JP3368507B2 - ジルコニア粉末およびその製造方法 - Google Patents

ジルコニア粉末およびその製造方法

Info

Publication number
JP3368507B2
JP3368507B2 JP28220092A JP28220092A JP3368507B2 JP 3368507 B2 JP3368507 B2 JP 3368507B2 JP 28220092 A JP28220092 A JP 28220092A JP 28220092 A JP28220092 A JP 28220092A JP 3368507 B2 JP3368507 B2 JP 3368507B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
powder
average particle
zirconia
particle size
zirconia powder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP28220092A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05193948A (ja
Inventor
光二 松井
裕二 近森
理治 大貝
節夫 吉田
隆 毛利
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tosoh Corp
Original Assignee
Tosoh Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tosoh Corp filed Critical Tosoh Corp
Priority to JP28220092A priority Critical patent/JP3368507B2/ja
Publication of JPH05193948A publication Critical patent/JPH05193948A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3368507B2 publication Critical patent/JP3368507B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01GCOMPOUNDS CONTAINING METALS NOT COVERED BY SUBCLASSES C01D OR C01F
    • C01G25/00Compounds of zirconium
    • C01G25/02Oxides
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01PINDEXING SCHEME RELATING TO STRUCTURAL AND PHYSICAL ASPECTS OF SOLID INORGANIC COMPOUNDS
    • C01P2004/00Particle morphology
    • C01P2004/50Agglomerated particles
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01PINDEXING SCHEME RELATING TO STRUCTURAL AND PHYSICAL ASPECTS OF SOLID INORGANIC COMPOUNDS
    • C01P2004/00Particle morphology
    • C01P2004/51Particles with a specific particle size distribution
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01PINDEXING SCHEME RELATING TO STRUCTURAL AND PHYSICAL ASPECTS OF SOLID INORGANIC COMPOUNDS
    • C01P2004/00Particle morphology
    • C01P2004/60Particles characterised by their size
    • C01P2004/62Submicrometer sized, i.e. from 0.1-1 micrometer
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01PINDEXING SCHEME RELATING TO STRUCTURAL AND PHYSICAL ASPECTS OF SOLID INORGANIC COMPOUNDS
    • C01P2006/00Physical properties of inorganic compounds
    • C01P2006/12Surface area

