JP6340879B2 - ジルコニア焼結体及びその製造方法 - Google Patents

ジルコニア焼結体及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、耐水熱劣化性に優れる透光性ジルコニア焼結体に関する。特に、歯科用途で使用されるジルコニア焼結体、更には義歯材料等のミルブランク、歯列矯正ブラケットとして用いるのに適する。
常温力学特性(強度・靭性)に優れるイットリア安定化ジルコニア焼結体は、切断工具、ダイス、ノズル、ベアリング等の構造部材や歯科材等の生体材料に広く利用されている。更に、歯科材の場合、高強度・高靱性という機械的特性のみならず、審美的観点から透光性や色調という光学的特性も要求される。
一方で、このジルコニアは、長い時間を経て除々に準安定相の正方晶が安定相の単斜晶へ自発的に相変態するために体積膨張が起って、クラックが発生し、強度及び靭性が低下する劣化現象が起ることが指摘されており、特に、歯科材では上記の特性を満足し、かつ、劣化しにくい品質信頼性の高い、即ち、製品寿命の長いものが求められている。品質信頼性は、一般に水熱処理による劣化加速試験で評価されている。
また、ジルコニア単結晶は透光感があり、従来からイットリアを約10モル%含有する立方晶ジルコニア単結晶は宝飾品等に利用されているが、強度が極めて低いという問題があった。
更に、正方晶を主成分とする多結晶体のイットリア安定化ジルコニア焼結体は、結晶粒間及び粒内に存在する残留気孔が光散乱を引起すために光透過率が低くなることが知られており、これまで残留気孔を減少させ密度を高めることで透光性を付与しようとする研究がなされている。
例えば、特許文献1にはイットリアを2モル%以上及びチタニアを3〜20モル%含む透光性ジルコニアが開示されているが、透光性を与えるためにチタニアを多量に含有させるため、強度をより高める必要があった。
特許文献2には、2〜4モル%イットリア、0.1〜0.2重量%アルミナの組成において、可視光の全光線透過率が試料厚み1.0mmで35%以上のジルコニア焼結体が開示されている。しかしながら、この焼結体に対して140℃の熱水中に24時間浸漬させる劣化加速試験を実施すると、焼結体の単斜晶相率が5〜29%となり、上記のとおり、品質信頼性に更なる改善の余地があった。
特許文献3には、平均結晶粒径が10μm以下、試料厚さ1mmにおける測定波長600nmの可視光に対する直線透過率が50%以上であるジルコニア焼結体が開示されている。この焼結体を製造する場合には、平均結晶粒径が1μm以下、相対密度が92%以上、結晶相が立方晶のみからなる一次焼結体をまず調製し、この焼結体を熱間静水圧プレスする必要があった。
特開昭62−91467号公報 特開2009−269812号公報 特開2011−51881号公報
本発明では、上記のような従来品における欠点を解消し、光透過率が高く、強度に優れており、これに加えて耐水熱劣化性に優れるジルコニア焼結体の提供;並びにそのジルコニア焼結体を簡易なプロセスにより製造することのできる方法の提供を目的とするものである。
本発明者らは、ジルコニア焼結過程で形成される微細組織と焼結体特性(光透過率、強度及び耐水熱劣化性)の関係について詳細に検討し、本発明に到達した。
即ち、本発明は、
(I)イットリアを4.5〜6モル%含み、単位格子のc/a軸長比が1.013〜1.017の範囲内にある正方晶、c/a軸長比が1.004〜1.009の範囲内にある正方晶プライム及び立方晶の結晶構造からなるジルコニア焼結体であって、該ジルコニア焼結体の結晶粒子の平均粒径が1μm以下、かつ、試料厚み1.0mmでの波長600nmの光透過率が30%以上のジルコニア焼結体。
(II)ジルコニア焼結体がアルミナを含み、該アルミナ含有量が0.05〜0.3重量%である(I)に記載のジルコニア焼結体。
(III)イットリアを4.5〜6モル%含み、該イットリアがジルコニアに固溶しており、BET比表面積が6〜20m/g、かつ、平均粒径が0.7μm以下のジルコニア粉末を成形して成形体を得、該成形体を焼結プロファイルとして400℃/時間以上の速度で1380℃〜1420℃に昇温して0.5〜2分間保持した後、400℃/時間以上の速度で1230〜1350℃に降温して一定時間保持して焼結することによる(I)または(II)記載のジルコニア焼結体の製造方法。
