JP6406191B2 - 積層電子部品 - Google Patents

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Description

本発明は、積層電子部品に関する。
近年、携帯電話などのデジタル電子機器に使用される電子回路の高密度化に伴う電子部品の小型化に対する要求は高く、当該回路を構成する積層電子部品の小型化、大容量化が急速に進んでいる。
特許文献1には、第1の内部電極および第2の内部電極を含む内部電極層と第3の内部電極を含む中間内部電極層とが誘電体層を介して交互に積層された素体を備える積層コンデンサが開示されている。
この積層コンデンサは、内部電極層と中間内部電極層との間に、第3の内部電極の幅方向に関する積層ズレが生じた場合でも、積層ズレに起因する静電容量の変化を抑えることができる。
また、第1の内部電極および第2の内部電極においては、各引出電極の幅が各活性電極部の幅よりも狭いため、素体の第1の端面および第2の端面に第1の端子電極および第2の端子電極をめっき形成する際にめっき液が侵入しにくく、めっき液の侵入による積層コンデンサの信頼性低下を抑制できる。
しかし、従来技術では、内部電極と外部電極が接続されている面積を小さくせざるを得ず、小型高容量を達成することが非常に困難であるという課題があった。
特開2012−209493号公報
本発明は、上記の実状に鑑みてなされたものであり、めっき液の侵入を抑制しつつ、製品間における静電容量のバラつきが低減された積層電子部品を提供することを目的とする。
上記目的を解決するため、本発明の積層電子部品は、以下の通りである。
[1]第1軸および第2軸を含む平面に実質的に平行な内部電極層と誘電体層とが第3軸の方向に沿って交互に積層された素子本体を備える積層電子部品であって、
前記素子本体の前記第1軸の方向に相互に向き合う一対の端面(側面)にそれぞれ絶縁層が備えられており、
前記素子本体の前記第2軸の方向に相互に向き合う一対の端面に、前記内部電極層と電気的に接続される外部電極がそれぞれ備えられており、
前記絶縁層は、前記素子本体の前記第2軸の方向に相互に向き合う端面の一部を覆う絶縁層延長部を一体的に有し、
前記素子本体の前記第1軸に沿う幅をW0とし、
前記素子本体の前記第2軸方向の端面に形成された前記絶縁層延長部の前記第1軸に沿う幅をW1とした場合に、
W1/W0が、1/30以上3/8未満であり、
前記外部電極が前記素子本体の前記第2軸方向の端面に形成された前記絶縁層延長部の少なくとも一部を覆っていることを特徴とする積層電子部品。
本発明によれば、めっき液の侵入を抑制しつつ、製品間における静電容量のバラつきが低減された積層電子部品を提供できる。
なお、めっき液が素子本体に侵入すると、積層電子部品の本体内部に水分が残留してしまい、使用時間の経過とともに絶縁抵抗値などの特性が低下するなど、信頼性の低下を招く問題がある。本発明によれば、めっき液の侵入を抑制できるため、信頼性の低下を抑制することができる。
上記[1]の具体的態様として、下記の態様が例示される。
[2]前記素子本体の端面に沿う仮想線と、前記素子本体の前記第2軸方向の端面に形成された前記絶縁層延長部の縁端部の曲面の接線がなす角の角度θ1が45°以下である前記[1]に記載の積層電子部品。
[3]前記絶縁層の弾性率は、30GPa以上100GPa以下である前記[1]または[2]に記載の積層電子部品。
[4]前記素子本体の前記第2軸方向の端面からの前記絶縁層における前記第2軸方向の最大厚みをMfとして、
前記素子本体の前記第1軸方向の端面(側面)からの前記絶縁層における前記第1軸方向の最大厚みをMtとした場合に、
Mf/Mtが0.5≦Mf/Mt≦2.0で表される前記[1]〜[3]のいずれかに記載の積層電子部品。
[5]前記絶縁層がガラス成分で構成されている前記[1]〜[4]のいずれかに記載の積層電子部品。
また、上記目的を達成するための積層電子部品の製造方法としては、特に限定されないが、以下の製造方法が挙げられる。
[6]第1軸の方向に連続し、第1軸および第2軸を含む平面に実質的に平行な内部電極パターン層が形成されたグリーンシートを第3軸の方向に積層してグリーン積層体を得る工程と、
前記グリーン積層体を前記第2軸および前記第3軸を含む平面に平行な切断面が得られるように切断してグリーンチップを得る工程と、
前記グリーンチップを焼成して、内部電極層と誘電体層とが交互に積層した素子本体を得る工程と、
前記素子本体の前記第1軸方向の端面に絶縁層用ペーストを塗布して、焼き付けることにより、絶縁層が形成されたセラミック焼結体を得る工程と、
前記セラミック焼結体の前記第2軸方向の端面に外部電極用ペーストを焼き付けることにより、外部電極が形成された積層電子部品を得る工程と、を有し、
前記絶縁層は、前記素子本体の前記第2軸の方向に相互に向き合う端面の一部を覆う絶縁層延長部を一体的に有し、
前記素子本体の前記第1軸に沿う幅をW0とし、
前記素子本体の第2軸方向の端面に形成された前記絶縁層延長部の前記第1軸に沿う幅をW1とした場合に、
W1/W0が、1/30以上3/8未満であり、
前記外部電極が前記素子本体の第2軸方向の端面に形成された前記絶縁層延長部の少なくとも一部を覆っていることを特徴とする積層電子部品の製造方法。
図1は、本発明の実施形態に係る積層セラミックコンデンサの概略断面図である。 図2Aは、図1に示すIIA‐IIA線に沿う断面図である。 図2Bは、図1に示すIIB‐IIB線に沿う断面図である。 図2Cは、図2Bに示すIIC‐IIC線に沿う断面図である。 図2Dは、図2Bに示すIID‐IID線に沿うセラミック焼結体の断面図である。 図3は、図2Bの要部断面図である。 図4は、図1に示す積層セラミックコンデンサの製造過程におけるグリーンシートの積層工程を示す概略断面図である。 図5A(a)は、図4に示すV‐V線に沿うn層目の内部電極パターン層の一部を示す平面図であり、図5A(b)は、n+1層目の内部電極パターン層の一部を示す平面図である。 図5Bは、図4に示すV‐V線に沿う内部電極パターン層の一部を示す平面図である。 図6Aは図4に示すグリーンシートを積層後の積層体のX‐Z軸平面に平行な概略断面図である。 図6Bは図4に示すグリーンシートを積層後の積層体のY‐Z軸平面に平行な概略断面図である。 図7は本実施例の固着強度の測定方法を説明する模式図である。
本実施形態に基づき、図面を参照しつつ詳細に説明するが、本発明は以下に説明する実施形態のみに限定されない。
また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
積層セラミックコンデンサの全体構成
本実施形態に係る積層電子部品の一実施形態として、積層セラミックコンデンサの全体構成について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2は、セラミック焼結体4と、第1外部電極6と、第2外部電極8とを有する。また、図2に示すように、セラミック焼結体4は、素子本体3と絶縁層16とを有する。
素子本体3は、X軸およびY軸を含む平面に実質的に平行な内側誘電体層10と内部電極層12とを有し、内側誘電体層10の間に内部電極層12がZ軸の方向に沿って交互に積層してある。ここで、「実質的に平行」とは、ほとんどの部分が平行であるが、多少平行でない部分を有していてもよいことを意味し、内部電極層と内側誘電体層は、多少、凹凸があったり、傾いていたりしてもよいという趣旨である。
