JP3832622B2 - ダイボンド方法およびダイボンド装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体チップとリードフレームとの付着状態を評価するダイボンドペーストの付着評価方法、ダイボンド方法、およびダイボンド装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、トランジスタ、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integrated circuit)等の半導体素子のアセンブリにおいては、先ずウェハーをダイシングにより所定のサイズの半導体チップとして切断する。そして、切断された半導体チップをリードフレームに固定するために、ダイボンドペーストと呼ばれる導電性接着剤が用いられている。
【0003】
そして、半導体チップをダイボンドペースト上に安定して固定し、なおかつ必要量以上のダイボンドペーストを用いて半導体チップとリードフレームとの導通すべきでない部分が導通するというような不具合を防止するために、種々の方法が採用されている。例えば、(1)厚さが一定のシート状のダイボンドフィルムを用いるという方法、(2)塗布するダイボンドペーストの体積を制御する方法である。
【0004】
上記(1)の方法においては、半導体チップにシート状のダイボンドフィルムを貼り付けることにより、半導体チップをリードフレームに固定する。しかし、この方法においては、厚さが一定のシート状のダイボンドフィルムを用意する必要がありダイボンド材料が高価なものとなるという問題がある。
【0005】
一方、上記(2)の方法は、粘性を有するダイボンドペーストを、リードフレーム内のアイランド(孤島部)におけるチップを固定する領域であるダイパッド上にディスペンサー(dispenser:塗布機)により塗布する方法である。この方法の一例として、例えば特開平10−296158号公報に開示されたダイボンドペーストの塗布方法を挙げることができる。
【0006】
上記公報に開示された塗布方法は、ダイボンドペーストには粘性の低いものがあり、糸引き、液だれなどが発生することによって、塗布する体積にばらつきが生じやすいという問題点に鑑み、ディスペンサーの塗布圧力と塗布時間とを調整することにより塗布するダイボンドペーストの体積を制御する方法である。この方法によれば、リードフレーム内のアイランドに均一な形状にてダイボンドペーストを塗布することができる。
【0007】
そして、上記公報に開示された塗布方法により塗布されたダイボンドペーストは、以下に説明するような手順により、実際にどのような面積で半導体チップの裏面に付着しているかが確認されている。なお、ダイボンドペーストが半導体チップの裏面に付着している面積の半導体チップの面積に対する割合を、以下「濡れ広がり性」と称する。ここで、濡れ広がり性の確認が必要であるのは、濡れ広がり性が不充分であると、ダイボンド工程の後工程であるアセンブリ工程、例えばトランスファーモールド等の封止工程においてチップクラックが生じたり、あるいは、マザーボードに実装するために熱処理を行う際にポップコーン現象と呼ばれるパッケージの変形が生じたり、あるいは、半導体チップがリードフレームから剥離してしまうという不具合が生じるおそれがあるからである。
【0008】
濡れ広がり性の確認においては、先ず、図5に示すように、リードフレーム100内のアイランド200におけるダイパッド300に、塗布圧力と塗布時間(以下、「塗布条件」と称する)とが制御された図示しないディスペンサーにより複数個のダイボンドペースト400…を所定の量だけ塗布する。
【0009】
次に、ダイパッド300に塗布されたダイボンドペースト400…のそれぞれが、均一な半球の形状を成しているかどうかを目視確認する。あるいは、図示しない画像処理装置を用いた画像処理によりリードフレーム100とダイボンドペースト400…との色のコントラストを把握して、ダイボンドペースト400…の形状を確認する。
【0010】
次に、図示しないダイボンド装置のダイボンド荷重を調整した後、図6に示すように、ダミーの半導体チップ500を、ダイボンドペースト400が塗布されたダイパッド300の上にダイボンドする。
