JP6724769B2 - ニッケル複合水酸化物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ニッケル複合水酸化物の製造方法に関する。さらに詳しくは、非水系電解質二次電池用正極活物質の原材料となるニッケル複合水酸化物の製造方法に関する。
近年、携帯電話、ノート型パーソナルコンピュータなどの携帯電子機器の普及に伴い、高いエネルギー密度を有する小型で軽量な二次電池の開発が要求されている。また、ハイブリット自動車を始めとする電気自動車用の電池として、高出力の二次電池の開発も要求されている。このような要求を満たす非水系電解質二次電池として、リチウムイオン二次電池がある。リチウムイオン二次電池は、負極、正極、電解液などで構成され、負極および正極の活物質には、リチウムを脱離および挿入することが可能な材料が用いられている。
リチウム複合酸化物、とくに合成が比較的容易なリチウムコバルト複合酸化物を正極材料に用いたリチウムイオン二次電池は、4V級の高い電圧が得られるため、高エネルギー密度を有する電池として期待され、実用化が進んでいる。リチウムコバルト複合酸化物を用いた電池では、優れた初期容量特性やサイクル特性を得るための開発はこれまで数多く行われてきており、すでにさまざまな成果が得られている。
しかしながら、リチウムコバルト複合酸化物は、原料に高価なコバルト化合物を用いるため、このリチウムコバルト複合酸化物を用いる電池の容量あたりの単価は、ニッケル水素電池より大幅に高くなり、適用可能な用途はかなり限定されている。したがって、携帯機器用の小型二次電池についてだけではなく、電力貯蔵用や電気自動車用などの大型二次電池についても、正極材料のコストを下げ、より安価なリチウムイオン二次電池の製造を可能とすることに対する期待は大きく、その実現は、工業的に大きな意義があるといえる。
リチウムイオン二次電池用正極活物質の新たなる材料としては、コバルトよりも安価なニッケルを用いたリチウムニッケル複合酸化物を挙げることができる、このリチウムニッケル複合酸化物は、リチウムコバルト複合酸化物よりも低い電気化学ポテンシャルを示すため、電解液の酸化による分解が問題になりにくく、より高容量が期待でき、コバルト系と同様に高い電池電圧を示すことから、開発が盛んに行われている。しかし、純粋にニッケルのみで合成したリチウムニッケル複合酸化物を正極材料としてリチウムイオン二次電池を作製した場合、コバルト系に比ベサイクル特性が劣り、また、高温環境下で使用や保存により比較的電池性能を損ないやすいという欠点を有しているため、ニッケルの一部をコバルトやアルミニウムで置換したリチウムニッケル複合酸化物が一般的に知られている。
正極活物質としてのリチウムニッケル複合酸化物の一般的な製造方法としては、中和晶析法により前駆体であるニッケル複合水酸化物を作製し、この前駆体をリチウム化合物と混合して焼成し、リチウムニッケル複合酸化物を得る方法が知られている。リチウムニッケル複合酸化物の粉体特性は前駆体であるニッケル複合水酸化物の粉体特性の直接的な影響を受け、とくに最も基本的な粉体特性である粒度分布は前駆体の粒度分布をほぼ反映するため、前駆体を得る中和晶析の制御は極めて重要となっている。
中和による晶析では、生産性に優れた連続晶析が広く用いられている。このため連続晶析で長期間に渡って安定的に所定範囲内の粒径の粒子を得ることが重要であり、これら工程能力指数は生産能力を決める極めて重要な因子である。
ところで、所望の粒度分布を維持したまま、連続晶析を管理する方法として一般的にpHで管理する方法がある。例えば、特許文献1のようにpHを9.0〜11.0の範囲に管理してニッケルイオン濃度を10ppm以上に維持して晶析反応させる提案がされている。しかし、pHの測定は誤差が大きく粒度分布を狭い範囲に収めることができない。すなわち、pHの測定は電池材料プレカーサの晶析時のような高pHアルカリ誤差に加えて、高濃度スラリー系内に設置したpH電極の先端は水酸化物の被膜に覆われ、その影響で系内のpHの誤差が大きくなる。このため、得ようとするニッケル複合水酸化物の粒径にバラツキが生じやすいので工程能力指数が低くなる。
そこで、特許文献2ではニッケルイオン濃度で制御する提案がされている。
