JP6408097B2 - 正極活物質及び非水電解質二次電池 - Google Patents

正極活物質及び非水電解質二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、非水電解質二次電池用正極活物質及び非水電解質二次電池に関する。
近年、AV機器やパソコン等の電子機器のポータブル化、コードレス化が急速に進んでおり、これらの駆動用電源として小型、軽量で高エネルギー密度を有する二次電池への要求が高くなっている。また、近年地球環境への配慮から、電気自動車、ハイブリッド自動車の開発及び実用化がなされ、大型用途として保存特性に優れたリチウムイオン二次電池への要求が高くなっている。このような状況下において、充放電容量が大きいという長所を有するリチウムイオン二次電池が注目されている。
従来、4V級の電圧をもつ高エネルギー型のリチウムイオン二次電池に有用な正極活物質としては、スピネル型構造のLiMn、ジグザグ層状構造のLiMnO、層状岩塩型構造のLiCoO、LiNiO等が一般的に知られている。なかでもLiNiOを用いたリチウムイオン二次電池は高い充放電容量を有する電池として注目されてきた。しかし、この材料は、充電時の熱安定性及びサイクル特性に劣るため、さらなる特性改善が求められている。
また、さらなる高容量化の要望を受けて、より高容量のLiMnOを含む正極活物質が高い放電容量を示すことが見出されている。
これらの他にも、充放電効率だけでなく、高い負荷電流をかけた場合の放電容量にも着目した、Li、Ni、Co、及びMnを含み、リチウム過剰相を有する、特定組成の複合酸化物からなる正極活物質や、平均電圧及び比容量に加え、充放電を繰り返した時の放電容量に着目した、リチウムリッチ及びマンガンリッチリチウム金属酸化物からなる正極活物質が提案されている(特許文献1、2)。しかし、これらの正極活物質は、近年リチウムイオン二次電池に要求されているサイクル特性やレート特性を充分に満足し得るものではない。
特開2014−116162号公報 特表2013−503450号公報
Composite‘Layered-Layered-Spinel’ Cathode Structures for Lithium-Ion Batteries. M.M.Thackeray et al., J. Electrochem. Soc., 160 (2013) A31.
サイクル特性及びレート特性に優れ、かつエネルギー密度の高い非水電解質二次電池及びその正極活物質は、現在最も要求されているところであるが、未だ必要充分な要求を満たす材料は得られていない。
特に、電気自動車等では、軽量で大容量の二次電池が渇望されている。
そこで、本発明は、サイクル特性及びレート特性に優れ、かつエネルギー密度が高い非水電解質二次電池用正極活物質、及び該正極活物質を含有する正極を備えた非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
本発明に係る正極活物質は、Liと、Niと、Mnと、任意にCoとを含有する層状リチウム複合酸化物からなり、
Cu−Kα線を使用した粉末X線回折パターンの、2θ=20.8±1°における最大回折ピークの高さ強度(a)と2θ=18.6±1°における最大回折ピークの高さ強度(b)との相対高さ強度比=(a)/(b)が、0.015〜0.035で、(104)回折線からシェラーの式を用いて計算した結晶子サイズが、25〜40nmであり、かつ、
BET法による比表面積(BET比表面積)が、3.5〜8.5m/gである
ことを特徴とする正極活物質である(本発明1)。
また、本発明1に係る正極活物質は、それを正極とし、リチウム箔を負極とした非水電解質二次電池にて、以下の条件(1)で充放電を行った際に、
4サイクル目の放電容量と29サイクル目の放電容量とから、
サイクル特性(%)=(29サイクル目の放電容量/4サイクル目の放電容量)×100
として求められるサイクル特性が、93%以上であり、かつ、
4サイクル目の放電容量と7サイクル目の放電容量とから、
レート特性(%)=(7サイクル目の放電容量/4サイクル目の放電容量)×100
として求められるレート特性が、80%以上である
ことが好ましい(本発明2)。
条件(1)
25℃環境下
1サイクル目:2.0V〜4.6V
充電0.07C(cccv)、放電0.07C(cc)
2サイクル目:2.0V〜4.6V
充電0.07C(cc)、放電0.07C(cc)
3サイクル目:2.0V〜4.3V
充電0.1C(cc)、放電0.07C(cc)
4サイクル目:2.0V〜4.3V
充電0.1C(cc)、放電0.1C(cc)
5サイクル目:2.0V〜4.3V
充電0.1C(cc)、放電0.2C(cc)
6サイクル目:2.0V〜4.3V
充電0.1C(cc)、放電0.5C(cc)
7サイクル目:2.0V〜4.3V
充電0.1C(cc)、放電1C(cc)
8サイクル目:2.0V〜4.45V
充電0.1C(cc)、放電1C(cc)
9サイクル目〜29サイクル目:2.0V〜4.3V
充電0.2C(cc)、放電0.5C(cc)
ただし、CはCレートで、時間率を表しており、1Cは270mA/gである。
また、本発明2に係る正極活物質は、前記条件(1)における1サイクル目の放電のエネルギー密度が、880Wh/kg〜1100Wh/kgである
ことが好ましい(本発明3)。
また、本発明1、本発明2、又は本発明3に係る正極活物質は、以下の組成式(I):
Li1+x(NiCoMn1−x (I)
で表され、前記組成式(I)中、xが0.11≦x≦0.18であり、aが0.20≦a≦0.40であり、bが0≦b≦0.08であり、a+b+c=1である
ことが好ましい(本発明4)。
本発明に係る非水電解質二次電池は、本発明1、本発明2、本発明3、又は本発明4の正極活物質を含有する正極を備えた非水電解質二次電池である(本発明5)。
本発明によれば、サイクル特性及びレート特性に優れ、かつエネルギー密度が高い正極活物質を提供できる。
実施例1で得られた正極活物質の粉末X線回折パターンである。
<正極活物質>
まず、本発明に係る正極活物質について述べる。
本発明に係る正極活物質は、Liと、Niと、Mnと、任意にCoとを含有するLi過剰型の層状リチウム複合酸化物である。
本発明に係る正極活物質は、例えば、以下の組成式(I):
Li1+x(NiCoMn1−x (I)
で表すことができる。該組成式(I)中、xが0.11≦x≦0.18、さらには0.12≦x≦0.17であり、aが0.20≦a≦0.40、さらには0.22≦a≦0.38であり、bが0≦b≦0.08、さらには0≦b≦0.07であり、a+b+c=1であることが好ましい。
