(本開示の一態様に至る経緯)
近年、太陽電池の普及に伴い、家庭内や小規模の発電所に設置された太陽電池と、系統電源とを連系させるパワーコンディショナーの開発が活発に行われている。パワーコンディショナーは太陽電池で発電された直流電力を交流電力に変換して系統電源に供給するが、系統電源に供給される交流電力は、例えば、リップル率(高調波含有率)はある値内に収める、交流電圧の実効値をある値にするといった所定の条件が課せられている。そのため、パワーコンディショナーは所定の条件を満たすように電力変換を行う必要がある。
そこで、本発明者は、太陽電池からなる直流電源に複数のインバータを並列接続させた、多相のインバータ(以下、マルチフェーズインバータと呼ぶ)に着目した。そして、マルチフェーズインバータにおいて、各インバータに対応するキャリア信号の位相を所定の間隔でずらすことで、リップルを低減できることを発見した。
しかしながら、マルチフェーズインバータでは、電力負荷が高い領域では、高い電力変換効率が得られるが、電力負荷が低い領域では、通常のインバータに比べて電力変換効率が低下することを発見した。
なお、上記の非特許文献1では、マルチフェーズインバータについての開示はあるが、マルチフェーズインバータの電力変換効率が電力負荷の低い領域で低下することが全く考慮されていない。
本開示の一態様は、従来よりも広範囲の電力負荷の領域において高い電力変換効率が得られる電力変換装置を提供することを目的とする。
以下、本開示の一態様の電力変換装置について具体的に説明する。
(1)本開示の一態様による電力変換装置は、電源部に並列接続され、前記電源部から供給される直流電力をスイッチング素子を用いて交流電力に変換するN(Nは2以上の整数)個のインバータと、
前記N個のインバータから出力されたN個の交流電力のそれぞれを平滑化するリアクトルと、
前記リアクトルにより平滑されたN個の交流電力を重畳し、負荷に出力する出力部と、
前記N個のインバータに対応し、360度/Nずつ位相がシフトしたN個のキャリア信号を生成するキャリア生成部と、
前記N個のインバータに対応し、所定の交流電流を出力するためのN個の変調波信号を生成する変調波生成部と、
前記N個のキャリア信号と、前記N個のキャリア信号に対応するN個の変調波信号とを比較して、前記N個のインバータに対応するN個のPWM信号を生成し、前記N個のインバータに出力するパルス生成部と、
前記リアクトルにより平滑化されたN個の電流の少なくとも1つ又は前記出力部から出力された電流を検知する電流検知部と、
前記電流検知部で検知された電流が所定の設定値以下の場合、前記N個のインバータのうち第1〜第j(jは1以上、N−1以下の整数)インバータを駆動させ、第j+1〜第Nインバータの駆動を停止させる停止指示を出力する切替制御部とを備え、
前記キャリア生成部は、前記停止指示が出力された場合、360度/jずつ位相がシフトした第1〜第jインバータに対応するj個のキャリア信号を生成し、
前記パルス生成部は、前記停止指示が出力された場合、前記第1〜第jインバータに対応するj個のキャリア信号と、前記第1〜第jインバータに対応するj個の変調波信号とを比較して、前記第1〜第jインバータに対応するj個のPWM信号を生成し、前記第1〜第jインバータに出力する。
この構成によれば、N個のインバータに対応するキャリア信号はそれぞれ、位相が360度/Nずつシフトされている。そのため、N個のインバータから出力された交流電流をリアクトルで平滑化した場合に発生するリップルは、各交流電流間で反転して表れる傾向が高くなる。その結果、N個のインバータから出力された交流電流を重畳することでリップルが相殺された交流電流を生成できる。
また、複数のインバータを備える電力変換装置において、N個のインバータを駆動させた場合の電力変換効率とj個のインバータを駆動させた場合の電力変換効率とを比較すると、出力電力が低い領域では後者の方が前者よりも電力変換効率が高いが、出力電力を上げていくと、この関係が逆転し、前者の方が後者よりも電力変換効率が高くなる。
本態様では、電流検知部で検知された電流が所定の設定値より大きければ、N個のインバータが駆動され、電流が所定の設定値以下であれば、j個のインバータのみが駆動されている。そのため、電力変換効率が逆転する出力電力に対応する電流値を設定値として予め設定しておくことで、従来よりも広範囲の出力電力の領域において電力変換効率を向上させることができる。
(2)また、上記態様において、前記N個のインバータが駆動されている場合において、前記リアクトルで平滑化されたN個それぞれの電流をL、前記出力部から出力される電流をN・Lとすると、
前記変調波生成部は、前記停止指示が出力された場合、前記第j+1〜第Nインバータから出力されるN−j個の電流が、前記Lから0に漸次減少するように前記第j+1〜第Nインバータに対応する変調波信号を補正し、且つ、前記第1〜第jインバータから出力される前記j個の電流が、前記LからN・L/jに漸次増大するように第1〜第jインバータに対応する変調波信号を補正してもよい。
この場合、N個のインバータからj個のインバータへの駆動の切り替え時に、駆動が停止されるインバータは、出力する電流がLから0に漸次に減少するように変調波信号が補正される。また、駆動が継続されるインバータは、出力する電流がLからN・L/jに漸次に増大するように変調波信号が補正される。そのため、インバータの切り替え時において、負荷に対して出力される交流電流に生じる歪みを抑制できる。
(3)また、上記態様において、前記N個のインバータが駆動されている場合において、前記リアクトルで平滑化されたN個それぞれの電流をL、前記出力部から出力される電流をN・Lとすると、
前記変調波生成部は、前記停止指示が出力された場合、前記出力部から出力される交流電圧のゼロクロスポイントを含む一定期間内において、前記第j+1〜第Nインバータから出力されるN−j個の電流が、前記Lから0に漸次又は瞬時に減少するように前記第j+1〜第Nインバータに対応する変調波信号を補正し、且つ、前記第1〜第jインバータから出力されるj個の電流が、前記LからN・L/jに漸次又は瞬時に増大するように第1〜第jインバータに対応する変調波信号を補正してもよい。
この場合、N個のインバータからj個のインバータへの駆動の切り替えがゼロクロスポイントを含む一定期間内に行われている。そして、駆動が停止されるインバータに対して、出力する電流がLから0に漸次又は瞬時に減少するように変調波信号が補正されている。更に、駆動が継続されるインバータに対して、出力する電流がLからN・L/jに漸次又は瞬時に増大するように変調波信号が補正されている。そのため、インバータの切り替え時において、負荷に対して出力される交流電流に生じる歪みを抑制できる。
(4)また、上記態様において、
前記電流検知部は、前記リアクトルにより平滑化されたN個の電流のうちいずれか1の電流を検知してもよい。
この場合、交流検知部の個数を1つにして部品点数を削減し、低コスト化を図ることができる。
(5)また、上記態様において、
前記電源部から出力される直流電圧を検知する電圧検知部と、
前記電圧検知部が検知した検知電圧が増大するにつれて、前記設定値を増大させる設定部とを更に備えてもよい。
インバータは入力電圧が増大するにつれてスイッチング損失が増大する。スイッチング損失が増大すると、N個のインバータを駆動した場合の電力変換効率がj個のインバータを駆動した場合の電力変換効率よりも高くなる切替ポイントが高負荷側にシフトする。本態様では、電源部から出力される直流電圧が高い場合、設定値が増大されている。そのため、最適な切替ポイントでN個のインバータとj個のインバータとの駆動を切り替えることができる。
なお、前記電源部は、太陽電池でも良いし、DC/DCコンバータであってもよい。
(6)本開示の別の一態様における電力変換装置は、
電源部に並列接続され、前記電源部から供給される直流電力をスイッチング素子を用いて交流電力に変換するN(Nは2以上の整数)個のインバータと、
前記N個のインバータから出力されたN個の交流電力のそれぞれを平滑化するリアクトルと、
前記リアクトルにより平滑されたN個の交流電力を重畳し、負荷に出力する出力部と、
前記N個のインバータに対応し、360度/Nずつ位相がシフトしたN個のキャリア信号を生成するキャリア生成部と、
前記N個のインバータに対応し、所定の交流電流を出力するためのN個の変調波信号を生成する変調波生成部と、
前記N個のキャリア信号と、前記N個のキャリア信号に対応するN個の変調波信号とを比較して、前記N個のインバータに対応するN個のPWM信号を生成し、前記N個のインバータに出力するパルス生成部と、
前記電源部と、前記N個のインバータとの間に接続されるDC/DCコンバータと、
前記DC/DCコンバータを制御するためのPWM信号のデューティー比が、所定のデューティー比以上の場合、前記N個のインバータのうち第1〜第j(jは1以上、N−1以下の整数)インバータを駆動させ、第j+1〜第Nインバータの駆動を停止させる停止指示を出力する切替制御部とを備え、
前記キャリア生成部は、前記停止指示が出力された場合、360度/jずつ位相がシフトした第1〜第jインバータに対応するj個のキャリア信号を生成し、
前記パルス生成部は、前記停止指示が出力された場合、前記第1〜第jインバータに対応するj個のキャリア信号と、前記第1〜第jインバータに対応するj個の変調波信号とを比較して、前記第1〜第jインバータに対応するj個のPWM信号を生成し、前記第1〜第jインバータに出力する。
電源部の直流電圧が下がると、インバータの入力電圧を一定電圧に維持するために、DC/DCコンバータのデューティー比が上がる。電源部は、例えば太陽電池であり、一般的に日射量が低下すると、直流電圧が下がり、電力供給能力が低下する。DC/DCコンバータのデューティー比が上がると、インバータの出力電力を下げることになり、インバータから出力される交流電流が小さくなる。
