JP6443084B2 - 遷移金属複合水酸化物粒子とその製造方法、非水系電解質二次電池用正極活物質とその製造方法および非水系電解質二次電池 - Google Patents
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Description
反応槽内の雰囲気を、酸素濃度が1容量%以下の弱酸化性雰囲気ないしは非酸化性雰囲気に調整して、少なくともニッケル、コバルトおよびマンガンを含む混合水溶液と、アルカリ水溶液と、アンモニウムイオン供給体を含む水溶液を反応槽に供給し、混合することにより、液温25℃基準におけるpH値が12.0〜14.0であり、アンモニウムイオン濃度が3g/L〜20g/Lである核生成用水溶液を形成して、該核生成用水溶液の前記pH値および前記アンモニウムイオン濃度を維持しつつ、前記混合水溶液を供給することにより核生成を行う核生成工程と、
前記核生成工程後に、前記反応槽内の雰囲気を維持しつつ、前記核生成後の前記核生成用水溶液のpH値を調整することにより、または、成分調整水溶液を用意し、前記核生成後の前記核生成用水溶液もしくは該核生成用水溶液から一部液体を除去したものを、前記成分調整水溶液に供給することにより、液温25℃基準におけるpH値が、前記核生成用水溶液のpH値よりも低く、かつ、10.0〜12.0であり、アンモニウムイオン濃度が3g/L〜20g/Lである粒子成長用水溶液を形成して、該粒子成長用水溶液の前記pH値および前記アンモニウムイオン濃度を維持しつつ、前記混合水溶液を供給することにより、前記核生成工程で生成した核を成長させる粒子成長工程と、
を備えることを特徴とする。
本発明の遷移金属複合水酸化物粒子(以下、「複合水酸化物粒子」という)は、後述する製造方法によって得られ、一般式(A):NixCoyMnzMt(OH)2+a(x+y+z+t=1、0.05≦x≦0.3、0.1≦y≦0.4、0.6≦z≦0.8、0≦t≦0.1、0≦a≦0.5、Mは、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Wから選択される1種以上の添加元素)で表され、複数の板状一次粒子が凝集して形成された略球状の二次粒子から構成される。特に、本発明の複合水酸化物粒子は、二次粒子の平均粒径が4.0μm〜7.0μmであり、粒度分布の広がりを示す指標である〔(d90−d10)/平均粒径〕が0.6以下であることを特徴とする。
本発明の複合水酸化物粒子は、一般式(A)で表される組成となるように調整されることが必要となる。これにより、一般式(B)で表される正極活物質を容易に得ることが可能となる。すなわち、本発明の複合水酸化物粒子の組成は、正極活物質に求められる特性に応じて、正極活物質のうちのリチウムを除いた組成に準じたものとなる。
[二次粒子]
本発明の複合水酸化物粒子は、図3に示すように、複数の板状一次粒子が凝集して形成された略球状の二次粒子からなる。この二次粒子は、その全体が凝集した一次粒子が焼結して形成された構造であるが、その表面から中心部に通じる多数の空隙を有する多孔質構造を備える。このような二次粒子では、焼成工程において、粒子内部にリチウムを効率良く拡散させることができる。なお、本発明において、略球状には、球状のほか、楕円球状など、実質的に球状と判断され得る形状が含まれる。
本発明の複合水酸化物粒子は、後述する晶析工程(核生成工程および粒子成長工程)において、反応槽内の雰囲気(以下、「反応雰囲気」という)を弱酸化性雰囲気ないしは非酸化性雰囲気に厳密に管理することにより、その全体が特定の板状一次粒子のみの凝集体によって構成されるように調整される。
本発明の複合水酸化物粒子は、二次粒子の平均粒径が、4.0μm〜7.0μm、好ましくは5.0μm〜7.0μmに調整される。二次粒子の平均粒径は、この複合水酸化物粒子を前駆体とする正極活物質の平均粒径と相関する。このため、二次粒子の平均粒径を上記範囲に制御することにより、この複合水酸化物粒子を前駆体とする正極活物質の平均粒径と所定の範囲(4.0μm〜7.0μm)に調整することができる。
本発明の複合水酸化物粒子は、粒度分布の広がりを示す指標である〔(d90−d10)/平均粒径〕が、0.6以下、好ましくは0.56以下、より好ましくは0.48以下となるように調整される。正極活物質の粒度分布は、その前駆体である複合水酸化物粒子の影響を強く受ける。このため、微細粒子や粗大粒子が多く含む複合水酸化物粒子を前駆体とすると、これを前駆体とする正極活物質にも微細粒子や粗大粒子が多く含まれることとなり、この正極活物質を用いた二次電池の安全性、サイクル特性および出力特性を十分に改善することができない。これに対して、複合水酸化物粒子の段階で、〔(d90−d10)/平均粒径〕が0.6以下となるように調整しておけば、これを前駆体とする正極活物質の粒度分布を狭くすることができ、上述した問題を回避し、二次電池の安全性、サイクル特性および出力特性を改善することが可能となる。ただし、工業規模の生産を前提とした場合、複合水酸化物粒子として、〔(d90−d10)/平均粒径〕が過度に小さいものを使用することは現実的ではない。したがって、コストや生産性を考慮すると、〔(d90−d10)/平均粒径〕の下限値は、0.25程度とすることが好ましい。
