JP2019026727A - 樹脂組成物及び樹脂成形体 - Google Patents
樹脂組成物及び樹脂成形体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2019026727A JP2019026727A JP2017147172A JP2017147172A JP2019026727A JP 2019026727 A JP2019026727 A JP 2019026727A JP 2017147172 A JP2017147172 A JP 2017147172A JP 2017147172 A JP2017147172 A JP 2017147172A JP 2019026727 A JP2019026727 A JP 2019026727A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fatty acid
- acid ester
- oil fatty
- resin composition
- resin
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Abstract
【課題】樹脂成形体とした際の高い引張弾性率及び寸法変化の抑制を両立し得る樹脂組成物の提供。【解決手段】(A)重量平均分子量3万以上9万以下且つアセチル置換度2.1以上2.6以下のセルロースアセテートと、(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物と、を含む樹脂組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、樹脂組成物及び樹脂成形体に関する。
従来、樹脂組成物としては種々のものが提供され、各種用途に使用されている。樹脂組成物は、特に、家電製品や自動車の各種部品、筐体等に使用されている。また、事務機器、電子電気機器の筐体などの部品にも熱可塑性樹脂が使用されている。
近年では、植物由来の樹脂が利用されており、従来から知られている植物由来の樹脂の一つにセルロース誘導体がある。
近年では、植物由来の樹脂が利用されており、従来から知られている植物由来の樹脂の一つにセルロース誘導体がある。
例えば、特許文献1には、(A)セルロースエステル樹脂と、前記(A)セルロースエステル樹脂100質量部に対する量が5質量部以上10質量部以下である(B)エポキシ基含有可塑剤と、前記(A)セルロースエステル樹脂100質量部に対する量が10質量部以上30質量部以下であり、前記(A)セルロースエステル樹脂と反応し得る官能基を有しない(C)非反応性可塑剤と、を含む樹脂組成物が開示されている。
従来から、樹脂組成物として、セルロースにおける水酸基の一部又は全部がアセチル基で置換されたセルロースアセテートが用いられているが、これを用いて樹脂成形体を形成した際に寸法変化が生じることがあった。また、高い弾性率が期待されるセルロースアセテートにおいて、求められる弾性率を達成し得ないことがあった。
本発明の課題は、(A)セルロースアセテートの重量平均分子量が3万未満又は9万超えである場合、(A)セルロースアセテートのアセチル置換度が2.1未満又は2.6超えである場合、あるいは(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物を含まない場合に比べ、樹脂成形体とした際の高い引張弾性率及び寸法変化の抑制を両立し得る樹脂組成物を提供することにある。
上記課題は、以下の本発明によって達成される。
請求項1に係る発明は、
(A)重量平均分子量3万以上9万以下且つアセチル置換度2.1以上2.6以下のセルロースアセテートと、
(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物と、
を含む樹脂組成物。
(A)重量平均分子量3万以上9万以下且つアセチル置換度2.1以上2.6以下のセルロースアセテートと、
(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物と、
を含む樹脂組成物。
請求項2に係る発明は、
前記(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物は、炭素数4以上80以下のエポキシ化油脂肪酸エステルを主成分として含む請求項1に記載の樹脂組成物。
前記(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物は、炭素数4以上80以下のエポキシ化油脂肪酸エステルを主成分として含む請求項1に記載の樹脂組成物。
請求項3に係る発明は、
前記(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物がエポキシ化植物油脂肪酸エステル組成物である請求項1又は請求項2に記載の樹脂組成物。
前記(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物がエポキシ化植物油脂肪酸エステル組成物である請求項1又は請求項2に記載の樹脂組成物。
請求項4に係る発明は、
前記(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物がエポキシ化亜麻仁油脂肪酸エステル組成物である請求項3に記載の樹脂組成物。
前記(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物がエポキシ化亜麻仁油脂肪酸エステル組成物である請求項3に記載の樹脂組成物。
請求項5に係る発明は、
前記(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物は、開環したエポキシ基に結合し且つ下記式Eで表される構造を有するエステル基の炭素数が2以上20以下であるエポキシ化油脂肪酸エステルを主成分として含む請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
式E:−O−C(=O)−RE1
式E中、RE1は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
前記(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物は、開環したエポキシ基に結合し且つ下記式Eで表される構造を有するエステル基の炭素数が2以上20以下であるエポキシ化油脂肪酸エステルを主成分として含む請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
式E:−O−C(=O)−RE1
式E中、RE1は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
請求項6に係る発明は、
前記(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物のオキシラン酸素の濃度が3質量%以上15質量%以下である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
前記(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物のオキシラン酸素の濃度が3質量%以上15質量%以下である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
請求項7に係る発明は、
前記(A)セルロースアセテートと前記(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物との質量比(A)/(B)が10以上100以下である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
前記(A)セルロースアセテートと前記(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物との質量比(A)/(B)が10以上100以下である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
請求項8に係る発明は、
(C)可塑剤を含む請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
(C)可塑剤を含む請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
請求項9に係る発明は、
前記(C)可塑剤が、アジピン酸エステル含有化合物及びポリエーテルエステル化合物からなる群より選択される少なくとも一種である請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
前記(C)可塑剤が、アジピン酸エステル含有化合物及びポリエーテルエステル化合物からなる群より選択される少なくとも一種である請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
請求項10に係る発明は、
前記(A)セルロースアセテートと前記(C)可塑剤との質量比(A)/(C)が6以上20以下である請求項8又は請求項9に記載の樹脂組成物。
前記(A)セルロースアセテートと前記(C)可塑剤との質量比(A)/(C)が6以上20以下である請求項8又は請求項9に記載の樹脂組成物。
請求項11に係る発明は、
請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の樹脂組成物が成形された樹脂成形体。
請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の樹脂組成物が成形された樹脂成形体。
請求項12に係る発明は、
前記樹脂成形体が、射出成形体である請求項11に記載の樹脂成形体。
前記樹脂成形体が、射出成形体である請求項11に記載の樹脂成形体。
請求項1、2、3、又は4に係る発明によれば、(A)セルロースアセテートの重量平均分子量が3万未満又は9万超えである場合、(A)セルロースアセテートのアセチル置換度が2.1未満又は2.6超えである場合、及び(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物を含まない場合に比べ、樹脂成形体とした際の高い引張弾性率及び寸法変化の抑制を両立し得る樹脂組成物が提供される。
請求項5に係る発明によれば、開環したエポキシ基に結合し且つ前記式Eで表される構造を有するエステル基の炭素数が80を超えるエポキシ化油脂肪酸エステルを主成分として含む場合に比べ、樹脂成形体とした際に高い引張弾性率が得られる樹脂組成物が提供される。
請求項6に係る発明によれば、(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物のオキシラン酸素の濃度が3質量%未満である場合に比べ、樹脂成形体とした際の高い引張弾性率及び寸法変化の抑制を両立し得る樹脂組成物が提供される。
請求項7に係る発明によれば、(A)セルロースアセテートと(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物との質量比(A)/(B)が10未満又は100超えである場合に比べ、樹脂成形体とした際の高い引張弾性率及び寸法変化の抑制を両立し得る樹脂組成物が提供される。
請求項8、又は9に係る発明によれば、(A)重量平均分子量3万以上9万以下且つアセチル置換度2.1以上2.6以下のセルロースアセテート及び(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物のみを含み、可塑剤を含まない場合に比べ、樹脂成形体とした際の寸法変化を抑制し得る樹脂組成物が提供される。
請求項10に係る発明によれば、(A)セルロースアセテートと(C)可塑剤との質量比(A)/(C)が6未満又は20超えである場合に比べ、樹脂成形体とした際の高い引張弾性率及び寸法変化の抑制を両立し得る樹脂組成物が提供される。
