以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
以下に、本発明にかかる電子部品実装装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。図1は、電子部品実装装置の概略構成を示す模式図である。
図1に示す電子部品実装装置10は、基板8の上に電子部品を搭載する装置である。電子部品実装装置10は、筐体11と、基板搬送部12f、12rと、部品供給ユニット14f、14rと、ヘッド15f、15rと、XY移動機構16と、VCSユニット17f、17rと、ノズル交換機18f、18rと、部品貯留部19f、19rと、制御部20と、操作部40と、表示部42と、中間ノズル交換機70と、を有する。XY移動機構16は、X軸駆動部22r、22fと、Y軸駆動部24と、を備える。図1の電子部品実装装置10は、制御部20と、操作部40と、表示部42と、を筐体11の外部に配置したが、筐体11に内蔵していてもよい。
ここで、本実施形態の電子部品実装装置10は、図1に示すように、基板搬送部12f、12rと、部品供給ユニット14f、14rと、ヘッド15f、15rと、VCSユニット17f、17rと、ノズル交換機18f、18rと、部品貯留部19f、19rと、X軸駆動部22f、22rと、を備える。このように、電子部品実装装置10は、一部の構成を2つずつ備える。電子部品実装装置10は、基板搬送部12fと、部品供給ユニット14fと、ヘッド15fと、VCSユニット17fと、ノズル交換機18f、部品貯留部19fと、X軸駆動部22fと、が電子部品実装装置10のフロント側に配置される1つのレーン(モジュール)となる。本実施形態では、フロント側のレーン(モジュール)が第1レーン(第1モジュール)となり、第1基板搬送部12f、第1部品供給ユニット14f、第1ヘッド15f、第1VCSユニット17f、第1ノズル交換機18f、第1部品貯留部19f、第1X軸駆動部22fとなる。電子部品実装装置10は、基板搬送部12rと、部品供給ユニット14rと、ヘッド15rと、VCSユニット17rと、ノズル交換機18r、部品貯留部19rと、X軸駆動部22rと、が電子部品実装装置10のリア側に配置される1つのレーン(モジュール)となる。本実施形態では、リア側のレーン(モジュール)が第2レーン(第2モジュール)となり、第2基板搬送部12r、第2部品供給ユニット14r、第2ヘッド15r、第2VCSユニット17r、第2ノズル交換機18r、第2部品貯留部19r、第2X軸駆動部22rとなる。
また、以下では、2つの基板搬送部12f、12rを特に区別しない場合、基板搬送部12とし、2つの部品供給ユニット14f、14rを特に区別しない場合、部品供給ユニット14とし、2つのヘッド15f、15rを特に区別しない場合、ヘッド15とし、2つのVCSユニット17f、17rを特に区別しない場合、VCSユニット17とし、2つのノズル交換機18f、18rを特に区別しない場合、ノズル交換機18とし、2つの部品貯留部19f、19rを特に区別しない場合、部品貯留部19とし、2つのX軸駆動部22f、22rを特に区別しない場合、X軸駆動部22とする。
基板8は、電子部品を搭載する部材であればよく、その構成は特に限定されない。本実施形態の基板8は、板状部材であり、表面に配線パターンが設けられている。基板8に設けられた配線パターンの表面には、リフローによって板状部材の配線パターンと電子部品とを接合する接合部材であるはんだが付着している。図1の電子部品実装装置10では、基板8a、8b、8c、8d、8e、8fの6枚の基板が基板搬送部12f、12rで搬送されている。
筐体11は、電子部品実装装置10を構成する各部を収納する箱である。筐体11は、電子部品実装装置10の各部が内蔵されている。筐体11は、フロント側に、フロント側の部品供給ユニット14fと操作部40と表示部42とが配置され、リア側に、リア側の部品供給ユニット14rが配置されている。筐体11は、2つの側面(部品供給ユニット14f、14rが配置されていない対向する側面)にそれぞれ基板8を装置内に搬入し、排出する2つの開口が形成されている。
基板搬送部12は、基板8を図中X軸方向に搬送する搬送機構である。基板搬送部12fは、基板8a、8b、8cを搬送している。基板搬送部12rは、基板8d、8e、8fを搬送している。基板搬送部12は、X軸方向に延在するレールと、基板8を支持し、基板8をレールに沿って移動させる搬送機構とを有する。基板搬送部12は、基板8の搭載対象面がヘッド15と対面する向きで、基板8を搬送機構によりレールに沿って移動させることで基板8をX軸方向に搬送する。基板搬送部12は、電子部品実装装置10に供給する機器から供給された基板8を、レール上の所定位置まで搬送する。ヘッド15は、前記所定位置で、電子部品を基板8の表面に搭載する。基板搬送部12fは、基板8bが配置されている位置がフロント側のヘッド15fで電子部品が実装される所定位置となる。基板搬送部12rは、基板8eが配置されている位置がリア側のヘッド15rで電子部品が実装される所定位置となる。基板搬送部12は、前記所定位置まで搬送した基板8上に電子部品が搭載されたら、基板8を、次の工程を行う装置に搬送する。なお、基板搬送部12の搬送機構としては、種々の構成を用いることができる。例えば、基板8の搬送方向に沿って配置されたレールと前記レールに沿って回転するエンドレスベルトとを組合せ、前記エンドレスベルトに基板8を搭載した状態で搬送する、搬送機構を一体としたベルト方式の搬送機構を用いることができる。基板搬送部12f、12rは、搬送する基板8の大きさに応じて、Y方向の位置を調整する位置調整機構を備えていてもよい。
電子部品実装装置10は、フロント側に部品供給ユニット14fが配置され、リア側に部品供給ユニット14rが配置されている。フロント側の部品供給ユニット14fは、それぞれ基板8上に搭載する電子部品を多数保持し、フロント側のヘッド15fに供給可能、つまり、フロント側のヘッド15fで保持(吸着または把持)可能な状態で保持位置に供給する電子部品供給装置を備える。リア側の部品供給ユニット14rは、それぞれ基板8上に搭載する電子部品を多数保持し、リア側のヘッド15rに供給可能、つまり、リア側のヘッド15rで保持(吸着または把持)可能な状態で保持位置に供給する電子部品供給装置を備える。本実施形態の部品供給ユニット14f、14rは、同様の構成であり、複数の電子部品供給装置を備える。電子部品供給装置は、それぞれヘッド15f、15rが電子部品を保持する保持位置に電子部品を供給する。以下、部品供給ユニット14の構成として説明する。