組成式(I)において、xが下限値よりも小さく、aが上限値よりも大きいと、サイクル特性及びレート特性が高くなるが、エネルギー密度は低くなってしまう。逆にxが上限値よりも大きく、aが下限値よりも小さいと、エネルギー密度を高くすることは可能であるが、サイクル特性及びレート特性が低くなってしまう。bが上限値よりも大きいときは、リチウム化合物と炭酸塩前駆体化合物との合成の際の焼成時に、結晶子の成長が促進されて、高結晶ではあるが結晶子が大きくなり過ぎ、レート特性が低くなってしまう。また、xが下限値よりも小さいと、スピネル構造の不純物相(スピネル異相)が生成し、電池容量が低下してしまう。スピネル異相の生成は、X線回折(XRD)により確認することができる。非特許文献1にあるように、スピネル異相が生成すると、(104)回折線の見かけの半値幅が広がり、結晶子サイズが本来よりも小さく計算されてしまうことがある。よって、(104)回折線の半値幅に影響を与えるほどのスピネル異相の生成は、本発明の範囲外である。
本発明に係る正極活物質は、Cu−Kα線を使用した粉末X線回折パターンの、2θ=20.8±1°における最大回折ピークの高さ強度(a)と2θ=18.6±1°における最大回折ピークの高さ強度(b)との相対高さ強度比=(a)/(b)が、0.015〜0.035であり、0.017〜0.034であることが好ましい。相対高さ強度比が下限値よりも小さくなると、サイクル特性及びレート特性は高くなるが、エネルギー密度が低くなってしまい、実用的ではなくなる。相対高さ強度比が上限値よりも大きくなると、エネルギー密度は高くなるが、サイクル特性及びレート特性が低くなり、やはり実用的ではなくなる。
本発明に係る正極活物質は、Cu−Kα線を使用した粉末X線回折パターンの、(104)回折線からシェラーの式を用いて計算した結晶子サイズが、25〜40nmであり、26〜39nmであることが好ましい。本発明では、結晶子サイズとして、空間群R−3mで指数付けした際の(104)回折線を用いた。(003)回折線は、c軸方向の情報しか含まず、(110)回折線は、ab軸方向の情報しか含まないので、結晶子サイズを求めるためのピークとして好ましくない。また他の回折線は、ピーク強度が低いため、結晶子サイズを求めるためのピークとして好ましくない。結晶子サイズが下限値よりも小さいと、結晶子内部に対する結晶子表面が占める体積が大きくなるため、非水電解質二次電池の正極活物質として用いた際に、最も構造変化が大きい表面の寄与が大きくなり、電解液との反応性も高まるため、好ましくない。結晶子サイズが上限値よりも大きいと、非水電解質二次電池の正極活物質として用いた際に、Liの結晶子内の拡散距離が大きくなってしまい、レート特性が低くなってしまうため、好ましくない。
なお、本発明において、X線回折条件は以下のとおりである。
X線回折装置:SmartLab((株)リガク製)
線源:Cu−Kα
加速電圧及び電流:45kV及び200mA
サンプリング幅:0.01deg
走査幅:15deg〜70deg
スキャンスピード:0.9秒
発散スリット幅:0.65deg
受光スリット幅:0.2mm
散乱スリット:0.65deg
得られたX線回折データについて、Kα2に由来するピークを除去せず、前記X線回折装置の付属ソフトである「PDXL」[(株)リガク製]を用いて解析を行った。得られたピークのうち、空間群R−3mで指数付けが不可能なピークを除去した後、自動モードで最適化を行い、空間群R−3mにおいて、(104)で表されるピークに対応する結晶子サイズを求めた。
本発明に係る正極活物質は、BET比表面積が、3.5〜8.5m/gであり、3.7〜8.3m/gであることが好ましく、4.0〜8.0m/gであることがより好ましい。BET比表面積が下限値よりも小さいと、非水電解質二次電池の正極活物質として用いた際に、電解液との接触面積が小さくなり、レート特性が低下してしまうため、好ましくない。BET比表面積が上限値よりも大きいと、非水電解質二次電池の正極活物質として用いた際に、電解液との接触面積が大きくなり、電解液との副反応量が多くなるため、好ましくない。ここで、BET比表面積は、例えば、試料を窒素ガス下で120℃、45分間乾燥脱気した後、BET比表面積測定装置[MONOSORB、ユアサアイオニクス(株)製]を用いて測定することができる。
本発明において、非水電解質二次電池の正極活物質として用いた際に、サイクル特性及びレート特性に優れた活物質を得るためには、活物質粒子の結晶性を高め、尚かつ、結晶子サイズを小さくすることが好ましいと考えられる。
ここで、粒子の結晶性とは、結晶格子における欠陥の少なさの度合いである。できるだけ高い温度でリチウム複合酸化物の合成における焼成を行うことにより、粒子の結晶性を高くすることができ、非水電解質二次電池の正極活物質として用いた際のサイクル特性が向上すると発明者らは考えている。しかしながら、粒子の結晶性を高くするために余りにも高温で焼成を行うと、結晶子サイズが大きくなってしまい、サイクル特性は向上したとしても、レート特性が低下してしまうという欠点がある。よって、適切な焼成温度範囲で合成する必要がある。
本発明の正極活物質におけるCoの含有率は、例えばLi(Ni0.33Co0.33Mn0.33)Oといった層状岩塩系の三元材料に比べて非常に少ない。発明者らが鋭意検討した結果、Coの含有率を増大させることで、エネルギー密度を高くすることができることを突き止めたが、本発明で重要なことは、結晶成長融剤の効果を持つCoの含有率を限りなく低くすることで、高温で焼成した際の結晶子の過度な成長を抑えることができるだけでなく、サイクル特性及びレート特性に優れ、尚かつエネルギー密度が高い正極活物質が得られることを見出したことである。
本発明に係る正極活物質を正極とし、リチウム箔を負極とした非水電解質二次電池にて、以下の条件(1)で充放電を行った際に、
4サイクル目の放電容量と29サイクル目の放電容量とから、
サイクル特性(%)=(29サイクル目の放電容量/4サイクル目の放電容量)×100
として求められるサイクル特性は、93%以上、さらには94%以上であることが好ましく、かつ、
4サイクル目の放電容量と7サイクル目の放電容量とから、
レート特性(%)=(7サイクル目の放電容量/4サイクル目の放電容量)×100
として求められるレート特性は、80%以上、さらには81%以上であることが好ましい。
条件(1)
25℃環境下
1サイクル目:2.0V〜4.6V