請求項11、又は12に係る発明によれば、(A)セルロースアセテートの重量平均分子量が3万未満又は9万超えである樹脂組成物、(A)セルロースアセテートのアセチル置換度が2.1未満又は2.6超えである樹脂組成物、及び(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物を含まない樹脂組成物が成形された樹脂成形体に比べ、高い引張弾性率及び寸法変化の抑制を両立し得る樹脂成形体が提供される。
以下、本発明の樹脂組成物及び樹脂成形体の実施形態について説明する。
<樹脂組成物>
本実施形態に係る樹脂組成物は、(A)セルロースアセテートと、(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物と、を含み、(A)セルロースアセテートは重量平均分子量が3万以上9万以下、置換度が2.1以上2.6以下である。
本実施形態に係る樹脂組成物は、(A)セルロースアセテートと、(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物と、を含み、(A)セルロースアセテートは重量平均分子量が3万以上9万以下、置換度が2.1以上2.6以下である。
従来から、環境性に優れた樹脂材料として、非可食資源から生成し得るセルロース誘導体が用いられている。なお、セルロース誘導体は、その分子内及び分子間での水素結合性から樹脂材料として高い弾性率が期待でき、例えば金属代替など様々な用途に展開し得る可能性がある。
しかし、樹脂成形体を形成した後において寸法変化が生じることがあり、特に高温高湿環境(例えば65℃85%RH)下では、樹脂成形体の吸湿に伴って寸法変化が顕著に生じることがあった。また、求められる弾性率を達成し得ないことがあった。
しかし、樹脂成形体を形成した後において寸法変化が生じることがあり、特に高温高湿環境(例えば65℃85%RH)下では、樹脂成形体の吸湿に伴って寸法変化が顕著に生じることがあった。また、求められる弾性率を達成し得ないことがあった。
これに対し本実施形態では、(A)セルロースアセテートに(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物を混合し、且つ(A)セルロースアセテートの重量平均分子量を3万以上9万以下、置換度を2.1以上2.6以下とすることで、樹脂成形体とした際の高い引張弾性率及び寸法変化の抑制を両立し得る。
その理由は、以下のように推察される。
その理由は、以下のように推察される。
(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物(以下「成分(B)」とも称す)は、エポキシ基を有し且つそのエポキシ基の一部が脂肪酸によってエステル化された構造を有する油脂である。
(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物におけるエポキシ基は、(A)セルロースアセテート(以下「成分(A)」とも称す)との接触機会が多く、成分(A)が有する水酸基及びアセチル基の少なくとも一方と容易に反応する。これによって、成分(A)に成分(B)が結合して長い側鎖が生じて、高い熱可塑性が発現される。
また、成分(B)の脂肪酸エステル部(エポキシ基の一部に脂肪酸が結合してエステル化された部分)は、成分(A)の主鎖と親和性が高い。そのため、樹脂組成物から樹脂成形体を成形するにあたり、加熱により溶融された樹脂組成物が冷却されるときに、成分(A)の水素結合力、及び前記の高い熱可塑性の発現により、成分(A)と成分(B)が密に充填(パッキング)した構造が出来上がる。このことにより、樹脂成形体とした際に高い引張弾性率が得られ、且つ樹脂成形体とした際の寸法変化を抑制し得るものと推察される。
(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物におけるエポキシ基は、(A)セルロースアセテート(以下「成分(A)」とも称す)との接触機会が多く、成分(A)が有する水酸基及びアセチル基の少なくとも一方と容易に反応する。これによって、成分(A)に成分(B)が結合して長い側鎖が生じて、高い熱可塑性が発現される。
また、成分(B)の脂肪酸エステル部(エポキシ基の一部に脂肪酸が結合してエステル化された部分)は、成分(A)の主鎖と親和性が高い。そのため、樹脂組成物から樹脂成形体を成形するにあたり、加熱により溶融された樹脂組成物が冷却されるときに、成分(A)の水素結合力、及び前記の高い熱可塑性の発現により、成分(A)と成分(B)が密に充填(パッキング)した構造が出来上がる。このことにより、樹脂成形体とした際に高い引張弾性率が得られ、且つ樹脂成形体とした際の寸法変化を抑制し得るものと推察される。
ただし、成分(A)の重量平均分子量が3万未満であると、成分(A)自身が移動し易くなり、成分(B)との充填性(パッキング性)が弱まるため、高い引張弾性率も寸法変化の抑制も達成し得ない。また、成分(A)の重量平均分子量が9万を越えると、成分(A)同士の水素結合力が成分(B)との接触機会が減少し、高い引張弾性率も寸法変化の抑制も達成し得ない。
さらに、成分(A)のアセチル置換度が2.1未満であるか2.6を越える場合には、成分(A)の溶融性が低下することから、成分(B)との接触機会が減少し、高い引張弾性率も寸法変化の抑制も達成し得ない。
さらに、成分(A)のアセチル置換度が2.1未満であるか2.6を越える場合には、成分(A)の溶融性が低下することから、成分(B)との接触機会が減少し、高い引張弾性率も寸法変化の抑制も達成し得ない。
以上により、本実施形態では、樹脂成形体とした際の高い引張弾性率及び樹脂成形体とした際の寸法変化の抑制が両立されるもの考えられる。
以下、本実施形態に係る樹脂組成物の成分を詳細に説明する。
[(A)セルロースアセテート]
本実施形態に係る樹脂組成物は、重量平均分子量3万以上9万以下であり、置換度2.1以上2.6以下のセルロースアセテートを含む。
ここで、セルロースアセテートは、水酸基の少なくとも一部がアセチル基で置換されたセルロース誘導体であり、具体的には、下記一般式(1)で表されるセルロース誘導体である。
本実施形態に係る樹脂組成物は、重量平均分子量3万以上9万以下であり、置換度2.1以上2.6以下のセルロースアセテートを含む。
ここで、セルロースアセテートは、水酸基の少なくとも一部がアセチル基で置換されたセルロース誘導体であり、具体的には、下記一般式(1)で表されるセルロース誘導体である。
一般式(1)中、R1、R2、及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、又はアセチル基を表す。nは2以上の整数を表す。ただし、n個のR1、n個のR2、及びn個R3のうちの一部はアセチル基を表す。
一般式(1)中、nの範囲は特に制限されない。目的とする重量平均分子量の範囲に応じて決定されればよい。例えば、120以上330以下が挙げられる。
−重量平均分子量−
セルロースアセテートの重量平均分子量は、3万以上9万以下である。なお、樹脂成形体とした際に高い引張弾性率を得つつ且つ樹脂成形体とした際の寸法変化を抑制する観点から、4万以上9万以下が好ましく、6万以上8万以下がより好ましい。
セルロースアセテートの重量平均分子量は、3万以上9万以下である。なお、樹脂成形体とした際に高い引張弾性率を得つつ且つ樹脂成形体とした際の寸法変化を抑制する観点から、4万以上9万以下が好ましく、6万以上8万以下がより好ましい。
重量平均分子量(Mw)は、ジメチルアセトアミド/塩化リチウム=90/10(質量比)溶液を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ装置(GPC装置:東ソー社製、HLC−8320GPC、カラム:TSKgelα−M)にてポリスチレン換算で測定する。
−置換度−
セルロースアセテートの置換度は、2.1以上2.6以下である。なお、樹脂成形体とした際に高い引張弾性率を得つつ且つ樹脂成形体とした際の寸法変化を抑制する観点から、2.15以上2.6以下であることが好ましく、2.2以上2.5以下であることがより好ましく、2.2以上2.45以下であることがさらに好ましい。
セルロースアセテートの置換度は、2.1以上2.6以下である。なお、樹脂成形体とした際に高い引張弾性率を得つつ且つ樹脂成形体とした際の寸法変化を抑制する観点から、2.15以上2.6以下であることが好ましく、2.2以上2.5以下であることがより好ましく、2.2以上2.45以下であることがさらに好ましい。
ここで、置換度とは、セルロースが有する水酸基がアセチル基により置換されている程度を示す指標である。つまり、置換度は、セルロースアセテートのアセチル化の程度を示す指標となる。具体的には、置換度はセルロースアセテートのD−グルコピラノース単位に3個ある水酸基がアセチル基で置換された置換個数の分子内平均を意味する。
置換度は、H1−NMR(JMN−ECA/JEOL RESONANCE社製)にて、セルロース由来水素とアセチル基由来ピークの積分比から求める。なお、例えば、セルロースアセテートの構成単位分子量は、アセチル基の置換度が2.4のとき263、アセチル基の置換度が2.9のとき284となる。
置換度は、H1−NMR(JMN−ECA/JEOL RESONANCE社製)にて、セルロース由来水素とアセチル基由来ピークの積分比から求める。なお、例えば、セルロースアセテートの構成単位分子量は、アセチル基の置換度が2.4のとき263、アセチル基の置換度が2.9のとき284となる。
セルロースアセテートの重合度の好適な範囲としては、例えば、120以上330以下、200以上300以下、250以上300以下が挙げられる。セルロースアセテートの重合度が上記範囲であると、曲げ弾性率の低下を抑制しつつ、耐衝撃強さが向上している樹脂成形体が得られやすくなる。
なお、セルロースアセテートの重合度は、以下の手順で重量平均分子量から求める。
まず、セルロースアセテートの重量平均分子量を前記方法により測定する。
次いで、セルロースアセテートの構成単位分子量で割ることで、セルロースアセテートの重合度を求める。
まず、セルロースアセテートの重量平均分子量を前記方法により測定する。
次いで、セルロースアセテートの構成単位分子量で割ることで、セルロースアセテートの重合度を求める。
セルロースアセテートの製造方法は、特に制限はなく、例えば、セルロースに対し、アセチル化、及び、低分子量化(解重合)、並びに、必要に応じて、脱アセチル化を行う方法により好適に製造される。また、市販品のセルロースアセテートを、予め定められた重量平均分子量となるように、低分子量化(解重合)等を行って製造してもよい。
[(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物]
本実施形態に係る樹脂組成物は、エポキシ化油脂肪酸エステル組成物を含む。
エポキシ化油脂肪酸エステル組成物とは、エポキシ基を有する油脂であって且つそのエポキシ基の一部が脂肪酸によってエステル化された構造を有する。
本実施形態に係る樹脂組成物は、エポキシ化油脂肪酸エステル組成物を含む。
エポキシ化油脂肪酸エステル組成物とは、エポキシ基を有する油脂であって且つそのエポキシ基の一部が脂肪酸によってエステル化された構造を有する。
・エポキシ化油脂肪酸エステル組成物の合成
ここで、エポキシ化油脂肪酸エステル組成物の合成について説明する。
ここで、エポキシ化油脂肪酸エステル組成物の合成について説明する。
まず油脂について説明する。
油脂は、一般的に、グリセリンが有する3つの−OH基にそれぞれ脂肪酸が結合したトリグリセリドの構造を有し、例えば下記(式F)で表される構造を有する。そして、油脂は通常、グリセリンの−OH基部分に結合する3つの脂肪酸(下記(式F)におけるRf1、Rf2及びRf3)として複数種の脂肪酸が結合しており、且つその3つの脂肪酸の組合せが異なる複数種の化合物の混合物である。
油脂は、一般的に、グリセリンが有する3つの−OH基にそれぞれ脂肪酸が結合したトリグリセリドの構造を有し、例えば下記(式F)で表される構造を有する。そして、油脂は通常、グリセリンの−OH基部分に結合する3つの脂肪酸(下記(式F)におけるRf1、Rf2及びRf3)として複数種の脂肪酸が結合しており、且つその3つの脂肪酸の組合せが異なる複数種の化合物の混合物である。
