以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
以下に、本実施形態に係る電子部品供給装置及び電子部品実装装置について図面を参照しつつ説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。以下の実施形態に共通して使用される電子部品実装装置は、リードを有し、当該リードが、基板の基板孔(挿入穴、穴)に挿入されることで、基板に実装される電子部品、いわゆる挿入型電子部品を実装する電子部品実装装置である。電子部品実装装置は、挿入型電子部品(リード型電子部品)を実装する機能を備えている。ここで、挿入型電子部品は、リードが基板に形成された穴に挿入されることで実装されるものである。また、挿入穴(基板孔)に挿入されずに基板上に搭載される電子部品、例えばSOP、QFP等は、搭載型電子部品とする。なお、電子部品実装装置は、基板上に搭載される搭載型電子部品を実装する機能を備えていてもよい。以下の実施形態の電子部品実装装置10は、搭載型電子部品と挿入型電子部品の両方を実装する機能を備える。
次に、本実施形態の電子部品実装装置10について説明する。電子部品実装装置10は、搭載型電子部品と挿入型電子部品の両方を実装することができる。すなわち、基板上に載せることで実装される搭載型電子部品とリードを基板の挿入穴に差し込んで実装するリード型電子部品(挿入型電子部品)との両方を実装することができる装置である。電子部品実装装置10は、1台で搭載型電子部品とリード型電子部品の両方を実装することも、いずれか一方のみを実装することもできる。電子部品実装装置10は、このように搭載型電子部品とリード型電子部品の両方を実装することが可能であり、製造する基板や他の電子部品実装装置のレイアウトに応じて、種々の用途で使用することができる。
図1は、電子部品実装装置の概略構成を示す模式図である。図1に示す電子部品実装装置10は、基板8の上に電子部品を搭載する装置である。電子部品実装装置10は、筐体11と、基板搬送部12と、部品供給ユニット14f、14rと、ヘッド15と、XY移動機構16と、VCSユニット17と、交換ノズル保持機構18と、部品貯留部19と、制御装置20と、操作部26と、表示部27と、を有する。なお、XY移動機構16は、X軸駆動部22と、Y軸駆動部24と、を備える。ここで、本実施形態の電子部品実装装置10は、図1に示すように、基板搬送部12を中心にしてフロント側とリア側に部品供給ユニット14f、14rを備える。電子部品実装装置10は、部品供給ユニット14fが電子部品実装装置10のフロント側に配置され、部品供給ユニット14rが電子部品実装装置10のリア側に配置される。また、以下では、2つの部品供給ユニット14f、14rを特に区別しない場合、部品供給ユニット14とする。
基板8は、電子部品を搭載する部材であればよく、その構成は特に限定されない。本実施形態の基板8は、板状部材であり、表面に配線パターンが設けられている。基板8に設けられた配線パターンの表面には、リフローによって板状部材の配線パターンと電子部品とを接合する接合部材であるはんだが付着している。また、基板8には、電子部品が挿入されるスルーホール(挿入穴、基板孔)も形成されている。
基板搬送部12は、基板8を図中X軸方向に搬送する搬送機構である。基板搬送部12は、X軸方向に延在するレールと、基板8を支持し、基板8をレールに沿って移動させる搬送機構とを有する。基板搬送部12は、基板8の搭載対象面がヘッド15と対面する向きで、基板8を搬送機構によりレールに沿って移動させることで基板8をX軸方向に搬送する。基板搬送部12は、電子部品実装装置10に供給する機器から供給された基板8を、レール上の所定位置まで搬送する。ヘッド15は、所定位置で、電子部品を基板8の表面に搭載する。基板搬送部12は、前記所定位置まで搬送した基板8上に電子部品が搭載されたら、基板8を、次の工程を行う装置に搬送する。なお、基板搬送部12の搬送機構としては、種々の構成を用いることができる。例えば、基板8の搬送方向に沿って配置されたレールと前記レールに沿って回転するエンドレスベルトとを組合せ、前記エンドレスベルトに基板8を搭載した状態で搬送する、搬送機構を一体としたベルト方式の搬送機構を用いることができる。
電子部品実装装置10は、フロント側に部品供給ユニット14fが配置され、リア側に部品供給ユニット14rが配置されている。フロント側の部品供給ユニット14fと、リア側の部品供給ユニット14rは、それぞれ基板8上に搭載する電子部品を多数保持し、ヘッド15に供給可能、つまり、ヘッド15で保持(吸着または把持)可能な状態で保持位置に供給する電子部品供給装置を備える。電子部品供給装置については後で詳細に説明する。なお本実施形態の部品供給ユニット14f、14rにより供給される電子部品は同種のものでもよく、異なっていてもよい。
図2は、部品供給ユニットの一例の概略構成を示す模式図である。部品供給ユニット14は、図2に示すように、複数の電子部品供給装置(以下、単に「部品供給装置」ともいう。)90、90aを有する。
具体的には、部品供給ユニット14は、複数のリード型電子部品(挿入型電子部品)を保持位置に供給し、当該保持位置でヘッドに備えた吸着ノズルまたは把持ノズルで保持可能とする電子部品供給装置90を複数装着することに加え、複数の搭載型電子部品をテープ本体に固定した電子部品保持テープ(チップ部品テープ)を装着し、当該電子部品保持テープで保持した搭載型電子部品の保持位置(第1保持位置)でテープ本体から剥がし、当該保持位置にある搭載型電子部品をヘッドに備えた吸着ノズルまたは把持ノズルで保持可能とする電子部品供給装置90aを備えている。部品供給ユニット14は、その他電子部品供給装置90aとしてスティックフィーダやトレイフィーダを設置してもよい。図2に示す複数の部品供給装置90、90aは、支持台(バンク)96に保持される。また、支持台96は、部品供給装置90、90aの他の装置(例えば、計測装置やカメラ等)を搭載することができる。
部品供給ユニット14は、支持台96に保持されている複数の電子部品供給装置90、90aが、搭載する電子部品の種類、電子部品を保持する機構または供給機構が異なる複数種類の電子部品供給装置90、90aで構成される。また、部品供給ユニット14は、同一種類の電子部品供給装置90、90aを複数備えていてもよい。また、部品供給ユニット14は、装置本体に対して着脱可能な構成とすることが好ましい。
部品供給装置90は、ヘッド15にリード型電子部品を供給する。部品供給装置90は、スティックケース内に一列に収容されたリード型電子部品を所定方向に移動させることで、当該電子部品をヘッド15のノズルにより電子部品が保持できる保持位置(吸着位置、把持位置、保持領域)まで移動させるスティックフィーダである。部品供給装置90は、保持位置まで、リード型電子部品を移動させることで、当該リード型電子部品をヘッド15のノズルにより保持(吸着、把持)させることができる。部品供給装置90については後述する。なお、複数の部品供給装置90は、それぞれ異なる品種の電子部品を供給しても、別々の電子部品を供給してもよい。また、部品供給装置90は、スティックフィーダに加え、テープに複数のラジアルリード型電子部品のリードを貼り付けて構成される電子部品保持テープを使用してヘッド15にラジアルリード型電子部品を供給するテープフィーダ、ボウルフィーダ、アキシャルフィーダ及びトレイフィーダ等を用いることもできる。
電子部品供給装置90aは、基板に搭載するチップ型の電子部品をテープに貼り付けて構成される電子部品保持テープを使用してヘッド15に電子部品を供給する。なお、電子部品保持テープは、テープに複数の格納室が形成されており、当該格納室に電子部品が格納されている。電子部品供給装置90aは、電子部品保持テープを保持し、保持している電子部品保持テープを送り、格納室をスティックケース内に一列に収容されたチップ型の電子部品を振動により送り出すことによりヘッド15のノズルにより電子部品を吸着できる保持領域まで移動させるスティックテープフィーダである。なお、格納室を保持領域に移動させることで、当該格納室に収容されている電子部品を所定位置に露出した状態とすることができ、当該電子部品をヘッド15のノズルにより吸着、把持することができる。電子部品供給装置90aは、テープフィーダに限定されず、チップ型電子部品を供給する種々のチップ部品フィーダとすることができる。チップ部品フィーダとしては、例えば、スティックフィーダ、テープフィーダ、バルクフィーダを用いることができる。
ヘッド15は、部品供給ユニット14fに保持された電子部品または部品供給ユニット14rに保持された電子部品をノズルで保持(吸着または把持)し、保持した電子部品を基板搬送部12によって所定位置に移動された基板8上に実装する機構である。また、ヘッド15は、部品供給ユニット14rが電子部品供給装置90aを備えている場合、電子部品供給装置90aに保持されたチップ型電子部品(搭載型電子部品)を基板8上に搭載(実装)する機構である。なお、ヘッド15の構成については、後述する。なお、チップ型電子部品(搭載型電子部品)とは、基板8に形成された挿入穴(スルーホール)に挿入するリードを備えないリードなし電子部品である。搭載型電子部品としては、上述したようにSOP、QFP等が例示される。チップ型電子部品は、リードを挿入穴に挿入せずに、基板8に実装される。