(IV)イットリアを4.5〜6モル%含み、該イットリアがジルコニアに固溶しており、BET比表面積が6〜20m/g、かつ、平均粒径が0.7μm以下のジルコニア粉末を成形して成形体を得、該成形体を焼結プロファイルとして、900℃から50℃/時間以下の速度で昇温させて1230〜1350℃で一定時間保持して焼結することによる(I)または(II)記載のジルコニア焼結体の製造方法。
(V)ジルコニア粉末がアルミナを0.05〜0.3重量%含むことを特徴とする(III)または(IV)に記載のジルコニア焼結体の製造法。
を要旨とするものである。以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本明細書において、ジルコニア焼結体に係わる「ジルコニア」とは、イットリアが安定化剤として固溶しているものをいう。「イットリア濃度」とは、Y/(ZrO+Y)の比率をモル%として表した値をいう。
「アルミナ濃度」とは、Al/(ZrO+Y+Al)の比率を重量%として表した値をいう。
「正方晶」とは、ZrO−Y系相図(例えば、H.G.Scott,J.Mater.Sci.,10,1527−1535(1975))に現れる正方晶系の結晶構造であり、単位格子のc/a軸長比が1.013〜1.017の範囲内にあるものをいう。
「正方晶プライム」とは、焼結の降温過程等の焼結温度が高温から低温へ低下するときに、立方晶の一部が無拡散相変態することによって生成する、相図に現れない正方晶系に属する結晶構造であり、c/a軸長比が1.004〜1.009の範囲内にあるものをいう。
c/a軸長比は、X線回折(XRD)プロファイルに解析プログラムとしてRIETAN−FP(参考文献:F.Izumi,”The Rietveld Method”,Ed. by R. A. Young, Oxford University Press, Oxford (1993) Chap. 13.)を用いてリートベルト法により算出された値をいう。
「正方晶相率」、「正方晶プライム相率」及び「立方晶相率」とは、XRDプロファイルに上記のRIETAN−FPを用いてリートベルト法により算出された重量%の値をいう。
「光透過率」とは、焼結体の両面を鏡面研磨加工した厚み1.0mmの円盤形状の測定試料を用い、分光光度計で測定された光透過スペクトルの波長600nmでの全光線透過率の値をいう。
「単斜晶相率(f)」とは、水熱処理した焼結体についてXRD測定を行い、単斜晶の111及び11−1反射の面積強度、並びに正方晶、正方晶プライム及び立方晶の111反射の面積強度をそれぞれ求めて、数式(1)により算出されたものの%値をいう。
(%)=[I(111)+I(11−1)]×100/[I(111)+
(11−1)+I(111)+It´(111)+I(111)] (1)
ここで、Iは各反射の面積強度、添字m,t,t´及びcはそれぞれ単斜晶,正方晶,正方晶プライム,立方晶を示す。
「相対密度」とは、実験的に求めた実測密度ρと、数式(2)〜(5)により計算されたイットリア及びアルミナを含有するジルコニアの真密度ρを用い、(ρ/ρ0)×100の比率(%)に換算して表した値のことをいう。
A=0.5080+0.06980X/(100+X) (2)
C=0.5195−0.06180X/(100+X) (3)
ρ=[124.25(100−X)+225.81X]/[150.5(100+X)AC] (4)
ρ=100/[(Y/3.987)+(100−Y)/ρ] (5)
ここで、XとYは、それぞれイットリア濃度(モル%),アルミナ濃度(重量%)である。
結晶粒子に係わる「平均粒径」とは、電子顕微鏡を用いてプラニメトリック法により算出されたものの値をいう。
ジルコニア粉末に係わる「BET比表面積」は、吸着分子として窒素を用いて測定したものをいう。
