このように、特許文献1には、第1ヘッドが対応する第1レーンに搬入される基板に部品を実装し第2ヘッドが対応する第2レーンに搬入される基板に部品を実装するものにおいて、第1ノズル交換機(第1ツール収容部)および第2ノズル交換機(第1ツール収容部)のそれぞれに対してノズルを割り当てることについては記載されているものの、1のヘッドが複数のレーンにそれぞれ搬入される基板に部品を実装可能なものにおいて各レーンに対応するノズル収容部のそれぞれに対してノズルを割り当てることについては言及されていない。したがって、こうした場合についても、各ノズル収容部に適切にノズルを割り当てて生産効率を向上させることが望ましい。こうした課題は、部品実装機に限られず、例えば、ヘッドに装着させたグルーツールを用いて基板に接着剤を塗布する接着剤塗布機など、ヘッドに装着されるツールを用いて基板に対して所定の作業を行うあらゆる対基板作業機に適用することができる。
本発明は、第1基板搬送部で搬送される基板と第2基板搬送部で搬送される基板の何れに対してもヘッドに装着されたツールを用いて所定の作業を実行可能なものにおいて、第1基板搬送部に対応して設けられる第1ツール収容部と第2基板搬送部に対応して設けられる第2ツール収容部とにそれぞれツールを適切に割り当てることで、作業効率をより向上させることを主目的とする。
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明のツール割当方法は、
各種ツールを着脱可能なヘッドと、
前記ヘッドを移動させる移動手段と、
第1作業領域に基板を搬送する第1基板搬送手段と、
第2作業領域に基板を搬送する第2基板搬送手段と、
前記第2作業領域よりも前記第1作業領域の方に近い位置に設けられ、前記各種ツールを収容可能な第1ツール収容部と、
前記第1作業領域よりも前記第2作業領域の方に近い位置に設けられ、前記各種ツールを収容可能な第2ツール収容部と、
を備え、
前記第1作業領域に搬送された基板と前記第2作業領域に搬送された基板の何れに対しても前記ヘッドに装着されたツールを用いて所定の作業を実行可能であり、前記ヘッドに装着するツールの交換を前記第1ツール収容部および前記第2ツール収容部の何れでも可能な対基板作業機における、前記第1作業領域での作業に使用する交換用のツールと前記第2作業領域での作業に使用する交換用のツールとを前記第1ツール収容部または前記第2ツール収容部に割り当てるツール割当方法であって、
前記第1ツール収容部に対して、前記第2作業領域での作業に使用する交換用のツールよりも前記第1作業領域での作業に使用する交換用のツールの方を優先して割り当て、
前記第2ツール収容部に対して、前記第1作業領域での作業に使用する交換用のツールよりも前記第2作業領域での作業に使用する交換用のツールの方を優先して割り当てる
ことを要旨とする。
この本発明のツール割当方法では、第1作業領域に搬送された基板と第2作業領域に搬送された基板の何れに対してもヘッドに装着されたツールを用いて所定の作業を実行可能であり、ヘッドに装着するツールの交換を第1ツール収容部および第2ツール収容部の何れでも可能なものにおいて、第1ツール収容部に対して、第2作業領域での作業に使用する交換用のツールよりも第1作業領域での作業に使用する交換用のツールの方を優先して割り当て、第2ツール収容部に対して、第1作業領域での作業に使用する交換用のツールよりも第2作業領域での作業に使用する交換用のツールの方を優先して割り当てる。これにより、第1作業領域での作業に使用するツールの交換を第1作業領域に近い第1ツール収容部で行うことができると共に、第2作業領域での作業に使用するツールの交換を第2作業領域に近い第2ツール収容部で行うことができるから、ツールの交換時間をより短縮化することができる。この結果、作業効率を向上させることができる。ここで、「ヘッド」は、単一のヘッドとすることもできるし、互いに独立して移動が可能な複数のヘッドとすることもできる。後者の場合、複数のヘッドは、何れも、装着されたツールを用いて第1作業領域での作業と第2作業領域での作業とが可能であり、且つ、第1ツール収容部でのツールの交換と第2ツール収容部でのツールの交換とが可能であるものとすればよい。
こうした本発明のツール割当方法において、前記第1作業領域に搬送される基板に対してのみ使用される第1専用ツールを前記第1ツール収容部に割り当てると共に、前記第2作業領域に搬送される基板に対してのみ使用される第2専用ツールを前記第2ツール収容部に割り当て、前記第1作業領域に搬送される基板と前記第2作業領域に搬送される基板の両方に対して使用される共用ツールを前記第1ツール収容部と前記第2ツール収容部の両方に割り当てるものとすることもできる。こうすれば、第1作業領域での作業に使用するツールを第1作業領域から遠い第2ツール収容部で交換したり、第2作業領域での作業に使用するツールを第2作業領域から遠い第1ツール収容部で交換したりする必要をできる限りなくすことができ、作業効率をより向上させることができる。
共用ツールを第1ツール収容部と第2ツール収容部の両方に割り当てる態様の本発明のツール割当方法において、前記共用ツールを前記第1ツール収容部と前記第2ツール収容部の両方に割り当てる場合と、前記共用ツールを前記第1ツール収容部と前記第2ツール収容部の何れか一方のみに割り当てる場合とを選択可能であるものとすることもできる。こうすれば、共用ツールを第1ツール収容部と第2ツール収容部の両方に割り当てて作業効率を向上させる効果と、共用ツールを第1ツール収容部と第2ツール収容部の何れか一方のみに割り当てて第1ツール収容部および第2ツール収容部全体でツールの収容数を少なくする効果とを選択することができる。
また、共用ツールを第1ツール収容部と第2ツール収容部の両方に割り当てる態様の本発明のツール割当方法において、前記共用ツールのうち特定の共用ツールを前記第1ツール収容部と前記第2ツール収容部の両方に割り当て、前記特定の共用ツールとは異なる他の共用ツールを前記第1ツール収容部と前記第2ツール収容部の何れか一方のみに割り当てるものとすることもできる。こうすれば、作業効率と全体のツール収容数とをバランスさせることができる。