XY移動機構16は、ヘッド15を図1中X軸方向及びY軸方向、つまり、基板8の表面と平行な面上で移動させる移動機構でありX軸駆動部22とY軸駆動部24とを有する。X軸駆動部22は、ヘッド15と連結しており、ヘッド15をX軸方向に移動させる。Y軸駆動部24は、X軸駆動部22を介してヘッド15と連結しており、X軸駆動部22をY軸方向に移動させることで、ヘッド15をY軸方向に移動させる。XY移動機構16は、ヘッド15をXY軸方向に移動させることで、ヘッド15を基板8と対面する位置、または、部品供給ユニット14f、14rと対面する位置に移動させることができる。また、XY移動機構16は、ヘッド15を移動させることで、ヘッド15と基板8との相対位置を調整する。これにより、ヘッド15が保持した電子部品を基板8の表面の任意の位置に移動させることができ、電子部品を基板8の表面の任意の位置に搭載することが可能となる。つまり、XY移動機構16は、ヘッド15を水平面(XY平面)上で移動させて、部品供給ユニット14f、14rの電子部品供給装置90、90aにある電子部品を基板8の所定位置(搭載位置、実装位置)に移送する移送手段となる。なお、X軸駆動部22としては、ヘッド15を所定の方向に移動させる種々の機構を用いることができる。Y軸駆動部24としては、X軸駆動部22を所定の方向に移動させる種々の機構を用いることができる。対象物を所定の方向に移動させる機構としては、例えば、リニアモータ、ラックアンドピニオン、ボールねじを用いた搬送機構、ベルトを利用した搬送機構等を用いることができる。
VCSユニット17と、交換ノズル保持機構18と、部品貯留部19とは、XY平面において、ヘッド15の可動領域と重なる位置で、かつ、Z方向における位置がヘッド15よりも鉛直方向下側となる位置に配置されている。本実施形態では、VCSユニット17と、交換ノズル保持機構18と、部品貯留部19とは、基板搬送部12と部品供給ユニット14rとの間に、隣接して配置される。
VCSユニット(部品状態検出部、状態検出部)17は、画像認識装置であり、ヘッド15のノズル近傍を撮影するカメラや、撮影領域を照明する照明ユニットを有する。VCSユニット17は、ヘッド15のノズルで吸着された電子部品の形状や、ノズルによる電子部品の保持状態を認識する。より具体的には、VCSユニット17は、対面する位置にヘッド15が移動されると、ヘッド15のノズルを鉛直方向下側から撮影し、撮影した画像を解析することで、ノズルで吸着された電子部品の形状や、ノズルによる電子部品の保持状態を認識する。VCSユニット17は、取得した情報を制御装置20に送る。
交換ノズル保持機構18は、複数種類のノズルを保持する機構である。交換ノズル保持機構18は、複数種類のノズルをヘッド15が着脱交換可能な状態で保持する。ここで、本実施形態の交換ノズル保持機構18は、電子部品を吸引することで保持する吸引ノズルと、電子部品を把持することで保持する把持ノズルと、を保持している。ヘッド15は、交換ノズル保持機構18で装着するノズルを変更し、装着されたノズルに対して空気圧を供給して駆動することで、保持する電子部品を適切な条件(吸引または把持)で保持することができる。
部品貯留部19は、ヘッド15がノズルで保持し、基板8に実装しない電子部品を貯留する箱である。つまり、電子部品実装装置10では、基板8に実装しない電子部品を廃棄する廃棄ボックスとなる。電子部品実装装置10は、ヘッド15が保持している電子部品の中に基板8に実装しない電子部品がある場合、ヘッド15を部品貯留部19と対面する位置に移動させ、保持している電子部品を解放することで、電子部品を部品貯留部19に投入する。
制御装置20は、電子部品実装装置10の各部を制御する。制御装置20は、各種制御部の集合体である。操作部26は、作業者が操作を入力する入力デバイスである。操作部26としては、キーボード、マウス、タッチパネル等が例示される。操作部26は検出した各種入力を制御装置20に送る。表示部27は、作業者に各種情報を表示する画面である。表示部27としては、タッチパネル、ビジョンモニタ等がある。表示部27は、制御装置20から入力される画像信号に基づいて各種画像を表示させる。
なお、本実施形態の電子部品実装装置10は、ヘッドを1つとしたが部品供給ユニット14f、14rのそれぞれに対応して2つのヘッドを設けてもよい。この場合、X軸駆動部を2つ設け、2つのヘッドをそれぞれXY方向に移動させることで、2つのヘッドを独立して移動させることができる。さらに、電子部品実装装置10は、基板搬送部12を平行に2つ配置することも好ましい。電子部品実装装置10は、2つの基板搬送部12で2つの基板8を交互に電子部品搭載位置に移動させ、前記2つのヘッド15で交互に部品搭載すれば、さらに効率よく基板8に電子部品を搭載することができる。
次に、図3及び図4を用いて、ヘッド15の構成について説明する。図3は、電子部品実装装置のヘッドの概略構成を示す模式図である。図4は、電子部品実装装置のヘッドの概略構成を示す模式図である。なお、図3には、電子部品実装装置10を制御する各種制御部と部品供給ユニット14rの1つの部品供給装置90もあわせて示す。ヘッド15は、図3及び図4に示すように、ヘッド本体30と撮影装置(基板状態検出部)36と高さセンサ(基板状態検出部)37とレーザ認識装置(部品状態検出部、状態検出部)38と、を有する。
電子部品実装装置10は、図3に示すように、制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64と、を有する。制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64とは、上述した制御装置20の一部である。また、電子部品実装装置10は、電源と接続されており電源から供給される電力を制御部60、ヘッド制御部62、部品供給制御部64及び各種回路を用いて、各部に供給する。制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64とについては後述する。
電子部品供給装置(フィーダ)90は、電子部品80を供給する機構である。本実施形態において電子部品80は、電子部品本体(以下単に「本体」という。)82と、本体82と連結した複数本のリード84と、を有する。このような電子部品80としては集積回路を例示することができる。電子部品供給装置90による部品の供給は後述する。
ヘッド本体30は、各部を支持するヘッド支持体31と、複数のノズル32と、ノズル駆動部34と、を有する。本実施形態のヘッド本体30には、図4に示すように、6本のノズル32が一列に配置されている。6本のノズル32は、X軸に平行な方向に並んでいる。なお、図4に示すノズル32は、いずれも電子部品80を吸着して保持する吸着ノズルが配置されている。
ヘッド支持体31は、X軸駆動部22と連結してノズル32及びノズル駆動部34を支持する。なお、ヘッド支持体31は、レーザ認識装置38も支持している。
ノズル32は、電子部品80を吸着し、保持する吸着機構である。ノズル32は、先端に開口32aを有する。開口32aは、内部の空洞及びノズル保持部33の空洞を介してノズル駆動部34に連結されている。ノズル32は、この開口32aから空気を吸引することで、先端に電子部品80を吸着し、保持する。ノズル32は、ノズル保持部33に対して着脱可能であり、ノズル保持部33に装着されていない場合、交換ノズル機構18に保管(格納)される。また、ノズル32は、開口32aの形状や、大きさが種々のものがある。また、本実施形態では、電子部品を吸着するための開口を備える吸着型のノズルを示したが、空気圧により稼動するアームを用い、電子部品を挟み込むことで保持するは把持型のノズルも用いることができる。
ノズル保持部33は、鉛直方向下側の端部(先端)でノズル32を保持する機構であり、例えば、ノズル駆動部34にとってノズル支持体31に対して移動するシャフトと、ノズル32と連結するソケットと、を有する。シャフトは、棒状の部材であり、Z軸方向に延在して配置されている。シャフトは、鉛直方向下側の端部に配置されたソケットを支持する。シャフトは、ソケットに連結する部分がZ軸方向に移動可能な状態及びθ方向に回転可能な状態でヘッド支持体31に対して支持されている。ここで、Z軸は、XY平面に対して直交する軸であり、基板8の表面に対して直交する方向となる。θ方向とは、すなわち、ノズル駆動部34がノズル32を移動させる方向と平行な軸であるZ軸を中心とした円の円周方向と平行な方向である。θ方向は、ノズル32の回動方向となる。シャフトは、ソケットに連結する部分がノズル駆動部34によってZ軸方向及びθ方向に移動、回転される。
ノズル駆動部34は、ノズル保持部33をZ軸方向に移動させることでノズル32をZ軸方向に移動させ、ノズル32の開口32aで電子部品80を吸着させる。また、ノズル駆動部34は、電子部品80の実装時等にノズル保持部33をθ方向に回転させることでノズル32をθ方向に回転させる。
ノズル駆動部34は、ノズル32をZ軸方向に移動させる機構として、Z軸モータ34a、具体的には、Z軸方向が駆動方向となる直動リニアモータを有する機構がある。ノズル駆動部34は、Z軸モータ34aでノズル保持部33とともにノズル32をZ軸方向に移動させることで、ノズル32の先端部の開口32aのシャフトをZ軸方向に移動させる。また、ノズル駆動部34は、ノズル32をθ方向に回転させる機構として、例えばモータとノズル保持部33のシャフトに連結された伝達要素とで構成された機構がある。ノズル駆動部34は、モータから出力された駆動力を伝達要素でノズル保持部33のシャフトに伝達し、シャフトをθ方向に回転させることで、ノズル32の先端部もθ方向に回転させる。