充電0.07C(cccv)、放電0.07C(cc)
2サイクル目:2.0V〜4.6V
充電0.07C(cc)、放電0.07C(cc)
3サイクル目:2.0V〜4.3V
充電0.1C(cc)、放電0.07C(cc)
4サイクル目:2.0V〜4.3V
充電0.1C(cc)、放電0.1C(cc)
5サイクル目:2.0V〜4.3V
充電0.1C(cc)、放電0.2C(cc)
6サイクル目:2.0V〜4.3V
充電0.1C(cc)、放電0.5C(cc)
7サイクル目:2.0V〜4.3V
充電0.1C(cc)、放電1C(cc)
8サイクル目:2.0V〜4.45V
充電0.1C(cc)、放電1C(cc)
9サイクル目〜29サイクル目:2.0V〜4.3V
充電0.2C(cc)、放電0.5C(cc)
ただし、CはCレートで、時間率を表しており、1Cは270mA/gである。
本発明では、前記条件(1)における1サイクル目の放電のエネルギー密度は、880Wh/kg〜1100Wh/kgであることが好ましい。エネルギー密度が下限値よりも小さいときは、既に実用化されている三元系材料のLi(Ni0.33Co0.33Mn0.33)Oと比較して、エネルギー密度的に優位性がない。エネルギー密度が上限値よりも大きいときは、エネルギー密度維持率が低下する恐れがある。より好ましいエネルギー密度の範囲は、900Wh/kg〜1050Wh/kgである。
このように、前記条件(1)で充放電を行い、各サイクル回数での放電容量を測定することにより、本発明に係る正極活物質のサイクル特性及びレート特性を算出することができる。
<正極活物質の製造方法>
次に、本発明に係る正極活物質の製造方法について述べる。
本発明に係る正極活物質は、あらかじめ合成した遷移金属を含む炭酸塩前駆体化合物の粒子粉末とリチウム化合物とを混合して焼成することにより、得ることができる。
前記遷移金属を含む炭酸塩前駆体化合物(Niと、Mnと、任意にCoとを含有する炭酸塩前駆体化合物)の粒子粉末は、所定の濃度のニッケル化合物と、マンガン化合物と、任意にコバルト化合物とを含有する混合溶液と、アルカリ水溶液とを反応槽へ供給し、pHが適切な範囲となるように制御して、オーバーフローした懸濁液を、オーバーフロー管に連結された濃縮槽で濃縮速度を調整しながら反応槽へ種循環し、反応槽と濃縮槽中の前駆体化合物の粒子濃度が0.1〜15mol/Lになるまで反応を行って得ることができる。また、濃縮槽を設けずに、オーバーフローした懸濁液から前駆体化合物の粒子粉末を得てもよい。その後、水洗し、乾燥することで炭酸塩前駆体化合物を得ることができる。
前記Niと、Mnと、任意にCoとを含有する炭酸塩前駆体化合物の粒子粉末を合成する際の混合溶液は、目的とする層状リチウム複合酸化物の組成を考慮して、Niと、Mnと、任意にCoとが所望の割合となるように、所定の濃度のニッケル化合物と、マンガン化合物と、任意にコバルト化合物とを配合して調製することが好ましい。
NiとMnとを含有する炭酸塩前駆体化合物の粒子粉末を合成する場合には、NiとMnとの割合(モル比)が、Ni:Mn=0.20〜0.40:0.60〜0.80、さらにはNi:Mn=0.22〜0.38:0.62〜0.78となるように、ニッケル化合物及びマンガン化合物を配合して混合溶液を調製することが好ましい。
NiとCoとMnとを含有する炭酸塩前駆体化合物の粒子粉末を合成する場合には、NiとCoとMnとの割合(モル比)が、Ni:Co:Mn=0.20〜0.40:0.005〜0.08:0.50〜0.70、さらにはNi:Co:Mn=0.22〜0.38:0.01〜0.07:0.55〜0.65となるように、ニッケル化合物、コバルト化合物、及びマンガン化合物を配合して混合溶液を調製することが好ましい。
前記pHの好ましい範囲は7.0〜13.0であり、より好ましくは7.2〜12.5、特に好ましくは7.4〜12.0である。前記所定の濃度のニッケル化合物と、マンガン化合物と、任意にコバルト化合物とを含有する混合溶液を反応させる際のpHが7.0未満であると、特にNiの沈殿生成反応が起こりにくくなり、狙い通りの組成の炭酸塩前駆体化合物が得られないため、エネルギー密度が低下する恐れがある。pHが13.0を超えると、炭酸塩前駆体化合物の一次粒子径が大きくなってしまい、エネルギー密度が低下する恐れがある。また、球状の前駆体化合物が得られないため、電極を作製する際の正極活物質の充填率が低下するので好ましくない。
その後、Liと、Ni、Mn、及び任意のCoとのモル比であるLi/(Ni+Co+Mn)が1.25〜1.41、好ましくは1.25〜1.40となるように、リチウム化合物と炭酸塩前駆体化合物とを混合し、酸化性雰囲気で840℃〜1000℃で焼成することで、層状リチウム複合酸化物を得ることができる。
焼成温度が840℃よりも低いと、所望の結晶が得られない。また焼成温度が1000℃を超えると、結晶成長が進み過ぎて、エネルギー密度が小さくなってしまう。好ましくは、焼成温度は850℃〜970℃である。
リチウム化合物と遷移金属を含む炭酸塩前駆体化合物の粒子粉末との混合処理は、均一に混合することができれば乾式、湿式のどちらでもよい。
また、本発明に用いる前駆体は炭酸塩でできているため、焼成時に通風を十分に行い、炭酸塩を分解させて残留しないようにすることが好ましい。
本発明に用いるニッケル化合物としては、特に限定がないが、例えば、硫酸ニッケル、酸化ニッケル、水酸化ニッケル、硝酸ニッケル、炭酸ニッケル、塩化ニッケル、ヨウ化ニッケル、及び金属ニッケル等が挙げられ、硫酸ニッケルが好ましい。
本発明に用いるコバルト化合物としては、特に限定がないが、例えば、硫酸コバルト、酸化コバルト、水酸化コバルト、硝酸コバルト、炭酸コバルト、塩化コバルト、ヨウ化コバルト、及び金属コバルト等が挙げられ、硫酸コバルトが好ましい。
本発明に用いるマンガン化合物としては、特に限定がないが、例えば、硫酸マンガン、酸化マンガン、水酸化マンガン、硝酸マンガン、炭酸マンガン、塩化マンガン、ヨウ化マンガン、及び金属マンガン等が挙げられ、硫酸マンガンが好ましい。
本発明に用いるリチウム化合物としては、特に限定されることなく各種のリチウム塩を用いることができるが、例えば、水酸化リチウム・一水和物、硝酸リチウム、炭酸リチウム、酢酸リチウム、臭化リチウム、塩化リチウム、クエン酸リチウム、フッ化リチウム、ヨウ化リチウム、乳酸リチウム、シュウ酸リチウム、リン酸リチウム、ピルビン酸リチウム、硫酸リチウム、酸化リチウム等が挙げられ、炭酸リチウムが好ましい。
