以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各部材等を認識可能な程度の大きさにするため、各部材等の尺度を実際とは異ならせて示している。
まず、シート製造装置の構成及びシート製造方法について説明する。シート製造装置は、例えば、純パルプシートや古紙などの原料(被解繊物)Puを新たなシートPrに成形する技術に基づくものである。シート製造装置は、複数の開口を有する円筒部を備え、当該円筒部を回転することで少なくとも繊維を含む材料が空気中で開口を通過するドラム部と、開口が内側に来るように円筒部を囲うハウジング部と、開口を通過した材料を用いてシートを成形する成形部と、を備えるシート製造装置であって、ハウジング部は複数の面を有する箱状であり、複数の面の一部は、円筒部の回転中心軸よりも鉛直方向下方において少なくとも傾斜する傾斜部を有し、傾斜部は鉛直方向においてより下方側の方が円筒部から離れる方向に傾斜するものである。以下、具体的に説明する。
図1は、本実施形態にかかるシート製造装置の構成を示す概略図である。また、図2は、選別部の構成を示す概略図であり、図3は、ドラム部の構成を示す概略図であり、図4は、分散部の構成を示す概略図である。図1に示すように、本実施形態のシート製造装置1は、供給部10と、粗砕部20と、解繊部30と、分級部40と、選別部50と、成形部70と、加熱加圧部150等を備えている。そして、これらの部材を制御する制御部を備えている。
供給部10は、粗砕部20に古紙Puを供給するものである。供給部10は、例えば、複数枚の古紙Puを重ねて貯めておくトレー11と、トレー11中の古紙Puを粗砕部20に連続して投入可能な自動送り機構12等を備えている。シート製造装置1に供給する古紙Puとしては、例えば、オフィスで現在主流となっているA4サイズの用紙等である。
粗砕部20は、供給された古紙Puを数センチメートル角の細片に裁断するものである。粗砕部20では、粗砕刃21を備え、通常のシュレッダーの刃の切断幅を広げたような装置を構成している。これにより、供給された古紙Puを容易に細片に裁断することができる。そして、分断された細片は、搬送路201を介して解繊部30に供給される。
解繊部30は、回転する回転刃(図示せず)を備え、粗砕部20から供給された粗砕紙を繊維状に解きほぐす(解繊処理を実施する)ものである。なお、本実施形態の解繊部30は、空気中で乾式で解繊を行うものである。解繊部30の解繊処理により、印刷されたインクやトナー、にじみ防止材等の紙への塗工材料等は、数十μm以下の粒(以下、「インク粒」という)となって繊維と分離する。したがって、解繊部30から出る解繊物は、紙片の解繊により得られる繊維とインク粒となる。そして、回転刃の回転によって気流が発生する機構となっており、搬送路202を介して解繊された繊維はこの気流に乗って空気中で分級部40に搬送される。なお、必要に応じて解繊部30に搬送路202を介して解繊された繊維を分級部40に搬送させるための気流を発生させる気流発生装置を別途設けてもよい。
分級部40は、導入された導入物を気流により分級するものである。本実施形態では、導入物としての解繊物をインク粒と繊維とに分級する。分級部40は、例えば、サイクロンを適用することにより、導入された解繊物をインク粒と脱墨繊維(脱墨解繊物)とに気流分級することができる。なお、サイクロンに替えて他の種類の気流式分級器を利用してもよい。この場合、サイクロン以外の気流式分級器としては、例えば、エルボージェットやエディクラシファイヤー等が用いられる。気流式分級器は旋回気流を発生させ、解繊物のサイズと密度により受ける遠心力の差によって分離、分級するもので、気流の速度、遠心力の調整により、分級点を調整することができる。これにより比較的小さく密度の低いインク粒と、インク粒より大きく密度の高い繊維とに分けられる。繊維からインク粒を除去することを脱墨と言う。
本実施形態の分級部40は接線入力方式のサイクロンであり、解繊部30から導入される導入口40aと、導入口40aが接線方向についた筒部41と、筒部41の下部に続く円錐部42と、円錐部42の下部に設けられる下部取出口40bと、筒部41の上部中央に設けられる微粉排出のための上部排気口40cとから構成される。円錐部42は鉛直方向下方に向かって径が小さくなる。
分級部40における分級処理において、分級部40の導入口40aから導入された解繊物をのせた気流は、筒部41、円錐部42で円周運動に変わり、遠心力がかかり分級される。そして、インク粒より大きく密度の高い繊維は下部取出口42へ移動し、比較的小さく密度の低いインク粒は空気とともに微粉として上部排気口40cへ導出され、脱墨が進行する。そして、分級部40の上部排気口40cからインク粒が多量に含まれた短繊維混合物が排出される。そして、排出されたインク粒が多量に含まれる短繊維混合物は、分級部40の上部排気口40cに接続された搬送路206を介して受け部80で回収される。一方、分級部40の下部取出口40bから搬送路203を介して分級された繊維を含む分級物が選別部50に向けて空気中で搬送される。分級部40から選別部50へは、分級される際の気流によって搬送されてもよいし、上方にある分級部40から重力で下方にある選別部50に搬送されてもよい。なお、分級部40の上部排気口40cや搬送路206等に、上部排気口40cから短繊維混合物を効率よく吸引するための吸引部等を配置してもよい。
選別部50は、分級部40により分級された繊維を含む材料(分級物)を選別するものである。本実施形態の選別部50は、複数の開口311を有する円筒部301を回転することで少なくとも繊維を含む材料(分級物)が空気中で開口を通過するドラム部300(図3参照)と、複数の開口311が内方に位置するように円筒部301を囲うハウジング部としての第1ハウジング部400(図2参照)とを備えている。そして、選別部50では、分級部40により分級された繊維を含む分級物を、開口311を通過する通過物と、開口311を通過しない残留物と、に選別するものである。本実施形態の選別部50では、分級物を回転運動により空気中で分散させる機構を備えている。そして、選別部50の選別により開口311を通過した通過物は、ホッパー部56で受けてから搬送路204を介して分散部70に搬送される。一方、選別部50の選別により開口311を通過しなかった残留物は、搬送路205を介して再び被解繊物として解繊部30に戻される。これにより、残留物は廃棄されずに再使用(再利用)される。
選別部50の選別により開口311を通過した通過物は搬送路204を介して分散部70に空気中で搬送される。選別部50から分散部70へは、気流を発生させる図示しないブロアによって搬送されてもよいし、上方にある選別部50から下方にある分散部70に重力で搬送させてもよい。また、搬送路204における選別部50と分散部70との間には、搬送される通過物に対して樹脂(例えば、融着樹脂あるいは熱硬化性樹脂)等の添加物を添加する添加物投入部60が設けられている。なお、添加物としては、融着樹脂の他、例えば、難燃剤、白色度向上剤、シート力増強剤やサイズ剤等を適宜投入することも可能である。これらの添加物は、添加物貯留部61に貯留され、図示しない投入機構によって投入口62から投入される。
