JP6329311B2 - 正極活物質及びその製造方法、並びに非水電解質二次電池 - Google Patents

正極活物質及びその製造方法、並びに非水電解質二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、非水電解質二次電池用正極活物質及びその製造方法、並びに非水電解質二次電池に関する。
近年、AV機器やパソコン等の電子機器のポータブル化、コードレス化が急速に進んでおり、これらの駆動用電源として小型、軽量で高エネルギー密度を有する二次電池への要求が高くなっている。また、近年地球環境への配慮から、電気自動車、ハイブリッド自動車の開発及び実用化がなされ、大型用途として保存特性に優れたリチウムイオン二次電池への要求が高くなっている。このような状況下において、充放電容量が大きいという長所を有するリチウムイオン二次電池が注目されている。
従来、4V級の電圧をもつ高エネルギー型のリチウムイオン二次電池に有用な正極活物質としては、スピネル型構造のLiMn、ジグザグ層状構造のLiMnO、層状岩塩型構造のLiCoO、LiNiO等が一般的に知られている。なかでもLiNiOを用いたリチウムイオン二次電池は高い充放電容量を有する電池として注目されてきた。しかし、この材料は、充電時の熱安定性及びサイクル特性に劣るため、さらなる特性改善が求められている。
また、さらなる高容量化の要望を受けて、より高容量のLiMnOを含む正極活物質が高い放電容量を示すことが見出されている。
これらの他にも、充放電効率だけでなく、高い負荷電流をかけた場合の放電容量にも着目した、Li、Ni、Co、及びMnを含み、リチウム過剰相を有する、特定組成の複合酸化物からなる正極活物質や、平均電圧及び比容量に加え、充放電を繰り返した時の放電容量に着目した、リチウムリッチ及びマンガンリッチリチウム金属酸化物からなる正極活物質が提案されている(特許文献1、2)。しかし、これらの正極活物質は、近年リチウムイオン二次電池に要求されているエネルギー密度を充分に満足し得るものではない。
特開2014−116162号公報 特表2013−503450号公報
充放電を繰り返した時の電圧降下が小さく、エネルギー密度の高い非水電解質二次電池及びその正極活物質は、現在最も要求されているところであるが、未だ必要充分な要求を満たす材料は得られていない。
特に、電気自動車等では、軽量で大容量の二次電池が渇望されている。
そこで、本発明は、充放電を繰り返した時の電圧降下が小さく、かつエネルギー密度が高い非水電解質二次電池用正極活物質、その製造方法、及び該正極活物質を含有する正極を備えた非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
本発明に係る正極活物質は、Liと、Niと、Mnと、任意にCoとを含有する層状リチウム複合酸化物からなり、
前記正極活物質を正極とし、リチウム箔を負極とした非水電解質二次電池にて、以下の条件(1)で充放電を行った際に、5サイクル目の放電での電圧Vと電池容量Qとに基づき、横軸に電圧Vをとり、縦軸に電池容量Qを電圧Vで微分したdQ/dV値をとったグラフにおいて、
|a|:3.9Vよりも大きく4.4V以下の範囲にピークトップを持つピーク1のピークトップのdQ/dV値の絶対値
|b|:3.5Vよりも大きく3.9V以下の範囲にピークトップを持つピーク2のピークトップのdQ/dV値の絶対値
|c|:2.0V以上3.5V以下の範囲にピークトップを持つピーク3のピークトップのdQ/dV値の絶対値
としたとき、
ピーク強度比r=|c|/(|a|+|b|+|c|)
が0<r≦0.25を満たすことを特徴とする正極活物質である(本発明1)。
条件(1)
25℃環境下
1サイクル目:2.0V〜4.6V
充電0.07C(cccv)、放電0.07C(cc)
2サイクル目:2.0V〜4.6V
充電0.07C(cc)、放電0.07C(cc)
3サイクル目:2.0V〜4.3V
充電0.1C(cc)、放電0.1C(cc)
4サイクル目:2.0V〜4.3V
充電0.1C(cc)、放電1C(cc)
5サイクル目:2.0V〜4.45V
充電0.1C(cc)、放電1C(cc)
ただし、CはCレートで、時間率を表しており、1Cは270mA/gとする。
また、本発明1に係る正極活物質は、以下の組成式(I):
(1−α)(LiNiCoMn)・αLiMnO (I)
で表され、前記組成式(I)中、x+y+z=1と仮定し、かつ、Liの平均価数を+1価、Coの平均価数を+3価、Mnの平均価数を+4価、Oの平均価数を−2価と仮定したとき、αが0.21≦α≦0.40であり、xが0.45≦x≦0.51であり、yが0≦y≦0.12であり、Niの平均価数が+1.90価〜+2.25価であることが好ましい(本発明2)。
また、本発明1又は本発明2に係る正極活物質は、条件(1)における1サイクル目の放電のエネルギー密度が880Wh/kg〜1100Wh/kgであることが好ましい(本発明3)。
本発明に係る正極活物質の製造方法は、Niと、Mnと、任意にCoとを含有する炭酸塩前駆体化合物を、pH6.8〜13.2の条件で合成して、Liと、前記Ni、前記Mn、及び前記Coとのモル比であるLi/(Ni+Co+Mn)が1.25〜1.39となるように、リチウム化合物と前記炭酸塩前駆体化合物とを混合し、酸化性雰囲気で840℃〜1000℃で焼成して層状リチウム複合酸化物を生成することを特徴とする製造方法である(本発明4)。
また、本発明4に係る製造方法は、
NiとMnとの割合(モル比)が、Ni:Mn=0.25〜0.45:0.55〜0.75となるように、ニッケル化合物及びマンガン化合物を配合して混合溶液を調製するか、又は
NiとCoとMnとの割合(モル比)が、Ni:Co:Mn=0.25〜0.45:0.02〜0.10:0.50〜0.70となるように、ニッケル化合物、コバルト化合物、及びマンガン化合物を配合して混合溶液を調製し、
前記混合溶液を用いて、炭酸塩前駆体化合物を合成することが好ましい(本発明5)。
また、本発明4又は本発明5に係る製造方法は、正極活物質に対してアルミニウム化合物が0.1wt%〜0.7wt%となるように、層状リチウム複合酸化物の一次粒子及び/又は二次粒子の表面に、前記アルミニウム化合物を被覆及び/又は固溶させることが好ましい(本発明6)。
本発明に係る非水電解質二次電池は、本発明1、本発明2、又は本発明3の正極活物質を含有する正極を備えた非水電解質二次電池である(本発明7)。
本発明によれば、充放電を繰り返した時の電圧降下が小さく、エネルギー密度が高いだけでなく、エネルギー密度維持率も高い正極活物質を提供できる。
実施例1で得られた、横軸が電圧V、縦軸がdQ/dVのグラフである。 実施例1及び比較例3で得られた試料を条件(2)で充放電したときに得られた、横軸がサイクル回数、縦軸が平均放電電圧のグラフである。
<正極活物質>
まず、本発明に係る正極活物質について述べる。
