JP6665542B2 - ジルコニア粉末及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ジルコニア焼結体の原料となるジルコニア粉末及びその製造方法に関するものである。
ジルコニア焼結体は、強度及び靱性をはじめとする機械的特性に優れているため、光コネクター部品、精密加工部品、粉砕メディア、粉砕用部材や、刃物等の用途で使用されている。ジルコニア焼結体は、長期間の間に相変態に伴う体積膨張のため、微細クラックが発生し特性が低下する点が問題点として指摘されている。
近年、これら従来の用途に加え、機械的特性のみならず光学的特性も要求される歯科用部材等の用途での適用が広がってきており、より高い機械的特性、及び、より使用環境の厳しい条件における耐劣化性が求められている。
これに対し、ジルコニア焼結体の原料であるジルコニア粉末の特性改善による検討がされている。
例えば、特許文献1には、焼結性の改善のため、BET比表面積を6〜28m/gとし、なおかつ、電子顕微鏡で測定される平均粒径/BET比表面積から求められる平均粒径比を制御したジルコニア粉末が開示されている。しかしながら、このジルコニア粉末は焼結性が改善されているものの、得られる焼結体の機械的特性が十分ではなかった。
一方、特許文献2には、BET比表面積を1〜5m/gとし、なおかつ、電子顕微鏡で測定される平均粒径/BET比表面積から求められる平均粒径の比を制御したジルコニア粉末が開示されている。しかしながら、このジルコニア粉末は、成形性が改善されているものの、緻密な焼結体を得るためには高温で焼結する必要があった。その結果得られる焼結体は耐劣化性が十分ではなかった。
特許文献3には、過剰に粉砕処理をした後に複数回の加熱処理を施すことで得られた結晶子径が20nm以下の正方晶ジルコニア粉末が開示されている。しかしながら、この正方晶ジルコニア粉末は、一次粒子間の付着力が強い凝集粉末であり、高密度の成形体を得ることができず、これにより、得られる焼結体も密度が低かった。
特開平5−193947号公報 特開平10−182156号公報 特開2004−269331号公報
本発明は、成形性及び焼結性のいずれもが優れたジルコニア粉末を提供することを目的とする。更に、本発明ではこのようなジルコニア粉末の簡易な製造方法の提供することを別の目的とする。
本発明者は、一次粒子の凝集状態を制御することで、これまで報告されているジルコニア粉末と比べ、成形性及び焼結性のいずれもが優れる粉末となることを見出した。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] BET比表面積から求められる平均粒子径、に対する電子顕微鏡で測定される平均粒子径の比が2.2以上4.0以下であるジルコニア粉末。
[2] 電子顕微鏡で測定される平均粒子径が70nm以上400nm以下である上記[1]に記載のジルコニア粉末。
[3] BET比表面積が6m/g以上20m/g以下である上記[1]又は[2]に記載のジルコニア粉末。
[4] 2mol%以上6mol%のイットリアを含有する上記[1]乃至[3]のいずれかに記載のジルコニア粉末。
[5] アルミナを含む上記[1]乃至[4]のいずれかに記載のジルコニア粉末。
[6] ジルコニウム塩水溶液を加水分解して平均ゾル粒子径が150nm以上400nm以下の水和ジルコニアゾルを含有する水和ジルコニアゾル水溶液を得る加水分解工程、該水和ジルコニアゾル水溶液中の未反応ジルコニウム含有率が1%以下とする洗浄工程、及び、洗浄工程後の水和ジルコニアを850℃以上1200℃以下で熱処理するか焼工程、を含む上記[1]乃至[5]のいずれかに記載のジルコニア粉末の製造方法。
[7] 前記洗浄工程と前記か焼工程との間に、水和ジルコニアとイットリア源とを混合するイットリア混合工程、を有する上記[6]に記載の製造方法。
[8] 前記洗浄工程後にアルミナ混合工程を有する上記[6]又は[7]に記載の製造方法。
[9] 上記[1]乃至[5]のいずれかに記載のジルコニア粉末を使用するジルコニア焼結体の製造方法。
本発明により、成形性及び焼結性のいずれもが優れたジルコニア粉末を提供することができる。更に、本発明により、このようなジルコニア粉末の簡易な製造方法を提供することができる。
本明細書における各用語は以下のとおりである。
「ゾル粒子」とは水和ジルコニアゾルのゾル結晶子から構成される独立した粒子である。また、「ゾル結晶子」とは規則的に配列したジルコニアからなる最小単位の粒子であり、ジルコニアゾル粒子を構成する粒子である。
「ジルコニア粉末」とは水和ジルコニアゾルを熱処理することで得られる粉末であって、二次粒子又は一次粒子の少なくともいずれのジルコニアの粒子から構成される。また、「二次粒子」とはジルコニアの一次粒子が凝集した凝集粒子である。二次粒子として顆粒などが挙げられる。「一次粒子」とはジルコニア結晶子から構成される独立した粒子である。さらに、「ジルコニア結晶子」とは規則的に配列したジルコニアからなる最小単位の粒子であり、一次粒子を構成する粒子である。
本発明において、「BET比表面積から求められる平均粒子径(以下、「D」ともいう。)」は、JIS R1626−1996に準じ、吸着物質を窒素(N)としたBET法1点法により求められるジルコニア粉末のBET比表面積から以下の式より求められる値である。