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ジルコニア系セラミッ
クスの原料であるジルコニア粉末、とくに、上記原料粉
末を成形性によいものとすることができるジルコニア粉
末およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ジルコニア粉末としては、 i) X線回折による結晶子径が10〜25nmであ
り、かつBET法による比表面積が20〜40m/g
であって、イットリアを2〜5mol%固溶させて安定
化させたジルコニア粉末(特開昭62−207761公
報) ii)BET法比表面積が12m/g以下であり、か
つ平均粒子径と該BET法比表面積との積が3μm・m
/g以下であって、イットリアを2〜10mol%固
溶させた射出成形用のジルコニア粉末(特開平3−17
4356公報)などが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、i)で限定さ
れた結晶子径、比表面積などを満足してもかならずしも
成形性の良好なジルコニア粉末とはならない。たとえ
ば、通常の乾式プレスを行うと、プレス時に金型壁面と
成形体との付着力が大きく、金型から成形体を取り出す
際成形体の破片が金型に貼りつきやすい。バインダーを
添加すればこの問題を回避することができるが、焼結時
の脱脂性が悪く、えられる焼結体にキズや割れが発生す
る。BET法比表面積が大きいものほどこれらの欠点が
著しい。また、ii)の条件を満足するジルコニア粉末
も、かならずしも成形性が良好でない。すなわち、乾式
プレスによって成形すると、えられた成形体の強度が低
く、エッジ部に欠けや割れが起こりやすい。
【0004】本発明では、このような従来方法における
欠点を解消した、a成形性のよい、特にプレス成形によ
く、かつ、焼結性にも優れたジルコニア粉末の提供;ま
た、bこれらに加え、転動成形性にもすぐれたジルコニ
ア粉末の提供;ならびにそれのジルコニア粉末を簡易な
プロセスにより製造することのできる方法の提供を目的
とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ジルコニ
ア粉末のBET比表面積と平均粒径とに着目して、成形
特性を詳細に検討し、本発明に到達した。
【0006】 BET比表面積 3.5〜20m2/g 粒径中央値 0.3〜1μm、かつ 電子顕微鏡により測定される平均粒径/BET比表面積から求められる平均 粒径の比(以下平均粒径比という) 1〜3 の2次凝集粒子からなる、ジルコニア粉末、又は BET比表面積 3.5〜20m2/g 粒径中央値 1μmを超え2μm以下、かつ 電子顕微鏡により測定される平均粒径/BET比表面積から求められる平均 粒径比 0.7〜3 の2次凝集粒子からなる、ジルコニア粒子 水和ジルコニアゾルまたは該ゾルとY,Ca,Mg
およびCeのうち少なくとも1種の化合物の混合物を仮
焼し、粉砕してジルコニア粉末を製造する方法におい
て、水和ジルコニアゾルの平均粒径φ(μm)が0.2
μm以下であり、該ゾルを800〜1200℃の範囲で
T≧3000φ+650を満たす温度T(℃)で仮焼し
てφ≦1/Sの関係を満たすBET比表面積S(m2
g)の粉末を得、次いで該粉末の粒径中央値が0.3〜
2μmになるまで粉砕することを特徴とする上記に記載
ジルコニア粉末の製造方法を要旨とするものである。
【0007】本明細書において、ジルコニア粉末に係わ
る「粒径中央値」とは、体積が中央値(メディアン)で
ある2次凝集粒子と同じ体積の球の直径をいい、レーザ
ー回折法,遠心沈降法などの粒度分布測定装置によって
測定することができる。「電子顕微鏡で測定される平均
粒径」とは、電子顕微鏡写真により観察される個々の2
次粒子の大きさを面積で読み取り、それを円形に換算し
て粒径を算出したものの平均値をいう。「BET比表面
積」とは、吸着分子として窒素を用いて測定したものを
いう。「BET比表面積から求められる平均粒径」と
は、2次粒子の形状を球に仮定して、粒子の理論密度と
BET比表面積とから算出される直径をいう。また、水
和ジルコニアゾルに係わる「平均粒径」は、光子相関法
によるものであるが、上記の電子顕微鏡で測定される平
均粒径と実質上同じ値を示す。
【0008】本発明のジルコニア粉末は、BET比表面
積が3.5〜20m/gであることを必要とする。ジ
ルコニア粉末のBET比表面積が3.5m/gよりも
小さくなると低温側で焼結しにくい粉末となり、また、
20m/gよりも大きくなると、粒子間の凝集力が著
しい粉末となるために、セラミックス原料粉末としては
扱いにくく適さないものとなる。より好ましいBET比
表面積は、4〜16m/gである。転動成形に供する
には、5〜13m/gが最適である。
【0009】本発明のジルコニア粉末は、凝集粒子の粒
径中央値が0.3〜2μmの範囲にあるものでなければ
ならない。粒径中央値が0.3μmよりも小さくなる
と、粒子間の凝集力が極めて強くなるため、プレス成形
時に粒子−金型壁面間および粒子間の摩擦力が大きくな
って、得られる成形体の密度分布が不均一になり、多数
のラミネーション,割れおよびエッジの欠けが発生する
ため成形しにくいものとなる。いっぽう、粒径中央値が
2μmより大きくなると、硬い凝集粒子を多く含む粗粒
が多くなり、硬い粒子がそのままに近い形状で成形体中
に残り、それによって焼結時に不均一収縮が起こり、か
つ焼結体中に気孔が残ることになる。また、このような
粉末にバインダーを加えて成形し焼結すると、脱脂性が
悪くなる。とくに、成形体を大きくしまたはその形状を
複雑にすると、脱脂性の低下に起因する割れが顕著にな
る。転動成形を行う場合は、粒子間の凝集力が大きすぎ
ると、転動圧密化がされにくくなり、成形体の表面が凸
凹になり、かつ、真球度が劣ったものとなるので、粒径
中央値は1μm以上が望ましい。転動成形性と焼結体密
度との兼ね合いからもっとも望ましい粒径中央値は1.
1〜1.5μmであり、脱脂性と粒子の凝集性との兼ね
合いによるそれは0.5〜0.9μmである。
【0010】上記のBET比表面積および粒径中央値の
2条件のほか、平均粒径比0.7〜3の条件を満足すれ
ば、いっそう成形性および焼結性の優れたジルコニア粉
末となる。BET比表面積3.5〜20m/gおよび
粒径中央値0.3〜1μmのものは、平均粒径比1〜3
においてこの効果がとくに顕著である。すなわち、平均
粒径比が0.7〜3の範囲にあれば、電子顕微鏡の観察
から2〜10個程度の1次粒子が焼結して1個の2次粒
子を構成しているが、2次粒子内部に閉気孔が実質上観
測されない緻密な粒子になっている。等方性の緻密な2
次粒子であればこの比が1となるが、ジルコニア粉末の
粒子形状に歪があるため、0.7〜3で緻密な粒子とな
るのである。この比が0.7よりも小さくなると、ジル
コニア粉末の平均粒径が2μmよりも大きくなり;1よ
りも小さくなると、ジルコニア粉末の平均粒径が1μm
よりも大きくなり、電子顕微鏡により2次粒子間の焼結
の著しい粗粒が観察され、上記のとおり、焼結体特性の
劣ったものとなる。いっぽう、3よりも大きくなると、
ジルコニア粉末の2次粒子内部に閉気孔が存在するため
に成形体密度が低下し、さらに多数のラミネーションが