ノズル駆動部34は、ノズル32の開口32aで電子部品80を吸着させる機構、つまり吸引機構としては、例えば、ノズル32の開口32aと連結された空気管と、当該空気管と接続されたポンプと、空気管の管路の開閉を切り換える電磁弁と、を有する機構がある。ノズル駆動部34は、ポンプで空気管の空気を吸引し、電磁弁の開閉を切り換えることで開口32aから空気を吸引するか否かを切り換える。ノズル駆動部34は、電磁弁を開き開口32aから空気を吸引することで開口32aに電子部品80を吸着(保持)させ、電磁弁を閉じ開口32aから空気を吸引しないことで開口32aに吸着していた電子部品80を解放する、つまり開口32aで電子部品80を吸着しない状態(保持しない状態)とする。
撮影装置36は、ヘッド本体30のヘッド支持体31に固定されており、ヘッド15と対面する領域、例えば、基板8や電子部品80が搭載された基板8等を撮影する。撮影装置36は、カメラと、照明装置と、を有し、照明装置で視野を照明しつつ、カメラで画像を取得する。これにより、ヘッド本体30に対面する位置の画像、例えば、基板8や、部品供給ユニット14の各種画像を撮影することができる。例えば、撮影装置36は、基板8の表面に形成された基準マークとしてのBOCマーク(以下単にBOCともいう。)やスルーホール(挿入穴)の画像を撮影する。ここで、BOCマーク以外の基準マークを用いる場合、当該基準マークの画像を撮影する。
高さセンサ37は、ヘッド本体30のヘッド支持体31に固定されており、ヘッド15と対面する領域、例えば、基板8や電子部品80が搭載された基板8との距離を計測する。高さセンサ37としては、レーザ光を照射する発光素子と、対面する位置で反射して戻ってくるレーザ光を受光する受光素子とを有し、レーザ光を発光してから受光するまでの時間で対面する部分との距離を計測するレーザセンサを用いることができる。また、高さセンサ37は、測定時の自身の位置及び基板8の位置を用いて、対面する部分との距離を処理することで、対面する部分、具体的には電子部品80の高さを検出する。なお、電子部品80との距離の測定結果に基づいて電子部品80の高さを検出する処理は制御部60で行ってもよい。
レーザ認識装置38は、光源38aと、受光素子38bと、を有する。レーザ認識装置38は、ブラケット50に内蔵されている。ブラケット50は、図3に示すように、ヘッド支持体31の下側、基板8及び部品供給装置90側に連結されている。レーザ認識装置38は、ヘッド本体30のノズル32で吸着した電子部品80に対して、レーザ光を照射することで、電子部品80の状態を検出する装置である。ここで、電子部品80の状態とは、電子部品80の形状、ノズル32で電子部品80を正しい姿勢で吸着しているか等である。光源38aは、レーザ光を出力する発光素子である。受光素子38bは、Z軸方向における位置、つまり高さが同じ位置であり、光源38aに対向する位置に配置されている。
次に、電子部品実装装置10の装置構成の制御機能について説明する。電子部品実装装置10は、図3に示すように、制御装置20として、制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64と、を有する。各種制御部は、それぞれ、CPU、ROMやRAM等の演算処理機能と記憶機能とを備える部材で構成される。また、本実施形態では、説明の都合で複数の制御部としたが、1つの制御部としてもよい。また、電子部品実装装置10の制御機能を1つの制御部とした場合、1つの演算装置で実現しても複数の演算装置で実現してもよい。
制御部60は、電子部品実装装置10の各部と接続されており、入力された操作信号や、電子部品実装装置10の各部で検出された情報に基づいて、記憶されているプログラムを実行し、各部の動作を制御する。制御部60は、例えば、基板8の搬送動作、XY移動機構16によるヘッド15の駆動動作、レーザ認識装置38による形状の検出動作等を制御する。また、制御部60は、上述したようにヘッド制御部62に各種指示を送り、ヘッド制御部62による制御動作も制御する。制御部60は、部品供給制御部64による制御動作も制御する。
ヘッド制御部62は、ノズル駆動部34、ヘッド支持体31に配置された各種センサ及び制御部60に接続されており、ノズル駆動部34を制御し、ノズル32の動作を制御する。ヘッド制御部62は、制御部60から供給される操作指示及び各種センサ(例えば、距離センサ)の検出結果に基づいて、ノズル32の電子部品80の吸着(保持)/解放動作、各ノズル32の回動動作、Z軸方向の移動動作を制御する。ヘッド制御部62の制御については、後述する。
部品供給制御部64は、部品供給ユニット14f、14rによる電子部品80の供給動作を制御する。部品供給制御部64は、電子部品供給装置90毎に設けても、1つで複数の電子部品供給装置90の全てを制御してもよい。
ここで、上記実施形態では、ヘッドに装着するノズルに吸着ノズルを用いる場合として説明したがこれに限定されない。図5は、ノズルの一例を示す説明図である。図5は、把持ノズル(グリッパーノズル)の一例を示す図である。図5に示すノズル201は、固定アーム202と、可動アーム204とを有する。ノズル201は、可動アーム204の支点205がノズル201の本体に回動可能な状態で固定されており、可動アーム204は、支点205を軸として固定アーム202と対面する部分が固定アーム202に近づく方向から遠ざかる方向に移動することができる。可動アーム204は、ノズル201の本体の部分、固定アーム202に近づいたり遠ざかったりする部分とは、支点205を介して反対側に駆動部206が連結されている。駆動部206は、把持ノズルを駆動する駆動源(空気圧)により移動される。可動アーム204は、駆動部206が移動することで、固定アーム202と対面する部分が固定アーム202に近づく方向から遠ざかる方向に移動する。
ノズル201は、固定アーム202と可動アーム204との間に電子部品80がある状態で、固定アーム202と可動アーム204との距離を縮めることで、電子部品80を把持することができる。
把持ノズルは、ノズル201に限定されず、種々の形状とすることができる。把持ノズルは、それぞれ固定アームと可動アームとの間隔や、可動範囲を種々の値とすることができる。このように把持ノズルは、ノズルの形状毎に把持できる電子部品の形状が異なる。
電子部品実装装置10は、保持する電子部品の種類に応じて、当該電子部品を保持するノズルの種類を選択することで、電子部品を適切に保持することができる。具体的には、保持する電子部品に応じて、吸着ノズルを用いるか把持ノズルを用いるかを選択し、さらにそれぞれの種類のノズル中でもどのノズルを用いるかを切り換えることで、1台の電子部品実装装置でより多くの種類の電子部品を実装することができる。
次に、電子部品実装装置10の各部の動作について説明する。なお、下記で説明する電子部品実装装置10の各部の動作は、いずれも制御装置20に基づいて各部の動作を制御することで実行することができる。
図6は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。図6を用いて、電子部品実装装置10の全体の処理動作の概略を説明する。なお、図6に示す処理は制御装置20が各部を制御することで実行される。電子部品実装装置10は、ステップS52として、生産プログラムを読み込む。生産プログラムは、専用の生産プログラム作成装置で作成されたり、入力された各種データに基づいて制御装置20によって作成されたりする。
電子部品実装装置10は、ステップS52で生産プログラムを読み込んだら、ステップS54として、装置の状態を検出する。具体的には、部品供給ユニット14f、14rの構成、充填されている電子部品の種類、準備されているノズルの種類等を検出する。電子部品実装装置10は、ステップS54で装置の状態を検出し、準備が完了したら、ステップS56として、基板8を搬入する。電子部品実装装置10は、ステップS56で基板を搬入し、電子部品を実装する位置に基板を配置したら、ステップS58として電子部品を基板に実装する。電子部品実装装置10は、ステップS58で電子部品の実装が完了したら、ステップS60として基板を搬出する。電子部品実装装置10は、ステップS60で基板を搬出したら、ステップS62として生産終了かを判定する。電子部品実装装置10は、ステップS62で生産終了ではない(ステップS62でNo)と判定した場合、ステップS56に進み、ステップS56からステップS60の処理を実行する。つまり、生産プログラムに基づいて、基板に電子部品を実装する処理を実行する。電子部品実装装置10は、ステップS62で生産終了である(ステップS62でYes)と判定した場合、本処理を終了する。
電子部品実装装置10は、以上のようにして、生産プログラムを読み込み、各種設定を行った後、基板に電子部品を実装することで、電子部品が実装された基板を製造することができる。また、電子部品実装装置10は、電子部品として、本体と当該本体に接続されたリードとを有するリード型電子部品を基板に実装、具体的には、リードを基板に形成された穴(挿入穴)に挿入することで当該電子部品を基板に実装することができる。
