JP6424819B2 - 半導体装置の製造方法および半導体装置 - Google Patents
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Description
特許文献3では脂肪族エポキシ基を含むシリコーンレジンと第三ホスフィン化合物とキノン化合物の付加物を硬化促進剤として組み合わせた封止用エポキシ樹脂組成物の例が記載されているが、脂肪族エポキシ基は反応性に劣るため、レジン成分の架橋反応には寄与せず、封止材の吸水率を悪化させる。その結果、PKG反りに効果があるものの、耐半田性が劣る結果であった。
特許文献4では脂肪族エポキシ基を含むシリコーンレジンとトリスフェノールメタン型フェノール樹脂を組み合わせた封止用エポキシ樹脂組成物の例であるが、脂肪族エポキシ基は反応性に劣るため、レジン成分の架橋反応には寄与せず、封止材の吸水率を悪化させる。その結果、PKG反りに効果があるものの、耐半田性が劣る結果であった。
特許文献5では脂肪族エポキシ基を含むシリコーンレジンとビスフェノールS型エポキシ樹脂を組み合わせた封止用エポキシ樹脂組成物の例が記載されているが、脂肪族エポキシ基は反応性に劣るため、レジン成分の架橋反応には寄与せず、封止材の吸水率を悪化させる。その結果、PKG反りに効果があるものの、耐半田性が劣る結果であった。
特許文献6ではフェニル基とヒドロキシル基またはフェニル基とプロピル基を含むシリコーンレジンとフェニルアラルキル型、ビフェニル型、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂を組み合わせた封止用エポキシ樹脂組成物の例が記載されているが、シリコーンレジン中にヒドロキシル基が多量に含まれていると、成形中にシリコーンレジンが高分子量化する事で増粘し、成形性に劣る結果であった。更に、シリコーンレジンにプロピル基の様な長鎖アルキル基が含まれているために、硬化物の耐燃性が著しく劣る結果であった。
特に近年では、半導体パッケージの薄型化の要求がある。半導体パッケージ全体を薄くすることで、その反りが顕在化しやすくなるという懸念がある。
このような反りを解消する一つのアプローチとしては、柔軟性に長けた樹脂材料を用いることで、基板、素子、封止樹脂間の熱膨張係数の差により生じる応力を緩和するという方法が考えられる。しかしながら、一般に柔軟性に長けた材料は耐熱性に劣る傾向がある。
すなわち、MAP成形プロセスにおいても反りを発生させず、また、硬化・ダイシング後に得られる半導体装置としても耐熱性等の特性の保持と反り抑制が達成できる樹脂材料が待望されていた。
〔1〕 ダイシング領域によって区画された複数のパッケージエリアを備える素子搭載基板を準備する準備工程と、
前記素子搭載基板の各パッケージエリアのそれぞれに半導体チップを実装する実装工程と、
前記半導体チップを封止用エポキシ樹脂組成物で同時にモールドするモールド工程と、
前記ダイシング領域に沿ってダイシングを行い、モールドされた各々の半導体チップを個片化する個片化工程を、
を含み、
前記封止用エポキシ樹脂組成物は、
(A)エポキシ樹脂、
(B)硬化剤、
(C)シリコーンレジン、
(D)無機充填剤、
(E)硬化促進剤、
を含み、
前記(C)シリコーンレジンが、メチルフェニル型熱可塑性シリコーンレジンであり、下記一般式(a)、(b)、(c)、(d)で示される繰り返し構造単位を有する、分岐状構造シリコーンレジンであり、
前記(C)シリコーンレジンの軟化点が60℃以上、100℃以下であり、数平均分子量が1000以上、10000以下であり、
前記(E)硬化促進剤が、下記一般式(1)〜(3)で示される化合物から選ばれる1種以上である、半導体装置の製造方法。
〔2〕 前記(C)シリコーンレジンが、更に下記一般式(e)、(f)で示される繰り返し構造単位を有するものである、〔1〕に記載の半導体装置の製造方法。
〔3〕 前記(C)シリコーンレジンの含有量が、全封止用エポキシ樹脂組成物中0.1質量%以上、5質量%以下である、〔1〕または〔2〕に記載の半導体装置の製造方法。
〔4〕 前記(A)エポキシ樹脂が、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、擬アントラセン型エポキシ樹脂、から選ばれる1種以上である、〔1〕ないし〔3〕のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
〔5〕 前記(B)硬化剤が、フェノール系硬化剤である、〔1〕ないし〔4〕のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
〔6〕 前記フェノール系硬化剤が、フェノールアラルキル樹脂、またはトリスフェノールメタン骨格を有するフェノール樹脂の少なくとも一方を含むものである、〔5〕に記載の半導体装置の製造方法。
〔7〕 〔1〕ないし〔6〕のいずれか一項に記載の製造方法によって得られる半導体装置。
従来の無機充填材の増量による低熱膨張率化では高溶融粘度化や低流動性化が生じ、従来のシリコーンレジンでは低Tg化、高熱膨張率化、低耐燃性化、半導体装置の低信頼性化が生じ易くなるが、特定のシリコーンレジンを用いることにより、これらトレードオフが生じずに、バランスに優れた結果を得ることができる。
本実施形態の半導体装置100の製造方法は、いわゆる「MAP方式」と称されるものであり、次の工程を含む。まず、ダイシング領域112によって区画された複数のパッケージエリア114を備える素子搭載基板108を準備する(以下、準備工程と称する)。次いで、素子搭載基板108の各パッケージエリア114のそれぞれに半導体チップ116を実装する(以下、実装工程と称する)。次いで、半導体チップ116を封止用エポキシ樹脂組成物で同時にモールドする(以下、モールド工程と称する)。ダイシング領域112に沿ってダイシングを行い、モールドされた各々の半導体チップ116を個片化する(以下、個片化工程と称する)。