本態様では、DC/DCコンバータのデューティー比が、所定のデューティー比より小さければ、N個のインバータが駆動され、DC/DCコンバータのデューティー比が、所定のデューティー比以上であれば、j個のインバータのみが駆動されている。そのため、電力変換効率が逆転する出力電力に対応する、DC/DCコンバータのデューティー比を所定のデューティー比として予め設定しておくことで、従来よりも広範囲の出力電力の領域において電力変換効率を向上させることができる。
(7)また、上記態様において、前記電流検知部で検知された電流が交流電流の実効値であってもよい。
(8)また、上記態様において、前記電流検知部で検知された電流が瞬時値であり、
前記切替制御部は、前記出力部から出力される交流電流の1周期のうち、少なくとも1回、駆動させるインバータの切替動作を行ってもよい。
この態様では、瞬時値を用いてよりきめ細かく切替ポイントを設定し、電力変換効率を向上させることができる。
(9)また、上記態様において、
前記N個のインバータは単相インバータ又は3相インバータであってもよい。
この場合、インバータとして単相インバータ又は3相インバータを用いた場合であっても上述の態様と同じ効果が得られる。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1における電力変換装置が適用された系統連系インバータ装置の回路図である。
図1に示すように、系統連系インバータ装置は、インバータ1,2、直流電源3、平滑コンデンサ4、電流センサ5,6、リアクトル7,8、フィルタコンデンサ9、系統電源10、制御部11、及び電圧センサ12を備える。リアクトル7は2つのリアクトル71,72を含み、リアクトル8は2つのリアクトル81,82を含む。図1において、インバータ1,2、平滑コンデンサ4、電流センサ5,6、リアクトル7,8、フィルタコンデンサ9、及び電圧センサ12は、電力変換装置を構成する。
インバータ1,2は、直流電源3に並列接続され、フルブリッジの単相インバータで構成されている。具体的には、インバータ1,2は、4つのスイッチSW1〜SW4を備える。インバータ1,2はマルチフェーズインバータを構成する。
インバータ1、2は同一構成であるため、以下、インバータ1のみ説明する。スイッチSW1〜SW4は、n型のMOSFETで構成されている。スイッチSW1、SW2は、ドレインが直流電源3の正極に接続されている。スイッチSW3、SW4は、ソースが直流電源3の負極に接続されている。
スイッチSW1はソースが、SW3のドレインに接続されている。スイッチSW2はソースが、スイッチSW4のドレインに接続されている。スイッチSW1とスイッチSW3との接続点K1はリアクトル71を介して系統電源10の端子T1に接続され、スイッチSW2とスイッチSW4との接続点K2はリアクトル72を介して系統電源10の端子T2に接続されている。なお、インバータ2においては、接続点K1はリアクトル81を介して系統電源10の端子T1に接続され、接続点K2はリアクトル82を介して系統電源10の端子T2に接続されている。
インバータ1は、制御部11から出力されるPWM信号に従い、スイッチSW1〜SW4のオン/オフを切り替え、直流電源3から供給される直流電圧を、所望の交流電圧に変換する。ここで、所望の交流電圧としては、系統電源10が採用する交流電圧が採用される。系統電源10が採用する交流電圧としては、例えば、周波数が50Hz又は60Hzの正弦波が採用される。したがって、インバータ1には、系統電源10に連系するために必要な変調波信号をキャリア信号と比較することで生成されたPWM信号が入力される。
なお、図1では、スイッチとして、n型のMOSFETが採用されたが、p型のMOSFETが採用されてもよいし、IGBTが採用されてもよい。
平滑コンデンサ4は、直流電源3と並列接続されている。平滑コンデンサ4は、直流電圧の変動を抑制し、インバータ1,2の入力電圧を安定化させる。本実施形態では、平滑コンデンサ4として、小型化及び低コスト化に適した電解コンデンサが採用される。
リアクトル71,72は、インバータ1から出力されるパルス状の交流電力を平滑化し、変調波信号に応じた波形を持つ正弦波状の交流電力を生成する。
リアクトル81,82は、インバータ2から出力されるパルス状の交流電力を平滑化し、変調波信号に応じた波形を持つ正弦波状の交流電力を生成する。
電流センサ5は、リアクトル71の系統電源10側の一端と接続点K3との間に設けられ、リアクトル7で平滑化されたインバータ1の交流電流Iout1を計測し、制御部11に出力する。電流センサ6は、リアクトル81の系統電源10側の一端と接続点K4との間に設けられ、リアクトル8で平滑化されたインバータ2の交流電流Iout2を計測し、制御部11に出力する。
接続点K3,K4は、リアクトル71,72で平滑化された交流電力と、リアクトル81,82で平滑化された交流電力とを重畳する。接続点K3,K4は出力部の一例である。フィルタコンデンサ9は、系統電源10の端子T1及び端子T2間に接続され、接続点K3,K4で重畳された交流電力から高周波成分を除去し、系統電源10及び負荷Zに出力する。
電圧センサ12は、フィルタコンデンサ9と並列接続され、フィルタコンデンサ9から出力された交流電圧Voutを測定し、制御部11に出力する。
負荷Zは、系統電源10の正極及び負極間に接続されている。
制御部11は、例えばマイクロコントローラで構成され、インバータ1,2を制御する。具体的には、制御部11は、パルス生成部110、キャリア生成部120、及び変調波生成部130を備える。パルス生成部110は、インバータ1に対応するパルス生成部111及びインバータ2に対応するパルス生成部112を備える。キャリア生成部120は、インバータ1に対応するキャリア生成部121及びインバータ2に対応するキャリア生成部122を備える。変調波生成部130は、インバータ1に対応する変調波生成部131及びインバータ2に対応する変調波生成部132を備える。
変調波生成部131は、系統の交流電源10に連系し、所望の交流電流を得るための変調波信号であって、インバータ1に対応する変調波信号を、交流電流Iout1及び交流電圧Voutを用いて生成し、パルス生成部111に出力する。本実施の形態では、系統電源10と負荷Z(発電量と負荷Zとの大きさによって、負荷Zのみへの電力供給の場合もあるし、負荷Zへの電力供給と系統へ逆潮流する場合もある)とに出力する交流電流Ioutの実効値を制御することで、系統電源10と負荷Zとに目標実効値の交流電流を出力する。本実施の形態ではインバータの個数は2個である。したがって、変調波生成部131は、系統電源10に連系し、交流電流Ioutの1/2の実効値を持つ交流電流が、リアクトル7から出力されるように変調波信号を生成する。
変調波生成部132は、変調波生成部131と同様、交流電流Iout2及び交流電圧Voutを用いて、インバータ2に対応する変調波信号を生成し、パルス生成部112に出力する。
キャリア生成部121は、インバータ1に対応するキャリア信号を生成し、パルス生成部111に出力する。キャリア信号としては、系統電源10が採用する交流電力の周波数に対して数100〜数1000倍の周波数を持つ三角波が採用できる。
キャリア生成部122は、キャリア生成部121が生成したキャリア信号に対して振幅が同一で位相が180度シフトしたキャリア信号を生成し、パルス生成部112に出力する。
パルス生成部111は、例えば、コンパレータで構成され、変調波生成部131が生成した変調波信号とキャリア生成部121が生成したキャリア信号とを比較してインバータ1に対応するPWM信号を生成し、インバータ1に出力する。具体的には、パルス生成部111は、スイッチSW1,SW4とスイッチSW2,SW3とを相補的にオン/オフさせる、スイッチSW1〜SW4に対応する4つのPWM信号を生成し、スイッチSW1〜SW4のゲートに出力する。
パルス生成部112は、例えば、コンパレータで構成され、パルス生成部111と同様、変調波生成部132が生成した変調波信号とキャリア生成部122が生成したキャリア信号とを比較してインバータ2に対応するPWM信号を生成し、インバータ2に出力する。ここで、キャリア生成部122が生成するキャリア信号はキャリア生成部121が生成するキャリア信号に対して位相が180度シフトしている。よって、後述するように、交流電流Iout1と交流電流Iout2とを重畳することで、両交流電流に含まれるリップルが相殺される。
図2は、比較例における電力変換装置が適用された系統連系インバータ装置の回路図である。図2において、図1と同じ構成には同じ符号が付されている。図2において、図1との主な相違点はインバータ1xにある。図1と等しい交流電力を得るために、インバータ1xは、スイッチSW1〜SW4がそれぞれ2つ並列接続されている。そのため、系統電源10には、図1と同じ実効値の交流電流Iout及び交流電圧Voutが出力される。図2では、図1のように直流電源3に対して2つのインバータが並列接続されていないので、図1で存在したリアクトル81,82及び接続点K3,K4が省かれている。
具体的には、スイッチSW1,SW1はドレイン同士及びソース同士が接続されている。他のスイッチSW2〜SW4もスイッチSW1と同様、ドレイン同士及びソース同士が接続されている。スイッチSW1,SW1及びスイッチSW2,SW2のドレインは直流電源3の正極に接続され、スイッチSW3,SW3及びスイッチSW4,SW4のソースは直流電源3の負極に接続されている。スイッチSW1,SW1のソースはスイッチSW3,SW3のドレインに接続されている。スイッチSW2,SW2のソースはスイッチSW4,SW4のドレインに接続されている。スイッチSW1,SW1とスイッチSW3,SW3との接続点K1はリアクトル71を介して系統電源10の端子T1に接続され、スイッチSW2,SW2と、スイッチSW4,SW4との接続点K2はリアクトル72を介して系統電源10の端子T2に接続されている。