部品供給ユニット14は、複数の電子部品供給装置(以下、単に「部品供給装置」ともいう。)100と、を有する。複数の部品供給装置100は、支持台(バンク)に保持される。また、支持台は、部品供給装置100の他の装置(例えば、計測装置やカメラ等)を搭載することができる。
また、部品供給ユニット14は、複数の搭載型電子部品をテープ本体に固定した電子部品保持テープ(チップ部品テープ)を装着し、当該電子部品保持テープで保持した搭載型電子部品の保持位置(第1保持位置)でテープ本体から剥がし、当該保持位置にある搭載型電子部品をヘッドに備えた吸着ノズルまたは把持ノズルで保持可能とする電子部品供給装置100を備えている。
電子部品供給装置100は、テープに基板搭載するチップ型の電子部品を貼り付けて構成される電子部品保持テープを使用してヘッド15に電子部品を保持領域(吸着位置、把持位置、保持位置)に供給する。各部品供給装置100が保持位置に供給した電子部品は、ヘッド15により基板8に実装される。なお、電子部品保持テープは、テープに複数の格納室が形成されており、当該格納室に電子部品が格納されている。電子部品供給装置100は、電子部品保持テープを保持し、保持している電子部品保持テープを送り、格納室をヘッド15のノズルにより電子部品が吸着できる保持領域まで移動させるテープフィーダである。なお、格納室を保持領域に移動させることで、当該格納室に収容されている電子部品を所定位置に露出した状態とすることができ、当該電子部品をヘッド15のノズルにより吸着、把持することができる。複数の部品供給装置100は、それぞれ異なる品種の電子部品を供給しても、別々の電子部品を供給してもよい。
電子部品供給装置100は、テープフィーダに限定されず、チップ型電子部品を供給する種々のチップ部品フィーダとすることができる。チップ部品フィーダとしては、例えば、スティックフィーダ、バルクフィーダを用いることができる。なお、チップ型電子部品(搭載型電子部品)としては、SOP、QFP等が例示される。チップ型電子部品は、基板8の表面に置かれることで、基板8に実装される。
部品供給ユニット14は、支持台に保持されている複数の部品供給装置100が、搭載する電子部品の種類、電子部品を保持する機構または供給機構が異なる複数種類の部品供給装置100で構成される。また、部品供給ユニット14は、同一種類の部品供給装置100を複数備えていてもよい。また、部品供給ユニット14は、装置本体に対して着脱可能な構成とすることが好ましい。部品供給ユニット14は、電子部品を供給する種々の電子部品供給装置を用いることができる。例えば、部品供給ユニット14は、電子部品供給装置100としてスティックフィーダやトレイフィーダを設置してもよい。また、部品供給ユニット14は、部品供給装置100としてボウルフィーダを設けてもよい。
また、本実施形態の部品供給ユニット14は、チップ型電子部品を供給する場合として説明したが、リード型電子部品を供給することもできる。例えば、部品供給ユニット14は、複数のラジアルリード型電子部品(ラジアルリード部品)をテープ本体に固定した電子部品保持テープ(ラジアル部品テープ)を装着し、当該電子部品保持テープで保持したラジアルリード型電子部品のリードを保持位置(第2保持位置)で切断し、当該保持位置にあるラジアルリード型電子部品をヘッドに備えた吸着ノズルまたは把持ノズルで保持可能とする電子部品供給装置を複数装着することもできる。ラジアルリード型電子部品を供給する電子部品供給装置は、保持領域まで移動させたラジアルリード型電子部品のリードを切断して分離することで、当該テープでリードが固定されたラジアルリード型電子部品を所定位置に保持可能な状態とすることができ、当該ラジアルリード型電子部品をヘッド15のノズルにより保持(吸着、把持)することができる。ラジアルリード型電子部品は、基板に形成された挿入穴にリードが挿入されて基板に実装される。
ヘッド15は、部品供給ユニット14に保持された電子部品(電子部品供給装置100に保持された搭載型電子部品)、をノズルで保持(吸着または把持)し、保持した電子部品を基板搬送部12によって所定位置に移動された基板8上に実装する機構である。本実施形態のヘッド15fは、部品供給ユニット14fに保持された電子部品をノズルで保持して、基板搬送部12fで搬送される基板8bに実装する。ヘッド15rは、部品供給ユニット14rに保持された電子部品をノズルで保持して、基板搬送部12rで搬送される基板8eに実装する。なお、ヘッド15の構成については、後述する。
XY移動機構16は、ヘッド15f、15rを図1中X軸方向及びY軸方向、つまり、基板8の表面と平行な面上で移動させる移動機構でありX軸駆動部22f、22rとY軸駆動部24とを有する。X軸駆動部22fは、ヘッド15fと連結しており、ヘッド15fをX軸方向に移動させる。X軸駆動部22rは、ヘッド15rと連結しており、ヘッド15rをX軸方向に移動させる。Y軸駆動部24は、X軸駆動部22を介してヘッド15と連結しており、X軸駆動部22fをY軸方向に移動させることで、ヘッド15fをY軸方向に移動させ、X軸駆動部22rをY軸方向に移動させることで、ヘッド15rをY軸方向に移動させる。XY移動機構16は、ヘッド15fをXY軸方向に移動させることで、ヘッド15fを基板8bと対面する位置、または、部品供給ユニット14fと対面する位置に移動させることができる。XY移動機構16は、ヘッド15rをXY軸方向に移動させることで、ヘッド15rを基板8eと対面する位置、または、部品供給ユニット14rと対面する位置に移動させることができる。また、XY移動機構16は、ヘッド15を移動させることで、ヘッド15と基板8との相対位置を調整する。これにより、ヘッド15が保持した電子部品を基板8の表面の任意の位置に移動させることができ、電子部品を基板8の表面の任意の位置に搭載することが可能となる。つまり、XY移動機構16は、ヘッド15f、15rを水平面(XY平面)上で移動させて、部品供給ユニット14f、14rの電子部品供給装置100にある電子部品を基板8の所定位置(搭載位置、実装位置)に移送する移送手段となる。なお、X軸駆動部22としては、ヘッド15を所定の方向に移動させる種々の機構を用いることができる。Y軸駆動部24としては、X軸駆動部22を所定の方向に移動させる種々の機構を用いることができる。対象物を所定の方向に移動させる機構としては、例えば、リニアモータ、ラックアンドピニオン、ボールねじを用いた搬送機構、ベルトを利用した搬送機構等を用いることができる。
