以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装ライン、検査塗布実装装置(部品実装装置)、塗布ノズルの仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図2、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸方向として、基板搬送方向のX方向(図2における左右方向)、基板搬送方向に直交するY方向(図2における上下方向)が示される。図3、及び後述する一部では、水平面と直交する高さ方向としてZ方向(図3における上下方向)が示される。Z方向は、部品実装装置が水平面上に設置された場合の上下方向である。
まず図1を参照して部品実装ライン1について説明する。図1において部品実装ライン1は、印刷機M1、検査装置M2、検査塗布実装装置M3、部品実装装置M4を連結して通信ネットワーク2によって接続して全体を管理コンピュータ3によって制御する構成となっている。部品実装ライン1は、基板にクリームはんだを印刷し、クリームはんだが印刷された基板に部品を搭載する機能を有している。
印刷機M1は、基板に形成された電極にメタルマスクを介してペースト状のクリームはんだ(塗布材料)をスクリーン印刷により転写する機能を有する。検査装置M2は、基板の各電極に印刷されたクリームはんだの印刷状況を検査する機能を有する。検査塗布実装装置M3、部品実装装置M4は、移動ヘッドに装着された吸着ノズルよって部品供給部から部品をピックアップし、クリームはんだが転写された基板の実装位置に移送搭載する。
検査塗布実装装置M3は、前述の機能に加えて、基板の各電極に印刷されたクリームはんだの印刷状況など基板の状態を検査する機能、基板の電極にクリームはんだ、ペースト、接着剤などの塗布部材を塗布、吸引する機能を有する。部品搭載後の基板はリフロー装置に送られ、クリームはんだを融解して基板に搭載された部品の部品端子を基板の電極とはんだ接合させることにより実装基板が製造される。
次に図2〜4を参照して、検査塗布実装装置M3の構成を説明する。図2において、基台4の上面の中央にはX方向に延びる基板搬送部5が配設されている。基板搬送部5は、上流側装置から受け渡された基板6を搬送して、以下に説明する移動ヘッド11による実装作業位置に基板6を位置決め保持する。すなわち、基板搬送部5は、基板6を搬送して保持する。基板搬送部5の一側方には部品供給部7が配置されている。部品供給部7には、複数のテープフィーダ8がX方向に並設されている。テープフィーダ8は実装対象の部品を保持したキャリアテープをピッチ送りして、移動ヘッド11が部品を吸着する部品吸着位置に部品を供給する。
基台4の上面においてX方向の一方側の端部には、Y方向に延びるリニア駆動機構を備えたY軸ビーム9が配設されている。Y軸ビーム9には、リニア駆動機構を備えた2基のX軸ビーム10A、X軸ビーム10Bが、Y方向に移動自在に結合されている。一方のX軸ビーム10Aには、移動ヘッド11がX方向に移動自在に装着されている。他方のX軸ビーム10Bには、検査ヘッド12がX方向に移動自在に装着されている。検査ヘッド12には、基板搬送部5に保持された基板6の表面に印刷(塗布)されたクリームはんだ、ペースト、接着剤など(塗布材料)の塗布量などの状態を検査する、カメラ、3Dセンサなどの検査手段12aが設けられている。
移動ヘッド11には、複数の保持ヘッド11aが備えられている。図3(a)、図3(b)において、それぞれの保持ヘッド11aの下端部に設けられたノズルホルダ11bには、部品を吸着して保持する吸着ノズル24Aが装着される。また、ノズルホルダ11bには、塗布材料を充填、塗布する塗布ノズル24Bも装着される。吸着ノズル24Aと塗布ノズル24Bは、ノズルホルダ11bに交換可能に装着される。すなわち、塗布ノズル24Bは、部品を吸着して基板6に装着する吸着ノズル24Aと交換可能に移動ヘッド11に保持される。
