JP4550045B2 - ロジンフェノール樹脂及びそれに関連する使用 - Google Patents

ロジンフェノール樹脂及びそれに関連する使用 Download PDF

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Description

発明の詳細な説明
発明の分野
本発明は、樹脂酸、脂肪酸、フェノール性化合物及びアルデヒドから製造した樹脂であって、前記樹脂がたとえば、リソグラフィック印刷及びグラビア印刷用のインク中のバインダーとして有用である、前記樹脂に関する。
従来技術の説明
印刷インク用のバインダーの製造の主成分としてロジンを使用することは、当業界では周知である。そのようなロジンベースのインク樹脂は、フレキソ印刷、グラビア印刷、活版印刷、及びリソグラフィーを含む広範な種類の印刷プロセスで使用される。各印刷プロセスは特定のプロセスに特異的な特性をもつインクが必要であり、ここで関連するインク特性としては、粘度、溶媒蒸発、湿潤性、顔料分散性及び、インク中に含まれる他の物質との混和性が挙げられる。そのような多種多様な範囲の必要な性能特性をもつインク中でロジンを使用するためには、インクバインダーを形成させるためにロジンと反応させる適当な材料を選択することが非常に重要である。たとえば、Roger F.Burke、"Rosin-based Printing Inks"、Naval Stores、第19章、Pulp Chemicals Association(1989年)を参照されたい。
典型的な市販のロジン変性フェノール樹脂は、ロジン、n-アルキルフェノール及びパラホルムアルデヒドから製造され、ここでポリオール及び場合により無水マレイン酸を反応混合物中に配合することができる。以下の文献は、当業界で公知のロジンベースのフェノール樹脂の幾つかについて記載するものである。
Matzingerらの米国特許第6,172,174号(2001年)及び同第5,969,071号(1999年)は、リソグラフィック印刷インク中で有用なフェノール性ロジン樹脂について開示する。Matzingerの樹脂は、消泡剤を添加せずに製造し、且つ当業界で一般的に公知のものと比較してアルデヒド蒸気の放出が少ない。
Matzingerの欧州特許第EP1 054 028号(2000年)は、接着剤、インク及びコーティング組成物用の炭化水素/アクリル酸ハイブリッド樹脂を提供する。ジシクロペンタジエンは、開示された樹脂組成物の必須成分である。
Benderの米国特許第5,498,684号(1996年)は、インク配合物用のバインダーとしてロジンベースのフェノール樹脂を提供する。このバインダー樹脂は、報告によれば、少なくとも6ヶ月間の連続曝気後でも安定であるという。
ロジンベースのインクバインダーの製造において、製造コストは重要な検討課題である。印刷インクの製造で通常使用される天然樹脂と樹脂酸は、インクバインダーの比較的高価な成分であることは、当業者には公知である。このコスト高は、天然ロジンの世界的な供給が急速に落ち込んでいるという認識から、さらに悪化している。
ロジンフェノール性インクバインダーの製造では、潜在的に将来の商業的規制ももう一つの重要な検討課題である。特定のロジンベースのインクバインダーの製造において、一成分としてアルキルフェノール、特にノニルフェノールを配合することは当業界で公知である。しかしながら、近年、文献では、水源へのノニルフェノール及び他のアルキルフェノール類の放出に起因する、ヒト、家畜及び野生動物に対し生じる可能性のある内分泌攪乱作用が報告されている(たとえば、T.Sweeney、"Is Exposure to Endocrine Disrupting Compounds During Fetal/Post-Natal Development Affecting the Reproductive Potential of Farm Animals?"、Domest.Anim.Endocrinol.,第23巻、203-209頁(2002年);C.Sonnenschein及びA.M.Soto、"An Updated Review of Environmental Estrogen and Androgen Mimics and Antagonists"、J.Steroid Biochem.Mol.Biol、第65巻、143-150頁(1998年)を参照されたい)。ヒト及び動物の健康におけるこれらのフェノール性化合物の作用に加えて、これらの発見が、製造業者がアルキルフェノール、特にノニルフェノールの化学薬品の製造から撤退するに連れて、これらのコストを最終的に大きく上昇させて、世界的な供給が減少するということもありうる。ノニルフェノールの製造が完全に禁止されることさえあり得る。
本発明は、ロジンを含有するインク樹脂の製造におけるアルキルフェノール類の使用に関連する問題を解決し、さらに本明細書中に記載する関連する好都合な点を提供する。
発明の概要
手短に言えば、本発明は、新規樹脂、並びに印刷プロセス及びコーティングプロセスにおけるこれらの樹脂の使用に関する。これらの樹脂は、好ましくは商業目的のためにニス、インク及びコーティングに対し等しいかそれ以上の性能のニス、インク及びコーティングの製造に使用することができる。本発明は、当業界で通常使用される特定の反応物質よりもヒトに対する危険性が低いと認められる反応物質から形成された樹脂も提供する。
一側面において、本発明の樹脂は、樹脂酸、脂肪酸、アルデヒド反応性に関し少なくとも三官能性のフェノール性化合物、及びアルデヒドから製造する。ロジンは、樹脂酸の好適且つ好ましい供給源である。脂肪酸に関しての二つの好ましい供給源はトール油脂肪酸(tall oil fatty acid:TOFA)及びモノマー(Monomer:脂肪酸二量体化プロセスにより誘導した脂肪酸のブレンド)である。この反応混合物は、α,β-オレフィン性不飽和カルボニル化合物、たとえば(単数または複数種類の)α,β-オレフィン性不飽和カルボン酸または(単数または複数種類の)無水物、及び/または(単数または複数種類の)ポリオール、並びに他の可能な任意選択的な反応物質(optional reactants)を場合により含むことができる。この樹脂を溶媒に溶解してニスを形成し、ここでこの樹脂及び/またはニスは、リソグラフィック印刷またはグラビア印刷用インクの成分として使用することができる。
一側面において、本発明は、脂肪酸、樹脂酸、フェノール性化合物及びアルデヒドを含む反応物質を、高温で反応させることを含むプロセスによって製造した樹脂を提供する。前記フェノール性化合物の少なくとも幾つかは三官能性、即ち、前記フェノール性化合物の少なくとも幾つかは、フェノール性化合物1モル当たりアルデヒド3モルと反応し得る。場合により、前記フェノール性化合物の全てが三官能性であり、ここでフェノールは好ましい三官能性フェノール性化合物である。別法として、前記フェノール性化合物はフェノール性化合物の混合物であり、ここで前記フェノール性化合物の一つはフェノールである。前記フェノール性化合物がフェノール性化合物の混合物であるとき、本発明の種々の任意選択的な態様(optional embodiment)において、少なくとも三官能性の前記フェノール性化合物は、前記樹脂を製造するのに使用するフェノール性化合物の混合物の総重量の少なくとも5重量%、または少なくとも10重量%、または少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、または少なくとも25重量%、または少なくとも30重量%、または少なくとも35重量%、または少なくとも40重量%、または少なくとも45重量%、または少なくとも50重量%、または少なくとも55重量%、または少なくとも60重量%、または少なくとも65重量%、または少なくとも70重量%、または少なくとも75重量%、または少なくとも80重量%または少なくとも85重量%、または少なくとも90重量%、または少なくとも95重量%を構成し、ここでそれぞれの重量%の値の参照で使用する「または少なくとも」なる用語は、100%を包含するものとする。
もう一つの側面において、本発明は、プロセスによって製造した樹脂であって、ここで前記プロセスは、高温で、樹脂酸(たとえばロジン)、脂肪酸、フェノール性化合物及びアルデヒドを含む反応物質を反応させることを含む、前記樹脂を提供する。本発明のこの側面において、前記脂肪酸は、樹脂形成性成分の総重量の少なくとも30重量%を構成する。種々の態様において、前記脂肪酸は、樹脂形成性成分の総重量の少なくとも32重量%、または少なくとも34重量%、または少なくとも36重量%、または少なくとも38重量%、または少なくとも40重量%、または少なくとも42重量%、または少なくとも44重量%、または少なくとも46重量%、または少なくとも48重量%、または少なくとも50重量%を構成する。種々の任意選択的な態様において、上記脂肪酸の量の特定に加えて、上記脂肪酸量の各設定(即ち、30、32、34、36重量%など)について、前記樹脂は、反応物質に含まれる三官能性またはそれ以上のフェノール性化合物の量によってさらに記述される。一態様において、三官能性またはそれ以上のフェノール性化合物は、樹脂を形成するのに使用する唯一のフェノール性化合物である。関連する態様では、三官能性またはそれ以上のフェノール性化合物は、フェノール性化合物の混合物の総重量の少なくとも5重量%、または少なくとも10重量%、または少なくとも15重量%、または少なくとも20重量%、または少なくとも25重量%、または少なくとも30重量%、または少なくとも35重量%、または少なくとも40重量%、または少なくとも45重量%、または少なくとも50重量%、または少なくとも55重量%、または少なくとも60重量%、または少なくとも65重量%、または少なくとも70重量%、または少なくとも75重量%、または少なくとも80重量%、または少なくとも85重量%、または少なくとも90重量%、または少なくとも95重量%を構成する。フェノールは、本発明のこの側面及び他の側面で使用するのに好ましい三官能性またはそれ以上のフェノール性化合物である。
もう一つの側面において、本発明は、一プロセスにより製造した樹脂を提供するものであり、前記プロセスは、樹脂酸(たとえばロジン)、脂肪酸、フェノール性化合物、及びアルデヒドを含む反応物質を高温にすることを含む。本発明のこの側面において、前記脂肪酸のいくつかまたは全てはモノマー(Monomer)である。一態様において、前記樹脂を形成するのに使用する脂肪酸の全てはモノマーである。関連する態様において、前記脂肪酸は脂肪酸の混合物であり、ここで前記混合物の少なくともいくらかはモノマー由来である。場合により、前記フェノール性化合物の幾らかまたは全ては三官能性またはそれ以上である、即ち前記フェノール性化合物の幾らかまたは全ては、アルデヒドとの反応性を有する少なくとも三つの部位をもつ。実際、一態様において、三官能性またはそれ以上のフェノール性化合物は、この樹脂を形成するのに使用する唯一のフェノール性化合物である。関連する態様において、三官能性またはそれ以上のフェノール性化合物は、フェノール性化合物の前記混合物の総重量の少なくとも5重量%、または少なくとも10重量%、または少なくとも15重量%、または少なくとも20重量%、または少なくとも25重量%、または少なくとも30重量%、または少なくとも35重量%、または少なくとも40重量%、または少なくとも45重量%、または少なくとも50重量%、または少なくとも55重量%、または少なくとも60重量%、または少なくとも65重量%、または少なくとも70重量%、または少なくとも75重量%、または少なくとも80重量%、または少なくとも85重量%、または少なくとも90重量%、または少なくとも95重量%を構成する。フェノールは、アルデヒド反応性に関して少なくとも三つの官能基を持つ好ましいフェノール性化合物である。
もう一つの側面において、本発明は一プロセスにより製造した樹脂を提供するものであり、前記プロセスは、脂肪酸、樹脂酸、フェノール性化合物、及びアルデヒドを含む反応物質を高温に暴露することを含む。本発明のこの側面の三つの別個の態様において、i)前記脂肪酸の少なくとも幾らかは分岐鎖モノカルボン酸である;ii)前記脂肪酸の少なくとも幾らかは環式鎖脂肪酸である;iii)分岐鎖脂肪酸と環式鎖脂肪酸のいずれも、脂肪酸中に存在する。好ましい態様において、前記脂肪酸の少なくとも幾つかはモノマーであり、ここでモノマーは分岐鎖脂肪酸と環式鎖脂肪酸のいずれをも含む。好ましいが、任意選択的な態様において、前記フェノール性化合物の幾らかまたは全ては、アルデヒドとの反応に対して少なくとも三官能性である。たとえば前記フェノール性化合物の幾らかまたは全てはフェノールである。前記態様i)、ii)及びiii)のそれぞれに関して、本発明は、場合により、前記樹脂を形成するのに使用したフェノール性化合物の全てが少なくとも三官能性であることを規定し、ここでフェノールは、少なくとも三官能性である好ましいフェノール性化合物である。さらに、前記態様i)、ii)及びiii)のそれぞれに関して、本発明は、場合により、少なくとも三官能性であるフェノール性化合物が、前記樹脂を形成するのに使用するフェノール性化合物の混合物の総重量の少なくとも5重量%、または(追加の態様では)少なくとも10重量%、または少なくとも15重量%、または少なくとも20重量%、または少なくとも25重量%、または少なくとも30重量%、または少なくとも35重量%、または少なくとも40重量%、または少なくとも45重量%、または少なくとも50重量%、または少なくとも55重量%、または少なくとも60重量%、または少なくとも65重量%、または少なくとも70重量%、または少なくとも75重量%、または少なくとも80重量%、または少なくとも85重量%、または少なくとも90重量%、または少なくとも95重量%を構成することを規定する。
もう一つの側面では、本発明は樹脂を製造するためのプロセスを提供するものであり、前記プロセスは、高温で、ロジン、脂肪酸、アルデヒド及び、アルデヒド反応性に関して少なくとも三官能性であるフェノール性化合物を含む反応物質を反応させることを含み、ここで(a)少なくとも三官能性である前記フェノール性化合物は、前記樹脂を形成するのに使用する全てのフェノール性化合物の少なくとも25重量%を構成する;及び/または(b)前記脂肪酸は列記された反応物質の少なくとも5重量%を構成し、且つ前記樹脂は、脂肪酸のいくらかまたは全てがロジン中で樹脂酸と置き換わっている対応する樹脂の軟化点以上である、軟化点を有する。かくして、本発明は、高温で反応物質を反応させることを含むプロセスを提供するものであり、前記反応物質は、ロジン、脂肪酸、アルデヒド及び、アルデヒド反応性に関して少なくとも三官能性であるフェノール性化合物を含み、ここで少なくとも三官能性である前記フェノール性化合物は、前記樹脂を形成するのに使用した全てのフェノール性化合物の少なくとも25重量%を構成する。また本発明は、高温で反応物質を反応させることを含むプロセスを提供するものであり、前記反応物質は、ロジン、脂肪酸、アルデヒド及び、アルデヒド反応性に関して少なくとも三官能性であるフェノール性化合物を含み、ここで前記脂肪酸は列記された反応物質の重量の少なくとも5%であり、且つ前記樹脂は、脂肪酸のいくらかまたは全てがロジン中で樹脂酸と置き換わっている対応する樹脂の軟化点以上である、軟化点を有する。
もう一つの側面において、本発明は樹脂の製造プロセスを提供するものであり、ここで前記プロセスは、高温で反応物質を反応させることを含み、前記反応物質は、樹脂酸、脂肪酸、アルデヒド及び、アルデヒド反応性に関して少なくとも三官能性であるフェノール性化合物を含む。本発明のこの態様において、前記脂肪酸は列記された反応物質の重量の少なくとも5%であり、前記樹脂は、樹脂酸が前記脂肪酸のいくらかまたは全てに取って代わった以外には、同一条件下で製造された対応する樹脂以上の軟化点を有する。換言すれば、本発明は、ロジン-フェノール樹脂の製造で使用する樹脂酸のいくらかが脂肪酸で置き換わっているが、前記樹脂の軟化点は低下しておらず、上昇することさえある、樹脂形成プロセスを提供する。関連する側面において、本発明は、樹脂を製造するためのプロセスを提供するものであり、ここで前記プロセスは、高温で反応物質を反応させることを含み、前記反応物質は樹脂酸、脂肪酸、アルデヒド及び、アルデヒド反応性に関して少なくとも三官能性であるフェノール性化合物を含む。本発明の関連する側面では、前記脂肪酸は、列記した反応物質の重量の少なくとも10%を構成し、前記樹脂は少なくとも110℃の軟化点を有する。
本発明の樹脂を製造するのに含み得る任意選択的な反応物質としては、α,β-オレフィン性不飽和カルボニル化合物、たとえば無水マレイン酸、及び/またはポリオール、たとえばペンタエリスリトールが挙げられる。上述の如く、好ましいフェノール性化合物はフェノールである。好ましいアルデヒドはパラホルムアルデヒドである。もう一つの任意選択的な樹脂形成性分はアルカリ金属塩、たとえば前記塩のカチオンが二価であるアルカリ金属塩である。本発明の樹脂酸の好ましい供給源としては、トール油ロジン、ガムロジン、ウッドロジン及びこれらの組み合わせが挙げられる。前記樹脂酸及びロジンは予備処理することができ、たとえば、樹脂形成反応に使用する前に、エステル化またはマレエート化(maleated)してもよい。
もう一つの態様において、本発明は、改良法により製造したリソグラフィックインク樹脂を提供するものであり、前記プロセスは、高温で、上記及び他の場所に記載のごとき反応物質を反応させて、本発明のリソグラフィックインク樹脂を製造することを含む。
もう一つの態様において、本発明は、改良法により製造したグラビアインク樹脂を提供するものであり、前記プロセスは、高温で上記及び他の場所に記載のごとき反応物質を反応させて、本発明のグラビアインク樹脂を製造することを含む。
もう一つの態様において、本発明は、本明細書に記載のプロセスにより製造した樹脂と、好適な溶媒とを含むニスを提供する。好適な溶媒は芳香族炭化水素、たとえばベンゼン、トルエン、キシレン及び脂肪族溶媒、たとえばヘプタン及びナフサがある。ニスはある割合の樹脂固体を有し、ここでこの割合は重量ベースで25〜50%の範囲である。
もう一つの態様において、本発明は、場合によりグラビア印刷またはリソグラフィック印刷用に配合した、着色剤、たとえば顔料と、本発明の樹脂とを含む印刷用インクを提供する。
かくして、本発明は、反応物質から樹脂を形成するためのプロセスを提供するものであり、前記反応物質は脂肪酸、樹脂酸、アルデヒド及び、アルデヒド反応性に関して少なくとも三官能性であるフェノール性化合物を含む。本プロセスは、樹脂を形成するのに十分な時間、高温で前記反応物質を保持することを含む。好ましい態様において、少なくとも三官能性である前記フェノール性化合物は前記樹脂を形成するのに使用した全てのフェノール性化合物の少なくとも25重量%を構成するか、前記脂肪酸は、列記した反応物質の重量の少なくとも5%を構成し、且つ前記樹脂は少なくとも105℃の軟化点を有する。
本発明のこれら及び他の側面は、以下の詳細な説明を参照すればより明らかになろう。
発明の詳細な説明
本発明は、印刷用インクでバインダーとして有用な樹脂の製造を提供する。本明細書中に記載の如く、「バインダー」なる用語は、本明細書中に記載の反応物質の(単数または複数種類の)生成物を指す。これらの生成物は、出発物質よりも高い分子量を有し、ポリマーとも称される。これらの樹脂/ポリマー生成物はインク及びコーティングで特に有用であり、ここでこれらは顔料を湿潤、分散及び/または安定化させる薬剤としての、または印刷支持体に顔料を接着させる薬剤としての、一つ以上の機能を果たす。またこれらは、インクの二種以上の他の成分の間に混和性を付与するために、インクに配合することができる。このバインダーは、フィルム形成特性を提供することができ、たとえば印刷製品の光沢性を改良することができる。これが、本発明のバインダーがインク及びコーティング配合物に配合し得る幾つかの代表的な理由である。
一つの側面において、本発明の樹脂は、これらが製造されるプロセスの観点から特徴づけられる。特に、この樹脂は、樹脂生成物を形成するために一緒に反応させる反応物質の観点から特徴づけられる。意外にも、脂肪族溶媒中で優れた溶解性をもつ樹脂は、樹脂酸で変性したフェノール樹脂を製造するための配合物中に、高い反応性のフェノール性化合物と脂肪酸との両方を配合することによって製造し得ることが知見された。もうひとつの側面において、樹脂酸、フェノール性化合物及びアルデヒドと一緒に高度に分岐した脂肪酸または環式脂肪酸を、樹脂の製造で好都合に利用できることが知見された。好ましい態様では、樹脂酸及びアルデヒドと組み合わせて、高度に反応性のフェノール性化合物と分岐/環式脂肪酸の両方から樹脂を製造する。
