JP6331983B2 - 遷移金属複合水酸化物粒子の製造方法および非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法 - Google Patents
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Description
(1)遷移金属複合水酸化物粒子
本発明の製造方法によって得られる遷移金属複合水酸化物粒子(以下、「複合水酸化物粒子」という)は、複数の板状一次粒子およびこの板状一次粒子よりも小さな微細一次粒子が凝集して形成された二次粒子からなる。この二次粒子は、板状一次粒子が凝集して形成された中心部を有し、中心部の外側に、微細一次粒子が凝集して形成された低密度部と、板状一次粒子が凝集して形成された高密度部とが積層した積層構造を少なくとも1つ備えていることを特徴とする。また、この二次粒子は、平均粒径が1.0μm〜15.0μmであり、かつ、粒度分布の広がりを示す指標である〔(d90−d10)/平均粒径〕が0.65以下であることを特徴とする。
[二次粒子の構造]
本発明の製造方法によって得られる複合水酸化物粒子は、板状一次粒子が凝集して形成された中心部を有し、中心部の外側に、低密度部と高密度部とが交互に積層した積層構造を少なくとも1つ備えていることを特徴とする。ここで、低密度部とは、二次粒子の内部において、微細一次粒子が凝集することにより形成された部分を意味する。また、高密度部とは、二次粒子の内部において、微細一次粒子よりも大きく、厚みのある板状一次粒子が凝集することにより形成された部分を意味する。
複合水酸化物粒子の低密度部を構成する微細一次粒子は、平均粒径が、0.01μm〜0.30μmであることが好ましく、0.10μm〜0.30μmであることがより好ましい。微細一次粒子の平均粒径が0.01μm未満では、十分な大きさの低密度部が形成されない場合ある。一方、微細一次粒子の平均粒径が0.30μmを超えると、焼成時における収縮が低温域で進行せず、中心部および高密度部との収縮差が小さくなり、得られる正極活物質において、十分な大きさの空間部を形成できない場合がある。
複合水酸化物粒子の中心部および高密度部を構成する板状一次粒子は、平均粒径が0.3μm〜3.0μmであることが好ましく、0.4μm〜1.5μmであることがより好ましく、0.4μm〜1.0μmであることがさらに好ましい。板状一次粒子の平均粒径が0.3μm未満では、焼成時における収縮が低温域からはじまり、低密度部との収縮差が小さくなるため、得られる正極活物質において、十分な大きさの空間部を形成できない場合がある。一方、板状一次粒子の平均粒径が3.0μmを超えると、得られる正極活物質の結晶性を十分なものとするためには、高温で焼成しなければならなくなり、二次粒子間の焼結が進行し、正極活物質の平均粒径や粒度分布を所定の範囲に制御することが困難となる。
本発明の製造方法によって得られる複合水酸化物粒子において、二次粒子の粒径に対する、中心部の外径および高密度部の径方向の厚さの比率は、これを前駆体とする正極活物質において、概ね維持される。すなわち、複合水酸化物粒子の段階において、二次粒子の粒径に対する中心部の外径および高密度部の径方向の厚さの比率を適切に制御することにより、得られる正極活物質の構造をより好適なものとすることができる。
本発明の製造方法によって得られる複合水酸化物粒子は、二次粒子の平均粒径が、1.0μm〜15.0μm、好ましくは3.0μm〜12.0μm、より好ましくは3.0μm〜10.0μmに調整される。二次粒子の平均粒径は、この複合水酸化物粒子を前駆体とする正極活物質の平均粒径と相関する。このため、二次粒子の平均粒径をこのような範囲に制御することで、この複合水酸化物粒子を前駆体とする正極活物質の平均粒径を所定の範囲に制御することが可能となる。
本発明の製造方法によって得られる複合水酸化物粒子は、粒度分布の広がりを示す指標である〔(d90−d10)/平均粒径〕が、0.65以下、好ましくは0.55以下、より好ましくは0.50以下となるように調整される。
本発明の製造方法によって得られる複合水酸化物粒子は、上述した構造、平均粒径および粒度分布を有する限り、その組成が制限されることはないが、一般式(A):NixMnyCozMt(OH)2+a(ただし、x+y+z+t=1、0.30≦x≦0.95、0.05≦y≦0.55、0≦z≦0.40、0≦t≦0.10、0≦a≦0.50、Mは、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上の添加元素)で表される複合水酸化物粒子であることが好ましい。このような複合水酸化物粒子を前駆体とすることで、後述する一般式(B)で表される正極活物質を容易に得ることができ、より高い電池性能を実現することが可能となる。