=6000/(S・ρ)
上記式において、DはBET比表面積から求められる平均粒子径(nm)、SはBET比表面積(m/g)、及び、ρは理論密度(g/cm)である。
また、ρは以下の式より求めることができる。
ρ=5.8×f/100+6.1×(100−f)/100
上記式において、ρは理論密度(g/cm)、及び、fは後述する式より求まる単斜晶率(%)である。
本発明における「電子顕微鏡で測定される平均粒子径(以下、「D」ともいう。)」は、ジルコニア粉末の電子顕微鏡観察図において、独立した最小単位の粒子を100個以上の無作為に抽出し、当該粒子の面積を円形に換算して算出した粒子径の平均値である。
本発明における「単斜晶率」は、ジルコニア粉末の結晶相に含まれる単斜晶ジルコニアの割合であり、ジルコニア粉末の粉末X線回折パターンについて、以下の式で求められる値である。
=[I(111)+I(11−1)]×100
/[I(111)+I(11−1)+I(111)]
上記式において、fは単斜晶率(%)、I(111)は単斜晶ジルコニアの(111)面に相当するXRDピークの面積強度、I(11−1)は単斜晶ジルコニアの(11−1)面に相当するXRDピークの面積強度、及び、I(111)は正方晶ジルコニアの(111)面に相当するXRDピークの面積強度である。
本発明おける「粉砕」とは、外的な力をジルコニア粉末に加え、一次粒子を分散させる処理であり、「解砕」とは、粉砕前のジルコニア粉末に対する粉砕後のジルコニア粉末の単斜晶率の増加率(以下、「単斜晶増加率」ともいう。)が5%以下となる粉砕が挙げられる。一方、「機械粉砕」とは単斜晶増加率が5%を超える粉砕である。
以下、本発明のジルコニア粉末について具体的に説明する。
本発明のジルコニア粉末は、Dに対するDの比(以下、「D/D比」ともいう。)が2.2以上4.0以下である。D及びDはいずれも一次粒子径を表す指標である。Dはジルコニア結晶子の状態を反映した値であり、一方、Dはジルコニア結晶子の状態を反映しない見かけ上の値である。D/D比が本発明の範囲外のジルコニア粉末は、一次粒子同士の部分的な焼結、いわゆるネッキング、による粒子の凝集が過度に進行した粉末、又は、一次粒子同士が強固な物理的な力で凝集した凝集粉末となる。このようなジルコニア粉末を用いてジルコニア焼結体を得る場合は、機械粉砕により一次粒子を分散させる必要がある。しかしながら、機械粉砕はジルコニア粉末中に多量の単斜晶が生成するため、ジルコニア粉末は焼結性が低下する。これに対し、本発明のジルコニア粉末は上記のD/D比を満たすことで機械粉砕を必要としない。これにより、本発明のジルコニア粉末は単斜晶を多量に含むことによる焼結性の低下がないジルコニア粉末として供することができる。好ましいD/D比として2.3以上3.5以下、更には2.3以上3.0以下を挙げることができる。
本発明のジルコニア粉末は、上記のD/D比を満たした上で、Dが70nm以上400nm以以下、更には100nm以上300nm以下、また更には100nm以上250nm以下であることが好ましい。Dが上記の範囲を満たすことで適度な焼結速度を有する粉末となる。このようなD及びD/D比を満たすことで、高い成形性を有し、なおかつ、より低い温度での焼結における高密度化が可能となる。
本発明のジルコニア粉末は、上記のD/D比を満たし、なおかつ、BET比表面積が6m/g以上20m/g以下、更には9m/g以上20m/g以下であることが好ましい。BET比表面積が20m/g以下であることで一次粒子の凝集が抑制され、操作性(ハンドリング)に優れた粉末となりやすい。一方、BET比表面積が6m/g以上であることで適度な焼結性を有する粉末となる。焼結性及び成形性を兼備させる観点から、BET比表面積は10m/g以上20m/g以下、更には11m/g以上19m/g以下であることが好ましい。
本発明のジルコニア粉末は、上記のD/D比、更には、上記のD/D比及びDを満たせば、任意の/Dであればよい。好ましいDとして50nm以上170nm以下、更には50nm以上110nm以下、また更には50nm以上100nm以下、また更には50nm以上90nm以下を挙げることできる。
本発明のジルコニア粉末は、以下の式により求められるジルコニア結晶子の粒子径(以下、「結晶子径」又は「D」ともいう。)が、15nm以上40nm以下、更には18nm以上35nm以下であることが好ましい。
=κλ/(βcosθ)
上記式において、Dxはジルコニア結晶子の結晶子径(nm)、κはシェラー定数(1)、λは粉末X線回折測定の光源の波長(nm)、βはX線回折装置に依存する回折線幅の広がりを補正した後の半値幅(°)、及び、θは粉末X線回折測定における正方晶ジルコニアの(111)面に相当する反射のブラック角(°)である。なお、粉末X線回折測定の光源にCuKα線を用いた場合、λは0.15405nmである。
本発明のジルコニア粉末は、ネッキングをほとんど有さないため、機械粉砕が不要である。本発明のジルコニア粉末の単斜晶率は10%以下、更には8%以下、また更には4%以下であり、従来のジルコニア粉末に比べて非常に単斜晶が少ない状態で、一次粒子が分散した粉末となる。これにより、本発明のジルコニア粉末は成形性が優れるのみならず、焼結性にも優れたジルコニア粉末となる。
