以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において参照する各図は、本発明の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。すなわち、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかるプローブユニットの概略構成を示す斜視図である。図1に示すプローブユニット1は、検査対象物(接触対象物)である半導体集積回路100の電気特性検査を行う際に使用する装置であって、半導体集積回路100と半導体集積回路100へ検査用信号を出力する回路基板200との間を電気的に接続する装置である。
プローブユニット1は、長手方向の一方の端部側で半導体集積回路100の電極と接触するとともに、他方の端部側で回路基板200の電極とそれぞれ接触し、グランド電位を供給する複数のグランド用コンタクトプローブ2(以下、単に「グランド用プローブ2」という)と、長手方向の一方の端部側で半導体集積回路100の電極と接触するとともに、他方の端部側で回路基板200の電極とそれぞれ接触し、半導体集積回路100に対して所定信号の入出力を行う複数の信号用コンタクトプローブ3(以下、単に「信号用プローブ3」という)と、複数のグランド用プローブ2および複数の信号用プローブ3を所定のパターンにしたがって収容して保持するプローブホルダ4と、プローブホルダ4の周囲に設けられ、検査の際に複数の信号用プローブ3と接触する半導体集積回路100の位置ずれが生じるのを抑制するホルダ部材5と、を有する。
図2は、本実施の形態1にかかるプローブユニットの要部の構成を示す部分断面図である。グランド用プローブ2は、半導体集積回路100の検査を行なうときにその半導体集積回路100の接続用電極に接触する第1プランジャ21(第1接触部材)と、検査回路を備えた回路基板200の電極に接触する第2プランジャ22(第2接触部材)と、第1プランジャ21と第2プランジャ22との間に設けられて2つの第1プランジャ21および第2プランジャ22を伸縮自在に連結するコイルばね23とを備える。グランド用プローブ2を構成する第1プランジャ21および第2プランジャ22、ならびにコイルばね23は同一の軸線を有している。グランド用プローブ2は、半導体集積回路100をコンタクトさせた際に、コイルばね23が軸線方向に伸縮することによって半導体集積回路100の接続用電極への衝撃を和らげるとともに、半導体集積回路100および回路基板200に荷重を加える。
第1プランジャ21は、例えば金属などの導電性材料を用いて形成される。第1プランジャ21は、先細な先端形状をなす爪部21bを複数有する先端部21aと、先端部21aの基端側から延び、先端部21aの径と比して大きい径を有するフランジ部21cと、フランジ部21cの先端部21aに連なる側と異なる端部から延び、フランジ部21cの径と比して小さい径を有するボス部21dと、ボス部21dのフランジ部21cに連なる側と異なる端部から延び、ボス部21dの径と略同一の径を有する基端部21eとを同軸上に有する。
第2プランジャ22は、例えば金属などの導電性材料を用いて形成される。第2プランジャ22は、先細な先端形状を有する先端部22aと、先端部22aの基端側から延び、先端部22aの径と比して大きい径を有するフランジ部22bと、フランジ部22bの先端部22aに連なる側と異なる端部から延び、ボス部21dの径と略同一の径を有するボス部22cと、ボス部22cのフランジ部22bに連なる側と異なる端部から延び、ボス部21d,22cの径と比して若干小さい径を有する基端部22dとを同軸上に有する。この第2プランジャ22は、コイルばね23の伸縮作用によって軸線方向に移動が可能であり、コイルばね23の弾性力によって回路基板200方向に付勢され、回路基板200の電極と接触する。
コイルばね23は、金属や樹脂、または金属の表面に樹脂が被覆された材料などによって形成された線材が用いられる。コイルばね23は、第1プランジャ21側がボス部21dの径と略同一の内径で巻回された密着巻き部23aである一方、第2プランジャ22側が基端部22dの径以上の内径で所定ピッチに巻回された粗巻き部23bである。密着巻き部23aの端部は、例えばボス部21dに圧入されて、フランジ部21cに当接している。一方、粗巻き部23bの端部は、ボス部22cに圧入され、フランジ部22bに当接している。
