JP6403234B2 - オフセット印刷インキ用樹脂 - Google Patents

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Description

本発明は、オフセット印刷用インキに実用上要求される光沢性、乾燥性および耐ミスチング性を低下させることなく、ワニス化の際に高い溶解性を有し、かつ優れた経時安定性を有するオフセット印刷インキ用樹脂に関する。
従来、オフセット印刷インキ用樹脂としては、インキに優れた印刷適性を付与することができるロジン変性フェノール樹脂が使用されている。しかし、ロジン変性フェノール樹脂は、主原料として、ホルムアルデヒドおよびアルキルフェノールを使用するため、環境面、作業衛生面などで問題を有している。そのため、近年、ホルムアルデヒドおよびアルキルフェノールを使用しないオフセット印刷インキ用樹脂の開発が進められている。
ホルムアルデヒドおよびアルキルフェノールを使用しないオフセット印刷インキ用樹脂としては、例えばロジン変性ポリエステル系樹脂が挙げられる(特許文献1)。このようなロジン変性ポリエステル系樹脂は、原料として、例えば、ガムロジン、大豆油脂肪酸、無水マレイン酸、酸化亜鉛およびペンタエリスリトールが使用されている。
国際公開2014/024549号
上記のようなロジン変性ポリエステル系樹脂は、ロジン変性フェノール樹脂と同様、インキに優れた印刷適性を付与する。しかし、ロジン変性ポリエステル系樹脂を調製する際に金属化合物を使用すると、得られるロジン変性ポリエステル系樹脂は、ロジン変性フェノール樹脂よりも経時的に粘度上昇しやすい傾向がある。そのため、長期保管されたロジン変性ポリエステル系樹脂を用いてインキを調製した場合、あるいはロジン変性ポリエステル系樹脂を用いてインキを調製した後にインキを長期保管した場合、インキが高粘度となり、印刷不良の原因となることがある。
本発明の課題は、オフセット印刷用インキに実用上要求される光沢性、乾燥性および耐ミスチング性を低下させることなく、ワニス化の際に高い溶解性を有し、かつ優れた経時安定性を有するオフセット印刷インキ用樹脂、およびこのオフセット印刷インキ用樹脂を用いたオフセット印刷用インキを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、以下の構成からなる解決手段を見出し、本発明を完成するに至った。
(1)ロジン類と、α,β−不飽和カルボン酸およびその無水物の少なくとも一方と、脂肪酸および油脂の少なくとも一方と、多価アルコールと、アルカリ金属化合物からなる第1金属化合物と、アルカリ金属化合物以外の金属化合物からなる第2金属化合物とを含む樹脂原料を反応させて得られる樹脂を含有する、オフセット印刷インキ用樹脂。
(2)第1金属化合物が、樹脂原料中に金属量換算で0.05〜2.5質量%の割合で含まれる上記(1)に記載のオフセット印刷インキ用樹脂。
(3)第1金属化合物が、少なくともリチウム化合物を含む上記(1)または(2)に記載のオフセット印刷インキ用樹脂。
(4)第2金属化合物が、樹脂原料中に金属量換算で0.2〜4.5質量%の割合で含まれる上記(1)〜(3)のいずれかに記載のオフセット印刷インキ用樹脂。
(5)樹脂原料が、芳香族カルボン酸をさらに含有する上記(1)〜(4)のいずれかに記載のオフセット印刷インキ用樹脂。
(6)芳香族カルボン酸が、芳香族モノカルボン酸である上記(5)に記載のオフセット印刷インキ用樹脂。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載のオフセット印刷インキ用樹脂、乾性油または半乾性油、溶剤、および顔料を含有する、オフセット印刷用インキ。
本発明によれば、オフセット印刷用インキに実用上要求される光沢性、乾燥性および耐ミスチング性を低下させることなく、ワニス化の際に高い溶解性を有し、かつ優れた経時安定性を有するオフセット印刷インキ用樹脂、およびこのオフセット印刷インキ用樹脂を用いたオフセット印刷用インキを提供することができる。
本発明に係るオフセット印刷インキ用樹脂は、ロジン類と、α,β−不飽和カルボン酸およびその無水物の少なくとも一方と、脂肪酸および油脂の少なくとも一方と、多価アルコールと、アルカリ金属化合物からなる第1金属化合物と、アルカリ金属化合物以外の金属化合物からなる第2金属化合物とを含む樹脂原料を反応させて得られる樹脂を含有する。以下、本発明のオフセット印刷インキ用樹脂について詳細に説明する。
