JP6409799B2 - 現像剤、画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents
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Description
Y160=100×M160A/M160B・・・(1)
(式(1)中、M160Bは、温度160℃で5分間0.1kgf/mm2の圧力が付与された前記樹脂粒子の質量を表す。M160Aは、温度160℃で5分間0.1kgf/mm2の圧力が付与された前記樹脂粒子を目開き75μmの篩を用いて分離し、分離後に前記篩の上に残留した前記樹脂粒子の質量を表す。)
本実施形態は現像剤1に関する。以下、図1を参照して、本実施形態の現像剤1について説明する。図1は、本実施形態の現像剤1を示す断面図である。現像剤1は、トナーとキャリアとを含む。トナーは、トナー粒子2を複数含む。トナーは、多数のトナー粒子2の集合体(粉体)である。キャリアは、キャリア粒子5を複数含む。キャリアは、多数のキャリア粒子5の集合体(粉体)である。
トナー粒子2は、トナー母粒子3と複数の樹脂粒子4とを有する。複数の樹脂粒子4は、トナー母粒子3の表面に備えられる。なお、図1中、樹脂粒子4はドットを付して示されており、符号の一部を省略している。
樹脂粒子4は、外添剤粒子としてトナー母粒子3の表面に備えられる。樹脂粒子4は、例えばスペーサー粒子として機能する。樹脂粒子4が所定の数平均一次粒子径、導電率及び凝集度Y160を有することにより、像担持体11の感光層112の絶縁破壊の発生を抑制し、形成画像におけるリーク黒点の発生を抑制することができる。
樹脂粒子4の数平均一次粒子径は、70nm以上200nm以下である。樹脂粒子4の数平均一次粒子径が70nm未満であると、樹脂粒子4がスペーサーとして機能し難い。そのため、特に低い印字率の画像を連続して形成した場合に、画像形成装置100の現像部14(図2参照)にトナーが長時間滞留し、トナーが劣化する傾向がある。そのため、トナーを所望の値まで帯電することができず、形成画像の画像濃度が低下する。樹脂粒子4の数平均一次粒子径が200nmを超えると、樹脂粒子4がトナー母粒子3から脱離し易い。そのため、像担持体11の絶縁破壊が引き起こされる傾向がある。その結果、形成画像においてリーク黒点が発生する。また、樹脂粒子4の数平均一次粒子径が200nmを超えると、トナーの流動性が低下すると考えられる。
100mLの蒸留水に0.1gの樹脂粒子4を分散させた分散液の導電率は、2.5μS/m以上6.0μS/m以下である。樹脂粒子4を分散させた分散液の導電率は、3.0μS/m以上5.0μS/m以下であることが好ましい。樹脂粒子4の分散液の導電率が2.5μS/m未満であると、樹脂粒子4の電荷が抜け難い。そのため、樹脂粒子4を有するトナー粒子2が像担持体11上でクリーニング部16によって摩擦されることで、トナー粒子2が過帯電し、像担持体11の絶縁破壊が引き起こされることがある。その結果、形成画像にリーク黒点が発生する。樹脂粒子4の分散液の導電率が6.0μS/mを超えると、樹脂粒子4中の乳化剤のような成分が染み出し、キャリア粒子5に付着することがある。その結果、キャリア粒子5がトナー粒子2を良好に帯電できず、形成画像にカブリが発生することがある。なお、導電率は電気抵抗と反比例するため、樹脂粒子4の分散液の導電率は樹脂粒子4の電気抵抗を表す指標となる。樹脂粒子4の分散液の導電率の差は、樹脂粒子4の電気抵抗の差と比較して大きく現れる傾向がある。そのため、樹脂粒子4の分散液の導電率を制御することで、樹脂粒子4の電気抵抗を高い精度で制御できると考えられる。樹脂粒子4の分散液の導電率が2.5μS/m以上6.0μS/m以下である場合、樹脂粒子4の電気抵抗は比較的低い。