(式F)
(式F)中、Rf1、Rf2及びRf3は、それぞれ独立に、脂肪酸の残基を表す。
なお、脂肪酸の残基とは、脂肪酸つまり鎖式構造を有する一価のカルボン酸(構造式:Rf4−C(=O)−OH(Rf4はアルキル基))におけるカルボキシ基の「−OH」部分が除かれた基を表す。
なお、脂肪酸の残基とは、脂肪酸つまり鎖式構造を有する一価のカルボン酸(構造式:Rf4−C(=O)−OH(Rf4はアルキル基))におけるカルボキシ基の「−OH」部分が除かれた基を表す。
油脂においてグリセリンの−OH基部分に結合する脂肪酸(上記(式F)におけるRf1、Rf2及びRf3)としては、炭素数4以上80以下(より好ましくは8以上60以下)の脂肪酸が好ましい。
具体的には、カブリル酸(炭素数:二重結合数(以下同じ)=8:0)、カブリン酸(10:0)、ラウリン酸(12:0)、ミリスチン酸(14:0)、パルミチン酸(16:0)、パルミトレイン酸(16:1)、ステアリン酸(18:0)、オレイン酸(18:1)、リノール酸(18:2)、リノレン酸(18:3)、アラキジン酸(20:0)、エイコセン酸(20:1)、ベヘン酸(ベヘニン酸)(22:0)、エルカ酸(エルシン酸)(22:1)、リグノセリン酸(24:0)等が挙げられる。
代表的なものの構造例を、以下に示す。
具体的には、カブリル酸(炭素数:二重結合数(以下同じ)=8:0)、カブリン酸(10:0)、ラウリン酸(12:0)、ミリスチン酸(14:0)、パルミチン酸(16:0)、パルミトレイン酸(16:1)、ステアリン酸(18:0)、オレイン酸(18:1)、リノール酸(18:2)、リノレン酸(18:3)、アラキジン酸(20:0)、エイコセン酸(20:1)、ベヘン酸(ベヘニン酸)(22:0)、エルカ酸(エルシン酸)(22:1)、リグノセリン酸(24:0)等が挙げられる。
代表的なものの構造例を、以下に示す。
一例として、グリセリンの3つの−OH基部分に脂肪酸としてパルミチン酸(16:0)、オレイン酸(18:1)、及びステアリン酸(18:0)が結合した化合物が油脂に含まれる場合、その構造は例えば下記(式F−1)に示す構造となる。
(式F−1)
(式F−1)
なお、例えば植物油である亜麻仁油は、一般的に、パルミチン酸(16:0)、パルミトレイン酸(16:1)、ステアリン酸(18:0)、オレイン酸(18:1)、リノール酸(18:2)、リノレン酸(18:3)、アラキジン酸(20:0)、及びエイコセン酸(20:1)等が、グリセリンの3つの−OH基部分に結合した化合物の混合物である。また、植物油である大豆油は、一般的に、ミリスチン酸(14:0)、パルミチン酸(16:0)、パルミトレイン酸(16:1)、ステアリン酸(18:0)、オレイン酸(18:1)、リノール酸(18:2)、リノレン酸(18:3)、アラキジン酸(20:0)、エイコセン酸(20:1)、ベヘン酸(ベヘニン酸)(22:0)、及びリグノセリン酸(24:0)等が、グリセリンの3つの−OH基部分に結合した化合物の混合物である。
本実施形態におけるエポキシ化油脂肪酸エステル組成物は、エポキシ基を有し且つそのエポキシ基の一部が脂肪酸によってエステル化された構造を有する。このエポキシ化油脂肪酸エステル組成物は、例えば油脂をエポキシ化し且つそのエポキシ基の一部を脂肪酸によってエステル化することで得られる。
ここで、エポキシ化について説明する。
油脂のエポキシ化は、例えば油脂が有するC=C二重結合(エチレン性二重結合)に対し、エポキシ化剤によって酸素1原子を付加させて3員環のエポキシ基とすることで行なわれる。なお、油脂は例えば脂肪酸の残基(上記(式F)におけるRf1、Rf2及びRf3)部分にエチレン性二重結合を有しており、このエチレン性二重結合がエポキシ化される。
例えば、グリセリンにパルミチン酸(16:0)、オレイン酸(18:1)、及びステアリン酸(18:0)が結合した前記(式F−1)に示す構造の化合物におけるエチレン性二重結合がエポキシ化された場合、その構造は例えば下記(式F−2)に示す構造となる。
(式F−2)
油脂のエポキシ化は、例えば油脂が有するC=C二重結合(エチレン性二重結合)に対し、エポキシ化剤によって酸素1原子を付加させて3員環のエポキシ基とすることで行なわれる。なお、油脂は例えば脂肪酸の残基(上記(式F)におけるRf1、Rf2及びRf3)部分にエチレン性二重結合を有しており、このエチレン性二重結合がエポキシ化される。
例えば、グリセリンにパルミチン酸(16:0)、オレイン酸(18:1)、及びステアリン酸(18:0)が結合した前記(式F−1)に示す構造の化合物におけるエチレン性二重結合がエポキシ化された場合、その構造は例えば下記(式F−2)に示す構造となる。
(式F−2)
なお、エポキシ化剤としては、例えば、過ギ酸、過酢酸、過安息香酸、m−クロロ過安息香酸、過酸化水素、ペルオキシ一硫酸カリウム、金属のオキソ錯体、などの有機過酸が用いられる。
次いで、脂肪酸によるエステル化について説明する。
エポキシ化された油脂(エポキシ化油)におけるエポキシ基の一部が脂肪酸によってエステル化されることで、本実施形態におけるエポキシ化油脂肪酸エステル組成物が得られる。エポキシ化油のエポキシ基を脂肪酸によってエステル化する方法としては、特に限定はなく、従来公知の方法を採用し得る。
エポキシ化された油脂(エポキシ化油)におけるエポキシ基の一部が脂肪酸によってエステル化されることで、本実施形態におけるエポキシ化油脂肪酸エステル組成物が得られる。エポキシ化油のエポキシ基を脂肪酸によってエステル化する方法としては、特に限定はなく、従来公知の方法を採用し得る。
このエポキシ基の一部をエステル化する脂肪酸としては、炭素数2以上80以下(好ましくは炭素数2以上50以下、より好ましくは炭素数2以上20以下、さらに好ましくは炭素数4以上10以下)の脂肪酸が好ましい。
具体的には、ペンタン酸(吉草酸)(炭素数:二重結合数(以下同じ)=5:0)、2−エチルヘプタン酸(9:0)等が挙げられる。
具体的には、ペンタン酸(吉草酸)(炭素数:二重結合数(以下同じ)=5:0)、2−エチルヘプタン酸(9:0)等が挙げられる。
例えば、前記(式F−2)に示す構造のエポキシ化された化合物が、さらに脂肪酸であるペンタン酸(5:0)によってエステル化された場合、その構造は例えば下記(式F−3)に示す構造となる。
(式F−3)
(式F−3)
このように、油脂、つまりグリセリンにおける3つの−OH基部分に複数種の脂肪酸が結合した異なる構造のトリグリセリドの混合物に対し、該油脂が有するC=C二重結合(エチレン性二重結合)の少なくとも一部をエポキシ化し、且つそのエポキシ基の一部を脂肪酸によってエステル化することで、本実施形態におけるエポキシ化油脂肪酸エステル組成物が得られる。
・主成分の炭素数
本実施形態におけるエポキシ化油脂肪酸エステル組成物は、異なる構造のエポキシ化油脂肪酸エステルの混合物である。このエポキシ化油脂肪酸エステル組成物においては、炭素数4以上80以下のエポキシ化油脂肪酸エステルが主成分であることが好ましい。なお、本明細書において「主成分」とは含有率が質量比で50質量%以上であることを意味する。上記含有率はより好ましくは60質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上である。
また、炭素数6以上70以下のエポキシ化油脂肪酸エステルが主成分(より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上)であることがより好ましく、炭素数8以上60以下のエポキシ化油脂肪酸エステルが主成分(より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上)であることがさらに好ましい。
炭素数が上記範囲であるエポキシ化油脂肪酸エステルを主成分とすることで、樹脂成形体とした際の高い引張弾性率及び樹脂成形体とした際の寸法変化の抑制の効果がより奏され易くなる。
本実施形態におけるエポキシ化油脂肪酸エステル組成物は、異なる構造のエポキシ化油脂肪酸エステルの混合物である。このエポキシ化油脂肪酸エステル組成物においては、炭素数4以上80以下のエポキシ化油脂肪酸エステルが主成分であることが好ましい。なお、本明細書において「主成分」とは含有率が質量比で50質量%以上であることを意味する。上記含有率はより好ましくは60質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上である。
また、炭素数6以上70以下のエポキシ化油脂肪酸エステルが主成分(より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上)であることがより好ましく、炭素数8以上60以下のエポキシ化油脂肪酸エステルが主成分(より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上)であることがさらに好ましい。
炭素数が上記範囲であるエポキシ化油脂肪酸エステルを主成分とすることで、樹脂成形体とした際の高い引張弾性率及び樹脂成形体とした際の寸法変化の抑制の効果がより奏され易くなる。
エポキシ化油脂肪酸エステル組成物に含まれるエポキシ化油脂肪酸エステルの炭素数の構成比は、以下の方法により測定し得る。
テトラヒドロフランを溶剤として高速液体クロマトグラフ(HPLC)装置にて各成分を分離、各々の成分のマススペクトルを測定することにより測定できる。
テトラヒドロフランを溶剤として高速液体クロマトグラフ(HPLC)装置にて各成分を分離、各々の成分のマススペクトルを測定することにより測定できる。
・エポキシ化油脂肪酸エステル組成物の種類
本実施形態におけるエポキシ化油脂肪酸エステル組成物は、エポキシ化植物油脂肪酸エステル組成物(つまり植物性油脂を由来とするエポキシ化油脂肪酸エステル組成物)であっても、エポキシ化動物油脂肪酸エステル組成物(つまり動物性油脂を由来とするエポキシ化油脂肪酸エステル組成物)であってもよく、またこれ以外の油脂を由来とするエポキシ化油脂肪酸エステル組成物であってもよい。
中でも、エポキシ化植物油脂肪酸エステル組成物であることが好ましく、例えば植物性油脂をエポキシ化し且つそのエポキシ基の一部を脂肪酸によってエステル化したエポキシ化油脂肪酸エステル組成物であることが好ましい。
本実施形態におけるエポキシ化油脂肪酸エステル組成物は、エポキシ化植物油脂肪酸エステル組成物(つまり植物性油脂を由来とするエポキシ化油脂肪酸エステル組成物)であっても、エポキシ化動物油脂肪酸エステル組成物(つまり動物性油脂を由来とするエポキシ化油脂肪酸エステル組成物)であってもよく、またこれ以外の油脂を由来とするエポキシ化油脂肪酸エステル組成物であってもよい。
中でも、エポキシ化植物油脂肪酸エステル組成物であることが好ましく、例えば植物性油脂をエポキシ化し且つそのエポキシ基の一部を脂肪酸によってエステル化したエポキシ化油脂肪酸エステル組成物であることが好ましい。
植物性油脂としては、亜麻仁油、大豆油、ひまし油、オリーブ油等が挙げられる。
動物性油脂としては、牛脂、豚脂等が挙げられる。
動物性油脂としては、牛脂、豚脂等が挙げられる。
中でも、樹脂成形体とした際の高い引張弾性率及び樹脂成形体とした際の寸法変化の抑制の効果がより奏され易くなるとの観点から、亜麻仁油を由来とするエポキシ化油脂肪酸エステル組成物(エポキシ化亜麻仁油脂肪酸エステル組成物)が好ましく、エポキシ化亜麻仁油脂肪酸エステル組成物がより好ましい。
なお本実施形態では、エポキシ化油脂肪酸エステル組成物として市販品を用いてもよい。エポキシ化油脂肪酸エステル組成物の市販品としては、三和合成化学(株)製の「ケミサイザーLE−3000」(エポキシ化亜麻仁油ブチルエステル)、同「ケミサイザーLE−2010」(エポキシ化大豆油−2−エチルヘキシルエステル)、同「ケミサイザーLE−3010」(エポキシ化亜麻仁油−2−エチルヘキシルエステル)等が挙げられる。
・開環したエポキシ基に結合するエステル基
本実施形態におけるエポキシ化油脂肪酸エステル組成物は、エポキシ基の一部が脂肪酸によってエステル化された構造を有する。つまり、開環したエポキシ基に結合し且つ下記(式E)で表される構造を有するエステル基を有する。
(式E):−O−C(=O)−RE1
