以下、本発明の第1及び第2実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各部材等を認識可能な程度の大きさにするため、各部材等の尺度を実際とは異ならせて示している。
(第1実施形態)
まず、シート製造装置の構成について説明する。シート製造装置は、例えば、純パルプシートや古紙などの原料(被解繊物)Puを新たなシートPrに形成する技術に基づくものである。本実施形態にかかるシート製造装置は、繊維を含む材料を解繊する解繊部と、解繊部で解繊処理された解繊物の少なくとも一部に、繊維同士を結着する樹脂を含む添加剤を供給する添加剤供給部と、解繊物の少なくとも一部に添加剤を加えた混合物を用いてシートを成形する成形部と、を備えるシート製造装置であって、シート製造装置によりシートを成形し始める起動時またはシートの成形を止める前の終了時において、解繊物の少なくとも一部または混合物の流量が大きい場合の方が少ない場合よりも添加剤の供給量を多くするものである。また、本実施形態にかかるシート製造方法は、繊維を含む材料を解繊し、解繊処理された解繊物の少なくとも一部に、繊維同士を結着する樹脂を含む添加剤を供給し、解繊物の少なくとも一部に添加剤を加えた混合物を用いてシートを成形するシート製造方法であって、シートを成形し始める起動時またはシートの成形を止める前の終了時において、解繊物の少なくとも一部または混合物の流量が大きい場合の方が少ない場合よりも添加剤の供給量を多くするものである。以下、具体的にシート製造装置の構成について説明する。
図1は、本実施形態にかかるシート製造装置の構成を示す概略図である。図1に示すように、本実施形態のシート製造装置1は、供給部10と、粗砕部20と、解繊部30と、分級部40と、選別部50と、添加剤供給部60と、成形部100と、検知部300等を備えている。また、これらの部材を制御する制御部2を備えている。
供給部10は、粗砕部20に原料としての古紙Pu等を供給するものである。供給部10は、例えば、複数枚の古紙Puを重ねて貯めておくトレー11と、トレー11中の古紙Puを粗砕部20に連続して投入可能な自動送り機構12等を備えている。シート製造装置1に供給する古紙Puとしては、例えば、オフィスで現在主流となっているA4サイズの用紙等である。
粗砕部20は、供給された古紙Puを数センチメートル角の紙片に裁断するものである。粗砕部20では、粗砕刃21を備え、通常のシュレッダーの刃の切断幅を広げたような装置を構成している。これにより、供給された古紙Puを容易に紙片に裁断することができる。そして、分断された粗砕紙は、搬送路201を介して解繊部30に供給される。
解繊部30は、繊維を含む材料を空気中で解繊するものである。具体的には、解繊部30は、回転する回転刃(図示せず)を備え、粗砕部20から供給された粗砕紙を繊維状に解きほぐす解繊を行うものである。本願においては、解繊部30で解繊されるものを被解繊物と言い、解繊部30を通過したものを解繊物と言う。なお、本実施形態の解繊部30は、空気中で乾式で解繊を行うものである。解繊部30の解繊処理により、印刷されたインクやトナー、にじみ防止材等の紙への塗工材料等は、数十μm以下の粒(以下、「インク粒」という)となって繊維と分離する。したがって、解繊部30から出る解繊物は、紙片の解繊により得られる繊維とインク粒である。そして、回転刃の回転によって気流が発生する機構となっており、搬送路202を介して解繊された繊維はこの気流に乗って空気中で分級部40に搬送される。なお、必要に応じて解繊部30に搬送路202を介して解繊された繊維を分級部40に搬送させるための気流を発生させる気流発生装置を別途設けてもよい。
分級部40は、導入された導入物を気流により分級するものである。本実施形態では、導入物としての解繊物をインク粒と繊維とに分級する。分級部40は、例えば、サイクロンを適用することにより、搬送された繊維をインク粒と繊維(解繊物)とに気流分級することができる。なお、サイクロンに替えて他の種類の気流式分級器を利用してもよい。この場合、サイクロン以外の気流式分級器としては、例えば、エルボージェットやエディクラシファイヤー等が用いられる。気流式分級器は旋回気流を発生させ、解繊物のサイズと密度により受ける遠心力の差によって分離、分級するもので、気流の速度、遠心力の調整により、分級点を調整することができる。これにより、比較的小さく密度の低いインク粒と、インク粒より大きく密度の高い繊維とに分けられる。
