JP6665542B2 - ジルコニア粉末及びその製造方法 - Google Patents
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Description
[2] 電子顕微鏡で測定される平均粒子径が70nm以上400nm以下である上記[1]に記載のジルコニア粉末。
[3] BET比表面積が6m2/g以上20m2/g以下である上記[1]又は[2]に記載のジルコニア粉末。
[4] 2mol%以上6mol%のイットリアを含有する上記[1]乃至[3]のいずれかに記載のジルコニア粉末。
[5] アルミナを含む上記[1]乃至[4]のいずれかに記載のジルコニア粉末。
[7] 前記洗浄工程と前記か焼工程との間に、水和ジルコニアとイットリア源とを混合するイットリア混合工程、を有する上記[6]に記載の製造方法。
[8] 前記洗浄工程後にアルミナ混合工程を有する上記[6]又は[7]に記載の製造方法。
上記式において、DBはBET比表面積から求められる平均粒子径(nm)、SはBET比表面積(m2/g)、及び、ρは理論密度(g/cm3)である。
上記式において、ρは理論密度(g/cm3)、及び、fmは後述する式より求まる単斜晶率(%)である。
/[Im(111)+Im(11−1)+It(111)]
上記式において、fmは単斜晶率(%)、Im(111)は単斜晶ジルコニアの(111)面に相当するXRDピークの面積強度、Im(11−1)は単斜晶ジルコニアの(11−1)面に相当するXRDピークの面積強度、及び、It(111)は正方晶ジルコニアの(111)面に相当するXRDピークの面積強度である。
上記式において、Dxはジルコニア結晶子の結晶子径(nm)、κはシェラー定数(1)、λは粉末X線回折測定の光源の波長(nm)、βはX線回折装置に依存する回折線幅の広がりを補正した後の半値幅(°)、及び、θは粉末X線回折測定における正方晶ジルコニアの(111)面に相当する反射のブラック角(°)である。なお、粉末X線回折測定の光源にCuKα線を用いた場合、λは0.15405nmである。
上記式において、αは未反応ジルコニウム含有率(重量%)、mは未反応ジルコニウムの含有量(mg)、及び、moは水和ジルコニアゾル水溶液のジルコニア含有量(mg)である。mは誘導結合プラズマ発光分光分析法により測定された洗浄後の濾液中のジルコニウム濃度をジルコニア(ZrO2)換算して求まる重量、及び、m0は洗浄後の水和ジルコニアゾル水溶液を1000℃以上1200℃以下で1時間加熱処理した後に得られる固形分の重量である。
(平均ゾル粒径の測定)
水和ジルコニアゾルの平均ゾル粒径は、動的光散乱式粒子径分布測定装置を用いて測定した。試料の前処理条件としては、水和ジルコニアゾル含有溶液を純水に懸濁させ、超音波ホモジナイザーを用いて3分間分散させた。
(単斜晶率の測定)
粉末X線回折測定により粉末試料のXRDパターンを得た。得られたXRDパターンから単斜晶率を求めた。測定には一般的なX線回折装置(商品名:Model RINT UltimaIII、リガク社製)を使用した。粉末X線回折測定の条件は以下のとおりである。
線源 : CuKα線(λ=0.15418nm)
測定モード : 連続スキャン
スキャンスピード : 1°/分
ステップ幅 : 0.02°
発散スリット : 0.5deg
散乱スリット : 0.5deg
受光スリット : 0.3mm
測定範囲 : 2θ=26°〜33°
透過型電子顕微鏡を用いて得られた観察図より、無作為に300個の粒子抽出した。抽出した粒子を画像解析ソフト(商品名:ImageJ)で解析することで、ジルコニア粉末のDTを求めた。
(DBの測定)
吸着ガスとして窒素を用い、流動式比表面積自動測定装置(装置名:フローソーブIII2305、島津製作所製)により粉末試料のBET比表面積を測定した。BET比表面積の測定に先立ち、粉末試料は250℃で30分間で脱気処理した。得られたBET比表面積から以下の式により、粉末試料のDBを求めた。
DB=6000/(S・ρ)
ρ=5.8×fm/100+6.1×(100−fm)/100
上記式において、DBはBET比表面積から求められる平均粒子径(nm)、SはBET比表面積(m2/g)、ρは理論密度(g/cm3)及びfmは単斜晶率(%)である。
ジルコニア顆粒の嵩密度は、JIS R1628準じた定容積測定法で求めた。
(平均顆粒径の測定)
ジルコニア顆粒の平均顆粒径は、JIS 1639−1に準じた機械ふるい分け法で求めた。
(成形体密度の測定)
成形体試料の体積を重量で除すことで成形体密度を求めた。重量は天秤で測定し、また、体積は成形体寸法から算出した。
(焼結体密度の測定)
ジルコニア焼結体の密度は、アルキメデス法により測定した。
焼結体の結晶粒子の平均結晶粒径は、電界放出型走査型電子顕微鏡を用いてプラニメトリック法により算出した。具体的には、円内の粒子数ncと円周にかかった粒子数Niの合計が少なくとも200個となるような円を顕微鏡画像上に描いき、当該nc及びNiからプラニメトリック法による平均結晶粒径を求めた。なお、粒子数Niが200個に満たない場合には、結晶粒数の合計(nc+Ni)が少なくとも200個となるように、複数視野の顕微鏡画像を用いて、それぞれ同様な円を描き、プラニメトリック法により平均結晶粒径を求めた。