本実施の形態の封止用エポキシ樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)シリコーンレジン、(D)無機充填剤、(E)硬化促進剤、を含み、(C)シリコーンレジンが、メチルフェニル型熱可塑性シリコーンレジンであり、下記一般式(a)、(b)、(c)、(d)で示される繰り返し構造単位を有する、分岐状構造シリコーンレジンである。
本準備工程においては、素子搭載基板108が準備される。この素子搭載基板は発明の目的を損なわない限り、適宜設定することができるが、たとえば有機基板である場合が例示される。
次に、本実施形態の実装工程について説明する。
図2は、実装工程の工程上面図である。図1(a)は、図2のA−A'断面図である。
図2に示すように、素子搭載基板108の素子搭載面110に、複数の半導体チップ116を配置する。素子搭載面110には、ダイシング領域112で区画されたパッケージエリア114が形成されている。パッケージエリア114は、所定間隔を空けて配置されている。1つのパッケージエリア114に1個の半導体チップ116が形成されてもよいし、複数個形成されてもよい。本実施の形態では、1つのパッケージエリア114に1個の半導体チップ116が配置される例を説明する。半導体チップ116の外縁は、パッケージエリア114の外縁と対応する。
まず、接着剤で半導体チップ116を素子搭載基板108に仮固定した後、これらを加熱圧着する。本実施の形態において、接着剤は、液状でもシート状でもよい。接着剤はフラックス活性剤を有していてもよい。
次いで、半導体チップ116および素子搭載基板108からなる積層体を、半田バンプ118の融点以上の温度で加熱することにより、半導体チップ116と素子搭載基板108を半田接合する。これにより、半導体チップ116と素子搭載基板108が、互いに接続されることとなる。
続いて、本実施の形態のモールド工程について説明する。
図1(b)に示すように、素子搭載基板108上の半導体チップ116を封止材で同時にモールドする。半導体チップ116の全体はモールド樹脂層120で覆われる。これにより、半導体パッケージが形成されることになる。半導体パッケージにおいて、半導体チップ116同士の間隙はモールド樹脂層120で埋設されている。
<封止用エポキシ樹脂組成物>
本実施形態の封止用エポキシ樹脂組成物は、
(A)エポキシ樹脂、
(B)硬化剤、
(C)シリコーンレジン、
(D)無機充填剤、
(E)硬化促進剤、
を含み、
前記(C)シリコーンレジンが、メチルフェニル型熱可塑性シリコーンレジンであり、下記一般式(a)、(b)、(c)、(d)で示される繰り返し構造単位を有する、分岐状構造シリコーンレジンである。
[エポキシ樹脂]
本実施形態における(A)エポキシ樹脂は、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂(ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、フェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂等)、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等)、擬アントラセン型エポキシ樹脂、から選ばれる1種以上であり、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態におけるビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂としては下記一般式(4)で示される構造の樹脂を含むものが挙げられる。
本実施形態におけるビフェニル型エポキシ樹脂としては下記一般式(5)で示される構造の樹脂を含むものが挙げられる。
本実施形態におけるフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂としては下記一般式(6)で示される構造の樹脂を含むものが挙げられる。
本実施形態におけるトリスフェノールメタン型エポキシ樹脂としては下記一般式(7)で示される構造の樹脂を含むものが挙げられる。
本実施形態におけるビスフェノールA型エポキシ樹脂としては下記一般式(8)で示される構造の樹脂を含むものが挙げられる。
本実施形態における擬アントラセン型エポキシ樹脂としては下記一般式(9)で示される構造の樹脂を含むものが挙げられる。
本実施形態における(B)硬化剤は、封止用エポキシ樹脂組成物に一般に使用されているものであれば特に制限はないが、例えば、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、メルカプタン系硬化剤、が挙げられる。これらの中でも、耐燃性、耐湿性、電気特性、硬化性、保存安定性等のバランスの点からフェノール系硬化剤が好ましい。
<フェノール系硬化剤>
フェノール系硬化剤としては、封止用エポキシ樹脂組成物に一般に使用されているものであれば特に制限はないが、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂をはじめとするフェノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られる樹脂、フェノール類及び/又はナフトール類とジメトキシパラキシレン又はビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂、フェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂、トリスフェノールメタン骨格を有するフェノール樹脂、などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アミン系硬化剤としては、ジエチレントリアミン(DETA)やトリエチレンテトラミン(TETA)やメタキシレリレンジアミン(MXDA)などの脂肪族ポリアミン、ジアミノジフェニルメタン(DDM)やm−フェニレンジアミン(MPDA)やジアミノジフェニルスルホン(DDS)などの芳香族ポリアミンのほか、ジシアンジアミド(DICY)や有機酸ジヒドララジドなどを含むポリアミン化合物などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<酸無水物系硬化剤>