本実施形態の分級部40は接線入力方式のサイクロンであり、解繊部30から導入物が導入される導入口40aと、導入口40aが接線方向についた筒部41と、筒部41の下部に続く円錐部42と、円錐部42の下部に設けられる下部取出口40bと、筒部41の上部中央に設けられる微粉排出のための上部排気口40cとから構成される。円錐部42は鉛直方向下方にむかって径が小さくなる。
分級処理において、分級部40の導入口40aから導入された解繊物をのせた気流は、筒部41、円錐部42で円周運動に変わり、遠心力がかかり分級される。そして、インク粒より大きく密度の高い繊維は下部取出口40bへ移動し、比較的小さく密度の低いインク粒は空気とともに微粉として上部排気口40cへ導出される。そして、分級部40の上部排気口40cからインク粒が排出される。そして、排出されたインク粒は、分級部40の上部排気口40cに接続された搬送路206を介して受け部80に回収される。一方、分級部40の下部取出口40bから搬送路203を介して分級された繊維を含む分級物が選別部50に向けて空気中で搬送される。分級部40から選別部50へは、分級される際の気流によって搬送されてもよいし、上方にある分級部40から重力で下方にある選別部50に搬送されてもよい。なお、分級部40の上部排気口40cや搬送路206等に、上部排気口40cから短繊維混合物を効率よく吸引するための吸引部等を配置してもよい。分級は、あるサイズや密度を境にして正確に分けられるものではない。また、繊維とインク粒とに正確に分けられるものでもない。繊維の中でも比較的短い繊維はインク粒と共に上部排気口40cから排出される。インク粒の中でも比較的大きいものは繊維とともに下部取出口40bから排出される。
選別部50は、分級部40により分級された繊維を含む分級物(解繊物)を複数の開口を有するふるい部51から通過させて選別するものである。さらに、具体的には、分級部40により分級された繊維を含む分級物を、開口を通過する通過物と、開口を通過しない残留物と、に選別するものである。本実施形態の選別部50では、分級物を回転運動により空気中で分散させる機構を備えている。そして、選別部50の選別により開口を通過した通過物は、通過物搬送部52から搬送路204を介して堆積部70側に搬送される。一方、選別部50の選別により開口を通過しなかった残留物は、搬送路205を介して再び被解繊物として解繊部30に戻される。これにより、残留物は廃棄されずに再使用(再利用)される。
選別部50の選別により開口を通過した通過物は搬送路204を介して成形部100側に空気中で搬送される。選別部50から堆積部70へは、気流を発生させるブロワー190によって搬送される。また、搬送路204における選別部50と堆積部70との間には、搬送される通過物に対して結着樹脂(例えば、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂)等の添加剤を添加する添加剤供給部60が設けられている。なお、添加剤としては、結着樹脂の他、例えば、難燃剤、白色度向上剤、シート力増強剤やサイズ剤、吸収調整剤、芳香剤、脱臭剤等を投入することも可能である。これらの添加剤は、添加物貯留部61に貯留され、図示しない投入機構によって投入口62から投入される。そして、通過物(解繊物)の少なくとも一部に添加剤が加えられた混合物は、ブロワー190によって成形部100側に搬送される。なお、本実施形態における成形部100は、解繊物(通過物)の少なくとも一部に添加剤を加えた混合物を用いてシートPr(ウエブW)を成形するものである。具体的には、堆積部70、加圧部110や加熱加圧部120等を含むものである。
堆積部70は、繊維を含む材料を堆積可能にするものであり、解繊部30で解繊された解繊物の少なくとも一部を空気中で堆積するものである。具体的には、堆積部70は、搬送路204から投入された繊維や結着樹脂を含む材料を用いて堆積させてウエブWを形成するものであり、繊維を空気中に均一に分散させる機構を備えている。また、堆積部70は、移動しながら解繊物を堆積物(ウエブW)として堆積する移動部を有している。なお、本実施形態の移動部は、張架ローラー72と、張架ローラー72によって張架されるメッシュが形成されているエンドレスのメッシュベルト73とで構成されている。そして、張架ローラー72のうちの少なくとも1つが自転することで、このメッシュベルト73が一方向に回転(移動)するようになっている。なお、本実施形態にかかるウエブWとは、繊維と結着樹脂とを含む物体の構成形態を言う。従って、ウエブの加熱時や加圧時や切断時や搬送時等において寸法等の形態が変化した場合であってもウエブWとして示している。
