次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず図1、図2を参照して、基板に電子部品を実装する電子部品実装装置1の構成を説明する。電子部品実装装置1は、電子部品を供給するパーツフィーダから電子部品を取り出して基板に移送搭載する機能を有するものであり、図2は、図1におけるA−A断面を部分的に示している。
図1において基台1aの中央にはX方向(基板搬送方向)に基板搬送機構2が配設されている。基板搬送機構2は上流側から搬入された基板3を搬送し、部品実装作業を実行するために設定された実装ステージに位置決めして保持する。基板搬送機構2の両側方には、部品供給部4が配置されており、それぞれの部品供給部4には複数のテープフィーダ5が並列に装着されている。
ここで、一方(図1において下側)の部品供給部4には、電子部品実装装置1に電子部品やワークを供給する複数種類のテープフィーダ5(パーツフィーダ5A,計測用部材フィーダ5B、清掃用部材フィーダ5C)およびディスペンサユニット6が,共通のフィーダベース16a(図2参照)に装着されている。テープフィーダ5は、電子部品やワークを収納したキャリアテープをテープ送り方向にピッチ送りすることにより、以下に説明する部品実装機構の搭載ヘッドによる取り出し位置に供給する。
ディスペンサユニット6は、搭載ヘッドによって取り出された電子部品やワークに、部品接合用の接着剤などのペーストを下面側から塗布する機能を有している。なお、ここでは一方側の部品供給部4のみに上述種類のテープフィーダ5およびディスペンサユニット6を配置した例を示しているが、他方側の部品供給部4についても同様の構成を適用してもよい。
基台1aの上面においてX方向の一方側の端部には、リニア駆動機構を備えたY軸移動テーブル7がY方向(X方向と直交する方向)に配設されており、Y軸移動テーブル7には、同様にリニア駆動機構を備えた2基のX軸移動テーブル8が、Y方向に移動自在に結合されている。2基のX軸移動テーブル8には、それぞれ搭載ヘッド9がX方向に移動自在に装着されている。
搭載ヘッド9は複数の保持ヘッドを備えた多連型ヘッドであり、それぞれの保持ヘッドの下端部には、図2に示すように、部品を吸着して保持し個別に昇降可能な吸着ノズル10が装着されている。搭載ヘッド9は吸着ノズル10を昇降させるZ軸昇降機構および吸着ノズル10をノズル軸廻りに回転させるθ軸回転機構を備えている。Y軸移動テーブル7、X軸移動テーブル8を駆動することにより、搭載ヘッド9はX方向、Y方向に移動する。
これにより2つの搭載ヘッド9は、それぞれ対応した部品供給部4のテープフィーダ5の取り出し位置から電子部品やワークを吸着ノズル10によって取り出す。本実施の形態では、パーツフィーダ5Aによって供給される電子部品20のほかに、ワークとして計測用部材フィーダ5Bによって供給される計測用部材21、清掃用部材フィーダ5Cによって供給される清掃用部材22が搭載ヘッド9による保持対象となる。
部品供給部4と基板搬送機構2との間には、部品認識カメラ13,ノズルホルダ14および廃棄ボックス15が配設されている。部品供給部4から電子部品20、計測用部材21を取り出した搭載ヘッド9が部品認識カメラ13の上方を移動する際に、部品認識カメラ13は搭載ヘッド9に保持された状態の電子部品20、計測用部材21を撮像する。この撮像結果を認識処理部53(図12参照)によって認識処理することにより、電子部品20の位置や、電子部品20、計測用部材21に塗布されたペーストPの塗布量や塗布位置を検出することができる。したがって部品認識カメラ13および認識処理部53は、電子部品20、計測用部材21に塗布されたペーストPを認識する認識部となっている。以下本明細書で記載される「認識部」は、前記構成を意味している。
搭載ヘッド9にはX軸移動テーブル8の下面側に位置して、それぞれ搭載ヘッド9と一体的に移動する基板認識カメラ12が装着されている。搭載ヘッド9が移動することにより、基板認識カメラ12は基板搬送機構2に位置決めされた基板3の上方に移動し、基板3を撮像する。この撮像結果を同様に認識処理部53によって認識処理することにより基板3の位置が検出される。
ノズルホルダ14は、搭載ヘッド9に装着される吸着ノズル10を保持対象の電子部品20や計測用部材21、清掃用部材22に対応して、複数種類収納する。搭載ヘッド9をノズルホルダ14にアクセスさせて所定のノズル交換動作を行わせることにより、搭載ヘッド9には保持対象に応じた適正種類の吸着ノズル10が装着される。廃棄ボックス15には、部品認識カメラ13による撮像結果を認識した結果、不良と判定された電子部品20や、使用後の計測用部材21、清掃用部材22が廃棄される。
図2に示すように、部品供給部4にはフィーダベース16aに予め複数のテープフィーダ5が着脱自在に装着された状態の台車16がセットされる。基台1aに設けられた固定ベース1bに対してフィーダベース16aをクランプすることにより、部品供給部4において台車16の位置が固定される。台車16には、電子部品20、計測用部材21、清掃用部材22を保持したキャリアテープ18を巻回状態で収納する供給リール17が保持されている。供給リール17から引き出されたキャリアテープ18は、テープフィーダ5によって吸着ノズル10による部品取り出し位置までピッチ送りされる。