以下詳細に述べるように、樹脂酸で変性したフェノール樹脂は、樹脂酸、脂肪酸、三官能性またはそれ以上の多官能性のフェノール性化合物とアルデヒドとを一緒に反応させることにより製造することができる。脂肪酸は、(脂肪酸の二量体形成プロセスから誘導した)モノマーであってもよい。この反応混合物は、場合により(単数または複数種類の)α,β-オレフィン性不飽和カルボン酸または(単数または複数種類の)無水物、及び(単数または複数種類の)ポリオールを含むことができる。この樹脂を溶媒中に溶解してニスを形成することができる。ニスは、リソグラフィック印刷またはグラビア印刷用のインク成分として使用することができる。
本発明の記載にあたり、「ひとつの」(“a”)は、表示した目的語の一つ以上を指すものと理解すべきである。たとえば「樹脂酸」は一種以上の樹脂酸を指し、ここで樹脂酸は、たとえばその正確な構造が違っていてもよい。同様に、「ロジン」は、ロジン(たとえばウッドロジン、ガムロジン、トール油ロジンなど)の一種以上を指す。また本発明の樹脂は、インク配合物中のバインダーとして特に有用であるので、本発明の樹脂は、本明細書中、「バインダー」と称することができる。「バインダー」なる用語は時折、樹脂自体を指すために用いられている点に留意すべきであり、ここで「バインダー」なる用語は、樹脂特性の記述または樹脂の用途を限定するものと解釈すべきではない。
A.反応物質
一側面において、本発明の樹脂は、脂肪酸、樹脂酸、アルデヒド及びフェノール性化合物を含む反応物質から製造し、以下の基準の少なくとも一つを満たす:
a)脂肪酸は分岐鎖脂肪酸を含む;
b)脂肪酸は環式鎖脂肪酸を含む;及び
c)フェノール性化合物は、アルデヒド反応性またはその反応等価物に対し少なくとも三官能性であるフェノール性化合物であるか、そのようなフェノール性化合物を含む。
かくして、本発明の七つの別個の側面において、樹脂は、a)または;b)または;c)または;a)及びb)または;a)及びc)または;b)及びc)または;a)及びb)及びc)(ここで、a)、b)及びc)は上記定義の通りである)であるように、樹脂酸、脂肪酸、フェノール性化合物及びアルデヒドから製造する。本明細書の他の場所で議論するように、本発明の種々の態様において、特定の成分の最小量が反応物質中に存在し、及び/または特定の樹脂(またはニス若しくはインク)特性が樹脂に存在することがさらに必要とされるかもしれない。
本発明の樹脂及びそれを製造し得るプロセスについて詳述する前に、必要な反応物質及び多くの任意選択的な試薬について記載する。
1.樹脂酸
樹脂酸は、モノカルボン酸系ジテルペン酸(monocarboxylic diterpene acid)を参照するために使用される当業界の用語である(たとえば、Simonsen,J.;Barton,D.H.R.;The Terpenes,第III巻、Cambridge University Press,Cambridge(1952年);及びHanson,J.R.,Natural Prod. Reports,第5巻:211頁(1988年)を参照されたい)。二つの代表的な樹脂酸のタイプは、アビエタン型(abietane-type)とそれぞれが三つの連結する6員環をもつピマラン/イソピマラン型樹脂(pimarane/isopimarane-type)である。ラブダン型(labdane-type)樹脂酸は、樹脂酸のもう一つの公知の部類であり、ここでラブダン樹脂酸は、二つの融合6員環をもつ。代表的な樹脂酸としては、以下に限定されないが、アビエチン酸(abietic acid:CAS #514-10-3、以下の構造(1)を参照されたい);コミュン酸(communic acid)(CAS #1231-35-2);デヒドロアビエチン酸(dehydroabietic acid:CAS #1740-19-8);イソピマル酸(CAS #5835-26-7);レボピマル酸(CAS #79-54-9);ネオアビエチン酸(CAS #471-77-2);パルストル酸(palustric acid)(CAS #1945-53-5);ピマル酸(CAS #127-27-5、以下の構造(2)を参照されたい);及びサンダラコピマル酸(sandaracopimaric acid:CAS #471-74-9)が挙げられる。
Figure 0004550045
樹脂酸は、最初、植物の成分として発見され、今日、一般的には松の木から得られている。本発明の実施で使用し得る樹脂酸の代表的な供給源を、以下に提供する。
本明細書中で使用するように、「樹脂酸」なる用語は、たとえば、Simonsen,J.;Barton,D.H.R.、The Terpenes、第III巻、Cambridge University Press、Cambridge(1952年)より樹脂酸として一般的に公知のモノカルボン酸系ジテルペン酸を含む。一側面において、本発明のバインダーの製造で使用する樹脂酸は、木から得られるように、場合により他の材料と混合した、これらのモノカルボン酸系ジテルペン酸の混合物である。
樹脂酸、または樹脂酸を含有する材料(たとえばロジン)は、本発明の樹脂形成反応で、脂肪酸、フェノール性化合物及びアルデヒドと共に使用する前に予備処理(pre-treat)または予備反応(pre-react)させることができる。従って、本明細書中で使用するように、「樹脂酸」及び「ロジン」なる用語は、以下簡単に例示及び議論するように、これらのモノカルボン酸系ジテルペン酸の誘導体及び反応生成物を含む。「樹脂酸」なる用語は、幾らか樹脂酸を含む組成物を含むものとする。種々の任意選択的な態様において、樹脂酸を含有する組成物は、重量パーセントベースで、少なくとも10%、または少なくとも20%、または少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも75%、または少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%、または少なくとも95%の樹脂酸を含む。樹脂酸誘導体及び反応生成物に関する詳細は、たとえばSoltes,E.J.及びZinkel,D.F.、"Chemistry of Rosin"、第9章、Naval Stores、Zinkel,D.F.及びRussell,J.編、Pulp Chemicals Association、New York、NY、1989年に見出すすることができる。
a.塩
樹脂酸のカルボン酸基は、塩の形に転換することができる。これらの塩の形を、本発明の「樹脂酸」と考えるが、本明細書中では具体的に樹脂酸塩と称してよい。樹脂酸塩の代表的な対イオンとしては、以下に限定されないが、一価及び二価の金属、たとえばナトリウム、カリウム、亜鉛、マグネシウム及びカルシウムのカチオンが挙げられる。これらの対イオンの供給源としては、以下に限定されないが、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムが挙げられる。樹脂酸塩を形成するために金属塩、金属酸化物などで樹脂酸を中和する方法は、当業界で公知である。そのような反応生成物は、樹脂酸石鹸(resin acid soap)と称されることがある。樹脂酸は、ロジン中に存在することがあるので、ロジン石鹸は、本発明に従った樹脂酸石鹸の供給源である。また、ロジン石鹸は、本発明の「ロジン」と考えられる。
b.エステル
樹脂酸のカルボン酸基は、エステル化反応に関与してエステルに転換することができる。樹脂酸のエステルは、本発明に従った「樹脂酸」であり、本明細書中では具体的に樹脂酸エステルと称してよい。樹脂酸は、一価または多価(ポリオール)分子と反応して、カルボン酸をカルボン酸エステルに転換することができる。
代表的な一価分子としては、以下に限定されないが、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール及び2-エチルヘキサノールが挙げられる。
ポリオールとしても公知の、代表的な多価(polyhydric)分子としては、以下に限定されないが、C2-C36二価化合物、C3-C36三価化合物、C5-C36四価化合物、C5-C36五価化合物及び、C6-C36六価化合物が挙げられる。具体的なポリオールとしては、以下に限定されないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブタンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリエチロールプロパン、ペンタエリスリトール、及び炭水化物から誘導した多価分子、たとえば二量体化トリメチロールプロパン及び二量体化ペンタエリスリトールが挙げられる。樹脂酸をポリオールでエステル化するとき、ポリオールのヒドロキシル基の一つ以上がエステル化反応に関与してよい。即ち、樹脂酸エステルは、ポリオール由来の残存ヒドロキシル基を含んでもよいし、または含まなくてもよい。
樹脂酸エステルのある種は、アルキド樹脂として当業界で公知である。アルキド樹脂は、樹脂酸、脂肪酸トリグリセリド、二酸(たとえばイソフタル酸)及びポリオール(たとえばグリセリン)の反応によって製造することができる。アルキド形成性反応物質として樹脂酸を使用する多くの他のアルキド配合物があるが、ここでこれらのアルキドは本明細書中では樹脂酸アルキドと称してよい。樹脂酸アルキドは、本明細書中で使用するように「樹脂酸」である。
この樹脂酸はロジン中に存在することができ、従ってロジンエステルは、本発明に従った樹脂酸エステルの供給源である。また、ロジンエステルは、本発明の「ロジン」と考えられる。ロジン及び樹脂酸を一価化合物及び多価化合物でエステル化する方法は、当業界で公知である。
c.付加物
樹脂酸は、α,β-オレフィン性不飽和カルボニル化合物とのディールスアルダー及び/またはエン型(ene-type)反応を受けることができ、ここでこれらの反応生成物は、本明細書中、樹脂酸付加物と称する。樹脂酸付加物は、本明細書中で使用するように「樹脂酸」なる用語の範囲に含まれる。
典型的なα,β-オレフィン性不飽和カルボニル化合物としては、以下に限定されないが、無水マレイン酸、フマル酸、フマル酸のモノ(C1-C12アルキル)エステル、フマル酸のジ(C1-C12アルキル)エステル、アクリル酸、アクリル酸のC1-C12アルキルエステル、メタクリル酸、メタクリル酸のC1-C12アルキルエステル、イタコン酸及びイタコン酸のC1-C12アルキルエステルが挙げられる。本明細書中で使用するように、「アルキル」とは、C-C及びC-H単結合のみを含む一価の炭化水素基(即ち、ヒドロカルビル一価の基)を指し、「炭化水素」は、炭素と水素原子だけを含む任意の分子構造ドメインを指し;「アルケニル」は、少なくとも一つのC=C二重結合を含むヒドロカルビル一価の基を指し、「アルキニル」は、少なくとも一つのC≡C三重結合を含むヒドロカルビル一価の基を指す。
ロジンは樹脂酸の供給源となり、ロジン付加物は本発明の樹脂酸付加物の供給源である。ロジン付加物は、「ロジン」及び「樹脂酸」なる用語の範囲内に含まれるものと考えられる。樹脂酸(たとえばロジン)とα,β-オレフィン性不飽和カルボニル化合物との間の付加反応は当業界で公知であり、樹脂酸とα,β-オレフィン性不飽和カルボニル化合物とを反応形成温度、たとえば約150℃に加熱することによって生じさせることができる。
d.二量体
酸性条件及び高温下では、樹脂酸はそれ自体と反応して二量体生成物を形成する。三量体形成などの幾つかの反応もこの二量体形成プロセスでおきるが、通常、二量体化生成物が最大限まで形成する。樹脂酸上の強い熱及び/または強い酸の作用は、樹脂酸の「重合」と称されることもある。この反応からの(単数または複数種類の)生成物は、樹脂酸二量体と称され、ここで樹脂酸二量体は、本発明の「樹脂酸」である。ロジンは樹脂酸の供給源を提供することができる。この場合において、重合したロジンは、重合化樹脂酸の供給源を供給することができる。また、重合化ロジンは、本明細書中で使用する「ロジン」なる用語の範囲内に含まれると考えられる。
e.異性体
樹脂酸は、異性化樹脂酸を生成する種々の反応条件にさらしてよい。異性化樹脂酸は、たとえば元の樹脂酸とは異なる構成の二重結合をもつ。温度及び/または酸(たとえばルイス酸またはブロンステッド酸)は、樹脂酸の異性化を達成するのに好適な条件である。異性化条件にさらすと、天然に存在しない樹脂酸が形成することがあるが、異性化条件は一つの天然の構造からもう一つの天然の構造へ樹脂酸を転換させることも可能である。樹脂酸を異性化形成条件にさらして生じる(単数または複数種類の)異性体は、本明細書で使用するように「樹脂酸」なる用語の範囲内である樹脂酸異性体を生成する。樹脂酸異性体形成を達成する反応条件は、当業界で公知である。ロジンは樹脂酸の供給源を提供することができる。この場合、異性化ロジンは、異性化樹脂酸の供給源を提供することができる。異性化ロジンは、本明細書中で使用する「ロジン」なる用語の範囲内に含まれると考えられる。
f.水素化
樹脂酸を、酸の中に存在する(単数または複数の)二重結合を減らすために水素ガスに暴露することができる。通常、高い温度及び圧力と共に、炭素上のパラジウムまたはラニーニッケルなどの触媒を使用して、樹脂酸の十分な水素化を達成する。樹脂酸の水素化由来の(単数または複数種類の)反応生成物は、本明細書中、水素化樹脂酸と称され、ここで水素化樹脂酸は、本明細書中で使用する用語の意味の範囲内の「樹脂酸」である。樹脂酸の水素化は、当業界で公知である。
水素化樹脂酸、たとえば水素化ロジンは、本発明の実施で使用することができるが、樹脂酸の全てが完全に飽和しているとは限らないのが好ましい。樹脂酸中の不飽和の存在は、樹脂酸とフェノール性化合物及び/またはアルデヒド及び/またはその間の反応生成物の間で反応を起こさせるために望ましいと考えられる。従って、水素化樹脂またはロジンを本発明の実施で使用する場合、いくらか不飽和の樹脂酸またはロジンが反応混合物中に存在するのも好ましい。
しかしながら、水素化は、樹脂酸+脂肪酸+アルデヒド+フェノール性化合物の反応生成物に適用することができる。この反応生成物の水素化によって樹脂の安定性が増加する傾向があり、ここで樹脂の安定性が高くなることは、非顔料配合生成物(non-pigmented product)、たとえばオーバープリント・ニス(overprint varnish)にとっては特に重要である。従って、一つの側面では、本発明は、本発明の樹脂を含むオーバープリント・ニスを提供するものであり、ここで前記樹脂は場合により、水素化によって後処理されている。さらに本発明は、樹脂、及びその製造プロセスを提供するものであって、前記プロセスは本明細書中で記載する前記の樹脂酸+脂肪酸+アルデヒド+フェノール性化合物を反応させて樹脂を形成し、この樹脂を水素化によって後処理する。
g.脱水素化/不均化
多くの樹脂酸は二つの二重結合をもつ。ゼロと三つの二重結合を持つ樹脂酸を提供するような、一つの樹脂酸からもう一つの樹脂酸への水素の移動は、それぞれ脱水素化/不均化といわれる。パラジウム、プラチナまたはニッケルなどの金属が存在する場合、通常、炭素触媒上の金属を使用して、脱水素化/不均化を促進する。しかしながら、樹脂酸の脱水素化/不均化を促進するための他の反応条件も当業界で公知である。本反応からの(単数または複数種類の)生成物は、脱水素化樹脂酸と称され、(単数または複数種類の)これらの生成物は、本明細書中で使用するようにこの用語の意味に含まれる「樹脂酸」である。しかしながら、この不均化樹脂酸は、本発明の樹脂形成反応混合物中に存在する唯一の樹脂でないことが好ましい。
上記のものは、本明細書中で使用されるようにそれぞれ「ロジン」及び「樹脂酸」の用語の範囲に含まれるロジン及び樹脂酸誘導体及び反応生成物の代表例である。本発明は、樹脂酸、脂肪酸、フェノール及びアルデヒドから製造される印刷用インク用の樹脂性バインダーを提供する。樹脂酸誘導体がフェノール及びアルデヒドとの反応性を有する限りは、その用語は本明細書中で使用されるときには、「樹脂酸」なる用語の範囲に含まれる。「天然の樹脂酸」なる用語は、たとえばアビエチン酸、コミュン酸、デヒドロアビエチン酸、イソピマル酸、レボピマル酸、ネオアビエチン酸、パルストル酸、ピマル酸及びサンダラコピマル酸などの天然のまたは未処理若しくは未変性ロジンに見出される樹脂酸を指すのに使用される。「天然ロジン」なる用語は、化学的に変性も処理もされていないロジンを指す。
樹脂酸は、通常、本発明の樹脂を形成するのに使用する反応物質の総重量の1〜85重量%を構成する。任意選択的な態様では、樹脂酸は、本発明の樹脂を形成するのに使用する反応物質の総重量の、85重量%以下、または80重量%以下、または75重量%以下、または70重量%以下、または65重量%以下、または60重量%以下、または10〜85重量%、または10〜80重量%、または10〜75重量%、または10〜70重量%、または10〜65重量%、または10〜60重量%、または20〜85重量%、または20〜80重量%、または20〜75重量%、または20〜70重量%、または20〜65重量%、または20〜60重量%、または25〜85重量%、または25〜80重量%、または25〜75重量%、または25〜70重量%、または25〜65重量%、または25〜60重量%、または30〜85重量%、または30〜80重量%、または30〜75重量%、または30〜70重量%、または30〜65重量%、または30〜60重量%、または35〜85重量%、または35〜80重量%、または35〜75重量%、または35〜70重量%、または35〜65重量%、または35〜60重量%、または40〜85重量%、または40〜80重量%、または40〜75重量%、または40〜70重量%、または40〜65重量%、または40〜60重量%、または45〜85重量%、または45〜80重量%、または45〜75重量%、または45〜70重量%、または45〜65重量%、または45〜60重量%を構成する。
好ましい態様では、ロジンは樹脂酸の供給源として使用され、本発明の樹脂を形成するのに使用する反応物質の総重量の85重量%以下、または80重量%以下、または75重量%以下、または70重量%以下、または65重量%以下、または60重量%以下、または10〜85重量%、または10〜80重量%、または10〜75重量%、または10〜70重量%、または10〜65重量%、または10〜60重量%、または20〜85重量%、または20〜80重量%、または20〜75重量%、または20〜70重量%、または20〜65重量%、または20〜60重量%、または25〜85重量%、または25〜80重量%、または25〜75重量%、または25〜70重量%、または25〜65重量%、または25〜60重量%、または30〜85重量%、または30〜80重量%、または30〜75重量%、または30〜70重量%、または30〜65重量%、または30〜60重量%、または35〜85重量%、または35〜80重量%、または35〜75重量%、または35〜70重量%、または35〜65重量%、または35〜60重量%、または40〜85重量%、または40〜80重量%、または40〜75重量%、または40〜70重量%、または40〜65重量%、または40〜60重量%、または45〜85重量%、または45〜80重量%、または45〜75重量%、または45〜70重量%、または45〜65重量%、または45〜60重量%を構成する。
好ましい態様において、樹脂酸は樹脂を形成するのに使用する反応物質の総重量の約45〜60重量%を構成する。もう一つの好ましい態様において、ロジンは樹脂酸の供給源として機能し、反応物質の総重量の約45〜60重量%を構成する。
2.脂肪酸
「脂肪酸」なる用語は、式:R1-COOHの化学物質、並びにその誘導体及び類似体を指し、ここでR1は少なくとも6個の炭素原子の炭化水素基である。炭化水素なる用語は、水素と炭素だけを含む任意の分子構造を指す。この炭化水素基は、飽和(即ち、二重の炭素-炭素結合も三重の炭素-炭素結合も含まない)または不飽和(即ち、少なくとも一つの二重の炭素-炭素結合または三重の炭素-炭素結合を含む)であってもよく、不飽和の数は限定されない。R1は独立して、線状、分岐または環式としてその炭化水素鎖構造により特徴付けられ、R1基に存在する炭素数で特徴付けられる。