また、第1作業領域に搬送される基板に対してのみ使用される第1専用ツールを第1ツール収容部に割り当てる態様の本発明のツール割当方法において、前記第1専用ツールの全てを前記第1ツール収容部に収容できない場合には、前記第1専用ツールのうち優先度の高いものを前記第1ツール収容部に割り当て、前記第1専用ツールのうち優先度の低いものを前記第2ツール収容部に割り当てるものとすることもできる。こうすれば、第1専用ツールの全てを第1ツール収容部に収容できない場合でも、優先度の低い第1専用ツールを、第1ツール収容部よりも第1作業領域から遠い第2ツール収容部に割り当てるから、ツール交換作業の効率低下を抑制することができる。
また、本発明のツール割当方法において、前記共用ツールの全てを前記第1ツール収容部と前記第2ツール収容部の両方に収容できない場合には、前記共用ツールのうち優先度の高いものを前記第1ツール収容部と前記第2ツール収容部の両方に割り当て、前記共用ツールのうち優先度の低いものを前記第1ツール収容部と前記第2ツール収容部の何れか一方のみに割り当てるものとすることもできる。こうすれば、共用ツールの全てを第1ツール収容部と第2ツール収容部の両方に収容できない場合でも、優先度の低い共用ツールを、第1ツール収容部と第2ツール収容部の何れか一方のみに割り当てるから、ツール交換作業の効率低下を抑制することができる。ここで、「前記共用ツールの全てを前記第1ツール収容部と前記第2ツール収容部の両方に収容できない場合」とは、第1専用ツールの全てを第1ツール収容部に割り当てると共に第2専用ツールを第2ツール収容部に割り当てた後の第1ツール収容部の残り収容数と第2ツール収容部の残り収容数の何れかが共用ツールの数よりも少ない場合や、第1ツール収容部の最大収容数と第2ツール収容部の最大収容数の何れかが共用ツールの数よりも少ない場合などを例示することができる。
優先度を用いてツールを第1ツール収容部または第2ツール収容部に割り当てる態様の本発明のツール割当方法において、優先度は、交換回数の多いツールほど高くなるように設定されるものとすることもできる。また、優先度を用いてツールを第1ツール収容部または第2ツール収容部に割り当てる態様の本発明のツール割当方法において、前記移動手段は、前記基板の表面に平行な平行方向に前記ヘッドを移動可能な平行移動手段と、前記基板の表面に垂直な垂直方向に前記ヘッドに装着されたツールを移動可能な垂直移動手段とを有し、前記各種ツールは、前記垂直方向の長さの異なる複数種類のツールを有し、前記第1ツール収容部と前記第2ツール収容部とは、互いに、前記第1作業領域または前記第2作業領域を隔てて配置され、前記優先度は、前記第1ツール収容部で交換したツールを前記第1作業領域を跨いで前記第2作業領域へ移動させる場合または前記第2ツール収容部で交換したツールを前記第2作業領域を跨いで前記第1作業領域へ移動させる場合に、前記垂直方向への退避移動が多いツールほど高くなるように設定されるものとすることもできる。
本発明のツール割当装置は、
各種ツールを着脱可能なヘッドと、
前記ヘッドを移動させる移動手段と、
第1作業領域に基板を搬送する第1基板搬送手段と、
第2作業領域に基板を搬送する第2基板搬送手段と、
前記第2作業領域よりも前記第1作業領域の方に近い位置に設けられ、前記各種ツールを収容可能な第1ツール収容部と、
前記第1作業領域よりも前記第2作業領域の方に近い位置に設けられ、前記各種ツールを収容可能な第2ツール収容部と、
を備え、
前記第1作業領域に搬送された基板と前記第2作業領域に搬送された基板の何れに対しても前記ヘッドに装着されたツールを用いて所定の作業を実行可能であり、前記ヘッドに装着するツールの交換を前記第1ツール収容部および前記第2ツール収容部の何れでも可能な対基板作業機における、前記第1作業領域での作業に使用する交換用のツールと前記第2作業領域での作業に使用する交換用のツールとを前記第1ツール収容部または前記第2ツール収容部に割り当てるツール割当装置であって、
前記第1ツール収容部に対して、前記第2作業領域での作業に使用する交換用のツールよりも前記第1作業領域での作業に使用する交換用のツールの方を優先して割り当て、前記第2ツール収容部に対して、前記第1作業領域での作業に使用する交換用のツールよりも前記第2作業領域での作業に使用する交換用のツールの方を優先して割り当てる割当手段と、
前記割り当ての結果を出力する出力手段と
を備えることを要旨とする。
この本発明のツール割当装置では、第1作業領域に搬送された基板と第2作業領域に搬送された基板の何れに対してもヘッドに装着されたツールを用いて所定の作業を実行可能であり、ヘッドに装着するツールの交換を第1ツール収容部および第2ツール収容部の何れでも可能とするものにおいて、第1ツール収容部に対して、第2作業領域での作業に使用する交換用のツールよりも第1作業領域での作業に使用する交換用のツールの方を優先して割り当て、第2ツール収容部に対して、第1作業領域での作業に使用する交換用のツールよりも第2作業領域での作業に使用する交換用のツールの方を優先して割り当て、割り当て結果を出力する。これにより、第1作業領域での作業に使用するツールの交換を第1作業領域に近い第1ツール収容部で行うことができると共に、第2作業領域での作業に使用するツールの交換を第2作業領域に近い第2ツール収容部で行うことができるから、ツールの交換時間をより短縮化することができる。この結果、作業効率を向上させることができる。
本発明の対基板作業機は、
基板に対して所定の作業を行う対基板作業機であって、
各種ツールを着脱可能なヘッドと、
前記ヘッドを移動させる移動手段と、
第1作業領域に基板を搬送する第1基板搬送手段と、
第2作業領域に基板を搬送する第2基板搬送手段と、
前記第2作業領域よりも前記第1作業領域の方に近い位置に設けられ、前記各種ツールを収容可能な第1ツール収容部と、
前記第1作業領域よりも前記第2作業領域の方に近い位置に設けられ、前記各種ツールを収容可能な第2ツール収容部と、
前記第1作業領域に搬送された基板と前記第2作業領域に搬送された基板とに対して前記ヘッドに装着されたツールを用いて所定の作業が実行されるよう前記ヘッドと前記移動手段とを制御する作業制御手段と、
前記第1作業領域に搬送される基板に対して前記所定の作業を行う場合に、前記第1ツール収容部と前記第2ツール収容部とのうち前記第1作業領域での作業に必要なツールが収容されている方に前記ヘッドを移動させて該ヘッドに装着するツールを交換し、前記第2作業領域に搬送される基板に対して前記所定の作業を行う場合に、前記第1ツール収容部と前記第2ツール収容部とのうち前記第2作業領域での作業に必要なツールが収容されている方に前記ヘッドを移動させて該ヘッドに装着するツールを交換するよう前記ヘッドと前記移動手段とを制御する交換制御手段と、
