JP6405699B2 - ジルコニア焼結体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、精密加工部品,光コネクター部品及び粉砕機用部材などの構造部材や歯科材及び人工骨材などの生体材料に使用される、特に機械的強度及び耐水熱特性に優れたジルコニア焼結体及びその製造方法に関するものである。
イットリア安定化正方晶ジルコニアセラミックスは、機械的特性(強度・靭性)に優れているため、光コネクター部品,精密加工部品,粉砕メディア,粉砕機用部材,刃物等の幅広い用途で使用されている。高強度・高靭性の発現は、応力集中場で準安定相の正方晶が体積膨張を伴って安定相の単斜晶へ相変態するために、破壊エネルギー吸収と圧縮応力が生じるためにクラックの進展が抑制される応力誘起相変態による強化(変態強化)機構で理解されている。
一方、このジルコニアセラミックスは、水雰囲気下では、長期間の間に除々に正方晶が単斜晶へ自発的に相変態するために、体積膨張に起因する微細クラックが発生して強度・靭性が低下する劣化現象が起こることが指摘されている。最近では、様々な用途での高性能化の要求が高まってきており、特に使用環境の厳しい条件でも劣化しない品質信頼性の高い、即ち、機械的特性に優れ、かつ、製品寿命の長いものが求められている。品質信頼性は、水熱処理による劣化加速試験で評価されている。
このジルコニア材料の本質的な欠点である劣化を改善するために、出発原料であるジルコニア粉末に様々な添加物を加えて焼結性を改善し、耐水熱特性を向上させようとする研究がなされている。
例えば、特許文献1には、安定化剤としてイットリアを含み、さらにジルコニウムイオンのイオン半径よりも小さいイオン半径を有する陽イオン及び/又は価数が4価以外の陽イオンの1種以上を含むジルコニア焼結体が開示されている。しかしながら、得られた焼結体の強度については、更なる高強度化の市場要求を満たすために、より一層の向上が求められていた。
また、特許文献2には、2〜4モル%のイットリアを含有し、相対密度99%以上、結晶粒径が0.15μm以下、600nmの吸収散乱係数が5.0mm−1以下の透光性ジルコニア焼結体が開示されているが、機械的強度(破壊靭性)につき未だ改善の余地があった。
特許文献3には、2〜4モル%のイットリアを含有し、3点曲げ強度が1700MPa以上のジルコニア焼結体が記載されている。特許文献3で得られるジルコニア焼結体は、製造時に一次焼結温度又はHIP温度が高いため、耐水熱劣化性が低いものである。
特開2007−332026号公報 特開2008−214168号公報 特開2008−050247号公報
本発明では、上記のような従来方法における欠点を解消し、強度及び靭性に優れており、これに加えて耐水熱劣化性に優れるジルコニア焼結体の提供;並びにそのジルコニア焼結体を簡易なプロセスにより製造することのできる製造方法の提供を目的とするものである。
本発明者らは、ジルコニア焼結過程で形成される焼結体微構造、機械的特性及び耐水熱劣化性の関係について詳細に検討し、本発明に到達した。
即ち、本発明は、
1)アルミナを0.05〜3重量%含むイットリア濃度2〜4モル%のジルコニア焼結体であり、該ジルコニア焼結体の相対密度が99.7%以上、結晶粒子の平均粒径が0.1〜0.3μm、曲げ強度が1600MPa以上、かつ、140℃の熱水中に75時間浸漬させた後の単斜晶相率が5%以下であるジルコニア焼結体。
2)ジルコニア焼結体が、シリカ及び/又はゲルマニアを含む上記1)のジルコニア焼結体。
3)2次粒子の平均粒径が0.1〜0.4μmであり、該2次粒子の平均粒径/電子顕微鏡で測定される1次粒子の平均粒径の比が1〜8、かつ、アルミニウム化合物をアルミナ換算として0.05〜3重量%含有するイットリア濃度2〜4モル%のジルコニア粉末を成形して1100〜1200℃で予備焼結させ、得られた予備焼結体を圧力50〜500MPa、温度1150〜1250℃で熱間静水圧プレス処理する上記1)又は2のジルコニア焼結体の製造方法。
4)ジルコニア粉末が、珪素及び/又はゲルマニウム化合物を含む上記3)のジルコニア焼結体の製造方法。
を要旨とするものである。
以下、本発明をさらに詳細に説明するが、最初に、本明細書において使用する用語の意味を説明する。