図2において、Y軸ビーム9、X軸ビーム10Aを駆動することにより、移動ヘッド11はX方向、Y方向に移動する。すなわちY軸ビーム9、X軸ビーム10Aは、移動ヘッド11を水平方向に移動させる移動ヘッド移動機構13Aを構成する。これにより移動ヘッド11は、部品供給部7のテープフィーダ8の部品吸着位置から部品を吸着ノズル24Aによって吸着保持して取り出して、基板搬送部5に位置決めされた基板6の実装位置に移送搭載する。このように、移動ヘッド11は、基板搬送部5に対して相対移動可能である。
また、Y軸ビーム9、X軸ビーム10Bを駆動することにより、検査ヘッド12はX方向、Y方向に移動する。すなわちY軸ビーム9、X軸ビーム10Bは、検査ヘッド12を水平方向に移動させる検査ヘッド移動機構13Bを構成する。これにより検査ヘッド12は、基板搬送部5に位置決めされた基板6の検査対象部位の上方に移動して、検査手段12aによって検査対象部位を検査(撮像)する。すなわち、検査ヘッド12は、移動ヘッド11とは独立に基板6に対して相対移動して、検査手段12aによって基板6の検査対象部位を撮像する。
図2において、移動ヘッド11が取り付けられたプレート10aには、X軸ビーム10Aの下面側に位置して、移動ヘッド11と一体的に移動する基板認識カメラ14が装着されている。移動ヘッド11が移動することにより、基板認識カメラ14は基板搬送部5に位置決めされた基板6の上方に移動し、基板6に設けられた基板マーク(図示せず)を撮像して基板6の位置を認識する。
部品供給部7と基板搬送部5との間の移動ヘッド11の移動経路には、部品認識カメラ15、ノズル保持装置16が配設されている。部品供給部7から部品を取り出した移動ヘッド11が部品認識カメラ15の上方を移動する際に、部品認識カメラ15は移動ヘッド11に装着された吸着ノズル24Aに保持された部品を撮像して認識する。移動ヘッド11による基板6への部品実装作業においては、部品認識カメラ15による部品の認識結果と、基板認識カメラ14による基板認識結果を加味して実装位置の補正が行われる。
ここで図4を参照して、ノズル保持装置16の構成および機能について説明する。ノズル保持装置16は、吸着ノズル保持部16Aと塗布ノズル保持部16Bを含んで構成される。吸着ノズル保持部16Aには、保持ヘッド11aのノズルホルダ11bに装着される吸着ノズル24Aを保持する複数(ここでは9個)の保持穴17が設けられており、部品種に対応して複数の吸着ノズル24Aが保持されている。
塗布ノズル保持部16Bには、保持ヘッド11aのノズルホルダ11bに装着される塗布ノズル24Bを保持する複数(ここでは4個)の保持穴17が設けられており、塗布材料の塗布量に対応して複数の塗布ノズル24Bが保持されている。また、塗布ノズル保持部16Bには、塗布材料供給部18、塗布材料廃棄部19、温度調整機構32(図8参照)が配設されている。塗布材料供給部18には塗布材料が貯蔵されており、塗布ノズル24Bに塗布材料を供給する。塗布材料廃棄部19には、塗布ノズル24Bから不要な塗布材料が廃棄される。
温度調整機構32は、ヒータ、温度センサを備えており、塗布ノズル保持部16Bが保持する塗布ノズル24Bと塗布材料供給部18に貯蔵される塗布材料を、各種の塗布材料に最適な温度に加熱して保温する。このように、ノズル保持装置16は、ヒータ(温度調整機構32)と塗布材料供給部18とを有し、複数の塗布ノズル24Bを保持する。
図4において、移動ヘッド11がノズル保持装置16の吸着ノズル保持部16Aまたは塗布ノズル保持部16Bにアクセスしてノズル交換動作を行うことにより、保持ヘッド11aのノズルホルダ11bに目的および対象とする部品種に応じた吸着ノズル24Aまたは塗布量に応じた塗布ノズル24Bを自在に交換することができる。すなわち、ノズル保持装置16は、吸着ノズル24Aと塗布ノズル24Bとを移動ヘッド11との間で交換可能に保持する。なお、吸着ノズル保持部16Aと塗布ノズル保持部16Bは必ずしも一体的に形成する必要はなく、それぞれを独立したノズル保持装置16として基台4上に配設してもよい。また、塗布ノズル保持部16Bを部品供給部7上に着脱自在に配設してもよい。
