以下、図面に基づいて、本発明の実施形態に係る共用車両管理装置について説明する。本実施形態では、共用車両管理装置を、複数のユーザが複数のステーションに配置された複数の共用車両を共用するカーシェアリングシステムを管理運営する共用車両管理システムに適用した例を用いて説明する。本実施形態のカーシェアリングシステムは、一のステーションから借り出した共用車両を、他のステーションへ返却することが許される、いわゆる乗り捨て型のワンウェイ・カーシェアリングシステムである。なお、各ステーションは、共用車両を駐車させることができ、共用車両の貸出及び返却を行ったり、利用されていない共用車両を待機させたりできる場所であり、カーシェアリングシステムのために予め用意した駐車場などが挙げられる。
ここで、図1Aは、本実施形態の共用車両管理装置100を備えた共用車両管理システム1000において、ユーザが共用車両を利用する方法の一例を示す概要図である。本実施形態の共用車両管理システム1000においては、ユーザは、ユーザ端末装置400Xを操作することで、共用車両管理装置100が管理する複数のステーションの中から、共用車両の貸出しを希望するステーション(貸出ステーション)を選択し、選択した貸出ステーションで待機している共用車両の利用予約をする。たとえば、図1Aに示す場面において、ユーザが貸出ステーションとしてステーションST1を選択した場合には、ステーションST1で待機している共用車両V1を利用予約できる。この際には、併せて、任意のステーションを、共用車両を利用後に返却するためのステーション(帰着ステーション)として設定してもよい。あるいは、ユーザは、共用車両の利用予約をした後、所望のタイミングで、この帰着ステーションを設定してもよい。これにより、ユーザは、予約した共用車両に乗車して共用車両を利用できるようになり、その後、利用した共用車両を、設定した帰着ステーションに返却することで、乗り捨て型のワンウェイ・カーシェアリングシステムを利用できるようになっている。
本実施形態の共用車両管理システム1000について、図1Aに示す場面を例に説明する。なお、図1Aは、ユーザU1が共用車両V2を利用しており、一方、ユーザU2が、ユーザ端末装置400Xを用いて、貸出ステーションとしてステーションST2を選択し、ステーションST2の共用車両を利用予約しようとしている場面を示している。ここで、ステーションST2には、現在は共用車両が待機しておらず、共用車両の貸出を行うことができない状態であるが、ユーザU1が共用車両V2を返却する帰着ステーションとしてステーションST2を設定しており、ユーザU1が共用車両V2をステーションST2に返却した後は、ステーションST2から共用車両V2を貸出すことが可能となる。
図1Aに示す場面において、ユーザU2が共用車両の利用予約をする際には、ユーザU2は、ユーザ端末装置400Xを操作することで、貸出ステーションとしてステーションST2を選択し、ステーションST2から共用車両の利用を求める利用要求を共用車両管理装置100に送信する。そして、共用車両管理装置100は、ユーザU2から送信された利用要求に応じて、ステーションST2には現在利用可能な共用車両が存在せず、ステーションST2からは共用車両の貸出を行うことができない旨の情報を、ユーザU2のユーザ端末装置400Xに送信する。この際には、共用車両管理装置100は、併せて、他のユーザ(ユーザU1)によりステーションST2に共用車両V2が返却され、ステーションST2にて共用車両の貸出が可能となる予想時刻の情報を送信してもよい。そして、本実施形態では、共用車両管理装置100は、ユーザU1によりステーションST2に共用車両V2が返却された際には、ユーザU2に対して、ステーションST2に共用車両V2が返却され、ステーションST2から共用車両V2が貸出可能になった旨の情報を、ユーザU2のユーザ端末装置400Xに送信する。
この際において、ユーザU2が、貸出ステーションとしてステーションST1を選択し、ステーションST1に停車している共用車両V1の予約を要求した場合には、ステーションST1には、現在利用可能な共用車両V1が待機しているので、共用車両管理装置100は、ユーザU2による共用車両V1の利用予約を受付ける。これにより、ユーザU2は、共用車両V1の予約を完了し、ステーションST1にて、共用車両V1に乗車することで、共用車両V1の利用を開始することができる。
以上が本実施形態におけるワンウェイ・カーシェアリングシステムの基本構成であるが、図1Bに示すように、複数のユーザU2〜U4から、現在利用可能な共用車両が存在しないステーションST2を貸出ステーションとする利用要求が送信された場合においては、ステーションST2に共用車両V2が返却された際に、ステーションST2から共用車両V2が貸出可能になった旨の情報を各ユーザU2〜U4に対して一斉に通知すると、いずれかのユーザがステーションST2から共用車両V2を貸出す利用要求をすると、他のユーザは当該通知を受けたにもかかわらず共用車両V2の利用ができなくなってしまうことがある。
そのため、本実施形態の共用車両管理装置100は、複数のユーザから、現在利用可能な共用車両が存在しない、同一のステーションを貸出ステーションとする利用要求が送信された場面において、当該貸出ステーションと、共用車両を利用する他のユーザにより設定された帰着ステーションとが一致する場合には、利用要求を送信した複数のユーザに順位を設定し、帰着ステーションに共用車両が返却された際に、順位が高いユーザから順に、当該帰着ステーションに共用車両が返却されて貸出可能になった旨の情報を通知する。なお、この順位は、共用車両管理装置100が、各ユーザの現在位置や共用車両の利用履歴に応じて求めた所定の優先度に応じて設定する。これにより、共用車両管理装置100により設定された順位が高いユーザは、当初希望していた貸出ステーションにて共用車両が貸出可能となった際に、その情報を得ることができ、当該貸出ステーションを貸出ステーションとして共用車両を利用できるようになる。