本発明の種々の側面において、脂肪酸は、脂肪酸の総重量をベースとして少なくとも50重量%、若しくは少なくとも60重量%、若しくは少なくとも70重量%、若しくは少なくとも80重量%、若しくは少なくとも90重量%の程度まで、または独占的に12〜28、若しくは14〜28、若しくは16〜28、若しくは18〜28、若しくは12〜22、若しくは14〜22、若しくは16〜22、若しくは18〜22、若しくは12〜20、若しくは14〜20、若しくは16〜20、若しくは18〜20個の炭素原子をもつ脂肪酸から構成される。場合により、脂肪酸は室温で液体であるか、100℃未満の融点をもつ。場合により、脂肪酸は、TOFA及びモノマーなどの脂肪酸構造体の混合物である。
「線状」、「分岐」及び「環式」なる用語は当業者には公知であるが、さらに明確にするために、線状(構造1)、分岐(構造2)及び環式(構造3)鎖炭化水素基をもつC8脂肪酸(即ち、全部で8個の炭素をもつ脂肪酸)を以下に示す。
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R1が少なくとも14個の炭素原子の鎖である脂肪酸は、「長鎖モノカルボン酸」または「長鎖脂肪酸」としても知られることが多い。本発明の一側面において、本発明の樹脂を製造するのに使用する脂肪酸は長鎖脂肪酸であるか、または長鎖脂肪酸を含む。代表的な長鎖脂肪酸としては、飽和酸、たとえば、以下に限定されないが、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、及びアラキン酸;並びに不飽和酸、たとえば、以下に限定されないが、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、及びアラキドン酸;並びにこれらの混合物が挙げられる。好ましい態様において、環式脂肪酸は、上記構造(3)に示されるような、単一の環をもつ。しかしながら、環式脂肪酸は、鎖に分岐点も含んでもよい。好ましい態様において、分岐鎖脂肪酸は非環式である。好ましい側面において、脂肪酸は分岐鎖脂肪酸、または環式鎖脂肪酸、または分岐鎖脂肪酸と環式鎖脂肪酸との組み合わせを含む。任意選択的な側面では、脂肪酸反応物質はさらに、線状鎖脂肪酸を含む。
脂肪酸は、式:R1-COOHの化学物質の誘導体または類似体であってもよい。脂肪酸類似体とは、一つ以上の原子が様々な原子で置き換わっているが、得られた化合物がまた樹脂に対して脂肪特性(fatty character)を付与できる能力を持つ化合物を指す。たとえば、ヒドロキシル置換脂肪酸は、脂肪酸類似体であり、ここでリシノール酸(12-ヒドロキシステアリン酸としても公知)は、脂肪酸類似体のこの種の一つの例である。
脂肪酸誘導体は、脂肪酸の化学構造を変える何らかの化学処理を受けた脂肪酸であるが、この化学処理の生成物は、本発明の樹脂に脂肪特性を付与し得る能力を依然として持つ。以下は、代表的な脂肪酸誘導体である。
a.塩
脂肪酸のカルボン酸基は、塩の形に転換することができる。これらの塩の形は、本発明による「脂肪酸」と考えられており、本明細書中では具体的に脂肪酸塩と称してよい。脂肪酸塩の代表的な対イオンとしては、以下に限定されないが、ナトリウム、カリウム、亜鉛、マグネシウム及びカルシウムが挙げられる。これらの対イオンの供給源としては、以下に限定されないが、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムが挙げられる。脂肪酸塩を形成するために脂肪酸を金属塩、金属酸化物などで中和する方法は、当業界で公知である。そのような反応生成物は、脂肪酸石鹸と称されることがある。
b.エステル
脂肪酸のカルボン酸基は、エステル化反応に関与してエステルに転換させることができる。脂肪酸のエステルは、本発明に従った「脂肪酸」であり、本明細書中では具体的に脂肪酸エステルと称してよい。脂肪酸は、一価または多価(ポリオール)分子と反応して、カルボン酸をカルボン酸エステルに転換することができる。
代表的な一価分子としては、以下に限定されないが、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール及び2-エチルヘキサノールが挙げられる。
ポリオールとしても公知の、代表的な多価分子としては、以下に限定されないが、C2-C36二価化合物、C3-C36三価化合物、C5-C36四価化合物、C5-C36五価化合物及び、C6-C36六価化合物が挙げられる。具体的なポリオールとしては、以下に限定されないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブタンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリエチロールプロパン、ペンタエリスリトール、炭水化物、二量体化トリメチロールプロパン、及び二量体化ペンタエリスリトールが挙げられる。脂肪酸をポリオールでエステル化するとき、ポリオールのヒドロキシル基の一つ以上がエステル化反応に関係してもよい。即ち、脂肪酸エステルは、ポリオール由来の残存ヒドロキシル基を含んでもよいし、または含まなくてもよい。従って、本発明の「脂肪酸」は、幾つかのヒドロキシル基を含むことがある。
脂肪酸の一価化合物及び多価化合物によりエステル化する方法は、当業界で公知である。多くの脂肪酸エステル、特にトリグリセリドが当業界公知であり、市販されている。実際、多くのトリグリセリドは、天然のオイル及び脂肪である。これらの例としては、ピーナッツ油、獣脂、ひまし油、ヤシ油、オリーブ油、ナタネ油、大豆油、ひまわり油、及びアマニ油が挙げられる。
c.付加物
不飽和脂肪酸は、α,β-オレフィン性不飽和カルボニル化合物とのディールスアルダー及び/またはエン型(ene-type)反応を受けることができ、ここでこれらの反応生成物は、本明細書中、脂肪酸付加物と称する。脂肪酸付加物は、本明細書中で使用するように「脂肪酸」なる用語の範囲に含まれる。
典型的なα,β-オレフィン性不飽和カルボニル化合物としては、以下に限定されないが、無水マレイン酸、フマル酸、フマル酸のモノ(C1-C12アルキル)エステル、フマル酸のジ(C1-C12アルキル)エステル、アクリル酸、アクリル酸のC1-C12アルキルエステル、メタクリル酸、メタクリル酸のC1-C12アルキルエステル、イタコン酸及びイタコン酸のC1-C12アルキルエステルが挙げられる。脂肪酸とα,β-オレフィン性不飽和カルボニル化合物との間の付加反応は、当業界で公知である。
d.二量体
酸性条件及び高温下では、脂肪酸はそれ自体と反応して二量体生成物を形成する。三量体形成などの幾つかの反応もこの二量体形成プロセスでおきるが、通常、二量体化生成物が最大限まで形成する。脂肪酸への強い熱及び/または強い酸の作用は、脂肪酸の「重合」と称されることもある。この反応からの(単数または複数種類の)生成物は、一般に、二量体酸と称されるか、もっと簡単には二量体と呼ばれる。二量体酸は、本発明の「脂肪酸」である。この重合プロセスの副生成物はモノマーと呼ばれ、ここでモノマーは脂肪酸の混合物である。一つの側面において、モノマーは、本発明の樹脂を形成するのに使用する脂肪酸の幾つかまたは全てを提供する。
e.異性体
不飽和脂肪酸は、異性化脂肪酸を生成する種々の反応条件にかけることができる。異性化脂肪酸は、たとえば元の脂肪酸とは異なる構成の二重結合をもつ。温度及び/または酸(たとえばルイス酸またはブロンステッド酸)は、脂肪酸の異性化を達成するのに好適な条件である。異性化条件に脂肪酸をさらして生じる(単数または複数種類の)異性体は、本明細書中で使用する「脂肪酸」なる用語の範囲内の脂肪酸異性体を生成する。脂肪酸異性体形成を達成する反応条件は、当業界で公知である。
f.水素化
不飽和脂肪酸を、酸の中に存在する(単数または複数種類の)二重結合を減らすために水素ガスに暴露することができる。通常、高い温度及び圧力と共に、炭素上のパラジウムまたはラニーニッケルなどの触媒を使用して、脂肪酸の十分な水素化を達成する。脂肪酸の水素化由来の(単数または複数種類の)反応生成物は、本明細書中、飽和脂肪酸と称され、飽和使用酸と不飽和脂肪酸はいずれも、本明細書中で使用する用語の意味の中の「脂肪酸」である。脂肪酸の水素化は、当業界で公知である。
「脂肪酸」なる用語は、幾らか脂肪酸を含む組成物も含むものとする。種々の任意選択的な態様において、脂肪酸含有組成物は、重量パーセントベースで、脂肪酸を少なくとも10%、または少なくとも20%、または少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも75%、または少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%、または少なくとも95%含有する。
本発明の種々の側面において、脂肪酸は、樹脂形成組成物の総重量の85重量%以下、または75重量%以下、または65重量%以下、または50重量%以下、または40重量%以下、または30重量%以下、または25重量%以下、または1〜85重量%、または1〜75重量%、または1〜65重量%、または1〜50重量%、または1〜40重量%、または1〜30重量%、または1〜25重量%、または5〜65重量%、または5〜50重量%、または5〜40重量%、または5〜30重量%、または5〜25重量%、または10〜65重量%、または10〜50重量%、または10〜40重量%、または10〜30重量%、または10〜25重量%、または15〜65重量%、または15〜50重量%、または15〜40重量%、または15〜30重量%、または15〜25重量%を構成し、ここでそれぞれの範囲に関しては、モノマーは全てが脂肪酸であってもよく、または前の段落で述べたように脂肪酸の任意の画分であってもよい。好ましい態様において、脂肪酸は、樹脂を形成するのに使用する反応物質の総重量の約15〜25重量%を構成する。
本発明の一つの側面では、樹脂酸の重量またはロジンの重量は、反応混合物中の脂肪酸の重量を超える。通常、脂肪酸のレベルが樹脂酸のレベルに比例して増加するに連れて、得られる樹脂の軟化点は低下する傾向がある。従って、本発明の種々の任意選択的な態様において、樹脂酸の重量またはロジンの重量は、反応混合物中に含まれる脂肪酸の重量よりも少なくとも10%多く、または少なくとも20%多く、または少なくとも30%多く、または少なくとも40%多く、または少なくとも50%多く、または少なくとも60%多く、または少なくとも70%多く、または少なくとも80%多く、または少なくとも90%多く、または少なくとも100%多い。他の任意選択的な態様では、樹脂酸は、本発明の樹脂を形成するのに使用する脂肪酸及び樹脂酸の総重量の少なくとも50%、または少なくとも55%、または少なくとも60%、または少なくとも65%、または少なくとも70%、または少なくとも75%、または少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%、または少なくとも95%を構成する。任意選択的な態様では、ロジンは本発明の樹脂を形成するのに使用する脂肪酸と樹脂酸の総重量の50〜95%を構成し、脂肪酸は5〜50%を構成する。もう一つの任意選択的な態様では、ロジンは、本発明の樹脂を製造するのに使用する脂肪酸と樹脂酸の総重量の60〜90%を構成し、脂肪酸は10〜40%を構成する。本発明のもう一つの任意選択的な態様において、ロジンは、本発明の樹脂を製造するのに使用する脂肪酸と樹脂酸の総重量の65〜85%を構成し、脂肪酸は15〜35%を構成する。
一般的に、反応混合物は、樹脂酸と脂肪酸の両方をかなりの量で含まなければならない。本発明の種々の任意選択的な態様では、ロジンが樹脂酸の供給源として機能し、ロジン中に含まれ得る任意の脂肪酸を無視するとき、ロジンは、種々の態様において樹脂形成反応物質の総重量の少なくとも30重量%、または少なくとも35重量%、または少なくとも40重量%、または少なくとも45重量%、または少なくとも50重量%、または少なくとも55重量%、または少なくとも60重量%または少なくとも65重量%、または少なくとも70重量%、または少なくとも75重量%を構成するとき、脂肪酸は反応物質の総重量の少なくとも5重量%を構成する。本発明の種々の追加の、任意選択的な態様において、ロジンが樹脂酸の供給源として機能し、ロジン中に含まれ得る任意の脂肪酸を無視するとき、ロジンは、種々の態様において樹脂形成反応物質の総重量の少なくとも30重量%、または少なくとも35重量%、または少なくとも40重量%、または少なくとも45重量%、または少なくとも50重量%、または少なくとも55重量%、または少なくとも60重量%、または少なくとも65重量%、または少なくとも70重量%、または少なくとも70重量%、または少なくとも75重量%を構成するとき、脂肪酸は反応物質の総重量の少なくとも10重量%を構成する。
脂肪酸は、樹脂に脂肪族的特徴を提供する。言い換えれば、反応物質に脂肪酸を配合すると、得られる樹脂の脂肪族溶媒との混和性が高まる。これは通常、望ましい結果であるが、反応物質に脂肪酸を配合する二つ目の効果は、樹脂の軟化点が低下する傾向があるという点である。多くの工業用途では、樹脂の軟化点は少なくとも約100℃であるべきであり、もっと高い軟化点、たとえば少なくとも105℃、または少なくとも110℃、または少なくとも120℃、または少なくとも130℃などがより望ましいことが多い。一つの側面において、本発明は、意外にも、商業的に望ましい軟化点を維持しつつ、反応物質にかなりの量の脂肪酸を配合することができることを規定する。
かくして、一側面において、本発明は、樹脂の製造プロセスであって、樹脂酸、脂肪酸、アルデヒド及び、アルデヒド反応性に関して少なくとも三官能性であるフェノール性化合物を含む反応物質を高温で反応させることを含む前記プロセスを提供し、ここで前記脂肪酸は、列記した反応物質の重量の少なくとも5%を構成し、前記樹脂は、前記脂肪酸の幾らかまたは全てを樹脂酸で置換して製造した対応する樹脂と等しいか、またはそれを超える軟化点を有する。いいかえれば、本発明は、ロジン-フェノール樹脂の製造で使用する樹脂酸の幾らかを脂肪酸で置き換えるが、樹脂の軟化点は低下せず、むしろ上昇し得る、樹脂形成プロセスを提供する。軟化点は、樹脂形成性反応物質の中でも、アルデヒド反応性に関して少なくとも三官能性フェノール性化合物を配合することによって達成され得る。実用的な見地から、脂肪酸は樹脂酸よりもずっと安価で且つずっと入手容易であるので、このことは非常に重要な発見である。
かくして、本発明の一側面において、以下のものを提供する:
(i)樹脂の製造プロセスであって、前記プロセスは、樹脂酸、脂肪酸、アルデヒド及び、アルデヒド反応性に関して少なくとも三官能性であるフェノール性化合物を含む反応物質を高温で反応させることを含み、ここで前記脂肪酸は列記された反応物質の重量の少なくとも5%を構成し、前記樹脂は、樹脂酸が脂肪酸の幾らかまたは全てと置き換わるように製造された対応する樹脂と等しいか、それを超える軟化点をもつ。
種々の追加の側面において、本発明は、以下のものを提供する。
(ii)樹脂の製造プロセスであって、前記プロセスは、樹脂酸、脂肪酸、アルデヒド及び、アルデヒド反応性に関して少なくとも三官能性であるフェノール性化合物を含む反応物質を高温で反応させることを含み、ここで前記脂肪酸は、列記された反応物質の重量の少なくとも5%を構成し、前記樹脂は少なくとも105℃の軟化点を有する。
(iii)樹脂の製造プロセスであって、前記プロセスは、樹脂酸、脂肪酸、アルデヒド及び、アルデヒド反応性に関して少なくとも三官能性であるフェノール性化合物を含む反応物質を高温で反応させることを含み、ここで前記脂肪酸は、列記された反応物質の重量の少なくとも10%を構成し、前記樹脂は少なくとも110℃の軟化点を有する。
(iv)樹脂の製造プロセスであって、前記プロセスは、樹脂酸、脂肪酸、アルデヒド及び、アルデヒド反応性に関して少なくとも三官能性であるフェノール性化合物を含む反応物質を高温で反応させることを含み、ここで前記脂肪酸は、列記された反応物質の重量の少なくとも15%を構成し、前記樹脂は少なくとも110℃の軟化点を有する。
(v)樹脂の製造プロセスであって、前記プロセスは、樹脂酸、脂肪酸、アルデヒド及び、アルデヒド反応性に関して少なくとも三官能性であるフェノール性化合物を含む反応物質を高温で反応させることを含み、ここで前記脂肪酸は、列記された反応物質の重量の少なくとも5%を構成し、前記樹脂は少なくとも120℃の軟化点を有する。
(vi)樹脂の製造プロセスであって、前記プロセスは、樹脂酸、脂肪酸、アルデヒド及び、アルデヒド反応性に関して少なくとも三官能性であるフェノール性化合物を含む反応物質を高温で反応させることを含み、ここで前記脂肪酸は、列記された反応物質の重量の少なくとも10%を構成し、前記樹脂は少なくとも120℃の軟化点を有する。
(vii)樹脂の製造プロセスであって、前記プロセスは、樹脂酸、脂肪酸、アルデヒド及び、アルデヒド反応性に関して少なくとも三官能性であるフェノール性化合物を含む反応物質を高温で反応させることを含み、ここで前記脂肪酸は、列記された反応物質の重量の少なくとも15%を構成し、前記樹脂は少なくとも120℃の軟化点を有する。
上記側面(i)〜(vii)のそれぞれに関して、本プロセスは、場合により、本明細書中に開示された一つ以上の特徴によってさらに特徴づけられる。たとえば、前記反応物質は、さらにポリオールを含んでよい。もう一つの例として、反応物質は、さらにα,β-オレフィン性不飽和カルボニル化合物を含んでよい。もう一つの例として、反応物質はさらに金属酸化物を含んでもよい。勿論、反応物質は、ポリオール、α,β-オレフィン性不飽和カルボニル化合物、及び金属酸化物の二種以上を含んでもよい。最後の例として、アルデヒド反応性に関して少なくとも三官能性である前記フェノール性化合物のいくらか、または全てがフェノールであってもよい。
本発明に従って、反応物質が、アルデヒドと、アルデヒド反応性に関して少なくとも三官能性であるフェノール性化合物とを含むとき、商業的に望ましい軟化点の維持を達成しつつ、樹脂酸と脂肪酸との組合せを樹脂の製造で使用することができる。アルデヒド反応性に関して少なくとも三官能性であるフェノール性化合物は、非常に反応性の材料であり、たとえばノニルフェノールなどのアルデヒド反応性に関して少なくとも二官能性であるフェノール性化合物よりもずっと反応性である。アルデヒド反応性に関して少なくとも三官能性であるフェノール性化合物を単独のフェノール材料として樹脂の製造に使用し、脂肪酸が反応物質の総重量の約5〜40%を提供するとき、前記フェノール性化合物は、好ましくは反応物質の総重量の約5〜15%であり、より好ましくは7〜12%であり、好ましいホルムアルデヒド/フェノール性化合物の比は約2〜4である。フェノール性化合物のレベルが高いと、反応物質がゲル化する傾向があり、これは望ましくない。フェノール性化合物のレベルが低いと、樹脂の軟化点は100℃未満であることが多く、これも全てではないが、多くの商業用途に関しては望ましくない。
一般に、より多くの脂肪酸の利用には、アルデヒド反応性に関して少なくとも三官能性であるフェノール性化合物の利用を伴うことが好ましい。たとえば、脂肪酸が反応物質の総重量の約35%を構成するとき、7%のフェノール性化合物の反応混合物は、反応混合物が11%のフェノール性化合物を含むときに得られるものよりも低い軟化点の樹脂を与える傾向がある。アルデヒド反応性に関して少なくとも二官能性であるフェノール性化合物と、アルデヒド反応性に関して少なくとも三官能性であるフェノール性化合物とを組み合わせて使用することによって、反応混合物中に含まれるフェノール性化合物の量を増加させることが可能である。
一般に、脂肪酸が反応物質の総重量の約35%未満を提供し、アルデヒド反応性に関して少なくとも三官能性であるフェノール性化合物が反応物質の総重量の約12%未満を提供し、且つアルデヒド対フェノール性化合物の重量比が約3.5未満である場合には、ゲルが生成する可能性は低い。アルデヒド対フェノール性化合物の比が減少するとき、樹脂の軟化点を維持または上昇させるために、いくらか無水マレイン酸を反応物質に配合してもよい。ポリオール、たとえばペンタエリスリトールも反応物質に配合して、樹脂の軟化点を上昇させることができる。
3.フェノール性化合物