次に、パーツフィーダ5A、計測用部材フィーダ5B、清掃用部材フィーダ5Cによって供給され、搭載ヘッド9の保持対象となる電子部品20、計測用部材21、清掃用部材22について、図3、図4を参照して説明する。まず図3は、電子部品を供給するパーツフィーダ5Aから搭載ヘッド9によって電子部品20を取り出す例を示している。なお本実施の形態においては、電子部品を示す符号として、総称する場合には電子部品一般を示す電子部品20を用い、部品タイプを特定して用いる場合には、符号20A,20B,20Cを付して部品種類を区別している。また、吸着ノズルの符号についても、それぞれの部品種類に対応して、符号10A,10B,10Cを付してノズル種類を区別している。
図3(a)は、電子部品20がBGA(Ball Grid Array)など下面にバンプ20aが形成されたタイプのバンプ付きの電子部品20Aである場合を示している。電子部品20Aは、エンボステープ型のキャリアテープ18に形成されたエンボス部18a内に収納されており、搭載ヘッド9による部品取り出しに際しては、パーツフィーダ5Aにおいてキャリアテープ18をピッチ送りして、エンボス部18a内の電子部品20Aを取出し位置5aに位置させる。そしてこの状態で吸着ノズル10Aを昇降させて部品吸着動作を行わせることにより、吸着ノズル10Aは電子部品20Aの上面を真空吸着により保持する。
なお電子部品実装装置1においては複数種類の電子部品が実装対象となり、図3(a)に示す電子部品20A以外にも、図3(b)、(c)に例示する電子部品20B、電子部品20Cなどが搭載ヘッド9によって保持されて基板3に実装される。すなわち、図3(b)は、側面から複数のリード部20bが延出した構成のリード付きの電子部品20Bを、搭載ヘッド9に装着された吸着ノズル10Bによって保持した状態を示している。また図3(c)は、微小な矩形形状で両側端部に接続用の端子20cが形成されたチップ型の電子部品20Cを、搭載ヘッド9に装着された吸着ノズル10Cによって保持した状態を示している。
これらの電子部品20は、搭載ヘッド9によって部品供給部4から取り出された後、基板搬送機構2に位置決めされた基板3の実装点に移送搭載される。Y軸移動テーブル7、X軸移動テーブル8および搭載ヘッド9は、部品を保持した搭載ヘッド9を移動させることにより、電子部品20を基板3に移送搭載する部品実装機構11を構成する。搭載ヘッド9による基板3への部品実装動作においては、部品認識カメラ13による電子部品20の認識結果と、基板認識カメラ12による基板認識結果とを加味して搭載位置補正が行われる。
次に図4を参照して、計測用部材フィーダ5B,清掃用部材フィーダ5Cからそれぞれ取り出される計測用部材21、清掃用部材22について説明する。計測用部材21はディスペンサユニット6によるペースト塗布における塗布位置の修正や塗布量の調整を目的とした試し塗布に際して、ダミーワークとして使用されるものである。清掃用部材22は、ディスペンサユニット6によるペースト吐出を反復して実行する過程において発生する、ペーストPの付着による汚損を清掃する際に、吐出ノズル46の頂面46cを拭き取る(図7参照)清拭材として用いられる。
図4(a)、(b)に示すように、計測用部材21、清掃用部材22は、いずれもエンボステープ型のキャリアテープ18に形成されたエンボス部18a内に収納されて供給される。計測用部材フィーダ5B、清掃用部材フィーダ5Cからそれぞれ計測用部材21、清掃用部材22を搭載ヘッド9によって取り出す際には、エンボス部18a内の計測用部材21、清掃用部材22を取出し位置5aに位置させ、この状態で吸着ノズル10を昇降させて部品吸着動作を行わせることにより、吸着ノズル10は計測用部材21、清掃用部材22の上面を真空吸着により保持する。
計測用部材21は平坦な下面21aを有する板状部材であり、塗布面である下面21aには、試し塗布用の複数の塗布点21bが規則配列(ここでは格子配列)で形成されている。試し塗布に際しては、計測用部材21を保持した搭載ヘッド9をディスペンサユニット6による塗布実行位置に移動させ(図7参照)、下方から複数の塗布点21bにペーストを順次塗布する。
すなわち本実施の形態に示す電子部品実装装置1は、計測用部材21を供給する計測用部材供給部を備えており、この計測用部材供給部としてフィーダベース16aに着脱自在に装着される計測用部材フィーダ5Bが用いられている。そして計測用部材フィーダ5Bは、エンボステープであるキャリアテープ18のエンボス部18aに計測用部材21を収納して供給する形態となっている。
清掃用部材22は、上面側、すなわち搭載ヘッド9の吸着ノズル10に保持される側の層である第1の層22aと、ディスペンサユニット6の吐出ノズル46(図7参照)に接する側の層である第2の層22bとの少なくとも2層を有する構成となっている。第1の層22aとしては、吸着ノズル10によって安定して吸着保持が容易となるように、剛性を有する樹脂材などを上面が平滑な板状に成型したものが用いられる。また第2の層22bには、拭取り面22cを清掃対象面に当接させた際に除去対象のペーストを含浸除去することが可能な、不織布などの柔らかい多孔質材が用いられる。清掃用部材22の構成において第2の層22bは第1の層22aよりも柔らかい層となっている。
すなわち本実施の形態に示す電子部品実装装置1は、清掃用部材22を供給する清掃用部材供給部を備えており、この清掃用部材供給部としてフィーダベース16aに着脱自在に装着される清掃用部材フィーダ5Cが用いられている。そして清掃用部材フィーダ5Cは、エンボステープであるキャリアテープ18のエンボス部18aに清掃用部材22を収納して供給する形態となっている。