本発明のジルコニア粉末は2mol%以上6mol%のイットリアを含有することが好ましい。イットリア含有量は2mol%以上4mol%以下、更には2.5mol%以上3.5mol%以下であることが好ましい。これにより、本発明のジルコニア粉末が正方晶を主相とする結晶相となる。
なお、本発明において、イットリア含有量は、ジルコニア粉末中のジルコニア(ZrO)及びイットリア(Y)の合計に対するイットリアのモル割合である。
本発明のジルコニア粉末は、アルミナ(Al)を含んでいてもよく、アルミナ含有量は0重量%以上0.3重量%以下、更には0重量%以上0.25重量%以下であればよい。アルミナを含有することでより低い温度で焼結が進行しやすくなる。本発明のジルコニア粉末がアルミナを含有する場合、アルミナ含有量は0.01重量%以上0.3重量%以下、更には0.01重量%以上0.25重量%以下であることが好ましい。
なお、本発明において、イットリア含有量は、ジルコニア粉末中のジルコニア(ZrO)、イットリア(Y)及びアルミナ(Al)の合計に対するアルミナの重量割合である。
本発明のジルコニア粉末は成形性が高く、密度の高い成形体が容易に得られる。例えば、本発明のジルコニア粉末を、プレス成形による予備成形をした後190MPa以上210MPa以下の圧力で冷間静水圧プレス(以下、「CIP」ともいう。)処理した場合、密度が3.00g/cm以上3.15g/cm以下の成形体が得られる。
本発明のジルコニア粉末は成形性が高いことに加え、焼結性が高い。従って、焼結温度が1400℃未満、更には1325℃以上1375℃以下で焼結した場合であっても、6.05g/cm更には6.07g/cmの高い密度を有する焼結体とすることができる。これにより本発明のジルコニア粉末から得られる焼結体は、劣化しにくい焼結体、すなわち、長期間使用後も単斜晶が生成しにくい焼結体となる。さらに本発明のジルコニア粉末から得られる焼結体は上記の密度を有し、なおかつ、平均結晶粒径が250nm以上320nm以下、更には250nm以上310nm以下の微細な組織とすることができるため、劣化しにくいのみならず、機械的強度にも優れた焼結体となる。
このように成形性及び焼結性が高いため、本発明のジルコニア粉末を使用してジルコニア焼結体を製造することができる。ジルコニア焼結体とする際の成形条件及び焼結条件は任意である。焼結条件として、1325℃以上1400℃未満を挙げることができる。
次に、本発明のジルコニア粉末の製造方法について説明する。
本発明のジルコニア粉末は、ジルコニウム塩水溶液を加水分解して平均ゾル粒子径が150nm以上400nm以下の水和ジルコニアゾルを含有する水和ジルコニアゾル水溶液を得る加水分解工程、該水和ジルコニアゾル水溶液中の未反応ジルコニウム含有率が1%以下とする洗浄工程、及び、洗浄工程後の水和ジルコニアを850℃以上1200℃以下で熱処理するか焼工程、を含む製造方法により製造することができる。
加水分解工程では、ジルコニウム塩水溶液を加水分解する。これによりジルコニウム塩から水和ジルコニアゾルが生成し、水和ジルコニアゾル水溶液が得られる。
ジルコニウム塩水溶液に含まれるジルコニウム塩はオキシ塩化ジルコニウム,硝酸ジルコニル,塩化ジルコニウム及び硫酸ジルコニウムからなる群の少なくとも1種、更にはオキシ塩化ジルコニウムを挙げることができる。
加水分解工程で得られる水和ジルコニアゾルは、平均ゾル粒子径が150nm以上400nm以下である。平均ゾル粒子径が範囲であることで、か焼後に得られるジルコニア粉末のD/D比が本発明のジルコニア粉末の範囲内となる。水和ジルコニアゾルの平均ゾル粒子径は180nm以上400nm以下、また更には180nm以上300nm以下であることが好ましい。
上記の平均ゾル粒子径を有する水和ジルコニアゾルが得られれば加水分解の方法は任意であるが、ジルコニウム塩水溶液を煮沸還流することで加水分解できる。加水分解はジルコニウム塩が十分に進行すればよく、例えば、130時間以上200時間以下を挙げることができる。
さらに、ジルコニウム塩水溶液中の陰イオン濃度を0.2mol/L以上0.6mol/L以下、更には0.3mol/L以上0.5mol/L以下として加水分解することで、平均ゾル粒子径が150nm以上400nm以下の水和ジルコニアゾルが効率よく得られる。
加水分解工程において得られる水和ジルコニアゾル水溶液は、水和ジルコニアゾル以外に未反応のジルコニウムを含有する水溶液である。洗浄工程では、当該水溶液中の未反応ジルコニウム含有率が1重量%以下、更には0.5重量%以下、また更には0.1重量%以下とする。水和ジルコニアゾル水溶液の未反応ジルコニウム含有率が1重量%を超えると、か焼工程において一次粒子間の焼結が促進されるため、焼結性の低い粉末となりやすい。
洗浄工程では、未反応ジルコニウム含有率が1重量%以下となれば任意の洗浄方法により水和ジルコニアゾル水溶液を洗浄すればよい。洗浄方法として、例えば、加水分解工程で得られた水和ジルコニアゾル水溶液を十分量の純水で洗浄することが挙げられる。好ましい洗浄方法として、限外濾過を挙げることができ、更には分画分子量が500以上300万以下の限外濾過膜を使用した濾過を挙げることができる。
