JP2001262032A - 印刷インキ用ワニス - Google Patents

印刷インキ用ワニス

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JP2001262032A
JP2001262032A JP2000072185A JP2000072185A JP2001262032A JP 2001262032 A JP2001262032 A JP 2001262032A JP 2000072185 A JP2000072185 A JP 2000072185A JP 2000072185 A JP2000072185 A JP 2000072185A JP 2001262032 A JP2001262032 A JP 2001262032A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 非芳香族石油系溶剤をインキ溶剤とし、ホル
ムアルデヒドを用いずに製造されるインキ用樹脂を用い
て、環境調和ならびに印刷作業環境の保全に配慮し、加
えて、乾性油の含有量を増加しなくとも、光沢特性に優
れたインキの調製を可能とする印刷インキ用ワニスの提
供。 【解決手段】 樹脂成分としてロジンエステル樹脂類と
炭化水素樹脂類を、インキ溶剤として非芳香族石油系溶
剤を、それぞれ必須な主成分として含む印刷インキ用ワ
ニス、特に、ロジンエステル樹脂類として、ロジン類、
α,β−不飽和カルボン酸またはその無水物、脂肪族多
塩基酸、多価アルコールとを加熱反応させて得られる樹
脂を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インキ溶剤として
芳香族系溶剤を用いず、さらに、ホルムアルデヒドを用
いずに製造されるインキ用樹脂を主要な樹脂成分とする
印刷インキ用ワニスに関する。より具体的には、ホルム
アルデヒドを用いずに製造されるインキ用樹脂であるロ
ジンエステル樹脂類と炭化水素樹脂類とを必須のビヒク
ル成分として用い、それによって、非芳香族石油系溶剤
に対する溶解性の向上を図り、かつ環境調和ならびに印
刷作業環境の保全を配慮した印刷インキ用ワニスに関す
る。
【0002】
【従来の技術】オフセット印刷は、多様な印刷原版の印
刷が可能である利点を持ち、その利点から、広く用いら
れている代表的な印刷方式である。このオフセット印刷
方式には、熱によってインキを乾燥させるヒートセット
式のオフセット輪転印刷と乾性油を触媒に用いて硬化、
乾燥させる枚葉式印刷の二種の方式がある。オフセット
印刷に用いられるインキでは、それを構成する樹脂とし
て、天然物であるロジンを、フェノール樹脂、特にレゾ
ール樹脂で変性したロジンフェノール樹脂が広く用いら
れている(特開平9−268211号公報等を参照)。
【0003】このロジンフェノール樹脂は、ロジンを樹
脂骨格中に有しているため、顔料との濡れ性が向上し、
顔料が均一分散しやすいという利点を有している。この
ロジンをフェノール樹脂で変性している理由は、ロジン
自体は、高分子重合を起こさないモノカルボン酸類であ
るため、樹脂に必要な架橋構造を導入する必要があり、
フェノール樹脂で変性することにより、架橋構造の導入
を図ったものである。さらに、フェノール樹脂の合成に
は、主原料のフェノール類とホルムアルデヒドを、アル
カリ又は酸触媒を用いて反応させる方法が用いられてい
る。そのため、ロジンフェノール樹脂の合成過程では、
ホルムアルデヒドは合成上必須な構成成分となってい
る。また、フェノール樹脂、具体的には、レゾール樹脂
には、ホルムアルデヒドに由来する末端メチロール基が
存在している。
【0004】ところで、ヒートセット式のオフセット印
刷では、印刷工程中、インキ乾燥など、インキにかなり
の熱がかかる工程がある。この加熱の際、ロジンフェノ
ール樹脂中に、未反応のホルムアルデヒドが僅かでも残
存していれば、ホルムアルデヒドの飛散が起こる可能性
がある。また、例えば、レゾール樹脂の末端メチロール
基に由来するホルムアルデヒドなど、樹脂骨格より遊離
するホルムアルデヒドの飛散が起こる可能性も、必ずし
も否定することはできない。このホルムアルデヒドは、
シックハウス問題等で、大きな関心が寄せられている化
学物質過敏症を引き起こす原因化合物の一つであると、
指摘を受けている。
【0005】上記の理由により、印刷インキ用に用いら
れる樹脂でも、ホルムアルデヒドの遊離を抑えた樹脂の
使用が望まれ、その開発が急がれている。ホルムアルデ
ヒドの遊離を抑える手段としては、従来から検討と改良
が進めらている幾つかの方法がある。例えば、ホルムア
ルデヒドを含有する樹脂系に、ホルムアルデヒド捕捉能
を有する添加剤、いわゆるキャッチャーを添加する方法
などである。また、発想の転換を図って、ホルムアルデ
ヒドを合成過程で使用しない樹脂を用いることで、ホル
ムアルデヒド遊離の問題を回避することも考えられる。