樹脂粒子4の凝集度Y160は、15質量%以上40質量%以下である。樹脂粒子4の凝集度Y160は、15質量%以上30質量%以下であることが好ましい。樹脂粒子の凝集度Y160は、下記式(1)で表される。式(1)中、M160Bは、温度160℃で5分間0.1kgf/mm2の圧力が付与された樹脂粒子4の質量を表す。M160Aは、温度160℃で5分間0.1kgf/mm2の圧力が付与された樹脂粒子4を目開き75μm(JIS Z8801−1で規定される200メッシュ、線径50μm及び平織の正方形のふるい目を有する篩)の篩を用いて分離し、分離後に篩上に残留した樹脂粒子4の質量を表す。
Y160=100×M160A/M160B・・・(1)
トナー母粒子3の表面には、必要に応じて、樹脂粒子4以外の外添剤(その他の外添剤)が更に備えられてもよい。その他の外添剤の例としては、シリカ又は金属酸化物が挙げられる。金属酸化物として具体的には、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム又はチタン酸バリウムが挙げられる。その他の外添剤の表面は疎水化処理されていてもよい。1種類のその他の外添剤を単独で使用してもよいし、2種以上のその他の外添剤を併用してもよい。
トナー母粒子3は、例えば、結着樹脂、着色剤、離型剤及び電荷制御剤のうちの1種以上を含有してもよい。ただし、トナーの用途に応じて必要のない成分を割愛してもよい。なお、トナー母粒子3は、カプセル化されていてもよい。カプセル化されたトナー母粒子3は、例えば、以下に述べるトナー母粒子と同様の構造及び成分を有するトナーコアと、トナーコアの表面に形成されたシェル層(カプセル層)とを有する。
結着樹脂は、トナーの調製に用いられる結着樹脂である限り、特に限定されない。結着樹脂としては、トナーの定着性を向上させるという観点から、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂の例としては、アクリル酸系樹脂、スチレンアクリル酸系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂又はビニルアルコール系樹脂が挙げられる。着色剤の分散性、トナーの帯電性及び記録媒体(例えば、紙)に対するトナーの定着性を向上させる点で、結着樹脂としてはポリエステル樹脂が特に好ましい。以下、ポリエステル樹脂について説明する。
着色剤には、トナーの色に合わせて、公知の顔料又は染料が用いられる。着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましい。
離型剤は、例えばトナーの定着性及び耐オフセット性を向上させる目的で使用される。トナーの定着性及び耐オフセット性を向上させるためには、離型剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましい。
電荷制御剤は、帯電レベル及び帯電立ち上がり特性を向上させる目的で使用される。また、耐久性及び安定性に優れたトナーを得る目的で使用される。帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルに帯電可能か否かの指標である。
キャリア粒子5は、キャリアコア6と、キャリアコート層7とを有する。キャリアコア6は、キャリアコート層7によって被覆される。キャリアコート層7は、キャリアコア6の表面に備えられる。
キャリアコート層7は、フッ素含有樹脂を含む。フッ素含有樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体又はテトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体が挙げられる。単量体としてのパーフルオロアルキルビニルエーテルの例は、炭素原子数1以上20以下のパーフルオロアルキルを有するビニルエーテルであり、より具体的にはパーフルオロオクチルビニルエーテルである。
