JP6405510B2 - 魚介加工食品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、魚介加工食品の製造方法に関する。
魚介類である魚の加工方法には種々の方法がある。代表的な加工方法の一つとして、すり身を製造する方法を挙げることができる(特許文献1参照)。
魚肉すり身は、例えば、ちくわや蒲鉾などの種々の練り製品の製造原料(特許文献2参照)や、魚肉で作った種に鶏卵などのつなぎを加えた練り物を適当な大きさにちぎりだし汁で加熱した団子状の食品であるつみれなどの原料として用いることができるものである。
魚肉すり身の製造プロセスは、例えば、次のようなものである。まず、水揚げした魚に、頭、内臓、中骨などを除去する処理を施した後、開きの状態にして採肉を行う。次に、採肉により得られた魚肉を水にさらした後、脱水機を用いて魚肉から適量の水分を脱水する。これにより、血液、水溶性たんぱく質、脂肪、無機質などが除去された魚肉を得る。そして、得られた魚肉に、皮、骨、血合いなどを除去する処理を施した後、脱水機で脱水する。このようにして得られた魚肉に砂糖などの添加物を均等に混合して、すり身を得ている。
そして、現在、練り製品の原料として用いられているすり身のほとんどは冷凍すり身である。冷凍すり身は、水揚げされたスケトウダラなどの魚を船上ですり身に加工した後、冷凍するという方法で製造されている。この冷凍すり身は、運搬に適した形状で保存可能であると共に長期保存可能であるため、練り製品の原料(練り製品の中間素材)として広く用いられている。
ところが、上述したように、そもそも、魚肉すり身は、皮や骨を除去する工程や、たんぱく質、脂肪及び無機質などを除去する工程を経て製造されるものである。したがって、魚肉すり身を製造する場合、除去部分を廃棄処理する必要がある。また、これらの部分や成分を除去して製造した魚肉すり身の栄養バランスは、魚本来のものとはかけ離れたものである。
このようなことから、魚介本来の栄養バランスに近い栄養バランスを有しており、しかも可食率が高くて廃棄工程が必要ない冷凍魚介加工品及び魚介加工食品原料の製造方法の開発に取り組んだ。
特開平7−000151号公報 特開2013−102704号公報
開発を行った結果、骨部及び皮部のうちの少なくともいずれか一方が魚介の肉部と一体のまま冷凍された冷凍魚介を切削する削り工程と、得られた削り肉片を塊状の魚介肉にする肉塊成形工程とを有する魚介加工食品原料の製造方法を開発した。
この方法によれば、すり身と同様に利用可能な魚介類加工食品原料を製造することができる。ところが、この製造方法を開発する際、削り工程で得られた削り肉片の様々な特徴を見出し、様々な活用方法があることを見出した。
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、魚介本来の栄養バランスにより近い栄養バランスを有しており、しかも可食率が高くて廃棄工程が必要ない様々な魚介加工食品の製造方法を提供することを課題としている。
本発明は、骨部及び皮部のうちの少なくともいずれか一方が魚介の肉部と一体のまま冷凍された冷凍魚介を切削する削り工程と、
削り肉片を加熱処理する工程とを有しており、前記削り肉片は、前記魚介の前記肉部と前記魚介の前記骨部及び/又は皮部とが切断されたものであることを特徴とする、魚介加工食品の製造方法である。
前記加熱処理工程は、削り工程で得られた前記削り肉片を揚げる揚げ工程、前記削り肉片を茹でる茹で工程、前記削り肉片を煮る工程、前記削り肉片を蒸す蒸し工程および前記削り肉片を焼く焼き工程のうちの少なくともいずれか一つの工程を行う工程である。
そして、前記加熱処理工程は、前記揚げ工程、前記茹で工程、前記煮る工程、前記蒸し工程および前記焼き工程のうちの少なくともいずれか二つの工程を含む工程である。
また、前記削り肉片には、前記骨部及び前記皮部のうちの少なくともいずれか一方と前記肉部とが一体のままの削り肉片が含まれている。
また、魚介加工食品の製造方法は、調味料を加える調味工程を、さらに有しており、当該調味工程は、前記加熱処理工程が施される前の前記削り肉片及び/又は前記加熱処理工程中の前記削り肉片に対して調味料を加える工程である。
そして、このような魚介加工食品の製造方法で製造された魚介加工食品である。
なお、別の発明は、原料である冷凍魚介を切削して削り肉片を生成する削り工程を有することを特徴とする冷凍魚介加工品の製造方法である。前記削り工程は、前記冷凍魚介の切削を繰り返し行う工程であると共に当該工程の途中で前記削り肉片の切削面を利用して当該削り肉片の品質及び前記冷凍魚介の内部の品質を確認することが可能な工程である。
そして、前記削り工程は、加工対象である前記冷凍魚介の内部を視認可能な状態を維持しつつ前記冷凍魚介を加工する工程であり、当該工程の途中で、切削途中の前記冷凍魚介の切削面を利用して当該冷凍魚介の内部の品質を確認することができる工程である。