図1Cは、このような共用車両管理システム1000を示す構成図である。図1Cに示すように、本実施形態の共用車両管理システム1000は、共用車両管理装置100と、複数のユーザに利用される複数の共用車両V1〜Vn(以下、共用車両Vnと総称することもある)がそれぞれ備える車載装置200V1〜200Vn(以下、車載装置200Vnと総称することもある)と、複数のユーザがそれぞれ所持するユーザ端末装置400X〜400Z(以下、ユーザ端末装置400Xと総称することもある)と、を有する。本実施形態の共用車両管理システム1000を構成する、車載装置200V1〜200Vn、ユーザ端末装置400X〜400Zの台数は限定されない。
共用車両管理装置100、車載装置200V1〜200Vn及びユーザ端末装置400X〜400Zは、それぞれ通信装置(20、220、420)を備え、インターネット300などの電気通信回線網を介して相互に情報の授受が可能である。通信経路は有線であっても無線であってもよい。
本実施形態のユーザ端末装置400Xは、本発明の本実施形態に係るユーザ端末装置400Xに適用されるプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)と、このROMに格納されたプログラムを実行することで、各機能を実行させる動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)と、を備えるコンピュータである。本実施形態のユーザ端末装置400Xは、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、又はPDA(Personal Digital Assistant)その他の可搬型の端末装置であってもよい。
本実施形態のユーザ端末装置400Xは、各ユーザによる所望の貸出ステーションの共用車両Vnの利用を求める利用要求などの入力情報を受け付ける入力装置410と、共用車両管理装置100などの外部装置と通信を行う通信装置420と、各ユーザに情報を通知するための表示装置430と、ユーザによる共用車両Vnの利用の制御処理を実行する制御装置440とを備える。
ユーザ端末装置400Xの入力装置410としては、たとえば、ユーザの手操作による入力が可能なディスプレイ画面上に配置されるタッチパネル又はジョイスティックや、ユーザの音声による入力が可能なマイクなどの装置を用いることができる。表示装置430としては、ディスプレイなどが挙げられ、タッチパネル・ディスプレイを用いる場合には、入力装置410と兼用することができる。
本実施形態の制御装置440は、ユーザ端末装置400Xに備えられた図示しないGPS(Global Positioning System)受信機などの位置取得装置を用いて、ユーザ端末装置400Xを操作するユーザの現在位置の情報を取得し、取得した現在位置の情報を、通信装置420を介して、共用車両管理装置100に送信する。
また、制御装置440は、各ユーザによる共用車両Vnの利用を求める利用要求などの入力情報を受け付け、通信装置420を介して、共用車両管理装置100に送信する。このような利用要求には、ユーザのID情報、ユーザの現在位置の情報、ユーザが設定した貸出ステーションの情報、ユーザが利用しようとする共用車両VnのID情報、ユーザが設定した帰着ステーションの情報などが含まれる。なお、本実施形態のユーザ端末装置400Xは、必要に応じて、共用車両管理装置100から、各ステーションの情報や、各ステーションにおける利用候補の共用車両Vnの情報などを受信する。また、本実施形態では、帰着ステーションの設定は、このように利用要求を送信するタイミングで行ってもよいし、共用車両Vnの利用要求を送信した後で、共用車両Vnを利用中の所望のタイミングで行ってもよい。
加えて、本実施形態においては、ユーザ端末装置400Xは、ユーザに対して共用車両Vnの走行経路を案内するためのナビゲーション装置として機能するものであってもよい。この場合には、ユーザ端末装置400Xは、たとえば、予めユーザ端末装置400Xに備えられたROMなどに地図情報を記憶させておき、表示装置430に、地図情報とともに、ユーザが現在利用している共用車両Vnの現在位置と、ユーザが設定した帰着ステーションの位置とを表示し、共用車両Vnの現在位置から帰着ステーションまでの走行経路を案内するように構成することができる。
本実施形態の車載装置200Vnは、各共用車両Vnの現在位置を検出するGPS受信機210と、共用車両管理装置100などの外部装置と通信を行う通信装置220と、ユーザによる共用車両Vnの利用の制御処理を実行する制御装置230とを備える。
本実施形態においては、制御装置230は、車載装置200Vnに備えらえた認証装置(不図示)を用いて、共用車両Vnに乗車したユーザが、該共用車両Vnの利用予約を行ったユーザと一致するか否かのユーザ認証を行う。たとえば、制御装置230は、認証装置として、NFC(Near Field Communication)による通信が可能な装置を用いて、ユーザが所有するユーザ端末装置400Xや会員カードなどからユーザのID情報を読み取り、さらに、通信装置220を介して共用車両管理装置100にアクセスして、共用車両Vnの予約情報を取得し、共用車両Vnに乗車したユーザのユーザ認証を行う。
また、制御装置230は、GPS受信機210を用いて取得した現在位置の情報を、通信装置220を介して、共用車両管理装置100に送信する。