を備え、
前記第1ツール収容部は、前記第2作業領域での作業に使用する交換用のツールよりも前記第1作業領域での作業に使用する交換用のツールの方が優先して割り当てられ、
前記第2ツール収容部は、前記第1作業領域での作業に使用する交換用のツールよりも前記第2作業領域での作業に使用する交換用のツールの方が優先して割り当てられてなる
ことを要旨とする。
この本発明の対基板作業機では、第1作業領域に搬送される基板に対して所定の作業を行う場合に、第1ツール収容部と第2ツール収容部のうち第1作業領域での作業に必要なツールが収容されている方にヘッドを移動させてヘッドに装着するツールを交換し、第2作業領域に搬送される基板に対して所定の作業を行う場合に、第1ツール収容部と第2ツール収容部のうち第2作業領域での作業に必要なツールが収容されている方にヘッドを移動させてヘッドに装着するツールを交換するものにおいて、第1ツール収容部に対して、第2作業領域での作業に使用する交換用のツールよりも第1作業領域での作業に使用する交換用のツールの方を優先して割り当て、第2ツール収容部に対して、第1作業領域での作業に使用する交換用のツールよりも第2作業領域での作業に使用する交換用のツールの方を優先して割り当てる。これにより、第1作業領域での作業に使用するツールの交換を第1作業領域に近い第1ツール収容部で行うことができると共に、第2作業領域での作業に使用するツールの交換を第2作業領域に近い第2ツール収容部で行うことができるから、ツールの交換時間をより短縮化することができる。この結果、作業効率を向上させることができる。
本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、部品実装システム1の構成の概略を示す構成図であり、図2は、部品実装システム1を構成する一の部品実装機10の上面図であり、図3は、部品実装機10の側面図であり、図4は、部品実装機10と管理装置80との電気的な接続関係を示す説明図であり、図5はヘッド50の構成の概略を示す構成図である。なお、図1の左右方向がX軸方向であり、前(手前)後(奥)方向がY軸方向であり、上下方向がZ軸方向である。
部品実装システム1は、回路基板(以下、基板という)に電子部品(以下、部品という)を実装するシステムとして構成されており、図1に示すように、基板搬送方向に並べて配置された複数台の部品実装機10と、部品実装システム全体を管理する管理装置80とを備える。
部品実装機10は、その外観としては、図1に示すように、底面に図示しないレベリングボルトが取り付けられた基台11と、基台11に支持された筐体12とにより構成されている。この部品実装機10は、図2〜4に示すように、筐体12(図1参照)の下段部に設けられた支持台14(図2,3参照)と、基板を搬送する基板搬送装置30(図2〜4参照)と、部品を供給する部品供給装置35(図2〜4参照)と、部品供給装置35により供給された部品を吸着ノズル51に吸着させて基板搬送装置30により搬送された基板上へ実装するヘッド50(図2,3参照)と、ヘッド50をXY方向へ移動させるXYロボット40(図2〜4参照)と、実装機全体をコントロールする制御装置70(図4参照)とを備える。また、部品実装機10は、これらの他に、支持台14に設置され交換用の吸着ノズル51をストックするためのノズルステーション20(図2参照)や、支持台14に設置され後述する交換用のオートツール54(図5参照)をストックするためのツールステーション22(図2,3参照)、吸着ノズル51に吸着させた部品の吸着姿勢を撮像するためのパーツカメラ24(図2,4参照)、ヘッド50に設けられ基板に付された基板位置決め基準マークを撮像するためのマークカメラ26(図2〜4参照)なども備えている。
部品供給装置35は、図2および図3に示すように、部品実装機10の前後方向(Y軸方向)の奥側から部品を供給する第1部品供給装置35aと、部品実装機10の前後方向(Y軸方向)の手前側から部品を供給する第2部品供給装置35bとを備える。各部品供給装置35a,35bは、例えば、左右方向(X軸方向)に並ぶように整列配置されテープによる部品の供給が可能なテープフィーダを用いることができる。なお、テープフィーダは、部品が所定間隔で貼り付けられたテープが巻回されたリールを備え、リールからテープを引き出すことにより部品を供給するものである。
基板搬送装置30は、図2および図3に示すように、支持台14の前後方向(Y軸方向)中央部に2つの基板搬送路が左右方向(X軸方向)に沿って並んで設けられたデュアルレーン方式の搬送装置として構成されており、第1基板搬送装置(第1レーンとも呼ぶ)30aと、第2基板搬送装置(第2レーンとも呼ぶ)30bとを備える。各基板搬送装置30a,30bは、図2に示すように、何れも、ベルトコンベア装置32を備えており、ベルトコンベア装置32の駆動により基板を図2の左から右(基板搬送方向)へと搬送する。また、各基板搬送装置30a,30bの基板搬送方向(X軸方向)中央部には、図示しない昇降装置により昇降可能なバックアッププレート34が設けられており、制御装置70は、各基板搬送装置30a,30bによりバックアッププレート34の上方に基板が搬送されると、バックアッププレート34を上昇させることで基板を裏面側からバックアップする。
XYロボット40は、図2および図3に示すように、筐体12の上段部に前後方向(Y軸方向)に沿って設けられた左右一対のY軸ガイドレール41と、左右一対のY軸ガイドレール41に架け渡された状態でY軸ガイドレール41に沿って移動が可能な長尺状のY軸スライダ44と、Y軸スライダ44の側面に左右方向(X軸方向)に沿って設けられたX軸ガイドレール43と、X軸ガイドレール43に沿って移動が可能なX軸スライダ42とを備える。X軸スライダ42にはヘッド50が取り付けられており、制御装置70は、XYロボット40を駆動制御することにより、XY平面上の任意の位置にヘッド50を移動可能である。