キャリアコア6の例としては、鉄、酸化鉄(例えばフェライト)、還元鉄、マグネタイト、銅、ケイ素鋼、ニッケル又はコバルトの粒子;これらの材料と金属(例えば、マンガン、マグネシウム、ストロンチウム、亜鉛又はアルミニウム)との合金の粒子;鉄−ニッケル合金の粒子;鉄−コバルト合金の粒子;セラミックスの粒子;或いは高誘電率物質の粒子が挙げられる。セラミックスの例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、チタン酸リチウム、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛又はニオブ酸リチウムが挙げられる。高誘電率物質の例としては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム又はロッシェル塩が挙げられる。これらのなかでも、フェライト又はフェライトを含む合金が好ましい。これらのキャリアコア6は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
以下、現像剤1を製造する方法の一例について説明する。現像剤1の製造では、トナー粒子2とキャリア粒子5とを製造する。そして、トナー粒子2とキャリア粒子5とを混合して、現像剤1を得る。
トナー粒子2の製造では、トナー母粒子3と樹脂粒子4とを製造する。そして、トナー母粒子3の表面に樹脂粒子4を付着させて、トナー粒子2を得る。
トナー母粒子3の製造方法の好適な例としては、粉砕法又は凝集法が挙げられる。これらの方法は、着色剤、電荷制御剤及び離型剤を結着樹脂中に良好に分散させ易い。
樹脂粒子4は、例えば、既に述べた樹脂粒子4を形成するための単量体を、重合又は共重合することにより製造される。以下、樹脂粒子4がスチレンアクリル酸系樹脂粒子である場合を例に挙げて説明する。
トナー母粒子3と樹脂粒子4とを、混合機(例えば、日本コークス工業株式会社製のFMミキサー)を用いて混合する。混合条件は、樹脂粒子4がトナー母粒子3に完全に埋没しない条件に設定されることが好ましい。混合により、トナー母粒子3の表面に複数の樹脂粒子4を付着させる。その結果、トナー粒子2が得られる。
キャリア粒子5の製造では、キャリアコア6がキャリアコート層7によって被覆される。まず、キャリアコア6を準備する。続いて、キャリアコート層7を形成するための液(以下、キャリアコート層形成用液と記載することがある)を調製する。詳しくは、水性媒体にフッ素含有樹脂を分散させる。キャリアコート層形成用液には、その他の樹脂が添加されてもよい。フッ素含有樹脂を良好に分散させるために、キャリアコート層形成用液に界面活性剤(好ましくは非イオン界面活性剤)が添加されてもよい。続いて、流動層コーティング装置を用いて、キャリアコート層形成用液をキャリアコアに噴霧する。その結果、キャリアコアが、未硬化の有機層(流動層)で被覆される。乾燥機を用いて、未硬化の有機層(流動層)で被覆されたキャリアコアを加熱する。これにより、流動層が硬化する。その結果、キャリアコア6と、キャリアコア6を覆うキャリアコート層7とを有するキャリア粒子5が得られる。
混合機(例えばロッキングミキサー(登録商標)又はボールミル)を用いてトナー(多数のトナー粒子2)とキャリア(多数のキャリア粒子5)とを混合する。その結果、現像剤1が得られる。
以下、図2を参照して、本実施形態に係る現像剤1を用いる画像形成装置100及び画像形成方法を説明する。図2に画像形成装置100の構成の一例を示す。画像形成装置100は例えば、像担持体11と、現像部14とを備える。画像形成装置100では、本実施形態の現像剤1が用いられる。現像剤1は、現像部14内に貯留される。画像形成装置100は、帯電部12と、露光部13と、転写部(一次転写部15のみ、又は一次転写部15及び二次転写部18の両方)と、クリーニング部16と、転写ベルト17と、定着部19とを更に備えていてもよい。
次に、図3(a)及び(b)を参照して、像担持体11について更に詳しく説明する。図3(a)及び(b)は、それぞれ、像担持体11の部分断面図を示す。図3(a)に示すように、像担持体11は、導電性基体111と、感光層(光導電層に相当)112とを備える。像担持体11は、感光層112に静電潜像が形成される。
次に、図4を参照して、タッチダウン現像方式を採用する現像部14を例に挙げて説明する。現像部14は、現像動作を行う。現像部14は、リフレッシュ動作を更に行うことができる。なお、現像動作は、画像形成方法における現像工程に対応する。リフレッシュ動作は、画像形成方法におけるトナー排出工程に対応する。