信号用プローブ3は、半導体集積回路100の検査を行なうときにその半導体集積回路100の接続用電極に接触する第1プランジャ31と、検査回路を備えた回路基板200の電極に接触する第2プランジャ32と、第1プランジャ31と第2プランジャ32との間に設けられて2つの第1プランジャ31および第2プランジャ32を伸縮自在に連結するコイルばね33とを備える。信号用プローブ3を構成する第1プランジャ31および第2プランジャ32、ならびにコイルばね33は同一の軸線を有している。信号用プローブ3は、半導体集積回路100をコンタクトさせた際に、コイルばね33が軸線方向に伸縮することによって半導体集積回路100の接続用電極への衝撃を和らげるとともに、半導体集積回路100および回路基板200に荷重を加える。
第1プランジャ31は、例えば金属などの導電性材料を用いて形成される。第1プランジャ31は、先細な先端形状をなす爪部31bを複数有する先端部31a(第1接触部)と、先端部31aの基端側から延び、先端部31aの径と比して大きい径を有するフランジ部31cと、フランジ部31cの先端部31aに連なる側と異なる端部から延び、フランジ部31cの径と比して小さい径を有するボス部31dと、ボス部31dのフランジ部31cに連なる側と異なる端部から延び、ボス部31dの径と略同一の径を有する基端部31eとを同軸上に有する。
第2プランジャ32は、例えば金属などの導電性材料を用いて形成される。第2プランジャ32は、先細な先端形状を有する先端部32aと、先端部32aの基端側から延び、先端部32aの径と比して大きい径を有するフランジ部32bと、フランジ部32bの先端部32aに連なる側と異なる端部から延び、ボス部31dの径と略同一の径を有するボス部32cと、ボス部32cのフランジ部32bに連なる側と異なる端部から延び、ボス部31d,32cの径と略同一の径を有する基端部32dとを同軸上に有する。この第2プランジャ32は、コイルばね33の伸縮作用によって軸線方向に移動が可能であり、コイルばね33の弾性力によって回路基板200方向に付勢され、回路基板200の電極と接触する。
コイルばね33は、例えば金属などの導電性材料を用いて形成される。コイルばね33は、第1プランジャ31側がボス部31dの径と略同一の内径で巻回された密着巻き部33aである一方、第2プランジャ32側が基端部32dの径以上の内径で所定ピッチに巻回された粗巻き部33bである。密着巻き部23aの端部は、例えばボス部31dに圧入されて、フランジ部31cに当接している。一方、粗巻き部33bの端部は、ボス部32cに圧入され、フランジ部32bに当接している。
グランド用プローブ2は、対応する各部(第1プランジャ、第2プランジャおよびコイルばね)において、信号用プローブ3と比して大きい径を有している。
プローブホルダ4は、金属などの導電性材料を用いて形成され、図2の上面側に位置する第1部材41と下面側に位置する第2部材42とが積層されてなる金属ブロック40(導電ブロック)と、樹脂、マシナブルセラミック、シリコンなどの絶縁性材料を用いて形成され、第1部材41の上面に配置される略板状の第1絶縁プレート50と、樹脂、マシナブルセラミック、シリコンなどの絶縁性材料を用いて形成され、第2部材42の下面に配置される略板状の第2絶縁プレート60と、樹脂、マシナブルセラミック、シリコンなどの絶縁性材料を用いて形成され、金属ブロック40に収容される絶縁ブロック70と、を有する。
金属ブロック40、第1絶縁プレート50、第2絶縁プレート60および絶縁ブロック70は、それぞれが樹脂などの接着材や、ねじ止めなどによって固着されている。
第1部材41および第2部材42は、例えば金属などの導電性材料を用いて形成されている。また、第1部材41および第2部材42には、複数のグランド用プローブ2および信号用プローブ3を収容するための孔部であるホルダ孔43および44が同数ずつ形成され、グランド用プローブ2および信号用プローブ3を収容するホルダ孔43および44は、互いの軸線が一致するように形成されている。ホルダ孔43および44は、検査を行う半導体集積回路100において取られ得るすべての配線パターンを網羅する位置に形成される。なお、第1部材41および第2部材42は、金属のほか、導電性を有する材料であれば適用可能である。プローブホルダとしての強度の観点から、金属材料(合金を含む)を用いて形成されることが好ましい。