ヘッド50は、図5に示すように、吸着ノズル51が着脱可能なノズルホルダ52をユニット化したオートツール54を備える。オートツール54は、搭載するノズルホルダ52の数が異なる複数種類のオートツール、例えば、軸心線上に1個のノズルホルダ54を搭載するシングルノズルオートツール54aや円周方向に4個のノズルホルダ54を90度間隔で搭載する4ノズルオートツール54b、円周方向に12個のノズルホルダ54を30度間隔で搭載する12ノズルオートツール54cが用意されており、ヘッド50の図示しない保持部に対して着脱可能に構成されている。即ち、ヘッド50は、シングルノズルオートツール54aを装着すると、シングルノズルヘッドとして機能し、4ノズルオートツール54bや12ノズルオートツール54cなどのマルチノズルツールを装着すると、マルチノズルヘッドとして機能する。ヘッド50は、マルチノズルヘッドとして機能する場合、図4に示すように、オートツール54(マルチノズルオートツール)をその軸心線(R軸)周りで回転させることで各ノズルホルダ52に装着された吸着ノズル51をオートツール54の円周方向に旋回させるR軸モータ62と、オートツール54に装着された各ノズルホルダ52をその軸心線(θ軸)周りで回転(自転)させるθ軸モータ64と、吸着ノズル51の旋回軌道上の所定位置でノズルホルダ52(吸着ノズル51)を下降させる第1Z軸モータ66と、オートツール54を保持するための保持部を昇降させる第2Z軸モータ68とを備える。なお、ヘッド50は、シングルノズルヘッドとして機能する場合、ノズルホルダ52のその軸心線周りの回転をR軸モータ62の駆動によって行い、ノズルホルダ52の昇降を第2Z軸モータ68の駆動によって行う。ノズルホルダ52に装着された吸着ノズル51は、その吸引口が電磁弁55を介して真空ポンプ56とエア配管58とに選択的に連通しており、電磁弁55によって吸引口との連通先を切り替えることで、吸引口に負圧を作用させて部品を吸着(保持)したり、吸引口に正圧を作用させて部品の吸着を解除(保持を解除)したりすることができる。
ノズルステーション20は、第1レーン30aの近傍に設けられた第1ノズルステーション20aと、第2レーン30bの近傍に設けられた第2ノズルステーション20bとを備える。第1ノズルステーション20aおよび第2ノズルステーション20bは、何れも、異なる種類(ノズル径)の吸着ノズル51を収容可能な複数のソケット21が形成されている。なお、第1ノズルステーション20aおよび第2ノズルステーション20bは、同数のソケット21を備えるものとしてもよいし、異なる数のソケット21を備えるものとしてもよい。
ツールステーション22は、第1レーン30aの近傍に設けられた第1ツールステーション22aと、第2レーン30bの近傍に設けられた第2ツールステーション22bとを備える。第1ツールステーション22aおよび第2ツールステーション22bは、何れも、異なる種類(装着可能な吸着ノズル51の数が異なる)のオートツール54を収容可能なソケット23が形成されている。なお、第1ツールステーション22aおよび第2ツールステーション22bは、同数のソケット23を備えるものとしてもよいし、異なる数のソケット23を備えるものとしてもよい。
制御装置70は、図4に示すように、CPU71を中心としたマイクロプロセッサとして構成されており、CPU71の他に、ROM72と、HDD73と、RAM74と、入出力インターフェース75とを備え、これらはバス76を介して電気的に接続されている。制御装置70には、X軸スライダ42のX軸方向位置を検知する図示しないX軸位置センサからの位置信号や、Y軸スライダ44のY軸方向位置を検知する図示しないY軸位置センサからの位置信号、マークカメラ26からの画像信号、第1パーツカメラ24aからの画像信号、第2パーツカメラ24bからの画像信号などが入出力インターフェース75を介して入力されている。一方、制御装置70からは、基板搬送装置30(第1基板搬送装置30a,第2基板搬送装置30b)への制御信号や、部品供給装置35(第1部品供給装置35a,第2部品供給装置35b)への制御信号、X軸スライダ42を移動させるX軸モータ46への駆動信号、Y軸スライダ44を移動させるY軸モータ48への駆動信号、R軸モータ62への駆動信号、θ軸モータ64への駆動信号、第1Z軸モータ66への駆動信号、第2Z軸モータ68への駆動信号、電磁弁55への駆動信号などが入出力インターフェース75を介して出力されている。また、制御装置70は、管理装置80と双方向通信可能に接続されており、互いにデータや制御信号のやり取りを行っている。
管理装置80は、例えば、汎用のコンピュータであり、図4に示すように、CPU81とROM82とHDD83とRAM84と入出力インターフェース85などを備え、これらはバス86を介して電気的に接続されている。この管理装置80には、マウスやキーボード等の入力デバイス87から入力信号が入出力インターフェース85を介して入力され、管理装置80からは、ディスプレイ88への画像信号が入出力インターフェース85を介して出力されている。HDD83は、基板の生産計画を記憶している。ここで、基板の生産計画とは、各部品実装機10においてどの部品をどの順番で基板へ実装するか、また、そのように部品を実装した基板を何枚作製するかなどを定めた計画をいう。この生産計画には、第1レーン30aで部品を実装する基板に関する基板情報や、第2レーン30bで部品を実装する基板に関する基板情報、各基板に実装する部品に関する部品情報、各部品を供給する部品供給位置に関する供給位置情報、各部品の実装位置に関する実装位置情報、使用する吸着ノズル51に関するノズル情報、使用するヘッド50に関するヘッド情報などが含まれている。ここで、ノズル情報には、第1ノズルステーション20aおよび第2ノズルステーション20bの各ソケット21に収容されている交換用の吸着ノズル51の種類(ノズル径)や、どのレーン(第1レーン30aまたは第2レーン30b)においてどのノズルホルダ52に装着されどの順序で使用されるかの情報などが含まれている。また、ヘッド情報には、第1ツールステーション22aおよび第2ツールステーション22bの各ソケット23に収容されている交換用のオートツール54の種類(シングルノズルオートツール54aや、4ノズルオートツール54b、12ノズルオートツール54cなど)や、どのレーン(第1レーン30aまたは第2レーン30b)においてどの順序で使用されるのかの情報などが含まれている。管理装置80は、オペレータが入力デバイス87を介して入力したデータに基づいて生産計画を作成し、作成した生産計画を各部品実装機10へ送信する。
