共用車両Vnを返却できる空の駐車スペースが存在するか否かを、ポート管理情報32を参照して判断する。返却希望ポートPRWに共用車両Vnを返却できる空の駐車スペースが存在する場合には、ステップS06に進み、返却希望ポートPRWを返却ポートPRBとして設定し、ポート管理情報32を更新する。
他方、返却希望ポートPRWに共用車両Vnを返却できる空の駐車スペースが存在しない場合には、ステップS04に進み、返却希望ポートPRWに代わる代替返却ポートPRAを選択する。制御装置10は、ポート管理情報32を参照し、利用可能なポートPRのうち、返却希望ポートPRWから所定距離以内のポートPRを代替返却ポートPRAの候補として選択する。返却希望ポートPRWと利用可能なポートPRとの距離は、最短距離、経路の距離、及び/又は所要時間の観点から算出する。もちろん、制御装置10は、返却希望ポートPRWに最も距離(最短距離、経路距離、及び/又は所要時間)が近いポートPRを代替返却ポートPRAとして選択してもよい。
制御装置10は、選択した代替返却ポートPRAの候補をユーザに提示させる命令をユーザ端末装置400Xに送出する。ユーザ端末装置400Xは、代替返却ポート提示機能を実行し、共用車両管理装置100から取得した代替返却ポートPRAをユーザに提示する。
続くステップS05において、制御装置10は、代替返却ポートPRAを返却ポートPRBとして承認するか否かのユーザの意思をユーザ端末装置400Xから取得する。ユーザ端末装置400Xは、返却ポート設定機能を実行し、代替返却ポートPRAを返却ポートPRBとして承認するか否かの情報の入力を受け付ける。ユーザ端末装置400Xは、受け付けた情報を共用車両管理装置100の制御装置10へ送出する。制御装置10は、代替返却ポートPRAを返却ポートPRBとして承認する旨の入力情報をユーザ端末装置400Xから受け付けた場合には、代替返却ポートPRAを返却ポートPRBとして設定する。
ユーザが複数の代替返却ポートPRAの中から一つの代替返却ポートPRAを選択した場合には、制御装置10は、選択された代替返却ポートPRAを返却ポートPRBとしてユーザが承認したと判断する。ユーザが提示された一つの代替返却ポートPRAを承認した場合には、制御装置10が選択した代替返却ポートPRAが返却ポートPRBとしてユーザに承認されたと判断する。
ユーザが、ステップS04で提示した代替返却ポートPRAを返却ポートPRBとして承認する場合には、ステップS06に進み、代替返却ポートPRAを返却ポートPRBとして設定し、ポート管理情報32を更新する。ユーザが、ステップS04で提示した代替返却ポートPRAを返却ポートPRBとして承認しない場合には、再度ステップS01に戻って、新たな返却希望ポートPRWを含むリクエスト情報31の入力を待機する。制御装置10は、ユーザが代替返却ポートPRAを承認しない場合には、返却ポートPRが設定できないとして、本処理を終了させてもよい。本処理において、ユーザに利用申込を確定してよいか否かを確認してもよい。
続いて、本実施形態の共用車両管理装置100の推奨返却ポートPRRの選択処理について説明する。
図5は、本実施形態の共用車両管理装置100の共用車両Vnの返却ポートの変更処理の制御手順を示すフローチャートである。制御装置10は、共用車両Vnの利用が開始された後においても、ユーザにとっての利便性が利用開始時に設定された返却ポートPRBよりも高い返却ポートPRBを継続して探索する。
特に、本実施形態の共用車両管理装置100の制御装置10は、リクエスト情報31に含まれる返却希望ポートPRWが代替返却ポートPRAに変更された場合に、そのリクエスト情報31に係る返却ポートPRB(代替返却ポートPRA)へのアクセスの利便性が、当初希望していた返却希望ポートPRWと同等乃至同等以上となるように、返却ポートPRBの探索を継続する。
ステップS11において、共用車両管理装置100の制御装置10は、代替返却ポートPRAに合意した利用予約であるリクエスト情報31を抽出する。制御装置10は、共用車両Vnの利用開始後において、このリクエスト情報31に設定されている代替返却ポートPRAよりも返却希望ポートPRWに近いポートPRの利用状況を監視する。ポートPRの利用状況を管理するポート管理情報32は所定周期で更新されてもよいし、新たな情報の入力があったタイミングで更新されてもよい。本実施形態において、ポート管理情報32が更新された場合に、ステップS11以降の処理を実行するようにしてもよい。ポート管理情報32が同じである場合には、ポートPRの利用状況に変化が無く、返却ポートPRBの変更ができないからである。