((式E)中、RE1は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。)
なお、この(式E)で表される構造を有するエステル基は、前述の合成方法においては、エポキシ化された油脂(エポキシ化油)におけるエポキシ基の一部が脂肪酸によってエステル化されることで導入される。
本実施形態におけるエポキシ化油脂肪酸エステル組成物は、エポキシ基の一部が脂肪酸によってエステル化された構造を有する。つまり、開環したエポキシ基に結合し且つ下記(式E)で表される構造を有するエステル基を有する。
(式E):−O−C(=O)−RE1
((式E)中、RE1は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。)
なお、この(式E)で表される構造を有するエステル基は、前述の合成方法においては、エポキシ化された油脂(エポキシ化油)におけるエポキシ基の一部が脂肪酸によってエステル化されることで導入される。
エポキシ化油脂肪酸エステル組成物は、上記(式E)で表される構造を有するエステル基として、炭素数2以上80以下のエステル基のみを有するエポキシ化油脂肪酸エステルが主成分(質量比で50質量%以上)であることが好ましい。なお、その含有率はより好ましくは60質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上である。
また、炭素数2以上50以下のエステル基のみを有するエポキシ化油脂肪酸エステルが主成分(より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上)であることがより好ましく、炭素数2以上20以下のエステル基のみを有するエポキシ化油脂肪酸エステルが主成分(より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上)であることがさらに好ましく、炭素数4以上10以下のエステル基のみを有するエポキシ化油脂肪酸エステルが主成分(より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上)であることが特に好ましい。
炭素数が上記範囲であるエステル基のみを有するエポキシ化油脂肪酸エステルを主成分とすることで、樹脂成形体とした際の高い引張弾性率及び樹脂成形体とした際の寸法変化の抑制の効果がより奏され易くなる。
また、炭素数2以上50以下のエステル基のみを有するエポキシ化油脂肪酸エステルが主成分(より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上)であることがより好ましく、炭素数2以上20以下のエステル基のみを有するエポキシ化油脂肪酸エステルが主成分(より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上)であることがさらに好ましく、炭素数4以上10以下のエステル基のみを有するエポキシ化油脂肪酸エステルが主成分(より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上)であることが特に好ましい。
炭素数が上記範囲であるエステル基のみを有するエポキシ化油脂肪酸エステルを主成分とすることで、樹脂成形体とした際の高い引張弾性率及び樹脂成形体とした際の寸法変化の抑制の効果がより奏され易くなる。
エポキシ化油脂肪酸エステル組成物における、開環したエポキシ基に結合し上記(式E)で表される構造を有するエステル基の炭素数の構成比は、下記方法により測定し得る。
テトラヒドロフランを溶剤として高速液体クロマトグラフ(HPLC)装置にて各成分を分離、各々の成分のマススペクトルを測定することにより測定できる。
テトラヒドロフランを溶剤として高速液体クロマトグラフ(HPLC)装置にて各成分を分離、各々の成分のマススペクトルを測定することにより測定できる。
・オキシラン酸素濃度
本実施形態におけるエポキシ化油脂肪酸エステル組成物中におけるエポキシ基の含有率の指標として、そのオキシラン酸素の濃度は3質量%以上15質量%以下であることが好ましく、5質量%以上13質量%以下であることがより好ましく、6質量%以上11質量%以下であることがさらに好ましい。
オキシラン酸素濃度が上記の下限値以上であることで、エポキシ基による(A)セルロースアセテートの水酸基、アセチル基との反応がより生じ易くなり、高い熱可塑性の発現に伴って、樹脂成形体とした際の高い引張弾性率及び樹脂成形体とした際の寸法変化の抑制の効果がより奏され易くなる。
一方、オキシラン酸素濃度が上記の上限値以下であることで、エポキシ基の反応性が過剰になり、セルロースアセテートの水酸基と結合してしまうことを制御できる。
本実施形態におけるエポキシ化油脂肪酸エステル組成物中におけるエポキシ基の含有率の指標として、そのオキシラン酸素の濃度は3質量%以上15質量%以下であることが好ましく、5質量%以上13質量%以下であることがより好ましく、6質量%以上11質量%以下であることがさらに好ましい。
オキシラン酸素濃度が上記の下限値以上であることで、エポキシ基による(A)セルロースアセテートの水酸基、アセチル基との反応がより生じ易くなり、高い熱可塑性の発現に伴って、樹脂成形体とした際の高い引張弾性率及び樹脂成形体とした際の寸法変化の抑制の効果がより奏され易くなる。
一方、オキシラン酸素濃度が上記の上限値以下であることで、エポキシ基の反応性が過剰になり、セルロースアセテートの水酸基と結合してしまうことを制御できる。
・エポキシ化油脂肪酸エステル組成物の含有率
本実施形態におけるエポキシ化油脂肪酸エステル組成物では、(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物の(A)セルロースアセテートに対する質量比(A)/(B)が、10以上100以下であることが好ましい。なお、質量比(A)/(B)は、より好ましくは15以上90以下であり、さらに好ましくは20以上80以下である。
質量比(A)/(B)が100以下であることで、樹脂成形体とした際の高い引張弾性率が得られ易くなる。一方、質量比(A)/(B)が10以上であることで、樹脂成形体とした際の寸法変化が抑制され易くなる。
本実施形態におけるエポキシ化油脂肪酸エステル組成物では、(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物の(A)セルロースアセテートに対する質量比(A)/(B)が、10以上100以下であることが好ましい。なお、質量比(A)/(B)は、より好ましくは15以上90以下であり、さらに好ましくは20以上80以下である。
質量比(A)/(B)が100以下であることで、樹脂成形体とした際の高い引張弾性率が得られ易くなる。一方、質量比(A)/(B)が10以上であることで、樹脂成形体とした際の寸法変化が抑制され易くなる。
[(C)可塑剤]
本実施形態に係る樹脂組成物は、さらに、可塑剤を含んでいてもよい。
可塑剤としては、例えば、アジピン酸エステル含有化合物、ポリエーテルエステル化合物、縮合りん酸エステル化合物、セバシン酸エステル化合物、グリコールエステル化合物、酢酸エステル化合物、二塩基酸エステル化合物、リン酸エステル化合物、フタル酸エステル化合物、樟脳、クエン酸エステル化合物、ステアリン酸エステル化合物、金属石鹸、ポリオール化合物、ポリアルキレンオキサイド化合物等が挙げられる。
これらの中でも、樹脂成形体とした際の寸法変化を抑制し易くする観点から、アジピン酸エステル含有化合物及びポリエーテルエステル化合物からなる群より選択される少なくとも一種の可塑剤を含むことが好ましい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、さらに、可塑剤を含んでいてもよい。
可塑剤としては、例えば、アジピン酸エステル含有化合物、ポリエーテルエステル化合物、縮合りん酸エステル化合物、セバシン酸エステル化合物、グリコールエステル化合物、酢酸エステル化合物、二塩基酸エステル化合物、リン酸エステル化合物、フタル酸エステル化合物、樟脳、クエン酸エステル化合物、ステアリン酸エステル化合物、金属石鹸、ポリオール化合物、ポリアルキレンオキサイド化合物等が挙げられる。
これらの中でも、樹脂成形体とした際の寸法変化を抑制し易くする観点から、アジピン酸エステル含有化合物及びポリエーテルエステル化合物からなる群より選択される少なくとも一種の可塑剤を含むことが好ましい。
−アジピン酸エステル含有化合物−
アジピン酸エステル含有化合物(アジピン酸エステルを含む化合物)とは、アジピン酸エステル単独の化合物、又は、アジピン酸エステルとアジピン酸エステル以外の成分(アジピン酸エステルとは異なる化合物)との混合物であることを示す。但し、アジピン酸エステル含有化合物は、アジピン酸エステルを全成分に対して50質量%以上で含むことがよい。
アジピン酸エステル含有化合物(アジピン酸エステルを含む化合物)とは、アジピン酸エステル単独の化合物、又は、アジピン酸エステルとアジピン酸エステル以外の成分(アジピン酸エステルとは異なる化合物)との混合物であることを示す。但し、アジピン酸エステル含有化合物は、アジピン酸エステルを全成分に対して50質量%以上で含むことがよい。
アジピン酸エステルとしては、例えば、アジピン酸ジエステル、アジピン酸ポリエステルが挙げられる。具体的には、下記一般式(AE−1)で示されるアジピン酸ジエステル、及び下記一般式(AE−2)で示されるアジピン酸ポリエステル等が挙げられる。
一般式(AE−1)及び(AE−2)中、RAE1及びRAE2は、それぞれ独立に、アルキル基、又はポリオキシアルキル基[−(CxH2X−O)y−RA1](但し、RA1はアルキル基を表す。xは1以上6以下の整数を表す。yは1以上6以下の整数を表す。)を表す。
RAE3は、アルキレン基を表す。
m1は、1以上5以下の整数を表す。
m2は、1以上10以下の整数を表す。
RAE3は、アルキレン基を表す。
m1は、1以上5以下の整数を表す。
m2は、1以上10以下の整数を表す。
一般式(AE−1)及び(AE−2)中、RAE1及びRAE2が表すアルキル基は、炭素数1以上6以下のアルキル基が好ましく、炭素数1以上4以下のアルキル基がより好ましい。RAE1及びRAE2が表すアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよいが、直鎖状、分岐状が好ましい。
一般式(AE−1)及び(AE−2)中、RAE1及びRAE2が表すポリオキシアルキル基[−(CxH2X−O)y−RA1]において、RA1が表すアルキル基は、炭素数1以上6以下のアルキル基が好ましく、炭素数1以上4以下のアルキル基がより好ましい。RA1が表すアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよいが、直鎖状、分岐状が好ましい。xは、1以上6以下の整数を表す。yは、1以上6以下の整数を表す。
一般式(AE−2)中、RAE3が表すアルキレン基は、炭素数1以上6以下のアルキレン基が好ましく、炭素数1以上4以下のアルキレン基がより好ましい。アルキレン基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよいが、直鎖状、分岐状が好ましい。
一般式(AE−1)及び(AE−2)中、各符号が表す基は、置換基で置換されていてもよい。置換基としては、アルキル基、アリール基、ヒドロキシル基等が挙げられる。
アジピン酸エステルの分子量(または重量平均分子量)は、100以上10000以下が好ましく、200以上3000以下がより好ましい。なお、重量平均分子量は、前述のポリエーテルエステル化合物の重量平均分子量と同様の測定方法により測定された値である。
以下、アジピン酸エステル含有化合物の具体例を示すが、これに限られるわけではない。
−ポリエーテルエステル化合物−
ポリエーテルエステル化合物として具体的には、例えば、一般式(EE)で表されるポリエーテルエステル化合物が挙げられる。
ポリエーテルエステル化合物として具体的には、例えば、一般式(EE)で表されるポリエーテルエステル化合物が挙げられる。