なお、未反応ジルコニウムとは、水和ジルコニアゾル水溶液に含まれるジルコニウムであって水和ジルコアゾル以外として存在するものであり、加水分解していないジルコニウム塩などが挙げられる。さらに、未反応ジルコニウム含有率は以下の式で求めることができる。
α=m/m×100
上記式において、αは未反応ジルコニウム含有率(重量%)、mは未反応ジルコニウムの含有量(mg)、及び、mは水和ジルコニアゾル水溶液のジルコニア含有量(mg)である。mは誘導結合プラズマ発光分光分析法により測定された洗浄後の濾液中のジルコニウム濃度をジルコニア(ZrO)換算して求まる重量、及び、mは洗浄後の水和ジルコニアゾル水溶液を1000℃以上1200℃以下で1時間加熱処理した後に得られる固形分の重量である。
本発明の製造方法では、洗浄工程とか焼工程との間に、水和ジルコニアとイットリア源とを混合するイットリア混合工程を有することが好ましい。これにより、得られるジルコニア粉末を目的とする量のイットリアを含有するジルコニア粉末とすることができる。
イットリア源の添加量は、得られる水和ジルコニアのイットリア濃度が2mol%以上6mol%、更には2mol%以上4mol%以下、また更には2.5mol%以上3.5mol%以下となるように水和ジルコニアに混合すればよい。
なお、イットリア濃度とは、水和ジルコニア中のジルコニアとイットリアの合計量に対するイットリアのモル割合である。
イットリア源は、イットリア(Y)又はその前駆体となるイットリウム化合物であり、塩化イットリウム、硝酸イットリウム及び酸化イットリウムからなる群の少なくとも1種、更には塩化イットリウム又は酸化イットリウムの少なくともいずれかを挙げることができる。
水和ジルコニアとイットリア源とを混合する場合の混合方法は任意である。洗浄工程後の水和ジルコニアゾル水溶液にイットリア源を混合(以下、「液相混合」ともいう。)してもよく、又は、洗浄後の水和ジルコニアゾル水溶液を固液分離及び乾燥して得られる水和ジルコニア粉末にイットリア源を混合(以下、「固相混合」ともいう。)してもよい。
液相混合の場合、水和ジルコニアゾル水溶液にイットリウム源を任意の方法で混合すればよい。ジルコニアとイットリアがより均一になるため、液相混合は、水和ジルコニアゾル水溶液にイットリウム源を混合した後にアルカリ源を混合し、イットリア含有ジルコニアを共沈させることが好ましい。共沈物として得られたイットリア含有ジルコニアは任意の方法で固液分離及び乾燥すればよい。液相混合の場合、イットリウム源は塩化イットリウム又は硝酸イットリウムの少なくともいずれかであることが好ましく、さらに、共沈させる場合、アルカリ源はアンモニア、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群の少なくとも1種であることが好ましい。
固相混合の場合、まず任意の方法で水和ジルコニアゾル水溶液を固液分離及び乾燥して水和ジルコニア粉末を得る。得られた水和ジルコニア粉末にイットリア源を混合すればよい。
か焼工程では、850℃以上1200℃以下で熱処理する。これにより本発明のジルコニア粉末が得られる。か焼が850℃未満では、ジルコニア結晶子が小さくなりすぎ、焼結性が低いジルコニア粉末となる。このようなジルコニア粉末は低温で焼結しても得られる焼結体の密度が低くなる。一方、1200℃を超える温度で熱処理するとネッキングが進行しやすくなり、機械粉砕しないと分散しない粉末となる。
好ましい熱処理条件として、大気中、870℃以上1050℃以下を挙げることができる。
本発明の製造方法では、必要に応じて、アルミナ混合工程、解砕工程又は顆粒化工程の少なくともいずれかを含んでいてもよい。
アルミナ混合工程では、アルミナ含有量が0.01重量%以上0.3重量%以下、更には0.01重量%以上0.25重量%以下となるように、水和ジルコニアゾル水溶液、水和ジルコニア粉末又はジルコニア粉末と、アルミナ源とを混合する。これにより、アルミナ含有ジルコニア粉末とすることができる。
アルミナ混合工程は、洗浄工程以降であれば任意の段階でよく、洗浄工程後又はか焼工程後の少なくともいずれかであることが好まく、イットリア混合工程と同時としてもよい。アルミナをより均一に分散させるため及びジルコニア粉末に混合による負荷をかけないため、洗浄工程後にアルミナ混合工程を有することが好ましい。
アルミナ源は、アルミナ(Al)又はその前駆体であればよく、水酸化アルミニウム、アルミナ、硝酸アルミニウム及び塩化アルミニウムからなる群の少なくともいずれかであることが好ましく、アルミナ、更にはアルミナゾルであることが好ましい。
解砕工程は、か焼工程後のジルコニア粉末の緩慢凝集を取り除くことができる。解砕方法は、ジルコニア粉末に必要以上の負荷がかからない方法で行うことが好ましい。単斜晶増加率が5%を超える機械粉砕では、粉砕により一次粒子の破壊が生じる。本発明の製造方法により得られるジルコニア粉末はネッキングを有さないため、一次粒子の破壊が生じる機械粉砕をしないことが好ましい。
