以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
まず、本発明が適用される貯湯タンクユニットの構成について図1A〜図1Cを用いて説明する。貯湯タンクユニットTUはヒートポンプ給湯装置を構成する貯湯機器であり、図1A〜図Cに示すように、貯湯タンク1と、貯湯タンク1を覆う外装体とを備えている。貯湯タンク1は湯水等を貯留するステンレス製の容器であり、中空の略円筒形状を有している。
一方、外装体は外装板2、3、4、仕切板5、継手取付板6、天板補助板7、8、天板9、底板10とから構成されている。そして、これら外装体の一部を構成する外装板2、3、仕切板5、天板補助板7、8、底板10は、図1Bに示すように貯湯タンク1を収容した外箱15を形成している。このように外箱15は、外装板2、3、仕切板5、天板補助板7、8、底板10の組み合わせによって外箱本体とし、貯湯タンク1を内箱として構成される。
貯湯タンクユニットTUの内部において、貯湯タンク1は図1Cに示すように、底板10の上面に固定される内脚11に支持されて外箱15の内部に収容されている。そして、貯湯タンク1と外箱15との間には、発泡断熱材が充填される断熱空間14(図2参照)が区画、形成されている。一方、貯湯タンクユニットTUの内部における、仕切板5の前側には、外装板4、仕切板5及び天板補助板7を側壁とし、天板9を天壁とし、継手取付板6を底壁として機械室が区画、形成されている。
尚、機械室の内部には、例えば、配管や、配管に備えられる弁、ポンプ類、電装部品類、制御機器、センサ類等の図示しない計装機器類が収容されている。そして、このような断熱空間14と機械室とが内部に区画された貯湯タンクユニットTUは、底板10の下面に固定された外脚12によって支持されて設置面に固定されるものである。
貯湯タンク1には、底面部(底壁)及び天面部(天壁)に図示しない複数の配管が接続される。貯湯タンク1の底面部には、給水配管が接続され、この給水配管を通じて、給水源から供給される水が貯湯タンク1に給水される。また、底面部と天面部に出湯配管と入水配管がそれぞれ接続され、これらの配管の他端には熱交換器が接続されて、熱交換器、出湯配管、貯湯タンク1、入水配管が順に接続されてなる環状の管路が形成される。
貯湯タンクユニットTUが備えられるヒートポンプ給湯装置では、熱交換器が、圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発器等によって構成されるヒートポンプサイクルによって熱交換することで、貯湯タンク1に貯留される湯水を加熱する。尚、貯留されている湯水は、貯湯タンク1の天面部から入水配管を経て熱交換器に供給され、加熱された湯水は、出湯配管を経て貯湯タンク1の底面部に還流される。また、天面部には給湯配管が接続され、この給湯配管を通じて貯湯タンク1に貯蔵される湯(90℃〜100℃)が給湯されて利用される。以上のような構成の貯湯タンクユニットは良く知られた構成である。
図2は貯湯タンクユニット本体の断面図であり、図1BのX−X断面である。また、図3は図2のY−Y断面である。なお、図2及び図3では、断熱空間14に発泡性断熱材を充填していない状態を示している。
貯湯タンクユニットTUが備える外箱15では、外箱15の内側面には真空断熱材17が介装されている。図2に示すように、真空断熱材17は貯湯タンク1の上部から下部に及ぶ寸法を有し、図3に示すように、貯湯タンク1の側面の全周を覆うように複数配設されている。また、本実施例では貯湯タンク1の温度分布に従って上部領域Up、中間領域Md、下部領域Boに3等分するように便宜的に区分けしている。尚、本実施例では3等分しているが、2等分して上部領域Up、及び下部領域Boとしても良いものである。要は、高温部と低温部を画定できれば良いものである。
真空断熱材17は、グラスウール等の芯材が、水分や各種ガスの吸着剤等と共にガスバリア性のラミネートフィルムで真空包装されたシート状部材であり、外装板2、3、及び仕切板5の内壁に貼付されている。尚、貯湯タンク1の外周囲に真空断熱材を配置することも可能である。
貯湯タンクユニットTUにおいて、貯湯タンク1に貯留される湯水が加熱されると、比重が小さい高温の湯が貯湯タンク1の上部領域Up側に分布し、比重が大きい低温の湯や水が貯湯タンク1の下部領域Bo側に分布し、中間の温度の湯水は貯湯タンク1の中間領域Mdに分布することになる。このとき、貯湯タンク1の内側と外側との温度差は、貯湯タンク1の上部領域Up側で大きくなり、下部領域Bo側で小さくなる。よって、貯湯タンク1の内側と外側の間における外皮単位面積あたりの伝熱量の分布は、鉛直方向に勾配を有するものとなる。
このため、断熱空間14の鉛直方向における上部領域Up側は、下部領域Bo側と比較して熱漏洩(熱損失)が大きい領域となっている。特に、図示しない配管等が設置される貯湯タンク1の天面部(内箱の上面)と天板補助板8(外箱の上面)との間の空間は、真空断熱材17を配設し難い領域であるため、熱漏洩を生じやすい。
また、外箱15には、貯湯タンク1の側方に空間厚さが狭い領域(狭隘部g)が生じることがある。狭隘部gは、例えば、図2に示すように、配設された真空断熱材17の内面と貯湯タンク1の外周側面との間に存在する。このため、貯湯タンク1からの熱漏洩が生じやすい。このような熱漏洩を少なくするため、特許文献2にあるように断熱空間14に液状のウレタンを注入して発泡させることによって、断熱材を形成している。
