以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各部材等を認識可能な程度の大きさにするため、各部材等の尺度を実際とは異ならせて示している。
まず、シート製造装置の構成について説明する。シート製造装置は、例えば、純パルプシートや古紙などの原料(被解繊物)Puを新たなシートPrに形成する技術に基づくものである。本実施形態にかかるシート製造装置は、繊維を含む材料を堆積してウエブを形成する堆積部と、ウエブを加湿可能な加湿部と、加湿されたウエブを加圧する加圧部と、を備え、ウエブの先端部への加湿量は、ウエブの先端部以外の部分への加湿量よりも少なくなるように構成された装置である。以下、具体的にシート製造装置の構成について説明する。
図1は、本実施形態にかかるシート製造装置の構成を示す概略図である。図1に示すように、本実施形態のシート製造装置1は、供給部10と、粗砕部20と、解繊部30と、分級部40と、選別部50と、添加物投入部60と、堆積部70と、加湿部190と、加圧部110と、加熱加圧部120と、切断部130等を備えている。さらに、先端検出部200及び湿度検知部195等を備えている。そして、これらの部材を制御する制御部2を備えている。
供給部10は、粗砕部20に原料としての古紙Pu等を供給するものである。供給部10は、例えば、複数枚の古紙Puを重ねて貯めておくトレー11と、トレー11中の古紙Puを粗砕部20に連続して投入可能な自動送り機構12等を備えている。シート製造装置1に供給する古紙Puとしては、例えば、オフィスで現在主流となっているA4サイズの用紙等である。
粗砕部20は、供給された古紙Puを数センチメートル角の紙片に裁断するものである。粗砕部20では、粗砕刃21を備え、通常のシュレッダーの刃の切断幅を広げたような装置を構成している。これにより、供給された古紙Puを容易に紙片に裁断することができる。そして、分断された粗砕紙は、配管201を介して解繊部30に供給される。
解繊部30は、繊維を含む材料を空気中で解繊するものである。具体的には、解繊部30は、回転する回転刃(図示せず)を備え、粗砕部20から供給された粗砕紙を繊維状に解きほぐす解繊を行うものである。本願においては、解繊部30で解繊されるものを被解繊物と言い、解繊部30を通過したものを解繊物と言う。なお、本実施形態の解繊部30は、空気中で乾式で解繊を行うものである。解繊部30の解繊処理により、印刷されたインクやトナー、にじみ防止材等の紙への塗工材料等は、数十μm以下の粒(以下、「インク粒」という)となって繊維と分離する。したがって、解繊部30から出る解繊物は、紙片の解繊により得られる繊維とインク粒である。そして、回転刃の回転によって気流が発生する機構となっており、配管202を介して解繊された繊維はこの気流に乗って空気中で分級部40に搬送される。なお、必要に応じて解繊部30に配管202を介して解繊された繊維を分級部40に搬送させるための気流を発生させる気流発生装置を別途設けてもよい。
分級部40は、導入された導入物を気流により分級するものである。本実施形態では、導入物としての解繊物をインク粒と繊維とに分級する。分級部40は、例えば、サイクロンを適用することにより、搬送された解繊物をインク粒と繊維とに気流分級することができる。なお、サイクロンに替えて他の種類の気流式分級器を利用してもよい。この場合、サイクロン以外の気流式分級器としては、例えば、エルボージェットやエディクラシファイヤー等が用いられる。気流式分級器は旋回気流を発生させ、解繊物のサイズと密度により受ける遠心力の差によって分離、分級するもので、気流の速度、遠心力の調整により、分級点を調整することができる。これにより、比較的小さく密度の低いインク粒と、インク粒より大きく密度の高い繊維とに分けられる。
本実施形態の分級部40は接線入力方式のサイクロンであり、解繊部30から導入物が導入される導入口40aと、導入口40aが接線方向についた筒部41と、筒部41の下部に続く円錐部42と、円錐部42の下部に設けられる下部取出口40bと、筒部41の上部中央に設けられる微粉排出のための上部排気口40cとから構成される。円錐部42は鉛直方向下方にむかって径が小さくなる。