本発明に係る正極活物質は、Liと、Niと、Mnと、任意にCoとを含有するLi過剰型の層状リチウム複合酸化物である。
本発明における層状リチウム複合酸化物は、例えば、以下の組成式(I):
(1−α)(LiNiCoMn)・αLiMnO (I)
で表すことができる。該組成式(I)中、x+y+z=1と仮定し、かつ、Liの平均価数を+1価、Coの平均価数を+3価、Mnの平均価数を+4価、Oの平均価数を−2価と仮定したとき、α、x、y、及びNiの平均価数は、各々以下の範囲であることが好ましい。
すなわち、αは、0.21≦α≦0.40であることが好ましく、0.25≦α≦0.38であることがより好ましい。xは、0.45≦x≦0.51であることが好ましく、0.46≦x≦0.50であることが好ましい。yは、0≦y≦0.12であることが好ましく、0≦y≦0.09であることが好ましい。Niの平均価数は、+1.90価〜+2.25価であることが好ましく、+1.98価〜+2.16価であることが好ましい。
本発明において、αかつxが各々前記下限値よりも小さいと、電圧降下が小さく、しかもエネルギー密度維持率が高くなるが、エネルギー密度は低くなってしまう。逆にαが前記上限値よりも大きく、xが前記下限値よりも小さいと、エネルギー密度は高くなるが、電圧降下も大きくなってしまう。y/xが大きくなり過ぎると、充放電に伴う電圧降下が大きく、エネルギー密度維持率が低くなってしまう。
前記正極活物質を正極とし、リチウム箔を負極とした非水電解質二次電池にて、以下の条件(1)で充放電を行った際に、5サイクル目の放電での電圧Vと電池容量Qとに基づき、横軸に電圧Vをとり、縦軸に電池容量Qを電圧Vで微分したdQ/dV値をとったグラフにおいて、
|a|:3.9Vよりも大きく4.4V以下の範囲にピークトップを持つピーク1のピークトップのdQ/dV値の絶対値(mAhg−1−1
|b|:3.5Vよりも大きく3.9V以下の範囲にピークトップを持つピーク2のピークトップのdQ/dV値の絶対値(mAhg−1−1
|c|:2.0V以上3.5V以下の範囲にピークトップを持つピーク3のピークトップのdQ/dV値の絶対値(mAhg−1−1
としたとき、
ピーク強度比r=|c|/(|a|+|b|+|c|)
が0<r≦0.25を満たす。
条件(1)
25℃環境下
1サイクル目:2.0V〜4.6V
充電0.07C(cccv)、放電0.07C(cc)
2サイクル目:2.0V〜4.6V
充電0.07C(cc)、放電0.07C(cc)
3サイクル目:2.0V〜4.3V
充電0.1C(cc)、放電0.1C(cc)
4サイクル目:2.0V〜4.3V
充電0.1C(cc)、放電1C(cc)
5サイクル目:2.0V〜4.45V
充電0.1C(cc)、放電1C(cc)
ただし、CはCレートで、時間率を表しており、1Cは270mA/gである。
ここで、図面を用いて前記ピーク強度比rを説明する。図1は、後述する実施例1で得られた、横軸が電圧V、縦軸がdQ/dVのグラフである。図1に示されているように、このグラフにはピーク1、ピーク2、及びピーク3が存在することが確認できる。ここで、ピーク3のピークトップのdQ/dV値の絶対値|c|が小さ過ぎると、rが小さくなるためにエネルギー密度が低くなり、逆に|c|が大き過ぎると、rが大きくなるために電圧降下が大きくなること、またエネルギー密度維持率が低くなることが見出された。本発明において、rの範囲は0<r≦0.25であり、好ましいrの範囲は0.05≦r≦0.23、より好ましいrの範囲は0.07≦r≦0.21である。
|c|は、組成式(I)におけるLiMnOが関わるパラメータであると発明者らは考えており、そのため、|c|が小さくなるとエネルギー密度が低くなると考えている。また、|c|は、充放電に伴い電圧降下が起きる程度と関連するパラメータであると発明者らは考えており、|c|が大きくなると、エネルギー密度が高くなるが、電圧降下が大きく、エネルギー密度維持率も低くなる傾向がある。そのため、|c|の値を適切な範囲内に設定することで、電圧降下が小さく、かつ、エネルギー密度が高く、しかもエネルギー密度維持率が高い正極活物質を得ることができると考えられる。
また、発明者らが鋭意検討した結果、本発明の正極活物質におけるCoの含有率は、例えばLi(Ni0.33Co0.33Mn0.33)OといったNCM系の層状岩塩系材料に比べて非常に少ない。一般に、Coの含有率が高いことで、エネルギー密度を高くすることができることや、組成によってはエネルギー密度維持率を高めることもできることが知られているが、本発明で重要なことは、限りなくCoの含有率を低くすることで、電圧降下を抑え、なおかつエネルギー密度を高めることができることを見出したことである。
本発明では、前記条件(1)における1サイクル目の放電のエネルギー密度は、880Wh/kg〜1100Wh/kgであることが好ましい。エネルギー密度が該下限値よりも小さいときは、既に実用化されている三元系材料であるLi(Ni0.33Co0.33Mn0.33)Oと比較して、エネルギー密度的に優位性がない。逆にエネルギー密度が該上限値よりも大きいときは、エネルギー密度維持率が悪化するおそれがある。より好ましいエネルギー密度の範囲は、900Wh/kg〜1050Wh/kgである。
また、本発明において、エネルギー密度維持率は、以下の条件(2)で充放電を行った際の26サイクル目の放電のエネルギー密度と7サイクル目の放電のエネルギー密度とから、
エネルギー密度維持率
=(26サイクル目の放電のエネルギー密度/7サイクル目の放電のエネルギー密度)×100
として求められる。該エネルギー密度維持率は、好ましくは93%以上であり、より好ましくは94%以上である。
条件(2)
25℃環境下
1サイクル目:2.0V〜4.6V
充電0.07C(cccv)、放電0.07C(cc)
2サイクル目:2.0V〜4.6V
充電0.07C(cc)、放電0.07C(cc)
3サイクル目:2.0V〜4.6V
充電0.1C(cc)、放電0.1C(cc)
4サイクル目:2.0V〜4.6V
充電0.1C(cc)、放電0.2C(cc)
5サイクル目:2.0V〜4.6V
充電0.1C(cc)、放電0.5C(cc)
6サイクル目:2.0V〜4.6V
充電0.1C(cc)、放電1C(cc)
7サイクル目〜26サイクル目:2.0V〜4.6V
充電0.2C(cc)、放電0.5C(cc)
ただし、CはCレートで、時間率を表しており、1Cは270mA/gである。
さらに、前記条件(2)で充放電を行い、各サイクル回数での放電電圧を測定することにより、本発明に係る正極活物質は、充放電を繰り返した時の電圧降下が小さいことを確認することができる。図2は、後述する実施例1及び比較例3で得られた試料を条件(2)で充放電したときに得られた、横軸がサイクル回数、縦軸が平均放電電圧のグラフである。図2に示されるように、比較例3では、充放電を繰り返すにつれて放電電圧が大きく降下しているのに対して、実施例1では、充放電を繰り返しても放電電圧の降下が小さい。
<正極活物質の製造方法>
