以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
以下に、本発明にかかる電子部品実装装置、電子部品実装システム及び電子部品実装方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。図1は、電子部品実装装置の概略構成を示す模式図である。
図1に示す電子部品実装装置10は、基板8の上に電子部品を搭載する装置である。電子部品実装装置10は、筐体11と、基板搬送部12と、部品供給ユニット14f、14rと、ヘッド15と、XY移動機構16と、VCSユニット17と、交換ノズル保持機構18と、部品貯留部19と、制御装置20と、操作部40と、表示部42と、を有する。なお、XY移動機構16は、X軸駆動部22と、Y軸駆動部24と、を備える。ここで、本実施形態の電子部品実装装置10は、図1に示すように、基板搬送部12を中心にしてフロント側とリア側に部品供給ユニット14f、14rを備える。電子部品実装装置10は、部品供給ユニット14fが電子部品実装装置10のフロント側に配置され、部品供給ユニット14rが電子部品実装装置10のリア側に配置される。また、以下では、2つの部品供給ユニット14f、14rを特に区別しない場合、部品供給ユニット14とする。
図2は、電子部品実装装置の筐体の概略構成を示す斜視図である。筐体11は、図2に示すように、本体11aとカバー11bf、11brと、を有する。本体11aは、電子部品実装装置10を構成する各部を収納する箱である。本体11aは、フロント側に、カバー11bfとフロント側の部品供給ユニット14fと操作部40と表示部42とが配置され、リア側に、カバー11brが形成されている。なお、本体11aのリア側にはリア側の部品供給ユニット14rも配置されている。また、電子部品実装装置10は、リア側にも沿うサブ40と表示部42とを配置してもよい。本体11aは、2つの側面にそれぞれ基板8を装置内に搬入し、排出する2つの開口11cが形成されている。
本実施形態の操作部40は、キーボード40aとボタン40bとを有する。本実施形態の表示部42は、液晶パネル等の画像を表示する装置である。
カバー11bfは、本体11aのフロント側の一部に設けられた囲いであり、鉛直方向上側に配置されている。カバー11brは、本体11aのリア側の一部に設けられた囲いであり、鉛直方向上側に配置されている。カバー11bf、11brは、本体11aの正面または背面の一部と上面の一部を覆う形状であり断面がLとなる。カバー11bは、図4に示すように、本体11aに対して開閉することができる。カバー11bf、11brが開状態となることで、本体11aの内部に配置された各部に対する作業を行うことができる。カバー11bf、11brは、上面の先端が本体11aに連結されており、連結部分を支点にして回動する。
図1に戻り、電子部品実装装置10の説明を続ける。基板8は、電子部品を搭載する部材であればよく、その構成は特に限定されない。本実施形態の基板8は、板状部材であり、表面に配線パターンが設けられている。基板8に設けられた配線パターンの表面には、リフローによって板状部材の配線パターンと電子部品とを接合する接合部材であるはんだが付着している。また、基板8には、電子部品が挿入されるスルーホール(挿入穴、基板孔)も形成されている。
基板搬送部12は、基板8を図中X軸方向に搬送する搬送機構である。基板搬送部12は、X軸方向に延在するレールと、基板8を支持し、基板8をレールに沿って移動させる搬送機構とを有する。基板搬送部12は、基板8の搭載対象面がヘッド15と対面する向きで、基板8を搬送機構によりレールに沿って移動させることで基板8をX軸方向に搬送する。基板搬送部12は、電子部品実装装置10に供給する機器から供給された基板8を、レール上の所定位置まで搬送する。ヘッド15は、前記所定位置で、電子部品を基板8の表面に搭載する。基板搬送部12は、前記所定位置まで搬送した基板8上に電子部品が搭載されたら、基板8を、次の工程を行う装置に搬送する。なお、基板搬送部12の搬送機構としては、種々の構成を用いることができる。例えば、基板8の搬送方向に沿って配置されたレールと前記レールに沿って回転するエンドレスベルトとを組合せ、前記エンドレスベルトに基板8を搭載した状態で搬送する、搬送機構を一体としたベルト方式の搬送機構を用いることができる。
電子部品実装装置10は、フロント側に部品供給ユニット14fが配置され、リア側に部品供給ユニット14rが配置されている。フロント側の部品供給ユニット14fと、リア側の部品供給ユニット14rは、それぞれ基板8上に搭載する電子部品を多数保持し、ヘッド15に供給可能、つまり、ヘッド15で保持(吸着または把持)可能な状態で保持位置に供給する電子部品供給装置を備える。
フロント側の部品供給ユニット14fは、電子部品が収納されたトレイをヘッドに供給可能な状態で保持位置に供給する電子部品供給装置100を備える。なお、本実施形態のフロント側の部品供給ユニット14fは、1つの電子部品供給装置100を有する構成であり、1つの電子部品供給装置100が部品供給ユニット14fとなる。
以下、図3から図13を用いて電子部品供給装置100について説明する。図3は、図2に示す電子部品供給装置の概略構成を示す斜視図である。図4は、図2に示す電子部品供給装置の概略構成を示す他の斜視図である。図5は、図2に示す電子部品供給装置の概略構成を示す正面図である。図6は、電子部品供給装置の概略構成を示す上面図である。図7は、第2トレイ搬送部の概略構成を示す部分斜視図である。図8は、第2トレイ搬送部の概略構成を示す部分斜視図である。図9は、第1トレイ搬送部の概略構成を示す部分斜視図である。図10は、トレイ検出センサの概略構成を示す上面図である。図11は、電子部品供給装置の動作を説明するための説明図である。図12は、トレイ保持機構の固定部の概略構成を示す上面図である。図13は、トレイ保持機構の動作を説明するための説明図である。
電子部品供給装置100は、図3から図5に示すように、筐体102と、第1スタッカ保持搬送機構104と、第2スタッカ保持搬送機構106と、トレイ搬送機構108と、を有する。筐体102は、第1スタッカ保持搬送機構104と、第2スタッカ保持搬送機構106と、を内部に収納する箱である。筐体102には、開閉可能な扉102aが設けられており、扉102aを開くことで、第1スタッカ保持搬送機構104と第2スタッカ保持搬送機構106とを露出させることができ、第1スタッカ保持搬送機構104と第2スタッカ保持搬送機構106に対する作業ができる状態となる。筐体102は、扉102aが設けられている面の反対側の面にトレイ搬送機構108が連結されている。