VCSユニット17と、ノズル交換機18と、部品貯留部19とは、XY平面において、対応するヘッド15の可動領域と重なる位置で、かつ、Z方向における位置がヘッド15よりも鉛直方向下側となる位置に配置されている。本実施形態では、VCSユニット17fと、ノズル交換機18fと、部品貯留部19fとは、基板搬送部12fと部品供給ユニット14fとの間に、隣接して配置される。VCSユニット17rと、ノズル交換機18rと、部品貯留部19rとは、基板搬送部12rと部品供給ユニット14rとの間に、隣接して配置される。
VCSユニット(部品状態検出部、状態検出部)17は、画像認識装置であり、ヘッド15のノズル近傍を撮影するカメラや、撮影領域を照明する照明ユニットを有する。VCSユニット17は、ヘッド15のノズルで吸着された電子部品の形状や、ノズルによる電子部品の保持状態を認識する。より具体的には、VCSユニット17は、対面する位置にヘッド15が移動されると、ヘッド15のノズルを鉛直方向下側から撮影し、撮影した画像を解析することで、ノズルで吸着された電子部品の形状や、ノズルによる電子部品の保持状態を認識する。VCSユニット17は、取得した情報を制御部20に送る。
ノズル交換機18は、複数種類のノズルを備え、対応するヘッド15が保持する(装着される)ノズルを交換する機構である。図2は、ノズル交換機の概略構成を示す模式図である。なお、図2は、フロント側のノズル交換機18fを示すがリア側のノズル交換機18rも同様の構成である。なお、フロント側のノズル交換機18fとリア側のノズル交換機18rとでは、備えるノズルの種類、数が異なっていてもよいし、同じでもよい。図2に示すノズル交換機18fは、18箇所のノズル保持部72を備えている。ノズル交換機18fは、18箇所のノズル保持部72のうち、6箇所にA型のノズルを保持し、3箇所にB型のノズルを保持し、3箇所にC型のノズルを保持し、2箇所にD型のノズルを保持し、1箇所にE型のノズルを保持し、1箇所にF型のノズルを保持し、1箇所にG型のノズルを保持している。また、ノズル交換機18fは、1箇所のノズル保持部72がノズルを保持していない状態、つまり空き領域の状態である。ここで、本実施形態のノズル交換機18fは、ノズル保持部72に、電子部品を吸引することで保持する吸引ノズルと、電子部品を把持することで保持する把持ノズルと、の両方を保持することができる。
ノズル交換機18は、複数種類のノズルをヘッド15が着脱交換可能な状態で保持する。ヘッド15は、ノズル交換機18で装着するノズルを変更し、装着されたノズルに対して空気圧を供給して駆動することで、保持する電子部品を適切な条件(吸引または把持)で保持することができる。
部品貯留部19は、ヘッド15がノズルで保持し、基板8に実装しない電子部品を貯留する箱である。つまり、電子部品実装装置10では、基板8に実装しない電子部品を廃棄する廃棄ボックスとなる。電子部品実装装置10は、ヘッド15が保持している電子部品の中に基板8に実装しない電子部品がある場合、ヘッド15を部品貯留部19と対面する位置に移動させ、保持している電子部品を開放することで、電子部品を部品貯留部19に投入する。
中間ノズル交換機70は、基板搬送部12fと基板搬送部12rとの間に配置されている。中間ノズル交換機70は、ノズル交換機18と同様に複数のノズル保持部を備えている。本実施形態の中間ノズル交換機70は、6つのノズル保持部を備えている。中間ノズル交換機70は、ヘッド15fとヘッド15rの両方の可動領域に配置されている。中間ノズル交換機70は、ヘッド15f、15rの両方で装着されているノズルをノズル保持部で保持することができる。中間ノズル交換機70は、ノズル保持部で保持するノズルをヘッド15f、15rの両方に装着させることができる。従って、中間ノズル交換機70は、ヘッド15fで装着されているノズルをノズル保持部で保持し、ノズル保持部で保持するノズルをヘッド15rに装着させることができる。同様に中間ノズル交換機70は、ヘッド15rで装着されているノズルをノズル保持部で保持し、ノズル保持部で保持するノズルをヘッド15fに装着させることができる。このように、中間ノズル交換機70は、一方のヘッド15から他方のヘッド15にノズルを受け渡すことができる。また、電子部品実装装置10は、受け渡されたノズルをヘッド15に対応するノズル交換機18に保持させることもできる。これにより、電子部品実装装置10は、中間ノズル交換機70を介して、ヘッド15間でノズルを受け渡すことで、ノズル交換機18に備えられるノズルを入れ替えることができる。
制御部20は、電子部品実装装置10の各部を制御する。制御部20は、各種制御部の集合体である。操作部40は、作業者が操作を入力する入力デバイスであり、キーボード、マウスやタッチパネルなどを有する。操作部40は検出した各種入力を制御部20に送る。表示部42は、作業者に各種情報を表示する画面であり、タッチパネルやビジョンモニタなどを有する。表示部42は、制御部20から入力される画像信号に基づいて各種画像をタッチパネルやビジョンモニタに表示させる。
次に、図3及び図4を用いて、ヘッド15の構成について説明する。図3は、電子部品実装装置のヘッドの概略構成を示す模式図である。図4は、電子部品実装装置のヘッドの概略構成を示す模式図である。なお、図3には、電子部品実装装置10を制御する各種制御部と部品供給ユニット14の1つの部品供給装置100もあわせて示す。ヘッド15は、図3及び図4に示すように、ヘッド本体30と撮影装置(基板状態検出部)36と高さセンサ(基板状態検出部)37とレーザ認識装置(部品状態検出部、状態検出部)38とを有する。
電子部品実装装置10は、図3に示すように、制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64と、を有する。制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64とは、上述した制御部20の一部である。また、電子部品実装装置10は、電源と接続されており電源から供給される電力を制御部60、ヘッド制御部62、部品供給制御部64及び各種回路を用いて、各部に供給する。制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64とについては後述する。
電子部品供給装置100は、電子部品保持テープに電子部品80の本体が上方に露出している。電子部品供給装置100は、電子部品保持テープを引き出し、移動させることで、電子部品保持テープに保持された電子部品80を保持領域(吸着領域、把持領域)に移動させる。本実施形態では、部品供給装置100のY軸方向の先端近傍が、電子部品保持テープに保持された電子部品80をヘッド15のノズルが保持する保持領域となる。また、電子部品供給装置100の場合も同様に、所定の位置が、ヘッド15のノズルが電子部品保持テープに保持された電子部品80を保持する保持領域となる。