また、前記削り工程は、切削途中の前記冷凍魚介が存在する状態で切削を停止して、冷凍魚介加工品の製造を終了することが可能な工程であり、切削の停止により得られる前記切削途中の冷凍魚介は、再冷凍保存可能であり、しかも再冷凍保存後の冷凍魚介は、冷凍魚介加工品の製造の原料として使用可能である。
さらに、前記削り工程は、前記冷凍魚介をスライスして肉薄の前記削り肉片を生成する工程であり、当該削り肉片は、表裏両面がスライスにより形成されたせん断面であると共に前記両面を視認可能であり、しかも表裏の両せん断面を利用して削り肉片全体の品質を確認することが可能である。
また、前記冷凍魚介は、骨部及び皮部のうちの少なくともいずれか一方が魚介の肉部と一体のまま冷凍されたものである。
そして、前記削り工程は、再冷凍保存可能な前記削り肉片を生成する工程である。
そして、前記冷凍魚介加工品の製造方法は、前記冷凍魚介を得る冷凍工程をさらに有する。
さらに別の発明は、上述した冷凍魚加工品の製造方法で製造された冷凍魚加工品である。
さらに別の発明は、上述した冷凍魚介加工品の製造方法で製造された冷凍魚介加工品である前記削り肉片を塊状にする肉塊成形工程を、さらに有しており、前記削り肉片として再冷凍保存後の削り肉片を用いることが可能であり、前記肉塊成形工程を経て得られる塊状の魚介肉を製造する、魚介加工食品原料の製造方法である。
そして、前記塊状の魚介肉を冷凍させる工程をさらに有していてもよい。
また、調味料を加える調味工程を、さらに有していてもよい。当該調味工程は、前記肉塊成形工程が施される前の前記削り肉片及び/又は前記肉塊成形工程中の前記削り肉片に対して調味料を加える工程である。
さらに別の発明は、上述した魚介加工食品原料の製造方法で製造された魚介加工食品原料を加熱する加熱工程を経て魚介加工食品を製造する、魚介加工食品の製造方法である。
さらに別の発明は、原料である冷凍魚介を切削して削り肉片を生成する切削具を有することを特徴とする冷凍魚介加工装置である。
前記切削具は、切削によって、切削途中の前記冷凍魚介に、魚介の品質判断に利用可能なせん断面を形成可能なものであると共に、当該切削途中の冷凍魚介を切削して生成した前記削り肉片にも魚介の品質判断に利用可能なせん断面を形成可能なものであり、表裏両面が魚介の品質判断に利用可能なせん断面を有する前記削り肉片を生成可能なものである。
前記切削具は、魚介が有する骨部及び皮部のうちの少なくともいずれか一方が魚介の肉部と一体のまま冷凍された一体冷凍魚介を切削可能なものであり、当該一体冷凍魚介の切削によって形成される前記せん断面は、前記骨部と前記肉部との境界及び前記皮部と前記肉部の境界のうちの少なくともいずれか一方の境界が視認可能なせん断面である。
本出願に係る発明である冷凍魚介加工品の製造方法及び魚介加工食品原料の製造方法によれば、魚介本来の栄養バランスに近い栄養バランスを有しており、しかも可食率が高くて廃棄工程が必要ない冷凍魚介加工品及び魚介加工食品原料を製造することができる。また、当該魚介加工原料を用いた魚介加工食品の製造方法によれば、魚介本来の栄養バランスに近い栄養バランスの魚介加工食品を製造することができる。
本実施例の魚介加工食品の製造方法及び冷凍魚介加工装置を説明するための斜視図である。 冷凍魚のせん断面を模式的に示した説明図である。 本実施例の魚介加工食品の製造方法で製造された魚介加工食品原料の一形態を示す説明図である。
1…冷凍魚介、1a…骨、1b…皮、1c…赤身部分、2…削り魚肉片(削り肉片)、
3…冷凍魚せん断刃(冷凍魚介せん断刃)、4…前部スライド板、5…後部スライド板、
10…切削具、20…魚加工食品原料(魚介加工食品、捏ね魚肉)。
次に、本出願に係る魚介加工品の製造方法について説明する。
本実施例では、まず、冷凍魚介加工品の原料として用いる冷凍魚介1(図1参照)を用意する。本実施例では、ウロコ、頭、内臓を除去した状態の冷凍魚であるアジ、サバ、イワシ、サンマ、サケと、内臓や甲などの除去物を除去して頭部、腕及び蝕腕を略円錐形状の外套膜部分の内部に詰めた状態の冷凍イカを用意した。
そして、用意した冷凍魚介1をそれぞれ削り工程で加工した。
削り工程は、原料である冷凍魚介1を切削して削り肉片2(図1参照)を生成する工程である。なお、削り工程で得られる削り肉片2は、図1に示されるように広がった状態で得られる場合や蛇腹状などの状態に折れ曲がった状など、種々の形態である。
そして、各冷凍魚介1について、切削を連続して行うことによって多量の削り肉片(加工片)2を製造した(図3(a)参照)。
この削り工程では、骨1aや皮1bなどが付いたままの状態の冷凍魚1(図2参照)や軟骨が付いたままの冷凍イカを原料として用いることができる。このような原料を用いた場合、削り工程では、肉部と共に軟骨も含めた骨1aや皮1bも同時に切削される。