本発明は、酸素濃度が5容量%以下の非酸化性雰囲気中、反応槽内に、アンモニウムイオン供給体を供給し、液温25℃基準におけるpH値を12.0〜14.0に調整した後、少なくとも遷移金属を含有する金属化合物を供給することで核生成用水溶液を形成して、核の生成を行う、核生成工程と、非酸化性雰囲気を維持したまま、核生成用水溶液を、液温25℃基準におけるpH値が、核生成工程におけるpH値よりも低く、かつ、10.5〜12.0となるように調整することで粒子成長用水溶液を形成し、核を成長させる、粒子成長工程とを備える、複合水酸化物粒子の製造方法に関する。特に、本発明は、粒子成長工程において、所定の条件の下、粒子成長用水溶液に酸化剤を供給する操作を少なくとも1回行うことを特徴とする。
本発明の複合水酸化物粒子の製造方法は、晶析反応を、主として核生成を行う核生成工程と、主として粒子成長を行う粒子成長工程の2段階に明確に分離するとともに、各工程における晶析条件を適切に制御し、かつ、粒子成長工程において、所定条件の下で酸化剤を供給することにより、上述した粒子構造、平均粒径および粒度分布を備える複合水酸化物粒子を得ることを可能とするものである。なお、本発明において、晶析条件の調整に必要な操作は、基本的には従来技術と同様であるため、本発明は、複合水酸化物粒子の工業規模の生産に広く適用することが可能である。
核生成工程では、はじめに、目的とする複合水酸化物粒子の原料となる、少なくとも遷移金属を含有する金属化合物を水に溶解し、原料水溶液を調製する。なお、本発明の製造方法では、得られる複合水酸化物粒子の組成比は、原料水溶液における金属元素の組成比と同様となる。
核生成工程終了後、反応槽内の核生成用水溶液のpH値を、液温25℃基準で10.5〜12.0に調整し、粒子成長工程における反応水溶液である粒子成長用水溶液を形成する。この際、アルカリ水溶液の供給のみを停止することでpH値を調整することができるが、粒度分布の狭い複合水酸化物粒子を得る観点から、一旦、すべての水溶液の供給を停止した上で、pH値を調整することが好ましい。なお、pH値の調整は、核生成用水溶液に、原料となる金属化合物を構成する酸と同種の無機酸、たとえば、原料として硫酸塩を使用する場合には、硫酸を供給することで行うことができる。
上述のようにして得られる複合水酸化物粒子の粒径は、粒子成長工程や核生成工程における晶析反応時間、核生成用水溶液や粒子成長用水溶液のpH値や、原料水溶液の供給量により制御することができる。たとえば、核生成工程におけるpH値を高い値とすることにより、または、粒子生成工程の時間を長くすることにより、供給する原料水溶液に含まれる金属化合物の量を増やし、核の生成量を増加させることでき、得られる複合水酸化物粒子の粒径を小さくすることが可能となる。反対に、核生成工程における核の生成量を抑制することで、得られる複合水酸化物粒子の粒径を大きくすることが可能となる。
本発明の複合水酸化物粒子の製造方法では、核生成用水溶液とは別に、粒子成長工程に適したpH値およびアンモニウムイオン濃度に調整された成分調整水溶液を用意し、この成分調整用水溶液に、核生成工程後の核生成用水溶液、好ましくは核生成工程後の核生成用水溶液から液体成分の一部を除去したものを添加および混合して、これを粒子成長用水溶液として、粒子成長工程を行ってもよい。
[原料水溶液]
本発明においては、原料水溶液中の金属元素の比率が、得られる複合水酸化物粒子の組成比となる。このため、原料水溶液は、目的とする複合水酸化物粒子の組成に応じて、各金属元素の含有量を適宜調整することが必要となる。たとえば、上述した一般式(A)で表される複合水酸化物粒子を得ようとする場合、原料水溶液中の金属元素の比率を、Ni:Mn:Co:M=x:y:z;t(ただし、x+y+z+t=1、0.30≦x≦0.95、0.05≦y≦0.55、0≦z≦0.40、0≦t≦0.10)となるように調整することが好ましい。
反応水溶液中のpH値を調整するアルカリ水溶液は、特に制限されることはなく、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの一般的なアルカリ金属水酸化物水溶液を用いることができる。なお、アルカリ金属水酸化物を、直接、反応水溶液に添加することもできるが、pH制御の容易さから、水溶液として添加することが好ましい。この場合、アルカリ金属水酸化物水溶液の濃度を、20質量%〜50質量%とすることが好ましく、20質量%〜30質量%とすることがより好ましい。アルカリ金属水酸化物水溶液の濃度をこのような範囲に規制することにより、反応系に供給する溶媒量(水量)を抑制しつつ、添加位置で局所的にpH値が高くなることを防止することができるため、粒度分布の狭い複合水酸化物粒子を効率的に得ることができる。
アンモニウムイオン供給体を含む水溶液も、特に制限されることはなく、たとえば、アンモニア水、または、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウムもしくはフッ化アンモニウムなどの水溶液を使用することができる。