内側誘電体層10と、内部電極層12とが交互に積層される部分が内装領域13である。
また、素子本体3は、その積層方向Z(Z軸)の両端面に、外装領域11を有する。外装領域11は、内装領域13を構成する内側誘電体層10よりも厚い外側誘電体層を複数積層して形成してある。
なお、以下では、「内側誘電体層10」および「外側誘電体層」をまとめて、「誘電体層」と記載する場合がある。
内側誘電体層10および外装領域11を構成する誘電体層の材質は、同じでも異なっていても良く、特に限定されず、たとえば、ABOなどのペロブスカイト構造の誘電体材料やニオブ酸アルカリ系セラミックを主成分として構成される。
ABOにおいて、Aは、たとえばCa、Ba、Srなどの少なくとも一種、Bは、Ti、Zrなどの少なくとも一種である。A/Bのモル比は、特に限定されず、0.980〜1.020である。
このほか、副成分として、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムのようなアルカリ金属化合物、酸化マンガン、希土類元素酸化物、酸化バナジウム等が挙げられるがこれらに限定されない。その含有量も組成等に応じて適宜決定すればよい。
なお、副成分として、二酸化珪素、酸化アルミニウムを用いることで、焼成温度を低下させることができる。また、副成分として、酸化マグネシウムのようなアルカリ金属化合物、酸化マンガン、希土類元素酸化物、酸化バナジウム等を用いることで、寿命の改善ができる。
本実施形態では、内側誘電体層10および外側誘電体層の積層数は、用途等に応じて適宜決定すればよい。
交互に積層される一方の内部電極層12は、セラミック焼結体4のY軸方向第1端部の外側に形成してある第1外部電極6の内側に対して電気的に接続してある引出部12Aを有する。また、交互に積層される他方の内部電極層12は、セラミック焼結体4のY軸方向第2端部の外側に形成してある第2外部電極8の内側に対して電気的に接続してある引出部12Bを有する。
内装領域13は、容量領域14と引出領域15A,15Bとを有する。容量領域14は、積層方向に沿って内部電極層12が内側誘電体層10を挟んで積層する領域である。引出領域15Aは、外部電極6に接続する内部電極層12の引出部12Aの間に位置する領域である。引出領域15Bは、外部電極8に接続する内部電極層12の引出部12Bの間に位置する領域である。
内部電極層12に含有される導電材は特に限定されず、Ni、Cu、Ag、Pd、Al、Ptなどの金属、またはそれらの合金を用いることができる。Ni合金としては、Mn,Cr,CoおよびAlから選択される1種以上の元素とNiとの合金が好ましく、合金中のNi含有量は95重量%以上であることが好ましい。なお、NiまたはNi合金中には、P等の各種微量成分が0.1重量%程度以下含まれていてもよい。
内部電極層12は、市販の電極用ペーストを使用して形成してもよく、内部電極層12の厚みは用途等に応じて適宜決定すればよい。
図2に示すように、セラミック焼結体4のX軸方向の両端面には、素子本体3の内部電極層12の端部を覆う絶縁層16が備えられている。
本実施形態では、絶縁層16と内側誘電体層10との界面に、絶縁層16の構成成分の少なくとも一つが内側誘電体層10に拡散した反応相が形成されていてもよい。絶縁層16と内側誘電体層10との界面に反応相を有することで、素子本体3の側面がガラスで埋められ、界面の空隙率を最小限に抑えることができる。これにより、素子本体3の端面の絶縁性が向上し、耐電圧性を向上できる。また、誘電体層10と絶縁層16の界面に反応相を有することで、誘電体層と絶縁層16の界面の接着性を向上させることができる。これにより、素子本体3と絶縁層16のデラミネーションを抑制し、その抗折強度を高めることができる。
反応相の認定については、例えば、セラミック焼結体の誘電体層と絶縁層の界面について、Si元素のSTEM−EDS分析を行い、Si元素のマッピングデータを得て、Si元素が存在する箇所を反応相と認定できる。
また本実施形態では、積層方向(Z軸方向)に隣接する誘電体層10で挟まれる内部電極層12のX軸方向端部は、素子本体3のX軸方向端面、すなわち、誘電体層10のX軸方向端部から内側に所定の引込み距離で凹んでいる。引込み距離は、各内部電極層12毎に異なっていても良いが、その平均は、たとえば0以上であり、好ましくは0.01〜1μmである。
なお、絶縁層16を形成する前の素子本体3のX軸方向端面を、バレル研磨などで研磨することで、内部電極層12のX軸方向端部の引き込みを無くすことも可能である。内部電極層12のX軸方向端部の引き込みは、たとえば内部電極層12を形成する材料と誘電体層10を形成する材料との焼結収縮率の違いにより形成される。
本実施形態の絶縁層16は、素子本体3のY軸方向の端面のX軸方向の両端部を覆う絶縁層延長部16aを一体的に有する。また、図2Bに示すように、外部電極6,8のX軸方向の両端部は、素子本体3のY軸方向の端面に形成された絶縁層延長部16aの少なくとも一部を覆っている。
本実施形態の絶縁層16の弾性率は30GPa以上100Gpa以下である。
従来、積層セラミックコンデンサに高い電圧をかけると、誘電体層の電歪により、素子本体がX軸方向に変形する問題があった。また、図2Cに示すように、積層セラミックコンデンサをハンダ付けでプリント基板に実装した場合、P2方向のたわみによる力が加わると、積層セラミックコンデンサの角部に応力が集中する問題もあった。
これに対して、本実施形態の絶縁層16は、素子本体3のY軸方向の端面のX軸方向の両端部を覆う絶縁層延長部16aを一体的に有するとともに、誘電体層に比べて低い所定の弾性率を有する。これにより、高い電圧をかけることにより生じる誘電体層の電歪による素子本体のX軸方向の変形を抑え、プリント基板へ伝わるたわみによる応力や電歪による応力を緩和することができる。その結果、電歪やたわみによる構造欠陥を低減させることが可能になった。
上記の観点から、図2Bまたは図3に示すように、外部電極6,8は、絶縁層延長部16aおよびX軸方向の端面に形成された絶縁層16のY軸方向の端部を覆っていることが好ましい。
なお、絶縁層16の弾性率が30GPa以上100GPa以下の場合、絶縁層16の弾性率が30GPaより低い場合に比べて、絶縁層16の変形に絶縁層16自体が耐えられ、絶縁層16のクラックや剥がれなどの構造欠陥が低減される傾向となる。
また、絶縁層16の弾性率が30GPa以上100GPa以下の場合、絶縁層16の弾性率が100GPaよりも高い場合に比べて、電歪による応力を十分に緩和でき、角部のクラック防止の効果を発揮できる。
上記の観点から、絶縁層16の弾性率は、40GPa〜90GPaであることが好ましく、50GPa〜90GPaであることがより好ましい。
また、絶縁層16は、図2Aに示すように、素子本体3におけるZ軸方向の両端面のX軸方向の端部を一部覆う絶縁層延長部16aを有していてもよい。さらに、本実施形態では、図1に示す外部電極6,8のZ軸方向の両端部は、図2Aに示す絶縁層16のY軸方向の両端部をZ軸方向の両側からは覆ってはいないが、覆うように構成しても良い。
絶縁層16の軟化点は500℃〜1000℃であることが好ましい。これにより、前後の工程で発生し得る構造欠陥を抑制することができる。上記の観点から、絶縁層16の軟化点は500℃〜900℃であることがより好ましい。