フェノール性化合物は、芳香環に直接結合しているヒドロキシル基の位置に対して、芳香環の(二つの)オルトと(一つの)パラ位置で、ホルムアルデヒド及び他のアルデヒドに対して反応性を有する。本発明の樹脂は、少なくとも三官能性である(単数または複数種類の)フェノール性化合物から製造され得る。即ち、本発明の樹脂を製造するのに使用するフェノール性化合物の少なくとも幾つかは、芳香環に直接結合しているヒドロキシル基に対してオルトまたはパラに位置している少なくとも3個の水素原子を持つことができる。
三官能性またはそれ以上の多官能性のフェノールは、本発明の組成物の樹脂形成性組成物における好ましい反応物質である。本発明の組成物で使用するのに好適な三官能性フェノールとしては、フェノール自体(モノヒドロキシベンゼン、CAS#108-95-2)及び、m-クレゾール、レゾルシノール、m-クロロフェノール、3,5-ジメチルフェノールなどのフェノールのメタ置換誘導体がある。本発明の組成物で使用するのに好適な四官能性フェノールとしては、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-エタン、4,4’-ジヒドロキシフェニルスルフィド、4,4’-ジヒドロキシフェニスルホン、4,4’-ジヒドロキシビフェニルなどがある。
一態様において、三官能性またはそれ以上の多官能性のフェノールは、本発明の樹脂を製造するために使用する唯一の(単数または複数種類の)フェノール性化合物である。もう一つの態様では、三官能性またはそれ以上の多官能性のフェノールは、本発明の樹脂を製造するのに使用するフェノール性化合物の総重量の少なくとも98%を構成する。本発明の他の態様では、三官能性またはそれ以上の多官能性のフェノールは、樹脂を形成するのに使用するフェノール性化合物の混合物の総重量の、少なくとも5重量%、または(追加の態様では)少なくとも10重量%、または少なくとも15重量%、または少なくとも20重量%、または少なくとも25重量%、または少なくとも30重量%、または少なくとも40重量%、または少なくとも45重量%、または少なくとも50重量%、または少なくとも55重量%、または少なくとも60重量%、または少なくとも65重量%、または少なくとも70重量%、または少なくとも75重量%、または少なくとも80重量%、または少なくとも85重量%、または少なくとも90重量%、または少なくとも95重量%を構成する。
少なくとも三官能性のフェノール性化合物は、一官能性及び/または二官能性であるフェノール化合物、すなわちフェノール性ヒドロキシル基に対してオルトまたはパラ位置に、(一官能性に関しては)たった一つのまたは(二官能性に関しては)たった二つの水素置換基をもつフェノール化合物と混合することができる。代表的な一官能性及び二官能性フェノール性化合物は、オルトまたはパラ一に一つまたは二つの水素でない置換基をもち、ここで代表的な置換基としては、アルキル基、たとえばC1〜C12アルキル基、脂環式基、たとえばC6脂環式基、及びアリール基、たとえばフェニルが挙げられる。
アルキルフェノール類は、潜在的に健康上の懸念があるが、アルキル鎖が樹脂に対して必要な脂肪族溶媒との相溶性を与えるので、これらはロジン-フェノール樹脂の製造に一般的に使用される。即ち、樹脂が商業的に実現可能となるためには、目的のインク、通常リソグラフィックインクまたはグラビアインクのいずれかで使用される種類の溶媒に可溶性でなければならない。これらの種類のインクにおいて、樹脂は、脂肪族溶媒に可溶性でなければならない。この脂肪族溶媒の溶解性を達成するためには、アルキル基の存在が必要な脂肪族溶媒溶解性を提供または増強させると考えられているので、ロジン及びフェノール性化合物を使用するインク樹脂は、通常、アルキルフェノールに頼っている。
非常に意外な発見では、本発明者らは、必要な脂肪族溶媒溶解性を生成物の樹脂に持たせるために、樹脂形成反応にアルキルフェノールを配合する必要性がないことを見出した。そのかわり、樹脂形成性反応物質も脂肪酸を含む限りは、フェノール自体またはもう一つの三官能性またはそれ以上の多官能性のフェノール性化合物は、樹脂形成反応で通常使用されるアルキルフェノールのいくらか、または実に全ての代わりに使用することができる。
本発明の種々の側面において、フェノール性化合物は、樹脂形成性反応物質の総重量の50%以下、または40%以下、または30%以下、または20%以下、または1〜15%、または1〜50%、または1〜40%、または1〜30%、または1〜20%、または1〜15%、または2〜50%、または2〜40%、または2〜30%、または2〜20%、または2〜15%、または3〜50%、または3〜40%、または3〜30%、または3〜20%、または3〜15%、または4〜50%、または4〜40%、または4〜30%、または4〜20%、または4〜15%、または5〜50%、または5〜40%、または5〜30%、または5〜20%、または5〜15%である。本発明の追加の側面では、これらの割合の範囲のそれぞれに関し、三官能性またはそれ以上の多官能性のフェノールは、フェノール性化合物の0〜100%、または上記範囲の任意を構成することができる。好ましい態様では、フェノール性化合物は、樹脂を形成するのに使用する反応物質の総重量の約5〜15重量%を構成する。
本発明の種々の側面において、三官能性またはそれ以上の多官能性のフェノールが反応物質成分に含まれるフェノール性化合物の100%を構成するとき、脂肪酸は、樹脂を形成するのに使用する反応物質の総重量の少なくとも5重量%、または少なくとも10重量%、または少なくとも15重量%、または少なくとも20重量%、または少なくとも25重量%、または少なくとも30重量%、または少なくとも40重量%を構成する。
他の側面では、三官能性またはそれ以上のフェノールが反応物質成分中に存在するフェノール性化合物の少なくとも85重量%を構成するとき、脂肪酸は、樹脂を形成するのに使用する反応物質の総重量の少なくとも5重量%、または少なくとも10重量%、または少なくとも15重量%、または少なくとも20重量%、または少なくとも25重量%、または少なくとも30重量%、または少なくとも40重量%を構成する。
他の側面では、三官能性またはそれ以上の多官能性のフェノールが反応物質成分中に存在するフェノール性化合物の少なくとも80重量%を構成するとき、脂肪酸は、樹脂を形成するのに使用する反応物質の総重量の少なくとも5重量%、または少なくとも10重量%、または少なくとも15重量%、または少なくとも20重量%、または少なくとも25重量%、または少なくとも30重量%、または少なくとも40重量%を構成する。
他の側面では、三官能性またはそれ以上の多官能性のフェノールが反応物質成分中に存在するフェノール性化合物の少なくとも60重量%を構成するとき、脂肪酸は、樹脂を形成するのに使用する反応物質の総重量の少なくとも5重量%、または少なくとも10重量%、または少なくとも15重量%、または少なくとも20重量%、または少なくとも25重量%、または少なくとも30重量%、または少なくとも40重量%を構成する。
他の側面では、三官能性またはそれ以上の多官能性のフェノールが反応物質成分中に存在するフェノール性化合物の少なくとも55重量%を構成するとき、脂肪酸は、樹脂を形成するのに使用する反応物質の総重量の少なくとも5重量%、または少なくとも10重量%、または少なくとも15重量%、または少なくとも20重量%、または少なくとも25重量%、または少なくとも30重量%、または少なくとも40重量%を構成する。
他の側面では、三官能性またはそれ以上の多官能性のフェノールが反応物質成分中に存在するフェノール性化合物の少なくとも35重量%を構成するとき、脂肪酸は、樹脂を形成するのに使用する反応物質の総重量の少なくとも5重量%、または少なくとも10重量%、または少なくとも15重量%、または少なくとも20重量%、または少なくとも25重量%、または少なくとも30重量%、または少なくとも40重量%を構成する。
他の側面では、三官能性またはそれ以上の多官能性のフェノールが反応物質成分中に存在するフェノール性化合物の少なくとも25重量%を構成するとき、脂肪酸は、樹脂を形成するのに使用する反応物質の総重量の少なくとも5重量%、または少なくとも10重量%、または少なくとも15重量%、または少なくとも20重量%、または少なくとも25重量%、または少なくとも30重量%、または少なくとも40重量%を構成する。
他の側面では、脂肪酸が樹脂形成性反応物質の総重量の5〜25%を構成するとき、三官能性またはそれ以上の多官能性のフェノールは樹脂形成性反応物質の総重量の5〜15%を構成する。脂肪酸が樹脂形成性反応物質の総重量の5〜25%を構成するとき、三官能性またはそれ以上の多官能性のフェノールは樹脂形成性反応物質の総重量の7.5〜10%を構成する。他の側面では、脂肪酸が樹脂形成性反応物質の総重量の10〜20%を構成するとき、三官能性またはそれ以上のフェノールは樹脂形成性反応物質の総重量の5〜15%を構成する。他の側面では、脂肪酸が樹脂形成性反応物質の総重量の10〜20%を構成するとき、三官能性またはそれ以上のフェノールは樹脂形成性反応物質の総重量の7.5〜12.5%を構成する。
これらの多くの側面のそれぞれにおいて、本発明は、場合によりモノマーが、脂肪酸の総重量の100%、または90%、または80%、または70%、または60%、または50%、または40%、または30%、または20%、または10%を構成することを規定する。
4.アルデヒド
本発明のアルデヒドは、樹脂酸及びフェノールと反応して、架橋樹脂性付加物(crosslinked resinous adduct)を製造する。本発明の代表的なアルデヒドとしては、以下に限定されないが、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、グリセルアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、フルフラール及びグリオキサールが挙げられる。
一側面において、本発明の樹脂は、ホルムアルデヒド(化学式CH2O)またはその等価物から製造する。ホルムアルデヒドは室温及び周囲温度で気体であるので、研究室または商業的な環境で扱うのは多少不便である。従って、液体または固体状のいずれかでホルムアルデヒド発生化合物(formaldehyde-generating compound)などのホルムアルデヒドの反応性等価物を使用することは、ホルムアルデヒドを化学反応に導入する好ましい方法である。たとえば、化学式:HO(CH2O)nH(式中、nはおよそ2である)の「ホルマリン」を形成する場合には、ホルムアルデヒドは水に溶解することができる。36重量%及び50重量%ホルムアルデヒド活量(formaldehyde activity)の両方をもつホルマリンは、市販されており、本発明の実施で使用することができる。
ホルムアルデヒドの好ましい反応性等価物はパラホルムアルデヒドであり、これはホルムアルデヒドの固体の、水分を含まないオリゴマーまたはポリマーである。パラホルムアルデヒドは、化学式:HO(CH2O)nH(式中、nは20〜100のオーダーである)から製造する。パラホルムアルデヒドは、Celanese社(Dallas、TX)などの多くの製造業者より市販されている。バルクのパラホルムアルデヒドは、パラホルムアルデヒドの重量のおよそ91%のアルデヒド等価重量(aldehyde equivalent weight)である。ホルムアルデヒドの他のそれほど好ましくない供給源としては、トリオキサン及びヘキサメチレンテトラミンがある。トリオキサン及びヘキサメチレンテトラミンは、これらの薬品からホルムアルデヒド活性を放出させるために、特別な装置及び取り扱い条件が必要になるので、それほど好ましくない。
本発明の種々の側面では、アルデヒドは、樹脂を形成するのに使用される反応物質の総重量の40%以下、または30%以下、または20%以下、または5%以下、または2〜40%、または2〜30%、または2〜20%、または2〜15%、または3〜40%、または3〜30%、または3〜20%、または3〜15%、または4〜40%、または4〜30%、または4〜20%、または4〜15%である。パラホルムアルデヒド(CAS #30525-89-4)は、樹脂形成性反応物質として使用すべき好ましいアルデヒドであり、樹脂形成性成分の約4〜12重量%で使用するのが好ましい。本明細書中で使用する「ホルムアルデヒド」なる用語は、便宜上、ホルムアルデヒド並びに、パラホルムアルデヒド及びホルマリンなどのその反応等価物を含むために使用する。
5.フェノール樹脂
任意選択的な側面では、少なくとも三つのアルデヒド反応性部位をもつフェノール性化合物をアルデヒドと予備反応させて、所謂フェノール樹脂を提供する。かくして、本発明は、フェノール性化合物とアルデヒドを、二つの個別の反応物質ではなく、またはこれに加えて、フェノール樹脂の状態で樹脂形成性反応混合物に添加することができる。
本発明の一側面で有用なフェノール樹脂は、必然的に、少なくとも部分的には、少なくとも三つの反応性部位をもつフェノール性化合物、即ち、芳香環に直接結合したヒドロキシル基に対してオルトまたはパラ位置に配置された少なくとも三つの水素をもつフェノール性化合物から製造される。しかしながら、少なくとも三つの反応性部位をもつフェノール性化合物は、フェノール樹脂を製造するのに使用する唯一のフェノール性化合物である必要はない。他のフェノール性化合物をフェノール樹脂の製造に使用するとき、本発明の種々の側面において、少なくとも三つの反応性部位をもつフェノール性化合物は、フェノール樹脂を形成するのに使用するフェノール性化合物の総重量の、少なくとも10%、または少なくとも20%、または少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%を提供する。
一般に、フェノール樹脂は、フェノール性化合物及びアルデヒドに加えて、反応物質から製造することができる。たとえば、重合な可能なモノマーを反応物質に配合し、ここでスチレン及びジビニルベンゼンは、代表的な重合可能なモノマーである。さらに、フェノール性化合物のエーテルも使用することができる。
フェノール樹脂は、レゾール形またはノボラック形のいずれかであってもよい。フェノール樹脂のこれらの形状は、当業界で公知である。たとえば、Chemistry of Phenolic Resins、R.W.Martin、第5章、Wiley and Sons、New York、1956年を参照されたい。たとえば、フェノール性化合物(たとえば、一官能性フェノール性化合物、二官能性フェノール性化合物、三官能性フェノール性化合物など)及びアルデヒドは、反応促進性化合物または触媒の存在下で混合することができる。公知の反応促進性化合物には二種類あり、(i)アルカリまたはアルカリ土類金属の水酸化物または酸化物、たとえば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、酸化カルシウムなど、または(ii)アミン化合物がある。好適なアミン化合物としては、約10個以下の炭素原子をもつ一級、二級及び三級アミン、たとえばアンモニア、ヒドラジン、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、エチレンジアミン、ヘキサンメチレンテトラミン、アニリン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、エタノールアミンなどが挙げられる。このアミンタイプの化合物を反応促進性化合物として使用すると、これは生成物組成物中に取り込まれる。この反応促進性化合物は、フェノール部分1モル当たり0.01〜1モル、好ましくは0.01〜0.2モルの濃度で反応混合物中に存在する。三官能性またはそれ以上の多官能性のフェノール性化合物を、三官能性またはそれ以上でないフェノール性化合物と組み合わせて使用するとき、所謂混合レゾール及びノボラックを製造し、本発明で使用することができる。
B.任意選択的な反応物質
一種以上の追加の反応物質を反応形成性混合物に配合することができ、ここで例示的な任意選択的な反応物質について以下に記載する。
1.ポリオール
任意選択的な側面では、本発明の樹脂を形成するのに使用する反応物質は、さらにポリオールを含む。本発明のポリオールは標準的なエステル化反応を介して酸性部分に対して反応性であり、標準的なエステル交換反応を介してエステル部分に対して反応性であり、架橋樹脂性付加物を形成する。代表的なポリオールとしては、以下に限定されないが、アルキレングリコール(たとえばエチレングリコール及びプロピレングリコール)、ポリアルキレングリコール(たとえばポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール)、アルキレントリオール(たとえばグリセロール、トリメチロールエタン及びトリメチロールプロパン)、四官能性アルコール、たとえばペンタエリスリトール、五官能性アルコール、たとえば二量体化トリメチロールプロパンまたは六官能性アルコール、たとえば二量体化ペンタエリスリトールがあり、ここで本発明の好ましいポリオールはペンタエリスリトールである。
ポリオールが樹脂形成性反応で成分として含まれるとき、一つの選択肢としては、ポリオールと脂肪酸とのポリエステルを介してポリオールを提供することがある。ポリエステルは、他の反応物質とのエステル交換の後、ポリオールを幾らか若しくは全てだけでなく、脂肪酸の幾らか若しくは全ても提供する。従って、ポリオールは、ポリオールのエステルを介して反応混合物中に導入することができる。同様に、脂肪酸は、脂肪酸のエステルを介して反応混合物中に導入することができる。本発明の一態様において、ポリエステルを反応成分として使用し、ポリオールと脂肪酸の両方を提供する。本発明のこの態様において、ポリエステルは好ましくはトリグリセリド、たとえば植物油であるが、これに限定されない。
さらに、ロジンは、樹脂形成反応で使用する前にエステル化することができる。このエステルが揮発性アルコール、たとえばメタノールから製造される場合、この揮発性アルコールは、大体の場合、反応条件下で揮発性であり、反応物から除去される。しかしながら、このアルコールが高沸点ポリオール、たとえばグリセリンまたはペンタエリスリトールであるとき、このポリオールは生成物樹脂の成分となるだろう。
本発明の種々の任意選択的な側面において、ポリオール(場合によりポリエステル形に配合される)は、樹脂を形成するのに使用する反応物質の総重量の25%以下、または20%以下、または15%以下、または10%以下、または1〜25%、または1〜20%、または1〜15%、または1〜10%、または2〜25%、または2〜20%、または2〜15%、または2〜10%、または3〜25%、または3〜20%、または3〜15%、または3〜10%、または4〜25%、または4〜20%、または4〜15%、または4〜10%である。
2.α,β-オレフィン性不飽和カルボニル化合物
もう一つの任意選択的な側面では、本発明の樹脂を形成するのに使用する反応物質は、さらにα,β-オレフィン性不飽和カルボニル化合物を含む。本発明のα,β-オレフィン性不飽和カルボニル化合物は、カルボニル基の炭素原子に隣接するオレフィン性不飽和をもつ。即ち、炭素原子と酸素原子の-C=C-C(=O)-配置をもつ。このα,β-オレフィン性不飽和カルボニル化合物は、樹脂酸、ロジン及び/または脂肪酸と反応して、付加物を形成することができる。このα,β-オレフィン性不飽和カルボニル化合物が無水マレイン酸であるとき、ロジンとマレイン酸との間の付加物は、マレエート化ロジン(maleated rosin)として公知である。このα,β-オレフィン性不飽和カルボニル化合物がフマル酸、またはフマル酸のエステルであるとき、ロジンとフマル酸またはフマル酸エステルとの間に形成した対応する付加物は、フマレート化ロジン(fumarated rosin)として公知である。
好適なα,β-オレフィン性不飽和カルボニル化合物としては、無水マレイン酸、フマル酸、フマル酸のモノ(C1〜C12アルキル)エステル、フマル酸のジ(C1〜C12アルキル)エステル、アクリル酸、アクリル酸のC1〜C12アルキルエステル、メタクリル酸、メタクリル酸のC1〜C12アルキルエステル、イタコン酸及びイタコン酸のC1〜C12アルキルエステルが挙げられる。無水マレイン酸、フマル酸及びフマル酸のエステルが好ましいα,β-オレフィン性不飽和カルボニル化合物であり、無水マレイン酸が最も好ましい。