分級処理において、分級部40の導入口40aから導入された解繊物をのせた気流は、筒部41、円錐部42で円周運動に変わり、遠心力がかかり分級される。そして、インク粒より大きく密度の高い繊維は下部取出口40bへ移動し、比較的小さく密度の低いインク粒は空気とともに微粉として上部排気口40cへ導出される。そして、分級部40の上部排気口40cからインク粒が排出される。そして、排出されたインク粒は、分級部40の上部排気口40cに接続された配管206を介して受け部80に回収される。一方、分級部40の下部取出口40bから配管203を介して分級された繊維を含む分級物が選別部50に向けて空気中で搬送される。分級部40から選別部50へは、分級される際の気流によって搬送されてもよいし、上方にある分級部40から重力で下方にある選別部50に搬送されてもよい。なお、分級部40の上部排気口40cや配管206等に、上部排気口40cから短繊維混合物を効率よく吸引するための吸引部等を配置してもよい。分級は、あるサイズや密度を境にして正確に分けられるものではない。また、繊維とインク粒とに正確に分けられるものでもない。繊維の中でも比較的短い繊維はインク粒と共に上部排気口40cから排出される。インク粒の中でも比較的大きいものは繊維とともに下部取出口40bから排出される。
選別部50は、分級部40により分級された繊維を含む分級物(解繊物)を複数の開口を有するふるい部51から通過させて選別するものである。さらに、具体的には、分級部40により分級された繊維を含む分級物を、開口を通過する通過物と、開口を通過しない残留物と、に選別するものである。本実施形態の選別部50では、分級物を回転運動により空気中で分散させる機構を備えている。そして、選別部50の選別により開口を通過した通過物は、通過物搬送部52から配管204を介して堆積部70側に搬送される。一方、選別部50の選別により開口を通過しなかった残留物は、配管205を介して再び被解繊物として解繊部30に戻される。これにより、残留物は廃棄されずに再使用(再利用)される。
選別部50の選別により開口を通過した通過物は配管204を介して堆積部70に空気中で搬送される。選別部50から堆積部70へは、気流を発生させる図示しないブロワーによって搬送されてもよいし、上方にある選別部50から下方にある堆積部70に重力で搬送されてもよい。配管204における選別部50と堆積部70との間には、搬送される通過物に対して結着樹脂(例えば、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂)等の添加物を添加する添加物投入部60が設けられている。なお、添加物としては、結着樹脂の他、例えば、難燃剤、白色度向上剤、シート力増強剤やサイズ剤、吸収調整剤、芳香剤、脱臭剤等を投入することも可能である。これらの添加物は、添加物貯留部61に貯留され、図示しない投入機構によって投入口62から投入される。
堆積部70は、繊維を含む材料を堆積してウエブWを形成するものであり、解繊部30で解繊された解繊物の少なくとも一部を空気中で堆積するものである。具体的には、堆積部70は、配管204から投入された繊維や結着樹脂を含む材料を用いて堆積させてウエブWを形成するものであり、繊維を空気中に均一に分散させる機構を備えている。また、堆積部70は、移動しながら解繊物を堆積物(ウエブW)として堆積する移動部を有している。なお、本実施形態の移動部は、張架ローラー72と、張架ローラー72によって張架されるメッシュが形成されているエンドレスのメッシュベルト73とで構成されている。そして、張架ローラー72のうちの少なくとも1つが自転することで、このメッシュベルト73が一方向に回転(移動)するようになっている。なお、本実施形態にかかるウエブWとは、繊維と結着樹脂とを含む物体の構成形態を言う。従って、ウエブの加熱時や加圧時や切断時や搬送時等において寸法等の形態が変化した場合であってもウエブとして示している。
まず、繊維を空気中に均一に分散させる機構として、堆積部70には、繊維及び結着樹脂が内部に投入されるフォーミングドラム71が配置されている。そして、フォーミングドラム71を回転駆動させることにより通過物(繊維)中に結着樹脂(添加物)を均一に混ぜることができる。フォーミングドラム71には複数の小孔を有するスクリーンが設けられている。そして、フォーミングドラム71を回転駆動させて、通過物(繊維)中に結着樹脂(添加物)を均一に混ぜるとともに、小孔を通過した繊維や繊維と結着樹脂の混合物を空気中に均一に分散させることができる。
フォーミングドラム71の下方には、メッシュベルト73が配されている。また、フォーミングドラム71の鉛直下方には、メッシュベルト73を介して、鉛直下方に向けた気流を発生させる吸引部としてのサクション装置75が設けられている。サクション装置75によって、空気中に分散された繊維をメッシュベルト73上に吸引することができる。