スイッチSW1,SW1、スイッチSW2,SW2、スイッチSW3,SW3、及びスイッチSW4,SW4はそれぞれ同時にオン/オフされる。具体的には、スイッチSW1,SW1〜SW4,SW4のそれぞれのゲートには、図略の制御部から出力されるPWM信号が入力される。そして、スイッチSW1,SW1及びスイッチSW4,SW4がオンしているとき、スイッチSW2,SW2及びスイッチSW3,SW3はオフし、スイッチSW1,SW1及びスイッチSW4,SW4がオフしているとき、スイッチSW2,SW2及びスイッチSW3,SW3がオンする。
図3のセクション(b)は、図2の電力変換装置においてリアクトル7に流れる交流電流Ioutの波形と、系統電源10に出力される交流電圧Voutの波形とを示したグラフである。図3のセクション(b)において、縦軸は電圧及び電流を示し、横軸は時間を示す。なお、図3のセクション(b)では、交流電圧Voutが0となるゼロクロス付近が拡大して示されている。
ここでは、周波数が20kHzのキャリア信号を用いてPWM信号を生成し、スイッチSW1,SW1〜SW4,SW4をオン/オフした。スイッチSW1,SW1〜SW4,SW4をオン/オフすることで、インバータ1xから出力されるパルス状の交流電力はリアクトル7で平滑化される。これにより、変調波信号に応じた波形を持つ交流電流Ioutが生成されるが、この交流電流Ioutにはキャリア信号の周波数程度のオーダーで変動するリップルが含まれている。このリップルは、フィルタコンデンサ9によりある程度抑制されるが、フィルタコンデンサ9によるリップルの除去量には限界がある。その結果、交流電圧Voutにも交流電流Ioutほど大きくはないが、リップルが含まれている。
図3のセクション(a)は、図1の電力変換装置においてリアクトル7,8に流れる交流電流Iout1,Iout2の波形と、系統電源10に出力される交流電圧Voutの波形とを示したグラフである。図3のセクション(a)において、縦軸及び横軸は図3のセクション(b)と同じであり、ゼロクロス付近が拡大して示されている。
図1の電力変換装置では、キャリア生成部122で生成されるキャリア信号はキャリア生成部121で生成されるキャリア信号に対して位相が180度シフトしている。そのため、PWM信号のデューティ比が50%となる交流電流Iout1,Iout2が0の付近では、インバータ1とインバータ2とにおいて対応するスイッチは交互にON/OFFする。対応するスイッチとは、インバータ1のスイッチSW1とインバータ2のスイッチSW1というように、インバータ1とインバータ2とにおいて同じ符号が付されたスイッチを指す。
したがって、交流電流Iout1と交流電流Iout2とはリップルが反転する。その結果、接続点K3,K4で両交流電流が重畳されることでリップルが相殺され、リップルが抑制された交流電流Ioutが系統電源10に出力される。また、これに伴い、図1の電力変換装置では、図2の電力変換装置に比べて交流電圧Voutのリップルも大幅に抑制されている。なお、リップル低減効果はデューティ比が50%に近い区間ほど、すなわち、ゼロクロスに近い区間ほど高くなるが、デューティ比が50%以外の区間においても、リップル低減効果はある。
太陽光発電用のパワーコンディショナは、系統電源10と連系するためのガイドラインに従った装置の製造が義務付けられている。このガイドラインには系統電源10に出力する交流電流のリップル率(高調波含有率)を所定の値以下にしなければならないといった規定が含まれる。
本実施の形態によれば、インバータ1のキャリア信号とインバータ2のキャリア信号との位相が180度シフトされているため、図2の電力変換装置に比べてリップルが大幅に低減された交流電流Ioutを系統電源10に出力することができる。その結果、系統電源10に出力する交流電流Ioutの波形の品質を向上させることができる。
また、インバータ1,2において対応するスイッチ同士が交互にオン/オフするため、平滑コンデンサ4に流れる電流に含まれるリップルも相殺され、平滑コンデンサ4に流れる電流のリップルも低減できる。平滑コンデンサ4は、電解コンデンサで構成されているが、電解コンデンサは、リップルに起因して自己発熱する。この自己発熱は、電解コンデンサの寿命に影響を与える。そのため、リップルを低減することにより、電解コンデンサの寿命を考慮して多数設けられた電解コンデンサの個数を削減でき、低コスト化を図ることができる。或いは、リップルを低減することにより、個数はそのままで、電解コンデンサの長寿命化を図ることにより商品の付加価値を向上することができる。
次に、実施の形態1の電力変換装置の動作を簡単に説明する。まず、直流電源3から供給された直流電力は、平滑コンデンサ4で平滑化され、インバータ1,2に供給される。直流電源3が供給する直流電圧をEとすると、インバータ1は、スイッチSW1,SW4がオン、且つスイッチSW2,SW3がオフのとき、Eの電圧をリアクトル7に出力する。一方、インバータ1はスイッチSW2,SW3がオン、且つスイッチSW1,SW4がオフのとき、−Eの電圧をリアクトル7に出力する。これにより、リアクトル7には、+Eと−Eとで電圧が変化するパルス状の交流電圧が流れる。このパルス状の交流電圧は、リアクトル7によって平滑化される。これにより、変調波信号に応じた波形を持つ低周波成分に、+Eの区間で一定の傾きで増大し、−Eの区間で一定の傾きで減少する高周波のリップル成分が重畳された交流電流Iout1がリアクトル7から出力される。
一方、インバータ2も、インバータ1と同様、+Eと−Eとで電圧が変化するパルス状の交流電圧を出力する。よって、変調波信号に応じた波形を持つ低周波成分に、+Eの区間で一定の傾きで増大し、−Eの区間で一定の傾きで減少する高周波のリップル成分が重畳された交流電流Iout2がリアクトル8から出力される。ここで、インバータ2に対応するキャリア信号は、インバータ1に対応するキャリア信号に対して位相が180度シフトしている。したがって、図3のセクション(a)に示すように、交流電流Iout1におけるリップル成分と交流電流Iout2におけるリップル成分とは、デューティー比が50%に近づくにつれて、位相のずれが180度に近づく。
よって、交流電流Iout1と交流電流Iout2とを重畳することで、リップルが相殺され、リップルが抑制された交流電流Ioutが系統電源10に出力される。
図4は、実施の形態1の電力変換装置と比較例(図2の電力変換装置)との電力変換効率を比較した実験結果を示すグラフである。図4において、縦軸は電力変換効率(%)を示し、横軸は規格化された出力電力を示す。規格化した出力電力とは、実際の出力電力(W)を基準電力で割った値である。電力変換効率は、電力変換装置の出力電力を入力電力で割った値である。また、実線で示す曲線401は実施の形態1の電力変換装置の実験結果を示し、一点鎖線で示す曲線402は図2の比較例の実験結果を示している。
図4の実験では、実施の形態1の電力変換装置及び比較例の電力変換装置において、スイッチは同じ品種を使用した。また、実施の形態1の電力変換装置においては、同じ品種のリアクトルを4つ使用し、比較例の電力変換装置においては、実施の形態1のリアクトルと同じ品種のリアクトルを2つ使用した。
また、図4の実験において、キャリア信号の周波数は16kHzとし、直流電源は330Vとし、変調率は88%(交流出力200V相当)とした。また、系統電源10には連系せず、負荷Zとして抵抗を接続した。
曲線401、402とも、出力電力が2.0になるまで、電力変換効率は急激に上昇し、出力電力が2.0を超えると、電力変換効率の上昇は緩やかになった。また、出力電力が3.5以下の低負荷領域では、曲線402が曲線401よりも電力変換効率が高かったが、出力電力が3.5を超える高負荷領域では、この関係は逆転し、曲線401の方が曲線402よりも電力変換効率が高かった。つまり、高負荷領域では、実施の形態1の構成の方が比較例の構成よりも電力変換効率が高かった。
そして、出力電力が5.5において、電力変換効率が0.2%向上した。これは、実施の形態1の構成と比較例の構成とで出力する交流電流Ioutが同じであるとすると、図1の構成では、インバータ1個あたりの交流電流が、図2の構成に対して1/2で済み、リアクトルの銅損が1/2となったからである。銅損が1/2になる理由の詳細は後述する。また、平滑コンデンサ4に流れる電流のリップルが低減したことによる、平滑コンデンサ4での損失の低減が、電力変換効率の向上に寄与したと考えられる。
このように、本実施の形態によれば、インバータ1のキャリア信号とインバータ2のキャリア信号との位相が180度シフトされているため、リップルが低減された波形品質の高い交流電流Ioutが得られる。また、平滑コンデンサ4に流れる電流のリップルも低減され、高負荷領域においては、高い電力変換効率を実現できる。
(実施の形態2)
図5は、実施の形態2における電力変換装置が適用された系統連系インバータ装置の回路図である。実施の形態2は、電力負荷に応じてインバータ1,2の両方を駆動させるか、いずれか一方のインバータの駆動を停止させるかを判定することを特徴とする。
図5において、図1との相違点は、制御部11の構成にある。すなわち、制御部11は、図1の構成に加えて、設定部140、比較器150(切替制御部の一例)、及び切替指令生成部160(切替制御部の一例)を備える。設定部140は、切替指令生成部160がインバータ1、2のうち、一方のインバータの駆動を停止するか否かを判定する際に用いる設定値を設定する。ここでは、インバータ2の駆動を停止させるものとする。
比較器150は、交流電流Iout1の実効値と、設定部140が設定した設定値とを比較する。具体的には、比較器150は、交流電流Iout1をA/D変換した後、実効値を算出し、その実効値と設定値とを比較し、比較結果を切替指令生成部160に出力する。
切替指令生成部160は、比較結果が、交流電流Iout1の実効値が設定値以下であることを示す場合、インバータ2の駆動を停止させ、インバータ1のみを駆動させることを示す停止指示を変調波生成部131,132に出力する。この場合、切替指令生成部160は、パルス生成部112にゲートブロック信号も出力する。
一方、切替指令生成部160は、比較結果が交流電流Iout1の実効値が設定値より大きいことを示す場合、停止指示及びゲートブロック信号を出力せず、インバータ1,2を駆動させる。