ここで図3(b)を参照して、ノズルホルダ11bの構成および機能について説明する。ノズルホルダ11bは、保持ヘッド11aの本体部から下方に延出した真空吸引孔21aを有する摺動軸21にホルダ本体部20を上下に摺動自在に嵌合させ、ホルダ本体部20の両側面の対称位置に配設された2つのクランプ部材22を、円環状の引張りバネ部材23によって内側方向に付勢する構成となっている。
真空吸引孔21aは、吸引力(負圧)および放出力(正圧)を発生させる吸引放出力発生部33(図8参照)に連通している。吸引放出力発生部33が吸引力を発生させると、真空吸引孔21aより真空吸引される(矢印a)。また、吸引放出力発生部33が放出力を発生させると、真空吸引孔21aよりエアが放出される(矢印b)。
この構成において、2つのクランプ部材22の下部に外側へ開く方向の外力を作用させることによりクランプ部材22は、上部を支点として引張りバネ部材23の付勢力に抗して開方向に回転移動し(矢印c)、これによりノズルの装着が可能となる。そしてこの状態で2つのクランプ部材22の下部は、装着されたノズルを引張りバネ部材23の付勢力によって内側に押しつける。これにより、ノズルはノズルホルダ11bにクランプ固定される。
本実施の形態においては、目的に応じて2種類のノズル(吸着ノズル24A、塗布ノズル24B)を、保持ヘッド11aに交換自在に装着して使い分けるようにしている。そのため、吸着ノズル24Aと塗布ノズル24Bの上部の装着部24aは同一構造であり、ノズルホルダ11bに対して装着互換性を有している。装着部24aには、ノズルホルダ11bに設けられたホルダ本体部20が嵌合する嵌合孔24bが設けられている。装着部24aの下方には、側方に延出した鍔状部24cが設けられている。
図3(b)において、吸着ノズル24Aの鍔状部24cから下方には、吸着部24dが延出して設けられている。吸着部24dの内部には、下端部の吸着面24eに開孔する吸着孔24fが上下に貫通して設けられている。吸着ノズル24Aが保持ヘッド11aに装着された状態で、吸着孔24fが真空吸引孔21aと連通する。
塗布ノズル24Bの鍔状部24cから下方には、下方が開放された円筒状の結合部24gが延出して設けられている。結合部24gには、後述する交換部25が結合されている。鍔状部24cの内部には、結合部24gに連結された交換部25の上部に開孔する連結孔24hが上下に貫通して設けられている。塗布ノズル24Bが保持ヘッド11aに装着された状態で、連結孔24hが真空吸引孔21aと連通する。
次に図5を参照して、塗布ノズル24Bの詳細構成について説明する。装着部24aの結合部24gの内壁面には、ねじ溝24jが形成されている。装着部24aに結合される交換部25は、外筒部26とプランジャ部27を含んで構成されている。外筒部26には、上面が開放された円筒形の上部26aと、上部26aより小径で上部26aより下方に延出する円筒形の下部26bが形成されている。下部26bの下端部には、塗布部材を吸引、吐出する吐出口26cが形成されている。外筒部26の上部26aの外周には、結合部24gのねじ溝24jに継合するねじ山26dが形成されている。
プランジャ部27は、上部ガスケット部27a、下部ガスケット部27b、プランジャロッド27cを含んで構成される。上部ガスケット部27aは円盤状で、外縁にゴムパッキンなどのガスケット28aが取り付けられている。下部ガスケット部27bは上部ガスケット部27aより小径の円盤状で、外縁にゴムパッキンなどのガスケット28bが取り付けられている。プランジャロッド27cの上方には上部ガスケット部27aが、下方には下部ガスケット部27bが接続されている。これにより、上部ガスケット部27aと下部ガスケット部27bは、上下方向に中心が一致して平行に接続される。