つまり、本実施例の方法では、骨1aや皮1bがついた状態の冷凍魚介1など、種々の形態の冷凍魚介1を原料として用いることができる。冷凍魚介1である冷凍魚としては、例えば、水揚げした一匹なりの魚を冷凍したいわゆるラウンドの冷凍魚(冷凍魚介)、ウロコ除去のみ行われた冷凍魚、頭と内臓が除去された冷凍魚、二枚おろしの状態の冷凍魚、三枚おろしの状態の冷凍魚、さらに皮が剥がれたいわゆるスキンレスの状態の冷凍魚など、種々の形態の冷凍魚を挙げることができる。同様にイカにおいても水揚げされたままのもの(冷凍魚介)、内臓や甲を除去した外套膜部やさらに皮を剥いだ外套膜部、そしてこれらの状態の外套膜部内に頭部、腕及び蝕腕を外套膜部の内部に詰めたもの、二枚おろし状態の外套膜部など、種々の形態の冷凍イカ(冷凍魚介)を挙げることができる。このように、もとの魚介に近い状態の冷凍魚介(処理の度合いが低い冷凍魚やイカ)を原料として用いることができるので、そのような冷凍魚介を原料として用いることで、魚介本来の栄養バランスに近い栄養バランスの加工品を製造することができる。
ところで、削り工程で用いる冷凍魚介1の切削方法としては種々の方法があるが、本実施例では、原料である冷凍魚介1をスライスして肉薄の削り肉片2を生成する方法を用いている。
また、スライスする方法にも種々の方法があるが、本実施例では、いわゆる鉋刃(かんなば)状の冷凍魚介せん断刃3を備えた切削具10(図1参照)を用いて冷凍魚介1を切削て削り肉片2を生成した。つまり、本実施例では、図1に示されるように、切削具10を備えた冷凍魚介加工装置を用いた。
切削具10は、切削対象の冷凍魚介1を冷凍魚介せん断刃3に向けて案内する前部スライド板4と、冷凍魚介せん断刃3で切削された後の冷凍魚介1を、その形状を保護しつつスライドさせる後部スライド板5とを備えている。両スライド板4,5のスライド面(表面)は面一であり、冷凍魚介せん断刃3は、その刃先をスライド面から微小距離突出させた状態に設置されている。そして、冷凍魚介せん断刃3の刃先は、前部スライド板4側に傾斜した向きに向けられた状態でスライド面の外側に突出されている。したがって、前部スライド板4に接触させた状態の冷凍魚介1を冷凍魚介せん断刃3に向けてスライドさせると、冷凍魚介1が冷凍魚介せん断刃3で切削され、削り肉片2が生成される。なお、冷凍魚介せん断刃3の刃先の突出距離は、冷凍魚介に対して削り工程を行うことができる範囲で調整可能である。例えば、削り工程で得られた削り肉片2をその後どのように加工するか、削り対象である冷凍魚介の種類や例えば魚においては魚種、さらには切削対象の冷凍魚介の形態などに応じて削り肉片2の厚さ(すなわち刃先の突出距離)を調整することが可能である。
また、本実施例では、冷凍魚介1を一匹ずつ切削する形態を示したが、例えば複数の冷凍魚介が一体に冷凍された塊(小魚の塊なども含まれる)がある場合は、塊のまま削り工程で切削することができる。さらに、本実施例では、切削具10を備えた冷凍魚介加工装置を固定し、原料である冷凍魚介1をスライドさせて削り肉片2を製造しているが、固定状態の冷凍魚介1に対して切削具10を備えた冷凍魚介加工装置を接触させ、当該装置を移動させて削り肉片2を製造してもよい。
上述のようにして肉薄の削り肉片2を生成する方法は、冷凍魚介1の骨や皮を確実に微細化することができるという点で、より好ましいということができる。
そして、このようにして生成される削り肉片2は、表裏両面がせん断面である(図2参照)。せん断面は、魚介、特に魚の品質判断に利用可能であるなど、肉質などの肉の状態の視認に好適である点でも好ましい。また、せん断面は、生成される削り肉片2のみならず、切削途中の冷凍魚介1にも形成される面である。つまり、この削り工程を用いれば、削り魚片及び切削途中の冷凍魚介1の品質をせん断面を利用して判断することができる。また、削り対象である原料が骨や皮がついた状態の冷凍魚介1であれば、骨部と肉部との境界や、皮部と肉部との境界が視認可能なせん断面が形成されるので、これらの境界部を利用して魚の品質など魚介の品質等を判断することができる。
原料の冷凍魚介は、水揚げから冷凍されるまでの取り扱いの良し悪しによって、品質が大きく異なるという特徴を有するものである。そして、その品質は、外観を見ただけでは判断が難しい場合でも、切断面を確認すれば判断が可能になる。つまり、魚などの魚介の内部を視認したりすることで、水揚げ時の鮮度、身のしまり具合などの身質(肉質)、皮の厚さ(薄さ)などを判断することができる。そして、仮に冷凍魚介の全体について切断面をみることができれば、局所的に品質が悪い部分がある場合であっても、その部分を視認して除去することができる。これは、大型の魚など、肉厚が厚く内部品質が確認しにくい魚において特に有効であるということができる。品質が悪い部分とは、例えば、「コブ」「打ち身」「シミ」「出血」「血栓」「ヤケ」「そのほかの理由による変色」などの部分である。このような部分は、例えば、水揚げ時の取り扱い方が悪かったり、魚自身の暴れなどによって生じることがある。
この点、肉薄の削り肉片2においては、上述したように表裏両面のせん断面を視認することができるので、このせん断面を利用して削り肉片2の品質や、切削途中の冷凍魚介1の内部の品質を確認することができる。つまり、削り工程の途中で、任意の時期に随時、原料である冷凍魚介1の品質を確認することができる。
