JP6428356B2 - 光学材料用非晶性重合体、樹脂組成物、樹脂ペレット及び樹脂成形体 - Google Patents
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Description
本発明の光学材料用非晶性重合体(以下、「(A)重合体」ともいう)は、下記式(1)で表される第1構造単位(以下、「構造単位(a)」ともいう)を主鎖中に有する。この(A)重合体は、後述する下記式(2−1)で表される構造単位、下記式(2−2)で表される構造単位又はこれらの組み合わせである第2構造単位(以下、「構造単位(b)」ともいう)を主鎖中にさらに有していてもよく、下記式(3)で表される構造単位、下記式(4)で表される構造単位又はこれらの組み合わせである第3構造単位(以下、「構造単位(c)」ともいう)をさらに有していてもよく、本発明の効果を損なわない範囲において、構造単位(a)、構造単位(b)及び構造単位(c)以外の他の構造単位(d)を有していてもよい。
構造単位(a)は、下記式(1)で表される。(A)重合体は、構造単位(a)を有することで、ガラス転移温度及び複屈折を小さくすることが可能となると共に、屈折率が高く複屈折の小さい光学部品等の樹脂成形品を提供できる。構造単位(a)を有することで、(A)重合体の低ガラス転移温度化、(A)重合体及び樹脂成形品の低複屈折性、樹脂成形品の高屈折率化を図ることができる理由は明確ではないが、主に以下(1)〜(3)の理由によるものと推察される。
(2)オルト位結合性の2官能性芳香族フェノールに由来する構造単位を主鎖中に組み込むことにより主鎖中にV字状の部分が存在し、主鎖の直線配向性が抑制されることで低複屈折化が可能になる。
(3)構造単位(a)がフルオレン系ビスフェノール類に由来する構造単位に比べて分子量が小さく、より柔軟な結合基の数を増やすことが可能となって、低ガラス転移温度化を図れる。
構造単位(b)は、下記式(2−1)で表される構造単位、下記式(2−2)で表される構造単位又はこれらの組み合わせである。(A)重合体は、構造単位(b)をさらに有することで、複屈折性及びガラス転移温度をより低くすることが可能となる。このような効果を奏する理由は、上述の構造単位(a)を有することで複屈折性及びガラス転移温度を低くすることができる理由(上記理由(2)、(3)等)と同様に推察される。
構造単位(c)は、下記式(3)で表される構造単位、下記式(4)で表される構造単位又はこれらの組み合わせである。また、構造単位(c)は、構造単位(a)又は(b)と交互共重合体を構成することが好ましい。
[A]重合体は、上記構造単位(a)、構造単位(b)及び構造単位(c)以外の他の構造単位(d)を含んでいてもよい。上記他の構造単位(d)としては、例えば非解離性の脂環式炭化水素基を含む構造単位等が挙げられる。[A]重合体が上記他の構造単位(d)を含む場合、上記他の構造単位(d)の含有割合の上限としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、20モル%が好ましく、15モル%がより好ましく、5モル%がさらに好ましい。
(A)重合体としては、構造単位(a)を主鎖中に有する限り、特に限定されないが、屈折率をより高くする観点、ガラス転移温度をより低くする観点及び複屈折をより小さくする観点から、構造単位(a−1)自身を繰り返しユニット(以下、「繰り返しユニット(a−1)」ともいう)とするポリエーテル、下記式(Xa)で表される構造単位を繰り返しユニット(以下、「繰り返しユニット(Xa)」ともいう)とするポリカーボネート及び下記式(Ya)で表される構造単位を繰り返しユニット(以下、「繰り返しユニット(Ya)」ともいう)とするポリエステルが好ましく、構造単位(a−1)自身を繰り返しユニットとするポリエーテル及び下記式(Xa)で表される構造単位を繰り返しユニットとするポリカーボネートがより好ましい。
(A)重合体は、公知の方法、例えば構造単位(a)を与える芳香族ジオール化合物(a)、必要に応じて、構造単位(b)を与える芳香族ジオール化合物(b)、構造単位(c)を与える化合物(c)等を有機溶媒存在下で所定の反応条件で反応させることで合成できる。(A)重合体の合成時には、芳香族ジオール化合物(a)と共に化合物(a)〜(c)以外の化合物(d)を混合してもよい。
芳香族ジオール化合物(a)及び(b)は、芳香族ジオール化合物、その誘導体及び前駆体を含む。この芳香族ジオール化合物(a)としては、典型的には、ジヒドロキシナフタレン、その誘導体、前駆体等が挙げられる。一方、芳香族ジオール化合物(b)としては、典型的には、カテコール、ビスフェノール、その誘導体、前駆体等が挙げられる。
化合物(c)としては、構造単位(c)の構造に応じて適宜選択すればよく、特に制限はない。このような化合物(c)としては、例えばジハロゲン化物等が挙げられる。