また、正極活物質のエネルギー密度維持率をさらに向上させるため、及びクーロン効率を向上させるために、層状リチウム複合酸化物の一次粒子及び/又は二次粒子の表面にアルミニウム化合物を被覆及び/又は固溶させることができる。
アルミニウム化合物を被覆させるには、層状リチウム複合酸化物を純水に解膠して攪拌しながらアルミニウム化合物を滴下後、濾過水洗して80℃〜120℃程度で乾燥し、これを電気炉にて300℃〜500℃程度で5時間前後、空気流通下で焼成する方法を採用することができる。
また、前記アルミニウム化合物を被覆させる際の乾燥温度、焼成温度等の条件を適宜調整することにより、アルミニウム化合物を固溶させることができる。
本発明に用いるアルミニウム化合物としては、特に限定がないが、例えば、硫酸アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、硝酸アルミニウム、炭酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、及び金属アルミニウム等が挙げられ、硫酸アルミニウムが好ましい。
層状リチウム複合酸化物の表面にアルミニウム化合物を被覆させる際には、正極活物質に対してアルミニウム化合物が、好ましくは0.1wt%〜0.7wt%となるように、より好ましくは0.2wt%〜0.6wt%となるようにすると、前記エネルギー密度維持率のさらなる向上効果及びクーロン効率の向上効果がより充分に発揮される。
<非水電解質二次電池>
次に、本発明に係る正極活物質を含有する正極を備えた非水電解質二次電池について述べる。
正極活物質を含有する正極を製造する場合には、常法に従って、導電剤と結着剤とを添加混合する。導電剤としては、例えば、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛等が好ましく、結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等が好ましい。
正極活物質を含有する正極を用いて製造される、本発明に係る非水電解質二次電池は、前記正極、負極、及び電解質を含む電解液から構成される。
負極活物質としては、例えば、Si、Al、Sn、Pb、Zn、Bi、及びCdからなる群より選ばれる1以上の非金属又は金属元素、それを含む合金もしくはそれを含むカルコゲン化合物、並びにリチウム金属、グラファイト、低結晶性炭素材料等を用いることができる。
また、電解液の溶媒としては、炭酸エチレンと炭酸ジエチルとの組み合わせ以外に、例えば、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル等のカーボネート類や、ジメトキシエタン等のエーテル類の少なくとも1種を含む有機溶媒を用いることができる。
さらに、電解質としては、六フッ化リン酸リチウム以外に、例えば、過塩素酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム等のリチウム塩の少なくとも1種を前記溶媒に溶解して用いることができる。
本発明に係る正極活物質を含有する正極を備えた非水電解質二次電池では、前記条件(1)で充放電を行った際に、
4サイクル目の放電容量と29サイクル目の放電容量とから、
サイクル特性(%)=(29サイクル目の放電容量/4サイクル目の放電容量)×100
として求められるサイクル特性が、好ましくは93%以上で、より好ましくは94%以上であり、かつ、
4サイクル目の放電容量と7サイクル目の放電容量とから、
レート特性(%)=(7サイクル目の放電容量/4サイクル目の放電容量)×100
として求められるレート特性が、好ましくは80%以上で、より好ましくは81%以上である。
本発明に係る正極活物質を含有する正極を備えた非水電解質二次電池では、前記条件(1)における1サイクル目の放電のエネルギー密度が、好ましくは880Wh/kg〜1100Wh/kgであり、より好ましくは900Wh/kg〜1050Wh/kgである。
<作用>
本発明では、Cu−Kα線を使用した粉末X線回折パターンの、2θ=20.8±1°における最大回折ピークの高さ強度(a)と2θ=18.6±1°における最大回折ピークの高さ強度(b)との相対高さ強度比=(a)/(b)を0.015〜0.035、(104)回折線からシェラーの式を用いて計算した結晶子サイズを25〜40nm、かつ、BET比表面積を3.5〜8.5m/gという特定範囲内に調整することで、サイクル特性及びレート特性に優れ、エネルギー密度が高い正極活物質を得ることができる。また、本発明では、コストが高くレアメタルであるCoの量が低減されているにも関わらず、高い電池特性を示す正極活物質を得ることができる。
(正極活物質の組成)
本明細書において、正極活物質の組成は、該正極活物質0.2gの試料を25mlの20%塩酸溶液中で加熱溶解させ、冷却後100mlメスフラスコに移して、純水を入れ調整液を作製し、測定にはICAP[Optima8300、(株)パーキンエルマー製]を用いて各元素を定量して決定する。
(正極活物質を用いたコインセルの作製)
本明細書において、正極活物質を用いたコインセルは、次の手順で作製するものとする。まず、正極活物質を84重量%と、導電剤としてのアセチレンブラックを4重量%及びグラファイトKS−6を4重量%と、結着剤としてのN−メチルピロリドンに溶解したポリフッ化ビニリデンを8重量%とを混合した後、Al金属箔に塗布し、110℃にて乾燥してシートを作製する。このシートを15mmΦに打ち抜いた後、3t/cmで圧着したものを正極とする。本発明においては、正極の塗布量は10mg/cm、正極の圧延後の密度は2.5g/cmであった。負極は、16mmΦに打ち抜いた厚さ500μmの金属リチウムとする。電解液は、1mol/LのLiPFを溶解したECとDMCとを、EC:DMC=1:2(体積比)で混合した溶液とする。これら正極、負極、及び電解液を用いて、2032型コインセルを作製する。
(粉末X線回折を用いた正極活物質の評価)
正極活物質の粉末について、粉末X線回折装置[SmartLab、(株)リガク製]を用いて、前記条件で粉末X線回折を行った。得られた粉末X線回折パターンから、2θ=20.8±1°における最大回折ピークの高さ強度(a)と2θ=18.6±1°における最大回折ピークの高さ強度(b)との相対高さ強度比=(a)/(b)を求めた。また、得られたデータを、前記粉末X線回折装置の付属ソフトである「PDXL」を用いて前記条件で解析し、(104)回折線からシェラーの式を用いて結晶子サイズを算出した。
以下に、本発明の代表的な実施例と比較例とを挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