ヘッド本体30は、各部を支持するヘッド支持体31と、複数のノズル32と、ノズル駆動部34と、を有する。本実施形態のヘッド本体30には、図4に示すように、6本のノズル32が一列に配置されている。6本のノズル32は、X軸に平行な方向に並んでいる。なお、図4に示すノズル32は、いずれも電子部品80を吸着して保持する吸着ノズルが配置されている。
ヘッド支持体31は、X軸駆動部22と連結している支持部材であり、ノズル32及びノズル駆動部34を支持する。なお、ヘッド支持体31は、撮影装置(基板状態検出部)36と高さセンサ(基板状態検出部)37とレーザ認識装置38も支持している。
ノズル32は、電子部品80を吸着し、保持する吸着機構である。ノズル32は、先端に開口33を有し、この開口33から空気を吸引することで、先端に電子部品80を吸着し、保持する。なお、ノズル32は、開口33が形成され電子部品80を吸着する先端部に連結されたシャフト32aを有する。シャフト32aは、先端部を支持する棒状の部材であり、Z軸方向に延在して配置されている。シャフト32aは、内部に開口33とノズル駆動部34の吸引機構とを接続する空気管(配管)が配置されている。
ノズル駆動部34は、ノズル32をZ軸方向に移動させ、ノズル32の開口33で電子部品80を吸着させる。ここで、Z軸は、XY平面に対して直交する軸である。なお、Z軸は、基板8の表面に対して直交する方向となる。また、ノズル駆動部34は、電子部品80の実装時等にノズル32をθ方向に回転させる。θ方向とは、すなわち、ノズル駆動部34がノズル32を移動させる方向と平行な軸であるZ軸を中心とした円の円周方向と平行な方向である。なお、θ方向は、ノズル32の回動方向となる。
ノズル駆動部34は、ノズル32をZ軸方向に移動させる機構として、例えば、Z軸方向が駆動方向となる直動リニアモータを有する機構がある。ノズル駆動部34は、直動リニアモータでノズル32のシャフト32aをZ軸方向に移動させることで、ノズル32の先端部の開口33をZ軸方向に移動させる。また、ノズル駆動部34は、ノズル32をθ方向に回転させる機構として、例えばモータとシャフト32aに連結された伝達要素とで構成された機構がある。ノズル駆動部34は、モータから出力された駆動力を伝達要素でシャフト32aに伝達し、シャフト32aをθ方向に回転させることで、ノズル32の先端部もθ方向に回転させる。
ノズル駆動部34は、ノズル32の開口33で電子部品80を吸着させる機構、つまり吸引機構としては、例えば、ノズル32の開口33と連結された空気管と、当該空気管と接続されたポンプと、空気管の管路の開閉を切り換える電磁弁と、を有する機構がある。ノズル駆動部34は、ポンプで空気管の空気を吸引し、電磁弁の開閉を切り換えることで開口33から空気を吸引するか否かを切り換える。ノズル駆動部34は、電磁弁を開き開口33から空気を吸引することで開口33に電子部品80を吸着(保持)させ、電磁弁を閉じ開口33から空気を吸引しないことで開口33に吸着していた電子部品80を開放する、つまり開口33で電子部品80を吸着しない状態(保持しない状態)とする。
また、本実施形態のヘッド15は、電子部品80の本体を保持するときに本体上面がノズル(吸着ノズル)32で吸着できない形状である場合には、後述する把持ノズルを用いる。把持ノズルは、吸着ノズルと同様に空気を吸引開放することで固定片に対して可動片が開閉することで電子部品80の本体を上方から把持開放することができる。また、ヘッド15は、ノズル駆動部34でノズル32を移動させ、交換動作を実行することで、ノズル駆動部34が駆動させるノズル32を換えることができる。
撮影装置36は、ヘッド本体30のヘッド支持体31に固定されており、ヘッド15と対面する領域、例えば、基板8や電子部品80が搭載された基板8等を撮影する。撮影装置36は、カメラと、照明装置と、を有し、照明装置で視野を照明しつつ、カメラで画像を取得する。これにより、ヘッド本体30に対面する位置の画像、例えば、基板8や、部品供給ユニット14の各種画像を撮影することができる。例えば、撮影装置36は、基板8の表面に形成された基準マークとしてのBOCマーク(以下単にBOCともいう)やスルーホール(挿入穴)の画像を撮影する。ここで、BOCマーク以外の基準マークを用いる場合、当該基準マークの画像を撮影する。
高さセンサ37は、ヘッド本体30のヘッド支持体31に固定されており、ヘッド15と対面する領域、例えば、基板8や電子部品80が搭載された基板8との距離を計測する。高さセンサ37としては、レーザ光を照射する発光素子と、対面する位置で反射して戻ってくるレーザ光を受光する受光素子とを有し、レーザ光を発光してから受光するまでの時間で対面する部分との距離を計測するレーザセンサを用いることができる。また、高さセンサ37は、測定時の自身の位置及び基板8の位置を用いて、対面する部分との距離を処理することで、対面する部分、具体的には電子部品80の高さを検出する。なお、電子部品80との距離の測定結果に基づいて電子部品80の高さを検出する処理は制御部60で行ってもよい。
レーザ認識装置38は、光源38aと、受光素子38bと、を有する。レーザ認識装置38は、ブラケット50に内蔵されている。ブラケット50は、図3に示すように、ヘッド支持体31の下側、基板8及び部品供給装置100側に連結されている。レーザ認識装置38は、ヘッド本体30のノズル32で吸着した電子部品80に対して、レーザ光を照射することで、電子部品80の状態を検出する装置である。ここで、電子部品80の状態とは、電子部品80の形状、ノズル32で電子部品80を正しい姿勢で吸着しているか等である。光源38aは、レーザ光を出力する発光素子である。受光素子38bは、Z軸方向における位置、つまり高さが同じ位置であり、光源38aに対向する位置に配置されている。
ヘッド15は、以上のような構成である。なお、上記実施形態のヘッド15は、ノズル32に吸着ノズルを装着している場合として説明したが、ノズル32に電子部品を把持して保持する把持ノズルを用いることができる。ヘッド15は、ノズル32に把持ノズルを用いる場合も、ノズル32に供給する空気圧を調整することで、把持ノズルの駆動部を稼動させて、電子部品を把持している状態と開放している状態を切り換える。また、ヘッド15は、撮影装置(基板状態検出部)36と高さセンサ(基板状態検出部)37とレーザ認識装置38とを備えていることが好ましいが、必ずしも備えていなくてもよい。