本発明の複合水酸化物粒子の製造方法は、一般式(A):NixCoyMnzMt(OH)2+a(x+y+z+t=1、0.05≦x≦0.3、0.1≦y≦0.4、0.6≦z≦0.8、0≦t≦0.1、0≦a≦0.5、Mは、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Wから選択される1種以上の添加元素)で表される遷移金属複合水酸化物粒子の製造方法に関する。
本発明の複合水酸化物粒子の製造方法は、晶析工程を、核生成のみを行う核生成工程と、粒子成長のみを行う粒子成長工程の2段階に明確に分離するとともに、各工程における晶析条件、特に反応雰囲気を適切に制御することにより、上述した粒子構造、平均粒径および粒度分布を備える複合水酸化物粒子を得ることを可能とするものである。なお、本発明において、晶析条件の調整に必要な操作は、基本的には従来技術と同様であるため、本発明は、複合水酸化物粒子の工業規模の生産に広く適用することが可能である。
図1に示す実施態様では、はじめに、反応槽内の雰囲気を酸素濃度が1容量%以下の弱酸化性雰囲気ないしは非酸化性雰囲気に調整するとともに、反応槽内に、アルカリ水溶液とアンモニウムイオン供給体を含む水溶液に供給および混合して、液温25℃基準におけるpH値が12.0〜14.0、アンモニウムイオン濃度が3g/L〜20g/Lである反応前水溶液を調製する。なお、反応前水溶液のpH値はpH計により、アンモニウムイオン濃度はイオンメータにより、それぞれ測定することができる。
核生成工程終了後、前記核生成後の核生成用水溶液のpH値を調整して、そのpH値を、液温25℃基準で10.5〜12.0の範囲とし、かつ、アンモニウムイオンの濃度を3g/L〜20g/Lの範囲に維持することにより、粒子成長工程における反応水溶液である粒子成長用水溶液を形成する。この際、アルカリ水溶液の供給を調整することのみでpH値を調整することができるが、粒度分布の狭い複合水酸化物粒子を得る観点から、一旦、すべての水溶液の供給を停止した上で、pH値を調整することが好ましい。この場合、pH値の調整は、核生成水溶液に、原料となる金属化合物を構成する酸と同種の無機酸、たとえば、原料として硫酸塩を使用する場合には、硫酸を供給することにより行うことが好ましい。
上述のようにして得られる複合水酸化物粒子の粒径は、粒子成長工程や核生成工程における晶析反応時間、核生成用水溶液や粒子成長用水溶液のpH値や、混合水溶液の供給量により制御することができる。たとえば、核生成工程におけるpH値を高い値とすることにより、または、核生成工程の時間を長くすることにより、供給する混合水溶液に含まれる金属化合物の量を増やし、核の生成量を増加させることで、得られる複合水酸化物粒子の粒径を小さくすることが可能となる。反対に、核生成工程における核の生成量を抑制することで、得られる複合水酸化物粒子の粒径を大きくすることが可能となる。
上述した実施態様では、核生成工程の終了後、生成した核を含む核生成用水溶液のpH値を調整することで、核生成工程から粒子成長工程への移行を容易かつ迅速に行うことができるという利点がある。
[混合水溶液]
本発明においては、混合水溶液中の金属元素の比率が、概ね、得られる複合水酸化物粒子の組成と同じとなる。このため、混合水溶液は、目的とする複合水酸化物粒子の組成に応じて、各金属元素の含有量を適宜調整することが必要となる。たとえば、上述した一般式(A)で表される複合水酸化物粒子を得ようとする場合、混合水溶液中の金属元素の比率を、Ni:Mn:Co:M=x:y:z;t(ただし、x+y+z+t=1、0.05≦x≦0.3、0.1≦y≦0.4、0.6≦z≦0.8、0≦t≦0.1)となるように調整することが好ましい。
反応水溶液のpH値を調整するアルカリ水溶液は、特に制限されることはなく、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの一般的なアルカリ金属水酸化物水溶液を用いることができる。なお、アルカリ金属水酸化物を、直接、反応水溶液に添加することもできるが、pH制御の容易さから、水溶液として添加することが好ましい。この場合、アルカリ金属水酸化物水溶液の濃度を、20質量%〜50質量%とすることが好ましく、20質量%〜30質量%とすることがより好ましい。アルカリ金属水酸化物水溶液の濃度をこのような範囲に規制することにより、反応系に供給する溶媒量(水量)を抑制しつつ、添加位置で局所的にpH値が高くなることを防止することができるため、粒度分布の狭い複合水酸化物粒子を効率的に得ることができる。