ホルダ孔43および44は、ともに貫通方向に沿って径が異なる段付き孔形状を有する。また、第1部材41には、下面側(第2部材42との積層側)に開口を有し、絶縁ブロック70を収容するとともに、複数のホルダ孔43とそれぞれ連通する孔である収容部45が形成されている。第1部材41と第2部材42との積層により、収容部45と第2部材42の上面とによって、略直方体状をなす中空空間を形成する。また、第1部材41と第2部材42との積層により、ホルダ孔43、ホルダ孔44および収容部45は、グランド用プローブ2または信号用プローブ3を挿通して収容する挿通孔をなす。
ホルダ孔43は、第1部材41の上面側に開口を有する小径部431と、および収容部45に連通し、小径部431よりも径が大きい大径部432とからなる。小径部431は、先端部21aの径と比して若干大きい径である。また、大径部432は、フランジ部21cの径および/またはコイルばね23の径と比して若干大きい径である。
他方、ホルダ孔44は、プローブホルダ3の下端面に開口を有する小径部441と、この小径部441よりも径が大きい大径部442とからなる。小径部441は、先端部22aと比して若干大きい径である。また、大径部442は、フランジ部22cの径および/またはコイルばね23の径と比して若干大きい径であって、大径部432bの径と略同一である。これらのホルダ孔43および44の形状は、収容するグランド用プローブ2の構成に応じて定められる。
第1絶縁プレート50は、第1部材41の外周面に対して着脱自在に設けられ、検査対象の半導体集積回路100の電極の配置に応じた孔が形成されている。第1絶縁プレート50には、上述した孔として、グランド用プローブ2の先端部21aを挿通可能な第1孔51(第1の孔)と、信号用プローブ3の先端部31aを挿通可能な第2孔52(第2の孔)と、が形成されている。第2孔52の開口の径は、先端部31aの径以上であって、先端部21aまたはフランジ部31cの径より小さければ適用可能である。
第2絶縁プレート60は、第2部材42の外周面に対して着脱自在に設けられ、検査対象の半導体集積回路100の電極の配置(回路基板200の電極の配置)に応じた孔が形成されている。第2絶縁プレート60には、上述した孔として、グランド用プローブ2の先端部22aを挿通可能な第1孔61(第3の孔)と、信号用プローブ3の先端部32aを挿通可能な第2孔62(第4の孔)と、が形成されている。第2孔62の開口の径は、先端部32aの径以上であって、先端部22aまたはフランジ部32bの径より小さければ適用可能である。
絶縁ブロック70は、収容部45に嵌合可能な略直方体状をなす。絶縁ブロック70には、検査対象の半導体集積回路100の電極の配置に応じた孔が形成されている。絶縁ブロック70には、上述した孔として、グランド用プローブ2のコイルばね23を挿通可能な第1孔71(第5の孔)と、信号用プローブ3のコイルばね33を挿通可能な第2孔72(第6の孔)と、が形成されている。第1孔71の開口の径は、大径部432b,442と略同一である。また、第2孔72の開口の径は、大径部432b,442の径と比して小さい。
プローブホルダ4では、金属プレート40に対して第1絶縁プレート50、第2絶縁プレート60および絶縁ブロック70が取り付けられた際に、ホルダ孔43,44、第1孔51、第1孔61、第1孔71の互いの軸線が一致する。また、このとき、ホルダ孔43,44、第2孔52、第2孔62、第2孔72においても、互いの軸線が一致している。
グランド用プローブ2は、第1プランジャ21の先端部21aが第1孔51から外部に突出している。フランジ部21cは、ホルダ孔43の小径部431と大径部432との境界壁面に当接することにより、グランド用プローブ2のプローブホルダ4からの抜止機能を有する。また、第2プランジャ22のフランジ部22bは、ホルダ孔44の小径部441と大径部442との境界壁面に当接することにより、グランド用プローブ2のプローブホルダ4からの抜止機能を有する。なお、ホルダ孔43,44の各境界壁面は、フランジ部21c,22b、コイルばね23の径にそれぞれ対応した段付き形状でもよい。