本発明の複合水酸化物粒子の製造方法においては、液温25℃基準におけるpH値を、核生成工程においては12.0〜14.0の範囲に、粒子成長工程においては10.5〜12.0の範囲に制御することが必要となる。なお、いずれの工程においても、晶析反応中のpH値の変動幅は、±0.2以内とすることが好ましい。pH値の変動幅が大きい場合、核生成量と粒子成長の割合が一定とならず、粒度分布の狭い複合水酸化物粒子を得ることが困難となる。
核生成工程においては、核生成用水溶液のpH値を、液温25℃基準で、12.0〜14.0、好ましくは12.3〜13.5、より好ましくは12.5〜13.3の範囲に制御することが必要となる。これにより、核の成長を抑制し、核生成を優先させることが可能となり、この工程で生成する核を均質かつ粒度分布の狭いものとすることができる。一方、pH値が12.0未満では、核生成とともに核(粒子)の成長が進行するため、得られる複合水酸化物粒子の粒径が不均一となり、粒度分布が悪化する。また、pH値が14.0を超えると、生成する核が微細になりすぎるため、核生成用水溶液がゲル化する問題が生じる。
粒子成長工程においては、粒子成長用水溶液のpH値を、液温25℃基準で、核生成工程におけるpH値よりも低く、かつ、10.5〜12.0、好ましくは11.0〜12.0、より好ましくは11.5〜12.0の範囲に制御することが必要となる。これにより、新たな核の生成が抑制され、粒子成長を優先させることが可能となり、得られる複合水酸化物粒子を均質かつ粒度分布が狭いものとすることができる。一方、pH値が10.5未満では、アンモニウムイオン濃度が上昇し、金属イオンの溶解度が高くなるため、晶析反応の速度が遅くなるばかりでなく、粒子成長用水溶液中に残存する金属イオン量が増加し、生産性が悪化する。また、pH値が12.0を超えると、粒子成長工程中の核生成量が増加し、得られる複合水酸化物粒子の粒径が不均一となり、粒度分布が悪化する。
本発明の複合水酸化物粒子の構造は、核生成工程および粒子成長工程における反応水溶液のpH値、および、これらの工程における反応水溶液中の酸化状態を制御することにより実現することができる。すなわち、本発明の複合水酸化物粒子の製造方法においては、上述したように各工程におけるpH値を特定の範囲に調整し、維持するとともに、反応水溶液の酸化作用を制御することが重要な意義を有する。
本発明の複合水酸化物粒子の製造方法においては、核生成工程および粒子成長工程におけるpH値を上述のように制御した上で、反応雰囲気を非酸化性雰囲気とすることにより、板状一次粒子が凝集した中心部が形成される。さらに、粒成長工程の途中で、粒子成長用水溶液中に、所定条件で酸化剤を供給する操作、すなわち、粒子成長工程を開始してから一定の時間が経過した後に酸化剤の供給を開始し、かつ、さらに所定時間を経過した時点で酸化剤の供給を停止する操作を少なくとも1回行うことで、中心部の外側に、微細な一次粒子が凝集した低密度部と、板状一次粒子が凝集した高密度部が積層した構造が形成される。
粒子成長工程における酸化剤の供給は、目的とする粒子構造を有する複合水酸化物粒子が形成されるように、適切なタイミングで行うことが必要となる。
酸化剤を供給する操作を1回のみ行い、上述した積層構造を1つのみ備える複合水酸化物粒子を得ようとする場合、酸化剤の供給を、粒子成長工程の開始後、粒子成長工程における全晶析反応時間の5%〜35%、好ましくは10%〜30%が経過した時点から行うことが必要となる。酸化剤の供給を、粒子成長工程の開始後、粒子成長工程における全晶析反応時間の5%未満の時点で開始すると、中心部の大きさが十分なものとならない。一方、粒子成長工程における全晶析反応時間の35%を超えた時点で開始すると、低密度部や高密度部の厚さを十分なものとすることができない。
酸化剤を供給する操作を2回以上行い、上述した積層構造を2つ以上備える複合水酸化物粒子を得ようとする場合、酸化剤の総供給時間を、粒子成長工程における全晶析反応時間の6%〜30%、好ましくは8%〜25%とすることが必要となる。酸化剤の総供給時間が、粒子成長工程における全晶析反応時間の6%未満では、低密度部全体の厚さが十分なものとならない。一方、酸化剤の総供給時間が、粒子成長工程における全晶析反応時間の30%を超えると、高密度部全体の厚さが十分なものとならない。
酸化剤としては、その酸化作用により、微細一次粒子を生成させ、複合水酸化物粒子の低密度部を形成することができるものであれば特に制限されることはなく、たとえば、過酸化水素(H2O2)、クロム酸(H2CrO4)、二クロム酸(H2Cr2O7)、次亜塩素酸(HClO)などの種々の酸化剤を使用することができる。
酸化剤の供給量は、粒子成長用水溶液に酸化剤を供給する間に、同時に供給する原料水溶液に含まれる金属イオンに対して、十分な酸化作用を及ぼし得る量を供給する必要がある。この供給量は、酸化剤の酸化作用によって異なるため、使用する酸化剤の種類や供給条件(粒子成長水溶液の温度など)に応じて、予備試験などを実施した上で適宜調整することが好ましい。