図5において、プランジャ部27が外筒部26に挿入されると、上部ガスケット部27aは外筒部26の上部26aの上部内壁面26eに当接し、下部ガスケット部27bは外筒部26の下部26bの下部内壁面26fに当接する。プランジャ部27は外筒部26の内部を、ガスケット28a,28bによって気密性が保たれながら上下に摺動することができる。すなわち、プランジャ部27は、外筒部26内に挿入され先端に外筒部26の内壁(下部内壁面26f)と密着するガスケット部(下部ガスケット部27b)を備えている。
プランジャ部27は、上部ガスケット部27aの下面の外周が外筒部26の上部26aと下部26bの境界の段差部26gに当接、または、下部ガスケット部27bの下面が外筒部26の下部26bに形成された吐出口26cの上面26hに当接することで、外筒部26内における下方への移動が規制される。また、プランジャ部27は、装着部24aに交換部25が連結された状態で、上部ガスケット部27aの上面が鍔状部24cの下面に当接することで、外筒部26内における上方への移動が規制される。
外筒部26は、内部にプランジャ部27を収納した状態で、外筒部26のねじ山26dを、結合部24gのねじ溝24jに継合させて装着部24aに取り付けられる。塗布ノズル24Bは、装着部24aから交換部25(外筒部26、プランジャ部27)を取り外すことで、外筒部26とプランジャ部27の清掃、ガスケット28a,28bやプランジャ部27の交換などのメンテナンスを容易に実施することができる。このように、塗布ノズル24Bは、移動ヘッド11に接続される装着部24aを有し、外筒部26は、装着部24aに着脱可能であり、プランジャ部27は、外筒部26を装着部24aから取り外して交換可能である。
次に図6を参照して、ノズルホルダ11bに装着された吸着ノズル24Aおよび塗布ノズル24Bの機能について説明する。図6(a)は、ノズルホルダ11bに吸着ノズル24Aが装着された状態を示している。吸着ノズル24Aがノズルホルダ11bに装着されると、クランプ部材22が引張りバネ部材23の付勢力によって吸着ノズル24Aをクランプする。そしてこの状態で、吸引放出力発生部33より吸引力を発生させて真空吸引孔21aから真空吸引することにより(矢印d)、吸着ノズル24Aは吸着部24dにより部品Pを吸着保持する。
図6(b)、図6(c)は、ノズルホルダ11bに塗布ノズル24Bが装着された状態を示している。塗布ノズル24Bがノズルホルダ11bに装着されると、クランプ部材22が引張りバネ部材23の付勢力によって塗布ノズル24Bをクランプする。これにより、吸引放出力発生部33は、移動ヘッド11を介して塗布ノズル24Bに接続される。この状態で、塗布ノズル24Bは、次に説明するように塗布材料Sを充填、吐出する。
図6(b)において、プランジャ部27が外筒部26内の最下位置にある状態で、外筒部26の吐出口26cを塗布材料供給部18が貯蔵する塗布材料Sに浸ける。そして、吸引放出力発生部33より吸引力を発生させて真空吸引孔21aから真空吸引し(矢印e)、プランジャ部27を最上位置まで上方に移動させると(矢印f)、外筒部26の下部26bの内部とプランジャ部27の下部ガスケット部27bの下面で形成される内部空間Cに塗布材料Sが充填される。
図6(c)において、内部空間Cに塗布材料Sが充填されている状態で、吸引放出力発生部33より放出力を発生させて真空吸引孔21aからエアを放出し(矢印g)、プランジャ部27を最下位置まで下方に移動させると(矢印h)、外筒部26の吐出口26cから内部空間Cに充填されていた塗布材料Sが吐出される。なお、プランジャ部27は、下部ガスケット部27bに加えて上部ガスケット部27aでも外筒部26の内壁(下部内壁面26f、上部内壁面26e)との間で気密を保持しているため、塗布材料Sを吸引、吐出する際に、内部空間Cから真空吸引孔21aに塗布材料Sが流入することを防止できる。