信号用プローブ3は、第1プランジャ31の先端部31aが第2孔52から外部に突出している。フランジ部31cは、第1絶縁プレート50の主面に当接することにより、信号用プローブ3のプローブホルダ4からの抜止機能を有する。また、第2プランジャ32のフランジ部32bは、第2絶縁プレート60の主面に当接することにより、信号用プローブ3のプローブホルダ4からの抜止機能を有する。
また、絶縁ブロック70の第2孔72の開口の径が大径部432,442よりも小さいため、大径部432,442と第2孔72とによって、第2孔72の壁面が内部に向けて突出した段付き形状が形成されている。信号用プローブ3は、第2孔52の径と先端部31aの径との差によって傾斜する場合や、コイルばね33の湾曲(撓み)によって弧状をなす場合があるが、この際、コイルばね33が上述した段付き形状の第2孔72の壁面に接触するため、信号用プローブ3が倒れるのを防止するとともに、金属ブロック40へ信号が流れることを防止する。
図3は、プローブユニット1を用いた半導体集積回路100の検査時の状態を示す図である。半導体集積回路100の検査時には、グランド用プローブ2が一端で半導体集積回路100のグランド用接続電極101と接触するとともに、他端で回路基板200のグランド用接続電極201と接触する。また、信号用プローブ3は、一端で半導体集積回路100の信号用接続電極102と接触するとともに、他端で回路基板200の信号用接続電極202と接触する。この際、半導体集積回路100からの接触荷重により、コイルばね23,33は長手方向に沿って圧縮された状態となる。
グランド用プローブ2では、半導体集積回路100からの接触荷重によりコイルばね23が圧縮されると、第2プランジャ22の基端部22dが、密着巻き部23a内に進入する。
信号用プローブ3では、半導体集積回路100からの接触荷重によりコイルばね33が圧縮されると、第2プランジャ32の基端部32dが密着巻き部33a内に進入し、密着巻き部33aの内周側と摺接する。この際には、第2プランジャ32の軸線が大きくぶれることはないため、基端部32dと密着巻き部33aの内周との摺接が安定するとともに、密着巻き部33aがわずかに蛇行するため、基端部32dとコイルばね33との接触抵抗が安定し、確実な導通が得られる。
検査時に回路基板200から半導体集積回路100に供給されるグランド電位は、回路基板200のグランド用接続電極201からグランド用プローブ2を経由して半導体集積回路100のグランド用接続電極101と同電位となる。具体的には、グランド用接続電極201から信号用プローブ2の第2プランジャ22、金属ブロック40、第1プランジャ21を経由して半導体集積回路100のグランド用接続電極101が同電位となる。このように、信号用プローブ2では、第2プランジャ22の先端部22aと第2部材42の小径部441との接触、および第1プランジャ21の先端部21aと第1部材41の小径部432aとの接触により、グランド電位の経路が形成される。
検査時に回路基板200から半導体集積回路100に供給される検査用信号は、回路基板200の信号用接続電極202から信号用プローブ3を経由して半導体集積回路100の信号用接続電極102へ到達する。具体的には、信号用プローブ3において、第2プランジャ32、密着巻き部33a、第1プランジャ31を経由して半導体集積回路100の信号用接続電極102へ到達する。このように、信号用プローブ3では、第1プランジャ31と第2プランジャ32が密着巻き部33aを介して導通するため、電気信号の導通経路を最小にすることができる。したがって、検査時に粗巻き部33bに信号が流れるのを防止し、インダクタンスの低減および安定化を図ることができる。
図4は、本実施の形態1にかかるプローブユニットの要部の構成を示す部分断面図であって、図2におけるプローブの配置とは異なる配置の一例を示す図である。今回使用する半導体集積回路の電極配置が前回使用した半導体集積回路(例えば半導体集積回路100)の電極配置と異なる場合、第1絶縁プレート50、第2絶縁プレート60および絶縁ブロック70を交換してなるプローブユニット1aにより、対応可能である。