反応水溶液中のアンモニウムイオン濃度は、核生成工程および粒子成長工程を通じて、好ましくは3g/L〜25g/L、より好ましくは5g/L〜20g/Lの範囲内で一定値に保持する。
反応水溶液の温度(反応温度)は、核生成工程および粒子成長工程を通じて、好ましくは20℃以上、より好ましくは20℃〜60℃の範囲に制御することが必要となる。反応温度が20℃未満の場合、反応水溶液の溶解度が低くなることに起因して、核生成が起こりやすくなり、得られる複合水酸化物粒子の平均粒径や粒度分布の制御が困難となる。なお、反応温度の上限は、特に制限されることはないが、60℃を超えると、アンモニアの揮発が促進され、反応水溶液中のアンモニウムイオンを一定範囲に制御するために供給するアンモニウムイオン供給体を含む水溶液の量が増加し、生産コストが増加してしまう。
本発明の複合水酸化物粒子の製造方法では、原料水溶液中に添加元素Mを含有する化合物を添加することで、粒子内部に添加元素Mが均一に分散した複合水酸化物粒子を得ることができる。しかしながら、より少ない添加量で、添加元素Mの添加による効果を得ようとする場合、粒子成長工程後に、得られた複合水酸化物粒子の表面を、添加元素Mを含む化合物で被覆する被覆工程を行うことが好ましい。
本発明の複合水酸化物粒子の製造方法では、反応が完了するまで生成物を回収しない方式の装置、たとえば、バッチ反応槽を用いることが好ましい。このような装置であれば、オーバーフロー方式によって生成物を回収する連続晶析装置のように、成長中の粒子がオーバーフロー液と同時に回収されることがないため、粒度分布が狭い複合水酸化物粒子を容易に得ることができる。
(1)非水電解質二次電池用正極活物質
本発明の製造方法で得られる正極活物質は、複数の一次粒子が凝集して形成された二次粒子からなり、この二次粒子が、中実構造または中空構造の中心部を有し、中心部の外側に、少なくとも、一次粒子が存在しない空間部と、中心部と電気的に導通する殻部(外殻部、または、内殻部と外殻部)とを備えていることを特徴とする。また、この二次粒子が、平均粒径が1.0μm〜15.0μmであり、かつ、粒度分布の広がりを示す指標である〔(d90−d10)/平均粒径〕が0.7以下であることを特徴とする。
本発明の製造方法で得られる正極活物質は、複数の一次粒子が凝集して形成された二次粒子からなり、この二次粒子が、中実構造または中空構造の中心部を有し、中心部の外側に、少なくとも、一次粒子が存在しない空間部と、中心部と電気的に導通する殻部とを備えていることを特徴とする。なお、この正極活物質において、空間部は、中心部と内殻部または外殻部との間の全体に形成される必要はなく、部分的に形成されていてもよい。また、中心部は、板状一次粒子が凝集して形成された二次粒子が複数連結した状態であってもよい。
本発明の製造方法で得られる正極活物質は、平均粒径が、1.0μm〜15.0μm、好ましくは3.0μm〜12.0μm、より好ましくは3.0μm〜10.0μmとなるように調整される。正極活物質の平均粒径がこのような範囲にあれば、この正極活物質を用いた二次電池の単位容積あたりの電池容量を増加させることができるばかりでなく、安全性や出力特性も改善することができる。これに対して、平均粒径が1.0μm未満では、正極活物質の充填性が低下し、単位容積あたりの電池容量を増加させることができない。一方、平均粒径が15.0μmを超えると、正極活物質の反応面積が低下し、電解液との界面が減少するため、出力特性を改善することが困難となる。
本発明の製造方法で得られる正極活物質は、粒度分布の広がりを示す指標である〔(d90−d10)/平均粒径〕が、0.70以下、好ましくは0.60以下、より好ましくは0.55以下であり、きわめて粒度分布が狭いリチウム複合酸物粒子により構成される。このような正極活物質は、微細粒子や粗大粒子の割合が少なく、これを用いた二次電池は、安全性、サイクル特性および出力特性が優れたものとなる。
本発明の製造方法で得られる正極活物質は、上述した構造を有する限り、その組成が制限されることはないが、一般式(B):Li1+uNixMnyCozMtO2(ただし、−0.05≦u≦0.50、x+y+z+t=1、0.30≦x≦0.95、0.05≦y≦0.55、0≦z≦0.40、0≦t≦0.10、Mは、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上の添加元素)で表される正極活物質に対して好適に適用することができる。
本発明の製造方法で得られる正極活物質は、比表面積が、0.80m2/g〜3.00m2/gであることが好ましく、1.00m2/g〜3.00m2/gであることがより好ましい。比表面積がこのような範囲にある正極活物質は、電解液との接触面積が大きく、これを用いた二次電池の出力特性を大幅に改善することができる。これに対して、正極活物質の比表面積が0.80m2/g未満では、二次電池を構成した場合に、電解液との反応面積を確保することができず、出力特性を十分に向上させることが困難となる。一方、正極活物質の比表面積が3.00m2/gを超えると、電解液との反応性が高くなりすぎるため、熱安定性が低下する場合がある。