発生する。また、焼結時に2次粒子内部の閉気孔が残る
ために焼結体特性も低下する。前記(粒径中央値0.
3〜1μm)の粉末におけるより好ましい平均粒径比
は、1.1〜1.5であり;前記および(粒径中央
値1〜2μm)の粉末におけるより好ましい平均粒径比
は、0.8〜1.5であり、さらに好ましくは0.9〜
1.1である。
【0011】転動成形を行うときは、ジルコニア粉末の
ζ電位は、等電点の電位に対して−10〜10mVの範
囲にあることが望ましい。ζ電位がこの範囲にあると、
粒子表面での保水性がよくなり、転動成形の際に水を添
加するのみで容易に圧密化され、かつ、真球度のよい成
形体がえられるからである。
【0012】水和ジルコニアゾルを仮焼して本発明のジ
ルコニア粉末を得るにあたっては、該水和ジルコニアゾ
ルの平均粒径φ(μm)は、0.2μm以下でなければ
ならない。水和ジルコニアゾルの平均粒径が0.2μm
よりも大きくなると、下記の本発明の条件で仮焼し、粒
径中央値が所望の値(の0.3〜1μm、の1〜2
μm)となるまで粉砕して得られるジルコニア粉末のB
ET比表面積が3.5m/gよりも小さくなるからで
ある。より好ましい水和ジルコニアゾルの平均粒径は、
0.03〜0.15μmであり、さらに望ましくは0.
05〜0.09μmである。水和ジルコニアゾルの平均
粒径が上記の範囲のいずれであっても、その仮焼温度T
(℃)は、前記のジルコニア粉末を製造する場合は8
00〜1200℃、のそれを製造する場合(当然、
のものでもある)は800〜1300℃であって、か
つ、 T≧3000φ+650 を満足するものでなければならない。この温度が800
℃より低くなっても、また(3000・φ+650)℃
より低くなっても、得られるジルコニア粉末の平均粒径
比が3よりも大きくなる。いっぽう、1200℃よりも
高くなると、得られるジルコニア粉末の平均粒径比が1
よりも小さくなり、かつ、ボールミル,振動ミル,パー
ルミルなどの慣用の粉砕手段では粉砕時間をいくら長く
とっても粒径中央値が1μm以下となるまで粉砕するこ
とができず;また、1300℃よりも高くなると、同様
に、得られるジルコニア粉末の粒径中央値が2μm以下
となるまで粉砕することが事実上不可能となるからであ
る。さらに、このような高い仮焼温度では、工業的な大
量生産が困難であるため実用的でなくなる。より好まし
い仮焼温度は、850〜1100℃である。
【0013】仮焼時の雰囲気ガスは、種々のガスを選択
することができる。このときに使用するガスは水蒸気を
含んでいるほうがよく、水蒸気分圧が30mmHg以上
のガスを用いたほうがよい。30mmHgよりも低くな
ると、仮焼時の水和ジルコニアの粒成長が抑制されるた
めに、低い仮焼温度で緻密な2次粒子が得にくくなる。
より好ましい水蒸気分圧は、40〜760mmHgであ
る。ガスの種類としては、空気,二酸化炭素,窒素,酸
素,アルゴン,ヘリウムなどを挙げることができる。仮
焼温度の保持時間は、0.5〜10時間がよく、昇温速
度は0.5〜10℃/minが好ましい。保持時間が
0.5時間よりも小さくなると均一に仮焼されにくく、
10時間よりも長くなると生産性が低下するので好まし
くない。また、昇温速度が0.5℃/minよりも小さ
くなると設定温度に達するまでの時間が長くなり、10
℃/minよりも大きくなると仮焼時に粉末が激しく飛
散して操作性が悪くなり生産性が低下する。
【0014】仮焼粉のBET比表面積を測定する際に、
仮焼粉の不純物含有量が高いときは不純物を除去してか
ら測定するほうがよい。不純物含有量が高くなると、B
ET比表面積の誤差が大きくなって、測定精度が悪くな
るからである。仮焼粉に含まれる不純物は、水洗処理す
ることにより容易に除去することができる。このBET
比表面積S(m/g)と上記水和ジルコニアゾルの平
均粒径φ(μm)との関係が、 φ≦1/S を満足するものでなければならない。このBET比表面
積が1/φ(m/g)よりも大きくなると、次の粉砕
によって得られるジルコニア粉末の平均粒径比が3より
も大きくなって、本発明のジルコニア粉末が得られなく
なるからである。望ましくは、φ≦(1/2)Sであ
る。ただし、上記の平均粒径の水和ジルコニアゾルを上
記の温度で仮焼すれば、通常、φ≦1/Sの関係を満た
した仮焼粉がえられる。
【0015】次いで、上記の仮焼粉を、前記のジルコ
ニア粉末を製造する場合は2次凝集粒子の粒径中央値が
0.3〜1μmになるまで粉砕する。このような粉砕す
ることにより、通常、BET比表面積は仮焼粉のそれに
対して、1.2〜3倍まで増加する。またまたはの
ジルコニア粉末を製造する場合は1〜2μmになるまで
粉砕する。このように粉砕すると、通常、BET比表面
積は仮焼粉のそれに対して、1.2〜2.2倍まで増加
する。粉砕方法としては、乾式または湿式のどちらの方
法を選んでもよい。粉砕機器としては、種々の機種を選
ぶことができ、ボールミル,振動ミル,パールミルなど
を挙げることができる。また、粉砕条件は機種により異
なるが、ボールミルを用いた場合、スラリー濃度30〜
50wt%,粉砕時間は前記のジルコニア粉末を製造
するには30〜80時間、またはのジルコニア粉末
を製造するには10〜30時間がよく、振動ミルの場
合、30〜60wt%,前記のジルコニア粉末を製造
するには10〜30時間、またはのジルコニア粉末
を製造するには4〜12時間が最適である。また、この
ときに焼結助剤として、例えば、アルミナなどを添加し
てもよい。
【0016】上記の水和ジルコニアゾルは、平均粒径が
上記の範囲のものとして得られるものであれば、いかな
る反応条件で得られたものでもよい。ジルコニウム塩水
溶液の加水分解反応による場合、得られる水和ジルコニ
アゾルの平均粒径は、反応終了時の反応液のpHを調整
することにより制御することができる。例えば、反応終
了時のpHが−1〜0.6または0.8〜2となるよう
に調整することにより、平均粒径0.2μm以下の水和
ジルコニアゾルが得られる。このpHすなわち水和ジル
コニアゾルの平均粒径を制御する方法としては、例え
ば、ジルコニウム塩水溶液にアルカリまたは酸などを添
加する;陰イオン交換樹脂によりジルコニウム塩を構成
している陰イオンの一部を除去することによりpHを調
整して加水分解させる;水酸化ジルコニウムと酸との混
合スラリーのpHを調整して加水分解させるなどの方法
を挙げることができる。また、加水分解反応を促進させ
るために、水和ジルコニアゾルを反応液に添加して、加
水分解を行ってもよい。このときの水和ジルコニアゾル
の添加量は、原料仕込みのZrO量に対する水和ジル
コニアゾルのZrO量の比率で表した場合、0.5〜
20%が最適な添加量である。水和ジルコニアゾルの製
造に用いられるジルコニウム塩としては、オキシ塩化ジ
ルコニウム,硝酸ジルコニル,塩化ジルコニウム,硫酸
ジルコニウムなどが挙げられるが、この他に水酸化ジル
コニウムと酸との混合物を用いてもよい。水和ジルコニ
アゾルの平均粒径を制御するために添加するアルカリと
しては、アンモニア,水酸化ナトリウム,水酸化カリウ
ムなどが挙げられることができるが、これらの他に尿素
のように分解して塩基性を示す化合物でもよい。また、
酸としては塩酸,硝酸,硫酸を挙げることができるが、
これらの他に酢酸,クエン酸などの有機酸を用いてもよ