まず、繊維を空気中に均一に分散させる機構として、堆積部70には、繊維及び結着樹脂が内部に投入されるフォーミングドラム71が配置されている。そして、フォーミングドラム71を回転駆動させることにより通過物(繊維)中に結着樹脂(添加物)を均一に混ぜることができる。フォーミングドラム71には複数の小孔を有するスクリーンが設けられている。そして、フォーミングドラム71を回転駆動させて、通過物(繊維)中に結着樹脂(添加物)を均一に混ぜるとともに、小孔を通過した繊維や繊維と結着樹脂の混合物を空気中に均一に分散させることができる。
フォーミングドラム71の下方には、メッシュベルト73が配されている。また、フォーミングドラム71の鉛直下方には、メッシュベルト73を介して、鉛直下方に向けた気流を発生させる吸引部としてのサクション装置75が設けられている。サクション装置75によって、空気中に分散された繊維をメッシュベルト73上に吸引することができる。
そして、フォーミングドラム71の小孔スクリーンを通過した繊維等は、サクション装置75による吸引力によって、メッシュベルト73上に堆積される。このとき、メッシュベルト73を一方向に移動させることにより、繊維と結着樹脂を含み長尺状に堆積させたウエブWを形成することができる。フォーミングドラム71からの分散とメッシュベルト73の移動を連続的に行うことで、帯状の連続したウエブWが成形される。なお、メッシュベルト73は金属製でも、樹脂製でも、不織布でもよく、繊維が堆積でき、気流を通過させることができれば、どのようなものであってもよい。なお、メッシュベルト73のメッシュの穴径が大きすぎるとメッシュの間に繊維が入り込み、ウエブW(シート)を成形したときの凸凹になり、一方、メッシュの穴径が小さすぎると、サクション装置75による安定した気流を形成しづらい。このため、メッシュの穴径は適宜調整することが好ましい。サクション装置75はメッシュベルト73の下に所望のサイズの窓を開けた密閉箱を形成し、窓以外から空気を吸引し箱内を外気より負圧にすることで構成できる。
メッシュベルト73上に成形されたウエブWは、メッシュベルト73の回転移動により、搬送方向(図中の矢印)に従って搬送される。メッシュベルト73の上側には剥離部としての中間搬送部90が配置される。ウエブWは中間搬送部90によりメッシュベルト73上から剥離されて、加圧部110側に搬送される。つまり、移動部(メッシュベルト73)から堆積物(ウエブW)を剥離する剥離部(中間搬送部90)を有し、剥離することで、堆積物(ウエブW)を加圧部110に搬送できる。また、堆積物(ウエブW)を加圧部110に搬送する場合には、剥離部(中間搬送部90)により移動部(メッシュベルト73)から堆積物(ウエブW)を剥離する。中間搬送部90は、鉛直上方(ウエブWがメッシュベルト73から離間する方向)にウエブWを吸引しながらウエブWを搬送可能に構成されている。中間搬送部90は、メッシュベルト73から鉛直上方(ウエブWの表面に対して垂直な方向)に離間して配置され、且つ、ウエブWの搬送方向においてメッシュベルト73と一部が下流側にずれて配置されている。そして、中間搬送部90の搬送区間は、メッシュベルト73の下流側の張架ローラー72aから加圧部110までの区間となる。
中間搬送部90は、搬送ベルト91と、複数の張架ローラー92と、吸引室93と、を有する。搬送ベルト91は、張架ローラー92によって張架されるメッシュが形成されているエンドレスのメッシュベルトである。そして、複数の張架ローラー92のうちの少なくとも1つが自転することで、搬送ベルト91が一方向に回転(移動)するようになっている。
吸引室93は、搬送ベルト91の内側に配置され、上面と当該上面に接する4つの側面とを有する中空の箱型形状をしており、底面(下方に位置する搬送ベルト91と対向する面)が開口している。また、吸引室93は、吸引室93内に気流(吸引力)を発生させる吸引部を備えている。そして、吸引部を駆動させることにより吸引室93の内部空間が吸引されて、吸引室93の底面から空気が流れ込む。これにより吸引室93の上方に向けた気流が発生し、ウエブWをウエブWの上方から吸引して搬送ベルト91にウエブWを吸着させることができる。そして、搬送ベルト91は、張架ローラー92が自転することによって移動(周回)し、ウエブWを加圧部110に向けて搬送することができる。また、吸引室93は、上方から見て、メッシュベルト73と一部が重なり、また、サクション装置75と重ならない下流側の位置に配置されるため、メッシュベルト73上のウエブWは、吸引室93と対向する位置においてメッシュベルト73から剥離させて搬送ベルト91に吸着させることができる。張架ローラー92は、搬送ベルト91がメッシュベルト73と同速度で移動するように自転する。メッシュベルト73と搬送ベルト91の速度に差があると、ウエブWが引っ張られて破断したり座屈したりすることを、同速度にすることで防止できる。
