JP6408345B2 - 冷蔵庫の断熱箱体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は食料品や飲料を冷蔵、或いは冷凍する冷蔵庫の断熱箱体に係り、特に内部にポリウレタンフォームを充填した冷蔵庫の断熱箱体及びこの断熱箱体の製造方法に関するものである。
地球温暖化を防止する社会の取り組みとして、二酸化炭素(CO2)の排出抑制を図るため様々な分野で省エネルギー化が推進されている。例えば、近年の電気製品、特に冷熱関連の家電製品である冷蔵庫においても、消費電力量を低減する観点から断熱性能を向上した冷蔵庫が主流になってきている。そのためには、冷蔵庫内部の冷気が冷蔵庫の外部に逃げない構造が不可欠である。
冷蔵庫は冷蔵庫本体である断熱箱体と、その断熱箱体に設けられる貯蔵室の前面開口部を開閉する断熱扉とで構成されている。そして、冷蔵庫内部の冷気が冷蔵庫の外部に逃げないようにするためには断熱箱体や断熱扉の断熱性能を向上することが有効である。このため断熱箱体や断熱扉の断熱空間にポリウレタンフォームを充填すると共に、このポリウレタンフォーム内部に真空断熱材を配置して熱の移動を抑制するようにしている。
一般的に、冷蔵庫の断熱箱体は鉄板で作られた外箱と合成樹脂で作られた内箱とで構成され、外箱と内箱によって形成される断熱空間に気泡を有するポリウレタンフォームを用いた断熱材が充填されている。このポリウレタンフォームは、ポリオール成分とイソシアネート成分を発泡剤、反応触媒、及び整泡剤の存在下で反応させることにより得られるものである。このポリウレタンフォームの発泡剤として広く使われてきたCFC−11は日本、及び米国において1995年末に全廃とされ、またHCFC−141cは2003年末までに全廃となった。これに伴い、オゾン層破壊の恐れが少ないノンフロン系発泡剤は欧州を中心に炭化水素系化合物への代替えが活発となり、日本でもシクロペンタンのような発泡剤が冷蔵庫の断熱材であるポリウレタンフォームに使用されてきた。
しかし、シクロペンタン発泡剤はフロン系発泡剤に比べてガスの熱伝導率が高いため、シクロペンタン発泡剤を用いたポリウレタンフォームは、フロン系発泡剤を用いたポリウレタンフォームよりも断熱性能が大きく劣るものである。また、シクロペンタン発泡剤を用いたポリウレタンフォームは、フロン系発泡剤を用いたポリウレタンフォームよりも高密度で流動性が劣るため、フロン系発泡剤を用いたポリウレタンフォームよりもポリウレタンの充填量を多くしなければ、断熱箱体内の隅々までポリウレタンフォームを充填することができないという問題がある。
一方、ポリウレタンの充填量を多くすると、冷蔵庫自体が高価格になる問題、重量が重くなる問題がある共に、外箱又は内箱の変形やポリウレタンフォームの漏れといった不良のない製品を製造することが困難になる。また、反対にポリウレタンの充填量を抑制すると、十分な断熱性能及び強度を確保することが困難になるといった問題がある。
近年においては、地球温暖化問題への対応やエネルギー需給バランスの確保が重要な技術的課題となっており、冷蔵庫についても、断熱箱体の断熱性能が高く、省エネルギー性能に優れることが強く求められている。しかるに、近年の冷蔵庫の断熱箱体は、限られた外形寸法で内容積を増加させるために断熱箱体の壁厚が薄くなっており、この薄い壁厚で大きな断熱効果を得るために、断熱箱体内に多くの真空断熱材を配置する設計となっている。
したがって、断熱箱体内におけるポリウレタンフォーム原料の流動空間が狭くなり、断熱箱体内部にポリウレタンフォームを十分に充填することがますます難しくなっている。このため、冷蔵庫用のポリウレタンフォーム原料としては、充填時の流動性が高く、充填後に高強度のポリウレタンフォームが得られるものが求められている。
このような要求に対処するためのものとして、シクロペンタンと水の混合発泡剤であって、混合発泡剤中の水の配合量を多くしたシクロペンタン処方のポリウレタンフォームが提案されている。このポリウレタンフォームは、それ以前のシクロペンタンと水の混合発泡剤を用いたシクロペンタン処方のポリウレタンフォームよりも、充填時の流動性が高く、しかも高い圧縮強度及び曲げ強度が得られる。よって、冷蔵庫の低コスト化及び軽量化が図れると共に、熱漏洩量の低減効果による省エネルギー化も可能な高品質の冷蔵庫を製造できるという長所を有している。
上述したように、近年の冷蔵庫には、断熱性能を向上するため、断熱箱体内に厚い真空断熱材を広い面積にわたって複数枚設置する例が多くみられる。しかしながら、断熱箱体内に設置された真空断熱材は、ポリウレタンフォーム原料の流動を阻害する要因となるので、断熱箱体の各部にポリウレタン断熱特性のばらつき、未充填領域の発生、密度のばらつき等が生じやすい。このため、近年の冷蔵庫の断熱箱体に適用するためには、ポリウレタンフォーム原料の流動性をより高める必要がある。
