JP6428105B2 - ニッケルコバルトマンガン化合物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
1−1.組成
1−2.平均粒径
1−3.粒度分布
2.ニッケルコバルトマンガン化合物の製造方法
2−1.核生成工程
2−2.粒子成長工程
2−3.洗浄工程
2−4.乾燥工程
本実施の形態にかかるニッケルコバルトマンガン化合物は、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物と、ニッケルコバルトマンガン複合炭酸塩との複合物であり、微細な一次粒子が凝集して形成された略球状の二次粒子から構成されている。ニッケルコバルトマンガン化合物は、小粒径で粒径均一性が高く、且つ高密度(タップ密度)であるため、非水系電解質二次電池用正極活物質の原料(前駆体)として用いることができる。
ニッケルコバルトマンガン化合物は、一般式1:NixCoyMnzMt(OH)2+a(但し、式中において、x+y+z+t=1、0.05≦x≦0.45、0.05≦y≦0.45、0.6≦z≦0.9、0≦t≦0.1、0≦a≦0.5を満たし、Mは、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Wから選択される1種以上の添加元素である。)で表されるニッケルコバルトマンガン複合水酸化物と、一般式2:NixCoyMnzMtCO3+a(但し、式中において、x+y+z+t=1、0.05≦x≦0.45、0.05≦y≦0.45、0.6≦z≦0.9、0≦t≦0.1、0≦a≦0.5を満たし、Mは、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Wから選択される1種以上の添加元素である。)で表されるニッケルコバルトマンガン複合炭酸塩との複合物である。
ニッケルコバルトマンガン化合物は、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Wから選択される1種以上の添加元素が、所定の原子数比tの範囲内で、二次粒子の内部に均一に分布及び/又は二次粒子の表面を均一に被覆していることが好ましい。
ニッケルコバルトマンガン化合物の一次粒子は、その平均粒径が10nm〜100nmである。ニッケルコバルトマンガン化合物では、ニッケルコバルトマンガン化合物の一次粒子を10nm〜100nmとすることで、所定の平均粒径を有する略球状の二次粒子を形成することができる。
ニッケルコバルトマンガン化合物は、その粒度分布の広がりを示す指標である〔(d90−d10)/平均粒径〕が0.55以下である。
本実施の形態にかかるニッケルコバルトマンガン化合物の製造方法(以下、単に「化合物の製造方法」と呼称する場合もある。)では、晶析反応によってニッケルコバルトマンガン化合物粒子を得た後に、その化合物粒子を洗浄及び乾燥することで、ニッケルコバルトマンガン化合物を製造する。より詳細には、化合物の製造方法は、図1に示すように、ニッケルコバルトマンガン化合物粒子の核生成を行う(A)核生成工程と、核生成工程において生成された核を成長させる(B)粒子成長工程とを有している。
まず、核生成工程について、図1を参照して説明する。図1に示すように、核生成工程では、反応槽において反応前水溶液と混合水溶液とをそれぞれ作製し、反応前水溶液を作製した反応槽内に混合水溶液を供給し、更に炭酸ガスを吹き込むことにより、核生成反応水溶液を生成して核生成反応を行う。なお、核生成工程では、必要に応じて、混合水溶液を作製した反応槽内に反応前水溶液を供給し、更に炭酸ガスを吹き込んで核生成反応水溶液を生成してもよい。
核生成工程では、反応槽に、アルカリ水溶液及び/又はアンモニウムイオン供給体と水とを供給し、これらを混合して反応前水溶液を生成する。
核生成工程では、反応前水溶液の反応槽とは別の反応槽中で、複数の金属化合物を所定の割合でそれぞれ水に溶解し、混合水溶液を生成する。
