以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
以下に、本発明にかかる電子部品実装装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。本発明の電子部品実装装置は、リードを有し、当該リードが、基板の基板孔(挿入穴、穴)に挿入されることで、基板に実装される電子部品、いわゆる挿入型電子部品及び挿入型電子部品を実装する電子部品実装装置である。電子部品実装装置は、挿入型電子部品(リード型電子部品)を実装する機能を備えている。ここで、挿入型電子部品は、リードが基板に形成された穴に挿入されることで実装されるものである。また、挿入穴(基板孔)に挿入されずに基板上に搭載される電子部品、例えばSOP、QFP等は、搭載型電子部品とする。なお、電子部品実装装置は、基板上に搭載される搭載型電子部品を実装する機能を備えていてもよい。以下の実施形態の電子部品実装装置10は、搭載型電子部品と挿入型電子部品の両方を実装する機能を備える。
次に、図1から図16を用いて、本実施形態の搭載型電子部品と挿入型電子部品の両方を実装することができる電子部品実装装置10について説明する。電子部品実装装置10は、基板上に載せることで実装される搭載型電子部品とリードを基板の挿入穴に差し込んで実装するリード型電子部品(挿入型電子部品)との両方を実装することができる装置である。電子部品実装装置10は、1台で搭載型電子部品とリード型電子部品の両方を実装することも、いずれか一方のみを実装することもできる。つまり電子部品実装装置10は、搭載型電子部品とリード型電子部品の両方を実装することが可能で、製造する基板や他の電子部品実装装置のレイアウトに応じて、種々の用途で使用することができる。
図1は、電子部品実装装置の概略構成を示す模式図である。図1に示す電子部品実装装置10は、基板8の上に電子部品を搭載する装置である。電子部品実装装置10は、筐体11と、基板搬送部12と、部品供給ユニット14f、14rと、ヘッド15と、XY移動機構16と、VCSユニット17と、交換ノズル保持機構18と、部品貯留部19と、制御装置20と、操作部40と、表示部42と、を有する。なお、XY移動機構16は、X軸駆動部22と、Y軸駆動部24と、を備える。ここで、本実施形態の電子部品実装装置10は、図1に示すように、基板搬送部12を中心にしてフロント側とリア側に部品供給ユニット14f、14rを備える。電子部品実装装置10は、部品供給ユニット14fが電子部品実装装置10のフロント側に配置され、部品供給ユニット14rが電子部品実装装置10のリア側に配置される。また、以下では、2つの部品供給ユニット14f、14rを特に区別しない場合、部品供給ユニット14とする。
基板8は、電子部品を搭載する部材であればよく、その構成は特に限定されない。本実施形態の基板8は、板状部材であり、表面に配線パターンが設けられている。基板8に設けられた配線パターンの表面には、リフローによって板状部材の配線パターンと電子部品とを接合する接合部材であるはんだが付着している。また、基板8には、電子部品が挿入されるスルーホール(挿入穴、基板孔)も形成されている。
基板搬送部12は、基板8を図中X軸方向に搬送する搬送機構である。基板搬送部12は、X軸方向に延在するレールと、基板8を支持し、基板8をレールに沿って移動させる搬送機構とを有する。基板搬送部12は、基板8の搭載対象面がヘッド15と対面する向きで、基板8を搬送機構によりレールに沿って移動させることで基板8をX軸方向に搬送する。基板搬送部12は、電子部品実装装置10に供給する機器から供給された基板8を、レール上の所定位置まで搬送する。ヘッド15は、所定位置で、電子部品を基板8の表面に搭載する。基板搬送部12は、前記所定位置まで搬送した基板8上に電子部品が搭載されたら、基板8を、次の工程を行う装置に搬送する。なお、基板搬送部12の搬送機構としては、種々の構成を用いることができる。例えば、基板8の搬送方向に沿って配置されたレールと前記レールに沿って回転するエンドレスベルトとを組合せ、前記エンドレスベルトに基板8を搭載した状態で搬送する、搬送機構を一体としたベルト方式の搬送機構を用いることができる。
電子部品実装装置10は、フロント側に部品供給ユニット14fが配置され、リア側に部品供給ユニット14rが配置されている。フロント側の部品供給ユニット14fと、リア側の部品供給ユニット14rは、それぞれ基板8上に搭載する電子部品を多数保持し、ヘッド15に供給可能、つまり、ヘッド15で保持(吸着または把持)可能な状態で保持位置に供給する電子部品供給装置を備える。本実施形態の部品供給ユニット14f、14rはともに、本体と、本体に連結されたリードとを有するリード型電子部品を供給する。
図2は、部品供給ユニットの一例の概略構成を示す模式図である。部品供給ユニット14は、図2に示すように、複数の電子部品供給装置(以下、単に「部品供給装置」ともいう。)90、90aを有する。
具体的には、部品供給ユニット14は、複数のラジアルリード型電子部品(ラジアルリード部品)をテープ本体に固定した電子部品保持テープ(ラジアル部品テープ)を装着し、当該電子部品保持テープで保持したリード型電子部品のリードを保持位置(第2保持位置)で切断し、当該保持位置にあるリード型電子部品をヘッドに備えた吸着ノズルまたは把持ノズルで保持可能とする電子部品供給装置90を複数装着することに加え、複数の搭載型電子部品をテープ本体に固定した電子部品保持テープ(チップ部品テープ)を装着し、当該電子部品保持テープで保持した搭載型電子部品の保持位置(第1保持位置)でテープ本体から剥がし、当該保持位置にある搭載型電子部品をヘッドに備えた吸着ノズルまたは把持ノズルで保持可能とする電子部品供給装置90aを備えていてもよい。部品供給ユニット14は、その他電子部品供給装置90aとしてスティックフィーダやトレイフィーダを設置してもよい。図2に示す複数の部品供給装置90、90aは、支持台(バンク)96に保持される。また、支持台96は、部品供給装置90、90aの他の装置(例えば、計測装置やカメラ等)を搭載することができる。
部品供給ユニット14は、支持台96に保持されている複数の電子部品供給装置90、90aが、搭載する電子部品の種類、電子部品を保持する機構または供給機構が異なる複数種類の電子部品供給装置90、90aで構成される。また、部品供給ユニット14は、同一種類の電子部品供給装置90、90aを複数備えていてもよい。また、部品供給ユニット14は、装置本体に対して着脱可能な構成とすることが好ましい。
部品供給装置90は、テープに複数のラジアルリード型電子部品のリードを貼り付けて構成される電子部品保持テープを使用してヘッド15にラジアルリード型電子部品を供給する。部品供給装置90は、電子部品保持テープを保持し、保持している電子部品保持テープを送り、保持しているラジアルリード型電子部品をヘッド15のノズルにより電子部品が保持できる保持領域(吸着位置、把持位置、保持位置)まで移動するテープフィーダである。部品供給装置90は、保持領域まで移動させたラジアルリード型電子部品のリードを切断して分離することで、当該テープでリードが固定されたラジアルリード型電子部品を所定位置に保持可能な状態とすることができ、当該ラジアルリード型電子部品をヘッド15のノズルにより保持(吸着、把持)することができる。部品供給装置90については後述する。なお、複数の部品供給装置90は、それぞれ異なる品種の電子部品を供給しても、別々の電子部品を供給してもよい。また、部品供給装置90は、テープに複数のラジアルリード型電子部品に限定されず、ボウルフィーダや、アキシャルフィーダ、スティックフィーダ、トレイフィーダ等を用いることもできる。