アンモニウムイオン供給体を含む水溶液も、特に制限されることはなく、たとえば、アンモニア水、または、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウムもしくはフッ化アンモニウムなどの水溶液を使用することができる。
本発明の複合水酸化物粒子の製造方法においては、液温25℃基準におけるpH値を、核生成工程においては12.0〜14.0の範囲に、粒子成長工程においては10.5〜12.0の範囲に制御することが必要となる。なお、いずれの工程においても、晶析反応中のpH値の変動幅は、±0.2以内とすることが好ましい。pH値の変動幅が大きい場合、核生成量と粒子成長の割合が一定とならず、粒度分布の狭い複合水酸化物粒子を得ることが困難となる。
核生成工程においては、核生成用水溶液のpH値を、液温25℃基準で12.0〜14.0、好ましくは12.3〜13.5の範囲に制御することが必要となる。これにより、核の成長を抑制しつつ、核生成を優先させることができるため、この工程で生成する核を均一なものとすることができる。これに対して、pH値が12.0未満では、核生成とともに核(粒子)の成長が進行し、得られる複合水酸化物粒子の粒径が不均一となり、粒度分布が悪化する。一方、pH値が14.0を超えると、生成する核が微細になりすぎるため、核生成用水溶液がゲル化する問題が生じる。
粒子成長工程においては、粒子成長用水溶液のpH値を、液温25℃基準で、核生成工程におけるpH値よりも低く、かつ、10.5〜12.0、好ましくは11.0〜12.0の範囲に制御することが必要となる。これにより、新たな核の生成が抑制され、粒子成長を優先させることが可能となり、得られる複合水酸化物粒子を均質かつ粒度分布が狭いものとすることができる。これに対して、pH値が10.5未満では、アンモニウムイオン濃度が上昇し、金属イオンの溶解度が高くなるため、晶析反応の速度が遅くなるばかりでなく、粒子成長用水溶液中に残存する金属イオン量が増加し、生産性が悪化する。一方、pH値が12.0を超えると、粒子成長工程中の核生成量が増加し、得られる複合水酸化物粒子の粒径が不均一となり、粒度分布が悪化する。
反応水溶液中のアンモニウムイオン濃度は、核生成工程および粒子成長工程を通じて、3g/L〜20g/L、好ましくは5g/L〜15g/Lの範囲に維持することが必要となる。反応水溶液中においてアンモニウムイオンは錯化剤として機能するため、アンモニウムイオン濃度が3g/L未満では、金属イオンの溶解度を一定に維持することができないばかりか、反応水溶液がゲル化しやすくなり、一次粒子の性状が上述のように制御され、かつ、二次粒子の形状や粒径が整った複合水酸化物粒子を得ることが困難となる。一方、アンモニウムイオン濃度が20g/Lを超えると、金属イオンの溶解度が大きくなりすぎるため、反応水溶液中に残存する金属イオン量が増加し、組成ずれなどの原因となる。
本発明の複合水酸化物粒子の製造方法においては、核生成工程および粒子成長工程を通じて、反応雰囲気を酸素濃度が1容量%以下、好ましくは0.5容量%以下、より好ましくは0.3容量%以下の弱酸化性雰囲気ないしは非酸化性雰囲気に制御することが必要となる。このような反応雰囲気では、前記核生成水溶液および前記粒子成長用水溶液のpH値とアンモニウムイオン濃度をそれぞれの適正範囲に維持すると、両工程の全体として、一次粒子は適度な厚さおよび長径を有する板状一次粒子として析出するため、上述したその全体が複数の板状一次粒子が凝集して形成され、かつ、多孔質構造を有する複合水酸化物の二次粒子を得ることが可能となる。これに対して、反応雰囲気中の酸素濃度が1容量%を超えると、一次粒子は、板状一次粒子よりも小さな微細一次粒子として析出するようになるため、上述した構造を有する複合水酸化物粒子を得ることができない。
反応水溶液の温度(反応温度)は、核生成工程および粒子成長工程を通じて、好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃〜60℃の範囲に制御することが必要となる。反応温度が30℃未満の場合、反応水溶液の溶解度が低くなることに起因して核生成が起こりやすくなり、得られる複合水酸化物粒子の平均粒径や粒度分布の制御が困難となる。なお、反応温度の上限は、特に制限されることはないが、60℃を超えると、アンモニアの揮発が促進され、反応水溶液中のアンモニウムイオンを一定範囲に制御するために供給するアンモニウムイオン供給体を含む水溶液の量が増加し、生産コストが増加してしまう。
本発明の複合水酸化物粒子の製造方法では、上述したように、混合水溶液中に添加元素Mを含有する化合物を添加することで、粒子内部に添加元素Mが均一に分散した複合水酸化物粒子を得ることができる。しかしながら、より少ない添加量で、添加元素Mの添加による効果を得ようとする場合、粒子成長工程後に、得られた複合水酸化物粒子の表面を、添加元素Mを含む化合物で被覆する被覆工程を行うことが好ましい。
