JP5343230B2 - インバータ - Google Patents
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Description
〔1〕比例積分制御にスライディングモード制御を導入し、たとえば切替え関数をヒステリシス係数と比較することで、非線形動作の悪影響を排除でき、
〔2〕 複数の制御モードを、出力電流 の瞬時指令値とリップル電流の大きさの比較結果に応じて遷移すれば、デッドタイムの悪影響を無くすことができ、直流リンク電圧を抑制することができる、
との知見を得て本発明をなすに至った。
(1)
直流入力を交流出力に変換するブリッジ回路と、
前記ブリッジ回路からの交流電力波形を調整するLCフィルタと、
前記ブリッジ回路を構成するスイッチを制御する制御装置と、
を備えたインバータにおいて、
前記制御装置は、
PI制御を行うPI制御部と、
前記PI制御部の演算結果と出力電流の変化量とからなる切替え関数の値を演算する切替え関数値演算部と、
前記切替え関数値演算部による演算結果をもとに、変調パターン符号を生成してスライディングモード制御を行うスライディングモード制御部と、
前記スライディングモード制御部が生成した変調パターンに基づき、ブリッジ回路を構成する各スイッチのON・OFF動作を決定するゲート信号生成部と、
を備えたことを特徴とするインバータ。
電圧直流源の出力を昇圧するDC/DCコンバータをさらに備え、
前記ブリッジ回路は、前記DC/DCコンバータの出力を入力し、交流出力を、交流系統に供給する(1)に記載のインバータであって、
前記出力電圧(交流系統電圧)の実効値に安全余裕値を付加した値を直流電圧指令値として、前記DC/DCコンバータの定電圧制御を行うDC/DCコンバータ制御部と、
を備えたことを特徴とするインバータ。
前記DC/DCコンバータの出力を直流リンク電圧として前記インバータが交流系統に連系することを特徴とする(2)に記載のインバータ。
前記切替え関数値演算部は、切替え関数、
S=Upi−K(in−in-1)
Upi:前記PI制御部 の演算結果
in:出力電流の今周期の検出値
in-1:出力電流の1周期前の検出値
により切替関数の値を演算することを特徴とする(1)から(3)の何れかに記載のインバータ。
前記ブリッジ回路が高圧側スイッチQ11,Q21と、低圧側スイッチQ12,Q22から構成されるフルブリッジである(1)から(4)の何れかに記載のインバータであって、
前記変調パターン符号生成部は、
ヒステリシス係数をε、1,0,−1の3値をとるパターン符号をuiとして、
S>εかつun-1≧0のときは、un=1
S>εかつun-1<0のとき、またはS<−εかつun-1>0のときは、un=0
S<−εかつun-1≦0のときは、un=−1
を生成し、
前記PWMゲート信号生成部は、
un=1のときは、
Q11,Q22をPWM変調制御するとともに、Q12,Q21をオフし、
un=0のときは、
スイッチングデッドタイムを挿入して、Q11,Q12,Q21,Q22をPWM変調制御し、
un=−1のときは、
Q12,Q21をPWM変調制御するとともに、Q11,Q22をオフし、
前記PWMゲート信号生成部は、前記変調パターン符号生成部が、un=1,0,−1の何れの値も生成しないときは、以前の制御を保持する、
ことを特徴とするインバータ。
本発明の第2態様のインバータは、(6)から(10)を要旨とする。
直流入力を交流出力に変換するブリッジ回路と、
前記ブリッジ回路からの交流電力波形を調整するLCフィルタと、
前記ブリッジ回路を構成するスイッチを制御する制御装置と、
を備えたインバータにおいて、
前記制御装置は、
前記LCフィルタのインダクタに流れるスイッチングリップル電流を演算するリップル電流演算部と、
前記リップル電流演算部によるスイッチングリプル電流の演算値の1/2の値と、交流電流指令の瞬時値 とを比較して前記ブリッジ回路を構成する各スイッチのON・OFF動作を決定するゲート信号生成部と、
を備えたことを特徴とするインバータ。
電圧直流源の出力を昇圧するDC/DCコンバータをさらに備え、