酸無水物系硬化剤としては、ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)やメチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)や無水マレイン酸などの脂環族酸無水物、無水トリメリット酸(TMA)や無水ピロメリット酸(PMDA)やベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)、無水フタル酸などの芳香族酸無水物などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<メルカプタン系硬化剤>
メルカプタン系硬化剤としては、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<その他硬化剤>
その他の硬化剤としては、イソシアネートプレポリマーやブロック化イソシアネートなどのイソシアネート化合物、カルボン酸含有ポリエステル樹脂などの有機酸類などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記異なる系の硬化剤の2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態における(C)シリコーンレジンは、メチルフェニル型熱可塑性シリコーンレジンであり、下記一般式(a)、(b)、(c)、(d)で示される繰り返し構造単位を有する分岐状構造シリコーンレジンである。
(C)シリコーンレジンは、更には、下記一般式(e)、(f)の繰り返し構造で表される、Si原子に結合したOH基とSi原子に結合した水素原子の含有量が、各々1分子中に0.5質量%未満であることが好ましい。0.5質量%以上であると、封止用エポキシ樹脂組成物の成形中にシリコーンレジンの高分子量化が進行することによって封止用エポキシ樹脂組成物の溶融粘度の上昇と流動性の低下が生じ、未充填やワイヤー変形等の成形不良が発生する場合がある。
(C)シリコーンレジンの軟化点は60℃以上、100℃以下が好ましい。軟化点が60℃未満だと、ガラス転移温度が低下し、作動時(高温)と停止時(常温)の電子部品の反り変動が大きくなり、電子部品の寿命が短くなる。軟化点が100℃より高いと、レジン成分との相溶性が悪化するため、反り制御能力が十分発揮されず、電子部品表面の汚れも発生する。
(C)シリコーンレジンの数平均分子量は1000以上、10000以下であることが好ましい。数平均分子量が1000未満だと、揮発成分が増加し、電子部品内部にボイドが発生しやすくなる。数平均分子量が10000より大きいと、レジン成分との相溶性が悪化するため、反り制御能力が十分発揮されず、電子部品表面の汚れも発生する。
(C)シリコーンレジンは、ジクロロジメチルシラン、ジクロロジフェニルシラン、ジクロロメチルフェニルシラン、トリクロロメチルシラン、トリクロロフェニルシラン、クロロトリメチルシラン、クロロトリフェニルシランを、目標とする分岐構造量、フェニル基含有量、分子量に応じた配合比で配合し、加水分解させ、生成したシラノール基を脱水縮合、精製して得ることができる。(C)シリコーンレジンの市販品としては、KR−480(信越化学工業(株)社製商品名)、233FLAKE(東レダウコーニング(株)社製商品名)、249FLAKE(東レダウコーニング(株)社製商品名)等が入手可能であるが、封止用エポキシ樹脂組成物に用いるためには、脱塩素のために洗浄等によって精製して用いることが好ましい。
これらの(C)シリコーンレジンは単独で用いても2種類以上を併用しても良い。
本実施形態における(D)無機充填材は、当該分野で一般的に用いられる無機充填材を使用することができる。具体的には、例えば、溶融破砕シリカ、溶融球状シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素および窒化アルミ等が挙げられ、これらの無機充填材は、単独でも混合して使用してもよい。好適には、溶融球状シリカが用いられる。
(D)無機充填材の全封止用エポキシ樹脂組成物中の含有量は、好ましくは75質量%以上、93質量%以下であり、より好ましくは80質量%以上、91質量%以下であり、更に好ましくは85質量%以上、90質量%以下である。前記範囲内だと、高温下における半導体素子に十分に密着し、かつ、反りが小さくなり、素子に大きなストレスを与えないため、剥離耐性を得ることができる。含有量が下限値未満だと、良好な耐半田クラック性を得られず、高温時の重量減少率が上昇し、線膨張係数が大きくなって反りが増大し、剥離耐性が低下する。含有量が上限値を超えると、封止用エポキシ樹脂組成物の流動性、成形性が低下してしまう。
(E)硬化促進剤は、エポキシ樹脂のエポキシ基同士の反応、及びエポキシ樹脂と硬化剤との反応を促進する機能を有するものであり、一般に使用される硬化促進剤が用いられる。
また、本実施形態の封止用エポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、以下に示すような成分が含まれていてもよい。
本実施形態には、芳香環を構成する2個以上の隣接する炭素原子にそれぞれ水酸基が結合した化合物(F)を用いることが出来る。化合物(F)は、フェノール系硬化剤とエポキシ樹脂との架橋反応を促進させる硬化促進剤として、潜伏性を有しないリン原子含有硬化促進剤を用いた場合であっても、封止用エポキシ樹脂組成物の溶融混練中での反応を抑えることができる。