本発明の複合水酸化物粒子の製造方法では、晶析反応が完了するまで生成物を回収しない方式の装置、たとえば、バッチ反応槽を用いることが好ましい。このような装置であれば、オーバーフロー方式によって生成物を回収する連続晶析装置のように、成長中の粒子がオーバーフロー液と同時に回収されることがないため、粒度分布が狭い複合水酸化物粒子を容易に得ることができる。
(1)非水系電解質二次電池用正極活物質
本発明の正極活物質は、一般式(B):bLi2MnO3・(1−b)Li1+uNixCoyMnzMtO2(0.2≦b≦0.8、−0.05≦u≦0.2、x+y+z+t=1、0.1≦x≦0.4、0.2≦y≦0.8、0.1≦z≦0.4、0≦t≦0.1、Mは、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Wから選択される1種以上の添加元素)で表され、六方晶系の層状構造を有するリチウム過剰遷移金属複合酸化物粒子(以下、「リチウム過剰複合酸化物粒子」という)から構成される。この正極活物質は、前記本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法によって得られ、その全体が複数の板状一次粒子が凝集して形成された二次粒子からなり、板状一次粒子は、厚さが1.0μm以下、該厚さに対する長径の比率の平均値が1.5〜7.0であることを特徴とする。また、二次粒子の平均粒径が4.0μm〜7.0μmであり、粒度分布の広がりを示す指標である〔(d90−d10)/平均粒径〕が0.6以下であることを特徴とする。
本発明の正極活物質の組成は、一般式(B)によって表されるように調整される。このような正極活物質では、リチウム以外の金属元素(ニッケル、コバルト、マンガンおよび添加元素M)の原子数の総和(Me)に対する、リチウムの原子数の総和(Li)の比率(Li/Me)が、二次電池の充放電容量に与える影響が大きく、組成を一般式(B)によって表されるように調整することで、高容量化に寄与するLi2MnO3が合成される割合を増加させることができる。
[二次粒子]
本発明の正極活物質は、図4に示すように、その全体が複数の板状一次粒子が凝集して形成された略球状の二次粒子からなる。複数の板状一次粒子は、ランダムな方向に凝集していることが好ましく、これにより、二次粒子内に均一に空隙が形成された均質な構造となる。
正極活物質を構成する板状一次粒子は、厚さGに対する長径Lの比率の平均値(平均比率)L/Gが1.5〜7.0、好ましくは2.0〜6.0、より好ましくは2.0〜5.0の範囲に調整される。平均比率L/Gが1.5未満では、一次粒子が板状ではなくなって、塊状一次粒子の凝集により、正極活物質の比表面積が過度に大きくなり、サイクル特性が低下するばかりでなく、一次粒子間の空隙が多くなり、正極活物質の充填性が低下するおそれがある。一方、平均比率L/Gが7.0を超えると、板状一次粒子の立体障害が大きくなり、正極活物質の密度が低下し、充放電容量が減少するばかりでなく、二次粒子同士の接点が少なくなり、正極抵抗が増加するおそれがある。加えて、二次粒子の強度が低下し、電極作成時のプレス圧力により破壊されやすくなってしまう。
本発明の正極活物質は、平均粒径が4.0μm〜7.0μm、好ましくは5.0μm〜7.0μm、より好ましくは5.0μm〜6.0μmとなるように調整される。正極活物質の平均粒径がこのような範囲にあれば、この正極活物質を用いた二次電池の単位容積当たりの充放電容量を増加させることができるばかりでなく、安全性や出力特性も改善することができる。これに対して、平均粒径が4.0μm未満では、正極活物質の充填性が低下し、単位容積当たりの充放電容量を増加させることができない。一方、平均粒径が7.0μmを超えると、正極活物質の比表面積が大幅に低下し、二次電池を構成した場合に、電解液との反応面積が減少するため、出力特性を改善することができない。
本発明の正極活物質は、粒度分布の広がりを示す指標である〔(d90−d10)/平均粒径〕が、0.6以下、好ましくは0.55以下、より好ましくは0.52以下であり、きわめて粒度分布が狭いリチウム複合酸化物粒子によって構成される。このような正極活物質は、微細粒子や粗大粒子の割合が少なく、これを用いた二次電池は、安全性、サイクル特性および出力特性が優れたものとなる。
本発明の正極活物質は、比表面積が、1.0m2/g〜3.0m2/gであることが好ましく、1.3m2/g〜2.8m2/gであることがより好ましく、1.5m2/g〜2.5m2/gであることがさらに好ましい。比表面積をこのような範囲に制御することにより、この正極活物質を用いた二次電池の出力特性を十分に確保しつつ、サイクル特性を改善することが可能となる。これに対して、正極活物質の比表面積が1.0m2/g未満では、二次電池を構成した場合に、電解液との反応面積を確保することができず、出力特性が大幅に低下するおそれがある。一方、正極活物質の比表面積が3.0m2/gを超えると、電解液との反応性が高くなりすぎるため、サイクル特性を十分に改善することができないおそれがある。