0.1mol/Lの硫酸ニッケル水溶液、0.1mol/Lの硫酸マンガン水溶液を準備した。前記硫酸ニッケル水溶液及び前記硫酸マンガン水溶液をニッケルとマンガンとのモル比がNi:Mn=0.35:0.65となるように混合して、混合溶液を得た。1mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液を準備した。密閉型反応槽に水を8L入れ、窒素ガスを流通させながら40℃に保持した。前記混合溶液と前記炭酸ナトリウム水溶液とを、撹拌しながら、前記反応槽に、5mL/mimの速度で連続的に滴下した。同時に、pH=7.80(±0.01)となるように、前記炭酸ナトリウム水溶液を滴下した。反応中は濃縮装置により濾液のみを系外に排出し、固形分は反応槽に滞留させながら、500rpmで20時間攪拌した。反応後、共沈生成物のスラリーを採取した。採取したスラリーを濾過、水洗した。水洗後、120℃で一晩乾燥させ、共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体は、ICP発光分光分析で測定したところ(Ni0.35Mn0.65)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Mn)=1.30となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で900℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
次に、前記方法にしたがって、正極活物質の粉末について粉末X線回折を行い、得られたデータから、相対高さ強度比及び結晶子サイズを算出した。粉末X線回折パターンを図1に示す。また、各々前記方法にしたがって、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
<実施例2>
実施例1において、ニッケルとコバルトとマンガンとのモル比がNi:Co:Mn=0.35:0.01:0.64となるように、硫酸ニッケル水溶液、硫酸コバルト水溶液及び硫酸マンガン水溶液の混合溶液を加えたほかは、実施例1と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体は、(Ni0.35Co0.01Mn0.64)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.30となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で930℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
<実施例3>
実施例1において、ニッケルとコバルトとマンガンとのモル比がNi:Co:Mn=0.33:0.03:0.64となるように、硫酸ニッケル水溶液、硫酸コバルト水溶液及び硫酸マンガン水溶液の混合溶液を加えたほかは、実施例1と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体は、(Ni0.33Co0.03Mn0.64)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.30となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で880℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
<実施例4>
実施例1において、ニッケルとコバルトとマンガンとのモル比がNi:Co:Mn=0.30:0.06:0.64となるように、硫酸ニッケル水溶液、硫酸コバルト水溶液及び硫酸マンガン水溶液の混合溶液を加えたほかは、実施例1と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体は、(Ni0.30Co0.06Mn0.64)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.40となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で930℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
<実施例5>
実施例4と同様にして、共沈前駆体の粉末を得た。得られた共沈前駆体は、(Ni0.30Co0.06Mn0.64)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.40となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で930℃にて5時間焼成し、リチウム複合酸化物粒子粉末を得た。
その後、得られたリチウム複合酸化物粒子粉末100gを、30℃に保持した50mLの純水に攪拌しながら投入し、中間焼成物のスラリーとした。次に、硫酸アルミニウム濃度が1.0mol/Lとなるように調整した該硫酸アルミニウム水溶液6mLを、該中間焼成物のスラリーに滴下し、濾過、水洗後、120℃で乾燥した。これを、電気炉を用いて、空気流通下で400℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。正極活物質に対する硫酸アルミニウムの表面処理量は、0.34wt%であった。
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
<実施例6>
実施例1において、pH=9.50(±0.01)となるように、炭酸ナトリウム水溶液を反応槽に滴下したほかは、実施例1と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体は、(Ni0.35Mn0.65)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Mn)=1.30となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で900℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
<実施例7>