【0011】
そして、ダイボンドされたダミーの半導体チップ500をリードフレーム100から垂直方向に引き剥がし、半導体チップ500の裏面にダイボンドペースト400が所定の面積以上に付着しているか否かを目視確認する。あるいは、図示しない画像処理装置を用いて、ダイボンドペースト400の画像とリードフレーム100の画像とを2値化して、2値化された画像のコントラストから半導体チップ500の裏面におけるダイボンドペースト400の付着面積を測定する。
【0012】
上記の濡れ広がり性の確認によりダイボンドペースト400が所定値以上の濡れ広がり性を示している場合には、その際に設定されているディスペンサーの塗布条件およびダイボンドの荷重条件を用いて、それ以降のダイボンドを行う。
【0013】
逆に、上記の濡れ広がり性の確認によりダイボンドペースト400が所定値以上の濡れ広がり性を示していない場合は、所定値以上の濡れ広がり性を示すように、ディスペンサーの塗布条件、あるいはダイボンドの条件を調整する。しかしながら、ダイボンドペースト自体の粘度変化等により、同一の塗布条件でもダイボンドペーストの塗布量は時間経過とともに変化しやすい。
【0014】
また、ダイボンドペースト400が銀粉入りのものである場合は、ダイボンドした半導体チップ500をN2 雰囲気のオーブンで加熱処理してダイボンドペースト400を硬化させた後に、図示しない透過X線装置を用いた画像処理により上記の濡れ広がり性を測定することも行われている。具体的には、透過X線装置によりX線を半導体チップ500上に出射する。このように出射されたX線により、半導体チップ500を介してダイボンドペースト400とリードフレーム100とをX線像化することができる。このダイボンドペースト400のX線像とリードフレーム100のX線像とのコントラストから、半導体チップ500の裏面のダイボンドペースト400の濡れ広がり性を測定することができる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の目視により濡れ広がり性を確認する方法、画像処理装置を用いて2値化を行い濡れ広がり性を測定する方法、およびダイボンドペースト400…が銀粉を含んでいる場合に透過X線装置を用いて濡れ広がり性を測定する方法のいずれも、半導体チップ500をダイパッド300の上に一旦固定し、事後的にダイボンドペースト400の濡れ広がり性の評価を行う方法である。
【0016】
すなわち、ダイボンドペースト400による半導体チップ500とリードフレーム100との付着状態の評価のために半導体チップ500をリードフレーム100の上に固定し、半導体チップ500裏面でのダイボンドペースト400の付着面積を評価する場合には、その半導体チップ500を引き剥がす必要があり、非常に手間がかかるという問題が生じる。
【0017】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、半導体チップとリードフレームとの付着状態の評価を容易に評価することができるダイボンドペーストの付着評価方法、ダイボンド方法、およびダイボンド装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明のダイボンドペーストの付着評価方法は、上記課題を解決するために、半導体チップをリードフレームに固定する前に、リードフレームのダイパッド上に塗布されたダイボンドペーストの体積を測定し、その測定結果に基づいてダイボンドペーストによる半導体チップとリードフレームとの付着状態を評価することを特徴としている。
【0019】
上記の発明によれば、半導体チップをリードフレームに固定する前に、塗布されたダイボンドペーストの体積を測定することにより、ダイボンドペーストによる半導体チップとリードフレームとの付着状態を評価する。
【0020】
したがって、従来の付着状態の評価のために必要とされていた、半導体チップをリードフレームに固定する作業とその後の作業とを省略することができる。さらに、半導体チップを障害にすることなく、塗布したダイボンドペーストの体積を直接測定することができ、測定の信頼性が向上する。
【0021】
これにより、半導体チップとリードフレームとの付着状態の評価を容易に行うことができる。