成形部70は、搬送路204から投入された繊維を含む通過物(材料)と樹脂等とを堆積させてウエブを成形するものである。本実形形態の成形部70は、繊維を空気中に均一に分散させる分散部71aと、分散された繊維を堆積する堆積部71bとを有している。
本実施形態の分散部71aは、複数の開口311を有する円筒部301を回転することで少なくとも繊維を含む材料(通過物)が空気中で開口を通過するドラム部300a(図3参照)と、複数の開口311が内側に来るように円筒部301囲うハウジング部としての第2ハウジング部900(図4参照)とを備えている。そして、ドラム部300aを回転駆動させることにより通過物(繊維)中に樹脂(添加剤)を均一に混ぜることができる。そして、ドラム部300aを回転駆動させて、通過物(繊維)中に樹脂(添加剤)を均一に混ぜるとともに、開口311を通過した繊維や繊維と樹脂の混合物を空気中に均一に分散させることができる。
堆積部71bは、ドラム部300aの円筒部301の鉛直方向下方に配置されている。そして、堆積部71bは、ドラム部300aの円筒部301の回転中心軸Rと交差する方向に移動可能である。そして、本実施形態の成形部70では、分散部71aのドラム部300aの開口311から通過物(材料)を通過させ、当該通過物を堆積部71bに堆積させ、堆積部71bに堆積した堆積物(材料)を用いてウエブW(シートPr)を形成している。
なお、本実施形態の堆積部71bは、メッシュベルト73等によって構成されている。具体的には、ドラム部300aの下方に、張架ローラー72によって張架されるメッシュが形成されているエンドレスのメッシュベルト73が配されている。そして、張架ローラー72のうちの少なくとも1つが自転することで、このメッシュベルト73が一方向(ドラム部300aの円筒部301の回転中心軸Rと交差する方向)に移動するようになっている。
また、ドラム部300aの鉛直下方には、メッシュベルト73を介して、鉛直下方に向けた気流を発生させる吸引部としてのサクション装置75が設けられている。サクション装置75によって、空気中に分散された繊維をメッシュベルト73上に吸引することができる。
そして、ドラム部300aの開口311を通過した繊維等は、サクション装置75による吸引力によって、メッシュベルト73上に堆積される。このとき、メッシュベルト73を一方向に移動させることにより、繊維と樹脂を含み長尺状に堆積させたウエブWを成形することができる。ドラム部300aからの分散とメッシュベルト73の移動を連続的に行うことで、帯状の連続したウエブWが成形される。なお、メッシュベルト73は金属製でも、樹脂製でも、不織布でもよく、繊維が堆積でき、気流を通過させることができれば、どのようなものでもあってもよい。なお、メッシュベルト73のメッシュの穴径が大きすぎるとメッシュの間に繊維が入り込み、ウエブ(シート)を成形したときの凸凹になり、一方、メッシュの穴径が小さすぎると、サクション装置75による安定した気流を形成しづらい。このため、メッシュの穴径は適宜調整することが好ましい。サクション装置75はメッシュベルト73の下に所望のサイズの窓を開けた密閉箱を形成し、窓以外から空気を吸引し箱内を外気より負圧にすることで構成できる。なお、本実施形態にかかるウエブWとは、繊維と樹脂とを含む物体の構成形態を言う。従って、ウエブWの加熱時や加圧時や切断時や搬送時等において寸法等の形態が変化した場合であってもウエブWとして示している。
メッシュベルト73上に成形されたウエブWは、搬送部100によって搬送される。本実施形態の搬送部100は、メッシュベルト73から最終的にシートPr(ウエブW)としてスタッカー160に投入されるまでの間のウエブWの搬送過程を示している。従って、メッシュベルト73の他、後述の各種ローラー等は搬送部100の一部として機能する。搬送部100としては、搬送ベルトや搬送ローラーなどの少なくとも一つがあればよい。具体的には、まず、搬送部100の一部であるメッシュベルト73上に成形されたウエブWは、メッシュベルト73の回転移動により、搬送方向(図中の矢印)に従って搬送される。
ウエブWの搬送方向における成形部70の下流側に加圧部が配置されている。なお、本実施形態の加圧部は、ウエブWを加圧するローラー141を有する加圧部140である。メッシュベルト73とローラー141との間にウエブWを通過させることにより、ウエブWを加圧することができる。これにより、ウエブWの強度を向上させることができる。
ウエブWの搬送方向における加圧部140よりも下流側には、切断部前ローラー120が配置されている。切断部前ローラー120は、一対のローラー121で構成されている。一対のローラー121のうち、一方が駆動制御ローラーであり、他方が従動ローラーである。
また、切断部前ローラー120を回転させる駆動伝達部にはワンウエイクラッチが用いられている。ワンウエイクラッチは、一方の方向のみに回転力を伝達するクラッチ機構を有し、逆方向に対して空転するように構成されている。これにより、切断部後ローラー125と切断部前ローラー120との速度差でウエブWに過度のテンションが掛けられた際、切断部前ローラー120側で空転するため、ウエブWへのテンションが抑制され、ウエブWが引きちぎられることを防止できる。
ウエブWの搬送方向における切断部前ローラー120の下流側には、搬送されるウエブWの搬送方向と交差する方向にウエブWを切断する前切断部110が配置されている。前切断部110は、カッターを備え、連続状のウエブWを所定の長さに設定された切断位置に従って枚葉状(シート状)に切断する。前切断部110は、例えば、ロータリーカッターを適用することができる。これによれば、ウエブWを搬送させながら切断することが可能となる。従って、切断時にウエブWの搬送を停止させないので、製造効率を向上させることができる。なお、前切断部110は、ロータリーカッターの他、各種カッターを適用してもよい。
前切断部110よりウエブWの搬送方向の下流側には、切断部後ローラー125が配置されている。切断部後ローラー125は、一対のローラー126で構成されている。一対のローラー126のうち、一方が駆動制御ローラーであり、他方が従動ローラーである。
本実施形態では、切断部前ローラー120と切断部後ローラー125との速度差によってウエブWにテンションをかけることができる。そして、ウエブWにテンションをかけた状態で前切断部110を駆動してウエブWを切断するように構成されている。