測定に先立ち、焼結体試料は鏡面研磨した後、熱エッチング処理を施すことで前処理とした。鏡面研磨は、平面研削盤で焼結体表面を削ったあとに、鏡面研磨装置で平均粒径9μm、6μm及び1μmのダイヤモンド砥粒を順番に用いて研磨した。
(全光線透過率の測定)
全光線透過率は、紫外可視分光光度計(装置名:V−650、日本分光社製)を用い、波長600nmにおける全光線透過率を測定した。測定に先立ち、焼結体試料は、平均結晶粒径の測定と同様な前処理を施し、厚み1.0mmの円板状の試料とした。
(曲げ強度の測定)
曲げ強度は、JIS R1601に準じた3点曲げ試験で評価した。
(熱水処理試験)
焼結体試料の劣化を確認するため、焼結体試料を140℃の熱水に60時間浸漬処理した。処理後の焼結体はXRD測定し、当該焼結体の単斜晶率(fm)を求めた。
(ジルコニア粉末の調製)
ジルコニウム濃度が0.4mol/L及び塩化物イオン濃度が0.4mol/Lのオキシ塩化ジルコニウム水溶液を還流器付きフラスコ中で攪拌しながら煮沸温度で140時間の加水分解し、水和ジルコニアゾル水溶液を得た。水和ジルコニアゾル水溶液中の水和ジルコニアゾルは平均ゾル粒径が250nmであった。
(焼結体の作製)
本実施例のジルコニア粉末を金型プレスにより予備成形を行った後に、成形圧力200MPaでCIP処理することで、成形体を得た。得られた成形体を、成形体を大気中、1350℃で2時間焼結することでジルコニア焼結体を得た。成形体及び焼結体の評価結果を表2に示す。
実施例1と同様な方法でジルコニア粉末を得た。得られたジルコニア粉末を乳鉢で解砕し本実施例のジルコニア粉末とした。ジルコニア粉末の評価結果を表1に示した。解砕処理により、単斜晶率がわずかに増加した。
アルミナ濃度が0.25重量%となるようにアルミナゾルを水和ジルコニアゾル水溶液に添加したこと以外は実施例1と同様な方法で本実施例のジルコニア粉末を得た。得られたジルコニア粉末の特性を表1に示す。
実施例3と同様な方法でジルコニア粉末を得、これを乳鉢で解砕し本実施例のジルコニア粉末とした。得られたジルコニア粉末を用いたこと以外は実施例2と同様な方法でジルコニア顆粒を得た。得られたジルコニア顆粒は嵩密度が1.26g/cm3及び平均顆粒径が56μmであった。当該ジルコニア顆粒を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で成形及び焼結し、焼結体を得た。成形体及び焼結体の評価結果を表2に示す。
水和ジルコニアゾル水溶液にアルミナゾルを添加しなかったこと、及び、か焼を870℃で2時間で行ったこと以外は実施例1と同様な方法で本実施例のジルコニア粉末を得た。得られたジルコニア粉末の特性を表1に示す。当該ジルコニア粉末を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で成形及び焼結し、焼結体を得た。成形体及び焼結体の評価結果を表2に示す。
実施例5と同様な方法でジルコニア粉末を得、これを乳鉢で解砕し本実施例のジルコニア粉末とした。得られたジルコニア粉末を用いたこと以外は実施例2と同様な方法でジルコニア顆粒を得た。得られたジルコニア顆粒は嵩密度が1.23g/cm3及び平均顆粒径が54μmであった。当該ジルコニア顆粒を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で成形及び焼結し、焼結体を得た。成形体及び焼結体の評価結果を表2に示す。
ジルコニウム濃度が0.4mol/L及び塩化物イオン濃度が0.3mol/Lのオキシ塩化ジルコニウム水溶液を還流器付きフラスコ中で攪拌しながら煮沸温度で140時間の加水分解し、水和ジルコニアゾル水溶液を得た。水和ジルコニアゾル水溶液中の水和ジルコニアゾルは平均ゾル粒径が190nmであった。
実施例7と同様な方法でジルコニア粉末を得、これを乳鉢で解砕し本実施例のジルコニア粉末とした。得られたジルコニア粉末を用いたこと以外は実施例2と同様な方法でジルコニア顆粒を得た。得られたジルコニア顆粒は嵩密度が1.27g/cm3及び平均顆粒径が52μmであった。当該ジルコニア顆粒を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で成形及び焼結し、焼結体を得た。成形体及び焼結体の評価結果を表2に示す。
洗浄後の水和ジルコニアゾル水溶液にイットリア濃度が3mol%となるように塩化イットリウム6水和物を添加及び混合した後、アルミナ濃度が0.22重量%となるようにアルミナゾルを添加したこと以外は実施例7と同様な方法で本実施例のジルコニア粉末を得た。本実施例のジルコニア粉末の評価結果を表1に示した。