次に図5を参照して、ディスペンサユニット6の構成および機能について説明する。図5(a)において、本体部6aはパーツフィーダ5Aなど台車16に設けられたフィーダベース16aに着脱自在に装着されるテープフィーダ5と装着互換性を有しており、他のテープフィーダ5と同様にフィーダベース16aに着脱自在に装着が可能となっている。なお、本発明においてはディスペンサユニット6がフィーダベース16aに着脱自在となっていることは必須要件ではなく、フィーダベース16aの範囲外にテープフィーダ5とは別個に独立してディスペンサユニット6を配設するようにしてもよい。
本体部6aの前端部には、塗布対象のペーストを吐出する吐出機構30が、吐出ノズル46が設けられた吐出ヘッド部30aを上面側に向けて配置されている。吐出機構30の後方には、貯留したペーストPをエア圧力により吐出するシリンジ32が斜め姿勢で配置されており、シリンジ32の吐出側、加圧側にはそれぞれ吐出管31、加圧管33が接続されている。シリンジ32の内部には貯留されたペーストPを加圧するためのフロート部材32aが挿入されており、シリンジ32の外周面には所定レベルまでペーストPが減少したことを検出するための残量検出センサ32bが装着されている。
吐出管31、加圧管33はそれぞれ吐出ヘッド部30a、バルブユニット34に繋ぎ込まれており、バルブユニット34はさらにレギュレータ35を介してエア供給源36に接続されている。エア供給源36から供給されるエアはレギュレータ35によって規定のエア圧力に調圧され、バルブユニット34によってオンオフ操作されることにより、規定のバルブ開放時間だけ加圧管33を介してシリンジ32に送給される。
ディスペンサユニット6はペースト吐出動作を制御するためのコントローラ37を有しており、コントローラ37は、吐出機構30、残量検出センサ32b、操作パネル38、台車16、制御装置50と接続されている。コントローラ37は制御装置50からの制御指令、台車16からの動力供給によって制御を実行し、これにより吐出機構30によるペーストPの塗布動作を制御する。この塗布動作に伴ってペーストPが消費される過程において、コントローラ37は残量検出センサ32bの検出結果に基づきシリンジ32内におけるペーストPの減少を検出する。さらに操作パネル38を介して入力される手動操作指令によってコントローラ37による所定の制御操作が可能となっている。
上述のディスペンサユニット6によるペースト塗布において、レギュレータ35によってエア圧力を調圧し、さらにコントローラ37によってバルブユニット34のバルブ開放時間を制御することにより、シリンジ32から吐出ヘッド部30aへ吐出されるペーストPの吐出量を調整することができ、これにより吐出機構30によって塗布される塗布量の調整が可能となっている。したがってレギュレータ35によって調整されるエア圧力、コントローラ37によって制御されるバルブユニット34のバルブ開放時間は、ペーストの塗布量に関するパラメータとなっている。本実施の形態では、これらのパラメータは塗布量調整パラメータ52cとして記憶部52(図12)に記憶されており、ディスペンサユニット6をこれらのパラメータに基づいて作動させることにより、所望の塗布量を得ることができるようになっている。
次に図5(b)を参照して、吐出機構30の構成を説明する。図5(b)において、水平な基部40の上面には、内部に空間部41aが形成された吐出ブロック41が立設されている。吐出ブロック41には空間部41aから上面へ貫通する嵌合孔41bが設けられており、嵌合孔41bには下部にフランジ部43aを有する形状のピストン43が摺動自在に嵌合している。ピストン43は空間部41aの内部に配設されたピエゾ素子42によってフランジ部43aを下面側から支持されている。フランジ部43aの上面には皿バネ部材49が装着されており、これによりピストン43を常に押し下げてピエゾ素子42に対して押圧する付勢力が作用している。
ピストン43の上部は、吐出ブロック41の上面に配置されたシリンダ板45に嵌合しており、さらにシリンダ板45の上面には吐出ノズル46が装着されている。シリンダ板45および吐出ノズル46は、吐出機構30の先端部の吐出ヘッド部30aを構成する。吐出ノズル46には継手部48を介して吐出管31が繋ぎ込まれており、継手部48と連通して吐出ノズル46の内部に形成された導入孔46aは、ピストン43の頂面と吐出ノズル46の下面との間に形成される空隙部に連通している。さらに吐出ノズル46においてこの空隙部と連通する位置には、上窄み形状の貯留空間46bが設けられており、貯留空間46bの頂部は頂面46cに開口して吐出孔47を形成している。
ピエゾ素子42は電圧が印加されることにより伸張する特性を有しており、ピエゾ素子42に電圧が印加されていない状態では、吐出管31から送られた(矢印a)ペーストPは、導入孔46aおよび上述の空隙部を介して貯留空間46b内に充填される。そしてこの状態でピエゾ素子42に配線44を介して電圧を印加することによりピエゾ素子42は瞬間的に伸張し、これによりピストン43は吐出ノズル46の下面に対して瞬間的に接近する。このピストン43の1ストロークにより、導入孔46a内のペーストPは加圧されて、所定量の単一ショット分のペーストPが吐出孔47を介して不連続な液塊状のペーストP*の形態で、重力に抗して上方に断続的に吐出される(矢印b)。そしてこの単一ショットの吐出を所定インターバルで複数回実行することにより、所望量のペーストPが吐出機構30から吐出されて塗布対象物に塗布される。
次に図6、図7を参照して、電子部品20の実装作業動作において電子部品20へのペースト塗布に伴って行われる処理について説明する。まずパーツフィーダ5Aから搭載ヘッド9によって取り出された電子部品20は、図6(a)に示すように、部品認識カメラ13の上方に移動し、ここで部品認識カメラ13によって電子部品20の撮像が行われる。そしてこの撮像によって取得された画像を認識処理することにより、図6(b)に示すように、電子部品20および電子部品20の下面に設定された塗布位置Aの位置が認識される。
すなわち、電子部品20の中心位置を示す部品センタ20(C)の光学系座標原点からのXYΘ方向の位置ずれ量をそれぞれ示すΔX、ΔY、ΔΘが検出される。これとともに、電子部品20の下面の所定位置に予め設定された塗布位置Aを検出する。ここでは塗布位置Aは、電子部品20の下面においてバンプ20a(図示省略)の形成範囲の外側の4つの対角位置に設定されており、これら4つの塗布位置Aの光学座標系における位置が取得される。
図7は、このようにして塗布位置Aが検出された電子部品20へのペースト塗布を示している。すなわち図7(a)に示すように、認識後の電子部品20を保持した搭載ヘッド9を、ディスペンサユニット6の吐出ヘッド部30aの上方へ移動させる。次いで塗布面である電子部品20の下面と吐出ノズル46の頂面46cとの間の距離が所定の塗布距離(図13に示す距離d参照)になるまで吸着ノズル10を下降させるとともに、塗布位置Aが吐出孔47の直上に位置するよう、電子部品20の水平方向の位置決めを行う。
そしてこの状態で、ディスペンサユニット6を作動させて吐出孔47から液塊状のペーストP*を断続的に吐出して(矢印c)、電子部品20の下面に塗布する。すなわちここでは、搭載ヘッド9によって取り出された電子部品20の下面に、ディスペンサユニット6によって不連続な液塊状のペーストP*を重力に抗して断続的に塗布する。このとき、塗布位置Aに規定塗布量のペーストPを塗布するために、ディスペンサユニット6は所定量のペーストPを複数ショットに分けて吐出するようにしている。
このペースト塗布動作により、図7(b)に示すように、電子部品20の下面において予め塗布位置Aに設定された各コーナ部には、部品接合用の接着剤であるペーストPが塗布される。なお塗布位置Aは塗布対象の電子部品の種類によって異なる位置に設定される。例えば、図7(c)に示すように、リード付き部品である電子部品20Bではモールド部の下面に1つまたは複数の塗布位置Aが設定される。また微小部品であるチップ型の電子部品20Cでは、本体部の下面に1つの塗布位置Aが設定される。
図8はペースト塗布後の電子部品20を対象として実行されるペースト認識処理を示している。すなわち、ディスペンサユニット6にてペーストPが塗布された後の電子部品20を保持した搭載ヘッド9は、図8(a)に示すように、部品認識カメラ13の上方に移動し、ここで認識のための撮像が行われる。これにより、図8(b)に示す認識画面13aとして、電子部品20の下面に設定された塗布位置Aを目標として、ディスペンサユニット6によって塗布された認識対象のペーストPを含む画像が取得される。
図8(c)は、個別のペーストPを対象とする認識処理を示している。ここで塗布位置Aを中心として破線で示されているペーストP0は、規定の塗布面積「S0」(ここでは塗布面積を以て塗布量と見なしている)で塗布位置Aに塗布されるべきペーストPであり、実線で示すペーストPは、認識によって検出された実際のペーストPである。ここで、認識処理においては、面積重心検出などの方法で求められたペーストPの中心P(C)と塗布位置Aとの位置ずれを示すΔx、Δyと、ペーストPの塗布面積[S]と規定の塗布面積「S0」との差が算出される。そしてこれらの算出結果を、予め記憶された判定閾値データ52h(図12参照)と比較することにより、ペーストPの塗布量、塗布位置が許容される範囲である所定範囲内であるか否かが判定される。
次に、ダミーワークである計測用部材21を対象として実行される試し塗布および試し塗布結果に基づいて行われる塗布量の調整および塗布位置の修正について、図9,図10を参照して説明する。本実施の形態においては、認識部が認識した電子部品20に塗布されたペーストPの塗布量または塗布位置もしくはこれらのいずれもが所定範囲外の場合や、ディスペンサユニット6にペーストPを新たにセットした場合、さらにはペーストPの塗布が最後に実行されたタイミングから所定のインターバル時間以上が経過した場合など、予め規定された試し塗布実行条件にしたがって、計測用部材21にペーストPを塗布する試し塗布を行うようにしている。
まず図9(a)に示すように、計測用部材フィーダ5Bから取り出した計測用部材21を保持した搭載ヘッド9を、ディスペンサユニット6の吐出ヘッド部30aの上方へ移動させる。すなわち搭載ヘッド9は、計測用部材21をディスペンサユニット6によってペースト塗布が可能な塗布実行位置に移送する。次いで塗布面である計測用部材21の下面と吐出ノズル46の頂面46cとの間の距離が所定の塗布距離になるまで吸着ノズル10を下降させるとともに、計測用部材21の下面において試し塗布の対象となる塗布点21bが吐出孔47の直上に位置するよう計測用部材21の水平方向の位置を合わせる。
そしてこの状態で、ディスペンサユニット6を作動させて吐出孔47から液塊状のペーストP*を断続的に吐出して(矢印d)、計測用部材21の下面に試し塗布する。すなわちここでは、搭載ヘッド9によって取り出された計測用部材21の下面に、ディスペンサユニット6によって不連続な液塊状のペーストP*を重力に抗して断続的に塗布する。この試し塗布においては、計測用部材21の下面に設定された複数箇所の塗布点21bを塗布目標位置としてペーストPを塗布する。
このとき、各塗布点21bについて、塗布量調整パラメータ52cや位置決め制御パラメータ52f(図12参照)、などの塗布条件を異なる設定とした条件下で、単一ショットによるペーストPの塗布を行う。これにより、図9(b)に示すように、計測用部材21の各塗布点21bには、異なる塗布量、塗布位置でペーストPが塗布される。そしてこの試し塗布結果を認識処理することにより、塗布量、塗布位置と塗布条件との相関関係を実証的に取得することが可能となっている。なお、試し塗布における塗布条件に、同一塗布位置を対象とする複数ショットにおけるショット数を含めてもよい。
すなわち、図10(a)に示すように、ペーストPが試し塗布された計測用部材21を保持した搭載ヘッド9は部品認識カメラ13の上方へ移動し、ここで認識のための撮像が行われる。すなわち搭載ヘッド9は、ペーストPが塗布された計測用部材21を認識部によって認識可能な認識実行位置に移送する。これにより、図10(b)に示す認識画面13aとして、計測用部材21の下面の複数箇所に設定された塗布点21bを目標として、ディスペンサユニット6によって試し塗布された複数の認識対象のペーストPを含む画像が取得される。すなわち認識部は、ペーストPが試し塗布された後に部品認識カメラ13による認識実行位置に移送された計測用部材21の下面の複数箇所に塗布されたペーストPの認識を行うようになっている。
図10(c)は、これら複数箇所の塗布点21bのうち、n番目の塗布点21bを目標として塗布されたペーストPnを対象とする認識処理を示している。ここで実線で示すペーストPnは、単一ショットによって塗布された後に認識によって検出されたペースト画像である。認識処理においては、ペーストPnの中心Pn(C)と塗布点21bとの位置ずれを示すΔxn、Δyn(塗布位置)と、ペーストPnの塗布面積[Sn](塗布量)が算出される。そしてこれらの算出結果を、当該塗布点21bを対象とする試し塗布において適用された塗布条件と対比することにより、所望の塗布量、塗布位置を実現するための塗布条件を実証的に求めることができる。
上述のように本実施の形態では、ディスペンサユニット6は、吐出機構30の上方の塗布実行位置に移送された計測用部材21にペーストPを塗布する。このペースト塗布では、フラットな下面を有する1つの計測用部材21に設定された複数の塗布点21b(塗布箇所)に対してそれぞれ単一ショットのペースト塗布を行うようにしている。そして認識部は、計測用部材21に塗布されたペーストPを対象として、ディスペンサユニット6によるペーストPの単一ショットにおける塗布量、塗布位置を認識する。電子部品実装装置1はペーストPが塗布されて認識部によって認識された後の計測用部材21を廃棄するための廃棄ボックス15を備えており、試し塗布に用いられた後の計測用部材21は廃棄ボックス15に廃棄される。
上記説明したように、本実施の形態では電子部品20の下面に付加的にペーストPを塗布する際の塗布量の調整、塗布位置の修正のための試し塗布を、ダミーワークとしての計測用部材21を対象として行うようにしている。これにより、実際の電子部品を試し塗布に使用する従来技術と比較して、使用した後に廃棄される電子部品の無駄を排除するとともに、塗布量や塗布位置の微細な調整が可能となる。
次に図11を参照して、上述のようにディスペンサユニット6によってペーストPの塗布を反復する過程において実行される吐出ヘッド部30aの清掃動作について説明する。この清掃動作は、電子部品20や計測用部材21に塗布されたペーストPの塗布状態を認識部によって認識した結果、塗布量や塗布位置の乱れなど吐出機構30からのペースト吐出の不安定に起因する不良が検出された場合に行われる。
すなわち、吐出ノズル46の頂面46cにおいて、吐出孔47の周囲にペーストPが付着して汚損されている場合には、吐出孔47からの正常なペースト吐出が妨げられて塗布不良を招く場合がある。このようなペースト吐出の異常を防止するため、認識部による認識結果に基づき、吐出機構30の清掃が必要と判断された場合には、吐出ヘッド部30aの清掃動作が実行される。
本実施の形態の電子部品実装装置1は、認識部の認識結果に基づいて搭載ヘッド9の動作を制御する制御部(図12に示す制御処理部51参照)を備えており、上述の清掃動作は制御処理部51の清掃実行処理部51dが搭載ヘッド9の動作を制御することにより実行される。すなわち、図11(a)に示すように、清掃用部材供給部である清掃用部材フィーダ5Cから、清掃用部材22を吸着ノズル10によって保持して取り出した搭載ヘッド9は、吐出機構30の吐出ヘッド部30aの上方に移動する。
次いで吐出孔47の周囲に付着したペーストPなどの汚損物を除去するため、吸着ノズル10に保持された清掃用部材22を下降させて(矢印d)、図11(b)に示すように、清掃用部材22の拭取り面22cが吐出ノズル46の頂面46cに接する位置まで移動させる。そしてこの状態で清掃用部材22を移動させて所定パターンの清掃動作を実行させることにより、吐出ノズル46の頂面46cに付着した汚損物を除去する。
ここでは、所定の清掃動作パターンとして、搭載ヘッド9をX方向またはY方向に水平往復動(矢印e)させるようにしており、これにより汚損物を第2の層22bに含浸させて除去する。そして清掃動作に使用した後の清掃用部材22は、廃棄ボックス15に廃棄される。なお、清掃動作パターンとして、搭載ヘッド9を回転方向(θ方向)に動作させるパターンを用いてもよく、水平往復動と回転方向の動作を組み合わせた動作パターンを用いてもよい。
上述の清掃動作は、前述のように認識部によって電子部品20における塗布状態の不良が検出された場合のほか、以下の条件に該当する場合にも実行される。まず塗布動作のインターバル時間、すなわちディスペンサユニット6の吐出機構30がペーストPを塗布してから次の塗布を行うまでの時間が、予め設定された所定時間を経過した場合に清掃用部材22による吐出ノズル46の清掃を行う。なお、塗布動作のインターバル時間に関係なく、予め設定された時間間隔毎に定期的に清掃用部材22による吐出ノズル46の清掃を行うようにしてもよい。
上記説明したように、本実施の形態においては、部品供給部4のフィーダベース16aに清掃用部材フィーダ5Cを装着し、搭載ヘッド9によって清掃用部材22を取り出して保持してディスペンサユニット6の吐出ノズル46と接する位置に移動させ、清掃用部材22に所定パターンの清掃動作を実行させて吐出ノズル46の清掃を行う構成を用いている。これにより、ペーストPの塗布を安定させるために必要とされる保守清掃作業を効率よく適切に行うことができる。
次に、図12を参照して、電子部品実装装置1の制御系の構成を説明する。図12において、電子部品実装装置1の動作制御を行う制御装置50は、基板搬送機構2、Y軸移動テーブル7、X軸移動テーブル8、搭載ヘッド9よりなる部品実装機構11、部品供給部4に配設されたテープフィーダ5、ディスペンサユニット6に接続されている。部品供給部4には、テープフィーダ5として図3,図4に示すパーツフィーダ5A、計測用部材フィーダ5B、清掃用部材フィーダ5Cが装着されている。
制御装置50は、制御処理部51、記憶部52、認識処理部53、判定処理部54を備えている。さらに制御処理部51は、実装制御部51a、塗布量調整部51b、塗布位置修正部51c、清掃実行処理部51dを含む各種の処理機能を有している。制御処理部51の各部が記憶部52に記憶されたデータに基づいて基板搬送機構2、部品実装機構11、部品供給部4の各部を制御することにより、電子部品実装装置1による部品実装作業などの各種の作業処理が実行される。
認識処理部53は、基板認識カメラ12、部品認識カメラ13による撮像結果を認識処理する。前述のように部品認識カメラ13および認識処理部53は、電子部品20や計測用部材21に塗布されたペーストPを認識する認識部となっており、この認識部による認識結果に基づいて、塗布量調整部51b、塗布位置修正部51c、清掃実行処理部51dによる処理が実行されるようになっている。判定処理部54は、認識処理部53による認識結果に基づき、電子部品20や計測用部材21に塗布されたペーストPの塗布量、塗布位置が許容範囲として規定された所定範囲内であるか否かの判定を行う。
記憶部52には、実装データ52a、ノズル高さ位置データ52b、塗布量調整パラメータ52c、位置決め制御パラメータ52f、清掃動作パラメータ52g、判定閾値データ52hを含む各種のデータが記憶されている。実装データ52aは、基板3に実装される電子部品20に関する部品データや、基板3における電子部品20の実装位置を示す実装座標データ、実装順序を示すシーケンスデータなどを含むデータである。
ノズル高さ位置データ52bは、部品実装作業において、部品供給部4から吸着ノズル10によって電子部品20を保持して取り出した搭載ヘッド9が移動する過程における吸着ノズル10の高さ位置を規定するデータである(図13参照)。すなわちノズル高さ位置データ52bにおいては、搭載ヘッド9において電子部品20を保持する吸着ノズル10の高さ位置に関する情報であって、第1の高さ、第2の高さ、第3の高さおよび第4の高さを少なくとも含む高さ情報が記憶される。実装制御部51aが、実装データ52a、ノズル高さ位置データ52bに基づいて部品実装機構11を制御することにより、図14、図15に示す電子部品実装処理が実行される。
塗布量調整パラメータ52cは、ディスペンサユニット6によって塗布されるペーストPの塗布量に関するパラメータであり、ここではバルブ開放時間52d、エア圧力52eのうち少なくとも1つを含んで設定されている。バルブ開放時間52dは、シリンジ32内にエアを供給してペーストPに圧力を加えるために、バルブユニット34においてバルブを開放する時間の長さを規定する。エア圧力52eはシリンジ32内に供給されてペーストPに加えられるエアの圧力であり、レギュレータ35を調整することにより規定される。
塗布量調整部51bは、認識部によるディスペンサユニット6によるペーストPの単一ショットにおける塗布量の認識結果に基づいて、単一ショットにおける塗布量を調整する。ここでは、単一ショットのペーストの塗布量に関するパラメータ(バルブ開放時間52d、エア圧力52eのうち少なくとも1つ)を調整することにより、塗布量を調整するようにしている。すなわち図10(c)に示す認識処理の結果(ペーストPnの塗布面積[Sn])に基づき、塗布量に関するパラメータを調整する。
位置決め制御パラメータ52fは、電子部品20に塗布されるペーストPの塗布位置(ディスペンサユニット6に対する搭載ヘッド9の相対位置)を位置決めするためのマシンパラメータである。すなわち搭載ヘッド9をディスペンサユニット6に対して水平方向に移動させる際のY軸移動テーブル7、X軸移動テーブル8の移動量を規定するマシンパラメータを設定することにより、吸着ノズル10に保持された電子部品20における塗布位置Aをディスペンサユニット6に対して適正に位置合わせすることができる。
そして塗布位置修正部51cは、認識部によるペーストの単一ショットにおける塗布位置の認識結果に基づいて、位置決め制御パラメータ52fを修正する。すなわち、すなわち図10(c)に示す認識処理の結果(ペーストPnの中心Pn(C)と塗布点21bとの位置ずれを示すΔxn、Δyn)に基づき、位置決め制御パラメータ52fを調整する。
清掃動作パラメータ52gは、搭載ヘッド9によって清掃用部材フィーダ5Cから清掃用部材22を取り出して吐出ヘッド部30aの清掃動作を行う際の動作パラメータである。清掃実行処理部51dが、清掃動作パラメータ52gに基づいて部品実装機構11を制御することにより、吐出ヘッド部30aの清掃動作が実行される。
判定閾値データ52hは、電子部品に塗布されたペーストPの塗布量や塗布位置が、予め規定された許容範囲を示す所定範囲内であるか否かを判定するための閾値を示すデータである。本実施の形態では、ペーストPの塗布量や塗布位置が所定範囲外である場合には、計測用部材21を対象としたペーストPの試し塗布を実行するようにしている。そしてこの試し塗布されたペーストPを認識した認識結果に基づいて、塗布量調整部51bによる塗布量調整や塗布位置修正部51cによる塗布位置修正を行うようにしている。
ここで記憶部52に記憶された高さ情報であるノズル高さ位置データ52bに規定された第1の高さ、第2の高さ、第3の高さおよび第4の高さについて、図13を参照して説明する。図13は、搭載ヘッド9によって部品供給部4から電子部品20取り出して基板3に移送する過程における吸着ノズル10の吸着面の高さ(ノズル高さ位置)の変化を示している。
すなわち符号(イ)は、部品供給部4における部品吸着レベルを示す高さレベルL1に吸着ノズル10を下降させて、電子部品20を吸着して保持する保持高さ(第1の高さH1)を示している。この保持高さは、微小な電子部品20Cを吸着ノズル10Cによって保持する場合も同様であり、本実施の形態においては、計測用部材21、清掃用部材22も吸着ノズル10による保持対象となる。以後、保持対象が電子部品20となる場合についてのみ説明する。
符号(ロ)は、電子部品20を吸着して保持した吸着ノズル10を、部品搬送レベルに相当する高さレベルL2に上昇させた移動高さ(第2の高さH2)を示している。また符号(ハ)は、電子部品20を保持した吸着ノズル10を、フィーダベース16aに装着されたディスペンサユニット6の吐出機構30の上方に移動させた後に、吐出ノズル46の頂面46cと電子部品20の塗布面との間の距離dがペーストPを正常に塗布するための適正な距離となる塗布高さ(第3の高さH3)まで下降させた状態を示している。
このとき、電子部品20の厚みが部品種によって異なる場合にあっても、距離dが適正値となるように塗布高さが調整される。さらに、搭載ヘッド9に装着された複数の吸着ノズル10のそれぞれに異なる厚みの電子部品20が保持されている場合にあっても、各電子部品20について適正な距離dが確保されるよう、塗布高さが個別に設定される。
さらに符号(ニ)は、ペースト塗布後の電子部品20を保持した吸着ノズル10を高さレベルL2にて移動させて、ペースト認識のために部品認識カメラ13の上方において認識高さ(第4の高さH4)に位置させた状態を示している。ここに示す例では、認識高さ(第4の高さH4)は移動高さ(第2の高さH2)と同一高さに設定されている。
ノズル高さ位置データ52bにおける複数のノズル高さ位置の相対高さ関係は以下の通りである。まず、フィーダベース16aに装着されたディスペンサユニット6の最上部の位置、すなわち吐出ノズル46の頂面46cは保持高さである第1の高さH1以下となるように設定されている。且つ第1の高さH1は塗布高さである第3の高さH3よりも低く、また第3の高さH3は移動高さである第2の高さH2および第4の高さH4以下となるように設定されている。なお図13に示す例では、塗布高さである第3の高さH3は移動高さである第2の高さH2よりも低く設定された例を示しているが、適正な距離dの設定によっては、第3の高さH3を第2の高さH2と同一高さ位置に設定する場合もあり得る。
上述のノズル高さ位置を搭載ヘッド9の動作との関連で説明すると以下の通りである。まず符号(イ)に示すように、搭載ヘッド9に装着された吸着ノズル10の下端位置を保持高さである第1の高さH1に移動させて電子部品20を保持する。次いで、符号(ロ)に示すように、吸着ノズル10の下端位置を第1の高さH1から移動高さである第2の高さH2に移動させてから、電子部品20をディスペンサユニット6の吐出ノズル46に対応する位置まで水平方向へ移動させる。
次に符号(ハ)に示すように、吸着ノズル10の下端位置を第2の高さH2から塗布高さである第3の高さH3に移動させてから、電子部品20にペーストPを塗布する。このとき搭載ヘッド9は、吐出ノズル46の先端位置である頂面46cと電子部品20との距離が所定の距離dとなるように、電子部品20の位置を第2の高さH2から第3の高さH3へ下げるように動作する。この後、吸着ノズル10の下端位置を第3の高さH3から認識高さである第4の高さH4に移動させてから、搭載ヘッド9を部品認識カメラ13の上方に移動させて電子部品20に塗布されたペーストを認識する。
上述のように、搭載ヘッド9に保持された電子部品20にディスペンサユニット6によってペーストPを塗布する構成において、吐出ノズル46と電子部品20との距離が適正なペースト塗布を確保するための所定の距離dとなるように、搭載ヘッド9を動作させるようにしている。これにより、塗布形状や塗布位置を部品種類に関係なく一定に保つことができ、ペースト塗布結果のばらつきを抑制することができる。
次に図14のフローを参照して、パーツフィーダ5Aから搭載ヘッド9によって電子部品20を取出して基板3に移送搭載する電子部品実装方法について説明する。この電子部品実装方法は、図3に示す電子部品20Aや電子部品20Cなどのように、塗布されたペーストPの許容位置精度が厳しく高精度の塗布位置制御を求められる場合に選択される。
図14において、まず搭載ヘッド9に装着された吸着ノズル10によって電子部品20を保持する(部品保持工程)(ST1)。すなわち図13の符号(イ)に示すように、吸着ノズル10を第1の高さH1に下降させて、パーツフィーダ5Aから電子部品20を吸着保持する。次に、図13の符号(ニ)に示すように、電子部品20を保持した搭載ヘッド9を部品認識カメラ13の上方へ移動させて電子部品20を認識する(部品認識工程)(ST2)。これにより、搭載ヘッド9に保持された状態の電子部品20の位置が検出される(図6参照)。そして以下に説明する(ST3)、(ST8)においては、この位置検出結果に基づいて位置合わせが実行される。
すなわち、部品認識後の搭載ヘッド9をディスペンサユニット6の上方へ移動させて、保持した電子部品20の下面の所定塗布位置(図6(b)に示す塗布位置A参照)をディスペンサユニット6の吐出ノズル46に位置合わせする(位置合わせ工程)(ST3)。次いで、図7(a)に示すように、ディスペンサユニット6を作動させて、保持した電子部品20の所定塗布位置にペーストPを塗布する(塗布工程)(ST4)。
この後、図8(a)に示すように、塗布工程後の搭載ヘッド9を部品認識カメラ13の上方へ移動させて、所定塗布位置に塗布されたペーストPを認識する(ペースト認識工程)(ST5)。ここでは、電子部品20において複数の塗布位置Aに塗布されたペーストPのそれぞれについて塗布量を求める認識処理が認識処理部53によって行われる。次いで、上述のペースト認識工程の認識結果において、電子部品20に塗布されたペーストPの塗布量が所定範囲外であるか否かを判定する(ST6)。この判定処理は、判定処理部54が認識処理部53による認識結果に基づき判定閾値データ52hを参照することにより行われる。
ここで、ペーストPの塗布量が所定範囲外である場合には、当該電子部品20を廃棄ボックス15に廃棄する(ST7)。また(ST6)にてペーストPの塗布量が所定範囲内であると判定されたならば、(ST2)の部品認識工程における部品認識結果に基づいて、電子部品20を基板3に対して位置合わせして搭載する(部品搭載工程)(ST8)。
次に図15のフローを参照して、同様にパーツフィーダ5Aから搭載ヘッド9によって電子部品20を取出して基板3に移送搭載する電子部品実装方法について説明する。この電子部品実装方法は、図3に示す電子部品20Bなどのように、塗布されたペーストPの許容位置精度が緩く、高精度の塗布位置制御を必要としない場合に選択される。
まず図14に示す例と同様に、搭載ヘッド9に装着された吸着ノズル10によって電子部品を保持する(部品保持工程)(ST11)。この後、ペースト塗布前の部品認識を実行することなく、搭載ヘッド9をディスペンサユニット6の上方へ移動させて、保持した電子部品20の下面の所定塗布位置をディスペンサユニット6の吐出ノズル46に位置合わせする(位置合わせ工程)(ST12)。
次いで図14に示す例と同様に、ディスペンサユニット6を作動させて、保持した電子部品20の所定塗布位置にペーストPを塗布する(塗布工程)(ST13)。そして塗布工程後の搭載ヘッド9を部品認識カメラ13の上方へ移動させて、電子部品20および所定塗布位置に塗布されたペーストPを認識する(認識工程)(ST14)。これにより、電子部品20の位置が検出されるとともに、電子部品20に塗布されたペーストPの塗布量が求められる。
次いで、上述の認識工程の認識結果において、電子部品20に塗布されたペーストPの塗布量が所定範囲外であるか否かを判定する(ST15)。ここで、ペーストPの塗布量が所定範囲外である場合には、図14に示す例と同様に、当該電子部品20を廃棄ボックス15に廃棄する(ST16)。
また(ST15)にてペーストPの塗布量が所定範囲内であるならば、(ST14)の認識工程における電子部品20の認識結果に基づいて、電子部品20を基板3に対して位置合わせして搭載する(部品搭載工程)。ここに示す例によれば、認識回数をペースト塗布後の1回のみに限定することができることから、部品実装作業に要する時間を短縮して生産性を向上させることが可能となっている。
上記構成の電子部品実装方法では、電子部品20の下面に接着剤としてのペーストPを供給した後に基板3に搭載する部品実装形態において、電子部品20および電子部品20に塗布されたペーストPを認識した認識結果に基づいて搭載ヘッド9に部品搭載を実行させるようにしている。これにより、ペーストPの塗布量を適正に確保しつつ、電子部品20を高い実装位置精度で効率よく実装することができる。