通常、α,β-オレフィン性不飽和カルボニル化合物が樹脂形成性反応物質に配合されるとき、ポリオールもこの反応物質に含まれる。しかしながら、逆は必ずしも真ではなく、即ち、α,β-オレフィン性不飽和カルボニル化合物が反応物質に含まれなくても、ポリオールは樹脂形成性反応物質に含まれることが多い。従って、本発明の一側面において、α,β-オレフィン性不飽和カルボニル化合物とポリオールの両方を樹脂形成性反応物質に配合し、ここで好ましい態様では、ポリオールとしてはペンタエリスリトールが挙げられる。しかしながら、もう一つの側面では、ポリオールを反応物質に配合するが、α,β-オレフィン性不飽和カルボニル化合物は反応物質に配合しない。
本発明の種々の任意側面において、α,β-オレフィン性不飽和カルボニル化合物は、樹脂形成性反応物質の総重量の15%以下、または10%以下、または8%以下、または5%以下、または0.1〜15%、または0.1〜10%、または0.1〜8%、または0.1〜5%、または0.5〜15%、または0.5〜10%、または0.5〜8%、または0.5〜5%、または1〜15%、または1〜10%、または1〜8%、または1〜5%である。α,β-オレフィン性不飽和カルボニル化合物は、それが存在する場合には、好ましくは無水マレイン酸であり、樹脂形成性反応物質の総重量の約2〜4重量%の濃度で使用するのが好ましい。無水マレイン酸またはα,β-オレフィン性不飽和カルボニル化合物を樹脂形成性反応物質が存在すると、生成物の樹脂の軟化点を上昇させる傾向がある。
3.アルカリ金属塩
アルカリ金属塩は、フェノール-アルデヒド重合用の触媒として、樹脂形成性反応物質に配合するのが好ましい。触媒として機能するとき、この金属塩は、反応物質の総重量をベースとして5重量%未満の濃度で配合するのが好ましい。しかしながら、この金属塩は、また、ロジンと反応して樹脂酸塩(resinate)を形成し、ここで「樹脂酸塩:resinate」なる用語は、塩の形態、即ちカルボン酸塩の形態のロジン(これはカルボン酸含有物質である)を指す。かくして、本発明の樹脂組成物の一側面において、アルカリ金属塩をロジンと混合し、これがロジンの樹脂酸成分中に存在するカルボン酸部分と反応して、金属カルボキシレート官能基(metal carboxylate functionality)を生成する。そのような処理によって、得られた樹脂酸塩組成物が有機溶媒中で易溶解性となり、ロジンの融点も上昇させる。かくして、金属塩は、樹脂形成性混合物の重要な成分にもなり得る。
本発明において、アルカリ金属塩は、周期律表の第IIA族または第IIB族から選択されるカチオンを持つのが好ましい。このアルカリ金属塩は二価であるのが好ましく、即ち+2の電荷を保持する。亜鉛、マグネシウム及びカルシウムの二価カチオンのロジン塩は、特に優れた顔料湿潤特性を有し、本発明の樹脂酸塩で好ましい。より好ましくは、アルカリ金属塩のカチオンは、二価マグネシウムカチオンである。前記塩は、たとえば金属の酢酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、ギ酸塩、水酸化物、シュウ酸塩または酸化物であってもよい。マグネシウム塩(以下に限定されないが、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムを含む)がさらに好ましい。
本発明の種々の側面において、アルカリ金属塩は、樹脂組成物の総重量の約10%、または8%、または5%、または4%、または3%、または2%、または1%、または0.5%以下である。触媒目的に関して好ましい金属塩は、酸化マグネシウムであり、これは1重量%未満の濃度で使用することができる。樹脂形成目的に関して好ましい塩は、酸化カルシウムであり、これは約4重量%の濃度で使用することができる。金属塩は、スラリーの形態、即ち、金属塩と溶媒、好ましくは炭化水素溶媒(たとえばキシレン)と、場合により存在する脂肪酸との混合物で反応混合物に導入するのが好ましい。
4.炭化水素含有樹脂
全体または一部を炭化水素モノマーから製造した樹脂を、場合により反応物質の中に配合することができるか、及び/または本発明の樹脂と混合することができる。「炭化水素モノマー」なる用語は、炭素と水素から完全に形成されたモノマーを指す。代表的な炭化水素モノマーを以下に挙げると、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、スチレン及びα-オレフィンが含まれる。以下は、これらのモノマー及びこれらから製造した樹脂についての議論である。
a.C5樹脂
脂肪族C5炭化水素樹脂は、総称的に「C5モノマー」と称されるC5及びC6パラフィン、オレフィン及びジオレフィンを含有する加熱分解石油供給原料(cracked petroleum feed)のカチオン重合により製造することができる。1,3-ペンタジエンは、C5樹脂を製造するのに一般的に使用される成分であり、ここで1,3-ペンタジエンは、シクロペンテン、ペンテン、2-メチル-2-ブテン、2-メチル-2-ペンテン、シクロペンタジエン及びジシクロペンタジエンなどの一種以上の同様に反応性の炭化水素と混合することができる。この重合は、三フッ化ホウ素またはその錯体(たとえばエーテレート)、三塩化アルミニウムまたは塩化アルキルアルミニウムなどのルイス酸などのフリーデル-クラフツ重合触媒を使用して触媒作用を受ける。
b.DCPD樹脂
炭化水素含有樹脂は、シクロペンタジエンまたはジシクロペンタジエン(DCPD)の重合により製造することができる。このDCPD樹脂は、シクロペンタジエン及び/またはジシクロペンタジエンに加えて、モノマー、たとえばエチレン、プロピレン、スチレン、α-メチルスチレン、インデン、1,3-ペンタジエン、イソブチレン、イソプレン、1-ブテン、2-メチル-2-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、ピペリレン、イソプレン、リモネン、α-ピネン、β-ピネン、ブタジエン及びビニルトルエンなどの炭化水素モノマーから製造することができる。このシクロペンタジエン及び/またはジシクロペンタジエンは、場合により、酸素を含むオレフィン性モノマー、たとえばメタクリル酸、アクリル酸、及びそのエステルなどと反応させることができる。DCPD樹脂を製造する方法は、当業界で公知であり、たとえば米国特許第5,693,731号;同第5,691,432号;同第5,587,007号;及び同第5,410,004号を参照されたい。
c.C9樹脂
芳香族C9炭化水素樹脂は、ナフサ熱分解から得られる石油蒸留物から誘導し、「C9モノマー」と称される芳香族C8、C9及び/またはC10不飽和モノマーからカチオン重合により製造することができる。代表的なC9モノマーとしては、スチレン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、ビニルトルエン、インデン、ジシクロペンタジエン、ジビニルベンゼン、及びこれらの化合物の他のアルキル置換誘導体が挙げられる。重合は、フリーデル-クラフツ重合触媒を使用して触媒作用をうける。この樹脂を水素化して、水素化C9樹脂を提供する。これらのC9樹脂は、反応混合物中の成分として配合して、本発明の樹脂を製造することができ、及び/またはこれらのC9樹脂は、ニスまたはインクの製造で本発明の樹脂と混合することができる。C9樹脂は、多くの供給メーカーから市販されており、C9樹脂の製造は、当業界で公知である。
d.スチレン樹脂
炭化水素樹脂は、ルイス酸などのフリーデル-クラフツ重合触媒を使用して、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン及び他のアルキル置換スチレンなどのスチレンベースのモノマーのカチオン重合により製造することができる。これらのスチレン樹脂は、反応混合物の成分として配合して、本発明の樹脂を製造することができ、及び/またはニスまたはインクの製造で本発明の樹脂と混合することができる。スチレン樹脂は多くの供給メーカーから市販されており、その製造法は公知である。
e.テルペン樹脂
テルペン樹脂は、炭化水素樹脂として機能し、本発明の樹脂を形成するために使用する反応混合物中に配合することができるか、または本発明の樹脂と混合することができる。一般に、テルペン樹脂は幾らか高価であり、この理由から好ましい成分ではない。α-ピネン、β-ピネン、ジペンテン及びリモネンは、テルペン樹脂を製造するのに一般的に使用される四種のテルペンである。テルペン樹脂の製造において、いくらかの同時反応性(co-reactive)非テルペンモノマー、たとえばスチレン、p-t-ブチルスチレンまたはビニルトルエンを配合することができる。このタイプのテルペン樹脂は公知であり、市販されている。
通常、炭化水素モノマー含有樹脂は、本発明のインク樹脂を製造するのに使用される反応物質の成分として配合するか、または本発明のインク樹脂と混合することができる。どちらにしても、本発明の任意選択的な側面では、炭化水素含有モノマー樹脂は、インク樹脂の総重量の5%、または10%、または15%、または20%、または25%、または30%、または35%、または40%、または45%、または50%、または55%、または60%、または65%、または70%、または75%、または80%、または85%、または90%、または95%を構成する。
5.溶媒
一種以上の不活性溶媒を、本発明の樹脂を形成するために使用する反応物質と配合、即ち混合することができる。しかしながら、溶媒は樹脂形成反応には関与しないので、溶媒は反応混合物の「成分」とはみなさない。とはいうものの、反応容器に一種以上の溶媒を配合するのは好都合であり、ここでキシレンなどの炭化水素が代表的な溶媒である。
C.樹脂酸及び脂肪酸の供給源
樹脂酸は、多くの製造業者から市販されている。本質的に全ての場合において、樹脂酸の供給業者は、木、最も一般的には松の木から樹脂酸を得ている。木から樹脂酸を得るには多種多様なプロセスがあり、これらの種々のプロセスは樹脂酸の種々の混合物を与えるだけでなく、松の木に見られる種々の他の物質、特に脂肪酸、テルペン、リグニン及びピッチと組み合わさった樹脂酸の様々な混合物も与える。
たとえば、本発明の樹脂酸の好適な供給源としては、Kraft製紙プロセスにより製造した副生成物の一つがある。手短に言えば、この公知プロセスに従い、松のチップをアルカリ性煮汁と共に蒸解釜に供給し、この混合物を高温で保持する。得られる生成物には樹脂酸と脂肪酸の塩が含まれ、これを蒸解釜の上部からすくい取り、ここで上澄みはトール油石鹸(tall oil soap)として公知である。酸化すると、トール油石鹸は粗製のトール油(CTO)を与える。
CTOは他の数種の反応物質と共に、大体同じ量で脂肪酸と樹脂酸とを含む。脂肪酸と樹脂酸はいずれも、18〜20個の炭素原子を有するモノカルボン酸であり、これらの物質は、種々の化学構造を持つので、脂肪酸と樹脂酸の物理的特性及び化学的特性は大きく異なる。これらの種々の特性を巧みに利用するために、一般的にCTOで蒸留プロセスを実施し、それによって(一般的にロジンと呼ばれる)精製樹脂酸と、(一般的にトール油脂肪酸、またはTOFA)と呼ばれる精製脂肪酸を得る。ロジン及び脂肪酸に加えて、CTO蒸留により、一種以上の塔頂部留分(head cuts)、ピッチ残渣及び蒸留トール油(DTO)と呼ばれる物質を与える。これらの物質は、以下の詳述したプロセスにより得られる。
CTOを加熱して揮発性物質を全て蒸発させる。これは、頭頂部の成分、ロジン、TOFA、及び最終的にDTOになった幾つかの物質を含み、ピッチとして公知の残渣を与える。この蒸留液を再加熱して、頭頂部成分、TOFA、さらに最終的にDTOになった物質を含む揮発性画分を蒸発させて、ロジンまたはトール油ロジン(TOR)と呼ばれる残渣を与える。次いで、このプロセスからの蒸留液を再び加熱して、頭頂部画分と脂肪酸画分(TOFA)を蒸留して、蒸留トール油(DTO)として公知の残渣を得る。
これらの混合物のいずれも、本発明の樹脂酸及び/または脂肪酸の供給源となり得る。好ましい態様では、樹脂酸はロジン由来である。もう一つの好ましい態様では、脂肪酸はTOFA由来である。
上述の如く、DTOを本発明の実施に使用することができる。DTOの正確な組成は完全に知られていないが、DTOは粗製トール油、ピッチ、ロジンともトール油脂肪酸とも同一ではなく、単にこれらの物質のブレンドでもない。実際、DTOはCTOから蒸留するが、上記の蒸留の間で使用する広範囲の加熱によって、DTOが、CTOにさえ存在しない物質を含むことになる。DTOは前駆体CTOの組成に依存し、それ自体CTOが採取された木の同一性及び、それらが切り出された年の時期にさえ依存して変動するので、DTOの一般的なキャラクタリゼーションは困難になる。さらに、各蒸留段階および各段階の期間に使用される温度及び圧力に関する限りは、CTO分留装置にも変動性がある。DTOは、おおかたの場合、熱異性化、劣化及び重合プロセスの結果であり、これらのプロセスのそれぞれが起こる程度は分留条件に依存するので、これらは重要なパラメーターである。
DTOは、およそ脂肪酸様成分を20〜45重量%、ロジン様成分を15〜35重量%、及び樹脂とも脂肪酸ともはっきり突き止められなかった「それほど揮発性でない」成分10〜35重量%を含む。ロジンは主にアビエタン(abietane)樹脂酸を含むが、DTOは通常、多量のピマラン(pimarane)樹脂酸を含有する。通常のDTOでは、ピマラン及びイソピマランの樹脂酸は、DTO中に存在する樹脂酸の大部分を構成する。また、通常、アビエタンファミリーの樹脂酸は、DTOの10重量%未満を構成する。実際、アビエチン酸、ネオアビエチン酸及びパルストル酸の総重量は、典型的には、DTOの総重量の10重量%未満であり、より典型的には、DTOの総重量の5重量%未満である。典型的には、ピマラン及びイソピマランファミリーの樹脂酸は、DTO中に存在する樹脂酸の少なくとも50重量%を構成し、より典型的には、少なくとも約60重量%を構成する。DTOは、本発明の樹脂を製造する際の樹脂酸または脂肪酸の幾らかまたは全てを提供することができる。
上記の如く、ロジンは、樹脂酸の好ましい供給源である。通常、ロジンは、公知の、市販材料である。その化学構造に関して、これは主にC20の、三環式縮合環モノカルボン酸、即ち樹脂酸の混合物である。ロジンは、多くの供給源より入手することができ、種々の純度を得ることができる。たとえば、ウッドロジンは、松(Pinus)の切り株を採取し、この切り株を小さなチップにチップ化し、このチップをヘキサンまたは高沸点パラフィンで抽出し、及びヘキサンまたはパラフィンと脂肪酸とを蒸留してウッドロジンを得た後に、切り株から得られる。ガムロジンは、松の木を引っ掻き、滲出した樹液を集め、次いで揮発性成分と殆どの脂肪酸を留去した後に得られるロジンに与えられた名前である。上述の如く、硫酸塩パルプ製造プロセスとしても公知の、Kraft木材パルプ製造プロセスは、トール油ロジン(TOR)を生成する。
明確にするために、本明細書中で使用されるように、「ロジン」なる用語はトール油ロジン(ウッドパルプ製造プロセス由来の副生成物)、ガムロジン(木を引っ掻き、浸出液を集め/精製することにより得られる)及びウッドロジン(抽出法及び/または蒸留法により松の切り株から得られる)を含む任意の供給源由来のロジンを指す。「ロジン」なる用語は、処理済みロジンも含み、ここで処理済みロジンとは、不均化及び/または水素化条件にかけられたロジンを指す。「ロジン」なる用語は、また、二量体化ロジンを含む。「ロジン」なる用語は、非樹脂酸と混合した樹脂酸を含む組成物も包含する。たとえばインドネシア製ガムロジンは、樹脂酸を含むが、多環式ジカルボン酸を約8〜10%も含む。インドネシア製ガムロジンは、本発明に関してはロジンであり、且つ樹脂酸の供給源である。
不均化、水素化及び二量体化ロジン、並びに他のロジン/樹脂酸誘導体及び反応生成物はそれぞれ、当業界で公知であり、多くは本明細書中で既に記載した。「天然ロジン」なる用語は、本明細書中、未処理ロジン、即ち、「ロジン」として一般的に公知のロジンを指し、たとえばCAS #8052-10-9(トール油ロジン)またはCAS #8050-09-7(ガムロジン)を有する。本発明の好ましい側面では、天然ロジンは、本発明のプロセスで使用する樹脂酸及び樹脂の全てまたは殆どの供給源を提供する。
ロジンは通常、その酸価(acid number)により特徴付けられ、約160〜約180の範囲の酸価をもつロジンが好ましいが、本発明の実施では必ずしも使用されない。通常、ロジンの酸含有量は、樹脂酸及び脂肪酸の存在による。ロジン製造業者は、通常、殆どまたは全く脂肪酸を持たないロジンを提供しようと模索しており、実際、ロジンから脂肪酸を全て除去するのは非常に高くつく。従って、本発明で使用するロジンは、幾らか脂肪酸を含むことがある。しかしながら、脂肪酸は通常、ロジンの少量成分であり、典型的には、ロジンは10重量%未満、より典型的には5重量%未満の脂肪酸を含む。一側面において、本発明で使用するロジンは、トール油脂肪酸が約5重量%未満となるように、蒸留を受けたトール油ロジンである。好ましいロジンは、Arizona Chemical Company、Jacksonville、FLより、SYLVAROS(登録商標)のもと市販されている。ロジンは殆どまたは全く脂肪酸を含まないので、ロジン単独では通常、本発明の実施用に十分な脂肪酸を提供できない。
場合により、ロジンは、ロジンの総重量の少なくとも90%の供給源を記載するという点で特徴付けられる。たとえば、本発明の一側面において、トール油ロジンは、本発明の樹脂を製造するのに使用するロジンの重量の少なくとも90重量%を提供する。一側面において、ガムロジンとトール油ロジンとの混合物を使用して、本発明の樹脂を形成する。
脂肪酸は、合成手段によりまたは天然供給源から得ることができる。脂肪酸は、植物(たとえばトウモロコシ、紅花、及び他の植物性油)及び、動物(たとえば魚油、ラード)から得ることができる。脂肪酸は、短いポリエチレン分子の酸化など、石油誘導物質の酸化を介して得ることもできる。天然供給源または合成供給源のいずれかとみなし得る、遺伝子組み換え植物及び動物は、脂肪酸も与えることができる。合成または天然脂肪酸のいずれかを本発明の反応物質成分として使用することができる。本発明の一側面において、脂肪酸は植物由来であり、即ち、植物油由来である。もう一つの側面では、脂肪酸は木由来、即ちトール油脂肪酸(TOFA)である。好ましい脂肪酸は、CAS #68955-98-6と指定されている。
本発明の一側面において、脂肪酸成分はモノマー(Monomer)であるか、またはモノマーを包含する。モノマーは当業界で公知であるが、さらに明確にするために、本発明の好ましいモノマーの製造を、木材パルプ製造プロセスから出発して、簡潔に要約する。パルプを製造するために材木を消化すると、黒い液体が形成する。黒い液体は、中でも、ロジン石鹸と樹脂酸石鹸とから構成される。これらの石鹸の酸性化、続いて分留により、成分の二つとしてロジンと脂肪酸がと産生する。このプロセスにより得られるロジンは、トール油ロジン(TOR)として公知であり、このプロセスにより得られる脂肪酸は、トール油脂肪酸(TOFA)として公知である。TOFAはC16-18カルボン酸から主に構成され、その大部分は炭化水素鎖構造が不飽和である。トール油脂肪酸の代表例としては、不飽和酸、たとえばオレイン酸、オレイン酸異性体、リノール酸、リノール酸異性体、並びにステアリン酸などの少量の脂肪酸が挙げられる。
不飽和脂肪酸の含有量が高いので、TOFAは酸性クレーを触媒とした重合にかけることができ、一般的にはかけられている。通常、高温で実施する、この重合プロセスにおいて、オレフィン性脂肪酸はエン-反応などにより分子間付加反応を受けて、重合化脂肪酸を形成する。この反応のメカニズムは複雑で、現時点では完全には理解されていない。しかしながら、本発明の目的のためには、この重合プロセスの生成物が、大部分、二量体化脂肪酸と、モノマー脂肪酸の特徴的な混合物を含むことに留意することで十分である。この重合生成物は、一般的に(商業的設定では)蒸留にかけられ、二量体化脂肪酸が非常に富む画分を提供するが、これは一般的に、「二量体酸」または「二量体脂肪酸」として当業界で公知である。この蒸留プロセスは、モノマー脂肪酸が富む画分も提供するが、ここでこの画分は、通常、「モノマー」または「モノマー酸」または「モノマー脂肪酸」として当業界で公知であり、本明細書中、「モノマー(大文字のMを用いる)」と称する。