カップリング剤は、封止用エポキシ樹脂組成物中に無機充填材が含まれる場合に、エポキシ樹脂と無機充填材との密着性を向上させ機能を有するものであり、例えば、シランカップリング剤等が用いられる。
無機難燃剤は、封止用エポキシ樹脂組成物の難燃性を向上させる機能を有するものであり、一般に使用される無機難燃剤が用いられる。
ここで離型剤とはトランスファー成形機等で成形する際、成形物を金型から離型させる機能を有するものである。
本実施形態における離型剤としては、半導体封止用エポキシ樹脂組成物で当業者に公知の離型剤であれば特に限定されないが、例えばカルナバが挙げられる。
これらの離型剤は1種類を単独で用いても2種類以上を併用しても良い。
離型剤の含有量の下限値としては、全封止用エポキシ樹脂組成物中0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは0.05質量%以上、特に好ましくは0.1質量%以上である。離型剤の含有量が下限値以上であれば、成形時に金型から硬化物を離型させることができる。また、離型剤の含有割合の上限値としては、全封止用エポキシ樹脂組成物中1質量%以下が好ましく、より好ましくは0.8質量%以下、特に好ましくは0.5質量%以下である。離型剤の含有量が上限値以下であれば、成形品表面に離型剤が染み出すことによる汚れを抑制することができる。
また、上述したその他の成分以外に、カーボンブラック、ベンガラ、酸化チタン等の着色剤等当業者に公知の成分を適宜含有してもよい。
半導体パッケージの寸法は、特に限定されないが、以下の条件(1)〜(3)を満たすことが好ましい。
(1)チップ高さ(厚みH1)が、好ましくは50μm以上500μm以下であり、より好ましくは200μm以上400μm以下である。
(2)封止材の厚みH2が、好ましくは100μm以上1000μm以下であり、より好ましくは200μm以上800μm以下である。
(3)素子搭載基板の厚みH3が、好ましくは100μm以上3000μm以下であり、より好ましくは300μm以上2000μm以下である。
なお、厚みH1から厚みH3は、たとえば、平均厚みでよい。
半導体パッケージの寸法が上記条件(1)〜(3)のすべてを満たすことにより、薄層の半導体パッケージにおいて、反りを低減することが可能となる。つまり、素子搭載基板108やモールド樹脂層120が薄層となると、半導体パッケージに、実装時の反り残りが生じやすくなる。これに対して、本実施形態では、このような薄層の半導体パッケージにおいても、実装時の反り残りを低減することが可能となる。
続いて、図3(a)に示すように、素子搭載基板108の反対面側に半田バンプ128を形成する。この後、図3(b)示すように、ダイシングソー130などで、半導体チップ116を個片化する。たとえば、図2に示すダイシング領域112に沿って、ダイシングを行い、モールドされた各々の半導体チップ116を個片化する。これにより、半導体装置100を得ることができる。
本実施形態の半導体装置100は上記特定のエポキシ樹脂組成物を用いて封止をおこなっているため、個片化後においても反りが抑制されており、また、耐熱性、耐半田クラック性、耐温度サイクル性、耐湿信頼性等の特性に優れている。
なお、半導体装置100をマザーボードなどに実装して、電子装置を得ることができる。
第1の実施形態においてはいわゆる「MAP方式」と称される半導体装置の製造方法について示したが、上記封止用エポキシ樹脂組成物を以下で例示する電子部品モジュール(パッケージまたはPKGと記載する場合がある)に適用することもできる。
しかしながら、上記のような電子部品では、電子部品が大型化すると熱応力等の影響が大きくなり、電子部品自体が反ることで、モールド樹脂と他部材との間に構成される各界面で剥離が生じやすくなるという問題がある。このような問題を解消する方法として、モールド樹脂の線膨脹係数を下げることで封止樹脂と他部材(例えばヒートシンクや回路基板等)との線膨張係数差を低減し、これにより応力緩和を図るといった方法などが考えられる。モールド樹脂の線膨脹係数を下げる手法として無機充填材含有量を増やす方法があるが、溶融粘度が上昇して流動性が悪化するなどの弊害がある。
図4は、本実施形態の電子部品モジュールの一例を示す縦断面図である。
このモールド樹脂(封止樹脂)8として、第1の実施形態として示した特定のシリコーンレジンを含むエポキシ樹脂組成物を適用することができる。これにより、高溶融粘度化や低流動性化を生じさせることなく、線膨張係数を適切な範囲に設定し、結果として、電子部品モジュール1全体としての反りを抑制することができる。
[1−1]
(A)エポキシ樹脂、
(B)硬化剤、
(C)シリコーンレジン、
(D)無機充填剤、
(E)硬化促進剤、
を含み、
前記(C)シリコーンレジンが、メチルフェニル型熱可塑性シリコーンレジンであり、下記一般式(a)、(b)、(c)、(d)で示される繰り返し構造単位を有する、分岐状構造シリコーンレジンである、
封止用エポキシ樹脂組成物。
[1−2]前記(C)シリコーンレジンが、更に下記一般式(e)、(f)で示される繰り返し構造単位を有するものである、[1−1]に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
[1−3]前記(C)シリコーンレジンの軟化点が60℃以上、100℃以下であり、数平均分子量が1000以上、10000以下である、[1−1]または[1−2]に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
[1−4]前記(C)シリコーンレジンの含有量が、全封止用エポキシ樹脂組成物中0.1質量%以上、5質量%以下である、[1−1]ないし[1−3]のいずれか一項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