電子部品供給装置90aは、テープに基板搭載するチップ型の電子部品を貼り付けて構成される電子部品保持テープを使用してヘッド15に電子部品を供給する。なお、電子部品保持テープは、テープに複数の格納室が形成されており、当該格納室に電子部品が格納されている。電子部品供給装置90aは、電子部品保持テープを保持し、保持している電子部品保持テープを送り、格納室をヘッド15のノズルにより電子部品が吸着できる保持領域まで移動させるテープフィーダである。なお、格納室を保持領域に移動させることで、当該格納室に収容されている電子部品を所定位置に露出した状態とすることができ、当該電子部品をヘッド15のノズルにより吸着、把持することができる。電子部品供給装置90aは、テープフィーダに限定されず、チップ型電子部品を供給する種々のチップ部品フィーダとすることができる。チップ部品フィーダとしては、例えば、スティックフィーダ、テープフィーダ、バルクフィーダを用いることができる。
ヘッド15は、部品供給ユニット14fに保持された電子部品または部品供給ユニット14rに保持された電子部品、をノズルで保持(吸着または把持)し、保持した電子部品を基板搬送部12によって所定位置に移動された基板8上に実装する機構である。また、ヘッド15は、部品供給ユニット14rが電子部品供給装置90aを備えている場合、電子部品供給装置90aに保持されたチップ型電子部品(搭載型電子部品)を基板8上に搭載(実装)する機構である。なお、ヘッド15の構成については、後述する。なお、チップ型電子部品(搭載型電子部品)とは、基板の形成された挿入穴(スルーホール)に挿入するリードを備えないリードなし電子部品である。搭載型電子部品としては、上述したようにSOP、QFP等が例示される。チップ型電子部品は、リードを挿入穴に挿入せずに、基板に実装される。
XY移動機構16は、ヘッド15を図1中X軸方向及びY軸方向、つまり、基板8の表面と平行な面上で移動させる移動機構でありX軸駆動部22とY軸駆動部24とを有する。X軸駆動部22は、ヘッド15と連結しており、ヘッド15をX軸方向に移動させる。Y軸駆動部24は、X軸駆動部22を介してヘッド15と連結しており、X軸駆動部22をY軸方向に移動させることで、ヘッド15をY軸方向に移動させる。XY移動機構16は、ヘッド15をXY軸方向に移動させることで、ヘッド15を基板8と対面する位置、または、部品供給ユニット14f、14rと対面する位置に移動させることができる。また、XY移動機構16は、ヘッド15を移動させることで、ヘッド15と基板8との相対位置を調整する。これにより、ヘッド15が保持した電子部品を基板8の表面の任意の位置に移動させることができ、電子部品を基板8の表面の任意の位置に搭載することが可能となる。つまり、XY移動機構16は、ヘッド15を水平面(XY平面)上で移動させて、部品供給ユニット14f、14rの電子部品供給装置にある電子部品を基板8の所定位置(搭載位置、実装位置)に移送する移送手段となる。なお、X軸駆動部22としては、ヘッド15を所定の方向に移動させる種々の機構を用いることができる。Y軸駆動部24としては、X軸駆動部22を所定の方向に移動させる種々の機構を用いることができる。対象物を所定の方向に移動させる機構としては、例えば、リニアモータ、ラックアンドピニオン、ボールねじを用いた搬送機構、ベルトを利用した搬送機構等を用いることができる。
VCSユニット17と、交換ノズル保持機構18と、部品貯留部19とは、XY平面において、ヘッド15の可動領域と重なる位置で、かつ、Z方向における位置がヘッド15よりも鉛直方向下側となる位置に配置されている。本実施形態では、VCSユニット17と、交換ノズル保持機構18と、部品貯留部19とは、基板搬送部12と部品供給ユニット14rとの間に、隣接して配置される。
VCSユニット(部品状態検出部、状態検出部)17は、画像認識装置であり、ヘッド15のノズル近傍を撮影するカメラや、撮影領域を照明する照明ユニットを有する。VCSユニット17は、ヘッド15のノズルで吸着された電子部品の形状や、ノズルによる電子部品の保持状態を認識する。より具体的には、VCSユニット17は、対面する位置にヘッド15が移動されると、ヘッド15のノズルを鉛直方向下側から撮影し、撮影した画像を解析することで、ノズルで吸着された電子部品の形状や、ノズルによる電子部品の保持状態を認識する。VCSユニット17は、取得した情報を制御装置20に送る。
交換ノズル保持機構18は、複数種類のノズルを保持する機構である。交換ノズル保持機構18は、複数種類のノズルをヘッド15が着脱交換可能な状態で保持する。ここで、本実施形態の交換ノズル保持機構18は、電子部品を吸引することで保持する吸引ノズルと、電子部品を把持することで保持する把持ノズルと、を保持している。ヘッド15は、交換ノズル保持機構18で装着するノズルを変更し、装着されたノズルに対して空気圧を供給して駆動することで、保持する電子部品を適切な条件(吸引または把持)で保持することができる。
部品貯留部19は、ヘッド15がノズルで保持し、基板8に実装しない電子部品を貯留する箱である。つまり、電子部品実装装置10では、基板8に実装しない電子部品を廃棄する廃棄ボックスとなる。電子部品実装装置10は、ヘッド15が保持している電子部品の中に基板8に実装しない電子部品がある場合、ヘッド15を部品貯留部19と対面する位置に移動させ、保持している電子部品を解放することで、電子部品を部品貯留部19に投入する。
制御装置20は、電子部品実装装置10の各部を制御する。制御装置20は、各種制御部の集合体である。操作部40は、作業者が操作を入力する入力デバイスである。操作部40としては、キーボード、マウス、タッチパネル等が例示される。操作部40は検出した各種入力を制御装置20に送る。表示部42は、作業者に各種情報を表示する画面である。表示部42としては、タッチパネル、ビジョンモニタ等がある。表示部42は、制御装置20から入力される画像信号に基づいて各種画像を表示させる。
なお、本実施形態の電子部品実装装置10は、ヘッドを1つとしたが部品供給ユニット14f、14rのそれぞれに対応して2つのヘッドを設けてもよい。この場合、X軸駆動部を2つ設け、2つのヘッドをそれぞれXY方向に移動させることで、2つのヘッドを独立して移動させることができる。さらに、電子部品実装装置10は、基板搬送部12を平行に2つ配置することも好ましい。電子部品実装装置10は、2つの基板搬送部12で2つの基板を交互に電子部品搭載位置に移動させ、前記2つのヘッド15で交互に部品搭載すれば、さらに効率よく基板に電子部品を搭載することができる。
次に、図3及び図4を用いて、ヘッド15の構成について説明する。図3は、電子部品実装装置のヘッドの概略構成を示す模式図である。図4は、電子部品実装装置のヘッドの概略構成を示す模式図である。なお、図3には、電子部品実装装置10を制御する各種制御部と部品供給ユニット14rの1つの部品供給装置90もあわせて示す。ヘッド15は、図3及び図4に示すように、ヘッド本体30と撮影装置(基板状態検出部)36と高さセンサ(基板状態検出部)37とレーザ認識装置(部品状態検出部、状態検出部)38と、を有する。
電子部品実装装置10は、図3に示すように、制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64と、を有する。制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64とは、上述した制御装置20の一部である。また、電子部品実装装置10は、電源と接続されており電源から供給される電力を制御部60、ヘッド制御部62、部品供給制御部64及び各種回路を用いて、各部に供給する。制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64とについては後述する。
電子部品供給装置90は、電子部品80を供給する機構である。ここで、電子部品80は、電子部品本体(以下単に「本体」という。)82と、本体82のラジアル方向に配置された2本のリード84と、を有する。なお、本実施形態の電子部品80は、リード84を2本としたが、リード84の本数は特に限定されない。電子部品80としては、アルミ電解コンデンサが例示される。なお、電子部品80として、アルミ電解コンデンサの他にも、リードを有する各種電子部品を用いることができる。電子部品供給装置90は、電子部品保持テープ(ラジアル部品テープ)にリード84が保持された電子部品80の本体82が上方に露出している。電子部品供給装置90は、電子部品保持テープを引き出し、移動させることで、電子部品保持テープに保持された電子部品80を保持領域(吸着領域、把持領域)に移動させる。本実施形態では、部品供給装置90のY軸方向の先端近傍が、電子部品保持テープに保持された電子部品80をヘッド15のノズルが保持する保持領域となる。電子部品供給装置90の構成については後述する。また、電子部品供給装置90aの場合も同様に、所定の位置が、ヘッド15のノズルが電子部品保持テープに保持された電子部品80を保持する保持領域となる。