(ロジン類)
本発明に用いられるロジン類としては、ロジンおよびロジン誘導体が挙げられ、特に限定されない。一般にロジンとは、マツ科植物から得られる樹脂油を原料とし、精油などの揮発性物質を留去した後の残留樹脂のことをいう。この樹脂は、アビエチン酸とその類縁体を主成分とする樹脂酸と少量の中性成分とを含有する混合物である。
ロジンとしては、例えば、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジンなどが挙げられる。また、ロジンの誘導体としては、例えば、重合ロジン、アクリル化ロジン、水素添加ロジン、不均化ロジンなどが挙げられる。これらのロジン類は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ロジン類は、樹脂原料中に、好ましくは20〜70質量%、より好ましくは30〜60質量%の割合で含有される。
(α,β−不飽和カルボン酸およびその無水物)
本発明において、α,β−不飽和カルボン酸およびその無水物の少なくとも一方(以下、単に「α,β−不飽和カルボン酸類」と記載する場合がある)は、オフセット印刷インキ用樹脂を高分子量化するために用いられる。すなわち、α,β−不飽和カルボン酸類とロジン類とが付加反応(アルダーのエン反応またはディールス−アルダー反応)し、α,β−不飽和カルボン酸類とロジン類との付加体が生成される。この付加体は、分子内に少なくとも2個のカルボキシル基を有するため、後述の多価アルコールとエステル結合を形成して高分子量化する。このように、高分子量化することによって、所望の粘弾性を有する樹脂が得られる。
α,β−不飽和カルボン酸類としては、例えば、3〜5個の炭素原子を有する鎖状α,β−不飽和モノカルボン酸またはその無水物、3〜5個の炭素原子を有する鎖状α,β−不飽和ジカルボン酸またはその無水物、芳香族α,β−不飽和カルボン酸などが挙げられる。具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、ケイ皮酸などが挙げられる。
α,β−不飽和カルボン酸類は、樹脂原料中に、好ましくは3〜15質量%、より好ましくは4〜10質量%の割合で含有される。α,β−不飽和カルボン酸類がこのような範囲で含有されると、得られる樹脂の分子量制御が行いやすくなる。その結果、インキに必要な所望の粘弾性を有する樹脂がより得られやすくなる。
本発明においては、α,β−不飽和カルボン酸のみを用いてもよく、α,β−不飽和カルボン酸無水物のみを用いてもよい。あるいは、α,β−不飽和カルボン酸と無水物とを併用してもよい。併用する場合は、合計で上記の割合となるように含有される。
(第1金属化合物)
本発明において、第1金属化合物(アルカリ金属化合物)は、樹脂の経時安定性を向上させるために用いられる。第1金属化合物を構成するアルカリ金属元素が、後述の第2金属化合物を構成する金属元素による静電的相互作用を緩和する傾向に作用する。その結果、樹脂中の極性基が会合体を形成しにくくなるため経時的な粘度上昇が抑えられ、経時安定性が向上する。さらに、第2金属化合物を用いたイオン結合による架橋密度も緩和する傾向に作用し、印刷物に優れた光沢を付与することもできる。
第1金属化合物としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどの水酸化物、酸化物などが挙げられる。これらの中でも、水酸化リチウムなどリチウム化合物が好ましい。これらの第1金属化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。第1金属化合物は、樹脂原料中に金属量換算(金属部分に相当する質量の割合をいう。以下同じ。)で、好ましくは0.05〜2.5質量%、より好ましくは0.2〜1.5質量%の割合で含有される。
本発明においては、第1金属化合物と第2金属化合物とを併用することが重要である。第1金属化合物しか使用しなければ、樹脂が白濁する。第1金属化合物は樹脂中で溶解しにくいためである。第1金属化合物と第2金属化合物とを併用することによって、メカニズムは不明であるが、樹脂中でいずれも溶解して白濁しなくなる。
(第2金属化合物)