「平均粒径」とは、体積基準分布が中央値(メディアン)である粒子と同じ体積の球の直径をいい、レーザー回折・散乱法による粒度分布測定装置によって測定することができる。
本発明のジルコニア焼結体は、イットリアを4.5〜6モル%含み、単位格子のc/a軸長比が1.013〜1.017の範囲内にある正方晶、c/a軸長比が1.004〜1.009の範囲内にある正方晶プライム及び立方晶の結晶構造からなる。イットリアを4〜6モル%含み、単位格子のc/a軸長比が1.013〜1.017の範囲内にある正方晶、c/a軸長比が1.004〜1.009の範囲内にある正方晶プライム及び立方晶からなる三相組織にすることにより、劣化が抑制され、ジルコニア焼結体の品質信頼性が向上するからである。より高い品質信頼性を得るために、イットリア濃度としては4.5〜6モル%であり、4.5〜5.5モル%が好ましい。
また、正方晶、正方晶プライム及び立方晶の存在割合としては、これらの結晶相の総和を100wt%とした時、正方晶が13〜42wt%、正方晶プライムが28〜36wt%、立方晶が27〜53wt%、特に正方晶が30〜39wt%、正方晶プライムが34〜36wt%、立方晶が27〜35wt%であることが、耐水熱劣化性に優れるジルコニア焼結体を与える点で好ましい。
本発明のジルコニア焼結体は、結晶粒子の平均粒径が1μm以下である。結晶粒子の平均粒径を1μm以下とすることにより、破壊によるクラックの進展が抑制されて強度が向上するからである。好ましくは、結晶粒子の平均粒径が0.6μm以下、特に好ましくは0.2〜0.6μmである。
さらに、本発明のジルコニア焼結体は、試料厚み1.0mmでの波長600nmの光透過率が30%以上である。試料厚み1.0mmでの波長600nmの光透過率が30%以上、好ましくは35%以上、特に好ましくは35〜45%であると、審美性が維持されるため、歯科材用として好適なものとなるからである。
また、本発明のジルコニア焼結体がアルミナを含む場合、該アルミナ含有量を0.05〜0.3重量%にすると、光透過率の低下要因となるアルミナ結晶粒の生成よりも優先的にアルミニウムイオンが結晶粒界に固溶偏析して粒界強度を高めるので、より強度を向上させるのに効果的である。より好ましいアルミナ濃度は、0.05〜0.2重量%である。
本発明のジルコニア焼結体の相対密度は、99.5%以上、好ましくは99.8%以上のものがよい。
次に、本発明の透光性ジルコニア焼結体の製造方法につき説明する。
本発明の透光性ジルコニア焼結体を得るにあたっては、例えば、イットリアを4.5〜6モル%含み、該イットリアがジルコニアに固溶しており、BET比表面積が6〜20m/g、かつ、平均粒径が0.7μm以下のジルコニア粉末を原料として使用することができる。
イットリアの濃度としては、本発明の製造方法により得られる焼結体に、より高い品質信頼性を与えるために、4.5〜6モル%が好ましい。
イットリアがジルコニアに固溶していると、均一に焼結が進行するので、破壊源となる気孔が少なくなるために、製造される焼結体は強度の高いものとなる。イットリアがジルコニアに固溶していることは、粉末又は焼結体のX線粉末回折(XRD)を測定することにより調べることが可能である。また、ジルコニアにイットリアを固溶させる方法としては、例えば、イットリウムを含む水和ジルコニア微粒子を900〜1100℃の温度で仮焼する方法を例示することができる。ジルコニア粉末のBET比表面積が6〜20m/gであると、焼結性・成形性の良好な粉末となるため、製造される焼結体は、良好な光透過率を与えるものとなる。
ジルコニア粉末の平均粒径が0.7μm以下であると、焼結性が高い粉末となるために、製造される焼結体の光透過率が30%以上となりやすい。より好ましいジルコニア粉末の平均粒径は、0.6μm以下、特に好ましくは0.3〜0.6μmである。
また、ジルコニア粉末がアルミナを含有する場合、アルミナ濃度としては、本発明の製造方法により得られる焼結体に、より大きな強度を与え、一方、光透過率の低下要因となるアルミナ結晶粒の析出を抑制するために、0.05〜0.3重量%が好ましい。より好ましいアルミナ濃度は、0.05〜0.2重量%である。