顆粒化工程は、ジルコニア粉末とバインダーとを混合し造粒する。これにより、ジルコニア粉末の操作性がより向上する。顆粒化は任意の方法であればよいが、ジルコニア粉末と溶媒とを混合してスラリーを得、これを噴霧造粒することが好ましい。この場合、溶媒として、水又はアルコールの少なくともいずれか、更には水にジルコニア粉末を分散させればよい。造粒されたジルコニア粉末(以下、「ジルコニア顆粒」ともいう。)として、平均顆粒は30μm以上80μm以下、更には50μm以上60μm以下であること、及び、嵩密度が1.00g/cm以上1.40g/cm以下、更には1.10g/cm以上1.30g/cm以下であることが挙げられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(平均ゾル粒径の測定)
水和ジルコニアゾルの平均ゾル粒径は、動的光散乱式粒子径分布測定装置を用いて測定した。試料の前処理条件としては、水和ジルコニアゾル含有溶液を純水に懸濁させ、超音波ホモジナイザーを用いて3分間分散させた。
(単斜晶率の測定)
粉末X線回折測定により粉末試料のXRDパターンを得た。得られたXRDパターンから単斜晶率を求めた。測定には一般的なX線回折装置(商品名:Model RINT UltimaIII、リガク社製)を使用した。粉末X線回折測定の条件は以下のとおりである。
線源 : CuKα線(λ=0.15418nm)
測定モード : 連続スキャン
スキャンスピード : 1°/分
ステップ幅 : 0.02°
発散スリット : 0.5deg
散乱スリット : 0.5deg
受光スリット : 0.3mm
測定範囲 : 2θ=26°〜33°
(Dの測定)
透過型電子顕微鏡を用いて得られた観察図より、無作為に300個の粒子抽出した。抽出した粒子を画像解析ソフト(商品名:ImageJ)で解析することで、ジルコニア粉末のDを求めた。
(Dの測定)
吸着ガスとして窒素を用い、流動式比表面積自動測定装置(装置名:フローソーブIII2305、島津製作所製)により粉末試料のBET比表面積を測定した。BET比表面積の測定に先立ち、粉末試料は250℃で30分間で脱気処理した。得られたBET比表面積から以下の式により、粉末試料のDを求めた。
=6000/(S・ρ)
ρ=5.8×f/100+6.1×(100−f)/100
上記式において、DはBET比表面積から求められる平均粒子径(nm)、SはBET比表面積(m/g)、ρは理論密度(g/cm)及びfは単斜晶率(%)である。
(嵩密度の測定)
ジルコニア顆粒の嵩密度は、JIS R1628準じた定容積測定法で求めた。
(平均顆粒径の測定)
ジルコニア顆粒の平均顆粒径は、JIS 1639−1に準じた機械ふるい分け法で求めた。
(成形体密度の測定)
成形体試料の体積を重量で除すことで成形体密度を求めた。重量は天秤で測定し、また、体積は成形体寸法から算出した。
(焼結体密度の測定)
ジルコニア焼結体の密度は、アルキメデス法により測定した。
(平均結晶粒径の測定)
焼結体の結晶粒子の平均結晶粒径は、電界放出型走査型電子顕微鏡を用いてプラニメトリック法により算出した。具体的には、円内の粒子数nと円周にかかった粒子数Niの合計が少なくとも200個となるような円を顕微鏡画像上に描いき、当該nc及びNiからプラニメトリック法による平均結晶粒径を求めた。なお、粒子数Nが200個に満たない場合には、結晶粒数の合計(n+N)が少なくとも200個となるように、複数視野の顕微鏡画像を用いて、それぞれ同様な円を描き、プラニメトリック法により平均結晶粒径を求めた。
測定に先立ち、焼結体試料は鏡面研磨した後、熱エッチング処理を施すことで前処理とした。鏡面研磨は、平面研削盤で焼結体表面を削ったあとに、鏡面研磨装置で平均粒径9μm、6μm及び1μmのダイヤモンド砥粒を順番に用いて研磨した。
(全光線透過率の測定)
全光線透過率は、紫外可視分光光度計(装置名:V−650、日本分光社製)を用い、波長600nmにおける全光線透過率を測定した。測定に先立ち、焼結体試料は、平均結晶粒径の測定と同様な前処理を施し、厚み1.0mmの円板状の試料とした。
(曲げ強度の測定)
曲げ強度は、JIS R1601に準じた3点曲げ試験で評価した。
(熱水処理試験)
焼結体試料の劣化を確認するため、焼結体試料を140℃の熱水に60時間浸漬処理した。処理後の焼結体はXRD測定し、当該焼結体の単斜晶率(f)を求めた。
実施例1
(ジルコニア粉末の調製)
ジルコニウム濃度が0.4mol/L及び塩化物イオン濃度が0.4mol/Lのオキシ塩化ジルコニウム水溶液を還流器付きフラスコ中で攪拌しながら煮沸温度で140時間の加水分解し、水和ジルコニアゾル水溶液を得た。水和ジルコニアゾル水溶液中の水和ジルコニアゾルは平均ゾル粒径が250nmであった。
得られた水和ジルコニアゾル水溶液を限外濾過膜(分画分子量:6000)を用いて濾過したのち、十分量の純水で洗浄した。洗浄後の水和ジルコニアゾル水溶液の未反応ジルコニウム含有量は0.01重量%であった。
洗浄後の水和ジルコニアゾル水溶液にイットリア濃度が3mol%となるように塩化イットリウム6水和物を添加及び混合した後、アルミナ濃度が0.04重量%となるようにアルミナゾルを添加した。これにより、イットリア濃度3モル%、及び、アルミナ濃度0.04重量%の水和ジルコニアゾル水溶液を得た。当該水和ジルコニアゾル水溶液に濃度0.1mol/Lのアンモニア水溶液を添加し、共沈物を得た。
得られた共沈物を濾過して水洗し、大気中、120℃で乾燥した後、大気中、950℃で2時間でか焼することで、本実施例のジルコニア粉末を得た。本実施例のジルコニア粉末の評価結果を表1に示した。