本発明において、第2金属化合物(アルカリ金属化合物以外の金属化合物)は架橋剤として用いられる。すなわち、第2金属化合物に由来する金属イオンが、樹脂原料に存在するカルボキシル基(−COOH)を架橋させて、得られる樹脂の分子量を高めている。例えば、後述の脂肪酸を用いる場合には、脂肪酸、ロジン類、α,β−不飽和カルボン酸類、およびロジン類とα,β−不飽和カルボン酸類とからなる付加体からなる群より選択される少なくとも2つの分子が、第2金属化合物に由来する金属イオンを介して架橋した構造を有する架橋体が形成される。
好ましくは、樹脂中には、脂肪酸と、ロジン類、α,β−不飽和カルボン酸類、およびロジン類とα,β−不飽和カルボン酸類とからなる付加体からなる群より選択される少なくとも1種とが、第2金属化合物に由来する金属イオンを介して架橋することによって形成される架橋体が含まれる。具体的には、下記の(i)〜(iv)に示すような架橋体などが挙げられる。
(i)脂肪酸と付加体とが金属イオンを介して架橋することによって形成される架橋体。
(ii)脂肪酸と未反応のロジン類とが金属イオンを介して架橋することによって形成される架橋体。
(iii)脂肪酸と未反応のα,β−不飽和カルボン酸類とが金属イオンを介して架橋することによって形成される架橋体。
(iv)脂肪酸と後述の任意成分である芳香族カルボン酸とが金属イオンを介して架橋することによって形成される架橋体。
一方、後述の油脂は架橋体形成に直接関与しない。後述のように、油脂はエステル交換反応に関与する成分である。したがって、油脂を用いる場合には、ロジン類、α,β−不飽和カルボン酸またはその無水物、およびロジン類とα,β−不飽和カルボン酸類とからなる付加体からなる群より選択される少なくとも2つの分子が、第2金属化合物に由来する金属イオンを介して架橋した構造を有する架橋体が形成される。
具体的には、下記の(i’)〜(x’)に示すような架橋体などが挙げられる。
(i’)付加体同士が金属イオンを介して架橋することによって形成される架橋体。
(ii’)付加体と未反応のロジン類とが金属イオンを介して架橋することによって形成される架橋体。
(iii’)付加体と未反応のα,β−不飽和カルボン酸類とが金属イオンを介して架橋することによって形成される架橋体。
(iv’)付加体と後述の任意成分である芳香族カルボン酸とが金属イオンを介して架橋することによって形成される架橋体。
(v’)未反応のロジン類同士が金属イオンを介して架橋することによって形成される架橋体。
(vi’)未反応のロジン類と未反応のα,β−不飽和カルボン酸類とが金属イオンを介して架橋することによって形成される架橋体。
(vii’)未反応のロジン類と後述の任意成分である芳香族カルボン酸とが金属イオンを介して架橋することによって形成される架橋体。
(viii’)未反応のα,β−不飽和カルボン酸類同士が金属イオンを介して架橋することによって形成される架橋体。
(ix’)未反応のα,β−不飽和カルボン酸類と後述の任意成分である芳香族カルボン酸とが金属イオンを介して架橋することによって形成される架橋体。
(x’)後述の任意成分である芳香族カルボン酸同士が金属イオンを介して架橋することによって形成される架橋体。
上記のように、樹脂原料に存在するカルボキシル基同士を、第2金属化合物に由来する金属イオンを介して架橋させることによって、得られる樹脂の分子量が高められる。その結果、インキの乾燥性や耐ミスチング性が向上する。また、第2金属化合物を含有することによって、インキを調製する際に顔料との親和性を高め分散性を向上させることができる。
第2金属化合物としては、例えば、カルシウム、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、コバルト、銅、鉛、マンガンなどの2価以上の金属の水酸化物、酸化物などが挙げられる。これらの中でも、樹脂原料に存在するカルボキシル基に対する反応性が高く、顔料との親和性が高い点で、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウムなどのカルシウム化合物、亜鉛化合物またはマグネシウム化合物が好ましい。これらの第2金属化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