[1−5]前記(A)エポキシ樹脂が、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、擬アントラセン型エポキシ樹脂、から選ばれる1種以上である、[1−1]ないし[1−4]のいずれか一項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
[1−6]前記(B)硬化剤が、フェノール系硬化剤である、[1−1]ないし[1−5]のいずれか一項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
[1−7]前記フェノール系硬化剤が、フェノールアラルキル樹脂、またはトリスフェノールメタン骨格を有するフェノール樹脂の少なくとも一方を含むものである、[1−6]に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
[1−8]前記(E)硬化促進剤が、下記一般式(1)〜(3)で示される化合物から選ばれる1種以上である、[1−1]ないし[1−7]のいずれか一項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
[1−9][1−1]ないし[1−8]のいずれか一項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物からなる、半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
[1−10][1−9]に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物を、封止樹脂として備えることを特徴とする電子部品。
以下、参考形態の例を付記する。
[2−1]ダイシング領域によって区画された複数のパッケージエリアを備える素子搭載基板を準備する準備工程と、
前記素子搭載基板の各パッケージエリアのそれぞれに半導体チップを実装する実装工程と、
前記半導体チップを封止用エポキシ樹脂組成物で同時にモールドするモールド工程と、
前記ダイシング領域に沿ってダイシングを行い、モールドされた各々の半導体チップを個片化する個片化工程を、
を含み、
前記封止用エポキシ樹脂組成物は、
(A)エポキシ樹脂、
(B)硬化剤、
(C)シリコーンレジン、
(D)無機充填剤、
(E)硬化促進剤、
を含み、
前記(C)シリコーンレジンが、メチルフェニル型熱可塑性シリコーンレジンであり、下記一般式(a)、(b)、(c)、(d)で示される繰り返し構造単位を有する、分岐状構造シリコーンレジンである、半導体装置の製造方法。
[2−2]前記(C)シリコーンレジンが、更に下記一般式(e)、(f)で示される繰り返し構造単位を有するものである、[2−1]に記載の半導体装置の製造方法。
[2−3]前記(C)シリコーンレジンの軟化点が60℃以上、100℃以下であり、数平均分子量が1000以上、10000以下である、[2−1]または[2−2]に記載の半導体装置の製造方法。
[2−4]前記(C)シリコーンレジンの含有量が、全封止用エポキシ樹脂組成物中0.1質量%以上、5質量%以下である、[2−1]ないし[2−3]のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
[2−5]前記(A)エポキシ樹脂が、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、擬アントラセン型エポキシ樹脂、から選ばれる1種以上である、[2−1]ないし[2−4]のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
[2−6]前記(B)硬化剤が、フェノール系硬化剤である、[2−1]ないし[2−5]のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
[2−7]前記フェノール系硬化剤が、フェノールアラルキル樹脂、またはトリスフェノールメタン骨格を有するフェノール樹脂の少なくとも一方を含むものである、[2−6]に記載の半導体装置の製造方法。
[2−8]前記(E)硬化促進剤が、下記一般式(1)〜(3)で示される化合物から選ばれる1種以上である、[2−1]ないし[2−7]のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
[2−9][2−1]ないし[2−8]のいずれかに記載の製造方法によって得られる半導体装置。
なお、本発明はこれらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
まず、各実施例および各比較例の封止用エポキシ樹脂組成物で用いた原材料を以下に示す。
なお、特に記載しない限り、各成分の配合量は、質量部とする。
(A)成分のエポキシ樹脂:
エポキシ樹脂1:エポキシ当量276g/eq、軟化点52℃のビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)社製、商品名「NC−3000L」)。一般式(4)において、R14〜R15が水素原子である構造を有するものである。
エポキシ樹脂2:エポキシ当量185g/eq、融点108℃のビフェニル型エポキシ樹脂(三菱化学(株)社製、商品名「YX−4000K」)。一般式(5)において、R16、R17、R22、R23がメチル基であり、R18、R19、R20、R21が水素原子である。
エポキシ樹脂3:エポキシ当量238g/eq、軟化点52℃のフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)社製、商品名「NC−2000」)。一般式(6)において、R24とR25が水素原子である構造を有するものである。
エポキシ樹脂4:エポキシ当量171g/eq、軟化点59℃のトリスフェノールメタン型エポキシ樹脂(三菱化学(株)社製、商品名「1032H−60」)。一般式(7)において、R26が水素原子である構造を有するものである。