携帯電子機器の使用時間や電気自動車の走行距離を伸ばすために、二次電池の高容量化は重要な課題となっている。一方、二次電池の電極の厚さは、電池全体のパッキングや電子伝導性の問題から数ミクロン程度とすることが要求される。このため、正極活物質として高容量のものを使用するばかりでなく、正極活物質の充填性を高め、二次電池全体としての高容量化を図ることが必要となる。このような観点から、本発明の製造方法で得られる正極活物質では、充填性の指標であるタップ密度を、1.0g/cm3以上とすることが好ましく、1.3g/cm3以上とすることがより好ましい。タップ密度が1.0g/cm3未満では、充填性が低く、二次電池全体の容量特性を十分に改善することができない場合がある。一方、タップ密度の上限値は、特に制限されるものではないが、通常の製造条件での上限は、3.0g/cm3程度となる。
本発明の正極活物質の製造方法は、上述した複合水酸化物粒子を前駆体として用い、所定の構造、平均粒径および粒度分布を備える正極活物質を合成することができる限り、特に制限されることはない。しかしながら、工業規模の生産を前提とした場合、上述した製造方法によって複合水酸化物粒子を得る晶析工程と、この複合水酸化物粒子をリチウム化合物と混合し、リチウム混合物を得る混合工程と、このリチウム混合物を、酸化性雰囲気中、650℃〜980℃で焼成する焼成工程とを備える製造方法によって正極活物質を合成することが好ましい。なお、必要に応じて、上述した工程に、熱処理工程や仮焼工程などの工程を追加してもよい。このような製造方法によれば、上述した正極活物質、特に、一般式(B)で表される正極活物質を容易に得ることができる。
本発明の正極活物質の製造方法においては、任意的に、混合工程の前に熱処理工程を設けて、複合水酸化物粒子を熱処理粒子としてからリチウム化合物と混合してもよい。ここで、熱処理粒子には、熱処理工程において余剰水分を除去された複合水酸化物粒子のみならず、熱処理工程により、酸化物に転換された遷移金属複合酸化物粒子(以下、「複合酸化物粒子」という)、または、これらの混合物も含まれる。
混合工程は、上述した複合水酸化物粒子または熱処理粒子に、リチウム化合物を混合して、リチウム混合物を得る工程である。
リチウム化合物として、水酸化リチウムや炭酸リチウムを使用する場合には、混合工程後、焼成工程の前に、リチウム混合物を、後述する焼成温度よりも低温、かつ、350℃〜800℃、好ましくは450℃〜780℃で仮焼する仮焼工程を行ってもよい。これにより、複合水酸化物粒子または熱処理粒子中に、リチウムを十分に拡散させることができ、より均一なリチウム複合酸化物粒子を得ることができる。
焼成工程は、混合工程で得られたリチウム混合物を所定条件の下で焼成し、複合水酸化物粒子または熱処理粒子中にリチウムを拡散させて、リチウム複合酸化物粒子を得る工程である。
リチウム混合物の焼成温度は、650℃〜980℃とすることが必要となる。焼成温度が650℃未満では、複合水酸化物粒子または熱処理粒子中にリチウムが十分に拡散せず、余剰のリチウムや未反応の複合水酸化物粒子または熱処理粒子が残存したり、得られるリチウム複合酸化物粒子の結晶性が不十分なものとなる。一方、焼成温度が980℃を超えると、リチウム複合酸化物粒子間が激しく焼結し、異常粒成長が引き起こされ、不定形な粗大粒子の割合が増加することとなる。
焼成時間のうち、上述した焼成温度での保持時間は、少なくとも2時間以上とすることが好ましく、4時間〜24時間とすることがより好ましい。焼成温度における保持時間が2時間未満では、複合水酸化物粒子または熱処理粒子中にリチウムが十分に拡散せず、余剰のリチウムや未反応の複合水酸化物粒子または熱処理粒子が残存したり、得られるリチウム複合酸化物粒子の結晶性が不十分なものとなるおそれがある。
焼成時の雰囲気は、酸化性雰囲気とすることが好ましく、酸素濃度が18容量%〜100容量%の雰囲気とすることがより好ましく、上記酸素濃度の酸素と不活性ガスの混合雰囲気とすることが特に好ましい。すなわち、焼成は、大気ないしは酸素気流中で行うことが好ましい。酸素濃度が18容量%未満では、リチウム複合酸化物粒子の結晶性が不十分なものとなるおそれがある。
焼成工程によって得られたリチウム複合酸化物粒子は、凝集または軽度の焼結が生じている場合がある。このような場合、リチウム複合酸化物粒子の凝集体または焼結体を解砕することが好ましい。これによって、得られる正極活物質の平均粒径や粒度分布を好適な範囲に調整することができる。なお、解砕とは、焼成時に二次粒子間の焼結ネッキングなどにより生じた複数の二次粒子からなる凝集体に、機械的エネルギを投入して、二次粒子自体をほとんど破壊することなく分離させて、凝集体をほぐす操作を意味する。