前記ブリッジ回路は、前記DC/DCコンバータの出力を入力し、交流出力を、交流系統に供給する(6)に記載のインバータであって、
前記出力電圧(交流系統電圧)の実効値に安全余裕値を付加した値を直流電圧指令値として、前記DC/DCコンバータの定電圧制御を行うDC/DCコンバータ制御部と、
を備えたことを特徴とするインバータ。
前記DC/DCコンバータの出力を直流リンク電圧として前記インバータが交流系統に連系することを特徴とする(7)に記載のインバータ。
前記リップル電流演算部は、
前記スイッチングリップル電流の値irを、
ir={Vdc/2−Vo 2/(Vdc/2)}×Tc/2L
Vdc:DC/DCコンバータの出力電圧
Vo:交流電圧の瞬時値
Tc:スイッチング周期
L:LCフィルタのインダクタのインダクタンス
により求めることを特徴とする(7)または(8)の何れかに記載のインバータ。
前記ブリッジ回路が高圧側スイッチQ31,Q41と、低圧側スイッチQ32,Q42から構成されるフルブリッジである(6)から(9)の何れかに記載のインバータであって、
前記PWMゲート信号生成部は、交流電流指令をiinv *、スイッチングリップル電流の値をirとして、
iinv *>Ir/2のときは、Q31,Q42をPWM変調制御するとともに、Q32,Q41をオフし、
iinv *<−Ir/2のときは、Q32,Q41をPWM変調制御するとともに、Q31,Q42をオフし、
−Ir/2<iinv *<Ir/2のときは、スイッチングデッドタイムを挿入して、Q31,Q32,Q41,Q42をPWM変調制御し、
ことを特徴とするインバータ。
また、直流リンク電圧を小さくできるので、直流入力段またはDC/DCコンバータの出力段のキャパシタを小容量化でき、結果として、装置コストの低減、装置の小型化を図ることができる。
さらに、新たな回路素子の追加や製造調整の必要がないので、装置コストをさらに低減することができる。
図1において、系統連系インバータ1は、直流電源11と、DC/DCコンバータ12と、フルブリッジ構成のスイッチ回路13と、LCフィルタ14とを有している。
LCフィルタ14の出力端子間(キャパシタ142の端子間)は、交流系統に接続されている。図1では交流系統電圧をVSで示してある。
なお、配電線等に生じる交流系統側のインダクタンスおよび抵抗をLsおよびRsで示してある。
PI制御部21は、本実施形態では、電流検出器31が検出した出力電流値iinvと 交流電流指令iinv *とのPI制御を行う。
切替え関数値演算部22は、PI制御部21の演算結果と出力電流の変化量とからなる切替え関数Sの値を演算する。本実施形態では切替え関数値演算部22は、電流検出器31から出力電流値iinvを逐次取り込み出力電流の変化量を生成している。
スライディングモード制御における切替え関数sは、通常、(1)式に示すようにKを定数として制御誤差eおよび誤差eの微分で演算される。
s=K・e+(de/dt)=0 (1)
したがって、演算結果が非常に小さい値となり、ノイズの影響を受けやすい。
そこで、本発明では、ノイズの影響を避けるために切替え関数((1)式)に積分演算を行い、安定な動作を図るようにした。
したがって、新しい切替え関数は(2)式で表される。
S=K・∫e+e−S0=0 (2)
S=Ki・∫e+Kp・e−S0=Upi−S0=0 (3)
S0=L・(di/dt)=L・(in−in-1)/Tc (4)
ただし、Lはインダクタ131のインダクタンスであり、Tc,iはそれぞれ、スイッチング周期およびインダクタ131を流れる電流である。
S=Upi−K(in−in-1) (5)
Upi:PI制御部の演算結果、サンプリング制御の制御遅れを考慮し、例えば、2周期の制御遅れが生じる場合はPI制御部の2周期前の演算結果Upi(n-2)を使用した方が好ましい。
in:出力電流の今周期の検出値
in-1:出力電流の1周期前の検出値
変調パターン符号生成部22は、
ヒステリシス係数をε、1,0,−1の3値をとるパターン符号をuiとして、
S>εかつun-1≧0のときは、un=1 (6−1)
S>εかつun-1<0のとき、またはS<−εかつun-1>0のときは、un=0 (6−2)