本実施形態の絶縁層16を構成する成分は、上記した弾性率を満たせば、特に限定されず、例えば、セラミック、アルミニウム、ガラス、チタンや、エポキシ樹脂などの樹脂が挙げられるが、ガラス成分で構成されていることが好ましい。絶縁層16をガラス成分で構成することにより、固着強度が良好になる。これは、ガラスと素子本体3との界面に反応相が形成されるため、ガラスと素子本体3の密着性が他の絶縁性物質に比べて優れているためであると考えられる。
なお、反応相とは、絶縁層の構成成分の少なくとも一つが誘電体層に拡散した相である。
ガラス成分としては、SiO系ガラス、Bi系ガラス、ZnO系ガラスなどが挙げられる。
素子本体3の端面を絶縁層16で被覆することにより、絶縁性が高められるだけでなく、外部からの環境負荷に対して、耐久性、耐湿性が増す。また、焼成後のセラミック焼結体4の端面を絶縁層16が被覆するため、サイドギャップの幅が小さく、かつ、均一な絶縁層16を形成することができる。
絶縁層16にガラス成分を使用した場合には、シール性が高いため、耐湿性が向上する。また、絶縁層16に樹脂を使用した場合には、弾性率が小さく、応力緩和し易くなるというメリットがある。
なお、絶縁層16に樹脂を使用する場合にはフィラーを含有することが好ましい。
本実施形態の絶縁層16を構成するガラス成分は特に限定されず、例えば、SiO、B、BaO、SrO、Naなどのアルカリ金属酸化物、ZnO、TiO、Al、CaOを含むが、SiO、Alを含有することが好ましい。これにより、ガラスの耐めっき性を向上させることができる。
また、本実施形態の絶縁層16は、BiおよびNaOをそれぞれ5質量%未満含むことが好ましい。これにより、耐めっき性を向上させることができる。上記の観点から、本実施形態の絶縁層16は、BiおよびNaOをそれぞれ0〜3質量%含有することがより好ましい。
外部電極6,8の材質も特に限定されないが、Cu、Ag、Pd、Pt、Auあるいはこれらの合金、導電性樹脂など公知の導電材を用いることができる。外部電極6,8の厚さは用途等に応じて適宜決定すればよい。
なお、図1において、X軸、Y軸およびZ軸は、相互に垂直であり、Z軸が、内側誘電体層10および内部電極層12の積層方向に一致し、Y軸が、引出領域15A,15B(引出部12A,12B)が形成される方向に一致する。
素子本体3の形状やサイズは、目的や用途に応じて適宜決定すればよいが、X軸方向の幅W0は0.1mm〜1.6mm、Y軸方向の長さL0は0.2mm〜3.2mm、Z軸方向の高さH0は0.1mm〜1.6mmであることが好ましい。
後述する本実施形態の製造方法によれば、従来に比べて取得容量の向上が可能となる。この際に、素子本体3のサイズが上記のサイズである場合に、その効果がより顕著となる。上記の観点から、本実施形態の素子本体3のサイズは、X軸方向の幅W0は0.1mm〜0.5mm、Y軸方向の長さL0は0.2mm〜1.0mm、Z軸方向の高さH0は0.1mm〜0.5mmであることがより好ましい。
本実施形態では、図2Aに示すように、絶縁層16のうち、セラミック焼結体4の幅方向(X軸方向)に沿って、素子本体3のX軸方向の端面から絶縁層16の外面までの区間をギャップ部としている。
本実施形態では、ギャップ部のX軸方向の幅Wgapは、セラミック焼結体4の幅方向(X軸方向)に沿って、素子本体3のX軸方向の端面から絶縁層16のX軸方向の端面までの寸法に一致するが、幅Wgapは、Z軸方向に沿って均一である必要はなく、多少変動していても良い。幅Wgapの平均は、好ましくは、0.5μm〜30μmであり、素子本体3の幅W0に比較すれば、きわめて小さい。本実施形態では、従来に比較して、幅Wgapをきわめて小さくすることが可能になり、しかも、内部電極層12の引き込み長さが十分に小さい。そのため、本実施形態では、小型でありながら、大きな容量の積層コンデンサを得ることができる。
なお、素子本体3の幅W0は、内側誘電体層10のX軸方向に沿う幅に一致する。
Wgapを上記の範囲内とすることで、クラックが発生しにくくなると共に、セラミック焼結体4がより小型化されても、静電容量の低下が少ない。
本実施形態では、図3に示すように、絶縁層16のY軸方向の両端部では、素子本体3のY軸方向の両端面のX軸方向の両端部を覆う絶縁層延長部16aが絶縁層16に一体的に形成してある。素子本体3のX軸方向の端面からの絶縁層延長部16aのX軸方向に沿う幅をW1とした場合に、
W1/W0が、1/30以上3/8未満である。
W1/W0が、1/30以上の場合は、W1/W0が1/30未満の場合に比べて、素子本体3のY軸方向の端面が絶縁層16によって十分保護されているため、外部電極6,8の一部となる金属ペースト膜焼き付け後のめっき工程において、めっき液の侵入を十分に防止することができる。実際に、めっき工程の後に外部電極6,8とセラミック焼結体4との界面に存在するめっき成分の割合を測定したところ低減できることが判明した。
また、W1/W0が、3/8未満の場合は、W1/W0が3/8以上の場合に比べて、素子本体3のY軸方向の端面において、露出している内部電極層12の面積が十分であることから、内部電極層12と外部電極6,8の導通がとれ易く、静電容量のバラつきを抑制できる効果がある。
上記の観点から、W1/W0は、より好ましくは1/20〜1/3である。
幅W1は、例えば、後述する絶縁層用ペーストのX軸方向の厚みを調節することで制御できる。
図3に示すように、素子本体3の端面に沿う仮想線と、絶縁層延長部16aの縁端部の曲面の接線がなす角の角度をθ1とした場合、本実施形態では、θ1が45°以下であることが好ましい。絶縁層延長部16aの縁端部の角度θ1が45°以下の場合、Y軸方向の端面に存在する絶縁層延長部16aの縁端部において、応力が集中しにくく、絶縁層16の縁端部を起点としたクラックを大幅に防止することができる。
上記の観点から、θ1は、10°〜40°であることがより好ましい。
θ1は、例えば、後述する絶縁層用ペーストの粘度や、絶縁層用ペーストを素子本体3に焼き付ける際の焼き付け保持時間を調整することにより制御できる。
また、図3に示すように、素子本体3のY軸方向の端面からの絶縁層16におけるY軸方向の最大厚みをMfとして、素子本体3のX軸方向の端面からの絶縁層16におけるX軸方向の最大厚みをMtとした場合に、Mf/Mtは0.5≦Mf/Mt≦2.0であることが好ましい。これにより、実装の際の固着強度が良好になる。
Mf/Mtが0.5≦Mf/Mt≦2.0の場合、Mf/Mtが0.5未満の場合に比べて、Y軸方向の端面側の被覆が十分であり、電歪によるクラックの影響が生じにくい。
Mf/Mtが0.5≦Mf/Mt≦2.0の場合、Mf/Mtが2.0より大きい場合に比べて、実装の際のはんだノリが良好であり、ハンダと外部電極6,8との固着強度が良好となる。
上記の観点から、Mf/Mtは、0.8〜1.5であることがより好ましい。
Mf/Mtは、たとえば、後述する絶縁層用ペーストの素子本体3へのディップ時間またはディップ回数などを調整することで制御できる。
Mfは、5μm〜20μmであることが好ましい。これにより、音鳴きを低減できる。
図3に示すように、素子本体3のY軸方向の端部から、Mtの部分までのY軸方向に沿う長さをαとして、素子本体3のY軸方向の端部からの絶縁層16を覆う外部電極6,8のY軸方向に沿う被覆長さをβとした場合、α/βは、1/30≦α/β<1であることが好ましい。