切断部後ローラー125よりもウエブWの搬送方向の下流側に、加熱部としての加熱加圧部150を構成する一対の加熱加圧ローラー151が配置されている。当該加熱加圧部150は、ウエブWに含まれる繊維同士を樹脂を介して結着(定着)させるものである。加熱加圧ローラー151の回転軸中心部にはヒーター等の加熱部材が設けられており、当該一対の加熱加圧ローラー151間にウエブWを通過させることにより、搬送されるウエブWに対して加熱加圧することができる。そして、ウエブWは一対の加熱加圧ローラー151によって加熱加圧されることで、樹脂が溶けて繊維と絡みやすくなるとともに繊維間隔が短くなり繊維間の接触点が増加する。これにより、密度が高まってウエブWとしての強度が向上する。
加熱加圧部150よりもウエブWの搬送方向の下流側に、ウエブWの搬送方向に沿ってウエブWを切断する後切断部130が配置されている。後切断部130は、カッターを備え、ウエブWの搬送方向におけるウエブWの所定の切断位置に従って切断する。これにより、所望するサイズのシートPr(ウエブW)が成形される。そして、切断されたシートPr(ウエブW)はスタッカー160等に積載される。
なお、上記実施形態にかかるシートとは、古紙や純パルプなどの繊維を含むものを原料とし、シート状にしたものを主に言う。しかし、そのようなものに限らず、ボード状やウエブ状(や凸凹を有する形状で)あってもよい。また、原料としてはセルロースなどの植物繊維やPET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリエステルなどの化学繊維や羊毛、絹などの動物繊維であってもよい。本願においてシートとは、紙と不織布に分かれる。紙は、薄いシート状にした態様などを含み、筆記や印刷を目的とした記録紙や、壁紙、包装紙、色紙、ケント紙などを含む。不織布は紙より厚いものや低強度のもので、不織布、繊維ボード、ティッシュペーパー、キッチンペーパー、クリーナー、フィルター、液体吸収材、吸音体、緩衝材、マットなどを含む。
また、上記本実施形態において古紙とは、主に印刷された紙を指すが、紙として成形されたものを原料とするのであれば使用したか否かに関わらず古紙とみなす。
次に、選別部50の詳細な構成について説明する。図2(a)は、円筒部301の回転中心軸Rと交差する方向から見た場合の断面図であり、図2(b)は、円筒部301の回転中心軸R方向に見た場合の断面図(図2(a)のA―A断面図)である。また、図3はドラム部の構成を示す概略図である。図2(a)及び図2(b)に示すように、選別部50は、ドラム部300と第1ハウジング部400等を備えている。
ドラム部300は、図3に示すように、円筒部301を有し、当該円筒部301には、少なくとも繊維を含む材料が空気中で通過する複数の開口311を有する開口部310と、開口311を有しない筒状部315とを有している。開口部310と筒状部315は溶接やネジなどで締結され、一体的に回転する。ドラム部300は、均一の厚みを有するステンレス鋼等の金属板を用いて筒型に形成されており、その両端には開放口306が設けられている。
開口部310は、複数の開口311(パンチングメタル)が設けられている。当該開口311から分散された繊維を含む材料が通過するように構成され、繊維を含む材料の大きさ、種類等により開口311の大きさや形成領域等が適宜設定されている。なお、開口部310は、パンチングメタルに限定されず、金網材であってもよい。複数の開口311の大きさ(面積)は同じで、それぞれが等間隔で配置されている。これにより、均一の寸法の繊維を通過させることができる。また、開口311を通過する際に、絡みあった繊維はほぐされる。筒状部315は、開口311等を有しない部分であり、第1ハウジング部400と接する部分である。
第1ハウジング部400は、図2(a)及び図2(b)に示すように、枠体401を有し、ドラム部300の開口部310が枠体401の内側に来るように、第1ハウジング部400がドラム部300の一部を囲っている。つまり、第1ハウジング部400の内側の空間内にドラム部300の開口部310が位置している。そして、第1ハウジング部400と筒状部315とが接している。
本実施形態のドラム部300は、図3に示すように、回転中心軸Rの延在方向に沿って、筒状部315a、開口部310、筒状部315bを有している。また、第1ハウジング部400は、図2に示すように、筒状部315a,315bにおける回転中心軸Rから離れる側の表面(円筒面)S1と接している。このように、第1ハウジング部400と筒状部315a,315bとが接することにより、開口311から通過した繊維を含む材料等を第1ハウジング部400の内部から外側への拡散を抑制することができる。また、ドラム部300の回転中心軸Rにおいてドラム部300の内側に第1ハウジング部400が配置されるため、ドラム部300の回転中心軸Rにおけるドラム部300の幅寸法よりも、第1ハウジング部400の幅寸法の方を短くする構成を得ることが可能となり、装置構成を小型にすることができる。なお、第1ハウジング部400の下方は、ホッパー部56が設けられている。なお、本実施形態では、選別部50のドラム部300が回転することで分級物が開口311を通過する。そして、ドラム部300の回転中心軸Rは水平方向である。
第1ハウジング部400は、第1パイルシール部410を有し、筒状部315の表面S1と第1パイルシール部410とが接している。第1パイルシール部410は、例えば、ベース部と、ベース部の一方面側に密に植えつけられた複数の繊維とで構成されたものである。パイルシール部は、ドラム部300の開口311から通過した繊維が通過できない程度に密に複数の繊維が植えつけられている。そして、第1パイルシール部410のベース部の他方面と第1ハウジング部400の枠体接合面401aとが接合され、第1パイルシール部410の繊維の先端部が筒状部315の表面S1に接するように構成されている。第1パイルシール部410が接する筒状部315の表面S1は開口がない。また、少なくとも第1パイルシール部410が接する表面S1は凸凹も無いのが望ましい。これにより、第1ハウジング部400の枠体401とドラム部300の筒状部315との隙間が第1パイルシール部410によってほぼ塞がれる。従って、ドラム部300の開口311から通過した繊維を含む材料等を第1ハウジング部400の内部に留め、第1ハウジング部400の外側への排出を抑制することができる。また、ドラム部300は回転中心軸R回りに回転した際、筒状部315と第1パイルシール部410との摺動部における摩耗が抑制され、ドラム部300への回転負荷を低減することができる。なお、第1パイルシール部410の繊維の長さは、第1ハウジング部400の枠体401とドラム部300の筒状部315との間隔よりも長くなるように設定する。第1パイルシール部410が確実に筒状部315に接するためである。
また、本実施形態の選別部50では、図2(a)に示すように、ドラム部300における回転中心軸Rの延接方向の両端には、回転しない2つの側部500(500a,500b)を有している。そして、本実施形態の選別部50では、一方の側部500aに備えられ、ドラム部300に材料を導入する導入部540と、他方の側部500bに備えられ、導入部540よりも鉛直方向における下方側に位置し、開口311を通過しなかった材料である残留物を排出する排出部550と、を備えている。なお、ドラム部300は図示しない支持部により回転可能に支持されている。