図4に示すプローブホルダ4aは、上述した金属ブロック40と、樹脂、マシナブルセラミック、シリコンなどの絶縁性材料を用いて形成され、第1部材41の上面に配置される略板状の第1絶縁プレート50aと、樹脂、マシナブルセラミック、シリコンなどの絶縁性材料を用いて形成され、第2部材42の下面に配置される略板状の第2絶縁プレート60aと、樹脂、マシナブルセラミック、シリコンなどの絶縁性材料を用いて形成され、第1部材41の下面側で収容されて配置される絶縁ブロック70aと、を有する。
第1絶縁プレート50aには、グランド用プローブ2の先端部21aを挿通可能な第1孔51aと、信号用プローブ3の先端部31aを挿通可能な第2孔52aと、が形成されている。第2孔52aの開口の径は、先端部31aの径以上であって、先端部21aまたはフランジ部31cの径より小さければ適用可能である。
第2絶縁プレート60aには、グランド用プローブ2の先端部22aを挿通可能な第1孔61aと、信号用プローブ3の先端部32aを挿通可能な第2孔62aと、が形成されている。第2孔62aの開口の径は、先端部32aの径以上であって、先端部22aまたはフランジ部32bの径より小さければ適用可能である。
絶縁ブロック70aは、収容部45に嵌合可能な略直方体状をなす。絶縁ブロック70aには、グランド用プローブ2のコイルばね23を挿通可能な第1孔71aと、信号用プローブ3のコイルばね33を挿通可能な第2孔72aと、が形成されている。第1孔71aの開口の径は、大径部432b,442と略同一である。また、第2孔72aの開口の径は、大径部432b,442よりも小さい。
プローブホルダ4aでは、金属プレート40に対して第1絶縁プレート50a、第2絶縁プレート60aおよび絶縁ブロック70aが取り付けられた際に、ホルダ孔43,44、第1孔51a、第1孔61a、第1孔71aの互いの軸線が一致する。また、このとき、ホルダ孔43,44、第2孔52a、第2孔62a、第2孔72aにおいても、互いの軸線が一致している。
このように、使用する半導体集積回路の電極パターンに応じて孔が形成された第1絶縁プレート50a、第2絶縁プレート60aおよび絶縁ブロック70aに交換することによって、プローブの配置を変更することができる。また、金属ブロック40は、使用する半導体集積回路ごとに新たに用意する必要がないため、新たな金属ブロックの製造にかかるコストの削減や、新たな金属ブロックを作製する際の加工処理の手間などを省くことができる。
ここで、樹脂、マシナブルセラミック、シリコンなどの絶縁性材料を用いて形成される絶縁プレートおよび絶縁ブロックは、金属ブロック40を作製する場合と比して、成形処理や孔の形成処理が容易である。このような観点からも、使用する半導体集積回路の電極パターンに応じて絶縁プレートおよび絶縁ブロックを作製し、金属ブロックに取り付けることが好ましい。
また、配置され得る電極位置全てに孔が形成された金属ブロック40に対し、第1絶縁プレート50、第2絶縁プレート60および絶縁ブロック70や、第1絶縁プレート50a、第2絶縁プレート60aおよび絶縁ブロック70aでは、電極配置に応じてプローブ(グランド用プローブ2および信号用プローブ3)を挿通する孔が形成される。このため、絶縁プレートおよび絶縁ブロック、例えば、第1絶縁プレート50、第2絶縁プレート60および絶縁ブロック70が金属ブロック40に取り付けられた際、電極配置に対応しないホルダ孔43は、第1絶縁プレート50と絶縁ブロック70とによって封鎖される。同様に、電極配置に対応しないホルダ孔44は、第2絶縁プレート60と絶縁ブロック70とによって封鎖される。これにより、金属ブロック40のホルダ孔43,44へのプローブの誤配置を防止することができる。
上述した実施の形態1によれば、配置され得る電極位置全てにプローブ(グランド用プローブ2および信号用プローブ3)を挿通可能な孔が形成された金属ブロック40に対し、プローブを挿通可能な孔が電極配置に応じて形成された第1絶縁プレート50、第2絶縁プレート60および絶縁ブロック70(第1絶縁プレート50a、第2絶縁プレート60aおよび絶縁ブロック70a)を使用する半導体集積回路100に応じて交換するようにしたので、プローブの配置の変更が可能であるとともに、プローブを適切に配置することができる。