また、肉薄の削り肉片2を生成する方法であるので、削り肉片2を常時確認すれば冷凍魚介の全体の内部を視認することができる。つまり、原料の冷凍魚介について局所的に品質の悪い部分があるような場合でも、この悪い部分に気がつくことができる。しかも、気がついたとき、直ぐに品質の悪い部分を含む削り肉片2を除去することができる。さらに、気がついた時点で削り工程を停止(中断、中止)させることができるので、品質の悪い部分を有する冷凍魚介1を容易かつ迅速に原料から除去することができる。
生成される削り肉片2は、再冷凍保存可能なものであった。切削対象の冷凍魚介1の温度は氷点下(氷結状態)であるところ、氷点下の温度の削り肉片2が生成されるからであると考えられる。このように再冷凍保存可能な削り肉片2を生成するためには、削り工程を氷点下の温度の室内など、氷点下の温度環境で行うことが好ましい。
また、加工が容易でない小魚や脂ののったサンマの冷凍魚も原料として用いることが可能であり、これらを原料に用いて、魚の内部品質を確認可能なせん断面を有する削り肉片(削り魚肉片)2を製造することができた。さらには、軟体動物であるイカについても、内部品質を確認可能なせん断面を有する削り肉片2を製造することができた。
つまり、上述した冷凍魚介1の削り工程は、多様な種類や形態の冷凍魚介1を、内部品質の確認が可能な状態を維持しつつ、加工することができるという特徴を有する工程である。
そして、本実施例の製造方法は、多種多様な魚種、動物種の冷凍魚介を原料に用いて削り肉片2を製造することができるという特徴を有する。
なお、魚介(魚介類)とは、水産動物のことであり、魚(サメやウナギなどを含めた魚類)のほか、例えば、水中(特に海中)に生息するイカ、タコ、ホタテ貝(貝殻を持つ貝類)などの軟体動物、エビ、カニ、ロブスター、オマールなどの甲殻類の動物などを挙げることができる。
さらに、上述した冷凍魚介の削り工程では、加工の前後で、原料重量に変化がない。つまり、食品原料である冷凍魚介の全てが食品になり、廃棄部が生じないという点で優れている。例えば、加工途中で骨や皮などを除去するすり身の製造では、加工の前後で重量が変化すると共に廃棄物が生じる。
また、上述した冷凍魚介1の削り工程は、その途中の任意の時期に随時、工程を停止することができるので、削り工程を必要に応じて適宜の時期に停止させることで、加工対象である原料の冷凍魚介1の内部を、随時、直接視認したりして品質を確認することができる。つまり、削り工程の途中で、任意の時期に随時、切削途中の冷凍魚介の切削面を利用して、冷凍魚介内部の品質を確認することができる。
ところで、削り工程を途中で停止させたとき、削っている途中の原料(削りかけの冷凍魚介)が残っている場合がある。使い始めた原料は、一般的には、使いきることが好ましい。
この点、本実施例の製造方法では、削っている途中の原料(以下、この段落では、途中冷凍魚介と称する)を、そのまま再冷凍保存することが可能であり、しかも再冷凍保存後の途中冷凍魚介は、冷凍魚介加工品の製造の原料として使用可能である。つまり、途中冷凍魚介が残っている状態で削り工程を停止し、そのまま削り工程を終了したとしても、途中冷凍魚介すなわち、使いかけの原料を廃棄する必要がなく、再保存して利用できる。また、再保存して利用する途中冷凍魚介の品質が特に低いということがない点も利点である。
このように、削り工程は、途中冷凍魚介(削りかけの冷凍魚介)が存在するか否かにかかわらず、工程を停止して終了することができるという特徴を有する魚介加工工程である。
次に、魚介加工食品原料を製造する方法を説明する。
魚介加工食品原料の製造では、上述の削り工程で得た削り肉片2を、魚肉ダンゴともいうことができる塊状の魚介肉(捏ね肉)20に成形した(肉塊成形工程、図3(b)参照)。
この魚介肉塊成形工程を経て得られた捏ね魚介肉20が魚介加工食品原料である。
このようにして製造された魚介加工食品原料(捏ね魚介肉)20の手触り、舌触りなど、触感及び食感を確認したところ、骨や筋の存在を確認できないものを製造できていた。冷凍魚介1を切削した際、細かく切断されたからであると考えられる。したがって、本実施例の製造方法は、骨や皮などを除去する工程が不要であり、これらを除去しなくても食感に違和感を残すことがなく、しかも骨などの栄養バランスが損なわれておらず魚介本来の栄養バランスに近い栄養バランスの捏ね魚介肉を容易に製造可能という利点を有するということができる。
また、魚介の可食率を高めることができ、廃棄率を0にすることができるなど、著しく低下させることができる点でも優れているということができる。
なお、削り肉片2としては、削り工程直後の削り肉片2のほか、冷凍保存しておいた削り肉片2を用いることができる。また、各魚介の種類毎に得られた魚介加工食品原料(捏ね魚介肉)20は、いずれも冷凍保存可能なものであった。つまり削り肉片2から冷凍捏ね魚介肉を製造することが可能であった。