図7は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。なお、図7に示す処理動作は、基板8を搬入してから、基板8への電子部品80の搭載が完了するまでの動作である。また、図7に示す処理動作は、制御部60が各部の動作を制御することで実行される。
制御部60は、ステップS102として、基板8を搬入する。具体的には、制御部60は、電子部品を搭載する対象の基板8を基板搬送部12で所定位置まで搬送する。制御部60は、ステップS102で基板8を搬入したら、ステップS104として保持移動を行う。ここで、保持移動(吸着移動)とは、ノズル32が部品供給ユニット14の保持領域にある電子部品80と対面する位置までヘッド本体30を移動させる処理動作である。
制御部60は、ステップS104で保持移動を行ったら、ステップS106として、ノズル32を下降させる。つまり、制御部60は、電子部品80を保持(吸着、把持)できる位置までノズル32を下方向に移動させる。制御部60は、ステップS106でノズル32を下降させたら、ステップS108として、ノズル32で電子部品80を保持し、ステップS110として、ノズル32を上昇させる。制御部60は、ステップS110でノズルを所定位置まで上昇させたら、具体的には電子部品80をレーザ認識装置38の計測位置まで移動させたら、ステップS112として、ノズル32で吸着している電子部品80の形状を検出する。制御部60は、ステップS112で電子部品80の形状を検出したら、ステップS114としてノズル32を上昇させる。なお、制御部60は、上述したようにステップS112で部品形状を検出し、保持した電子部品80が搭載不可であると判定した場合、電子部品80を廃棄し、再び電子部品80を吸着する。制御部60は、ノズルを所定位置まで上昇させたら、ステップS116として、搭載移動、つまりノズル32で吸着している電子部品80を基板8の搭載位置(実装位置)に対向する位置まで移動させる処理動作を行い、ステップS118として、ノズル32を下降させ、ステップS120として部品搭載(部品実装)、つまりノズル32から電子部品80を解放する処理動作を行い、ステップS122として、ノズル32を上昇させる。つまり、制御部60は、ステップS112からステップS120の処理動作は、上述した実装処理を実行する。
制御部60は、ステップS122でノズルを上昇させた場合、ステップS124として全部品の搭載が完了したか、つまり基板8に搭載する予定の電子部品80の実装処理が完了したかを判定する。制御部60は、ステップS124で全部品の搭載が完了していない(ステップS124でNo)、つまり搭載する予定の電子部品80が残っていると判定した場合、ステップS104に進み、次の電子部品80を基板8に搭載する処理動作を実行する。このように制御部60は、基板8に全部品(全ての電子部品)の搭載が完了するまで、上記処理動作を繰り返す。制御部60は、ステップS124で全部品の搭載が完了した(ステップS124でYes)と判定した場合、本処理を終了する。
次に、図8に示す処理は、電子部品80の実装前の処理、具体的には電子部品80の形状の計測処理及び計測結果に基づいた判定処理である。なお、制御部60は、図8の処理を保持するすべての電子部品80に対して実行する。制御部60は、ステップS150として保持対象の電子部品80のデータを取得する。ここで、保持対象(吸着対象、把持対象)の電子部品80のデータとは、当該電子部品80を基板8に実装するために必要な各種情報である。保持対象の電子部品80のデータは、当該電子部品80が保持されている電子部品供給装置90の位置、電子部品80の形状データ、電子部品80の吸着高さ(保持高さ)、電子部品80をレーザ認識装置38で計測する計測位置の情報等である。
制御部60は、ステップS150でデータを取得したら、ステップS152として計測位置を決定する。つまり、制御部60は、ステップS150で取得したデータに基づいて電子部品80の形状を検出する位置、つまり、電子部品80のZ軸方向の位置を決定する。なお、制御部60は、ステップS150及びステップS152の処理を、電子部品80の吸着前に行ってもよい。
制御部60は、ステップS152で計測位置を決定し、かつノズル32で電子部品80を吸着した場合、ステップS154として、電子部品80のZ軸位置を調整する。つまり、制御部60は、ノズル32をZ軸方向に移動させることで、電子部品80のステップS152で決定した計測位置をレーザ認識装置38の計測領域に移動させる。制御部60は、ステップS154で電子部品80のZ軸位置を調整したら、ステップS156として電子部品80の形状を計測する。つまり、制御部60は、レーザ認識装置38を用いて電子部品80の計測位置における形状を検出する。
制御部60は、ステップS156で電子部品80の計測位置における形状を検出したら、ステップS158として計測終了かを判定する。つまり制御部60は、ステップS152で決定した計測位置での形状の計測が終了したかを判定する。制御部60は、ステップS158で計測終了ではない(ステップS158でNo)と判定した場合、ステップS154に進み、ステップS154とステップS156の処理を再び行い、計測が終了していない計測位置の形状を計測する。制御部60は、このように電子部品80の位置の調整と形状の計測とを繰り返すことで、設定した計測位置の形状を検出する。
制御部60は、ステップS158で計測終了である(ステップS158でYes)と判定した場合、ステップS160として計測結果と基準データとを比較する。ここで基準データは、ステップS150で取得した吸着対象(保持対象)の電子部品80の形状のデータである。制御部60は、計測結果と基準データとを比較することで、吸着している電子部品80が基準データと一致する形状であるか、電子部品80の向きが基準データの向きと一致するか等を判定する。
制御部60は、ステップS160で比較を行ったら、ステップS162として部品は適正であるかを判定する。具体的には、制御部60は、ステップS162で電子部品80を実装可能な状態で吸着しているかを判定する。制御部60は、ステップS162で部品は適正ではない(ステップS162でNo)と判定した場合、ステップS164としてノズル32が吸着している電子部品80を廃棄し、本処理を終了する。制御部60は、部品貯留部19と対面する位置にヘッド15及びノズル32を移動させ、当該ノズル32が保持している電子部品80を部品貯留部19に投入することで、電子部品80を廃棄する。なお、制御部60は、同一種類の電子部品80を基板8の同一搭載位置(実装位置)に実装する処理を再び実行する。
制御部60は、ステップS162で部品は適正である(ステップS162でYes)と判定した場合、ステップS166として部品の方向(ノズルの回転方向における方向)が適正であるかを判定する。つまり、吸着している電子部品80が基準の向きと同一であるかを判定する。なお、本実施形態の制御部60は、ステップS166として電子部品80は反転しているかを判定する。制御部60は、ステップS166で方向が適正ではない(ステップS166でNo)、つまり電子部品80が反転した状態であると判定した場合、ステップS168で電子部品80を反転させた後ステップS170に進む。
制御部60は、ステップS166でYesと判定した場合またはステップS168の処理を実行した場合、ステップS170として保持位置に基づいて、電子部品80の搭載位置(実装位置)を微調整する。例えば、電子部品80の形状の検出結果に基づいて、ノズル32が電子部品80を吸着している位置を検出し、基準位置に対する保持位置のずれに基づいて、実装時のノズル32と基板8の相対位置を調整する。制御部60は、ステップS170の処理を実行したら本処理を終了する。また、制御部60は、図8のステップS170の処理を行ったら、判定した電子部品80をステップS170の結果を加味して基板8に実装する。
電子部品実装装置10は、このようにレーザ認識装置38を用いて電子部品80の形状を検出し、その結果に基づいて各種処理を行うことで、基板8により適切に電子部品80を実装することができる。
電子部品実装装置10は、図8に示すフローチャートのステップS164で電子部品80を廃棄したが、電子部品80のリードの形状が不適切と判定した場合、リードの形状を修正する処理を実行するようにしてもよい。つまり、ステップS164で電子部品80を廃棄せずに、電子部品80のリードを挿入可能な形状に補正(加工)し、搭載位置(実装位置)に実装するようにしてもよい。電子部品実装装置10は、電子部品供給装置90のカットユニットの電子部品80をクランプする機構で電子部品80のリードを修正するようにしても、別途設けた修正機構で電子部品80のリードを修正するようにしてもよい。このようにリードの形状を加工する加工手段としては、電子部品80の本体82またはリード84をクランプする機構、別途設けた修正機構等、種々の手段を用いることができる。