側部500a,500bは筒状部315a,315bの外側に固定のフランジ部501,503を有し、筒状部315とフランジ部501,503とは第2パイルシール部510を介して接している。側部500a,500bは、図示しない外部フレームに固定されている。側部500aには、繊維を含む材料をドラム部300内部に供給するための導入部540の一部を構成する材料供給口560が設けられている。側部500bには、開口311を通過しなかった材料である残留物を排出する排出部550の一部を構成する材料排出口561が設けられている。材料供給口560の配置位置は、回転中心軸Rと同じ中央部、或いは、回転中心軸Rよりも鉛直方向における上側に離間して配置されている。なお、本実施形態では、図2に示すように、材料供給口560の配置位置は、回転中心軸Rと同じ位置、すなわち、材料供給口560の中心が回転中心軸Rと同じ位置である。選別部50のドラム部300内の材料は下方に溜まるので、材料供給口560を回転中心軸Rと同じ位置に配置することにより、ドラム部300の側部500aのほぼ真ん中から材料が供給される。すなわち、材料が溜まっていない(密度の低い)空間に供給されるので、材料同士の衝突が低減され、円滑に材料を供給することができる。
第2パイルシール部510は、例えば、ベース部と、ベース部の一方面側に密に植えつけられた繊維とで構成されたものである。そして、本実施形態では、第2パイルシール部510のベース部の他方面とフランジ部501,503の表面501a,503aとが接合され、第2パイルシール部510の繊維の先端部が筒状部315の表面S1に接するように構成されている。これにより、フランジ部501,503とドラム部300の筒状部315との隙間が第2パイルシール部510によってほぼ塞がれる。従って、ドラム部300の繊維を含む材料等をドラム部300の筒状部315とフランジ部501,503との隙間から排出されることを抑制することができる。また、ドラム部300は側部500に対して回転中心軸R回りに回転するため、側部500と筒状部315との摺動部に第2パイルシール部510を用いることにより側部500と筒状部315との摩擦の発生が抑制され、ドラム部300への回転負荷を低減することができる。なお、第2パイルシール部510の繊維の長さは、フランジ部501,503とドラム部300の筒状部315との間隔よりも長くなるように設定する。第2パイルシール部510が確実に筒状部315に接するためである。
また、選別部には、図2に示すように、ドラム部300内に固定部材600が固定して配置されている。固定部材600は、ドラム部300内において、回転中心軸Rよりも鉛直方向における上側に離間して固定して配置されている。当該固定部材600は、回転するドラム部300とともに移動する材料と接触する部材である。回転中心軸Rの延設方向において、固定部材600は開口部310よりも大きく、ドラム部300よりも小さい。そのため、固定部材600は、少なくとも開口部310とともに移動する材料と接触する。
そして、図2(a)に示すように、固定部材600は2つの側部500a,500bに固定されている。本実施形態では、固定部材600と筒状部315の裏面S2との間に隙間(空間)660を設けた状態で、固定部材600と各側部500a,500bとが固定具610で接続固定されている。つまり、固定部材600はドラム部300とは離間して配置されている。これにより、ドラム部300は回転するが、固定部材600、側部500a,500bは回転しないように固定されている。また、固定具610は、固定部材600から固定部材600の長手方向に延びて各側部500a,500bに接続される。すなわち、固定部材600の鉛直方向における下方のドラム部300の回転中心軸R付近には固定具610等が配置しておらず、固定部材600に接触した材料は、障害物等に接触することなく下方に落下する。なお、固定具610は固定部材600よりも小さく、回転するドラム部300とともに移動する材料と接触しない。
また、固定部材600は、材料と接触する部分が面状である。本実施形態では、断面が四角い板状部材である。これにより、固定部材600に対して効率よく回転する材料が接触する。また、固定部材600が容易な形状であるため、製造工数や設置工数等を低減することができる。なお、固定部材600の材料と接触する部分は、面状であればよく、平面でも曲面でもよい。面状は、その面に凸や凹が無い状態を言う。凸や凹があると材料が引っかかってしまう。引っかからないように凸や凹の端部をテーパ形状にしたり湾曲形状にしていれば面状とみなす。
また、図2(b)に示すように、固定部材600は、回転中心軸Rを通る仮想鉛直面F1に対して傾斜している。本実施形態では、仮想鉛直面F1に対する固定部材600の設置角度θ1は、およそ40°〜50°に設定されているが、ドラム部300の容積の大きさ、回転速度数やドラム部300に投入される材料の容量等に応じて適宜設定することができる。また、本実施形態の固定部材600では、回転中心軸Rを通る仮想水平面F2よりもドラム部300内の鉛直方向における上側における回転方向において、仮想鉛直面F1よりも下流側に配置されている。これにより、ドラム部300の上方においてドラム部300の内壁に張り付いた材料が剥がされて下方側に落下する距離をより長くすることができる。これにより篩機能の効率を高めることができる。
次に、第1ハウジング部400の形状等について説明する。第1ハウジング部400はドラム部300の円筒部301が内方に来るようにドラム部300の一部を囲うものである。第1ハウジング部400は、複数の面を有する箱状を成している。本実施形態では、図2(a)、(b)に示すように、壁面451a、451bを含む複数の壁面451によって箱状を成している。そして、複数の面の一部である壁面451aは、鉛直方向および水平方向に対して傾斜する傾斜部450を有している。壁面451aにおける仮想鉛直面F3と傾斜部450における壁面451aとの角度θ2は、5°〜20°の範囲で設定されている。傾斜部450は、円筒部301の回転中心軸Rよりも鉛直方向下方において少なくとも傾斜している。そして、傾斜部450は鉛直方向においてより下方側の方が円筒部301から離れる方向に傾斜している。言い換えれば、円筒部301の外側の表面に接する鉛直面と壁面451aとの水平方向の距離が、鉛直方向においてより下方側の方が大きくなる(広がる)ように傾斜している。もしくは、円筒部301の回転中心軸Rよりも鉛直方向下方において、壁面451aのある点と円筒部301の表面との最短距離が、壁面451aのある点鉛直方向においてより下方側の方がより大きくなる。本実施形態では、円筒部301における鉛直方向下方側の端部301aの位置における回転方向の先方にある第1ハウジング部400の一つの壁面451aが傾斜部450を有している。また、傾斜部450における鉛直方向下方側の端部450aの位置は、円筒部301における鉛直方向下方側の端部301aの位置よりも、鉛直方向において下側である。これは、壁面451のうち、円筒部301を囲う他の3つの側面も同様である。つまり、壁面451とホッパー部56との接続部は、円筒部301における鉛直方向下方側の端部301aの位置よりも、鉛直方向において下側ということになる。なお、壁面451aを除く4つの面451は鉛直方向または水平方向に平行である。