現像動作は、現像部14が、現像剤1に含まれるトナー(多数のトナー粒子2)を、像担持体11の周面(表面)11sに形成された静電潜像に供給して、静電潜像をトナー像として現像する動作である。
現像部14は、現像動作に加えて、リフレッシュ動作を更に行うこともできる。リフレッシュ動作は、現像部14が現像を行っていないとき(例えば非画像形成時)に、現像部14が像担持体11へトナーを排出する動作である。リフレッシュ動作は、例えば、記録媒体Pへの印字率が閾値を下回る場合に実行される。リフレッシュ動作は、例えば、記録媒体Pのシート間又は印字ジョブ間において実行される。記録媒体Pのシート間は、複数枚の記録媒体Pに連続して画像を形成する場合に、一枚の記録媒体Pに画像を形成するための現像動作を終えた後、次の一枚の記録媒体Pに画像を形成するための現像動作を開始するまでの間に相当する。印字ジョブ間は、複数枚の記録媒体Pに連続して画像を形成する一連の印字ジョブを終えた後、次の一連の印字ジョブを開始するまでの間に相当する。
トナー粒子を形成するための樹脂粒子として、樹脂粒子A〜Mを以下の方法で製造した。
攪拌機、冷却管、温度計及び窒素導入管を備えた1000mLの四つ口フラスコを準備した。フラスコ内に、メタクリル酸ブチル(BMA)100gと、スチレン20gと、架橋剤としてのジビニルベンゼン(DVB)70gと、乳化剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DBS)6gと、重合開始剤としてのベンゾイルパーオキサイド(BPO)15gと、イオン交換水600gとを、攪拌しながら投入した。フラスコ内に窒素ガスを導入しながら、フラスコの内容物を90℃で3時間、攪拌下で反応(共重合)させた。その結果、反応生成物(樹脂粒子R−A)のエマルションが得られた。樹脂粒子R−Aのエマルションを冷却し、洗浄し、脱水した。これにより、エマルションから共重合体粒子(樹脂粒子R−A)を分離した。樹脂粒子R−Aの数平均一次粒子径は90nmであった。
以下の点を変更した以外は、樹脂粒子R−Aの製造と同様の方法で、樹脂粒子R−B〜R−Mの各々を製造した。ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DBS)の添加量を、樹脂粒子R−Aの製造における6gから、表1に示す添加量に変更した。ジビニルベンゼン(DVB)の添加量を、樹脂粒子R−Aの製造における70gから、表1に示す添加量に変更した。フラスコの内容物の反応時間を樹脂粒子R−Aの製造における3時間から変更することにより、樹脂粒子の数平均一次粒子径を、樹脂粒子R−Aの90nmから、表1に示す数平均一次粒子径に変更した。なお、フラスコの内容物の反応時間が長くなるほど、樹脂粒子の数平均一次粒径は大きくなる。
樹脂粒子R−A〜R−Mの各々の数平均一次粒子径を、以下の方法で測定した。電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM、日本電子株式会社製「JSM−3000」)を用いて、測定試料(樹脂粒子)を拡大倍率10万倍にて観察した。顕微鏡の視野中に観察された樹脂粒子から、10個の樹脂粒子を無作為に選択した。選択された10個の樹脂粒子の一次粒子径(樹脂粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径、即ち円相当径)を、各々測定した。10個の樹脂粒子の一次粒子径の和を、測定した樹脂粒子の個数(10個)で除算した。これにより、樹脂粒子の数平均一次粒子径を算出した。
樹脂粒子R−A〜R−Mの各々の凝集度Y160を、以下の方法で測定した。凝集度Y160の測定環境は、温度23℃且つ湿度50%RHであった。凝集度Y160を測定するための治具として、円柱状の穴(直径10mm、深さ10mm、材質SUS304)が形成された台と、圧子(直径10mm、材質SUS304)と、加熱器とを備える治具を使用した。なお、SUS304は、オーステナイトステンレス鋼(鉄(Fe)−クロム(Cr)−ニッケル(Ni)合金、ニッケル含有率8%、クロム含有率18%)である。