い。
【0017】このようにして得られた水和ジルコニアゾ
ル含有液の乾燥方法に制限はなく、例えば、水和ジルコ
ニアゾルを含む懸濁液に、または該懸濁液に有機溶媒を
添加してスプレー乾燥する方法、該懸濁液にアルカリな
どを添加して濾過,水洗したあとに乾燥する方法などを
挙げることができる。また、安定化剤の固溶しているジ
ルコニア粉末を得るときには、水和ジルコニアゾルの懸
濁液に安定化剤、例えば、Y,Ca,Mg,Ceなどの
化合物を添加して乾燥してもよく、さらに加水分解反応
のときに前もって添加してもよい。また、必要に応じて
安定化剤以外の金属化合物、例えば、Al,遷移金属,
アルカリ金属,アルカリ土類金属などの化合物も上記と
同様に添加してもよく、水和ジルコニアゾルの乾燥粉と
乾式混合してもよい。とくに、アルカリ金属の化合物の
添加は、アルカリ金属の粒成長促進作用により比較的低
い仮焼温度で緻密な2次粒子を生じさせるので、仮焼工
程の生産効率を向上させるのに有効である。
【0018】ジルコニア粉末のζ電位は、それをアルカ
リまたは酸の水溶液で洗浄し、水洗することによって制
御することができる。たとえば、ζ電位が等電点の電位
に対して10mVよりも高いときは、ジルコニア粉末を
アルカリ水溶液で洗浄し、水洗し;−10mVよりも低
いときは、ジルコニア粉末を酸水溶液で洗浄し、水洗し
て−10〜10mVの範囲に入るよう調整すればよい。
操作は粉砕前に行うのがよい。洗浄および水洗の際の濾
過性がよいからである。また、ジルコニア粉末の製造の
工程でζ電位の制御を行うこともできる。たとえば、前
記の水和ジルコニア含有液を乾燥する際に、アルカリ水
溶液を添加して濾過・水洗することによって、不純物の
除去とともに、えられるジルコニア粉末のζ電位を制御
することができる。これらζ電位の制御に使用するアル
カリとしては、アンモニア,水酸化ナトリウム,水酸化
カリウムなどを;酸としては、塩酸,硝酸,硫酸,酢
酸,クエン酸などを挙げることができる。そのほか、必
要に応じて有機系の分散剤,可塑剤などを添加してジル
コニア粉末のζ電位を制御してもよい。
【0019】
【作用】ジルコニウム塩水溶液の加水分解で得られる水
和ジルコニアゾルは、粒径5nm以下の超微粒子が凝集
した粒子からなっており、その水和ジルコニアゾルを仮
焼すると、粒子形状を保ちながら超微粒子間で焼結して
緻密な1次粒子に変化して、さらに1次粒子間の焼結が
起こって緻密な2次粒子が形成されていくことが電子顕
微鏡により観察される。従って、2次粒子を構成してい
る1次粒子の大きさは、水和ジルコニアゾルの凝集粒子
の大きさに起因していると推察され、また、ジルコニア
粉末の2次凝集粒子の平均粒径と前記平均粒径比とがあ
る一定の関係を満たすときに、粒径のそろった軟らかい
凝集粒子を形成しているものと推察される。
【0020】
【発明の効果】以上、説明したとおり、本発明のジルコ
ニア粉末は、成形性のよい、さらに焼結性にも優れてい
る。また、本発明の方法により、容易に上記のジルコニ
ア粉末を製造することができる。
【0021】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。
【0022】例中、水和ジルコニアゾルの平均粒径は、
光子相関法により求めた。ジルコニア粉末の2次凝集粒
子の平均粒径は、レーザー回折法により求めた。ジルコ
ニア粉末の電子顕微鏡で測定される2次粒子の平均粒径
は、透過型電子顕微鏡を用い、 300個の2次粒子に
ついて画像解析処理して求めた。BET比表面積から求
められる平均粒径を算出するのに必要なジルコニア粉末
の理論密度は、各結晶相の組成をX線回折パターンの回
折線のピーク強度によって求め、下式によって算出した
(いずれの例においても、立方晶は含まれていなかっ
た)。
【0023】理論密度=単斜晶率×5.6+正方晶率×
6.1 ジルコニア粉末のζ電位は、0.01規定のKCl水溶
液にジルコニア粉末を2vol%になるように添加し
て、超音波振動電位方式で測定した。ジルコニア粉末の
成形は、金型プレスにより成形圧力700kgf/cm
で行い、得られた成形体は、1500℃、2時間の条
件で焼結させた。転動成形でえられた焼結体の真球度
は、長軸/短軸の比による。
【0024】実施例1 0.4mol/lのオキシ塩化ジルコニウム水溶液2リ
ットルを160時間煮沸したあと、この溶液に2mol
/lのオキシ塩化ジルコニウム水溶液3.6リットルと
蒸留水4.4リットルとを加えて、さらに45時間煮沸
して、平均粒径0.05μmの水和ジルコニアゾルを得
た。
【0025】上記の水和ジルコニアゾルの懸濁液1リッ
トルと2mol/lのオキシ塩化ジルコニウム水溶液
3.6リットルとを混合し、さらに蒸留水を5.4リッ
トル加えて、0.72mol/lのオキシ塩化ジルコニ
ウム水溶液10リットルを調製した。この反応液を攪拌
しながら、加水分解反応を煮沸温度で45時間おこなっ
た。得られた水和ジルコニアゾルの平均粒径は0.06
μmであった。
【0026】次いで、水和ジルコニアゾルを含む懸濁液
に塩化イットリウムを97g添加して、加熱濃縮したあ
とスプレー乾燥させて、水和ジルコニアの乾燥粉末を調
製した。その乾燥粉末を水蒸気分圧100mmHgの空
気中で、1050℃の温度で2時間仮焼した。得られた
仮焼粉のBET比表面積は、5.2m/g(すなわ
ち、φS=0.31)であった。この仮焼粉を水洗した
あと、振動ミルで、スラリー濃度35wt%,粉砕時間
16時間の条件で粉砕した。
【0027】得られたジルコニア粉末は、粒径中央値が
0.7μmであり、BET比表面積が11m/gであ
り、単斜晶57%および正方晶43%であって理論密度
が5.8であり、したがって、電子顕微鏡により2次粒
子の平均粒径は0.11μmであり(すなわち、平均粒
径比=1.2)、緻密な2次粒子を形成していることが
確認された。
【0028】次いで、上記で得られたジルコニア粉末を
用いて、プレス成形により成形体を作製したところ、成
形体密度は2.77g/cmであった。この成形体を
焼成して得られた焼結体の密度は6.06g/cm
あり、曲げ強度は125kgf/mmであった。ま
た、得られた焼結体を観察したところ、焼結体表面のキ
ズおよびエッジ部の欠けは見られなかった。
【0029】上記製品ジルコニア粉末に有機バインダー
としてポリアクリル系バインダーを3重量%添加してプ
レス成形により成形体を作製したところ、成形体密度は
2.97g/cmであった。この成形体を焼成して得
られた焼結体の密度は6.06g/cmであり、曲げ
強度は120kgf/mmであった。また、得られた
焼結体を観察したところ、焼結体表面のキズおよびエッ
ジ部の欠けは見られなかった。
【0030】実施例2 仮焼粉にアルミナを0.25重量%添加した以外は実施
例1と同じ条件にしてジルコニア粉末を得た。これをプ
レス成形して作製された成形体の密度は、2.76g/
cmであった。この成形体を焼成して得られた焼結体
の密度は、6.08g/cmであり、曲げ強度は13
6kgf/mmであった。また、得られた焼結体を観
察したところ、焼結体表面のキズおよびエッジ部の欠け
は見られなかった。
【0031】実施例1と同じ条件でバインダーを添加し
てプレス成形により成形体を作製したところ、成形体密