S<−εかつun-1≦0のときは、un=−1 (6−3)
を生成する。
以下、図2を参照しつつ3つのモードの動作を説明する。図2では、(A)にインバータ1の出力電圧VOを、(B)インバータ1の出力電流iinvを、(C)にPI制御信号UPIを、(D)に変調パターン信号を、(E)にQ11,Q22のゲート信号(g1+,g2-),Q12,Q21のゲート信号(g1-,g2+)を示してある。
Q11,Q22をPWM変調制御するとともに、Q12,Q21をオフする。
図2では(1)〜(2),(5)〜(6)の期間である。
スイッチングデッドタイムを挿入して、Q11,Q12,Q21,Q22をPWM変調制御する。
図2では(2)〜(3),(4)〜(5)の期間である。
Q12,Q21をPWM変調制御するとともに、Q11,Q22をオフする。
図2では(3)〜(4)の期間である。
前記変調パターン符号生成部が、un=1,0,−1の何れの値も生成しないときは、以前の制御を保持する。
なお、配電線等に生じる交流系統側のインダクタンスおよび抵抗をLsおよびRsで示してある。
本実施形態では、制御は3つのモードMOD1,MOD2,MOD3間を遷移し、各モードは、以下の電流条件に対応して定義される。
MOD2:−ir/2<iinv *<ir/2
MOD3:iinv *<−ir/2
iinv *は交流電流指令の瞬時値、irはこのときのリップル電流の大きさである。なお上記の各モードの電流条件において、不等号のみを使用し等号の記載はしていないが、MOD1の下限の電流値とMOD2の上限の電流値ir/2はMOD1,MOD2の何れかに属し、MOD2の下限の電流値とMOD3の上限の電流値ir/2はMOD2,MOD3の何れかに属するものとする。
リップル電流irは(7)式で表される。
ir={Vdc/2−Vo 2/(Vdc/2)}×Tc/2L (1)
Vdc:DC/DCコンバータの出力電圧
Vo:交流電圧の瞬時値
Tc:スイッチング周期
L:LCフィルタのインダクタのインダクタンス
MOD1では、Q11,Q22をPWM変調制御し、Q32,Q41をオフとする。
図4では(1)〜(2),(5)〜(6)の期間である。
MOD2では、デッドタイムを挿入しながら、全スイッチQ11,Q12,Q21
Q22についてPWM変調制御を行う。
図4では(2)〜(3),(4)〜(5)の期間である。
MOD3では、Q32,Q41をPWM変調制御し、Q31,Q42をオフとする。
図4では(3)〜(4)の期間である。
11,41 直流電源
12,42 DC/DCコンバータ
13,43 フルブリッジ構成のスイッチ回路
14,44 LCフィルタ
121,421 キャパシタ
13,43 スイッチ回路
14,44 LCフィルタ
141,441 インダクタ
142,442 キャパシタ
2,5 制御装置
21,54 PI制御部
22 切替え関数値演算部
23 スライディングモード制御部
24,52 ゲート信号生成部
25,53 DC/DCコンバータ制御部
31,61,63 電流検出器
32 電圧検出器
51 リップル電流演算部
62 電流検出器
Claims (10)
- 直流入力を交流出力に変換するブリッジ回路と、
前記ブリッジ回路からの交流電力波形を調整するLCフィルタと、
前記ブリッジ回路を構成するスイッチを制御する制御装置と、
を備えたインバータにおいて、
前記制御装置は、
PI制御を行うPI制御部と、
前記PI制御部の演算結果と出力電流の変化量とからなる切替え関数の値を演算する切替え関数値演算部と、
前記切替え関数値演算部による演算結果をもとに、変調パターン符号を生成してスライディングモード制御を行うスライディングモード制御部と、
前記スライディングモード制御部が生成した変調パターンに基づき、ブリッジ回路を構成する各スイッチのON・OFF動作を決定するゲート信号生成部と、
を備えたことを特徴とするインバータ。 - 電圧直流源の出力を昇圧するDC/DCコンバータをさらに備え、
前記ブリッジ回路は、前記DC/DCコンバータの出力を入力し、交流出力を、交流系統に供給する請求項1に記載のインバータであって、
前記出力電圧(交流系統電圧)の実効値に安全余裕値を付加した値を直流電圧指令値として、前記DC/DCコンバータの定電圧制御を行うDC/DCコンバータ制御部と、