エポキシ樹脂5:エポキシ当量172g/eq、軟化点45℃のビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学(株)社製、商品名「エピコートYL6810」)。一般式(8)において、R27が水素原子である構造を有するものである。
エポキシ樹脂6:エポキシ当量168g/eq、軟化点115℃の擬アントラセン骨格型エポキシ樹脂(三菱化学(株)社製、商品名「エピコートYL7310」)。一般式(9)において、R28が水素原子である構造を有するものである。
フェノール系硬化剤1:水酸基当量198g/eq、軟化点64.5℃のビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂(日本化薬(株)社製、商品名「GPH−65」)。一般式(13)において、R47が4,4'−ジメチレンビフェニルである構造を有するものである。
フェノール系硬化剤2:水酸基当量97g/eq、軟化点110℃のトリスフェノールメタン骨格を有するフェノール樹脂(明和化成(株)社製、商品名「MEH−7500」)。一般式(13)において、R47がヒドロキシフェニルメチレンである構造を有するものである。
フェノール系硬化剤3:水酸基当量175g/eq、軟化点66.5℃のフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂(明和化成(株)社製、商品名「MEH−7800SS」)。一般式(13)において、R47がp−キシリレンである構造を有するものである。
無機充填材1:溶融球状シリカ(電気化学工業(株)社製、商品名「FB560」、平均粒径30μm)。なお、本発明における平均粒径は(株)島津製作所製レーザー回折散乱式粒度分布計SALD−7000を使用して測定した。
無機充填材2:溶融球状シリカ(アドマテックス(株)社製、商品名「SO−25R」、平均粒径0.5μm)。
(E)成分の硬化促進剤:
硬化促進剤1としては、下記式(14)で示される硬化促進剤を用意した。
撹拌装置付きのセパラブルフラスコに4,4'−ビスフェノールS37.5g(0.15モル)、メタノール100mlを仕込み、室温で撹拌溶解し、更に攪拌しながら予め50mlのメタノールに水酸化ナトリウム4.0g(0.1モル)を溶解した溶液を添加した。次いで予め150mlのメタノールにテトラフェニルホスホニウムブロマイド41.9g(0.1モル)を溶解した溶液を加えた。しばらく攪拌を継続し、300mlのメタノールを追加した後、フラスコ内の溶液を大量の水に撹拌しながら滴下し、白色沈殿を得た。沈殿を濾過、乾燥し、白色結晶の硬化促進剤1を得た。
冷却管及び攪拌装置付きのセパラブルフラスコに2,3‐ジヒドロキシナフタレン12.81g(0.080mol)、テトラフェニルホスホニウムブロミド16.77g(0.040mol)およびメタノール100mlを仕込み攪拌し、均一に溶解させた。予め水酸化ナトリウム1.60g(0.04ml)を10mlのメタノールに溶解した水酸化ナトリウム溶液をフラスコ内に徐々に滴下すると結晶が析出した。析出した結晶をろ過、水洗、真空乾燥し、硬化促進剤2を得た。
メタノール1800gを入れたフラスコに、フェニルトリメトキシシラン249.5g、2,3−ジヒドロキシナフタレン384.0gを加えて溶かし、次に室温攪拌下28%ナトリウムメトキシド−メタノール溶液231.5gを滴下した。さらにそこへ予め用意したテトラフェニルホスホニウムブロマイド503.0gをメタノール600gに溶かした溶液を室温攪拌下滴下すると結晶が析出した。析出した結晶を濾過、水洗、真空乾燥し、桃白色結晶の硬化促進剤3を得た。
冷却管及び攪拌装置付きのセパラブルフラスコにベンゾキノン6.49g(0.060mol)、トリフェニルホスフィン17.3g(0.066mol)およびアセトン40mlを仕込み、攪拌下、室温で反応した。析出した結晶をアセトンで洗浄後、ろ過、乾燥し暗緑色結晶の硬化促進剤4を得た。
シランカップリング剤1としては、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)社製、商品名「KBM−573」)を用意した。
シリコーンレジン1:Si原子に結合したフェニル基含有量55質量%、Si原子に結合したOH基の含有量0.3質量%、Si原子に結合した水素原子の含有量0.1%のメチルフェニル型シリコーンレジン(下記合成方法により合成。数平均分子量2900、軟化点90℃)
[シリコーンレジン1の合成方法]
攪拌装置、冷却装置、温度計を取り付けた1Lフラスコにフェニルトリクロロシラン87.0g(0.39モル)、ジフェニルジクロロシラン45.2g(0.18モル)、メチルトリクロロシラン37.4g(0.25モル)、ジメチルジクロロシラン23.0g(0.18モル)とトルエン150gを仕込み、オイルバスで内温40℃まで加熱した。滴下ロートにメタノール64g(2モル)を仕込み、フラスコへ攪拌しながら1時間で滴下し、アルコキシ化反応中に発生する塩化水素ガスを系外へ除去しながら反応を進めた。滴下終了後、更に内温40℃で攪拌を1時間続けて熟成した。次に滴下ロートに水12g(0.7モル)を仕込み、フラスコ内へ攪拌しながら1時間で滴下し、加水分解縮合反応中に発生する塩化水素ガスを系外へ除去しながら反応を進めた。滴下終了後、更に内温40℃で攪拌を1時間続けて、生成したシラノール基の脱水縮合反応を進めて熟成し、引き続き減圧蒸留によりトルエン、過剰分のメタノール、未反応の水、塩化水素を除去して固体状のシリコーンレジン1を、102g得た。
シリコーンレジン2:Si原子に結合したフェニル基含有量57質量%、Si原子に結合したOH基の含有量0.3質量%、Si原子に結合した水素原子の含有量0.07質量%のメチルフェニル型シリコーンレジン(東レダウコーニング(株)社製、商品名「233FLAKE」、数平均分子量1500(重量平均分子量2200)、軟化点80℃)