1/30≦α/β<1の場合は、α/βが1/30より小さい場合に比べて、外部電極6,8の被覆長さが短く、外部電極6,8を覆うめっきの伸びによるショートの発生率を低くすることができる。
一方、1/30≦α/β<1の場合は、α/βが1以上の場合に比べて、外部電極6,8の被覆長さが長く、固着強度を良好にすることができる。
また、Mt/βは、1/30〜1/10であることが好ましい。これにより、耐熱衝撃性および固着強度を良好にすることができる。
セラミック焼結体4のX軸方向の両側の幅Wgapは相互に同じでも異なっていてもよい。また、セラミック焼結体4のX軸方向の両側の幅W1も相互に同じでも異なっていてもよい。
また、絶縁層16は、図1に示す素子本体3のY軸方向の両端面は広く覆っていないことが好ましい。素子本体3のY軸方向の両端面には、外部電極6,8が形成されて内部電極12と接続される必要があるからである。
内側誘電体層10の厚みtdと内部電極層12の厚みteの比は、特に限定されないが、td/teが2〜0.5であることが好ましい。また、外装領域11の厚みtoと素子本体3の高さH0の比は、特に限定されないが、to/H0が0.01〜0.05であることが好ましい。
積層セラミックコンデンサの製造方法
次に、本発明の一実施形態としての積層セラミックコンデンサ2の製造方法について具体的に説明する。
本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2は、ペーストを用いた通常の印刷法やシート法によりグリーンチップを作製し、これを焼成した後、絶縁層用ペーストを塗布し、焼き付けし、外部電極6,8を印刷または転写して焼成することにより製造される。
まず、焼成後に図1に示す内側誘電体層10を構成することになる内側グリーンシート10aおよび外側誘電体層を構成することになる外側グリーンシート11aを製造するために、内側グリーンシート用ペーストおよび外側グリーンシート用ペーストを準備する。
内側グリーンシート用ペーストおよび外側グリーンシート用ペーストは、通常、セラミック粉末と有機ビヒクルとを混練して得られた有機溶剤系ペースト、または水系ペーストで構成される。
セラミック粉末の原料としては、複合酸化物や酸化物となる各種化合物、たとえば炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物などから適宜選択され、混合して用いることができる。セラミック粉末の原料は、本実施形態では、平均粒子径が0.45μm以下、好ましくは0.1〜0.3μm程度の粉体として用いられる。なお、内側グリーンシートをきわめて薄いものとするためには、グリーンシート厚みよりも細かい粉体を使用することが望ましい。
有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中に溶解したものである。有機ビヒクルに用いるバインダは特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニルブチラール等の通常の各種バインダから適宜選択すればよい。用いる有機溶剤も特に限定されず、アルコール、アセトン、トルエン等の各種有機溶剤から適宜選択すればよい。
また、グリーンシート用ペースト中には、必要に応じて、各種分散剤、可塑剤、誘電体、副成分化合物、ガラスフリット、絶縁体などから選択される添加物が含有されていてもよい。
可塑剤としては、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチルやフタル酸ベンジルブチルなどのフタル酸エステル、アジピン酸、燐酸エステル、グリコール類などが例示される。
次に、焼成後に図1に示す内部電極層12A,12Bを構成することになる内部電極パターン層12aを製造するために、内部電極層用ペーストを準備する。内部電極層用ペーストは、上記した各種導電性金属や合金からなる導電材と、上記した有機ビヒクルとを混練して調製する。
導電材としてNiを用いる場合は、例えば、市販のCVD法、湿式化学還元法等を用いて作製したNiの粉体を用いてもよい。
焼成後に図1に示す外部電極6,8を構成することになる外部電極用ペーストは、上記した内部電極層用ペーストと同様にして調製すればよい。
上記にて調製した内側グリーンシート用ペーストおよび内部電極層用ペーストを使用して、図4に示すように、内側グリーンシート10aと、内部電極パターン層12aと、を交互に積層し、内部積層体13aを製造する。そして、内部積層体13aを製造した後に、外側グリーンシート用ペーストを使用して、外側グリーンシート11aを形成し、積層方向に加圧してグリーン積層体を得る。
なお、グリーン積層体の製造方法としては、上記の他、外側グリーンシート11aに直接内側グリーンシート10aと内部電極パターン層12aとを交互に所定数積層して、積層方向に加圧してグリーン積層体を得てもよい。
具体的には、まず、ドクターブレード法などにより、支持体としてのキャリアシート(たとえばPETフィルム)上に、内側グリーンシート10aを形成する。内側グリーンシート10aは、キャリアシート上に形成された後に乾燥される。
次に、図4に示すように、内側グリーンシート10aの表面に、内部電極層用ペーストを用いて、内部電極パターン層12aを形成し、内部電極パターン層12aを有する内側グリーンシート10aを得る。
この際、図5A(a)に示すように、n層目において、Y軸方向に内部電極パターン層12aの隙間32を形成し、X軸方向には連続する平坦な内部電極パターン層12aを形成する。
次に、図5A(b)に示すように、n+1層目においてもY軸方向に内部電極パターン層12aの隙間32を形成し、X軸方向には連続する平坦な内部電極パターン層12aを形成する。この際、n層目とn+1層目の内部電極パターン層の隙間32は積層方向であるZ軸方向において、重ならないように形成される。
このようにして、内部電極パターン層12aを有する内側グリーンシート10aを複数積層して、内部積層体13aを製造した後に、内部積層体13aの上下に外側グリーンシート用ペーストを使用して、適宜の枚数の外側グリーンシート11aを形成し、積層方向に加圧してグリーン積層体を得る。
次に、図5A(a)、図5A(b)、図6A、図6BのC1切断面およびC2切断面に沿って、グリーン積層体を切断してグリーンチップを得る。C1は、Y‐Z軸平面に平行な切断面であり、C2は、Z‐X軸平面に平行な切断面である。
図5A(a)に示すように、n層目において内部電極パターン層12aを切断するC2切断面の両隣のC2切断面は、内部電極パターン層12aの隙間32を切断する。また、n層目において内部電極パターン層12aを切断したC2切断面は、n+1層目においては内部電極パターン層12aの隙間32を切断する。
このような切断方法によりグリーンチップを得ることで、グリーンチップのn層目の内部電極パターン層12aは、グリーンチップのC2切断面において、一の切断面では露出し、他の切断面では露出しない構成となる。また、グリーンチップのn+1層目の内部電極パターン層12aは、グリーンチップのC2切断面において、n層目で内部電極パターン層12aが露出した方の切断面では、内部電極パターン層12aは露出せず、n層目で内部電極パターン層12aが露出していない方の切断面では、内部電極パターン層12aが露出する構成となる。
さらに、グリーンチップのC1切断面においては、全ての層で内部電極パターン層12aが露出する構成となる。