第1スタッカ保持搬送機構104及び第2スタッカ保持搬送機構106は、筐体102の内部に配置されている。図6に示すように、第1スタッカ保持搬送機構104には、第1スタッカユニット110aが装填され、第2スタッカ保持搬送機構106には、第2スタッカユニット110bが装填されている。なお、第1スタッカユニット110a及び第2スタッカユニット110bは、第1スタッカ保持搬送機構104及び第2スタッカ保持搬送機構106に対して着脱可能である。このため、第1スタッカ保持搬送機構104及び第2スタッカ保持搬送機構106に装填された第1スタッカユニット110a及び第2スタッカユニット110bを取り外し、別の第1スタッカユニット110a及び第2スタッカユニット110bを装着することもできる。第1スタッカユニット110a及び第2スタッカユニット110bは、それぞれ複数のトレイを積層して保持している。なお、それぞれのトレイには、複数の電子部品が収納されている。
第1スタッカ保持搬送機構104及び第2スタッカ保持搬送機構106は、第1スタッカユニット110a及び第2スタッカユニット110bを保持する機構と、上下方向に移動させる機構と、を備える。第1スタッカ保持搬送機構104及び第2スタッカ保持搬送機構106は、第1スタッカユニット110a及び第2スタッカユニット110bを上下方向に移動させることで、第1スタッカユニット110a及び第2スタッカユニット110bから取り出すトレイを切り換えることができる。
次に、トレイ搬送機構108は、第1トレイ搬送部112と、第2トレイ搬送部114と、を有する。第1トレイ搬送部112は、第1スタッカ保持搬送機構104が保持する第1スタッカユニット110aが保持するトレイを搬送する機構である。第1トレイ搬送部112は、第1スタッカユニット110aが保持するトレイを第1スタッカユニット110aから取り出し、部品供給領域116に移動させる。また、第1トレイ搬送部112は、部品供給領域116に移動させたトレイを移動させ、第1スタッカユニット110aに戻す。第2トレイ搬送部114は、第2スタッカユニット110bが保持するトレイを第2スタッカユニット110bから取り出し、部品供給領域116に移動させる。また、第2トレイ搬送部114は、部品供給領域116に移動させたトレイを移動させ、第2スタッカユニット110bに戻す。
ここで、第1トレイ搬送部112は、部品供給領域116の図6中左側の領域であるトレイT1の位置(第1供給位置)にトレイを移動させる。第2トレイ搬送部114は、部品供給領域116の図6中右側の領域であるトレイT2の位置(第2供給位置)にトレイを移動させる。ここで、第1トレイ搬送部112が第1スタッカユニット110aのトレイを搬送する領域であるトレイT1の位置(第1供給位置)と、第2トレイ搬送部114が第2スタッカユニット110bのトレイを搬送する領域であるトレイT2の位置(第2供給位置)と、は、一部の領域が重なっている。また、トレイ搬送機構108は、第1トレイ搬送部112と第2トレイ搬送部114とで交互に部品供給領域116にトレイを供給する。これにより、トレイ搬送機構108は、トレイT1とトレイT2が同時に部品供給領域116には供給しない。トレイ搬送機構108によるトレイの搬送動作については後述する。
第1トレイ搬送部112と、第2トレイ搬送部114との各部について説明する。図6から図8を用いて、第2トレイ搬送部114について説明する。第2搬送トレイ114は、トレイ保持機構140と、引き出し機構142と、レールガイド144と、チャックガイド146と、を有する。
トレイ保持機構140は、第2スタッカユニット110bに保持されているトレイを着脱可能な機構で保持するトレイチャックユニットである。トレイ保持機構140は、連結部150、152と、連結部150、152を案内するガイド154と、チャック移動機構156と、を有する。また、トレイ保持機構140は、連結部152、154をガイド154に沿って移動させる駆動部も備えている。
連結部150、152は、第2スタッカユニット110bに保持されているトレイのトレイ連結部190と連結する。連結部150と連結部152とは、ガイド154に沿って直線状に配置されており、互いに離れている側の端部にトレイ連結部190と接触する接触端150a、152aが形成されている。接触端150aとトレイ連結部190とは、接触端150aが凸形状で、トレイ連結部190が凹形状であり、端面の凹凸形状がほぼ一致する。接触端152aとトレイ連結部190とは、接触端152aが凸形状で、トレイ連結部190が凹形状であり、端面の凹凸形状がほぼ一致する。連結部150、152はガイド154に沿って移動し、それぞれの接触端150a、152aがトレイ連結部190とかみ合うことで、トレイと連結する。ガイド154は、棒状の部材であり、連結部150、152が、棒の軸に沿って移動可能な状態で連結されている。
トレイ保持機構140は、駆動部で連結部150、152をガイド154に沿って互いに離れる方向に移動させることで、連結部150、152とトレイ連結部190を連結させ、トレイを保持した状態とする。トレイ保持機構140は、駆動部で連結部150、152をガイド154に沿って互いに近づく方向に移動させることで、連結部150、152がトレイ連結部190から離れ、トレイを開放した状態となる。このように、2つの連結部150、152を中心側からトレイ連結部190に連結させる構成とすることで、トレイの中心とトレイ保持機構140の中心とを合わせやすくすることができる。
チャック移動機構156は、可動部156aと固定部156bとを有する。チャック移動機構156は、固定部156bに対して可動部156aが移動する機構である。固定部156bは、引き出し機構142に固定されている。可動部156aは、連結部150、152とガイド154を支持している。つまり、チャック移動機構156は、引き出し一項142に対して、連結部150、152及びガイド154を移動させる。ここで固定部156bは、直動ガイドであり、棒状の部材である。可動部156aは固定部156bに沿って移動する。従って、チャック移動機構156は、連結部150、152及びガイド154を一方向(後述するが図6中X方向、引き出し機構142の移動方向に直交する方向)に移動させる。チャック移動機構156は、連結部150、152及びガイド154を移動させることで、連結部150、152と連結しているトレイを移動させる。また、トレイ保持機構140は、後述するチャックガイド146と接触するローラー159が固定部156bの端部に設けられている。
引き出し機構142は、トレイ保持機構140は保持したトレイを、第2スタッカユニット110bから部品供給領域116まで搬送する機構であり、部品供給装置116のトレイを第2スタッカユニット110bまで搬送する機構である。引き出し機構142は、レールガイド144に沿って移動する。引き出し機構142は、レールガイド144に沿って移動する引き出し基部160と、引き出し基部160に対して移動する引き出し可動部162とを有する。引き出し基部160は、レールガイド144に沿って、矢印124方向に移動する部材である。引き出し可動部162は、引き出し基部160上でトレイ保持機構140を矢印164方向に移動させる機構である。引き出し機構142は、引き出し基部160を矢印124方向に移動させつつ、引き出し可動部162を移動させることでトレイT2を部品供給領域116の先端側まで移動させることができる。