度は2.92g/cmであった。この成形体を焼成し
て得られた焼結体の密度は、6.05g/cmであ
り、曲げ強度は121kgf/mmであった。また、
得られた焼結体を観察したところ、焼結体表面のキズお
よびエッジ部の欠けは見られなかった。
【0032】実施例3 0.4mol/lのオキシ塩化ジルコニウム水溶液1.
5リットルを160時間煮沸したあと、この溶液に2m
ol/lのオキシ塩化ジルコニウム水溶液2.7リット
ルと蒸留水5.8リットルとを加えて、さらに40時間
煮沸して、平均粒径0.06μmの水和ジルコニアゾル
を得た。
【0033】上記の水和ジルコニアゾルの懸濁液1リッ
トルと2mol/lのオキシ塩化ジルコニウム水溶液
2.7リットルとを混合し、さらに蒸留水を6.3リッ
トル加えて、0.54mol/lのオキシ塩化ジルコニ
ウム水溶液10リットルを調製した。この反応液を攪拌
しながら、加水分解反応を煮沸温度で40時間おこなっ
た。得られた水和ジルコニアゾルの平均粒径は0.07
μmであった。
【0034】次いで、水和ジルコニアゾルを含む懸濁液
に塩化イットリウムを73g添加して、加熱濃縮したあ
とスプレー乾燥させて、水和ジルコニアの乾燥粉末を調
製した。その乾燥粉末を水蒸気分圧100mmHgの空
気中で、1050℃の温度で2時間仮焼した。得られた
仮焼粉のBET比表面積は、6.1m/g(すなわ
ち、φS=0.43)であった。この仮焼粉を水洗した
あと、振動ミルで、スラリー濃度35wt%,粉砕時間
16時間の条件で粉砕した。
【0035】得られたジルコニア粉末は、粒径中央値が
0.7μmであり、BET比表面積が12m/gであ
り、単斜晶65%および正方晶35%であって理論密度
が5.8であり、したがって、電子顕微鏡により2次粒
子の平均粒径は0.093μmであり(すなわち、平均
粒径比=1.1)、緻密な2次粒子を形成していること
が確認された。
【0036】次いで、上記で得られたジルコニア粉末を
用いて、プレス成形により成形体を作製したところ、成
形体密度は2.85g/cmであった。この成形体を
焼成して得られた焼結体の密度は6.07g/cm
あり、曲げ強度は123kgf/mmであった。ま
た、得られた焼結体を観察したところ、焼結体表面のキ
ズおよびエッジ部の欠けは見られなかった。
【0037】実施例4 2mol/lのオキシ塩化ジルコニウム水溶液2リット
ルに2規定の水酸化ナトリウム水溶液500mlを添加
して、さらに蒸留水を加えて0.4mol/lのオキシ
塩化ジルコニウム水溶液10リットルを調製した。この
原料液を攪拌しながら加水分解反応を煮沸温度で110
時間おこなった。得られた水和ジルコニアゾルの光子相
関法による平均粒径φは0.1μmであった。次に、水
和ジルコニアゾルを含む懸濁液に塩化イットリウムを4
9g添加して、加熱濃縮したあとスプレー乾燥させて水
和ジルコニアの乾燥粉末を調製した。その乾燥粉末を水
蒸気分圧40mmHgの空気中で、1000℃の温度で
2時間仮焼した。得られた粉末のBET比表面積Sは、
水洗処理を行って測定したところ5.9m/g(すな
わち、φS=0.59)であった。この粉末を水洗した
あと、ボールミルで、スラリー濃度45wt%、粉砕時
間50時間の条件で粉砕した。
【0038】得られたジルコニア粉末は、粒径中央値が
0.6μmであり、BET比表面積が9.3m/gで
あり、単斜晶27%および正方晶73%であって理論密
度が6.0であり、したがって、電子顕微鏡により2次
粒子の平均粒径は0.2μmであり(すなわち、平均粒
径比=1.8)、緻密な2次粒子を形成していることが
確認された。
【0039】次いで、上記で得られたジルコニア粉末を
用いて、プレス成形により成形体を作製したところ、成
形体密度は2.68g/cmであった。この成形体を
焼成して得られた焼結体の密度は6.03g/cm
あり、曲げ強度は110kgf/mmであった。ま
た、得られた焼結体を観察したところ、焼結体表面のキ
ズおよびエッジ部の欠けは見られなかった。
【0040】実施例5 0.4mol/lのオキシ塩化ジルコニウム水溶液2リ
ットルを160時間煮沸したあと、この溶液に2mol
/lのオキシ塩化ジルコニウム水溶液3.6リットルと
蒸留水4.4リットルとを加えて、さらに45時間煮沸
して、平均粒径0.05μmの水和ジルコニアゾルを得
た。
【0041】上記の水和ジルコニアゾルの懸濁液1リッ
トルに2mol/lのオキシ塩化ジルコニウム水溶液
3.6リットルおよび1規定の水酸化ナトリウム水溶液
250mlを混合し、さらに蒸留水を5.15リットル
加えて、0.72mol/lのオキシ塩化ジルコニウム
水溶液10リットルを調製した。この反応液を攪拌しな
がら、加水分解反応を煮沸温度で45時間おこなった。
得られた水和ジルコニアゾルの平均粒径は0.06μm
であった。
【0042】次いで、水和ジルコニアゾルを含む懸濁液
に塩化イットリウムを97g添加して、加熱濃縮したあ
とスプレー乾燥させて、水和ジルコニアの乾燥粉末を調
製した。その乾燥粉末を水蒸気分圧100mmHgの空
気中で、930℃の温度で2時間仮焼した。得られた仮
焼粉を水洗してBET比表面積を測定したところ、8.
4m/g(すなわち、φS=0.5)であった。この
仮焼粉を水洗したあと、振動ミルで、スラリー濃度35
wt%,粉砕時間16時間の条件で粉砕した。
【0043】得られたジルコニア粉末は、粒径中央値が
0.8μmであり、BET比表面積が16m/gであ
り、単斜晶48wt%および正方晶43wt%であって
理論密度が5.9であり、したがって、電子顕微鏡によ
り2次粒子の平均粒径は0.07μmであり(すなわ
ち、平均粒径比=1.1)、緻密な2次粒子を形成して
いることが確認された。
【0044】次いで、上記で得られたジルコニア粉末を
用いて、プレス成形により成形体を作製したところ、成
形体密度は2.70g/cmであった。この成形体を
焼成して得られた焼結体の密度は6.06g/cm
あり、曲げ強度は123kgf/mmであった。ま
た、得られた焼結体を観察したところ、焼結体表面のキ
ズおよびエッジ部の欠けは見られなかった。
【0045】上記製品ジルコニア粉末に有機バインダー
としてポリアクリル系バインダーを3重量%添加してプ
レス成形により成形体を作製したところ、成形体密度は
2.82g/cmであった。この成形体を焼成して得
られた焼結体の密度は6.05g/cmであり、曲げ
強度は118kgf/mmであった。また、得られた
焼結体を観察したところ、焼結体表面のキズおよびエッ
ジ部の欠けは見られなかった。
【0046】比較例1 仮焼温度を750℃、粉砕時間を35時間に設定した以
外は、実施例1と同様の条件でおこなった。得られたジ
ルコニア粉末の粒径中央値が0.7μmであり、また、
BET比表面積が33m/gであり、単斜晶51wt
%および正方晶49wt%であって理論密度が5.8で
あり、したがって、電子顕微鏡により2次粒子の平均粒
径は0.1μmであり(すなわち、平均粒径比=3.
2)、2次粒子内部に閉気孔が観察された。
【0047】次いで、上記で得られたジルコニア粉末を
用いて、プレス成形により成形体を作製したところ、成
形体密度は2.55g/cmであり、多数のラミネー
ションが観察された。また、成形体を金型から取り出す
際、破片が一部はがれて金型の内壁に貼りついたまま残