【0006】しかしながら、前者のキャッチャーを添加
する方法では、インキ化したとき、要望される作業性を
保つように、添加率を調整するのは容易ではない。そも
そも、キャッチャーの添加は、僅かに残留している未反
応ホルムアルデヒドに対しては有効な手段ではあるが、
レゾール樹脂の末端メチロール基が脱離することに由来
するホルムアルデヒドなど、経時的に徐々に遊離してく
るものは、キャッチャーのみで捕捉すること自体、相当
に難しい。
【0007】一方、後者のホルムアルデヒドを合成過程
で使用しない樹脂への転換は、本質的な解決策ではある
ものの、現状では、インキ用樹脂としての特性を一応満
足する樹脂ですら、限られた数しかない。インキ用樹脂
では、顔料との濡れ性から、ロジンを含有することが好
ましく、現状のホルムアルデヒドを合成過程で使用しな
い樹脂のうち、ロジンの多価アルコールエステル類のみ
が、特定用途のインキ用樹脂として使用されている。し
かしながら、このロジンと多価アルコールのエステル化
反応により得られた樹脂は、高分子量化が不十分なた
め、広い用途を持つインキ調製に適用する樹脂として
は、その樹脂粘度が低いといった、今後さらなる改良・
解決すべき問題点を残している。
【0008】通常オフセットインキは、ロジン変性フェ
ノ−ル樹脂等のバインダー樹脂、アマニ油等の乾性油ま
たは半乾性油、ならびに、インキ溶剤となる高沸点の石
油系溶剤とを主成分とするビヒクルに、顔料を加え混練
して製造される。石油系溶剤としては、バインダー樹脂
の溶解性に優れる、芳香族系溶剤が用いられてきた。し
かしながら、最近地球環境保全が叫ばれるなか、印刷イ
ンキに使用される石油系溶剤を芳香族系溶剤から、印刷
作業現場の環境衛生上好ましい非芳香族系溶剤、特にナ
フテン系溶剤へ転換することが行われている。ところ
が、非芳香族系溶剤は芳香族系溶剤に比べ、一般にバイ
ンダー樹脂を溶解する能力が劣るため、単に従来の芳香
族系溶剤に代えて非芳香族系溶剤を使用するだけでは、
良好な光沢を有する印刷物を得ることは困難である。
【0009】この非芳香族系溶剤をインキ溶剤に用いる
際にも、良好な光沢を達成する一つの手段として、イン
キのビヒクル成分の一つである乾性油を増量させて、印
刷紙面上により緻密な酸化重合膜を形成させる方法が提
案されている。一方、この乾性油の含有量を増す方法に
よる印刷インキでは、乾燥性ないしはセット性の低下
が、実用上改善すべき課題として指摘されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】より具体的に述べるな
らば、樹脂成分として、ホルムアルデヒドを合成過程で
一切使用せず、広い用途を持つインキ調製に適用可能な
樹脂を用い、一方、インキ溶剤として、非芳香族石油系
溶剤を用いる印刷インキ用ワニスを使用した際にも、印
刷紙面上で酸化重合膜を形成させる用途で印刷インキ中
に添加する乾性油の含有率を従来の用量に留めたままで
も、所望とする良好な光沢を達成する手段、すなわち、
乾性油の含有率増加によらず、良好な光沢を達成するこ
とが可能な新規な組成の印刷インキ用ワニス開発が望ま
れている。
【0011】本発明は、上記の課題を解決するもので、
本発明の目的は、樹脂成分として、ホルムアルデヒドを
その合成過程で一切使用してなく、加えて、非芳香族石
油系溶剤への溶解性も十分に有する印刷インキ用樹脂ま
たは樹脂組成物を用い、また、インキ溶剤には、非芳香
族石油系溶剤を用いることで、ホルムアルデヒドなどの
化学物質過敏症を引き起こす原因化合物の誘起もなく、
さらに印刷作業現場の環境衛生上ならびに地球環境保全
の観点から、芳香族石油系溶剤を用いない印刷インキ用
ワニスとするとともに、係る印刷インキ用ワニスにおい
て、含有するインキ用樹脂の組成を適正に選択すること
で、印刷インキ中に添加する乾性油の含有率を従来の用
量に留めたままでも、印刷物における良好な光沢を達成
できる新規な組成の印刷インキ用ワニスを提供すること
にある。より具体的には、樹脂成分として、従来広く利
用されているロジン変性フェノ−ル樹脂と遜色のない程
度に高い樹脂粘度、あるいは、高い分子量を有する新規
な構造の樹脂と他の樹脂とを併用し、添加する乾性油の
含有率を従来の用量に留めたままでも、前記する印刷物
における良好な光沢特性を達成できる新しい印刷インキ
用ワニスを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく、鋭意研究を進め、先ず、従来のロジン
変性フェノ−ル樹脂と置き換えが可能であり、しかも、
ホルムアルデヒドを合成過程で一切使用しない新規な樹
脂を開発した。すなわち、分子内にロジン骨格を保持
し、加えて、樹脂に必要な架橋構造をも持ち、高い分子
量ならびに高い粘度を持つ新規な樹脂の合成を行った。
その過程において、ロジン類、α、β−不飽和カルボン
酸、脂肪族多塩基酸および多価アルコールとのエステル
化反応を行い得られる樹脂(ロジンエステル樹脂類)