部品実装機10は、受信した生産計画に基づいて各レーン(第1レーン30a,第2レーン30b)において搬送された基板に対して部品を実装する部品実装処理を行う。部品実装処理では、制御装置70のCPU71は、第1部品供給装置35aおよび第2部品供給装置35bのうち実装対象部品が供給されている部品供給位置の真上にヘッド50に装着された吸着ノズル51が来るようXYロボット40とヘッド50(R軸モータ62やθ軸モータ64)とを駆動制御した後、吸着ノズル51の吸引口が実装対象部品に当接するまで吸着ノズル51が下降するよう第1Z軸モータ66または第2Z軸モータ68を駆動制御し、吸着ノズル51の吸引口に負圧が作用するよう電磁弁55を駆動制御することにより、吸着ノズル51に実装対象部品を吸着させる。そして、CPU71は、吸着ノズル51に吸着させた実装対象部品が基板の実装位置の真上に来るようXYロボット40とヘッド50とを駆動制御した後、吸着ノズル51に吸着させた実装対象部品が基板の実装位置に当接するまで吸着ノズル51が下降するよう第1Z軸モータ66または第2Z軸モータ68を駆動制御し、吸着ノズル51の吸引口に正圧が作用するよう電磁弁55を駆動制御することにより、実装対象部品を基板の実装位置に実装する。なお、実装対象部品を第1部品供給装置35aの部品供給位置から取り出した場合、実装対象部品の部品供給位置から実装位置への移動は、第2部品供給装置35bよりも第1部品供給装置35aに近い第1パーツカメラ24aの上方を通過するようにして行われ、実装対象部品を第2部品供給装置35bの部品供給位置から取り出した場合、実装対象部品の部品供給位置から実装位置への移動は、第1部品供給装置35aよりも第2部品供給装置35bに近い第2パーツカメラ24bの上方を通過するようにして行われる。CPU71は、実装対象部品が第1パーツカメラ24aまたは第2パーツカメラ24bの上方を通過する際に、実装対象部品の下面を撮像し、得られた撮像画像を処理して実装対象部品の吸着ずれ量を算出し、算出した吸着ずれ量に基づいて実装位置を補正する。
また、制御装置70のCPU71は、部品実装処理の過程で、生産計画に含まれるノズル情報に基づいて、吸着ノズル51の交換(ノズル交換)が必要であるか否かを判定し、ノズル交換が必要であると判定すると、今までの部品の実装作業に用いられた吸着ノズル51(返却対象ノズル)をその収容先のノズルステーションに返却し、次の部品の実装作業に用いる吸着ノズル51(装着対象ノズル)をその収容先のノズルステーションから取り出すノズル交換処理を行う。具体的には、CPU71は、返却対象ノズルを保持するノズルホルダ52が、第1ノズルステーション20aおよび第2ノズルステーション20bの各ソケット21のうち返却対象ノズルの返却先のソケット21の真上に来るようXYロボット40を駆動制御した後、そのノズルホルダ52が下降するよう第1Z軸モータ66または第2Z軸モータ68を駆動制御し、ノズルホルダ52による返却対象ノズルの保持を解除することにより、返却対象ノズルを返却する。そして、CPU71は、返却対象ノズルを返却したノズルホルダ52が、装着対象ノズルが収容されているソケット21の真上に来るようXYロボット40を駆動制御した後、そのノズルホルダ52が下降するよう第1Z軸モータ66または第2Z軸モータ68を駆動制御し、ノズルホルダ52に装着対象ノズルを保持させることにより、装着対象ノズルを取り出す。
また、制御装置70のCPU71は、部品実装処理の過程で、生産計画に含まれるヘッド情報に基づいて、オートツール54の交換(ツール交換)が必要であるか否かを判定し、ツール交換が必要であると判定すると、今までの部品の実装作業に用いられたオートツール54(返却対象ツール)をその収容先のツールステーションに返却し、次の部品の実装作業に用いるオートツール54(装着対象ツール)をその収容先のツールステーションから取り出すツール交換処理を行う。具体的には、CPU71は、返却対象ツールを保持するヘッド50の保持部が、第1ツールステーション22aおよび第2ツールステーション22bの各ソケット23のうち返却対象ツールの返却先のソケット23の真上に来るようXYロボット40を駆動制御した後、その保持部が下降するよう第2Z軸モータ68を駆動制御し、保持部による返却対象ツールの保持を解除することにより、返却対象ツールを返却する。そして、CPU71は、返却対象ツールを返却したヘッド50の保持部が、装着対象ツールが収容されているソケット23の真上に来るようXYロボット40を駆動制御した後、その保持部が下降するよう第2Z軸モータ68を駆動制御し、保持部に装着対象ツールを保持させることにより、装着対象ツールを取り出す。
次に、こうして構成された部品実装システム1において、第1ノズルステーション20aまたは第2ノズルステーション20bに対して交換用の吸着ノズル51の収容先を割り当てる処理について説明する。図6および図7は、管理装置80のCPU81により実行されるノズル割当処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、オペレータによって生産計画が入力されたときに実行される。
ノズル割当処理ルーチンが実行されると、管理装置80のCPU81は、まず、第1ノズルステーション20aまたは第2ノズルステーション20bに割り当てるべき複数の吸着ノズル51のうち第1レーン30aでの実装作業にのみ使用する専用ノズルAと第2レーン30bでの実装作業にのみ使用する専用ノズルBとを抽出する処理(専用ノズル抽出処理)を行い(S100)、専用ノズルA,Bの何れかが抽出されたか否かを判定する(S110)。CPU81は、専用ノズルA,Bの何れもが抽出されなかったと判定すると、S200に進む。一方、CPU81は、専用ノズルA,Bの何れかが抽出されたと判定すると、抽出した専用ノズルA,Bを優先度の高い順にソートし(S120)、優先度の高い方から順に割り当て対象の1の吸着ノズル51(対象ノズル)を設定する(S130)。図8は、吸着ノズル51の優先度を説明する説明図である。優先度は、図8(a)に示すように、交換回数が多い吸着ノズル51ほど高くすることができ、図8(b)に示すように、生産枚数が多い吸着ノズル51ほど高くすることができる。なお、後者の場合、複数種類の基板を同じノズル構成で生産する場合に適用するものとしてもよい。これは、複数種類の基板を同じツール(ノズル)構成で生産する場合、生産枚数が多いツールほど交換回数が多くなるためである。例えば、2種類の基板を同一のツール構成で生産する場合、1種類の基板にしか使用しない場合よりも2種類の基板で使用した方が生産枚数が多くなりツールの交換回数が多くなるためである。そして、CPU81は、対象ノズルが第1レーン20aでの実装作業にのみ使用される専用ノズルAであるか否かを判定し(S140)、対象ノズルが専用ノズルAであると判定すると、第1ノズルステーション20aに未だ吸着ノズル51が割り当てられていない空きソケットがあるか否かを判定する(S150)。CPU81は、第1ノズルステーション20aに空きソケットがあると判定すると、対象ノズルを第1ノズルステーション20aの空きソケットに割り当て(S160)、第1ノズルステーション20aに空きソケットがないと判定すると、対象ノズルを第2ノズルステーション20bの空きソケットに割り当てる(S180)。