即ち、冷蔵庫の断熱箱体の断熱性能を高めて省エネルギー化を図るためには、まず、真空断熱材自体の断熱性能を向上すること、及び、真空断熱材による冷蔵庫のカバー面積を向上することが鍵になる。このため、従来では真空断熱材の厚みを増加する、四辺形のみであった真空断熱材の形状を多角形化して収納融通性を高めて多くの真空断熱材を配置する、ホットガスパイプを跨いで真空断熱材を配置する、真空断熱材を外箱や内箱の形状に合わせた立体形状に成形する等の手段がとられているが、もはや真空断熱材を設置する場所がほとんど無くなっているのが実情である。
そして、厚形の真空断熱材が断熱箱体の収納空間内の各所に配置された冷蔵庫は、ポリウレタンフォーム原料を断熱空間の隅々にまで過不足なく充填することが難しく、冷蔵庫にポリウレタンフォームの未充填ボイドや、ポリウレタンフォームの性状の不均一による断熱性能の高低分布が生じやすいので、冷蔵庫の断熱性能を十分に高めることが難しい。
また、配置する真空断熱材の面積を可能な限り大きくする工夫も取り入れてきた。例えば、冷蔵庫背面側からポリウレタンフォーム原料を注入する冷蔵庫においては、ウレタン注入口の設置位置が課題となった。例えば、ポリウレタンフォーム原料の流動性を考慮した場合、注入口の間隔は小さいほうが流動しやすい。しかしながら、ウレタン注入口間隔を小さくすると注入口と真空断熱材が干渉するため、真空断熱材の寸法を小さくする必要がある。そのため、現在ではウレタン注入口間の距離を可能な限り大きく取る設計をしている。但し、ポリウレタン注入口間の距離が大きくなることでポリウレタンフォーム原料に掛かる負担は大きくなるため、フォーム合わせ目領域付近での未充填ボイドの発生や、性状の不均一(ウレタン注入量の増加、熱伝導率の悪化等)の課題があった。ここで、フォーム合わせ目領域とは、異なった注入孔から注入されたポリウレタンフォーム原料が発泡しながら流動して合流する領域をいうものである。
未充填ボイドの発生は、断熱部分の欠損となるため、断熱箱体の熱漏洩量が大きくなるという課題に繋がる。また、内箱側に未充填ボイドが発生した場合は、実運転時に冷蔵庫内の温度が低くなると内箱の凹み等が生じて意匠的に問題となる課題があった。
性状の不均一は、主にポリウレタンフォームに形成されるスキン層の厚み変化によって生じる。ポリウレタンフォームのスキン層は、ポリウレタンフォーム原料の注入時に、外箱及び内箱に沿って流れる表層部分と、その内部を流れる部分との流動速度の差に起因して形成されるものと考えられている。即ち、ポリウレタンフォームの中央部分では、流動速度が大きいので、活発なウレタン反応が起こって100℃以上の反応熱が発生し、触媒活性も活発化しているのに対し、表層部分に至るほどウレタン反応が不活発となって反応熱が低くなり、触媒活性も弱くなるため、スキン層が成長しやすくなる。したがって、ポリウレタンフォーム原料の流路面積が大きい部分では、スキン層が薄くなって良好な断熱性能が発揮されるが、流路面積が小さい部分では、スキン層が厚くなって断熱性能が劣化し、断熱性能の分布が生じる。
このようなウレタンフォームの形成に関する課題に対し、例えば、特許第4691102号(特許文献1)に示すような真空発泡方法が提案されている。特許文献1に記載されている真空発泡方法は、断熱箱体を載置した発泡治具を減圧可能な真空槽に配置し、ポリウレタンフォーム原料を断熱箱体の断熱空観内に供給すると共に、真空槽内及び発泡治具内を急速に減圧することでポリウレタンフォームを発泡させるようにしている。
特許第4691102号
ところで、特許文献1に記載のポリウレタンの真空発泡方法では、比較的高い真空度を保つ真空槽に断熱箱体を載置して積極的に真空状態をつくっているが、ポリウレタンフォーム原料の発泡成形中に急激に真空状態とすると、ポリウレタンフォーム表面の脆化や無理なフォーム伸び、フォームちぎれ等が発生し、良好なポリウレタンフォームの発泡を行なうことができないという問題がある。また、むやみに高真空状態とすることにより、ポリウレタンフォームが低密度化し、ポリウレタンフォーム強度の低下や収縮量の増加が懸念され、断熱箱体の強度低下や、断熱箱体の側面部や背面部の外観の悪化が課題となる。更に、減圧すると断熱箱体の内箱が内側に引っ張られ、外箱と内箱間の断熱空間が薄くなることで断熱箱体の熱漏洩量が増加する可能性も考えられる。
したがって、真空槽を使用しないでも流路面積が小さい部分にポリウレタンフォーム原料を無理なく充填するため、ポリウレタンフォーム原料の流動性を改善することが必要である。
また、異なった注入孔から注入されたポリウレタンフォーム原料が流動して合流した後に、上方に立ち上がる領域である断熱箱体の側面部のポリウレタンフォームの発泡状態も良くなく、発泡ガスの巻き込みや発泡ガスの排出不良による残留発泡ガスが原因で未充填ボイドが多く点在するという現象を生じる。この未充填ボイドの発生は、断熱部分の欠損となるため、断熱箱体の熱漏洩量が大きくなるという課題に繋がる。また、内箱側にボイドが発生した場合は、実運転時に冷蔵庫内の温度が低くなると内箱の凹み等が生じ、意匠的に問題となる課題があった。
この未充填ボイドは、真空断熱材によるポリウレタンフォーム原料の流動通路の狭小化、複雑化により、ポリウレタンフォーム原料の発泡立ち上がり速度に差が生じてしまうことが原因と考えられている。要するに、真空断熱材が複数枚重ね貼りされている箇所はポリウレタンフォーム原料の流動空間が極めて狭く、この部分でのポリウレタンフォーム原料の発泡立ち上がり速度は遅いが、逆に、角部のように何も障害物が存在しない箇所での発泡立ち上がり速度は速い傾向にある。
このような理由で、発泡立ち上がり速度が速いポリウレタンフォームが早く断熱箱体の最終充填部の背面部に到達することで、後追いして立ち上ってくるポリウレタンフォームから生成される発泡ガスを封止してしまい未充填ボイドを生じるようになる。
このように、真空槽を使用すると上述したような新たな課題を生じるため、真空槽を使用しないでポリウレタンフォーム原料の良好な流動と発泡を行うことが求められている。また、ポリウレタン注入口から注入されたポリウレタンフォーム原料が流動、発泡して上方に立ち上がる側面部に生じる未充填ボイドの発生を抑制することが求められている。
本発明の目的は、真空槽を使用しないでも断熱箱体の流路が狭小化或いは複雑化された部分にも無理なくポリウレタンフォームを充填でき、しかも断熱箱体の側面部に未充填ボイドが発生するのを抑制できる冷蔵庫の断熱箱体及び断熱箱体の製造方法を提供することにある。
本発明の特徴は、断熱箱体の側面部を形成する側面壁に配置された真空断熱材のポリウレタンフォーム原料の注入時の下端部と上端部の間の高さを100%と定義した時、高さ方向で50%〜90%の範囲の間の側面壁に側面側発泡ガス排気孔を少なくとも1箇所以上形成し、ポリウレタンフォーム原料の発泡時に発生する発泡ガスを発泡ガス排気孔から吸引手段によって吸引する、ところにある。
本発明によれば、断熱箱体の断熱空間を減圧することでポリウレタンフォーム原料の流動性を改善できるので、流路が狭小化或いは複雑化された部分にも無理なくポリウレタンフォーム原料を充填できて、高い断熱性能と機械的強度を有するポリウレタンフォームを生成できる。また、発泡ガスを吸引しているので断熱箱体の側面部の残留発泡ガスによる未充填ボイドの発生を抑制することができる。
従来の冷蔵庫を構成する断熱箱体内へのポリウレタンフォームの充填方法と、断熱箱体内の真空断熱材の配置とを示す透視図である。 本発明の一実施例になる冷蔵庫を構成する断熱箱体内へのポリウレタンフォームの充填方法と、断熱箱体内の真空断熱材の配置とを示す透視図である。 本発明の一実施例になる断熱箱体を構成する内箱の外観図である。 発泡ガスを吸引する構成を示す構成図である。 冷蔵庫の断熱箱体の側面部の断面を示す断面図である。 本発明の実施例によって作製されるポリウレタンフォームの物性を従来例及び比較例と比較して示す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
まず、断熱箱体を構成する外箱と内箱との間の断熱空間に充填されるポリウレタンフォーム原料の組成について説明する。
本実施例で使用されるプレミックスポリオールは、ポリオール、整泡剤、水とシクロペンタンの混合発泡剤、及び、アミン触媒と三量化触媒を含んでいる。ポリウレタンフォームは、プレミックスポリオールにポリイソシアネートを反応させることにより生成される。
プレミックスポリオールを構成するベースポリオールは、水酸基数が7〜8価の多価アルコールの1種又は2種以上の混合物にアルキレンオキシドを付加した化合物と、水酸化数が4で、ポリオールに対して不完全溶解の多価アルコールの1種又は2種以上を少なくとも含む2成分系以上からなる。水酸基数が7〜8価の多価アルコールの1種又は2種以上の混合物にアルキレンオキシドを付加した化合物を用いることで、圧縮強度及び曲げ強度が高いポリウレタンフォームが得られる。また、水酸基数が4〜5価で、ポリオールに対して不完全溶解の多価アルコールを加えることで、プレミックスポリオールの流動性を高めることができる。ベースポリオールは、流動性向上補助剤として、官能基数が4〜5価で、粘度が1000〜2500mPa.sの低粘度ポリオールを加えた3成分系とすることができる。
また、本実施例で使用されるポリウレタンフォームは、上述したプレミックスポリオールに、ポリイソシアネートを反応させることにより生成される。実施形態に係るポリイソシアネートは、従来公知のものであればよく、特に限定するものではないが、例えばジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とその誘導体、又は、トリレンジイソシアネート(TDI)とその誘導体を用いることができる。これらは単独で使用しても、混合して使用しても差し支えない。MDIとその誘導体としては、例えば、MDIとその重合体のポリフェニルポリメチレンジイソシアネートの混合体、末端イソシアネート基をもつジフェニルメタンジイソシアネート誘導体等を挙げることができる。また、TDIとその誘導体としては、2、4−TDIと2、6−TDIの混合物、TDIの末端イソシアネートプレポリマー誘導体等を挙げることができる。
そして、このようなポリウレタンフォーム原料を断熱箱体の断熱空間に充填して発泡させることによってポリウレタンフォームを形成するものであるが、真空槽を使用しないポリウレタンフォームの一般的な充填方法について図1に基づき説明する。尚、この図では簡略化のため外治具や内治具等の不要な機器は省略している。図1は従来の断熱箱体の断熱空間にポリウレタンフォーム原料を注入、発泡させてポリウレタンフォームを形成するものを示している。
図1において、鋼板製の外箱1と樹脂製の内箱2が相互に組み合わされ、これら外箱1と内箱2の間に形成される断熱空間内の所定の位置に真空断熱材4が配置された断熱箱体を作製する。次にこの組み合された断熱箱体を予備温調する。尚、真空断熱材4は、断熱空間内の内箱2や外箱1の壁面に設置されており、最近の冷蔵庫においては壁面の60%以上の面積に設置されているものも多い。一般には、断熱箱体の側面部と背面部に真空断熱材4が配置されており、必要に応じて天面部及び底面部にも配置されることがある。
次に、図1に示すように前面側(扉側)を下向きにし、背面側を上向きにして断熱箱体を台座5に載置し、外箱1の背面側に開設された4つのポリウレタン注入口3に、予め温調されたポリウレタン注入ヘッドをそれぞれセットする。しかる後に、ポリウレタン注入ヘッドを操作して、4つのポリウレタン注入口3から断熱空間内にポリウレタンフォーム原料(プレミックスポリオール及びポリイソシアネート)を破線矢印6に示す通り同時に注入する。
ポリウレタンフォーム原料の注入に際しては、プレミックスポリオールとポリイソシアネートとをポリウレタン注入ヘッド内で衝突混合させることで化学反応を促進する。断熱空間内に注入されたポリウレタンフォーム原料は発泡圧力により加圧され、断熱空間内の真空断熱材4と外箱1又は内箱2との隙間を通って、断熱空間内に広がる。プレミックスポリオールの流動性が高く、かつポリイソシアネートとの反応速度が適正にコントロールされている場合には、断熱空間の全体に亘ってポリウレタンフォームが充填される。これに対して、プレミックスポリオールの流動性及びプレミックスポリオールとポリイソシアネートとの反応速度が適正に制御されていない場合には、ポリウレタンフォームの充填が不十分になる。
そして、図1に示す構成の断熱箱体3においては、断熱箱体に配置された真空断熱材4の存在によってポリウレタンフォーム原料の流動性が阻害され、流路が狭小化或いは複雑化された部分にポリウレタンフォーム原料を充分に充填できないという課題がある。また、フォーム合わせ目領域の残留発泡ガスによって未充填ボイドが発生する、ポリウレタンフォームが部分的に高密度化するという課題がある。
そこで、本実施例においては、断熱箱体の側面部を形成する側面壁に配置された真空断熱材のポリウレタンフォーム原料の注入時の下端部と上端部の間の高さを100%と定義した時、高さ方向で50%〜90%の範囲の間の側面壁に側面側発泡ガス排気孔を少なくとも1箇所以上形成し、ポリウレタンフォーム原料の発泡時に発生する発泡ガスを発泡ガス排気孔から吸引手段によって吸引して断熱箱体の断熱空間を減圧するようにしたものである。尚、側面側発泡ガス排気孔の位置を、高さ方向で50%〜90%の範囲の間に設定した理由については図6に基づいて説明する。
以下、本発明の一実施例を図2〜図5に基づき説明する。ここで、図3は断熱箱体を構成する内箱2の斜視図を示し、図4は発泡ガスを吸引する構成を示し、図5は断熱箱体の側面部の断面を示し、図1と同じ参照番号は同一の構成要素を示している。
図2〜図5において、断熱箱体を構成する内箱2の両側面2Aには、ポリウレタンフォーム原料の発泡によるフォーム合わせ目領域GA付近に1箇所以上の側面側発泡ガス排気孔6Aが形成されている。ポリウレタン注入口3から注入されたポリウレタンフォーム原料は破線矢印6で示すように発泡しながら流動していく。そして、断熱箱体の側面部において、上下方向(図中の左右方向)に設けられたポリウレタン注入口3から注入されたポリウレタンフォーム原料はフォーム合わせ目領域GA付近で合流して上昇する。
ここで、異なったポリウレタン注入口3から注入されたポリウレタンフォーム原料は発泡しながら合流し、その合流軌跡は一点鎖線で示す合流線10に沿っている。この合流軌跡は断熱空間7の形状、ポリウレタンフォーム原料の特性、物性等によって変わるが、おおよそ推測できるものである。したがって、この合流線に沿って側面側発泡ガス排気孔6Aを配置すれば、効率よく発泡ガスを排出することができる。
本実施例ではポリウレタンフォーム原料の注入時の状態で、図5にあるように断熱箱体の側面部を構成する外箱1の側面部1Aに配置された真空断熱材4の下端部を0%、上端部を100%としたとき、内箱2の側面部2Aに高さ方向で50%〜90%の範囲で側面側発泡ガス排気孔6Aを形成している。この範囲にはフォーム合わせ目領域GAが存在している。また、本実施例では、この高さ範囲で並行して3個の側面側発泡ガス排気孔6Aを形成しているが、少なくとも1個以上であれば差し支えないものである。
図5に断熱箱体の側面部の横断面を示し、外箱1と内箱2の間の断熱空間7に真空断熱材4が設置されている。真空断熱材4は外箱1の側面部1Aの内側に貼り付けられており、真空断熱材4と内箱2の側面部2Aの内面との間にポリウレタンフォーム原料の流動流路10が形成されており、狭小箇所10Aが存在している。そして、断熱箱体にポリウレタンフォーム原料を充填する状態、すなわち、断熱箱体の前面側を下にした状態で、夫々の側面部1A、2Aとで形成される断熱空間に存在する真空断熱材の下端部Bを0%とし、真空断熱材の上端部Tを100%とした時、高さ方向で50%〜90%の範囲で内箱2の側面部2Aに側面側発泡ガス排気孔6Aを形成している。
また、断熱箱体を構成する内箱2の背面部2Bには、ポリウレタンフォーム原料の発泡によるフォーム合わせ目領域GB付近に1箇所以上の背面側発泡ガス排気孔6Bが形成されている。ここで、フォーム合わせ目領域GB付近がポリウレタンフォーム原料の最終発泡充填部となるものである。
したがって、断熱箱体の側面部を立ち上がってきたポリウレタンフォーム原料は断熱箱体の背面部に達すると向きを変えて背面側に流動し、断熱箱体の背面部で別の横方向に設けられたポリウレタン注入口3から注入されたポリウレタンフォーム原料とフォーム合わせ目領域GB付近で合流して発泡を終了する。
そして、図4に示しているように断熱箱体の発泡治具のうち、内箱側治具内に発泡ガスを吸引する吸引手段、例えば減圧ポンプ8を設置しており、この減圧ポンプ8と発泡ガス排気孔6A,6Bを可撓性ホース9等で接続することにより、ポリウレタンフォーム原料の発泡に際して断熱空間7に充満した発泡ガスを吸引するようにしている。このように、ポリウレタンフォーム原料の発泡と同時に減圧ポンプ8によって、発泡ガス排気孔6A、6Bから発泡ガスや断熱空間7に残留していた空気が吸引され、断熱空間7が適度な減圧状態となる。更に、発泡が進んでポリウレタンフォーム原料がフォーム合わせ目領域GA,GB付近に達して発泡を行うが、このフォーム合わせ目領域GA,GB付近の発泡ガスも減圧ポンプ8によって吸引されるようになる。
この時の吸引発泡成形方法としては, 断熱空間7内にポリウレタンフォーム原料を供給し、型を閉じた後、もしくは型を閉じる前から減圧ポンプ8で発泡ガスの吸引を開始する(いずれも型を閉じるまでは大気圧である)。そして、ポリウレタンフォーム原料の発泡が止まる頃合いで発泡ガスの吸引を停止し、その後、数分間のキュアを施し脱型するようにしている。
ここで、本実施例では発泡ガス排気孔6A、6Bの開口面積は好ましくは約50mm〜850mmの範囲になるように、発泡ガス排気孔6A、6Bは少なくとも1箇所以上形成されており、図6に示す実施例及び比較例では、直径が8mmの円形の形状である。例えば、開口面積を大きくしすぎて発泡ガスを多く吸引しすぎると断熱箱体の内箱2が内側に引っ張られ、断熱空間が狭くなってポリウレタンフォーム原料の流動性を阻害する恐れがある。また、ポリウレタンフォームの脆性化や吸引口からポリウレタン漏れが発生する等の問題が生じる。一方、開口面積が小さすぎると、発泡ガスの吸引が不足すると想定していた量の発泡ガスの排出できなく未充填ボイドが発生する恐れがある。このため、上述したような範囲の開口面積が好ましい。
尚、発泡ガス排気孔は内箱2ではなく、外箱1にも形成することができるが、本実施例では以下のような理由で内箱2に形成している。つまり、外箱1の内側には真空断熱材が貼り付けられるため、発泡ガス排気孔を形成しづらいこと、また、外箱1は外部から目視されるため意匠上の観点から好ましくないことから内箱2に形成するようにしている。
また、上述したようにフォーム合わせ目領域GA,GBの位置は断熱空間7の形状やポリウレタンフォーム原料の特性、物性から予め推測することが可能であるので、好ましくはこの推測された領域付近に発泡ガス排気孔6A、6Bを形成すれば良いものである。特に、側面側発泡ガス排気孔6Aは高さ方向で50%〜90%の範囲で内箱2の側面部2Aに形成されていることを特徴としており、この範囲にフォーム合わせ目領域が存在している。
したがって、ポリウレタンフォーム原料の発泡に際して、減圧ポンプ8によって断熱空間7を適度に減圧しているためポリウレタンフォーム原料の発泡が時間的に促進されるので、ポリウレタンフォームが発泡、凝固する前にポリウレタン原料を素早く他の断熱空間7に流動することができる。更に、発泡ガスが排気されているので、発泡ガスによるポリウレタンフォーム原料の流動を阻害するバリア作用が低減されるので、ポリウレタンフォーム原料の流動が阻害されなく円滑に流動させることができる。このように、ポリウレタンフォーム原料の流動性を改善できるので、流路面積が小さい部分にもポリウレタンフォーム原料を無理なく充填できて、高い断熱性能と機械的強度を有するポリウレタンフォームを生成できるものである。
また、異なった注入孔から注入されたポリウレタンフォーム原料が発泡しながら流動し、この後に合流して断熱箱体の側面部を立ち上がる。本実施例では内箱2の側面部2Aに、真空断熱材4の高さ方向で50%〜90%の範囲で側面側発泡ガス排気孔6Aを設けて発泡ガスを排気している。このため、断熱箱体の側面部の残留発泡ガスが少なくなる(存在しても僅かである)ので、発泡ガスの巻き込みや発泡ガスの排出不良による未充填ボイドの発生を抑制することが可能である。これによって、断熱箱体の熱漏洩量を少なくでき、また、未充填ボイドによる内箱5の凹み等を生じなくなり意匠的に有利となるものである。
上述したように、本発明者等の知見によると、発泡ガス排気孔6Aについては、ポリウレタンフォーム原料の流動安定性を確保するために、その配置位置を適切に選択することが望ましい。例えば、側面側発泡ガス6Aを真空断熱材4の高さ方向で50%より下側に配置すると、立ち上がってきたポリウレタンフォームによって側面側発泡ガス6Aが閉塞されて未充填ボイドが発生する恐れがある。また、側面側発泡ガス6Aを真空断熱材4の高さ方向で90%より上側に配置すると、先回りしてきたポリウレタンフォームによって早い時期に側面側発泡ガス6Aが閉塞されて未充填ボイドが発生する恐れがある。
したがって、側面側発泡ガス排気孔6Aの配置関係によりポリウレタンフォームの充填性が左右されることから、本発明者等は図6に示すように、従来の断熱箱体、複数の本実施例になる断熱箱体、及び比較のための断熱箱体を同一のポリウレタンフォーム原料で製作し、そのポリウレタンフォームの充填性について調査した。
充填性の評価は、上下方向のウレタン注入口3間の中間位置の側面中央部、及び背面中央部に設定した試料切り出し位置から切り出したポリウレタンフォームを用いて行った。背面部及び側面部は真空断熱材の占有率が高く、ポリウレタン発泡時に生成するガスを封止しやすく未充填ボイドを生じやすい構造となっている。
そして、上述の方法によって作製した断熱箱体の外板と内箱、及び減圧断熱材を全て解体、除去して切り出し、ポリウレタンフォームの未充填ボイドの有無を目視で確認することによって行った。
また、断熱箱体からの熱漏洩量は、断熱空間7内に真空断熱材を設置し、かつポリウレタンフォームが発泡充填された断熱箱体内に、冷凍サイクル部品(圧縮機/コンデンサ/エバポレータ)を組み込んで冷凍サイクル運転を行い、断熱箱体の内部からの熱漏洩量を測定した。熱漏洩量は従来の断熱箱体の値を100としたときの対比で示した。
以下、図6に基づいて本実施例になる断熱箱体と従来の断熱箱体、及び比較のための断熱箱体の比較結果を説明する。
<従来例>
従来の断熱箱体は、図1に示すように断熱箱体の背面部の4点のウレタン注入口からポリウレタンフォーム原料を注入して断熱箱体を成形した。尚、上部2点(図面手前側)と下部2点(図面奥側)のウレタン注入口間の距離は1100mmである。また、断熱空間には全表面積の65%の真空断熱材を設置した仕様とした。このとき、ポリウレタンフォーム充填性は、断熱箱体の両側面部及び背面下部にボイドが発生した。また、従来の断熱箱体の密度比率を100と定義する。尚、以下に説明する実施例と比較例においても、ウレタンフォーム原料の注入口の位置や充填方法は同様のものである。また、断熱箱体の背面部と側面部に配置された真空断熱材4の厚さと、内箱2の内側面に形成された流動空間の幅は図6に示している通りである。
<実施例1>
実施例1は、断熱箱体を構成する内箱2の背面部2Bの2箇所、及び両側面部2Aの2箇所に吸引口径が直径8mmの発泡ガス排気孔を設置し、夫々から吸引ガス量が0.5m/minとなるようにガス量を調整して発泡を実施した。ここで、内箱2の側面部2Aに形成した側面側発泡ガス排気孔6Aの開口位置は図5に示す高さ基準に従い約60%の位置に形成している。尚、内箱2の背面部2Bに形成した背面側発泡ガス排気孔6Bの開口位置は発泡が終了する発泡終了部であり、フォーム合わせ目領域GB付近である。そして、断熱箱体の背面部と側面部のウレタン流動空間幅はともに5mmとしてある。このとき、断熱箱体の背面部及び側面部の断熱空間に未充填ボイドは発生していなく、従来の断熱箱体と対比した熱漏洩量比率は93であった。このように、ポリウレタンフォームの流動性や機械物性、断熱物性が改善されたことが理解できる。
<実施例2>
実施例2は、断熱箱体を構成する内箱2の背面部2Bの1箇所、及び両側面部2Aの1箇所に吸引口径が直径8mmの発泡ガス排気孔を設置し、夫々から吸引ガス量が0.5m/minとなるようにガス量を調整して発泡を実施した。ここで、内箱2の側面部2Aに形成した側面側発泡ガス排気孔6Aの開口位置は図5に示す高さ基準に従い約80%の位置に形成している。尚、内箱2の背面部2Bに形成した背面側発泡ガス排気孔6Bの開口位置は発泡が終了する発泡終了部であり、フォーム合わせ目領域GB付近である。そして、断熱箱体の背面部と側面部のウレタン流動空間幅はともに20mmとしてある。このとき、断熱箱体の背面部及び側面部の断熱空間に未充填ボイドは発生していなく、従来の断熱箱体と対比した熱漏洩量比率は98であった。このように、ポリウレタンフォームの流動性や機械物性、断熱物性が改善されたことが理解できる。
<実施例3>
実施例3は、断熱箱体を構成する内箱2の背面部2Bの1箇所、及び両側面部2Aの1箇所に吸引口径が直径8mmの発泡ガス排気孔を設置し、夫々から吸引ガス量が0.5m/minとなるようにガス量を調整して発泡を実施した。ここで、内箱2の側面部2Aに形成した側面側発泡ガス排気孔6Aの開口位置は図5に示す高さ基準に従い約80%の位置に形成している。尚、内箱2の背面部2Bに形成した背面側発泡ガス排気孔6Bの開口位置は発泡が終了する発泡終了部であり、フォーム合わせ目領域GB付近である。そして、断熱箱体の背面部のウレタン流動空間幅は10mm、断熱箱体の側面部のウレタン流動空間幅は5mmとしてある。このとき、断熱箱体の背面部及び側面部の断熱空間に未充填ボイドは発生していなく、従来の断熱箱体と対比した熱漏洩量比率は94であった。このように、ポリウレタンフォームの流動性や機械物性、断熱物性が改善されたことが理解できる。
<実施例4>
実施例4は、断熱箱体を構成する内箱2の背面部2Bの1箇所、及び両側面部2Aの1箇所に吸引口径が直径8mmの発泡ガス排気孔を設置し、夫々から吸引ガス量が0.5m/minとなるようにガス量を調整して発泡を実施した。ここで、内箱2の側面部2Aに形成した側面側発泡ガス排気孔6Aの開口位置は図5に示す高さ基準に従い約50%の位置に形成している。尚、内箱2の背面部2Bに形成した背面側発泡ガス排気孔6Bの開口位置は発泡が終了する発泡終了部であり、フォーム合わせ目領域GB付近である。そして、断熱箱体の背面部のウレタン流動空間幅は10mm、断熱箱体の側面部のウレタン流動空間幅は5mmとしてある。このとき、断熱箱体の背面部及び側面部の断熱空間に未充填ボイドは発生していなく、従来の断熱箱体と対比した熱漏洩量比率は96であった。このように、ポリウレタンフォームの流動性や機械物性、断熱物性が改善されたことが理解できる。
<実施例5>
実施例2は、断熱箱体を構成する内箱2の背面部2Bの1箇所、及び両側面部2Aの1箇所に吸引口径が直径8mmの発泡ガス排気孔を設置し、夫々から吸引ガス量が0.5m/minとなるようにガス量を調整して発泡を実施した。ここで、内箱2の側面部2Aに形成した側面側発泡ガス排気孔6Aの開口位置は図5に示す高さ基準に従い約90%の位置に形成している。尚、内箱2の背面部2Bに形成した背面側発泡ガス排気孔6Bの開口位置は発泡が終了する発泡終了部であり、フォーム合わせ目領域GB付近である。そして、断熱箱体の背面部と側面部のウレタン流動空間幅はともに20mmとしてある。このとき、断熱箱体の背面部及び側面部の断熱空間に未充填ボイドは発生していなく、従来の断熱箱体と対比した熱漏洩量比率は97であった。このように、ポリウレタンフォームの流動性や機械物性、断熱物性が改善されたことが理解できる。
<比較例1>
比較例1は、断熱箱体を構成する内箱2の背面部2Bの1箇所、及び両側面部2Aの1箇所に吸引口径が直径8mmの発泡ガス排気孔を設置し、夫々から吸引ガス量が0.5m/minとなるようにガス量を調整して発泡を実施した。ここで、内箱2の側面部2Aに形成した側面側発泡ガス排気孔6Aの開口位置は図5に示す高さ基準に従い約40%の位置に形成している。尚、内箱2の背面部2Bに形成した背面側発泡ガス排気孔6Bの開口位置は発泡が終了する発泡終了部であり、フォーム合わせ目領域GB付近である。そして、断熱箱体の背面部のウレタン流動空間幅は10mm、断熱箱体の側面部のウレタン流動空間幅は5mmとしてある。このとき、断熱箱体の側面部の断熱空間に未充填ボイドが発生していることを確認できた。そして、従来の断熱箱体と対比した熱漏洩量比率は102であった。このように、内箱2の側面部2Aに形成した側面側発泡ガス排気孔6Aの開口位置を約40%の位置に形成しているため、断熱箱体の側面部を立ち上がってきたポリウレタンフォームによって側面側発泡ガス排気孔6Aの開口が閉塞され、これ以降の発泡ガスが排気できなくなって未充填ボイドが発生したと推測される。
<比較例2>
比較例2は、断熱箱体を構成する内箱2の背面部2Bの1箇所、及び両側面部2Aの1箇所に吸引口径が直径8mmの発泡ガス排気孔を設置し、夫々から吸引ガス量が0.5m/minとなるようにガス量を調整して発泡を実施した。ここで、内箱2の側面部2Aに形成した側面側発泡ガス排気孔6Aの開口位置は図5に示す高さ基準に従い約40%の位置に形成している。尚、内箱2の背面部2Bに形成した背面側発泡ガス排気孔6Bの開口位置は発泡が終了する発泡終了部であり、フォーム合わせ目領域GB付近である。そして、断熱箱体の背面部及び側面部のウレタン流動空間幅は共に20mmとしてある。この比較例においても、断熱箱体の側面部の断熱空間に未充填ボイドが発生していることを確認できた。そして、従来の断熱箱体と対比した熱漏洩量比率は103であった。比較例1の側面部の流動空間が5mmに対して、比較例2の側面部の流動空間が20mmと大きくなっても未充填ボイドが発生している、このことから、内箱2の側面部2Aに形成した側面側発泡ガス排気孔6Aの開口位置を約40%の位置に形成しているため、断熱箱体の側面部を立ち上がってきたポリウレタンフォームによって側面側発泡ガス排気孔6Aの開口が閉塞され、これ以降の発泡ガスが排気できなくなって未充填ボイドが発生したと推測される。