レールガイド144は、トレイT2の搬送方向、つまり矢印124の方向に沿って配置されている。チャックガイド146は、レールガイド144に沿って配置されており、トレイ保持機構140の固定部156bに対する可動部156aの位置を規制することで、トレイの位置を規制する。具体的には、部品供給領域116に向かうにしたがって、トレイが矢印126方向に移動するように、トレイ及びトレイ保持機構140の位置を規制する。チャックガイド146は、第1ガイド146aと第2ガイド146bとを有する。第1ガイド146aは、部品供給領域116に向かうにしたがって、トレイが矢印126方向に移動するように、トレイ保持機構140の位置を規制する。第2ガイド146bは、部品供給領域116から離れる際に、トレイが矢印126とは反対の方向に移動しすぎないように、トレイ保持機構140の位置を規制する。第2トレイ搬送部114は、以上のような構成である。
次に、第1トレイ搬送部112は、トレイ保持機構130と、引き出し機構132と、レールガイド134と、チャックガイド136と、を有する。第1トレイ搬送部112は、トレイ保持機構130と、レールガイド134の向きを除いて、第2トレイ搬送部114の各部と同様の構成である。第2トレイ搬送部114の各部と同様の構成には同様の符合を付して説明を省略し、以下、第1トレイ搬送部112に特有の構成を説明する。
トレイ保持機構130は、連結部150、152と、連結部150、152を案内するガイド154と、チャック移動機構170と、ローラー159と、を有する。チャック移動機構170は、可動部170aと固定部170bと、を有する。チャック移動機構170は、固定部170bに対して可動部170aが矢印122方向、つまりθ方向(Z軸に回り)に回転する。チャックガイド136は、第1ガイド136aと第2ガイド136bとで構成され、チャック移動機構170の可動部170aのX方向の位置を規制する。また、レールガイド134は、レールガイド144に対して傾斜している。具体的には、Y方向に対して所定角度傾斜している。第1トレイ搬送部112は、トレイ保持機構130でトレイを保持して矢印120方向に移動させつつ、矢印122方向に回転させることで、第1スタッカユニット110aのトレイを部品供給領域116のトレイT1の位置に移動させることができる。
また、トレイ搬送機構108は、第1トレイ搬送部112の移動経路上にトレイ検出センサ180が配置され、第2トレイ搬送部114の移動経路上にトレイ検出センサ180が配置されている。トレイ検出センサ180は、第1トレイ搬送部112、第2トレイ搬送部114で移動されるトレイが第1スタッカユニット110a、第2スタッカユニット110b側の所定の位置まで到達したことを検出するセンサである。トレイ検出センサ180としては測定位置に対象物があるか否かを検出する光学センサを用いることができる。
次に、図11から図13を用いてトレイ搬送機構108の動作について説明する。トレイ搬送機構108は、ステップS11に示すように、第2スタッカ保持搬送機構106の待機位置P1にトレイT2が配置され、第1スタッカ保持搬送機構104の待機位置P2にトレイT1が配置されている。
トレイ搬送機構108は、ステップS11に示す状態から、第2スタッカ保持搬送機構106の待機位置P1にあるトレイT2を第2トレイ搬送部114で部品供給領域116に向けて搬送を行う。トレイ搬送機構108は、第2トレイ搬送部114で部品供給領域116に向けて搬送を行うと、ステップS12に示すように、移動経路に沿って、トレイT2が移動され、ステップS13に示すように、部品供給領域116(部品供給領域116の第1供給位置)まで移動される。部品供給領域116まで移動されたトレイT2は収納している電子部品がヘッド15に保持され、基板に実装される。
その後、トレイT2に収納された電子部品の実装が終了したら、トレイ搬送機構108は、第2トレイ搬送部114でトレイT2を待機位置180まで戻す操作を行う。これにより、トレイ搬送機構108は、ステップS14に示すように、トレイT2を待機位置P1まで移動させることができる。
トレイ搬送機構108は、ステップS14に示す状態から、第1スタッカ保持搬送機構104の待機位置P2にあるトレイT1を第1トレイ搬送部112で部品供給領域116に向けて搬送を行う。トレイ搬送機構108は、第1トレイ搬送部112で部品供給領域116に向けて搬送を行うと、ステップS15に示すように、移動経路に沿って、トレイT1が移動され、ステップS16に示すように、部品供給領域116(部品供給領域116の第2供給位置)まで移動される。部品供給領域116まで移動されたトレイT1は収納している電子部品がヘッド15に保持され、基板に実装される。
その後、トレイT1に収納された電子部品の実装が終了したら、トレイ搬送機構108は、第1トレイ搬送部112でトレイT1を待機位置182まで戻す操作を行う。これにより、トレイ搬送機構108は、ステップS11に示すように、トレイT2を待機位置P1まで移動させることができる。
このようにトレイ搬送機構108は、ステップS11からステップS16までの処理を繰り返すことで、第1スタッカユニット110aのトレイと第2スタッカユニット110bのトレイとを交互に部品供給領域116に供給することができる。なお、電子部品供給装置100は、第1スタッカユニット110aと第2スタッカユニット110bとを第1スタッカ保持搬送機構104と第2スタッカ保持搬送機構106とで移動させることで、部品供給領域116に供給するトレイを毎回異なるトレイとすることができる。
次に、第1トレイ搬送部112のチャック機構170について説明する。チャック機構170の固定部170bは、基部172と、基部上に配置された2つの直動ガイド軸174、176とを有する。直動ガイド軸174と直動ガイド軸176とは、異なる角度で配置されている。チャック機構170の可動部170aは、2つの直動ガイド軸174、176の両方に連結されており、それぞれの部分がそれぞれの直動ガイド174、176に沿って移動する。また、可動部170aと直動ガイド軸174、176との連結部は、回動可能なロータリージョイントとなっている。
チャック機構170は、図13示すステップS21からステップS22、ステップS22からステップS23、ステップS23からステップS24に示すように、固定部170bに対して、可動部170aが矢印Xa方向に移動すると、可動部170aが、固定部170bに対して矢印Xa方向に移動しつつ、矢印Xa方向の先端部が矢印Ya方向に移動する。つまり、可動部170aは、回転する。ここで、図13は、固定部170bが基準線189に対して一定の位置となるように示している。チャック機構170は、以上のように固定部170bに2つの直動ガイド軸174、176を設けた構成とすることで、可動部170aを一方向に移動させつつ、回転させる。