次に、図9を用いて、電子部品80の搭載時の処理動作の一例について説明する。図9は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。電子部品実装装置10は、ヘッド15のノズル32で電子部品80を保持する動作の度に図9の処理を実行する。なお、図9の処理は、基本的に、電子部品80として、リード型電子部品と搭載型電子部品の両方を基板8に実装する場合の処理である。電子部品実装装置10は、ステップS180として、保持する電子部品80を特定し、ステップS182として保持対象の部品がリード型電子部品であるかを判定する。
電子部品実装装置10は、ステップS182でリード型電子部品である(ステップS182でYes)と判定した場合、ステップS184として、電子部品供給装置90のリード型電子部品をノズル32で保持する。つまり、電子部品実装装置10は、電子部品供給装置90の保持位置(第2保持位置)に供給されるリード型電子部品をノズル32で保持する。電子部品実装装置10は、ステップS184でリード型電子部品をノズル32で保持したら、ステップS186として、リード型電子部品のリードを挿入穴に挿入して基板8に実装する。
電子部品実装装置10は、ステップS182でリード型電子部品ではない(ステップS182でNo)と判定した場合、ステップS187として、電子部品供給装置90aの搭載型電子部品をノズル32で保持する。つまり、電子部品実装装置10は、電子部品供給装置90aの保持位置(第1保持位置)に供給される搭載型電子部品をノズル32で保持する。電子部品実装装置10は、ステップS187で搭載型電子部品をノズル32で保持したら、ステップS188として、搭載型電子部品を基板8に実装する。つまり、電子部品実装装置10は、搭載型電子部品を挿入穴に挿入せずに基板8に実装する。
電子部品実装装置10は、ステップS186またはステップS188の処理を実行したら、つまり電子部品を実装したら、ステップS189として全ての電子部品の実装が完了したかを判定する。電子部品実装装置10は、ステップS189で実装が完了していない(ステップS189でNo)と判定した場合、ステップS180に進み、次に実装する電子部品を特定して、当該特定した電子部品に対して上記処理を実行する。電子部品実装装置10は、ステップS189で実装が完了した(ステップS189でYes)と判定したら、本処理を終了する。
電子部品実装装置10は、図9に示すように、1つのヘッドで搭載型電子部品とリード型電子部品を基板8に実装することができる。さらに、電子部品実装装置10は、同じノズル32で、搭載型電子部品とリード型電子部品の両方を搭載することができる。ここで、電子部品実装装置10は、リード型電子部品の本体を保持(吸着または把持)することで、搭載型電子部品と同じノズル32で移送し、実装することができる。また、電子部品実装装置10は、搭載型電子部品かリード型電子部品かを判定しそれぞれに応じてリードを挿入穴に挿入する、しないを切り換えることで、同じヘッドや同じノズルで実装を行った場合でもそれぞれの電子部品に適した条件で基板8に実装することができる。これにより、ノズル32を交換することなく搭載型電子部品とリード型電子部品とを実装することができる。また、搭載型電子部品とリード型電子部品とを分けずに混合して搭載できることで、搭載順序の制限がより少なくなり、実装の効率をより向上させることができる。
次に、図10から図13を用いて、電子部品供給装置90について説明する。図10は、電子部品供給装置の一例を示す平面図である。図11は、図10に示す電子部品供給装置の側面図である。図12は、電子部品供給装置の概略構成を示す部分断面図である。図13は、電子部品供給装置のスティックケース及び電子部品の一例を示す模式図である。
電子部品供給装置90は、振動式スティックフィーダであり、ベース401と、スティックシュート402と、2つの収容手段404(404L、404R)と、2つの支持手段406(406L、406R)と、係止手段408(408L、408R)と、加振手段(振動体)418と、振動制御手段(振動体コントローラ)419と、2つの部品検出センサ(検知手段)421(421L、421R)と、を有する。また、電子部品供給装置90は、収容手段404Lと、支持手段406Lと、係止手段408Lと、部品検出センサ421Lと、が1つのユニットとなり、収容手段404Rと、支持手段406Rと、係止手段408Rと、部品検出センサ421Rと、が1つのユニットとなる。電子部品供給装置90は、2つのユニットのそれぞれから電子部品80を供給する。つまり、電子部品供給装置90は、2つのユニットのそれぞれにノズル32に電子部品80を供給する保持位置450(450L、450R)が備えられ、2ヶ所で電子部品80を供給することができる。なお、2つのユニットは、配置位置以外は、同様の構成であるので、各部の機能を説明する場合、収容手段404、支持手段406、係止手段408、部品検出センサ421及び保持位置450として説明する。また、電子部品供給装置90は、バンカを挟み込み、電子部品供給装置90をバンカに対して固定するクランプ機構や、対象部分を適切に振動させるため、また、重量バランスを安定させるためのカウンタウェイト等を備えている。
ベース401は、電子部品供給装置90に含まれる各部を直接または他の部材を介して支持する土台である。具体的には、ベース401には、加振手段418が載置され、さらに振動制御手段419も固定されている。
スティックシュート402は、ベース401に固定された加振手段418に支持されている。スティックシュート402は、板状の部材であり、上面に2つのユニットの各部が設置されている。
収容手段404は、スティックシュート402の上に支持されている。収容手段404は、内部が中空で、長手方向の両端が開口された筒型の箱、いわゆるスティックケースである。収容手段404は、支持手段406側の端部が開口部426となる。具体的には、収容手段404Lは、支持手段406L側の端部が開口部426Lとなり、収容手段404Rは、支持手段406R側の端部が開口部426Rとなる。収納手段404は、筒型の内部の空間に複数の電子部品80が長手方向に列状に配置されている。また、収容手段404は、鉛直方向下側の面に、内部に配置されている電子部品80の形状に沿った凹凸が形成され、当該凹凸が長手方向に延在している。本実施形態の収容手段404内に収容される電子部品80は、本体82にリード84が連結されたリード型電子部品である。収容手段404は、本体82と対面する位置が凸となり、リード84が配置される領域が凹となる。収容手段404は、長手方向に形成された凹凸形状が電子部品80を案内するレールとなる。収納手段404は、電子部品80を凹凸に沿って移動させることで、基本的に向きを維持した状態で長手方向に移動させる。
ここで、収容手段404は、スティックシュート402に対して、着脱可能であり、内部に電子部品80を保持した状態でスティックシュート402に装着され、内部の電子部品80を保持位置450に供給したら、取り外し、別の収容手段404を取り付けることができる。収容手段404は、内部に電子部品80を保持した状態で、図13に示すように、開口部426の反対側の開口にストッパ451aを挿入し、開口部426にストッパ451bを挿入することで、内部に保持した電子部品80が収容手段404から出ることを抑制できる。これにより、収容手段404は、搬送時等、スティックシュート402に装着する前に、電子部品80が内部から出ることを抑制できる。また、ストッパ451aは、つめが形成されていない形状であり、ストッパ451bは、つめが形成されている形状である。また、内部の電子部品80は、同じ方向を向いた状態で保持されている。電子部品80は、本体82にいわゆるアノードマークが設けられており、アノードマークによって製品の向きを識別することができる。利用者は、装着時に収容手段404の方向を認識することができ、所定の向きで装着することができ、保持位置450に同じ向きの電子部品80を供給することができる。なお、収容手段404は、スティックシュート402に装着され、電子部品80を保持位置450に供給する少なくともストッパ451bが取り外される。
支持手段406は、収容手段404の開口部426に隣接した位置、具体的には保持位置450に配置されている。支持手段406は、電子部品80の鉛直方向下側の面と対面する部分が支持手段406と同様の凹凸形状となり、鉛直方向上側の面が開放されている。支持手段406は、収容手段404の開口部426から搬送され、保持位置450に移動された電子部品80を保持する。支持手段406は、収容手段404の長手方向における長さが、電子部品80の1つの長さよりも長い。また、保持位置450も収容手段404の長手方向における長さが、電子部品80の1つの長さよりも長い。
係止手段408は、収納手段404の長手方向において、支持手段406の開口部426側とは反対側の端部に隣接した位置に配置されている。係止手段408は、収納手段404の長手方向における電子部品80の移動位置を規制する部材である。係止手段408は、支持手段406に沿って保持位置450に移動された電子部品80と接触し、その位置からさらに開口部426とは反対側の方向に移動できない状態とする。
加振手段418は、上述したようにベース401とスティックシュート402との間に配置されている。加振手段418は、ベース401に対してスティックシュート402を振動させる。つまり、加振手段418は、固定子がベース401に固定され、振動子がスティックシュート402に固定され、固定子に対して振動子を振動させる。本実施形態の加振手段418は、図12に示すように、2つの個別加振手段418D、418Uを含む。つまり、加振手段418は、スティックシュート402を個別加振手段418D、418Uによって2ヶ所で支持し、当該2ヶ所でスティックシュート402を加振する。なお、加振手段418は、モータを駆動源として加振を行う。