しかし、同文献ではニッケルイオン濃度は20mg/l以下であればよいとされているが制御範囲については特定されていない。そのため、ニッケルイオン濃度のバラツキが大きくなるので、この従来被術では安定した粒径を保つことはできない。
以上のしだいで、これまでの従来技術では、連続晶析工程において長期間安定して所望の粒径のニッケル複合水酸化物を得る方法はなかった。
特開平11−130440号公報 特開平7−245104号公報
本発明は、上記事情に鑑みて、非水系電解質二次電池正極活物質の原材料となるニッケル複合水酸化物を得るに当り、所定範囲内の粒径の粒子を長期にわたって安定的に得られる製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、非水系電解質二次電池用正極活物質の原材料となるニッケル複合水酸化物の製造方法に関して、鋭意研究を重ねた結果、中和晶析中のニッケルイオン濃度とアンモニウムイオン濃度を一定の範囲内で制御することで連続晶析工程を長期間安定させ、粒径に関する工程能力指数を向上させられることを見出し、本発明を完成するに至った。
第1発明のニッケル複合水酸化物の製造方法は、一般式Ni1−x−yCoAl(OH)2+α(0≦x≦0.3、0.005≦y≦0.15、x+y<0.3、0≦α≦0.5)で表される非水系電解質二次電池用正極活物質の原材料となるニッケル複合水酸化物の製造方法であって、反応溶液を撹拌しながら、少なくともニッケルを含む金属塩含有水溶液と、アルカリ金属水酸化物、およびアンモニウムイオン供給体を供給して中和反応させ、ニッケル複合水酸化物粒子を得る晶析工程において、アンモニウムイオン濃度を所定の管理値に保ちつつ、ニッケルイオン濃度を測定し、該ニッケルイオン濃度の目標値からの偏差に基づいてアルカリ金属水酸化物の供給量を変化させることで、ニッケルイオン濃度を目標値に収束させることを特徴とする。
第2発明のニッケル複合水酸化物の製造方法は、第1発明において、前記アンモニウムイオン濃度の管理幅を、管理値から±10%以内の範囲に制御することを特徴とする。
第3発明のニッケル複合水酸化物の製造方法は、第1発明または第2発明において、前記ニッケルイオン濃度の目標幅を、目標値から±20%以内の範囲に収束させることを特徴とする。
第4発明のニッケル複合水酸化物は、一般式Ni1−x−yCoAl(OH)2+α(0≦x≦0.3、0.005≦y≦0.15、x+y<0.3、0≦α≦0.5)で表される非水系電解質二次電池用正極活物質の原材料となるニッケル複合水酸化物であって、レーザー回折散乱法により測定した粒度分布から求められる相対標準偏差が、0.06以下であることを特徴とする。
第1発明によれば、アンモニウムイオン濃度を所定の管理値に保ちつつ、ニッケルイオン濃度を測定し、該ニッケルイオン濃度の目標値からの偏差に基づいてアルカリ金属水酸化物の供給量を変化させることで、ニッケルイオン濃度を目標値に収束させる。すなわち、誤差の生じやすいpHは測定しないで、誤差の生じにくいニッケルイオン濃度を間接指標としてpHを調整するので、連続晶析工程を安定させ、所望の粒度分布の粒子を長期にわたって安定して製造することができる。
第2発明によれば、アンモニウムイオン濃度の管理幅を管理値から±10%以内という狭い範囲に管理すると、濃度管理を正確に行う前提が成立するので、所望の粒度分布の粒子を長期にわたってより安定して製造することができる。
第3発明によれば、ニッケルイオン濃度の目標幅を目標値から±20%の範囲内に収めると、所望の粒度分布の粒子を長期にわたってより安定して製造することができる。
第4発明によれば、粒径の均一性に優れたニッケル複合水酸化物を前駆体とするので、得られたリチウムニッケル複合酸化物は、粒度分布の均一性に優れ、正極活物質として優れた特性が得られる。したがって、本発明の工業的価値はきわめて高いものといえる。
本発明に係るニッケル複合水酸化物の製造方法の概念図である。 本発明に係るニッケル複合水酸化物の製造方法の説明図である。
以下、図1および図2を参照しながら、本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質の原材料となるニッケル複合水酸化物の製造方法を詳細に説明する。
(組成)
本発明に係るニッケル複合水酸化物の組成は、下記一般式に表わされるとおりである。
一般式Ni1−x−yCoAl(OH)2+α
ここで、x、y、αの値は以下のとおりである。