さらに、制御装置230は、図示しないディスプレイやスピーカなどを用いて、共用車両管理装置100から送信された情報などを、ユーザに通知する。本実施形態では、制御装置230は、上述したように、あるユーザにより帰着ステーションに共用車両Vnが返却された際に、当該帰着ステーションにて共用車両Vnが貸出可能になった旨の情報などを、共用車両管理装置100から受信して、ユーザに通知する。
なお、本実施形態においては、車載装置200Vnは、上述したユーザ端末装置400Xと同様に、共用車両Vnの現在位置から帰着ステーションまでの走行経路を案内するためのナビゲーション装置として機能するものであってもよい。
本実施形態の共用車両管理装置100は、共用車両管理システム1000のサーバとして機能し、カーシェアリングシステムを管理運営するための制御処理を実行する制御装置10と、車載装置200Vn及びユーザ端末装置400Xとそれぞれ相互に通信可能な通信装置20と、通信装置20により受信した情報、各共用車両Vnの情報、及び各ステーションの情報などを記憶するデータベース30とを備える。
本実施形態においては、制御装置10は、各ユーザ端末装置400X及び各車載装置200Vnから、通信装置20を介して受信した情報を、適宜データベース30に記憶させる。そして、制御装置10は、後述する各機能により、通信装置20が受信した情報、及びデータベース30に記憶させた情報に基づいて、ユーザによる共用車両Vnの利用及び返却の管理を行う。
たとえば、本実施形態においては、図2に示すように、地図上の所定の利用領域(図2に破線で示す領域)内にて、丸印で示すステーションが複数設けられ、ユーザがステーションST1で借りた共用車両Vnを利用し、その後共用車両VnをステーションST2に返却するような場面において、制御装置10は、ユーザによる共用車両Vnの利用及び返却の管理を行うことができる。なお、図2に示す例では、隣り合うステーション間の距離が等しくなるように、各ステーションが配置されているが、配置の態様はこれに限定されるものではない。
さらに、制御装置10は、複数のユーザから、現在利用可能な共用車両Vnが存在しない、同一のステーションを貸出ステーションとする利用要求が送信された場面において、当該貸出ステーションと、共用車両Vnを利用する他のユーザにより設定された帰着ステーションとが一致する場合には、利用要求を送信した複数のユーザに順位を設定し、帰着ステーションに共用車両Vnが返却された際に、順位が高いユーザから順に、当該帰着ステーションにて共用車両Vnが貸出可能になった旨の情報を通知する。制御装置10が、このような通知を行う具体的な方法については後述する。
本実施形態の共用車両管理装置100のデータベース30は、共用車両情報31と、ステーション情報32と、ユーザから受け付けた利用要求33と、地図情報34と、利用履歴情報35とを記憶する。なお、図1Cに示す例では、データベース30を一つだけ設けた例を示したが、本実施形態の共用車両管理装置100では、データベース30を複数設け、各データベース30に、共用車両情報31、ステーション情報32、利用要求33、地図情報34及び利用履歴情報35を別々に記憶してもよい。
ここで、共用車両情報31は、各共用車両Vnの情報であり、ステーション情報32は、各ステーションの情報である。
また、利用要求33は、各ユーザがユーザ端末装置400Xを用いて入力した入力情報であり、利用要求33には、ユーザのID情報、ユーザの現在位置の情報、ユーザが設定した貸出ステーションの情報、ユーザが利用しようとする共用車両VnのID情報、ユーザが設定した帰着ステーションの情報などが含まれる。
利用履歴情報35は、ユーザの共用車両Vnの利用履歴を示すものであり、具体的には、ユーザによる共用車両Vnの利用回数の情報、ユーザによる1回あたりの共用車両Vnの平均利用時間の情報、ユーザが共用車両Vnを利用することが可能となった日(たとえば、カーシェアリングシステムを利用するために会員登録が必要な場合には、会員登録の日)から現在に至るまでの日数の情報などを、ユーザごとに収集した情報が挙げられる。
本実施形態の共用車両管理装置100の制御装置10は、図1Cに示すように、カーシェアリングシステムを管理運営する処理を実行するためのプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)12と、このROM12に格納されたプログラムを実行することで、共用車両管理装置100として機能する動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)11と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)13とを備える。
共用車両管理装置100の制御装置10は、利用受付機能と、利用可否判定機能と、ステーション一致判定機能と、通知機能と、優先度設定機能と、返却受付機能とを実現する。本実施形態に係る共用車両管理装置100の制御装置10は、上記機能を実現するためのソフトウェアと、上述したハードウェアの協働により各機能を実現するコンピュータである。
以下において、共用車両管理装置100の制御装置10が実現する各機能についてそれぞれ説明する。
まず、本実施形態の制御装置10が実行する利用受付機能について説明する。制御装置10は、利用受付機能により、ユーザ端末装置400Xから、上述した利用要求を取得し、取得した利用要求の情報を、利用要求33としてデータベース30に記憶させる。なお、制御装置10が取得する利用要求には、ユーザのID情報、ユーザの現在位置の情報、ユーザが設定した貸出ステーションの情報、ユーザが利用しようとする共用車両VnのID情報、ユーザが設定した帰着ステーションの情報などが含まれる。