Y160(質量%)=100×M160A/M160B・・・(1)
樹脂粒子R−A〜R−Mの各々の分散液の導電率を、以下の方法で測定した。ビーカーに蒸留水100mLと測定試料(樹脂粒子R−A〜R−Mの何れか)0.1gとを入れた。ビーカーの内容物を、超音波洗浄機(株式会社エスエヌディ製「US−18KS」、槽容量:18L、高周波出力:360W、発振方式:BLT(ボルト締めランジュバン型振動子)による自励発振、発振周波数:38kHz)を用いて、2分間分散させ、分散液を得た。電気伝導率計(株式会社堀場製作所製「ポータブル型 電気伝導率計 ES−71」)を用いて、分散液の導電率を測定した。
(トナー母粒子の製造)
まず、トナー粒子を製造するためのトナー母粒子を製造した。トナー母粒子の原料として、以下の結着樹脂、着色剤、電荷制御剤及び離型剤を使用した。
結着樹脂 :ポリエステル樹脂(酸価5.6、融点105℃)
着色剤 :銅フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)
電荷制御剤:4級アンモニウム塩(オリヱント化学工業株式会社製「BONTRON(登録商標)P−51」)
離型剤 :エステルワックス(日油株式会社製「ニッサンエレクトール(登録商標)WEP−3」、溶融温度73℃)
100質量部のトナー母粒子と、1質量部の疎水性シリカ粒子(日本アエロジル株式会社製「AEROSIL(登録商標)RA−200H」)とを、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−10B」)を用いて、回転数3500rpmで5分間混合した。続いて、混合物に、外添剤粒子としての1質量部の樹脂粒子R−Aを添加し、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−10B」)を用いて、回転数3500rpmで更に5分間混合した。その結果、現像剤A−1用のトナーが得られた。
キャリアコアとして、ノンコートフェライトコア(パウダーテック株式会社製「EF−35B」、数平均一次粒子径35μm)を使用した。次に、キャリアコート層形成用液Aを調製した。詳しくは、ポリアミドイミド樹脂(無水トリメリット酸と4,4‘−ジアミノジフェニルメタンとの共重合体)を水で希釈し、樹脂溶液を調製した。樹脂溶液に、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA、パーフルオロオクタン酸の含有量:3ppm)と、非イオン界面活性剤としてのポリオキシエチレンアルキルエーテルとを加えて分散させた。その結果、キャリアコート層形成用液Aが得られた。キャリアコート層形成用液Aの固形分濃度は10質量%であった。キャリアコート層形成用液A中のポリアミドイミド樹脂とPFAとの質量比は2/8であった。
9質量部の現像剤A−1用のトナーと、100質量部のキャリアC−Aとを、粉体混合機(愛知電機株式会社製「ロッキングミキサー(登録商標)」、混合方式:容器回転揺動方式)を用いて30分間混合した。その結果、現像剤A−1が得られた。
以下の点を変更した以外は、現像剤A−1の製造と同様の方法で、現像剤A−2〜A−7及びB−1〜B−6の各々を製造した。トナーの製造で使用した外添剤粒子を、現像剤A−1の製造における樹脂粒子R−Aから、表2に示す種類の外添剤粒子(樹脂粒子R−B〜R−Mの何れか)に変更した。
以下の点を変更した以外は、現像剤A−1の製造と同様の方法で、現像剤B−7を製造した。トナーの製造で使用した外添剤粒子を、現像剤A−1の製造における樹脂粒子R−Aから、数平均一次粒子径100nmのコロイダルシリカ粒子に変更した。
以下の点を変更した以外は、現像剤A−1の製造と同様の方法で、現像剤B−8を製造した。トナーとキャリアとの混合で使用したキャリアを、現像剤A−1の製造におけるキャリアC−Aから、キャリアC−Bに変更した。キャリアC−Bは以下のように製造した。