また、内部電極パターン層12aの形成方法としては、特に限定されず、印刷法、転写法の他、蒸着、スパッタリングなどの薄膜形成方法により形成されていてもよい。
また、内部電極パターン層12aの隙間32に段差吸収層20を形成してもよい。段差吸収層20を形成することで、グリーンシート10aの表面で内部電極パターン層12aによる段差がなくなり、最終的に得られるセラミック焼結体4の変形防止に寄与する。
段差吸収層20は、たとえば内部電極パターン層12aと同様にして、印刷法などで形成される。段差吸収層20は、グリーンシート10aと同様なセラミック粉末と有機ビヒクルを含むが、グリーンシート10aと異なり、印刷により形成されるために、印刷しやすいように調製してある。印刷法としては、スクリーン印刷、グラビア印刷などが例示される。
グリーンチップは、固化乾燥により可塑剤が除去され固化される。固化乾燥後のグリーンチップは、メディアおよび研磨液とともに、バレル容器内に投入され、水平遠心バレル機などにより、バレル研磨される。バレル研磨後のグリーンチップは、水で洗浄され、乾燥される。乾燥後のグリーンチップに対して、脱バインダ工程、焼成工程、必要に応じて行われるアニール工程を行うことにより、素子本体3が得られる。
脱バインダ工程は、公知の条件とすればよく、たとえば、保持温度を200〜400℃とすればよい。
本実施形態において、焼成工程およびアニール工程は、還元雰囲気で行う。その他の焼成条件またはアニール条件は、公知の条件とすればよく、たとえば、焼成の保持温度は1000℃〜1300℃であり、アニールの保持温度は500℃〜1000℃である。
脱バインダ工程、焼成工程およびアニール工程は、連続して行なっても、独立して行なってもよい。
上記のようにして得られた素子本体3のY軸方向の両端面および/またはZ軸方向の両端面に、必要に応じて、例えばバレル研磨やサンドブラストなどにより端面研磨を施す。
次に、上記素子本体3のX軸方向の両端面に、絶縁層用ペーストを塗布し、焼き付けることにより、絶縁層16を形成し、図1および図2Aに示すセラミック焼結体4を得る。この絶縁層16により、絶縁性が高められるだけでなく、耐湿性も良好とされる。
絶縁層用ペーストを塗布する場合には、ペーストが、素子本体3のX軸方向の両端部のみではなく、素子本体3のY軸方向の両端面でX軸方向の両端部にも塗布されるようにする。また、素子本体3のZ軸方向の両端面でX軸方向の両端部にも塗布されるようにしても良い。
絶縁層をガラスで構成する場合には、この絶縁層用ペーストは、例えば上記したガラス原料と、エチルセルロースを主成分とするバインダと分散媒であるターピオネールおよびアセトンとをミキサーで混練して得る。
素子本体3への絶縁層用ペーストの塗布方法は特に限定されず、例えば、ディップ、印刷、塗布、蒸着、噴霧等が挙げられるが、W1/W0やMf/Mtを調整する観点から、ディップにより塗布することが好ましい。
素子本体3に絶縁層用ペーストを塗布して、乾燥、脱バインダ処理、焼き付けを行い、セラミック焼結体4を得る。
絶縁層用ペーストが塗布された素子本体3の焼き付け条件は特に限定されず、例えば、加湿Nまたは乾燥Nの雰囲気において、700℃〜1300℃、2分〜60分保持し、焼き付けられる。
焼き付け時に液状化したガラス成分は、内側誘電体層10の端部から内部電極層12の端部までの空隙に毛細管現象により容易に入り込む。従って、絶縁層16により、上記空隙が確実に満たされ、絶縁性が高められるだけでなく、耐湿性も良好とされる。
上記のようにして得られたセラミック焼結体4のY軸方向の両端面および/またはZ軸方向の両端面に、必要に応じて、例えばバレル研磨やサンドブラストなどにより端面研磨を施す。
次に、絶縁層16が焼き付けられたセラミック焼結体4のY軸方向の両端面に、外部電極用ペーストを塗布して焼き付けし、外部電極6,8を形成する。外部電極6,8の形成については、絶縁層16の形成後に行っても良く、絶縁層16の形成と同時に行っても良いが、好ましくは、絶縁層16を形成した後が良い。
また、外部電極6,8の形成方法についても特に限定されず、外部電極用ペースト(金属ペースト)の塗布・焼き付け、メッキ、蒸着、スパッタリングなどの適宜の方法を用いることができる。
そして、必要に応じ、外部電極6,8の下地膜となる金属ペースト焼き付け膜の表面に、めっき等により被覆層を形成して外部電極6,8としてもよい。
このようにして製造された本実施形態の積層セラミックコンデンサ2は、ハンダ付等によりプリント基板上などに実装され、各種電子機器等に使用される。
従来は、誘電体層の一部をギャップ部としていたため、グリーンシートの表面のうち、焼成後にギャップ部となる部分には、X軸方向に沿って所定間隔で内部電極パターン層を形成しない余白パターンを形成していた。
これに対して、本実施形態では、内部電極パターン層はX軸方向に沿って連続して形成され、ギャップ部は、素子本体に絶縁層を形成することにより得られる。このため、ギャップ部を形成するための余白パターンを形成しない。したがって、従来の方法とは異なり、グリーンシートに平坦な内部電極パターン層の膜が形成される。このため、グリーンシートの面積当りのグリーンチップの取得個数が従来に比べて増加できる。
また、本実施形態では、従来と異なり、グリーン積層体の切断時に余白パターンを気にせずに済むため、従来に比べて、切断歩留まりが改善されている。
さらに、従来は、グリーンシートを積層すると、余白パターン部分は、内部電極パターン層が形成されている部分に比べて厚みが薄く、切断する際に、グリーンチップの切断面付近が湾曲してしまう問題があった。また、従来は内部電極パターン層の余白パターン部分近くに、盛り上がりが形成されるため、内部電極層に凹凸が生じ、これらを積層することで、内部電極またはグリーンシートが変形するおそれがあった。これに対して、本実施形態では、余白パターンを形成せず、内部電極パターン層の盛り上がりも形成されない。
さらに、本実施形態は、内部電極パターン層が平坦な膜であり、内部電極パターン層の盛り上がりが形成されず、また、ギャップ部付近において、内部電極パターン層の滲みやカスレが生じないため、取得容量を向上できる。この効果は、素子本体が小さければ小さいほど顕著である。
また、従来は、誘電体層の一部をギャップ部としていたため、X軸方向の積層ズレおよび切断ズレが生じ易く、これにより、静電容量のバラつきが生じていた。これに対して、本実施形態では、誘電体層の一部をギャップ部とせずに、切断後で焼結後の素子本体に絶縁層を形成してこれをギャップ部の一部としている。これにより、X軸方向の積層ズレと切断ズレを防止することが可能になり、静電容量のバラつきを抑制することができる。
また、本実施形態では、焼成後の素子本体3に絶縁層用ペーストを焼き付けることにより、素子本体3に絶縁層16を形成してある。この構造を採ることにより、電子部品の耐湿性を良好にし、熱衝撃や物理的な衝撃などの外部環境変化に対する耐久性を向上させることができる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
たとえば、内部電極パターン層12aは、図5A(a)、図5A(b)に示したパターンに限定されず、図5Bに示すように、格子状の内部電極パターン層12aの隙間32を有するパターンであってもよいし、図示していないが、短冊状の複数の内部電極パターン層が所定の間隔で並んでいるパターンであってもよい。