ヘッド本体30は、各部を支持するヘッド支持体31と、複数のノズル32と、ノズル駆動部34と、を有する。本実施形態のヘッド本体30には、図4に示すように、6本のノズル32が一列に配置されている。6本のノズル32は、X軸に平行な方向に並んでいる。なお、図4に示すノズル32は、いずれも電子部品80を吸着して保持する吸着ノズルが配置されている。
ヘッド支持体31は、X軸駆動部22と連結している支持部材であり、ノズル32及びノズル駆動部34を支持する。なお、ヘッド支持体31は、レーザ認識装置38も支持している。
ノズル32は、電子部品80を吸着し、保持する吸着機構である。ノズル32は、先端に開口32aを有する。開口32aは、内部の空洞及びノズル保持部33の空洞を介してノズル駆動部34に連結されている。ノズル32は、この開口32aから空気を吸引することで、先端に電子部品80を吸着し、保持する。ノズル32は、ノズル保持部33に対して着脱可能であり、ノズル保持部33に装着されていない場合、交換ノズル機構18に保管(格納)される。また、ノズル32は、開口32aの形状や、大きさが種々のものがある。また、本実施形態では、電子部品を吸着するための開口を備える吸着型のノズルを示したが、空気圧により稼動するアームを用い、電子部品を挟み込むことで保持するは把持型のノズルも用いることができる。
ノズル保持部33は、鉛直方向下側の端部(先端)でノズル32を保持する機構であり、例えば、ノズル駆動部34にとってノズル支持体31に対して移動されるシャフトと、ノズル32と連結するソケットと、を有する。シャフトは、棒状の部材であり、Z軸方向に延在して配置されている。シャフトは、鉛直方向下側の端部に配置されたソケットを支持する。シャフトは、ソケットに連結する部分がZ軸方向に移動可能な状態及びθ方向に回転可能な状態でヘッド支持体31に対して支持されている。ここで、Z軸は、XY平面に対して直交する軸であり、基板8の表面に対して直交する方向となる。θ方向とは、すなわち、ノズル駆動部34がノズル32を移動させる方向と平行な軸であるZ軸を中心とした円の円周方向と平行な方向である。θ方向は、ノズル32の回動方向となる。シャフトは、ソケットに連結する部分がノズル駆動部34によってZ軸方向及びθ方向に移動、回転される。
ノズル駆動部34は、ノズル保持部33をZ軸方向に移動させることでノズル32をZ軸方向に移動させ、ノズル32の開口32aで電子部品80を吸着させる。また、ノズル駆動部34は、電子部品80の実装時等にノズル保持部33をθ方向に回転させることでノズル32をθ方向に回転させる。
ノズル駆動部34は、ノズル32をZ軸方向に移動させる機構として、Z軸モータ34a、具体的には、Z軸方向が駆動方向となる直動リニアモータを有する機構がある。ノズル駆動部34は、Z軸モータ34aでノズル保持部33とともにノズル32をZ軸方向に移動させることで、ノズル32の先端部の開口32aのシャフトをZ軸方向に移動させる。また、ノズル駆動部34は、ノズル32をθ方向に回転させる機構として、例えばモータとノズル保持部33のシャフトに連結された伝達要素とで構成された機構がある。ノズル駆動部34は、モータから出力された駆動力を伝達要素でノズル保持部33のシャフトに伝達し、シャフトをθ方向に回転させることで、ノズル32の先端部もθ方向に回転させる。
ノズル駆動部34は、ノズル32の開口32aで電子部品80を吸着させる機構、つまり吸引機構としては、例えば、ノズル32の開口32aと連結された空気管と、当該空気管と接続されたポンプと、空気管の管路の開閉を切り換える電磁弁と、を有する機構がある。ノズル駆動部34は、ポンプで空気管の空気を吸引し、電磁弁の開閉を切り換えることで開口32aから空気を吸引するか否かを切り換える。ノズル駆動部34は、電磁弁を開き開口32aから空気を吸引することで開口32aに電子部品80を吸着(保持)させ、電磁弁を閉じ開口32aから空気を吸引しないことで開口32aに吸着していた電子部品80を解放する、つまり開口32aで電子部品80を吸着しない状態(保持しない状態)とする。
また、本実施形態のヘッド15は、電子部品の本体を保持するときに本体上面がノズル(吸着ノズル)32で吸着できない形状である場合には、後述する把持ノズルを用いる。把持ノズルは、吸着ノズルと同様に空気を吸引解放することで固定片に対して可動片が開閉することで電子部品の本体を上方から把持解放することができる。また、ヘッド15は、ノズル駆動部34でノズル32を移動させ、交換動作を実行することで、ノズル駆動部34が駆動させるノズルを換えることができる。
撮影装置36は、ヘッド本体30のヘッド支持体31に固定されており、ヘッド15と対面する領域、例えば、基板8や電子部品80が搭載された基板8等を撮影する。撮影装置36は、カメラと、照明装置と、を有し、照明装置で視野を照明しつつ、カメラで画像を取得する。これにより、ヘッド本体30に対面する位置の画像、例えば、基板8や、部品供給ユニット14の各種画像を撮影することができる。例えば、撮影装置36は、基板8の表面に形成された基準マークとしてのBOCマーク(以下単にBOCともいう)やスルーホール(挿入穴)の画像を撮影する。ここで、BOCマーク以外の基準マークを用いる場合、当該基準マークの画像を撮影する。
高さセンサ37は、ヘッド本体30のヘッド支持体31に固定されており、ヘッド15と対面する領域、例えば、基板8や電子部品80が搭載された基板8との距離を計測する。高さセンサ37としては、レーザ光を照射する発光素子と、対面する位置で反射して戻ってくるレーザ光を受光する受光素子とを有し、レーザ光を発光してから受光するまでの時間で対面する部分との距離を計測するレーザセンサを用いることができる。また、高さセンサ37は、測定時の自身の位置及び基板の位置を用いて、対面する部分との距離を処理することで、対面する部分、具体的には電子部品の高さを検出する。なお、電子部品との距離の測定結果に基づいて電子部品の高さを検出する処理は制御部60で行ってもよい。
レーザ認識装置38は、光源38aと、受光素子38bと、を有する。レーザ認識装置38は、ブラケット50に内蔵されている。ブラケット50は、図3に示すように、ヘッド支持体31の下側、基板8及び部品供給装置90側に連結されている。レーザ認識装置38は、ヘッド本体30のノズル32で吸着した電子部品80に対して、レーザ光を照射することで、電子部品80の状態を検出する装置である。ここで、電子部品80の状態とは、電子部品80の形状、ノズル32で電子部品80を正しい姿勢で吸着しているか等である。光源38aは、レーザ光を出力する発光素子である。受光素子38bは、Z軸方向における位置、つまり高さが同じ位置であり、光源38aに対向する位置に配置されている。レーザ認識装置38による形状の認識処理については後述する。
次に、電子部品実装装置10の装置構成の制御機能について説明する。電子部品実装装置10は、図3に示すように、制御装置20として、制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64と、を有する。各種制御部は、それぞれ、CPU、ROMやRAM等の演算処理機能と記憶機能とを備える部材で構成される。また、本実施形態では、説明の都合で複数の制御部としたが、1つの制御部としてもよい。また、電子部品実装装置10の制御機能を1つの制御部とした場合、1つの演算装置で実現しても複数の演算装置で実現してもよい。