核生成工程では、反応前水溶液及び混合水溶液が供給された反応槽中に、炭酸ガスを吹き込んで核生成反応水溶液を生成する。これにより、核生成工程では、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物の一部を炭酸化して、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物とニッケルコバルトマンガン複合炭酸塩との複合物を得ることができる。
核生成工程では、反応前水溶液及び混合水溶液が供給された反応槽中に、炭酸ガスを吹き込んで核生成反応水溶液を生成する。
次に、粒子成長工程について、図1を参照して説明する。図1に示すように、粒子成長工程では、核生成工程で得られた核生成反応水溶液のpH値が所定の範囲となるように調整し、更に炭酸ガスを反応槽内に吹き込むことにより、粒子成長反応水溶液を生成して粒子成長反応を行い、ニッケルコバルトマンガン化合物粒子を得る。
粒子成長工程では、粒子成長反応水溶液のpH値が、液温25℃基準で6.5〜10.5、好ましくは6.8〜9.5の範囲となるように制御する必要がある。粒子成長反応水溶液のpH値が10.5を超える場合には、不純物カチオンが残留しやすくなるため、好ましくない。また、粒子成長反応水溶液のpH値が6.5未満では、不純物アニオンが残留しやすくなるため、好ましくない。
粒子成長反応水溶液中のアンモニウムイオン濃度は、0g/L〜20g/Lの範囲内で一定値に保持することが好ましい。アンモニウムイオン濃度が20g/Lを超えると、均質にニッケルコバルトマンガン化合物粒子の核を成長させることができなくなる場合がある。また、アンモニウムイオン濃度が変動すると、金属イオンの溶解度が変動し、均一な化合物粒子の核の成長が阻害されるため、一定値に保持することが好ましい。なお、アンモニウムイオン濃度の下限値は、必要に応じて適宜調整することができ、特に限定されない。従って、反応水溶液中のアンモニウムイオン濃度は、アンモニウムイオン供給体の供給量を調整することにより、0g/L〜20g/Lとなるように調節することが好ましい。
ニッケルコバルトマンガン化合物粒子の粒径は、粒子成長反応の時間により制御することができる。即ち、粒子成長工程では、所望の粒径に成長するまで粒子成長反応を継続すれば、所望の粒径を有するニッケルコバルトマンガン化合物粒子を得ることができる。
化合物の製造方法では、粒子成長工程における反応が完了するまで生成物であるニッケルコバルトマンガン化合物粒子を回収しない方式の装置を用いる。そのような装置としては、例えば、撹拌機が設置された通常に用いられるバッチ反応槽等である。化合物の製造方法において、かかる装置を採用すると、一般的なオーバーフローによって生成物を回収する連続晶析装置のように、成長中の粒子がオーバーフロー液と同時に回収されるという問題が生じないため、粒度分布が狭く、粒径の揃った粒子を得ることができる。
洗浄工程では、上述した通りの粒子成長工程で得られたニッケルコバルトマンガン化合物粒子を含むスラリーを洗浄する。まず、洗浄工程では、ニッケルコバルトマンガン化合物粒子を含むスラリーを濾過した後、水洗し、再度濾過する。濾過は、通常用いられる方法で行えばよく、例えば、遠心機、吸引濾過機が用いられる。
乾燥工程では、洗浄工程で洗浄したニッケルコバルトマンガン化合物粒子を乾燥する。まず、乾燥工程では、例えば、乾燥温度を100℃〜230℃として、洗浄済みのニッケルコバルトマンガン化合物粒子を乾燥する。この乾燥を終えると、乾燥工程では、ニッケルコバルトマンガン化合物を得ることができる。
実施例1では、ニッケルコバルトマンガン化合物粒子を、以下のようにして作製した。
まず、核生成工程では、反応槽(5L)内に、水を約1Lの量まで入れて撹拌しながら、槽内温度を40℃に設定した。このときの反応槽内は、大気雰囲気(酸素濃度:21容量%)とした。核生成工程では、この反応槽内の水に、25質量%アンモニア水を適量加えて、反応液中のアンモニウムイオン濃度を15g/Lに調節して反応前水溶液とした。