は、前記する要件を満たす樹脂であるとして、係る新規
な樹脂の発明を完成させ、特許出願を行った(特願平1
1−185749号に添付の明細書を参照)。
【0013】本発明者らは、さらに研究を進めたとこ
ろ、乾性油および/または半乾性油を添加し、バインダ
ー樹脂と非芳香族石油系溶剤とを主成分として含有する
オフセットインキ用ワニスにおいて、樹脂成分として、
前記ロジンエステル樹脂類に加えて、炭化水素樹脂類を
併用すると、インキ溶剤の非芳香族石油系溶剤に対する
溶解性が更に向上することを見出した。加えて、このロ
ジンエステル樹脂類と炭化水素樹脂類とを併用したイン
キ用ワニスを用いて、印刷インキを調製すると、得られ
る印刷インキは流動性が一層向上し、乾性油の含有率を
増加させなくとも、印刷物の光沢は良好なものであるこ
とを見出した。本発明者らは、係る知見に基づき、本発
明を完成するに至った。
【0014】すなわち、本発明の印刷インキ用ワニス
は、樹脂成分としてロジンエステル樹脂類と炭化水素樹
脂類を、インキ溶剤として非芳香族石油系溶剤を、それ
ぞれ必須な主成分として含むことを特徴とする印刷イン
キ用ワニスである。なお、樹脂成分として含有する前記
ロジンエステル樹脂類が、ロジン類、α,β−不飽和カ
ルボン酸またはその無水物、脂肪族多塩基酸、多価アル
コールとを加熱反応させて得られる樹脂であると好まし
い。
【0015】一方、樹脂成分として含有する前記炭化水
素樹脂類は、インデン系、ビニルトルエン系、α−メチ
ルスチレン系、シクロペンタジエン系、ジシクロペンタ
ジエン系、ペンテン系、ペンタジエン系から選択すると
よい。なお、この樹脂成分として含有する前記炭化水素
樹脂類には、極性基を有する炭化水素樹脂を用いてもよ
く、従って、極性基を有する炭化水素樹脂と極性基を有
しない炭化水素樹脂の双方を含むものを用いるてもよ
い。
【0016】本発明の印刷インキ用ワニスは、例えば、
樹脂成分として含有するロジンエステル樹脂類と炭化水
素樹脂類の含有率の和を35〜75重量%とし、それに
対する非芳香族石油系溶剤の含有率を25〜60重量%
とし、さらに、ロジンエステル樹脂類の含有率を5〜5
0重量%の範囲に、炭化水素樹脂類の含有率を0.5〜
30重量%の範囲にそれぞれ選択するとより好ましい組
成となる。また、ロジンエステル樹脂類100重量部当
たり、炭化水素樹脂類を10〜60重量部の比率で含有
する組成とすると更に好ましい。さらに、副次的成分と
して、乾性油および/または半乾性油を含有せしめるこ
ともでき、例えば、乾性油および/または半乾性油の含
有率を、1〜20重量%の範囲に選択すると好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の印刷インキ用ワニスは、
インキ溶剤として非芳香族石油系溶剤を用いて、それに
溶解させるバインダー樹脂成分の一つに用いるロジンエ
ステル樹脂類は、ロジン類、α,β−不飽和カルボン酸
またはその無水物、脂肪族多塩基酸、多価アルコールと
を混合し、加熱反応を行わせて得られる、高い分子量の
樹脂である。
【0018】このロジンエステル樹脂類を合成する際、
主原料のロジン類には、ガムロジン、ウッドロジン、ト
ール油ロジン、水素添加ロジン、不均化ロジン、重合ロ
ジン、これらの変性物等を用いることができる。
【0019】α,β−不飽和カルボン酸またはその無水
物としては、アルダーのエン反応またはディールズ−ア
ルダー反応において利用される種々のα,β−不飽和カ
ルボン酸またはその無水物を用いることができる。なか
でも、炭素数3〜5の鎖状α,β−不飽和モノカルボン
酸、α,β−不飽和ジカルボン酸またはその無水物、あ
るいは、前記鎖状α,β−不飽和モノカルボン酸等の炭
素-炭素二重結合と共役しえる芳香環が置換している置
換鎖状α,β−不飽和モノカルボン酸等が好ましく、例
えば、アクリル酸(2-プロペン酸)、メタクリル酸(α
-メチルアクリル酸)、マレイン酸(cis-ブテン二
酸)、無水マレイン酸、フマル酸(trans-ブテン二
酸)、イタコン酸(メチレンコハク酸)、無水イタコン
酸、クロトン酸(trans-2-ブテン酸)あるいはケイ皮酸
(3-フェニル-2-プロペン酸)等をより好ましいα,β−
不飽和モノカルボン酸、α,β−不飽和ジカルボン酸ま
たはその無水物等の例として挙げることができる。前記
ロジン類100重量部に対して、α,β−不飽和カルボ
ン酸またはその無水物1〜15重量部、より好ましくは
3〜12重量部を用いて、加熱反応を行う。すなわち、
ロジン類の主成分であるアビエチン酸とその類縁体1分
子に対して、α,β−不飽和カルボン酸またはその無水
物を0.01〜0.6分子の割合、好ましくは0.1〜
0.5分子の割合で用いることが好ましい。
【0020】ロジンエステル樹脂類の調製において、用
いられる脂肪族多塩基酸は、主として、多価アルコール
とエステル結合を形成して、樹脂の架橋構造の一部とな
る。従って、種々の脂肪族ポリカルボン酸類を利用でき