シリコーンレジン3:Si原子に結合したフェニル基含有量54質量%、Si原子に結合したOH基の含有量0.3質量%、Si原子に結合した水素原子の含有量0.06質量%のメチルフェニル型シリコーンレジン(東レダウコーニング(株)社製、商品名「249FLAKE」、数平均分子量1600(重量平均分子量3400)、軟化点85℃)
シリコーンレジン4:Si原子に結合したフェニル基含有量45質量%、Si原子に結合したOH基の含有量0.3質量%、Si原子に結合した水素原子の含有量0.06質量%のメチルフェニル型シリコーンレジン(東レダウコーニング(株)社製、商品名「220FLAKE」、数平均分子量3000、軟化点100℃)
シリコーンレジン5:Si原子に結合したフェニル基含有量0質量%、Si原子に結合したOH基の含有量0.1質量%のジメチル型シリコーンゴム(東レダウコーニング(株)社製、商品名「CF2152」)
シリコーンレジン6:Si原子に結合したフェニル基含有量57質量%、Si原子に結合したOH基の含有量6質量%のメチルフェニル型シリコーンレジン(東レダウコーニング(株)社製、商品名「217FLAKE」、数平均分子量1100、軟化点75℃)
シリコーンレジン7:Si原子に結合したフェニル基含有量54質量%、Si原子に結合したOH基の含有量0.3質量%のプロピルフェニル型シリコーンレジン(東レダウコーニング(株)社製、商品名「SH6018」、数平均分子量1700、軟化点100℃)
離型剤1としては、カルナバ(日興ファイン(株)社製、商品名「ニッコウカルナバ」)を用意した。
着色剤1としては、カーボンブラック(三菱化学(株)社製、商品名「MA600」)を用意した。
[実施例1]
エポキシ樹脂1(8.00質量部)、フェノール系硬化剤1(5.00質量部)、無機充填材1(75.00質量部)、無機充填材2(10.00質量部)、硬化促進剤4(0.20質量部)、シランカップリング剤1(0.20質量部)、離型剤1(0.20質量部)、シリコーンレジン1(1.00質量部)、着色剤1(0.40質量部)をそれぞれ秤量し、これらをミキサーを用いて混合した後、表面温度が95℃と25℃の2本ロールを用いて混練することにより混練物を得た。次いで、この混練物を、冷却後粉砕することで実施例1の封止用エポキシ樹脂組成物を得た。
原材料の種類および配合量を表1、表2に示すように変更したこと以外は前記実施例1と同様にして、実施例2〜15、比較例1〜5の封止用エポキシ樹脂組成物を得た。
各実施例および各比較例の封止用エポキシ樹脂組成物を、以下の方法で評価した。
低圧トランスファー成形機(コータキ精機(株)社製、「KTS−15」)を用いて、ANSI/ASTM D 3123−72に準じたスパイラルフロー測定用金型に、175℃、注入圧力6.9MPa、保圧時間120秒の条件で、各実施例および各比較例の封止用エポキシ樹脂組成物を注入し、流動長を測定し、これをスパイラルフローとした。
高化式フローテスター((株)島津製作所社製、商品名「CFT−500D」)にて、試料をシリンダー内に投入し、圧力40kgf/cm2でプランジャーを降下させ、試料をノズルダイ(ノズル1mmφ、厚さ1mm)から流出させて高化式粘度を測定した。単位はPa・s。
各実施例および各比較例の封止用エポキシ樹脂組成物について、トランスファー成形機(藤和精機(株)社製50トントランスファープレス)を用いて、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間90秒で15mm×4mm×3mmの試験片を成形し、175℃、4時間で後硬化した。上記試験片のガラス転移温度、線膨張係数α1、線膨張係数α2は、熱機械分析装置(セイコー電子(株)社製、商品名「TMA−120」、昇温速度5℃/分)を用いて測定した。Tgは30℃と280℃の接線の交点とした。線膨張係数αの単位は(/℃)である。
(厚型パッケージ)
トランスファー成形機(コータキ精機(株)社製30トントランスファープレス)を用いて、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間2分で、車載用半導体装置(モールド部75mm×65mm、厚さ6.7mm、回路基板は55mm×55mm、厚さ1.6mmのFR−4(Flame Retardant Type 4)基板、ヒートシンクは60mm×60mm、厚さ1.5mmのAl製、銅リードフレームと回路基板のボンディングパッドを150μm径のアルミ線でボンディングしている)を成形し、半導体装置を得た。得られた半導体装置10個を室温に冷却後、半導体装置のモールド部の対角線方向に、表面粗さ計を用いて高さ方向の変位を測定し、変異差の最も大きい値を反り量とした。更に、175℃、4時間で後硬化した後、同様に反り量を測定した。単位はμm。100μm以上である場合を不良と判断した。
(薄型パッケージ)
厚さ300μmの多面取りプリント配線板上に、4個×13個(縦×横)で配列した14mm×14mmの各個片化単位に、サイズが10mm×9mmで厚さ294μmの半導体素子をそれぞれ割り当てて配置した素子搭載基板を、圧縮成型機(TOWA(株)社製コンプレッションモールドプレス)の金型に入れ、当該金型の封止部を形成するキャビティに封止材を投入し、温度175℃、硬化時間2分で、圧縮成型を行うことにより、一括封止基板を得た。
得られた一括封止基板は、封止部の大きさが55mm×190mm(縦×横)であり、封止部の厚みが500μmであった。
得られた一括封止基板を室温に冷却後、封止基板のモールド部の対角線方向に、表面粗さ計を用いて高さ方向の変位を測定し、変異差量の最も大きい値を反り量とした。
得られた一括封止基板を、ダイシングソー(DISCO製)を用いて切断し、個片化単位ごとに分割(ダイシング)した。個片化された複数の半導体装置を得た。この個片化された半導体装置についても、表面粗さ計を用いて高さ方向の変位を測定し、変異差量の最も大きい値を反り量とした。