粒子成長工程では、核生成工程における核生成終了後、反応水溶液のpH値が液温25℃基準で9.0になるように、硫酸を徐々に添加し調整した後、25質量%水酸化ナトリウム水溶液の供給を開始し、アンモニア水溶液を添加しアンモニウムイオン濃度を15g/Lに保持してpH値を液温25℃基準で9.0に制御したまま、3時間の晶析を継続し粒子成長を行い、撹拌を止めて、晶析を終了させた。そして、粒子成長工程では、晶析により得られた生成物を、水洗、濾過、乾燥させて化合物を得た。
実施例2では、核生成工程及び粒子成長工程におけるアンモニウムイオン濃度を10g/Lとした以外は、実施例1と同様にして、化合物を得ると共にタップ密度と粒度分布を測定し、その結果を表1に示した。
実施例3では、核生成工程及び粒子成長工程におけるアンモニウムイオン濃度を5g/Lとした以外は、実施例1と同様にして、化合物を得ると共にタップ密度と粒度分布を測定し、その結果を表1に示した。
実施例4では、核生成工程において、25質量%アンモニア水に替えて25質量%水酸化ナトリウム水溶液により、pH値を液温25℃基準で8.5としたことと、粒子成長工程において、アンモニアを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、化合物を得ると共にタップ密度と粒度分布を測定し、その結果を表1に示した。更に、実施例4では、得られた化合物の形状を電子顕微鏡により1000倍及び5000倍で観察したところ、図5及び図6に示すように、実施例1で得られた粒子よりも更に緻密な球状粒子をなしていた。
比較例1では、核生成工程及び粒子成長工程において、炭酸ガスを吹き込まなかったこと、アンモニウムイオン濃度を13g/Lとしたこと、及びpH値を液温25℃基準で11.0としたこと以外は、実施例1と同様にして、化合物を得ると共にタップ密度と粒度分布を測定し、その結果を表1に示した。更に、比較例1では、得られた化合物の形状を電子顕微鏡により1000倍及び5000倍で観察したところ、図7及び図8に示すように、粗密な板状結晶の凝集粒子をなしていた。
実施例1〜実施例4において得られたニッケルコバルトマンガン化合物は、表1に示す通り、平均粒径及び粒度分布の広がりを示す指標である〔(d90−d10)/平均粒径〕値の何れもが、好ましい範囲にあった。
Claims (12)
- 晶析反応により得られるニッケルコバルトマンガン化合物粒子からニッケルコバルトマンガン化合物を製造するニッケルコバルトマンガン化合物の製造方法であって、
前記ニッケルコバルトマンガン化合物は、一般式1:NixCoyMnzMt(OH)2+aで表されるニッケルコバルトマンガン複合水酸化物と、一般式2:NixCoyMnzMtCO3+aで表されるニッケルコバルトマンガン複合炭酸塩との複合物(但し、式中において、x+y+z+t=1、0.05≦x≦0.45、0.05≦y≦0.45、0.6≦z≦0.9、0≦t≦0.1、0≦a≦0.5を満たし、Mは、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Wから選択される1種以上の添加元素である。)であり、
ニッケルを含有する金属化合物、コバルトを含有する金属化合物及びマンガンを含有する金属化合物を含む混合水溶液と、アルカリ水溶液及び/又はアンモニウムイオン供給体を含有する反応前水溶液とを含む核生成反応水溶液に、炭酸ガスを吹き込みながら核生成を行う核生成工程と、
前記核生成後の前記核生成反応水溶液を、液温25℃基準におけるpH値が6.5〜10.5となるように制御した粒子成長反応水溶液に、炭酸ガスを吹き込みながら核成長を行い、ニッケルコバルトマンガン化合物粒子を得る粒子成長工程とを有することを特徴とするニッケルコバルトマンガン化合物の製造方法。 - 前記炭酸ガスの吹き込み量が、添加金属の全モル量の1倍〜5倍であることを特徴とする請求項1に記載のニッケルコバルトマンガン化合物の製造方法。
- 前記核生成工程では、前記核生成反応水溶液中のアンモニウムイオン濃度を、0g/L〜15g/Lの範囲内に維持し、前記粒子成長工程では、前記粒子成長反応水溶液中のアンモニウムイオン濃度を、0g/L〜20g/Lの範囲内に維持することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のニッケルコバルトマンガン化合物の製造方法。