2つの加振手段418U及び418Dの上方には電子部品の搬送方向に延在するスティックシュート402が設けられている。スティックシュート402は、後述する収容手段404の先端部から送り出された電子部品を保持位置に保持するものである。振動制御手段419は、加振手段418の動作を制御する。振動制御手段419は、制御装置20、部品供給制御部64と接続されており、制御装置20、部品供給制御部64の制御に基づいて、加振手段418に供給する信号、電力等を制御する。本実施形態の加振手段418は、リニア振動アクチュエータであり、振動制御手段419は、当該リニア振動アクチュエータを制御するリニアコントローラである。
部品検出センサ421は、支持手段406の保持位置450に電子部品80があるか否かを検出する。部品検出センサ421は、検出結果を部品供給制御部64に送る。部品検出センサ421としては、測定対象位置である保持位置450に電子部品80があるか否かを検出する各種センサを用いることができ、例えば、反射型フォトマイクロセンサを用いることができる。
ここで、本実施形態の電子部品供給装置90は、さらに吸引手段を備えている。吸引手段は、バキューム孔430と、エアエジェクタ(吸引ポンプ)470と、を有する。バキューム孔430とエアエジェクタ470とは、配管で接続されている。バキューム孔430は、係止手段408の支持手段406側の端面に開口されている。電子部品供給装置90は、係止手段408Rの支持手段406R側の端面にバキューム孔430Rが形成され、係止手段408Lの支持手段406L側の端面にバキューム孔430Lが形成される。具体的には、バキューム孔430は、支持手段406に移動した電子部品80の本体82と対面する位置に形成されている。
エアエジェクタ470は、吸引ポンプであり、配管を介してバキューム孔430に連結している。エアエジェクタ470としては、真空吸引する真空ポンプを用いることができる。吸引手段は、エアエジェクタ470を駆動させ、バキューム孔430から空気を吸引することで、保持位置450にある電子部品80を係止手段408の所定位置に支持する。吸引手段の吸引力は、ヘッド15のノズル32による吸引力よりも弱い力である。
電子部品供給装置90は、加振手段418によりスティックシュート402を振動させることで、スティックシュート402に支持された収容手段404を振動させる。電子部品供給装置90は、収容手段404を振動させることで、収容手段404の内部に保持した電子部品80を収容手段404の長手方向に沿って保持位置450側(以下、前方ともいう。)に移動させる。具体的には、電子部品実装装置90は保持位置450からより遠い位置の電子部品80が隣接した、保持位置450に近い位置の電子部品80を、保持位置450側に押すことで、収容手段404に一列に整列された複数の電子部品80が順次保持位置450側に移動される。電子部品供給装置90は、支持手段406上に電子部品がない場合、収容手段404に収容されている電子部品80のうち、最も係止手段408側にある電子部品80が開口部426を通過して、支持手段406の保持位置450まで移動される。
電子部品供給装置90は、上述したように吸引手段でバキューム孔430から空気を吸引することで、保持位置450にある電子部品80を係止手段408の所定位置に支持する。
保持位置450まで移動された電子部品80は、ヘッド15のノズル32によって保持されることで、基板8に実装される。また電子部品供給装置90は、保持位置450の電子部品80がノズル32によって保持され移動されると、収容手段404に保持された電子部品80が移動し、当該電子部品80に隣接していた電子部品80が保持位置450に移動される。
また、本実施形態に係る電子部品供給装置90は、2つのユニットの両方の部品検出センサ421で保持位置450に電子部品80があると判定したら、加振手段418によるスティックシュート402の加振を停止させる。
電子部品供給装置90は、吸引手段を設け、バキューム孔430で保持位置450の電子部品80を吸引し、保持することで、保持位置450の電子部品80を所定位置に支持することができる。これにより、保持位置450にある電子部品80を安定して支持することができ、ノズル32の保持動作の精度をより高くすることができる。
特に本実施形態のように、1つの加振手段418で2つのユニットを振動させる場合、電子部品供給装置90は、両方の保持位置450に電子部品80が移動されるまで、具体的には、両方の部品検出センサ421により部品が検出されるまで、加振手段418によりスティックシュート402が振動され続ける。つまり、電子部品供給装置90は、両方の保持位置450に電子部品が供給されたら、加振手段418による加振を停止させる。このため、一方のユニットの保持位置450に電子部品80を移動させても加振手段418による加振が継続される場合がある。この場合も本実施形態の電子部品供給装置90は、電子部品80を吸引手段で吸引することで、加振手段418による振動で、保持位置450にある電子部品が移動してしまうことを抑制することができる。
電子部品供給装置90は、以上により、保持位置450にある電子部品を適切な位置で保持することができるため、ノズル32による保持動作の差異に保持ミスが生じることを抑制することができる。これにより、効率よく電子部品を基板8に実装することができ、生産性能を高くすることができる。
本実施形態の吸引手段は、バキューム孔430を係止手段408に設けることで、保持位置450にある電子部品80を好適に吸着し、支持することができる。なお、バキューム孔430を設ける位置は係止手段408の保持位置450側の面に限定されない。吸着手段は、保持位置450の電子部品80を吸着し、所定位置に支持することができればよく、例えば、支持手段406にバキューム孔430を形成してもよい。また、形成するバキューム孔430の個数、数も特に限定されない。
次に、図14から図20を用いて、電子部品供給装置90及び電子部品実装装置10の作業、処理動作について説明する。図14は、電子部品実装装置10の動作の一例を示すフローチャートである。図14は、本実施形態に係る電子部品供給装置90を電子部品実装装置10の本体に着脱する場合の作業工程例を示している。
まず、電子部品供給装置90は、ステップS202として、バンクに装着される。次に、電子部品供給装置90は、ステップS204として、電子部品供給装置90に接続されたI/Fケーブル(インターフェースケーブル)を電子部品実装装置10の本体(筐体のコネクタ)に接続する。これにより、電子部品供給装置90は、電子部品実装装置10に装着される。なお、電子部品供給装置90は、クランプユニットでバンクに装着された時点で、同時にI/Fケーブルが接続されるようにしてもよい。また、必要に応じて、電子部品供給装置90が固定されるバンクのインターフェースケーブルも電子部品実装装置の本体(筐体のコネクタ)に接続する。
電子部品実装装置10は、ステップS206として、電子部品供給装置90が装着されたら、基板8の生産を開始する。電子部品供給装置90は、電子部品実装装置10に装着され、基板8の生産が開始されたら、ステップS208として、電子部品供給動作を実行する。次に、電子部品実装装置10は、ステップS210として、生産が終了したかを判定する。電子部品実装装置10は、ステップS210で生産が終了していない(ステップS210でNo)と判定したら、ステップS208に戻り、電子部品供給装置90による電子部品の供給動作を継続する。電子部品実装装置10は、ステップS210で生産が終了した(ステップS210でYes)と判定したら、電子部品供給装置90による電子部品の供給動作を停止する。その後、電子部品実装装置10は、ステップS212として、電子部品実装装置の本体(筐体のコネクタ)に接続された電子部品供給装置90のI/Fケーブルが取り外され、ステップS214として、電子部品供給装置90がバンクから取り外される。
次に、電子部品供給装置90の電子部品供給動作、具体的には、電子部品を保持位置に供給する動作について説明する。図15は、電子部品供給装置の動作の一例を示すフローチャートである。図15は、モータによる振動の制御の例を示している。なお、図15に示す処理は、上述した制御装置20及び部品供給制御部64が各部を統括的に制御することで実行できる。
電子部品供給装置90は、基板8の生産が開始されると、電子部品供給動作を開始する。電子部品供給装置90は、ステップS220として、電子部品(部品ともいう。)を送るか、つまり、供給位置に電子部品を搬送するかを判定する。電子部品供給装置90は、ステップS220で電子部品を送らない(ステップS220でNo)と判定した場合、ステップS220に戻り、ステップS220の処理を再び行う。電子部品供給装置90は、ステップS220で電子部品を送る(ステップS220でYes)と判定した場合、ステップS222として、モータを駆動する。ここで、モータとは、加振手段418の駆動源となるモータである。つまり、電子部品供給装置90は、モータを駆動させることで、加振手段418を駆動し、スティックシュート402を振動させ、収容手段404に収容した電子部品80を移動させる処理を実行する。