本発明の非水電解質二次電池は、正極、負極、セパレータ、非水電解液などの、一般の非水電解質二次電池と同様の構成要素を備える。なお、以下に説明する実施形態は例示にすぎず、本発明の非水電解質二次電池は、本明細書に記載されている実施形態を基づいて、種々の変更、改良を施した形態に適用することも可能である。
(1―a)正極
本発明により得られた非水電解質二次電池用正極活物質を用いて、たとえば、以下のようにして非水電解質二次電池の正極を作製する。
負極には、金属リチウムやリチウム合金など、あるいは、リチウムイオンを吸蔵および脱離できる負極活物質に、結着剤を混合し、適当な溶剤を加えてペースト状にした負極合材を、銅などの金属箔集電体の表面に塗布し、乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成したものを使用する。
セパレータは、正極と負極との間に挟み込んで配置されるものであり、正極と負極とを分離し、電解質を保持する機能を有する。このようなセパレータとしては、たとえば、ポリエチレンやポリプロピレンなどの薄い膜で、微細な孔を多数有する膜を用いることができるが、上記機能を有するものであれば、特に制限されることはない。
非水電解液は、支持塩としてのリチウム塩を有機溶媒に溶解したものである。
以上の正極、負極、セパレータおよび非水電解液で構成される本発明の非水電解質二次電池は、円筒形や積層形など、種々の形状にすることができる。
本発明の非水電解質二次電池は、上述したように、本発明の正極活物質を正極材料として用いているため、容量特性、出力特性およびサイクル特性に優れる。しかも、従来のリチウムニッケル系酸化物粒子からなる正極活物質を用いた二次電池との比較においても、熱安定性や安全性において優れているといえる。
本発明の非水電解質二次電池は、上述のように、容量特性、出力特性およびサイクル特性に優れており、これらの特性が高いレベルで要求される小型携帯電子機器(ノート型パーソナルコンピュータや県電話端末など)の電源に好適に利用することができる。また、本発明の非水電解質二次電池は、安全性にも優れており、小型化および高出力化が可能であるばかりでなく、高価な保護回路を簡略することができるため、搭載スペースに制約を受ける輸送用機器の電源としても好適に利用することができる。
a)複合水酸化物粒子の製造
[核生成工程]
はじめに、反応槽内に、水を900mLまで入れて撹拌しながら、槽内温度を40℃に設定した。この際、窒素ガスを30分間流通させ反応槽内の酸素濃度を2容量%以下の非酸化性雰囲気とした。続いて、この反応槽内に、25質量%水酸化ナトリウム水溶液と25質量%アンモニア水を適量供給し、槽内の反応液のpH値が、液温25℃基準で12.8となるように調整した。また、アンモニア濃度を10g/Lに調節して反応前水溶液を形成した。
核生成工程終了後、一旦、すべての水溶液の供給を一旦停止するとともに、硫酸を加えて、pH値を、液温25℃基準で11.6に調整し、粒子成長用水溶液を形成した。pH値が安定したことを確認した後、原料水溶液とタングステン酸ナトリウム水溶液とを、これらの水溶液に含まれる金属元素のモル比が、Ni:Mn:Co:Zr:W=33.1:33:1:33.1:0.2:0.5となるように供給し、核生成工程で生成した核(粒子)を成長させた。
ICP発光分光分析装置(株式会社島津製作所製、ICPE−9000)を用いた分析により、この複合水酸化物粒子は、一般式:Ni0.331Mn0.331Co0.331Zr0.002W0.005(OH)2で表されるものであることが確認された。
上述のようにして得られた複合水酸化物粒子を、空気(酸素濃度:21容量%)気流中、120℃で12時間熱処理した後(焙焼工程)、Li/Meが1.14となるように、シェーカーミキサ装置(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製TURBULA TypeT2C)を用いて炭酸リチウムと十分に混合し、リチウム混合物を得た(混合工程)。
ICP発光分光分析装置を用いた分析により、このリチウム複合酸化物粒子からなる正極活物質は、一般式:Li1.14Ni0.331Mn0.331Co0.331Zr0.002W0.005O2で表されるものであることが確認された。
上述のようにして得られた正極活物質:52.5mgと、アセチレンブラック:15mgと、ポリテトラフッ化エチレン樹脂(PTFE)7.5mgとを混合し、100MPaの圧力で直径11mm、厚さ100μmにプレス成形して、図6に示す正極1(評価用電極)を作製し、真空乾燥機中、120℃で12時間乾燥した。そして、この正極1を用いて2032型コイン電池Bを、露点が−80℃に管理されたAr雰囲気のグローブボックス内で作製した。
[初期放電容量]
2032型コイン電池を作製してから24時間程度放置し、開回路電圧OCV(Open Circuit Voltage)が安定した後、正極に対する電流密度を0.1mA/cm2として、カットオフ電圧が4.3Vとなるまで充電し、1時間の休止後、カットオフ電圧が3.0Vになるまで放電したときの放電容量を測定する充放電試験を行い、初期放電容量を求めた。この際、充放電容量の測定には、マルチチャンネル電圧/電流発生器(株式会社アドバンテスト製、R6741A)を用いた。