制御部60は、電子部品実装装置10の各部と接続されており、入力された操作信号や、電子部品実装装置10の各部で検出された情報に基づいて、記憶されているプログラムを実行し、各部の動作を制御する。制御部60は、例えば、基板8の搬送動作、XY移動機構16によるヘッド15の駆動動作、レーザ認識装置38による形状の検出動作等を制御する。また、制御部60は、上述したようにヘッド制御部62に各種指示を送り、ヘッド制御部62による制御動作も制御する。制御部60は、部品供給制御部64による制御動作も制御する。
ヘッド制御部62は、ノズル駆動部34、ヘッド支持体31に配置された各種センサ及び制御部60に接続されており、ノズル駆動部34を制御し、ノズル32の動作を制御する。ヘッド制御部62は、制御部60から供給される操作指示及び各種センサ(例えば、距離センサ)の検出結果に基づいて、ノズル32の電子部品の吸着(保持)/解放動作、各ノズル32の回動動作、Z軸方向の移動動作を制御する。ヘッド制御部62の制御については、後述する。
部品供給制御部64は、部品供給ユニット14f、14rによる電子部品80の供給動作を制御する。部品供給制御部64は、電子部品供給装置90、90a毎に設けても、1つですべての電子部品供給装置90、90aを制御してもよい。例えば、部品供給制御部64は、電子部品供給装置90による電子部品保持テープの引き出し動作(移動動作)、リードの切断動作及びラジアルリード型電子部品の保持動作を制御する。また、部品供給制御部64は、部品供給ユニット14が電子部品供給装置90aを備えている場合、電子部品供給装置90aによる電子部品保持テープの引き出し動作(移動動作)等を制御する。部品供給制御部64は、制御部60による指示に基づいて各種動作を実行する。部品供給制御部64は、電子部品保持テープまたは電子部品保持テープの引き出し動作を制御することで、電子部品保持テープまたは電子部品保持テープの移動を制御する。
ここで、上記実施形態では、ヘッドに装着するノズルに吸着ノズルを用いる場合として説明したがこれに限定されない。図5は、ノズルの一例を示す説明図である。図5は、把持ノズル(グリッパーノズル)の一例を示す図である。図5に示すノズル201は、固定アーム202と、可動アーム204とを有する。ノズル201は、可動アーム204の支点205がノズル201の本体に回動可能な状態で固定されており、可動アーム204は、支点205を軸として固定アーム202と対面する部分が固定アーム202に近づく方向から遠ざかる方向に移動することができる。可動アーム204は、ノズル201の本体の部分、固定アーム202に近づいたり遠ざかったりする部分とは、支点205を介して反対側に駆動部206が連結されている。駆動部206は、把持ノズルを駆動する駆動源(空気圧)により移動される。可動アーム204は、駆動部206が移動することで、固定アーム202と対面する部分が固定アーム202に近づく方向から遠ざかる方向に移動する。
ノズル201は、固定アーム202と可動アーム204との間に電子部品80がある状態で、固定アーム202と可動アーム204との距離を縮めることで、電子部品80を把持することができる。
把持ノズルは、ノズル201に限定されず、種々の形状とすることができる。把持ノズルは、それぞれ固定アームと可動アームとの間隔や、可動範囲を種々の値とすることができる。このように把持ノズルは、ノズルの形状毎に把持できる電子部品の形状が異なる。
電子部品実装装置10は、保持する電子部品の種類に応じて、当該電子部品を保持するノズルの種類を選択することで、電子部品を適切に保持することができる。具体的には、保持する電子部品に応じて、吸着ノズルを用いるか把持ノズルを用いるかを選択し、さらにそれぞれの種類のノズル中でもどのノズルを用いるかを切り換えることで、1台の電子部品実装装置でより多くの種類の電子部品を実装することができる。
次に、電子部品実装装置の各部の動作について説明する。なお、下記で説明する電子部品実装装置の各部の動作は、いずれも制御装置20に基づいて各部の動作を制御することで実行することができる。
図6は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。図6を用いて、電子部品実装装置10の全体の処理動作の概略を説明する。なお、図6に示す処理は制御装置20が各部を制御することで実行される。電子部品実装装置10は、ステップS52として、生産プログラムを読み込む。生産プログラムは、専用の生産プログラム作成装置で作成されたり、入力された各種データに基づいて制御装置20によって作成されたりする。
電子部品実装装置10は、ステップS52で生産プログラムを読み込んだら、ステップS24として、装置の状態を検出する。具体的には、部品供給ユニット14f、14rの構成、充填されている電子部品の種類、準備されているノズルの種類等を検出する。電子部品実装装置10は、ステップS54で装置の状態を検出し、準備が完了したら、ステップS56として、基板を搬入する。電子部品実装装置10は、ステップ56で基板を搬入し、電子部品を実装する位置に基板を配置したら、ステップS58として電子部品を基板に実装する。電子部品実装装置10は、ステップS58で電子部品の実装が完了したら、ステップS60として基板を搬出する。電子部品実装装置10は、ステップS60で基板を搬出したら、ステップS62として生産終了かを判定する。電子部品実装装置10は、ステップS62で生産終了ではない(No)と判定した場合、ステップS56に進み、ステップS56からステップS60の処理を実行する。つまり、生産プログラムに基づいて、基板に電子部品を実装する処理を実行する。電子部品実装装置10は、ステップS62で生産終了である(Yes)と判定した場合、本処理を終了する。
電子部品実装装置10は、以上のようにして、生産プログラムを読み込み、各種設定を行った後、基板に電子部品を実装することで、電子部品が実装された基板を製造することができる。また、電子部品実装装置10は、電子部品として、本体と当該本体に接続されたリードとを有するリード型電子部品を基板に実装、具体的には、リードを基板に形成された穴(挿入穴)に挿入することで当該電子部品を基板に実装することができる。
図7は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。なお、図7に示す処理動作は、基板を搬入してから、基板への電子部品の搭載が完了するまでの動作である。また、図7に示す処理動作は、制御部60が各部の動作を制御することで実行される。
制御部60は、ステップS102として、基板を搬入する。具体的には、制御部60は、電子部品を搭載する対象の基板を基板搬送部12で所定位置まで搬送する。制御部60は、ステップS102で基板を搬入したら、ステップS104として保持移動を行う。ここで、保持移動(吸着移動)とは、ノズル32が部品供給ユニット14の保持領域にある電子部品80と対面する位置までヘッド本体30を移動させる処理動作である。
制御部60は、ステップS104で保持移動を行ったら、ステップS106として、ノズル32を下降させる。つまり、制御部60は、電子部品80を保持(吸着、把持)できる位置までノズル32を下方向に移動させる。制御部60は、ステップS106でノズル32を下降させたら、ステップS108として、ノズル32で部品を保持し、ステップS110として、ノズル32を上昇させる。制御部60は、ステップS110でノズルを所定位置まで上昇させたら、具体的には電子部品80をレーザ認識装置38の計測位置まで移動させたら、ステップS112として、ノズル32で吸着している電子部品の形状を検出する。制御部60は、ステップS112で電子部品の形状を検出したら、ステップS114としてノズルを上昇させる。なお、制御部60は、上述したようにステップS112で部品形状を検出し、保持した電子部品が搭載不可であると判定した場合、電子部品を廃棄し、再び電子部品を吸着する。制御部60は、ノズルを所定位置まで上昇させたら、ステップS116として、搭載移動、つまりノズル32で吸着している電子部品を基板8の搭載位置(実装位置)に対向する位置まで移動させる処理動作を行い、ステップS118として、ノズル32を下降させ、ステップS120として部品搭載(部品実装)、つまりノズル32から電子部品80を解放する処理動作を行い、ステップS122として、ノズル32を上昇させる。つまり、制御部60は、ステップS112からステップS120の処理動作は、上述した実装処理を実行する。