次に、本発明に係る正極活物質の製造方法について述べる。
本発明に係る正極活物質は、あらかじめ合成した遷移金属を含む炭酸塩前駆体化合物の粒子粉末とリチウム化合物とを混合して焼成することにより、得ることができる。
前記遷移金属を含む炭酸塩前駆体化合物(Niと、Mnと、任意にCoとを含有する炭酸塩前駆体化合物)の粒子粉末は、所定の濃度のニッケル化合物と、マンガン化合物と、任意にコバルト化合物とを含有する混合溶液と、アルカリ水溶液とを反応槽へ供給し、pHが適切な範囲となるように制御して、オーバーフローした懸濁液を、オーバーフロー管に連結された濃縮槽で濃縮速度を調整しながら反応槽へ種循環し、反応槽と濃縮槽中の前駆体化合物の粒子濃度が0.1〜15mol/Lになるまで反応を行って得ることができる。また、濃縮槽を設けずに、オーバーフローした懸濁液から前駆体化合物の粒子粉末を得てもよい。その後、水洗し、乾燥することで炭酸塩前駆体化合物を得ることができる。
前記Niと、Mnと、任意にCoとを含有する炭酸塩前駆体化合物の粒子粉末を合成する際の混合溶液は、目的とする層状リチウム複合酸化物の組成を考慮して、Niと、Mnと、任意にCoとが所望の割合となるように、所定の濃度のニッケル化合物と、マンガン化合物と、任意にコバルト化合物とを配合して調製することが好ましい。
NiとMnとを含有する炭酸塩前駆体化合物の粒子粉末を合成する場合には、NiとMnとの割合(モル比)が、Ni:Mn=0.25〜0.45:0.55〜0.75、さらにはNi:Mn=0.30〜0.40:0.60〜0.70となるように、ニッケル化合物及びマンガン化合物を配合して混合溶液を調製することが好ましい。
NiとCoとMnとを含有する炭酸塩前駆体化合物の粒子粉末を合成する場合には、NiとCoとMnとの割合(モル比)が、Ni:Co:Mn=0.25〜0.45:0.02〜0.10:0.50〜0.70、さらにはNi:Co:Mn=0.30〜0.40:0.03〜0.08:0.55〜0.65となるように、ニッケル化合物、コバルト化合物、及びマンガン化合物を配合して混合溶液を調製することが好ましい。
前記pHの適切な範囲は6.8〜13.2であり、好ましくは6.9〜12.5、より好ましくは7.0〜12.0である。前記所定の濃度のニッケル化合物と、マンガン化合物と、任意にコバルト化合物とを含有する混合溶液を反応させる際のpHが6.8未満であると、特にNiの沈殿生成反応が起こりにくくなり、狙い通りの組成の炭酸塩前駆体化合物が得られないため、エネルギー密度とエネルギー密度維持率とが低下する。pHが13.2を超えると、炭酸塩前駆体化合物の一次粒子径が大きくなってしまい、エネルギー密度とエネルギー密度維持率とが低下する。また、球状の前駆体化合物が得られないため、電極を作製する際の正極活物質の充填率が低下するので好ましくない。
その後、Liと、Ni、Mn、及び任意のCoとのモル比であるLi/(Ni+Co+Mn)が1.25〜1.39、好ましくは1.25〜1.38となるように、リチウム化合物と炭酸塩前駆体化合物とを混合し、酸化性雰囲気で840℃〜1000℃で焼成することで、層状リチウム複合酸化物を得ることができる。
焼成温度が840℃よりも低いと、所望の結晶が得られない。また焼成温度が1000℃を超えると、結晶成長が進み過ぎて、エネルギー密度が小さくなってしまう。好ましくは、焼成温度は850℃〜970℃である。
リチウム化合物と遷移金属を含む炭酸塩前駆体化合物の粒子粉末との混合処理は、均一に混合することができれば乾式、湿式のどちらでもよい。
また、本発明に用いる前駆体は炭酸塩でできているため、焼成時に通風を十分に行い、炭酸塩を分解させて残留しないようにすることが好ましい。
本発明に用いるニッケル化合物としては、特に限定がないが、例えば、硫酸ニッケル、酸化ニッケル、水酸化ニッケル、硝酸ニッケル、炭酸ニッケル、塩化ニッケル、ヨウ化ニッケル、及び金属ニッケル等が挙げられ、硫酸ニッケルが好ましい。
本発明に用いるコバルト化合物としては、特に限定がないが、例えば、硫酸コバルト、酸化コバルト、水酸化コバルト、硝酸コバルト、炭酸コバルト、塩化コバルト、ヨウ化コバルト、及び金属コバルト等が挙げられ、硫酸コバルトが好ましい。
本発明に用いるマンガン化合物としては、特に限定がないが、例えば、硫酸マンガン、酸化マンガン、水酸化マンガン、硝酸マンガン、炭酸マンガン、塩化マンガン、ヨウ化マンガン、及び金属マンガン等が挙げられ、硫酸マンガンが好ましい。
本発明に用いるリチウム化合物としては、特に限定されることなく各種のリチウム塩を用いることができるが、例えば、水酸化リチウム・一水和物、硝酸リチウム、炭酸リチウム、酢酸リチウム、臭化リチウム、塩化リチウム、クエン酸リチウム、フッ化リチウム、ヨウ化リチウム、乳酸リチウム、シュウ酸リチウム、リン酸リチウム、ピルビン酸リチウム、硫酸リチウム、酸化リチウム等が挙げられ、炭酸リチウムが好ましい。
また、正極活物質のエネルギー密度維持率をさらに向上させるため、及びクーロン効率を向上させるために、層状リチウム複合酸化物の一次粒子及び/又は二次粒子の表面にアルミニウム化合物を被覆及び/又は固溶させることができる。
アルミニウム化合物を被覆させるには、層状リチウム複合酸化物を純水に解膠して攪拌しながらアルミニウム化合物を滴下後、濾過水洗して80℃〜120℃程度で乾燥し、これを電気炉にて300℃〜500℃程度で5時間前後、空気流通下で焼成する方法を採用することができる。
また、前記アルミニウム化合物を被覆させる際の乾燥温度、焼成温度等の条件を適宜調整することにより、アルミニウム化合物を固溶させることができる。
本発明に用いるアルミニウム化合物としては、特に限定がないが、例えば、硫酸アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、硝酸アルミニウム、炭酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、及び金属アルミニウム等が挙げられ、硫酸アルミニウムが好ましい。
層状リチウム複合酸化物の表面にアルミニウム化合物を被覆させる際には、正極活物質に対してアルミニウム化合物が、好ましくは0.1wt%〜0.7wt%となるように、より好ましくは0.2wt%〜0.6wt%となるようにすると、前記エネルギー密度維持率のさらなる向上効果及びクーロン効率の向上効果がより充分に発揮される。
<非水電解質二次電池>
次に、本発明に係る正極活物質を含有する正極を備えた非水電解質二次電池について述べる。
正極活物質を含有する正極を製造する場合には、常法に従って、導電剤と結着剤とを添加混合する。導電剤としては、例えば、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛等が好ましく、結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等が好ましい。
正極活物質を含有する正極を用いて製造される、本発明に係る非水電解質二次電池は、前記正極、負極、及び電解質を含む電解液から構成される。