次に図7を参照して、塗布量の異なる塗布ノズル24Bの例を示す。塗布ノズル24Bが充填して吐出する塗布材料Sの量(塗布量)は、内部空間Cの体積によって自由に変更することができる。図7(a)に示す小容量の塗布ノズル24B1の外筒部26の下部26bの内径φ1より、図7(b)に示す大容量の塗布ノズル24B2の外筒部26の下部26bの内径φ2は大きい。そのため塗布ノズル24B2の内部空間Cは、塗布ノズル24B1の内部空間Cよりも大きく、より多くの塗布材料Sを塗布することができる。なお、塗布材料Sの塗布量(内部空間Cの体積)は、外筒部26の下部26bの上下方向の長さによって変更してもよい。
ノズルホルダ11bには、塗布ノズル24B1や塗布ノズル24B2など塗布量の異なる塗布ノズル24Bを交換して装着することができる。すなわち、移動ヘッド11は、充填可能な塗布材料Sの充填量が異なる複数の塗布ノズル24Bを交換して保持可能であり、基板6への塗布材料Sの塗布量に応じて複数の塗布ノズル24Bのいずれかを選択して保持することができる。これによって、所望の塗布量の塗布材料Sを高い精度で基板6に塗布することができる。
また、移動ヘッド11は、部品Pを吸着して基板6へ装着する吸着ノズル24Aと、塗布材料Sを吸引して内部に充填して基板6へ吐出する塗布ノズル24Bとを交換可能に装着可能であり、基板6に対して相対移動可能である。すなわち、検査塗布実装装置M3(部品実装装置)は、設置面積を増大させることなく部品Pの実装と塗布材料Sの塗布を兼用して実行することができる。
上記説明したように、本実施の形態の検査塗布実装装置M3(部品実装装置)は、基板6を搬送して保持する基板搬送部5と、基板搬送部5に対して相対移動可能な移動ヘッド11と、塗布材料Sを供給する塗布材料供給部18と、移動ヘッド11に保持され、塗布材料供給部18から塗布材料Sを充填し、充填した塗布材料Sを基板6に塗布する塗布ノズル24Bと、移動ヘッド11を介して塗布ノズル24Bに接続される吸引放出力発生部33と、を備えている。
そして、塗布ノズル24Bは、移動ヘッド11に保持され、内部空間Cに塗布材料Sを充填可能な外筒部26と、外筒部26内に挿入され先端に外筒部26の内壁(下部内壁面26f)と密着するガスケット部(下部ガスケット部27b)を備えるプランジャ部27とを有している。プランジャ部27は、吸引放出力発生部33により供給される吸引力によって外筒部26内を上方(第1の方向)に移動して塗布材料Sを外筒部26内に充填する。そして、プランジャ部27は、吸引放出力発生部33により供給される放出力によって外筒部26内を下方(第1の方向と反対の方向である第2の方向)に移動して基板6に塗布材料Sを塗布している。これによって、基板6に精密に塗布材料Sを塗布することができる。
次に図8を参照して、検査塗布実装装置M3(部品実装装置)の制御系の構成について説明する。検査塗布実装装置M3は、制御部30、記憶部31、基板搬送部5、部品供給部7、移動ヘッド11、移動ヘッド移動機構13A、基板認識カメラ14、部品認識カメラ15、検査ヘッド12、検査ヘッド移動機構13B、検査手段12a、ノズル保持装置16、温度調整機構32、吸引放出力発生部33、表示部34、通信部35を備えている。
制御部30はCPU機能を備える演算処理装置であり、内部処理機能として実装制御部30a、検査制御部30b、塗布制御部30c、ノズル交換制御部30d、判断部30eを備えている。記憶部31は記憶装置であり、実装データ31a、検査結果データ31bなどを記憶する。実装データ31aには、基板6の電極の位置、基板6に塗布される塗布材料S(クリームはんだ、ペースト、接着剤など)の最適な塗布量、基板6に実装する部品Pの種類、実装位置などの情報が含まれる。
図8において、実装制御部30aは、実装データ31aに基づいて、基板搬送部5、部品供給部7、吸着ノズル24Aが装着された移動ヘッド11、移動ヘッド移動機構13A、吸引放出力発生部33を制御して、吸着ノズル24Aによる基板6への部品Pの実装を制御する。検査制御部30bは、検査ヘッド12、検査手段12a、検査ヘッド移動機構13Bを制御して、検査手段12aを基板6の検査対象部位の上方に移動させ、基板6に塗布された塗布材料Sの塗布量などの状態の検査を制御する。検査結果は、検査結果データ31bとして記憶部31に記憶される。