(焼結体の作製)
本実施例のジルコニア粉末を金型プレスにより予備成形を行った後に、成形圧力200MPaでCIP処理することで、成形体を得た。得られた成形体を、成形体を大気中、1350℃で2時間焼結することでジルコニア焼結体を得た。成形体及び焼結体の評価結果を表2に示す。
実施例2
実施例1と同様な方法でジルコニア粉末を得た。得られたジルコニア粉末を乳鉢で解砕し本実施例のジルコニア粉末とした。ジルコニア粉末の評価結果を表1に示した。解砕処理により、単斜晶率がわずかに増加した。
解砕後のジルコニア粉末を純水と混合してスラリーとした。当該スラリーを噴霧造粒することでジルコニア顆粒とした。得られたジルコニア顆粒の評価結果を表1に示す。また、ジルコニア顆粒は嵩密度が1.25g/cm及び平均顆粒径が55μmであった。当該ジルコニア顆粒を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で成形及び焼結し、焼結体を得た。成形体及び焼結体の評価結果を表2に示す。
実施例3
アルミナ濃度が0.25重量%となるようにアルミナゾルを水和ジルコニアゾル水溶液に添加したこと以外は実施例1と同様な方法で本実施例のジルコニア粉末を得た。得られたジルコニア粉末の特性を表1に示す。
当該ジルコニア粉末を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で成形及び焼結し、焼結体を得た。成形体及び焼結体の評価結果を表2に示す。
実施例4
実施例3と同様な方法でジルコニア粉末を得、これを乳鉢で解砕し本実施例のジルコニア粉末とした。得られたジルコニア粉末を用いたこと以外は実施例2と同様な方法でジルコニア顆粒を得た。得られたジルコニア顆粒は嵩密度が1.26g/cm及び平均顆粒径が56μmであった。当該ジルコニア顆粒を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で成形及び焼結し、焼結体を得た。成形体及び焼結体の評価結果を表2に示す。
実施例5
水和ジルコニアゾル水溶液にアルミナゾルを添加しなかったこと、及び、か焼を870℃で2時間で行ったこと以外は実施例1と同様な方法で本実施例のジルコニア粉末を得た。得られたジルコニア粉末の特性を表1に示す。当該ジルコニア粉末を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で成形及び焼結し、焼結体を得た。成形体及び焼結体の評価結果を表2に示す。
実施例6
実施例5と同様な方法でジルコニア粉末を得、これを乳鉢で解砕し本実施例のジルコニア粉末とした。得られたジルコニア粉末を用いたこと以外は実施例2と同様な方法でジルコニア顆粒を得た。得られたジルコニア顆粒は嵩密度が1.23g/cm及び平均顆粒径が54μmであった。当該ジルコニア顆粒を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で成形及び焼結し、焼結体を得た。成形体及び焼結体の評価結果を表2に示す。
実施例7
ジルコニウム濃度が0.4mol/L及び塩化物イオン濃度が0.3mol/Lのオキシ塩化ジルコニウム水溶液を還流器付きフラスコ中で攪拌しながら煮沸温度で140時間の加水分解し、水和ジルコニアゾル水溶液を得た。水和ジルコニアゾル水溶液中の水和ジルコニアゾルは平均ゾル粒径が190nmであった。
得られた水和ジルコニアゾル水溶液を限外濾過膜(分画分子量:6000)を用いて濾過したのち、十分量の純水で洗浄した。洗浄後の水和ジルコニアゾル水溶液の未反応ジルコニウム含有量は0.01重量%であった。
洗浄後の水和ジルコニアゾル水溶液にイットリア濃度が3mol%となるように塩化イットリウム6水和物を添加及び混合した。これにより、イットリア濃度3モル%の水和ジルコニアゾル水溶液を得た。当該水和ジルコニアゾル水溶液に濃度0.1mol/Lのアンモニア水溶液を添加し、共沈物を得た。
得られた共沈物を濾過して水洗し、大気中、120℃で乾燥した後、大気中、900℃で2時間でか焼することで、本実施例のジルコニア粉末を得た。本実施例のジルコニア粉末の評価結果を表1に示した。
当該ジルコニア粉末を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で成形及び焼結し、焼結体を得た。成形体及び焼結体の評価結果を表2に示す。
実施例8
実施例7と同様な方法でジルコニア粉末を得、これを乳鉢で解砕し本実施例のジルコニア粉末とした。得られたジルコニア粉末を用いたこと以外は実施例2と同様な方法でジルコニア顆粒を得た。得られたジルコニア顆粒は嵩密度が1.27g/cm及び平均顆粒径が52μmであった。当該ジルコニア顆粒を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で成形及び焼結し、焼結体を得た。成形体及び焼結体の評価結果を表2に示す。
実施例9
洗浄後の水和ジルコニアゾル水溶液にイットリア濃度が3mol%となるように塩化イットリウム6水和物を添加及び混合した後、アルミナ濃度が0.22重量%となるようにアルミナゾルを添加したこと以外は実施例7と同様な方法で本実施例のジルコニア粉末を得た。本実施例のジルコニア粉末の評価結果を表1に示した。