ジルコニア焼結体に係わる「ジルコニア」とは、イットリアが安定化剤として固溶しているものをいう。「イットリア濃度」とは、Y/(ZrO+Y)の比率をモル%として表した値をいう。「アルミナ濃度」とは、Al/(ZrO+Y+Al+GeO+SiO)の比率を重量%として表した値をいう。「シリカ濃度」とは、SiO/(ZrO+Y+Al+GeO+SiO)の比率を重量%として表した値をいう。
「ゲルマニア濃度」とは、GeO/(ZrO+Y+Al+GeO+SiO)の比率を重量%として表した値をいう。
「相対密度」とは、実験的に求めた実測密度ρと、以下に示す数式(1)〜(4)により計算されたイットリア、アルミナ、ゲルマニア及びシリカを含有するジルコニアの真密度ρを用い、(ρ/ρ)×100の比率(%)に換算して表した値のことをいう。
A=0.5080+0.06980X/(100+X) (1)
C=0.5195−0.06180X/(100+X) (2)
ρ=[124.25(100−X)+225.81X]/[150.5(100
+X)AC] (3)
ρ=100/[(mAl/3.987)+(mSi/2.2)+(mGe/6.239)+(100−(mAl+mSi+mGe))/ρ] (4)
ここで、X,mAl,mSiとmGeは、それぞれイットリア濃度(モル%),アルミナ濃度(重量%),シリカ濃度(重量%),ゲルマニア濃度(重量%)を表す。
結晶粒子に係わる「平均粒径」とは、電子顕微鏡を用いてプラニメトリック法(参考文献:山口喬,セラミックス,19,520−529(1984))により算出されたものの値をいう。
「正方晶の比率(正方晶率)」とは、X線回折(XRD)プロファイルに解析プログラムとしてRIETAN−FP(参考文献:F.Izumi,”The Rietveld Method”,Ed. by R. A. Young, Oxford University Press, Oxford (1993) Chap. 13.)を用いてリートベルト法により算出された重量%の値をいう。
「曲げ強度」とは、JIS R1601に準じた3点曲げ試験で評価した値をいう。
「単斜晶率(f)」とは、水熱処理した焼結体についてXRD測定を行い、単斜晶の(111)及び(11−1)反射の面積強度、立方晶及び正方晶の(111)反射の面積強度をそれぞれ求めて、以下の数式(5)により算出された値(%)をいう。
(%)=[I(111)+I(11−1)]×100/[I(111)+I(11−1)+I(111)+I(111)] (5)
ここで、Iは各反射の面積強度、添字m,t及びcはそれぞれ単斜晶,正方晶,立方晶を示す。
ジルコニア粉末に係わる「2次粒子の平均粒径(D)」とは、体積基準分布が中央値(メディアン)である粒子と同じ体積の球の直径をいい、マイクロトラック粒度分布測定装置によって測定したものである。
「電子顕微鏡で測定される1次粒子の平均粒径(D)」とは、電子顕微鏡写真により観察される個々の1次粒子の大きさを面積で読み取り、それを円形に換算して粒径を算出したものの平均値をいう。
本発明のジルコニア焼結体は、アルミナを0.05〜3重量%含むイットリア濃度2〜4モル%のものである。イットリア濃度を2〜4モル%とすることにより、劣化が抑制されて品質信頼性が向上すると共に、機械的特性が向上するからである。より高い品質信頼性及びより強い機械的特性を得るために、イットリア濃度としては、2.5〜3.5モル%が好ましい。また、アルミナ濃度を0.05〜3重量%とすることにより、結晶粒間の境界(粒界)に固溶偏析しているアルミニウムイオンの偏析量が多くなった結果、粒界強度が高くなって強度・靱性が高いものとなるからである。より好ましいアルミナ濃度は、0.1〜1重量%である。
さらに、上記のジルコニア焼結体の相対密度が99.7%以上、結晶粒子の平均粒径が0.1〜0.3μmでなければならない。相対密度が99.7%以上であると、強度・靭性の低下要因となる粗大気孔に由来する欠陥や亀裂のサイズが大きくなることを抑制することができる。また、平均粒径が0.1〜0.3μmにあると、品質信頼性の低下要因である自発的な相変態、即ち、劣化が抑制される。好ましい相対密度は99.8%以上であり、好ましい平均粒径は0.15〜0.25μmであり、より好ましくは0.15〜0.2μmである。この粒径範囲の条件に付け加えて、ジルコニア焼結体の結晶構造が正方晶単相(即ち、正方晶率が100%)であれば、よりいっそう劣化耐性に優れたものになる。