変調波生成部131は、切替指令生成部160から停止指示を受け付けた場合、交流電流Iout1の実効値が交流電流Ioutの実効値になるように変調波信号を生成し、パルス生成部111に出力する。ここで、インバータ1,2が駆動している場合の交流電流Iout1の実効値は交流電流Ioutの実効値の1/2であるため、変調波生成部131は、交流電流Iout1の実効値を2倍にする変調波信号を生成する。これにより、パルス生成部111から交流電流Iout1の実効値を2倍にするPWM信号が出力される。
変調波生成部132は、切替指令生成部160から停止指示を受け付けた場合、交流電流Iout2を0にする変調波信号を生成し、パルス生成部112に出力する。
パルス生成部112は、ゲートブロック信号を受け付けた場合、インバータ2のスイッチSW1〜SW4を全てオフにする。ここで、パルス生成部112は、Iout2を0にする変調波信号を受け付けた場合、デューティー比が50%のPWM信号をインバータ2に出力するため、インバータ2はオン/オフを継続する。そこで、切替指令生成部160は、パルス生成部112にゲートブロック信号を出力することで、パルス生成部112からインバータ2の全てのスイッチSW1〜SW4をオフさせる信号を出力させ、インバータ2の駆動を完全に停止させている。これにより、インバータ2において不要な電力消費が抑制される。
以上により、交流電流Iout1の実効値が設定値より大きい場合、インバータ1,2により、負荷Zに交流電力が供給されるが、交流電流Iout1の実効値が設定値以下の場合、インバータ2から負荷Zへの電力供給が停止され、インバータ1のみから負荷Zへ電力が供給される。
一方、切替指令生成部160は、インバータ1のみを駆動させている場合において、比較器150による比較結果が、交流電流Iout1の実効値の1/2が設定値より大きくなったことを示す場合、変調波生成部131,132にインバータ2の駆動を再開させるための再開指示を出力すると共に、パルス生成部112へのゲートブロック信号の出力を停止する。
ここで、比較器150が交流電流Iout1の実効値の1/2を設定値と比較しているのは、以下の通りである。インバータ1のみが駆動している場合の交流電流Iout1の実効値は、インバータ1,2が駆動している場合の交流電流Iout1の実効値の2倍である。一方、設定値はインバータ1,2が駆動している場合を基準にして設定されている。そこで、比較器150は、インバータ1のみが駆動されている場合、交流電流Iout1の実効値の1/2を設定値と比較している。
変調波生成部131は、インバータ1のみを駆動させている場合において、再開指示を受け付けた場合、交流電流Iout1の実効値を交流電流Ioutの実効値の1/2にするための変調波信号を生成し、パルス生成部111に出力する。これにより、交流電流Iout1の実効値を、交流電流Ioutの実効値の1/2にするPWM信号が、パルス生成部111からインバータ1に出力される。
変調波生成部132は、インバータ1のみが駆動されている場合において、再開指示を受け付けた場合、交流電流Iout2の実効値を交流電流Ioutの実効値の1/2にするための変調波信号を生成し、パルス生成部112に出力する。
パルス生成部112は、ゲートブロック信号の出力が停止されると、変調波生成部132から出力される変調波信号とキャリア生成部122から出力されたキャリア信号とを比較してPWM信号を生成し、インバータ2へのPWM信号の出力を再開する。
本開示では、設定部140の具体的な構成は特に限定しないが、一例として、インバータ1,2の駆動からインバータ1のみの駆動に切り替える交流電流Iout1の実効値として予め定められた実効値を、デジタル値で記憶する設定テーブルが採用できる。設定テーブルの詳細は後述する。
図6は、実施の形態2の電力変換装置と比較例(図2の電力変換装置)との電力変換効率を比較した実験結果を示すグラフである。図6において、曲線601は、実施の形態2の電力変換効率を示し、曲線602は、比較例の電力変換効率を示している。
曲線601では、出力電力が3.5を超えると、インバータ1のみの駆動からインバータ1,2の駆動への切り換えが行われている。曲線601において出力電力が3.5以上の高負荷領域において、電力変換効率は、図6の曲線602よりも高かった。
また、図6の実験結果では、出力電力が3.5以下の低負荷領域においても、実施の形態2の電力変換装置の方が比較例の電力変換装置に比べて電力変換効率が向上した。例えば、出力電力がおよそ0.6のときにおいて、実施の形態2の電力変換装置は、比較例の電力変換装置に比べて、電力変換効率がおよそ1%上昇した。
以下、インバータの駆動数を切り換えることにより、電力変換効率が向上する原理について、図7を用いて説明する。
図7のセクション(a)は、インバータを構成するスイッチの導通損失とスイッチング損失とを示すグラフであり、縦軸は損失を示し、横軸は出力電力を示している。(i)は、インバータ1のみで定格出力まで電力変換装置を駆動した場合の導通損失及びスイッチング損失を示す損失カーブであり、(ii)は、インバータ1とインバータ2とで、定格出力まで電力変換装置を駆動させた場合の導通損失及びスイッチング損失である。
スイッチング損失とは、スイッチがターンオン、ターンオフする際に発生する損失である。導通損失とは、スイッチのオン期間における損失である。
(i)、(ii)とも、スイッチング損失は出力電力が増大するにつれて緩やかに上昇している。また、(i)、(ii)とも、導通損失は、出力電力の低い領域では、スイッチング損失よりも低いが、増大率がスイッチング損失よりも大きいため、出力電力が高い領域では、スイッチング損失よりも大きくなっている。
つまり、出力電力の低い領域では、スイッチの全損失のうち、スイッチング損失の占める割合が高いが、出力電力が高くなるに従い、スイッチの全損失のうち、導通損失の割合が増える。
導通損失は、スイッチの通電電流の2乗とスイッチのオン抵抗との積により見積もられる。したがって、オン抵抗の低いスイッチを用いた場合、出力電力が低い領域では、通電電流が小さいため、導通損失は極端に低く、出力電力が高い領域では、通電電流の2乗に比例して、大幅に増加する。また、出力電力が同じであれば、(ii)の場合、(i)の場合に比べ、スイッチの通電電流は1/2となる。
ここで、スイッチのオン抵抗をRon、(i)の場合のスイッチの通電電流をionとする。また、(ii)は(i)に対してスイッチの個数が2倍である。したがって、(ii)の場合、スイッチの導通損失は、(ion/2)^2*Ron*2=1/2*ion^2*Ronとなる。一方、(i)の場合のスイッチの導通損失は、(ion)^2*Ronとなる。
よって、出力電力の高い領域では、(ii)の場合は、(i)の場合に比べて導通損失が顕著に低くなる。
一方、スイッチング損失は、スイッチの出力容量と、印加電圧の2乗と、キャリア周波数に依存し、出力電力に応じてさほど変化しない。よって、出力電力の低い領域(オン/オフ時の電流の小さい領域)においては、スイッチの全損失のうち、スイッチング損失の占める割合が、導通損失に比べて高くなる。更に、(ii)の場合は、(i)の場合に比べて、スイッチの出力容量が倍となるため、スイッチング損失は大きくなる。そのため、(ii)の場合のスイッチング損失を示す損失カーブは、(i)の場合のスイッチング損失を示す損失カーブに比べてほぼ一定のオフセット分だけ高くなっている。
まとめると、出力電力の低い領域では、スイッチング損失の割合が支配的で、かつ、(i)の方が(ii)よりもスイッチング損失が低いため、(i)の方が、スイッチの全損失を低減することができる。一方、出力電力の高い領域では、導通損失が支配的で、かつ、(ii)の方が(i)よりも導通損失が低いため、(ii)の方が(i)よりもスイッチの全損失を低減できる。
図7のセクション(b)は、リアクトル損失を示すグラフであり、縦軸は損失を示し、横軸は出力電力を示している。(i)はインバータ1のみで定格出力まで電力変換装置を駆動した場合の損失カーブであり、(ii)は、インバータ1とインバータ2とで、定格出力まで電力変換装置を駆動した場合の損失カーブである。リアクトル損失は、基本波成分(変調波信号の周波数成分:50Hzまたは60Hz)による銅損と、リップル成分(キャリア信号の周波数の整数倍)による銅損と、鉄損とに大別される。
銅損は、リアクトルの巻き線に基づく損失であり、通電電流の2乗と、リアクトルに流れる電流の周波数に対応する抵抗成分との積により見積もられる。出力電力が同じとすると、(ii)の場合、(i)の場合に比べ、リアクトルに流れる電流は1/2となる。
ここで、基本波成分におけるリアクトルの抵抗をRac、(i)の場合のリアクトルに流れる基本波成分の電流をiacとする。また、(ii)は(i)に対してリアクトルの個数が2倍である。したがって、(ii)の場合、基本波成分による銅損は、(iac/2)^2*Rac*2=1/2*iac*Racとなる。一方、(i)の場合の基本波成分による銅損は、(iac)^2*Racとなる。
よって、出力電力の高い領域では、(ii)の場合は、(i)の場合に比べて基本波成分における銅損が顕著に低くなる。
リップル成分による銅損は、出力電力に応じてリップルが増大しないため、出力電力によらず一定である。また、(ii)は(i)に対してリアクトルの個数が2倍である。そのため、出力電力に拘わらず、(ii)は(i)に比べて、リップル成分による銅損が2倍になる。
鉄損は、リアクトルの鉄芯に基づく損失であり、リップル成分による銅損と同様、出力電力によらず一定である。また、(ii)は、(i)に対してリアクトルの個数が2倍である。そのため、出力電力に拘わらず、(ii)は、(i)の場合に比べて鉄損が2倍になる。
まとめると、出力電力の低い領域では、リップル成分による銅損と鉄損の割合が支配的であり、かつ、両損失は(ii)の方が(i)よりも高いため、(i)の方が(ii)よりもリアクトル損失を低減できる。一方、出力電力の高い領域では、基本波成分による銅損の割合が支配的であり、かつ、この銅損は(i)の方が(ii)よりも高いため、(ii)の方が(i)よりもリアクトル損失を低減できる。