0≦x≦0.3、0.005≦y≦0.15、x+y<0.3、0≦α≦0.5。
(製造方法)
本発明に係るニッケル複合水酸化物の製造方法は、図2に示すように、反応槽1に、少なくともニッケルとアルミニウムを含む金属塩含有水溶液(金属塩を含む混合水溶液をいう)と、アルカリ金属水酸化物、およびアンモニウムイオン供給体を供給し、撹拌機2で撹拌しながら中和反応させる中和反応工程を用いることが基本である。さらに、反応槽1からオーバーフローした中和反応によって生成した粒子を含む反応水溶液を回収して固液分離し、水洗し、乾燥することにより、ニッケル複合水酸化物粒子を製造する。
本発明は、上記中和反応工程におけるニッケルイオン濃度の調整方法に特徴があるが、その方法は図1に示すように、アンモニウムイオン濃度を所定の管理幅で管理値に保った状態で、ニッケルイオン濃度を測定し、このニッケルイオン濃度の目標値からの偏差に基づいてアルカリ金属水酸化物の供給量を変化させることで、ニッケルイオン濃度を目標値における目標幅内に収束させるものである。
本発明では、ニッケル複合水酸化物の粒径を左右するpHを直接測定しないで、ニッケルイオン濃度を測定することにより、間接的に粒径を制御することとしている。その理由は、pH測定は高pHアルカリ誤差や、高濃度スラリー系内に設置したpH電極の先端が水酸化物の被膜に覆われることに起因する系統誤差(測定誤差や測定器誤差)が不可避であるが、アンモニウムイオン濃度とニッケルイオン濃度は測定値に誤差が生じにくいので、これらの濃度測定値を用いた方が、製造すべきニッケル複合水酸化物の粒度分布管理が正確に行えることにある。
アンモニウムイオン濃度の管理値は、ニッケルイオン濃度によって変動することもあるが、10g/L〜30g/Lをアンモニウムイオン濃度の設定範囲とし、この設定範囲の中で管理値を定めることが好ましい。
ニッケルイオン濃度の目標値は、所望のニッケル複合水酸化物の粒径によって変動することもあるが、10mg/L〜30mg/Lをニッケルイオン濃度の設定範囲とし、この設定範囲の中で目標値を定めることが好ましい。
図2に示すように、反応槽1内におけるスラリーのアンモニウムイオンとニッケルイオンの濃度測定は本発明で必須となる。中和反応工程におけるそれぞれの濃度測定は、連続計測してもよいが、多くの場合、数時間おきの計測で足りる。そのため、スラリーをサンプル採取し、そのサンプルについて分析器にかけ濃度を出せばよい。
アンモニウムイオン濃度の分析には、公知のアンモニウムイオンメーターが用いられ、それには、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製のOrion STAR A324(商品名)などが利用できる。ニッケルイオン濃度の分析には、公知のデジタルパックテスト器が用いられ、それには、共立理化学研究所製のDPM-NiD(商品名)などが利用できる。
図1に示すように、本発明において、アンモニウムイオン濃度を所定の管理幅に保つ理由は、ニッケルイオン濃度の計測値のみをみてアルカリ金属水酸化物の供給量の必要調整値を判断するためである。
この趣旨から、本発明におけるアンモニウムイオン濃度は、管理値から±10%以内の範囲を管理幅として制御することが好ましい。管理値の管理幅が管理値から±10%以内であると、ニッケルイオン濃度による粒径の制御を適正に行うことができる。管理幅が±10%の範囲を外れると粒径の制御を適正に行うことができなくなり、粒径に関する高い工程能力指数が得られないことがある。
アンモニウムイオン濃度が管理幅に入っている場合(つまり、一定の場合)、ニッケルイオン濃度のみがアルカリ金属水酸化物の供給量に連動して変化する。このため、ニッケルイオン濃度を測定して、その測定値と目標値との間の偏差に基づいてアルカリ金属水酸化物の供給量を増減させ、ニッケルイオン濃度を目標値の目標幅内に収束させることができる。
上記のように、ニッケルイオン濃度は管理すべき粒径の指標となっているので、ニッケルイオン濃度は目標値から±20%以内を目標幅とすることが好ましい。ニッケルイオン濃度は、ニッケル複合水酸化物の粒子径に直接影響するので、ニッケルイオン濃度が目標値における目標幅に収束していれば、得られるニッケル複合水酸化物の粒度分布は、望む範囲に高い精度で制御することができる。