このような構成の貯湯タンクユニットは良く知られているが、上述したように、断熱空間14の上部領域Up側は、下部領域Bo側と比較して高温になるため、充填される発泡性断熱材が熱により経時劣化し易い領域となっている。つまり、貯湯タンクの上部領域Up側では発泡性断熱材が高温に晒され、発泡性断熱材の気泡(発泡セル)に包摂されているガスの置換や気泡の内圧変化が生じて発泡性断熱材が劣化し易くなる。
また、液状ウレタンが発泡、成長を開始し、この発泡したウレタンが合流する「合わせ目」、或いはウレタンの流動末期に反応を終える「最終充填部」には、ウレタン未充填部が発生しやすい。また、長い距離を流動してきたウレタンの流動末期である「最終充填部」のウレタンの発泡倍率は、発泡初期、中期と比べ低いため樹脂成分が多く、高密度化(気泡が少ない)して熱伝導率が悪化する。
このような課題に対応するため、本発明では以下に説明する実施形態にあるように、少なくとも発泡性断熱材の発泡最終領域である「最終充填部」を、貯湯タンクの低温の湯が分布する下部領域側に形成するという構成を提案するものである。更に、これに加えて、少なくともこの「最終充填部」が対向する外箱の内側面に真空断熱材を設置する、という構成を提案するものである。
これによれば、発泡性断熱材の「最終充填部」が貯湯タンクの低温の湯が分布する下部領域側に形成されるようにしているので、貯湯タンクの上部領域側の発泡断熱材は微細気泡が形成され、しかも気泡壁強度が強くなっている。これによって、発泡性断熱材の断熱性能の経時安定性を確保することができるものである。
また、熱伝達性が高い「最終充填部」が位置する外箱の内側に真空断熱材を配置しているで、この部分からの熱漏洩を少なくできるものである。
以下、本発明の具体的な実施形態について図面を引用しながら詳細に説明する。尚、実施形態1〜実施形態4は、貯湯タンクユニットの上部領域Upを下側にして発泡断熱材を注入する例を示し、実施形態5〜実施形態7は、貯湯タンクユニットを横倒しにして発泡断熱材を注入する例を示し、実施形態8〜実施形態9は、貯湯タンクユニットの上部領域Upを下側にし、しかも斜めに傾けて発泡断熱材を注入する例を示している。いずれの例も、発泡性断熱材の「最終充填部」が貯湯タンクの低温の湯が分布する下部領域側に形成されるようにするためである。
第1の実施形態になる貯湯タンクユニットTUは、図4に示しているような方法で液状の発泡性断熱材が注入されるものである。尚、図4において実線で示す矢印は液状の発泡性断熱材の注入方向と流れを示し、破線で示す矢印は注入された発泡性断熱材の概略の発泡方向を示している。これは、以下に示す全ての実施形態について共通の表示である。
図4に示すように、貯湯タンクユニットの外箱15には貯湯タンク1が収納されており、貯湯タンク1と外箱15の間に形成される断熱空間14(図3参照)には発泡性断熱材20が充填される。発泡性断熱材20を充填することによって、貯湯タンク1の外周面、上面及び下面の全面に亘って熱漏洩が低減されるようにしている。
また、断熱空間14中には、発泡性断熱材20より大幅に断熱性能に優れる真空断熱材17を設置することで外箱15からの熱漏洩を更に低減している。また、発泡性断熱材20は接着剤としての機能を有しており、真空断熱材17及び外箱15を共に接着することにより、各部材間が堅固に固定されて耐振動性が向上する作用も得られるようになっている。
このような構成の貯湯タンクユニットは、以下に示す全ての実施形態について共通であるので、繰り返して説明はしない。ただ、「最終充填部」や「合わせ目」の形成位置によって真空断熱材17の配置位置が調整されるものである。
さて、第1の実施形態になる貯湯タンクユニットにおいては、外箱15を正規の設置状態とは逆向きに倒立させた状態とし、倒立させた状態の外箱15の背面側の最上面に設置した発泡性断熱材20の原料を注入する1個の注入口72から下側に向けて液状の発泡性断熱材20注入する。ここで、倒立させた状態の外箱15の最上面は図2に示す下部領域Boに対応するものであり、倒立させた状態の外箱15の最下面は図2に示す上部領域Upに対応するものである。
そして、注入された発泡性断熱材20の原料は断熱空間14の最下面に落下して横に広がり、流動しながら発泡を開始して樹脂化を伴いながら断熱空間14内を上方へ立ち上がっていく。この時、上部領域Upの発泡性断熱材20は発泡初期から中期であるため、充分な量の気泡を有した発泡性断熱材20を形成することができる。このように、貯湯タンク2の上部領域Up側における発泡性断熱材は、微細気泡が形成され、しかも気泡壁の強度が大きいものとなっている。
このように、本実施形態になる注入方式においては、外箱15の貯湯タンク1の天面部付近の断熱性能が高くなっており、高温の湯が貯留される貯湯タンク1の上部領域Up側における熱漏洩が有効に抑制されるようになっている。また、発泡初期から中期の発泡性断熱材20であるため、微細気泡の集合体となっており、発泡性断熱材20の強度が高く、また気泡壁強度も強いことから、断熱性能の経時劣化を抑制することができるようになる。
一方、断熱空間14内の各部分を流動した発泡性断熱材20は、最終的に外箱15の最上面付近の1箇所に集まってきて発泡、流動を終了する。この部分は「最終充填部」と呼ばれており、発泡初期、中期と比べて発泡機能が低下しているので樹脂成分が多く、高密度化(気泡が少ない)して熱伝導率が悪化する傾向がある。更に、「最終充填部」の近傍では、発泡性断熱材20の「合わせ目」が形成され、発泡ガスの除去が不十分な場合は、発泡性断熱材の欠陥部が形成されることもある。一般的に発泡性断熱材20の熱伝導率は流動末端部となる「最終充填部」近傍では初期部と比較して悪化することに加えて、発泡性断熱材の欠陥部が形成されることによる熱漏洩量の悪化も生じる。
しかしながら、「最終充填部」や「合わせ目」は外箱15の下部領域Boに形成されているので、熱漏洩については上部領域Upほど深刻ではない。すなわち、下部領域Boは上部領域Upほどには断熱性能が要求されないからである。このため、上述したように、下部領域Boに発泡性断熱材20の「最終充填部」や「合わせ目」が形成されるように発泡性断熱材20の発泡を制御しているものである。
ただ、貯湯タンクユニットの全体的な断熱性能を向上するためには、「最終充填部」や「合わせ目」からの熱漏洩を更に抑制してやることが有効である。このため、本実施形態では、充填された発泡性断熱材20の「最終充填部」や「合わせ目」が形成される箇所(少なくとも「最終充填部」の投影面となる箇所を含む部分)に、真空断熱材17を設置することにより、熱漏洩量の大幅な悪化に繋がらないようにしている。本実施形態では、背面側に位置する注入口72と対向する側の仕切板5の内側に真空断熱材17を配置している。
尚、外箱15に発泡性断熱材20を充填する注入口72は1個に限定されるもものではなく、注入口72を複数設けて、発泡性断熱材20の注入を複数箇所から行うようにしても良いものである。但し、複数個所に注入口72を設置する際は、発泡性断熱材20の流動過程に偏りが生じないように、互いが対向する対称位置に設置する必要がある。また、複数の注入口毎に、発泡性断熱材20の原料液を組成する化合物の選択、組合せ、配合比の調整、原料液の撹拌及び発泡条件等を調整して充填を行うようにしても良いものである。
発泡性断熱材20としては、液状の原料液を化学反応させることによって発泡、硬化させた合成樹脂発泡体からなる断熱材を用いることが好ましい。具体的には、例えば、硬質ウレタンフォーム、フェノールフォーム、ポリイソシアヌレートフォーム等が好適である。
例えば、硬質ウレタンフォームは、プレミックスポリオール組成物とポリイソシアネートとを反応させることによって得ることができる。イソシアネートと混合されるプレミックスポリオールは、ポリオール、整泡剤、触媒、水とシクロペンタンを含む発泡剤とよりなるプレミックスポリオール組成物である。
更にこのプレミックスポリオール組成物は、水酸基数4〜8個の多価アルコール1種または2種以上を含む混合物にアルキレンオキシドを付加した化合物に、ポリオールに対して不完全溶解でありエステル基を有する多価アルコールを1種または2種以上含む混合物を添加し、且つ温度依存性の小さい活性を有するアミン系の触媒を有するプレミックスポリオールである。
水酸基数4〜8の多価アルコールとしては次のものが適している。4価アルコールとしてはジグリセリン、ペンタエリスリトール、メチルグルコシド等があり、5価アルコールとしてはグルコース、マンノース、フルクトース等の単糖類があり、6価アルコールとしてはジペンタエリスリトール、ソルビトール等があり、7〜8価アルコールとしてはシュークローズ、ラクトース等の糖類およびその誘導体、フェノール類等が挙げられる。これらは単独で使用しても良く、また2種以上を混合して用いても差し支えないが、好ましくはシュークローズを用いると良い。
また、水酸基数4〜8の多価アルコール1種または2種以上を含む混合物に付加するアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等を用いることができる。このうち、いずれかのオキシド1種を用いてもよく、2種以上のオキシドを併用しても差し支えない。2種以上のオキシドを併用する場合、これらを順次反応させてもよく、またはこれらを混合して反応させても良い。
用いることができるポリオールの粘度は、2000〜6000mPasであり、好ましくは3000〜5000mPasである。また、このポリオールの重量平均分子量は600〜1300であり、好ましくは重量平均分子量が800〜1000のポリオールが良い。重量平均分子量(Mw)が600よりも小さなポリオールを用いた場合、ポリオールの粘度は低下し流動性は向上するが、強度が低下する。一方、重量平均分子量(Mw)が1300よりも大きなポリオールを用いると、粘度が上昇し、流動性が著しく悪化するので好ましくない。
エステル基を有する多価アルコールとしては、水酸基価100〜450mgKOH/g、酸価0.5〜1.5、粘度1000〜17000mPas、官能基数2〜3であり、無水フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、セバシン酸、リンゴ酸等の多価カルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1、4−ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の多価アルコールとの縮合反応で得られるポリエステルポリオールとする。尚、このポリエステルポリオールを用いることで温度負荷に対する経年劣化の悪影響を軽減することができる。
また、本実施形態においては、反応触媒として反応性が周囲温度に対する依存性の少ない触媒を用いている。すなわち、泡化アミン触媒や樹脂化アミン触媒に加えて温度依存性の少ないアミン触媒を混合して用いている。例えばN、N-ジメチルドデシルアミンを含むものを主成分とし、ライズ特性を調整するためにペンタメチルジエチレントリアミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、N、N、N′−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N、N−ジメチルアミノエトキシエタノール、ジエチルシクロヘキシルアミン、トリエチレンジアミン、N、N、N′、N′−テトラメチルヘキサンジアミン、N、N、N′、N′−テトラメチルプロピレンジアミン、N、N、N′、N′−テトラメチルエチレンジアミン、N、N′、N′′−トリス(3-ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン、N、N′、N′′−トリス(3-ジエチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン等を用いることができる。
また、本実施形態で使用されるポリイソシアネートは、従来から使用されているものであれば良く特に限定するものではない。例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とその誘導体、これらは単独で使用しても、混合して使用しても差し支えない。また、トリレンジイソシアネート(TDI)とその誘導体としては、例えば、2、4−TDIと2、6−TDIの混合物、TDIの末端イソシアネートプレポリマー誘導体等を挙げることができる。また、MDIとその誘導体としては、例えば、MDIとその重合体のポリフェニルポリメチレンジイソシアネートの混合体、末端イソシアネート基をもつジフェニルメタンジイソシアネート誘導体等を挙げることができるので、これらを適切に用いればよいものである。
このような発泡性断熱材20の材料は以下に示す実施形態でも共通に使用できるので、以下の実施形態では説明を省略する。
以上述べた通り、本実施形態によれば、少なくとも発泡性断熱材の発泡最終領域である「最終充填部」が、貯湯タンクの低温の湯が分布する下部領域Bo側に形成されていると共に、少なくとも、この「最終充填部」が対向する外箱の内側面に真空断熱材が設置されている構成とした。
これによれば、発泡性断熱材の「最終充填部」が貯湯タンクの低温の湯が分布する下部領域Bo側に形成されるようにしているので、貯湯タンクの上部領域Up側の発泡断熱材は微細気泡が形成され、しかも気泡壁強度が強くなっている。これによって、発泡性断熱材の断熱性能の経時安定性を確保することができる。また、熱伝達性が高い「最終充填部」が位置する外箱の内側に真空断熱材を配置しているで、この部分からの熱漏洩を少なくできる。
次に、第2の実施形態になる貯湯タンクユニットTUは、図5に示しているような方法で液状の発泡性断熱材が注入されるものである。
さて、第2の実施形態になる貯湯タンクユニットにおいても、外箱15を正規の設置状態とは逆向きに倒立させた状態とし、倒立させた状態の外箱15の背面側の最上面に設置した発泡性断熱材20の原料を注入する注入口72Aから下側に向けて液状の発泡性断熱材20注入する。また、倒立させた状態の外箱15の前面側の最上面に設置した発泡性断熱材20の原料を注入する注入口72Bから下側に向けて液状の発泡性断熱材20注入する。ここでも実施例1と同様に、倒立させた状態の外箱15の最上面は図2に示す下部領域Boに対応するものであり、倒立させた状態の外箱15の最下面は図2に示す上部領域Upに対応するものである。
そして、対向する位置に設けられた2つの注入口72A、72Bから注入された発泡性断熱材20の原料は、断熱空間14の最下面に落下して横に広がり、流動しながら発泡を開始して互いに向き合って樹脂化を伴いながら断熱空間14内を上方へ立ち上がっていく。この時、発泡性断熱材20は発泡初期から中期であるため、上部領域Upでは充分な量の気泡を有した発泡性断熱材20を形成することができる。このように、貯湯タンク2の上部領域Up側における発泡性断熱材は、微細気泡が形成され、しかも気泡壁の強度が大きいものとなっている。
このように、本実施形態になる注入方式においても、外箱15の貯湯タンク1の天面部付近の断熱性能が高くなっており、高温の湯が貯留される貯湯タンク1の上部領域側における熱漏洩が有効に抑制されるようになっている。また、上部領域Upでは発泡初期から中期の発泡性断熱材20であるため、微細気泡の集合体となっており、発泡性断熱材20の強度が高く、また気泡壁強度も強いことから、断熱性能の経時劣化を抑制することができるようになる。
一方、断熱空間14内の各部分を流動した各発泡性断熱材20は、その発泡進行面が合流することによって「合わせ目」が形成されている。更には最終的に外箱15の最上面付近の1箇所に集まってきて発泡、流動を終了する。したがって、本実施形態では「最終充填部」及び「合わせ目」が形成されることになる。この「最終充填部」や「合わせ目」からの熱漏洩を更に抑制してやるため、本実施形態では、充填された発泡性断熱材20の「最終充填部」や「合わせ目」が形成される箇所に、真空断熱材17を設置することにより、熱漏洩量の大幅な悪化に繋がらないようにしている。本実施形態では、外箱15の側面の内側に真空断熱材17を配置している。
本実施形態においても実施例1と同様に、発泡性断熱材の「最終充填部」が貯湯タンクの低温の湯が分布する下部領域Bo側に形成されるようにしているので、貯湯タンクの上部領域側の発泡断熱材は微細気泡が形成され、しかも気泡壁強度が強くなっている。これによって、発泡性断熱材の断熱性能の経時安定性を確保することができる。また、熱伝達性が高い「最終充填部」や「合わせ目」が位置する外箱の内側に真空断熱材を配置しているで、この部分からの熱漏洩を少なくできる。
次に、第3の実施形態になる貯湯タンクユニットTUは、図6に示しているような方法で液状の発泡性断熱材が注入されるものである。
さて、第3の実施形態になる貯湯タンクユニットにおいても、外箱15を正規の設置状態とは逆向きに倒立させた状態とし、倒立させた状態の外箱15の背面側の最下面に設置した発泡性断熱材20の原料を注入する1個の注入口73(実施例1と同様に複数設けても良いものである)から前面側に向けて横向きに液状の発泡性断熱材20を注入するものである。ここでも実施例1と同様に、倒立させた状態の外箱15の最上面は図2に示す下部領域Boに対応するものであり、倒立させた状態の外箱15の最下面は図2に示す上部領域Upに対応するものである。
そして、注入口73から横向きに注入された発泡性断熱材20の原料は断熱空間14の最下面に沿って横に広がり、流動しながら発泡を開始して樹脂化を伴いながら断熱空間14内を上方へ立ち上がっていく。この時、発泡性断熱材20は発泡初期から中期であるため、上部領域Upでは充分な量の気泡を有した発泡性断熱材20を形成することができる。このように、貯湯タンク2の上部領域側における発泡性断熱材は、微細気泡が形成され、しかも気泡壁の強度が大きいものとなっている。
このように、本実施形態になる注入方式においても、外箱15の貯湯タンク1の天面部付近の断熱性能が高くなっており、高温の湯が貯留される貯湯タンク1の上部領域側における熱漏洩が有効に抑制されるようになっている。また、発泡初期から中期の発泡性断熱材20であるため、微細気泡の集合体となっており、上部領域Upでは発泡性断熱材20の強度が高く、また気泡壁強度も強いことから、断熱性能の経時劣化を抑制することができるようになる。
一方、断熱空間14内の各部分を流動した発泡性断熱材20は、最終的に外箱15の最上面付近の1箇所に集まってきて発泡、流動を終了する。そして、「最終充填部」からの熱漏洩を更に抑制してやるため、本実施形態では、充填された発泡性断熱材20の「最終充填部」が形成される箇所に、真空断熱材17を設置することにより、熱漏洩量の大幅な悪化に繋がらないようにしている。本実施形態では、注入口73の上に位置する背面側に真空断熱材17を配置している。
本実施形態においても実施例1と同様に、発泡性断熱材の「最終充填部」が貯湯タンクの低温の湯が分布する下部領域Bo側に形成されるようにしているので、貯湯タンクの上部領域側の発泡断熱材は微細気泡が形成され、しかも気泡壁強度が強くなっている。これによって、発泡性断熱材の断熱性能の経時安定性を確保することができる。また、熱伝達性が高い「最終充填部」が位置する外箱の内側に真空断熱材を配置しているで、この部分からの熱漏洩を少なくできる。
次に、第4の実施形態になる貯湯タンクユニットTUは、図7に示しているような方法で液状の発泡性断熱材が注入されるものである。
さて、第4の実施形態になる貯湯タンクユニットにおいても、外箱15を正規の設置状態とは逆向きに倒立させた状態とし、倒立させた状態の外箱15の背面側の最下面に設置した発泡性断熱材20の原料を注入する注入口73Aから最下面に沿って横方向に向けて液状の発泡性断熱材20を注入する。また、倒立させた状態の外箱15の前面側の最下面に設置した発泡性断熱材20の原料を注入する注入口73Bから最下面に沿って横方向に向けて液状の発泡性断熱材20注入する。尚、注入口73Aと注入口73Bとは互いに向き合って対称位置に配置されている。
ここでも実施例1と同様に、倒立させた状態の外箱15の最上面は図2に示す下部領域Boに対応するものであり、立てた状態の外箱15の最下面は図2に示す上部領域Upに対応するものである。
そして、対向する2つの注入口72A、72Bから注入された発泡性断熱材20の原料は断熱空間14の最下面に沿って横に広がり、流動しながら発泡を開始して互いに向き合って樹脂化を伴いながら断熱空間14内を上方へ立ち上がっていく。この時、発泡性断熱材20は発泡初期から中期であるため、上部領域Upでは充分な量の気泡を有した発泡性断熱材20を形成することができる。このように、貯湯タンク2の上部領域Up側における発泡性断熱材は、微細気泡が形成され、しかも気泡壁の強度が大きいものとなっている。
このように、本実施形態になる注入方式においても、外箱15の貯湯タンク1の天面部付近の断熱性能が高くなっており、高温の湯が貯留される貯湯タンク1の上部領域側における熱漏洩が有効に抑制されるようになっている。また、発泡初期から中期の発泡性断熱材20であるため、微細気泡の集合体となっており、発泡性断熱材20の強度が高く、また気泡壁強度も強いことから、断熱性能の経時劣化を抑制することができるようになる。
一方、断熱空間14内の各部分を流動した各発泡性断熱材20は、実施例2と同様に、その発泡進行面が合流することによって「合わせ目」が形成されている。更には最終的に外箱15の最上面付近の1箇所に集まってきて発泡、流動を終了する。したがって、本実施形態例では「最終充填部」及び「合わせ目」が形成されることになる。この「最終充填部」や「合わせ目」からの熱漏洩を更に抑制してやるため、本実施形態では、充填された発泡性断熱材20の「最終充填部」や「合わせ目」が形成される箇所に、真空断熱材17を設置することにより、熱漏洩量の大幅な悪化に繋がらないようにしている。本実施形態では、外箱15の側面の内側に真空断熱材17を配置している。
本実施形態においても実施例2と同様に、発泡性断熱材の「最終充填部」が貯湯タンクの低温の湯が分布する下部領域側に形成されるようにしているので、貯湯タンクの上部領域側の発泡断熱材は微細気泡が形成され、しかも気泡壁強度が強くなっている。これによって、発泡性断熱材の断熱性能の経時安定性を確保することができる。また、熱伝達性が高い「最終充填部」が位置する外箱の内側に真空断熱材を配置しているで、この部分からの熱漏洩を少なくできる。
次に、第5の実施形態になる貯湯タンクユニットTUは、図8に示しているような方法で液状の発泡性断熱材が注入されるものである。
さて、第5の実施形態になる貯湯タンクユニットにおいては、外箱15を前面側が下になるように横倒しの状態とし、この状態の外箱15の前面側の最下面に設置した発泡性断熱材20の原料を注入する注入口74から最下面に沿って横方向に向けて液状の発泡性断熱材20注入するものである。この場合、図面で右側が外箱15の下部領域Boに対応するものであり、左側が外箱15の上部領域Upに対応するものである。
つまり、外箱15の下部領域Boに対応する側に注入口74を設け、外箱15の上部領域Upに向けて液状の発泡性断熱材20を注入するものである。注入口74に差し込まれる注入ノズルは、発泡性断熱材20が外箱15の上部領域Upに多く到達するように注入速度を高めるか、或いは注入ノズルの長さを長くして、より多くの発泡性断熱材20が外箱15の上部領域Upに届くようにしている。
更には、フロース発泡のように、低沸点の発泡剤を混合した発泡性断熱材20を、注入ノズルから吐出された時に気化して、液体からフォーム状となるように吐出することで、発泡性断熱材20が外箱15の上部領域Upに多く到達するようにしても良い。
そして、注入口73から横向きに注入された発泡性断熱材20の原料は断熱空間14の最下面に沿って広がり、流動しながら発泡を開始して樹脂化を伴いながら断熱空間14内を上方へ立ち上がっていく。この時、発泡性断熱材20は発泡初期から中期であるため、上部領域Upでは充分な量の気泡を有した発泡性断熱材20を形成することができる。このように、貯湯タンク2の上部領域Up側における発泡性断熱材は、微細気泡が形成され、しかも気泡壁の強度が大きいものとなっている。
このように、本実施形態になる注入方式においても、外箱15の貯湯タンク1の天面部付近の断熱性能が高くなっており、高温の湯が貯留される貯湯タンク1の上部領域側における熱漏洩が有効に抑制されるようになっている。また、発泡初期から中期の発泡性断熱材20であるため、微細気泡の集合体となっており、発泡性断熱材20の強度が高く、また気泡壁強度も強いことから、断熱性能の経時劣化を抑制することができるようになる。
一方、断熱空間14内の各部分を流動した発泡性断熱材20は、最終的に外箱15の下部領域Bo側の背面付近の1箇所に集まってきて発泡、流動を終了する。そして、「最終充填部」からの熱漏洩を更に抑制してやるため、本実施形態では、充填された発泡性断熱材20の「最終充填部」が形成される箇所に、真空断熱材17を設置することにより、熱漏洩量の大幅な悪化に繋がらないようにしている。本実施形態では、注入口74の上に位置する背面側に真空断熱材17を配置している。
本実施形態においても実施例1と同様に、発泡性断熱材の「最終充填部」が貯湯タンクの低温の湯が分布する下部領域側に形成されるようにしているので、貯湯タンクの上部領域側の発泡断熱材は微細気泡が形成され、しかも気泡壁強度が強くなっている。これによって、発泡性断熱材の断熱性能の経時安定性を確保することができる。また、熱伝達性が高い「最終充填部」が位置する外箱の内側に真空断熱材を配置しているで、この部分からの熱漏洩を少なくできる。
次に、第6の実施形態になる貯湯タンクユニットTUは、図9に示しているような方法で液状の発泡性断熱材が注入されるものである。
さて、第6の実施形態になる貯湯タンクユニットにおいても、外箱15を前面側が下になるように横倒しの状態とし、この状態の外箱15の背面側の上部領域Upに設置した注入口75Aと、外箱15の背面側の下部領域Boに設置した注入口75Bから下側に向けて液状の発泡性断熱材20を注入するものである。ここで、上部領域Upに設置した注入口75Aから注入される発泡性断熱材20の量の方が、下部領域Boに設置した注入口75Bから注入される発泡性断熱材20の量より多いものである。
そして、2つの注入口75A、75Bから注入された発泡性断熱材20の原料は断熱空間14の最下面に落下して横に広がり、流動しながら発泡を開始して互いに向き合って樹脂化を伴いながら断熱空間14内を上方へ立ち上がっていく。この時、注入口75Aからの発泡性断熱材20の量が多いため、上部領域Upに充分な量の気泡を有した発泡性断熱材20を形成することができる。このように、貯湯タンク2の上部領域側における発泡性断熱材は、微細気泡が形成され、しかも気泡壁の強度が大きいものとなっている。
このように、本実施形態になる注入方式においても、外箱15の貯湯タンク1の天面部付近の断熱性能が高くなっており、高温の湯が貯留される貯湯タンク1の上部領域側における熱漏洩が有効に抑制されるようになっている。また、発泡初期から中期の発泡性断熱材20であるため、微細気泡の集合体となっており、発泡性断熱材20の強度が高く、また気泡壁強度も強いことから、断熱性能の経時劣化を抑制することができるようになる。
一方、断熱空間14内の各部分を流動した発泡性断熱材20は、上部領域Upに設置した注入口75Aから注入される発泡性断熱材20の量の方が、下部領域Boに設置した注入口75Bから注入される発泡性断熱材20の量より多いことから、最終的に外箱15の下部領域Bo側の背面付近の1箇所に集まってきて発泡、流動を終了する。尚、この場合では注入口75A、75Bから発泡性断熱材20が注入されるため「合わせ目」が生じるようになる。
そして、「最終充填部」や「合わせ目」からの熱漏洩を更に抑制してやるため、本実施形態では、充填された発泡性断熱材20の「最終充填部」や「合わせ目」が形成される箇所に、真空断熱材17を設置することにより、熱漏洩量の大幅な悪化に繋がらないようにしている。本実施形態では、注入口75Bが位置する背面側と側面側に真空断熱材17を配置している。尚、側面側の真空断熱材17は省略している。
本実施形態においても実施例1と同様に、発泡性断熱材の「最終充填部」が貯湯タンクの低温の湯が分布する下部領域側に形成されるようにしているので、貯湯タンクの上部領域側の発泡断熱材は微細気泡が形成され、しかも気泡壁強度が強くなっている。これによって、発泡性断熱材の断熱性能の経時安定性を確保することができる。また、熱伝達性が高い「最終充填部」が位置する外箱の内側に真空断熱材を配置しているで、この部分からの熱漏洩を少なくできる。
次に、第7の実施形態になる貯湯タンクユニットTUは、図10に示しているような方法で液状の発泡性断熱材が注入されるものである。
さて、第7の実施形態になる貯湯タンクユニットにおいても、外箱15を前面側が下になるように横倒しの状態とし、この状態の外箱15の背面側の上部領域Up側に寄せて設置した注入口76から下側に向けて液状の発泡性断熱材20を注入するものである。ここで、上部領域Up側に寄せた注入口76から注入される発泡性断熱材20は、上部領域Up側に多く流れ、下部領域Bo側には少なく流れるものである。したがって、注入口76は図9に示す注入口75Aの位置であっても差し支えないものである。
そして、注入口76から注入された発泡性断熱材20の原料は断熱空間14の最下面に落下して横に広がり、流動しながら発泡を開始して互いに向き合って樹脂化を伴いながら断熱空間14内を上方へ立ち上がっていく。この時、注入口76からの発泡性断熱材20は上部領域Up側に多く流れるため、上部領域Upに充分な量の気泡を有した発泡性断熱材20を形成することができる。このように、貯湯タンク2の上部領域Up側における発泡性断熱材は、微細気泡が形成され、しかも気泡壁の強度が大きいものとなっている。
このように、本実施形態になる注入方式においても、外箱15の貯湯タンク1の天面部付近の断熱性能が高くなっており、高温の湯が貯留される貯湯タンク1の上部領域側における熱漏洩が有効に抑制されるようになっている。また、発泡初期から中期の発泡性断熱材20であるため、微細気泡の集合体となっており、発泡性断熱材20の強度が高く、また気泡壁強度も強いことから、断熱性能の経時劣化を抑制することができるようになる。
一方、断熱空間14内の各部分を流動した発泡性断熱材20は、上部領域Up側の発泡性断熱材20の量の方が、下部領域Boの発泡性断熱材20の量より多いことから、最終的に外箱15の下部領域Bo側の背面付近の1箇所に集まってきて発泡、流動を終了する。そして、「最終充填部」からの熱漏洩を更に抑制してやるため、本実施形態では、充填された発泡性断熱材20の「最終充填部」が形成される箇所に、真空断熱材17を設置することにより、熱漏洩量の大幅な悪化に繋がらないようにしている。本実施形態では、背面側の下部領域Boに真空断熱材17を配置している。
本実施形態においても実施例1と同様に、発泡性断熱材の「最終充填部」が貯湯タンクの低温の湯が分布する下部領域側に形成されるようにしているので、貯湯タンクの上部領域側の発泡断熱材は微細気泡が形成され、しかも気泡壁強度が強くなっている。これによって、発泡性断熱材の断熱性能の経時安定性を確保することができる。また、熱伝達性が高い「最終充填部」が位置する外箱の内側に真空断熱材を配置しているで、この部分からの熱漏洩を少なくできる。
次に、第8の実施形態になる貯湯タンクユニットTUは、図11に示しているような方法で液状の発泡性断熱材が注入されるものである。
さて、第8の実施形態になる貯湯タンクユニットにおいては、外箱15を前面側が下になり、しかも上部領域Upが下になるように斜めに傾けた状態とし、この状態の外箱15の背面側の下部領域Bo側に寄せて設置した注入口77から下側に向けて液状の発泡性断熱材20を注入するものである。ここで、注入口77から注入される発泡性断熱材20は、前面側に落下した後に上部領域Up側に重力で流れるものである。
そして、注入口76から注入された発泡性断熱材20の原料は、上部領域Upの空間に流れ込み、発泡を開始して樹脂化を伴いながら断熱空間14内を斜め上方へ立ち上がっていく。この時、注入口77からの発泡性断熱材20は上部領域Up側に重力によって多く流れるため、上部領域Upに充分な量の気泡を有した発泡性断熱材20を形成することができる。このように、貯湯タンク2の上部領域Up側における発泡性断熱材は、微細気泡が形成され、しかも気泡壁の強度が大きいものとなっている。
このように、本実施形態になる注入方式においても、外箱15の貯湯タンク1の天面部付近の断熱性能が高くなっており、高温の湯が貯留される貯湯タンク1の上部領域側における熱漏洩が有効に抑制されるようになっている。また、発泡初期から中期の発泡性断熱材20であるため、微細気泡の集合体となっており、発泡性断熱材20の強度が高く、また気泡壁強度も強いことから、断熱性能の経時劣化を抑制することができるようになる。
一方、断熱空間14内の各部分を流動した発泡性断熱材20は、最終的に外箱15の下部領域Bo付近の1箇所に集まってきて発泡、流動を終了する。そして、「最終充填部」からの熱漏洩を更に抑制してやるため、本実施形態では、充填された発泡性断熱材20の「最終充填部」が形成される箇所に、真空断熱材17を設置することにより、熱漏洩量の大幅な悪化に繋がらないようにしている。本実施形態では、背面側の下部領域Boに真空断熱材17を配置している。