本発明の正極活物質は、充填性の指標であるタップ密度が、1.5g/cm3以上であることが好ましく、1.6g/cm3以上であることがより好ましく、1.8g/cm3以上であることがさらに好ましい。タップ密度が1.5g/cm3未満では、充填性が低く、二次電池全体の容量特性を十分に改善することができない場合がある。一方、タップ密度の上限値は、特に制限されるものではないが、通常の製造条件での上限は、2.4g/cm3程度となる。
本発明の正極活物質の製造方法は、本発明の複合水酸化物粒子を前駆体として用い、一般式(B)で表され、六方晶系の層状構造を有するリチウム複合酸化物粒子からなり、上述した粒子構造、平均粒径、粒度分布を備える正極活物質を合成することができる限り、特に制限されることはない。しかしながら、工業規模の生産を前提とした場合、以下の方法を採用することで、このような正極活物質を効率よく合成することができる。すなわち、本発明の正極活物質の製造方法は、本発明の複合水酸化物粒子とリチウム化合物とを混合し、リチウム混合物を得る混合工程と、このリチウム混合物を、酸化性雰囲気中、特定の温度で焼成する焼成工程とを備える。なお、必要に応じて、これらの工程に、熱処理工程、仮焼工程および解砕工程などの工程を追加してもよい。以下、工程ごとに、本発明の正極活物質の製造方法を説明する。
本発明の正極活物質の製造方法においては、任意的に、混合工程の前に熱処理工程を設けて、複合水酸化物粒子を熱処理粒子としてからリチウム化合物と混合してもよい。ここで、熱処理粒子には、熱処理工程において余剰水分を除去された複合水酸化物粒子のみならず、熱処理工程により、酸化物に転換された遷移金属複合酸化物粒子(以下、「複合酸化物粒子」という)、または、これらの混合物も含まれる。
混合工程は、上述した複合水酸化物粒子または熱処理粒子に、リチウム化合物などのリチウムを含有する物質を混合して、リチウム混合物を得る工程である。
リチウム化合物として、水酸化リチウムや炭酸リチウムを使用する場合には、混合工程後、焼成工程の前に、リチウム混合物を、後述する焼成温度よりも低温、かつ、350℃〜800℃、好ましくは450℃〜780℃で、すなわち、水酸化リチウムまたは炭酸リチウムと複合水酸化物粒子または熱処理粒子との反応温度で仮焼する、仮焼工程を行ってもよい。これにより、複合水酸化物粒子または熱処理粒子中に、リチウムを十分に拡散させることができ、より均一なリチウム複合酸化物粒子を得ることができる。
焼成工程は、混合工程で得られたリチウム混合物を所定の条件で焼成し、複合酸化物粒子または熱処理粒子中にリチウムを拡散させて、リチウム過剰複合酸化物粒子(正極活物質)を合成する工程である。
リチウム混合物の焼成温度は、800℃〜1050℃とすることが好ましく、900℃〜1000℃とすることがより好ましい。焼成温度が800℃未満では、複合水酸化物粒子または熱処理粒子中にリチウムが十分に拡散せず、余剰のリチウムや未反応の複合水酸化物粒子または熱処理粒子が残存したり、得られるリチウム複合酸化物粒子の結晶性が不十分なものとなったりする。一方、焼成温度が1050℃を超えると、リチウム複合酸化物粒子同士が激しく焼結し、異常粒成長が引き起こされ、不定形な粗大粒子の割合が増加するおそれがある。
焼成時間のうち、上述した焼成時間での保持時間は、少なくとも2時間とすることが好ましく、4時間〜24時間とすることがより好ましい。焼成温度での保持時間が2時間未満では、正極活物質の合成が十分に進行しないおそれがある。
焼成時の雰囲気は、酸化性雰囲気とすることが好ましく、酸素濃度が18容量%〜100容量%の雰囲気とすることがより好ましく、上記酸素濃度の酸素と不活性ガスの混合雰囲気とすることが特に好ましい。すなわち、焼成は、大気ないしは酸素気流中で行うことが好ましく、電池特性を考慮すると、酸素気流中で行うことがより好ましい。酸素濃度が18容量%未満では、正極活物質の結晶性が不十分なものとなるおそれがある。
焼成工程によって得られたリチウム複合酸化物粒子は、凝集または軽度の焼結が生じている場合がある。このような場合、リチウム複合酸化物粒子の凝集体または焼結体を解砕することが好ましい。これによって、得られる正極活物質の平均粒径や粒度分布を好適な範囲に調整することができる。なお、解砕とは、焼成時に二次粒子間の焼結ネッキングなどにより生じた複数の二次粒子からなる凝集体に、機械的エネルギを投入して、二次粒子自体をほとんど破壊することなく分離させて、凝集体をほぐす操作を意味する。
本発明の非水系電解質二次電池は、正極、負極、セパレータ、非水系電解液などの、一般の非水系電解質二次電池と同様の構成要素を備える。なお、以下に説明する実施形態は例示にすぎず、本発明の非水系電解質二次電池は、本明細書に記載されている実施形態を基づいて、種々の変更、改良を施した形態に適用することも可能である。