ウエブWの搬送方向における中間搬送部90の下流側に加圧部110が配置されている。加圧部110は、一対の加圧ローラー111,112で構成され、搬送されるウエブWを加圧する。例えば、加圧部110により、堆積部70で形成されたウエブWの厚みに対しておよそ1/5から1/30の厚みのウエブWとなるように加圧する。これにより、ウエブWの強度を向上させることができる。
ウエブWの搬送方向における加圧部110の下流側に加熱加圧部120が配置されている。加熱加圧部120は、ウエブWに含まれる繊維同士を結着樹脂を介して結着させるものである。また、加熱加圧部120により、堆積部70で形成されたウエブWの厚みに対しておよそ1/5から1/30の厚みのウエブWとなるように加熱加圧される。本実施形態の加熱加圧部120は、一対の加熱ローラー121,122で構成されている。加熱ローラー121,122の回転軸中心部にはヒーター等の加熱部材が設けられており、当該一対の加熱ローラー121,122間にウエブWを通過させることにより、搬送されるウエブWに対して加熱加圧することができる。そして、ウエブWは一対の加熱ローラー121,122によって加熱加圧されることで、結着樹脂が溶けて繊維と絡みやすくなるとともに繊維間隔が短くなり繊維間の接触点が増加する。
加熱加圧部120の搬送方向の下流側には、ウエブWを切断する切断部130として、ウエブWの搬送方向と交差する方向にウエブWを切断する第1切断部130aと、ウエブWの搬送方向に沿ってウエブWを切断する第2切断部130bが配置されている。第1切断部130aは、カッターを備え、連続状のウエブWを所定の長さに設定された切断位置に従って枚葉状に裁断する。第2切断部130bは、カッターを備え、ウエブWの搬送方向における所定の切断位置に従って裁断する。これにより、所望するサイズのシートPr(ウエブW)が形成される。切断されたシートPrはスタッカー160等に積載される。なお、ウエブWを切断せずに、連続状のまま巻き取りローラーによって巻き取るように構成してもよい。以上により、シート製造装置1においてシートPrを製造することができる。
なお、上記実施形態にかかるシートとは、古紙や純パルプなどの繊維を含むものを原料とし、シート状にしたものを主に言う。しかし、そのようなものに限らず、ボード状やウエブ状(や凸凹を有する形状で)あってもよい。また、原料としてはセルロースなどの植物繊維やPET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリエステルなどの化学繊維や羊毛、絹などの動物繊維であってもよい。本願においてシートとは、紙と不織布に分かれる。紙は、薄いシート状にした態様などを含み、筆記や印刷を目的とした記録紙や、壁紙、包装紙、色紙、ケント紙などを含む。不織布は紙より厚いものや低強度のもので、不織布、繊維ボード、ティッシュペーパー、キッチンペーパー、クリーナー、フィルター、液体吸収材、吸音体、緩衝材、マットなどを含む。
また、上記本実施形態において古紙とは、主に印刷された紙を指すが、紙として成形されたものを原料とするのであれば使用したか否かに関わらず古紙とみなす。
次に、シート製造装置の検知部及びその周辺部の構成について説明する。図2は、光学式検出器及びその周辺部の構成を示し、図2(a)は側断面であり、図2(b)は図2(a)におけるA−A断面図である。
シート製造装置1では、解繊物の少なくとも一部を除去する除去部(分級部40または選別部50)を有し、解繊物の搬送方向において除去部(分級部40または選別部50)より下流で解繊物の少なくとも一部または混合物の流量を検知している。本実施形態では、解繊物の少なくとも一部を除去する除去部としての選別部50より下流側において混合物(解繊物に添加剤が加えられたもの)の流量を検知する検知部300を有している。さらに詳細には、検知部300が添加剤供給部60と堆積部70との間であって、ブロワー190の混合物の搬送方向の下流側に配置されている(図1参照)。
図2(a)に示すように、搬送路204は搬送路204の一部が曲がっている曲げ部210(210a,210b)を備えている。本実施形態では、図2に示すように、断面視において搬送路204は、混合物の搬送方向の上流側において水平方向に配置された水平部219a,219bを有している。そして、水平部219a,219bには曲げ部210a,210bが繋がっている。そして、曲げ部210a,210bの混合物の搬送方向の下流側には、曲げ部210に繋げられた直線部211(211a,211b)を有している。水平部219a,219bに対する直線部211a,211bの開き角度θは、45度以上150度以下である。なお、本実施形態の開き角度θはほぼ90度に設定されている。このように搬送路204を構成することにより、曲げ部210の混合物の搬送方向の上流側からブロワー190による気流によって搬送される混合物は曲げ部210よりも下流側の搬送路204において遠心力で搬送路204の一方側、すなわち、曲げ部210aの一部や直線部211a側に片寄って搬送させることができる。