電子部品供給装置100は、以上のような構成である。電子部品供給装置100は、トレイ搬送機構108で2つのスタッカユニットから交互に一部が重なる部品供給領域116にトレイを供給すること(2つのスタッカユニットからそれぞれ供給されるトレイの部品供給領域での合計面積がトレイの2倍よりも小さい面積とすること)で、効率よく電子部品を供給することができる。具体的には、複数個のトレイを重ならないように部品供給領域116内にそれぞれ供給した場合、トレイの配置エリアが広くなってしまうためヘッドが届かないエリアが発生していまい、トレイの領域を有効に活用できなくなる。また、トレイの全域を保持可能になるようヘッドの稼動範囲を広げると装置全体の大きさも大きくなってしまうため、実装効率、装置コストが悪化する。これに対して、電子部品供給装置100は、装置サイズを大きくすることなく、トレイ交換の待ち時間を最小限にすることができる。部品供給領域116に配置されるトレイの領域が重なるようにすることで、実装時のトレイと基板との距離を短くすることができ、実装効率を向上させることができる。
また、電子部品供給装置100は、第1スタッカユニット110aと第2スタッカユニット110bを別々に移動させる構成とすることで、一方のスタッカユニットのトレイを部品供給領域に供給している間に、他方のスタッカユニットのトレイの位置を変更することができる。これにより、一方のスタッカユニットでトレイを回収し、他方のスタッカユニットでトレイを供給することができる。これにより、トレイの交換時間を短くすることができる。
また、電子部品供給装置100は、第1トレイ搬送部112で、部品供給領域116にトレイを移動させる際に、移動方向に直交する方向にトレイを移動させることで、第1トレイ搬送部112と第2トレイ搬送部114とで搬送されるトレイが重なる領域をより多くすることができる。これにより、部品供給領域116をより狭くすることができる。電子部品実装装置のY方向の大きさをより小さくすることができる。また、電子部品供給装置100は、第1トレイ搬送部112でトレイを搬送させる経路と、第2トレイ搬送部114でトレイを搬送させる経路と、が一部重なるようにすることで、装置をより小型化することができる。
また、電子部品供給装置100は、第1トレイ搬送部112のトレイの移動経路を、Y軸に対して傾斜させることで、第1トレイ搬送部112と第2トレイ搬送部114とで搬送されるトレイが重なる領域をより多くすることができる。また、電子部品供給装置100は、第1トレイ搬送部が、第1供給位置に移動したトレイの第1スタッカユニットから遠い側の辺に直交する線が、トレイを搬送する方向に対して傾斜していることで、第1トレイ搬送部112と第2トレイ搬送部114とで搬送されるトレイが重なる領域をより多くすることができる。また、電子部品供給装置100は、第1トレイ搬送部114でトレイをθ方向に回転させることで、第1スタッカユニット110aと第2スタッカユニット110bで同じトレイを用いても部品供給領域での電子部品の向きを同じ向きとすることができる。
また、電子部品供給装置100は、第1トレイ搬送部112でトレイを回転させ、第2トレイ搬送部114でトレイを平行移動(トレイの向きを変化させずに直交する2方向に移動)させたが、本発明はこれに限定されない。電子部品供給装置100は、両方のトレイを移動時に回転させるようにしてもよいし、移動時に平行移動させるようにしてもよい。
電子部品実装装置10の各部の説明を続ける。リア側の部品供給ユニット14rは、図14に示すように、複数の電子部品供給装置(以下、単に「部品供給装置」ともいう。)70と、複数の電子部品供給装置70aと、を有する。図14に示す複数の部品供給装置70、70aは、支持台(バンク)72に保持される。また、支持台72は、部品供給装置70、70aの他の装置(例えば、計測装置やカメラ等)を搭載することができる。
部品供給ユニット14rは、複数のラジアルリード型電子部品(ラジアルリード部品)をテープ本体に固定した電子部品保持テープ(ラジアル部品テープ)を装着し、当該電子部品保持テープで保持したリード型電子部品のリードを保持位置(第2保持位置)で切断し、当該保持位置にあるリード型電子部品をヘッドに備えた吸着ノズルまたは把持ノズルで保持可能とする電子部品供給装置70を複数装着する。また、部品供給ユニット14rは、複数の搭載型電子部品をテープ本体に固定した電子部品保持テープ(チップ部品テープ)を装着し、当該電子部品保持テープで保持した搭載型電子部品の保持位置(第1保持位置)でテープ本体から剥がし、当該保持位置にある搭載型電子部品をヘッドに備えた吸着ノズルまたは把持ノズルで保持可能とする電子部品供給装置70aを備えている。部品供給ユニット14は、その他電子部品供給装置70aとしてスティックフィーダやトレイフィーダをリア側バンク46に設置してもよい。
電子部品供給装置70は、ラジアルフィーダであり、保持位置(吸着位置、把持位置)に電子部品を供給する。各部品供給装置70が保持位置に供給した電子部品は、ヘッド15により基板8に実装される。部品供給装置70は、テープに複数のラジアルリード型電子部品のリードを貼り付けて構成される電子部品保持テープを使用してヘッド15にラジアルリード型電子部品を供給する。部品供給装置70は、電子部品保持テープを保持し、保持している電子部品保持テープを送り、保持しているラジアルリード型電子部品をヘッド15のノズルにより電子部品が保持できる保持領域(吸着位置、把持位置、保持位置)まで移動するテープフィーダである。部品供給装置70は、保持領域まで移動させたラジアルリード型電子部品のリードを切断して分離することで、当該テープでリードが固定されたラジアルリード型電子部品を所定位置に保持可能な状態とすることができ、当該ラジアルリード型電子部品をヘッド15のノズルにより保持(吸着、把持)することができる。部品供給装置70については後述する。なお、複数の部品供給装置70は、それぞれ異なる品種の電子部品を供給しても、別々の電子部品を供給してもよい。
電子部品供給装置70aは、テープに基板搭載するチップ型の電子部品を貼り付けて構成される電子部品保持テープを使用してヘッド15に電子部品を供給する。なお、電子部品保持テープは、テープに複数の格納室が形成されており、当該格納室に電子部品が格納されている。電子部品供給装置70aは、電子部品保持テープを保持し、保持している電子部品保持テープを送り、格納室をヘッド15のノズルにより電子部品が吸着できる保持領域まで移動させるテープフィーダである。なお、格納室を保持領域に移動させることで、当該格納室に収容されている電子部品を所定位置に露出した状態とすることができ、当該電子部品をヘッド15のノズルにより吸着、把持することができる。電子部品供給装置70aは、テープフィーダに限定されず、チップ型電子部品を供給する種々のチップ部品フィーダとすることができる。チップ部品フィーダとしては、例えば、スティックフィーダ、テープフィーダ、バルクフィーダを用いることができる。
部品供給ユニット14は、支持台72に保持されている複数の部品供給装置70、70aが、搭載する電子部品の種類、電子部品を保持する機構または供給機構が異なる複数種類の部品供給装置70、70aで構成される。また、部品供給ユニット14は、同一種類の部品供給装置70、70aを複数備えていてもよい。また、部品供給ユニット14は、装置本体に対して着脱可能な構成とすることが好ましい。