電子部品供給装置90は、モータを駆動させたら、ステップS224として、電子部品(部品)が保持位置450に到着したかを判定する。本実施形態の電子部品実装装置10及び電子部品供給装置90は、2つのユニットの部品検出センサ421の両方で保持位置450に電子部品80があることを検出した場合、電子部品(部品)が到着したと判定する。
電子部品供給装置90は、ステップS224で電子部品が到着していない(ステップS224でNo)と判定した場合、つまり、少なくとも一方の部品検出センサ421で電子部品が検出されていない場合、ステップS224に戻り、判定を再度行う。電子部品供給装置90は、電子部品が到着していると判定するまで、モータを駆動した状態で電子部品の搬送を継続する。電子部品供給装置90は、ステップS224で電子部品が到着した(ステップS224でYes)と判定した場合、ステップS226としてモータを停止、つまり、スティックシュート402の加振を停止し、ステップS228として電子部品(部品)が吸着されたか、つまり保持位置の電子部品がヘッド15のノズル32で吸着されたかを判定する。なお、本実施形態では吸着としたが、ノズル32が電子部品を保持する機構は特に限定されず電子部品を把持してもよい。
電子部品供給装置90は、ステップS228で電子部品が吸着されていない(ステップS228でNo)と判定した場合、つまり、2つの部品検出センサ421で電子部品が検出された状態が維持されている場合、ステップS228に戻り、判定を再度行う。電子部品供給装置90は、ステップS228で電子部品が吸着された(ステップS228でYes)と判定した場合、つまり、少なくとも一方の部品検出センサ421で電子部品が検出されない状態となった場合、ステップS230としてモータを駆動し、電子部品の搬送動作を再開する。次に、電子部品供給装置90は、ステップS232として、生産終了か、つまり電子部品を供給する必要がない状態であるかを判定する。電子部品供給装置90は、ステップS232で生産終了ではない(ステップS232でNo)と判定した場合、ステップS224に戻る。また、電子部品供給装置90は、ステップS232で生産終了する(ステップS232でYes)と判定した場合、本処理を終了する。
電子部品供給装置90は、上記のように加振手段418の駆動源(モータ)を制御することで、保持位置450に電子部品を供給する。なお、電子部品供給装置90は、一部のユニットの保持位置450に電子部品がない状態で、保持位置450に電子部品があるユニットの保持位置450の電子部品80を保持(吸着、保持)させることもできる。
次に、図16を用いて、電子部品供給装置の電子部品の供給動作とヘッド15の電子部品80の保持動作とについて説明する。図16は、電子部品実装装置の動作の一例を示すタイミングチャートである。ここで、図16のXY軸は、ヘッド15のXY軸方向の移動である。また、Z軸はヘッドのノズル32のZ軸方向の移動である。Z軸において、上昇と下降は、Z軸方向における位置であり、ノズル32の先端が上昇位置(保持位置450から離れた位置)にいるか、下降位置(保持位置450の電子部品を保持できる位置)にいるかを示している。また、部品吸着エジェクタは、吸引手段のバキューム孔430から空気を吸引する機能のON、OFFを示している。ONは、バキューム孔430から空気を吸引している状態であり、OFFは、バキューム孔430から空気を吸引していない状態である。部品有無は、部品検出センサ421で電子部品80を検出しているか否かを示している。部品送り振動は、加振手段418のON、OFFを示している。
電子部品実装装置10は、ノズル32を上昇位置に維持した状態で、ヘッド15をXY方向に移動させ、ノズル32を電子部品供給装置の保持位置450まで移動させる。本実施形態では、部品検出センサ421で電子部品を検出していないため、加振手段418でスティックシュート402を振動させ、電子部品を送り位置に移動させる。さらに、電子部品が保持位置にない場合でも、吸引手段を駆動させバキューム孔430から空気を吸引している。
この状態で、電子部品供給装置90により電子部品の送り動作を継続していると時間t1で電子部品が保持位置450まで移動され、部品検出センサ421が電子部品を検出した状態となり、部品有無が無から有に切り替わる。
その後、電子部品実装装置10は、時間t2となると、ヘッド15のXY平面上の位置が目的位置の近傍となり、移動速度の減速が開始される。その後、電子部品実装装置10は、部品が有の判定に切り替わってから所定の時間が経過した時間t3となると、加振手段418を停止し、部品の送り振動をOFFにする。
その後、電子部品実装装置10は、時間t4となると、ヘッド15のXY平面上の位置が目的位置となり、XY平面上の移動が停止となる。また、電子部品実装装置10は、ノズル32のZ軸方向の移動を開始させ、部品吸着エジェクタもONからOFFに切り替える処理を実行する。その後、電子部品実装装置10は、時間t4から一定の時間tdが経過した時間t5に部品吸着エジェクタがOFFになる。ここで、部品吸着エジェクタがOFFになるとは、バキューム孔430から空気が吸引されていない状態である。つまり吸引手段は、空気の吸引の停止動作を開始してから空気が吸引されなくなるまでに時間tdが必要となる。この時間tdは、真空破壊にかかる時間とも言える。
その後、電子部品実装装置10は、時間t6となると、ノズル32のZ軸方向の位置が下降位置となる。つまり、電子部品実装装置10は、ノズル32が下降位置に到達する時点よりも時間td以上前に部品吸着エジェクタをONからOFFに切り換える処理を開始し、時間t6の差異に部品吸着エジェクタをOFFとする。
その後、電子部品実装装置10は、時間t6から時間t7の間にノズル32による電子部品の保持動作を実行し、時間t7となると、ノズル32の上昇を開始させ、ノズル32とともに保持した電子部品をZ軸方向上側に移動させる。
電子部品実装装置10は、電子部品がノズル32によって移動され、電子部品が保持位置から移動することで、時間t8から時間t9の間に部品検出センサ421で電子部品が検出されなくなり、部品有無が有から無に変化する。
また、電子部品実装装置10は、時間t9でノズル32がZ軸方向において上昇位置まで移動し、その後一定時間経過後にヘッド15のXY平面上での移動、つまり搭載位置への移動または別のノズル32で電子部品を保持するための位置への移動を開始し、さらに、吸引手段による吸引を開始する。また、電子部品実装装置10は、時間t9から一定時間経過した時間t10で加振手段418による加振を開始して、部品の送り振動をONにする。その後、電子部品実装装置10は、時間t11で吸引手段によってバキューム孔430から一定の吸引力で空気が吸引される状態、つまり部品吸着エジェクタがONとなり、時間t12でヘッド15の移動速度が所定の速度となる。
電子部品実装装置10及び電子部品供給装置90は、図16に示すように、吸着手段によりバキューム孔430から空気を吸引し、部品吸着エジェクタをONとすることで、収容手段404に保持された電子部品を保持位置まで好適に搬送することができる。つまり振動の力に加え、空気の吸引力で保持位置側に移動させることができる。これにより、収容手段404内で最も保持位置側の電子部品80が途中位置で止まることを抑制でき、保持位置まで好適に搬送することができる。また、電子部品を保持位置に移動させた後も部品吸着エジェクタをONで維持することで、保持位置の電子部品が保持位置の所定位置にある状態を維持することができる。
さらに本実施形態の電子部品実装装置10及び電子部品吸着装置90は、ノズル32で電子部品を保持する一定時間前、時間tdより長い時間前に、吸引手段による吸引動作を駆動から停止に切り換えることで、ノズル32で電子部品を保持する時点では、吸引手段が電子部品を吸着していない状態とすることができる。つまり吸引を停止し、真空状態が破壊され吸引力が生じていない状態とすることができる。これにより、吸引手段がノズル32による保持動作に悪影響を与えることを抑制できる。
また、上記実施形態では、基板8の生産時の制御として説明したが、電子部品実装装置10及び電子部品供給装置90は、電子部品の計測処理時、キャリブレーション処理時や、電子部品の生産動作のティーチング時等、電子部品供給装置から供給された電子部品をノズル32が保持する動作を実行する場合、またはその条件を設定する場合も吸引手段を同様に制御することで、また吸引手段の動作の条件を設定することで、生産動作時以外も同様の動作を実行することができ、電子部品供給装置がより好適に電子部品を供給することができる。
例えば、電子部品実装装置10は、部品測定時にも上記制御を行うことにより生産時の動作と同じ条件を再現することができる。すなわち、ヘッド15のXY方向移動時に係止手段408側からの真空吸引を開始し、ヘッド15がZ方向に下降開始して所定位置まで下降する間に係止手段408側からの真空吸引を停止し、ヘッド15がZ方向の所定高さに再び上昇してから係止手段408側からの真空吸引を再開する。
また、保持位置ティーチングの際も上記制御を行うことにより生産時と同様の条件を再現することができる。すなわち、吸着位置ティーチング開始と同時にストッパ側からの真空吸引を開始し、吸着位置ティーチング終了とともに係止手段408側からの真空吸引を停止する。