本実施形態においても実施例1と同様に、発泡性断熱材の「最終充填部」が貯湯タンクの低温の湯が分布する下部領域側に形成されるようにしているので、貯湯タンクの上部領域側の発泡断熱材は微細気泡が形成され、しかも気泡壁強度が強くなっている。これによって、発泡性断熱材の断熱性能の経時安定性を確保することができる。また、熱伝達性が高い「最終充填部」が位置する外箱の内側に真空断熱材を配置しているで、この部分からの熱漏洩を少なくできる。
次に、第9の実施形態になる貯湯タンクユニットTUは、図12に示しているような方法で液状の発泡性断熱材が注入されるものである。
さて、第9の実施形態になる貯湯タンクユニットにおいても、基本的には実施例8と同様のものであり、外箱15を前面側が下になり、しかも上部領域Upが下になるように斜めに傾けた状態とし、この状態の外箱15の前面側の下部領域Bo側に寄せて設置した注入口77から斜め下側に向けて液状の発泡性断熱材20を注入するものである。この方法によっても実施例8と同様の作用、効果を奏するものである。
次に、発泡断熱材として硬質ウレタンフォームを形成する場合、硬質ウレタンフォームは、プレミックスポリオール組成物とポリイソシアネートとを反応させることによって得ることができる。そして、このプレミックスポリオール組成物の組成についても温度負荷に対する経時劣化を抑制する材料について検討した。
実施例1〜9及び比較例として図13に示す組成のプレミックスポリオール組成物を調製して用いた。プレミックスポリオール組成物は、活性水素含有化合物と、整泡剤と、触媒と、水と、シクロペンタンとを含むものとし、活性水素含有化合物としては、アルキレンオキシドを付加したスクロース、アルキレンオキシドを付加したトルエンジアミン、アルキレンオキシドを付加したペンタエリスリトール、重量平均分子量が200以下のジオール、エステル基を有する多価アルコール(=ポリエステルポリオール成分)をそれぞれ使用した。なお、図13において、「○」は当該化合物を含んでいることを示し、「−」は当該化合物を含んでいないことを示している。
触媒としては、泡化触媒、樹脂化触媒、ヌレート触媒のそれぞれを使用した。使用した整泡剤は、変性ポリシロキサンである。これらの種類、配合量については実施例1〜9及び比較例について、いずれも同一条件とした。
図13に示す各実施例に対する外箱への発泡断熱材の注入方法は、いずれも上述した実施形態1〜実施形態9に対応させている。例えば、実施例1の外箱は、第1実施形態に対応している。また、比較例については、最終充填部が高温の湯が貯留される貯湯タンク1の上部領域Up側に該当するように注入位置を調整して実施した。
これら原料液の注入及び発泡においては、高圧発泡機(プロマート社製、型式:PU−30)を使用し、液温18〜30℃、吐出圧力80〜150kg/cm2、吐出量15〜30kg/min、温度を約40℃として発泡を行った。
そして、断熱空間に発泡性断熱材として硬質ウレタンフォームを充填した貯湯タンクユニットを製造し、高温の湯が貯留される貯湯タンク1の上部領域Up側における90℃の湯を24時間放置した際の湯温の測定と、貯湯タンク1の上部領域Up側から採取した硬質ウレタンフォームの断熱性能の経時安定性に与える影響を評価した。
次に、貯湯タンクの天面部より上側の領域、及び、貯湯タンクの側方の空間厚さが8mm以下の領域からそれぞれ採取した試験片について熱伝導率を測定した。試験片の熱伝導率は、試験片の採取直後、試験片を100℃で30日間促進劣化させた後、及び、試験片を100℃で100日間促進劣化させた後のそれぞれについて測定した。尚、熱伝導率の測定には、英弘精機社製熱伝導率測定装置HC−074を用いた。その結果を図13に示している。
図13に示すように、実施例1〜9では、比較例に対して、湯温の低下が軽減されることが確認された。また、実施例1〜9では、100日後にも、比較例に対して低い熱伝導率が維持されていることから、断熱性能の経時劣化が軽減されていることが確認でき、熱漏洩量が低減されていることがわかる。
更に、比較例からもわかるように、高温の湯が貯留される側には「最終充填部」を形成せず、且つプレミックスポリオール組成物として、ポリエステルポリオール成分を併用するのが好適である。したがって、実施形態1〜実施形態9の注入方法を使用して、更にプレミックスポリオール組成物にポリエステルポリオールを加えると断熱性能の経時劣化が軽減されるようになる。
尚、上記した実施形態では発泡断熱材の注入口は1個、或いは2個の例を示したが、これに限らず2個以上であっても良いものである。要は1個以上の注入口を備えていれば良いものである。
以上述べた通り、本発明においては、少なくとも発泡性断熱材の発泡最終領域である「最終充填部」が、貯湯タンクの低温の湯が分布する下部領域側に形成されている構成とした。更にこれに加えて、少なくとも、この「最終充填部」が対向する外箱の内側面に真空断熱材が設置される構成とした。
これによれば、発泡性断熱材の「最終充填部」が貯湯タンクの低温の湯が分布する下部領域側に形成されるようにしているので、貯湯タンクの上部領域側の発泡断熱材は微細気泡が形成され、しかも気泡壁強度が強くなっている。これによって、発泡性断熱材の断熱性能の経時安定性を確保することができる。また、熱伝達性が高い「最終充填部」が位置する外箱の内側に真空断熱材を配置しているで、この部分からの熱漏洩を少なくできる。
尚、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。