続いて、本発明では、上記のジルコニア粉末を成形して成形体を得、該成形体を焼結する。ジルコニア粉末を成形する方法としては、加圧成形法、射出成形法、押出成形法等の公知の方法を選択することができる。
次いで、この成形体を焼結する。この際の第1の焼結プロファイルとしては、400℃/時間以上の昇温速度で1380℃〜1420℃に昇温して0.5〜2分間保持した後、400℃/時間以上の降温速度で1230〜1350℃に降温して一定時間保持するものである。1230〜1350℃の温度範囲で一定時間保持する時間は、10〜200時間でよい。ジルコニア粉末に水分や微量の昇温脱離不純物が含まれている場合には、成形体を1000〜1100℃の温度で事前に加熱処理した後に焼結させればよい。
また、本発明の第2の焼結プロファイルとしては、前記成形体を900℃から50℃/時間以下の昇温速度で昇温させて1230〜1350℃で一定時間保持して焼結させるものである。900℃未満の温度領域での昇温速度は特に限定されないが、50〜200℃/時間とするのが好ましく、1230〜1350℃における焼結温度の保持時間は10〜200時間でよい。
第1または第2に焼結プロファイルを、前記のジルコニア粉末の成形体に施すことにより、焼結体の結晶構造を単位格子のc/a軸長比が1.013〜1.017の範囲内にある正方晶、c/a軸長比が1.004〜1.009の範囲内にある正方晶プライム及び立方晶からなる三相組織で、かつ、焼結体の結晶粒子の平均粒径が1μm以下である、本発明の高い相対密度を有する焼結体を得ることができる。
上記のジルコニア粉末の製造方法には特に制限はなく、イットリアがジルコニアに固溶しており、イットリア濃度、BET比表面積及び平均粒径を満足しているものであれば、いかなる方法(例えば、加水分解法、中和共沈法、アルコキシド法等)で得られたものを用いてもよい。特に、イットリウムを含む水和ジルコニア微粒子を900〜1100℃の温度で仮焼して得られるジルコニア粉末が好適であり、アルミナを含有させる場合には、これにアルミニウム化合物を加えて湿式粉砕すればよい。
このイットリウムを含む水和ジルコニア微粒子は、ジルコニウム塩水溶液の加水分解反応により得られる水和ジルコニアゾル含有液に、イットリウム化合物を添加して乾燥させたものを用いればよい。また、イットリウム化合物を前もって所定量添加したジルコニウム塩水溶液の加水分解反応により得られる水和ジルコニアゾル含有液を乾燥させたものを用いてもよい。
水和ジルコニアゾルの製造に用いられるジルコニウム塩としては、オキシ塩化ジルコニウム,硝酸ジルコニル,塩化ジルコニウム,硫酸ジルコニウムなどを挙げることができるが、この他に水酸化ジルコニウムと酸との混合物を用いてもよい。
イットリウム化合物としては、塩化物,水酸化物,酸化物などを挙げることができる。
ジルコニア粉末に添加するアルミニウム化合物は、塩化アルミニウム,硫酸アルミニウム,水酸化アルミニウム,アルミナゾル,酸化アルミニウム粉末などが挙げられる。
以上、説明したとおり、本発明のジルコニア焼結体は、光透過率が高く、強度に優れており、これに加えて耐水熱劣化性にも優れている。また、本発明の方法により、上記のジルコニア焼結体を簡易なプロセスにより製造することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何等限定されるものではない。
例中、ジルコニア粉末の平均粒径は、マイクロトラック粒度分布計(Honeywell社製,商品名「9320−HRA」、レーザー回折・散乱法)を用いて測定した。試料の前処理条件としては、粉末を蒸留水に懸濁させ、超音波ホモジナイザーを用いて3分間分散させた。
ジルコニア粉末の成形は、金型プレスにより予備成形を行ったあとに、成形圧力200MPaで冷間静水圧プレス(CIP)を行った。次いで、得られた成形体を以下の焼結プロファイル(A)または(B)で焼結させた。
(A)500℃/時間の速度で1400℃に昇温して0.5分間保持した後、500℃/時間の速度で設定温度まで降温して設定時間保持し、200℃/時間の速度で降温
(B)100℃/時間の速度で900℃に昇温した後、10℃/時間の速度で設定温度まで昇温させて設定時間保持し、200℃/時間の速度で降温