制御部60は、ステップS122でノズルを上昇させた場合、ステップS124として全部品の搭載が完了したか、つまり基板8に搭載する予定の電子部品の実装処理が完了したかを判定する。制御部60は、ステップS124で全部品の搭載が完了していない(No)、つまり搭載する予定の電子部品が残っていると判定した場合、ステップS104に進み、次の電子部品を基板8に搭載する処理動作を実行する。このように制御部60は、基板に全部品の搭載が完了するまで、上記処理動作を繰り返す。制御部60は、ステップS124で全部品の搭載が完了した(Yes)と判定した場合、本処理を終了する。
次に、図8に示す処理は、電子部品の実装前の処理、具体的には電子部品の形状の計測処理及び計測結果に基づいた判定処理である。なお、制御部60は、図8の処理を保持するすべての電子部品に対して実行する。制御部60は、ステップS150として保持対象の電子部品のデータを取得する。ここで、保持対象(吸着対象、把持対象)の電子部品のデータとは、当該電子部品を基板に実装するために必要な各種情報である。保持対象の電子部品のデータは、当該電子部品が保持されている電子部品供給装置90の位置、電子部品の形状データ、電子部品の吸着高さ(保持高さ)、電子部品をレーザ認識装置38で計測する計測位置の情報等である。
制御部60は、ステップS150でデータを取得したら、ステップS152として計測位置を決定する。つまり、制御部60は、ステップS150で取得したデータに基づいて電子部品の形状を検出する位置、つまり、電子部品のZ軸方向の位置を決定する。なお、制御部60は、ステップS150及びステップS152の処理を、電子部品の吸着前に行ってもよい。
制御部60は、ステップS152で計測位置を決定し、かつノズルで電子部品を吸着した場合、ステップS154として、電子部品のZ軸位置を調整する。つまり、制御部60は、ノズルをZ軸方向に移動させることで、電子部品のステップS152で決定した計測位置をレーザ認識装置38の計測領域に移動させる。制御部60は、ステップS154で電子部品のZ軸位置を調整したら、ステップS156として電子部品の形状を計測する。つまり、制御部60は、レーザ認識装置38を用いて電子部品の計測位置における形状を検出する。
制御部60は、ステップS156で電子部品の計測位置における形状を検出したら、ステップS158として計測終了かを判定する。つまり制御部60は、ステップS152で決定した計測位置での形状の計測が終了したかを判定する。制御部60は、ステップS158で計測終了ではない(No)と判定した場合、ステップS154に進み、ステップS154とステップS156の処理を再び行い、計測が終了していない計測位置の形状を計測する。制御部60は、このように電子部品の位置の調整と形状の計測とを繰り返すことで、設定した計測位置の形状を検出する。
制御部60は、ステップS158で計測終了である(Yes)と判定した場合、ステップS160として計測結果と基準データとを比較する。ここで基準データは、ステップS150で取得した吸着対象(保持対象)の電子部品の形状のデータである。制御部60は、計測結果と基準データとを比較することで、吸着している電子部品が基準データと一致する形状であるか、電子部品の向きが基準データの向きと一致するか等を判定する。
制御部60は、ステップS160で比較を行ったら、ステップS162として部品は適正であるかを判定する。具体的には、制御部60は、ステップS162で電子部品を実装可能な状態で吸着しているかを判定する。制御部60は、ステップS162で部品は適正ではない(No)と判定した場合、ステップS164としてノズルが吸着している電子部品を廃棄し、本処理を終了する。制御部60は、部品貯留部19と対面する位置にヘッド及びノズルを移動させ、当該ノズルが保持している電子部品を部品貯留部19に投入することで、電子部品を廃棄する。なお、制御部60は、同一種類の電子部品を基板の同一搭載位置(実装位置)に実装する処理を再び実行する。
制御部60は、ステップS162で部品は適正である(Yes)と判定した場合、ステップS166として部品の方向(ノズルの回転方向における方向)が適正であるかを判定する。つまり、吸着している電子部品が基準の向きと同一であるかを判定する。なお、本実施形態の制御部60は、ステップS166として電子部品は反転しているかを判定する。制御部60は、ステップS166で方向が適正ではない(No)、つまり電子部品が反転した状態であると判定した場合、ステップS168で電子部品を反転させた後ステップS170に進む。
制御部60は、ステップS166でYesと判定した場合またはステップS168の処理を実行した場合、ステップS170として保持位置に基づいて、電子部品の搭載位置(実装位置)を微調整する。例えば、電子部品の形状の検出結果に基づいて、ノズルが電子部品を吸着している位置を検出し、基準位置に対する保持位置のずれに基づいて、実装時のノズルと基板の相対位置を調整する。制御部60は、ステップS170の処理を実行したら本処理を終了する。また、制御部60は、図8のステップS170の処理を行ったら、判定した電子部品をステップS170の結果を加味して電子部品を基板に実装する。
電子部品実装装置10は、このようにレーザ認識装置38を用いて電子部品の形状を検出し、その結果に基づいて各種処理を行うことで、基板により適切に電子部品を実装することができる。
電子部品実装装置10は、図8に示すフローチャートのステップS164で電子部品を廃棄したが、電子部品のリードの形状が不適切と判定した場合、リードの形状を修正する処理を実行するようにしてもよい。つまり、ステップS164で電子部品を廃棄せずに、電子部品のリードを挿入可能な形状に補正(加工)し、搭載位置(実装位置)に実装するようにしてもよい。電子部品実装装置10は、電子部品供給装置90のカットユニットの電子部品をクランプする機構で電子部品のリードを修正するようにしても、別途設けた修正機構で電子部品のリードを修正するようにしてもよい。このようにリードの形状を加工する加工手段としては、電子部品の本体またはリードをクランプする機構、別途設けた修正機構等、種々の手段を用いることができる。
次に、図9を用いて、電子部品の搭載時の処理動作の一例について説明する。図9は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。電子部品実装装置10は、ヘッドのノズルで電子部品を保持する動作の度に図9の処理を実行する。なお、図9の処理は、基本的に、電子部品として、リード型電子部品と搭載型電子部品の両方を基板に実装する場合の処理である。電子部品実装装置10は、ステップS180として、保持する電子部品を特定し、ステップS182として保持対象の部品がリード型電子部品であるかを判定する。
電子部品実装装置10は、ステップS182でリード型電子部品である(Yes)と判定した場合、ステップS184として、電子部品供給装置のリード型電子部品をノズルで保持する。つまり、電子部品実装装置10は、電子部品供給装置90の保持位置(第2保持位置)に供給されるリード型電子部品をノズルで保持する。電子部品実装装置10は、ステップS184でリード型電子部品をノズルで保持したら、ステップS186として、リード型電子部品のリードを挿入穴に挿入して基板に実装する。
電子部品実装装置10は、ステップS182でリード型電子部品ではない(No)と判定した場合、ステップS187として、電子部品供給装置の搭載型電子部品をノズルで保持する。つまり、電子部品実装装置10は、電子部品供給装置90aの保持位置(第1保持位置)に供給される搭載型電子部品をノズルで保持する。電子部品実装装置10は、ステップS187で搭載型電子部品をノズルで保持したら、ステップS188として、搭載型電子部品を基板に実装する。つまり、電子部品実装装置10は、搭載型電子部品を挿入穴に挿入せずに基板に実装する。