を備えたことを特徴とするインバータ。 - 前記DC/DCコンバータの出力を直流リンク電圧として前記インバータが交流系統に連系することを特徴とする請求項2に記載のインバータ。
- 前記切替え関数値演算部は、切替え関数、
S=Upi−K(in−in-1)
Upi:前記PI制御部 の演算結果
in:出力電流の今周期の検出値
in-1:出力電流の1周期前の検出値
により切替関数の値を演算することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のインバータ。 - 前記ブリッジ回路が高圧側スイッチQ11,Q21と、低圧側スイッチQ12,Q22から構成されるフルブリッジである請求項1から4の何れかに記載のインバータであって、
前記変調パターン符号生成部は、
ヒステリシス係数をε、1,0,−1の3値をとるパターン符号をuiとして、
S>εかつun-1≧0のときは、un=1
S>εかつun-1<0のとき、またはS<−εかつun-1>0のときは、un=0
S<−εかつun-1≦0のときは、un=−1
を生成し、
前記PWMゲート信号生成部は、
un=1のときは、
Q11,Q22をPWM変調制御するとともに、Q12,Q21をオフし、
un=0のときは、
スイッチングデッドタイムを挿入して、Q11,Q12,Q21,Q22をPWM変調制御し、
un=−1のときは、
Q12,Q21をPWM変調制御するとともに、Q11,Q22をオフし、
前記PWMゲート信号生成部は、前記変調パターン符号生成部が、un=1,0,−1の何れの値も生成しないときは、以前の制御を保持する、
ことを特徴とするインバータ。 - 直流入力を交流出力に変換するブリッジ回路と、
前記ブリッジ回路からの交流電力波形を調整するLCフィルタと、
前記ブリッジ回路を構成するスイッチを制御する制御装置と、
を備えたインバータにおいて、
前記制御装置は、
前記LCフィルタのインダクタに流れるスイッチングリップル電流を演算するリップル電流演算部と、
前記リップル電流演算部によるスイッチングリプル電流の演算値の1/2の値と、交流電流指令の瞬時値 とを比較して前記ブリッジ回路を構成する各スイッチのON・OFF動作を決定するゲート信号生成部と、
を備えたことを特徴とするインバータ。 - 電圧直流源の出力を昇圧するDC/DCコンバータをさらに備え、
前記ブリッジ回路は、前記DC/DCコンバータの出力を入力し、交流出力を、交流系統に供給する請求項6に記載のインバータであって、
前記出力電圧(交流系統電圧)の実効値に安全余裕値を付加した値を直流電圧指令値として、前記DC/DCコンバータの定電圧制御を行うDC/DCコンバータ制御部と、
を備えたことを特徴とするインバータ。 - 前記DC/DCコンバータの出力を直流リンク電圧として前記インバータが交流系統に連系することを特徴とする請求項7に記載のインバータ。
- 前記リップル電流演算部は、
前記スイッチングリップル電流の値irを、
ir={Vdc/2−Vo 2/(Vdc/2)}×Tc/2L
Vdc:DC/DCコンバータの出力電圧
Vo:交流電圧の瞬時値
Tc:スイッチング周期
L:LCフィルタのインダクタのインダクタンス
により求めることを特徴とする請求項7または8に記載のインバータ。 - 前記ブリッジ回路が高圧側スイッチQ31,Q41と、低圧側スイッチQ32,Q42から構成されるフルブリッジである請求項6から9の何れかに記載のインバータであって、
前記PWMゲート信号生成部は、交流電流指令をiinv *、スイッチングリップル電流の値をirとして、
iinv *>Ir/2のときは、Q31,Q42をPWM変調制御するとともに、Q32,Q41をオフし、
iinv *<−Ir/2のときは、Q32,Q41をPWM変調制御するとともに、Q31,Q42をオフし、
−Ir/2<iinv *<Ir/2のときは、スイッチングデッドタイムを挿入して、Q31,Q32,Q41,Q42をPWM変調制御し、
ことを特徴とするインバータ。
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