モノマーは特徴的な組成物である。天然供給源から誘導したTOFAが大部分、線状C18不飽和カルボン酸、主にオレイン酸及びリノール酸からなるのに対し、モノマーは比較的少量のオレイン酸及びリノール酸を含み、そのかわり、いずれも飽和及び不飽和の、分岐及び環式C18酸、並びにエライジン酸をかなりの量含む。たとえば、典型的な市販のモノマーは、約30%のC18分岐鎖脂肪酸(飽和及び不飽和脂肪酸を含む)及び10%のC18環式脂肪酸を含む。より多種多様化し、かなり分岐したモノマーの組成物が、先に記載の重合プロセスによってTOFAで実施した熱触媒プロセシングから得られる。
本発明で使用する好ましいモノマーはTOFAから誘導するが、任意の他の供給源由来の不飽和脂肪酸も同様に、モノマーとして公知の単量体脂肪酸の残存混合物と二量体脂肪酸を産生する重合プロセスにかけることができる。たとえば、植物油由来の不飽和脂肪酸は、二量体化プロセスにかけることができ、該プロセスから二量体酸とモノマーを得ることができる。同様に、不飽和脂肪酸は、微生物、たとえばバクテリアによって、及び動物生成物/副生物(たとえば魚油)から製造することができる。
モノマーは、CAS登録番号68955-98-6が割り当てられている。本発明の実施に好適なモノマーは、Arizona Chemical Company(Jacksonville、FL)より市販のCENTURY(登録商標)MO-6スペシャルティ脂肪酸(specialty fatty acid)である。この製品は、酸価180、ケン化価187、ヨウ素価75、及び40℃における粘度35センチストークスを有する、薄く色の付いた半固体である。本発明の好ましい側面では、樹脂形成性組成物の脂肪酸は、モノマーである。
当業者は、モノマーと他の化学物質との反応で、対応するTOFA誘導体とは化学的に異なる、特徴的な特定可能な誘導体物質を産生することを理解する。実際、意外にもモノマーを含む本発明の樹脂は、TOFAを含む樹脂により示されたものよりも優れたインクバインダー性能特性を示すことが知見された。
場合により、本プロセスで使用する脂肪酸の全てはモノマーであり、換言すれば、脂肪酸の100%がモノマーである。しかしながら、本発明の他の側面では、決して脂肪酸の全体がモノマーによって提供されない。たとえば、一側面では、脂肪酸の95%がモノマーである。以下は、本発明に従った脂肪酸を特徴づけるための種々の任意選択的な手段である。:脂肪酸の100%はモノマーであり;脂肪酸の少なくとも95%はモノマーであり;脂肪酸の少なくとも90%はモノマーであり;脂肪酸の少なくとも85%はモノマーであり;脂肪酸の少なくとも80%はモノマーであり;脂肪酸の少なくとも75%はモノマーであり;脂肪酸の少なくとも70%はモノマーであり;脂肪酸の少なくとも65%はモノマーであり;脂肪酸の少なくとも60%はモノマーであり;脂肪酸の少なくとも55%はモノマーであり;脂肪酸の少なくとも50%はモノマーであり;脂肪酸の少なくとも45%はモノマーであり;脂肪酸の少なくとも40%はモノマーであり;脂肪酸の少なくとも35%はモノマーであり;脂肪酸の少なくとも30%はモノマーであり;脂肪酸の少なくとも25%はモノマーであり;脂肪酸の少なくとも20%はモノマーであり;脂肪酸の少なくとも15%はモノマーであり;脂肪酸の少なくとも10%はモノマーである。上記割合は、脂肪酸の総重量をベースとする重量パーセントである。
意外にも、本発明者らは、ロジン-フェノール樹脂の製造において(TOFAで知見される標準的な長鎖脂肪酸の代わりに)分岐鎖脂肪酸及び/または環式鎖脂肪酸を使用することによって、高い脂肪族溶解性が得られることを知見した。かくして、好ましい態様において、モノマーは樹脂形成性成分として使用される。場合により、前記脂肪酸は、モノマーとTOFAとの混合物である。もう一つの任意選択的な態様では、脂肪酸は、完全にTOFAである。もう一つの任意選択的な態様では、脂肪酸は一部がTOFAであり、一部が非TOFA脂肪酸、たとえば植物油由来脂肪酸である。
D.製造プロセス
本発明は、本明細書中に記載のプロセスにより製造した樹脂を提供する。本プロセスは、樹脂酸、脂肪酸、少なくとも三官能性のフェノール性化合物とアルデヒドとを反応させることを含む。これらの反応物質と、おそらく任意選択的な反応物質とは高温で一緒に反応させられて、樹脂を形成する。反応物質において樹脂形成性反応を起こすために、反応物質の組み合わせたものを高温、たとえば約80〜300℃の範囲の一つ以上の温度にさらさなければならない。これらの高温では、反応物質は、他の反応物質との共有結合-形成反応が起き、高分子量生成物、即ち樹脂が形成する。
反応物質を反応容器に充填するには種々の順番がある。たとえば、それぞれの反応物質を一つの反応容器に一緒にして、この組み合わせたものを高温にして、反応物質が互いに反応して本発明の樹脂が形成するようにすることができる。この試みは、「ワンポット:one-pot」反応プロセスという。あるいは、二つ以上(全部よりは少ない)反応物質を単一反応容器で一緒にして、この組み合わせたものを高温にして、反応物質が互いに反応して、中間反応生成物が生成するようにできる。次いで他の反応物質をこの中間反応生成物と反応させるが、ここで「他の反応物質」は、個別に反応容器に添加するか、またはその二種以上を互いに予備反応させてから、予備反応生成物を反応混合物に添加することができる。
たとえば、樹脂酸(たとえばロジン)と脂肪酸とを混合し、加熱すると、そのプロセスの間にこれらの二種の反応物質が流体混合物を形成する。次いで、得られた反応混合物を他の反応物質(たとえばフェノール性化合物及び/またはアルデヒド及び/またはα,β-オレフィン性不飽和カルボニル化合物及び/またはポリオール、並びに他の任意選択的な反応物質、たとえばアルカリ金属塩)、及び即座にまたは段階的に形成した完全混合物(complete admixture)と混合して、中間反応の干渉を最小にする。得られた反応混合物は、さらなる成分に加えて、フェノール性化合物、アルデヒド、α,β-オレフィン性不飽和カルボニル化合物及びポリオールの二種以上の反応生成物と混合することができる。反応プロセスを完了させるために、反応混合物を、標準(大気)圧下または、真空発生源を使用することにより達成し得る減圧下で、高温、典型的には約150℃〜約300℃、好ましくは180℃〜約250℃(しかし、これらに限定されない)にする。減圧を好都合に使用して、反応混合物から水と他の揮発性物質を除去する。
反応の他の代表的な順として、ロジンと脂肪酸との溶融混合物を形成し、次いで無水マレイン酸を約180℃で添加し、混合物をこの温度で、マレイン酸が全部本質的に消費されるまで保持する。あるいは、マレイン酸が全部消費されるまで、ロジンを無水マレイン酸と共に約180℃に加熱し、次いで脂肪酸を添加する。いずれのプロセスの後でも、ポリオールを添加し、次いで混合物を約110℃に冷却し、この時点でフェノールとアルデヒドを金属塩と一緒に添加する。温度を約225℃に上げて、樹脂の形成を完了させる。
かくして、本発明は、反応物質を80〜300℃の範囲の温度で、任意の順番で互いに反応させて、本発明の樹脂を得ることができる。また本発明は、反応混合物中で反応物質を互いに反応させた後、前記反応混合物に前記反応物質の一種以上の追加の量を添加し、さらに一緒に反応させて、商業的樹脂生産において通常実施されている手順も提供する。(量及び同一性の点で)同一反応物質は、反応物質を一緒に反応させる厳密な方法に依存して、種々の特性をもつ樹脂を形成し得ることは理解すべきである。しかしながら、これらの特性の測定は、当業者には公知である。
高温の反応温度は、以下の点から選択する。反応容器の中身を撹拌できる程十分に流動性であるように、反応温度は十分に高くなければならない。一般に、早い反応速度を提供するために、経済的理由から高温が好ましい。溶媒を使用すると、比較的低温で流体状態を達成し得る。反応温度は、反応物質が反応容器からふきこぼれるほど高くてはならない。温度は、反応物質の分解も反応生成物の分解も起きるくらいに高くしてはならない。「高い(elevated)」なる用語は、標準の室温、即ち約23℃が、ニートの反応物質に必要な流体状態を提供するほどの熱さではないことを示すのに使用する。少なくとも、高い反応温度は約80℃であるべきであり、少なくとも100℃が好ましい。溶媒が反応容器内に含まれる場合には、より低温を使用することができる。
樹脂形成性反応混合物は、水を含んでもよく、通常、水を含み;さらに樹脂形成性反応は、反応物質の間で形成する共有結合の副生成物として水を生成する。反応を完了させるために、この水は反応または生成物混合物から除去しなければならない。真空も共沸形成もない場合には、反応物質から水を留去させるには、少なくとも100℃の温度が必要である。かくして、少なくとも樹脂酸塩またはエステル形成の(単数または複数の)初期段階の間、反応温度は約100〜190℃に設定するのが望ましい。より高い初期反応温度も使用し得るが、好都合に水除去を実施し得る以上に、はるかに大量の水が発生する結果となるかもしれない。
反応を完了させるために、水と低沸点共沸物を形成する有機溶媒を添加するか、及び/または反応容器に真空を適用することにより、水の除去を促進することができる。低沸点共沸物を提供するために、水と共沸物を形成する有機溶媒、たとえば以下に限定されないがトルエンまたはキシレンなどの溶媒を反応容器に添加し、次いで標準圧力下で蒸留により除去する。しかしながら、本発明の一側面では、樹脂から水を除去するのに共沸蒸留は使用しない。
反応が終了したとみなされるまで、反応物質を約120〜300℃に保持する。反応の進行は、反応混合物のサンプルを定期的に採取し、そのサンプルの一つ以上の関連する特性を測定することにより、好都合にモニターする。たとえば、最初に反応混合物の酸価は、約300程度で高いかもしれない。この酸価は、樹脂形成反応が進行するに連れて徐々に低下する。融点(軟化点)、溶融粘度、溶液粘度及び/または曇り点測定を定期的に実施して、反応の進行をモニターすることもできる。
種々の反応物質の量は、反応混合物が加熱プロセスの間にゲルを形成しないように選択するのが好ましい。反応混合物が多官能性反応物質、たとえば無水マレイン酸及びペンタエリスリトールを含むときには、これは特に重要である。しかしながら、樹脂酸、脂肪酸、アルデヒド及びフェノール性化合物のみを樹脂の形成に使用するときには、ゲル化も起きる。本発明の樹脂の好ましい特性は、ゲルではないことと、ゲルとの混合物でないことである。好ましい側面において、本発明の樹脂は、キシレン中、10重量%濃度で高温で溶解することができ、冷却すると、明るい透明溶液が得られる。これは、樹脂が全くゲルを含まないことを示している。
本明細書中に含まれる実施例は、ゲル化しない幾つかの配合物を提供する。たとえば、ガムロジン約60重量%、フェノール約15重量%、パラホルムアルデヒド(91%)約15重量%、モノマー約10重量%及び痕跡量(約0.5重量%)の酸化マグネシウムの混合物を使用して、ゲル化した樹脂ではなく、流体(溶融時)を提供することができる。もう一つの例として、ガムロジン約45重量%、トール油ロジン約20重量%、フェノール約8重量%、パラホルムアルデヒド(約91%)約5重量、モノマー約10重量%、無水マレイン酸約2重量%、ペンタエリスリトール約10重量%、及び痕跡量(約0.1重量%)の酸化マグネシウムの混合物を使用して、ゲル化した樹脂ではなく、流体(溶融時)を提供することができる。
好ましい反応混合物は、35〜90重量%を構成するロジン、10〜30重量%を構成する脂肪酸、10〜30重量%を構成する、予備形成フェノール樹脂としてまたは個々のモノマーとして、アルデヒド+アルデヒド反応性に関して少なくとも三官能性であるフェノール性化合物を含むものであって、ここで前記フェノール性化合物は好ましくはフェノールであり、重量%はそれぞれ、反応物質に含まれるロジン、脂肪酸、フェノール性化合物及びアルデヒドの総重量をベースとする。
もう一つの好ましい反応物質のセットは、列記した反応物質の総重量をベースとして、ロジン35〜70重量%、脂肪酸5〜40重量%、フェノール樹脂5〜25重量%(またはフェノール性化合物とアルデヒドの総重量はこの範囲内である)及びポリオール(好ましくはペンタエリスリトール)5〜15重量%及び、α,β-オレフィン性不飽和カルボニル化合物(好ましくは無水マレイン酸)若干量、ただし約5重量%未満を含むものであって、ここで本発明の種々の態様では、少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%または全てのフェノール性化合物は、フェノールまたは、アルデヒド反応性に関して少なくとも三官能性である他のフェノール性化合物である。
もう一つの好ましい反応物質のセットは、列記した反応物質の総重量をベースとして、ロジン40〜65重量%、脂肪酸10〜30重量%、フェノール樹脂10〜20重量%(またはフェノール性化合物とアルデヒドの総重量はこの範囲内である)及びポリオール(好ましくはペンタエリスリトール)5〜15重量%及び、α,β-オレフィン性不飽和カルボニル化合物(好ましくは無水マレイン酸)若干量、ただし約5重量%未満を含むものであって、ここで本発明の種々の態様では、少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%または全てのフェノール性化合物は、フェノールまたは、アルデヒド反応性に関して少なくとも三官能性である他のフェノール性化合物である。
もう一つの好ましい反応物質のセットは、列記した反応物質の総重量をベースとして、ロジン45〜60重量%、脂肪酸10〜30重量%、フェノール樹脂10〜20重量%(またはフェノール性化合物とアルデヒドの総重量はこの範囲内である)及びポリオール(好ましくはペンタエリスリトール)5〜15重量%及び、α,β-オレフィン性不飽和カルボニル化合物(好ましくは無水マレイン酸)若干量、ただし約5重量%未満を含むものであって、ここで本発明の種々の態様では、少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%または全てのフェノール性化合物は、フェノールまたは、アルデヒド反応性に関して少なくとも三官能性である他のフェノール性化合物である。
もう一つの好ましい反応物質のセットは、列記した反応物質の総重量をベースとして、ロジン30〜65重量%、脂肪酸5〜35重量%、フェノール樹脂5〜25重量%(またはフェノール性化合物とアルデヒドの総重量はこの範囲内である)及びポリオール(好ましくはペンタエリスリトール)5〜15重量%を含むものであって、ここで本発明の種々の態様では、少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%または全てのフェノール性化合物は、フェノールまたは、アルデヒド反応性に関して少なくとも三官能性である他のフェノール性化合物である。
これらの範囲内で、代表的な特定の配合物を本明細書にて開示する。好ましい一態様では、少なくとも三官能性のフェノール性化合物は、フェノール性化合物の総重量の少なくとも25重量%、または本明細書の他の場所で開示されているような他の最小値及び範囲を構成する。
反応混合物が望ましくない程度にゲル化する場合、一種以上の反応物質の量で調整すべきである。この目的のために、統計的実験計画を使用して、特定の最終用途、たとえばグラビア対リソグラフィックインク樹脂用の配合物を最適化することができる。本発明の樹脂は、比較的高い分子量を持つのが好ましく、そのため比較的高い溶液粘度であるので、うまくできた樹脂配合物は、望ましくない量のゲル化樹脂を産生する樹脂組成物に近いことが多い。
かくして、一側面では、本発明は、一プロセスによって製造した樹脂を提供するものであり、ここで前記プロセスは、以下の反応物質:樹脂酸、脂肪酸、少なくとも三官能性のフェノール性化合物及びアルデヒドを反応させることを含む。もう一つの側面では、本反応物質は、α,β-オレフィン性不飽和カルボニル化合物を含む。もう一つの側面では、反応物質はポリオールを含む。もう一つの側面では、反応物質はα,β-オレフィン性不飽和カルボニル化合物とポリオールとを含む。反応物質は高温で反応して、樹脂、好ましくはゲルを含まない樹脂を形成する。
もう一つの側面では、本発明は、一プロセスによって製造した樹脂を提供するものであり、ここで前記プロセスは、以下の反応物質:樹脂酸、脂肪酸、少なくとも三官能性のフェノール性化合物及びアルデヒドを反応させることを含む。これらの反応物質を高温で反応させて樹脂を形成する。もう一つの代表的な生成物は、高温で樹脂酸、脂肪酸及び三官能性フェノール性化合物を、場合により反応触媒を添加して反応させ、続いてパラホルムアルデヒドを添加し、続いてポリオールを添加して反応させることにより形成する。しかしながら、反応物質の組み合わせの他の順番も使用して、本発明の生成物を製造することもできる。上述の如く、ロジンは、樹脂酸の供給源として機能し得る。
もう一つの側面では、本発明は、一プロセスによって製造した樹脂を提供するものであり、ここで前記プロセスは、以下の反応物質:樹脂酸、脂肪酸、少なくとも三官能性であるフェノール性化合物、アルデヒド及びα,β-オレフィン性不飽和カルボニル化合物及び、ポリオールを含む。これらの反応物質は高温で反応して、樹脂を形成する。代表的な生成物は、高温で、樹脂酸、脂肪酸及び少なくとも三官能性フェノール性化合物を、場合により反応触媒を添加して反応させ、続いてパラホルムアルデヒドを添加して、続いてα,β-オレフィン性不飽和カルボニル化合物を添加して、続いてポリオールを添加して反応させることにより形成する。しかしながら、以下に記載の如く、反応物質の組み合わせの他の順番も使用して、本発明の生成物を製造することができる。
好ましい側面では、本発明の樹脂の製造プロセスは、以下の順序の工程を含む:
a)反応容器中、場合により約140〜180℃、場合により脂肪酸と、少なくとも三官能性であるフェノール性化合物と一緒に、均質溶融液が形成されるまでロジンを加熱する工程;
b)存在しない場合には、脂肪酸と少なくとも三官能性であるフェノール性化合物とを反応容器にさらに充填して、この反応混合物を場合により約100〜140℃で、場合により約60分以下の間反応させる工程;
c)さらに反応容器に、アルデヒド及び金属触媒を充填し、次いでこの反応混合物を場合により約100〜180℃で、場合により約300分以下の間反応させる工程;
d)さらに場合により反応容器に、α,β-オレフィン性不飽和カルボニル化合物を充填して、次いでこの反応混合物を場合により約120〜250℃で、場合により約150分以下の間反応させる工程;
e)さらに場合により反応容器にポリオールを充填し、次いでこの反応混合物を、場合により約120〜310℃で、場合により約48時間以下の間反応させる工程。
全体として、通常、樹脂酸、脂肪酸、少なくとも三つの官能性を持つフェノール性化合物、アルデヒド及び金属酸化物から樹脂を製造するのには、少なくとも約4時間かかり、ここで反応物質を混合するときには、約110℃の温度を使用し、反応物質を一緒に反応させて樹脂を形成するときには、約210℃の温度を使用する。反応物質を互いに反応させて高分子量物質を製造するときには、樹脂形成が起こり、ここで通常、反応時間が長いほど高分子量物質がより大量に生成し、また、比較的高分子量の樹脂も生成し、即ち、生成混合物(樹脂)の平均分子量は、反応時間が長くなるに連れて通常、増加する。ポリオール、α,β-オレフィン性不飽和カルボニル化合物及び/または他の任意選択的な反応物質を使用するとき、反応時間は、通常、これらの任意選択的な成分を反応させるために延長しなければならない。金属酸化物触媒は例外として、それぞれの反応成分は樹脂形成性反応に関与し、即ち、それぞれの反応物質は、最終の高分子量樹脂に炭素原子を与える。金属酸化物が比較的高い濃度、たとえば4〜8重量%存在するとき、樹脂全体の構造に寄与すると考えられる。樹脂酸塩形成の目的のために使用するとき、金属塩または金属酸化物は、通常、ポリオールを添加するのと大体同じ時に反応混合物に添加する。
任意選択的な側面では、樹脂を製造するプロセスは、さらに反応容器にアルカリ金属塩を充填することを含み、ここで前記塩のカチオンは二価である。樹脂酸及び脂肪酸の均質溶融液が形成した後、この塩を添加することができる。かくして、本発明は、本明細書に記載のプロセスと反応混合物のそれぞれに関して、金属塩を反応物質に添加して本発明の樹脂を提供し得ることを規定する。さらに、浮動防止剤(anti-float agent)を少量、通常、0.1重量%未満を反応混合物に添加することができる。