一方、CPU81は、対象ノズルが、専用ノズルAでない、即ち第2レーン20bでの実装作業にのみ使用される専用ノズルBであると判定すると、第2ノズルステーション20bに未だ吸着ノズル51が割り当てられていない空きソケットがあるか否かを判定する(S170)。CPU81は、第2ノズルステーション20bに空きソケットがあると判定すると、対象ノズルを第2ノズルステーション20bの空きソケットに割り当て(S180)、第2ノズルステーション20bに空きソケットがないと判定すると、対象ノズルを第1ノズルステーション20aの空きソケットに割り当てる(S160)。なお、第1ノズルステーション20aと第2ノズルステーション20bの何れにも空きソケットがない場合には、専用ノズルの割り当てが不可能であるため、エラーを出力するものとしてもよい。
こうして対象ノズルを第1ノズルステーション20aまたは第2ノズルステーション20bの何れかに割り当てると、CPU81は、S130に戻って、次の対象ノズルを第1ノズルステーション20aまたは第2ノズルステーション20bの何れかに割り当てるS130〜S180の処理を繰り返し実行し、全ての専用ノズルの割り当てが完了すると(S190)、S200の処理に進む。
次に、CPU81は、第1ノズルステーション20aまたは第2ノズルステーション20bに割り当てるべき複数の吸着ノズル51のうち第1レーン30aでの実装作業と第2レーン30bでの実装作業の両方に使用する共用ノズルを抽出する処理(共用ノズル抽出処理)を行い(S200)、共用ノズルが抽出されたか否かを判定する(S210)。CPU81は、共用ノズルが抽出されなかったと判定すると、S310に進む。一方、CPU81は、共用ノズルが抽出されたと判定すると、抽出した共用ノズルを優先度の高い順にソートし(S220)、優先度の高い方から順に割り当て対象の1の吸着ノズル51(対象ノズル)を設定する(S230)。なお、優先度については前述した。そして、CPU81は、未だ割り当てが行われていない共用ノズルの数(割り当て待ちノズル数)が第1ノズルステーション20aおよび第2ノズルステーション20bの残りの空きソケットの総数(残り空きソケット総数)よりも少ないか否かを判定する(S240)。CPU81は、割り当て待ちノズルの数が残り空きソケット総数よりも少ないと判定すると、第1ノズルステーション20aと第2ノズルステーション20bの両方に空きソケットがあるか否かを判定し(S250)、両方に空きソケットがあると判定すると、対象ノズルを第1ノズルステーション20aと第2ノズルステーション20bの両方に1つずつ割り当てる(S260)。
CPU81は、S240で割り当て待ちノズル数が残り空きソケット総数よりも少なくない、即ち割り当て待ちノズル数が残り空きソケット総数と同数であると判定したり、S250で第1ノズルステーション20aと第2ノズルステーション20bの一方にしか空きソケットがないと判定すると、対象ノズルを第1ノズルステーション20aと第2ノズルステーション20bの両方に1つずつ割り当てる余裕はないから、第1ノズルステーション20aに空きソケットがある場合には(S270)、対象ノズルを第1ノズルステーション20aに割り当て(S280)、第1ノズルステーション20aに空きソケットがない場合には(S270)、対象ノズルを第2ノズルステーション20bに割り当てる(S290)。なお、第1ノズルステーション20aと第2ノズルステーション20bの何れにも空きソケットがない場合には、全ての共用ノズルの割り当てが不可能であるため、エラーを出力するものとしてもよい。
こうして対象ノズルを、第1ノズルステーション20aと第2ノズルステーション20bの両方または何れか一方に割り当てると、CPU81は、S230に戻って次の対象ノズルを第1ノズルステーション20aと第2ノズルステーション20bの両方または何れか一方に割り当てるS230〜S290の処理を繰り返し実行し、全ての共用ノズルの割り当てが完了すると(S300)、各専用ノズルおよび共用ノズル毎の割り当て先(収容先のソケット位置など)をディスプレイ88上に表示して(S310)、ノズル割当処理を終了する。
図9は、第1ノズルステーション20aと第2ノズルステーション20bとにそれぞれ交換用の吸着ノズル51を割り当てる様子を示す説明図である。いま、第1ノズルステーション20aおよび第2ノズルステーション20bがそれぞれ5つのソケット21を有し、割り当てるべき吸着ノズル51として、第1レーン30aでの基板Aの実装作業にのみ使用する3つの専用ノズルA1,A2,A3と、第2レーン30bでの基板Bの実装作業にのみ使用する3つの専用ノズルB1,B2,B3と、基板Aの実装作業と基板Bの実装作業の両方に使用する共用ノズルAB1,AB2とを有する場合を考える。この場合のノズル割当処理は、CPU81が、専用ノズルA1,A2,A3を第1レーン30a近傍に配置された第1ノズルステーション20aに割り当て、専用ノズルB1,B2,B3を第2レーン30b近傍に配置された第2ノズルステーション20bに割り当て、共用ノズルAB1,AB2を第1ノズルステーション20aと第2ノズルステーション20bの両方にそれぞれ割り当てることにより行われる。
図10は、専用ノズルAの全てを第1ノズルステーション20aに割り当てるための空きソケットがない場合に、各専用ノズルA,Bおよび共用ノズルを割り当てる様子を示す説明図である。いま、第1ノズルステーション20aおよび第2ノズルステーション20bがそれぞれ5つのソケット21を有し、割り当てるべき吸着ノズル51として、6つの専用ノズルA1,A2,A3,A4,A5,A6と、2つの専用ノズルB1,B2と、2つの共用ノズルAB1,AB2とを有する場合を考える。また、専用ノズルA1,A2,A3,A4,A5,A6は、この順に高い優先度が定められているものとする。この場合、ノズル割当処理において、CPU81は、専用ノズルA6よりも優先度の高い専用ノズルA1〜A5を第1ノズルステーション20aの5つのソケットに割り当てる。これにより、第1ノズルステーション20bは空きソケットがなくなるから、CPU81は、優先度の低い専用ノズルA6を、専用ノズルB1,B2および共用ノズルAB1,AB2と共に第2ノズルステーション20bに割り当てる。なお、上述した例では、専用ノズルAの全てを第1ノズルステーション20aに割り当てる空きソケットがない場合について説明したが、専用ノズルBの全てを第2ノズルステーション20bに割り当てる空きソケットがない場合についても、同様に、専用ノズルBのうち優先度が高いものを第2ノズルステーション20bに割り当て、優先度が低いものを第1ノズルステーション20aに割り当てるものとすればよい。