(実施の形態1の変形例)
図5は、本実施の形態1の変形例にかかるプローブユニットの要部の構成を示す部分断面図である。上述した実施の形態1では、収容部45が第1部材41に形成されるものとして説明したが、本変形例では、第1部材および第2部材により収容部が形成される。
変形例にかかるプローブユニット1bは、複数のグランド用プローブ2および複数の信号用プローブ3を所定のパターンにしたがって収容して保持するプローブホルダ4bと、プローブホルダ4bの周囲に設けられ、検査の際に複数の信号用プローブ3と接触する半導体集積回路100の位置ずれが生じるのを抑制するホルダ部材(図示せず)と、を有する。
プローブホルダ4bは、上述した第1絶縁プレート50、第2絶縁プレート60、絶縁ブロック70と、金属などの導電性材料を用いて形成され、図5の上面側に位置する第1部材41aと下面側に位置する第2部材42aとが積層されてなる金属ブロック40aと、を有する。
第1部材41aおよび第2部材42aには、上述した第1部材41および第2部材42のように、複数のグランド用プローブ2および信号用プローブ3を収容するためのホルダ孔43および44が同数ずつ形成され、グランド用プローブ2および信号用プローブ3を収容するホルダ孔43および44は、互いの軸線が一致するように形成されている。ホルダ孔43および44は、検査を行う半導体集積回路100において、取り得るすべての配線パターンを網羅する位置に形成される。
また、第1部材41aには、下面側(第2部材42aとの積層側)に開口を有し、絶縁ブロック70の一部を収容するとともに、複数のホルダ孔43とそれぞれ連通する孔である第1収容部45aが形成されている。
第2部材42aには、上面側(第1部材41aとの積層側)に開口を有し、絶縁ブロック70の一部を収容するとともに、複数のホルダ孔44とそれぞれ連通する孔である第2収容部45bが形成されている。
第1部材41aと第2部材42aとが積層されると、第1収容部45aおよび第2収容部45bにより、略直方体状をなす中空空間を形成する。この中空空間は、絶縁ブロック70を嵌合可能な形状をなし、上述した収容部45と同等となる。
上述した変形例によれば、配置され得る電極位置全てにプローブ(グランド用プローブ2および信号用プローブ3)を挿通可能な孔が形成された金属ブロック40bに対し、プローブを挿通可能な孔が電極配置に応じて形成された第1絶縁プレート50、第2絶縁プレート60および絶縁ブロック70(第1絶縁プレート50a、第2絶縁プレート60aおよび絶縁ブロック70a)を使用する半導体集積回路100に応じて交換するようにしたので、プローブの配置の変更が可能であるとともに、プローブを適切に配置することができる。
また、上述した変形例によれば、例えば、第2部材42aの第2収容部45bに絶縁ブロック70の一部を収容した状態で第2部材42aを第1部材41aに取り付ける際、絶縁ブロック70を第1収容部45aに収容させて第1部材41aおよび第2部材42aを積層することによって、絶縁ブロック70が位置決めピンの役割を担う。これにより、第1部材41aと第2部材42aとの取り付けを一段と容易かつ確実なものとすることができる。
(実施の形態2)
図6は、本実施の形態2にかかるプローブユニットの要部の構成を示す部分断面図である。なお、上述した構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付してある。上述した実施の形態1では、信号用プローブ3が第1絶縁プレート50および第2絶縁プレート60に係止されるものとして説明したが、本実施の形態2では、信号用プローブ3aが、絶縁ブロック70bに係止される。
本実施の形態2にかかるプローブユニット1cは、複数のグランド用プローブ2および複数の信号用プローブ3aを所定のパターンにしたがって収容して保持するプローブホルダ4cと、プローブホルダ4cの周囲に設けられ、検査の際に複数の信号用プローブ3aと接触する半導体集積回路100の位置ずれが生じるのを抑制するホルダ部材(図示せず)と、を有する。