負極活物質としては、例えば、Si、Al、Sn、Pb、Zn、Bi、及びCdからなる群より選ばれる1以上の非金属又は金属元素、それを含む合金もしくはそれを含むカルコゲン化合物、並びにリチウム金属、グラファイト、低結晶性炭素材料等を用いることができる。
また、電解液の溶媒としては、炭酸エチレンと炭酸ジエチルとの組み合わせ以外に、例えば、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル等のカーボネート類や、ジメトキシエタン等のエーテル類の少なくとも1種を含む有機溶媒を用いることができる。
さらに、電解質としては、六フッ化リン酸リチウム以外に、例えば、過塩素酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム等のリチウム塩の少なくとも1種を前記溶媒に溶解して用いることができる。
本発明に係る正極活物質を含有する正極を備えた非水電解質二次電池では、前記条件(1)における1サイクル目の放電のエネルギー密度が、好ましくは880Wh/kg〜1100Wh/kgであり、より好ましくは900Wh/kg〜1050Wh/kgである。
本発明に係る正極活物質を含有する正極を備えた非水電解質二次電池では、前記条件(2)に基づいて求められるエネルギー密度維持率が、好ましくは93%以上であり、より好ましくは94%以上である。
<作用>
本発明では、ピーク強度比rの値を0<r≦0.25という特定範囲内に調整することで、充放電を繰り返した時の電圧降下が小さく、エネルギー密度が高く、しかもエネルギー密度維持率も高い、特定組成の正極活物質を得ることができる。また、本発明では、コストが高くレアメタルであるCoの量が低減されているにも関わらず、高い電池特性を示す正極活物質を得ることができる。
(正極活物質の組成)
本明細書において、正極活物質の組成は、該正極活物質0.2gの試料を25mlの20%塩酸溶液中で加熱溶解させ、冷却後100mlメスフラスコに移して、純水を入れ調整液を作製し、測定にはICAP[Optima8300、(株)パーキンエルマー製]を用いて各元素を定量して決定する。
(正極活物質を用いたコインセルの作製)
本明細書において、正極活物質を用いたコインセルは、次の手順で作製するものとする。まず、正極活物質を84重量%と、導電剤としてのアセチレンブラックを4重量%及びグラファイトKS−6を4重量%と、結着剤としてのN−メチルピロリドンに溶解したポリフッ化ビニリデンを8重量%とを混合した後、Al金属箔に塗布し、110℃にて乾燥してシートを作製する。このシートを15mmΦに打ち抜いた後、3t/cmで圧着したものを正極とする。本発明においては、正極の塗布量は10mg/cm、正極の圧延後の密度は2.5g/cmであった。負極は、16mmΦに打ち抜いた厚さ500μmの金属リチウムとする。電解液は、1mol/LのLiPFを溶解したECとDMCとを、EC:DMC=1:2(体積比)で混合した溶液とする。これら正極、負極、及び電解液を用いて、2032型コインセルを作製する。
以下に、本発明の代表的な実施例と比較例とを挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
0.1mol/Lの硫酸ニッケル水溶液、0.1mol/Lの硫酸マンガン水溶液を準備した。前記硫酸ニッケル水溶液及び前記硫酸マンガン水溶液をニッケルとマンガンとのモル比がNi:Mn=0.35:0.65となるように混合して、混合溶液を得た。1mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液を準備した。密閉型反応槽に水を8L入れ、窒素ガスを流通させながら40℃に保持した。前記混合溶液と前記炭酸ナトリウム水溶液とを、撹拌しながら、前記反応槽に、5mL/mimの速度で連続的に滴下した。同時に、pH=8.00(±0.01)となるように、前記炭酸ナトリウム水溶液を滴下した。反応中は濃縮装置により濾液のみを系外に排出し、固形分は反応槽に滞留させながら、500rpmで20時間攪拌した。反応後、共沈生成物のスラリーを採取した。採取したスラリーを濾過、水洗した。水洗後、120℃で一晩乾燥させ、共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体は、ICP発光分光分析で測定したところ(Ni0.35Mn0.65)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Mn)=1.30となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で900℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
前記方法に従い、得られた正極活物質を正極とし、リチウム箔を負極としたコインセルを組んだ。このコインセルを用いて前記条件(1)で充放電を行い、5サイクル目の放電での電圧Vと電池容量Qとに基づき、横軸に電圧Vをとり、縦軸にdQ/dV値をとったグラフを描いた。このグラフを図1に示す。
図1のグラフより、|a|、|b|及び|c|を求め、ピーク強度比rを算出した。これらの値を以下に示す。
|a|=171mAhg−1−1
|b|=257mAhg−1−1
|c|=64mAhg−1−1
r=0.13
また、前記条件(1)における1サイクル目の放電のエネルギー密度及び前記条件(2)に基づいて求められるエネルギー密度維持率は、各々以下のとおりであった。
エネルギー密度:944Wh/kg
エネルギー密度維持率:96.3%
また、前記条件(2)に基づいて充放電を行った際の、各サイクル回数での放電電圧を測定し、サイクル回数と平均放電電圧との関係をグラフに表した。このグラフを図2に示す。
<実施例2>
実施例1において、ニッケルとコバルトとマンガンとのモル比がNi:Co:Mn=0.35:0.05:0.60となるように、硫酸ニッケル水溶液、硫酸コバルト水溶液及び硫酸マンガン水溶液の混合溶液を加えたほかは、実施例1と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体は、(Ni0.35Co0.05Mn0.60)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.25となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で850℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
得られた正極活物質を用い、実施例1と同様にしてコインセルを組み、横軸に電圧Vをとり、縦軸にdQ/dV値をとったグラフを描いて、|a|、|b|及び|c|を求め、ピーク強度比rを算出した。また、実施例1と同様にして、エネルギー密度及びエネルギー密度維持率を求めた。これらの値を後の表2に示す。