一般式(EE)中、REE1及びREE2はそれぞれ独立に、炭素数2以上10以下のアルキレン基を表す。AEE1及びAEE2はそれぞれ独立に、炭素数1以上6以下のアルキル基、炭素数6以上12以下のアリール基、又は、炭素数7以上18以下のアラルキル基を表す。mは、1以上の整数を表す。
一般式(EE)中、REE1が表すアルキレン基としては、炭素数3以上10以下のアルキレン基が好ましく、炭素数3以上6以下のアルキレン基がより好ましい。REE1が表すアルキレン基は、直鎖状、分岐状、及び環式のいずれであってもよいが、直鎖状が好ましい。
REE1が表すアルキレン基の炭素数を3以上にすると、樹脂組成物の流動性の低下が抑制され、熱可塑性が発現しやすくなる。REE1が表すアルキレン基の炭素数を10以下又はREE1が表すアルキレン基を直鎖状にすると、セルロースアセテートとの親和性が高まりやすくなる。このため、REE1が表すアルキレン基を直鎖状とし、且つ炭素数を上記範囲とすると、樹脂組成物の成形性が向上する。
これら観点から、特に、REE1が表すアルキレン基は、n−ヘキシレン基(−(CH2)6−)が好ましい。つまり、ポリエーテルエステル化合物は、REE1としてn−ヘキシレン基(−(CH2)6−)を表す化合物であることが好ましい。
REE1が表すアルキレン基の炭素数を3以上にすると、樹脂組成物の流動性の低下が抑制され、熱可塑性が発現しやすくなる。REE1が表すアルキレン基の炭素数を10以下又はREE1が表すアルキレン基を直鎖状にすると、セルロースアセテートとの親和性が高まりやすくなる。このため、REE1が表すアルキレン基を直鎖状とし、且つ炭素数を上記範囲とすると、樹脂組成物の成形性が向上する。
これら観点から、特に、REE1が表すアルキレン基は、n−ヘキシレン基(−(CH2)6−)が好ましい。つまり、ポリエーテルエステル化合物は、REE1としてn−ヘキシレン基(−(CH2)6−)を表す化合物であることが好ましい。
一般式(EE)中、REE2が表すアルキレン基としては、炭素数3以上10以下のアルキレン基が好ましく、炭素数3以上6以下のアルキレン基がより好ましい。REE2が表すアルキレン基は、直鎖状、分岐状、及び環式のいずれであってもよいが、直鎖状が好ましい。
REE2が表すアルキレン基の炭素数を3以上にすると、樹脂組成物の流動性の低下が抑制され、熱可塑性が発現しやすくなる。REE2が表すアルキレン基の炭素数を10以下又はREE2が表すアルキレン基を直鎖状にすると、セルロースアセテートとの親和性が高まりやすくなる。このため、REE2が表すアルキレン基を直鎖状とし、且つ炭素数を上記範囲とすると、樹脂組成物の成形性が向上する。
これら観点から、特に、REE2が表すアルキレン基は、n−ブチレン基(−(CH2)4−)が好ましい。つまり、ポリエーテルエステル化合物は、REE2としてn−ブチレン基(−(CH2)4−)を表す化合物であることが好ましい。
REE2が表すアルキレン基の炭素数を3以上にすると、樹脂組成物の流動性の低下が抑制され、熱可塑性が発現しやすくなる。REE2が表すアルキレン基の炭素数を10以下又はREE2が表すアルキレン基を直鎖状にすると、セルロースアセテートとの親和性が高まりやすくなる。このため、REE2が表すアルキレン基を直鎖状とし、且つ炭素数を上記範囲とすると、樹脂組成物の成形性が向上する。
これら観点から、特に、REE2が表すアルキレン基は、n−ブチレン基(−(CH2)4−)が好ましい。つまり、ポリエーテルエステル化合物は、REE2としてn−ブチレン基(−(CH2)4−)を表す化合物であることが好ましい。
一般式(EE)中、AEE1、及びAEE2が表すアルキル基は、炭素数1以上6以下のアルキル基であり、炭素数2以上4以下のアルキル基がより好ましい。AEE1、及びAEE2が表すアルキル基は、直鎖状、分岐状、及び環式のいずれであってもよいが、分岐状が好ましい。
AEE1、及びAEE2が表すアリール基は、炭素数6以上12以下のアリール基であり、フェニル基、ナフチル基等の無置換アリール基、又はt−ブチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基等の置換フェニル基が挙げられる。
AEE1、及びAEE2が表すアラルキル基としては、−RA−Phで示される基である。RAは、直鎖状又は分岐状の炭素数1以上6以下(好ましくは炭素数2以上4以下)のアルキレン基を表す。Phは、無置換フェニル基、又は直鎖状若しくは分岐状の炭素数1以上6以下(好ましくは炭素数2以上6以下)のアルキル基で置換された置換フェニル基を表す。アラルキル基として具体的には、例えば、ベンジル基、フェニルメチル基(フェネチル基)、フェニルプロピル基、フェニルブチル基等の無置換アラルキル基、又はメチルベンジル基、ジメチルベンジル基、メチルフェネチル基等の置換アラルキル基が挙げられる。
AEE1、及びAEE2が表すアリール基は、炭素数6以上12以下のアリール基であり、フェニル基、ナフチル基等の無置換アリール基、又はt−ブチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基等の置換フェニル基が挙げられる。
AEE1、及びAEE2が表すアラルキル基としては、−RA−Phで示される基である。RAは、直鎖状又は分岐状の炭素数1以上6以下(好ましくは炭素数2以上4以下)のアルキレン基を表す。Phは、無置換フェニル基、又は直鎖状若しくは分岐状の炭素数1以上6以下(好ましくは炭素数2以上6以下)のアルキル基で置換された置換フェニル基を表す。アラルキル基として具体的には、例えば、ベンジル基、フェニルメチル基(フェネチル基)、フェニルプロピル基、フェニルブチル基等の無置換アラルキル基、又はメチルベンジル基、ジメチルベンジル基、メチルフェネチル基等の置換アラルキル基が挙げられる。
AEE1、及びAEE2の少なくとも一方は、アリール基又はアラルキル基を表すことが好ましい。つまり、ポリエーテルエステル化合物は、AEE1、及びAEE2の少なくとも一方としてアリール基(好ましくはフェニル基)又はアラルキル基を表す化合物であることが好ましく、AEE1、及びAEE2の双方としてアリール基(好ましくはフェニル基)又はアラルキル基を表す化合物であることが好ましい。
次に、ポリエーテルエステル化合物の特性について説明する。
ポリエーテルエステル化合物の重量平均分子量(Mw)は、450以上650以下が好ましく、500以上600以下がより好ましい。
重量平均分子量(Mw)を450以上にすると、ブリード(析出する現象)し難くなる。重量平均分子量(Mw)を650以下にすると、セルロースアセテートとの親和性が高まりやすくなる。このため、重量平均分子量(Mw)を上記範囲にすると、樹脂組成物の成形性が向上する。
なお、ポリエーテルエステル化合物の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定される値である。具体的には、GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー(株)製、HPLC1100を用い、東ソー(株)製カラム・TSKgel GMHHR−M+TSKgel GMHHR−M(7.8mmI.D.30cm)を使用し、クロロホルム溶媒で行う。そして、重量平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
重量平均分子量(Mw)を450以上にすると、ブリード(析出する現象)し難くなる。重量平均分子量(Mw)を650以下にすると、セルロースアセテートとの親和性が高まりやすくなる。このため、重量平均分子量(Mw)を上記範囲にすると、樹脂組成物の成形性が向上する。
なお、ポリエーテルエステル化合物の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定される値である。具体的には、GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー(株)製、HPLC1100を用い、東ソー(株)製カラム・TSKgel GMHHR−M+TSKgel GMHHR−M(7.8mmI.D.30cm)を使用し、クロロホルム溶媒で行う。そして、重量平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
ポリエーテルエステル化合物の25℃における粘度は、35mPa・s以上50mPa・s以下が好ましく、40mPa・s以上45mPa・s以下がより好ましい。
粘度を35mPa・s以上にすると、セルロースアセテートへの分散性が向上しやすくなる。粘度を50mPa・s以下にすると、ポリエーテルエステル化合物の分散の異方性が出現し難くなる。このため、粘度を上記範囲にすると、樹脂組成物の成形性が向上する。
なお、粘度は、E型粘度計により測定される値である。
粘度を35mPa・s以上にすると、セルロースアセテートへの分散性が向上しやすくなる。粘度を50mPa・s以下にすると、ポリエーテルエステル化合物の分散の異方性が出現し難くなる。このため、粘度を上記範囲にすると、樹脂組成物の成形性が向上する。
なお、粘度は、E型粘度計により測定される値である。
ポリエーテルエステル化合物の溶解度パラメータ(SP値)が、9.5以上9.9以下が好ましく、9.6以上9.8以下がより好ましい。
溶解度パラメータ(SP値)を9.5以上9.9以下にすると、セルロースアセテートへの分散性が向上しやすくなる。
溶解度パラメータ(SP値)は、Fedorの方法により算出された値である、具体的には、溶解度パラメータ(SP値)は、例えば、Polym.Eng.Sci.,vol.14,p.147(1974)の記載に準拠し、下記式によりSP値を算出する。
式:SP値=√(Ev/v)=√(ΣΔei/ΣΔvi)
(式中、Ev:蒸発エネルギー(cal/mol)、v:モル体積(cm3/mol)、Δei:それぞれの原子又は原子団の蒸発エネルギー、Δvi:それぞれの原子又は原子団のモル体積)
なお、溶解度パラメータ(SP値)は、単位として(cal/cm3)1/2を採用するが、慣行に従い単位を省略し、無次元で表記する。
溶解度パラメータ(SP値)を9.5以上9.9以下にすると、セルロースアセテートへの分散性が向上しやすくなる。
溶解度パラメータ(SP値)は、Fedorの方法により算出された値である、具体的には、溶解度パラメータ(SP値)は、例えば、Polym.Eng.Sci.,vol.14,p.147(1974)の記載に準拠し、下記式によりSP値を算出する。
式:SP値=√(Ev/v)=√(ΣΔei/ΣΔvi)
(式中、Ev:蒸発エネルギー(cal/mol)、v:モル体積(cm3/mol)、Δei:それぞれの原子又は原子団の蒸発エネルギー、Δvi:それぞれの原子又は原子団のモル体積)
なお、溶解度パラメータ(SP値)は、単位として(cal/cm3)1/2を採用するが、慣行に従い単位を省略し、無次元で表記する。
以下、ポリエーテルエステル化合物の具体例を示すが、これに限られるわけではない。
本実施形態に係る樹脂組成物が前述の(C)可塑剤を含む場合、(A)セルロースアセテートと(C)可塑剤との質量比「(A)/(C)」は6以上20以下であることが好ましく、より好ましくは7以上18以下であり、さらに好ましくは8以上16以下である。
質量比(A)/(C)が20以下であることで、樹脂成形体とした際の寸法変化が抑制され易くなる。一方、質量比(A)/(C)が6以上であることで、樹脂成形体とした際に高い引張弾性率が得られ易くなる。
質量比(A)/(C)が20以下であることで、樹脂成形体とした際の寸法変化が抑制され易くなる。一方、質量比(A)/(C)が6以上であることで、樹脂成形体とした際に高い引張弾性率が得られ易くなる。
なお、可塑剤としてアジピン酸エステル含有化合物及びポリエーテルエステル化合物からなる群より選択される少なくとも一種の可塑剤(C1)を含むことがより好ましく、その場合、(A)セルロースアセテートと前記可塑剤(C1)との質量比(A)/(C1)は6以上20以下であることが好ましく、より好ましくは7以上18以下であり、さらに好ましくは8以上16以下である。
質量比(A)/(C1)が20以下であることで、樹脂成形体とした際の寸法変化が抑制され易くなる。一方、質量比(A)/(C1)が6以上であることで、樹脂成形体とした際に高い引張弾性率が得られ易くなる。
質量比(A)/(C1)が20以下であることで、樹脂成形体とした際の寸法変化が抑制され易くなる。一方、質量比(A)/(C1)が6以上であることで、樹脂成形体とした際に高い引張弾性率が得られ易くなる。
[その他の成分]
本実施形態に係る樹脂組成物は、必要に応じて、さらに、上述した以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、難燃剤、相溶化剤、酸化防止剤、離型剤、耐光剤、耐候剤、着色剤、顔料、改質剤、ドリップ防止剤、帯電防止剤、加水分解防止剤、充填剤、補強剤(ガラス繊維、炭素繊維、タルク、クレー、マイカ、ガラスフレーク、ミルドガラス、ガラスビーズ、結晶性シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド等)などが挙げられる。
また、必要に応じて、酢酸放出を防ぐための受酸剤、反応性トラップ剤などの成分(添加剤)を添加してもよい。受酸剤としては、例えば、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムなどの酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイトなどの金属水酸化物;炭酸カルシウム;タルク;などが挙げられる。
反応性トラップ剤としては、例えば、エポキシ化合物、酸無水物化合物、カルボジイミドなどが挙げられる。
これらの成分の含有量は、樹脂組成物全量に対してそれぞれ、0質量%以上5質量%以下であることが好ましい。ここで、「0質量%」とはその他の成分を含まないことを意味する。
本実施形態に係る樹脂組成物は、必要に応じて、さらに、上述した以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、難燃剤、相溶化剤、酸化防止剤、離型剤、耐光剤、耐候剤、着色剤、顔料、改質剤、ドリップ防止剤、帯電防止剤、加水分解防止剤、充填剤、補強剤(ガラス繊維、炭素繊維、タルク、クレー、マイカ、ガラスフレーク、ミルドガラス、ガラスビーズ、結晶性シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド等)などが挙げられる。
また、必要に応じて、酢酸放出を防ぐための受酸剤、反応性トラップ剤などの成分(添加剤)を添加してもよい。受酸剤としては、例えば、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムなどの酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイトなどの金属水酸化物;炭酸カルシウム;タルク;などが挙げられる。
反応性トラップ剤としては、例えば、エポキシ化合物、酸無水物化合物、カルボジイミドなどが挙げられる。
これらの成分の含有量は、樹脂組成物全量に対してそれぞれ、0質量%以上5質量%以下であることが好ましい。ここで、「0質量%」とはその他の成分を含まないことを意味する。
本実施形態に係る樹脂組成物は、上記樹脂((A)セルロースアセテート)以外の他の樹脂を含有していてもよい。但し、他の樹脂を含む場合、樹脂組成物の全量に対する他の樹脂の含有量は、5質量%以下がよく、1質量%未満であることが好ましい。他の樹脂は、含有しないこと(つまり0質量%)がより好ましい。
他の樹脂としては、例えば、従来公知の熱可塑性樹脂が挙げられ、具体的には、ポリカーボネート樹脂;ポリプロピレン樹脂;ポリエステル樹脂;ポリオレフィン樹脂;ポリエステルカーボネート樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンスルフィド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリアリーレン樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリビニルアセタール樹脂;ポリケトン樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリアリールケトン樹脂;ポリエーテルニトリル樹脂;液晶樹脂;ポリベンズイミダゾール樹脂;ポリパラバン酸樹脂;芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、及びシアン化ビニル化合物からなる群より選ばれる1種以上のビニル単量体を、重合若しくは共重合させて得られるビニル系重合体若しくは共重合体;ジエン−芳香族アルケニル化合物共重合体;シアン化ビニル−ジエン−芳香族アルケニル化合物共重合体;芳香族アルケニル化合物−ジエン−シアン化ビニル−N−フェニルマレイミド共重合体;シアン化ビニル−(エチレン−ジエン−プロピレン(EPDM))−芳香族アルケニル化合物共重合体;塩化ビニル樹脂;塩素化塩化ビニル樹脂;などが挙げられる。また、コアシェル型のブタジエン−メチルメタクリレート共重合体も挙げられる。これら樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
他の樹脂としては、例えば、従来公知の熱可塑性樹脂が挙げられ、具体的には、ポリカーボネート樹脂;ポリプロピレン樹脂;ポリエステル樹脂;ポリオレフィン樹脂;ポリエステルカーボネート樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンスルフィド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリアリーレン樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリビニルアセタール樹脂;ポリケトン樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリアリールケトン樹脂;ポリエーテルニトリル樹脂;液晶樹脂;ポリベンズイミダゾール樹脂;ポリパラバン酸樹脂;芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、及びシアン化ビニル化合物からなる群より選ばれる1種以上のビニル単量体を、重合若しくは共重合させて得られるビニル系重合体若しくは共重合体;ジエン−芳香族アルケニル化合物共重合体;シアン化ビニル−ジエン−芳香族アルケニル化合物共重合体;芳香族アルケニル化合物−ジエン−シアン化ビニル−N−フェニルマレイミド共重合体;シアン化ビニル−(エチレン−ジエン−プロピレン(EPDM))−芳香族アルケニル化合物共重合体;塩化ビニル樹脂;塩素化塩化ビニル樹脂;などが挙げられる。また、コアシェル型のブタジエン−メチルメタクリレート共重合体も挙げられる。これら樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[樹脂組成物の製造方法]
本実施形態に係る樹脂組成物は、例えば、(A)セルロースアセテート、及び(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物を含む樹脂組成物を調製する工程を有する。
本実施形態に係る樹脂組成物は、(A)セルロースアセテート、及び(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物と、必要に応じて、(C)可塑剤、その他の成分等と、を含む混合物を溶融混練することにより製造される。他に、本実施形態に係る樹脂組成物は、例えば、上記成分を溶剤に溶解することによっても製造される。
溶融混練の手段としては公知の手段が挙げられ、具体的には、例えば、二軸押出機、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、コニーダ等が挙げられる。
本実施形態に係る樹脂組成物は、例えば、(A)セルロースアセテート、及び(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物を含む樹脂組成物を調製する工程を有する。
本実施形態に係る樹脂組成物は、(A)セルロースアセテート、及び(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物と、必要に応じて、(C)可塑剤、その他の成分等と、を含む混合物を溶融混練することにより製造される。他に、本実施形態に係る樹脂組成物は、例えば、上記成分を溶剤に溶解することによっても製造される。
溶融混練の手段としては公知の手段が挙げられ、具体的には、例えば、二軸押出機、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、コニーダ等が挙げられる。
<樹脂成形体>
本実施形態に係る樹脂成形体は、本実施形態に係る樹脂組成物を成形して得られる。
本実施形態に係る樹脂成形体の成形方法は、形状の自由度が高い点で、射出成形が好ましい。この点で、樹脂成形体は、射出成形によって得られた射出成形体であることが好ましい。
射出成形のシリンダ温度は、例えば200℃以上300℃以下であり、好ましくは240℃以上280℃以下である。射出成形の金型温度は、例えば40℃以上90℃以下であり、60℃以上80℃以下がより好ましい。
射出成形は、例えば、日精樹脂工業社製NEX500、日精樹脂工業社製NEX150、日精樹脂工業社製NEX70000、日精樹脂工業社製PNX40、住友機械社製SE50D等の市販の装置を用いて行ってもよい。
本実施形態に係る樹脂成形体は、本実施形態に係る樹脂組成物を成形して得られる。
本実施形態に係る樹脂成形体の成形方法は、形状の自由度が高い点で、射出成形が好ましい。この点で、樹脂成形体は、射出成形によって得られた射出成形体であることが好ましい。
射出成形のシリンダ温度は、例えば200℃以上300℃以下であり、好ましくは240℃以上280℃以下である。射出成形の金型温度は、例えば40℃以上90℃以下であり、60℃以上80℃以下がより好ましい。
射出成形は、例えば、日精樹脂工業社製NEX500、日精樹脂工業社製NEX150、日精樹脂工業社製NEX70000、日精樹脂工業社製PNX40、住友機械社製SE50D等の市販の装置を用いて行ってもよい。
本実施形態に係る樹脂成形体を得るための成形方法は、前述の射出成形に限定されず、例えば、押し出し成形、ブロー成形、熱プレス成形、カレンダ成形、コーティング成形、キャスト成形、ディッピング成形、真空成形、トランスファ成形などを適用してよい。
本実施形態に係る樹脂成形体は、電子・電気機器、事務機器、家電製品、自動車内装材、容器などの用途に好適に用いられる。より具体的には、電子・電気機器や家電製品の筐体;電子・電気機器や家電製品の各種部品;自動車の内装部品;CD−ROMやDVD等の収納ケース;食器;飲料ボトル;食品トレイ;ラップ材;フィルム;シート;などである。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、特に断りのない限り「部」は「質量部」を表す。
<(A)セルロースアシレートの準備>
−セルロースアセテート(CA1)の合成−
アセチル化:セルロース粉末(日本製紙ケミカル(株)製、KCフロックW50)3部、硫酸0.05部、酢酸30部、及び、無水酢酸6部を反応容器に入れ、20℃で4時間撹拌し、セルロースのアセチル化を行った。
−セルロースアセテート(CA1)の合成−
アセチル化:セルロース粉末(日本製紙ケミカル(株)製、KCフロックW50)3部、硫酸0.05部、酢酸30部、及び、無水酢酸6部を反応容器に入れ、20℃で4時間撹拌し、セルロースのアセチル化を行った。
脱アセチル及び低分子量化:撹拌終了後、アセチル化を行った溶液に、ただちに3部の酢酸と1.2部の純水とを加え、20℃で30分間撹拌した。撹拌終了後、0.2M塩酸水溶液4.5部を加え、75℃に加熱して、5時間撹拌した。この溶液を、200部の純水に2時間かけて滴下し、20時間静置した後、孔径6μmのフィルターを通してろ過し、4部の白色粉末を得た。
洗浄:得られた白色粉末を、フィルタープレス(栗田機械製作所社製、SF(PP))を用い、純水にて電導度が50μS以下になるまで洗浄を行った。洗浄後、乾燥した。