第2金属化合物は、樹脂原料中に金属量換算で、好ましくは0.2〜4.5質量%、より好ましくは1〜3.5質量%の割合で含有される。第2金属化合物をこのような割合で含有させることにより、親水性と親油性とのバランスに優れた樹脂が得られる。さらに、経時安定性に優れた樹脂が得られる。特に、このような範囲内であっても、よりバランスおよび経時安定性に優れた樹脂を得るために、後述の脂肪酸または油脂を100質量部とした場合、第2金属化合物の含有量を2〜15質量部程度の割合とすることが好ましく、3〜10質量部程度とすることがより好ましい。
なお、グラビア印刷においては、インキ用樹脂として、ロジン類の金属塩が一般に使用されている。しかし、グラビア印刷は、オフセット印刷と版式が全く異なる印刷方法である。そのため、仮にグラビア印刷インキ用樹脂をオフセット印刷インキ用樹脂として使用しても、脂肪族炭化水素溶剤への溶解性が劣り、さらに、水有りの印刷ではインキが乳化しやすくなるなどの問題が生じる。
(脂肪酸および油脂)
本発明において、脂肪酸および油脂の少なくとも一方は、樹脂に親油性を付与するために使用される。樹脂に親油性が付与されると、インキの製造の際に使用される溶剤などへの溶解性が高められる。以下、脂肪酸および油脂について詳細に説明する。
<脂肪酸>
脂肪酸は、上述の(i)〜(iv)に示すような架橋体を形成し、親油性を付与している。脂肪酸の親油性は、脂肪酸のアルキル基部分に依存するため、炭素原子を多く有する高級脂肪酸が好ましく、12個以上の炭素原子を有する脂肪酸がより好ましい。
12個以上の炭素原子を有する脂肪酸としては、飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸のいずれであってもよい。飽和脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸(炭素数12)、ミリスチン酸(炭素数14)、パルミチン酸(炭素数16)、ステアリン酸(炭素数18)などが挙げられる。また、不飽和脂肪酸としては、α−リノレン酸(炭素数18)、リノール酸(炭素数18)、オレイン酸(炭素数18)などが挙げられる。このような脂肪酸の中でも、インキ溶剤への溶解性、乾燥性などの諸物性に優れる点で、ステアリン酸などの飽和脂肪酸が好ましい。
脂肪酸は、精製された脂肪酸である必要はなく、混合脂肪酸であってもよい。混合脂肪酸としては、2種以上の脂肪酸の混合物、動物性油脂由来の脂肪酸、植物性油脂由来の脂肪酸などが挙げられる。動物性油脂由来の脂肪酸および植物性油脂由来の脂肪酸は、12個以上の炭素原子を有する脂肪酸を多く含有している点で好ましい。
動物性油脂由来の脂肪酸としては、例えば、牛脂脂肪酸、豚脂脂肪酸、魚油脂肪酸、それらを水素添加(硬化)した脂肪酸などが挙げられる。植物性油脂由来の脂肪酸としては、例えば、トール油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、桐油脂肪酸、やし油脂肪酸、ひまし油脂肪酸などが挙げられる。
<油脂>
油脂は、ロジン類、α,β−不飽和カルボン酸またはその無水物、上述の付加体、上述の架橋体、後述の多価アルコール、および必要に応じて使用される後述の芳香族カルボン酸から得られるポリエステル樹脂に、油脂(トリグリセライド)由来のアルキル基を導入することによって付与される。すなわち、油脂はエステル交換反応に関与する成分である。
油脂は特に限定されず、動物性油脂、植物性油脂などが挙げられる。これらの油脂の中でも、トリグリセライドを構成する3つの脂肪酸のうち少なくとも1つが12個以上の炭素原子を有する脂肪酸で構成されたものが好ましい。動物性油脂としては、牛脂、豚脂、魚油などが挙げられる。植物性油脂としては、大豆油、アマニ油、桐油、やし油、ひまし油、パーム油、菜種油などが挙げられる。また、天ぷら油など食用に使用された後、回収・再生された再生油を用いてもよい。再生処理方法は、一般的に、ろ過などによる沈殿物の除去、脱色などが挙げられる。これらの油脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
脂肪酸および油脂の少なくとも一方は、樹脂原料中に、好ましくは10〜50質量%、より好ましくは15〜40質量%の割合で含有される。含有量が10質量%未満の場合、インキの製造の際に使用される溶剤などへの溶解性が低くなる。その結果、顔料分散性が悪くなったり、印刷物に与える光沢が悪くなったりする。一方、含有量が50質量%を超える場合、樹脂が柔らかくなり、印刷時の耐ミスチング性およびインキの乾燥性が悪くなる。なお、樹脂原料として用いられる脂肪酸または油脂は、樹脂のワニス化などインキを製造する際に用いられる溶剤とは、区別して使用される。