実施例2において、pH=9.00(±0.01)となるように、炭酸ナトリウム水溶液を反応槽に滴下したほかは、実施例2と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体は、(Ni0.35Co0.01Mn0.64)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.30となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で930℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
<実施例8>
実施例3において、pH=8.50(±0.01)となるように、炭酸ナトリウム水溶液を反応槽に滴下したほかは、実施例3と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体は、(Ni0.33Co0.03Mn0.64)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.30となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で880℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
<実施例9>
実施例4において、pH=7.50(±0.01)となるように、炭酸ナトリウム水溶液を反応槽に滴下したほかは、実施例4と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体は、(Ni0.30Co0.06Mn0.64)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.40となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で930℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
<実施例10>
実施例9と同様にして、共沈前駆体の粉末を得た。得られた共沈前駆体は、(Ni0.30Co0.06Mn0.64)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.40となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で930℃にて5時間焼成し、リチウム複合酸化物粒子粉末を得た。
その後、得られたリチウム複合酸化物粒子粉末100gを、30℃に保持した50mLの純水に攪拌しながら投入し、中間焼成物のスラリーとした。次に、硫酸アルミニウム濃度が1.0mol/Lとなるように調整した該硫酸アルミニウム水溶液6mLを、該中間焼成物のスラリーに滴下し、濾過、水洗後、120℃で乾燥した。これを、電気炉を用いて、空気流通下で400℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。正極活物質に対する硫酸アルミニウムの表面処理量は、0.34wt%であった。
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
<比較例1>
実施例1において、ニッケルとコバルトとマンガンとのモル比がNi:Co:Mn=0.25:0.10:0.65となるように、硫酸ニッケル水溶液、硫酸コバルト水溶液及び硫酸マンガン水溶液の混合溶液を加えたほかは、実施例1と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体は、(Ni0.25Co0.10Mn0.65)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.35となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で880℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
<比較例2>
実施例1において、ニッケルとコバルトとマンガンとのモル比がNi:Co:Mn=0.23:0.10:0.67となるように、硫酸ニッケル水溶液、硫酸コバルト水溶液及び硫酸マンガン水溶液の混合溶液を加えたほかは、実施例1と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体は、(Ni0.23Co0.10Mn0.67)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.35となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で910℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
<比較例3>
実施例1において、ニッケルとコバルトとマンガンとのモル比がNi:Co:Mn=0.30:0.20:0.50となるように、硫酸ニッケル水溶液、硫酸コバルト水溶液及び硫酸マンガン水溶液の混合溶液を加えたほかは、実施例1と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体は、(Ni0.30Co0.20Mn0.50)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.25となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で880℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
<比較例4>
実施例1において、ニッケルとコバルトとマンガンとのモル比がNi:Co:Mn=0.30:0.20:0.50となるように、硫酸ニッケル水溶液、硫酸コバルト水溶液及び硫酸マンガン水溶液の混合溶液を加えたほかは、実施例1と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体は、(Ni0.30Co0.20Mn0.50)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.20となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で910℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
<比較例5>