魚介肉塊成形工程は、氷点下の温度など低温の環境下で行うことができる工程であり、当該環境下で行うことが好ましい工程である。例えば、削り肉片2は、肉薄でしかも魚脂分を含むものであるので、氷点下の温度環境下であっても圧力などの外力を加えることで容易に変形し、しかも塊状に成形可能であると考えられる。また、削り工程の削り対象物は、前工程で冷凍されたものであることも、上述した魚介肉塊成形工程で容易、迅速且つ確実に魚介加工食品原料(捏ね魚介肉)を製造できる理由であると考えられる。この点からすれば、冷凍工程は、ここで説明した冷凍魚介加工品、魚介加工食品原料及び魚介加工食品の製造方法の特徴的工程であるということができる。
なお、製造した魚介加工食品原料20を直ぐに用いて、から揚げなどの魚介加工食品を直ぐに製造する場合は、解凍された状態の削り肉片2を用いて魚介肉塊成形工程を行ってもよい。
また、本実施例の魚介加工食品原料の製造方法によれば、加工が容易でない小魚や脂肪ののったサンマの冷凍魚や軟体動物であるイカを原料として用いて、上述したような魚介加工食品原料(捏ね魚介肉)20を製造することができたことから、この製造方法は、多種多様な種類の冷凍魚介1を用いて、魚肉であることなど、魚介の種類を視認可能な魚介加工食品原料20を製造できる製造方法であるということができる。
上述したように、削り肉片2は、所定量の削り肉片2を塊状に成形することについて、成形性に優れている。例えば、適量の削り肉片2を手に載せて両手で包み込みダンゴ状にするだけで塊状の魚介加工食品原料(捏ね魚介肉)20を製造することができる。
つまり、ここでいう魚介肉塊成形工程とは、適宜の量の削り肉片2を塊状に成形する工程であるということができる。成形工程としては、例えば、手捏ね工程などの捏ね工程、型や巾着等の布などの成形材を用いて団子状やおにぎり状に成形する加圧工程などを挙げることができる。このように、肉薄の削り肉片2は、まとまった一つの物として取り扱い可能な塊状の魚介肉(捏ね魚介肉)に成形することが容易な生魚介加工品である。
また、ここでいう魚介加工食品原料(捏ね魚介肉)20は、原料である魚介の原形を留めた部分を随所に含み、魚介肉の原形が外観に現れているという特徴を有するということができる(図3(b)参照)。例えば原料が魚であれば、それが魚肉であることを視認可能である。例えば、原料として皮1bがついたままの冷凍魚1を用いている場合であれば、切削された皮1bを視認できる場合を挙げることができる。また、赤身1cの部分を有する冷凍魚1であれば、赤身1cを視認できる場合を挙げることができる。さらに言えば、肉質や原料の魚介種などを認識可能な魚介加工食品原料20を製造することも可能である。食品おいては、加工度が低く素材そのものの味わいを有するという観点や素材のトレーサビリティなどが重視されているところ、原料(魚介肉)の原形を視認できる食材は、食材そのものに上述したような観点についての訴求力を備えているという点で優れいている。同様に、このような食材を上述したような工程で迅速且つ容易に製造できる本実施形態の製造方法も優れており、その原料である削り肉片2も優れた食材(加工品)である。
さらに、調味料を加える調味工程を行った。
調味工程を行う時期としては、魚介肉塊成形工程が施される前の削り肉片2に対して調味料を加えるという場合と、魚介肉塊成形工程中の削り肉片2に対して調味料を加える場合とを挙げることができる。
これにより、味付けされた魚介加工食品原料(捏ね魚介肉)20を製造することができた。
また、上記魚介肉塊成形工程は、加工の度合いが低く、極く短時間で実行可能な工程であることから、当該工程を用いれば、調味料が魚介加工食品原料20全体に均等に混合されているにもかかわらず、調味料の味の希薄化を抑制できると考えられる。
そして、各魚介の捏ね魚介肉(魚介加工食品原料)を加熱して魚介加工食品を製造した。
加熱方法には、蒸す、茹でる、焼く、電子レンジによる加熱など、種々の方法があるが、ここでは油で揚げる方法を用いた。
ここでは、味付けしていない捏ね魚介肉と、味付けされた捏ね魚介肉の両方を揚げて加熱し、から揚げ(魚介加工食品)を製造した。
味見を行ったところ、いずれも、独特の食感を有するものであった。上述した特有の削り工程や魚介肉塊成形工程を経て製造された捏ね魚介肉(魚介加工食品原料)を揚げて製造したからであると考えられる。
ところで、上記実施例の方法を用いて魚介加工食品原料を製造するにあたり、削り肉片2に関する研究及び検討を重ねた結果、削り肉片2について種々の知見を得た。
例えば、削り肉片2を用いた加工食品を開発するために、削り肉片2の性質や取り扱い性について研究や検討を重ねたところ、削り肉片2に対して、次にどのような加工を行うかが極めて重要であることを見出した。