また、本発明の積層電子部品は、積層セラミックコンデンサに限らず、その他の積層電子部品に適用することが可能である。その他の積層電子部品としては、誘電体層が内部電極を介して積層される全ての電子部品であり、たとえばバンドパスフィルタ、チップインダクタ、積層三端子フィルタ、圧電素子、チップサーミスタ、チップバリスタ、チップ抵抗、その他の表面実装(SMD)チップ型電子部品などが例示される。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
実施例1
下記の通り、試料番号1〜試料番号8のコンデンサ試料(積層セラミックコンデンサ2)を作製して、めっき液侵入の有無の確認および静電容量のバラつきの評価を行った。
まず、BaTiO系セラミック粉末:100重量部と、ポリビニルブチラール樹脂:10重量部と、可塑剤としてのジオクチルフタレート(DOP):5重量部と、溶媒としてのアルコール:100重量部とをボールミルで混合してペースト化し、内側グリーンシート用ペーストを得た。
また、上記とは別に、Ni粒子44.6重量部と、テルピネオール:52重量部と、エチルセルロース:3重量部と、ベンゾトリアゾール:0.4重量部とを、3本ロールにより混練し、スラリー化して内部電極層用ペーストを作製した。
上記にて作製した内側グリーンシート用ペーストを用いて、PETフィルム上に、乾燥後の厚みが7μmとなるように内側グリーンシート10aを形成した。次いで、この上に内部電極層用ペーストを用いて、内部電極パターン層12aを所定パターンで印刷した後、PETフィルムからシートを剥離し、内部電極パターン層12aを有する内側グリーンシート10aを得た。
図4に示すように、内部電極パターン層12aを有する内側グリーンシート10aを積層して、内部積層体13aを製造した後に、内部積層体13aの上下に外側グリーンシート用ペーストを使用して、適宜の枚数の外側グリーンシート11aを形成し、積層方向に加圧してグリーン積層体を得た。外側グリーンシート用ペーストは、内側グリーンシート用ペーストと同様の方法により得た。
次に、図5A(a)、図5A(b)、図6A、図6Bに示すように、グリーン積層体をC1切断面およびC2切断面に沿って切断してグリーンチップを得た。
次に、得られたグリーンチップについて、脱バインダ処理、焼成およびアニールを下記条件にて行って、素子本体3を得た。
脱バインダ処理条件は、昇温速度:60℃/時間、保持温度:260℃、温度保持時間:8時間、雰囲気:空気中とした。
焼成条件は、昇温速度:200℃/時間、保持温度:1000℃〜1200℃とし、温度保持時間を2時間とした。冷却速度は200℃/時間とした。なお、雰囲気ガスは、加湿したN+H混合ガスとした。
アニール条件は、昇温速度:200℃/時間、保持温度:500℃〜1000℃、温度保持時間:2時間、冷却速度:200℃/時間、雰囲気ガス:加湿したNガスとした。
なお、焼成およびアニールの際の雰囲気ガスの加湿には、ウェッターを使用した。
試料番号1〜試料番号8ごとに、焼き付け後に弾性率の異なる絶縁層16となる絶縁層用ペーストをディップで塗布した。
絶縁層用ペーストは、ガラス粉末と、エチルセルロースを主成分とするバインダと分散媒であるターピネオールおよびアセトンとをミキサーで混練して調製した。
絶縁層用ペーストに含まれるガラス粉末の組成は、重量比で、SiO:30重量%、BaO:15重量%、CaO:15重量%、SrO:20重量%、NaO:6重量%、KO:5重量%であり、残部は、微少成分であった。
ディップの際に、素子本体3の降下時間を一定として(30秒)、絶縁層用ペーストのX軸方向の厚みを調整することで、絶縁層16の被覆長さW1を制御した。試料番号1〜試料番号8の絶縁層用ペーストのX軸方向の厚みは、表1に示す通りであった。
素子本体3のX軸方向の端面の全面とY軸方向の端面のX軸方向の端部とZ軸方向の端面のX軸方向の端部に絶縁層用ペーストをディップにより塗布した後、乾燥させ、得られたチップについて、ベルトコンベア炉を用いて、脱バインダ処理および焼き付けを行い、素子本体3に絶縁層16を形成してセラミック焼結体4を得た。絶縁層用ペーストの乾燥、脱バインダ処理、焼き付け条件は以下の通りとした。
乾燥
温度:180℃
脱バインダ処理
昇温速度:1000℃/時間
保持温度:500℃
温度保持時間:0.25時間
雰囲気:空気中
焼き付け
昇温速度:700℃/時間
保持温度:700℃〜1000℃
温度保持時間:0.5時間
雰囲気:加湿したNガス
得られたセラミック焼結体4のY軸方向の端面をバレル処理により研磨した。
次に、平均粒径0.4μmの球状のCu粒子とフレーク状のCu粉の混合物100重量部と、有機ビヒクル(エチルセルロース樹脂5重量部をブチルカルビトール95重量部に溶解したもの)30重量部、およびブチルカルビトール6重量部とを混練し、ペースト化した外部電極用ペーストを得た。
得られた外部電極用ペーストをセラミック焼結体4のY軸方向の端面に転写し、N雰囲気で850℃にて10分間焼き付けして外部電極6,8を形成し、外部電極6,8表面に、めっきにより被覆層を形成して積層セラミックコンデンサ2を得た。なお、得られた積層セラミックコンデンサ2の外部電極6,8は素子本体3のY軸方向の端面に形成された絶縁層延長部16aの少なくとも一部を覆っていた。
上記のようにして製造したコンデンサ試料(積層セラミックコンデンサ2)のサイズは、3.2×2.5×1.5mmであり、内側誘電体層10は10層であった。なお、内側誘電体層の厚みは5.0μmであり、内部電極層12の厚みは約1.2μmであり、ギャップ部の幅Wgapは約20.0μmであった。
得られたコンデンサ試料等を下記の方法で測定または評価した。
<W1/W0>
コンデンサ試料がZ軸方向の主面を下にして立つように樹脂埋めを行い、他方の主面を積層セラミックコンデンサ2のZ軸方向に沿って研磨し、素子本体3のZ軸方向の長さが、1/2H0となる研磨断面を得た。次に、この研磨断面に対しイオンミリングを行い、研磨によるダレを除去した。このようにして、観察用の断面を得た。
次に、断面において、図2に示す素子本体のX軸に沿う幅W0および絶縁層延長部のX軸に沿う幅W1を測定した。幅の測定には、デジタルマイクロスコープ(キーエンス社製VHXマイクロスコープ)を使用し、2000倍レンズで観察および測定を行った。なお、θ1の測定は上記の測定方法に限定されるものではなく、1000倍〜3000倍の倍率で観察できる機器であればよい。
1つの試料について2つの絶縁層16のW0を測定し、1つの試料について絶縁層16の隅の4箇所でW1を測定した。この作業をコンデンサ試料30個に対して行い、W1/W0の平均を求めた。結果を表3に示す。ただし、絶縁層が欠損している箇所についてはカウントしなかった。
<めっき液侵入の有無>
外部電極6,8の下地膜となる銅ペースト焼き付け膜を形成した後、めっき形成前のセラミック焼結体4を100個用意し、これらを容積150mlの回転バレル((株)山本鍍金試験器製ミニバレルモデル1−B)に直径1.2mmの鋼球50mlとともに投入し、Niアノードと、導電性カソードと、バレルとをニッケルめっき浴(ワット浴)に浸漬し、該バレルを0.2s−1(12rpm)で回転させ、アノード、カソード間に電流密度5A/mの電流を240分間通電し、銅ペースト焼き付け膜を形成したセラミック焼結体4に電解Niめっきを施し、膜厚約2μmのNi被膜を形成した。