充電電位4.1Vで充電した2032型コイン電池を用いて、交流インピーダンス法により抵抗値を測定した。測定には、周波数応答アナライザおよびポテンショガルバノスタット(ソーラトロン製)を使用し、図7に示すナイキストプロットを得た。プロットは、溶液抵抗、負極抵抗と容量、および、正極抵抗と容量を示す特性曲線の和として表れているため、等価回路を用いてフィッティング計算し、正極抵抗の値を算出した。
上述した充放電試験を繰り返し、初期放電容量に対する、500回目の放電容量を測定することで、500サイクルの容量維持率を算出した。これらの結果を表3に示す。
粒子成長工程において、総供給量を20mL(H/Mei比で0.083)となるように、1.0mL/分の割合で、5.5質量%の過酸化水素水を供給したこと以外は、実施例1と同様にして、複合水酸化物粒子および正極活物質を得るとともに、その評価を行った。この結果を表2、表3および図2に示す。
粒子成長工程において、総供給量を30mL(H/Mei比で0.124)となるように、1.5mL/分の割合で、5.5質量%の過酸化水素水を供給したこと以外は、実施例1と同様にして、複合水酸化物粒子および正極活物質を得るとともに、その評価を行った。この結果を表2、表3および図3に示す。
粒子成長工程における晶析条件を表1に示すようにしたこと以外は、実施例1と同様にして、複合水酸化物粒子および正極活物質を得るとともに、その評価を行った。この結果を表2および表3に示す。
粒子成長工程において、酸化剤を供給するタイミングおよび供給時間を変更し、酸化剤の供給操作を2回行ったこと以外は、実施例1と同様にして、複合水酸化物粒子を得た。具体的には、粒子成長工程の開始時から30分(粒子成長工程時間の全体に対して12.5%)経過後、総供給量が10mL(H/Mei比で0.031)となるように、0.67mL/分の割合で、5.5質量%過酸化水素水の供給を開始し、15分(粒子成長工程全体に対して6.3%)経過後、その供給を停止した。続いて、晶析反応を66分(粒子成長工程全体に対して27.5%)継続した後、総供給量が10mL(H/Mei比で0.031)となるように、0.40mL/分の割合で、5.5質量%過酸化水素水の供給を開始し、25分(粒子成長工程全体に対して10.3%)経過後、その供給を停止し、さらに、晶析反応を104分(粒子成長工程全体に対して43.4%)継続した。このようにして得られた複合水酸化物粒子に対して、実施例1と同様にして評価を行った。この結果を表2に示す。
粒子成長工程において、過酸化水素水を供給しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、複合水酸化物粒子および正極活物質を得るとともに、その評価を行った。この結果を表1、表2および図4に示す。
粒子成長工程において、総供給量を3mL(H/Mei比で0.012)となるように、0.15mL/分の割合で、5.5質量%の過酸化水素水を供給したこと以外は、実施例1と同様にして、複合水酸化物粒子および正極活物質を得るとともに、その評価を行った。この結果を表1、表2および図5に示す。
粒子成長工程における晶析条件を表1に示すようにしたこと以外は、実施例1と同様にして、複合水酸化物粒子および正極活物質を得るとともに、その評価を行った。この結果を表2および表3に示す。
表1〜表3より、実施例1〜10で得られた正極活物質は多層構造を有しており、これらを用いた2032型コイン電池では、初期放電容量、正極抵抗および容量維持率のすべてが良好な値を示していることが確認される。
2 負極
3 セパレータ
4 ガスケット
5 ウェーブワッシャ
6 正極缶
7 負極缶
Claims (11)
- 酸素濃度が5容量%以下の非酸化性雰囲気中、反応槽内に、アンモニウムイオン供給体を供給し、液温25℃基準におけるpH値を12.0〜14.0に調整した後、少なくとも遷移金属を含有する金属化合物を供給することで核生成用水溶液を形成して、核の生成を行う、核生成工程と、
前記非酸化性雰囲気を維持したまま、前記核生成用水溶液を、液温25℃基準におけるpH値が、前記核生成工程におけるpH値よりも低く、かつ、10.5〜12.0となるように調整することで粒子成長用水溶液を形成し、前記核を成長させる、粒子成長工程とを備え、
前記粒子成長工程において、前記粒子成長用水溶液に酸化剤を供給する操作を1回のみ行う晶析反応により、遷移金属複合水酸化物粒子を製造する方法であって、
前記遷移金属複合水酸化物粒子は、一般式(A):NixMnyCozMt(OH)2+a(ただし、x+y+z+t=1、0.30≦x≦0.95、0.05≦y≦0.55、0≦z≦0.40、0≦t≦0.10、0≦a≦0.50、Mは、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上の添加元素)で表される遷移金属複合水酸化物粒子であり、