そして、フォーミングドラム71の小孔スクリーンを通過した繊維等は、サクション装置75による吸引力によって、メッシュベルト73上に堆積される。このとき、メッシュベルト73を一方向に移動させることにより、繊維と結着樹脂を含み長尺状に堆積させたウエブWを形成することができる。フォーミングドラム71からの分散とメッシュベルト73の移動を連続的に行うことで、帯状の連続したウエブWが成形される。なお、メッシュベルト73は金属製でも、樹脂製でも、不織布でもよく、繊維が堆積でき、気流を通過させることができれば、どのようなものであってもよい。なお、メッシュベルト73のメッシュの穴径が大きすぎるとメッシュの間に繊維が入り込み、ウエブW(シート)を成形したときの凸凹になり、一方、メッシュの穴径が小さすぎると、サクション装置75による安定した気流を形成しづらい。このため、メッシュの穴径は適宜調整することが好ましい。サクション装置75はメッシュベルト73の下に所望のサイズの窓を開けた密閉箱を形成し、窓以外から空気を吸引し箱内を外気より負圧にすることで構成できる。
メッシュベルト73上に成形されたウエブWは、メッシュベルト73の回転移動により、搬送方向(図中の白抜き矢印)に従って搬送される。メッシュベルト73の上側には剥離部としての中間搬送部90が配置される。ウエブWは中間搬送部90によりメッシュベルト73上から剥離されて、加熱加圧部120側に搬送される。つまり、移動部(メッシュベルト73)から堆積物(ウエブW)を剥離する剥離部(中間搬送部90)を有し、剥離した堆積物(ウエブW)を加圧部110に搬送できる。中間搬送部90は、鉛直上方(ウエブWがメッシュベルト73から離間する方向)にウエブWを吸引しながらウエブWを搬送可能に構成されている。中間搬送部90は、メッシュベルト73から鉛直上方(ウエブWの表面に対して垂直な方向)に離間して配置され、且つ、ウエブWの搬送方向においてメッシュベルト73と一部が下流側にずれて配置されている。そして、中間搬送部90の搬送区間は、メッシュベルト73の下流側の張架ローラー72aから加圧部110までの区間となる。
また、本シート製造装置1では、シート製造装置1内の湿度を検出する湿度検出部195を有している。本実施形態では、堆積部70のフォーミングドラム71を囲うハウジング部77の内側に湿度検出部195が配置されている。湿度検出部195は、制御部2に接続され、ハウジング部77の内側部分の湿度を検出した検出結果が制御部2に送信されるように構成されている。
中間搬送部90は、搬送ベルト91と、複数の張架ローラー92と、吸引室93と、を有する。搬送ベルト91は、張架ローラー92によって張架されるメッシュが形成されているエンドレスのメッシュベルトである。そして、複数の張架ローラー92のうちの少なくとも1つが自転することで、搬送ベルト91が一方向に回転(移動)するようになっている。
吸引室93は、搬送ベルト91の内側に配置され、上面と当該上面に接する4つの側面とを有する中空の箱型形状をしており、底面(下方に位置する搬送ベルト91と対向する面)が開口している。また、吸引室93は、吸引室93内に気流(吸引力)を発生させる吸引部を備えている。そして、吸引部を駆動させることにより吸引室93の内部空間が吸引されて、吸引室93の底面から空気が流れ込む。これにより吸引室93の上方に向けた気流が発生し、ウエブWをウエブWの上方から吸引して搬送ベルト91にウエブWを吸着させることができる。そして、搬送ベルト91は、張架ローラー92が自転することによって移動(周回)し、ウエブWを加圧部110に向けて搬送することができる。また、吸引室93は、上方から見て、メッシュベルト73と一部が重なり、また、サクション装置75と重ならない下流側の位置に配置されるため、メッシュベルト73上のウエブWは、吸引室93と対向する位置においてメッシュベルト73から剥離させて搬送ベルト91に吸着させることができる。張架ローラー92は、搬送ベルト91がメッシュベルト73と同速度で移動するように自転する。メッシュベルト73と搬送ベルト91の速度に差があると、ウエブWが引っ張られて破断したり座屈したりすることを、同速度にすることで防止できる。