るが、炭素数2〜32の直鎖アルカン二酸またはその無
水物が好ましく、例えば、コハク酸(ブタン二酸)、ア
ジピン酸(ヘキサン二酸)、アゼライン酸(1,7-ヘプタ
ンジカルボン酸)、セバシン酸(1,8-オクタンジカルボ
ン酸)ならびにこれらの無水物、例えば、無水コハク酸
などはより好ましい。さらには、ダイマー酸、トリマー
酸、不飽和脂肪酸とα,β−不飽和カルボン酸の反応で
得られるダイアシッドまたは不飽和脂肪酸付加体等、も
しくはこれらに対応する酸無水物等も、同様に好ましい
ものとして挙げることができる。例えば、ダイマー酸、
トリマー酸は、種々の不飽和脂肪酸を二量化したもので
あるが、植物油に由来するオレイン酸などを原料とし、
比較的高分子量のものが利用され、市販されているダイ
マー酸、商品名 ハリダイマーDA−270S、DA−
250、DA−200K(ハリマ化成(株)製)等を利
用することができる。これらの脂肪族多塩基酸を分子内
に含むことで、インキ溶剤への溶解性向上を図る作用を
も有する必須構成成分である。なお、長鎖の炭素鎖を有
する脂肪族多塩基酸においては、その長鎖の炭素鎖に付
随して、前記の非芳香族系石油溶剤への溶解性向上の効
果が増す。
【0021】ロジンエステル樹脂類の調製に利用する、
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
ポリエチレングリコール、プロプレングリコール(1,2-
プロパンジオール)、ジプロピレングリコール、トリプ
ロピレングリコール、ブチレングリコール(ブタンジオ
ール)、ネオペンチルグリコール(2,2-ジメチル-1,3-
プロパンジオール)、ヘキサンジオール、グリセリン、
トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、
ペンタエリトリトール(C(CH2OH)4)、ジペンタエリト
リトール、D-ソルビトール(D-グルシトール)等が挙げ
られる。
【0022】出発原料として、多価アルコールは、樹脂
形成のエステル化反応に使用されるものであり、その添
加量は、ロジン類、α,β−不飽和カルボン酸またはそ
の無水物、脂肪族多塩基酸が有するカルボキシル基1当
量に対して、少なくとも、0.3当量〜過剰量を添加す
ればよい。カルボキシル基1当量に対して、0.5〜2
当量の割合で添加するとより好ましく、0.9〜1.2
当量を添加して、反応を行うと一層好ましい。すなわ
ち、ロジン類とα,β−不飽和カルボン酸との付加体
は、多価アルコールとエステルを形成し、この多価アル
コールに残るヒドロキシル基と脂肪族多塩基酸がエステ
ルを形成することにより、樹脂に架橋構造が導入される
とより好ましいものとなる。従って、多価アルコールの
添加量を、おおむね前記二種類のエステル化反応に要す
る量である、カルボキシル基1当量に対して、0.9〜
1.2当量とすると一層好ましい。また、エステル化反
応により、樹脂に架橋構造が導入される点を考慮する
と、多価アルコールは、ジオールのみではなく、3価ア
ルコール以上の多価アルコールを含むものを用いると、
そこに架橋構造の形成がなされるので、より好ましい結
果が得られる。
【0023】加熱反応を行う際、エステル化反応に対す
る触媒となる、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、
酸化亜鉛、酸化カルシウムなどの2価金属化合物、ある
いは、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、硫
酸等の公知の酸触媒を添加することが好ましい。前記の
触媒として添加する化合物のうちでも、得られる樹脂の
粘度をより高くする上では、ロジン類、α,β−不飽和
カルボン酸またはその無水物、脂肪族多塩基酸、多価ア
ルコールの重量総和に対して、2価金属化合物を0.1
%〜2%添加するのが好ましく、具体的には、亜鉛、マ
グネシウム、カルシウム等の2価金属化合物、特に、こ
れら2価金属、つまり、亜鉛、マグネシウム、カルシウ
ムの酸化物、水酸化物等を使用するとより好ましい。
【0024】また、上記加熱反応において、その反応温
度は、100〜290℃の範囲に選択するのが適当であ
り、特に、200〜270℃の範囲に選択するとより好
ましい。なお、加熱反応温度は、用いられる原料とその
組成に応じて、上記の好適な範囲と実質的に差異のない
温度を選択することもできる。最適な反応時間は、原料
中のロジン類、α,β−不飽和カルボン酸またはその無
水物、脂肪族多塩基酸、多価アルコール各成分比率、さ
らには、触媒として添加される亜鉛、マグネシウム、カ
ルシウムの酸化物、水酸化物等の量に依存して、変化す
るが、前記の温度範囲においては、通常、2〜20時間
の範囲であり、好ましくは、3〜10時間の範囲とす
る。
【0025】本発明の印刷インキ用ワニスにおいて、他
の樹脂成分として用いる炭化水素樹脂類は、主に、石油
分解油留分から得られる低分子量の熱可塑性炭化水素樹