化合物(d)としては、例えばアルカリ金属化合物、構造単位(a)、構造単位(b)及び構造単位(c)以外の構造単位を与える単量体が挙げられる。
リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;
水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の水素化アルカリ金属;
水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属;
炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;
炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩などが挙げられる。これらの中で、アルカリ金属炭酸塩及び水酸化アルカリ金属が好ましく、炭酸カリウム及び水酸化ナトリウムがより好ましい。
有機溶媒としては、例えばN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジイソプロピルスルホン、ジフェニルスルホン、ジフェニルエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾニトリル、塩化メチレン、ジアルコキシベンゼン(アルコキシ基の炭素数1〜4)、トリアルコキシベンゼン(アルコキシ基の炭素数1〜4)等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で使用しても2種以上を併用してもよい。また、例示した有機溶媒の中でも、誘電率の高い極性溶媒であることから、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、スルホラン、ジフェニルスルホン及びジメチルスルホキシドが好ましい。
(A)重合体の合成時の反応温度の下限としては、60℃が好ましく、80℃がより好ましい。上記反応温度の上限としては、250℃が好ましく、200℃がより好ましい。上記合成時の反応時間の下限としては、15分が好ましく、1時間がより好ましい。上記反応時間の上限としては、100時間が好ましく、24時間がより好ましい。
樹脂組成物(以下、「(A)樹脂組成物」ともいう)は、(A)重合体と、有機溶媒とを含有する。この(A)樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分を含んでいてもよい。この(A)樹脂組成物は、後述する樹脂ペレットや樹脂成形品を形成するために好適に使用できる。
(A)樹脂組成物は、(A)重合体、酸化防止剤及び(A)重合体以外のその他の任意成分を含んでいてもよい。その他の任意成分としては、例えば加工性を向上させる滑剤の他、公知の添加剤、例えば難燃剤、抗菌剤、着色剤、離型剤、発泡剤が挙げられる。これらのその他の任意成分は、1種を単独使用してもよしい、2種以上を併用してもよい。
(A)樹脂組成物は、(A)重合体及び有機溶媒、必要に応じて酸化防止剤、他の樹脂等の他の成分を均一に混合することによって調製される。樹脂組成物は、粉末状、ペレット状、チップ状等の固体状に調製されてもよく、又は液状あるいはペースト状に調製されてもよい。
本発明の樹脂ペレット(以下、「(A)樹脂ペレット」ともいう)は、(A)重合体を主成分とする。この(A)樹脂ペレットは、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分を含んでいてもよい。
本発明の樹脂成形体(以下、「(A)樹脂成形体」ともいう)は、(A)重合体を主成分とする。この(A)樹脂成形体は、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、(A)樹脂組成物の他の成分として例示したものと同様なもの等が挙げられる。(A)樹脂成形体としては、例えば光学部品等が挙げられる。
光学部品としては、例えば波長板、位相差板等の光学フィルム、円錐レンズ、球面レンズ、円筒レンズ等の各種特殊レンズ、レンズアレイなどが挙げられる。
(A)樹脂成形体の製造方法としては、例えば金型成形法、押出成形法、溶剤キャスト法等が挙げられる。レンズの製造には、金型成形法が好適である。光学フィルムの製造には、押出成形法及び溶剤キャスト法が好適であり、押出成形法がより好ましい。以下、押出成形法について説明する。
押出成形法としては、例えば溶融押出法、半溶融押出法等が挙げられるが、溶融押出法が好ましい。溶融押出法としては、各種形状のダイを用いる方法が挙げられるが、中でも、Tダイ、コートハンガーダイを用いる方法が好ましい。
<(A)重合体のガラス転移温度(Tg)>