削り肉片2は、薄肉であるという形状や生の魚介と同様の肉質であるといった性質上、変形が容易であったり、温度変化しやすかったりする(熱容量が小さい)など、付与された環境の変化に対する順応性が極めて優れており、削り肉片2に加える次の加工の内容によってその後の特性が大きく左右される食品であるとの知見を研究等によって得たことで、上述した「次の加工」の重要性を見出した。また、削り肉片2は、環境の変化に極めて優れたもの(極めて優れた加工性を有するもの)であるため、ひとたび加工を行うと、効率よく加工され、その結果、加工性が著しく低下した加工品になるとの知見を研究等によって得たことで、上述した「次の加工」の重要性を見出した。
この観点で、上述した魚介加工食品原料や魚介加工食品の製造方法を再検討すると、削り工程で得た削り肉片2を基に塊状の魚介肉(捏ね肉)20を成形する肉塊成形工程は、薄肉である削り肉片2の加工容易性という性質に着目した加工方法である認識できる。
ところが、削り肉片2を塊状にすると、上述の知見に照らせば、薄肉の削り肉片2が有していた温度変化に対する優れた順応性が著しく損なわれることが考えられる。また、塊状にすることで、中心部と外周部の食感や味付けなどの性質を均質にする均質容易性が低下することが考えられる。
このような知見をさらに得た上で、これまでに無い魚介加工食品および魚介加工食品の原料の製造方法を見出した。
当該製造方法では、上述の削り工程で得た削り肉片2に対して熱処理を施す(熱処理工程)。
削り工程で得た削り肉片2に熱処理工程を施して魚介加工食品またはその原料を製造する方法は、薄肉である削り肉片2が温度変化に対して優れた順応性を有するという性質に着目した加工方法であるということができる。
熱処理としては、加熱処理および冷却処理を挙げることができる。ここでは特に加熱処理に着目する。加熱処理としては、例えば、揚げ、茹で(ボイル)、焼き、蒸しを挙げることができる。
次に、魚介加工食品(原料)の製造方法について具体的に説明する。
なお、削り肉片2を製造する工程については、既に説明しているので、その説明を省略する。
また、ここで説明する魚介加工食品の製造方法によって製造されたものは、そのまま食することが可能なものである。したがって、この点に着目すれば、ここで説明する魚介加工食品原料の製造方法は、魚介加工食品の製造方法である。
まず、加熱処理として揚げ工程を用いる魚介加工食品原料の製造方法について説明する。
揚げ工程とは、高温の多量の油に食材を浸漬させて加熱する調理方法のことであり、例えば、てんぷらやフライなどの製造で用いられる加熱調理方法である。
削り肉片2は薄肉であり、極めて短時間で揚げ加工を行うことができた。加工時間が短時間であれば、食材である削り肉片2の全体を容易かつ確実に均質に揚げることができる。
そして、削り肉片2に揚げ工程を施すことで、揚げ物(より具体的には唐揚げ及び竜田揚げ)などと称することができる、揚げられた削り肉片(以下、揚げ削り肉片と称する)を得ることができた。揚げ削り肉片は、パリパリの食感を有しており、そのまま食べることができるものであった。さらに揚げ削り肉片は、粉砕や分割などによる小粒化が容易なものであり、ふりかけや巻きずしの具として用いることが可能なフレーク(粉状物)に加工できるものであり、これらの加工品の原料として好適であることを見出した。
また、複数の削り肉片2をまとめて揚げたり、小さく切った野菜などの他の食材と一緒に揚げることで、かき揚げ(掻き揚げ)を得ることができた。削り肉片2は、変形容易な軟らかい食材であるところ、小さく切った野菜などの食材と絡ませることが容易であり、かき揚げ用の食材として好適であることを見出した。得られた揚げ削り肉片は、つまり、なお、かき揚げとは、周知の日本料理のひとつであり、たとえば、魚介類や野菜などを細かく切った食材を、小麦粉を用いた衣で絡めあわせた状態で、食用油を用いて揚げた日本料理ということができる。
ところで、冷凍魚やそれを解凍したものを揚げる場合、いわゆる油はねが生じやすい。油はねは、フライヤなどの揚げ器具の汚れの原因であるところ、油はねが頻発すれば、器具のメインテナンス頻度が増加したり、器具の故障の原因になったりすることがある。この点に関して、削り工程を経て得られた削り肉片2の揚げ工程では、いわゆる油はねが生じ難かった。冷凍魚や解凍魚は水分の塊など、油はねの原因となる物を保有した状態になり易く、しかも原因物を除去することも容易でない。これに対して、削り肉片2は、削り工程を経ていることで、水分の塊などの原因物を保有することが防止されていると考えられる。このようなことから、削り肉片2を製造する削り工程は、特に、揚げる食材として優れた性質を有していることができる。また、削り肉片2を製造する削り工程は、水分除去とい方法ではなく薄肉に削るという工程によって油はねが抑制された削り肉片2を製造する工程であるということができる。
油はねを防止できれば、器具メインテナンスがより容易になり、故障発生率を低減させることができる。
次に、加熱処理として茹で(ボイル)工程を用いる魚介加工食品原料の製造方法について説明する。
茹でる(茹で工程)とは、沸騰させた水(熱湯)の中に食材を浸漬させて加熱する調理方法のことである。
削り肉片2に茹で工程を施すことで、茹でられた薄肉の削り肉片(以下、茹で削り肉片と称する)を得ることができた。