脂を意味し、さらには、石油化学において副産物として
得られる石油副生成物樹脂、コールタール樹脂等をも含
む。これらの炭化水素樹脂、ならびに石油副生成物樹脂
やコールタール樹脂は、その特徴的な構成成分により、
例えば、インデン系、クマロン系、ビニルトルエン系、
α-メチルスチレン系、シクロペンタジエン系、ジシク
ロペンタジエン系、ペンテン系、ペンタジエン系などと
称される。本発明の印刷インキ用ワニスの調製には、前
記の炭化水素樹脂類、あるいは、これらの混合物が利用
できる。
【0026】また、炭化水素樹脂類として、前記の極性
基を有しない炭化水素樹脂に加えて、極性基を有する炭
化水素樹脂を用いることもできる。この極性基を有する
炭化水素樹脂としては、例えば、インデン系、クマロン
系、ビニルトルエン系、α-メチルスチレン系、シクロ
ペンタジエン系、ジシクロペンタジエン系、ペンテン
系、ペンタジエン系等の分子内に二重結合を有する炭化
水素樹脂に、極性基を導入したものである。この導入さ
れた極性基は、印刷インキ調製におけるゲル化剤と反応
することが可能であり、具体的にはカルボキシル基や水
酸基等が挙げられる。本発明においては、極性基を有す
る炭化水素樹脂中の極性基としてカルボキシル基が好適
である。炭化水素樹脂に極性基を導入する方法として
は、カルボキシル基の導入法として、マレイン酸変性、
フマル酸変性、アクリル酸変性等のカルボン酸変性、あ
るいは、水酸基の導入法として、フェノール変性等が挙
げられる。極性基を導入する際に利用する変性の種類に
ついてはこれらに限定されるものではない。本発明の印
刷インキ用ワニスの調製には、これら極性基を有する炭
化水素樹脂は1種を単独で使用することもでき、あるい
は、2種以上の異なるものを併用することも可能であ
る。さらには、上記未変性の炭化水素樹脂と極性基を有
する炭化水素樹脂を併用することもできる。
【0027】本発明の印刷インキ用ワニスの調製で使用
する非芳香族石油系溶剤としては、高沸点のナフテン系
溶剤を使用することが好ましい。特に、非芳香族石油系
溶剤全体のうち、ナフテン系炭化水素を60%以上、好
ましくは70%以上含有し、沸点が200℃以上である
溶剤が好ましい。商業的に入手可能なAFソルベント
(商品名、日本石油(株)製)やマギーソルベント(M
agie Bros.Oil Co.製)は、本発明にお
いて使用可能な非芳香族石油系溶剤の一例である。
【0028】本発明の印刷インキ用ワニスは、樹脂成分
として、上記したロジンエステル樹脂類と炭化水素樹脂
類とを併用するが、前記の二種の樹脂成分の含有率の和
は、少なくとも35重量%以上、多くとも75重量%を
超えない範囲、好ましくは、45〜70重量%の範囲に
選択するとよい。また、樹脂成分において、ロジンエス
テル樹脂類を主な成分にし、炭化水素樹脂類を副成分と
して併用することで、ロジンエステル樹脂類自体の非芳
香族系溶剤に対する溶解性を更に向上するものである。
従って、前記の範囲において、ロジンエステル樹脂類の
含有率は、5〜50重量%、好ましくは10〜45重量
%の範囲に選び、炭化水素樹脂類の含有率は、0.5〜
30重量%、好ましくは1〜25重量%の範囲に選択す
るとよい。さらには、ロジンエステル樹脂類の100重
量部あたり、炭化水素樹脂類の含有量を10〜60重量
部、好ましくは、20〜50重量部の範囲となるように
選択するとより好ましい。それに対して、残る含有成分
の大半を占める非芳香族石油系溶剤は、25〜60重量
%、好適には30〜55重量%の範囲とするとよい。本
発明の印刷インキ用ワニスにおいて、インキ溶剤である
非芳香族石油系溶剤の含有率が25重量%未満では、イ
ンキの流動性が不足して好ましくなく、60重量%を越
える場合は、インキの粘度が低くなり過ぎて、ミスチン
グが多くなり好ましくない。
【0029】オフセット用インキは、主要成分のバイン
ダー樹脂である前記のロジンエステル樹脂類と炭化水素
樹脂類をインキ溶剤の非芳香族石油系溶剤に溶解したワ
ニスを用いて、常法により製造される。本発明におい
て、ワニスへの調製は、従来公知の方法を利用すること
ができる。例えば、乾性油および/または半乾性油、バ
インダー樹脂とインキ溶剤、必要に応じて、ステアリン
酸アルミニウム、アルミニウムキレート化合物等のゲル
化剤をも添加して、この混合物を180〜220℃で溶
解、あるいは反応させることにより製造することができ
る。オフセット用インキに添加する顔料は、所望の色と
するため、適宜選択する顔料が用いられる。つまり、顔
料は、被印刷物に色付けを行うためのもので、必要に応
じて、黄色、紅色、藍色または黒色等の顔料が選択され
る。これらの顔料を前記のワニスに分散して、適当な粘
度、タック、フローに仕上げて、オフセット用インキと
する。
【0030】なお、本発明の印刷インキ用ワニスには、
通常インキに含有せしめる乾性油および/または半乾性
油を予め調製する際に、1〜20重量%の範囲、好まし