傾斜部450における第1ハウジング部400の内側の壁面451aは、円筒部301における鉛直方向下方側の端部301aの位置よりも鉛直方向上側において、内側に突出する突出部を有しない面である。本実施形態の壁面451aは平坦面である。なお、壁面451aは平坦面に限らず、湾曲面等であってもよい。さらに、本実施形態にかかる全ての壁面451に突出部を有しない構成となっている。壁面451に突出部を有しないことにより、ドラム部300から通過した通過物が壁面451に引っかかる部分がないため、通過物が壁面451に付着せずに効率よく通過物を搬送させることができる。
次に、分散部71aの構成について詳細に説明する。図4は、分散部の構成を示す概略図であり、図4(a)は、円筒部301の回転中心軸Rと交差する方向から見た場合の断面図であり、図4(b)は、円筒部301の回転中心軸R方向に見た場合の断面図(図4(a)のB―B断面図)である。図4(a)及び図4(b)に示すように、分散部71aは、ドラム部300aと第2ハウジング部900等を備えている。第2ハウジング部900は、図4(a)及び図4(b)に示すように、円筒部301が内側に来るようにドラム部300の一部を囲っている。そして、第2ハウジング部900と筒状部315とが接するように配置されている。また、第2ハウジング部900の下方は、壁面等がなく、開放口406が設けられている。なお、分散部71aにおけるドラム部300aの構成、ドラム部300aと第2ハウジング部900との間に設けられた第1パイルシール部410の構成、ドラム部300aの両端に設けられた側部500(500a,500b)の構成及びドラム部300aと側部500(500a,500b)との間に設けられた第2パイルシール部510の構成は、図2及び図3にかかる構成と同様なので説明を省略する。また、分散部71aには、ドラム部300a内に固定部材600が固定して配置されている。当該固定部材600の構成についても、図2にかかる構成と同様なので説明を省略する。以下、図2及び図3と異なる部分について説明する。
第2ハウジング部900は、ウエブWの搬送方向の下流側においてウエブWと接し、下流側でウエブWと接する部分よりもウエブWの搬送方向の上流側においてメッシュベルト73と接している。また、ウエブWの搬送方向の下流側において、第2ハウジング部900はウエブWと接するローラー980を有している。そして、下流側で接する位置、すなわち、ローラー980が配置された位置よりもウエブWの搬送方向の上流側においてメッシュベルト73と接する第3パイルシール部710を有している。
第3パイルシール部710は、例えば、ベース部と、ベース部の一方面側に密に植えつけられた複数の繊維とで構成されたものである。第3パイルシール部710は、ドラム部300aを通過した繊維を含む材料が通過できない程度に密に複数の繊維が植えつけられている。そして、図4(b)に示すように、第2ハウジング部900のローラー980が配置された枠体401の位置以外の枠体401の位置に第3パイルシール部710が配置されている。第3パイルシール部710のベース部の他方面と第2ハウジング部900の接合面901aとが接合され、第3パイルシール部710の繊維の先端部がメッシュベルト73の表面S3に接すように構成されている。すなわち、第2ハウジング部900におけるローラー980が配置された位置以外の三方位置に第3パイルシール部710が配置されている。これにより、第2ハウジング部900の三方とメッシュベルト73との隙間が第3パイルシール部710によってほぼ塞がれる。第2ハウジング部900の三方とメッシュベルト73の表面S3が接するためには、メッシュベルト73の移動方向(ウエブWの搬送方向)と直交する方向における寸法が、メッシュベルト73の方が第2ハウジング部900より大きい。また、分散部71aに対してメッシュベルト73が移動するため、メッシュベルト73と第3パイルシール部710との摩耗が抑制され、メッシュベルト73への負荷を低減することができる。第3パイルシール部710の繊維の長さは、第2ハウジング部900の接合面901aとメッシュベルト73との間隔よりも長くなるように設定する。第3パイルシール部710が確実にメッシュベルト73に接するためである。
第3パイルシール部710の内側に対応する位置には、第2ハウジング部900から下方へ延びた第1覆い部902が設けられている。第1覆い部902の下方はメッシュベルト73には接触しない範囲で、第3パイルシール部710の内側の半分以上の面積を覆っている。第3パイルシール部710の繊維が内側に飛び出たりすると、開口311を通過した繊維を含む材料が引っかかり、絡み合って大きな繊維塊になる可能性がある。このような繊維塊がウエブWに混ざると部分的に密度が大きなシートとなってしまうため良くない。そこで、第3パイルシール部710の内側を第2ハウジング部900の第1覆い部902で覆うことで、第3パイルシール部710からの繊維の飛び出しを防ぐ。また、第3パイルシール部710の内側に開口311を通過した繊維を含む材料が付着することも防ぐことができる。
第2ハウジング部900のローラー980は、図4(b)に示すように、ウエブWの搬送方向に交差する方向(ウエブWの幅方向)に沿って回転中心軸を有している。また、ローラー980は、第2ハウジング部900における第3パイルシール部710が設けられた三方以外の位置であって、ウエブWの幅方向における第2ハウジング部900の幅寸法と同等の長さを有している。
また、ローラー980には、ローラー980を駆動するモーター等の駆動部(図示せず)を有している。このように、ローラー980を駆動させることにより、ウエブWを搬送方向に引き込みやすくして、ウエブWを確実に搬送することができる。さらに、ローラー980は移動可能で、ローラー980を付勢するばね材等の付勢部(図示せず)を有しいている。本実施形態では、ローラー980が上下方向(ウエブWの堆積面に交差する方向)に移動可能であり、当該ローラー980の上下方向の移動を付勢する付勢部が設けられている。これにより、ドラム部300aによってメッシュベルト73上に堆積されるウエブWの厚みに応じて位置が可変となり、厚さの異なるウエブWが搬送されてもウエブWを崩さずに搬送することができる。