(1−a)正極
本発明により得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いて、たとえば、以下のようにして非水系電解質二次電池の正極を作製する。
負極には、金属リチウムやリチウム合金など、あるいは、リチウムイオンを吸蔵および脱離できる負極活物質に、結着剤を混合し、適当な溶剤を加えてペースト状にした負極合材を、銅などの金属箔集電体の表面に塗布し、乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成したものを使用する。
セパレータは、正極と負極との間に挟み込んで配置されるものであり、正極と負極とを分離し、電解質を保持する機能を有する。このようなセパレータとしては、たとえば、ポリエチレンやポリプロピレンなどの薄い膜で、微細な孔を多数有する膜を用いることができるが、上記機能を有するものであれば、特に制限されることはない。
非水系電解液は、支持塩としてのリチウム塩を有機溶媒に溶解したものである。
以上の正極、負極、セパレータおよび非水系電解液で構成される本発明の非水系電解質二次電池は、円筒形や積層形など、種々の形状にすることができる。
本発明の非水系電解質二次電池は、上述したように、本発明の正極活物質を正極材料として用いているため、高い初期放電容量および低い正極抵抗が得られ、高容量で高出力となる。しかも、従来のリチウムニッケル系複合酸化物粒子からなる正極活物質との比較においても、熱安定性が高く、安全性においても優れているといえる。
本発明の非水系電解質二次電池は、上述のように、高容量かつ高出力であり、かつ、安全性にも優れるため、小型携帯電子機器(ノート型パーソナルコンピュータや携帯電話端末など)の電源に好適である。また、このような本発明の非水系電解質二次電池は、小型化が可能であり、かつ、高価な保護回路を簡略化することもできるため、搭載スペースに制約を受ける輸送用機器の電源としても好適に用いることができる。
[複合水酸化物粒子の作製]
a)核生成工程
はじめに、反応槽(34L)内に、水を半分の量まで入れて撹拌しながら、槽内温度を40℃に設定した。この際、反応槽内に5L/分で窒素ガスを流通させ、酸素濃度を0.3容量%以下に調整した。この状態で、反応槽内の水に、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液と、25質量%のアンモニア水を適量加えて、液温25基準におけるpH値が12.8、アンモニウムイオン濃度が10g/Lである反応前水溶液を調製した。
核生成工程終了後、反応槽内の酸素濃度を0.3容量%以下に維持したまま、核生成用水溶液のpH値が11.6になるまで、水酸化ナトリウム水溶液の供給のみを停止した。pH値が11.6に達したことを確認した後、混合水溶液およびアンモニア水の供給も停止し、粒子成長用水溶液を形成した。
得られた複合水酸化物粒子の一部を無機酸で溶解し、ICP発光分光分析装置(株式会社島津製作所製、ICPE−9000)により分析したところ、その組成は、一般式:Ni0.169Co0.164Mn0.667(OH)2+a(0≦a≦0.5)で表されることが確認された。
上述のようにして得られた複合水酸化物粒子を、空気(酸素濃度:21容量%)気流中、120℃で12時間熱処理した後(熱処理工程)、シェーカーミキサ装置(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製TURBULA TypeT2C)を用いて、Li/Meが1.50となるように炭酸リチウムと混合し、リチウム混合物を得た(混合工程)。
ICP発光分光分析装置を用いた分析により、このリチウム複合酸化物粒子からなる正極活物質は、一般式:Li1.50Ni0.167Co0.167Mn0.666O2.5(0.5Li2MnO3・0.5Li1.00Ni0.334Co0.334Mn0.332O2)で表されるものであることが確認された。
この正極活物質を用いて、図5に示すような2032型コイン電池1を作製した。この2032型コイン電池1は、ケース2と、ケース2内に収容された電極3とから構成される。
得られた2032型コイン電池1について、以下のa)〜c)について評価を行った。
2032型コイン電池1を作製してから24時間程度放置し、開回路電圧OCV(Open Circuit Voltage)が安定した後、正極に対する電流密度を0.1mA/cm2として、カットオフ電圧が4.8Vとなるまで充電し、1時間の休止後、カットオフ電圧が2.5Vになるまで放電したときの放電容量を測定する充放電試験を行い、初期放電容量を求めた。この際、充放電容量の測定には、マルチチャンネル電圧/電流発生器(株式会社アドバンテスト製、R6741A)を用いた。