得られた焼結体の密度は、アルキメデス法により測定した。上記の数式(2)〜(5)により焼結体の理論密度を求めると、実施例1,2と比較例1〜4では6.060g/cm、実施例3,4と比較例5では6.055g/cm、比較例6では6.098g/cmとなり、これらの値を用いて相対密度に換算した。
焼結体の結晶粒子の平均粒径は、熱エッチング処理を行ったあとに、電界放出型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)を用いてプラニメトリック法により算出した。具体的には、顕微鏡画像上に円を描いたとき、円内の粒子数nと円周にかかった粒子数Nの合計が少なくとも200個となるような円を描いて、または200個に満たない画像の場合には、粒子数の合計(n+N)が少なくとも200個となるように数視野の画像を用いて複数の円を描き、プラニメトリック法により平均粒径を求めた。
結晶相率は、XRDをステップスキャン法(2θ:15〜80°,ステップ幅:0.04°,積算時間:8秒/ステップ)で測定し、得られたプロファイルをリートベルト法により定量化することにより求めた。解析は、正方晶,正方晶プライム相及び立方晶の混相とし、各結晶のプロファイル関数は独立して取扱い、各元素の温度パラメーターは同一とした。
光透過率は、焼結体の両面を鏡面研磨加工して厚み1.0mmの円盤形状の試料を作製し、紫外可視分光光度計(日本分光(株)製,商品名「V−650」)で波長600nmにおける全光線透過率を測定した。
曲げ強度は、JIS R1601に準じた3点曲げ試験で評価した。
また、劣化加速試験は、焼結体を140℃の熱水中に60時間浸漬させ、生成する単斜晶の比率を求めることによって評価した。単斜晶率は、浸漬処理した焼結体についてX線回折測定を行い、前記の数式(1)により算出した。
実施例1
2モル/リットルのオキシ塩化ジルコニウム水溶液4リットルに2モル/リットルのアンモニア水4.8リットルを混合し、蒸留水を加えてジルコニア換算濃度0.8モル/リットルの溶液を調製した。この溶液を還流器付きフラスコ中で攪拌しながら加水分解反応を煮沸温度で150時間行って、水和ジルコニアゾルを得た。
得られた水和ジルコニアゾルに、塩化イットリウムをイットリア濃度が5.0モル%になるように添加して乾燥させ、1000℃の温度で2時間仮焼した。
得られた仮焼粉を水洗処理したあとに蒸留水を加えて振動ミルで粉砕して乾燥させた。得られたジルコニア粉末の特性を表1に示す。
次いで、上記で得られたジルコニア粉末を成形して電気炉で焼結プロファイル(A)の条件(設定温度:1300℃,設定時間:100h)で焼結させた。
得られた焼結体の特性(正方晶及び正方晶プライム相のc/a軸長比,結晶相率,平均粒径,相対密度,光透過率,曲げ強度)と劣化加速試験後の単斜晶率を表2に示す。
実施例2
成形体を焼結プロファイル(B)の条件(設定温度:1300℃,設定時間:100h)で焼結した以外は、実施例1と同様の条件でジルコニア焼結体を得た。得られた焼結体の特性と劣化加速試験の結果を表2に示す。
実施例3
仮焼粉を水洗処理したあとに、平均粒径0.015μmのアルミナゾルをアルミナ濃度が0.15重量%になるように添加し、焼結プロファイル(A)の条件(設定温度:1250℃,設定時間:15h)で焼結した以外は、実施例1と同様の条件でジルコニア焼結体を得た。得られた焼結体の特性と劣化加速試験の結果を表2に示す。
実施例4
成形体を焼結プロファイル(B)の条件(設定温度:1250℃,設定時間:15h)で焼結した以外は、実施例3と同様の条件でジルコニア焼結体を得た。得られた焼結体の特性と劣化加速試験の結果を表2に示す。
実施例5
塩化イットリウムをイットリア濃度が4.5モル%になるように添加し、成形体を焼結プロファイル(B)の条件(設定温度:1300℃,設定時間:100h)で焼結した以外は、実施例1と同様の条件でジルコニア焼結体を得た。得られた焼結体の特性と劣化加速試験の結果を表2に示す。
実施例6