次に、電子部品実装装置10の装置構成の制御機能について説明する。電子部品実装装置10は、図3に示すように、制御部20として、制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64と、を有する。各種制御部は、それぞれ、CPU、ROMやRAM等の演算処理機能と記憶機能とを備える部材で構成される。また、本実施形態では、説明の都合で複数の制御部としたが、1つの制御部としてもよい。また、電子部品実装装置10の制御機能を1つの制御部とした場合、1つの演算装置で実現しても複数の演算装置で実現してもよい。
制御部60は、電子部品実装装置10の各部と接続されており、入力された操作信号や、電子部品実装装置10の各部で検出された情報に基づいて、記憶されているプログラムを実行し、各部の動作を制御する。制御部60は、例えば、基板8の搬送動作、XY移動機構16によるヘッド15の駆動動作、レーザ認識装置38による形状の検出動作等を制御する。また、制御部60は、上述したようにヘッド制御部62に各種指示を送り、ヘッド制御部62による制御動作も制御する。制御部60は、部品供給制御部64による制御動作も制御する。
ヘッド制御部62は、ノズル駆動部34、ヘッド支持体31に配置された各種センサ及び制御部60に接続されており、ノズル駆動部34を制御し、ノズル32の動作を制御する。ヘッド制御部62は、制御部60から供給される操作指示及び各種センサ(例えば、距離センサ)の検出結果に基づいて、ノズル32の電子部品80の吸着(保持)/開放動作、各ノズル32の回動動作、Z軸方向の移動動作を制御する。
部品供給制御部64は、部品供給ユニット14f、14rによる電子部品80の供給動作を制御する。部品供給制御部64は、部品供給装置100毎に設けても、1つですべての部品供給装置100を制御してもよい。例えば、部品供給制御部64は、電子部品供給装置100によるトレイの交換動作、移動動作を制御する。また、部品供給制御部64は、部品供給装置100による電子部品保持テープの引き出し動作(移動動作)等を制御する。部品供給制御部64は、制御部60による指示に基づいて各種動作を実行する。部品供給制御部64は、電子部品保持テープの引き出し動作を制御することで、電子部品保持テープの移動を制御する。
次に、電子部品実装装置10の各部の動作について説明する。なお、下記で説明する電子部品80の各部の動作は、いずれも制御部20に基づいて各部の動作を制御することで実行することができる。
図5は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。図5を用いて、電子部品実装装置10の全体の処理動作の概略を説明する。なお、図5に示す処理は制御部20が各部を制御することで実行される。電子部品実装装置10は、ステップS52として、生産プログラムを読み込む。生産プログラムは、専用の生産プログラム作成装置で作成されたり、入力された各種データに基づいて制御部20によって作成されたりする。
電子部品実装装置10は、ステップS52で生産プログラムを読み込んだら、ステップS54として、装置の状態を検出する。具体的には、部品供給ユニット14f、14rの構成、充填されている電子部品80の種類、準備されているノズル32の種類等を検出する。電子部品実装装置10は、ステップS54で装置の状態を検出し、準備が完了したら、ステップS56として、基板8を搬入する。電子部品実装装置10は、ステップS56で基板を搬入し、電子部品を実装する位置に基板を配置したら、ステップS58として電子部品を基板に実装する。電子部品実装装置10は、ステップS58で電子部品の実装が完了したら、ステップS60として基板を搬出する。電子部品実装装置10は、ステップS60で基板を搬出したら、ステップS62として生産終了かを判定する。電子部品実装装置10は、ステップS62で生産終了ではない(No)と判定した場合、ステップS56に進み、ステップS56からステップS60の処理を実行する。つまり、生産プログラムに基づいて、基板に電子部品を実装する処理を実行する。電子部品実装装置10は、ステップS62で生産終了である(Yes)と判定した場合、本処理を終了する。
電子部品実装装置10は、以上のようにして、生産プログラムを読み込み、各種設定を行った後、基板に電子部品を実装することで、電子部品が実装された基板を製造することができる。
図6は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。なお、図6に示す処理動作は、基板を搬入してから、基板への電子部品の搭載が完了するまでの動作である。また、図6に示す処理動作は、制御部60が各部の動作を制御することで実行される。
制御部60は、ステップS102として、基板8を搬入する。具体的には、制御部60は、電子部品を搭載する対象の基板を基板搬送部12で所定位置まで搬送する。制御部60は、ステップS102で基板を搬入したら、ステップS104として保持移動を行う。ここで、保持移動(吸着移動)とは、ノズル32が部品供給ユニット14の保持領域にある電子部品80と対面する位置までヘッド本体30を移動させる処理動作である。
制御部60は、ステップS104で保持移動を行ったら、ステップS106として、ノズル32を下降させる。つまり、制御部60は、電子部品80を保持(吸着、把持)できる位置までノズル32を下方向に移動させる。制御部60は、ステップS106でノズル32を下降させたら、ステップS108として、ノズル32で部品を保持し、ステップS110として、ノズル32を上昇させる。制御部60は、ステップS110でノズルを所定位置まで上昇させたら、具体的には電子部品80をレーザ認識装置38の計測位置まで移動させたら、ステップS112として、ノズル32で吸着している電子部品80の形状を検出する。制御部60は、ステップS112で電子部品の形状を検出したら、ステップS114としてノズル32を上昇させる。なお、制御部60は、上述したようにステップS112で電子部品の形状を検出し、保持した電子部品が搭載不可であると判定した場合、電子部品を廃棄し、再び電子部品を吸着する。制御部60は、ノズルを所定位置まで上昇させたら、ステップS116として、搭載移動、つまりノズル32で吸着している電子部品を基板8の搭載位置(実装位置)に対向する位置まで移動させる処理動作を行い、ステップS118として、ノズル32を下降させ、ステップS120として部品搭載(部品実装)、つまりノズル32から電子部品80を開放する処理動作を行い、ステップS122として、ノズル32を上昇させる。つまり、制御部60は、ステップS112からステップS120の処理動作として、上述した実装処理を実行する。