続いて、本実施形態の制御装置10が実行する利用可否判定機能について説明する。本実施形態では、利用可否判定機能により、各ステーションが現在利用可能であるか否かを判定する。具体的には、制御装置10は、ステーションに待機している共用車両Vnが存在し、且つその共用車両Vnが現在貸出を受付可能な状態であれば、当該ステーションを現在利用可能であると判定する。一方、ステーションに待機している共用車両Vnが存在しない場合や、ステーションに共用車両Vnが待機していても、当該共用車両Vnを貸出できない状態である場合には、当該ステーションを現在利用可能ではないと判定する。なお、当該共用車両Vnを貸出できない状態としては、共用車両Vnの駆動エネルギー(内燃機関で走行駆動するガソリン車等にあってはガソリンを、電気自動車にあってはバッテリの充電量を意味する。以下同じ。)の残量が所定閾値以下である場合などが挙げられる。上記所定閾値は、任意の値を設定すればよいが、たとえば、共用車両Vnの過去の利用実績に基づき、所定期間あたりの駆動エネルギーの消費量の平均値などに応じて適宜設定できる。
続いて、本実施形態の制御装置10が実行するステーション一致判定機能について説明する。本実施形態では、上記利用可否判定機能により現在利用可能ではないと判定されたステーションを、1又は複数のユーザが貸出ステーションとして設定した際には、制御装置10は、ステーション一致判定機能により、当該貸出ステーションが、共用車両Vnを利用する他のユーザにより設定された帰着ステーションと一致するか否かを判定する。
続いて、本実施形態の制御装置10が実行する通知機能について説明する。制御装置10は、上述したステーション一致判定機能により、1又は複数のユーザにより設定された貸出ステーションが、他のユーザにより設定された帰着ステーションと一致すると判定された場合において、その後、当該他のユーザが共用車両Vnを帰着ステーションに返却した際には、上記1又は複数のユーザに対して、帰着ステーションに共用車両Vnが返却され、貸出可能な状態となった旨を通知する。この際においては、制御装置10は、後述する優先度設定機能により各ユーザに設定した優先度に基づいて、優先度が高いユーザから順に通知を行う。なお、本実施形態では、帰着ステーションに返却された共用車両Vnについて、駆動エネルギーの残量が所定閾値を超えている場合にのみ、貸出可能な状態であると判断し、上記通知を行うようにしてもよい。
また、制御装置10は、通知機能により、各車載装置200Vn及び各ユーザ端末装置400Xと通信して、ユーザに対して、共用車両Vnの利用予約が完了した旨や、共用車両Vnの返却が完了した旨の情報なども通知する。
続いて、本実施形態の制御装置10が実行する優先度設定機能について説明する。制御装置10は、上述したステーション一致判定機能により上記貸出ステーションと上記帰着ステーションとが一致すると判定された場合には、優先度設定機能により、当該複数のユーザに対して、それぞれ所定の優先度を設定する。本実施形態では、各ユーザに対して設定した優先度が高い順に、上述した通知機能による通知を行う。
本実施形態では、制御装置10は、優先度を次のようにして設定することができる。たとえば、制御装置10は、上記帰着ステーションと一致した貸出ステーション(以下、一致ステーションという。)と、各ユーザの現在位置との距離を算出し、算出した距離が短いほど、高い優先度を設定する。たとえば、図3に示すように、3人のユーザ(ユーザA〜C)が同一のステーションを貸出ステーションとして設定した場合に、ユーザA〜Cについて、それぞれの現在位置と一致ステーションとの距離を算出し、算出した距離が、ユーザA、ユーザB、ユーザCの順で長い場合には、最も距離が短いユーザAの優先度を1位、次いで距離が短いユーザBの優先度を2位、最も距離が長いユーザCの優先度を3位と設定する。
この際においては、制御装置10は、各ユーザの現在位置と一致ステーションとの距離に基づいて、各ユーザの移動速度(歩行速度や、電車での移動速度など)を考慮して、各ユーザが一致ステーションに到達するのに要する到達時間を算出し、到達時間が短いほど、高い優先度を設定してもよい。
本実施形態では、制御装置10は、優先度が高いユーザから順に、上述した通知機能による通知を行った後、いずれかのユーザから、上記一致ステーションの共用車両Vnを利用予約する旨の利用要求が送信された場合には、そのユーザからの利用要求を受け付ける。
また、本実施形態では、優先度は、各ユーザの共用車両Vnの利用履歴情報35に基づいて設定してもよい。なお、利用履歴情報35は、上述したデータベース30に記憶された情報であり、ユーザによる共用車両Vnの利用回数の情報、ユーザによる1回あたりの共用車両Vnの平均利用時間の情報、共用車両Vnを利用することが可能となった日から現在に至るまでの日数の情報などを含む情報である。本実施形態では、たとえば、制御装置10は、ユーザによる共用車両Vnの利用回数が多いほど、共用車両Vnの平均利用時間が短いほど及び共用車両Vnの利用日数が長いほど、優先度を高く設定する。
図4は、複数のユーザの利用履歴を集計した結果の一例を示すグラフである。図4のグラフでは、横軸がユーザによる共用車両Vnの利用回数を、縦軸がユーザの共用車両Vnの平均利用時間を示す。本実施形態のようなワンウェイ・カーシェアリングシステムでは、通常、図4に示すように、利用回数が多いユーザ(カーシェアリングシステムの運営者にとって優良なユーザ)ほど、共用車両Vnの平均利用時間が短い傾向にある。また、共用車両Vnの利用日数が長いユーザも、カーシェアリングシステムにおける優良なユーザであると考えられる。