図11は、専用ノズルAの全てを第1ノズルステーション20aに割り当てると共に専用ノズルBの全てを第2ノズルステーション20bに割り当てた後、共用ノズルの全てを第1ノズルステーション20aと第2ノズルステーション20bの両方に割り当てるための空きソケットが残っていない場合に、各共用ノズルを割り当てる様子を示す説明図である。いま、第1ノズルステーション20aおよび第2ノズルステーション20bがそれぞれ5つのソケット21を有し、割り当てるべき吸着ノズル51として、3つの専用ノズルA1,A2,A3と、2つの専用ノズルB1,B2と、4つの共用ノズルAB1,AB2,AB3,AB4とを有する場合を考える。また、共用ノズルAB1,AB2,AB3,AB4は、この順に高い優先度が定められているものとする。この場合、ノズル割当処理において、CPU81は、専用ノズルA1,A2,A3を第1ノズルステーション20aに割り当て、専用ノズルB1,B2を第2ノズルステーション20bに割り当てる。これにより、第1ノズルステーション20aは空きソケットが残り2つとなり、第2ノズルステーション20bは空きソケットが残り3つとなる。このため、CPU81は、4つの共用ノズルAB1,AB2,AB3,AB4の全てを第1ノズルステーション20aおよび第2ノズルステーション20bの両方に1つずつ割り当てることはできくなるから、優先度の最も高い1つの共用ノズルAB1を第1ノズルステーション20aと第2ノズルステーションの両方に1つずつ割り当て、残りの共用ノズルAB2,AB3,AB4を第1ノズルステーション20aまたは第2ノズルステーション20bの何れか一方のみに割り当てる。
以上説明した本実施例の部品実装機10によれば、第1レーン30aの近傍に配置された第1ノズルステーション20aに対して、第1レーン30aでの実装作業にのみ使用する吸着ノズル51(専用ノズルA)を第2レーン30bでの実装作業にのみ使用する吸着ノズル51(専用ノズルB)よりも優先して割り当て、第2レーン30bの近傍に配置された第2ノズルステーション20bに対して、専用ノズルBを専用ノズルAよりも優先して割り当てる。これにより、第1レーン30aでの実装作業に使用する吸着ノズル51の交換を第1レーン30aに近い第1ノズルステーション20aで行うことができると共に、第2レーン30bでの実装作業に使用するツールの交換を第2レーン30bに近い第2ノズルステーション20bで行うことができるから、吸着ノズル51の交換時間をより短縮化することができ、ひいては、実装効率をより向上させることができる。しかも、第1レーン30aでの実装作業と第2レーン30bでの実装作業の両方に使用する吸着ノズル(共用ノズル)を第1ノズルステーション20aと第2ノズルステーション20bの両方に1つずつ割り当てる。これにより、第1レーン30aでの実装作業に使用する吸着ノズル51(共用ノズル)を第1レーン30aから遠い第2ノズルステーション20bで交換したり、第2レーン30bでの実装作業に使用する吸着ノズル51(共用ノズル)を第2作業領域から遠い第1ノズルステーション20aで交換したりする必要をできる限りなくすことができるから、ノズル交換をより効率よく行うことができる。
また、本実施例の部品実装機10によれば、第1レーン30aでの実装作業にのみ使用する専用ノズルAの全てを第1レーン30aに近い第1ノズルステーション20aに割り当てる空きソケットがない場合には、専用ノズルAのうち優先度が高いものを第1ノズルステーション20aに割り当て、優先度が低いものを第2ノズルステーション20bに割り当てる。これにより、優先度が高い専用ノズルAのノズル交換を効率よく行うことができるから、全体としての効率低下を抑制することができる。
さらに、本実施例の部品実装機10によれば、専用ノズルAの全てを第1ノズルステーション20aに割り当てると共に専用ノズルBの全てを第2ノズルステーション20bに割り当てた後、共用ノズルの全てを第1ノズルステーション20aと第2ノズルステーション20bの両方に1つずつ割り当てる空きソケットが残っていない場合には、共用ノズルのうち優先度が高いものを第1ノズルステーション20aと第2ノズルステーション20bの両方に1つずつ割り当て、優先度が低いものを第1ノズルステーション20aと第2ノズルステーション20bの何れか一方に割り当てる。これにより、優先度が高い共用ノズルのノズル交換を効率よく行うことができるから、全体としての効率低下を抑制することができる。
本実施例では、専用ノズルAの全てを第1ノズルステーション20aに割り当てる空きソケットがない場合には、専用ノズルのうち優先度が高いものを第1ノズルステーション20aに割り当て、優先度が低いものを第2ノズルステーション20bに割り当てたが、これに限定されるものではなく、専用ノズルAのうち第1ノズルステーション20aに割り当てるノズルと、第2ノズルステーション20bに割り当てるノズルとをオペレータが選択できるようにしてもよい。また、専用ノズルAのうち予め定められた特定ノズルを第1ノズルステーション20aに割り当て、非特定ノズルを第2ノズルステーション20bに割り当てるものとしてもよい。なお、特定ノズルと非特定ノズルは、オペレータによって選択されるものとしてもよいし、生産計画に基づいて管理装置80によって選択されるものとしてもよい。なお、専用ノズルBについても同様である。