よって、スイッチの損失もリアクトル損失も、出力電力の低い領域では、(i)の方が低く、出力電力の高い領域では(ii)の方が低くなる。よって、図6の結果のように、出力電力に応じて、(i)と(ii)との切り換えを行うことで、従来よりも広範囲の電力負荷の領域において電力変換効率を向上できる。
そこで、本実施の形態では、(i)及び(ii)において、電力変換効率が逆転する出力電力に対応する交流電流Iout1の実効値を設定値として予め設定しておき、交流電流Iout1の実効値が設定値以下の場合は、インバータ1のみを駆動させ、交流電流Iout1の実効値が設定値より大きい場合は、インバータ1,2を駆動させる。
これにより、従来よりも広範囲の電力負荷の領域において電力変換効率を向上させることができる。
なお、図2に示す電力変換装置で切り換えを行っても、スイッチが2並列で接続されているため、低負荷領域では、出力容量によるスイッチング損失は低減できない。さらに、リアクトルの電流を1/2にできないため、高負荷領域で、リアクトル損失を低減することはできない。
次に、実施の形態2の電力変換装置の動作を簡単に説明する。まず、実施の形態1と同様にして、インバータ1,2の駆動が開始される。比較器150は、電流センサ5を通じて交流電流Iout1のモニタを開始する。そして、比較器150が交流電流Iout1の実効値が設定値以下になったことを検知したとする。この場合、切替指令生成部160は、インバータ2の駆動を停止させ、インバータ1のみを駆動させることを示す停止指示を変調波生成部131,132に出力し、かつ、パルス生成部112にゲートブロック信号を出力する。これにより、インバータ2の駆動が停止され、インバータ1のみが駆動する。その結果、低負荷領域において、インバータ1のみが駆動され、インバータ1,2を駆動させた場合に比べて電力変換効率が向上する。
なお、インバータ1,2の駆動中に交流電流Iout1の実効値が設定値以下にならなかった場合は、インバータ1,2の駆動が継続される。
一方、インバータ1のみが駆動している状態において、比較器150が、交流電流Iout1の実効値の1/2が設定値より大きくなったことを検知したとする。この場合、切替指令生成部160は、インバータ2の駆動を再開させるための再開指示を変調波生成部131,132に出力し、かつ、パルス生成部112へのゲートブロック信号の出力を停止する。これにより、パルス生成部112からインバータ2に対してPWM信号の出力が再開され、インバータ1,2が駆動される。その結果、高負荷領域において、インバータ1,2が駆動され、インバータ1のみを駆動させた場合に比べて電力変換効率が増大する。
(実施の形態3)
実施の形態3は、インバータ1,2の駆動からインバータ1のみの駆動に切り替える場合において、交流電流Ioutの波形を滑らかに変化させることを特徴とする。なお、本実施の形態において、実施の形態1,2と同じものは同一の符号を付して説明を省略する。また、本実施の形態の回路構成は図5が採用される。
図8は、実施の形態3の電力変換装置の切り換え時の波形を示す図である。図8の上段は交流電流Ioutと交流電流Iout1の変調波信号801との波形を示したグラフであり、縦軸は電流を示し、横軸は時間を示している。図8の下段は、交流電流Iout1と交流電流Iout2との波形を示したグラフであり、縦軸は電流を示し、横軸は時間を示す。なお、図8に示す波形はシミュレーションによる波形である。
時刻t1(0.7sec)までは、インバータ1と、インバータ2とが駆動されている。そのため、変調波信号801は実効値が13.75Aの正弦波となっている。なお、変調波信号801の実際の縦軸の値は、指令値を指す。指令値とは、PWM信号を用いてインバータ1を駆動させた場合にインバータ1からその値を示す交流電流Iout1を出力させることができる値である。したがって、変調波信号801は実際にグラフの縦軸で示す電流値を持つ訳ではない。以下では、説明の便宜上、変調波信号801は、交流電流Iout1の値を持つものとして説明する。このことは、インバータ2に対応する変調波信号802(図略)についても同様である。
時刻t1までは、インバータ1,2が駆動されているため、変調波生成部131,132からは、それぞれ、実効値が13.75Aの変調波信号801,802が出力されている。そのため、インバータ1,2からはそれぞれ、実効値が13.75Aの交流電流Iout1,Iout2が出力され、実効値が27.5Aの交流電流Ioutが系統電源10に出力されている。
時刻t1において、切替指令生成部160は、比較器150より交流電流Iout1が設定値以下であることを示す比較結果を受け取り、変調波生成部131,132にインバータ2の駆動を停止させる停止指示を出力する。
変調波生成部131は、時刻t1から切り替えが終了する時刻t2(0.71sec)までの移行期間Tx(10msec)をかけて、実効値が13.75Aから27.5Aに緩やかに上昇するように、変調波信号801を補正する。一方、変調波生成部132は、実効値が13.75Aから0Aに、移行期間Txをかけて、緩やかに下降するように、変調波信号802(図略)を補正する。
緩やかに変更させる処理の具体例としては以下の態様が採用できる。時刻t1において変調波生成部131が出力している実効値が13.75Aの変調波信号をSig1、切り替え後に変調波生成部131が出力するべき実効値が27.5Aの変調波信号をSig2とする。そして、変調波生成部131は、Sig1*α+Sig2*(1−α)の信号を変調波信号801として生成する。なお、時刻t1において、Sig1とSig2との位相は揃っているものとする。このとき、変調波生成部131は、係数αが移行期間Txにおいて1から0に漸次に減少するように、変調波信号801を生成する。これにより、図8の下段に示すように、交流電流Iout1の波形は、実効値が13.75Aの波形(Sig1)から実効値が27.5Aの波形(Sig2)に緩やかに上昇する。
一方、変調波生成部132は、Sig1*αの信号を変調波信号802として生成する。このとき、変調波生成部132は、変調波生成部131と同様、αを漸次に減少させる。これにより、図8の下段に示すように、交流電流Iout2は、実効値が13.75Aから0に緩やかに減少する。
時刻t2(0.71sec)において、切替指令生成部160は、ゲートブロック信号を、パルス生成部112に出力する。これにより、パルス生成部112は、インバータ2のスイッチSW1〜SW4をオフさせ、インバータ2の駆動を完全に停止させる。その結果、時刻t2以降はインバータ1のみが駆動する。このように、緩やかに変調波信号801を上昇させ、かつ、緩やかに変調波信号802を下降させることにより、交流電流Ioutを歪ませずに、インバータ1,2の駆動からインバータ1のみの駆動に切り換えることが可能となる。また、インバータ2を完全にオフすることで、出力容量による損失を低減することも可能となる。
なお、上記説明では、移行期間Txとして10msecを採用したが、これは一例にすぎず、10msec未満の任意の値が採用されてもよいし、10msecより大きい任意の値が採用されてもよい。但し、移行期間Txが、系統電源10が規定する交流電圧の1周期(1/50sec又は1/60sec)を超えると、1周期単位での切り替えができなくなってしまう。例えば、現在の周期でインバータ1のみ駆動させ、次の周期でインバータ1,2を駆動させることができなくなってしまう。したがって、移行期間Txとしては、系統電源10が規定する交流電圧の1周期以下の期間が好ましく、より好ましくは余裕を見てこの周期の1/2以下の期間が好ましい。また、インバータ1とインバータ2との移行期間Txが同一であれば、交流電圧の1周期以上の期間であっても構わない。なお、図8の例では、移行期間Txは10msecであり、系統電源10が規定する交流電圧の周期を1/50sec(=20msec)とした場合、その周期の1/2の値が採用されている。
(実施の形態4)
実施の形態4は、インバータ1,2の駆動をインバータ1のみの駆動に切り替える場合において、交流電圧Voutのゼロクロスポイントを含む一定期間において、交流電流Ioutの波形を滑らかに変化させることを特徴とする。
なお、本実施の形態において、実施の形態1〜3と同じものは同一の符号を付して説明を省略する。また、本実施の形態の回路構成は図5が採用される。
図9は実施の形態4に対する比較例の切り替え時の波形を示す図である。比較例では、ゼロクロスポイントを含まない期間において、変調波信号801を緩やかに上昇させ、変調波信号802(図略)を瞬時に下降させ、インバータ1,2の駆動からインバータ1のみの駆動への切り替えが行われている。なお、図9に示す波形はシミュレーション波形である。
図9の上段は、ゼロクロスポイントを含まない期間において、変調波信号801を緩やかに上昇させ、変調波信号802を瞬時に下降させた場合の交流電流Ioutと変調波信号との波形を示すグラフであり、縦軸は電流、横軸は時間を示している。
図9の下段は、交流電流Iout1と交流電流Iout2との波形を示したグラフであり、縦軸は電流を示し、横軸は時間を示している。
時刻t1(0.705sec)までは、インバータ1と、インバータ2とが駆動されている。そのため、変調波信号801は実効値が13.75Aの正弦波となっている。
時刻t1までは、インバータ1,2が駆動されているため、変調波生成部131,132からは、それぞれ、実効値が13.75Aの変調波信号801,802が出力されている。そのため、インバータ1,2からはそれぞれ、実効値が13.75Aの交流電流Iout1,Iout2が出力され、実効値が27.5Aの交流電流Ioutが系統電源10に出力されている。
時刻t1において、切替指令生成部160は、比較器150より交流電流Iout1が設定値以下であることを示す比較結果を受け取り、変調波生成部131,132にインバータ2の駆動を停止させる停止指示を出力する。