そのため、本実施形態では、共用車両Vnの利用回数が多いほど、共用車両Vnの平均利用時間が短いほど及び共用車両Vnの利用日数が長いほど、当該ユーザは優良なユーザであると判断して優先度を高く設定する。
たとえば、図5Aに示すように、3人のユーザ(ユーザA〜C)が同一のステーションを貸出ステーションとして設定した場面を例に、優先度を設定する方法を説明する。図5Aに示す場面では、まずユーザA〜Cにおける現在位置と一致ステーションとの距離を算出し、算出した距離に応じた第1優先度を設定する。この際において、設定した第1優先度が同等のユーザ(ユーザA,B)が存在し、第1優先度のみでは各ユーザの順位付けを行うことができない場合には、さらに各ユーザに対して利用履歴情報35に基づく第2優先度を設定して、各ユーザの順位付けを行う。なお、第1優先度が同等である例としては、各ユーザについて、現在位置と一致ステーションとの距離を算出した結果を比較した際に、各ユーザの結果が、所定値以内(たとえば、10〜100m以内や、1〜3分以内など)である場面が挙げられる。図5Aに示す例では、ユーザA,Bの第1優先度が同等であるため、ユーザA,Bに対して、ユーザの利用履歴に基づく第2優先度を設定する。具体的には、制御装置10は、ユーザA〜C間で、(1)利用回数が多い順の順位、及び(2)平均利用時間が短い順の順位を付け、この(1)と(2)とを加算したポイントが小さいほど、第2優先度を高く設定する。なお、図5Aに示す例では、当該ポイントが3ポイントであるユーザAに対して、当該ポイントが5ポイントであるユーザBより高い第2優先度を設定する。そして、制御装置10は、このような優先度に基づいて、ユーザA、ユーザB及びユーザCの順で、上述した通知機能による通知を行う。
また、本実施形態では、ユーザの利用履歴に基づく第2優先度としては、図5Bに示すように、(1)利用回数が多い順の順位、及び(2)平均利用時間が短い順の順位に加えて、(3)共用車両Vnを利用した日数が多い順の順位を付け、この(1)と(2)と(3)とを加算したポイントが小さいほど高く設定してもよい。図5Bに示す例では、当該ポイントが5ポイントであるユーザAに対して、当該ポイントが8ポイントであるユーザBより高い第2優先度を設定する。
なお、上述した図5A,5Bに示す例では、ユーザの現在位置と一致ステーションとの距離に基づく第1優先度を求めた後で、ユーザの利用履歴に基づく第2優先度を設定し、上述した通知機能による通知を行う順序を設定する例を示したが、本実施形態の制御装置10は、第2優先度のみに基づいて通知の順序を設定してもよいし、まず第2優先度を求めた後、第2優先度のみでは順序を設定できない場合に、第1優先度を加味して通知の順序を設定してもよい。
また、本実施形態では、上述したように、各ユーザに設定した優先度に基づいて通知機能による通知を行う順序を設定するが、優先度が同等であるユーザが複数存在する場合には、その複数のユーザに対して、同時に上記通知を行うようにしてもよい。この際には、最も早く上記一致ステーションの共用車両Vnの利用要求を送信したユーザについて、利用要求を受け付けるようにしてもよい。
続いて、本実施形態の制御装置10が実行する返却受付機能について説明する。制御装置10の返却受付機能は、ユーザにより、車載装置200Vn又はユーザ端末装置400Xを介して送信される共用車両Vnの返却要求に応じて、共用車両Vnの返却を受け付ける機能である。
たとえば、図1Aに示すように、共用車両V2の帰着ステーションがステーションST2に設定されている場合には、ユーザU1が、共用車両V2をステーションST2に停車させた後で、車載装置200V2を操作して共用車両管理装置100に返却要求を送信することで、制御装置10は、共用車両V2の返却を受け付けることができる。
なお、ユーザが送信する返却要求には、ユーザが利用した共用車両VnのID情報及び現在位置情報が含まれており、制御装置10は、受信した返却要求に含まれる共用車両VnのID情報に基づき、データベース30に記憶された利用要求33の中から、該共用車両VnのID情報に対応する情報を読み出し、該共用車両Vnが、予め設定された帰着ステーションに位置しているか否かを判定し、共用車両Vnが帰着ステーションに位置していると判定された場合には、共用車両Vnが正しく返却されたものとして処理する。
本実施形態においては、以上のようにして、共用車両管理装置100の制御装置10が実現する各機能により、カーシェアリングシステムの管理運営が行われる。
なお、上述した例においては、複数のユーザに対して、制御装置10の通知機能により同じ内容を通知する、すなわち、いずれのユーザに対しても、一致ステーションにて共用車両Vnが貸出可能となった旨を通知する例を示したが、本実施形態の制御装置10は、ユーザの優先度に応じて、ユーザに通知する内容を変えてもよい。
たとえば、本実施形態の制御装置10は、優先度が最も高いユーザ又は優先度が高い順に抽出した数名のユーザに対してのみ、一致ステーションにて共用車両Vnが貸出可能となった旨を通知するようにし、その他のユーザに対しては、共用車両Vnの利用が可能な他のステーションの情報を通知し、貸出ステーションを変更するよう促してもよい。この際における他のステーションとしては、たとえば、ユーザの現在位置から所定距離以内に存在するステーションが挙げられる。あるいは、ユーザが共用車両Vnの利用要求を送信する際に、予め帰着ステーションを設定していた場合には、ユーザの現在位置と、設定した帰着ステーションとの間に存在するステーションも挙げられる。