当該ジルコニア粉末を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で成形及び焼結し、焼結体を得た。成形体及び焼結体の評価結果を表2に示す。
実施例10
実施例9と同様な方法でジルコニア粉末を得、これを乳鉢で解砕し本実施例のジルコニア粉末とした。得られたジルコニア粉末を用いたこと以外は実施例2と同様な方法でジルコニア顆粒を得た。得られたジルコニア顆粒は嵩密度が1.29g/cm及び平均顆粒径が52μmであった。当該ジルコニア顆粒を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で成形及び焼結し、焼結体を得た。成形体及び焼結体の評価結果を表2に示す。
実施例11
ジルコニウム濃度が0.4mol/L及び塩化物イオン濃度が0.5mol/Lのオキシ塩化ジルコニウム水溶液を還流器付きフラスコ中で攪拌しながら煮沸温度で140時間の加水分解し、水和ジルコニアゾル水溶液を得た。水和ジルコニアゾル水溶液中の水和ジルコニアゾルは平均ゾル粒径が280nmであった。
得られた水和ジルコニアゾル水溶液を限外濾過膜(分画分子量:6000)を用いて濾過したのち、十分量の純水で洗浄した。洗浄後の水和ジルコニアゾル水溶液の未反応ジルコニウム含有量は0.01重量%であった。
洗浄後の水和ジルコニアゾル水溶液にイットリア濃度が3mol%となるように塩化イットリウム6水和物を添加及び混合した後、アルミナ濃度が0.23重量%となるようにアルミナゾルを添加した。これにより、イットリア濃度3モル%、及び、アルミナ濃度0.23重量%の水和ジルコニアゾル水溶液を得た。当該水和ジルコニアゾル水溶液に濃度0.1mol/Lのアンモニア水溶液を添加し、共沈物を得た。
得られた共沈物を濾過して水洗し、大気中、120℃で乾燥した後、大気中、1000℃で2時間でか焼することで、本実施例のジルコニア粉末を得た。本実施例のジルコニア粉末の評価結果を表1に示した。
当該ジルコニア粉末を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で成形及び焼結し、焼結体を得た。成形体及び焼結体の評価結果を表2に示す。
実施例12
実施例11と同様な方法でジルコニア粉末を得、これを乳鉢で解砕し本実施例のジルコニア粉末とした。得られたジルコニア粉末を用いたこと以外は実施例2と同様な方法でジルコニア顆粒を得た。得られたジルコニア顆粒は嵩密度が1.24g/cm及び平均顆粒径が54μmであった。当該ジルコニア顆粒を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で成形及び焼結し、焼結体を得た。成形体及び焼結体の評価結果を表2に示す。
比較例1
2mol/Lのオキシ塩化ジルコニウム水溶液2L、2mol/Lのアンモニア水1.9L、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液0.5L及び純水を混合しジルコニウム濃度が0.4mol/L及び塩化物イオン濃度が0.8mol/Lのオキシ塩化ジルコニウム水溶液を得た。
得られたオキシ塩化ジルコニウム水溶液を還流器付きフラスコ中で攪拌しながら煮沸温度で100時間の加水分解をして、水和ジルコニアゾル水溶液を得た。水和ジルコニアゾル水溶液中の水和ジルコニアゾルは平均ゾル粒径が250nmであり、なおかつ、未反応ジルコニウム含有量は8重量%であった。
当該水和ジルコニアゾル水溶液にイットリア濃度が3mol%となるように塩化イットリウム6水和物を添加及び混合した後、加熱濃縮した。
得られた固相を噴霧乾燥した後、大気中、920℃で2時間でか焼することで、ジルコニア粉末を得た。
当該ジルコニア粉末を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で成形した。しかしながら、当該ジルコニア粉末は成形時に剥離等の欠陥が生じ、成形体を得ることができなかった。また、ジルコニア粉末はネッキングが進行した硬い凝集粒子が多数確認された。
比較例2
比較例1と同様な方法でジルコニア粉末を得た。得られたジルコニア粉末を0.1mol/Lのアンモニア水溶液で洗浄した後、純水で再度洗浄した。洗浄後のジルコニア粉末にアルミナ濃度が0.3重量%となるようにアルミナ粉末を添加した後、純水を加えて湿式粉砕し、本比較例のジルコニア粉末とした。本比較例のジルコニア粉末の評価結果を表1に示した。
得られたジルコニア粉末を用いたこと以外は実施例2と同様な方法でジルコニア顆粒を得た。得られたジルコニア顆粒は嵩密度が1.26g/cm及び平均顆粒径が57μmであった。当該ジルコニア顆粒を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で成形及び焼結し、焼結体を得た。成形体及び焼結体の評価結果を表2に示す。
比較例3
ジルコニウム濃度が0.2mol/L及び塩化物イオン濃度が0.4mol/Lオキシ塩化ジルコニウム水溶液を煮沸温度で100時間の加水分解をして、平均ゾル粒径250nmの水和ジルコニアゾルを含む水和ジルコニアゾル水溶液Aを得た。
4Lの水和ジルコニアゾル水溶液Aと、6Lの0.2mol/Lのオキシ塩化ジルコニウム水溶液とを混合した後、煮沸温度で60時間の加水分解をして、水和ジルコニアゾル水溶液Bを得た。