ヘッド15は、部品供給ユニット14fに保持された電子部品(ボウルフィーダユニットに保持されたリード型電子部品、または部品供給ユニット14rに保持された電子部品(電子部品供給装置70に保持されたラジアルリード型電子部品(リード型電子部品、挿入型電子部品)、をノズルで保持(吸着または把持)し、保持した電子部品を基板搬送部12によって所定位置に移動された基板8上に実装する機構である。また、ヘッド15は、部品供給ユニット14rが電子部品供給装置70aを備えている場合、電子部品供給装置70aに保持されたチップ電子部品(搭載型電子部品)を基板8上に搭載(実装)する機構である。なお、ヘッド15の構成については、後述する。なお、チップ電子部品(搭載型電子部品)とは、基板の形成された挿入穴(スルーホール)に挿入するリードを備えないリードなし電子部品である。搭載型電子部品としては、上述したようにSOP、QFP等が例示される。チップ型電子部品は、リードを挿入穴に挿入せずに、基板に実装される。
XY移動機構16は、ヘッド15を図1、図2中X軸方向及びY軸方向、つまり、基板8の表面と平行な面上で移動させる移動機構でありX軸駆動部22とY軸駆動部24とを有する。X軸駆動部22は、ヘッド15と連結しており、ヘッド15をX軸方向に移動させる。Y軸駆動部24は、X軸駆動部22を介してヘッド15と連結しており、X軸駆動部22をY軸方向に移動させることで、ヘッド15をY軸方向に移動させる。XY移動機構16は、ヘッド15をXY軸方向に移動させることで、ヘッド15を基板8と対面する位置、または、部品供給ユニット14f、14rと対面する位置に移動させることができる。また、XY移動機構16は、ヘッド15を移動させることで、ヘッド15と基板8との相対位置を調整する。これにより、ヘッド15が保持した電子部品を基板8の表面の任意の位置に移動させることができ、電子部品を基板8の表面の任意の位置に搭載することが可能となる。つまり、XY移動機構16は、ヘッド15を水平面(XY平面)上で移動させて、部品供給ユニット14f、14rの電子部品供給装置にある電子部品を基板8の所定位置(搭載位置、実装位置)に移送する移送手段となる。なお、X軸駆動部22としては、ヘッド15を所定の方向に移動させる種々の機構を用いることができる。Y軸駆動部24としては、X軸駆動部22を所定の方向に移動させる種々の機構を用いることができる。対象物を所定の方向に移動させる機構としては、例えば、リニアモータ、ラックアンドピニオン、ボールねじを用いた搬送機構、ベルトを利用した搬送機構等を用いることができる。
VCSユニット17と、交換ノズル保持機構18と、部品貯留部19とは、XY平面において、ヘッド15の可動領域と重なる位置で、かつ、Z方向における位置がヘッド15よりも鉛直方向下側となる位置に配置されている。本実施形態では、VCSユニット17と、交換ノズル保持機構18と、部品貯留部19とは、基板搬送部12と部品供給ユニット14rとの間に、隣接して配置される。
VCSユニット(部品状態検出部、状態検出部)17は、画像認識装置であり、ヘッド15のノズル近傍を撮影するカメラや、撮影領域を照明する照明ユニットを有する。VCSユニット17は、ヘッド15のノズルで吸着された電子部品の形状や、ノズルによる電子部品の保持状態を認識する。より具体的には、VCSユニット17は、対面する位置にヘッド15が移動されると、ヘッド15のノズルを鉛直方向下側から撮影し、撮影した画像を解析することで、ノズルで吸着された電子部品の形状や、ノズルによる電子部品の保持状態を認識する。VCSユニット17は、取得した情報を制御装置20に送る。
交換ノズル保持機構18は、複数種類のノズルを保持する機構である。交換ノズル保持機構18は、複数種類のノズルをヘッド15が着脱交換可能な状態で保持する。ここで、本実施形態の交換ノズル保持機構18は、電子部品を吸引することで保持する吸引ノズルと、電子部品を把持することで保持する把持ノズルと、を保持している。ヘッド15は、交換ノズル保持機構18で装着するノズルを変更し、装着されたノズルに対して空気圧を供給して駆動することで、保持する電子部品を適切な条件(吸引または把持)で保持することができる。
部品貯留部19は、ヘッド15がノズルで保持し、基板8に実装しない電子部品を貯留する箱である。つまり、電子部品実装装置10では、基板8に実装しない電子部品を廃棄する廃棄ボックスとなる。電子部品実装装置10は、ヘッド15が保持している電子部品の中に基板8に実装しない電子部品がある場合、ヘッド15を部品貯留部19と対面する位置に移動させ、保持している電子部品を解放することで、電子部品を部品貯留部19に投入する。
制御装置20は、電子部品実装装置10の各部を制御する。制御装置20は、各種制御部の集合体である。操作部40は、作業者が操作を入力する入力デバイスであり、キーボード40a、ボタン40bと、を有する。操作部40は検出した各種入力を制御装置20に送る。表示部42は、作業者に各種情報を表示する画面であり、液晶モニター等の表示装置を有する。表示部42は、制御装置20から入力される画像信号に基づいて各種画像を表示させる。
なお、本実施形態の電子部品実装装置10は、ヘッドを1つとしたが部品供給ユニット14f、14rのそれぞれに対応して2つのヘッドを設けてもよい。この場合、X軸駆動部を2つ設け、2つのヘッドをそれぞれXY方向に移動させることで、2つのヘッドを独立して移動させることができる。電子部品実装装置10は、2つのヘッドを備えることで、1つの基板8に対して、交互に電子部品を搭載することができる。このように、2つのヘッドで交互に電子部品を搭載することで、一方のヘッドが電子部品を基板8に搭載している間に、他方のヘッドは、部品供給装置にある電子部品を保持することができる。これにより、基板8に電子部品が搭載されない時間をより短くすることができ、効率よく電子部品を搭載することができる。さらに、電子部品実装装置10は、基板搬送部12を平行に2つ配置することも好ましい。電子部品実装装置10は、2つの基板搬送部12で2つの基板を交互に電子部品搭載位置に移動させ、前記2つのヘッド15で交互に部品搭載すれば、さらに効率よく基板に電子部品を搭載することができる。
次に、図15及び図16を用いて、ヘッド15の構成について説明する。図15は、電子部品実装装置のヘッドの概略構成を示す模式図である。図16は、電子部品実装装置のヘッドの概略構成を示す模式図である。なお、図15には、電子部品実装装置10を制御する各種制御部と部品供給ユニット14rの1つの部品供給装置70もあわせて示す。ヘッド15は、図15及び図16に示すように、ヘッド本体30と撮影装置(基板状態検出部)36と高さセンサ(基板状態検出部)37とレーザ認識装置(部品状態検出部、状態検出部)38と、を有する。