- 前記核生成後の前記核生成反応水溶液は、5分〜300分間エージングして前記粒子成長工程で用いることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のニッケルコバルトマンガン化合物の製造方法。
- 前記粒子成長工程では、前記粒子成長反応水溶液として、前記核生成工程において形成された核を含有する前記核生成反応水溶液を、該核を含有する核生成反応水溶液とは異なる水溶液に対して添加したものを用いることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のニッケルコバルトマンガン化合物の製造方法。
- 前記粒子成長工程では、核成長反応の開始前から該核成長反応中の間の何れかで、前記粒子成長反応水溶液の液体成分の一部を排出することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載のニッケルコバルトマンガン化合物の製造方法。
- 前記核生成工程及び前記粒子成長工程では、前記核生成反応水溶液及び前記粒子成長反応水溶液の温度を、30℃以上に維持することを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載のニッケルコバルトマンガン化合物の製造方法。
- 前記核生成工程では、前記混合水溶液に前記1種以上の添加元素を含む塩を溶解させた水溶液を添加した後に、又は、前記混合水溶液と前記1種以上の添加元素を含む塩を溶解させた水溶液とを同時に、前記アンモニウムイオン供給体を少なくとも含む反応前水溶液に添加して、前記核生成反応水溶液とすることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載のニッケルコバルトマンガン化合物の製造方法。
- 前記粒子成長工程で得られた前記ニッケルコバルトマンガン化合物粒子を、前記1種以上の添加元素で被覆することを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載のニッケルコバルトマンガン化合物の製造方法。
- 前記添加元素の被覆方法は、
所定のpHとなるように制御された前記ニッケルコバルトマンガン化合物粒子が懸濁した液中に、前記1種以上の添加元素を含む水溶液を添加して、前記ニッケルコバルトマンガン化合物粒子の表面に前記1種以上の添加元素を析出させる方法、
前記ニッケルコバルトマンガン化合物粒子と前記1種以上の添加元素を含む塩とが懸濁したスラリーを噴霧乾燥させる方法、
前記ニッケルコバルトマンガン化合物粒子と前記1種以上の添加元素を含む塩とを固相法で混合する方法
の何れかであることを特徴とする請求項9に記載のニッケルコバルトマンガン化合物の製造方法。 - 一般式1:NixCoyMnzMt(OH)2+aで表されるニッケルコバルトマンガン複合水酸化物と、一般式2:NixCoyMnzMtCO3+aで表されるニッケルコバルトマンガン複合炭酸塩との複合物(但し、式中において、x+y+z+t=1、0.05≦x≦0.45、0.05≦y≦0.45、0.6≦z≦0.9、0≦t≦0.1、0≦a≦0.5を満たし、Mは、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Wから選択される1種以上の添加元素である。)で表され、複数の一次粒子が凝集して形成された略球状の二次粒子から構成されてなり、
前記一次粒子は、平均粒径10nm〜100nmであり、前記二次粒子は、平均粒径が3μm〜10μmであり、粒度分布の広がりを示す指標である〔(d90−d10)/平均粒径〕が0.55以下であることを特徴とするニッケルコバルトマンガン化合物。 - 前記1種以上の添加元素が、前記二次粒子の内部に均一に分布及び/又は該二次粒子の表面を均一に被覆していることを特徴とする請求項11に記載のニッケルコバルトマンガン化合物。
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