実施例9と同様な方法でジルコニア粉末を得、これを乳鉢で解砕し本実施例のジルコニア粉末とした。得られたジルコニア粉末を用いたこと以外は実施例2と同様な方法でジルコニア顆粒を得た。得られたジルコニア顆粒は嵩密度が1.29g/cm3及び平均顆粒径が52μmであった。当該ジルコニア顆粒を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で成形及び焼結し、焼結体を得た。成形体及び焼結体の評価結果を表2に示す。
ジルコニウム濃度が0.4mol/L及び塩化物イオン濃度が0.5mol/Lのオキシ塩化ジルコニウム水溶液を還流器付きフラスコ中で攪拌しながら煮沸温度で140時間の加水分解し、水和ジルコニアゾル水溶液を得た。水和ジルコニアゾル水溶液中の水和ジルコニアゾルは平均ゾル粒径が280nmであった。
実施例11と同様な方法でジルコニア粉末を得、これを乳鉢で解砕し本実施例のジルコニア粉末とした。得られたジルコニア粉末を用いたこと以外は実施例2と同様な方法でジルコニア顆粒を得た。得られたジルコニア顆粒は嵩密度が1.24g/cm3及び平均顆粒径が54μmであった。当該ジルコニア顆粒を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で成形及び焼結し、焼結体を得た。成形体及び焼結体の評価結果を表2に示す。
2mol/Lのオキシ塩化ジルコニウム水溶液2L、2mol/Lのアンモニア水1.9L、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液0.5L及び純水を混合しジルコニウム濃度が0.4mol/L及び塩化物イオン濃度が0.8mol/Lのオキシ塩化ジルコニウム水溶液を得た。
比較例1と同様な方法でジルコニア粉末を得た。得られたジルコニア粉末を0.1mol/Lのアンモニア水溶液で洗浄した後、純水で再度洗浄した。洗浄後のジルコニア粉末にアルミナ濃度が0.3重量%となるようにアルミナ粉末を添加した後、純水を加えて湿式粉砕し、本比較例のジルコニア粉末とした。本比較例のジルコニア粉末の評価結果を表1に示した。
ジルコニウム濃度が0.2mol/L及び塩化物イオン濃度が0.4mol/Lオキシ塩化ジルコニウム水溶液を煮沸温度で100時間の加水分解をして、平均ゾル粒径250nmの水和ジルコニアゾルを含む水和ジルコニアゾル水溶液Aを得た。
比較例3と同様な方法でジルコニア粉末を得た。得られたジルコニア粉末を0.1mol/Lのアンモニア水溶液で洗浄した後、純水で再度洗浄した。洗浄後のジルコニア粉末にアルミナ濃度が0.3重量%となるようにアルミナ粉末を添加した後、純水を加えて湿式粉砕し、本比較例のジルコニア粉末とした。本比較例のジルコニア粉末の評価結果を表1に示した。
か焼を大気中、800℃で2時間としたこと以外は実施例1と同様な方法で本比較例のジルコニア粉末を得た。得られたジルコニア粉末の特性を表1に示す。
2mol/Lのオキシ塩化ジルコニウム水溶液に純水を添加し、ジルコニウム濃度が0.37mol/L及び塩化物イオン濃度が0.74mol/Lのオキシ塩化ジルコニウム水溶液を得た。当該オキシ塩化ジルコニウム水溶液を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で水和ジルコニアゾル水溶液を得た。水和ジルコニアゾル水溶液中の水和ジルコニアゾルは平均ゾル粒径が100nmであり、なおかつ、未反応ジルコニウム含有量は0.01重量%であった。
Claims (9)
- BET比表面積から求められる平均一次粒子径、に対する電子顕微鏡で測定される平均一次粒子径の比が2.2以上4.0以下であるジルコニア粉末。
- 電子顕微鏡で測定される平均一次粒子径が70nm以上400nm以下である請求項1に記載のジルコニア粉末。
- BET比表面積が6m2/g以上20m2/g以下である請求項1又は2に記載のジルコニア粉末。
- 2mol%以上6mol%のイットリアを含有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のジルコニア粉末。
- アルミナを含む請求項1乃至4のいずれか一項に記載のジルコニア粉末。
- ジルコニウム塩水溶液を加水分解して平均ゾル粒子径が150nm以上400nm以下の水和ジルコニアゾルを含有する水和ジルコニアゾル水溶液を得る加水分解工程、該水和ジルコニアゾル水溶液中の未反応ジルコニウム含有率が1%以下とする洗浄工程、及び、洗浄工程後の水和ジルコニアを850℃以上1200℃以下で熱処理するか焼工程、を含む請求項1乃至5のいずれか一項に記載のジルコニア粉末の製造方法。
- 前記洗浄工程と前記か焼工程との間に、水和ジルコニアとイットリア源とを混合するイットリア混合工程、を有する請求項6に記載の製造方法。
- 前記洗浄工程後にアルミナ混合工程を有する請求項6又は7に記載の製造方法。
- 請求項1乃至5のいずれか一項に記載のジルコニア粉末を使用するジルコニア焼結体の製造方法。
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