正極に対する電流密度を2mA/cm2として、4.8Vまで充電して2.0Vまで放電を行うサイクルを200回繰り返した後の放電容量と初期放電容量の比を計算して容量維持率(200サイクル容量維持率)を求めた。
充電電位4.1Vで充電した2032型コイン電池1を用いて、交流インピーダンス法により抵抗値を測定し、図6に示すナイキストプロットを得た。なお、測定には、周波数応答アナライザおよびポテンショガルバノスタット(ソーラトロン製、1255B)を使用した。このナイキストプロットは、溶液抵抗、負極抵抗とその容量、および、正極抵抗とその容量を示す特性曲線の和として表れているため、等価回路を用いてフィッティング計算し、正極抵抗の値を算出した。
各工程における条件を表1に示すように調整したこと以外は、実施例1と同様にして、複合水酸化物粒子、正極活物質および2032型コイン電池を作製し、その評価を行った。これらの結果を表2〜4に示す。
上部にオーバーフロー用配管を備えた連続晶析用の反応槽を用いて、窒素雰囲気中、液温25℃におけるpH値を11.0、アンモニウムイオン濃度を10g/Lに調整した反応水溶液に、実施例1と同様にして調製した混合水溶液、アンモニア水および水酸化ナトリウム水溶液を一定流量で供給する、連続晶析法により晶析反応を行った。反応槽内の平均滞留時間を10時間として、晶析反応が平衡状態になったことを確認してからスラリーを回収した。このスラリーを水洗、ろ過および乾燥して、粉末状の複合水酸化物粒子を得た。この複合水酸化物粒子に対して、実施例1と同様の評価を行った。
各工程における条件を表1に示すように調整したこと以外は、実施例1と同様にして、複合水酸化物粒子、正極活物質および2032型コイン電池を作製し、その評価を行った。これらの結果を表2〜4に示す。
核生成工程において、反応槽内の酸素濃度を2.5容量%としたこと以外は実施例と同様にして複合水酸化物粒子を得た。この複合水酸化物粒子に対して、実施例1と同様の評価を行った。
表1〜4より、本発明の製造方法に従って作製された実施例1〜6の正極活物質は、一次粒子の形状および平均比率L/G、ならびに、二次粒子の形状、平均粒径、〔(d90−d10)/平均粒径〕のいずれもが所定の範囲にあり、これを用いた二次電池では、初期放電容量や正極抵抗を損ねることなく、容量維持率が向上していることが確認される。
2 ケース
2a 正極缶
2b 負極缶
2c ガスケット
3 電極
3a 正極
3b 負極
3c セパレータ
Claims (11)
- 複数の板状一次粒子が凝集して形成された略球状の二次粒子からなり、一般式(A):NixCoyMnzMt(OH)2+a(x+y+z+t=1、0.05≦x≦0.3、0.1≦y≦0.4、0.6≦z≦0.8、0≦t≦0.1、0≦a≦0.5、Mは、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Wから選択される1種以上の添加元素)で表される遷移金属複合水酸化物粒子の製造方法であって、
反応槽内の雰囲気を、酸素濃度が1容量%以下の弱酸化性雰囲気ないしは非酸化性雰囲気に調整して、少なくともニッケル、コバルトおよびマンガンを含む混合水溶液と、アルカリ水溶液と、アンモニウムイオン供給体を含む水溶液を反応槽に供給し、混合することにより、液温25℃基準におけるpH値が12.0〜14.0であり、アンモニウムイオン濃度が3g/L〜20g/Lである核生成用水溶液を形成して、核生成を行う核生成工程と、
前記核生成工程後に、前記酸素濃度が1容量%以下の弱酸化性雰囲気ないしは非酸化性雰囲気を維持しつつ、液温25℃基準におけるpH値が、前記核生成用水溶液のpH値よりも低く、かつ、10.0〜12.0であり、アンモニウムイオン濃度が3g/L〜20g/Lである粒子成長用水溶液を形成して、該核生成工程で生成した核を成長させる粒子成長工程と、
を備え、
前記板状一次粒子の厚さを1.0μm以下、前記板状一次粒子の長径を0.5μm〜4.0μm、前記厚さに対する前記長径の比率の平均値を1.5〜7.0として、該遷移金属複合水酸化物粒子を、その表面から中心部に通じる多数の空隙を有する多孔質構造を備え、体積基準平均粒径が4.0μm〜7.0μmであり、粒度分布の広がりを示す指標である〔(d90−d10)/体積基準平均粒径〕が0.6以下である、二次粒子により構成することを特徴とする、
遷移金属複合水酸化物粒子の製造方法。 - 前記核生成工程および前記粒子成長工程において、前記核生成用水溶液および前記粒子成長用水溶液の液温を30℃以上とする、請求項1に記載の遷移金属複合水酸化物粒子の製造方法。
- 複数の板状一次粒子が凝集して形成された二次粒子からなり、一般式(A):NixCoyMnzMt(OH)2+a(x+y+z+t=1、0.05≦x≦0.3、0.1≦y≦0.4、0.6≦z≦0.8、0≦t≦0.1、0≦a≦0.5、Mは、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Wから選択される1種以上の添加元素)で表され、複数の板状一次粒子が凝集して形成された略球状の二次粒子からなり、