本発明のジルコニア焼結体は、曲げ強度が1600MPa以上、かつ、140℃の熱水中に75時間浸漬させた後の単斜晶率が5%以下である。より好ましい曲げ強度は1800MPa以上であり、特に好ましい範囲は1800〜2100MPaである。より好ましい単斜晶率は3%以下であり、特に好ましくは1%以下である。
また、本発明のジルコニア焼結体がシリカ及び/又はゲルマニアを含むことが好ましく、その場合、該シリカ濃度を好ましくは0.05〜0.5重量%、ゲルマニア濃度を好ましくは0.05〜1重量%にすると、アルミニウムイオンに加えて珪素イオン及び/又はゲルマニウムイオンも結晶粒界に固溶偏析して粒界強度を高めるので、より強度を向上させるのに効果的である。より好ましいシリカ濃度は0.05〜0.2重量%、ゲルマニア濃度は0.05〜0.5重量%である。
次に、本発明のジルコニア焼結体の製造方法について説明する。
本発明のジルコニア焼結体を得るにあたっては、2次粒子の平均粒径が0.1〜0.4μmであり、該2次粒子の平均粒径/電子顕微鏡で測定される1次粒子の平均粒径の比(D/D)が1〜8、かつ、アルミニウム化合物をアルミナ換算として0.05〜3重量%含有するイットリア濃度2〜4モル%のジルコニア粉末を用いる。
2次粒子の平均粒径を0.1〜0.4μmとすることにより、焼結性・成形性が良好であり、本発明の高い相対密度を有する焼結体を得ることができる。
また、ジルコニア粉末のD/D比を1〜8とすることにより、焼結性が良好となり、本発明の高い相対密度を有する焼結体を得ることができる。2次粒子の平均粒径としては、0.2〜0.3μmが好ましく、D/D比については1〜3又は6〜8が好ましい。
続いて、本発明では、上記のジルコニア粉末を成形して、1100〜1200℃で予備焼結させ、得られた予備焼結体を圧力50〜500MPa、温度1150〜1250℃で熱間静水圧プレス(HIP)処理する。予備焼結温度が1100℃〜1200℃の範囲にあり、かつ、HIP処理の圧力が50〜500MPa及び温度が1150〜1250℃の範囲にあることにより、焼結体の平均粒径を0.1〜0.2μmとし、本発明の高い相対密度を有する焼結体を得ることができる。
予備焼結時の昇温速度は特に限定はなく、生産性の観点から50〜200℃/時間とするのが好ましく、焼成温度の保持時間は2〜5時間が好ましい。また、HIP処理時の昇温速度も特に限定はなく、生産性の観点から500〜700℃/時間とするのが好ましく、焼成温度の保持時間は1〜2時間が好ましい。HIPでの圧力媒体としては、通常用いられるアルゴンガスで十分である。
ジルコニア粉末を成形する方法としては、加圧成形,射出成形,押出成形等の公知の方法を選択することができる。
上記のジルコニア粉末の製造方法に特に制限はなく、ジルコニア粉末の2次粒子の平均粒径、D/D比、イットリア濃度及びアルミナ濃度を満足しているものであれば、加水分解法や中和共沈法などのいかなる方法で得られたものを用いてもよい。
このような粉末としては、例えばイットリウム及びアルミニウムを含有する水和ジルコニア微粒子を900〜1100℃の温度で仮焼、粉砕して得られるジルコニア粉末や、イットリウム含有水和ジルコニア微粒子を900〜1100℃の温度で仮焼した後アルミニウム化合物を加えて湿式粉砕して得られるジルコニア粉末を例示することができる。
イットリウム及びアルミニウムを含有する水和ジルコニア微粒子としては、ジルコニウム塩水溶液の加水分解反応により得られる水和ジルコニア微粒子にイットリウム化合物及びアルミニウム化合物を添加して乾燥させればよい。
また、場合によっては、イットリウム化合物及びアルミニウム化合物を、ジルコニウム塩水溶液の加水分解反応前に予め所定量添加してから加水分解反応を行って調製した水和ジルコニア微粒子を含有する溶液を用いてもよい。
ジルコニウム塩水溶液に酸やアルカリを添加して加水分解反応させると、得られるジルコニア粉末の2次粒子の平均粒径及びD/D比が制御し易くなるので、反応の際に酸やアルカリを添加することが好ましい。添加する酸としては、塩酸,硝酸,硫酸等が挙げられる。アルカリとしては、アンモニア,水酸化ナトリウム,水酸化カリウム等が挙げられる。