<実施例3>
実施例1において、ニッケルとコバルトとマンガンとのモル比がNi:Co:Mn=0.310:0.055:0.635となるように、硫酸ニッケル水溶液、硫酸コバルト水溶液及び硫酸マンガン水溶液の混合溶液を加えたほかは、実施例1と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体は、(Ni0.310Co0.055Mn0.635)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.375となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で880℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
得られた正極活物質を用い、実施例1と同様にしてコインセルを組み、横軸に電圧Vをとり、縦軸にdQ/dV値をとったグラフを描いて、|a|、|b|及び|c|を求め、ピーク強度比rを算出した。また、実施例1と同様にして、エネルギー密度及びエネルギー密度維持率を求めた。これらの値を後の表2に示す。
<実施例4>
実施例1と同様にして、共沈前駆体の粉末を得た。得られた共沈前駆体は、(Ni0.35Mn0.65)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Mn)=1.30となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で900℃にて5時間焼成し、リチウム複合酸化物粒子粉末を得た。
その後、得られたリチウム複合酸化物粒子粉末100gを、30℃に保持した50mLの純水に攪拌しながら投入し、中間焼成物のスラリーとした。次に、硫酸アルミニウム濃度が1.0mol/Lとなるように調整した該硫酸アルミニウム水溶液6mLを、該中間焼成物のスラリーに滴下し、濾過、水洗後、120℃で乾燥した。これを、電気炉を用いて、空気流通下で400℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。正極活物質に対する硫酸アルミニウムの表面処理量は、0.31wt%であった。
得られた正極活物質を用い、実施例1と同様にしてコインセルを組み、横軸に電圧Vをとり、縦軸にdQ/dV値をとったグラフを描いて、|a|、|b|及び|c|を求め、ピーク強度比rを算出した。また、実施例1と同様にして、エネルギー密度及びエネルギー密度維持率を求めた。これらの値を後の表2に示す。
<実施例5>
実施例1において、pH=8.50(±0.01)となるように、炭酸ナトリウム水溶液を反応槽に滴下したほかは、実施例1と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体は、(Ni0.35Mn0.65)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Mn)=1.30となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で900℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
得られた正極活物質を用い、実施例1と同様にしてコインセルを組み、横軸に電圧Vをとり、縦軸にdQ/dV値をとったグラフを描いて、|a|、|b|及び|c|を求め、ピーク強度比rを算出した。また、実施例1と同様にして、エネルギー密度及びエネルギー密度維持率を求めた。これらの値を後の表2に示す。
<実施例6>
実施例2において、pH=7.50(±0.01)となるように、炭酸ナトリウム水溶液を反応槽に滴下したほかは、実施例2と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体は、(Ni0.35Co0.05Mn0.60)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.25となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で850℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
得られた正極活物質を用い、実施例1と同様にしてコインセルを組み、横軸に電圧Vをとり、縦軸にdQ/dV値をとったグラフを描いて、|a|、|b|及び|c|を求め、ピーク強度比rを算出した。また、実施例1と同様にして、エネルギー密度及びエネルギー密度維持率を求めた。これらの値を後の表2に示す。
<実施例7>
実施例3において、pH=9.00(±0.01)となるように、炭酸ナトリウム水溶液を反応槽に滴下したほかは、実施例3と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体は、(Ni0.310Co0.055Mn0.635)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.375となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で880℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
得られた正極活物質を用い、実施例1と同様にしてコインセルを組み、横軸に電圧Vをとり、縦軸にdQ/dV値をとったグラフを描いて、|a|、|b|及び|c|を求め、ピーク強度比rを算出した。また、実施例1と同様にして、エネルギー密度及びエネルギー密度維持率を求めた。これらの値を後の表2に示す。
<実施例8>
実施例1において、pH=9.50(±0.01)となるように、炭酸ナトリウム水溶液を反応槽に滴下したほかは、実施例1と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。得られた共沈前駆体は、(Ni0.35Mn0.65)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Mn)=1.30となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で900℃にて5時間焼成し、リチウム複合酸化物粒子粉末を得た。
その後、得られたリチウム複合酸化物粒子粉末と硫酸アルミニウム水溶液とを用い、実施例4と同様にして正極活物質を得た。正極活物質に対する硫酸アルミニウムの表面処理量は、0.31wt%であった。
得られた正極活物質を用い、実施例1と同様にしてコインセルを組み、横軸に電圧Vをとり、縦軸にdQ/dV値をとったグラフを描いて、|a|、|b|及び|c|を求め、ピーク強度比rを算出した。また、実施例1と同様にして、エネルギー密度及びエネルギー密度維持率を求めた。これらの値を後の表2に示す。
<比較例1>