塗布制御部30cは、基板搬送部5、部品供給部7、塗布ノズル24Bが装着された移動ヘッド11、移動ヘッド移動機構13A、温度調整機構32、吸引放出力発生部33を制御して、塗布ノズル24Bによる基板6上への塗布材料Sの塗布および基板6上に塗布された塗布材料Sの吸引を制御する。ノズル交換制御部30dは、移動ヘッド11、移動ヘッド移動機構13A、ノズル保持装置16を制御して、移動ヘッド11における吸着ノズル24Aと塗布ノズル24Bとの交換を制御する。
判断部30eは、検査結果データ31bに含まれる基板6の検査対象部位の撮像結果に基づいて、基板6上への塗布材料Sの塗布が必要か否か、または基板6上への塗布材料Sの塗布が過剰か否かを判断する。表示部34は液晶パネルなどの表示装置であり、操作画面などの各種画面の他、実装データ31a、検査結果データ31bなどの各種情報を表示する。通信部35は通信インターフェースであり、通信ネットワーク2を介して管理コンピュータ3、検査装置M2との間で信号、データの授受を行う。
次に図9のフローに則して、図10を参照しながら基板搬送部5、移動ヘッド11、検査ヘッド12、ノズル保持装置16を備える検査塗布実装装置M3(部品実装装置)によって基板6に部品Pを実装する部品実装方法の第1の実施例について説明する。検査塗布実装装置M3の基板搬送部5には、印刷機M1においてクリームはんだ(塗布材料S)が印刷され、検査装置M2においてクリームはんだの印刷状況が検査された基板6が搬入されて実装作業位置に位置決め保持されているとする。
図9において、検査制御部30bは、検査ヘッド12を基板6の検査対象部位の上方に移動させ(図10(a)の矢印j1)、検査手段12aによって基板6の電極6aに塗布された塗布材料Sの塗布量を検査する(ST1:検査工程)。すなわち、基板6上への塗布材料Sの塗布が必要か否かを判断する前に、移動ヘッド11とは独立に基板6に対して相対移動して、基板6の検査対象部位を検査(撮像)する検査ヘッド12によって基板6の検査対象部位を検査(撮像)する。検査結果は、検査結果データ31bとして記憶される。
次いで判断部30eは、基板6の検査対象部位の検査結果(撮像結果)に基づいて、基板6上への塗布材料Sの追加の塗布が必要か否かを判断する(ST2:塗布要否判断工程)。なお、塗布判断工程(ST2)では、検査装置M2による検査結果を用いてもよい。その場合、判断部30eは、あらかじめ取得された検査装置M2による基板6の検査対象部位の検査結果(撮像結果)に基づいて塗布の要否を判断する。塗布要否判断工程(ST2)において基板6への塗布材料Sの塗布が必要と判断された場合(Yes)、判断部30eは、基板6の検査対象部位の検査結果(撮像結果)に基づいて、基板6上へ塗布すべき塗布材料Sの塗布量を判断する(ST3:塗布量判断工程)。判断部30eは、塗布量に基づいて、移動ヘッド11に装着する塗布ノズル24Bの種類(充填量)を選択する。
図9において、次いでノズル交換制御部30dは、塗布量判断工程(ST3)による判断結果に基づいて、内部空間C(内部)への塗布材料Sの充填量が異なる複数の塗布ノズル24Bから一の塗布ノズル24Bを選択して移動ヘッド11に装着する(ST4:塗布ノズル装着工程)。移動ヘッド11に吸着ノズル24Aが装着されている場合は、移動ヘッド11はノズル保持装置16にアクセスして、移動ヘッド11に装着された吸着ノズル24Aを塗布ノズル24Bに交換する。
次いで塗布制御部30cは、塗布ノズル24Bを検査対象部位であった電極6aの上方に移動させ(図10(b)の矢印j2)、塗布ノズル24Bにより基板6上に塗布材料Sを塗布する(ST5:塗布工程)(図10(b)の矢印j3)。塗布ノズル24Bによる基板6への塗布材料Sの塗布が完了したら、ノズル交換制御部30dは、移動ヘッド11に装着された塗布ノズル24Bを吸着ノズル24Aに交換する(ST6:吸着ノズル装着工程)。次いで実装制御部30aは、部品Pを吸着した吸着ノズル24Aを検査対象部位であった電極6aの上方に移動させ(図10(c)の矢印j4)、吸着ノズル24Aにより基板6へ部品Pを実装する(ST7:部品実装工程)(図10(c)の矢印j5)。