本発明においては、脂肪酸のみを用いてもよく、油脂のみを用いてもよい。あるいは、脂肪酸と油脂とを併用してもよい。併用する場合は、合計で上記の割合となるように含有される。
(多価アルコール)
本発明において、多価アルコールは、上述の付加体、未反応のロジン類、未反応のα,β−不飽和カルボン酸またはその無水物、上述の架橋体、脂肪酸、および後述の芳香族カルボン酸と反応してエステルを形成する。例えば、樹脂中に多くのカルボキシル基が残存していると、水有りの印刷ではインキが乳化しやすくなる傾向にある。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロプレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、D−ソルビトールなどが挙げられる。これらの中でも、樹脂の高分子量化が可能であり、インキに必要な粘弾性が得られやすい点で、3価以上の多価アルコールが好ましい。多価アルコールは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールは、樹脂原料に存在するカルボキシル基1当量に対して、好ましくは0.5〜2当量、より好ましくは0.9〜1.3当量となるように含有される。多価アルコールがこのような範囲で含有されると、インキに必要な所望の粘弾性を付与する樹脂がより得られやすくなる。さらに、インキの製造の際に使用される溶剤などへの溶解性がより良好となり、水有りの印刷でもインキが乳化しにくくなる。なお、樹脂原料に存在するカルボキシル基としては、ロジン類に由来するカルボキシル基、α,β−不飽和カルボン酸またはその無水物に由来するカルボキシル基、脂肪酸に由来するカルボキシル基、および後述の芳香族カルボン酸に由来するカルボキシル基が挙げられる。
(芳香族カルボン酸)
本発明において、樹脂原料には、必要に応じて芳香族カルボン酸がさらに含まれていてもよい。芳香族カルボン酸が含まれることによって優れた経時安定性が発揮される。さらに、印刷物に優れた光沢を付与することもできる。芳香族カルボン酸の中でも、芳香族モノカルボン酸が好ましい。
芳香族カルボン酸としては、例えば、安息香酸、p−ターシャリブチル安息香酸、サリチル酸、ナフトエ酸、フタル酸、無水フタル酸、トリメリット酸、無水トリメリト酸および芳香環上に少なくとも1つのアルキル基が導入されたこれらの置換体が挙げられる。これらの芳香族カルボン酸は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
芳香族カルボン酸は、樹脂原料中に、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下の割合で含有される。
(その他の成分)
上記の樹脂原料中には、本発明の効果を阻害しない範囲で他の成分を添加してもよい。他の成分としては、例えば石油樹脂などが挙げられる。
(オフセット印刷インキ用樹脂の製造方法)
本発明に係るオフセット印刷インキ用樹脂の製造方法は特に限定されない。本発明に係るオフセット印刷インキ用樹脂は、脂肪酸を用いる場合、例えば、以下の第1工程および第2工程によって得られる。
第1工程:脂肪酸と、ロジン類、α,β−不飽和カルボン酸類、および前記ロジン類と前記α,β−不飽和カルボン酸類とからなる付加体からなる群より選択される少なくとも1種とを、第2金属化合物に由来する金属イオンを介して架橋させた架橋体を形成させる工程。
第2工程:前記ロジン類、前記α,β−不飽和カルボン酸類、前記付加体、前記架橋体、および脂肪酸からなる群より選択される少なくとも1種と、多価アルコールとをエステル化反応に供し、エステルを形成させる工程。
第1金属化合物を添加するタイミングは特に限定されない。第1金属化合物は、例えば、第1工程または第2工程で添加してもよく、第1工程と第2工程との間で添加してもよく、第2工程の後に添加してもよい。第1金属化合物は、好ましくは第1工程で添加される。すなわち、第1金属化合物は、第2金属化合物と一緒に添加されるのが好ましい。