あるいは、本実施形態の制御装置10は、優先度が最も高いユーザに対して、一致ステーションにて共用車両Vnが貸出可能となった旨を通知するようにし、その後、所定時間以内に当該ユーザから上記共用車両Vnの利用要求がない場合や、当該ユーザから別の共用車両Vnの利用要求があった場合には、次に優先度が高いユーザに対して、上記通知を行うようにしてもよい。
本実施形態によれば、共用車両管理装置100の制御装置10は、上述した一致ステーションでの共用車両Vnの利用を希望するユーザに対して、一致ステーションに共用車両Vnが返却された旨を通知するため、共用車両Vnの利用を希望するユーザは、当初から希望していたステーションにて共用車両Vnを借りることができるようになる。この種のワンウェイ方式のカーシェリングシステムにおいて、ユーザは、現在位置から最も短距離のステーションを希望するのが一般的である。したがって、ユーザが、共用車両Vnを利用するために、当初希望していたステーションよりも遠い代替のステーションに行く必要がなくなり、ユーザが貸出ステーションまで移動して共用車両Vnを利用開始するまでの時間(すなわち、共用車両Vnがユーザに利用されるまでの待機時間)がより短くなり、その結果、カーシェアリングシステムにおける共用車両Vnの稼働率の向上を図ることができる。さらに、本実施形態によれば、上述した一致ステーションでの共用車両Vnの利用を希望するユーザが複数存在する場合において、各ユーザに対して優先度を設定し、設定した優先度に応じた順序で上記通知を行うため、カーシェアリングシステムの利便性の向上や、カーシェアリングシステムにおける共用車両Vnの稼働率の向上を図るという目的に適したユーザに優先的に上記通知を行うことができる。
次いで、本実施形態の動作例を説明する。図6は、本実施形態の共用車両管理装置100によるカーシェアリングシステムの制御手順を示すフローチャートである。なお、図6に示すフローチャートは、一のユーザが、一の共用車両Vnを利用するために利用要求を送信し、共用車両Vnを利用した後、共用車両Vnを帰着ステーションに返却するまでの制御手順を示すものである。
まず、ステップS1では、共用車両管理装置100の制御装置10は、ユーザから、ユーザ端末装置400Xを介して利用要求が送信されたか否かを判定する。なお、利用要求には、ユーザのID情報、ユーザの現在位置の情報、ユーザにより設定された貸出ステーションの情報、ユーザが利用しようとする共用車両VnのID、ユーザにより設定された帰着ステーションの情報などが含まれる。そして、ステップS1において、利用要求が送信されたと判定された場合には、ステップS2へ進む。一方、ステップS1において、利用要求が送信されていないと判定された場合には、ステップS1で待機する。
ステップS2では、制御装置10は、ユーザのユーザ端末装置400Xから送信された利用要求を受信し、データベース30に記憶させる。
ステップS3では、制御装置10は、ステップS2で受信した利用要求を参照し、ユーザが設定した貸出ステーションが現在利用可能であるか否かを判定する。具体的には、貸出ステーションとして設定されたステーションに待機している共用車両Vnが存在し、且つその共用車両Vnが現在貸出を受付可能な状態であれば、現在利用可能であると判定する。そして、ステップS3において、貸出ステーションが現在利用可能であると判定された場合には、ステップS4へ進む。一方、ステップS3において、貸出ステーションが現在利用可能ではないと判定された場合には、ステップS13へ進む。
ステップS3において、貸出ステーションが現在利用可能であると判定された場合には、ステップS4へ進み、ステップS4では、制御装置10は、ステップS2における利用要求を送信したユーザにより、共用車両Vnを返却するための帰着ステーションが設定されているか否かを判定する。そして、ステップS4において、帰着ステーションが設定されていると判定された場合には、ステップS5へ進む。一方、ステップS4において、帰着ステーションが設定されていないと判定された場合には、ステップS4で待機する。
ステップS5では、制御装置10は、ユーザから、共用車両Vnを返却しようとする返却要求が送信されたか否かを判定する。なお、ユーザにより送信される返却要求には、ユーザのID情報、並びにユーザが利用した共用車両VnのID情報及び位置情報が含まれる。そして、ステップS5において、返却要求が送信されたと判定された場合には、ステップS6へ進む。一方、ステップS5において、返却要求が送信されていないと判定された場合には、ステップS5で待機する。
ステップS5において、返却要求が送信されたと判定された場合には、ステップS6へ進み、ステップS6では、制御装置10は、ステップS5でユーザから送信された返却要求を受信する。
ステップS7では、制御装置10は、ステップS6で受信した返却要求、及びデータベース30に記憶された利用要求33の情報に基づいて、ユーザにより返却されようとしている共用車両Vnが、共用車両Vnに対して設定された帰着ステーションに位置しているか否かを確認する。
ステップS8では、制御装置10は、ステップS6で受信した返却要求、及びデータベース30に記憶された利用要求33の情報に基づいて、ユーザにより返却されようとしている共用車両VnのID情報と、該ユーザにより送信された利用要求に含まれる共用車両VnのID情報とが一致するか否かを確認する。