また、ウエブWの搬送方向の下流側において、第2ハウジング部900は第4パイルシール部710aを有し、第4パイルシール部710aとローラー980とが接している。第4パイルシール部710aの構成は、第3パイルシール部710の構成と同様なので説明を省略する。そして、第4パイルシール部710aのベース部の他方面と第2ハウジング部900の接合面901aとが接合され、第4パイルシール部710aの繊維の先端部がローラー980の表面に接するように構成されている。これにより、第2ハウジング部900の接合面901aとローラー980との隙間が第4パイルシール部710aによってほぼ塞がれる。また、ローラー980は回転駆動するため、第4パイルシール部710aが、ローラー980と第4パイルシール部710aとが擦れる摺動部に用いられるため摩耗の発生が抑制され、ローラー980への負荷を低減することができる。第4パイルシール部710aの繊維の長さは、第2ハウジング部900の接合面901aとローラー980の表面との間隔よりも長くなるように設定する。第4パイルシール部710aが確実にローラー980に接するためである。第4パイルシール部710aの内側にも、第2ハウジング部900から下方へ延びた第2覆い部903が形成されている。第2覆い部903の下方はローラー980には接触しない範囲で、第4パイルシール部710aの内側の半分以上の面積を覆っている。第2覆い部903の作用と効果は、第1覆い部902の作用と効果と同様なので説明を省略する。
以上、図4(b)に示すように、第2ハウジング部900のメッシュベルト73の表面S3に対応する四方位置のうち、三方位置において、第2ハウジング部900とメッシュベルト73との隙間が第3パイルシール部710によってほぼ塞がれる。また、残りの一方位置において、第2ハウジング部900とメッシュベルト73との隙間が第4パイルシール部710aとローラー980とによってほぼ塞がれる。従って、ドラム部300aの開口311から通過した繊維を含む材料等を第2ハウジング部900の内部に留め、第2ハウジング部900の外側への排出を抑制することができる。
次に、第2ハウジング部900の形状等について説明する。第2ハウジング部900はドラム部300aの円筒部301が内側に来るようにドラム部300aの一部を囲うものである。第2ハウジング部900は、複数の面を有する箱状を成している。そして、第2ハウジング部900は堆積部71bの移動方向に離間する第2の2つの面(951a,951c)と移動方向に交差する方向に離間する第1の2つの面(951d,951e)からなる4つの側面を有し、第2の2つの面は傾斜部を有している。本実施形態では、図4(a)、(b)に示すように、4つの壁面951(951a,951c,951d,951e)を複数の面によって箱状を成している。そして、複数の面(壁面951)の一部である壁面951a,951cは、鉛直方向および水平方向に対して傾斜する傾斜部950(第2の面の傾斜部)を有している。壁面951aにおける仮想鉛直面F4と壁面951aとの角度θ3は、5°〜20°の範囲で設定されている。また、壁面951cにおける仮想鉛直面F5と壁面951cとの角度θ4は、5°〜20°の範囲で設定されている。傾斜部950は、円筒部301の回転中心軸Rよりも鉛直方向下方において少なくとも傾斜している。そして、傾斜部950は鉛直方向においてより下方側の方が円筒部301から離れる方向に傾斜している。言い換えれば、円筒部301の外側の表面に接する鉛直面と壁面951a,951cとの水平方向の距離が、鉛直方向においてより下方側の方が大きくなる(広がる)ように傾斜している。もしくは、円筒部301の回転中心軸Rよりも鉛直方向下方において、壁面951aのある点と円筒部301の表面との最短距離が、壁面951aのある点鉛直方向においてより下方側の方がより大きくなる。本実施形態では、円筒部301における鉛直方向下方側の端部301aの位置における回転方向の先方にある第2ハウジング部900の一つの壁面951aが傾斜部950を有している。そまた、傾斜部950における鉛直方向下方側の端部950aの位置は、円筒部301における鉛直方向下方側の端部301aの位置よりも、鉛直方向において下側である。
傾斜部950における第2ハウジング部900の内側の壁面951a,951cは、円筒部301における鉛直方向下方側の端部301aの位置よりも鉛直方向上側において、内側に突出する突出部を有しない面である。本実施形態の壁面951a,951cは平坦面である。なお、壁面951a,951cは平坦面に限らず、湾曲面等であってもよい。さらに、本実施形態にかかる全ての壁面951に突出部を有しない構成となっている。壁面951に突出部を有しないことにより、ドラム部300aから通過した通過物が壁面951に引っかかる部分がないため、通過物が壁面951に付着せずに効率よく通過物を搬送させることができる。なお、本実施形態にかかる第2ハウジング部900の堆積部71bの移動方向に離間する第1の2つの面には傾斜部を有していない。
次に、シート製造装置の動作方法について説明する。図5は、選別部の動作方法を示す説明図であり、図6は分散部の動作方法を示す説明図である。
図1に示すように、まず、解繊部30によって解繊された解繊物は、搬送路202を介して分級部40の導入口40aから気流に乗って導入される。分級部40に導入された解繊物の動きは、筒部41で円周運動に変わり、解繊物のサイズと密度により受ける遠心力の差によって分級される。そして、分級された分級物は搬送方向に対して一定方向に円周運動を維持しながら遠心力と重力によって円錐部42側に移動する。そして、円錐部42の下部の下部取出口40bから搬送路203を介して選別部50に搬送される。このとき、導入口40aから導入された気流のうち、下部取出口40bから出る残気流に乗って、分級物は選別部50に搬送される。なお、下部取出口40bから出る気流も円周運動を維持している。
ここで、選別部50は、分級部40に対して下方に位置し、さらに、分級部40と選別部50とが常に鉛直方向における下方に向かう搬送路203で接続されているため、分級物が、重力によっても円滑に分級部40から選別部50に搬送される。
そして、選別部50では、ドラム部300の円筒部301が回転中心軸Rを中心として分級部40における分級物の回転方向と同じ方向に回転している状態で、分級物が導入部540の材料供給口560から選別部50内に導入される。そして、分級物はドラム部300の回転による遠心力により開口311を通過し、通過したものは通過物としてホッパー部56から搬送路204へ搬送される。この場合の通過物としては、開口311の目開きの大きさより短い繊維が主となる。一方、開口311を通過しなかったものは、残留物として開口311を通過せずに、排出部550から排出される。この場合の残留物は、開口311を通過できない長さの繊維や十分に解繊されなかった未解繊片や繊維同士が絡み合った塊等である。これらの繊維は残留物として排出部550から排出され、搬送路205を介して解繊部30に搬送される。