信号用プローブ3aは、半導体集積回路100の検査を行なうときにその半導体集積回路100の接続用電極に接触する第1プランジャ34と、検査回路を備えた回路基板200の電極に接触する第2プランジャ35と、第1プランジャ34と第2プランジャ35とを伸縮自在に連結するコイルばね33とを備える。
第1プランジャ34は、例えば金属などの導電性材料を用いて形成され、上述したフランジ部31c、ボス部31dおよび基端部31eと、先細な先端形状をなす爪部31bを複数有する先端部31f(第1接触部)と、を同軸上に有する。なお、先端部31fは、上述した先端部31aと比して長手方向の長さを長くしたものである。
第2プランジャ35は、例えば金属などの導電性材料を用いて形成され、上述したフランジ部32bおよびボス部32cと、先細な先端形状をなす爪部31bを複数有する先端部32e(第2接触部)と、ボス部32cのフランジ部32bに連なる側と異なる端部から延び、ボス部31d,32cの径と略同一の径を有する基端部32fと、を同軸上に有する。なお、先端部32eは、上述した先端部32aと比して長手方向の長さを長くしたものである。基端部32fは、上述した基端部32dと比して長手方向の長さを短くしたものである。
プローブホルダ4cは、上述した第1絶縁プレート50、第2絶縁プレート60と、金属などの導電性材料を用いて形成され、図6の上面側に位置する第1部材41bと下面側に位置する第2部材42bとが積層されてなる金属ブロック40bと、樹脂、マシナブルセラミック、シリコンなどの絶縁性材料を用いて形成され、図6の上面側に位置する第1部材73と下面側に位置する第2部材74とが積層されてなり、金属ブロック40bに収容される絶縁ブロック70bと、を有する。
第1部材41bおよび第2部材42bには、上述した小径部431および441(孔部)が同数ずつ形成されている。また、第1部材41bは、下面側(第2部材42bとの積層側)に開口を有し、絶縁ブロック70bの一部を収容するとともに、複数の小径部431とそれぞれ連通する孔である第1収容部433を有し、小径部431および第1収容部433によりホルダ孔43aを形成している。第2部材42bは、上面側(第1部材41bとの積層側)に開口を有し、絶縁ブロック70bの一部を収容するとともに、複数の小径部441とそれぞれ連通する孔である第2収容部443を有し、小径部441および第2収容部443によりホルダ孔44aを形成している。
第1部材41aと第2部材42aとが積層されると、第1収容部433および第2収容部443が、略直方体状をなす中空空間を形成する収容部をなす。この収容部の中空空間は、絶縁ブロック70bを嵌合可能な形状をなす。
絶縁ブロック70bの第1部材73および第2部材74には、複数のグランド用プローブ2および信号用プローブ3を挿通するための孔部である第1孔75および第2孔76が形成されている。第1孔75および第2孔76は、グランド用プローブ2および信号用プローブ3aの配置に応じて形成される。
第1孔75は、第1部材73と第2部材74との積層により柱状の中空空間を形成する。具体的には、第1孔75は、第1部材73に形成される柱状の孔である孔部731と、第2部材74に形成される柱状の孔である孔部741と、からなる。孔部731および741は、グランド用プローブ2外周の最大径と比して若干大きい径である。
他方、第2孔76は、第1部材73と第2部材74との積層により、貫通方向に沿って径が異なる段付き孔形状をなす。第2孔76は、第1部材73に形成され、絶縁ブロック70bの上端面に開口を有する小径部732a、およびこの小径部732aよりも径が大きい大径部732bからなる孔部732と、絶縁ブロック70bの下端面に開口を有する小径部742a、およびこの小径部742aよりも径が大きい大径部742bからなる孔部742と、からなる。小径部732aは、先端部31fと比して若干大きい径である。また、大径部732bは、フランジ部31cの径および/またはコイルばね33の径と比して若干大きい径である。小径部742aは、先端部32eと比して若干大きい径である。また、大径部742bは、フランジ部32bの径および/またはコイルばね33の径と比して若干大きい径であって、大径部732bと同等の径である。