後処理:乾燥後の白色粉末3部に、0.2部の酢酸カルシウムと30部の純水とを加え、25℃で2時間撹拌した後、ろ過した。ろ過して得られた粉末を60℃で72時間乾燥し、セルロースアセテート(CA1)を2.5部得た。
−セルロースアセテート(CA2)の合成−
アセチル化に用いる硫酸量0.05部を0.10部とした以外はCA1と同様にしてセルロースアセテート(CA2)を得た。
アセチル化に用いる硫酸量0.05部を0.10部とした以外はCA1と同様にしてセルロースアセテート(CA2)を得た。
−セルロースアセテート(CA3)の合成−
アセチル化に用いる硫酸量0.05部を0.01部とした以外はCA1と同様にしてセルロースアセテート(CA3)を得た。
アセチル化に用いる硫酸量0.05部を0.01部とした以外はCA1と同様にしてセルロースアセテート(CA3)を得た。
−セルロースアセテート(CA4)の合成−
脱アセチル化及び低分子量化において、5時間撹拌したところを7時間に変えた以外は、CA1と同様にしてセルロースアセテート(CA4)を得た。
脱アセチル化及び低分子量化において、5時間撹拌したところを7時間に変えた以外は、CA1と同様にしてセルロースアセテート(CA4)を得た。
−セルロースアセテート(CA5)の合成−
脱アセチル化及び低分子量化において、5時間撹拌したところを、4時間30分に変更した以外は、CA1と同様にしてセルロースアセテート(CA5)を得た。
脱アセチル化及び低分子量化において、5時間撹拌したところを、4時間30分に変更した以外は、CA1と同様にしてセルロースアセテート(CA5)を得た。
−セルロースアセテート(CA6)の合成−
アセチル化を行って得られた溶液を室温(25℃)で16時間放置した後、脱アセチル化及び低分子量化を行った以外は、CA1と同様にしてセルロースアセテート(CA6)を得た。
アセチル化を行って得られた溶液を室温(25℃)で16時間放置した後、脱アセチル化及び低分子量化を行った以外は、CA1と同様にしてセルロースアセテート(CA6)を得た。
−セルロースアセテート(CA7)の合成−
脱アセチル化及び低分子量化において、75℃で5時間撹拌するところを、65℃で7時間撹拌した以外はCA1と同様にしてセルロースアセテート(CA7)を得た。
脱アセチル化及び低分子量化において、75℃で5時間撹拌するところを、65℃で7時間撹拌した以外はCA1と同様にしてセルロースアセテート(CA7)を得た。
−セルロースアセテート(CA8)の合成−
脱アセチル化及び低分子量化において、75℃で5時間撹拌するところを、80℃で4時間撹拌した以外はCA1と同様にしてセルロースアセテート(CA8)を得た。
脱アセチル化及び低分子量化において、75℃で5時間撹拌するところを、80℃で4時間撹拌した以外はCA1と同様にしてセルロースアセテート(CA8)を得た。
−セルロースアセテート(CA9)の準備−
市販のセルロースアセテート(ダイセル社製、L50)を(CA9)として準備した。
市販のセルロースアセテート(ダイセル社製、L50)を(CA9)として準備した。
−セルロースアセテート(CA10)の準備−
市販のセルロースアセテート(ダイセル社製、L20)を(CA10)として準備した。
市販のセルロースアセテート(ダイセル社製、L20)を(CA10)として準備した。
−セルロースアセテート(CA11)の準備−
市販のセルロースアセテート(ダイセル社製、LT−35)を(CA11)として準備した。
市販のセルロースアセテート(ダイセル社製、LT−35)を(CA11)として準備した。
<重量平均分子量、置換度の測定>
セルロースアセテートの重量平均分子量は、ジメチルアセトアミド/塩化リチウム=90/10(質量比)溶液を用い、GPC装置(東ソー社製、HLC−8320GPC、カラム:TSKgelα−M)にてポリスチレン換算で測定した。
セルロースアセテートの置換度は、H1−NMR(JMN−ECA/JEOL RESONANCE社製)にて、セルロース由来水素とアセチル基由来水素ピークの積分比から求めた。
この方法で、準備した各セルロースの重量平均分子量と置換度を測定した結果を下記表に示す。
セルロースアセテートの重量平均分子量は、ジメチルアセトアミド/塩化リチウム=90/10(質量比)溶液を用い、GPC装置(東ソー社製、HLC−8320GPC、カラム:TSKgelα−M)にてポリスチレン換算で測定した。
セルロースアセテートの置換度は、H1−NMR(JMN−ECA/JEOL RESONANCE社製)にて、セルロース由来水素とアセチル基由来水素ピークの積分比から求めた。
この方法で、準備した各セルロースの重量平均分子量と置換度を測定した結果を下記表に示す。
<(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物の準備>
エポキシ化油脂肪酸エステル組成物(EPOE1)〜(EPOE3)として、以下の市販品を準備した。
(EPOE1):エポキシ化亜麻仁油ブチルエステル
・三和合成化学社製「ケミサイザーLE−3000」
・炭素数4以上20以下のエポキシ化油脂肪酸エステルを主成分として(具体的には60質量%以上)含有
・エポキシ基に結合し且つ(式E:−O−C(=O)−RE1/RE1は置換基を有していてもよいアルキル基を表す)で表される構造を有するエステル基の炭素数:5
・オキシラン酸素濃度:6.3質量%
エポキシ化油脂肪酸エステル組成物(EPOE1)〜(EPOE3)として、以下の市販品を準備した。
(EPOE1):エポキシ化亜麻仁油ブチルエステル
・三和合成化学社製「ケミサイザーLE−3000」
・炭素数4以上20以下のエポキシ化油脂肪酸エステルを主成分として(具体的には60質量%以上)含有
・エポキシ基に結合し且つ(式E:−O−C(=O)−RE1/RE1は置換基を有していてもよいアルキル基を表す)で表される構造を有するエステル基の炭素数:5
・オキシラン酸素濃度:6.3質量%
(EPOE2):エポキシ化大豆油−2−エチルヘキシルエステル
・三和合成化学社製「ケミサイザーLE−2010」、
・炭素数40以上60以下のエポキシ化油脂肪酸エステルを主成分として含有(具体的には60質量%以上含有)
・エポキシ基に結合し且つ(式E:−O−C(=O)−RE1/RE1は置換基を有していてもよいアルキル基を表す)で表される構造を有するエステル基の炭素数:9
・オキシラン酸素濃度:6.1質量%
・三和合成化学社製「ケミサイザーLE−2010」、
・炭素数40以上60以下のエポキシ化油脂肪酸エステルを主成分として含有(具体的には60質量%以上含有)
・エポキシ基に結合し且つ(式E:−O−C(=O)−RE1/RE1は置換基を有していてもよいアルキル基を表す)で表される構造を有するエステル基の炭素数:9
・オキシラン酸素濃度:6.1質量%
(EPOE3):エポキシ化亜麻仁油−2−エチルヘキシルエステル
・三和合成化学社製「ケミサイザーLE−3010」、
・炭素数50以上80以下のエポキシ化油脂肪酸エステルを主成分として含有(具体的には60質量%以上含有)
・エポキシ基に結合し且つ(式E:−O−C(=O)−RE1/RE1は置換基を有していてもよいアルキル基を表す)で表される構造を有するエステル基の炭素数:9
・オキシラン酸素濃度:8.3質量%
・三和合成化学社製「ケミサイザーLE−3010」、
・炭素数50以上80以下のエポキシ化油脂肪酸エステルを主成分として含有(具体的には60質量%以上含有)
・エポキシ基に結合し且つ(式E:−O−C(=O)−RE1/RE1は置換基を有していてもよいアルキル基を表す)で表される構造を有するエステル基の炭素数:9
・オキシラン酸素濃度:8.3質量%
<(C)可塑剤の準備>
表2に示す市販の可塑剤を準備した。
表2に示す市販の可塑剤を準備した。
<実施例及び比較例>
−混練及び射出成形−
表3に示すセルロースアセテート(A)、エポキシ化油脂肪酸エステル組成物(B)、及び可塑剤(C)の仕込み組成比(質量部)で、シリンダ温度を表3にしたがって調製し、2軸混練装置(東芝機械社製、TEX41SS)にて混練を実施し、樹脂組成物(ペレット)を得た。
得られたペレットについて、射出成形機(日精樹脂工業社製、NEX140III)を用い、シリンダ温度を射出ピーク圧力が180MPaを越えないよう表3にしたがって調製し、ISO多目的ダンベル(測定部幅10mm×厚み4mm)とD2試験片(60×60mm×厚さ2mm)を成形した。
−混練及び射出成形−
表3に示すセルロースアセテート(A)、エポキシ化油脂肪酸エステル組成物(B)、及び可塑剤(C)の仕込み組成比(質量部)で、シリンダ温度を表3にしたがって調製し、2軸混練装置(東芝機械社製、TEX41SS)にて混練を実施し、樹脂組成物(ペレット)を得た。
得られたペレットについて、射出成形機(日精樹脂工業社製、NEX140III)を用い、シリンダ温度を射出ピーク圧力が180MPaを越えないよう表3にしたがって調製し、ISO多目的ダンベル(測定部幅10mm×厚み4mm)とD2試験片(60×60mm×厚さ2mm)を成形した。
[評価]
−溶融粘度の評価−
各実施例及び比較例のペレットを用いて、キャピラリーレオメーター(東洋精機製作所社製、キャピログラフ1D)にて、シリンダ温度230℃、せん断速度1216sec−1における溶融粘度を測定した。結果を下記表に示す。
−溶融粘度の評価−
各実施例及び比較例のペレットを用いて、キャピラリーレオメーター(東洋精機製作所社製、キャピログラフ1D)にて、シリンダ温度230℃、せん断速度1216sec−1における溶融粘度を測定した。結果を下記表に示す。
−高温高湿環境下寸法変化の評価−
各実施例及び比較例で得たD2試験片を、恒温恒湿槽(アドバンテック製、THN042PA)に65℃85%RHの条件で72時間静置し、静置前後のTD方向(成形方向に垂直な方向)の寸法変化率を評価した。結果を下記表に示す。
各実施例及び比較例で得たD2試験片を、恒温恒湿槽(アドバンテック製、THN042PA)に65℃85%RHの条件で72時間静置し、静置前後のTD方向(成形方向に垂直な方向)の寸法変化率を評価した。結果を下記表に示す。
−引張強度、引張弾性率の評価−
各実施例及び比較例で得た多目的ダンベルについて、万能試験装置((株)島津製作所製、オートグラフAG−Xplus)を用いて、ISO527に準ずる方法で、引張破断歪(引張強度)と引張弾性率を測定した。結果を下記表に示す。
各実施例及び比較例で得た多目的ダンベルについて、万能試験装置((株)島津製作所製、オートグラフAG−Xplus)を用いて、ISO527に準ずる方法で、引張破断歪(引張強度)と引張弾性率を測定した。結果を下記表に示す。
上記表に示す結果から、本実施例では比較例に比べ、樹脂成形体とした際に高い引張弾性率が得られ且つ樹脂成形体とした際の寸法変化を抑制し得ることがわかる。
Claims (12)
- (A)重量平均分子量3万以上9万以下且つアセチル置換度2.1以上2.6以下のセルロースアセテートと、
(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物と、
を含む樹脂組成物。 - 前記(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物は、炭素数4以上80以下のエポキシ化油脂肪酸エステルを主成分として含む請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物がエポキシ化植物油脂肪酸エステル組成物である請求項1又は請求項2に記載の樹脂組成物。
- 前記(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物がエポキシ化亜麻仁油脂肪酸エステル組成物である請求項3に記載の樹脂組成物。
- 前記(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物は、開環したエポキシ基に結合し且つ下記式Eで表される構造を有するエステル基の炭素数が2以上20以下であるエポキシ化油脂肪酸エステルを主成分として含む請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
式E:−O−C(=O)−RE1