キャリアコアとして、ノンコートフェライトコア(パウダーテック株式会社製「EF−35B」、数平均一次粒子径35μm)を使用した。次に、キャリアコート層形成用液Bを調製した。詳しくは、シリコーン樹脂溶液(東レダウコーニング株式会社製「SR2440」)300質量部と、シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製「KBM−403」、成分:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)3質量部と、トルエン300質量部とを、ホモミキサーを用いて20分間混合し分散させた。その結果、キャリアコート層形成用液Bが得られた。キャリアコート層形成用液Bの固形分濃度は50質量%であった。キャリアコート層形成用液Bの80質量部を、流動層コーティング装置(フロイント産業株式会社製「スパイラフロー(登録商標)SFC−5」)を用いて、100℃の熱風を送り込みながら、キャリアコア1000質量部に噴霧した。その結果、キャリアコアが、未硬化の有機層(流動層)で被覆された。未硬化の有機層(流動層)で被覆されたキャリアコアを、乾燥機を用いて、250℃で1時間加熱した。これにより、流動層を硬化させた。その結果、キャリアコアと、キャリアコアを覆うキャリアコート層(シリコーン樹脂を含む樹脂層)とを有するキャリアC−Bが得られた。
現像剤A−1〜A−7及びB−1〜B−8と評価機とを用いて、異なる印字率の画像を用紙に形成し、画像評価を行った。評価機として、カラー複合機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「TASKalfa7551ci」、像担持体:アモルファスシリコン感光体、現像方式:非磁性二成分乾式タッチダウン現像方式)を使用した。この評価機の現像部は、印字率1%の画像を形成する場合に、非画像形成時に定期的にリフレッシュ動作(トナーの強制排出動作)を行う。用紙として、カラー/モノクロ兼用紙(富士ゼロックス株式会社製「C2」)を使用した。二成分現像剤をシアン用の現像装置に投入した。また、補充用のトナーをシアン用のトナーコンテナに投入した。画像形成を行った環境は、温度23℃且つ相対湿度50%RHであった。
現像剤と評価機とを用いて、1枚の用紙に画像Nを形成した。画像Nは、印字率5%の画像部と、白紙画像部と、ソリッド画像部とを含んでいた。形成された画像Nのソリッド画像部の画像濃度(初期の画像濃度)を測定した。また、形成された画像Nの白紙画像部のカブリ濃度(初期のカブリ濃度)を測定した。測定された初期の画像濃度(ID)及び初期のカブリ濃度(FD)を、表2に示す。
現像剤と評価機とを用いて、10万枚の用紙に画像Nを形成した。画像Nは、印字率5%の画像部と、白紙画像部と、ソリッド画像部とを含んでいた。10万枚目に形成された画像Nのソリッド画像部の画像濃度を測定した。10万枚目に形成された画像Nの白紙画像部のカブリ濃度を測定した。また、10万枚目に形成された画像Nの白紙画像部について黒点の有無を確認した。測定された画像濃度(ID)、カブリ濃度(FD)及び黒点の有無の評価を、表2に示す。
現像剤と評価機とを用いて、2万枚の用紙に画像Lを形成した。画像Lは、印字率1%の画像部と、白紙画像部と、ソリッド画像部とを含んでいた。2万枚目に形成された画像Lのソリッド画像部の画像濃度を測定した。2万枚目に形成された画像Lの白紙画像部のカブリ濃度を測定した。また、2万枚目に形成された画像Lの白紙画像部について黒点の有無を確認した。続いて、2万枚印刷後の像担持体の表面を肉眼で観察し、像担持体の表面における外添剤粒子の付着の有無(ドラム付着の有無)を確認した。なお、像担持体の表面に外添剤が付着すると、形成画像に白点のような画像不良が引き起こされる傾向がある。測定された画像濃度(ID)、カブリ濃度(FD)、黒点の有無の評価及びドラム付着の有無を、表3に示す。
現像剤と評価機とを用いて、1万枚の用紙に画像Hを形成した。画像Hは、印字率50%の画像部と、白紙画像部と、ソリッド画像部とを含んでいた。1万枚目に形成された画像Hのソリッド画像部の画像濃度を測定した。1万枚目に形成された画像Hの白紙画像部のカブリ濃度を測定した。また、1万枚目に形成された画像Hの白紙画像部について黒点の有無を確認した。測定された画像濃度(ID)、カブリ濃度(FD)及び黒点の有無を、表4に示す。