った。この成形体を焼成して得られた焼結体の密度は
5.85g/cmであり、曲げ強度は70kgf/m
であった。また、得られた焼結体を観察したとこ
ろ、焼結体表面の多数のキズおよびエッジ部の欠けが見
られた。
【0048】上記製品ジルコニア粉末に有機バインダー
としてポリアクリル系バインダーを3重量%添加してプ
レス成形により成形体を作製したところ、成形体密度は
2.60g/cmであり、若干のラミネーションが観
察された。この成形体を焼成して得られた焼結体の密度
は5.75g/cmであった。また、焼結体表面に多
数のキズや割れが観察された。
【0049】実施例6 仮焼粉を0.1規定のアンモニア水で洗浄し、さらに蒸
留水で水洗し、えられた粉末を振動ミルで、スラリー濃
度45wt%,8時間の条件で粉砕する以外は、実施例
1と同じ条件にしてジルコニア粉末を得た。
【0050】得られたジルコニア粉末は、粒径中央値が
1.2μmであり、また、BET比表面積が9.3m
/gであり、単斜晶43wt%および正方晶57wt%
であって理論密度が5.9であり、したがって、電子顕
微鏡により凝集粒子の平均粒径は0.11μmであり
(すなわち、平均粒径比=1.0)、緻密な2次粒子を
構成していることが確認された。また、ζ電位を測定し
たところ、試料調製液のpHは7.6であり、その電位
は5mVであった。
【0051】次いで、上記で得られたジルコニア粉末を
用いて、プレス成形により成形体を作製したところ、成
形体密度は2.83g/cmであった。この成形体を
焼成して得られた焼結体の密度は、6.06g/cm
であり、曲げ強度は120kgf/mmであった。ま
た、皿型造粒機を用いて転動造粒を行い、直径5mmの
成形体を作製して焼成したところ、得られた焼結体の密
度は6.03g/cm、真球度は1.03であり、圧
潰強度は1000kgf/個であった。
【0052】実施例7 仮焼粉にアルミナを0.25重量%添加した以外は実施
例6と同じ条件にしてジルコニア粉末を得た。これをプ
レス成形して作製された成形体の密度は、2.85g/
cmであった。この成形体を焼成して得られた焼結体
の密度は、6.06g/cmであり、曲げ強度は13
3kgf/mmであった。また、皿型造粒機を用いて
転動造粒を行い、直径5mmの成形体を作製して焼結し
たところ、得られた焼結体の密度は6.03g/c
、真球度は1.03,圧潰強度は1050kgf/
個であった。
【0053】実施例8 仮焼粉を0.1規定のアンモニア水で洗浄し、さらに蒸
留水で水洗し、えられた粉末を振動ミルで、スラリー濃
度45wt%,8時間の条件で粉砕する以外は、実施例
3と同じ条件にしてジルコニア粉末を得た。
【0054】得られたジルコニア粉末は、粒径中央値が
1.3μmであり、また、BET比表面積が11m
gであり、単斜晶39wt%および正方晶61wt%で
あって理論密度が5.9であり、したがって、電子顕微
鏡により凝集粒子の平均粒径は0.093μmであり
(すなわち、平均粒径比=1.0)、緻密な2次粒子を
構成していることが確認された。また、ζ電位を測定し
たところ、試料調製液のpHは7.8であり、その電位
は2mVであった。
【0055】次いで、上記で得られたジルコニア粉末を
用いて、プレス成形により成形体を作製したところ、成
形体密度は2.87g/cmであった。この成形体を
焼成して得られた焼結体の密度は、6.07g/cm
であり、曲げ強度は125kgf/mmであった。ま
た、皿型造粒機を用いて転動造粒を行い、直径5mmの
成形体を作製して焼成したところ、得られた焼結体の密
度は6.03g/cm、真球度は1.03であり、圧
潰強度は1050kgf/個であった。
【0056】実施例9 0.4mol/lのオキシ塩化ジルコニウム水溶液20
0mlを160時間煮沸したあと、この溶液に2mol
/lのオキシ塩化ジルコニウム水溶液3リットルおよび
1規定の水酸化ナトリウム水溶液250mlを混合し、
さらに蒸留水6.55リットルを加えて、0.6mol
/lのオキシ塩化ジルコニウム水溶液10リットルを調
製した。この反応液を攪拌しながら、加水分解反応を煮
沸温度で65時間おこなった。得られた水和ジルコニア
ゾルの平均粒径は0.07μmであった。
【0057】次いで、水和ジルコニアゾルを含む懸濁液
に塩化イットリウムを97g添加して、加熱濃縮したあ
とスプレー乾燥させて、水和ジルコニアの乾燥粉末を調
製した。その乾燥粉末を水蒸気分圧100mmHgの空
気中で、1200℃の温度で2時間仮焼した。得られた
仮焼粉を水洗してBET比表面積を測定したところ、
2.1m/g(すなわち、φS=0.15)であっ
た。この仮焼粉を0.1規定のアンモニア水で洗浄し、
さらに蒸留水でした。えられた粉末にアルミナを0.2
5重量%添加して、振動ミルで、スラリー濃度35wt
%,粉砕時間10時間の条件で粉砕した。
【0058】得られたジルコニア粉末は、粒径中央値が
1.2μmであり、また、BET比表面積が5.7m
/gであり、単斜晶38wt%および正方晶62wt%
であって理論密度が5.9であり、したがって、電子顕
微鏡により凝集粒子の平均粒径は0.17μmであり
(すなわち、平均粒径比=0.9)、緻密な2次粒子を
形成していることが確認された。また、ζ電位を測定し
たところ、試料調製液のpHは7.7であり、その電位
は4mVであった。
【0059】次いで、上記で得られたジルコニア粉末を
用いて、プレス成形により成形体を作製したところ、成
形体密度は2.85g/cmであった。この成形体を
焼成して得られた焼結体の密度は、6.06g/cm
であり、曲げ強度は120kgf/mmであった。ま
た、皿型造粒機を用いて転動造粒を行い、直径3mmの
成形体を作製して焼成したところ、得られた焼結体の密
度は6.04g/cm、真球度は1.03であり、圧
潰強度は1070kgf/個であった。
【0060】比較例2 仮焼温度を750℃、粉砕時間を35時間に設定した以
外は、実施例1と同様に行った。得られたジルコニア粉
末のレーザー回折法による平均粒径が0.7μmであ
り、また、BET比表面積が33m/gであり、単斜
晶51wt%および正方晶49wt%であって理論密度
が5.8であり、したがって、電子顕微鏡により凝集粒
子の平均粒径は0.1μmであり(すなわち、平均粒径
比=3.2)、凝集粒子の内部に閉気孔が観察された。
また、ζ電位を測定したところ、試料調製液のpHは5
であり、その電位は45mVであった。
【0061】次いで、上記で得られたジルコニア粉末を
用いて、プレス成形により成形体を作製したところ、成
形体密度は2.55g/cmであった。また、成形体
を金型から取り出す際、破片が一部はがれて金型の内壁
に貼りついたまま残った。この成形体を焼成して得られ
た焼結体の密度は、5.84g/cmであり、曲げ強
度は70kgf/mmであった。また、皿型造粒機を
用いて転動造粒を行ったところ、成形体表面の凹凸が激
しく、かつ、球状のものが得られなかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−97134(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01G 25/02 C04B 35/48