くは、5〜15重量%の範囲添加する。本発明の目的
は、芳香族系石油溶剤をインキ溶剤に用いる印刷インキ
用ワニスにおける、この乾性油および/または半乾性油
の用量程度に抑えることを一つの目標としており、従っ
て、乾性油の含有量をより好ましくは、6〜12重量%
の範囲とする。この乾性油は、例えば、アマニ油、桐油
等が挙げられる。また、半乾性油であるが大豆油等を、
前記の乾性油に代えて用いることもできる。これらは、
ドライヤーと呼ばれる触媒によって、印刷後に乾性油同
士が酸化重合し、皮膜が硬化する。従って、インキを調
製する際、前記乾性油の種類と添加量に合わせて、適合
するドライヤー、例えば、ナフテン酸マンガン溶液など
を適量添加することもできる。
【0031】本発明の印刷インキ用ワニスは、樹脂成分
として、ロジンエステル樹脂類と炭化水素樹脂類とを併
用することにより、従来のロジンフェノール樹脂と比較
して、遜色のない粘度の高さ、顔料に対する優れた濡れ
性、溶剤に対する溶解性を示すものとなる。従って、オ
フセット用インキとする際、前記顔料、乾性油、インキ
溶剤の使用量は、従来のロジンフェノール樹脂を利用し
たインキにおける使用量と実質的に一致するものとな
る。すなわち、従来のロジンフェノール樹脂を利用した
インキ(特開平9−268211号公報等を参照)の組
成、調製法に準じ、ロジンフェノール樹脂を本発明の印
刷インキ用樹脂に置き換えることのみで、従来のロジン
フェノール樹脂を利用したインキと同等のインキ特性を
達成できるものである。
【0032】
【実施例】以下に、実施例により、本発明の印刷インキ
用ワニスを更に具体的に説明する。なお、以下に示す実
施例はいずれも本発明における最良な実施形態の一例で
はあるものの、本発明はこれら実施例に限定されるもの
ではない。
【0033】本発明の印刷インキ用ワニスに利用される
ロジンエステル樹脂類、ならびに従来の樹脂、すなわ
ち、ロジン変性フェノール樹脂の製造を行った。その製
造手順の一例を示す。
【0034】(ロジンエステル樹脂の製造例)反応容器
中で、トール油ロジン1500g、アクリル酸120
g、セバシン酸45g、ペンタエリトリトール196.
9gを添加・混合し、さらに触媒として酸化マグネシウ
ム1.5gを添加し、均一化した。この反応容器を、2
75℃に加熱し、その後同温度で8時間エステル化反応
を行い、ロジンエステル樹脂を調製した。このようにし
て得られた樹脂の軟化点は141℃、酸価は12.8m
gKOH/g、アマニ油粘度はZ4-5、0号ソルベント
(日本石油(株)製、非芳香族系溶剤)溶解性は58
%、GPCによる重量平均分子量は56,000であっ
た。このロジンエステル樹脂は、顔料との濡れ性に富む
トール油ロジンに由来するロジン骨格を有し、また、非
芳香族系溶剤に対しても、単独でも相当に高い溶解性を
示している。
【0035】(ロジン変性フェノール樹脂の製造例)反
応容器中で、ガムロジン945gを加熱溶融し、レゾー
ル型p−ドデシルフェノールの75%キシレン溶液10
17gとペンタエリトリトール106gを添加・混合
し、均一化した。この反応容器を、260℃に加熱し、
その後同温度で6時間反応を行い、ロジン変性フェノー
ル樹脂を調製した。このようにして得られた樹脂の軟化
点は165℃、酸価は15.28mgKOH/g、アマ
ニ油粘度はZ5、0号ソルベント(日本石油(株)製、
非芳香族系溶剤)溶解性は27%、GPCによる重量平
均分子量は70,000であった。
【0036】(ワニス製造)上にその製造例を示したロ
ジンエステル樹脂、ロジン変性フェノール樹脂を利用し
て、下記表1に示す組成のワニス6種を調製した。表1
に、前記6種類のワニスに含有される、ロジンエステル
樹脂またはロジン変性フェノール樹脂、炭化水素樹脂
類、アマニ油、非芳香族石油系溶剤の含有率を示す。な
お、炭化水素樹脂類として、変性によりカルボキシル基
を導入した酸変性炭化水素樹脂と未変性の炭化水素樹脂
を用いた例を含んでいる。また、各ワニスには、乾性油
としてアマニ油を同し量添加している。加えて、ゲル化
剤として、ALCHを所定量添加して、表1に示す配合
で、200℃で2時間加熱撹拌して、それぞれのワニス
を得た。実施例1〜4のワニス4種は、ロジンエステル
樹脂と炭化水素樹脂を樹脂成分とする本発明の印刷イン
キ用ワニスに相当し、比較例2のワニスは、ロジン変性
フェノール樹脂を用いる従来の印刷インキ用ワニス、比
較例1のワニスは、ロジンエステル樹脂のみを樹脂成分
とする参照例である。表1には、調製直後のワニス粘度
(仕上がり粘度)の値を併せて示す。加えて、非芳香族
石油系溶剤に対する各ワニスの溶解性を評価した結果も
示す。溶解性の評価には、NOVOCONTROL(株)製ケモト
ロニック(全自動濁点測定装置)を用い、ワニス/溶剤
=1g/9gの比率で均一に溶解可能な温度を測定し
た。具体的には、前記装置の付属サンプル管にワニス/
溶剤=2g/18gとマグネチックスターラー攪拌用の