電子部品実装装置10は、図15に示すように、制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64と、を有する。制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64とは、上述した制御装置20の一部である。また、電子部品実装装置10は、電源と接続されており電源から供給される電力を制御部60、ヘッド制御部62、部品供給制御部64及び各種回路を用いて、各部に供給する。制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64とについては後述する。
電子部品供給装置70は、電子部品保持テープに電子部品80の本体が上方に露出している。電子部品供給装置70は、電子部品保持テープを引き出し、移動させることで、電子部品保持テープに保持された電子部品80を保持領域(吸着領域、把持領域)に移動させる。本実施形態では、部品実装装置70のY軸方向の先端近傍が、電子部品保持テープに保持された電子部品80をヘッド15のノズルが保持する保持領域となる。電子部品供給装置70の構成については後述する。また、電子部品供給装置70aの場合も同様に、所定の位置が、ヘッド15のノズルが電子部品保持テープに保持された電子部品80を保持する保持領域となる。
ヘッド本体30は、各部を支持するヘッド支持体31と、複数のノズル32と、ノズル駆動部34と、を有する。本実施形態のヘッド本体30には、図16に示すように、6本のノズル32が一列に配置されている。6本のノズル32は、X軸に平行な方向に並んでいる。なお、図16に示すノズル32は、いずれも電子部品を吸着して保持する吸着ノズルが配置されている。
ヘッド支持体31は、X軸駆動部22と連結している支持部材であり、ノズル32及びノズル駆動部34を支持する。なお、ヘッド支持体31は、レーザ認識装置38も支持している。
ノズル32は、電子部品80を吸着し、保持する吸着機構である。ノズル32は、先端に開口33を有し、この開口33から空気を吸引することで、先端に電子部品80を吸着し、保持する。なお、ノズル32は、開口33が形成され電子部品80を吸着する先端部に連結されたシャフト32aを有する。シャフト32aは、先端部を支持する棒状の部材であり、Z軸方向に延在して配置されている。シャフト32aは、内部に開口33とノズル駆動部34の吸引機構とを接続する空気管(配管)が配置されている。
ノズル駆動部34は、ノズル32をZ軸方向に移動させ、ノズル32の開口33で電子部品80を吸着させる。ここで、Z軸は、XY平面に対して直交する軸である。なお、Z軸は、基板の表面に対して直交する方向となる。また、ノズル駆動部34は、電子部品の実装時等にノズル32をθ方向に回転させる。θ方向とは、すなわち、Z軸駆動部がノズル32を移動させる方向と平行な軸であるZ軸を中心とした円の円周方向と平行な方向である。なお、θ方向は、ノズル32の回動方向となる。
ノズル駆動部34は、ノズル32をZ軸方向に移動させる機構として、例えば、Z軸方向が駆動方向となる直動リニアモータを有する機構がある。ノズル駆動部34は、直動リニアモータでノズル32のシャフト32aをZ軸方向に移動させることで、ノズル32の先端部の開口33をZ軸方向に移動させる。また、ノズル駆動部34は、ノズル32をθ方向に回転させる機構として、例えばモータとシャフト32aに連結された伝達要素とで構成された機構がある。ノズル駆動部34は、モータから出力された駆動力を伝達要素でシャフト32aに伝達し、シャフト32aをθ方向に回転させることで、ノズル32の先端部もθ方向に回転させる。
ノズル駆動部34は、ノズル32の開口33で電子部品80を吸着させる機構、つまり吸引機構としては、例えば、ノズル32の開口33と連結された空気管と、当該空気管と接続されたポンプと、空気管の管路の開閉を切り換える電磁弁と、を有する機構がある。ノズル駆動部34は、ポンプで空気管の空気を吸引し、電磁弁の開閉を切り換えることで開口33から空気を吸引するか否かを切り換える。ノズル駆動部34は、電磁弁を開き開口33から空気を吸引することで開口33に電子部品80を吸着(保持)させ、電磁弁を閉じ開口33から空気を吸引しないことで開口33に吸着していた電子部品80を開放する、つまり開口33で電子部品80を吸着しない状態(保持しない状態)とする。
また、本実施形態のヘッド15は、電子部品の本体を保持するときに本体上面がノズル(吸着ノズル)32で吸着できない形状である場合には、後述する把持ノズルを用いる。把持ノズルは、吸着ノズルと同様に空気を吸引開放することで固定片に対して可動片が開閉することで電子部品の本体を上方から把持開放することができる。また、ヘッド15は、ノズル駆動部34でノズル32を移動させ、交換動作を実行することで、ノズル駆動部34が駆動させるノズルを換えることができる。
撮影装置36は、ヘッド本体30のヘッド支持体31に固定されており、ヘッド15と対面する領域、例えば、基板8や電子部品80が搭載された基板8等を撮影する。撮影装置36は、カメラと、照明装置と、を有し、照明装置で視野を照明しつつ、カメラで画像を取得する。これにより、ヘッド本体30に対面する位置の画像、例えば、基板8や、部品供給ユニット14の各種画像を撮影することができる。例えば、撮影装置36は、基板8の表面に形成された基準マークとしてのBOCマーク(以下単にBOCともいう)やスルーホール(挿入穴)の画像を撮影する。ここで、BOCマーク以外の基準マークを用いる場合、当該基準マークの画像を撮影する。
高さセンサ37は、ヘッド本体30のヘッド支持体31に固定されており、ヘッド15と対面する領域、例えば、基板8や電子部品80が搭載された基板8との距離を計測する。高さセンサ37としては、レーザ光を照射する発光素子と、対面する位置で反射して戻ってくるレーザ光を受光する受光素子とを有し、レーザ光を発光してから受光するまでの時間で対面する部分との距離を計測するレーザセンサを用いることができる。また、高さセンサ37は、測定時の自身の位置及び基板の位置を用いて、対面する部分との距離を処理することで、対面する部分、具体的には電子部品の高さを検出する。なお、電子部品との距離の測定結果に基づいて電子部品の高さを検出する処理は制御部60で行ってもよい。
レーザ認識装置38は、光源38aと、受光素子38bと、を有する。レーザ認識装置38は、ブラケット50に内蔵されている。ブラケット50は、図15に示すように、ヘッド支持体31の下側、基板8及び部品供給装置70側に連結されている。レーザ認識装置38は、ヘッド本体30のノズル32で吸着した電子部品80に対して、レーザ光を照射することで、電子部品80の状態を検出する装置である。ここで、電子部品80の状態とは、電子部品80の形状、ノズル32で電子部品80を正しい姿勢で吸着しているか等である。光源38aは、レーザ光を出力する発光素子である。受光素子38bは、Z軸方向における位置、つまり高さが同じ位置であり、光源38aに対向する位置に配置されている。レーザ認識装置38による形状の認識処理については後述する。