制御部60は、ステップS122でノズル32を上昇させた場合、ステップS124として全部品の搭載が完了したか、つまり基板8に搭載する予定の電子部品の実装処理が完了したかを判定する。制御部60は、ステップS124で全部品の搭載が完了していない(No)、つまり搭載する予定の電子部品が残っていると判定した場合、ステップS104に進み、次の電子部品を基板8に搭載する処理動作を実行する。このように制御部60は、基板8に全部品の搭載が完了するまで、上記処理動作を繰り返す。制御部60は、ステップS124で全部品の搭載が完了した(Yes)と判定した場合、本処理を終了する。
電子部品実装装置10は、図6に示す処理動作を実行することで、基板に電子部品を搭載することができ、電子部品が実装された基板を生産することができる。
次に、図7を用いて、電子部品実装装置が電子部品を実装している間の処理の一例を説明する。図7は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。電子部品実装装置10は、ステップS150としてヘッドの各ノズルで保持する電子部品を特定する。つまり、次にノズルが保持する電子部品の種類を特定する。
電子部品実装装置10は、ステップS150で電子部品を特定したら、ステップS152としてノズルの交換があるかを判定する。電子部品実装装置10は、ステップS152でノズルの交換なし(No)と判定したら、ステップS156に進む。電子部品実装装置10は、ステップS152でノズルの交換あり(Yes)と判定したら、ステップS154としてノズルの交換を実行する。具体的には、電子部品実装装置10は、ヘッド15をノズル交換機18に移動させ、ヘッドが保持しているノズルをノズル交換機18に移動させ、ノズル交換機18に保持され次に使用するノズルをヘッドに装着する。電子部品実装装置10は、ノズル交換機18でヘッドに装着されたノズルを吸着ノズルから把持ノズルに換えたり、吸着ノズルの種類を変えたり、把持ノズルの種類を変えたりする。電子部品実装装置10は、ステップS154の処理を行ったら、またはステップS152でNoと判定した場合、ステップS156として電子部品の保持動作、つまりヘッド15に装着されたノズルを用いてステップS150で特定した電子部品の保持動作を実行し、本処理を終了する。
電子部品実装装置10は、図7に示すように、電子部品の種類に応じて、ヘッドが装着するノズルを交換することで、より適切なノズルで電子部品を保持することができる。また、ノズルを交換可能とすることで、1つの電子部品実装装置10で電子部品を適切に保持することができる。またより多くの種類の電子部品を保持することができる。
次に、図8から図11を用いて、電子部品実装装置10で生産する基板が切り替わる際に実行される制御について説明する。図8は、電子部品実装装置の動作の一例を説明するための説明図である。図9は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。図10は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。図11は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図8は、フロント側のレーン(第1レーン)で生産される基板の機種(種類)と、リア側のレーン(第2レーン)で生産される基板の機種(種類)との切り替わりを示している。図8は、下段がフロント側のレーン(第1レーン)で生産される基板の機種(種類)を示し、上段がリア側のレーン(第2レーン)で生産される基板の機種(種類)を示している。本実施形態の電子部品実装装置10は、図8に示すように、フロント側のレーンで、機種Aの基板を設定された枚数生産した場合、生産する基板を機種Bの基板に切り換える。電子部品実装装置10は、リア側のレーンで、機種Cの基板を設定された枚数生産した場合、生産する基板を機種Dの基板に切り換え、機種Dの基板を設定された枚数生産した場合、生産する基板を機種Eの基板に切り換える。なお、本実施形態の電子部品実装装置10は、リア側のレーンで、機種Cの基板から機種Dの基板への生産の切り換えが生じた後、フロント側のレーンで機種Aの基板から機種Bの基板への生産の切り換えが生じる。また、電子部品実装装置10は、フロント側のレーンで、機種Aの基板から機種Bの基板への生産の切り換えが生じた後、リア側のレーンで、機種Dの基板から機種Eの基板への生産の切り換えが生じる。
本実施形態の電子部品実装装置10は、図8に示すようにフロント側のレーンと、リア側のレーンで独立して基板が生産され、設定した枚数の生産が終了すると生産する基板の種類を切り換える。電子部品実装装置10は、フロント側のレーンとリア側のレーンとのいずかで、生産する基板の種類の切り替え、つまり基板の生産に用いる生産プログラムの切り替えが発生した場合、所定の条件を満たすか判定し、所定の条件を満たす場合、それぞれのノズル交換機18で保持するノズルの入れ換えを行う。
以下、図9から図11を用いて、処理の一例を説明する。なお、図9から図11の処理は、制御部20で各部の動作を制御することで実現することができる。制御部20は、ステップS202として、前後のレーンの生産状況を検出する。つまり、フロント側のレーン(第1レーン)とリア側のレーン(第2レーン)の生産状況を検出する。生産状況とは、現状生産している種類の基板が何枚目であるか、残り何枚を生産するか、生産終了予定時刻までの残り時間等の少なくとも1つを含む。
制御部20は、ステップS202で生産状況を検出した場合、ステップS204として、所定の時間内に前後のレーンのいずれかで生産する機種の切り替えが発生するかを判定する。所定の時間は、予め設定した時間を用いることができる。なお、所定の時間は、機種の切り替えが発生する前に各種演算が完了するために必要な時間以上であることが好ましい。例えば、制御部20は、図8に示す生産状態で、リア側のレーンで機種Cの基板から機種Dの基板への生産の切り換えが生じる場合、フロント側のレーンで機種Aの基板から機種Bの基板への生産の切り換えが生じる場合、リア側のレーンで、機種Dの基板から機種Eの基板への生産の切り換えが生じる場合に、切り替えが発生すると判定する。制御部20は、ステップS204で所定の時間内に切り替えが発生しない(ステップS204でNo)と判定した場合、ステップS202に進む。
制御部20は、ステップS204で所定の時間内に切り替えが発生する(ステップS204でYes)と判定した場合、ステップS206として、前後のノズル交換機、つまりフロント側とリア側のノズル交換機18に割り付けるノズルを演算する。具体的には、切り替え後に生産する基板の機種の内容を生産プログラムに基づいて解析し、フロント側とリア側のノズル交換機18のノズルの割り当てを演算する。