実施例1において、ニッケルとコバルトとマンガンとのモル比がNi:Co:Mn=0.35:0.10:0.55となるように、硫酸ニッケル水溶液、硫酸コバルト水溶液及び硫酸マンガン水溶液の混合溶液を加えたほかは、実施例1と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体は、(Ni0.35Co0.10Mn0.55)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.20となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で880℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
得られた正極活物質を用い、実施例1と同様にしてコインセルを組み、横軸に電圧Vをとり、縦軸にdQ/dV値をとったグラフを描いて、|a|、|b|及び|c|を求め、ピーク強度比rを算出した。また、実施例1と同様にして、エネルギー密度及びエネルギー密度維持率を求めた。これらの値を後の表2に示す。
<比較例2>
実施例1において、ニッケルとコバルトとマンガンとのモル比がNi:Co:Mn=0.42:0.05:0.53となるように、硫酸ニッケル水溶液、硫酸コバルト水溶液及び硫酸マンガン水溶液の混合溶液を加えたほかは、実施例1と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体は、(Ni0.42Co0.05Mn0.53)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.20となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で910℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
得られた正極活物質を用い、実施例1と同様にしてコインセルを組み、横軸に電圧Vをとり、縦軸にdQ/dV値をとったグラフを描いて、|a|、|b|及び|c|を求め、ピーク強度比rを算出した。また、実施例1と同様にして、エネルギー密度及びエネルギー密度維持率を求めた。これらの値を後の表2に示す。
<比較例3>
実施例1において、ニッケルとコバルトとマンガンとのモル比がNi:Co:Mn=0.20:0.13:0.67となるように、硫酸ニッケル水溶液、硫酸コバルト水溶液及び硫酸マンガン水溶液の混合溶液を加えたほかは、実施例1と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体は、(Ni0.20Co0.13Mn0.67)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.40となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で880℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
得られた正極活物質を用い、実施例1と同様にしてコインセルを組み、横軸に電圧Vをとり、縦軸にdQ/dV値をとったグラフを描いて、|a|、|b|及び|c|を求め、ピーク強度比rを算出した。また、実施例1と同様にして、エネルギー密度及びエネルギー密度維持率を求めた。これらの値を後の表2に示す。
また、前記条件(2)に基づいて充放電を行った際の、各サイクル回数での放電電圧を測定し、サイクル回数と平均放電電圧との関係をグラフに表した。このグラフを図2に示す。
<比較例4>
実施例1において、ニッケルとコバルトとマンガンとのモル比がNi:Co:Mn=0.25:0.10:0.65となるように、硫酸ニッケル水溶液、硫酸コバルト水溶液及び硫酸マンガン水溶液の混合溶液を加えたほかは、実施例1と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体は、(Ni0.25Co0.10Mn0.65)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.35となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で830℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
得られた正極活物質を用い、実施例1と同様にしてコインセルを組み、横軸に電圧Vをとり、縦軸にdQ/dV値をとったグラフを描いて、|a|、|b|及び|c|を求め、ピーク強度比rを算出した。また、実施例1と同様にして、エネルギー密度及びエネルギー密度維持率を求めた。これらの値を後の表2に示す。
<比較例5>
比較例1において、pH=7.50(±0.01)となるように、炭酸ナトリウム水溶液を反応槽に滴下したほかは、比較例1と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体は、(Ni0.35Co0.10Mn0.55)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.20となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で880℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
得られた正極活物質を用い、実施例1と同様にしてコインセルを組み、横軸に電圧Vをとり、縦軸にdQ/dV値をとったグラフを描いて、|a|、|b|及び|c|を求め、ピーク強度比rを算出した。また、実施例1と同様にして、エネルギー密度及びエネルギー密度維持率を求めた。これらの値を後の表2に示す。
<比較例6>
比較例2において、pH=9.00(±0.01)となるように、炭酸ナトリウム水溶液を反応槽に滴下したほかは、比較例2と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体は、(Ni0.42Co0.05Mn0.53)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.20となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で910℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
得られた正極活物質を用い、実施例1と同様にしてコインセルを組み、横軸に電圧Vをとり、縦軸にdQ/dV値をとったグラフを描いて、|a|、|b|及び|c|を求め、ピーク強度比rを算出した。また、実施例1と同様にして、エネルギー密度及びエネルギー密度維持率を求めた。これらの値を後の表2に示す。
<比較例7>