前記板状一次粒子は、厚さが1.0μm以下、長径が0.5μm〜4.0μm、前記厚さに対する前記長径の比率の平均値が1.5〜7.0であり、および、
前記二次粒子は、その表面から中心部に通じる多数の空隙を有する多孔質構造を備え、体積基準平均粒径が4.0μm〜7.0μmであり、粒度分布の広がりを示す指標である〔(d90−d10)/体積基準平均粒径〕が0.6以下である、
遷移金属複合水酸化物粒子。 - 複数の板状一次粒子が凝集して形成された二次粒子からなり、一般式(B):bLi2MnO3・(1−b)Li1+uNixCoyMnzMtO2(0.2≦b≦0.8、−0.05≦u≦0.2、x+y+z+t=1、0.1≦x≦0.4、0.2≦y≦0.8、0.1≦z≦0.4、0≦t≦0.1、Mは、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Wから選択される1種以上の添加元素)で表され、六方晶系の層状構造を有するリチウム過剰遷移金属複合酸化物粒子からなる非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法であって、
請求項3に記載の遷移金属複合水酸化物粒子とリチウム化合物を混合し、リチウム混合物を得る混合工程と、
前記リチウム混合物を、酸化性雰囲気中、800℃〜1050℃で焼成する焼成工程と、
を備え、
前記板状一次粒子の厚さを1.0μm以下、前記板状一次粒子の長径を0.5μm〜4.0μm、前記厚さに対する前記長径の比率の平均値を1.5〜7.0として、前記リチウム過剰遷移金属複合酸化物粒子を、その表面から中心部に通じる多数の空隙を有する多孔質構造を備え、体積基準平均粒径が4.0μm〜7.0μmであり、粒度分布の広がりを示す指標である〔(d90−d10)/体積基準平均粒径〕が6.0以下である、二次粒子により構成することを特徴とする、
非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。 - 前記混合工程において、前記リチウム混合物中のニッケル、コバルト、マンガンおよび添加元素Mの原子数の総和に対するリチウムの原子数の比率が1.16〜1.84となるように、前記遷移金属複合水酸化物粒子と前記リチウム化合物を混合する、請求項4に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記焼成工程において、前記酸化性雰囲気を、18容量%以上の酸素を含有する雰囲気とする、請求項4または5に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記混合工程の前に、前記遷移金属複合水酸化物粒子を、105℃〜750℃で熱処理する熱処理工程をさらに備える、請求項4〜6のいずれかに記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 複数の板状一次粒子が凝集して形成された二次粒子からなり、一般式(B):bLi2MnO3・(1−b)Li1+uNixCoyMnzMtO2(0.2≦b≦0.8、−0.05≦u≦0.2、x+y+z+t=1、0.1≦x≦0.4、0.2≦y≦0.8、0.1≦z≦0.4、0≦t≦0.1、Mは、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Wから選択される1種以上の添加元素)で表され、六方晶系の層状構造を有するリチウム過剰遷移金属複合酸化物粒子からなる正極活物質であって、
前記正極活物質は、複数の板状一次粒子が凝集して形成された二次粒子からなり、
前記板状一次粒子は、厚さが1.0μm以下、長径が0.5μm〜4.0μm、該厚さに対する長径の比率の平均値が1.5〜7.0であり、
前記二次粒子は、その表面から中心部に通じる多数の空隙を有する多孔質構造を備え、体積基準平均粒径が4.0μm〜7.0μmであり、粒度分布の広がりを示す指標である〔(d90−d10)/体積基準平均粒径〕が0.6以下である、
非水系電解質二次電池用正極活物質。 - 前記二次粒子の比表面積が1.0m2/g〜3.0m2/gである、請求項8に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
- 前記二次粒子のタップ密度が1.5g/cm3〜2.4g/cm3である、請求項8または9に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
- 正極と、負極と、セパレータと、非水系電解質とを備え、前記正極の正極材料として、請求項8〜10のいずれかに記載の非水系電解質二次電池用正極活物質が用いられている、非水系電解質二次電池。
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