ここで、望ましい粒度分布の範囲は、工程管理の指標である工程能力指数が1.33を超える値であり、より望ましくは1.67以上である。
一方、ニッケルイオン濃度の目標値が、±20%の目標幅の範囲を外れると、反応溶液中のニッケル複合水酸化物の粒径の標準偏差が大きくなり、結果より高い工程能力指数が得られなくなる。
アンモニウムイオン濃度の調整は、アンモニウムイオン供給体の供給量を加減する等の公知の方法で行える。アンモニウムイオン供給体にはアンモニウムイオン含有水溶液を用いることができ、アンモニウムイオン含有水溶液としては、たとえば、アンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム、フッ化アンモニウムなどを使用することができる。不純物混入の抑制や取り扱い性の観点から、アンモニア含有水溶液を供給することが好ましい。
ニッケルイオン濃度の調整は、アルカリ金属水酸化物の供給量を加減する等の公知の方法で行える。アルカリ金属水酸化物としては、たとえば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどを使用することができる。コスト低減や取り扱い性の観点から、水酸化ナトリウム水溶液を供給することが好ましい。
得られるニッケル複合水酸化物の粒径は、アンモニウムイオン濃度が高くなるほど、またニッケルイオン濃度が高くなるほど、大きくなる傾向にある。したがって、事前の予備試験などで、目標とする粒径のニッケル複合水酸化物が得られるアンモニウムイオン濃度の管理値とニッケルイオン濃度の目標値を設定しておき、それぞれの管理幅および目標幅の範囲内で制御できるようにアンモニウムイオン供給体とアルカリ金属水酸化物の供給量を調整すればよい。
本発明の製造方法の利点をまとめると以下のとおりである。
(1)アンモニウムイオン濃度を所定の管理値に保ちつつ、ニッケルイオン濃度を測定し、そのニッケルイオン濃度の目標値からの偏差に基づいてアルカリ金属水酸化物の供給量を変化させることで、ニッケルイオン濃度を目標値に収束させるので、所望の粒度分布の粒子を長期にわたって安定して製造することができる。とくに、反応系内のアンモニウムイオン濃度を管理値から±10%の範囲内に制御した状態で、ニッケルイオン濃度を目標値から±20%の範囲内で制御すると、所望の粒度分布の粒子を長期にわたって、より安定して製造することができる。
(2)以上のようにすると、適正な粒度分布のニッケル複合水酸化物が得られるので、ニッケル複合水酸化物の生産性の指標である工程能力指数を向上させ、安定的にニッケル複合水酸化物を製造することができる。すなわち、得られるニッケル複合水酸化物は、レーザー回折散乱法により測定した体積基準の粒度分布から求められる標準偏差を平均粒径で除した相対標準偏差が、0.06以下となる。このような粒径の均一性に優れたニッケル複合水酸化物を前駆体とするので、得られたリチウムニッケル複合酸化物は、粒度分布の均一性に優れ、正極活物質として優れた特性が得られる。したがって、本発明の工業的価値はきわめて高いものといえる。
実施例および比較例によって、本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
まず基準条件として、邪魔板を4枚取り付けた槽容積200Lのオーバーフロー式晶析反応槽に、純水170L、25質量%水酸化ナトリウム水溶液、25質量%アンモニア水溶液を添加して、槽内アンモニウムイオン濃度を11〜13g/Lに、pHを12.40に調整した。49℃に加温した反応溶液を直径25cmの6枚羽根フラットタービン翼を用いて280rpmで攪拌しつつ、定量ポンプを用いて、ニッケルモル濃度1.4mol/L、コバルトモル濃度0.3mol/Lの硫酸ニッケルコバルト混合水溶液を580ml/分、アルミニウム濃度0.43mol/Lのアルミン酸ナトリウム水溶液を92ml/分で供給し、併せて25質量%水酸化ナトリウム水溶液および25質量%アンモニア水溶液を断続的に添加し、ニッケルイオン濃度が目標値を15mg/Lとして目標幅が±2mg/L(目標値の±13%)となる13〜17mg/L、アンモニウムイオン濃度が管理値を12g/Lとして管理幅が±1g/L(管理値の±8%)となる11〜13g/Lに維持されるように制御し、中和晶析反応によりニッケル複合水酸化物の粒子を生成させた。このとき、pHメーターにより測定したpHは12.6〜13.0であった。