【0022】
また、本発明のダイボンドペーストの付着評価方法は、上記課題を解決するために、上記のダイボンドペーストの付着評価方法において、リードフレームのダイパッド上に塗布されたダイボンドペーストの体積を測定することにより、ダイボンドペーストの半導体チップへの濡れ広がり性を予測することを特徴としている。
【0023】
すなわち、本発明者においては、塗布されたダイボンドペーストの体積と、ダイボンドペーストの濡れ広がり性との関係を検証し、それら2つの物性値の関係が良好な線型性を示すことを確認した。その結果、塗布された体積を直接的に測定することにより、濡れ広がり性を評価することができることを確認した。
【0024】
また、濡れ広がり性と、リードフレームと半導体チップとの固定状態とはもともと相関関係がある。すなわち、塗布されたダイボンドペーストの体積から、リードフレームと半導体チップとの固定状態を知ることができる。
【0025】
これにより、半導体チップをリードフレームに固定する前に、リードフレームと半導体チップとの固定状態を知ることができる。
【0026】
また、本発明のダイボンドペーストの付着評価方法は、上記課題を解決するために、上記のいずれかのダイボンドペーストの付着評価方法において、塗布されたダイボンドペーストの体積をレーザ変位測定器により測定することを特徴としている。
【0027】
上記の発明によれば、レーザ変位測定器により、ダイボンドペーストの体積を測定する。
【0028】
レーザ変位測定器によれば、ダイボンドペーストの体積を容易に測定できるとともに、精度良く体積を測定することができる。
【0029】
また、リードフレームに半導体チップを最適に固定するダイボンドペーストの濡れ広がり性に基づいて、その最適な濡れ広がり性を与えるダイボンドペーストの塗布体積をより的確に把握することができる。
【0030】
これにより、その最適なダイボンドペーストの塗布体積をディスペンサーにフィードバックし塗布条件を調整することで、より効率的なダイボンドを行うことが可能となる。
【0031】
また、本発明のダイボンド方法は、上記課題を解決するために、上記のいずれかのダイボンドペーストの付着評価方法による評価に基づいて、ダイボンドペーストの塗布条件を設定してダイボンドを行うことを特徴としている。
【0032】
上記の発明によれば、ダイボンドペーストの付着評価方法による評価に基づいて、ダイボンドペーストの塗布条件を設定する。
【0033】
すなわち、一旦良好なダイボンドペーストの付着状態を得た後は、その付着状態を得ることができる塗布条件を設定してダイボンドを自動で行うので、良好な付着状態を維持することができる。
【0034】
これにより、良好なダイボンドペーストの付着状態を維持してダイボンドを容易に行うことができる。
【0035】
また、本発明のダイボンド方法は、上記課題を解決するために、上記のダイボンド方法において、予め設定したロット数毎にダイボンドペーストの付着状態の評価を行うとともに、ロットの付着状態の評価に基づいて上記ロット数を変更することを特徴としている。
【0036】
上記の発明によれば、付着状態の評価に基づいて付着状態の評価を行うダイボンドペーストのロット数を変更する。
【0037】
例えば、良好な付着状態を得ていないと評価した場合には、付着状態の評価を行うダイボンドペーストのロット数を少なくする。すなわち、付着状態を評価する頻度を高くすることにより、塗布条件を確認する機会を増やし、良好な付着状態を短時間にて得ることができる。
【0038】
一方、良好な付着状態を得ていると評価した場合には、付着状態の評価を行うダイボンドペーストのロット数を増やす。すなわち、付着状態を評価する頻度を低くすることにより、付着状態の評価に要する工数を低減することができる。
【0039】
これにより、より効率的にダイボンド工程の工程管理を行うことができる。
【0040】
また、本発明のダイボンド装置は、上記課題を解決するために、上記のいずれかのダイボンド方法を用いることを特徴としている。
【0041】
上記の発明によれば、良好なダイボンドペーストの付着状態のダイボンドを容易に維持することができ、より効率的にダイボンド工程の工程管理を行うことが可能となる。
【0042】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について添付する図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0043】
図示しない半導体素子のアセンブリ工程では、先ず、図示しないウェハーをダイシングし、所定のサイズに切断する。次に、図3に示すように、この所定のサイズに切断された半導体チップ5をリードフレーム1のアイランド2におけるダイパッド3に固定する前に、図2に示すように、ダイボンドペースト4…をリードフレーム1のアイランド2におけるダイパッド3上に塗布する。ここで、ダイパッド3上に塗布するダイボンドペースト4…の量は、以下の(ステップ1)〜(ステップ5)を踏むことにより決定される。
【0044】
(ステップ1)ダイボンドペースト4…の入ったディスペンサーのノズルから塗布したペーストの形状がリードフレーム1上のダイパッド3に均一に塗布されることを確認する。なお、ここで用いるディスペンサーは、上記した特開平10−296158号公報に記載されているような、塗布圧力と塗布時間とを調整することによりダイボンドペースト4…の体積を制御することができるディスペンサーを用いる。
【0045】
また、ダイボンドペースト4…は、導電性の充填剤および有機溶剤を含むものを用いる。以下の表1に、本実施の形態で用いるダイボンドペースト4…の主成分とその割合を示す。併せて、ダイボンドペースト4…を加熱硬化する際の硬化条件の一例を示す。
【0046】
【表1】
【0047】
(ステップ2)リードフレーム1上のダイパッド3に塗布されたダイボンドペースト4…の分布と付着状態とを確認するため、図1に示すように、レーザ変位測定器6を用いて、ステージ7に載置されたリードフレーム1における所定の計測域を格子状に数μm間隔でスキャンニングする。なお、このスキャンニングにおいては、レーザ変位測定器6とリードフレーム1とは非接触状態でスキャンニングされる。
【0048】
スキャンニングされた情報は、CCD(Charge Coupled Device) センサ8と画像処理装置9とにより、画像モニター10において画像化される。この画像モニター10における画像から、ダイパッド3の表面に塗布されたダイボンドペースト4…の凹凸を計測する。なお、以下の表2に、本実施の形態で用いるレーザ変位測定器6の仕様を示す。
【0049】
【表2】
【0050】
また、レーザ変位測定器6は、被測定物、すなわちダイボンドペースト4…に対してレーザ光を照射するとともに、該レーザ光がダイボンドペースト4…の表面で反射した散乱光を受光することにより、後述するようにダイボンドペースト4…の寸法、体積等の物性値を測定することができる。
【0051】
(ステップ3)上記ステップ2におけるレーザ変位測定器6における測定において、ディスペンサーのノズルからリードフレーム1のダイパッド3内に塗布された個々のダイボンドペースト4…の縦、横、高さの寸法を測定する。さらに、個々のダイボンドペースト4…の体積も測定する。
【0052】
(ステップ4)上記のように測定されたダイボンドペースト4…の体積と、予め設定されているダイボンドペースト4…の最適体積とを比較する。なお、ダイボンドペースト4…の最適体積は、ダイパッド3上に固定される半導体チップ5の面積に基づいて予め決定されるものである。
【0053】
(ステップ5)レーザ変位測定器6の測定されたダイボンドペースト4…の体積と、予め設定されたダイボンドペースト4…の最適体積とに差がある場合は、図示しない制御器からディスペンサーへ、塗布するダイボンドペースト4…の体積の増減の指示を与える。ディスペンサーは、与えられた指示に基づき、塗布条件を調整することにより、塗布するダイボンドペースト4…の体積が最適体積に近づくように制御する。
【0054】
上記の(ステップ1)〜(ステップ5)により、ダイパッド3上に塗布するダイボンドペースト4…の塗布量が決定される。
【0055】
次に、ダイボンドペースト4…を塗布する際に、その塗布量を上記のように決定された塗布量にて安定化させるための方法について説明する。
【0056】
上記の塗布量を安定化させるための方法については、▲1▼ダイボンドペーストの塗布に際しての塗布条件の決定、▲2▼ダイボンド作業の実施に分けて説明する。
【0057】
▲1▼ダイボンドペーストの塗布に際しての塗布条件の決定
まず、ディスペンサーの塗布圧力と塗布時間(塗布条件)とを仮決定し、その塗布条件でダイボンドペースト4…を塗布し、その体積を計測する。その後、半導体チップ5をダイボンドし、濡れ広がり性を後述する実施例のように計測する。
【0058】
塗布されたダイボンドペースト4の濡れ広がり性が管理幅内である場合は、仮決定したものと同じ塗布条件で、当面のディスペンサーの塗布条件を設定する。一方、塗布されたダイボンドペースト4の濡れ広がり性が管理幅外である場合は、塗布条件の仮決定から再度実施し、ダイボンドペースト4の濡れ広がり性が管理幅に納まるようにする。
【0059】
▲2▼ダイボンド作業の実施
先ず、半導体チップ5のサイズに対応して、塗布すべきダイボンドペースト4…の塗布量を特定する。この塗布量にて塗布を行うように、当面のディスペンサーの塗布条件を設定する。
【0060】
そして、個々のダイボンドペースト4…を塗布したのちに、ダイボンドペースト4…の塗布量を計測し、設定した塗布量と個々に計測した塗布量とを比較する。
【0061】
計測した塗布量が設定した塗布量の管理幅内であれば、このとき設定されている塗布条件でダイボンドを継続する。
【0062】
一方、計測した塗布量が設定した塗布量の管理幅外であれば、ディスペンサーの塗布条件の再調整を行う。そして、再調整された塗布条件にて塗布されたダイボンドペースト4…の塗布量を計測し、計測された塗布量が管理幅内に納まるようにする。
【0063】
上記のように、▲1▼ダイボンドペーストの塗布に際しての塗布条件の決定と、▲2▼ダイボンド作業の実施とを行うことにより、ダイボンドペースト4…の塗布量を安定化することができる。
【0064】
このように、本実施の形態のダイボンドペースト4…の付着評価方法は、半導体チップ5をリードフレーム1に固定する前に、リードフレーム1のダイパッド3上に塗布されたダイボンドペースト4…の体積を測定し、その測定結果に基づいてダイボンドペースト4による半導体チップ5とリードフレーム1との付着状態を評価する方法である。
【0065】
したがって、塗布されたダイボンドペースト4…の体積を測定することにより、従来の付着状態の評価のために必要とされていた、半導体チップ5をリードフレーム1に固定する作業とその後の作業とを省略することができる。さらに、半導体チップ5を障害にすることなく、塗布したダイボンドペースト4…の体積を直接測定することができ、測定の信頼性が向上する。
【0066】
よって、半導体チップ5とリードフレーム1との付着状態の評価を容易に行うことができる。
【0067】
また、本実施の形態のダイボンドペースト4…の付着評価方法は、上記のダイボンドペースト4…の付着評価方法において、リードフレーム1のダイパッド3上に塗布されたダイボンドペースト4…の体積を測定することにより、ダイボンドペースト4の半導体チップ5への濡れ広がり性を予測する方法である。
【0068】
したがって、塗布されたダイボンドペースト4…の体積から、リードフレーム1と半導体チップ5との固定状態を知ることができる。
【0069】
よって、半導体チップ5をリードフレーム1に固定する前に、リードフレーム1と半導体チップ5との固定状態を知ることができる。
【0070】
また、本実施の形態のダイボンドペースト4…の付着評価方法は、上記のいずれかのダイボンドペースト4…の付着評価方法において、塗布されたダイボンドペースト4…の体積をレーザ変位測定器6により測定する方法である。
【0071】
よって、ダイボンドペースト4…の体積を容易に測定できるとともに、精度良く体積を測定することができる。
【0072】
また、リードフレーム1に半導体チップ5を最適に固定するダイボンドペースト4の濡れ広がり性に基づいて、その最適な濡れ広がり性を与えるダイボンドペースト4…の塗布体積をより的確に把握することができる。
【0073】
よって、その最適なダイボンドペースト4…の塗布体積をディスペンサーにフィードバックし塗布条件を調整することで、より効率的なダイボンドを行うことができる。
【0074】