ここで、選別部50の円筒部301内に導入された分級物(繊維を含む材料)は、ドラム部300の回転と同じ回転方向に移動するが、分級物の一部が、図5に示すように、ドラム部300の回転中心軸Rよりも鉛直方向における上側に離間して配置された固定部材600に接触(衝突)し、接触した分級物が固定部材600から下方に落下する。これにより、開口部310の内壁(裏面S2)に張り付いた材料が開口部310の内壁から剥がれ落ち、再び回転移動する。また、固定部材600とドラム部300は離間しているので、一部の材料は、開口部310の内壁と固定部材600との隙間660に流れ込む。このとき隙間660を通った材料は、開口部310の内壁と固定部材600とで形成される空間670において負圧により開口部310の内壁に張り付いた材料がドラム部300の裏面S2から引き剥がされ、再び開口部310内を回転移動する。また、固定部材600に衝突したり下方に落下した衝撃で、絡み合った繊維同士が分散されてほぐされる。ほぐされた繊維は、張り付いた材料が引き剥がされた開口部310を通過しやすくなる。さらに、開口部310の内壁に張り付いた材料は、引き剥がされることで位置が変わりやすくなる。
そして、開口311を通過した通過物(繊維を含む材料)は、ドラム部300の回転運動に伴って円筒部301から第1ハウジング部400の複数の壁面451aに向けて吐出される。このとき、ドラム部300の上部側や左側おいても円筒部301から接線方向に通過物が吐出されるが、繊維を含む材料は重力や固定部材600への衝突により円筒部301における鉛直方向下方側の端部301a側に集まりやすくなる。このため、円筒部301における鉛直方向下方側の端部301aの接線方向に吐出される材料の量は、他の位置から吐出される材料の量に比べで多くなる。そこで、本実施形態では、図5に示すように、円筒部301における鉛直方向下方側の端部301aの接線方向の先方の壁面451aは、傾斜した傾斜部450が配置されており、当該傾斜部450は、鉛直方向においてより下方側の方が円筒部301から離れる方向に傾斜している。このため、円筒部301における鉛直方向下方側の端部301aから接線方向に吐出される材料(通過物)は、傾斜した壁面451aに衝突したのち、壁面451aに沿って下方のホッパー部56方向に流動する。なお、例えば、円筒部301における鉛直方向下方側の端部301aの接線方向の先方の壁面が鉛直方向に伸びる面の場合、円筒部301における鉛直方向下方側の端部301aから接線方向に吐出される材料(通過物)は、鉛直方向に伸びる面に対して垂直に衝突するため材料が鉛直方向に伸びる面に付着してしまう。しかし、本実施形態では、壁面451aに傾斜部450を設けているため、材料が下方へ流れやすくなり、壁面451aにおける材料の付着が低減される。また、鉛直方向に延びる面と比べて、円筒部301から離れる方向に傾斜しているので、衝突時の威力も弱まり、付着しにくくなる。ここで、開口311から吐出される材料は、円筒部301における鉛直方向下方側に集まりやすいため、傾斜部450の傾斜は、回転中心軸Rよりも鉛直方向下方において少なくとも傾斜していればよい。また、傾斜部450における鉛直方向下方側の端部450aの位置を端部301aの位置よりも鉛直方向において上側にすると、端部450aよりも鉛直方向下側では鉛直方向の面か、内側に傾斜した面になる。そうすると、吐出した材料が付着しやすくなる。このため、傾斜部450における鉛直方向下方側の端部450aの位置を端部301aの位置よりも鉛直方向において下側とするのがよい。そして、材料のうち開口311を通過したものは通過物としてホッパー部56へ流動される。
次に、分散部71aの動作方法について説明する。まず、選別部50を通過した通過物(繊維を含む材料)と添加物投入部60から投入された融着樹脂とを含む材料が搬送路204を介して分散部71aに供給される。具体的には、分散部71aの材料供給口560からドラム部300a側に供給される。そして、材料供給口560から供給された材料は、ドラム部300aの開放口306を通じて開口部310側に流動される。
そして、ドラム部300aを図示しない駆動部(モーター等)により回転中心軸R回りに回転駆動させる。これにより、ドラム部300aの内部に供給された繊維と樹脂とが混ぜられるとともに、遠心力により繊維と樹脂とを含む材料が分散される。そして、分散された材料は開口部310の開口311を通過する。
ここで、開口311を通過し通過した通過物(繊維を含む材料)は、ドラム部300aの回転運動に伴って円筒部301から第2ハウジング部900の複数の壁面951aに向けて吐出される。このとき、ドラム部300aの上部側や左側においても円筒部301から接線方向に通過物が吐出されるが、繊維を含む材料は重力や固定部材600への衝突により円筒部301における鉛直方向下方側の端部301a側に集まりやすくなる。このため、円筒部301における鉛直方向下方側の端部301aの接線方向に吐出される材料の量は、他の位置から吐出される材料の量に比べで多くなる。そこで、本実施形態では、図6に示すように、円筒部301における鉛直方向下方側の端部301aの接線方向の先方の壁面951aは、傾斜した傾斜部950が配置されており、当該傾斜部950は、鉛直方向においてより下方側の方が円筒部301から離れる方向に傾斜している。このため、円筒部301における鉛直方向下方側の端部301aから接線方向に吐出される材料(通過物)は、傾斜した壁面951aに衝突したのち、壁面951aに沿って下方のメッシュベルト73側に流動される。なお、例えば、円筒部301における鉛直方向下方側の端部301aの接線方向の先方の壁面が鉛直方向に伸びる面の場合、円筒部301における鉛直方向下方側の端部301aから接線方向に吐出される材料(通過物)は、鉛直方向に伸びる面に対して垂直に衝突するため材料が鉛直方向に伸びる面に付着してしまう。しかし、本実施形態では、壁面951aに傾斜部950を設けているため、材料が下方へ流れやすくなり、壁面951aにおける材料の付着が低減される。また、鉛直方向に延びる面と比べて、円筒部301から離れる方向に傾斜しているので、衝突時の威力も弱まり、付着しにくくなる。ここで、開口311から吐出される材料は、円筒部301における鉛直方向下方側に集まりやすいため、傾斜部950の傾斜は、回転中心軸Rよりも鉛直方向下方において少なくとも傾斜していればよい。また、傾斜部450における鉛直方向下方側の端部950aの位置を端部301aの位置よりも鉛直方向において上側にすると、端部950aよりも鉛直方向下側では鉛直方向の面か、内側に傾斜した面になる。そうすると、吐出した材料が付着しやすくなる。このため、傾斜部950における鉛直方向下方側の端部950aの位置を端部301aの位置よりも鉛直方向において下側とするのがよい。