水和ジルコニア微粒子の製造に用いられるジルコニウム塩としては、例えば、オキシ塩化ジルコニウム,硝酸ジルコニル,塩化ジルコニウム,硫酸ジルコニウムなどを挙げることができ、この他に水酸化ジルコニウムと酸との混合物を用いてもよい。
イットリウム化合物としては、例えば、イットリウムの塩化物,水酸化物,含水酸化物、酸化物などを挙げることができる。
また、アルミニウム化合物としては、例えば、アルミニウムの塩化物,硝酸化物,水酸化物,含水酸化物、酸化物などを挙げることができる。
また、ジルコニア粉末が珪素及び/又はゲルマニウム化合物を含む場合、ジルコニア粉末に所望の濃度になるように珪素及び/又はゲルマニウム化合物を添加すればよい。特に、イットリウム含有水和ジルコニア微粒子を仮焼した後、アルミニウム化合物と一緒にそれらの化合物を添加して湿式粉砕すれば、添加物の均一性が高まるので効果的である。
珪素化合物としては、シリカ,シリカゾル,ケイ酸などが挙げられる。ゲルマニウム化合物としては、ゲルマニア,水酸化ゲルマニウムなどが挙げられる。
以上、詳述したとおり、本発明のジルコニア焼結体は、強度及び靭性に優れており、これに加えて耐水熱劣化性に優れている。また、本発明の方法により、上記のジルコニア焼結体を簡易なプロセスにより製造することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何等限定されるものではない。
実施例・比較例中、ジルコニア粉末の2次粒子の平均粒径(D)は、マイクロトラック粒度分布計を用いて測定した。試料の前処理条件としては、粉末を蒸留水に懸濁させ、超音波ホモジナイザーを用いて3分間分散させた。
ジルコニア粉末の電子顕微鏡で測定される1次粒子の平均粒径(D)は、透過型電子顕微鏡を用い、300個の粒子を画像解析することにより求めた。
ジルコニア粉末の成形は、金型プレスにより予備成形を行ったあとに、成形圧力300MPaで冷間静水圧プレス(CIP)を行った。次いで、得られた成形体を所定温度(昇温速度;100℃/h、保持時間;2時間)に設定して予備焼結させ、アルゴンガス雰囲気中(150MPa)で所定温度(昇温速度;600℃/h、保持時間;1時間)の条件でHIP処理を行った。
ジルコニア焼結体の密度は、アルキメデス法により測定した。相対密度が80%よりも低い焼結体は、重量とサイズを測定して算出した。
結晶粒子の平均粒径は、熱エッチング処理を行ったあとに、電界放出形走査型電子顕微鏡を用いてプラニメトリック法により算出した。具体的には、顕微鏡画像上に円を描いたとき、円内の粒子数nと円周にかかった粒子数Nの合計が少なくとも200個となるような円を描いて、または200個に満たない画像の場合には、粒子数の合計(n+N)が少なくとも200個となるように数視野の画像を用いて複数の円を描き、プラニメトリック法により平均粒径を求めた。
ジルコニア結晶相の正方晶率は、XRDをステップスキャン法(2θ:15〜80°、ステップ幅:0.04°、積算時間:8秒/ステップ)で測定し、得られたプロファイルをリートベルト法により定量化することにより求めた。解析は、正方晶単相又は正方晶―立方晶混相とし、各結晶相のプロファイル関数は独立して取扱い、各元素の温度パラメーターは同一とした。
曲げ強度は、JIS R1601に準じた3点曲げ試験で評価した。
劣化加速試験は、焼結体を140℃の熱水中に所定時間浸漬させ、生成する単斜晶の比率を求めることによって評価した。単斜晶率は、浸漬処理した焼結体についてXRD測定を行い、前記の数式(5)により算出した。
実施例1
2モル/リットルのオキシ塩化ジルコニウム水溶液1リットルに1モル/リットルの塩酸1.7リットルを混合し、蒸留水を加えて塩酸を含むオキシ塩化ジルコニウム濃度0.37モル/リットルの溶液を調製した。この溶液を還流器付きフラスコ中で攪拌しながら加水分解反応を煮沸温度で250時間行った。
得られた水和ジルコニア微粒子を含む水溶液に、塩化イットリウムをイットリア濃度が3モル%になるように添加して乾燥させ、1000℃の温度で2時間仮焼した。得られた仮焼粉を水洗処理したあとに、アルミナ濃度が0.25重量%になるようにアルミナゾルを添加し湿式粉砕して乾燥させた。得られたジルコニア粉末の特性を表1に示す。