式E中、RE1は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。 - 前記(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物のオキシラン酸素の濃度が3質量%以上15質量%以下である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記(A)セルロースアセテートと前記(B)エポキシ化油脂肪酸エステル組成物との質量比(A)/(B)が10以上100以下である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- (C)可塑剤を含む請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記(C)可塑剤が、アジピン酸エステル含有化合物及びポリエーテルエステル化合物からなる群より選択される少なくとも一種である請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記(A)セルロースアセテートと前記(C)可塑剤との質量比(A)/(C)が6以上20以下である請求項8又は請求項9に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の樹脂組成物が成形された樹脂成形体。
- 前記樹脂成形体が、射出成形体である請求項11に記載の樹脂成形体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017147172A JP2019026727A (ja) | 2017-07-28 | 2017-07-28 | 樹脂組成物及び樹脂成形体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017147172A JP2019026727A (ja) | 2017-07-28 | 2017-07-28 | 樹脂組成物及び樹脂成形体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019026727A true JP2019026727A (ja) | 2019-02-21 |
Family
ID=65477720
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017147172A Pending JP2019026727A (ja) | 2017-07-28 | 2017-07-28 | 樹脂組成物及び樹脂成形体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2019026727A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019026729A (ja) * | 2017-07-28 | 2019-02-21 | 富士ゼロックス株式会社 | 樹脂組成物及び樹脂成形体 |
Citations (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006299012A (ja) * | 2005-04-18 | 2006-11-02 | Daicel Chem Ind Ltd | セルロースエステル系樹脂組成物 |
JP2007091925A (ja) * | 2005-09-29 | 2007-04-12 | Fujifilm Corp | インク組成物、並びに、これを用いた画像形成方法および記録物 |
JP2007313754A (ja) * | 2006-05-25 | 2007-12-06 | Fujifilm Corp | セルロースエステルフィルムおよびその製造方法、並びに、偏光板、光学補償フィルム、反射防止フィルム、および、液晶表示装置 |
WO2008120595A1 (ja) * | 2007-04-03 | 2008-10-09 | Konica Minolta Opto, Inc. | セルロースエステル光学フィルム、該セルロースエステル光学フィルムを用いた偏光板及び液晶表示装置、及びセルロースエステル光学フィルムの製造方法 |
JP2011208103A (ja) * | 2010-03-30 | 2011-10-20 | Fujifilm Corp | 樹脂組成物、成形体、及び電気電子機器用筐体 |
JP2011241236A (ja) * | 2010-05-13 | 2011-12-01 | Fujifilm Corp | 樹脂組成物、射出成形用樹脂組成物、及び電気電子機器用筐体 |
JP2016074795A (ja) * | 2014-10-03 | 2016-05-12 | 富士ゼロックス株式会社 | 樹脂組成物および樹脂成形体 |
WO2016121246A1 (ja) * | 2015-01-29 | 2016-08-04 | ハリマ化成株式会社 | オフセット印刷インキ用樹脂 |
JP2017019955A (ja) * | 2015-07-14 | 2017-01-26 | 東洋インキScホールディングス株式会社 | 両面粘着テープ |
JP2017122194A (ja) * | 2016-01-08 | 2017-07-13 | ユニチカ株式会社 | 水性分散体および包装材料 |
JP2019026729A (ja) * | 2017-07-28 | 2019-02-21 | 富士ゼロックス株式会社 | 樹脂組成物及び樹脂成形体 |
JP2019026726A (ja) * | 2017-07-28 | 2019-02-21 | 富士ゼロックス株式会社 | 樹脂組成物及び樹脂成形体 |
-
2017
- 2017-07-28 JP JP2017147172A patent/JP2019026727A/ja active Pending
Patent Citations (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006299012A (ja) * | 2005-04-18 | 2006-11-02 | Daicel Chem Ind Ltd | セルロースエステル系樹脂組成物 |
JP2007091925A (ja) * | 2005-09-29 | 2007-04-12 | Fujifilm Corp | インク組成物、並びに、これを用いた画像形成方法および記録物 |
JP2007313754A (ja) * | 2006-05-25 | 2007-12-06 | Fujifilm Corp | セルロースエステルフィルムおよびその製造方法、並びに、偏光板、光学補償フィルム、反射防止フィルム、および、液晶表示装置 |
WO2008120595A1 (ja) * | 2007-04-03 | 2008-10-09 | Konica Minolta Opto, Inc. | セルロースエステル光学フィルム、該セルロースエステル光学フィルムを用いた偏光板及び液晶表示装置、及びセルロースエステル光学フィルムの製造方法 |
JP2011208103A (ja) * | 2010-03-30 | 2011-10-20 | Fujifilm Corp | 樹脂組成物、成形体、及び電気電子機器用筐体 |
JP2011241236A (ja) * | 2010-05-13 | 2011-12-01 | Fujifilm Corp | 樹脂組成物、射出成形用樹脂組成物、及び電気電子機器用筐体 |
JP2016074795A (ja) * | 2014-10-03 | 2016-05-12 | 富士ゼロックス株式会社 | 樹脂組成物および樹脂成形体 |
WO2016121246A1 (ja) * | 2015-01-29 | 2016-08-04 | ハリマ化成株式会社 | オフセット印刷インキ用樹脂 |
JP2017019955A (ja) * | 2015-07-14 | 2017-01-26 | 東洋インキScホールディングス株式会社 | 両面粘着テープ |
JP2017122194A (ja) * | 2016-01-08 | 2017-07-13 | ユニチカ株式会社 | 水性分散体および包装材料 |
JP2019026729A (ja) * | 2017-07-28 | 2019-02-21 | 富士ゼロックス株式会社 | 樹脂組成物及び樹脂成形体 |
JP2019026726A (ja) * | 2017-07-28 | 2019-02-21 | 富士ゼロックス株式会社 | 樹脂組成物及び樹脂成形体 |
Non-Patent Citations (2)
Title |
---|
製品カタログ, JPN6021014063, ISSN: 0004612655 * |
製品カタログ, JPN6021014064, ISSN: 0004612656 * |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019026729A (ja) * | 2017-07-28 | 2019-02-21 | 富士ゼロックス株式会社 | 樹脂組成物及び樹脂成形体 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN109715722B (zh) | 树脂组合物和树脂成型体 | |
US10308790B2 (en) | Resin composition and resin molding | |
JP2018127579A (ja) | 樹脂組成物および樹脂成形体 | |
US10889701B2 (en) | Resin composition and resin molded article | |
JP2019026700A (ja) | 樹脂組成物及び樹脂成形体 | |
JP6524633B2 (ja) | 樹脂組成物および樹脂成形体 | |
CN110234695B (zh) | 树脂组合物和树脂成型品 | |
JP2019026726A (ja) | 樹脂組成物及び樹脂成形体 | |
JP6107910B2 (ja) | 樹脂組成物、及び樹脂成形体 | |
JP2019026727A (ja) | 樹脂組成物及び樹脂成形体 | |
JP6657922B2 (ja) | 樹脂組成物および樹脂成形体 | |
JP2019151793A (ja) | 樹脂組成物および樹脂成形体 | |
JP2019151798A (ja) | 多孔質樹脂成形体、及び多孔質樹脂成形体成形用成形セット | |
JP2018131484A (ja) | 樹脂組成物および樹脂成形体 | |
JP2019026729A (ja) | 樹脂組成物及び樹脂成形体 | |
CN109563315A (zh) | 树脂组合物和树脂成型品 | |
JP2017114938A (ja) | 樹脂組成物および樹脂成形体 | |
JP2019026728A (ja) | 樹脂組成物及び樹脂成形体 | |
JP2016183285A (ja) | 樹脂組成物及び樹脂成形体 | |
JP2016183283A (ja) | 樹脂組成物及び樹脂成形体 | |
JP6202029B2 (ja) | 樹脂組成物及び樹脂成形体 | |
JP2018035275A (ja) | 樹脂組成物、及び、樹脂成形体 | |
JP2018131485A (ja) | 樹脂組成物および樹脂成形体 | |
JP2017149795A (ja) | 樹脂組成物、樹脂成形体、及び樹脂組成物の製造方法 | |
JP6705343B2 (ja) | 樹脂組成物、及び、樹脂成形体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20200619 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20210305 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20210420 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20211012 |