次いで、Snアノードと、導電性カソードと、前記銅ペースト焼き付け膜とNi被膜が形成されたセラミック焼結体4を内有したバレルとをSnめっき浴に浸漬して該バレルを0.2s−1で回転させ、アノード、カソード間に電流密度2.5A/mの電流を600分間通電し、銅ペースト焼き付け膜とNi被膜が形成されたセラミック焼結体4に電解Snめっきを施し、膜厚約7μmのSn被膜を形成した。
このようにして得た積層セラミックコンデンサ2(コンデンサ試料)をバレルから取り出した。その後、100個のコンデンサ試料の中から10個をランダムに取り出し、コンデンサ試料の外部電極6,8の下地膜(銅ペースト焼き付け膜)とセラミック焼結体4の界面へのめっき液の浸入の有無を評価した。すなわち、コンデンサ試料の外部電極6,8が形成された端面(Y軸方向の端面)に垂直な断面について、EDX(Energy Depressive X−ray Analysis:エネルギ分散型X線分析法)で外部電極6,8とセラミック焼結体4との界面にSnが検出されるかどうかを調べた。結果を表1に示す。表1に記載した数値は、評価したサンプル数に対して、外部電極6,8とセラミック焼結体4との界面にSnが検出されたサンプル数の割合を示したものである。なお、Snが2atm%以上検出されたサンプルを、Snが検出されたサンプルとした。
<静電容量のバラつき>
めっき形成後のコンデンサ試料(積層セラミックコンデンサ2)100個の静電容量をLCRメーターを用いて測定した。なお、静電容量の測定は周波数1kHz、0.5Vrmsで測定した。規定の静電容量(1μF)を100%として、実際の静電容量値と規定の静電容量値の差の絶対値の平均値をパーセンテージで表記したものを静電容量のバラつきと定義した。結果を表1に示す。
Figure 0006406191
表1より、W1/W0が1/50超5/12未満の場合(試料番号3〜試料番号6)は、めっき液の侵入が無いことが確認できた。
これに対して、W1/W0が1/50以下の場合(試料番号1、試料番号2)は、めっき液が侵入することが確認できた。
表1より、W1/W0が1/50超5/12未満の場合(試料番号3〜試料番号6)は、W1/W0が5/12以上の場合(試料番号7および試料番号8)に比べて静電容量のバラつきが良好であることが確認できた。
試料番号7および試料番号8は、W1/W0が大き過ぎたため、外部電極と内部電極層の接触面積が狭くなり、その結果、静電容量のバラつきが大きくなったと考えられる。
実施例2
「絶縁層用ペーストの組成」、「絶縁層用ペーストの焼き付けの保持温度」、「絶縁層用ペーストの焼き付けの最高温度における保持時間」以外は、実施例1と同様にして試料番号11〜試料番号18のコンデンサ試料(積層セラミックコンデンサ2)を作製して、W1/W0の測定、めっき液侵入の有無の確認、静電容量のバラつきの評価、縁端部の角度θ1の測定、耐熱衝撃試験後の角部クラック発生率の評価を行った。結果を表2に示す。
なお、試料番号11〜試料番号18のW1/W0の測定、めっき液侵入の有無および静電容量のバラつきの評価は、実施例1と同様にして行った。縁端部の角度θ1の測定、耐熱衝撃試験後の角部クラック発生率の評価は後述の通りである。
まず、試料番号11〜試料番号18の「絶縁層用ペースト」は、焼き付け後に同一の弾性率の絶縁層16となる絶縁層用ペーストを用いた。
また、この絶縁層用ペーストの粘度が表2に記載の粘度になるように、絶縁層用ペースト中のαテルピネオールの含有量を調整した。
さらに、絶縁層用ペーストの焼き付けの際の保持温度を700℃として、焼き付けの最高温度における保持時間を表2に記載の時間に調整することで、縁端部の絶縁層16の角度を制御した。
縁端部の角度θ1の測定方法および耐熱衝撃試験後の角部クラック発生率の評価方法は、以下の通りである。
<縁端部の角度θ1>
3つのコンデンサ試料がZ軸方向の主面を下にして立つように樹脂埋めを行い、他方の主面を積層セラミックコンデンサ2のZ軸方向に沿って研磨し、素子本体3のZ軸方向の長さが、1/2H0となる研磨断面を得た。次に、この研磨断面に対しイオンミリングを行い、研磨によるダレを除去した。このようにして、観察用の断面を得た。
次に、断面において、図3に示す絶縁層16の縁端部の角度θ1を測定した。1つのコンデンサ試料について絶縁層16の隅の4箇所でW1を測定した。この作業をコンデンサ試料30個に対して行い、θ1の平均を求めた。結果を表2に示す。ただし、絶縁層が欠損している箇所についてはカウントしなかった。
なお、θ1の測定には、デジタルマイクロスコープ(キーエンス社製VHXマイクロスコープ)を使用し、2000倍レンズで観察し、画像として取り出した後に分度器にて角度を測定した。なお、θ1の測定は上記の測定方法に限定されるものではなく、1000倍〜3000倍の倍率で観察できる機器であればよい。
<耐熱衝撃性試験後の角部クラック発生率>
コンデンサ試料に対して、下記(i)工程〜(iv)工程からなる1つの熱処理サイクルを施した。1つの熱処理サイクルは、(i)基板およびコンデンサ試料を、コンデンサ試料の温度が−55℃となる温度条件のもとで30分保持する工程、(ii)上記保持時間の10%の時間(3分)以内にコンデンサ試料の温度を125℃まで昇温する工程、(iii)コンデンサ試料の温度が125℃となる温度条件のもとで30分保持する工程、(iv)上記保持時間の10%の時間(3分)以内にコンデンサ試料の温度を−55℃まで降温する工程とからなる。
次いで、耐熱衝撃試験後のコンデンサ試料の構造欠陥について調べた。実体顕微鏡により、上記の縁端部の角度θ1を測定した際と同様の研磨断面の観察を行い、それぞれ20個のコンデンサ試料の角部のクラック発生率を求めた。なお、クラックはヒビも含む。この際、角部以外に生じているクラックについてはカウントしなかった。
Figure 0006406191
表2より、縁端部の角度θ1が50°未満の場合(試料番号11〜試料番号16)は、縁端部の角度θ1が50°以上の場合(試料番号17、試料番号18)に比べて、耐熱衝撃試験後の角部クラック発生率が良好であることが確認できた。
実施例3
絶縁層16の弾性率が表3に記載の通りとなり、ペースト粘度が102Pa・sであり、組成が表4の通りである絶縁層用ペーストを用いて、ベルトコンベア炉による焼き付け保持時間を7分とした以外は実施例1と同様にして試料番号19〜試料番号27のコンデンサ試料(積層セラミックコンデンサ2)を作製して、弾性率、縁端部の角度θ1およびW1/W0の測定ならびにめっき液侵入の有無の確認ならびに静電容量のバラつきおよび交流耐電圧試験後の角部クラック発生率の評価を行った。結果を表3に示す。
なお、試料番号19〜試料番号27の縁端部の角度θ1およびW1/W0の測定ならびにめっき液侵入の有無の確認および静電容量のバラつきの評価は実施例1または実施例2と同様に行った。弾性率の測定方法と交流耐電圧試験後の角部クラック発生率の評価方法は以下の通りである。
<弾性率>
弾性率はコンデンサ試料のX軸方向の端面に対してナノインデンテーションによる押し込み深さ試験にて測定した。結果を表3に示す。具体的な方法は以下のとおりである。なお、押し込み試験装置にはENT−1100a(エリオニクス製)を使用した。
(1) まず、コンデンサ試料のX軸方向の端面を上に向けた状態でサンプルステージに設置し、ホットワックスにて固定した。
(2) その後、コンデンサ試料のX軸方向の端面中央にダイヤモンド圧子が位置するようにし、押し込み最大荷重が500mNの測定条件にて押し込み試験を行った。