塩化イットリウムをイットリア濃度が5.5モル%になるように添加し、成形体を焼結プロファイル(B)の条件(設定温度:1300℃,設定時間:100h)で焼結した以外は、実施例1と同様の条件でジルコニア焼結体を得た。得られた焼結体の特性と劣化加速試験の結果を表2に示す。
実施例7
塩化イットリウムをイットリア濃度が6.0モル%になるように添加し、成形体を焼結プロファイル(B)の条件(設定温度:1300℃,設定時間:100h)で焼結した以外は、実施例1と同様の条件でジルコニア焼結体を得た。得られた焼結体の特性と劣化加速試験の結果を表2に示す。
比較例1
焼結プロファイル(A)の条件(設定温度:1200℃,設定時間:100h)で焼結した以外は、実施例1と同様の条件でジルコニア焼結体を得た。得られた焼結体の特性と劣化加速試験の結果を表2に示す。
比較例2
焼結プロファイル(A)の条件(設定温度:1400℃,設定時間:100h)で焼結した以外は、実施例1と同様の条件でジルコニア焼結体を得た。得られた焼結体の特性と劣化加速試験の結果を表2に示す。
比較例3
焼結プロファイル(B)の条件(設定温度:1200℃,設定時間:100h)で焼結した以外は、実施例1と同様の条件でジルコニア焼結体を得た。得られた焼結体の特性と劣化加速試験の結果を表2に示す。
比較例4
焼結プロファイル(B)の条件(設定温度:1400℃,設定時間:100h)で焼結した以外は、実施例1と同様の条件でジルコニア焼結体を得た。得られた焼結体の特性と劣化加速試験の結果を表2に示す。
比較例5
焼結プロファイル(B)の条件(設定温度:1250℃,設定時間:0h)で焼結した以外は、実施例4と同様の条件でジルコニア焼結体を得た。得られた焼結体の特性と劣化加速試験の結果を表2に示す。
比較例6
市販品のジルコニア粉末(東ソー製,TZ−3Yグレード)を成形して、得られた成形体を電気炉で400℃/時間の速度で1100℃まで昇温した後、10℃/時間の速度で1280℃まで昇温させて2時間保持し、200℃/時間の速度で降温させてジルコニア焼結体を得た。得られた焼結体の特性と劣化加速試験の結果を表2に示す。
Figure 0006340879
Figure 0006340879
歯科用途で使用されるジルコニア焼結体、更には義歯材料等のミルブランク、歯列矯正ブラケットとして用いるのに適する。

Claims (5)

  1. イットリアを4.5〜6モル%含み、単位格子のc/a軸長比が1.013〜1.017の範囲内にある正方晶、c/a軸長比が1.004〜1.009の範囲内にある正方晶プライム及び立方晶の結晶構造からなるジルコニア焼結体であって、該ジルコニア焼結体の正方晶プライムの存在割合が28〜36wt%、結晶粒子の平均粒径が1μm以下、かつ、試料厚み1.0mmでの波長600nmの光透過率が30%以上45%以下のジルコニア焼結体。
  2. ジルコニア焼結体がアルミナを含み、該アルミナ含有量が0.05〜0.3重量%である請求項1に記載のジルコニア焼結体。
  3. イットリアを4.5〜6モル%含み、該イットリアがジルコニアに固溶しており、BET比表面積が6〜20m/g、かつ、平均粒径が0.7μm以下のジルコニア粉末を成形して成形体を得、該成形体を焼結プロファイルとして400℃/時間以上の速度で1380℃〜1420℃に昇温して0.5〜2分間保持した後、400℃/時間以上の速度で1230〜1350℃に降温して10〜200時間保持して焼結する請求項1または請求項2に記載のジルコニア焼結体の製造方法。
  4. イットリアを4.5〜6モル%含み、該イットリアがジルコニアに固溶しており、BET比表面積が6〜20m/g、かつ、平均粒径が0.7μm以下のジルコニア粉末を成形して成形体を得、該成形体を焼結プロファイルとして、900℃から50℃/時間以下の速度で昇温させて1230〜1350℃で10〜200時間保持して焼結する請求項1または請求項2に記載のジルコニア焼結体の製造方法。
  5. ジルコニア粉末がアルミナを0.05〜0.3重量%含む請求項3または請求項4に記載のジルコニア焼結体の製造法。
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