アルミニウム製電極パッドを備えるTEG(TEST ELEMENT GROUP)チップ(6.0mm×6.0mm×0.35mm厚)を80pQFP(銅製リードフレーム、パッケージ外寸:14mm×20mm×2mm厚、パッドサイズ:6.5mm×6.5mm)のアイランド部に接着し、TEGチップのアルミニウム製電極パッドと基板の電極パッドとを銅ワイヤ4N(銅純度99.99重量%)を用いてワイヤボンディングした。これを、低圧トランスファー自動成形機(第一精工(株)社製、商品名「GP−ELF」)を用いて、金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間70秒の条件で、実施例1〜15又は比較例1〜5のいずれかの封止用エポキシ樹脂組成物により封止成形して、175℃、4時間の条件で後硬化して80pQFPを得た。
6個の80pQFPを、60℃、相対湿度60%で168時間の加湿処理を行った後、260℃10秒のIRリフロー処理をした。パッケージ内部の剥離とクラックを超音波探傷機(日立建機ファインテック(株)社製、商品名「mi−scopehyperII」)で確認し、クラックが無く、チップ回路面に剥離が無く、アイランド部の剥離面積が5%以下であったものを合格とし、不合格の半導体装置の個数を数えた。
反り評価と同じ厚型パッケージ10個を作製し、温度サイクル試験機(ESPEC(株)社製、商品名「THERMAL SHOCK CHAMBER TSA−101S」)にパッケージを投入して、125℃30分、−55℃30分を1サイクルとして、1000サイクル温度サイクル処理を行った。半導体装置の内部の剥離、クラック有無を超音波探傷機(日立建機ファインテック(株)社製、商品名「mi−scope hyper II」)により確認し、クラックが無く、チップ回路面に剥離が無く、アイランド部の剥離面積が5%以下であったものを合格とし、不合格の半導体装置の個数を数えた。
アルミニウム製電極パッドを備えるTEG(TEST ELEMENT GROUP、1チップ3回路)チップ(3.0×3.5mm)を16pSOP(銅製リードフレーム、パッケージ外寸:7.2mm×11.5mm×1.95mm厚)のアイランド部に接着し、TEGチップのアルミニウム製電極パッドと基板の電極パッドとをデイジーチェーン接続となるように銅ワイヤ4N(銅純度99.99重量%)を用いてワイヤボンディングした。これを、低圧トランスファー成形機(コータキ精機(株)社製、商品名「KTS−125」)を用いて、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間2分間の条件で、実施例1〜15又は比較例1〜5のいずれかの封止用エポキシ樹脂組成物により封止成形して、16pSOPパッケージを作製した。このパッケージを175℃、4時間の条件で後硬化して半導体装置を得た。
6個の16pSOPを用いて、IEC68−2−66に準拠しHAST試験を行った。試験条件は140℃85%RH、DC20V印加、40時間、80時間、120時間、160時間、200時間、及び240時間処理をして回路のオープン不良有無を検出して、導通不良がある回路数をカウントし(10パッケージ×3回路=30回路について検出実施)、平均故障時間(MTTF:Mean Time To Failure。以下、MTTFと記載。)を求め、6個の16pSOPの平均値を求めた。
トランスファー成形機(コータキ精機(株)社製30トントランスファープレス)を用いて、成形温度175℃、圧力6.9MPa、硬化時間120秒で試験片(127mm×12.7mm×3.2mm)を成形し、175℃、4時間の条件で後硬化を行い、テストピースを得た。前記試験片をUL−94試験法に従って燃焼試験を行い、試験片5本の残炎時間の合計を総残炎時間として評価した。
Claims (7)
- ダイシング領域によって区画された複数のパッケージエリアを備える素子搭載基板を準備する準備工程と、
前記素子搭載基板の各パッケージエリアのそれぞれに半導体チップを実装する実装工程と、
前記半導体チップを封止用エポキシ樹脂組成物で同時にモールドするモールド工程と、
前記ダイシング領域に沿ってダイシングを行い、モールドされた各々の半導体チップを個片化する個片化工程を、
を含み、
前記封止用エポキシ樹脂組成物は、
(A)エポキシ樹脂、
(B)硬化剤、
(C)シリコーンレジン、
(D)無機充填剤、
(E)硬化促進剤、
を含み、
前記(C)シリコーンレジンが、メチルフェニル型熱可塑性シリコーンレジンであり、下記一般式(a)、(b)、(c)、(d)で示される繰り返し構造単位を有する、分岐状構造シリコーンレジンであり、
前記(C)シリコーンレジンの軟化点が60℃以上、100℃以下であり、数平均分子量が1000以上、10000以下であり、
前記(E)硬化促進剤が、下記一般式(1)〜(3)で示される化合物から選ばれる1種以上である、半導体装置の製造方法。
- 前記(C)シリコーンレジンの含有量が、全封止用エポキシ樹脂組成物中0.1質量%以上、5質量%以下である、請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記(A)エポキシ樹脂が、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、擬アントラセン型エポキシ樹脂、から選ばれる1種以上である、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記(B)硬化剤が、フェノール系硬化剤である、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記フェノール系硬化剤が、フェノールアラルキル樹脂、またはトリスフェノールメタン骨格を有するフェノール樹脂の少なくとも一方を含むものである、請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
- 請求項1ないし6のいずれか一項に記載の製造方法によって得られる半導体装置。
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