反応槽内での中和晶析反応が安定した後、オーバーフローした反応溶液を回収して固液分離後、水洗し、乾燥してニッケル複合水酸化物を得た。得られたニッケル複合水酸化物の体積基準の粒度分布をレーザー回折散乱法により測定したところ、平均粒径は12.5μmであり、標準偏差は0.22μmであった。また、標準偏差を平均粒径で除した相対標準偏差は0.018であった。粒子径と粒度分布から計算した工程能力指数Cpkは1.89であった。
(実施例2)
ニッケルイオン濃度が目標値を10.5mg/Lとして目標幅が±1.5mg/L(目標値の±14%)となる9〜12mg/L、アンモニウムイオン濃度が管理値を12g/Lとして管理幅が±8g/L(管理値の±66%)となる4〜20g/Lとなるように制御した以外は、実施例1と同様にしてニッケル複合水酸化物を得た。
得られたニッケル複合水酸化物について実施例1と同様に計算すると、平均粒径は12.7μmであり、標準偏差は0.56μmであり、相対標準偏差は0.044であった。また工程能力指数Cpkは0.73であった。
(比較例1)
反応溶液のpHを、pHメーターの測定値に基づいて25質量%水酸化ナトリウム水溶液の供給量を調整して12.8に制御するとともに、アンモニウムイオン濃度が管理値を12g/Lとして管理幅が±1g/L(管理値の±8%)となる11〜13g/Lとなるように制御した以外は、実施例1と同様にしてニッケル複合水酸化物を得た。このときの、ニッケルイオン濃度は4〜35mg/Lで変動し、変動範囲の中心値は19.5mg/Lであり変動幅は±15.5mg/L(中心値の±75%)であった。
得られたニッケル複合水酸化物について実施例1と同様に計算すると、平均粒径は12.3μmであり、標準偏差は1.17μmであり、相対標準偏差は0.095であった。また工程能力指数Cpkは0.36であった。
(まとめ)
以上の実施例1および2の標準偏差と比較例1を対比すると分るように、本発明の製造方法によると得られたニッケル複合水酸化物の粒子の粒度分布は狭い範囲に収まっており、相対標準偏差が小さく工程能力指数も高いことが分かる。特に、ニッケルイオン濃度を目標幅の範囲内、アンモニウムイオン濃度を管理幅の範囲内に制御した実施例1では、粒度分布は非常に狭い範囲に収まっており、工程能力指数もより高いことが分かる。また、実施例1および2を前駆体として用いて公知の技術で得られたリチウムニッケル複合酸化物は、ニッケル複合水酸化物と同様に粒度分布が狭い範囲に収まっており、粒径の均一性に優れたものであることが確認された。
1 反応槽
2 撹拌機

Claims (4)

  1. 一般式Ni1−x−yCoAl(OH)2+α(0≦x≦0.3、0.005≦y≦0.15、x+y<0.3、0≦α≦0.5)で表される非水系電解質二次電池用正極活物質の原材料となるニッケル複合水酸化物の製造方法であって、
    反応溶液を撹拌しながら、少なくともニッケルを含む金属塩含有水溶液と、アルカリ金属水酸化物、およびアンモニウムイオン供給体を供給して中和反応させ、ニッケル複合水酸化物粒子を得る晶析工程において、
    アンモニウムイオン濃度を所定の管理値に保ちつつ、ニッケルイオン濃度を測定し、該ニッケルイオン濃度の目標値からの偏差に基づいてアルカリ金属水酸化物の供給量を変化させることで、ニッケルイオン濃度を目標値に収束させる
    ことを特徴とするニッケル複合水酸化物の製造方法。
  2. 前記アンモニウムイオン濃度の管理幅を、管理値から±10%の範囲内に制御する
    ことを特徴とする請求項1記載のニッケル複合水酸化物の製造方法。
  3. 前記ニッケルイオン濃度の目標幅を、目標値から±20%の範囲内に収束させる
    ことを特徴とする請求項1または2記載のニッケル複合水酸化物の製造方法。
  4. 一般式Ni1−x−yCoAl(OH)2+α(0≦x≦0.3、0.005≦y≦0.15、x+y<0.3、0≦α≦0.5)で表される非水系電解質二次電池用正極活物質の原材料となるニッケル複合水酸化物であって、
    レーザー回折散乱法により測定した粒度分布から求められる相対標準偏差が、0.06以下である
    ことを特徴とするニッケル複合水酸化物。
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