さらに、4Lの水和ジルコニアゾル水溶液Bと、6Lの0.2mol/Lのオキシ塩化ジルコニウム水溶液とを混合した後、煮沸温度で60時間の加水分解を行い。水和ジルコニアゾル水溶液Cを得た。水和ジルコニアゾル水溶液C中の水和ジルコニアゾルは平均ゾル粒径が700nmであり、未反応ジルコニウム含有量は6重量%であった。
当該水和ジルコニアゾル水溶液にイットリア濃度が3mol%となるように塩化イットリウム6水和物を添加及び混合した後、加熱濃縮した。
得られた固相を噴霧乾燥した後、大気中、1180℃で2時間でか焼することで、ジルコニア粉末を得た。
当該ジルコニア粉末を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で成形した。しかしながら、当該ジルコニア粉末はネッキングが進行した硬い凝集粒子を多数含んでいるため、均一な成形体を得ることができなかった。
比較例4
比較例3と同様な方法でジルコニア粉末を得た。得られたジルコニア粉末を0.1mol/Lのアンモニア水溶液で洗浄した後、純水で再度洗浄した。洗浄後のジルコニア粉末にアルミナ濃度が0.3重量%となるようにアルミナ粉末を添加した後、純水を加えて湿式粉砕し、本比較例のジルコニア粉末とした。本比較例のジルコニア粉末の評価結果を表1に示した。
得られたジルコニア粉末を用いたこと以外は実施例2と同様な方法でジルコニア顆粒を得た。得られたジルコニア顆粒は嵩密度が1.12g/cm及び平均顆粒径が57μmであった。当該ジルコニア顆粒を使用したこと、及び、焼結温度を1500℃したこと以外は実施例1と同様な方法で成形及び焼結し、焼結体を得た。成形体及び焼結体の評価結果を表2に示す。
比較例5
か焼を大気中、800℃で2時間としたこと以外は実施例1と同様な方法で本比較例のジルコニア粉末を得た。得られたジルコニア粉末の特性を表1に示す。
当該ジルコニア粉末を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で成形及び焼結し、焼結体を得た。成形体及び焼結体の評価結果を表2に示す。
比較例6
2mol/Lのオキシ塩化ジルコニウム水溶液に純水を添加し、ジルコニウム濃度が0.37mol/L及び塩化物イオン濃度が0.74mol/Lのオキシ塩化ジルコニウム水溶液を得た。当該オキシ塩化ジルコニウム水溶液を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で水和ジルコニアゾル水溶液を得た。水和ジルコニアゾル水溶液中の水和ジルコニアゾルは平均ゾル粒径が100nmであり、なおかつ、未反応ジルコニウム含有量は0.01重量%であった。
アルミナ濃度が0.25重量%となるようにアルミナゾルを添加したこと、及び、800℃で2時間仮焼したこと以外は実施例1と同様な方法でジルコニア粉末を得た。得られたジルコニア粉末の特性を表1に示す。
当該ジルコニア粉末を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で成形及び焼結し、焼結体を得た。成形体及び焼結体の評価結果を表2に示す。
Figure 0006665542
Figure 0006665542
本発明のジルコニア粉末は、ジルコニア焼結体の原料として使用することができ、粉砕機用部材,精密機械部品,光コネクター部品等の構造材料、歯科材等の生体材料、装飾部材及び電子機器外装部品等の外装材料の原料粉末に有用である。

Claims (9)

  1. BET比表面積から求められる平均一次粒子径、に対する電子顕微鏡で測定される平均一次粒子径の比が2.2以上4.0以下であるジルコニア粉末。
  2. 電子顕微鏡で測定される平均一次粒子径が70nm以上400nm以下である請求項1に記載のジルコニア粉末。
  3. BET比表面積が6m/g以上20m/g以下である請求項1又は2に記載のジルコニア粉末。
  4. 2mol%以上6mol%のイットリアを含有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のジルコニア粉末。
  5. アルミナを含む請求項1乃至4のいずれか一項に記載のジルコニア粉末。
  6. ジルコニウム塩水溶液を加水分解して平均ゾル粒子径が150nm以上400nm以下の水和ジルコニアゾルを含有する水和ジルコニアゾル水溶液を得る加水分解工程、該水和ジルコニアゾル水溶液中の未反応ジルコニウム含有率が1%以下とする洗浄工程、及び、洗浄工程後の水和ジルコニアを850℃以上1200℃以下で熱処理するか焼工程、を含む請求項1乃至5のいずれか一項に記載のジルコニア粉末の製造方法。
  7. 前記洗浄工程と前記か焼工程との間に、水和ジルコニアとイットリア源とを混合するイットリア混合工程、を有する請求項6に記載の製造方法。
  8. 前記洗浄工程後にアルミナ混合工程を有する請求項6又は7に記載の製造方法。
  9. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載のジルコニア粉末を使用するジルコニア焼結体の製造方法。
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