第1工程および第2工程における反応温度は、原料の組成によって異なるものの、好ましくは100〜290℃、より好ましくは200〜270℃である。反応時間は、好ましくは2〜20時間、より好ましくは3〜10時間であり、例えば、原料を順次添加するような場合は、反応時間は、原料の添加開始時から最終生成物が得られるまでの合計時間である。このような条件下で反応を行うことによって、α,β−不飽和カルボン酸類と不飽和結合を有するロジン類とが付加反応(アルダーのエン反応またはディールス−アルダー反応)し、α,β−不飽和カルボン酸類とロジンとの付加体が生成される。
第1工程では、上記の付加反応の完結後、または該付加反応と並行して、上記の付加体、未反応のロジン類、および未反応のα,β−不飽和カルボン酸類からなる群より選択される少なくとも1種と脂肪酸とが、第2金属化合物に由来する金属イオンを介して架橋した架橋体が形成される。
また、第2工程では、第1工程における架橋反応の完結後、または架橋反応と並行して、脂肪酸、上記の付加体、上記の架橋体、未反応のロジン類、および未反応のα,β−不飽和カルボン酸類からなる群より選択される少なくとも1種と多価アルコールとが反応して、エステルが形成される。付加体は、分子内に2以上のカルボキシル基を有するため、多価アルコールと反応してエステルを形成し、高分子量化された樹脂(ロジン変性ポリエステル系樹脂)が得られる。なお、架橋体は、分子内にカルボキシル基を有するものが、多価アルコールと反応してエステル化される。
一方、油脂を用いる場合、本発明に係るオフセット印刷インキ用樹脂は、例えば、以下のA工程〜C工程によって得られる。
A工程:ロジン類、α,β−不飽和カルボン酸類、および前記ロジン類と前記α,β−不飽和カルボン酸類とからなる付加体からなる群より選択される少なくとも1種が、第2金属化合物に由来する金属イオンを介して架橋させた架橋体を形成させる工程。
B工程:前記ロジン類、前記α,β−不飽和カルボン酸類、前記ロジン類と前記α,β−不飽和カルボン酸類とからなる付加体、および前記架橋体からなる群より選択される少なくとも1種と、多価アルコールとをエステル化反応に供し、エステルを形成させる工程。
C工程:前記B工程で得られたエステルと油脂とをエステル交換反応に供し、前記油脂中のアルキル基を前記エステルに導入する工程。
この場合も、第1金属化合物を添加するタイミングは特に限定されない。第1金属化合物は、例えば、A工程〜C工程のいずれかの工程で添加してもよく、A工程およびB工程の間またはB工程およびC工程の間で添加してもよく、C工程の後に添加してもよい。第1金属化合物は、好ましくは第A工程で添加される。上述のように、第1金属化合物は、第2金属化合物と一緒に添加されるのが好ましい。
A工程〜C工程における反応温度および反応時間は、脂肪酸を用いる場合の温度および時間と同様である。このような反応条件で反応を行うことによって、α,β−不飽和カルボン酸類と、不飽和結合有するロジン類とが付加反応し(アルダーのエン反応またはディールス−アルダー反応)、α,β−不飽和カルボン酸類とロジン類との付加体が生成する。
A工程では、上記の付加反応の完結後、または該付加反応と並行して、上記の付加体、未反応のロジン類、および未反応のα,β−不飽和カルボン酸類からなる群より選択される少なくとも1種が、第2金属化合物に由来する金属イオンを介して架橋した架橋体が形成される。
B工程では、A工程における架橋反応の完結後、または架橋反応と並行して、上記の付加体、上記の架橋体、未反応のロジン類、および未反応のα,β−不飽和カルボン酸類からなる群より選択される少なくとも1種と多価アルコールとが反応して、エステルが形成される。付加体は、分子内に2以上のカルボキシル基を有するため、多価アルコールと反応してエステルを形成し、高分子量化された樹脂(ロジン変性ポリエステル系樹脂)が得られる。上記のように、架橋体は、分子内にカルボキシル基を有するものが、多価アルコールと反応してエステル化される。
C工程では、B工程におけるエステル化反応の完結後、またはエステル化反応と並行して、生成したエステルと油脂とのエステル交換反応によって、油脂中のアルキル基を、ロジン変性ポリエステル系樹脂に導入させる。C工程によって、B工程で形成されたエステルの少なくとも一部は、油脂とエステル交換反応が進行して、油脂に由来するアルキル基(例えば、12個以上の炭素原子を有するアルキル基)が導入されたロジン変性ポリエステル樹脂が得られる。