マグネットを入れ、一旦200℃にて攪拌して溶解させ
る。溶解後、液温を自動的に冷却し、析出の発生に伴
い、規定の濁度に達する温度を測定し、溶解性の指標と
した。この指標値(濁点温度)が低いほど、溶解性に優
れることになる。実施例1〜3のワニスいずれもは、比
較例2のワニス(従来例)と比較し、非芳香族石油系溶
剤、0号ソルベントならびにAF7号ソルベントに対す
る溶解性がより高いものであることが判る。実施例4の
ワニスと比較例1のワニス(参照例)を対比させると、
前記の非芳香族石油系溶剤に対する溶解性の向上は、ロ
ジンエステル樹脂に加えて、炭化水素樹脂を併用する効
果の一つであることが一層明確に理解される。
【0037】
【表1】 注)表中、含有量を示す数字は重量%を単位として示
す。 炭化水素樹脂:マルカレッツT−200A(丸善石油化
学(株)製、脂肪族系炭化水素樹脂) 酸変性炭化水素樹脂:日石ネオレジン540(日本石油
化学(株)製、酸変性ジシクロペンタジエン系炭化水素
樹脂) ALCH:川研ファインケミカル(株)製ゲル化剤
【0038】次いで、得られたワニス6種、すなわち、
実施例1〜4のワニス、比較例1のワニス、比較例2の
ワニスを用いて、それぞれ印刷用インキを調製した。表
2に、各印刷用インキの配合組成を示す。各印刷用イン
キには、紅顔料を同一量を添加し、ワニスとインキ溶剤
を所定量を混合し、常法に従い、三本ロールミルを用い
て分散し、タック値が5〜6、フローが16.0〜1
7.0mmになるように調整した。調製された印刷用イ
ンキは、その調製に用いたワニスと対応させて、実施例
1〜4のインキ、比較例1、2のインキとする。
【0039】
【表2】 注)表中、含有量を示す数字は重量%を単位として示
す。
【0040】表3に、得られた6種のインキ;実施例1
〜4のインキと比較例1、2のインキについて、そのイ
ンキ特性を評価した結果を示す。なお、表3には、評価
した各物性の測定結果とともに、各物性に対する許容さ
れる範囲(目標値の範囲)も参考のため掲載した。
【0041】表3に示す物性の評価は、下記の方法によ
り行った。
【0042】光沢値:インキ0.3ccをRIテスター
((株)明製作所製)全面ロールでアート紙に展色した
後、24時間経過した時点で、光沢値を60°−60°
光沢計で測定した。
【0043】濃度:光沢測定と同一の展色紙を反射濃度
計を用いて測定した。
【0044】乾燥性:インキ0.3ccをRIテスター
2分割ロールでアート紙に展色した後、60℃の環境下
に置いたときに、指触で乾燥状態を比較した。通常この
評価では、12〜21分の範囲が最適とされる。12分
より短くなるにつれ、インキの保存性が悪いことが多く
なり、また、21分より長くなるにつれ、印刷物を重ね
たときに、裏写りが発生しやすい。従って、おおよそ前
記12〜21分の範囲から大きく外れなければ、作業性
の低下は引き起こされない。なお、含まれるインキ溶剤
の自然蒸発等を考慮すると、21分を若干越えるものも
最適な範囲と見なせる。
【0045】耐ミスチング性:インキ2カップをインコ
メーター(東洋精機(株)製)に載せて、2000rp
mで2分間回転させたときの、ロール前面と下面に置い
た白紙上へのインキの飛散状態を観察した。ここで採用
した評価基準は、以下の通りである。 ◎:インキの飛散は見られない。最も良好なレベルであ
る。 ○:ロール前面に僅かに飛散が生じることもある。良好
なレベルである。 △:ロール前面と下面とも詳しく調べると飛散が見られ
る。普通のレベルである。 ×:ロール前面と下面ともに顕著な飛散がある。不適な
レベルである。
【0046】最大乳化量:リソドロニック乳化試験器
(Novocontrol社製)を用いて、40℃において、25
gのインキに2ml/分の速度で水を添加し、インキが
飽和した時点の水分量を測定した。(乳化試験器の回転
数:1200rpm)
【0047】表3に、上記の試験項目に関する評価結果
を併せて示す。
【表3】
【0048】表3に示す結果から、ロジンエステル樹脂
単独を使用した比較例1のワニスを用いて調製した比較
例1のインキに比べ、ロジンエステル樹脂と炭化水素樹
脂を併用した実施例1〜4のワニスを用いる実施例1〜
4のインキでは、光沢値が明確に向上している。また、
この光沢値の向上効果は、ロジンエステル樹脂100重
量部当たり炭化水素樹脂を10重量部を併用する実施例
4のインキにおいても、有意なものである。加えて、ロ
ジンエステル樹脂100重量部当たり炭化水素樹脂を約
50重量部を併用する実施例1〜3のインキでは、濃度
においても、若干の向上が見られる。また、ロジン変性
フェノール樹脂(従来樹脂)を用いた比較例2のワニス
を用いる比較例2のインキと比較しても、光沢値が明確
に向上している。光沢値を除く、濃度、乾燥、耐ミスチ
ング性ならびに最大乳化量の評価項目については、実施
例1〜4のワニスを用いた際、比較例2のワニス(従来
例)を用いた場合と比較して、全く遜色はなく、性能的