前記酸化剤の供給を、前記粒子成長工程の開始後、該粒子成長工程における全晶析反応時間の5%〜35%が経過した時点から行い、かつ、
前記酸化剤の供給時間を、該粒子成長工程における全晶析反応時間の3%〜30%とし、
前記酸化剤として過酸化水素を用い、該過酸化水素の供給量を、前記粒子成長用水溶液に、該過酸化水素を供給する間に、同時に供給する原料水溶液に含まれる金属イオンの総量に対するモル比で0.02以上とする、
遷移金属複合水酸化物粒子の製造方法。 - 酸素濃度が5容量%以下の非酸化性雰囲気中、反応槽内に、アンモニウムイオン供給体を供給し、液温25℃基準におけるpH値を12.0〜14.0に調整した後、少なくとも遷移金属を含有する金属化合物を供給することで核生成用水溶液を形成して、核の生成を行う、核生成工程と、
前記非酸化性雰囲気を維持したまま、前記核生成用水溶液を、液温25℃基準におけるpH値が、前記核生成工程におけるpH値よりも低く、かつ、10.5〜12.0となるように調整することで粒子成長用水溶液を形成し、前記核を成長させる、粒子成長工程とを備え、
前記粒子成長工程において、前記粒子成長用水溶液に酸化剤を供給する操作を2回以上行う晶析反応により、遷移金属複合水酸化物粒子を製造する方法であって、
前記遷移金属複合水酸化物粒子は、一般式(A):NixMnyCozMt(OH)2+a(ただし、x+y+z+t=1、0.30≦x≦0.95、0.05≦y≦0.55、0≦z≦0.40、0≦t≦0.10、0≦a≦0.50、Mは、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上の添加元素)で表される遷移金属複合水酸化物粒子であり、
前記酸化剤の総供給時間を、該粒子成長工程における全晶析反応時間の6%〜30%とし、かつ、
前記酸化剤の1回あたりの供給時間を、該粒子成長工程における全晶析反応時間の3%以上とする、
遷移金属複合水酸化物粒子の製造方法。 - 前記粒子成長工程において、前記酸化剤の供給を、該粒子成長工程の開始後、該粒子成長工程における全晶析反応時間の5%〜35%が経過した時点から行う、請求項2に記載の遷移金属複合水酸化物粒子の製造方法。
- 前記酸化剤として過酸化水素を用いる、請求項2または3に記載の遷移金属複合水酸化物粒子の製造方法。
- 前記過酸化水素の供給量を、前記粒子成長用水溶液に、該過酸化水素を供給する間に、同時に供給する原料水溶液に含まれる金属イオンの総量に対するモル比で0.02以上とする、請求項4に記載の遷移金属複合水酸化物粒子の製造方法。
- 前記非酸化性雰囲気は、酸素濃度が2容量%以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の遷移金属複合水酸化物粒子の製造方法。
- 前記粒子成長工程後に、前記遷移金属複合水酸化物粒子を、前記添加元素Mを含む化合物で被覆する被覆工程をさらに備える、請求項1〜6のいずれかに記載の遷移金属複合水酸化物粒子の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の遷移金属複合水酸化物粒子の製造方法によって遷移金属複合水酸化物粒子を得る晶析工程と、
前記遷移金属複合水酸化物粒子とリチウム化合物を混合して、リチウム混合物を形成する混合工程と、
前記リチウム混合物を、酸化性雰囲気中、650℃〜980℃で焼成する焼成工程と、
を備える、非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法。 - 前記混合工程において、前記リチウム混合物を、該リチウム混合物に含まれるリチウム以外の金属の原子数の和と、リチウムの原子数との比を、1:0.95〜1.50の範囲に調整する、請求項8に記載の非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記混合工程前に、前記遷移金属複合水酸化物粒子を105℃〜750℃で熱処理する、熱処理工程をさらに備える、請求項8または9に記載の非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記非水電解質二次電池用正極活物質は、一般式(B):Li1+uNixMnyCozMtO2(ただし、−0.05≦u≦0.50、x+y+z+t=1、0.30≦x≦0.95、0.05≦y≦0.55、0≦z≦0.40、0≦t≦0.10、Mは、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上の添加元素)で表され、層状構造を有する六方晶系のリチウムニッケルマンガン複合酸化物粒子である、請求項8〜10のいずれかに記載の非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
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