次に、電子部品実装装置10の装置構成の制御機能について説明する。電子部品実装装置10は、図15に示すように、制御装置20として、制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64と、を有する。各種制御部は、それぞれ、CPU、ROMやRAM等の演算処理機能と記憶機能とを備える部材で構成される。また、本実施形態では、説明の都合で複数の制御部としたが、1つの制御部としてもよい。また、電子部品実装装置10の制御機能を1つの制御部とした場合、1つの演算装置で実現しても複数の演算装置で実現してもよい。
制御部60は、電子部品実装装置10の各部と接続されており、入力された操作信号や、電子部品実装装置10の各部で検出された情報に基づいて、記憶されているプログラムを実行し、各部の動作を制御する。制御部60は、例えば、基板8の搬送動作、XY移動機構16によるヘッド15の駆動動作、レーザ認識装置38による形状の検出動作等を制御する。また、制御部60は、上述したようにヘッド制御部62に各種指示を送り、ヘッド制御部62による制御動作も制御する。制御部60は、ヘッド制御部62や部品供給制御部64による制御動作も制御する。
ヘッド制御部62は、ノズル駆動部34、ヘッド支持体31に配置された各種センサ及び制御部60に接続されており、ノズル駆動部34を制御し、ノズル32の動作を制御する。ヘッド制御部62は、制御部60から供給される操作指示及び各種センサ(例えば、距離センサ)の検出結果に基づいて、ノズル32の電子部品の吸着(保持)/開放動作、各ノズル32の回動動作、Z軸方向の移動動作を制御する。
部品供給制御部64は、部品供給ユニット14f、14rによる電子部品80の供給動作を制御する。部品供給制御部64は、部品供給装置70、70a、100毎に設けても、1つですべての部品供給装置70、70a、100を制御してもよい。例えば、部品供給制御部64は、電子部品供給装置100によるトレイの交換動作、移動動作を制御する。また、部品供給制御部64は、部品供給装置70による電子部品保持テープの引き出し動作(移動動作)、リードの切断動作及びラジアルリード型電子部品の保持動作を制御する。また、部品供給装置70aによる電子部品保持テープの引き出し動作(移動動作)等を制御する。部品供給制御部64は、制御部60による指示に基づいて各種動作を実行する。部品供給制御部64は、電子部品保持テープまたは電子部品保持テープの引き出し動作を制御することで、電子部品保持テープまたは電子部品保持テープの移動を制御する。
次に、電子部品実装装置の各部の動作について説明する。なお、下記で説明する電子部品の各部の動作は、いずれも制御装置20に基づいて各部の動作を制御することで実行することができる。
図17は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。図17を用いて、電子部品実装装置10の全体の処理動作の概略を説明する。なお、図17に示す処理は制御装置20が各部を制御することで実行される。電子部品実装装置10は、ステップS52として、生産プログラムを読み込む。生産プログラムは、専用の生産プログラム作成装置で作成されたり、入力された各種データに基づいて制御装置20によって作成されたりする。
電子部品実装装置10は、ステップS52で生産プログラムを読み込んだら、ステップS54として、装置の状態を検出する。具体的には、部品供給ユニット14f、14rの構成、充填されている電子部品の種類、準備されているノズルの種類等を検出する。電子部品実装装置10は、ステップS54で装置の状態を検出し、準備が完了したら、ステップS56として、基板を搬入する。電子部品実装装置10は、ステップS56で基板を搬入し、電子部品を実装する位置に基板を配置したら、ステップS58として電子部品を基板に実装する。電子部品実装装置10は、ステップS58で電子部品の実装が完了したら、ステップS60として基板を搬出する。電子部品実装装置10は、ステップS60で基板を搬出したら、ステップS62として生産終了かを判定する。電子部品実装装置10は、ステップS62で生産終了ではない(No)と判定した場合、ステップS56に進み、ステップS56からステップS60の処理を実行する。つまり、生産プログラムに基づいて、基板に電子部品を実装する処理を実行する。電子部品実装装置10は、ステップS62で生産終了である(Yes)と判定した場合、本処理を終了する。
電子部品実装装置10は、以上のようにして、生産プログラムを読み込み、各種設定を行った後、基板に電子部品を実装することで、電子部品が実装された基板を製造することができる。また、電子部品実装装置10は、電子部品として、本体と当該本体に接続されたリードとを有するリード型電子部品を基板に実装、具体的には、リードを基板に形成された穴(挿入穴)に挿入することで当該電子部品を基板に実装することができる。
図18は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。なお、図18に示す処理動作は、基板を搬入してから、基板への電子部品の搭載が完了するまでの動作である。また、図18に示す処理動作は、制御部60が各部の動作を制御することで実行される。
制御部60は、ステップS102として、基板を搬入する。具体的には、制御部60は、電子部品を搭載する対象の基板を基板搬送部12で所定位置まで搬送する。制御部60は、ステップS102で基板を搬入したら、ステップS104として保持移動を行う。ここで、保持移動(吸着移動)とは、ノズル32が部品供給ユニット14の保持領域にある電子部品80と対面する位置までヘッド本体30を移動させる処理動作である。
制御部60は、ステップS104で保持移動を行ったら、ステップS106として、ノズル32を下降させる。つまり、制御部60は、電子部品80を保持(吸着、把持)できる位置までノズル32を下方向に移動させる。制御部60は、ステップS106でノズル32を下降させたら、ステップS108として、ノズル32で部品を保持し、ステップS110として、ノズル32を上昇させる。制御部60は、ステップS110でノズルを所定位置まで上昇させたら、具体的には電子部品80をレーザ認識装置38の計測位置まで移動させたら、ステップS112として、ノズル32で吸着している電子部品の形状を検出する。制御部60は、ステップS112で電子部品の形状を検出したら、ステップS114としてノズルを上昇させる。なお、制御部60は、上述したようにステップS112の部品形状を検出し、保持した電子部品が搭載不可であると判定した場合、電子部品を廃棄し、再び電子部品を吸着する。制御部60は、ノズルを所定位置まで上昇させたら、ステップS116として、搭載移動、つまりノズル32で吸着している電子部品を基板8の搭載位置(実装位置)に対向する位置まで移動させる処理動作を行い、ステップS118として、ノズル32を下降させ、ステップS120として部品搭載(部品実装)、つまりノズル32から電子部品80を開放する処理動作を行い、ステップS122として、ノズル32を上昇させる。つまり、制御部60は、ステップS112からステップS120の処理動作は、上述した実装処理を実行する。