例えば、制御部20は、リア側のレーンで機種Cの基板から機種Dの基板への生産の切り換えが生じると判定した場合、機種Dの生産に対応する生産プログラムで使用しないノズルを割り出す。具体的には、制御部20は、生産タクトが低下しない条件で機種Dの基板の生産時にヘッドで同時に使用するノズルの最大数をノズルの種類毎に算出する。つまり、機種Dの基板の生産時にノズル交換機でノズルを交換した場合に、ヘッドに同時に装着されるノズルの最大数をノズルの種類毎に算出する。制御部20は、ノズルの種類毎に、ヘッドに同時に装着されるノズルの最大数と対応するノズル交換機の当該ノズルの保持数とを比較し、最大数よりも多くノズル交換機に保持されているノズルを機種Dの生産では使用しないノズルとして算出する。ここで、制御部20は、フロント側のレーンでは、機種Aの基板の生産を継続している。制御部20は、機種Aの基板の生産で使用しないノズルも同様に算出する。制御部20は、フロント側、リア側のノズル交換機18のノズル保持部のうち、ノズルを保持(格納)していないノズル保持部の数、つまりノズル保持部の空き数を算出する。制御部20は、それぞれのレーンについて、使用していないノズルの本数と、ノズル保持部の空き数とを加算した数を算出し、算出したそれぞれのレーンの結果のうち、数値の小さい方の数を入れ換え可能なノズルの本数とする。
次に、制御部20は、使用していないノズルの中から、入れ換え可能なノズルの本数分、入れ替えるノズルを特定する。制御部20は、生産プログラムに基づいて、各ノズル種での搭載点数の割合を算出し、搭載点数の高いノズルから順にノズル交換対象のノズル(使用しないノズル)と比較し、一致したノズルを交換対象にする。ここで、制御部20は、同じ種類のノズルが複数本、交換対象となる場合、(当該ノズル種の交換に割り当てられる最大数)=(入れ替え可能数)*(当該ノズル種の総搭載点数/全ての搭載点数)で他のノズルと比較し、2本目以降の優先度を調整する。制御部20は、最大数より余りが下回った場合、すべて交換対象とする。また、優先度の高いノズル種であっても、装着ヘッドの最大数を交換時に超える場合には超えた分のノズルの優先度を1番低くする。つまり、同時にヘッドにつけることができるノズルの本数を超える場合は、超えたノズルに対しては、優先度を一番低くする。制御部20は、上記処理を行うことで、交換する(入れ替える)対象のノズルを特定する。なお、入れ替えるノズルの特定方法は、上記例に限定されず、種々の決定方法を用いることができる。例えば、制御部20は、使用しているノズルも判定の対象とし、ノズルを移動させることで、実装回数が低減できる場合、入れ替えの対象としてもよい。
制御部20は、ステップS206で割り付けるノズルを演算で算出したら、ステップS208として、ノズルの入れ替えで生産タクトが向上するかを判定する。なお、生産タクトが向上するかの判定については後述する。
制御部20は、ステップS208で生産タクトが向上する(ステップS208でYes)と判定した場合、ステップS210として、入れ替えたノズルの割り付けで最適化した生産プログラムを算出する。つまり、ノズルの入れ替えに対応して生産プログラムを修正する。制御部20は、機種の切り替えを行うレーンの生産プログラムの修正を行う。制御部20は、ステップS210で生産プログラムを算出したら、ステップS212として機種の切り替えが発生したかを判定する。
制御部20は、ステップS212で機種の切り替えが発生していない(ステップS212でNo)と判定した場合、ステップS212に進む。制御部20は、機種の切り替えが発生するまで、ステップS212の処理を繰り返す、制御部20は、ステップS212で機種の切り替えが発生した(ステップS212でYes)と判定した場合、ステップS214として、前後のノズル交換機のノズルの入れ替え情報に基づいてノズルを入れ替え、ステップS222に進む。つまり、制御部20は、ステップS206の算出結果に基づいて、前後のノズル交換機のノズルを入れ替える。なお、ノズルの入れ替えは、上述したように中間ノズル交換機を中継地点として、フロント側、リア側のヘッド15で移動させることで実現することができる。
制御部20は、ステップS208で生産タクトが向上しない(ステップS208でNo)と判定した場合、ステップS216として、生産プログラムを現状で維持する。つまり生産プログラムを変更せず、ステップS218として、機種の切り替えが発生したかを判定する。
制御部20は、ステップS218で機種の切り替えが発生していない(ステップS218でNo)と判定した場合、ステップS218に進む。制御部20は、機種の切り替えが発生するまで、ステップS218の処理を繰り返す、制御部20は、ステップS218で機種の切り替えが発生した(ステップS218でYes)と判定した場合、ステップS220として、ノズルを現状の位置で維持し、ステップS222に進む。つまり、制御部20は、ノズル交換機間での交換を行わない。
制御部20は、ステップS214、またはステップS220の処理を行ったら、ステップS222として生産プログラムに基づいて、生産を開始し、本処理を終了する。制御部20は、基板の製造が継続される場合、再びステップS202の処理を開始する。
次に、ステップS208の判定処理について説明する。本実施形態の制御部20は、2つのレーンで別々に生産タクトが向上するかを判定し、両方のレーンで生産タクトが向上する場合、生産タクトが向上すると判定する。なお、両方の生産タクトの変化を加味して、装置全体で生産タクトが向上する場合、生産タクトが向上すると判定してもよい。
図10は、生産する機種の切り替えが発生しているレーンについての判定の一例を示している。制御部20は、ステップS240として、現状のノズル配置での生産時間を算出する。ここで生産時間とは1枚の基板の生産に係る時間である。次に、制御部20は、ステップS242として、入れ換え後のノズル配置での生産時間を算出する。ここで、制御部20は、生産プログラムの搭載順最適化(吸着動作、搭載動作の最適化)及びノズル交換機のノズル配置最適化(ノズル交換をより少なくできる最適化)を実施して一枚あたりの生産時間を算出する。次に、制御部20は、ステップS244として、ノズルの入れ替えにかかる時間を算出する。次に、制御部20は、ステップS246として、対象の生産の終了後にノズルの入れ替えにかかる時間を算出する。対象の生産の終了後にノズルの入れ替えにかかる時間とは、次に生産する機種の切り替えが生じた場合に必要なノズルの入れ替えの時間、または、ノズルの配置を元に戻す場合にかかる時間である。なお、制御部20は、ステップS240からステップS246の演算の順序は特に限定されない。