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】BET比表面積 3.5〜20m2/gであ
    り、且つ、粒径中央値0.3〜1μmの場合、電子顕微
    鏡により測定される平均粒径/BET比表面積から求め
    られる平均粒径の比 1〜3の2次凝集粒子からなり、
    又は、粒径中央値 1μmを超え、2μm以下の場合、
    電子顕微鏡により測定される平均粒径/BET比表面積
    から求められる平均粒径の比 0.7〜3の2次凝集粒
    子からなるジルコニア粉末。
  2. 【請求項2】水和ジルコニアゾルまたは該ゾルとY,C
    a,MgおよびCeのうち少なくとも1種の化合物の混
    合物を仮焼し、粉砕してジルコニア粉末を製造する方法
    において、水和ジルコニアゾルの平均粒径φ(μm)が
    0.2μm以下であり、該ゾルを800〜1200℃の
    範囲でT≧3000φ+650を満たす温度T(℃)で
    仮焼してφ≦1/Sの関係を満たすBET比表面積S
    (m2/g)の粉末を得、次いで該粉末の粒径中央値が
    0.3〜2μmになるまで粉砕することを特徴とする請
    求項1記載のジルコニア粉末の製造方法。
JP28220092A 1991-11-06 1992-09-29 ジルコニア粉末およびその製造方法 Expired - Fee Related JP3368507B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28220092A JP3368507B2 (ja) 1991-11-06 1992-09-29 ジルコニア粉末およびその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3-317318 1991-11-06
JP31731891 1991-11-06
JP28220092A JP3368507B2 (ja) 1991-11-06 1992-09-29 ジルコニア粉末およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05193948A JPH05193948A (ja) 1993-08-03
JP3368507B2 true JP3368507B2 (ja) 2003-01-20