また、本実施の形態のダイボンド方法は、上記のいずれかのダイボンドペースト4…の付着評価方法による評価に基づいて、ダイボンドペースト4…の塗布条件を設定してダイボンドを行う方法である。
【0075】
よって、一旦良好なダイボンドペースト4…の付着状態を得た後は、その付着状態を得ることができる塗布条件にてダイボンドを自動で行うので、良好な付着状態を維持することができる。
【0076】
これにより、良好なダイボンドペースト4…の付着状態を維持してダイボンドを容易に行うことができる。
【0077】
また、本実施の形態のダイボンド方法は、上記のダイボンド方法において、予め設定したロット数毎にダイボンドペースト4…の付着状態の評価を行うとともに、ロットの付着状態の評価に基づいて上記ロット数を変更する方法である。
【0078】
例えば、良好な付着状態を得ていないと評価した場合には、付着状態の評価を行うダイボンドペースト4…のロット数を少なくする。すなわち、付着状態を評価する頻度を高くすることにより、塗布条件を確認する機会を増やし、良好な付着状態を短時間にて得ることができる。
【0079】
一方、良好な付着状態を得ていると評価した場合には、付着状態の評価を行うダイボンドペースト4…のロット数を増やす。すなわち、付着状態を評価する頻度を低くすることにより、付着状態の評価に要する工数を低減することができる。
【0080】
よって、より効率的にダイボンド工程の工程管理を行うことができる。
【0081】
また、本実施の形態の図示しないダイボンド装置は、上記のいずれかのダイボンド方法を用いるものである。
【0082】
よって、良好なダイボンドペースト4…の付着状態のダイボンドを容易に維持することができ、より効率的にダイボンド工程の工程管理を行うことができる。
【0083】
なお、本実施の形態においては、後述するようにダイボンド後の濡れ体積の測定が、ダイボンドペースト4…による半導体チップ5とリードフレーム1との付着状態の評価へ適応可能であるか否かの評価を行ったが、ダイボンドペースト4の他の物性値を用いて評価を行うことも可能である。例えば、リードフレーム1とダイボンドペースト4との固着力や、ダイボンドペースト4…の重量を、半導体チップ5をリードフレーム1に固定する前に測定することにより、ダイボンドペースト4…による半導体チップ5とリードフレーム1との付着状態の評価を行ってもよい。
【0084】
また、本発明のダイボンドペーストの付着評価方法は、ダイボンド工程でのダイボンドペーストの塗布に際して、レーザ変位測定器を用いて平面スキャンを行い、その測定結果からぺーストの塗布体積、塗布面積、塗布高さを計算して、ダイボンドペーストの付着状態を判断する方法である。
【0085】
上記の方法によれば、レーザ変位測定器で塗布されたぺーストを2次元的にスキャンすることにより、塗布されたペーストの体積が計算できる。
【0086】
したがって、人手で目視にて判断するよりも精確で高速な処理ができる。また、スキャン自体の高速化も測定系のソフトおよびハードの改良で、今後さらに高速化が可能であるという効果を奏する。
【0087】
さらに、条件出しからアセンブリ完了までを全自動にもできるので、ダイボンド工程のシステムトータルとしての高速化の要求に応えられる。
【0088】
それゆえ、塗布するダイボンドペースト4の量を設定することにより、アセンブリ工程を低コストで安定的に行い、レーザ変位測定器で塗布されたぺーストの体積、平面積、高さを求めて最適な塗布条件を判定することができるという効果を奏する。
【0089】
また、本発明のダイボンド方法は、レーザ変位測定器をダイボンド装置に装着し、ダイボンドを自動で行う方法である。
【0090】
上記のダイボンド方法によれば、塗布条件を一旦決めておいて、その後は一々チェックせずに同じ条件で生産を行うことができる。
【0091】
それゆえ、量産に於いて、簡便な方式で適正条件を決定できるとともに、人手を介さず高速に処理ができるという効果を奏する。
【0092】
また、本発明のダイボンド方法は、レーザ変位測定器を備えたダイボンド装置を用いて、ダイボンドペーストの塗布条件を複数個単位で(ロット単位で)条件出しを行う方法である。
【0093】
上記のダイボンド方法によれば、ばらつきの大きいぺーストの塗布工程において、条件出しを一々チェックした結果が、連続してその都度条件変更の必要が無いと判断できたときには、その条件が安定した条件であると判定できるし、以後のチェックを間引きチェックができ、ひいてはトータルの生産工数が削減できる。
【0094】
それゆえ、効率的な工程管理ができるという効果を奏する。
【0095】
【実施例】
本発明におけるダイボンドペーストの付着評価方法について、半導体チップとリードフレームとの付着状態の評価へ適応可能であるか否かの検証を行ったので説明する。
【0096】
すなわち、本実施例においては、表3に示すような条件を用いてダイボンドを行い、表4に示すような測定結果を得た。そして、表4に示すような測定結果から、レーザ変位測定器6によるダイボンドペースト4…の付着状態の評価が、半導体チップ5とリードフレーム1との付着状態の評価へ適応可能であるか否かの検証を行った。
【0097】
より詳細に説明すれば、本実施例におけるダイボンドでは、表3に示すように、ダイボンドペースト4…の成分としては表1に示したものと同じ成分構成のダイボンドペースト4…を用い、ディスペンサーの塗布圧力としては、0.8 〜2.1 ×10-4Pa(0.09 〜0.21kgf/cm2)とし、リードフレーム1として42アロイ(42 Alloy)を用いた。
【0098】
なお、42アロイとは、従来からMOS(Metal Oxide Semiconductor )デバイス用として主に使用されているFe-Ni 合金系のリードフレーム材料であり、Niを42重量%含み、熱膨張率がSiと近似していることから、リードフレームとして使用されているものである。
【0099】
【表3】
【0100】
上記表3に示した条件により、以下に示す表4のような測定結果を得た。なお、表4においては、ダイボンドペースト4…のサンプル1ないしサンプル5について、ペースト径寸法とペースト高さとを、図示しない測定顕微鏡あるいはレーザ変位測定器6により計った場合のデータを比較する形式で記載している。
【0101】
また、表4において、濡れ広がり性は、上記したように、図3に示す半導体チップ5の面積に対するダイボンドペースト4…の塗布面積の割合を、実測して計算した値である。また、濡れ体積は、レーザ変位測定器6により測定したダイボンドペースト4…の体積である。
【0102】
【表4】
【0103】
表4に示す測定結果におけるサンプル2ないしサンプル5については、図4に示すように、濡れ広がり性と濡れ体積との関係が良好な線型性を示した。すなわち、レーザ変位測定器6により濡れ体積を測定し、濡れ体積に対応する濡れ広がり性を図4に示すグラフから判断することにより、濡れ広がり性を把握することができる。
【0104】
また、濡れ広がり性を把握することにより、ダイボンドペースト4…による半導体チップ5とリードフレーム1との付着状態の評価を十分に行うことができる。
【0105】
したがって、本実施例においては、レーザ変位測定器6によるダイボンドペースト4…の付着状態の評価が、ダイボンドペースト4…による半導体チップ5とリードフレーム1との付着状態の評価へ適応可能であると判断した。
【0106】
【発明の効果】
本発明のダイボンドペーストの付着評価方法は、以上のように、半導体チップをリードフレームに固定する前に、リードフレームのダイパッド上に塗布されたダイボンドペーストの体積を測定し、その測定結果に基づいてダイボンドペーストによる半導体チップとリードフレームとの付着状態を評価する方法である。
【0107】
それゆえ、半導体チップとリードフレームとの付着状態の評価を容易に行うことができるという効果を奏する。
【0108】
本発明のダイボンドペーストの付着評価方法は、以上のように、上記のダイボンドペーストの付着評価方法において、リードフレームのダイパッド上に塗布されたダイボンドペーストの体積を測定することにより、ダイボンドペーストの半導体チップへの濡れ広がり性を予測する方法である。
【0109】
それゆえ、上記のダイボンドペーストの付着評価方法による効果に加えて、半導体チップをリードフレームに固定する前に、リードフレームと半導体チップとの固定状態を知ることができるという効果を奏する。
【0110】
本発明のダイボンドペーストの付着評価方法は、以上のように、上記のいずれかのダイボンドペーストの付着評価方法において、塗布されたダイボンドペーストの体積をレーザ変位測定器により測定する方法である。
【0111】
それゆえ、上記のダイボンドペーストの付着評価方法による効果に加えて、最適なダイボンドペーストの体積をディスペンサーにフィードバックし、より効率的なダイボンドを行うことが可能という効果を奏する。
【0112】
本発明のダイボンド方法は、以上のように、上記のいずれかのダイボンドペーストの付着評価方法による評価に基づいて、ダイボンドペーストの塗布条件を設定してダイボンドを行う方法である。
【0113】
それゆえ、上記のダイボンドペーストの付着評価方法による効果に加えて、良好なダイボンドペーストの付着状態を維持してダイボンドを容易に行うことができるという効果を奏する。
【0114】
本発明のダイボンド方法は、以上のように、予め設定したロット数毎にダイボンドペーストの付着状態の評価を行うとともに、ロットの付着状態の評価に基づいて上記ロット数を変更する方法である。
【0115】
それゆえ、上記のダイボンド方法の効果に加えて、より効率的にダイボンド工程の工程管理を行うことができるという効果を奏する。
【0116】
本発明のダイボンド装置は、以上のように、上記のいずれかのダイボンド方法を用いるものである。
【0117】
それゆえ、上記のダイボンド方法による効果に加えて、良好なダイボンドペーストの付着状態のダイボンドを容易に維持することができ、より効率的にダイボンド工程の工程管理を行うことが可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるダイボンドペーストの付着評価方法の実施の一形態を説明するための構成図である。
【図2】上記ダイボンドペーストの付着評価方法に用いるリードフレームにダイボンドペーストを塗布した状態を示す平面図である。
【図3】上記ダイボンドペーストの付着評価方法に用いるリードフレームにダイボンドペーストにより半導体チップを固定した状態を示す平面図である。
【図4】上記ダイボンドペーストの付着評価方法における濡れ広がり性と濡れ体積との関係を示すグラフである。
【図5】従来のダイボンドペーストの付着評価方法に用いるリードフレームにダイボンドペーストを塗布した状態を示す平面図である。
【図6】従来のダイボンドペーストの付着評価方法に用いるリードフレームにダイボンドペーストにより半導体チップを固定した状態を示す平面図である。
【符号の説明】
1 リードフレーム
3 ダイパッド
4 ダイボンドペースト
5 半導体チップ
6 レーザ変位測定器
Claims (4)
- 半導体チップをリードフレームに固定する前に、リードフレームのダイパッド上に塗布されたダイボンドペーストの体積を測定することにより、ダイボンドペーストの半導体チップへの濡れ広がり性を、該濡れ広がり性と上記ダイパッド上に塗布されたダイボンドペーストの体積とが示す線型関係に基づいて予測し、ダイボンドペーストによる半導体チップとリードフレームとの付着状態を評価するダイボンドペーストの付着評価方法による評価に基づいて、半導体チップをリードフレームに最適に固定するダイボンドペーストの濡れ広がり性を与えるダイボンドペーストの最適な塗布体積を求め、その最適な塗布体積をダイボンドペーストのディスペンサーにフィードバックしダイボンドペーストの塗布条件を設定してダイボンドを行うことを特徴とするダイボンド方法。
- リードフレームのダイパッド上に塗布されたダイボンドペーストの体積をレーザ変位測定器により測定することを特徴とする請求項1に記載のダイボンド方法。
- 予め設定したロット数毎にダイボンドペーストの付着状態の評価を行うとともに、ロットの付着状態の評価に基づいて上記ロット数を変更することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のダイボンド方法。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のダイボンド方法を用いるダイボンド装置。
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