図9において、塗布要否判断工程(ST2)において基板6への塗布材料Sの塗布が必要ではないと判断された場合(No)、塗布材料Sを塗布することなく部品実装工程(ST7)に進んで、基板6への部品Pの実装が行われる。基板6では、順次、検査対象部位の検査(撮像)が実行され、追加塗布が必要と判断された検査対象部位に最適な塗布量の塗布ノズル24Bによって塗布材料Sが塗布される。なお、検査と塗布を交互に繰り返すのではなく、基板6において全ての検査対象部位を検査した後、必要な検査対象部位に順次、最適な塗布量の塗布材料Sを塗布してもよい。
上記説明したように、本実施の形態の部品実装方法の第1の実施例は、基板6の検査対象部位の撮像結果に基づいて、基板6上への塗布材料Sの塗布が必要か否かを判断している。そして、基板6への塗布材料Sの塗布が必要と判断された場合、移動ヘッド11に装着された吸着ノズル24Aを塗布ノズル24Bに交換し、塗布ノズル24Bにより基板6上に塗布材料Sを塗布している。これによって、基板6に塗布された塗布材料Sが所定の塗布量(最適量)となるように精度良く修正することができる。
次に図11のフローに則して、図12を参照しながら検査塗布実装装置M3(部品実装装置)によって基板6に部品Pを実装する部品実装方法の第2の実施例について説明する。部品実装方法の第2の実施例では、基板6に塗布材料Sが過剰に塗布されている場合に塗布ノズル24Bによって余分な塗布材料Sを吸引するところが部品実装方法の第1の実施例と異なる。検査塗布実装装置M3の基板搬送部5には、印刷機M1においてクリームはんだ(塗布材料S)が印刷され、検査装置M2においてクリームはんだの印刷状況が検査された基板6が搬入されて実装作業位置に位置決め保持されているとする。
図11において、検査制御部30bは、検査ヘッド12を基板6の検査対象部位の上方に移動させ(図12(a)の矢印k1)、検査手段12aによって基板6の電極6aに塗布された塗布材料Sの塗布量を検査する(ST11:検査工程)。すなわち、基板6上への塗布材料Sの塗布が過剰か否かを判断する前に、移動ヘッド11とは独立に基板6に対して相対移動して、基板6の検査対象部位を検査(撮像)する検査ヘッド12によって基板6の検査対象部位を検査(撮像)する。検査結果は、検査結果データ31bとして記憶される。
次いで判断部30eは、基板6の検査対象部位の検査結果(撮像結果)に基づいて、基板6上への塗布材料Sの塗布が過剰か否かを判断する(ST12:吸引要否判断工程)。なお、吸引要否判断工程(ST12)では、検査装置M2による検査結果を用いてもよい。その場合、判断部30eは、あらかじめ取得しておいた検査装置M2による基板6の検査対象部位の検査結果(撮像結果)に基づいて判断する。吸引要否判断工程(ST12)において基板6への塗布材料Sの塗布が過剰と判断された場合(Yes)、判断部30eは、基板6の検査対象部位の検査結果(撮像結果)に基づいて、基板6上から吸引すべき塗布材料Sの吸引量を判断する(ST13:吸引量判断工程)。判断部30eは、吸引量に基づいて、移動ヘッド11に装着する塗布ノズル24Bの種類(充填量)を選択する。
図11において、次いでノズル交換制御部30dは、吸引量判断工程(ST13)による判断結果に基づいて、内部空間C(内部)への塗布材料Sの充填量が異なる複数の塗布ノズル24Bから一の塗布ノズル24Bを選択して移動ヘッド11に装着する(ST14:塗布ノズル装着工程)。移動ヘッド11に吸着ノズル24Aが装着されている場合は、移動ヘッド11はノズル保持装置16にアクセスして、移動ヘッド11に装着された吸着ノズル24Aを塗布ノズル24Bに交換する。