また、本実施形態では、円筒部301における鉛直方向下方側の端部301aの接線方向の先方に設けられた壁面951aの傾斜部950に加え、円筒部301における鉛直方向下方側の端部301aの接線方向とは反対側の先方の壁面951cにも傾斜部950が配置されている。当該傾斜部950も、鉛直方向においてより下方側の方が円筒部301から離れる方向に傾斜している。また、他の点についても壁面951aと同様である。これにより、円筒部301における鉛直方向下方側の端部301aよりも上方から吐出される材料(通過物)の一部が、傾斜部950の壁面951cに衝突したのち、壁面951cに沿って下方の開放口406側に流動される。以上、第2ハウジング部900への繊維の付着が低減され、メッシュベルト73上に材料F(ウエブW)を均一に堆積することができる。
以上、上記実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
ドラム部300,300aの円筒部301において繊維を含む材料は重力によって下側により多く集まっており、円筒部301が回転中心軸R回りに回転すると回転中心軸Rよりも下側の開口311から材料が多く通過することになる。一方、円筒部301を囲う第1及び第2ハウジング部400,900の壁面451a,951a,951cに傾斜部450,950が設けられている。従って、円筒部301の回転中心軸Rよりも下側の開口311から通過した材料は傾斜部450,950に衝突するが、当該傾斜部450,950は鉛直方向においてより下方側の方が円筒部301から離れる方向に傾斜しているため、傾斜部450,950に衝突した材料は、傾斜部450,950に対応する壁面451a,951a,951cに沿って落下しやすくなる。すなわち、円筒部301から通過した材料は第1及び第2ハウジング部400,900の壁面451,951に付着しにくくなる。これにより、繊維塊等の発生が低減され、シートPr(ウエブW)の密度及び厚みを均一化することができる。
本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)上記実施形態の選別部50の第1ハウジング部400では、円筒部301における鉛直方向下方側の端部301aの接線方向の先方にのみ傾斜部450を設けたが、この構成に限定されない。例えば、第1ハウジング部400の他の位置にさらに傾斜部を備えてもよい。図7は、変形例1にかかるハウジング部の構成を示す斜視図である。図7に示すように、変形例1にかかる選別部50aの第3ハウジング部1000は、円筒部301の回転中心軸Rの延接方向に離間する第1の2つの面1000a,1000bと、回転中心軸Rと交差する方向に離間する第2の2つの面1000c,1000dを有し、第2の2つの面1000c,1000dに傾斜部1050c,1050dを有し、第1の2つの面1000a,1000bに傾斜部を有しない構成であってもよい。なお、本変形例1における第3ハウジング部1000における円筒部301の上方に対応する位置には面1000eが設けられている。また、第1の2つの面1000a,1000b及び第2の2つの面1000c,1000dにおける円筒部301の下方はホッパー部56が設けられている。このようにすれば、円筒部301を回転して開口311から材料を通過させる際、円筒部301の回転中心軸Rの延接方向に離間する第1の2つの面1000a,1000bに向けて材料を噴出しないため、第1の2つの面1000a,1000bの壁面には材料が付着しにくい。一方、回転中心軸Rと交差する方向に離間する第2の2つの面1000c,1000dに向けて材料が噴出されるため、当該第2の2つの面1000c,1000dに傾斜部1050c,1050dを設けることで壁面への材料の付着を低減することができる。
(変形例2)上記実施形態の選別部50では、円筒部301における鉛直方向下方側の端部301aの接線方向の先方にのみ傾斜部450を設けたが、この構成に限定されない。例えば、第1ハウジング部400の他の位置にさらに傾斜部を備えてもよい。図8は、変形例2にかかるハウジング部の構成を示す斜視図である。変形例2にかかる選別部50bの第4ハウジング部2000は、円筒部301の回転中心軸Rよりも鉛直方向下方において複数の面を少なくとも4つ有し、少なくとも4つの面の全てに傾斜部を有する構成であってもよい。具体的には、図8に示すように、円筒部301の回転中心軸Rよりも鉛直方向下方において4つの面2000a,2000b,2000c,2000dを有し、4つの面2000a,2000b,2000c,2000dの全てに傾斜部2050a,2050b,2050c,2050dを有している。このようにすれば、第4ハウジング部2000の全ての面2000a,2000b,2000c,2000dに傾斜部2050a,2050b,2050c,2050dを設けることでどの面2000a,2000b,2000c,2000dに対しても材料を付着しにくくできる。なお、変形例2では、第4ハウジング部2000を選別部50bに適用した場合について説明したが、これに限定されず、例えば、分散部に適用してもよい。このようにしても上記同様の効果を得ることができる。
(変形例3)上記実施形態の選別部50及び分散部71aにおいて、それぞれ一つのドラム部300,300aが配置された構成としたが、この構成に限定されない。例えば、選別部50及び分散部71aにおいて、それぞれに複数のドラム部300(300a)が配置された構成であってもよい。このようにすれば、上記同様の効果を得ることができるとともに作業効率を向上させることができる。
(変形例4)上記実施形態では、ドラム部300,300aの円筒部301を回転中心軸Rの回りを一方方向にのみ回転させた場合について説明したが、これに限定されない。ドラム部300,300aの円筒部301を回転中心軸Rの回りの回転方向はいずれであってもよい。なお、この場合、円筒部301における鉛直方向下方側の端部の接線方向の先方の面は、傾斜した傾斜部を配置する。このようにしても、上記同様の効果を得ることができる。
(変形例5)上記実施形態では、ドラム部300,300aには固定部材600が設けられたが、固定部材600を省略した構成であってもよい。このようにしても、円筒部301の内部において材料は重力で鉛直方向下方に落下する。このため、上記同様に材料を円筒部301の接線方向に吐出させることができる。
(変形例6)上記実施形態では、ハウジング部400がドラム部300,300aの一部を囲ったが、ドラム部300,300a全体を囲ってもよい。そのため、ハウジング部400はドラム部300,300aの少なくとも一部を囲うことになる。なお、本願においては、ドラム部を囲うとは、ドラム部の一部を囲う場合と、ドラム部全体を囲う場合との、両方の意味を含んでいる。
本願において、「均一」「同じ」「等間隔」など、密度、距離、寸法、大きさなどが等しいことを意味する言葉を用いている。これらは、等しいことが望ましいが、完全に等しくすることは難しいため、誤差やばらつきなどの累積などで値が等しくならずにずれるのも含むものとする。