<交流耐電圧試験後の角部クラック発生率>
交流耐電圧試験を行うことにより、コンデンサ試料に電歪を生じさせ、角部のクラックの発生率を調べた。交流耐電圧試験は、絶縁抵抗計を用いて測定した。空気中で、昇圧速度30Vrms/secで50Hzの交流電圧を印加して放電を開始する電圧を測定した。次いで、絶縁破壊試験後に角部のクラックの有無について調べた。実体顕微鏡による上記の縁端部の角度θ1を測定した際と同様の研磨断面の観察から角部のクラック発生率をそれぞれ求めた。結果を表3に示す。なお、角部以外に生じているクラックについてはカウントしなかった。
Figure 0006406191
Figure 0006406191
表3より、弾性率が25GPa超105GPa未満の場合(試料番号21〜試料番号24)は、弾性率が25GPa以上の場合(試料番号19、試料番号20)および弾性率が105GPa以上の場合(試料番号25〜試料番号27)に比べて交流耐電圧試験後の角部クラック発生率が良好であることが確認できた。
実施例4
「絶縁層の弾性率」および「素子本体に塗布する絶縁層用ペーストの厚み」以外は、実施例1と同様にして試料番号28〜試料番号36のコンデンサ試料(積層セラミックコンデンサ2)を作製して、弾性率、縁端部の角度θ1、W1/W0およびMf/Mtの測定ならびに固着強度の評価を行った。結果を表5に示す。
なお、試料番号28〜試料番号36の弾性率、縁端部の角度θ1およびW1/W0の測定は、実施例1〜実施例3と同様にして行った。Mf/Mtの測定および固着強度の評価は後述の通りである。
まず、試料番号28〜試料番号36は、同一の弾性率の絶縁層16となる絶縁層用ペーストを用いた。
「素子本体に塗布する絶縁層用ペーストの厚み」は、素子本体3の降下時間および回数を表5に記載の通りに調整することで、絶縁層用ペーストの厚みを変化させて、W1およびMf/Mtを制御した。
<Mf/Mt>
縁端部の角度θ1の測定と同様にして、観察用の断面を得た。
次に、断面において、図3に示すMfおよびMtを測定した。1つのコンデンサ試料について絶縁層16の隅の4箇所でMf/Mtを求めた。この作業をコンデンサ試料30個に対して行い、Mf/Mtの平均を求めた。結果を表5に示す。ただし、絶縁層が欠損している箇所についてはカウントしなかった。
なお、MfおよびMtの測定には、デジタルマイクロスコープ(キーエンス社製VHXマイクロスコープ)を使用し、5000倍レンズで観察および測定を行った。
<固着強度>
固着強度は、図7に示すように、コンデンサ試料102を回路基板104に実装した状態で、超硬の加圧治具106をコンデンサ試料102のX軸方向の端面に向けて30mm/minの速度で移動させて、加圧治具106により、矢印P1方向からコンデンサ試料102を加圧した。このとき、10Nの荷重でコンデンサ試料102が破壊するか否かによって固着強度を評価した。コンデンサ試料100個について試験を行った。結果を表5に示す。評価基準としては、固着強度不良率が10%未満をより良好、10%以上15%未満を良好とした。なお、本実施例に係るコンデンサ試料102の内部構造は、図1に示す積層セラミックコンデンサ2と同様である。
Figure 0006406191
表5より、Mf/Mtが0.1より大きく、2.2未満の場合(試料番号28、試料番号30〜試料番号34)は、Mf/Mtが0.1の場合(試料番号29)またはMf/Mtが2.2以上の場合(試料番号35、試料番号36)に比べて、固着強度が良好であることが確認できた。
実施例5
絶縁層16の弾性率が表6に記載の通りとなる絶縁層用ペーストを用いて、絶縁層用ペーストの焼き付けの際の保持温度を700℃にして、絶縁層16をガラスとした以外は実施例1と同様にして試料番号37を作製した。
また、絶縁層用ペーストに代えて、絶縁層16の弾性率が表6に記載の通りとなる樹脂を用いて、素子本体3に樹脂を塗布後、180℃の乾燥のみを行い、脱バインダ処理および焼き付けを行わなかった以外は、実施例1と同様にして試料番号38を作製した。なお、樹脂はフィラーを含有していた。
さらに、絶縁層用ペーストの成分を、絶縁層16の弾性率が表6に記載の通りとなるセラミックに代えて、焼き付けの際の保持温度を1000℃にした以外は、実施例1と同様にして試料番号39を作製した。
試料番号37〜試料番号38について、実施例2〜実施例4と同様にして、耐熱衝撃試験後の角部クラック発生率、交流耐電圧試験後の角部クラック発生率および固着強度を評価した。結果を表6に示す。
Figure 0006406191
表6より、絶縁層がガラスである場合(試料番号37)は、絶縁層が樹脂(フィラー含有)の場合(試料番号38)または、絶縁層がセラミックの場合に比べて固着強度が良好であることが確認できた。
以上のように、本発明に係る積層電子部品は、小型高容量で使用されることが多いノートパソコンやスマートフォンに用いる電子部品として有用である。
2,102… 積層セラミックコンデンサ
3… 素子本体、
4… セラミック焼結体
6… 第1外部電極
8… 第2外部電極
10… 内側誘電体層
10a… 内側グリーンシート
11… 外装領域
11a… 外側グリーンシート
12… 内部電極層
12A,12B… 引出部
12a… 内部電極パターン層
13… 内装領域
13a… 内部積層体
14… 容量領域
15A,15B…引出領域
16… 絶縁層
16a… 絶縁層延長部
20… 段差吸収層
32… 内部電極パターン層の隙間
40… ハンダ
42,104… 基板
106… 加圧治具

Claims (4)

  1. 第1軸および第2軸を含む平面に実質的に平行な内部電極層と誘電体層とが第3軸の方向に沿って交互に積層された素子本体を備える積層電子部品であって、
    前記素子本体の前記第1軸の方向に相互に向き合う一対の側面にそれぞれ絶縁層が備えられており、
    前記素子本体の前記第2軸の方向に相互に向き合う一対の端面に、前記内部電極層と電気的に接続される外部電極がそれぞれ備えられており、
    前記絶縁層は、前記素子本体の前記第2軸の方向に相互に向き合う端面の一部を覆う絶縁層延長部を一体的に有し、
    前記素子本体の前記第1軸に沿う幅をW0とし、
    前記素子本体の前記第2軸方向の端面に形成された前記絶縁層延長部の前記第1軸に沿う幅をW1とした場合に、
    W1/W0が、1/30以上3/8未満であり、
    前記外部電極が前記素子本体の前記第2軸方向の端面に形成された前記絶縁層延長部の少なくとも一部を覆っており、
    前記素子本体の端面に沿う仮想線と、前記素子本体の前記第2軸方向の端面に形成された前記絶縁層延長部の縁端部の曲面の接線がなす角の角度θ1が45°以下であることを特徴とする積層電子部品。
  2. 前記絶縁層の弾性率は、30GPa以上100GPa以下である請求項1に記載の積層電子部品。
  3. 前記素子本体の前記端面からの前記絶縁層における前記第2軸方向の最大厚みをMfとして、
    前記素子本体の前記側面からの前記絶縁層における前記第1軸方向の最大厚みをMtとした場合に、
    Mf/Mtが0.5≦Mf/Mt≦2.0で表される請求項1または2に記載の積層電子部品。
  4. 前記絶縁層がガラス成分で構成されている請求項1〜3のいずれかに記載の積層電子部品。
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