また、削り肉片2は薄肉であり、極めて短時間で茹で加工を行うことができた。加工時間が短時間であれば、食材である削り肉片2の全体を容易かつ確実に均質に茹でることができる。
ところで、削り肉片2を茹でたところ、削り肉片2に含まれていた油脂分を短時間で削り肉片2の外に流出させることができることを見出した。近年、健康管理や栄養管理の観点で、低カロリーの食事の需要が高まっており、低カロリーの食材の必要性が高まっている。この点、茹で工程を用いる魚介加工食品原料の製造方法によれば、削り工程で得られた削り肉片2に含まれる油脂分を短時間で削り肉片2の外に流出させることができ、低カロリーの茹で削り肉片を容易、迅速かつ確実に製造することができる。
また、茹で削り肉片と同時に得られる、削り肉片ゆで汁は、出汁として使用できる。特に、削り肉片ゆで汁は、単なる出汁ではなく、カロリー調整用の出汁として使用できる。削り肉片ゆで汁は、削り肉片から流出した油脂分を多く含んでいるので、当該削り肉ゆで汁の使用量を調整することでカロリー調整を容易に行うことができる。
このように、茹で工程を用いる魚介加工食品原料の製造方法で製造される魚介加工食品は、茹で削り肉片であるということが可能であると共に、茹で削り肉片及び削り肉片ゆで汁であるということが可能である。
さらに、茹で削り肉片は、薄肉であることから、よりほぐしやすい食材であるということができる。つまり、茹で工程を用いる魚介加工食品原料の製造方法によれば、ほぐしやすい茹で削り肉片を容易、迅速かつ確実に製造することができる。
次に、加熱処理として煮る工程を用いる魚介加工食品原料の製造方法について説明する。
煮る工程とは、水(出汁などの調味された水を含む)に食材を浸漬させて加熱する調理方法である。
削り肉片2を煮ることで、煮られた薄肉の削り肉片(以下、煮削り肉片と称する)を得ることができた。
削り肉片2は薄肉であるので、極めて短時間で煮ることができた。つまり、削り肉片2を煮たところ、削り肉片2に含まれていた油脂分が短時間で煮もの全体(煮汁を含む)に均等に広がった。また、出汁を用いて削り肉片2を煮たところ、煮汁が短時間で煮削り肉片2に含浸した。このように、削り工程で得られた薄肉の削り肉片2に煮ることで、全体の味が均質であり、しかも煮汁が浸み込んだ煮削り肉片を含む煮物を短時間で作ることができた。
さらに、煮汁等を短時間で煮削り肉片2に含浸させることができれば、佃煮など、一般的には長時間の煮込みが必要な加工食品を短時間で製造することが可能である。
次に、加熱処理として蒸す工程を用いる魚介加工食品原料の製造方法について説明する。
蒸す工程とは、水を加熱して発生した湯気(高温の水蒸気)を利用して食材を加熱する調理方法である。湯気は、例えば、せいろに載せた食材の下側に供給した蒸し湯、お酒などの調味料に含まれる水分、さらには食材自体に含まれる水分が利用されて生成される。
削り肉片2に蒸し工程を施すことで、蒸された薄肉の削り肉片(以下、蒸し削り肉片と称する)を得ることができた。
また、削り肉片2は薄肉であり、極めて短時間で蒸し加工を行うことができた。加工時間が短時間であれば、食材である削り肉片2の全体を容易かつ確実に均質に蒸すことができる。
ところで、削り肉片2を蒸したところ、削り肉片2に含まれていた香りや風味を短時間で蒸し削り肉片の外に流出させることができ、香りや風味の豊かな蒸し削り肉片が得られた。香りや風味は、おいしい食事において重要な要素である。この点、蒸し工程を用いる魚介加工食品原料の製造方法によれば、削り工程で得られた削り肉片2に含まれる香や風味を短時間で蒸し削り肉片の外に流出させることができ、食事を迅速かつ確実に引き立てることができる。また、短時間の蒸し工程で香りや風味が得られることから、香りや風味を必要とする際その直前に削り肉片を蒸すことで、タイミングのズレを生じさせることなく、香りや風味を得ることができる。
次に、加熱処理として焼き工程を用いる魚介加工食品原料の製造方法について説明する。
ここで、焼き工程とは、鍋、釜あるいはフライパンさらには油などの熱伝達媒体を利用することなく直火で加熱する調理方法と、鍋、釜あるいはフライパン、さらには必要に応じて少量供給される油などの熱伝達媒体を利用して高温の熱を直接食材に加えて加熱する調理方法とを含むこととする。
削り肉片2に焼き工程を施すことで、焼かれた薄肉の削り肉片(以下、焼き削り肉片と称する)を得ることができた。
例えば、直火による焼き工程の場合、得られた焼き削り肉片を容易に粉状に粉砕する(小粒化する)ことができ、いわゆるふりかけを容易に得ることができた。削り肉片2は薄肉であり、極めて短時間で焼き加工を行うことができた。加工時間が短時間であれば、食材である削り肉片2の全体を容易かつ確実に均質に焼くことができる。
ところで、削り肉片2を焼いたところ、削り肉片2に含まれていた香りや風味を短時間で焼き削り肉片の外に流出させることができ、香りや風味の豊かな焼き削り肉片が得られた。香りや風味は、おいしい食事において重要な要素である。この点、焼き工程を用いる魚介加工食品原料の製造方法によれば、削り工程で得られた削り肉片2に含まれる香や風味を短時間で焼き削り肉片の外に流出させることができ、食事を迅速かつ確実に引き立てることができる。したがって、上述したように、得られた焼き削り肉片を粉砕することで、香や風味が豊かなフリカケを容易に製造することができる。