本発明に係るオフセット印刷インキ用樹脂には、上記のロジン変性ポリエステル樹脂の他に、本発明の効果を阻害しない範囲で、セラック、ギルソナイト、アルキド樹脂、ロジン変性フェノール樹脂などの他のインキ用樹脂を含有してもよい。
(オフセット印刷用インキ)
次に、本発明に係るオフセット印刷インキ用樹脂を用いたオフセット印刷インキについて説明する。本発明に係るオフセット印刷インキ用樹脂は、ワニスを調製するために、一般に、乾性油または半乾性油(例えば、アマニ油、桐油、大豆油、大豆白絞油など)および溶剤(例えば、脂肪族炭化水素溶剤など)とともに混合される。
本発明に係るオフセット印刷インキ用樹脂を用いてワニスを調製する際には、本発明の効果を阻害しない範囲で、粘弾性を考慮して各種ゲル化剤を添加してもよい。ゲル化剤としては、特に限定されず、例えば、アルミニウムアルコラート、アルミニウム石鹸などのアルミニウム化合物;マンガン、コバルト、ジルコニウムなどの金属石鹸;アルカノールアミンなどが挙げられる。ゲル化剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明に係るオフセット印刷インキ用樹脂は、アルデヒドおよびフェノール類を使用していないため、レゾールの合成が不要である。さらに第2金属化合物を用いて架橋体を形成しているため、本発明に係るオフセット印刷インキ用樹脂は、ロジン変性フェノール樹脂と比較して、ワニス化を比較的短時間で行うことができる。得られたワニスに、所望の色の顔料(黒色顔料、青色顔料、赤色顔料など)を分散させて、オフセット印刷インキが調製される。
本発明に係るオフセット印刷インキ用樹脂を用いて得られたオフセット印刷インキは、乾燥性、および印刷時の耐ミスチング性について優れており、従来のロジン変性フェノール樹脂と代替可能である。このオフセット印刷インキを用いると、良好な光沢および柔軟な塗膜を有する印刷物が得られる。さらに、本発明に係るオフセット印刷インキ用樹脂は優れた経時安定性を有しているため、長期保管された樹脂であっても粘度上昇が抑えられている。したがって、長期保管された樹脂を用いても印刷適性に影響を及ぼさないインキを調製することができる。また、インキの調製後にインキを長期保管した場合にも、インキの粘度上昇が抑えられる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ガムロジンを50.3質量%および大豆油脂肪酸を28.2質量%の割合となるように、反応容器に仕込み、窒素ガスを吹き込みながら約200℃まで昇温して、これらを溶解させた。溶解後、無水マレイン酸を6.6質量%、水酸化リチウム一水和物(第1金属化合物)を0.5質量%、水酸化ナトリウム(第1金属化合物)を0.1質量%、および酸化亜鉛(第2金属化合物)を0.5質量%の割合となるように添加して、約1時間反応させた。次に、ペンタエリスリトールを13.8質量%の割合で添加し、約270℃まで昇温して約6時間反応させ、オフセット印刷インキ用樹脂を得た。なお、樹脂原料中に、第1金属化合物は金属量換算で0.1質量%および第2金属化合物は金属量換算で0.4質量%の割合となるように用いた。また、樹脂原料に存在するカルボキシル基1当量に対して、ペンタエリスリトールは1.05当量となるように含有されている。
(実施例2〜15および比較例1〜3)
表1に示す成分を表1に示す割合で用いた以外は、実施例1と同様の手順で、それぞれオフセット印刷インキ用樹脂を得た。なお、油脂(アマニ油または大豆油)を用いた実施例3、5〜8、10、13、15および比較例2は、反応中にエステル交換反応も進行し、油脂中のアルキル基が樹脂中に導入される。実施例2〜15および比較例1〜3において、樹脂原料に存在するカルボキシル基1当量に対して、多価アルコールは、1.01〜1.06当量となるように含有されている。比較例3は第2金属化合物を使用しなかったため、得られた樹脂が白濁していた。したがって、比較例3で得られた樹脂については、下記の経時安定性の評価を行わなかった。
実施例1〜15および比較例1〜2で得られたオフセット印刷インキ用樹脂について、下記の手順で経時安定性の評価を行った。
<経時安定性>