ウエブWの搬送方向における中間搬送部90の下流側に加圧部110が配置されている。加圧部110は、一対の加圧ローラー111,112で構成され、搬送されるウエブWを加圧する。例えば、加圧部110により、堆積部70で形成されたウエブWの厚みに対しておよそ1/5から1/30の厚みのウエブWとなるように加圧する。これにより、ウエブWの強度を向上させることができる。また、本実施形態の加圧部110は、ウエブWに対する加圧力を変更可能に構成されている。例えば、一方の加圧ローラー111の回転軸と他方の加圧ローラー112の回転軸との距離を変更することでウエブWに対する加圧力を変更することができる。この場合、一方の加圧ローラー111の回転軸と他方の加圧ローラー112の回転軸との距離を短くするとウエブWに対する加圧力が強まり、一方の加圧ローラー111の回転軸と他方の加圧ローラー112の回転軸との距離を長くするとウエブWに対する加圧力は低下する。本実施形態では、一方の加圧ローラー111には他方の加圧ローラー112に対して位置を変更可能にする移動機構が設けられ、当該移動機構は制御部2に接続され、制御部2の駆動制御信号によって駆動制御される。これにより、一方の加圧ローラー111は他方の加圧ローラー112に対して位置が変更され、ウエブWに対する加圧力を変更することができる。
なお、加圧力の変更方法は、上述のように加圧ローラー111の回転軸と加圧ローラー112の回転軸をカムなどにより直接決める定位置加圧方法の他に、圧縮バネなどを用いて圧縮バネの圧縮量をカムなどにより変更することにより加圧ローラー111の回転軸と加圧ローラー112の回転軸との距離を変更する定圧加圧方法であってもよい。
なお、ウエブWの搬送方向における中間搬送部90の上流側には、ウエブWを加湿可能な加湿部190を備えている。本実施形態では、加湿部190は中間搬送部90の上流側であって、堆積部70のメッシュベルト73に対向する位置に配置されている。加湿部190は、水分を噴霧可能に構成されている。ウエブWに水分を噴霧添加することによりウエブWに含まれる繊維間の水素結合が増強され、シートPrとしての強度を向上させることができる。そして、本実施形態では、ウエブWの先端部への加湿量は、ウエブWの先端部以外の部分への加湿量よりも少なくなるように設定される。この場合、ウエブWの先端部を加湿しない場合も含む。このように、ウエブWの先端部の加湿量をウエブWの先端部以外の部分への加湿量よりも少なくすることにより、例えば、シートPrの製造開始時において、ウエブWの先端部が加圧部110の加圧ローラー111(または加圧ローラー112)に巻き付きにくくすることができ、ウエブWを安定して搬送させることができる。なお、ウエブWの搬送方向における先端部の長さは、加圧ローラー111,112の全周の長さよりも長いことが好ましい。先端部の長さ、すなわち、加湿量がより少ない部分を加圧ローラー111,112の全周の長さよりも長くすることにより、加圧ローラー111,112へのウエブWの付着防止を確実に行うことができる。また、ウエブWの先端部の水分量はおよそ8wt%未満となるように設定することが好ましい。これによれば、ウエブWの先端部の加圧ローラー111(または加圧ローラー112)への巻き付きをさらに低減させることができる。
また、本シート製造装置1では、ウエブWの搬送方向において、加圧部の中で最も上流側にある加圧ローラーよりも下流側に、ウエブWの先端部の通過を検出する先端検出部200を有している。本実施形態では、ウエブWの搬送方向において、ウエブWを加圧する加圧部(加圧部110と加熱加圧部120を含む)の中で最も上流側にある加圧部110(一対の加圧ローラー111,112)の下流側に先端検出部200が配置されている。先端検出部200は、加圧部110(一対の加圧ローラー111,112)を通過するウエブWの先端部を検出するものである。この場合、ウエブWの先端部の最先端を検出する。先端検出部200は、例えば、フォトインターラプターであり、光を発する発光部と発光部から発せられた光を受ける受光部とを備えている。発光部の発光素子としては、例えば、LED(Light Emitting Diode)発光素子やレーザー発光素子等が適用される。また、受光部は、フォトトランジスターやフォトIC等で構成される。先端検出部200は、制御部2に接続され、駆動制御される。
ウエブWの搬送方向における先端検出部200の下流側に加熱加圧部120が配置されている。加熱加圧部120は、堆積部70で堆積した堆積物としてのウエブWを加熱加圧するものである。加熱加圧部120は、ウエブWに含まれる繊維同士を結着樹脂を介して結着させるものである。本実施形態の加熱加圧部120は、一対の加熱ローラー121,122で構成されている。加熱ローラー121,122の回転軸中心部にはヒーター等の加熱部材が設けられている。そして、一対の加熱ローラー121,122間にウエブWを通過させることにより、搬送されるウエブWに対して加熱加圧することができる。そして、ウエブWは一対の加熱ローラー121,122によって加熱加圧されることで、結着樹脂が溶けて繊維と絡みやすくなるとともに繊維間隔が短くなり繊維間の接触点が増加する。