電子部品実装装置10は、ステップS186またはステップS188の処理を実行したら、つまり電子部品を実装したら、ステップS189として全ての電子部品の実装が完了したかを判定する。電子部品実装装置10は、ステップS189で実装が完了していない(No)と判定した場合、ステップS180に進み、次に実装する電子部品を特定して、当該特定した電子部品に対して上記処理を実行する。電子部品実装装置10は、ステップS189で実装が完了した(Yes)と判定したら、本処理を終了する。
電子部品実装装置10は、図9に示すように、1つのヘッドで搭載型電子部品とリード型電子部品を基板に実装することができる。さらに、電子部品実装装置10は、同じノズルで、搭載型電子部品とリード型電子部品の両方を搭載することができる。ここで、電子部品実装装置10は、リード型電子部品の本体を保持(吸着または把持)することで、搭載型電子部品と同じノズルで移送し、実装することができる。また、電子部品実装装置10は、搭載型電子部品かリード型電子部品かを判定しそれぞれに応じてリードを挿入穴に挿入する、しないを切り換えることで、同じヘッドや同じノズルで実装を行った場合でもそれぞれの電子部品に適した条件で基板に実装することができる。これにより、ノズルを交換することなく搭載型電子部品とリード型電子部品とを実装することができる。また、搭載型電子部品とリード型電子部品とを分けずに混合して搭載できることで、搭載順序の制限がより少なくなり、実装の効率をより向上させることができる。
次に、図10から図16を用いて、リード型電子部品の実装動作についてより詳細に説明する。図10は、ヘッド制御部の概略構成を示すブロック図である。なお、図10は、ヘッド制御部62の機能のうち、ノズルのZ軸方向の移動に関する制御を実行する機能を抽出した構成を示している。ヘッド制御部62は、これ以外にもノズルによる電子部品の保持動作、解放動作、ノズルのθ方向の回転動作を制御する機能を備えている。
ヘッド制御部62は、メイン制御部102と、モータ制御部104と、を有する。メイン制御部102は、モータ制御部104に動作指令を出力するモータ動作指令部112と、リード型電子部品のリードの形態に対応した実装時の電流の基準パターンを記憶する記憶部114と、モータ制御部から出力されたZ軸モータ34aの電流値と記憶部114で記憶された基準パターンとを比較する比較部116と、を有する。モータ動作指令部112は、モータ制御部104に動作指令を出力し、ノズル駆動部34のZ軸モータ(単にモータともいう)34aの動作を制御する。動作指令とは、モータの回転数、駆動時間、駆動タイミング等であり、これらを制御することで、ノズルのZ軸方向の移動を制御する。記憶部114は、リード型電子部品の実装動作時にノズル駆動部34のZ軸モータ34aに流れる電流値の基準パターンのデータを記憶している。つまり、リード型電子部品をノズルで保持し、リード型電子部品のリードを基板の挿入穴に挿入して、当該リード型電子部品を基板上に実装する動作である実装動作時に、リードの長さや曲がりを含むリードの形態により挿入穴とリードとの間に発生する摺動抵抗がZ軸モータ34aに対して負荷の変動となることで生じる電流値のパターンを記憶している。記憶部114は、電子部品の種類ごとに基準パターンを記憶している。電子部品の種類ごとにリード型電子部品のリードの形態に対応した実装時の電流の基準パターンを記憶している。基準パターンの検出動作については後述する。電子部品の種類は、型番、形状、ピンの数等で分類することができる。同じ供給装置で供給できる電子部品は、同じ種類といえる。比較部116は、記憶部114に記憶している基準パターンと後述するモータ制御部104の電流値取得部124から供給された電流値、つまり、比較の基準となる電流値と電子部品の実装動作時に検出される電流値との比較処理を実行する。比較部116は、比較結果をモータ動作指令部112に送る。メイン制御部102は、比較部116でZ軸モータ34aの電流値と記憶部114から読み出した基準パターンとの比較を行い、許容範囲を超えた場合、モータ動作指令部112により実装動作を停止させる。
モータ制御部104は、ノズル駆動部34のZ軸モータ34aの動作を制御し、状態を検出する。モータ制御部104は、指令出力部122と、電流値取得部124と、を有する。指令出力部122は、モータ動作指令部112から出力された指令をZ軸モータ34aに出力し、Z軸モータ34aを駆動する。電流値取得部124は、Z軸モータ34aの電流値を取得する。電流値取得部124は、一定の取得間隔でZ軸モータ34aの電流値を取得することが好ましく、Z軸モータ34aの速度によって取得間隔を調整することがより好ましい。
次に図11から図14を用いて、基準パターンと電流値取得部124で取得されるモータ電流値との関係について説明する。まず、図11と図12を用いて、直線状のリードを備えるリード型電子部品の実装動作時の基準パターンとモータ電流値との関係を説明する。図11は、電子部品実装装置の動作の一例を説明するための説明図である。図12は、ヘッド制御部で実行する動作の一例を説明するための説明図である。
本体82にリード84を備える電子部品80が基板8に実装される場合、電子部品80は、ノズル32によって保持され、搭載位置まで移動し、Z軸方向に移動され、基板8に近づいていく。この場合、電子部品80は、ステップS202に示すように基板8と非接触の状態から、ステップS204に示すように、リード84の先端が基板8の表面と同じ高さになるまで降下される。このとき、基本的に適正に実装される場合(実装動作が適切である場合)リード84が基板8の穴に挿入される。その後、電子部品80は、さらに降下され、ステップS206に示すように、リード84が基板8の穴に挿入され、鉛直方向下側の端部が基板8の反対側の面よりも下側まで移動される。電子部品80は、さらに降下され、ステップS208に示すように、本体82が基板8と接触し、実装が完了した状態となる。なお、ノズルは、その後、電子部品を解放し、上昇する。
図11に示す電子部品80の実装動作が適正に実行されると、Z軸モータ34aの電流値は、図12に示すパターン130となる。したがって、パターン130は、電子部品80に対する基準パターンとなる。パターン130は、時間t3まで一定の電流値となり、時間t3から時間t4の間まで徐々に電流値が上昇する。実装動作では、電子部品80は、時間t3で本体82と基板8とが接触する。メイン制御部102は、本体82と基板8とが接触した後も、ノズルを降下させ、電子部品80を基板8に押し付けることで、電子部品80を確実に基板8に実装させることができる。このように、パターン130は、本体82と基板8とが接触するまでは、Z軸モータ34aに電子部品を降下させるために必要な一定の電流値が流れる。
次に、パターン132は、パターン130を基準として、実装動作が適正であると判定できる上限の電流値のパターン(上限判定値のパターン)である。パターン134は、パターン130を基準として、実装動作が適正であると判定できる下限の電流値のパターン(下限判定値のパターン)である。ここで、パターン132、134は、パターン130を基準として、作成することができる。例えば、パターン130に一定の値を加算、減算した値のパターンとしても良い。また、パターン130に一定の割合をかけたパターン、つまり、パターン132は、パターン130に1より大きい数値をかけたパターンとし、パターン134は、パターン130に1より小さい数値をかけたパターンとしてもよい。
メイン制御部102の比較部116は、電流値取得部124で取得した電流値がパターン130を基準としてパターン132とパターン134との間に含まれているか否かで実装動作が適正であるか否かの判定を行う。ここで、図12のパターン136は、リードが基板の穴に挿入されず、基板に接触した場合の電流値である。メイン制御部102は、パターン136の電流値が検出された場合、パターン136の電流値がパターン132の電流値を超える時間t1で異常が発生したと判定することができる。