50mLビーカーに、各実施例および比較例で合成した当日のオフセット印刷インキ用樹脂5gおよびアマニ油10gを精秤し、加熱して溶解させた。このアマニ油溶液(樹脂分33質量%)を粘度測定用試験管(内径10.65〜10.75mm、長さ115mm、平底型)に入れて、ゴム栓で密閉した。この試験管を転倒器に平底側を下にして取り付け、25℃の恒温水槽中で逆さにして15分間放置した。15分後、試験管を素早く回転させて平底側を下にして、気泡が試験管上部に到達するまでの時間(秒)を測定した。この測定した日を「0日目」とする。
測定後、ゴム栓で密閉したまま試験管を25℃で保管した。保管から15日後、30日後および90日後に、0日目と同様の手順で気泡が試験管上部に到達するまでの時間を測定した。0日目に測定した時間と保管後に測定した時間とから、粘度上昇率を下記の式により算出した。結果を表2に示す。90日保管後の粘度上昇率が10%以下であれば、優れた経時安定性を有する樹脂と評価した。
粘度上昇率(%)=((B−A)/A)×100
A:0日目の測定時間(秒)
B:保管後の測定時間(秒)
Figure 0006403234
Figure 0006403234
表2に示すように、実施例1〜15で得られたオフセット印刷インキ用樹脂は、90日保管後の粘度上昇率がいずれも10%以下であり、優れた経時安定性を有していることがわかる。特に、芳香族カルボン酸を用いた実施例7および8の樹脂は、粘度上昇率が4%以下であり、ほとんど上昇していないことがわかる。一方、比較例1および2で得られたオフセット印刷インキ用樹脂は、15日保管後でも粘度上昇率が10%を越えており、経時安定性が乏しいことがわかる。
<印刷適性評価>
実施例1〜15で得られたオフセット印刷インキ用樹脂を用いて、下記の手順で印刷適性の評価を行った。各実施例で得られたオフセット印刷インキ用樹脂を48質量%、大豆白絞油を13質量%、およびAF7(新日本石油化学(株)製、アロマフリー溶剤)を39質量%の割合となるように仕込み、190℃で1時間撹拌してワニスを得た。比較例1および2については、経時安定性が乏しいため、印刷適性の評価を行わなかった。
得られたワニスを70質量%および藍顔料を19質量%の割合となるように混合し、三本ロールミル((株)井上製作所製、S−4 3/4×11)を用いて藍顔料をワニスに分散させた。次に、25℃におけるタックが6程度になるように、ワニスを5質量%程度およびAF7を6質量%程度の割合でさらに添加して調整した。なお、追加のワニスおよびAF7の合計量は11質量%となるように添加した。このようにして、オフセット印刷用インキを得た。
得られたオフセット印刷インキについて、光沢値、乾燥性、耐ミスチング性および最大乳化量を、特許文献1(国際公開2014/024549号)に記載の評価方法と同じ方法で評価した。光沢値、乾燥性、耐ミスチング性および最大乳化量のいずれにおいても、実用上まったく問題がない良好な結果を示した。特に、芳香族カルボン酸を用いた実施例7および8の樹脂を用いたオフセット印刷インキは、粘度がほとんど上昇しないことに加えて、光沢性にも優れていた。

Claims (7)

  1. ロジン類と、
    α,β−不飽和カルボン酸およびその無水物の少なくとも一方と、
    脂肪酸および油脂の少なくとも一方と、
    多価アルコールと、
    アルカリ金属化合物からなる第1金属化合物と、
    アルカリ金属化合物以外の金属化合物からなる第2金属化合物と、
    を含む樹脂原料を反応させて得られる樹脂を含有する、オフセット印刷インキ用樹脂。
  2. 前記第1金属化合物が、前記樹脂原料中に金属量換算で0.05〜2.5質量%の割合で含まれる請求項1に記載のオフセット印刷インキ用樹脂。
  3. 前記第1金属化合物が、少なくともリチウム化合物を含む請求項1または2に記載のオフセット印刷インキ用樹脂。
  4. 前記第2金属化合物が、前記樹脂原料中に金属量換算で0.2〜4.5質量%の割合で含まれる請求項1〜3のいずれかに記載のオフセット印刷インキ用樹脂。
  5. 前記樹脂原料が、芳香族カルボン酸をさらに含有する請求項1〜4のいずれかに記載のオフセット印刷インキ用樹脂。
  6. 前記芳香族カルボン酸が、芳香族モノカルボン酸である請求項5に記載のオフセット印刷インキ用樹脂。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のオフセット印刷インキ用樹脂、乾性油または半乾性油、溶剤、および顔料を含有する、オフセット印刷用インキ。
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