ステップS12において、制御装置10は、代替返却ポートPRAよりも返却希望ポートPRWに近いポートPRであって、利用開始時においては利用不可能であった状況から利用可能な状況に変化したポートPRが存在するか否かを判断する。本処理において、制御装置10は、リクエスト情報31にユーザの目的地が含まれている場合には、代替返却ポートPRAよりも目的地に近いポートPRであって、利用開始時においては利用不可能であった状況から利用可能な状況に変化したポートPRが存在するか否かを判断する。この判断は、共用車両Vnが返却されるまで継続する。
ステップS13において、代替返却ポートPRAよりも返却希望ポートPRW及び/又は目的地に近く、利用不可能な状況から利用可能な状況に変化したポートPRが存在するリクエスト情報31が複数抽出された場合には、ステップS14に進む。代替返却ポートPRAよりも返却希望ポートPRWに近く、利用可能なポートPRを返却ポートPRBとして利用できれば、ユーザの返却ポートPRBから目的地に至るイグレス距離を短縮できる可能性が高い。ユーザは、目的地に近い(イグレス距離が短い)返却希望ポートPRWを選択するからである。もちろん、代替返却ポートPRAよりも目的地に近く、利用可能なポートPRを返却ポートPRBとして利用できれば、ユーザの返却ポートPRBから目的地に至るイグレス距離を短縮できる。
ステップS14において、制御装置10は、抽出された複数のリクエスト情報31のうち、代替返却ポートPRAと返却希望ポートPRWとの距離が遠いリクエスト情報31から順番を付して抽出する。ステップS14において、制御装置10は、抽出された複数のリクエスト情報31のうち、代替返却ポートPRAと目的地との距離が遠いリクエスト情報31から順番を付して抽出してもよい。
ステップS15において、制御装置10は、ステップS13において抽出されたリクエスト情報31が単一である場合には(S13でNo)、そのリクエスト情報31のユーザに、利用可能となった推奨返却ポートPRRをユーザ端末装置400Xに提示させる。ユーザ端末装置400Xは、推奨返却ポート提示機能を実行し、共用車両管理装置100から取得した推奨返却ポートPRRをユーザに提示する。
同じくステップS15において、制御装置10はステップS13において抽出されたリクエスト情報31が複数である場合には(S13でYes)、ステップS14で算出された代替返却ポートPRAと返却希望ポートPRW又は目的地との距離が最大のリクエスト情報31のユーザから、利用可能となった推奨返却ポートPRRを提示する。
ステップS16において、制御装置10は、返却ポートPRBが変更可能である旨をユーザ端末装置400Xを介してユーザに知らせる。そして、制御装置10は、推奨返却ポートPRRを返却ポートPRBとして承認するか否かをユーザ端末装置400Xを介してユーザに問い合わせる。ユーザ端末装置400Xは、返却ポート設定機能を実行し、推奨返却ポートPRRを返却ポートPRBとして承認するか否かの情報の入力を受け付ける。ユーザ端末装置400Xは、受け付けたユーザの意思を制御装置10へ送出する。推奨返却ポートPRRを返却ポートPRBとして承認する旨の入力情報をユーザ端末装置400Xから受け付けた制御装置10は、推奨返却ポートPRRを返却ポートPRBとして設定する。
ユーザが、ステップS15で提示した推奨返却ポートPRRを返却ポートPRBとして承認する場合には、ステップS17に進み、制御装置10は、推奨返却ポートPRRを返却ポートPRBとして設定し、ポート管理情報32を更新する。
ユーザが、ステップS15で提示した推奨返却ポートPRRを返却ポートPRBとして承認しない場合には、ステップS15に戻って、ステップS14で算出された代替返却ポートPRAと返却希望ポートPRW又は目的地との距離が二番目に大きいリクエスト情報31のユーザから、利用可能となった推奨返却ポートPRRを提示する。リクエスト情報31の返却ポートPRBが変更できなくなるまで継続してユーザにユーザ端末装置400Xを介して推奨返却ポートを提示し(S15)、ユーザの合意を確認する(S16)。ユーザが一人の場合や、返却ポートPRBの変更が可能なユーザの全員が推奨返却ポートへの返却を合意しなかった場合には処理を終了する。