比較例3において、pH=9.50(±0.01)となるように、炭酸ナトリウム水溶液を反応槽に滴下したほかは、比較例3と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体は、(Ni0.20Co0.13Mn0.67)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.40となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で880℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
得られた正極活物質を用い、実施例1と同様にしてコインセルを組み、横軸に電圧Vをとり、縦軸にdQ/dV値をとったグラフを描いて、|a|、|b|及び|c|を求め、ピーク強度比rを算出した。また、実施例1と同様にして、エネルギー密度及びエネルギー密度維持率を求めた。これらの値を後の表2に示す。
<比較例8>
比較例4において、pH=8.50(±0.01)となるように、炭酸ナトリウム水溶液を反応槽に滴下したほかは、比較例4と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体は、(Ni0.25Co0.10Mn0.65)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.35となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で830℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
得られた正極活物質を用い、実施例1と同様にしてコインセルを組み、横軸に電圧Vをとり、縦軸にdQ/dV値をとったグラフを描いて、|a|、|b|及び|c|を求め、ピーク強度比rを算出した。また、実施例1と同様にして、エネルギー密度及びエネルギー密度維持率を求めた。これらの値を後の表2に示す。
<比較例9>
実施例1と同様にして、共沈前駆体の粉末を得た。得られた共沈前駆体は、(Ni0.35Mn0.65)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Mn)=1.30となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で830℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
得られた正極活物質を用い、実施例1と同様にしてコインセルを組み、横軸に電圧Vをとり、縦軸にdQ/dV値をとったグラフを描いて、|a|、|b|及び|c|を求め、ピーク強度比rを算出した。また、実施例1と同様にして、エネルギー密度及びエネルギー密度維持率を求めた。これらの値を後の表2に示す。
<比較例10>
実施例2と同様にして、共沈前駆体の粉末を得た。得られた共沈前駆体は、(Ni0.35Co0.05Mn0.60)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.25となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で1100℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
得られた正極活物質を用い、実施例1と同様にしてコインセルを組み、横軸に電圧Vをとり、縦軸にdQ/dV値をとったグラフを描いて、|a|、|b|及び|c|を求め、ピーク強度比rを算出した。また、実施例1と同様にして、エネルギー密度及びエネルギー密度維持率を求めた。これらの値を後の表2に示す。
<比較例11>
実施例3において、pH=6.50(±0.01)となるように、炭酸ナトリウム水溶液を反応槽に滴下したほかは、実施例3と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体は、(Ni0.310Co0.055Mn0.635)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.375となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で880℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
得られた正極活物質を用い、実施例1と同様にしてコインセルを組み、横軸に電圧Vをとり、縦軸にdQ/dV値をとったグラフを描いて、|a|、|b|及び|c|を求め、ピーク強度比rを算出した。また、実施例1と同様にして、エネルギー密度及びエネルギー密度維持率を求めた。これらの値を後の表2に示す。
<比較例12>
実施例1において、pH=13.50(±0.01)となるように、炭酸ナトリウム水溶液を反応槽に滴下したほかは、実施例1と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。得られた共沈前駆体は、(Ni0.35Mn0.65)CO(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Mn)=1.30となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で900℃にて5時間焼成し、リチウム複合酸化物粒子粉末を得た。
その後、得られたリチウム複合酸化物粒子粉末と硫酸アルミニウム水溶液とを用い、実施例4と同様にして正極活物質を得た。正極活物質に対する硫酸アルミニウムの表面処理量は、0.31wt%であった。
得られた正極活物質を用い、実施例1と同様にしてコインセルを組み、横軸に電圧Vをとり、縦軸にdQ/dV値をとったグラフを描いて、|a|、|b|及び|c|を求め、ピーク強度比rを算出した。また、実施例1と同様にして、エネルギー密度及びエネルギー密度維持率を求めた。これらの値を後の表2に示す。
以下の表1に、正極活物質の組成(前記組成式(I)中のα、x、y、z、及びNiの平均価数。x+y+z=1、Liの平均価数=+1価、Coの平均価数=+3価、Mnの平均価数=+4価、Oの平均価数=−2価と仮定)、Li/(Ni+Co+Mn)(Coは任意)、炭酸塩前駆体化合物の合成時のpH、焼成温度、並びにアルミニウム化合物による表面処理量を纏めて示す。また表2に、|a|、|b|、|c|、r、エネルギー密度、及びエネルギー密度維持率を纏めて示す。
実施例1〜4で得られた正極活物質は、いずれもエネルギー密度が880Wh/kg〜1100Wh/kgであり、エネルギー密度維持率が93%以上であった。また、実施例1〜4のpH条件を変更した実施例5〜8で得られた正極活物質も、いずれもエネルギー密度が880Wh/kg〜1100Wh/kgであり、エネルギー密度維持率が93%以上であった。このことにより、本発明に係る正極活物質は、ピーク強度比rの値が本発明の範囲に入ることによって、すなわち、0<r≦0.25を満たすことによって、エネルギー密度が高いにも関わらず、エネルギー密度維持率も高い値を示すことが分かった。しかも、本発明に係る正極活物質は、レアメタルで高価なCoの含有率が低く、コストの面からも有利な優れた正極材料である。