(A)重合体のガラス転移温度(Tg)の下限としては、100℃が好ましく、135℃がより好ましい。(A)重合体のガラス転移温度(Tg)の上限としては、300℃が好ましく、250℃がより好ましい。このような(A)重合体のガラス転移温度が250℃以下であることで、(A)重合体の非晶性を好適に高めることができる。そのため、この(A)重合体を主成分とする樹脂ペレットや樹脂組成物は、非晶性溶融押出等の押出成形時の成形性に優れる。ここで、ガラス転移温度(Tg)は、例えばRigaku社の「8230型DSC測定装置」(昇温速度20℃/分)により測定することができる。
(A)重合体の重量平均分子量(Mw)の下限としては、通常2,000であり、5,000が好ましく、10,000がより好ましく、20,000がさらに好ましい。上記(Mw)の上限としては、通常300,000であり、270,000が好ましく、250,000がより好ましい。
(A)樹脂成形体としての光学フィルムの平均厚みの下限としては、通常10μmである。上記光学フィルムの平均厚みの上限としては、通常1,000μmであり、500μmがより好ましい。光学フィルムの平均厚みが10μm未満であると、シート強度を十分に確保できないおそれがある。一方、高分子シートの平均厚みが1,000μmを超えると、シートの透明性を確保できなくなるおそれがある。
(A)重合体及び(A)樹脂成形体としての光学部品の全光線透過率の下限としては、平均厚み50μmのシートとして作成したときに85%が好ましく、90%がより好ましい。ここで、全光線透過率は、平均厚み50μmのシートにおける透明度試験法(JIS−K−7105:1981)の値である。シートの全光線透過率が85%以上であることで、光学フィルム等の光学部品の透明性を確保することができる。そのため、光学フィルム等の光学部品は、表示装置等に好適に使用することができる。
(A)重合体及び光学部品の屈折率(nD)の下限としては、1.650が好ましく、1.660がより好ましくし、1.670がさらに好ましい。(A)重合体及び光学部品のアッベ数(D)の上限としては、21が好ましく、20がより好ましく、19がさらに好ましく、18が特に好ましい。(A)重合体及び光学部品の屈折率(nD)が1.65以上であり、且つアッベ数(D)が21以下であることで、レンズ、フィルム等の薄膜化、高付加価値化を実現することが可能となる。
(A)重合体及び(A)光学部品の応力光学係数(CR)の絶対値の上限としては、2,000Brが好ましく、1,500Brがより好ましく、1,000Brがさらに好ましい。光学フィルムの応力光学係数(CR)の絶対値を上記上限以下とすることで、光学フィルムの複屈折を小さくすることが可能となる。すなわち、成形体の光学歪を小さくすることができ、カメラモジュールレンズ等に適用した場合により高精細な撮像が可能となる。一方、応力光学係数(CR)の絶対値の下限としては、特に制限はなく、100Brが好ましく、0Brがより好ましい。なお、応力光学係数(CR)の単位「Br」は、「10−12Pa−1」に相当する。
[実施例1](重合体1の合成)
攪拌子を入れた100mLの3つ口フラスコに、窒素導入管、Dean−Stark管及び冷却管を取り付け、2,3−ジヒドロキシナフタレン(2.08g、13.0mmol)、カテコール(1.43g、13.0mmol)、2,6−ジフルオロベンゾニトリル(2,6−DFBN、3.62g、26.1mmol)、炭酸カリウム(7.19g、52.0mmol)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)18mL及びトルエン5mLを仕込んだ。フラスコ内を窒素置換した後に130℃で加熱撹拌し、生成する水をDean−Stark管により随時除去しながら10時間反応させた。室温まで冷却した後、生成した塩を濾過で除去した。ろ液にイオン交換樹脂(三菱化学社の「ダイヤイオンRCP160M」及び「ダイヤイオンWA21J」)を適量投入し、ミックスローターで2時間攪拌した。イオン交換樹脂を濾紙にて取り除いた後、ろ液をメタノールに投入して固体を析出させた。析出した固体を120℃で真空乾燥し、上記構造単位(a)、構造単位(b)及び構造単位(c)からなる重合体1の粉体を得た。この重合体1の収量は4.79gであり、収率は79%であった。
反応物として、2,3−ジヒドロキシナフタレン(8.81g、55.0mmol)、カテコール(3.63g、33.0mmol)、レゾルシノール(2.42g、22.0mmol)、2,6−ジフルオロベンゾニトリル(2,6−DFBN、15.3g、110mmol)、炭酸カリウム(30.5g、220mmol)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)77mL及びトルエン23mLを用いた以外は、実施例1と同様な操作を行い、上記構造単位(a)、構造単位(b)、構造単位(c)及び他の構造単位からなる重合体2の粉体を得た。この重合体2の収量は21.4gであり、収率は83%であった。