変調波生成部131は、時刻t1から切り替えが終了する時刻t2(0.706sec)までの移行期間Tx(1msec)をかけて、実効値が13.75Aから27.5Aに緩やかに上昇するように、変調波信号801を補正する。変調波信号801の補正の手法は実施の形態3と同じである。
一方、変調波生成部132は、時刻t1において、実効値が13.75Aから0Aに、急峻に下降するように変調波信号802を補正する。これにより、図9の下段に示すように、時刻t1以降、交流電流Iout2の電流値は0Aになっている。
時刻t2において、切替指令生成部160は、ゲートブロック信号を、パルス生成部112に出力する。これにより、パルス生成部112は、インバータ2のスイッチSW1〜SW4をオフさせ、インバータ2の駆動を完全に停止させる。
このように、比較例では、変調波信号802の切り替えが瞬時に行われているため、変調波信号801,802の切り替えタイミングと、ゲートブロック信号の出力タイミングとが合っていない。そして、比較例では、この切り替えがゼロクロスポイントを含まない期間において実行されている。これにより、図9の上段に示すように、移行期間Txにおいて、交流電流Ioutの波形が歪む。
図10は、実施の形態4の切り替え時の波形を示す図である。時刻t1(0.7sec)までは、インバータ1と、インバータ2とが駆動されている。そのため、変調波信号801は実効値が13.75Aの正弦波となっている。なお、図10に示す波形はシミュレーション波形である。
時刻t1において、切替指令生成部160は、比較器150より交流電流Iout1が設定値以下であることを示す比較結果を受け取り、変調波生成部131,132にインバータ2の駆動を停止させる停止指示を出力する。
変調波生成部131は、時刻t1から時刻t2までの移行期間Tx(1msec)をかけて、実効値が13.75Aから27.5Aに、緩やかに上昇するように、変調波信号801を補正する。変調波信号801の補正の手法は実施の形態3と同じである。
一方、変調波生成部132は、時刻t1において、実効値が13.75Aから0Aに、急峻に下降するように変調波信号802を補正する。これにより、図9の下段に示すように、時刻t1以降、交流電流Iout2の電流値は0Aになっている。
時刻t2において、切替指令生成部160は、ゲートブロック信号を、パルス生成部112に出力する。これにより、パルス生成部112は、インバータのスイッチSW1〜SW4をオフさせ、インバータ2の駆動を完全に停止させる。
このように、実施の形態4では、変調波信号801,802は比較例と同様に補正されているが、移行期間Txにゼロクロスポイントが含まれている。ここでは、交流電圧Voutがゼロクロスポイントに到達した時点で移行期間Txが開始されている。
そのため、図10の上段に示すように、移行期間Txにおいて、比較例では表れていたような歪みが交流電流Ioutに表れることが防止できる。つまり、実施の形態4では、変調波信号801,802の切り替えタイミングとゲートブロック信号の出力タイミングとが一致していなくても、移行期間Txがゼロクロスポイントに設定されているため、交流電流Ioutに歪みが表れることを防止できる。
なお、比較器150が交流電流Iout1が設定値を超えたことを検知するタイミングと、交流電圧Voutのゼロクロスポイントとは必ずしも一致しない。そのため、切替指令生成部160は、比較器150から交流電流Iout1が設定値を超えたことを示す比較結果を受け取った後、交流電圧Voutをモニタし、最初にゼロクロスポイントが到来するタイミングで停止指示を変調波生成部131,132を出力し、且つ、ゲートブロック信号をパルス生成部112に出力すればよい。
これにより、変調波生成部131,132は、ゼロクロスポイントを起点として変調波信号801,802を補正できる。
なお、実施の形態4では、移行期間Txとして1msecを採用したが、これは一例にすぎず、実施の形態3と同様、系統電源10が規定する交流電圧の1周期以下の期間であれば、どのような値が採用されてもよい。また、図10の例では、交流電流Iout1を移行期間Txをかけて緩やかに上昇させ、交流電流Iout2は時刻t1において急峻に下降させたが、この関係は逆であってもよい。すなわち、交流電流Iout1を時刻t1において急峻に上昇させ、交流電流Iout2を移行期間Txをかけて緩やかに下降させてもよい。
また、図10の例において、交流電流Iout1を移行期間Txをかけて緩やかに上昇させ、交流電流Iout2を移行期間Txをかけて緩やかに下降させてもよい。また、図10の例において、交流電流Iout1を時刻t1で急峻に上昇させ、交流電流Iout2を時刻t1で急峻に下降させてもよい。
(実施の形態5)
図11は、実施の形態5における電力変換装置が適用された系統連系インバータ装置の回路図である。
図11において、図1との相違点は、電流センサ5の位置にある。すなわち、図1では、インバータ1,2毎に電流センサ5,6が設けられていた。図11では、電流センサ5は、フィルタコンデンサ9と負荷Zとの間に接続されている。そのため、図11では、電流センサ6は省かれている。
インバータ1及びリアクトル7と、インバータ2及びリアクトル8とにおいて、スイッチSW1〜SW4のオン抵抗や、リアクトル7,8の抵抗成分によるインピーダンスの差が低い場合、インバータ1,2から出力される交流電流Iout1,Iout2はほぼ等しくなる。そのため、インバータ1,2毎に個別に電流センサを設けなくても、接続点K3,K4よりも出力側に1つの電流センサ5を設けることで、インバータ1,2毎に電流センサ5,6を設けた場合と同様の効果が得られる。そこで、本実施の形態では、フィルタコンデンサ9の出力側に1つの電流センサ5を設けた。これにより、部品点数を削減しコストを削減できる。
なお、電流センサ5は交流電流Iout1ではなく交流電流Ioutを検知するため、比較器150には、交流電流Iout1に対して振幅が2倍の交流電流Ioutが入力される。一方、設定部140が管理する設定値は、交流電流Iout1の実効値に基づいて設定されている。そこで、比較器150は、交流電流Ioutの実効値の1/2を設定値と比較すればよい。或いは、電流センサ5は、検知した交流電流Ioutの1/2の交流電流を比較器150に入力すればよい。
(実施の形態6)
図12は、実施の形態6における電力変換装置が適用された系統連系インバータ装置の回路図である。
図12において、図1との相違点は、DC/DCコンバータ1200が設けられており、制御部11がインバータ1,2のインバータ入力電圧Vdc1をモニタしている点にある。なお、インバータ入力電圧Vdc1のモニタは、平滑コンデンサ4と並列に電圧センサ(図略)を設けることで行われればよい。
直流電源3として太陽光パネルを採用した場合、日射量に応じて入力電圧Vdc2が変化する。通常、太陽光パネルとインバータ1,2との間に設けられたDC/DCコンバータ1200は、太陽光パネルから出力される電圧が低いときは、インバータ入力電圧Vdc1が系統電源10に連係するために必要な直流電圧になるように、入力電圧Vdc2を昇圧する。
入力電圧Vdc2が高い場合は、DC/DCコンバータ1200は停止され、インバータ1,2には、太陽光パネルから出力される電圧がそのまま入力される。DC/DCコンバータ1200から出力されるインバータ入力電圧Vdc1が高くなるに従い、インバータ1,2のスイッチSW1〜SW4におけるスイッチング損失は増加する。
DC/DCコンバータ1200は、平滑コンデンサC12、リアクトルL12、スイッチSW12、及びダイオードD12を備える。平滑コンデンサC12は、直流電源3と並列接続され、入力電圧Vdc2を平滑化する。リアクトルL12は、直流電源3の正極とスイッチSW12のドレインとの間に接続されている。スイッチSW12は、例えば、n型のMOSFETで構成され、ソースが直流電源3の負極に接続されている。ダイオードD12は、アノードがリアクトルL12の右端及びスイッチSW12のドレインに接続され、カソードが平滑コンデンサ4の上端に接続されている。
まず、スイッチSW12がオンのときは、リアクトルL12の右端が直流電源3の負極と導通するので、リアクトルL12に流れる電流は増加していく。ここで、スイッチSW12がオフすると、リアクトルL12の電流は急には0にならないので、ダイオードD12を介して出力側(インバータ1,2側)に電流が注入される。つまり、スイッチSW12がオンのときリアクトルL12に蓄えられたエネルギーが、一気に出力側に吐き出される。これにより、入力電圧Vdc2がインバータ入力電圧Vdc1に昇圧され、平滑コンデンサ4に印加される。
図7のセクション(a)に示すように、スイッチング損失が増加すると、スイッチの全損失のうち、スイッチング損失の占める割合が変化する。そのため、インバータ1のみを駆動させた(i)の場合と、インバータ1,2を駆動させる(ii)の場合とにおいて、電力変換効率が逆転する切替ポイントが変化する。
具体的には、図7のセクション(a)において、(i)、(ii)とも、スイッチング損失が上側にシフトして、導通損失に対してスイッチング損失が支配的である領域が増えるため、切替ポイントは高負荷側(右側)にシフトする。
そこで、本実施の形態ではインバータ入力電圧Vdc1と、交流電流Iout1とを用いて、最適な切替ポイントにより、インバータ1,2の切り換えを行う。
図13は、設定部140が管理する設定テーブルT13の一例を示す図である。設定テーブルT13は、インバータ入力電圧Vdc1に応じた切替ポイントに対応する設定値を記憶している。この例では、インバータ入力電圧Vdc1は、電圧がVA以上VB以下の範囲(1)、電圧がVBより大きくVC以下の範囲(2)、電圧がVCより大きくVD以下の範囲(3)の3つの範囲に区切られている。範囲(1)〜(3)には設定値I1,I2,I3がそれぞれ対応付けられている。
設定値I1,I2,I3としては、それぞれ、インバータ入力電圧Vdc1が範囲(1),(2),(3)に属する場合の最適な切替ポイントに対応する交流電流Iout1の実効値であって、実験的に定められた値が採用されている。なお、インバータ入力電圧Vdc1が増大するにつれて切替ポイントは右側(出力電力が高い側)にシフトするため、設定値I1〜I3は、I3>I2>I1の関係を持つ。