また、曲げ部210または、解繊物の搬送方向において曲げ部210よりも下流側の搬送路204に、混合物の流量を検知する検知部300が配置されている。本実施形態では、解繊物(混合物)の搬送方向において搬送路204の曲げ部210以後の直線部211aの途中位置に検知部300が配置されている。そして、検知部300によって検知結果は制御部2に送信されるように構成されている。検知部300の配置位置は、直線部211aと曲げ部210との接続部から検知部300の光軸Sまでの距離Hが、例えば、搬送路204の内径の9倍以内となるように設定される。距離Hが9倍を超えると、遠心力の影響が小さくなり、搬送路204の一方側に混合物が片寄らなくなる場合がある。距離Hを9倍以内にすることで、確実に一方側に片寄ったところで検出できるので、検出精度がよくなる。距離Hは600mm以内としてもよい。そして、本実施形態では、検知部300は搬送路204の直線部211a,211bに対応する位置に配置されている。
検知部300は、光を発する発光部300aと発光部300aから発せられた光を受ける受光部300bとを備えている。そして、発光部300aと受光部300bとにおける光軸Sが、直線部211a,211bに対して垂直方向となるよう、発光部300aと受光部300bとが搬送路204を介して配置されている。発光部300aは、例えば、LED(Light Emitting Diode)発光素子やレーザー発光素子等である。検知部300は、制御部2に接続され、所定のプログラムに基づき、駆動制御される。なお、本実施形態では、直線部211a側、すなわち、混合物が片寄って搬送される側に発光部300aを配置し、反対側の直線部211b側に受光部300bを配置している。なお、この構成に限定されず、例えば、直線部211a側に受光部300bを配置し、反対側の直線部211b側に発光部300aを配置してもよい。
また、搬送路204の少なくとも一部であって、検知部300の発光部300aと受光部300bとにおける光軸Sに対応する部分は光が透過するように構成されている。これにより、検知部300の発光部300aから発せられた光を受光部300bで受けることができる。本実施形態では、搬送路204の直線部211a,211bの一部は透光性を有する透光部材220が配置されている。なお、透光部材220は、少なくとも発光部300aと受光部300bとにおける光軸S上に設けられていればよく、搬送路204の周方向の全体に配置してもよいし、一部分に配置されていてもよい。
また、図2(b)に示すように、発光部300aと受光部300bとにおける光軸Sが搬送路204の内部を通過するように、発光部300aと受光部300bとが配置されている。なお、本実施形態では、発光部300aと受光部300bとにおける光軸Sが、遠心力により混合物Fが最も片寄る部分を通る位置に発光部300aと受光部300bとが配置されている。搬送路204中を気流によって混合物Fが搬送される際に、混合物Fがある場合は、混合物Fは遠心力により図2(b)において搬送路204の内部の最も右側を通る。光軸Sが最も混合物Fが片寄る部分を通るため混合物Fがあれば必ず検知でき、精度よく混合物Fの有無状態を検出することができる。
具体的には、検知部300の発光部300aから光を発生させ、発せられた光を受光部300bによって受ける。このとき、発光部300aと受光部300bとの間に混合物Fが通過すると、発光部300aからの光が混合物Fによって遮られ、受光部300bで受ける受光量が低下する。すなわち、発光部300aから光を発生させ、発せられた光を受ける受光部300bの受光量が大きい場合は混合物Fが搬送されていない状態を示す。一方、発光部300aからの光が混合物Fによって遮られ、受光部300bで受ける受光量が低下する場合は、混合物Fが搬送された状態を示す。これにより、混合物Fの有無状態を検出することができる。
また、受光部300bでは、発光部300aからの光を受光量(アナログ信号)として取得する。そして、受光量に基づき出力されたアナログ電圧量を所定周期(例えば、10ms)のクロック信号によってサンプリングを行う。制御部2は、予め実験等により用意されたアナログ電圧量と流量とを関連付けたテーブルを参照することにより、サンプリングしたアナログ電圧量に応じた混合物Fの流量(搬送重量)を得ることができる。すなわち、検知部300から出力されるアナログ電圧をモニターすることにより、混合物Fの流量(搬送重量)の管理が可能となる。