加熱加圧部120の搬送方向の下流側には、ウエブWを切断する切断部130が配置されている。本実施形態では、ウエブWの搬送方向における加熱加圧部120の下流側に第1切断部130aが配置され、第1切断部130aの下流側に第2切断部130bが配置されている。第1切断部130aは、ウエブWの搬送方向に沿ってウエブWを切断するスリッターであり、第2切断部130bは、ウエブWの搬送方向と交差する方向にウエブWを切断するカッターであり、例えば、ロータリーカッターである。切断部130によるウエブWの切断によって所望のサイズのシートPr(ウエブW)が形成される。そして、切断部130によって切断されたシートPrはスタッカー160等に積載される。以上により、シート製造装置1においてシートPrが製造される。
なお、上記実施形態にかかるシートとは、古紙や純パルプなどの繊維を含むものを原料とし、シート状にしたものを主に言う。しかし、そのようなものに限らず、ボード状やウエブ状(や凸凹を有する形状)であってもよい。また、原料としてはセルロースなどの植物繊維やPET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリエステルなどの化学繊維や羊毛、絹などの動物繊維であってもよい。本願においてシートとは、紙と不織布に分かれる。紙は、薄いシート状にした態様などを含み、筆記や印刷を目的とした記録紙や、壁紙、包装紙、色紙、ケント紙などを含む。不織布は紙より厚いものや低強度のもので、不織布、繊維ボード、ティッシュペーパー、キッチンペーパー、クリーナー、フィルター、液体吸収材、吸音体、緩衝材、マットなどを含む。
また、上記本実施形態において古紙とは、主に印刷された紙を指すが、紙として成形されたものを原料とするのであれば使用したか否かに関わらず古紙とみなす。
次に、シート製造方法について説明する。本実施形態のシート製造方法は、繊維を含む材料を堆積してウエブを形成し、ウエブを加湿可能とし、加湿されたウエブを加圧し、ウエブの先端部への加湿量は、ウエブの先端部以外の部分への加湿量よりも少なくするものである。以下、具体的に説明する。なお、本実施形態のシート製造方法は、上記シート製造装置1によって製造する場合について説明する。図2及び図3は、シート製造方法を示すフローチャートである。
まず、先端検出部200の検出結果に基づくシート製造方法について説明する。図2に示すように、ステップS11おいて、ウエブWの先端部の検出を行う。具体的には、先端検出部200を駆動させ、加圧部110を構成する一対の加圧ローラー111,112を通過するウエブWを検出する。この場合、先端検出部200は、ウエブWの先端部の最先端を検出する。そして、検出された検出結果は制御部2に送信される。
次いで、ステップS12では、ウエブWの先端部が通過したか否かを判断する。すなわち、先端検出部200によってウエブWの先端部が検出されたか否かを判断する。そして、ウエブWの先端部が通過したと判断した場合(YES)はステップS13に移行し、ウエブWの先端部が通過していないと判断した場合(NO)はステップS11に移行する。
ステップS13に移行した場合は、ウエブWへの加湿処理を開始する。具体的には、加湿部190を駆動させ、ウエブWに向けて水分を噴霧して、ウエブWを加湿する。従って、先端検出部200によって加圧部110を通過したウエブWの先端部を検出した後、ウエブWへの加湿処理を行うため、ウエブWの先端部の加湿量は、ウエブWの先端部以外の部分の加湿量よりも少なくなる。また、先端検出部200によって加圧部110を通過したウエブWの先端部を検出した後、すなわち、ウエブWの先端部が加圧部110を構成する加圧ローラー111(または加圧ローラー112)への付着(巻き付き)が無いことを確認した後に、ウエブWへの加湿処理が行われる。これにより、ウエブWを安定して搬送させることができる。一方、ウエブWの先端部は、加湿処理が行われないため、ウエブWに含まれる水分量が少なく、シートPrとしての強度が不足する部分とも言える。そこで、ウエブWの先端部はシートPrとして用いない(製造しない)。この場合、ウエブWの先端部の範囲をA4サイズのシートPrの5枚から10枚程度に設定してもよい。