これに対して、例えば、判定基準を一定の電圧値とする場合、異常判定の基準値は、正常な実装動作で検出される電流値よりも高くするため、パターン132の上限の電流値である電流値Iaとなる。このため、電流値Iaを基準とすると、パターン136で異常が発生したと判定されるのが時間t2となり、時間t1よりも遅くなる。
このように、電子部品実装装置10は、基準パターン130に基づいて電子部品の実装動作が適正であるかを判定することで、異常をより早く判定することができる。また、簡単に検出できる電流値を用いることで、装置を簡略化することができ、装置を安価にすることができる。
ここで、メイン制御部102は、基準パターン130に基づいて電子部品の実装動作が適正であるかを判定することで、電流値が許容範囲を超えた場合、つまり本実施形態では、パターン136の値がパターン132の値を超えた場合、実装しているリード型電子部品の実装動作が終了する前に、より具体的には、検出した時点である時間t2でモータ動作指令部112により実装動作を停止させることができる。これにより、電子部品80のリードが変形することを抑制でき、搭載動作の異常が生じても電子部品を再利用できるようにすることができる。
ここで、メイン制御部102は、基準パターン130に基づいて電子部品の実装動作が適正であるかを判定することで、電流値が許容範囲を超えた場合、つまり本実施形態では、パターン136の値がパターン132の値を超えた場合でも、実装しているリード型電子部品の実装動作が終了した後、つまり時間t4の経過後に、モータ動作指令部112により実装動作を停止させることもできる。これにより、生産を継続することもできる。
なお、メイン制御部102は、異常を検出した場合、エラーメッセージを表示部に表示させることが好ましい。動作を停止してもしなくても、エラーメッセージを表示させることで、オペレータに迅速に異常を通知することができる。
また、メイン制御部102は、電流値が許容範囲を超えた場合、つまり本実施形態では、パターン136の値がパターン132の値を超えた場合、設定を読み出し、設定に基づいて実装しているリード型電子部品の実装動作が終了する前に、モータ動作指令部112により実装動作を停止させる動作、または、実装しているリード型電子部品の実装動作が終了した後に、モータ動作指令部112により実装動作を停止させる動作のいずれかの動作を実行するようにしてもよい。つまり動作を選択できるようにしてもよい。また、メイン制御部102は、実装している電子部品の重要度等によって、動作を切り換えるようにしても良い。
次に、図13と図14を用いて、フォーミングされたリード、つまり、実装後に基板から抜けないように屈曲部が形成されたリードを備えるリード型電子部品の実装動作時の基準パターンとモータ電流値との関係を説明する。図13は、電子部品実装装置の動作の一例を説明するための説明図である。図14は、ヘッド制御部で実行する動作の一例を説明するための説明図である。
本体82aにリード84aを備える電子部品80aが基板8に実装される場合、電子部品80aは、ノズル32によって保持され、搭載位置まで移動し、Z軸方向に移動され、基板8に近づいていく。この場合、電子部品80aは、ステップS212に示すように基板8と非接触の状態から、ステップS214に示すように、リード84aの屈曲部が基板8の表面と同じ高さになるまで降下される。このとき、基本的に適正に実装される場合(実装動作が適切である場合)リード84aが基板8の穴に接触する。その後、電子部品80aは、さらに降下され、ステップS216に示すように、リード84aの屈曲部が全て基板8の穴に挿入される。このとき、基本的に適正に実装される場合(実装動作が適切である場合)リード84aが基板8の穴に接触していない状態となる。電子部品80aは、さらに降下され、ステップS218に示すように、本体82aが基板8と接触し、実装が完了した状態となる。なお、ノズルは、その後、電子部品を解放し、上昇する。
図13に示す電子部品80aの実装動作が適正に実行されると、Z軸モータ34aの電流値は、図14に示すパターン140となる。したがって、パターン140は、電子部品80aに対する基準パターンとなる。パターン140は、時間t11で上述したステップS212に示すようにリードの屈曲部が基板の穴に接触し、時間t12で上述したステップS216に示すようにリードの屈曲部が基板の穴の通過が完了する。これにより、時間t11から時間t12の間まで徐々に電流値が上昇し、その後低下する。また、パターン140は、時間t14から時間t15の間まで徐々に電流値が上昇する。実装動作では、電子部品80aは、時間t14で本体82aと基板8とが接触する。メイン制御部102は、本体82aと基板8とが接触した後も、ノズルを降下させ、電子部品80aを基板8に押し付けることで、電子部品80aを確実に基板8に実装させることができる。
次に、パターン142は、パターン140を基準として、実装動作が適正であると判定できる上限の電流値のパターン(上限判定値のパターン)である。パターン144は、パターン140を基準として、実装動作が適正であると判定できる下限の電流値のパターン(下限判定値のパターン)である。ここで、パターン142、144は、パターン140を基準として、作成することができる。例えば、パターン140に一定の値を加算、減産した値のパターンとしても良い。また、パターン140に一定の割合をかけたパターン、つまり、パターン142は、パターン140に1より大きい数値をかけたパターンとし、パターン144は、パターン140に1より小さい数値をかけたパターンとしてもよい。
メイン制御部102の比較部116は、電流値取得部124で取得した電流値がパターン140を基準としてパターン142とパターン144との間に含まれているか否かで実装動作が適正であるか否かの判定を行う。ここで、図14のパターン146は、リードの屈曲部が穴に挿入された後、実装動作に異常が生じた場合の電流値である。例えば、基板上面に異物があり、それを挟み込んで挿入動作を実施した場合などがあげられる。メイン制御部102は、パターン146の電流値が検出された場合、パターン146の電流値がパターン142の電流値を超える時間t13で異常が発生したと判定することができる。
これに対して、例えば、判定基準を一定の電圧値とする場合、異常判定の基準値は、正常な実装動作で検出される電流値よりも高くするため、パターン142の時間t11とt12の間の上限の電流値よりも高い電流値Ibとなる。このため、電流値Ibを基準とすると、パターン146で異常が発生しても、搭載の異常を検出することができない。
このように、本実施形態のメイン制御部102は、基準パターンを基準として異常を判定しているため、リードの形状が複雑で実装動作時に電流値が変化する場合であっても搭載の異常を好適に検出することができる。
図15は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。次に、図15を用いて、基準パターンの設置方法の一例を説明する。図15に示す動作は、制御部60が各部の動作を制御し、ヘッド制御部62がヘッドの各部の動作を制御することで実現することができる。以下、全制御を統括する制御部60で制御を実施するものとして説明する。
制御部60は、ステップS302として、ヘッドのノズルで測定対象部品(リード型電子部品)を保持し、ステップS304として、測定対象部品をセンタリングする。つまり、XY方向に移動し、測定対象部品を搭載位置まで移動させる。その後、制御部60は、ステップS306として搭載動作(実装動作)を実行し、ステップS308として、電流値取得部124で搭載動作時のZ軸電流値(Z軸モータ34aの電流値)を取得し、記憶部114に記憶させる。
その後、制御部60は、ステップS310としてZ軸が停止したか、つまり下降動作が終了したかを判定する。制御部60は、ステップS310で停止していない(No)と判定した場合、ステップS312として、1ms時間待ちをし、ステップS308に戻る。このように、制御部60は、Z軸が停止するまで、1ms毎にZ軸電流値を検出し、記憶させる。