そして、シート製造装置1では、制御部2により混合物Fの流量が大きい場合の方が少ない場合よりも添加剤の供給量を多くするように制御する。具体的には、シートPrを成形し始める起動時またはシートPrの成形を止める前の終了時において、混合物Fの流量が大きい場合の方が少ない場合よりも添加剤の供給量を多くする。さらに詳細には、算出された混合物Fの流量に応じて、解繊物と添加剤との混合割合が所定の割合(例えば、解繊物87%、添加剤13%)となるように、添加剤供給部60から供給される添加剤の投入量を制御する。ここで、制御部2は、添加剤の供給量を把握しており、混合物Fの流量から解繊物の流量を導出することができるので、添加剤の投入量をフィードバック制御することが可能となる。
以上、上記実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
検知部300によって搬送路204を流れる混合物Fの流量が検知され、検知された混合物Fの流量に応じて、解繊物に供給される添加剤の量が制御される。これにより、特に、ウエブW(シートPr)を成形し始める起動時やウエブW(シートPr)の成形を止める前の終了時において解繊物の流量がばらついたとしても適量の添加剤が供給されるので、品質が安定したシートPrを製造することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。なお、本実施形態にかかるシート製造装置1aの基本的な構成は第1実施形態にかかるシート製造装置1の構成と同様なので説明は省略し、第1実施形態の構成と異なる構成について主に説明する。
図3は、本実施形態にかかる検知部及びその周辺部の構成を示す概略図(側断面図)である。図3に示すように、本実施形態のシート製造装置1aでは、解繊物の少なくとも一部を除去する除去部としての選別部50より下流側において解繊物の少なくとも一部の流量を検知する検知部301を有している。さらに詳細には、検知部301が選別部50と添加剤供給部60との間に配置されている。また、選別部50と検知部301との間の搬送路204にはブロワー191が配置されている。
図3に示すように、搬送路204は搬送路204の一部が曲がっている曲げ部210(210a,210b)を備えている。なお、搬送路204の構成は第1実施形態の構成と同様なので説明を省略する。そして、解繊物の搬送方向において搬送路204の曲げ部210以後の直線部211の途中位置に検知部301が配置されている。そして、検知部301によって検知された検知結果は制御部2に送信されるように構成されている。なお、検知部301の配置位置は、第1実施形態の構成と同様なので説明を省略する。
検知部301は、発光部301aと受光部301bとを備え、発光部301aと受光部301bとにおける光軸Sが搬送路204の内部を通過するように、発光部301aと受光部301bとが配置されている。なお、検知部301の構成は第1実施形態にかかる検知部300の構成と同様なので説明を省略する。
そして、第1実施形態と同様に、制御部2は、検知部301の出力信号から、解繊物の流量(搬送重量)を得ることができ、解繊物の流量(搬送重量)の管理が可能となる。
シート製造装置1aでは、制御部2により解繊物の流量が大きい場合の方が少ない場合よりも添加剤の供給量を多くするように制御する。具体的には、シートPrを成形し始める起動時またはシートPrの成形を止める前の終了時において、解繊物の流量が大きい場合の方が少ない場合よりも添加剤の供給量を多くする。さらに詳細には、算出された解繊物の流量に応じて、解繊物と添加剤との混合割合が所定の割合(例えば、解繊物87%、添加剤13%)となるように、添加剤供給部60から供給される添加剤の投入量を制御する。
以上、上記実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
検知部301によって搬送路204を流れる解繊物の流量が検知され、検知された解繊物の流量に応じて、解繊物に供給される添加剤の量が制御される。これにより、特に、ウエブW(シートPr)を成形し始める起動時やウエブW(シートPr)の成形を止める前の終了時において解繊物の流量がばらついたとしても適量の添加剤が供給されるので、品質が安定したシートPrを製造することができる。