反応物として、2,3−ジヒドロキシナフタレン(4.81g、30.0mmol)、カテコール(3.67g、33.3mmol)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド(0.727g、3.33mmol)、2,6−ジフルオロベンゾニトリル(2,6−DFBN、9.28g、66.7mmol)、炭酸カリウム(18.4g、133mmol)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)47mL及びトルエン13mLを用いた以外は、実施例1と同様な操作を行い、上記構造単位(a)、構造単位(b)、構造単位(c)及び他の構造単位からなる重合体3の粉体を得た。この重合体3の収量は13.5gであり、収率は85%であった。
反応物として、2,3−ジヒドロキシナフタレン(6.41g、40.0mmol)、カテコール(0.629g、5.71mmol)、レゾルシノール(1.258g、11.4mmol)、2,4−ジフルオロベンゾニトリル(2,4−DFBN、7.96g、57.2mmol)、炭酸カリウム(15.8g、144.3mmol)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)41mL及びトルエン11mLを用いた以外は、実施例1と同様な操作を行い、上記構造単位(a)、構造単位(b)、構造単位(c)及び他の構造単位からなる重合体4の粉体を得た。この重合体4の収量は8.95gであり、収率は64%であった。
攪拌子を入れた1Lの3つ口フラスコに、窒素導入管を取り付け、下記スキームで示されるように、2,3−ジヒドロキシナフタレン(9.3g、58mmol)、4,4’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピリデン(15.2g、67mmol)及びビス(トリクロロメチル)カーボネート(14.8g、50mmol)を冷却した塩化メチレン400mLに溶解させた。冷却した1M水酸化ナトリウム水溶液320mLを加え、冷却下で激しく2.5時間撹拌した。反応終了後、重合液をメタノール2.5Lに注ぎ凝固し、得られた粉体を濾別し、更にメタノール中で洗浄し乾燥させることで下記式(X)で表される構造単位(a)を含む繰り返しユニット及び下記式(Y)で表される構造単位(b)を含む繰り返しユニットからなる下記式(Z)で表される重合体5の粉体を得た。この重合体5の収量は3.4gであり、収率は13%であった。得られた重合体5の分子量は、Mn2200、Mw2500であった。この重合体5の1H−NMRスペクトルを図2に示す。重合体5は、DSC測定によるサーモグラムからは明確な吸熱ピークが確認されなかったため、非晶性であることが判る。
1H−NMR分析は、核磁気共鳴装置(日本電子社の「ECX400P」)を使用し、測定溶媒として重クロロホルムを用いて行った。
反応物として、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(BPFL、3.597g、10.3mmol)、2,6−ジフルオロベンゾニトリル(DFBN、1.433g、10.3mmol)、炭酸カリウム(2.850g、20.6mmol)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)15mL及びトルエン3mLを用いた以外は、実施例1と同様な操作を行い、重合体6の粉体を得た。この重合体6の収量は4.3gであり、収率は93%であった。
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(3.597g、10.3mmol)に代えて、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(1.799g、5.1mmol)及びレゾルシノール(0.562g、5.1mmol)を用いた以外は、比較例1と同様な操作を行い、重合体7の粉体を得た。この重合体7の収量は3.1gであり、収率は90%であった。
実施例1〜5及び比較例1,2の重合体1〜7について、下記方法に従い重量平均分子量(Mw)を評価した。実施例1〜4及び比較例1,2の重合体1〜4、6及び7について、下記方法に従いガラス転移温度(Tg)、屈折率(nD)、アッベ数(νD)及び応力光学係数(CR)を評価した。また、実施例1〜5の重合体1〜5について、非晶性であるか否かを確認した。実施例1〜4及び比較例1,2の重合体1〜4、6及び7の評価の結果を表1に示す。
重合体1〜7のMwは、GPC装置(東ソー社の「HLC−8220型」)を使用し、下記条件で測定した。
カラム:カラム(「SuperH2000」及び「SuperH4000」)と、ガードカラム(「SuperH−L」)とを連結
展開溶媒:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
流速:1.0mL/分
試料濃度:0.67質量%
試料注入量:100μL