一方、比較例1、2、5、及び6ではLi/(Ni+Co+Mn)の値が小さく、得られた正極活物質はいずれも、ピーク3を有さず、ピーク強度比r=0である。このような正極活物質は、エネルギー密度が880Wh/kg未満と低く、エネルギー密度維持率も高くない。比較例3及び7ではLi/(Ni+Co+Mn)の値が大きく、比較例4及び8では焼成温度が低く、得られた正極活物質はいずれも、ピーク3のピークトップのdQ/dV値|c|が大きく、ピーク強度比rが0.25を超える。このような正極活物質は、エネルギー密度は高いものの、エネルギー密度維持率が非常に低い。
比較例9では焼成温度が低く、得られた正極活物質は、ピーク3のピークトップのdQ/dV値|c|が大きく、ピーク強度比rが0.25を超える。このような正極活物質は、エネルギー密度は高いものの、エネルギー密度維持率が非常に低い。逆に比較例10では焼成温度が高く、得られた正極活物質は、ピーク3を有さず、ピーク強度比r=0である。このような正極活物質は、エネルギー密度が880Wh/kg未満と低く、エネルギー密度維持率も高くない。
比較例11では炭酸塩前駆体化合物の合成時のpHが低く、得られた正極活物質は、ピーク3を有さず、ピーク強度比r=0である。このような正極活物質は、エネルギー密度が880Wh/kg未満と低い。比較例12では炭酸塩前駆体化合物の合成時のpHが高く、得られた正極活物質は、ピーク3を有さず、ピーク強度比r=0である。このような正極活物質も、エネルギー密度が880Wh/kg未満と低い。
このように、高電池容量の材料を得ようとしたり、ピーク強度比rが小さくなるように電圧降下が小さい材料を得ようとしても、高エネルギー密度と高エネルギー密度維持率との両立が可能な材料を得ることはできない。
また、図2に示されるように、実施例1で得られた正極活物質は、充放電を繰り返しても放電電圧の降下が小さい。一方、比較例3で得られた正極活物質は、充放電を繰り返すにつれて放電電圧が大きく降下している。
本発明で重要なことは、前記のように高エネルギー密度と高エネルギー密度維持率とを両立でき、その条件を満たすためのパラメータを発見し、実際に合成するに至ったことにある。
以上の結果から、本発明に係る正極活物質は、充放電を繰り返した時の電圧降下が小さく、エネルギー密度が大きく、かつ、エネルギー密度維持率も高く、非水電解質二次電池用の正極活物質として有効であることが確認された。
本発明に係る正極活物質は、充放電を繰り返した時の電圧降下が小さく、エネルギー密度が高いだけでなく、エネルギー密度維持率も高いので、非水電解質二次電池用の正極活物質として好適である。

Claims (7)

  1. Liと、Niと、Mnと、任意にCoとを含有する層状リチウム複合酸化物からなる正極活物質あって、
    前記正極活物質を正極とし、リチウム箔を負極とした非水電解質二次電池にて、以下の条件(1)で充放電を行った際に、5サイクル目の放電での電圧Vと電池容量Qとに基づき、横軸に電圧Vをとり、縦軸に電池容量Qを電圧Vで微分したdQ/dV値をとったグラフにおいて、
    |a|:3.9Vよりも大きく4.4V以下の範囲にピークトップを持つピーク1のピークトップのdQ/dV値の絶対値
    |b|:3.5Vよりも大きく3.9V以下の範囲にピークトップを持つピーク2のピークトップのdQ/dV値の絶対値
    |c|:2.0V以上3.5V以下の範囲にピークトップを持つピーク3のピークトップのdQ/dV値の絶対値
    としたとき、
    ピーク強度比r=|c|/(|a|+|b|+|c|)
    が0<r≦0.25を満たすことを特徴とする、正極活物質:
    条件(1)
    25℃環境下
    1サイクル目:2.0V〜4.6V
    充電0.07C(cccv)、放電0.07C(cc)
    2サイクル目:2.0V〜4.6V
    充電0.07C(cc)、放電0.07C(cc)
    3サイクル目:2.0V〜4.3V
    充電0.1C(cc)、放電0.1C(cc)
    4サイクル目:2.0V〜4.3V
    充電0.1C(cc)、放電1C(cc)
    5サイクル目:2.0V〜4.45V
    充電0.1C(cc)、放電1C(cc)
    ただし、CはCレートで、時間率を表しており、1Cは270mA/gとする。
  2. 以下の組成式(I):
    (1−α)(LiNiCoMn)・αLiMnO (I)
    で表され、前記組成式(I)中、x+y+z=1と仮定し、かつ、Liの平均価数を+1価、Coの平均価数を+3価、Mnの平均価数を+4価、Oの平均価数を−2価と仮定したとき、αが0.21≦α≦0.40であり、xが0.45≦x≦0.51であり、yが0≦y≦0.12であり、Niの平均価数が+1.90価〜+2.25価である、請求項1に記載の正極活物質。
  3. 条件(1)における1サイクル目の放電のエネルギー密度が880Wh/kg〜1100Wh/kgである、請求項1又は2に記載の正極活物質。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の正極活物質の製造方法であって、
    Niと、Mnと、任意にCoとを含有する炭酸塩前駆体化合物を、pH6.8〜13.2の条件で合成して、Liと、前記Ni、前記Mn、及び前記Coとのモル比であるLi/(Ni+Co+Mn)が1.25〜1.39となるように、リチウム化合物と前記炭酸塩前駆体化合物とを混合し、酸化性雰囲気で840℃〜1000℃で焼成して層状リチウム複合酸化物を生成することを特徴とする、正極活物質の製造方法。
  5. NiとMnとの割合(モル比)が、Ni:Mn=0.25〜0.45:0.55〜0.75となるように、ニッケル化合物及びマンガン化合物を配合して混合溶液を調製するか、又は
    NiとCoとMnとの割合(モル比)が、Ni:Co:Mn=0.25〜0.45:0.02〜0.10:0.50〜0.70となるように、ニッケル化合物、コバルト化合物、及びマンガン化合物を配合して混合溶液を調製し、
    前記混合溶液を用いて、炭酸塩前駆体化合物を合成する、請求項4に記載の正極活物質の製造方法。
  6. 正極活物質に対してアルミニウム化合物が0.1wt%〜0.7wt%となるように、層状リチウム複合酸化物の一次粒子及び/又は二次粒子の表面に、前記アルミニウム化合物を被覆及び/又は固溶させる、請求項4又は5に記載の正極活物質の製造方法。
  7. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の正極活物質を含有する正極を備えた、非水電解質二次電池。
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