制御部60は、ステップS122でノズルを上昇させた場合、ステップS124として全部品の搭載が完了したか、つまり基板8に搭載する予定の電子部品の実装処理が完了したかを判定する。制御部60は、ステップS124で全部品の搭載が完了していない(No)、つまり搭載する予定の電子部品が残っていると判定した場合、ステップS104に進み、次の電子部品を基板8に搭載する処理動作を実行する。このように制御部60は、基板に全部品の搭載が完了するまで、上記処理動作を繰り返す。制御部60は、ステップS124で全部品の搭載が完了した(Yes)と判定した場合、本処理を終了する。
電子部品実装装置10は、図18に示す処理動作を実行することで、基板に電子部品を搭載することができ、電子部品が実装された基板を生産することができる。
次に、図19及び図20を用いて電子部品供給装置100の動作について説明する。図19は、電子部品供給装置の動作の一例を示すフローチャートである。図20は、電子部品供給装置の動作の一例を示すフローチャートである。まず、図19を用いて、供給位置(第1供給位置及び第2供給位置)にトレイを供給する動作について説明する。なお、図19、図20の処理は部品供給制御部64で処理をすることで実現できる。
部品供給制御部64は、ステップS202として第2スタッカユニットのトレイを待機位置から供給位置に移動させる。ここで、待機位置は、スタッカユニットが配置されている位置であり、供給位置は、部品供給領域である。部品供給制御部64は、ステップS202で供給位置にトレイを供給したら、ステップS204としてトレイを交換するかを判定する。部品供給制御部64は、ステップS204でトレイを交換しない(No)と判定したら、ステップS204に進む。部品供給制御部64は、トレイを交換するまでステップS204の判定を繰り返す。
部品供給制御部64は、ステップS204でトレイを交換する(Yes)と判定した場合、ステップS206として供給位置のトレイを第2スタッカユニットの待機位置に向けて移動開始させる。
部品供給制御部64は、ステップS206でトレイの移動を開始させたら、ステップs208として、トレイ検出センサがトレイを検出したかを判定する。つまり、トレイの搬送経路上にあるトレイ検出センサがトレイの通過を検出したかを判定する。部品供給制御部64は、トレイ検出センサがトレイを検出していない(No)と判定した場合、ステップS208に進む。
部品供給制御部64は、ステップS208でトレイ検出センサがトレイを検出した(Yes)と判定した場合、ステップS210として第1スタッカユニットのトレイを待機位置から供給位置に移動させ、本処理を終了する。
部品供給制御部64は、第1スタッカユニットから供給位置にトレイを供給した場合も同様の制御を行うことで、トレイを交互に供給することができる。また、部品供給制御部64は、トレイ検出センサがトレイを検出したら、他方のスタッカユニットのトレイの移動を開始することで、2つのスタッカユニットから供給されるトレイがぶつかることを抑制することができる。また、トレイがスタッカユニットに収納される前に他方のスタッカユニットのトレイの移動を開始できるため、効率よくトレイを移動させることができる。
次に、図20を用いて、スタッカ保持搬送機構の動作について説明する。部品供給制御部64は、ステップS220として待機位置(トレイ搬送部によりトレイが搬送される位置)にトレイがあるかを判定する。部品供給制御部64は、トレイがあると判定した場合、ステップS220に進む。
部品供給制御部64は、ステップS220でトレイがない(No)つまりトレイが部品供給領域に移動されていると判定した場合、ステップS222として待機位置にトレイがあるか、つまりトレイが待機位置に戻ってきたかを判定する。
部品供給制御部64は、ステップS222でトレイがない(No)つまりトレイが戻っていていないと判定した場合、ステップS222に進む。部品供給制御部64は、ステップS222でトレイあり(Yes)と判定した場合、ステップS224として電子部品を保持したトレイがあるかを判定する。つまり部品供給制御部64は、スタッカユニット内のトレイに部品供給領域に移動させていないトレイがあるかを判定する。
部品供給制御部64は、ステップS224でトレイがある(Yes)と判定した場合、ステップS226として、スタッカユニットの位置を移動させ、つまり、部品供給領域に移動させていないトレイを待機位置に移動させ、ステップS220に進む。部品供給制御部64は、ステップS224でトレイがない(No)と判定した場合、ステップS228としてスタッカユニットの交換要求を通知し、本処理を終了する。
電子部品供給装置100は、以上のようにして、スタッカユニットのトレイを順次待機位置に移動させることで、スタッカユニットのトレイの電子部品を基板に実装させることができる。また、スタッカユニットの交換要求を通知することで、スタッカユニットを迅速に交換することができる。
ここで、上記実施形態の電子部品実装装置10は、部品供給ユニット14fとして、トレイフィーダの電子部品供給装置100を備え、部品供給ユニット14rとして、ラジアルフィーダの電子部品供給装置70、搭載型電子部品を供給する電子部品供給装置70aを備える構成としたが、これに限定されない。電子部品実装装置10は、部品供給ユニットを各種組み合わせとすることができる。例えば、フロント、リアの両方の部品供給ユニットに電子部品供給装置100を設置してもよい。また、リア側の部品供給ユニットには種々の電子部品供給装置を用いることができる。また、フロント、リアのうち、一方の部品供給ユニットの電子部品供給装置を、全て電子部品供給装置(チップ部品フィーダ)70aとしてもよい。つまり、フロント、リアの一方の部品供給ユニットは、リード型電子部品(基板に挿入される電子部品)を供給し、他方は、リードなし電子部品(基板に搭載される電子部品)を供給するようにしてもよい。さらに、電子部品実装装置は、電子部品供給装置としてテープに保持されたアキシャル型電子部品のリードを上記ように基板下に短く出るように切断してコ字型に折り曲げた状態で保持位置に供給するアキシャルフィーダを用いることもできる。
また、本実施形態のヘッド15は、1台のヘッドでより多くの種類の電子部品を実装できるようにするため複数のノズルを備えている場合は、前記ノズル自動交換装置(本実施形態では交換ノズル保持機構とヘッド本体との組み合わせで実現されるヘッド交換動作)を使って実装生産中に各ノズルを種々の吸着ノズル、把持ノズルに交換できる。電子部品実装装置10は、搭載型電子部品及びリード型電子部品に対する大きさ、重さ、部品本体上面が吸着可能な平面を有するかどうか、及び部品本体を把持可能かどうか等の部品条件により、部品ごとに適切な吸着孔径の吸着ノズルまたは適切な形状の把持部材を備えた把持ノズルが指定され、生産プログラムに記憶されている。電子部品実装装置10は、生産プログラムに記憶されている電子部品とノズルとの対応関係に基づいて、ヘッドに装着するノズルを切り換えたり、ヘッド内で当該電子部品を保持するノズルを決定したりする。
電子部品供給装置100は、スタッカ保持搬送機構、トレイ搬送部、スタッカユニットの組み合わせを3つ以上備えていてもよい。