最後に、ステップS17において、制御装置10は、ユーザが合意した推奨返却ポートPRRをリクエスト情報31の返却ポートPRBとして設定する。さらに、制御装置10は、ポート管理情報32の共用車両Vnの返却ポートPRBを更新する。
続いて、本実施形態の共用車両管理装置100の返却処理について説明する。図6は、本実施形態の共用車両管理装置100の共用車両Vnの返却処理の制御手順を示すフローチャートである。
ステップS21において、本実施形態の共用車両管理装置100の制御装置10は、ユーザから共用車両Vnの返却処理の要求を受け付ける。返却処理の要求は、ユーザが共用車両Vnの利用を完了した旨と、共用車両Vnを返却ポートPRBに返却した時までの利用料金を清算する旨とを、共用車両Vnの管理者に申し出る際に送出される。返却処理の要求は、ユーザ端末装置400又は共用車両Vnの車載装置200から共用車両管理装置100の制御装置10へ送出される。
ステップS22において、本実施形態の制御装置10は、返却処理の要求を受け付けたら、返却の対象となる共用車両Vnの現在位置を取得する。共用車両Vn現在位置は、車載装置200のGPS210が検出する。
ステップS23において、本実施形態の制御装置10は、取得した現在位置と、リクエスト情報31に含まれる返却ポートPRBの位置とを比較する。
制御装置10は、現在位置と返却ポートPRBとの距離が所定値以上である場合には、現在位置と返却ポートPRBの位置とが一致せず、返却要求時における共用車両Vnが返却ポートPRBに存在しないと判断し、ステップS28に進む。ステップS28において、本実施形態の制御装置10は、リクエスト情報31において設定されている返却ポートPRBの位置を提示して、ユーザに共用車両Vnを返却ポートPRBに返却するように促す。この処理は、現在位置と返却ポートPRBの位置とが一致するまで行う。また、共用車両Vnを返却ポートPRBに返却するように促す際に、管理者への通報を行ってもよい。
ステップS23において、制御装置10は、現在位置と返却ポートPRBとの距離が所定値未満である場合には、現在位置と返却ポートPRBの位置とが一致し、返却要求時における共用車両Vnが返却ポートPRBに存在すると判断し、ステップS24に進む。
ステップS24において、制御装置10は、共用車両Vnのイグニッションがオフになったことを確認し、ステップS25において共用車両Vnの返却を許可する。続くステップS26において、制御装置10は、ユーザに対して返却手続が完了したことを伝え、清算処理を実行する。
最後に、ステップS27において、制御装置10は、共用車両Vnが返却されたこと及びその返却時刻をポート管理情報32に記憶する。共用車両Vnが走行継続可能であれば、次の利用者の利用に供される。
以上のように構成され、機能する共用車両管理装置100によれば、以下の効果を奏する。
[1]本発明の本実施形態に係る共用車両管理装置100によれば、共用車両Vnの利用希望を受け付ける時点で、返却ポートPRBを確保するので、共用車両Vnの利用開始後に各ポートPRの駐車スペースの利用状況が変化した場合であっても、当初利用する予定であった返却ポートPRBが使えなくなってしまうというような事態が生じることがない。このため、利用開始時に承認した返却ポートPRBよりも目的地から遠いポートPRに共用車両Vnを返却させられることが無い。この結果、返却ポートPRBから目的地に至るイグレス距離の増加を防止でき、カーシェアリングシステムの利便性を向上させることができる。