比較例1において、pH=9.50(±0.01)となるように、炭酸ナトリウム水溶液を反応槽に滴下したほかは、比較例1と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体は、(Ni0.25Co0.10Mn0.65)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.35となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で880℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
<比較例6>
比較例2において、pH=9.00(±0.01)となるように、炭酸ナトリウム水溶液を反応槽に滴下したほかは、比較例2と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体は、(Ni0.23Co0.10Mn0.67)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.35となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で910℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
<比較例7>
比較例3において、pH=8.50(±0.01)となるように、炭酸ナトリウム水溶液を反応槽に滴下したほかは、比較例3と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体は、(Ni0.30Co0.20Mn0.50)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.25となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で880℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
<比較例8>
比較例4において、pH=7.50(±0.01)となるように、炭酸ナトリウム水溶液を反応槽に滴下したほかは、比較例4と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体は、(Ni0.30Co0.20Mn0.50)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.20となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で910℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
<比較例9>
実施例1と同様にして、共沈前駆体の粉末を得た。得られた共沈前駆体は、(Ni0.35Mn0.65)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Mn)=1.30となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で830℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
<比較例10>
実施例2と同様にして、共沈前駆体の粉末を得た。得られた共沈前駆体は、(Ni0.35Co0.01Mn0.64)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.30となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で1100℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
<比較例11>
実施例3において、pH=6.50(±0.01)となるように、炭酸ナトリウム水溶液を反応槽に滴下したほかは、実施例3と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体は、(Ni0.33Co0.03Mn0.64)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.30となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で880℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
<比較例12>
実施例4において、pH=13.50(±0.01)となるように、炭酸ナトリウム水溶液を反応槽に滴下したほかは、実施例4と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体は、(Ni0.30Co0.06Mn0.64)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.40となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で930℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
以下の表1に、正極活物質の組成(前記組成式(I)中のx、a、b、及びc)、炭酸塩前駆体化合物の合成時のpH、焼成温度、並びにアルミニウム化合物による表面処理量を纏めて示す。また表2に、スピネル異相の有無、相対高さ強度比、結晶子サイズ、及びBET比表面積を纏めて示し、表3に、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を纏めて示す。
実施例1〜10で得られた正極活物質は、いずれもエネルギー密度が880Wh/kg〜1100Wh/kgであり、サイクル特性が93%以上で、かつレート特性が80%以上であった。このことにより、本発明に係る正極活物質は、Cu−Kα線を使用した粉末X線回折パターンの、2θ=20.8±1°における最大回折ピークの高さ強度(a)と2θ=18.6±1°における最大回折ピークの高さ強度(b)との相対高さ強度比=(a)/(b)が、0.015〜0.035の範囲であり、(104)回折線からシェラーの式を用いて計算した結晶子サイズが、25〜40nmの範囲であり、かつ、BET比表面積が、3.5〜8.5m/gの範囲であるので、エネルギー密度が高いにも関わらず、サイクル特性及びレート特性も高い値を示すことが分かった。しかも、本発明に係る正極活物質は、レアメタルで高価なCoの含有率が低く、コストの面からも有利な優れた正極材料であるといえる。