信号用プローブ3aは、第1プランジャ34の先端部31fが第2孔52から外部に突出している。このとき、フランジ部31cは、絶縁ブロック70bの小径部732aと大径部732bとがなす段部に当接することにより、信号用プローブ3のプローブホルダ4からの抜止機能を有する。また、第2プランジャ35のフランジ部32bは、絶縁ブロック70bの小径部742aと大径部742bとがなす段部に当接することにより、信号用プローブ3aのプローブホルダ4cからの抜止機能を有する。
上述した実施の形態2によれば、上述した実施の形態1と同様に、配置され得る電極位置全てにプローブ(グランド用プローブ2および信号用プローブ3a)を挿通可能な孔が形成された金属ブロック40cに対し、プローブを挿通可能な孔が電極配置に応じて形成された第1絶縁プレート50、第2絶縁プレート60および絶縁ブロック70bを使用する半導体集積回路100に応じて交換可能にしたので、プローブの配置の変更が可能であるとともに、プローブを適切に配置することができる。
上述した実施の形態2では、第1絶縁プレート50、第2絶縁プレート60および絶縁ブロック70bを交換することによってプローブの配置変更を行うことができるが、少なくとも絶縁ブロック70bがプローブの配置に応じて孔の配置や径が異なっていればよい。具体的には、例えば絶縁ブロックがプローブの配置に応じて孔が形成されていれば、第1絶縁プレートおよび第2絶縁プレートには金属ブロックと同等の孔(小径部431および441)が形成されるものであってもよい。これにより、絶縁ブロック70bを交換するのみでプローブの配置変更に対応することができる。
なお、上述したプローブは、各孔において係止可能であれば、プランジャとコイルばねで構成されるものに限らず、ポゴピン、またはワイヤーを弓状に撓ませて荷重を得るワイヤープローブでもよい。また、グランド用プローブ2は、回路基板200から半導体集積回路100へ電源を供給する給電用のコンタクトプローブに代えても適用可能である。
また、上述した実施の形態1では、図2〜5に示すホルダ孔43,44において、プローブを収容していない孔があるものとして説明したが、プローブユニットとして配設し得るプローブの数が同じであって、孔の形成位置が同じである場合は、プローブを収容していない孔は存在しないこととなる。すなわち、すべてのホルダ孔43,44にグランド用プローブ2および信号用プローブ3のいずれかが収容され、検査を行う半導体集積回路の電極配置によって収容するプローブを、グランド用プローブ2から信号用プローブ3に交換する場合、または信号用プローブ3からグランド用プローブ2に交換する場合もある。
また、上述した実施の形態1,2において、各フランジ部の各先端部側の端部およびホルダ孔の大径部と小径部との各境界壁面がテーパ状をなすものであってもよい。これにより、グランド用プローブ2をプローブホルダ4〜4bに取り付けた場合のグランド用プローブ2の軸線方向と垂直な方向の位置決めを一段と確実に行うことができる。
また、上述した実施の形態1,2において、第1絶縁プレート50(50a)および第2絶縁プレート60(60a)は、厚みが同等(同一形状)であってもよいし、厚みが異なっていてもよい。また、第1孔同士の開口の径、または第2孔同士の開口の径は同一であってもよいし、第1孔同士の開口の径、または第2孔同士の開口の径が異なるものであってもよい。
また、上述した実施の形態1において、絶縁ブロック70を収容する収容部45が、第1部材41に形成されるものとして説明したが、第2部材42に形成されるものであってもよい。
また、上述した実施の形態1,2において、回路基板200と接触する先端部22a,32a,32eが、一つの頭頂部を有する略錘状をなすものとして説明したが、先端部21a,31a,31fのように、複数の爪部(頭頂部)を有するものであってもよい。
また、上述した実施の形態1,2において、コイルばね23が、密着巻き部23aおよび粗巻き部23bからなるものとして説明したが、すべてが密着巻きで巻回されていてもよいし、すべてが粗巻きで巻回されていてもよい。
以上のように、本発明にかかるプローブユニットは、コンタクトプローブの配置の変更が可能であるとともに、コンタクトプローブを適切に配置することに有用である。