次いで塗布制御部30cは、塗布ノズル24Bを検査対象部位であった電極6aの上方に移動させ(図12(b)の矢印k2)、塗布ノズル24Bにより基板6上に過剰に塗布された塗布材料Sを吸引する(ST15:吸引工程)(図10(b)の矢印k3)。塗布ノズル24Bに吸引された塗布材料Sは、塗布材料廃棄部19に廃棄される。次いで検査工程(ST11)と同様に、検査手段12aによって吸引された後に基板6の電極6aに残っている塗布材料Sの残留量を再検査する(ST16:再検査工程)。すなわち、塗布ノズル24Bによって基板6に過剰に塗布された塗布材料Sが吸引された後、検査ヘッド12によって塗布材料Sが吸引された検査対象部位を検査(撮像)する。
次いで判断部30eは、基板6の検査対象部位の検査結果(撮像結果)に基づいて、基板6上への塗布材料Sの塗布が必要か否かを判断する(ST17:塗布要否判断工程)。すなわち、塗布材料Sの残留量が期待通りか、または、塗布ノズル24Bによって期待された吸引量よりも多い塗布材料Sが吸引されてしまっていないかを判断する。塗布要否判断工程(ST17)において基板6への塗布材料Sの塗布が必要と判断された場合(Yes)、前述の部品実装方法の第1の実施例における塗布量判断工程(ST3)、塗布ノズル装着工程(ST4)、塗布工程(ST5)と同様の手順に従って、移動した(図12(c)の矢印k4)塗布ノズル24Bによって基板6上に塗布材料Sを塗布する(ST18:塗布工程)(図12(c)の矢印k5)。
塗布ノズル24Bによる基板6に過剰に塗布された塗布材料Sの吸引、不足の塗布材料Sの塗布が完了したら、ノズル交換制御部30dは、移動ヘッド11に装着された塗布ノズル24Bを吸着ノズル24Aに交換する(ST19:吸着ノズル装着工程)。塗布要否判断工程(ST17)において基板6への塗布材料Sの塗布が必要ではないと判断された場合(No)、塗布材料Sを塗布することなく吸着ノズル装着工程(ST19)に進んで、移動ヘッド11に吸着ノズル24Aが装着される。次いで実装制御部30aは、部品Pを吸着した吸着ノズル24Aを検査対象部位であった電極6aの上方に移動させ(図12(d)の矢印k6)、吸着ノズル24Aにより基板6へ部品Pを実装する(ST20:部品実装工程)(図12(d)の矢印k7)。
図11において、吸引要否判断工程(ST12)において基板6への塗布材料Sの塗布が過剰ではないと判断された場合(No)、塗布材料Sを吸引することなく部品実装工程(ST20)に進んで、基板6への部品Pの実装が行われる。基板6では、順次、検査対象部位の検査(撮像)が実行され、過剰と判断された検査対象部位より最適な吸引量の塗布ノズル24Bによって塗布材料Sが吸引され、追加塗布が必要と判断された検査対象部位に最適な塗布量の塗布ノズル24Bによって塗布材料Sが塗布される。なお、検査と塗布を交互に繰り返すのではなく、基板6において全ての検査対象部位を検査した後、必要な検査対象部位に順次、過剰な塗布材料Sの吸引と塗布材料Sの塗布を実行してもよい。
上記説明したように、本実施の形態の部品実装方法の第2の実施例は、基板6の検査対象部位の撮像結果に基づいて、基板6上への塗布材料Sの塗布が過剰か否かを判断している。そして、基板6への塗布材料Sの塗布が過剰と判断された場合、移動ヘッド11に装着された吸着ノズル24Aを塗布ノズル24Bに交換し、塗布ノズル24Bにより基板6上に過剰に塗布された塗布材料Sを吸引している。これによって、基板6に塗布された塗布材料Sが所定の塗布量(最適量)となるように精度良く修正することができる。
なお、部品実装方法の第1の実施例、第2の実施例は、印刷機M1においてクリームはんだ(塗布材料S)が印刷された基板6を対象として、印刷された塗布材料Sに不足や過剰な塗布があった場合に、塗布材料Sが所定の塗布量(最適量)となるように修正しているが、上記の部品実装方法は上記の例への適用に限定されることはない。例えば、検査塗布実装装置M3において部品Pを固定する接着剤(塗布材料S)を塗布した基板6を対象として、塗布された塗布材料Sに不足や過剰な塗布があって所定の塗布量(最適量)となるように修正する場合にも、上記の部品実装方法を適用することができる。
なお、各実施例に記載の事項は、適宜組み合わせて利用することができる。