例えば、範囲(i)に属するインバータ入力電圧Vdc1が入力されると、設定部140は、設定値として設定値I1を設定する。この場合、比較器150は、交流電流Iout1の実効値が設定値I1以下であれば、インバータ1のみを駆動させ、交流電流Iout1の実効値が設定値I1より大きければ、インバータ1,2を駆動させる。
このように、本実施の形態では、インバータ入力電圧Vdc1に応じて適切な設定値が設定されるため、スイッチング損失が変動しても最適な切替ポイントでインバータ1,2の駆動を切り替えることができる。そのため、電力変換効率を更に向上させることができる。
なお、図13では、インバータ入力電圧Vdc1は、3つの範囲に区切られていたが、これは一例にすぎず、2つに区切られていてもよいし、4つ以上の任意の数で区切られていてもよい。この場合、インバータ入力電圧Vdc1の範囲の個数に応じた設定値を設定テーブルT13に記憶させればよい。
(実施の形態7)
実施の形態7は、インバータ入力電圧Vdc1に代えて、直流電源3からDC/DCコンバータ1200に入力される入力電圧Vdc2に応じた設定値を設定部140が設定することを特徴とする。なお、本実施の形態において回路構成は図12と同じである。
本実施の形態では、設定テーブルT13は、インバータ入力電圧Vdc1に代えて、入力電圧Vdc2に応じた切替ポイントに対応する設定値を記憶している。したがって、設定値I1,I2,I3としては、それぞれ、入力電圧Vdc2が範囲(1),(2),(3)に属する場合の最適な切替ポイントに対応する交流電流Iout1の実効値であって、実験的に定められた値が採用されている。それ以外の点は実施の形態6と同じである。なお、制御部11は、入力電圧Vdc2をモニタすることになるが、入力電圧Vdc2のモニタは、電圧センサ(図略)を平滑コンデンサC12と並列接続させることで実現されればよい。
(実施の形態8)
実施の形態8は、DC/DCコンバータ1200に入力されるPWM信号のデューティー比に応じて駆動するインバータの個数を切り替えることを特徴とする。
図14は、実施の形態8における電力変換装置が適用された系統連系インバータ装置の回路図である。図14において、図12との相違点は、制御部11が更にパルス生成部170、コンバータ制御部180、及びキャリア生成部190を備えている点にある。
コンバータ制御部180は、入力電圧Vdc2をモニタしており、インバータ入力電圧Vdc1を、系統電源10に連系するために必要な直流電圧に一定制御する。具体的には、コンバータ制御部180は、入力電圧Vdc2が上がるにつれて、DC/DCコンバータ1200のデューティー指令信号を減少させる。一方、コンバータ制御部180は、入力電圧Vdc2が減少するにつれて、デューティー指令信号を増大させる。デューティー指令信号としては直流の変調波信号が採用できる。キャリア生成部190は、一定振幅かつ一定周期の三角波であるキャリア信号をパルス生成部170に出力する。
パルス生成部170は、デューティー指令信号とキャリア信号とを比較し、PWM信号を生成し、スイッチSW12のゲートに出力する。
直流電源3は、太陽電池であり、一般的に日射量が低下すると、生成する直流電圧が下がって入力電圧Vdc2が下がり、電力供給能力が低下する。この場合、低下した電力供給能力を補うためにデューティー指令値は上げられる。そして、DC/DCコンバータ1200のデューティー指令値が上がると、インバータの出力電力を下げることになり、インバータが出力する交流電流が小さくなる。
そこで、本実施の形態では、設定部140は、電力変換効率が逆転する出力電力に対応するデューティー指令値を設定値として設定する。
そして、切替指令生成部160は、比較器150から、DC/DCコンバータ1200のデューティー指令値が、所定の設定値以下であることを示す比較結果が出力されると、2個のインバータを駆動させる。一方、切替指令生成部160は、比較器150から、DC/DCコンバータ1200のデューティー指令値が、所定の設定値より大きいことを示す比較結果が出力されると、1個のインバータのみを駆動させる。これにより、従来よりも広範囲の出力電力の領域において電力変換効率を向上させることができる。
また、本実施の形態では、設定テーブルT13には、デューティー指令値が複数の範囲に区分けされ、各範囲において最適なデューティー指令値が記憶されている。
したがって、設定部140は、コンバータ制御部180から出力されるデューティー指令値に対応する設定値を設定テーブルを用いて設定する。そして、設定部140は、デューティー指令値に応じたデューティー指令値を設定テーブルT13から読み出し、実施の形態6と同様にして、設定値を設定する。
このように、本実施の形態では、デューティー指令値からインバータの出力電流を推定し、出力電流に応じた切替動作をすることができる。
なお、インバータの個数をN(Nは2以上の整数)個とした場合、DC/DCコンバータ1200のデューティー比が所定の設定値より小さければ、N個のインバータが駆動され、DC/DCコンバータ1200のデューティー比が、所定の設定値以上であれば、j(jは1以上、N−1以下の整数)個のインバータが駆動される。
(実施の形態9)
図15は、実施の形態9の電力変換装置が適用された系統連系インバータ装置の回路図である。図15において、図5との相違点は、インバータ1,2が、それぞれ、3相インバータで構成されている点にある。また、インバータ1,2が、3相インバータで構成されているため、リアクトル7,8はそれぞれ3つのリアクトル71〜73,81〜83を備えている。
インバータ1,2は直流電源3と並列接続されている。インバータ1,2は同一構成であるため、インバータ1のみ説明する。インバータ1は、6つのスイッチSW1〜SW6を備える。スイッチSW1,SW4はU相のスイッチであり、スイッチSW2,SW5はV相のスイッチであり、スイッチSW3,SW6はW相のスイッチである。
スイッチSW1〜SW6は、それぞれ、n型のMOSFETで構成されているが、本実施の形態はこれに限定されず、p型のMOSFETが採用されてもよいし、IGBTが採用されてもよい。
スイッチSW1,SW2,SW3は、それぞれ、ドレインが直流電源3の正極に接続されている。スイッチSW4,SW5,SW6はソースが直流電源3の負極に接続されている。スイッチSW1のソースは、スイッチSW4のドレインと接続され、スイッチSW2のソースは、スイッチSW5のドレインと接続され、スイッチSW3のソースは、スイッチSW6のドレインと接続されている。
スイッチSW1,SW4の接続点uはリアクトル71と接続され、スイッチSW2,SW5の接続点vはリアクトル72と接続され、スイッチSW3,SW6の接続点wはリアクトル73と接続されている。なお、インバータ2においては、接続点u,v,wは、それぞれリアクトル81,82,83と接続されている。
リアクトル71,72,73は、それぞれ、インバータ1の接続点u,v,wから出力される交流電力を平滑化し、パルス幅に応じた振幅を持つ正弦波状の交流電力を出力する。
リアクトル81,82,83は、それぞれ、インバータ2の接続点u,v,wから出力される交流電力を平滑化し、パルス幅に応じた振幅を持つ正弦波状の交流電力を出力する。
電流センサ51は、リアクトル71の系統電源10側の一端と接続点K3との間に設けられ、リアクトル71で平滑化された交流電流Iout_u1を計測し、制御部11に出力する。電流センサ52は、リアクトル73の系統電源10側の一端と接続点K4との間に設けられ、リアクトル73で平滑化された交流電流Iout_w1を計測し、制御部11に出力する。
電流センサ53は、リアクトル81の系統電源10側の一端と接続点K3との間に設けられ、リアクトル81で平滑化された交流電流Iout_u2を計測し、制御部11に出力する。電流センサ54は、リアクトル83の系統電源10側の一端と接続点K4との間に設けられ、リアクトル83で平滑化された交流電流Iout_w2を計測し、制御部11に出力する。
接続点K3は、リアクトル71で平滑化されたU相の交流電力と、リアクトル81で平滑化されたU相の交流電力とを重畳する。接続点K5は、リアクトル72で平滑化されたV相の交流電力と、リアクトル82で平滑化されたV相の交流電力とを重畳する。接続点K4は、リアクトル73で平滑化されたW相の交流電力と、リアクトル83で平滑化されたW相の交流電力とを重畳する。
フィルタコンデンサ91は、系統電源10の端子Tu及びTv間に接続され、U,V相間の交流電力から高周波成分を除去し、系統電源10及び負荷Zに出力する。フィルタコンデンサ92は、系統電源10の端子Tv及びTw間に接続され、V,W相間の交流電力から高周波成分を除去し、系統電源10及び負荷Zに出力する。フィルタコンデンサ93は、系統電源10の端子Tu及びTw間に接続され、U,W相間の交流電力から高周波成分を除去し、系統電源10及び負荷Zに出力する。
フィルタコンデンサ91には、U,V相間の交流電圧Vout_uを測定するための電圧センサ(図略)が並列に接続され、フィルタコンデンサ92には、V,W相間の交流電圧Vout_vを測定するための電圧センサ(図略)が並列に接続され、フィルタコンデンサ93には、U,W相間の交流電圧Vout_wを測定するための電圧センサ(図略)が並列に接続されている。
負荷Zは、端子Tu,Tv,Twと接続されている。
変調波生成部131は、交流電流Iout_u1,Iout_w1及び交流電圧Vout_u,Vout_v,Vout_wを用いて、所望の交流電流を出力するための変調波信号であって、インバータ1に対応する変調波信号を生成し、パルス生成部111に出力する。
変調波生成部132は、交流電流Iout_u2,Iout_w2及び交流電圧Vout_u,Vout_v,Vout_wを用いて、所望の交流電流を出力するための変調波信号であって、インバータ2に対応する変調波信号を生成し、パルス生成部112に出力する。