E.樹脂特性
本発明の樹脂は、酸価、融点、分子量分布及び溶解度を含むその特性によってキャラクタリゼーションすることができる。これらの特性は、インク樹脂に関して日常的に測定されるので、当業者はこれらの特性を測定する技術に精通している。とはいえ、これらの特性のあるものを測定する好適な方法を、ここに簡単に記載する。
酸価は、既知量の樹脂(たとえば1グラム)を有機溶媒(たとえばトルエンが典型的な溶媒であるが、トルエン単独では樹脂を溶解しない場合、イソプロパノール:トルエンの1:2重量比を使用し得る)に溶解し、次いで一定量のメタノール性水酸化カリウム(たとえば、0.1NメタノールKOH)溶液を樹脂溶液に滴定することによって測定する。この滴定は、pHが約7に達したら完了する。この終点は、溶液中にフェノールフタレインを加えることによって見ることができ、ここで終点は、淡い桃色が少なくとも15秒間保持されるときである。この樹脂の酸価は、滴定に使用されたKOH(mg)の量を滴定したサンプル中の樹脂の重量(グラム)で割った値に等しい。換言すれば、酸価は、サンプル1グラムを中和するのに必要なKOHのmg数に等しい。
本発明の種々の任意選択的な側面において、樹脂の酸価は、約70未満、または約60未満、または約50未満、または約40未満、または約30未満、または1〜70、または1〜60、または1〜50、または1〜40、または1〜30、または約5〜70、または5〜60、または5〜50、または5〜40、または5〜30、または10〜70、または10〜60、または10〜50、または10〜40、または10〜30、または15〜70、または15〜60、または15〜50、または15〜40、または15〜30である。リソグラフィックインク配合物用の樹脂に関しては、樹脂の酸価は、約10〜30、または約20であるのが好ましい。酸価が約30〜40を超えるとき、樹脂はむしろ親水性であり、水を吸収するか及び/または水を捕まえて放さない傾向があり、ここでこれは、これらの樹脂が水性湿し水(aqueous fountain solution)と接触するようなときは、不都合であることが多い。樹脂がグラビアインク配合物用であるとき、樹脂は約10〜60、または約45の酸価であるのが好ましい。実際、酸価を約10未満に低下させることはコスト面で高くつき、この理由から好ましくない。
「軟化点」とも称され得る融点は、ASTM E28の主題であるいわゆる「リング・アンド・ボール」法により測定することができる。あるいは、軟化点の値は、Mettler Laboratories(Hightstown、NJ、アメリカ合衆国)製の融点測定器を使用して得ることができる。本明細書中で記載され、且つ報告されるこの融点は、以下の手順に従って、Mettler FP90/FP83HTカップアンドボール装置(Cup and Ball apparatus)を使用して得た。2.80mm底部オリフィスサンプルカップに、試験すべき溶融樹脂を充填する。過剰量の樹脂を除去して平坦面とする。固体樹脂には気泡が含まれてはならない。サンプルカップをサンプル上部の中心におかれた鉛のボール((3.4±0.2グラム)の入ったカートリッジに据え付け、このカートリッジを炉に設置する。以下の条件を使用する:開始温度は、予想軟化点よりも20〜25℃低く、加熱速度は1.5℃/分である。結果を℃で報告する。この手順に従って、本発明の樹脂は、本発明の種々の態様において、90℃、または100℃、または110℃、または120℃、または130℃、または140℃を超える軟化点をもつのが好ましく;種々の追加の態様では、本発明の樹脂は、100〜230℃、110〜230℃、120〜230℃、130〜230℃、140〜230℃、100〜200℃、110〜200℃、120〜200℃、130〜200℃、140〜200℃、100〜180℃、110〜180℃、120〜180℃、130〜180℃、140〜180℃、100〜160℃、110〜160℃、120〜160℃、130〜160℃、または140〜160℃の範囲の軟化点をもつ。リソグラフィック印刷用の好ましい樹脂は、105〜185℃の軟化点をもち、グラビア印刷用の好ましい樹脂は、135〜185℃の軟化点をもつ。
インク樹脂の顧客はフレーク状の製品を好むことが多いのに、樹脂の軟化点が約100℃未満に降下すると、樹脂からフレークを形成するのが困難になる。従って、比較的低い軟化点の樹脂に関しては、フレークよりも樹脂溶液を形成するのが好都合である。
本発明の樹脂は、分子量によりキャラクタリゼーションすることができ、ここで分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を使用する慣用手段に従って測定する。GPC分析法は、Watersモデル515ポンプ(Waters Instruments、Plymouth、MN、アメリカ合衆国;www.wtrs.com)、Watersモデル717オートインジェクター及びWaters410示差屈折率(RI)検出器を使用する慣用手段に従って測定する。成分は、(単数または複数種類の)好適なカラム、たとえば一連の3Polymer Labs混合-BGPCカラム(Polymer Laboratories、Amherst、MA、アメリカ合衆国;www.polymerlabs.com)を通して、好適な溶媒、たとえばテトラヒドロフラン(THF)で溶出する。分子量は、ポリスチレン標準でキャリブレーションしたカラムに対する保持時間を比較することにより決定する。これらの条件のもと、本発明の樹脂は、本発明の種々の態様において、好ましくは30,000〜500,000、または30,000〜400,000、または30,000〜300,000、または80,000〜500,000、または80,000〜400,000、または80,000〜300,000、または120,000〜500,000、または120,000〜400,000、または120,000〜300,000、または150,000〜500,000、または150,000〜400,000、または150,000〜300,000の範囲のピーク分子量をもつ。本発明の好ましい樹脂は、約200,000のピーク分子量をもつ。
本発明の樹脂は、その溶液形態でキャラクタリゼーションすることができる。換言すれば、好適な溶媒中の樹脂溶液を製造し、この溶液をキャラクタリゼーションしてこの樹脂の品質を評価する。この溶液はニスと称されることもあり、ここでニスはインクを製造するのに使用できる。以下の手順を使用して、本発明の樹脂を含有する溶液(ニス)を製造することができ、ここでニスそれ自体が本発明の一側面である。この手順で使用する装置は、「Thermotronic」と呼ばれ、これはTestprint,Inc.(Cherry Hill、NJ、アメリカ合衆国;www.testprint.com)より市販されている。
樹脂は機械的に力をかけて粉砕し、粉砕化樹脂と試験溶媒とを、全部で50グラムサイズの金属製Thermotronic試験管に秤量する。通常、ニスは、35〜50重量%、好ましくは約45重量%の樹脂固体濃度で製造する。管をThermotronicに設置し、PT-100温度プローブを挿入する。Thermotronicは、以下のパラメーターを使用して溶液を制御下で加熱する:撹拌速度(RPM)120;加熱速度(℃/分)35;上部温度(℃)約180〜230℃;保持時間(分)約2〜10;冷却速度(℃/分)20。この目的に好適な溶媒としては、M47、TXIB、ARLO及びN40HTがあり、ここでM47は、MAGIESOL(商標)M-47、「テクニカルホワイトオイル(technical white oil)」であり、Magie Brothers、Franklin Park、IL(現在のPennzoil Products Companyの一部門である)製である;TXIBは、Eastman Chemical、Kingsport、TNより市販の化学名:2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジイソブチラートの可塑剤エステルである;ARLOは、アルカリ精製亜麻仁油(Alkali Refined Linseed Oil)、日用化学品であり;及びN40HTは、特定の水素処理化ナフテン系石油(ケミカルアブストラクト・サービス・レジストリー番号No.64742-53-6)であり、ここでこのファミリーのオイルの多くは市販されている(たとえば、San Joaquin Refining Co.Inc.,Bakersfield,CA,アメリカ合衆国を参照されたい)。
他の二つの好適な溶媒は、いずれもHaltermann Products(Dow Companyの関連子会社、TX、アメリカ合衆国;www.haltermann.com)から市販されている、PKWF(登録商標)及びPRINTOSOL(登録商標)溶媒として公知の印刷用インク流出油溶媒(distillate)である。PRINTOSOL(登録商標)6/9ARは、ISO 3405またはASTM D86に従って260〜290℃で1,013kPaの蒸留範囲;ISO 12185またはASTM D4052に従って15℃において875kg/m3の密度;芳香族含有量50%(w/w)、DIN ISO2977またはASTM D611に従って、45℃のアニリン点;ASTM D1133に従って水分量50、DIN 51423-2に従って屈折率1.490nD 20;及びDIN ISO3016またはASTM D97に従って−24℃未満の流動点をもつ炭化水素溶媒である。PKWF(登録商標)6/9は、ISO3405またはASTM D86に従って1,013kPaで260〜290℃の蒸留範囲;ISO 12185またはASTM D4052に従って15℃において830kg/cm3の密度;芳香族含有量20%(w/w)、DIN ISO2977またはASTM D611に従って76℃のアニリン点;ASTM D1133に従って水分量27、DIN 51423-2に従って屈折率1.459;及びDIN ISO3016またはASTM D97に従って−18℃の流動点をもつ炭化水素溶媒である。PKWF 6/9(登録商標)AFは、ISO 3405またはASTM D86に従って1,013kPaで260〜290℃の蒸留範囲;ISO 12185またはASTM D4052に従って15℃において777kg/cm3の密度;芳香族含有量1%(w/w)以下、DIN ISO2977またはASTM D611に従って95℃のアニリン点;ASTM D1133に従って水分量20、DIN 51423-2に従って屈折率1.435;及びDIN ISO3016またはASTM D97に従って+12℃の流動点をもつ炭化水素溶媒である。
この溶媒は、所望により、たとえば1:1でブレンドすることができ、M47及びTXIBが溶媒として使用することができる。
F.インク及びニス
本発明は、インク配合物の成分とすべき溶液を含む、本発明のインク樹脂の溶液を提供し、この後者の溶液は、通常、ニスとして公知である。グラビアインク及びリソグラフィックインクで有用なニスは、当業者に公知の他の特性の中でも、その粘度、タンデルタ(tan delta)、及び曇り点でキャラクタリゼーションすることができる。評価の目的、たとえばレオロジー評価のため、ニスは上記のThermotronic装置を使用して製造することができる。
レオロジー流動測定は、本発明のニスで実施することができる。この測定は、TA Instruments(New Castle、DE、アメリカ合衆国;www.tainst.com)AR-1000Nレオメーターを、幾何学的ギャップ(geometric gap)に設定した4cmの1゜コーンを使用して、25℃、流動モードで実施することができる。剪断速度25s-1を1分間適用し、50の測定点を集める。最終測定点は流動粘度としてとり、Pa.sで報告する。これらの条件下、本発明の樹脂の45重量%PKWF 6/9 AR溶液は、0.1〜450Pa.s.または0.5〜450Pa.s.、または5〜450Pa.s.、または0.1〜150Pa.s.、または0.5〜150Pa.s.、または5〜150Pa.s.の流動粘度をもつ。一側面において、この溶液のニスは、リソグラフィックインク用の樹脂に関しては、約5〜150Pa.sの流動粘度を有する。一側面において、ニスの流動粘度は、20〜80Pa.sである。
レオロジー周波数掃引測定(rheology frequency sweep measurement)は、本発明のニスのタンデルタを測定するために使用することができる。この測定法は、TA Instruments AR-1000Nレオメーターを、幾何学的ギャップに設定した4cmの1゜コーンを使用して、25℃、振動モードで、樹脂溶液のレオロジーを測定することにより行われる。周波数1Hzを0.10の歪み制御(controlled strain)によって適用する。温度掃引は、10℃〜60℃を15分で実施する。タンデルタ、G’ (Dynes s-1)及びG”(Dynes s-1)を23℃で報告する。本発明のニスは、1.3〜無限大のタンデルタを有し、5未満、たとえば1.3〜5のタンデルタがより好ましい。
曇り点は、標準的な方法ASTM D97及びSCAN T5:67に従って樹脂溶液中で測定することができる。本発明者らは、Chemotronic Cloud Point Tester(Testprint,Inc.、Cherry Hill、NJ、アメリカ合衆国製:www.testprint.com)を使用して曇り点を測定することが好ましいと考える。曇り点を測定するためには、樹脂サンプルを機械的に粉砕し、粉砕した樹脂2.0gと試験溶媒18.0gとをChemotronicガラス試験管に秤量する。次いでこの試験管をChemotronicに設置し、PT-100温度プローブを挿入する。Chemotronicは溶液を加熱し、自動的に冷却し、曇り点を℃で報告する。以下のパラメーターは、全ての溶媒系で使用する:230℃の最高温度に40℃/分という典型的な速度で加熱し、230℃で2分間保持し、次いで40℃/分という典型的な速度で冷却する。
これらの条件下、25〜180℃の範囲の温度で、透明溶液が生成するのが好ましい。リソグラフィックインクに関しては、樹脂の曇り点は、樹脂が十分適しているタイプのインクを決定するための指針として使用することができる。たとえば、曇り点が約50℃未満、たとえば約25℃であるとき、その樹脂は非常に優れた脂肪族溶解性を有し、顔料湿潤用に使用することができる。曇り点が中間範囲、即ち約50〜150℃にあるとき、樹脂は、ヒートセットリソグラフィックインクに特に有用である。曇り点が高く、即ち約150℃を超える、たとえば約180℃であると、樹脂は、シートフィードリソグラフィー用に特に有用である。グラビアインク用には、樹脂の曇り点は特に重要ではなく、25〜180℃の範囲の曇り点が許容可能であり、ここでこれらの曇り点は溶媒中、約10重量%固体で測定する。一側面において、本発明の樹脂は、10%樹脂固体濃度で、鉱油中、180℃で完全溶解性である。
特に本発明の樹脂がグラビア印刷用インクの成分を目的とするとき、ニスのトルエン希釈性(toluene dilutability)は重要なパラメーターである。トルエン希釈は、樹脂酸塩(resinate)溶液の公知量を秤量し、印刷粘度(print viscosity)が達成されるるまでこれをトルエンで希釈することにより測定する。印刷粘度は、多くの製造業者及び標準機構より市販のフローカップ(flow cup)または流出カップ(efflux cup)を使用して測定する。使用する典型的なカップとしては、Shell #2及びDIN 3mmカップがあり、これらはいずれも特定の流動時間でプレス・レディ・インク(press ready ink)の粘度を生み出すように設計されている。樹脂酸塩溶液の公知の量を、標準温度(通常21℃または25℃)で標準流れ時間(典型的には、Shell #2カップでは18秒、または3mm GINカップでは25秒)で希釈し、トルエンの量を使用したサンプル毎にmLまたはグラムで記録する。たとえば、25℃でShell #2カップで18秒の流速を達成するために、トルエン75mLが樹脂酸塩溶液100グラムの粘度を低下させるのに必要な場合、このトルエン希釈は、Shell #2カップでの印刷粘度を達成するのに必要なトルエン75mLとして記録されるだろう。一側面において、本発明の樹脂は、35%樹脂固体トルエン溶液100グラムから出発して、21℃で60〜280mLトルエン、3mm DINカップの希釈性を有する。
グラビアインクのもう一つの重要な特性は、樹脂の溶液の粘度である。粘度は、ISO 3219("Plastics,polymers,resins in the liquid state or as emulsions of dispersions−Determination of viscosity using a rotational viscometer with defined shear rate")の方法に従って、Physica Viscolab LC3粘度計を使用して樹脂または樹脂酸塩(resinate)溶液で測定する。この方法で得られた測定値は、通常、mPa・sの単位で報告される。この粘度計は、Physica Messtechnik GmbH,Stuttgart、ドイツ(www.physica.de)製である。回転粘度計を使用して、本発明の樹脂の35%固体溶液は、50〜350mPa-秒の粘度を有するのが好ましい。
本発明は、グラビアインクまたはリソグラフィックインクなどの印刷に適したインクも提供する。グラビア印刷では、印刷すべき画像が彫刻またはエッチングされたシリンダーをインク中に直接転がして、印刷画像を受容する支持体に直接転送する。グラビア印刷は、非常に一般的な商業的印刷形態であり、当業者には公知である。グラビア印刷は、マガジン・ストック、金属ホイル、プラスチックフィルム及び紙箱などの支持体上への印刷に使用されることが多い。
本発明のグラビアインクは、溶媒、着色剤、及び任意選択的な性能向上剤(performance-enhancing additive)に加えて、本明細書に開示の如く、樹脂を含む。本発明の樹脂は、単独でまたは同時使用樹脂(co-resin)と組み合わせて使用することができる。好適な同時使用樹脂としては、一般的に公知の同時使用樹脂、たとえば、以下に限定されないが、ロジン変性マレイン酸エステル(rosin modified maleic ester)、フェノールエステル(phenolic ester)、炭化水素樹脂及びアルキドが挙げられる。グラビア印刷で使用する中間ローラー及び/またはシリンダーがないので、グラビア印刷で使用されるインクは、彫刻またはエッチングされたシリンダーに付与された擦過傷の量を減らすために、非常に低粘度で且つ微粉砕しなければならない;さらに前記印刷プロセスに必要な溶媒感受性の(即ち、ゴム化合物)移動部品がないので、広範囲の溶媒がグラビア印刷で受け入れられる。好適な溶媒としては、鉱油、芳香族及びエステル溶媒が挙げられるが、これらに限定されない。好適な着色剤としては、フラッシュカラー、乾燥顔料及び溶解性染料が挙げられる。添加剤としては、ワックス、湿潤剤及び可塑剤が挙げられるが、これらに限定されない。上記の物質に加えて、インクはさらに、何種類でも任意選択的な成分を含むことができ、ここで(単数または複数種類の)任意選択的な成分は、インクの性能に改良をもたらす。インク性能特性としては、色強度、光沢、耐擦り傷性(scuff resistance)、耐遮蔽性(block resistance)、ミスト(misting)、プレス上の開放時間及び他の多くの特性が挙げられる。
本発明の樹脂は、グラビアインク、たとえば出版物グラビアインク用のレットダウン・ビヒクル(let down vehicle)として特に有用である。かくして、顔料分散液は、顔料と溶液樹脂酸塩(solution resinate)とを使用して製造することができ、ここで溶液樹脂酸塩は、顔料印刷で現在使用される公知の、市販製品である。顔料分散液が所望の状態、たとえば所望の平均顔料粒径に到達した後、この分散液をレットダウン・ビヒクルで希釈する。着色剤を希釈することに加えて、このレットダウン・ビヒクルは、インクに様々の望ましい特性を付与する。望ましい特性としては、光沢及び耐擦り傷性が挙げられる。トルエンなどの好適な溶媒に溶解させた本発明のロジンフェノール樹脂は、そのようなレットダウン・ビヒクルの成分として使用することができる。このロジンフェノール樹脂は、通常、そのようなビヒクル中約30〜35%固体で含まれる。一側面において、本発明は、ニスの形状で、本明細書に記載のごときフェノール樹脂を提供する。
リソグラフィック印刷は、インクを支持体に直接移すグラビア印刷と対照的に、一つ以上の追加のシリンダー上を転がすことによってインクを移してから、インクを支持体上に移すプロセスである。リソグラフィック印刷プロセスは、インクが(湿し水として公知の)水溶液と組み合わせて流し込まれるようなものであり、この湿し水の目的は、インクを受容しない支持体の部分を湿潤させることである。リソグラフィック印刷は、包装材料などの支持体上での印刷に使用される、非常に一般的な商業的な印刷形態でもあり、当業者に公知である。
リソグラフィック印刷は、二つの主なタイプ:シート−オフセット、またはそれぞれの支持体シート上の印刷;及びウェブ−オフセット、または支持体の連続ロール上の印刷に分けられる。これら二つの主なタイプはそれぞれさらに、インク乾燥のメカニズムをベースとするサブクラスに分けられる。従って、望ましいリソグラフィックインクバインダーの特性は、使用する印刷の特定のタイプ及びサブクラスに大きく依存する。リソグラフィック印刷の本質的に全てのタイプに一般的に望ましい幾つかの樹脂特性としては、高い融点、高い粘度、高沸点低溶解脂肪族溶媒における優れた溶解性、優れた顔料湿潤性及び低い顔料反応性が挙げられる。
一側面では、本発明の樹脂は自己ゲル化挙動(self- gelling behavior)を示す。換言すれば、これらは、炭化水素溶媒をゲル化させるために金属塩の存在が必要ないということである。樹脂が自己ゲル化性であるかは、粘度計を使用して測定することができ、これは樹脂と溶媒との混合物の粘弾性を測定することができる。この粘弾性を測定するためには、樹脂と鉱油との溶液を、樹脂:鉱油が1:1.5の重量比で、180℃で30分間、成分を混合することによって製造する。この鉱油は、240〜270℃の範囲の沸点と、72℃のアニリン点(標準鉱油PKW F 4/7、Haltermann製)でなければならない。この混合物を室温まで冷却し、溶液のタンデルタを、粘度計を使用して測定する。たとえば自己ゲル化樹脂に関しては、振動ロータリー粘度計(oscillating rotary viscometer:RV20/CV100装置、Haake製)、23℃で測定装置(コーン)PK20、偏角10゜、周波数掃引0.05〜5Hz及び、角度速度範囲(angular velocity range:オメガ)1〜10s-1は、5未満のタンデルタ値を与える。
印刷用インクは、本発明の樹脂酸塩組成物を含むレットダウン・ニスに、着色剤(たとえばフラッシュカラー、乾燥顔料または溶解性染料)、添加剤及び追加の溶媒を添加することにより製造する。フラッシュカラーは顔料の形態であり、ここで顔料製造プロセスで使用する溶媒(水)は、炭化水素または油ベースのニスで置換されている。そのようなニスは本発明のまたは慣用の樹脂、樹脂酸塩、またはこの両方の組み合わせを含むことができる。完成したインクは、低剪断で撹拌しながら、フラッシュカラーとレットダウンニスとを添加することによって製造することができる。この混合物は、顔料の粒径をさらに低下させ、且つ最終インク特性を改善するために、ビードミルまたはショットミルを通すことができる。溶解性染料は、系に色を付けるためにエネルギーを殆どまたは全く使用しないで添加することができる。追加のニスまたは溶媒は、タック(tack)、流動性及び粘度を調整するために添加して、目的とする仕様を達成し、次いで添加剤をブレンドすることができる。
以下は、本発明のインクに配合することができる、幾つかの他の任意選択的な成分である。ブラウンひまし油(Blown Castor Oil:BCO)は、インクの吸水(water pickup)を低下させるために、たとえば1〜3重量%のレベルで配合することができる。大豆油(Soybean oil:SBO)は、そのタックを低下させ、且つインクの流動性を高めるためにインクに使用することが多く、ここでその典型濃度は1〜10重量%である。キリ油は、インクのセット速度(setting speed)を高めるために、約5〜15重量%の濃度でインク配合物に配合することができる。キリ油は、乾燥インクの硬度(hardness)を高めることもできる。SBOと同様にキリ油は、インクの流動性を高め、且つそのタックを低下させることもできる。アルカリ精製亜麻仁油(Alkali Refined Linseed Oil:ARLO)は、麻植物の種から抽出し、多くはリノレン酸からなる。ARLOは、タック(tack:粘り)及びボデー(body:腰)を削減し、極「少量(short)」インクの流動度を増加させ、且つARLOと反応し得る金属ドライヤー(metallic drier)を含むインクのフィルム完全性(film integrity)を増加させるために使用することができる。ゲル化亜麻仁油(Gelled Linseed Oil:GLO)をインクに添加することは、重質インク(heavy ink)、特にシートフィードされたまたはウェブオフセットインクのタックを減少させるのに好都合な方法である。これらの油のそれぞれは、日用的な化学品であり、多くの商業的供給業者より容易に入手可能である。
当業者は、フラッシュカラー、乾燥顔料または溶解性染料のいずれかを使用して印刷用インクを製造することに精通しており、本発明の樹脂を使用してそのような印刷用インクの製造のための他の手順を採用することができる。従って、以下の実施例は、本発明の例示を提供するものであり、本発明を限定するものではない。
実施例
本発明を以下の実施例により詳細に説明する。以下の実施例において、他に記載しない限り、化学薬品は試薬グレードであり、Aldrich Chemical Co.(Milwaukee,WI)などの商業的供給業者から入手した。SYLVAROS(商標)85トール油ロジン、SYLFAT(商標)2Sトール油脂肪酸及びCENTURY MO6(商標)モノマーは、Arizona Chemical(Jacksonville,FL)から入手可能である。チャイニーズガムロジン(Chinese gum rosin)は、BFB Enterprises(Panama City Beach,FL)等の供給業者から入手可能である。試験油6/9及び6/9ARは、Haltermann Products(Channelview,TX)から入手可能な鉱油である。「45%AR」などの値が記載される場合、これは、45重量%固体で、6/9AR試験油中の樹脂の溶液を指す(樹脂及び溶媒の重量の合計で割った樹脂の重量×100)。
表中、「%」は、反応物質の総重量をベースとした特定の反応物質の重量比を指す。
実施例1
ロジン変性フェノール樹脂
表1にまとめたように、反応容器に、チャイニーズガムロジン、CENTURY MO6(商標)モノマー、及びフェノールを充填し、約150〜170℃に加熱した。混合物が溶融した後、容器にさらに酸化マグネシウム触媒(約15グラムキシレン中に分散させた)を充填し、得られた混合物を約110℃に冷却した。この反応容器に91%パラホルムアルデヒドを充填し、得られた混合物を約120℃で約90分間還流し、その後(35℃/時間で)約270℃に加熱して、縮合した水を除去し、反応を完了させた。
Figure 0004550045
実施例2〜4
ロジン変性フェノールエステル
これらの実施例では、表2に示した重量パーセントに従って、リソグラフィックニスの製造で使用するのに好適なロジン変性フェノールエステルの製造について記載する。
反応容器に、チャイニーズガムロジン、トール油ロジン、CENTURY MO6(商標)モノマー及びフェノールを充填し、約150〜170℃に加熱した。ロジンが溶融した後、容器にさらに酸化マグネシウム触媒(約10グラムキシレン中に分散)を添加し、得られた混合物を約110℃に冷却した。次いでこの反応容器に91%パラホルムアルデヒドをさらに充填し、得られた混合物を約110〜120℃で約90分間還流させて、その後約155℃に加熱して凝縮した水を除去した。この反応容器にさらに、無水マレイン酸を充填し、得られた混合物を210℃に加熱した。この反応容器にさらにモノ-ペンタエリスリトールを充填し、得られた混合物を約270℃に加熱して、エステル化により生成した水を除去した。この反応混合物を、鉱油中の粘度、鉱油溶液由来の曇り点に関して、270℃で1時間毎にサンプリングした。場合により、この反応混合物を約150℃で一晩保持し、その後混合物を270℃に予備加熱し、上述のサンプリングを続行した。所望の粘度及び固体に到達したら、反応混合物を約250℃に冷却し、排出した。
Figure 0004550045
実施例5
ロジン変性フェノールエステル
実施例1〜4に述べたものと本質的に同一手段に従って、表3の反応物質を反応容器に充填した。
Figure 0004550045
実施例5の樹脂は、試験オイル中10重量%で測定した105℃の曇り点、試験オイル中45重量%溶液で測定した23℃における粘度26.2パスカル、及び酸価20.6を有していた。
実施例6〜8
ロジン変性フェノールエステル
実施例1〜4に述べたものと本質的に同一手段に従って、表4の反応物質を反応容器に充填した。得られた樹脂は、表4に示したような粘度、レオロジー及び曇り点の最終値を有していた。表4のデータは、粘度と曇り点の両方が、フェノールレベルの増加に連れて上昇することを示す。
Figure 0004550045
実施例9〜11
ロジン変性フェノールエステル
実施例1〜4に述べたものと本質的に同一手段に従って、表5の反応物質を反応容器に充填した。得られた樹脂は、表5に示したような粘度、レオロジー及び曇り点の最終値を有していた。表4に対して、実施例9〜11で使用した高いフェノールレベルは、高い溶液粘度と低いタンデルタを与えた。高いモノマーレベルを使用して、高い粘度レベルでの曇り点を維持した。これらの樹脂は、たとえばシートフィード用途で有用である。
Figure 0004550045
実施例12〜14
ロジン変性フェノールエステル
実施例1〜4に述べたものと本質的に同一手段に従って、表6の反応物質を反応容器に充填した。得られた樹脂は、表6に示したような粘度、レオロジー及び曇り点の最終値を有していた。表5の実施例に対して、表6に記載した反応では、70℃未満の曇り点をもつ樹脂を得るのにより高いモノマーレベルを使用した。これらの樹脂は、たとえばヒートセット用途及び顔料湿潤用途で有用である。
Figure 0004550045
実施例15〜17
ロジン変性フェノールエステル
実施例1〜4に述べたものと本質的に同一手段に従って、表7の反応物質を反応容器に充填した。得られた樹脂は、表7に示したような粘度、レオロジー及び曇り点の最終値を有していた。表6に対して、表7に記載の反応物質は、より低い曇り点でさえも使用可能な粘度を与えるため高いフェノール及びモノマー充填量を有していた。これらの樹脂は、たとえばヒートセット及び顔料湿潤用途に適している。
Figure 0004550045
実施例18〜24
ロジン変性フェノールエステル
実施例1〜4に述べたものと本質的に同一手段に従って、表8の反応物質を反応容器に充填した。これらの反応物質のそれぞれのセットは、表示時間内にゲル化生成物を与えた。官能性成分(フェノール、パラホルムアルデヒドまたは無水マレイン酸)の一種以上が、反応容器中に高すぎる濃度で存在していたためゲル化が起きた。
本発明の樹脂は、ゲル化樹脂ではないのが好ましく、ゲル化樹脂と混ざらないのが好ましい。好ましい側面では、本発明の樹脂は、10重量%濃度でキシレン中、高温で溶解させることができ、冷却すると、明るい透明溶液が得られる。これは、樹脂が全くゲルを含まないことを示している。
Figure 0004550045
実施例25〜36
ロジン変性フェノールエステル
実施例1〜4に述べたものと本質的に同一手段に従って、表9の反応物質を反応容器に充填した。これらの反応物質のそれぞれのセットは、表示の時間内でゲル化生成物を与えた。実施例18〜24の実施例と同様に、官能性成分(フェノール、パラホルムアルデヒドまたは無水マレイン酸)の一種以上が、反応容器中に高すぎる濃度で存在していたためゲル化が起きた。先の実施例のセットで示したように、本発明の樹脂は、ゲル化樹脂ではないのが好ましく、ゲル化樹脂と混ざらないのが好ましい。
Figure 0004550045
実施例37〜50
ロジン変性フェノールエステル
実施例1〜4に述べたものと本質的に同一手段に従って、表10の反応物質を反応容器に充填した。得られた樹脂は、表10に示したように、粘度、レオロジー、曇り点、分子量、軟化点及び酸価の最終値を有していた。表10の反応条件は、たとえば反応物質の中に無水マレイン酸を配合する効果について例示する。
Figure 0004550045
実施例51
ロジン変性フェノールエステル
この実施例は、表11に示した重量パーセントに従って、刊行物用グラビアニスの製造で使用するのに好適なロジン変性フェノールエステルの製造について記載する。
反応容器に、不活性ガス噴射下、トール油ロジン、及びCENTURY MO6(商標)モノマーを充填した。ロジンが溶解した後、混合物を約110℃に冷却し、反応容器にさらに、酸化マグネシウム触媒(キシレン中に分散させた)のスラリーを充填した。次いで反応容器をさらに、追加のキシレン(残存スラリーを集めるのに使用)、フェノール、ポリメチルシロキサン、及び91%パラホルムアルデヒドを充填し、得られた混合物を、発泡を軽減するのに必要な追加のポリメチルシロキサンを容器に充填しつつ、約110〜120℃で約2時間還流させた。次いでこの反応混合物を約210℃に加熱し、反応容器にさらに浮動防止液(antifloat liquid)とペンタエリスリトールとを充填した。次いで得られた混合物を約270℃に加熱して、エステル化により生じた水を除去した。270℃に到達した後(または270℃の温度に約6時間加熱した後)、反応生成物を鉱油中の粘度及び鉱油溶液からの曇り点のために1時間毎にサンプリングした。粘度及び固体の所望のレベルに到達したら、反応混合物を約250℃に冷却し、排出した。
Figure 0004550045
実施例52
ロジン変性フェノールエステル
この実施例は、表12に示された重量パーセントに従って、リソグラフィックニスの製造で使用するのに好適なロジン変性フェノールエステルの製造について記載する。
反応容器にガムロジン、トール油ロジン、及びCENTURY MO6(商標)モノマーを不活性ガス噴射下で充填した。ロジンが溶融した後、混合物を約110℃に冷却し、反応容器にさらに、酸化マグネシウム触媒(キシレン中に分散させた)のスラリーを充填した。次いで反応容器をさらに、追加のキシレン(残存スラリーを集めるのに使用)、フェノール、ポリメチルシロキサン、及び91%パラホルムアルデヒドを充填し、得られた混合物を、発泡を軽減するのに必要な追加のポリメチルシロキサンを容器に充填しつつ、約105〜120℃で約90分間還流させた。次いでこの反応混合物を約155℃に加熱し、反応容器にさらに無水マレイン酸を充填した。次いで混合物を約210℃に加熱して、ペンタエリスリトールを、無水マレイン酸の添加後、90分経ったらすぐに添加するように、反応容器に浮動防止液とペンタエリスリトールとをさらに充填した。次いで得られた混合物を約270℃に加熱して、エステル化により生じた水を除去した。270℃に到達した後(または270℃の温度に約6時間加熱した後)、反応生成物を鉱油中の粘度及び鉱油溶液からの曇り点のために1時間毎にサンプリングした。粘度及び固体の所望のレベルに到達したら、反応混合物を約250℃に冷却し、排出した。
Figure 0004550045
本明細書中で参照及び/または本出願データシートで列記した上記米国特許、米国特許出願刊行物、米国特許出願、外国特許、外国特許出願及び特許でない刊行物は全て、本明細書中、その全体が参照により本明細書に援用される。
上記記載から、本発明の具体的な態様は本明細書中、例示の目的に関して記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく種々の変形が可能であることは理解できよう。従って、本発明は、添付した請求の範囲による場合以外には限定されるものではない。

Claims (35)

  1. 樹脂の製造プロセスであって、前記プロセスは、標準的な室温である23℃を上回る温度で反応物質を反応させることを含み、前記反応物質は、ロジン、脂肪酸、アルデヒド及び、アルデヒド反応性に関して少なくとも三官能性であるフェノール性化合物を含み、ここで少なくとも三官能性である前記フェノール性化合物は、樹脂を形成するのに使用する全フェノール性化合物の少なくとも25重量%を構成することを特徴とする、前記プロセス。
  2. フェノールが前記フェノール性化合物の少なくとも35重量%を構成する、請求項1に記載のプロセス。
  3. フェノールが前記フェノール性化合物の少なくとも55重量%を構成する、請求項1に記載のプロセス。
  4. ロジンが前記反応物質の35〜85重量%を構成する、請求項1に記載のプロセス。
  5. ロジンが前記反応物質の35〜70重量%を構成する、請求項4に記載のプロセス。
  6. 前記脂肪酸が前記反応物質の5〜65重量%を構成する、請求項1に記載のプロセス。
  7. 前記脂肪酸が前記反応物質の5〜40重量%を構成する、請求項6に記載のプロセス。
  8. 前記アルデヒドが前記反応物質の2〜40重量%を構成する、請求項1に記載のプロセス。
  9. 前記アルデヒドが前記反応物質の5〜15重量%を構成する、請求項8に記載のプロセス。
  10. フェノール性化合物が前記反応物質の1〜50重量%を構成する、請求項1に記載のプロセス。
  11. フェノール性化合物が前記反応物質の5〜15重量%を構成する、請求項10に記載のプロセス。
  12. 前記脂肪酸がトール油脂肪酸(TOFA)である、請求項1に記載のプロセス。
  13. 前記アルデヒドがホルムアルデヒドを含む、請求項1に記載のプロセス。
  14. 前記ロジンがガムロジンを含む、請求項1に記載のプロセス。
  15. 前記ロジンがトール油ロジンを含む、請求項1に記載のプロセス。
  16. 前記反応物質がさらにポリオールを含む、請求項1に記載のプロセス。
  17. 前記ポリオールが前記成分の1〜15重量%を構成する、請求項16に記載のプロセス。
  18. 前記ポリオールがペンタエリスリトールを含む、請求項17に記載のプロセス。
  19. 前記反応物質がさらに、α,β-オレフィン性不飽和カルボニル化合物を含む、請求項1に記載のプロセス。
  20. 前記α,β-オレフィン性不飽和カルボニル化合物が前記成分の0.1〜8重量%を構成する、請求項19に記載のプロセス。
  21. 前記α,β-オレフィン性不飽和カルボニル化合物が無水マレイン酸を含む、請求項20に記載のプロセス。
  22. 請求項1に記載のプロセスにより製造した樹脂。
  23. 請求項1に記載のプロセスにより製造した樹脂と溶媒とを含むニス。
  24. 前記溶媒が炭化水素である、請求項23に記載のニス。
  25. 請求項22に記載の樹脂を含むリソグラフィックインク。
  26. 請求項22に記載の樹脂を含むグラビアインク。
  27. 樹脂酸、脂肪酸、アルデヒド及び、アルデヒド反応性に関して少なくとも三官能性であるフェノール性化合物を含む反応物質を、標準的な室温である23℃を上回る温度で反応させることを含む樹脂の製造プロセスであって、ここで前記脂肪酸は前記反応物質の重量の少なくとも5重量%を構成し、且つ前記樹脂は少なくとも105℃の軟化点を有することを特徴とする、前記プロセス。
  28. 前記樹脂が少なくとも120℃の軟化点を有する、請求項27に記載のプロセス。
  29. 前記脂肪酸が、前記反応物質の重量の少なくとも15重量%を構成する、請求項27に記載のプロセス。
  30. 前記脂肪酸が、前記反応物質の少なくとも20重量%を構成する、請求項27に記載のプロセス。
  31. 請求項27に記載のプロセスにより製造した樹脂。
  32. 請求項31に記載のプロセスにより製造した樹脂と溶媒とを含むニス。
  33. 前記溶媒が炭化水素である、請求項32に記載のニス。
  34. 請求項31に記載の樹脂を含むリソグラフィックインク。
  35. 請求項31に記載の樹脂を含むグラビアインク。
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