[2]本発明の本実施形態に係る共用車両管理装置100によれば、共用車両Vnの利用開始後において、ポートPRの空き状況が変化し、代替返却ポートPRAよりも返却希望ポートPRWに近いポートPRに空きが生じた場合に、当初の希望に沿うポートPRを推奨返却ポートPRRとしてユーザに提案できる。言い換えると、ポートPRの空き状況に変化があったとしても、当初に設定された代替返却ポートPRAよりも返却希望ポートPRWから遠いポートPRに共用車両Vnをユーザに返却させることが無い。ユーザは、利用した共用車両Vnを返却するために、利用開始時に設定された代替返却ポートPRAに共用車両Vnを返却するよりも重い負担を負うことが無い。例えば、共用車両Vnを返却しようとしたときに遠い返却場所が指定されて、共用車両Vnの返却に時間がかかり、目的地への到着が遅れるなどの不便を生じさせない。この結果、利用開始時におけるユーザの予測以下の負担で共用車両Vnを利用することができ、利便性の高いカーシェアリングシステムを提供できる。
返却ポートの指定が可能な乗り捨て型のカーシェアリングシステムは、利用の自由度が高いためにポートPRの管理が難しく、共用車両Vnの利用中に返却ポートPRBが変更される場合があるが、本実施形態の共用車両管理装置100によれば、乗り捨て型のカーシェアリングシステムであっても、当初設定された返却ポートPRBよりも不便な返却ポートPRBを利用させられることがなく、返却ポートPRBから目的地に至るイグレス距離を減少させることができる。
[3]本発明の本実施形態に係る共用車両管理装置100によれば、本来希望する返却希望ポートPRWから遠い代替返却ポートPRAが選ばれたユーザから順に、推奨返却ポートPRRの選択が行われるので、利用開始時に返却希望ポートPRWが利用できずに、返却希望ポートPRWから遠い代替返却ポートPRAが指定されたユーザの利便性を改善できる。各ユーザ間における返却希望ポートPRWと代替返却ポートPRAとの差を小さくして、ユーザ間の公平性を向上させることができる。繰り返し利用するユーザの観点によれば、利用する度に返却希望ポートPRWと代替返却ポートPRAとの差がバラつくということが無いので、常時安定した利便性を享受できる。
[4]本発明の本実施形態に係る共用車両管理装置100によれば、利用可能となったポートPRのうち、目的地までの距離が最短のポートを推奨返却ポートPRRとして選択するので、ユーザの目的地に最も近いポートPRをユーザに推奨できる。この結果、ユーザの最終目的地に至る際に考慮されるべき共用車両Vnの返却ポートPRBと目的地までの距離が最短となるポートPRを推奨返却ポートPRRとして選択できる。
[5]本発明の本実施形態に係る共用車両管理装置100によれば、共用車両Vnと返却ポートPRBとの位置が所定距離以内である場合に限って共用車両Vnが所定の返却ポートPRBに返却されたと確認するので、共用車両Vnが設定された返却ポートPRB以外の他のポートPRに置き去られることを防止できる。
[6]本発明の本実施形態に係るプログラムの各機能により、上記発明と同様の作用効果を実現できる。
なお、以上説明した本実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の本実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
本明細書では、本発明に係る共用車両管理装置の一態様として、共用車両管理装置100を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
また、本明細書では、本発明に係る共用車両管理装置の一態様として、CPU11、ROM12、RAM13を有する制御装置10(コンピュータ)を備えた共用車両管理装置100を一例として説明するが、これに限定されるものではない。
本明細書では、本願発明に係る情報取得手段、代替返却ポート選択手段と、返却ポート設定手段とを有する共用車両管理装置の一態様として、情報取得機能、代替返却ポート選択機能と、返却ポート設定機能とを実行する制御装置10を備える共用車両管理装置100を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本明細書では、本願発明に係る共用車両管理装置の一態様として、推奨返却ポート選択手段及び/又は返却確認手段をさらに備える共用車両管理装置の一態様として、推奨返却ポート選択機能及び/又は返却確認機能をさらに実行する制御装置10を備える共用車両管理装置100を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。