次に、湿度検出部195の検出結果に基づくシート製造方法について説明する。図3に示すように、ステップS21おいて、湿度を検出する。本実施形態では、シート製造装置1内として堆積部70のハウジング部77内の湿度を検出する。具体的には、堆積部70のハウジング部77内に配置された湿度検出部195を駆動させ、ハウジング部77内の湿度を検出する。そして、検出された検出結果は制御部2に送信される。
次いで、ステップS22では、ハウジング部77内の湿度が予め定められた湿度よりも高いか否かを判断する。なお、予め定められた湿度とは、加圧部110にウエブWが付着しない湿度をいう。そして、ハウジング部77内の湿度が予め定められた湿度以下であると判断した場合(NO)はステップS23に移行し、ハウジング部77内の湿度が予め定められた湿度よりも高いと判断した場合(YES)はステップS24に移行する。
ステップS23に移行した場合は、加圧処理を開始する。具体的には、加圧部110で、ウエブWを加圧する。一方、ステップS24に移行した場合は加圧力を変更する。具体的には、加圧部110の加圧ローラー111に設けられた移動機構を駆動させ、加圧ローラー111の回転軸と加圧ローラー112の回転軸との距離を長くする。その後、ステップS23に移行し、加圧ローラー111の回転軸と加圧ローラー112の回転軸との距離がより長くなった状態でウエブWの加圧処理を行う。これにより、ハウジング部77内の湿度が所定の湿度よりも高い場合、ウエブWに含まれる水分量も多くなり、加圧ローラー111,112に付着してしまうおそれがあるが、ハウジング部77内の湿度が所定の湿度よりも高い場合には、加圧ローラー111の回転軸と加圧ローラー112の回転軸との距離を長くすることで、ウエブWに対する加圧力が低下するため、加圧ローラー111,112への付着を抑えることができる。
なお、上記の先端検出部200の検出結果に基づくシート製造方法と、湿度検出部195の検出結果に基づくシート製造方法とを適宜組み合わせて適用してもよい。
以上、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
ウエブWの先端部への加湿量はウエブWの先端部以外の部分への加湿量よりも少なくすることで、ウエブWの先端部が加圧部110の加圧ローラー111(または加圧ローラー112)に付着しにくくなり、ウエブWを安定して搬送させることができる。
本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。変形例を以下に述べる。なお、以下の変形例を組み合わせて適用してもよい。
(変形例1)上記実施形態では、加湿部190は中間搬送部90の上流側であって、メッシュベルト73に対向する位置に配置したが、この構成に限定されない。例えば、さらに上流側に加湿部190を配置してもよい。例えば、解繊部30に加湿部190を配置し、解繊される繊維を含む材料に対して加湿可能に構成してもよい。この場合、解繊部30に投入される最初の所定量の材料には加湿せず、投入材料が所定量を超えた後に加湿処理を行う。このようにしても、ウエブWの先端部の加湿量は、ウエブWの先端部以外の部分の加湿量よりも少なくなり、ウエブWの先端部が加圧部110の加圧ローラー111(または加圧ローラー112)に付着しにくくなり、ウエブWを安定して搬送させることができる。
(変形例2)上記実施形態では、湿度検出部195をシート製造装置1の内部として堆積部70のハウジング部77の内側に配置したが、これに限定されない。例えば、湿度検出部195をシート製造装置1の外部に配置してもよい。このようにしても、上記効果と同様の効果を得ることができる。
(変形例3)上記実施形態では、湿度検出部195によって検出された湿度が、予め定められた湿度よりも高い場合は、加圧部110による加圧力を低下させるように制御したが、これに限らず、湿度検出部195によって検出された湿度が、予め定められた湿度よりも高い場合は、さらに、ウエブWへの加湿処理を行わないように加湿部190を駆動制御してもよい。このようにすれば、ウエブWの水分量を抑え、加圧ローラー111(または加圧ローラー112)への付着を抑制することができる。
(変形例4)上記実施形態では、ウエブWの搬送方向における先端部の長さは、加圧部110の加圧ローラー111(または加圧ローラー112)の全周の長さよりも長くしたが、さらには、ウエブWの搬送方向における先端部の長さは、加圧部110の下流側に配置される加熱加圧部120における一対の加熱ローラー121,122にニップされるまでの長さであってもよい。このようにすれば、ウエブWを安定して搬送させることができる。