ソリッド画像部の画像濃度は、反射濃度計(X−rite社製「RD914」)を用いて測定した。1.200以上の画像濃度の画像が形成された現像剤を合格とした。1.200未満の画像濃度の画像が形成された現像剤を不合格とした。
白紙画像部の画像濃度は、反射濃度計(X−rite社製「RD914」)を用いて測定した。白紙部の画像濃度からベースペーパーの画像濃度を引いた値を、カブリ濃度とした。0.008以下のカブリ濃度の画像が形成された現像剤を合格とした。0.008を超えるカブリ濃度の画像が形成された現像剤を不合格とした。
形成画像について、肉眼で黒点の有無を確認した。確認結果から下記評価基準に従って、黒点の有無を評価した。黒点の有無の評価がA又はBである現像剤を合格とした。黒点の有無の評価がCである現像剤を不合格とした。
評価A:黒点が確認されない。
評価B:黒点が1個又は2個確認される。
評価C:黒点が3個以上確認される。
2 トナー粒子
3 トナー母粒子
4 樹脂粒子
5 キャリア粒子
6 キャリアコア
7 キャリアコート層
11 像担持体
14 現像部
100 画像形成装置
Claims (9)
- トナーとキャリアとを含む、現像剤であって、
前記キャリアは、キャリア粒子を複数含み、
前記キャリア粒子は、キャリアコアと、前記キャリアコアを被覆するキャリアコート層とを有し、
前記キャリアコート層は、フッ素含有樹脂を含み、
前記トナーは、トナー粒子を複数含み、
前記トナー粒子は、トナー母粒子と、前記トナー母粒子の表面に備えられる複数の樹脂粒子とを有し、
前記樹脂粒子の数平均一次粒子径は、70nm以上200nm以下であり、
100mLの蒸留水に0.1gの前記樹脂粒子を分散させた分散液の導電率は、2.5μS/m以上6.0μS/m以下であり、
下記式(1)で表される前記樹脂粒子の凝集度Y160は、15質量%以上40質量%以下である、現像剤。
Y160=100×M160A/M160B・・・(1)
(式(1)中、
M160Bは、温度160℃で5分間0.1kgf/mm2の圧力が付与された前記樹脂粒子の質量を表し、
M160Aは、温度160℃で5分間0.1kgf/mm2の圧力が付与された前記樹脂粒子を目開き75μmの篩を用いて分離し、分離後に前記篩の上に残留した前記樹脂粒子の質量を表す。) - 前記樹脂粒子は、アクリル酸又はアクリル酸誘導体と、スチレン又はスチレン誘導体と、架橋剤との共重合体を含む、請求項1に記載の現像剤。
- 前記架橋剤の含有量は、アクリル酸又はアクリル酸誘導体100質量部に対して、35質量部以上85質量部以下である、請求項2に記載の現像剤。
- 前記フッ素含有樹脂は、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体である、請求項1〜3の何れか一項に記載の現像剤。
- 前記キャリアコート層は、ポリアミドイミド樹脂を更に含む、請求項1〜4の何れか一項に記載の現像剤。
- トナー像を担持する像担持体と、
請求項1〜5の何れか一項に記載の現像剤に含まれる前記トナーを、前記像担持体の表面に形成された静電潜像に供給して、前記静電潜像を前記トナー像として現像する現像部と
を備え、
前記像担持体は、アモルファスシリコン感光体である、画像形成装置。 - 前記現像部が前記現像を行っていないときに、前記現像部は前記像担持体へ前記トナーを排出する、請求項6に記載の画像形成装置。
- 現像部が、請求項1〜5の何れか一項に記載の現像剤に含まれる前記トナーを、像担持体の表面に形成された静電潜像に供給して、前記静電潜像をトナー像として現像する現像工程を含み、
前記像担持体は、アモルファスシリコン感光体である、画像形成方法。 - 前記現像部が前記現像を行っていないときに、前記現像部が前記像担持体へ前記トナーを排出するトナー排出工程を更に含む、請求項8に記載の画像形成方法。
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