また、電子部品実装装置10及び電子部品吸着装置90は、吸引手段による吸引動作を種々の条件で駆動または停止させることができる。図17と図18を用いて、電子部品供給装置の吸引手段の動作を停止する処理動作の一例を説明する。図17及び図18は、それぞれ、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図17に示すように、電子部品実装装置10は、ステップS252として、操作部の一時停止ボタンが押下されたことを検出したら、ステップS254として、ヘッド15を待機位置へ移動させる処理を開始する。電子部品実装装置10は、ステップS256として、ヘッド15の待機位置への移動が完了すると、ステップS258として、ストッパ(係止手段)側の真空吸引を停止、つまり、吸引手段のエアエジェクタ470の吸引動作を停止させる。電子部品実装装置10は、その後、ステップS260として、表示部27に一時停止であることを示す画面を表示させる。
このように、電子部品実装装置10は、生産動作の一時停止中に吸引手段による吸引動作を停止することで、消費エネルギーを低減することができ、省エネルギー、省コストを図ることができる。また、図17では、一時停止ボタンの押下時として説明したが、これに限定されず。部品切れやその他エラー発生時による自動的な一時停止や、エラー等で生産を停止する場合等も同様に吸引動作を停止することで、同様の効果を得ることができる。
次に、図18に示すように、電子部品実装装置10は、ステップS270として、基板8の生産が終了すると、ステップS272として基板搬送部12による基板8のクランプを解除する。電子部品実装装置10は、ステップS274として、クランプを解除した後、ストッパ側の真空吸引を停止し、ステップS276として、クランプ解除した基板8を搬出する。電子部品実装装置10は、基板8の生産が終了し、基板8のクランプを解除したら、吸引手段による吸引を停止することで、省エネルギー、省コストを図ることができる。
図19と図20を用いて、電子部品供給装置の吸引手段の動作を起動する処理動作の一例を説明する。図19及び図20は、それぞれ、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図19は、電子部品実装装置10の基板8の生産を停止した状態から生産、すなわち基板8上への電子部品80の実装動作を開始する際に実行する処理である。電子部品実装装置10は、ステップS302として、操作部26のスタートボタンが押下されたことを検出したら、ステップS304として、ヘッド15を待機位置からXY方向に移動させる処理を開始する。具体的には、生産を開始するために必要な移動先である電子部品供給装置90、基板8または各種キャリブレーション機構に向けてヘッド15を移動させる。電子部品実装装置10は、ヘッド15の移動を開始したら、ステップS306として、電子部品供給装置90のストッパ側からの真空吸引を開始させる、つまり吸引手段による吸引動作を開始させる。電子部品実装装置10は、その後、ステップS308として、ヘッド15のXY方向の移動が完了する。
次に、図20を用いて、電子部品実装装置10の基板8の供給と吸引手段の動作と関係について説明する。電子部品実装装置10は、ステップS312として、基板ロード、つまり基板搬送部12により生産時の位置に基板8を移動させ、ステップS314として、生産時の位置で基板8のクランプを完了させ、ステップS316として、ヘッド15を待機位置からXY方向に移動させる処理を開始する。電子部品実装装置10は、ヘッド15の移動を開始したら、ステップS318として、電子部品供給装置90のストッパ側からの真空吸引を開始させる、つまり吸引手段による吸引動作を開始させる。電子部品実装装置10は、その後、ステップS320として、ヘッド15のXY方向の移動が完了する。
電子部品実装装置10は、生産の開始時にヘッド15をXY方向に移動させている間に吸引手段による吸引動作を開始させる。これにより、吸引を開始してから、ヘッド15のノズル32で電子部品を保持するまでの時間を十分に確保することができ、吸引手段により電子部品を保持位置に好適に保持することができる。
(他の実施形態)
次に、図21から図24を用いて、他の実施形態の電子部品供給装置について説明する。図21は、電子部品供給装置の他の例の概略構成を示す模式図である。図22は、図21に示す電子部品供給装置の拡大図である。図23は、電子部品実装装置の動作の一例を示すタイミングチャートである。図24は、図21に示す電子部品供給装置の機能を説明するための説明図である。他の実施形態の電子部品供給装置101は、吸引手段の形成位置及び機能以外は、上記の電子部品供給装置90と同様の構成である。以下電子部品供給装置101に特有の点を説明する。
電子部品供給装置101は、図21に示すように、支持手段406の収容手段404の長手方向(電子部品の移動方向)の長さが、複数の電子部品80の長さ分となる。電子部品供給装置101は、吸引手段を備えている。吸引手段は、バキューム孔431とエアエジェクタ470と、を有する。バキューム孔431は、支持手段406の鉛直方向上側の面に形成されている。具体的には、バキューム孔431は、支持手段406の電子部品80の本体82の対面する面で、電子部品80の移動方向において、保持位置450に隣接する位置(保持位置に電子部品がある場合、その電子部品に隣接する電子部品がある位置)に形成されている。
吸引手段は、エアエジェクタ470でバキューム孔431から空気を吸引することで支持レール上で支持される電子部品80のうち、先頭の電子部品80が保持位置にあるときに先頭から2番目となる電子部品80を吸引する。なお、バキューム孔431の位置は、例えば、保持位置における先頭部品の有無を部品検出センサ421により検出する位置(図22の一点鎖線)を基準にして、対象部品の大きさ、吸引力も考慮して、先頭の電子部品が保持位置450にあるときに、先頭の電子部品へ下方からの吸引力を与えず、且つ、先頭から2番目の電子部品をバキューム孔431が形成されている位置に保持できる位置を計算等により設定する。
電子部品実装装置10は、図23に示すように、部品検出センサ421で検出位置に電子部品がある、つまり先頭に電子部品80があると判定したら、部品吸着エジャクタをON、つまり吸引手段で空気を吸引する。また、電子部品実装装置10は、部品検出センサ421で検出位置に電子部品がない、つまり先頭に電子部品80がないと判定したら、部品吸着エジャクタをOFF、つまり吸引手段で空気を吸引しない。
他の実施形態の電子部品実装装置は、先頭の電子部品80が保持位置にあるときに吸引手段により、先頭から2番目の電子部品80を吸引することによって、2番目の電子部品80の位置を所定の位置で保持することができる。これにより、先頭の電子部品80が2番目以降の電子部品80に押されることで傾いたり、後続の電子部品80が先頭の電子部品80の上に乗り上げたりすることを抑制することができる。つまり、図24に示す電子部品供給装置110のように、電子部品が保持位置側に移動し続け、2番目以降の電子部品が保持位置にある電子部品80に接触等し、保持位置にある電子部品の姿勢が傾くことを抑制することができる。特に、電子部品がモールド部品であり、電子部品の本体82の周囲にバリが形成されるような場合であっても、そのバリによって先頭の電子部品80が後続の電子部品から押されたり、後続の電子部品に乗り上げられたりすることを抑制できる。
なお、図21及び図22において、先頭の電子部品80と先頭から2番目の電子部品80との間には隙間が形成されているが、この隙間はなくてもよい。本実施形態においては、先頭の電子部品80が後続の電子部品80からの押圧力を受けないようにすることが大切であり、上記に説明した先頭の電子部品80の検出位置と、下方からの真空吸引のためのバキューム孔431との位置関係を満たすことができれば、この隙間はあってもなくてもよい。さらに、先頭から2番目の電子部品の下方からの真空吸引の強さは、先頭の電子部品80が保持位置にあってノズル32による吸引を待つ間、2番目の電子部品がストッパ側へ進行する速度を減速させることができればよく、2番目の電子部品の進行を完全に止める必要はない。
ここで、本実施形態では、収容手段404の長手方向(電子部品の移動方向)における支持手段406の長さを、複数の電子部品80の長さ分としたが、これに限定されない。電子部品供給装置は、収容手段404の長手方向(電子部品の移動方向)における支持手段406の長さを、1つ分の電子部品80の長さ分としてもよい。この場合、吸引手段は、バキューム孔431を収容手段404(収容手段404の支持手段406側の端部の電子部品がある位置)に設ければよい。このように、バキューム孔431は、先頭の電子部品80が保持位置にあるときに先頭から2番目となる電子部品80を吸引することができれば、収容手段404を設けてもよい。
なお、電子部品供給装置は、電子部品供給装置90の吸引手段と電子部品供給装置101の吸引手段の両方を備えていてもよい。つまり、保持位置にある電子部品を吸引する機構と、当該電子部品に隣接する電子部品を吸引する機構の両方を備えていてもよい。また、両者の吸引動作は、別々に制御することが好ましい。電子部品供給装置は、両方の機能を備えることで、保持位置の電子部品をより好適に保持することができる。