には同等、あるいはそれ以上のインキが得られたと判断
される。
【0049】
【発明の効果】本発明の印刷インキ用ワニスにおいて、
従来のロジン変性フェノール樹脂(従来樹脂)に代えて
使用されている、ロジンエステル樹脂類は、いわゆるホ
ルムアルデヒドフリーの樹脂であり、しかもオフセット
印刷に利用されるインキの調製に適する、十分な樹脂粘
度を有する利点を持つ。さらに、このロジンエステル樹
脂類自体、非芳香族石油系溶剤への溶解性は優れる上、
これと炭化水素樹脂および/または酸変性炭化水素樹脂
とを併用することにより、非芳香族石油系溶剤への溶解
性が更に向上する。また、本発明の印刷インキ用ワニス
を用いるインキは、乾性油の含有量を増さなくとも、印
刷物の光沢等の物性が良好となる。オフセット印刷用イ
ンキの調製においては、従来から用いられている、ロジ
ンをレゾール樹脂で変性したロジンフェノール樹脂(ロ
ジン変性フェノール樹脂)と比較し、インキ用樹脂とし
ての特性は遜色なく、ロジンフェノール樹脂(ロジン変
性フェノール樹脂)の代替えが容易に行える。すなわ
ち、本発明の印刷インキ用ワニスを用いることにより、
従来のロジンフェノール樹脂(ロジン変性フェノール樹
脂)を利用するワニスと置き換え、同様の配合にて調製
される印刷用インキは、インキ用樹脂として、従来のロ
ジンフェノール樹脂(ロジン変性フェノール樹脂)を用
いたインキと比較して、なんらの遜色もないオフセット
印刷特性、作業性を具備するものとなる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂成分としてロジンエステル樹脂類と
    炭化水素樹脂類を、インキ溶剤として非芳香族石油系溶
    剤を、それぞれ必須な主成分として含むことを特徴とす
    る印刷インキ用ワニス。
  2. 【請求項2】 樹脂成分として含有する前記ロジンエス
    テル樹脂類が、ロジン類、α,β−不飽和カルボン酸ま
    たはその無水物、脂肪族多塩基酸、多価アルコールとを
    加熱反応させて得られる樹脂であることを特徴とする請
    求項1に記載の印刷インキ用ワニス。
  3. 【請求項3】 樹脂成分として含有する前記炭化水素樹
    脂類が、インデン系、ビニルトルエン系、α−メチルス
    チレン系、シクロペンタジエン系、ジシクロペンタジエ
    ン系、ペンテン系、ペンタジエン系であることを特徴と
    する請求項1または2に記載の印刷インキ用ワニス。
  4. 【請求項4】 樹脂成分として含有する前記炭化水素樹
    脂類に、極性基を有する炭化水素樹脂を含むこともある
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の印刷
    インキ用ワニス。
  5. 【請求項5】 樹脂成分として含有するロジンエステル
    樹脂類と炭化水素樹脂類の含有率の和を35〜75重量
    %とし、それに対する非芳香族石油系溶剤の含有率を2
    5〜60重量%とし、さらに、ロジンエステル樹脂類の
    含有率を5〜50重量%の範囲に、炭化水素樹脂類の含
    有率を0.5〜30重量%の範囲にそれぞれ選択するこ
    とを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の印刷イ
    ンキ用ワニス。
  6. 【請求項6】 ロジンエステル樹脂類100重量部当た
    り、炭化水素樹脂類を10〜60重量部の比率で含有す
    ることを特徴とする請求項5に記載の印刷インキ用ワニ
    ス。
  7. 【請求項7】 さらに、副次的成分として、乾性油およ
    び/または半乾性油を含有することを特徴とする請求項
    6に記載の印刷インキ用ワニス。
  8. 【請求項8】 乾性油および/または半乾性油の含有率
    を、1〜20重量%の範囲に選択することを特徴とする
    請求項7に記載の印刷インキ用ワニス。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002265839A (ja) * 2001-03-08 2002-09-18 Dainippon Ink & Chem Inc 印刷インキ組成物
JP2003105071A (ja) * 2001-09-27 2003-04-09 Arakawa Chem Ind Co Ltd ポリエステル樹脂、その製造法、印刷インキ用バインダーおよび印刷インキ
JP2016188273A (ja) * 2015-03-30 2016-11-04 東洋インキScホールディングス株式会社 浸透乾燥型オフセット印刷用インキ組成物
KR101846296B1 (ko) * 2016-07-18 2018-04-06 주식회사 유진 건식 평판 인쇄용 잉크 바니쉬 조성물

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