一方、比較例1、5、6のように、相対高さ強度比(a)/(b)が0.015〜0.035の範囲であり、結晶子サイズが25〜40nmの範囲であるが、BET比表面積が8.5m/gよりも大きい正極活物質は、エネルギー密度は高いが、サイクル特性及び/又はレート特性が低い値である。
比較例2のように、相対高さ強度比(a)/(b)が0.015〜0.035の範囲であり、BET比表面積が3.5〜8.5m/gの範囲であるが、結晶子サイズが40nmよりも大きい正極活物質は、サイクル特性が高い値であり、エネルギー密度も高いが、レート特性が低い値である。
比較例3、7のように、相対高さ強度比(a)/(b)が0.015〜0.035の範囲であり、結晶子サイズが25〜40nmの範囲であるが、BET比表面積が8.5m/gよりも著しく大きい正極活物質は、エネルギー密度が低い。
比較例4のように、相対高さ強度比(a)/(b)が0.015〜0.035の範囲であるが、結晶子サイズが40nmよりも大きく、BET比表面積が8.5m/gよりも大きい正極活物質は、レート特性は高い値であるが、サイクル特性が低い値であり、エネルギー密度も低い。
比較例8のように、相対高さ強度比(a)/(b)が0.015〜0.035の範囲であり、BET比表面積が3.5〜8.5m/gの範囲であるが、結晶子サイズが40nmよりも著しく大きい正極活物質は、エネルギー密度が低い。
比較例9のように、結晶子サイズが25〜40nmの範囲であり、BET比表面積が3.5〜8.5m/gの範囲であるが、相対高さ強度比(a)/(b)が0.015よりも低い正極活物質は、エネルギー密度及びレート特性は高い値であるが、サイクル特性が低い。
比較例10のように、相対高さ強度比(a)/(b)が0.035よりも高く、結晶子サイズが40nmよりも著しく大きく、BET比表面積が3.5よりも小さい正極活物質は、レート特性が低い値であり、エネルギー密度も低い。
比較例11のように、結晶子サイズが25〜40nmの範囲であり、BET比表面積が3.5〜8.5m/gの範囲であるが、相対高さ強度比(a)/(b)が0.035よりも高い正極活物質は、エネルギー密度及びサイクル特性は高い値であるが、レート特性が低い。
比較例12のように、相対高さ強度比(a)/(b)が0.015〜0.035の範囲であり、結晶子サイズが25〜40nmの範囲であるが、BET比表面積が8.5m/gよりも大きい正極活物質は、エネルギー密度及びレート特性は高い値であるが、サイクル特性が低い。
通常、優れたサイクル特性を得ようとして、結晶性を上げるために焼成温度を上昇させると、結晶子サイズが大きくなり、レート特性が低下する。また、優れたレート特性を得ようとして、結晶子サイズを小さくするために焼成温度を低下させると、十分な結晶性が得られず、サイクル特性が低下する。そのため、これまでの知見では、サイクル特性とレート特性との両立が可能な活物質が得られていない。
本発明で重要なことは、前記のように優れたサイクル特性と優れたレート特性との両立が可能な各種粉体特性(パラメータ)を発見し、実際に合成するに至ったことにある。
以上の結果から、本発明に係る正極活物質は、サイクル特性及びレート特性に優れ、かつエネルギー密度が大きく、非水電解質二次電池用の正極活物質として有効であることが確認された。
本発明に係る正極活物質は、サイクル特性及びレート特性に優れ、かつエネルギー密度も高いので、非水電解質二次電池用の正極活物質として好適である。

Claims (4)

  1. 以下の組成式(I):
    Li 1+x (Ni Co Mn 1−x (I)
    で表され、前記組成式(I)中、xが0.11≦x≦0.18であり、aが0.20≦a≦0.40であり、bが0≦b≦0.08であり、a+b+c=1であり、
    Liと、Niと、Mnと、任意にCoとを含有する層状リチウム複合酸化物からなり、
    Cu−Kα線を使用した粉末X線回折パターンの、2θ=20.8±1°における最大回折ピークの高さ強度(a)と2θ=18.6±1°における最大回折ピークの高さ強度(b)との相対高さ強度比=(a)/(b)が、0.015〜0.035で、(104)回折線からシェラーの式を用いて計算した結晶子サイズが、25〜40nmであり、かつ、
    BET法による比表面積(BET比表面積)が、3.5〜8.5m/gである
    ことを特徴とする、正極活物質。
  2. 前記正極活物質を正極とし、リチウム箔を負極とした非水電解質二次電池にて、以下の条件(1)で充放電を行った際に、
    4サイクル目の放電容量と29サイクル目の放電容量とから、
    サイクル特性(%)=(29サイクル目の放電容量/4サイクル目の放電容量)×100
    として求められるサイクル特性が、93%以上であり、かつ、
    4サイクル目の放電容量と7サイクル目の放電容量とから、
    レート特性(%)=(7サイクル目の放電容量/4サイクル目の放電容量)×100
    として求められるレート特性が、80%以上である、
    請求項1に記載の正極活物質:
    条件(1)
    25℃環境下
    1サイクル目:2.0V〜4.6V
    充電0.07C(cccv)、放電0.07C(cc)
    2サイクル目:2.0V〜4.6V
    充電0.07C(cc)、放電0.07C(cc)
    3サイクル目:2.0V〜4.3V
    充電0.1C(cc)、放電0.07C(cc)
    4サイクル目:2.0V〜4.3V
    充電0.1C(cc)、放電0.1C(cc)
    5サイクル目:2.0V〜4.3V
    充電0.1C(cc)、放電0.2C(cc)
    6サイクル目:2.0V〜4.3V
    充電0.1C(cc)、放電0.5C(cc)
    7サイクル目:2.0V〜4.3V
    充電0.1C(cc)、放電1C(cc)
    8サイクル目:2.0V〜4.45V
    充電0.1C(cc)、放電1C(cc)
    9サイクル目〜29サイクル目:2.0V〜4.3V
    充電0.2C(cc)、放電0.5C(cc)
    ただし、CはCレートで、時間率を表しており、1Cは270mA/gである。
  3. 条件(1)における1サイクル目の放電のエネルギー密度が、880Wh/kg〜1100Wh/kgである、請求項2に記載の正極活物質。
  4. 請求項1〜のいずれか1つに記載の正極活物質を含有する正極を備えた、非水電解質二次電池。
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