次いで、上記で得られたジルコニア粉末を成形して、1170℃で予備焼結させ、1200℃の条件でHIP処理した。得られた予備焼結体の密度,焼結体特性(相対密度,平均粒径,正方晶率,曲げ強度)と劣化加速試験(エージング時間:25時間,75時間)後の単斜晶率を表2に示す。
実施例2
アルミナゾルを添加する代わりに、アルミナ濃度が0.25重量%、シリカ濃度が0.1重量%になるようにアルミナゾルとコロイダルシリカを添加した以外は、実施例1と同様の条件でジルコニア焼結体を得た。得られたジルコニア粉末の特性を表1に、予備焼結体の密度,焼結体特性と劣化加速試験後の単斜晶率を表2に示す。
実施例3
アルミナゾルを添加する代わりに、アルミナ濃度が0.25重量%、ゲルマニア濃度が0.25重量%になるようにアルミナゾルとゲルマニア粉末を添加し、予備焼結温度を1150℃にした以外は、実施例1と同様の条件でジルコニア焼結体を得た。得られたジルコニア粉末の特性を表1に、予備焼結体の密度,焼結体特性と劣化加速試験後の単斜晶率を表2に示す。
実施例4
アルミナ濃度を0.95重量%にした以外は、実施例1と同様の条件でジルコニア焼結体を得た。得られたジルコニア粉末の特性を表1に、予備焼結体の密度,焼結体特性と劣化加速試験後の単斜晶率を表2に示す。
実施例5
1モル/リットルの塩酸0.5リットルを混合した以外は、実施例1と同様の条件でジルコニア焼結体を得た。得られたジルコニア粉末の特性を表1に、予備焼結体の密度,焼結体特性と劣化加速試験後の単斜晶率を表2に示す。
比較例1
アルミナゾルを添加しない以外は、実施例1と同様の条件でジルコニア焼結体を得た。得られたジルコニア粉末の特性を表1に、予備焼結体とHIP処理の焼結体密度を表2に示す。焼結体密度が極めて低く、その他の特性を評価することができなかった。
比較例2
1300℃で予備焼結させ、1400℃の条件でHIP処理した以外は、実施例1と同様の条件でジルコニア焼結体を得た。得られたジルコニア粉末の特性を表1に、予備焼結体の密度,焼結体特性と劣化加速試験後の単斜晶率を表2に示す。
比較例3
1150℃の温度で仮焼した以外は、実施例1と同様の条件でジルコニア焼結体を得た。得られたジルコニア粉末の特性を表1に、予備焼結体とHIP処理の焼結体密度を表2に示す。焼結体密度が極めて低く、その他の特性を評価することができなかった。
比較例4
1400℃の条件でHIP処理した以外は、実施例1と同様の条件でジルコニア焼結体を得た。得られたジルコニア粉末の特性を表1に、予備焼結体の密度,焼結体特性と劣化加速試験後の単斜晶率を表2に示す。
Figure 0006405699
Figure 0006405699
本発明のジルコニア焼結体は、精密加工部品,光コネクター部品及び粉砕機用部材などの構造部材や歯科材及び人工骨材などの生体材料に有用である。

Claims (4)

  1. アルミナを0.05〜3重量%含むイットリア濃度2〜4モル%のジルコニア焼結体であり、該ジルコニア焼結体の相対密度が99.7%以上、結晶粒子の平均粒径が0.1〜0.3μm、曲げ強度が1600MPa以上、かつ、140℃の熱水中に75時間浸漬させた後の単斜晶相率が5%以下であることを特徴とするジルコニア焼結体。
  2. ジルコニア焼結体が、シリカ及び/又はゲルマニアを含むことを特徴とする請求項1記載のジルコニア焼結体。
  3. 2次粒子の平均粒径が0.1〜0.4μmであり、該2次粒子の平均粒径/電子顕微鏡で測定される1次粒子の平均粒径の比が1〜8、かつ、アルミニウム化合物をアルミナ換算として0.05〜3重量%含有するイットリア濃度2〜4モル%のジルコニア粉末を成形して1100〜1200℃で予備焼結させ、得られた予備焼結体を圧力50〜500MPa、温度1150〜1250℃で熱間静水圧プレス処理することを特徴とする請求項1又は2記載のジルコニア焼結体の製造方法。
  4. ジルコニア粉末が、珪素及び/又はゲルマニウム化合物を含むことを特徴とする請求項3記載のジルコニア焼結体の製造方法。
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