パルス生成部111は、図1と同様、変調波生成部131が生成した変調波信号とキャリア生成部121が生成したキャリア信号とを比較してインバータ1に対応するPWM信号を生成するが、インバータ1が3相インバータであるため、U相、V相、W相の位相が120度ずつシフトしたPWM信号を生成する。
具体的には、パルス生成部111は、スイッチSW1,SW2,SW3に対して位相が120度ずつシフトしたPWM信号であって、スイッチSW1,SW4を相補的にオン/オフさせ、スイッチSW2,SW5を相補的にオン/オフさせ、スイッチSW3,SW6を相補的にオン/オフさせるPWM信号を生成する。
パルス生成部112は、パルス生成部111と同様、インバータ2に対応するPWM信号を生成する。ここで、キャリア生成部122が生成するキャリア信号はキャリア生成部121が生成するキャリア信号に対して位相が180度シフトしている。よって、実施の形態1と同様の原理により、リップルが相殺された交流電流が得られる。
キャリア生成部121、キャリア生成部122、設定部140、比較器150、及び切替指令生成部160は図5と同じである。
比較器150は、交流電流Iout_u1,Iout_w1をモニタしており、両交流電流と設定部140が設定した設定値とを比較し、比較結果を切替指令生成部160に出力する。
切替指令生成部160は、比較器150による比較結果が、交流電流Iout_u1,Iout_w1の少なくともいずれか一方の実効値が設定値以下であることを示す場合、インバータ2の駆動を停止させ、インバータ1のみを駆動させることを示す停止指示を変調波生成部131,132に出力する。この場合、切替指令生成部160は、パルス生成部112にゲートブロック信号も出力する。これにより、図5と同様にして、インバータ2の駆動が完全に停止される。
一方、切替指令生成部160は、インバータ1のみを駆動させている場合において、比較器150による比較結果が、交流電流Iout_u1,Iout_w1の少なくともいずれか一方の実効値の1/2が設定値より大きくなったことを示す場合、変調波生成部131,132にインバータ2の駆動を再開させるための再開指示を出力すると共に、パルス生成部112へのゲートブロック信号の出力を停止する。これにより、図5と同様にして、インバータ1,2が駆動される。なお、実効値の1/2と設定値とを比較する理由は図5と同じである。
このように本実施の形態による電力変換装置においては、インバータ1,2として3相インバータを採用した場合であっても、実施の形態1、2と同じ効果が得られる。
(変形例1)
上記実施の形態では、インバータの個数は2つであったが、変形例1はインバータの個数をN(2以上の整数)以上の任意の個数としたことを特徴とする。以下、N個のインバータは単相インバータであるものとして説明する。
この場合、変調波生成部130は、N個のインバータに対応するN個の変調波生成部130_1〜130_Nを備える。また、キャリア生成部120は、N個のインバータに対応するN個のキャリア生成部120_1〜120_Nを備える。また、パルス生成部110は、N個のインバータに対応するN個のパルス生成部110_1〜110_Nを備える。
N個のインバータが駆動している場合、キャリア生成部120_1〜120_Nは、それぞれ、位相が360度/Nずつ位相がシフトしたキャリア信号を生成する。例えば、N=3の場合、キャリア生成部120_2,120_3は、それぞれ、キャリア生成部120_1が生成するキャリア信号に対して位相が120度、240度シフトしたキャリア信号を生成する。
変調波生成部130_1〜130_Nは、それぞれ、対応するインバータが出力する交流電流Iout_1〜Iout_Nと交流電圧Voutとをモニタし、交流電圧Voutを目標実効値にするための変調波信号を生成する。
パルス生成部110_1〜110_Nは、それぞれ、対応する変調波生成部130_1〜130_Nから出力された変調波信号と、対応するキャリア生成部120_1〜120_Nから出力されたキャリア信号とを比較し、PWM信号を生成し、対応するインバータに出力する。
比較器150は、N個のインバータのうち、常時駆動される1つのインバータから出力される交流電流(ここでは、便宜上、交流電流Iout1とする。)の実効値を設定値と比較する。
切替指令生成部160は、N個のインバータの駆動中に、比較器150から交流電流Ioutの実効値が設定値以下であることを示す比較結果を受け付けた場合、第1〜第jインバータを駆動させ、第j+1〜第Nインバータの駆動を停止させる停止指示を出力する。このとき、切替指令生成部160は、パルス生成部110_j+1〜110_Nにゲートブロック信号を出力する。なお、jは1以上、N−1以下の整数である。
N個のインバータが駆動しているときの交流電流Iout_1〜Iout_Nの実効値をLとすると、第1〜第jインバータに対応する変調波生成部130_1〜130_jは、実効値がLからN・L/jに上昇された変調波信号を生成する。一方、第j+1〜第Nインバータに対応する変調波生成部130_j+1〜130_Nは、実効値がLから0に減少された変調波信号を生成する。これにより、第1〜第jインバータから出力された交流電流Iout_1〜Iout_jを重畳することで、実効値がN・Lの交流電流Ioutが生成され、切り替えの前後で、系統電源10に出力される交流電流Ioutの実効値は変化しない。
キャリア生成部120_1〜120_jは、切替指令生成部160から停止指示が出力されると、それぞれ、位相が360度/jずつシフトしたキャリア信号を生成する。
パルス生成部110_1〜110_jは、切替指令生成部160から停止指示が出力されると、それぞれ、実効値がLからN・L/jに上昇された変調波信号と、キャリア生成部120_1〜120_jから出力されたキャリア信号とを比較し、第1〜第jインバータに対応するPWM信号を生成する。一方、パルス生成部110_j+1〜110_Nは、それぞれ、PWM信号の出力を停止する。
ここで、キャリア信号は位相が360度/jずつシフトしているため、実施の形態1と同じ原理で、交流電流Iout_1〜Iout_jを重畳することでリップルが相殺される。
以上により、第1〜第jインバータが駆動され、第j+1〜第Nインバータの駆動が停止される。例えば、インバータの個数が5個、停止されるインバータの個数が2個であるとすると、第1〜第3インバータのキャリア信号は、位相が120度ずつシフトされた信号となる。
一方、切替指令生成部160は、第1〜第jインバータの駆動中に、比較器150から交流電流Iout1の実効値のj/Nが設定値より大きくなった場合、第j+1〜第Nインバータの駆動を再開させる再開指示を出力すると共に、パルス生成部110_j+1〜110_Nへのゲートブロック信号の出力を停止する。ここで、実効値のj/Nが設定値と比較されているのは、設定値はN個のインバータが駆動されている場合の交流電流Iout1の実効値(L)に基づいて設定されているからである。
再開指示を受け付けた変調波生成部130_1〜130_jは、実効値がN・L/jからLに減少された変調波信号を生成する。一方、再開指示を受け付けた変調波生成部130_j+1〜130_Nは、実効値が0からLに上昇された変調波信号を生成する。これにより、切り替えの前後で、系統電源10に出力される交流電流Ioutの実効値は変化しない。
以上により、インバータの個数をN個とした場合であっても、実施の形態1、2と同じ効果が得られる。
(変形例2)
変形例1では、インバータとして単相インバータを用いたが3相インバータが用いられてもよい。
また、実施の形態1〜8において、インバータ1,2として3相インバータが採用されてもよい。
(変形例3)
また、図1等では、単相インバータとしてフルブリッジ型のインバータが採用されたが、ハーフブリッジ型のインバータが採用されてもよい。
(変形例4)
実施の形態2、3では、比較器150は、交流電流の実効値を設定値と比較したが、これに限定されず、交流電流の瞬時値を設定値と比較してもよい。図16は、交流電流の瞬時値を用いる場合においてインバータ1,2の切り替え例を示す図である。図16においては、交流電流Ioutの波形が示されており、縦軸は電流、横軸は時間を示している。図16では、例えば比較器150には、図11に示すように電流センサ5から交流電流Ioutの瞬時値が入力される。
時刻t1では、切替指令生成部160は、比較器150から、交流電流Ioutが閾値IH1以上になったことを示す比較結果を受け取り、インバータ1,2を駆動させる。
時刻t2では、切替指令生成部160は、比較器150から、交流電流Ioutが閾値IH1以下になったことを示す比較結果を受け取り、インバータ1のみを駆動させる。
時刻t3では、切替指令生成部160は、比較器150から、交流電流Ioutが閾値IH2以下になったことを示す比較結果を受け取り、インバータ1,2を駆動させる。
時刻t4では、切替指令生成部160は、比較器150から、交流電流Ioutが閾値IH2以上になったことを示す比較結果を受け取り、インバータ1のみを駆動させる。
以降、時刻t5,t6・・・と上記の制御が繰り返される。なお、閾値IH1,IH2としては、例えば、絶対値が同じで、IH1>0、IH2<0の値が採用されてもよいし、絶対値が異なる値が採用されてもよい。
このように、図16の例では、交流電流Ioutが閾値IH2以上、閾値IH1以下の範囲内であれば、交流電流Ioutの瞬時値が低いため、インバータ1のみが駆動され、交流電流Ioutが閾値IH2より小さい、或いは、閾値IH1より大きければ、交流電流Ioutの瞬時値が高いため、インバータ1、2が駆動されていている。これにより、よりきめ細かく切替ポイントを設定し、電力変換効率を向上させることができる。
また、図16の例では、1サイクルのうち、4回インバータの切り替えが行われている。この場合、実施の形態3、4で説明した移行期間Txは、交流電流Ioutの1サイクルの1/4以下にすることが望ましい。
(変形例5)
実施の形態2〜9では、比較器150が交流電流の実効値を算出するとして説明したが、電流センサ5,6が交流電流の実効値を算出してもよい。