ステップS9では、制御装置10は、ユーザにより返却されようとしている共用車両Vnについて、返却処理を完了することができるか否かを判定する。具体的には、制御装置10は、ステップS7及びステップS8で確認した情報に基づいて、ユーザにより返却されようとしている共用車両Vnについて、現在位置が設定された帰着ステーションの位置と一致しており、且つID情報が該ユーザにより送信された利用要求に含まれる共用車両VnのID情報と一致していると判断した場合には、共用車両Vnの返却処理を完了できると判定する。そして、ステップS9において、共用車両Vnの返却処理を完了できると判定された場合には、ステップS10へ進む。一方、ステップS9において、共用車両Vnの返却処理を完了できないと判定された場合には、ステップS15へ進み、共用車両Vnの返却処理を中断して上述したステップS4に戻る。
ステップS9において、共用車両Vnの返却処理を完了することができると判定された場合には、ステップS10へ進み、ステップS10では、制御装置10は、共用車両Vnの返却処理を完了させ、ユーザに対して、共用車両Vnの利用料金を、たとえばクレジットカードの引き落とし等の方法により課金する。
ステップS11では、制御装置10は、通知処理(一のユーザにより帰着ステーションとして設定されたステーションに共用車両Vnが返却され、共用車両Vnが貸出可能になった旨の情報を、他のユーザに通知する処理)を行う条件を満たすか否かを判定する。具体的には、上述したステップS6〜S10の処理にて、一のユーザから共用車両Vnが返却されるまでは、上記帰着ステーションには利用可能な他の共用車両Vnが存在していなかった場合において、上記帰着ステーションを貸出ステーションとして設定して利用要求を送信した他のユーザが存在する際に、通知処理を行う条件を満たすと判定する。たとえば、上述した図1Bに示すように、ユーザU1が設定した帰着ステーション(ステーションST2)に、利用可能な共用車両Vnが存在していない場合に、このステーションST2を貸出ステーションとする利用要求を送信するユーザ(ユーザU2〜U4)が存在する際には、通知処理を行う条件を満たすと判定する。そして、ステップS11において、通知処理を行う条件を満たすと判定された場合には、ステップS12へ進む。一方、ステップS11において、通知処理を行う条件を満たさないと判定された場合には、本処理を終了する。
ステップS12では、制御装置10は、上述した通知処理を行い、本処理を終了する。なお、通知処理の詳細については後述する。
一方、上述したステップS3において、ユーザが設定した貸出ステーションが現在利用可能ではないと判定された場合には、ステップS13へ進み、ステップS13では、制御装置10は、貸出ステーションが現在利用できない旨の情報を、通信装置20を介して、当該ユーザのユーザ端末装置400Xに送信する。次いで、ステップS14では、制御装置10は、ユーザから、ユーザ端末装置400Xを介して、貸出ステーションが現在利用可能となるまで待機する旨の返信があったか否かを判定する。そして、ステップS14において、貸出ステーションが現在利用可能となるまで待機する旨の返信があったと判定された場合には、ステップS3で当該貸出ステーションが利用可能となるまで待機する。一方、ステップS14において、貸出ステーションが現在利用可能となるまで待機する旨の返信がないと判定された場合には、ステップS1に戻り、再びユーザから利用要求が送信されるまで待機する。
次いで、上述したステップS12の通知処理について説明する。図7Aは通知処理の一例を示すフローチャートである。以下、図7Aを参照して通知処理を説明する。
まず、図7Aに示すステップS101では、制御装置10は、上述した図6のステップS6〜S10の処理で共用車両Vnが返却された帰着ステーションを、貸出ステーションと設定しているユーザが存在するか否かを判定する。たとえば、制御装置10は、各ユーザから送信された利用要求に基づき、図1Bに示すように、共用車両V2が返却されたステーション(ステーションST2)を貸出ステーションとして設定したユーザ(ユーザU2〜U4)が存在するか否かを判定する。そして、ステップS101において、上記帰着ステーションを貸出ステーションに設定しているユーザが存在すると判定された場合には、ステップS102へ進む。一方、ステップS101において、上記帰着ステーションを貸出ステーションに設定しているユーザが存在しないと判定された場合には、通知処理を終了する。
ステップS102では、制御装置10は、共用車両Vnが返却された帰着ステーションを貸出ステーションとしたユーザの現在位置と、当該帰着ステーション(貸出ステーション)との距離をそれぞれ算出する。なお、このようなユーザが複数存在する場合には、ユーザごとに上記距離を算出する。
ステップS103では、制御装置10は、ステップS102で算出した距離に基づき、各ユーザに対して、図5Bに示すような第1優先度を設定する。
ステップS104では、制御装置10は、ステップS103で算出した第1優先度に基づき、図5BのユーザA,Bのように、第1優先度が同等であるユーザが存在するか否かを判定する。そして、ステップS104において、第1優先度が同等であるユーザが存在すると判定された場合には、ステップS105へ進む。一方、ステップS104において、第1優先度が同等であるユーザが存在しないと判定された場合には、ステップS111へ進む。
ステップS105では、制御装置10は、データベース30に記憶された利用履歴情報35を参照し、各ユーザの過去の共用車両Vnの利用回数の情報を抽出する。
ステップS106では、制御装置10は、データベース30に記憶された利用履歴情報35を参照し、各ユーザの過去の共用車両Vnの平均利用時間の情報を抽出する。
ステップS107では、制御装置10は、データベース30に記憶された利用履歴情報35を参照し、各ユーザにおける、共用車両Vnを利用することが可能となった日から現在に至るまでの日数の情報を抽出する。