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
重合体1〜4、6及び7のガラス転移温度は、DSC装置(Rigaku社の「Thermo Plus DSC8230」)を用いて得られたサーモグラムから算出した。DSC測定は、窒素下、昇温速度を20℃/分として行った。
ガラス転移温度は、サーモグラムでのDSCの昇温曲線において、ベースラインと変曲点での接線との交点に対応する温度として算出した。変曲点は、サーモグラムのDDSC(DSCの微分値)曲線におけるピークに対応する温度とした。また、DSCのベースラインの確認には、適宜DDSC曲線を参照した。
ガラス転移温度(Tg)は、200℃以下である場合を「A」、200℃超の場合を「B」として評価した。
重合体1〜4、6及び7を適量の塩化メチレンに溶解させたものをガラス板上にキャスト成膜し、常温常圧下にて一晩乾燥させた。次いで真空乾燥機にて残存塩化メチレンを除去し、重合体1〜4、6及び7のフィルムを得た。これらのフィルムの屈折率を、Metricon社の「プリズムカプラ モデル2010」にて測定した。屈折率は、408nm、633nm、828nmの3波長にて測定し、Cauchyの式を用いてD線(589nm)での屈折率(nD)を求めた。F線(486nm)及びC線(656nm)の屈折率についても同様にして求め、アッベ数(νD)を算出した。
屈折率(nD)は、1.670以上である場合を「A」、1.670未満の場合を「B」として評価した。
アッベ数(νD)は、18.0以下である場合を「A」、18.0超の場合を「B」として評価した。
応力光学係数CRは、公知の方法(Polymer Journal、Vol.27、No.9、P.943〜950(1995))により求めた。上記屈折率評価用に成膜したフィルムに数種類の荷重をかけ、Tg+20℃の温度条件下にて加熱延伸し、荷重をかけたままゆっくりと室温まで冷却した。フィルムに加えた応力と、生じた位相差(測定波長550nm)とからCRを計算した。位相差の測定には大塚電子社の「RETS分光器」を用いた。応力光学係数(CR)は、絶対値(|CR|)が1,000Br以下である場合を「A」、1,000Br超の場合を「B」として評価した。
重合体1〜5の結晶性は、ガラス転移温度(Tg)[℃]を算出する際に用いたDSC測定のサーモグラムから確認した。このサーモグラムにおいて、ガラス転移温度(Tg)よりも高温域において明確な吸熱ピークを確認できなかった場合に非晶性であると判断した。ここで、実施例1の重合体1のサーモグラムを図1に示す。このサーモグラムは、横軸が温度(℃)、縦軸(左側)がDSC(mW)、縦軸(右側)がDDSC(mW/min)である。図1から分かるように、実施例1の重合体1では、ガラス転移温度(Tg)である195℃よりも高温域に明確な吸熱ピークは見られない。このような場合に、重合体が非晶性であると推察した。
Claims (10)
- 下記式(1−1)で表される第1構造単位を主鎖中に有し、
下記式(2−1−1)で表される構造単位、下記式(2−2−1)で表される構造単位又はこれらの組み合わせである第2構造単位を主鎖中にさらに有する光学材料用非晶性重合体。
- 下記式(3)で表される構造単位、下記式(4)で表される構造単位又はこれらの組み合わせである第3構造単位をさらに有する請求項1に記載の光学材料用非晶性重合体。
- 下記式(1−1)で表される第1構造単位を主鎖中に有し、
下記式(3)で表される構造単位、下記式(4)で表される構造単位又はこれらの組み合わせである第3構造単位をさらに有する光学材料用非晶性重合体。
- 上記第2構造単位が上記式(2−1−1)で表され、
下記式(3)で表される構造単位、下記式(4)で表される構造単位又はこれらの組み合わせである第3構造単位をさらに有する請求項1に記載の光学材料用非晶性重合体。
- 上記第2構造単位が上記式(2−2−1)で表される請求項1に記載の光学材料用非晶性重合体。
- ガラス転移温度が100℃以上300℃以下である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の光学材料用非晶性重合体。
- 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の光学材料用非晶性重合体と、有機溶媒とを含有する樹脂組成物。
- 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の光学材料用非晶性重合体を主成分とする樹脂ペレット。
- 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の光学材料用非晶性重合体を主成分とする樹脂成形体。
- 光学部品である請求項9に記載の樹脂成形体。
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