制御部60は、ステップS310で停止した(Yes)と判定した場合、ステップS314として、搭載動作を継続し、ステップS316として、搭載動作を完了させた後、ステップS317として正常に搭載されているかを判定する。制御部60は、ステップS317で正常に搭載されていない(No)と判定した場合、ステップS318として、取得動作を繰り返すかを判定する。制御部60は、ステップS318で取得動作を繰り返す(Yes)と判定した場合、ステップS302に戻り上記動作を再び実行する。制御部60は、ステップS318で取得動作を繰り返さない(No)と判定した場合、本処理を終了する。
制御部60は、ステップS317で正常に搭載されている(Yes)と判定した場合、ステップS320として正常電流値を記憶部114にパターンとして保存し、本処理を終了する。なお、制御部60は、上記処理を複数回繰り返し、複数回パターンを検出し、平均値を基準パターンとすることが好ましい。また、制御部60は、生産時の搭載動作の電流値も取得し、基準パターンを補正、上書きすることが好ましい。これにより、基準パターンの精度をより向上させることができる。
図16は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。次に、図16を用いて、生産時の動作の一例を説明する。図16に示す動作は、制御部60が各部の動作を制御し、ヘッド制御部62がヘッドの各部の動作を制御することで実現することができる。以下、全制御を統括する制御部60で制御を実施するものとして説明する。
制御部60は、ステップS352として搭載部品が挿入部品(リード型電子部品)であるかを判定する。制御部60は、ステップS352で挿入部品ではない(No)と判定した場合、ステップS362に進む。制御部60は、ステップS352で挿入部品である(Yes)と判定した場合、ステップS354として、搭載異常検知を行う設定であるかを判定する。つまり、基準パターンを用いた判定を行う設定であるかを判定する。制御部60は、ステップS354で検知を行う設定ではない(No)と判定した場合、ステップS362に進む。
制御部60は、ステップS354で検知を行う設定である(Yes)と判定した場合、ステップS356として、検知対象部品は、正常電流値(基準パターン)を取得済みか判定する。制御部60は、ステップS356で取得していない(No)と判定した場合、ステップS358として、「正常電流値」を取得していないワーニング(警告画面)を表示し、ステップS360として、ワーニングを無視して生産動作を行うかを判定する。制御部60は、ステップS360で生産動作を行う(Yes)と判定した場合、ステップS362に進む。制御部60は、ステップS360で生産動作を行わない(No)と判定した場合、本処理を終了する。
制御部60は、ステップS352、S354でNo、ステップS360でYesと判定した場合、ステップS362として、搭載動作、具体的には基板への降下動作を開始し、ステップS364として、搭載動作、降下の停止を行い、ステップS366として、搭載動作を継続し、ステップS368として、搭載動作を完了させた後、本処理を終了する。
制御部60は、ステップS356で取得済み(Yes)と判定した場合、ステップS370として、ヘッドのノズルで検知対象部品(リード型電子部品)を保持し、ステップS372として、検知対象部品をセンタリングする。その後、制御部60は、ステップS374として搭載動作(実装動作)を実行し、ステップS376として、電流値取得部124で搭載動作時のZ軸電流値(Z軸モータ34aの電流値)を取得し、Z軸電流値と正常電流値との相違が判定値以内であるかを判定する。
制御部60は、ステップS376で判定値以内ではない(No)と判定した場合、ステップS378としてエラー発生時に即停止する設定であるかを判定し、即停止する設定である(Yes)と判定した場合、ステップS380として、モータのサーボオフを行う。制御部60は、ステップS378で即停止する設定ではない(No)と判定した場合、また、ステップS380の処理を行った場合、ステップS382として、挿入部品異常検知で動作を終了したエラーメッセージを表示させ、動作を停止させた後、本処理を終了する。
制御部60は、ステップS376で判定値以内である(Yes)と判定した場合、ステップS384として、Z軸が停止したか、つまり下降動作が終了したかを判定する。制御部60は、ステップS384で停止していない(No)と判定した場合、ステップS386として、1ms時間待ちをし、ステップS376に戻る。このように、制御部60は、Z軸が停止するまで、1ms毎にZ軸電流値を検出し、判定を行う。
制御部60は、ステップS384で停止した(Yes)と判定した場合、ステップS388として、搭載動作を継続し、ステップS389として、搭載動作を完了させた後、本処理を終了する。
電子部品実装装置10は、以上の制御を行うことで、上述したようにリード型電子部品の搭載動作(実装動作)での異常をより早くかつ高い精度で検出することができる。
また基準パターンとして、正常な挿入動作時に検出した電流値と電子部品の位置との対応関係を用いることで、実際の動作に即した判定を行うことが出来、判定の精度を高くすることができる。また、基準パターンとして、動作開始からの時間または距離に応じて電流値が変化するパターンを用いることで、一定の値での判定では検出できない異常も判定することができる。
メイン制御部102は、判定値に含まれるかを判定することが好ましいが、基準パターンで電流が変化しない領域でモータの電流値が変化した場合、許容範囲を超えたと判定するようにしてもよい。また、メイン制御部102は、本実施形態のように基準パターンの電流値を基準とした判定値を設定し、モータの電流値が前記判定値の範囲をはずれた場合、許容範囲を超えたと判定することで高い精度で異常を検出することができる。
ここで、上記実施形態の電子部品実装装置10は、部品供給ユニット14として、ラジアルフィーダの電子部品供給装置90と搭載型電子部品を供給する電子部品供給装置90aとを備える構成としたが、これに限定されない。電子部品実装装置10は、部品供給ユニットを各種組み合わせとすることができる。電子部品供給装置としては、上述した種々の方式を用いることができる。
ここで、ラジアルフィーダである電子部品供給装置90が供給する電子部品としては、テープでリードを保持することができる種々のラジアルリード型電子部品がある。電子部品供給装置90は、例えば、アルミ電解コンデンサ、インダクタ、セラミックコンデンサ、フィルムコンデンサ等を供給することができる。また、ボウルフィーダである電子部品供給装置が供給する電子部品としては、パッケージ部品の各種リード型電子部品がある。電子部品供給装置は、例えば、ソリッドステートリレー、DIP型電子部品、SIP型電子部品、コネクタ、トランス等を供給することができる。
また、ヘッド15は、複数のノズルを備える場合、リード型電子部品(挿入型電子部品)を保持し搭載可能なノズルを少なくとも一本備えていればよく、ノズルの構成を種々の構成とすることができる。例えば、ヘッド15は、一部のノズルがリード型電子部品を保持するノズルであり、残りのノズルが搭載型電子部品を保持するノズルとしてもよい。この場合、電子部品実装装置は、ノズルが搭載型電子部品を保持した場合には、当該搭載型電子部品を基板搭載する実装制御を行い、リード型電子部品を保持した場合には、当該リード型電子部品を挿入穴(基板孔)に挿入する実装制御を行う。また、ヘッド15は、すべてのノズルを、リード型電子部品を保持するノズルとしてもよい。また、電子部品実装装置10は、生産プログラムに基づいて、搭載対象の電子部品を吸着する吸着ノズル(または把持する把持ノズル)を決定する際、電子部品の種類によって当該電子部品を保持し実装するノズルを決定する。電子部品実装装置10は、このように一台のヘッドに装着可能な複数のノズルを用意し、生産プログラムに基づく指令により生産中にノズル自動交換装置を作動させて、ヘッドに装着するノズルを次に生産する電子部品(実装する電子部品)に合わせたノズルに着脱交換することで、基板に対してリード型電子部品を保持挿入するとともに搭載型電子部品を基板搭載することで順次基板実装できる。