ステップS108では、制御装置10は、ステップS105〜S107で抽出した利用回数、平均利用時間及び利用日数の情報に基づき、図5Bに示すような第2優先度を設定する。
ステップS109では、制御装置10は、ステップS103で算出した第1優先度及びステップS108で算出した第2優先度に基づき、図5Bに示すユーザA〜Cのように優先度の順位付けを行う。
ステップS110では、制御装置10は、ステップS109で設定した順位に応じて、順位が高いユーザから順に、通信装置20により、ユーザ端末装置400Xを介して、ユーザが設定した貸出ステーションの共用車両Vnが返却され、利用可能な状態になった旨の通知を行う。
一方、ステップS104において、第1優先度が同等であるユーザが存在しないと判定された場合には、ステップS111へ進み、ステップS111では、第1優先度のみに基づいてユーザの順位付けを行う。続くステップS110では、ステップS111で設定した順位に応じて、順位が高いユーザから順に上記通知を行う。
以上のとおり、図7Aに示す通知処理が行われる。
なお、本実施形態では、上述した通知処理は、図7Bに示す方法で行ってもよい。図7Bは、通知処理の他の例を示すフローチャートである。以下、図7Bを参照して通知処理の他の例を説明する。なお、図7Bに示す動作手順は、図7Aに示す動作手順と比較して、ステップS101〜S109,S111の手順は同じである。このため、図7Bには図7Aと同じステップ符号を付して、その説明に関する記載を本例に援用する。
まず、図7Bに示すステップS101〜S109,S111では、制御装置10は、共用車両Vnが返却された帰着ステーションを貸出ステーションとして設定しているユーザに対し、通知処理による通知を行う順位付けを行う。
続くステップS201では、制御装置10は、設定した順位が1位のユーザに対し、通信装置20により、ユーザ端末装置400Xを介して、当該ユーザが設定した貸出ステーションに共用車両Vnが返却され、共用車両Vnが貸出可能な状態になった旨の通知を行う。
ステップS202では、制御装置10は、設定した順位が2位以下のユーザに対し、当該ユーザが設定した貸出ステーションとは別のステーションであって、貸出可能な共用車両Vnが存在するステーションの情報を、通信装置20により、ユーザ端末装置400Xを介して通知する。この際においては、各ユーザに対して同時に通知を行ってもよいし、順位が高いユーザから順に通知を行うようにしてもよい。
本発明に係る共用車両管理システムの実施形態は、以上のように構成され動作するので、以下の効果を奏する。
[1]本実施形態では、ユーザにより設定された貸出ステーションに現在利用可能な共用車両Vnが存在しない場合でも、当該貸出ステーションと一致する帰着ステーションに共用車両Vnが返却された際には、当該貸出ステーションを設定したユーザに、共用車両Vnが返却された旨を通知するため、共用車両Vnの利用を希望するユーザは、当初から希望していたステーションにて共用車両Vnを借りることができるようになる。これにより、ユーザが、共用車両Vnを利用するために、当初希望していたステーションよりも遠い代替のステーションに行く必要がなくなり、ユーザが貸出ステーションまで移動して共用車両Vnを利用開始するまでの時間(すなわち、共用車両Vnがユーザに利用されるまでの待機時間)がより短くなり、その結果、カーシェアリングシステムにおける共用車両Vnの稼働率の向上を図ることができる。さらに、本実施形態によれば、上記通知を行う対象となるユーザが複数存在する場合において、各ユーザに対して優先度を設定し、設定した優先度に応じた順序で上記通知を行うため、カーシェアリングシステムの利便性の向上や、カーシェアリングシステムにおける共用車両Vnの稼働率の向上を図るという目的に適したユーザに、優先的に上記通知を行うことができる。
[2]本実施形態では、上記通知を行う際に、ユーザの現在位置と、ユーザが設定した貸出ステーションとの距離が短いほど、そのユーザに高い優先度を設定し、優先度が高いユーザから順に上記通知を行うようにする。そのため、貸出ステーションにより近いユーザが優先的に共用車両Vnを利用することとなり、ユーザが貸出ステーションまで移動して共用車両Vnを利用開始するまでの時間をより短くすることができるため、カーシェアリングシステムにおける共用車両Vnの稼働率の向上を図ることができる。
[3]本実施形態では、上記通知を行う際に、ユーザに対して、共用車両Vnの利用履歴に応じた優先度を設定し、設定した優先度が高いユーザから順に上記通知を行うようにするため、カーシェアリングシステムにおける優良なユーザほど、優先的に上記通知が行われるようになり、当該優良なユーザにとってカーシェアリングシステムの利便性が向上し、当該優良なユーザに共用車両Vnの利用を促すこととなり、カーシェアリングシステムにおける共用車両Vnの稼働率の向上を図ることができる。
[4]本実施形態では、帰着ステーションに返却された共用車両Vnについて、駆動エネルギーの残量が所定閾値を超えている場合にのみ、上記通知を行うため、駆動エネルギーの残量が少なく、航続可能距離が短い共用車両Vnの貸出しが防止され、ユーザが共用車両Vnを利用中に駆動エネルギーが不足するということがなくなり、カーシェアリングシステムの利便性が向上する。
[5]本実施形態の共用車両管理方法を実行すると、上述の作用及び効果を奏する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
なお、上述した実施形態において、共用車両管理装置100の制御装置10は本発明の位置取得手段、利用受付手段、通知手段、優先度設定手段及び判定手段に、共用車両管理装置100のデータベース30は本発明の第1記憶手段及び第2記憶手段に、それぞれ相当する。