<比較例3>
比較例3は、断熱箱体を構成する内箱2の背面部2Bの1箇所、及び両側面部2Aの1箇所に吸引口径が直径8mmの発泡ガス排気孔を設置し、夫々から吸引ガス量が0.5m/minとなるようにガス量を調整して発泡を実施した。ここで、内箱2の側面部2Aに形成した側面側発泡ガス排気孔6Aの開口位置は図5に示す高さ基準に従い約95%の位置に形成している。尚、内箱2の背面部2Bに形成した背面側発泡ガス排気孔6Bの開口位置は発泡が終了する発泡終了部であり、フォーム合わせ目領域GB付近である。そして、断熱箱体の背面部及び側面部のウレタン流動空間幅は共に20mmとしてある。この比較例においても、断熱箱体の側面部の断熱空間に未充填ボイドが発生していることを確認できた。そして、従来の断熱箱体と対比した熱漏洩量比率は102であった。このように、内箱2の側面部2Aに形成した側面側発泡ガス排気孔6Aの開口位置を約95%の位置に形成しているため、断熱箱体の側面部を立ち上がってきたポリウレタンフォームの一部が先回りして側面側発泡ガス排気孔6Aに至り、側面側発泡ガス排気孔6Aの開口が閉塞され、これ以降の発泡ガスが排気できなくなって未充填ボイドが発生したと推測される。
上述した夫々の実施例からわかるように、高さ方向で50%〜90%の範囲の間に側面側発泡ガス排気孔を少なくとも1箇所以上形成し、ポリウレタンフォーム原料の発泡時に発生する発泡ガスを発泡ガス排気孔から吸引すれば良い。これによって、断熱箱体の側面部の残留発泡ガスによる未充填ボイドの発生を抑制することができる。
以上述べた通り、本発明によれば、断熱箱体の側面部を形成する側面壁に配置された真空断熱材のポリウレタンフォーム原料の注入時の下端部と上端部の間の高さを100%と定義した時、高さ方向で50%〜90%の範囲の間の側面壁に側面側発泡ガス排気孔を少なくとも1箇所以上形成し、ポリウレタンフォーム原料の発泡時に発生する発泡ガスを発泡ガス排気孔から吸引手段によって吸引して断熱箱体の断熱空間を減圧するものである。
これによれば、断熱箱体の断熱空間を減圧することでポリウレタンフォーム原料の流動性を改善できるので、流路が狭小化或いは複雑化された部分にも無理なくポリウレタンフォーム原料を充填できて、高い断熱性能と機械的強度を有するポリウレタンフォームを生成できる。また、発泡ガスを吸引しているので断熱箱体の側面部の残留発泡ガスによる未充填ボイドの発生を抑制することができる。
尚、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1…外箱、2…内箱、2A…側面部、2B…背面部、3…ポリウレタン注入口、4…真空断熱材、5…台座、6A,6B…発泡ガス排気孔、7…断熱空間、8…減圧ポンプ、9…可撓性ホース、GA、GB…フォーム合わせ目領域。

Claims (2)

  1. 外箱と内箱とから構成されて内部に断熱空間を形成すると共に、前記断熱空間内に複数のポリウレタン注入口からポリウレタンフォーム原料を注入して発泡させることで前記断熱空間に発泡したポリウレタンフォームを充填した冷蔵庫の断熱箱体の製造方法において、
    前記断熱箱体は左右の側面部及び背面部を備えており、前記側面部を形成する前記外箱の側面壁の内側には真空断熱材が貼り付けられていると共に、前記側面部を形成する前記内箱の前記側面壁の複数の前記ポリウレタン注入口から注入された前記ポリウレタンフォーム原料が発泡されて合流するフォーム合わせ目領域付近に側面側発泡ガス排気孔を少なくとも1箇所以上形成し、
    前記側面側発泡ガス排気孔は、前記外箱の前記側面壁の内側に貼り付けられた前記真空断熱材の前記ポリウレタンフォーム原料の注入時の下端部と上端部の間の高さを100%と定義した時、高さ方向で50%〜90%の範囲の間に形成されており、
    更に、前記ポリウレタンフォーム原料の発泡時に発生する発泡ガスが、前記内箱の前記側面部に形成された前記側面側発泡ガス排気孔から減圧ポンプによって吸引して前記断熱空間を減圧した状態で前記ポリウレタンフォーム原料を発泡することを特徴とする冷蔵庫の断熱箱体の製造方法
  2. 請求項1に記載の冷蔵庫の断熱箱体の製造方法において、
    前記側面側発泡ガス排気孔の開口面積は50mm〜850mmの範囲に設定されていることを特徴とする冷蔵庫の断熱箱体の製造方法
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