本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。変形例を以下に述べる。変形例を組み合わせてもよい。
(変形例1)図4は、変形例1にかかる検知部及びその周辺部の構成を示す概略図である。図4に示すように、搬送路204を流動する解繊物の少なくとも一部または混合物等の材料の流量を検知する検知部302は、発光部302aと受光部302bとを備え、材料の検知領域が搬送方向に広くなるように構成してもよい。具体的には、発光部302aが材料の搬送方向に沿って長手面を有し、受光部302bは発光部302aに対応する長手面を有している。このように構成すれば、搬送路204を流動する材料を一定の領域において検知可能となるので、材料の検知精度を向上させることができる。
(変形例2)図5は、変形例2にかかる検知部及びその周辺部の構成を示す概略図である。図5に示すように、搬送路204を流動する解繊物の少なくとも一部または混合物等の材料の流量を検知する検知部303は、一対となる発光部303aと受光部303bとを複数備え、材料の検知領域が搬送方向に広くなるように構成してもよい。具体的には、発光部303aが材料の搬送方向に沿って複数の発光部303aを配置する。そして、配置された各発光部303aに対応するように受光部303bが配置されている。このようにしても、搬送路204を流動する材料を一定の領域において検知可能となるので、材料の検知精度を向上させることができる。
(変形例3)図6は、変形例3にかかる検知部及びその周辺部の構成を示す概略図である。図6に示すように、搬送路204を流動する解繊物の少なくとも一部または混合物等の材料の流量を検知する第1検知部305と第2検知部306とを備えている。第1検知部305は発光部305aと受光部305bとを有し、第2検知部306は発光部306aと受光部306bとを有している。そして、第1検知部305は材料の搬送方向における曲げ部210の下流側近傍に配置され、第2検知部306は材料の搬送方向における第1検知部305の下流側に配置されている。ここで、第1検知部305の発光部305aから発光される光量と第2検知部306の発光部306aから発光される光量とが異なっている。本変形例では、第1検知部305の発光部305aの光量の方が、第2検知部306の発光部306aの光量よりも大きくなるように設定する。すなわち、曲げ部210に近い領域では光量を大きく(高く)し、直線部211では光量を小さく(低く)する。なお、第1検知部305と第2検知部306とは互いの発光が干渉しない程度に間隔を開けて配置する。このように構成すれば、曲げ部210近傍では、密集する材料に対して、より大きい光量で発光することによって検知可能となる。また、直線部211では材料が希薄なため、より小さい光量で発光することによって検知可能となる。すなわち、搬送路204を流動する材料の流量検知範囲のダイナミックレンジを広く設定でき、材料の検知精度を向上させることができる。なお、第1検知部305と第2検知部306とで光量を異ならせる際、第2検知部306の発光部306aに減光手段としての光学フィルターを配置してもよい。このようにすれば、同じ性能の発光部305a,306aを用いた場合でも、容易に一方の発光部306aの光量を弱める(低くする)ことができる。
(変形例4)図7は、変形例4にかかる検知部及びその周辺部の構成を示す概略図である。上記実施形態では、搬送路204の曲げ部210は、水平部219a,219bに対してほぼ90度曲がった構成としたが、この構成に限定されない。図7に示すように、搬送路204の途中に曲げ部としての窪み部292を有した構成であってもよい。そして、窪み部292に対応する位置に検知部300を配置する。このように搬送路204の断面を縮小するようにしても、気流により窪み部292に材料(解繊物の少なくとも一部または混合物)が寄るため、材料の有無状態を検出することができる。つまり、遠心力を用いなくても、材料を寄せたところで検出すればよい。
(変形例5)上記実施形態では、搬送路204の曲げ部210における材料(解繊物の少なくとも一部または混合物)の搬送方向は、曲げ部210を介して重力方向の反対方向としたが、これに限定されない。搬送路204の曲げ部210における材料の搬送方向は、曲げ部210を介して重力方向であってもよい。このようにしても、上記効果と同様の効果を得ることができる。
(変形例6)上記実施形態では、除去部としての選別部50の下流側に検知部300を配置したが、これに限定されない。例えば、除去部としての分級部40の下流側に検知部300を配置してもよい。この場合、シート製造装置は選別部が省略された構成となる。このようにしても、上記効果と同様の効果を得ることができる。