制御部20は、ステップS240からステップS246で時間を算出したら、ステップS248として、ノズルの入れ替えによるロス時間<ノズルの入れ換えで短縮される時間であるかを判定する。ここで、ノズルの入れ替えによるロス時間とは、ステップS244で算出した時間とステップS246で算出した時間の合計値である。ノズルの入れ換えで短縮される時間とは、ステップS242で算出した生産時間からステップS240で算出した生産時間を引いた差分時間に残りの生産枚数をかけた時間である。
制御部20は、ステップS248でノズルの入れ替えによるロス時間<ノズルの入れ換えで短縮される時間である(ステップS248でYes)と判定した場合、ステップS250として生産タクトが向上すると判定し、本処理を終了する。制御部20は、ステップS248でノズルの入れ替えによるロス時間≧ノズルの入れ換えで短縮される時間である(ステップS248でNo)と判定した場合、ステップS252として生産タクトが向上しないと判定し、本処理を終了する。
ここで、制御部20は、当該切り替え後に生産が終了する場合、ステップS246の入れ替えにかかる時間を0としてよい。また、制御部20は、機種の切り替えの判定が2回目以降の場合、前回の判定のステップS246の時間が、今回の判定のステップS244で算出する時間となる。このため、前回の判定で、ノズルの入れ替えを行っている場合、今回の判定のステップS244の時間を0としてもよい。
図11は、生産する機種の切り替えが発生していないレーンについての判定の一例を示している。制御部20は、ステップS240として、現状のノズル配置での生産時間を算出する。次に、制御部20は、ステップS242として、入れ換え後のノズル配置での生産時間を算出する。次に、制御部20は、ステップS244として、ノズルの入れ替えにかかる時間を算出する。次に、制御部20は、ステップS246として、対象の生産の終了後のノズルの入れ替えにかかる時間を算出する。次に、制御部20は、ステップS247として、生産プログラムの切り換えに係る時間を算出する。なお、制御部20は、ステップS240からステップS247の演算の順序は特に限定されない。
制御部20は、ステップS240からステップS247で時間を算出したら、ステップS248として、ノズルの入れ替えによるロス時間<ノズルの入れ換えで短縮される時間であるかを判定する。ここで、ノズルの入れ替えによるロス時間とは、ステップS244で算出した時間とステップS246で算出した時間とステップS247で算出した時間の合計値である。ノズルの入れ換えで短縮される時間とは、ステップS242で算出した生産時間からステップS240で算出した生産時間を引いた差分時間に残りの生産枚数をかけた時間である。
制御部20は、ステップS248でノズルの入れ替えによるロス時間<ノズルの入れ換えで短縮される時間である(ステップS248でYes)と判定した場合、ステップS250として生産タクトが向上すると判定し、本処理を終了する。制御部20は、ステップS248でノズルの入れ替えによるロス時間≧ノズルの入れ換えで短縮される時間である(ステップS248でNo)と判定した場合、ステップS252として生産タクトが向上しないと判定し、本処理を終了する。
電子部品実装装置10は、以上のように、生産する基板の機種の切り替わり時にノズル交換機が保持するノズルの入れ替えを行うことで、基板の生産タクトを向上させることができる。また、電子部品実装装置10は、生産する基板の機種に基づいて、複数のノズル交換機が保持するノズルを効率よく使用することができる。これにより、装置が保持するノズルの本数を少なくすることもできる。また、電子部品実装装置10は、ヘッドによりノズル交換機が保持するノズルの交換ができるため、オペレータの作業を少なくすることができる。これにより生産時に生じる段取り操作を低減することができる。
電子部品実装装置10は、上記実施形態のように、生産する機種の切り替えの所定の時間前に判定を行うことで、各レーンでの生産状況の変化に対応してより適切な判定を行うことができる。また、電子部品実装装置10は、各レーンで独立して生産を継続しつつ、適切なノズルの入れ替えができるため、一方のレーンで生産の遅れが生じてもその遅れに対応したノズルの入れ替えをおこなうことができる。また、電子部品実装装置10は、各レーンで独立して生産を継続することで、一方のレーンで他方のレーンを待つ等の時間を減らすことができ、それぞれのレーンの生産タクトの悪化を抑制することができる。
電子部品実装装置10は、上記実施形態のように、生産する機種の切り替えの所定の時間前に判定を行うことで、生産プログラムの修正や、入れ替えるノズルの決定を事前に実行できるため、装置全体の生産タクトをより向上させることができる。これにより、前後ノズル交換に割り付けるノズルの演算や、生産タクト向上の判定を行う実施時間をロス時間に含めないことができ、生産の効率を向上させるとことができる。
電子部品実装装置10は、上記実施形態のように、中間ノズル交換機を設けることで、ヘッドが両方のノズル交換機まで移動できない構成でも、ノズルの入れ替えが可能となる。また、ヘッドが両方のノズル交換機まで移動できない構成とすることで、XY移動機構を小型化することができ、装置を小型化することができる。電子部品実装装置10は、中間ノズル交換機を設けずに、1つのヘッドが両方のノズル交換機まで移動できるようにし、1つのヘッドでノズルを入れ替えるようにしてもよい。電子部品実装装置10は、入れ替え時以外にも中間ノズル交換機70でノズルを保持するようにしてもよい。この場合、制御部20は、中間ノズル交換機70にあるノズルを必要に応じて、使用するヘッドに対応ノズル交換機に移動させるようにしてもよい。また、生産時に直接中間ノズル交換機で交換するようにしてもよい。
上記実施形態の電子部品実装装置10は、2つのヘッド15f、15rでそれぞれの基板搬送部の基板に電子部品を実装する場合としたが、これに限定されない。本実施形態の電子部品実装装置10は、使用用途によっては、1つの基板に対して、2つのヘッド15f、15rで交互に電子部品を搭載することができる。このように、2つのヘッド15で交互に電子部品を搭載してもよい。この場合、一方のヘッドが電子部品を基板に搭載している間に、他方のヘッドは、部品供給装置にある電子部品を吸着することができる。これにより、基板8に電子部品が搭載されない時間をより短くすることができ、効率よく電子部品を搭載することができる。