本実施例では、専用ノズルAの全てを第1ノズルステーション20aに割り当てると共に専用ノズルBの全てを第2ノズルステーション20bに割り当てた後、共用ノズルの全てを第1ノズルステーション20aと第2ノズルステーション20bの両方に1つずつ割り当てる空きソケットが残っていない場合に、共用ノズルのうち優先度が高いものを第1ノズルステーション20aと第2ノズルステーション20bの両方に割り当て、優先度が低いものを第1ノズルステーション20aと第2ノズルステーション20bの何れか一方に割り当てるものとしたが、これに限定されるものではなく、共用ノズルのうち第1ノズルステーション20aと第2ノズルステーション20bの両方に割り当てるノズルと、第1ノズルステーション20aと第2ノズルステーション20bの何れか一方に割り当てるノズルとをオペレータが選択できるようにしてもよい。また、共用ノズルのうち予め定められた特定ノズルを第1ノズルステーション20aと第2ノズルステーション20bの両方に割り当て、非特定ノズルを第1ノズルステーション20aと第2ノズルステーション20bの何れか一方に割り当てるものとしてもよい。この場合、特定ノズルと非特定ノズルは、オペレータによって選択されるものとしてもよいし、生産計画に基づいて管理装置80によって選択されるものとしてもよい。
本実施例では、第1レーン30aと第2レーン30bとで異なる種類の基板を生産する場合を想定したが、第1レーン30aと第2レーン30bとで同一の種類の基板を生産する場合であっても適用可能である。この場合、第1ノズルステーション20aと第2ノズルステーション20bとに割り当てるべきノズルの全てが共用ノズルと考えられるから、図6および図7のノズル割当処理では、S110で専用ノズルがないと判定され、S200〜S310の処理によって各共用ノズルが割り当てられることとなる。
本実施例では、第1ノズルステーション20aまたは第2ノズルステーション20bに対して交換用の吸着ノズル51を割り当てる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、第1ツールステーション22aまたは第2ツールステーション22bに対して交換用のオートツール54を割り当てる場合についても同様に適用可能である。この場合、ヘッド割当処理は、基本的には、図6および図7のノズル割当処理の「ノズル」を「オートツール」に置き換えたものを実行すればよい。これにより、第1レーン30aでの実装作業に使用するツールの交換を第1レーン30aに近い第1ツールステーション22aで行うことができると共に、第2レーン30bでの実装作業に使用するツールの交換を第2レーン30bに近い第2ツールステーション20bで行うことができるから、オートツール54の交換時間をより短縮化することができる。ここで、第1レーン30aで使用するツールを第1レーン30aから遠い第2ツールステーション22bで交換したり、第2レーン30bで使用するツールを第2レーン30bから遠い第1ツールステーション22aで交換したりする場合、ツールをツールステーションから取り出した後、レーンを跨いで移動しなければならない。このとき、図12に示すように、そのレーンの基板上に背の高い実装済み部品P1,P2があると、その実装済み部品P1,P2と干渉(衝突)しない位置までオートツール54を上昇(退避移動)させる必要があり、退避移動に要する時間によって、生産が再開されるまでに遅れが発生してしまう。したがって、こうしたツールの割り当てに本発明を適用する意義は大きなものとなる。なお、各オートツール54毎に定められる優先度は、図8と同様に、交換回数が多いオートツール54ほど高くなり、生産枚数が多いオートツール54ほど高くなるように定めるものとしてもよい。また、第1レーン30aで使用するツールを第1レーン30aから遠い第2ツールステーション22bで交換したり、第2レーン30bで使用するツールを第2レーン30bから遠い第1ツールステーション22aで交換したりする場合に、レーンを跨いでツールを移動させる際に必要な退避移動の移動量が多いツールほど優先度を高くしてもよい。例えば、図13に示すように、ツール高さが異なる複数種類のオートツール54(シングルノズルオートツール54a,4ノズルオートツール54b,12ノズルオートツール54c)のうちツール高さが高いツールほど必要な退避移動の移動量が多い場合、ツール高さが高いツールほど優先度を高くしてもよい。
本実施例では、本発明を単一のヘッド50を備える部品実装機10に適用して説明したが、互いに独立してXY方向に移動可能な複数のヘッドを備える部品実装機に適用するものとしてもよい。この場合、複数のヘッドのそれぞれが、何れも、第1レーン30aでの実装作業と第2レーン30bでの実装作業とが可能で、且つ、第1ノズルステーション20aでのノズル交換と第2ノズルステーション20bでのノズル交換とが可能となるように、各ヘッドを移動させるXYロボットを構成するものとすればよい。
本実施例では、第1ツール収容部と第2ツール収容部とに対してツールを割り当てる本発明を部品実装機に適用して説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、グルーツールを用いて基板に対して接着剤を塗布する接着剤塗布装置に適用するなど、基板に対して作業を行う如何なる対基板作業機に適用するものとしてもよい。
本実施例では、本発明を部品実装機の形態に適用して説明したが、ツール割当装置(管理装置80)の形態としてもよいし、ツール割当方法の形態としてもよい。
ここで、本実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。即ち、吸着ノズル51が「ツール」に相当し、ヘッド50が「ヘッド」に相当し、XYロボット40とR軸モータ62とθ軸モータ64と第1Z軸モータ66と第2Z軸モータ68とが「移動手段」に相当し、第1基板搬送装置(第1レーン)30aが「第1基板搬送手段」に相当し、第2基板搬送装置(第1レーン)30bが「第2基板搬送手段」に相当し、第1ノズルステーション20aが「第1ツール収容部」に相当し、第2ノズルステーション20bが「第2ツール収容部」に相当する。また、オートツール54が「ツール」に相当し、第1ツールステーション22aが「第1ツール収容部」に相当し、第2ツールステーション22bが「第2ツール収容部」に相当する。また、管理装置80が「ツール割当装置」に相当し、図6および図7のノズル割当処理のS100〜S300の処理を実行する管理装置80のCPU81が「割当手段」に相当し、ノズル割当処理のS310の処理を実行する管理装置80のCPU81が「出力手段」に相当する。また、部品実装処理を実行する制御装置70のCPU71が「作業制御手段」に相当し、ノズル交換処理やヘッド交換処理を実行する制御装置70のCPU71が「交換制御手段」に相当する。
なお、本発明は上述した実施例に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。