短時間の焼き工程で香りや風味が得られることから、香りや風味を必要とする際その直前に削り肉片を焼くことで、タイミングのズレを生じさせることなく、香りや風味を得ることができる。
また、熱伝達媒体(ここではフライパン)を用いて行った焼き工程の場合、各削り肉片2毎にまとまってコロコロ状になった状態(内部に軟らかい部分が残存する状態)で焼かれることから、フレーク状に加工容易であることを見出した。このようにして得られた焼き削り肉片は、その後、フレーク状にしてフリカケや巻きずしの具として好適である。
そして、焼き削り肉片は、その大部分に焼きが入っているので、出汁をとるための原料として好適である。出汁をとる場合、焼き削り片を、出汁昆布や鰹節と同様に扱って出汁をとることができる。焼き削り肉片は身が崩れやすいことから、出汁をとる際に、例えば出汁の中にオリ(滓)が生じにくくするためには、目の細かいパックなどに焼き削り肉片を入れて出汁をとる方法が好ましい。
また、焼き削り片に、みりん、ゴマ、砂糖、塩などの調味料を加えて味付けしたもの(以下、味付け焼き削り片と称する)を用いて出汁をとることができる。例えばうどんの出汁として好適である。この場合、味付け焼き削り肉片は、出汁の原料であり、しかも食材である。つまり、味付け焼き削り肉片は、焼き削り肉片に味付け工程を施して得られるものである。
ここでは、削り肉片の加熱処理工程として、揚げ工程、茹で工程、煮る工程、蒸す工程および焼き工程を挙げ、各工程を用いた魚介加工食品原料の製造方法について説明したが、削り肉片の加熱処理工程はこれらに限られるものではない。加熱処理の趣旨を逸脱しない範囲で改変された加熱処理工程は、ここでいう加熱処理工程に含まれる。
また、加熱処理工程を用いた魚介加工食品原料の製造方法において用いる加熱処理工程は、実行する工程の種類の数や各工程の実行回数を限るものではない。魚介加工食品原料の製造方法の加熱処理工程は、上述した工程のうちの2種類以上の工程を含んでいてもよい。そして、複数種類の工程を含む加熱処理工程の場合、各工程を順次行ってもよいし、同時に行ってもよい。さらに、複数種類の工程を含む加熱処理工程の場合、同じ種類の工程を2回行ってもよい。
順次行う場合としては、たとえば、まず煮る工程を行い、その後、揚げ工程を行う場合を挙げることができる。
同時に行う場合としては、たとえば、茹で工程と蒸し工程とが同時に行われるような場合を挙げることができる。
同じ種類の工程を2回以上行う場合としては、たとえば、まず揚げ工程を行い、次に煮る工程を行い、その次に揚げ工程を行う場合を挙げることができる。さらには、まず、茹で工程と煮る工程とを同時に行う工程を行い、その後、煮る工程を行う場合を挙げることができる。
なお、本発明に係る冷凍魚介加工品、魚介加工食品原料及び魚介加工食品の製造方法や冷凍魚介加工装置は、上記実施例に限られるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された方法や装置などのものは、本発明の範囲に含まれる。

Claims (5)

  1. 骨部及び皮部のうちの少なくともいずれか一方が魚介の肉部と一体のまま冷凍された冷凍魚介を切削する削り工程と、
    削り肉片を加熱処理する工程とを有しており、
    前記削り肉片は、前記魚介の前記肉部と前記魚介の前記骨部及び/又は皮部とが切断されたものであることを特徴とする、魚介加工食品の製造方法。
  2. 前記加熱処理工程は、削り工程で得られた前記削り肉片を揚げる揚げ工程、前記削り肉片を茹でる茹で工程、前記削り肉片を煮る工程、前記削り肉片を蒸す蒸し工程および前記削り肉片を焼く焼き工程のうちの少なくともいずれか一つの工程を行う工程である、請求項1に記載の魚介加工食品の製造方法。
  3. 前記加熱処理工程は、前記焼き工程であり、
    当該焼き工程によって得られたものを粉砕する工程をさらに備えている、請求項2に記載の魚介加工食品の製造方法。
  4. 前記削り肉片には、前記骨部及び前記皮部のうちの少なくともいずれか一方と前記肉部とが一体のままの削り肉片が含まれている、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の魚介加工食品の製造方法。
  5. 調味料を加える調味工程を、さらに有しており、
    当該調味工程は、前記加熱処理工程が施される前の前記削り肉片及び/又は前記加熱処理工程中の前記削り肉片に対して調味料を加える工程である、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の魚介加工食品の製造方法。
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