Family

ID=26554511

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28220092A Expired - Fee Related JP3368507B2 (ja) 1991-11-06 1992-09-29 ジルコニア粉末およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3368507B2 (ja)

Families Citing this family (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002255556A (ja) * 2001-02-28 2002-09-11 Toray Ind Inc 酸化ジルコニウム粉末およびそれからなる顆粒
JP4254222B2 (ja) * 2002-12-05 2009-04-15 東レ株式会社 ジルコニア粉末
JP2006298711A (ja) * 2005-04-22 2006-11-02 Toray Ind Inc ZrO2質焼結体およびその製造方法、粉砕機用部材、粉砕機
JP4963820B2 (ja) * 2005-09-02 2012-06-27 第一稀元素化学工業株式会社 Zr−O系粒子を分散質とするゾルの製造方法
JP5034349B2 (ja) * 2006-07-21 2012-09-26 東ソー株式会社 ジルコニア微粉末及びその製造方法並びにその用途
JP5061554B2 (ja) * 2006-09-25 2012-10-31 東ソー株式会社 ジルコニア微粉末及びその製造方法
JP2013091585A (ja) * 2011-10-26 2013-05-16 Tosoh Corp ジルコニア粉末及びその製造方法並びにその用途
JP6665542B2 (ja) * 2016-01-20 2020-03-13 東ソー株式会社 ジルコニア粉末及びその製造方法
JP6250242B1 (ja) 2016-03-30 2017-12-20 第一稀元素化学工業株式会社 ジルコニア微粉末およびその製造方法
CN109195916B (zh) 2016-04-01 2021-07-30 太平洋工业发展公司 介孔锆基混合氧化物的制备方法
JP7062900B2 (ja) * 2017-03-31 2022-05-09 東ソー株式会社 ジルコニア粉末及びその製造方法
WO2019136340A1 (en) 2018-01-08 2019-07-11 Pacific Industrial Development Corporation Catalyst comprising ceria-zirconia-oxygen storage material and process for its production
JP7403458B2 (ja) 2018-01-08 2023-12-22 パシフィック インダストリアル デベロップメント コーポレイション 酸素貯蔵材料の製造方法
KR20230122001A (ko) * 2020-12-24 2023-08-22 쿠라레 노리타케 덴탈 가부시키가이샤 지르코니아 소결체
WO2023145766A1 (ja) * 2022-01-27 2023-08-03 東ソー株式会社 粉末及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05193948A (ja) 1993-08-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3368507B2 (ja) ジルコニア粉末およびその製造方法
US5114891A (en) Sintered material based on aluminum oxide
JP5034349B2 (ja) ジルコニア微粉末及びその製造方法並びにその用途
JP5356639B2 (ja) ジルコニア微粉末及びその製造方法
JP4122746B2 (ja) 微粒αアルミナ粉末の製造方法
JP2528043B2 (ja) 焼結セラミック体及びその製造法
JP5356665B2 (ja) ジルコニア焼結体
JP7062900B2 (ja) ジルコニア粉末及びその製造方法
JP3265518B2 (ja) ジルコニアボールおよびその製造方法
JP4253877B2 (ja) ジルコニア微粉末及びその製造方法
JP4210533B2 (ja) 易焼結性正方晶ジルコニア粉末およびその製造方法
JP3959762B2 (ja) 固体電解質用ジルコニア微粉末及びその製造方法
JP6665542B2 (ja) ジルコニア粉末及びその製造方法
JPH04295014A (ja) 安定化金属酸化物組成物及びその製法
JP2860953B2 (ja) ジルコニア製分散・粉砕機用部材
JP3257095B2 (ja) ジルコニア粉末の製造方法
JP3339076B2 (ja) ジルコニア微粉末
JP3284244B2 (ja) 酸化ジルコニウム粉末及びその製造方法
JP2004323261A (ja) 酸化ジルコニウム粉末及びその焼結体並びにそれらの製造方法
JPH0230663A (ja) ジルコニア質焼結体およびその製造方法
JP3146578B2 (ja) ジルコニア微粉末の製造法
JP3896614B2 (ja) ジルコニア粉末及びその製造法
JPH06305731A (ja) ジルコニア粉末の製造方法
JP6862702B2 (ja) ジルコニア仮焼体及びその製造方法
JP3265597B2 (ja) ジルコニア微粉末の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071115

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081115

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091115

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091115

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101115

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111115

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees