JP2001098074A - 印刷インキ用樹脂 - Google Patents

印刷インキ用樹脂

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JP2001098074A
JP2001098074A JP27437599A JP27437599A JP2001098074A JP 2001098074 A JP2001098074 A JP 2001098074A JP 27437599 A JP27437599 A JP 27437599A JP 27437599 A JP27437599 A JP 27437599A JP 2001098074 A JP2001098074 A JP 2001098074A
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resin
rosin
acid
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ink
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JP27437599A
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Shoichi Yano
省一 矢野
Yoshihisa Misawa
嘉久 三澤
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Harima Chemical Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ホルムアルデヒドを合成過程で使用しない樹
脂であり、広い用途を持つインキ調製に適用する樹脂に
好適な程度に樹脂粘度が高く、あるいは、高い分子量を
有する新規な印刷インキ用樹脂または樹脂組成物の提
供。 【解決手段】 ロジン類、α,β-不飽和カルボン酸また
はその無水物、脂肪族多塩基酸、例えば、末端に水酸基
を持つ鎖状のポリジメチルシロキサンのようなオルガノ
ポリシロキサン、多価アルコールとを加熱反応させて得
られる樹脂または樹脂組成物である。特には、ロジン類
100重量部に対して、α,β-不飽和カルボン酸または
その無水物1〜15重量部を用いて、前記の加熱反応を
行い得られる樹脂または樹脂組成物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、印刷インキ用樹脂
に関し、具体的には、オフセット印刷用インキの調製に
用いられるインキ用樹脂または樹脂組成物に関する。特
には、オフセット印刷において、要求される優れたイン
キ性能と印刷作業性を与える印刷インキ用樹脂、ならび
に、係る特質を利用し、この印刷インキ用樹脂を用いて
調製される印刷用インキに関する。
【0002】
【従来の技術】オフセット印刷は、多様な印刷原版の印
刷が可能である利点を持ち、その利点から、広く用いら
れている代表的な印刷方式である。このオフセット印刷
方式には、熱によってインキを乾燥させるヒートセット
式のオフセット輪転印刷と乾性油を触媒に用いて硬化、
乾燥させる枚葉式印刷の二種の方式がある。オフセット
印刷に用いられるインキでは、それを構成する樹脂とし
て、天然物であるロジンを、フェノール樹脂、特にレゾ
ール樹脂で変性したロジン変性フェノール樹脂が広く用
いられている(特開平9−268211号公報等を参
照)。
【0003】このロジン変性フェノール樹脂は、ロジン
を樹脂骨格中に有しているため、顔料との濡れ性が向上
し、顔料が均一分散しやすいという利点を有している。
このロジンをフェノール樹脂で変性している理由は、ロ
ジン自体は、高分子重合を起こさないモノカルボン酸類
であるため、樹脂に必要な架橋構造を導入する必要があ
り、フェノール樹脂で変性することにより、架橋構造の
導入を図ったものである。さらに、フェノール樹脂の合
成には、主原料のフェノール類とホルムアルデヒドを、
アルカリ又は酸触媒を用いて反応させる方法が用いられ
ている。そのため、ロジン変性フェノール樹脂の合成過
程では、ホルムアルデヒドは合成上必須な構成成分とな
っている。また、フェノール樹脂、具体的には、レゾー
ル樹脂には、ホルムアルデヒドに由来する末端メチロー
ル基が存在している。
【0004】ところで、ヒートセット式のオフセット印
刷では、印刷工程中、インキ乾燥など、インキにかなり
の熱がかかる工程がある。この加熱の際、ロジン変性フ
ェノール樹脂中に、未反応のホルムアルデヒドが僅かで
も残存していれば、ホルムアルデヒドの飛散が起こる可
能性がある。また、例えば、レゾール樹脂の末端メチロ
ール基に由来するホルムアルデヒドなど、樹脂骨格より
遊離するホルムアルデヒドの飛散が起こる可能性も、必
ずしも否定することはできない。このホルムアルデヒド
は、シックハウス問題等で、大きな関心が寄せられてい
る化学物質過敏症を引き起こす原因化合物の一つである
と、指摘を受けている。
【0005】上記の理由により、印刷インキ用に用いら
れる樹脂でも、ホルムアルデヒドの遊離を抑えた樹脂の
使用が望まれ、その開発が急がれている。ホルムアルデ
ヒドの遊離を抑える手段としては、従来から検討と改良
が進められている幾つかの方法がある。例えば、ホルム
アルデヒドを含有する樹脂系に、ホルムアルデヒド捕捉
能を有する添加剤、いわゆるキャッチャーを添加する方
法などである。また、発想の転換を図って、ホルムアル
デヒドを合成過程で使用しない樹脂を用いることで、ホ
ルムアルデヒド遊離の問題を回避することも考えられ
る。
【0006】しかしながら、前者のキャッチャーを添加
する方法では、インキ化したとき、要望される作業性を
保つように、添加率を調整するのは容易ではない。そも
そも、キャッチャーの添加は、僅かに残留している未反
応ホルムアルデヒドに対しては有効な手段ではあるが、
レゾール樹脂の末端メチロール基が脱離することに由来
するホルムアルデヒドなど、経時的に徐々に遊離してく
るものは、キャッチャーのみで捕捉すること自体、相当
に難しい。
【0007】一方、後者のホルムアルデヒドを合成過程
で使用しない樹脂への転換は、本質的な解決策ではある
ものの、現状では、インキ用樹脂としての特性を一応満
足する樹脂ですら、限られた数しかない。インキ用樹脂
では、顔料との濡れ性から、ロジン骨格をその構成要素
として含有することが好ましい。ロジン骨格を含み、ホ
ルムアルデヒドを合成過程で使用しない樹脂の一つに、
ロジンの多価アルコールエステル類があり、特定用途の
インキ用樹脂として使用されている。すなわち、このロ
ジンと多価アルコールのエステル化反応により得られた
樹脂は、高分子量化が不十分なため、広い用途を持つイ
ンキ調製に適用する樹脂としては、その樹脂粘度がなお
低く、特定用途にしか利用できないものである。従っ
て、前記ロジンの多価アルコールエステル類など、現在
知られているホルムアルデヒドを合成過程で使用しない
樹脂は、広い用途を持つインキ調製に適用を図る上で
は、今後さらなる改良・解決すべき問題点を残してい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の課題
を解決するもので、本発明の目的は、ホルムアルデヒド
を合成過程で使用しない樹脂であり、広い用途を持つイ
ンキ調製に適用する樹脂に好適な程度に樹脂粘度が高
く、あるいは、高い分子量を有する新規な印刷インキ用
樹脂または樹脂組成物を提供することにある。より具体
的には、本発明の目的は、その合成において、ホルムア
ルデヒドを原料として用いず、あるいは、加熱した際、
容易にホルムアルデヒドとして遊離するメチロール基を
含まない樹脂または樹脂組成物であり、オフセット印刷
用インキの調製に利用する際、好適な樹脂粘度又は分子
量を持つ新規な樹脂または樹脂組成物を提供することに
ある。さらに、本発明は、上記の樹脂または樹脂組成物
を用いて、調製される良好な印刷特性を有する新規なオ
フセット印刷用インキを提供することをも目的とする。
すなわち、本発明の目標とする印刷インキ用樹脂は、現
状オフセット印刷用インキの調製に利用されているロジ
ン変性フェノール樹脂を代替できる特性、すなわち、ロ
ジン変性フェノール樹脂と比較して、遜色の無い樹脂粘
度又は分子量を持ちつつ、その合成において、ホルムア
ルデヒドを原料として用いず、あるいは、加熱した際、
容易にホルムアルデヒドとして遊離するメチロール基を
含まない樹脂である。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく、鋭意研究を進め、分子内にロジン骨格
を保持し、加えて、樹脂に必要な架橋構造をも持ち、高
い分子量ならびに高い粘度を持つ新規な樹脂の合成を行
った。その過程において、ロジン2分子以上が多量体化
したロジン重合体を用い、このロジン重合体等、脂肪酸
が二量体化したダイマー酸および多価アルコールとのエ
ステル化反応を行い得られる樹脂は、前記する要件を満
たす樹脂であるとして、係る新規な樹脂の発明を完成さ
せ、特許出願を行った(特願平10−337460号に
添付の明細書を参照)。本発明者らは、このロジン重合
体自体における、分子内重合構造を架橋構造として利用
する方法以外の解決手段を提供すべく、さらに研究・検
討を継続した。つまり、樹脂の分子内にロジンの骨格を
有する新たな樹脂の創出目標として、さらに研究・検討
を進めた。その結果、主原料として、ロジン類、α,β
−不飽和カルボン酸またはその無水物、脂肪族多塩基
酸、後に述べる一般式Iで示されるオルガノポリシロキ
サン、多価アルコールを用い、これら原料を混合し、加
熱反応させて得られる生成物は、樹脂に必要な架橋構造
を持ち、従って、高い分子量を示し、また、その粘度も
印刷インキ用樹脂に好ましい程度に高いものであること
を見出した。係る知見に基づき、本発明を完成するに至
った。
【0010】すなわち、本発明の印刷インキ用樹脂は、
ロジン類、α,β−不飽和カルボン酸またはその無水
物、脂肪族多塩基酸、下記一般式I:
【0011】
【化2】 (式中、nは、1〜500の整数であり、R1は、Hま
たはメチル基を表し、R2は、メチル基、エチル基また
はフェニル基を表し、互いに同じでなくともよい)で示
されるオルガノポリシロキサン、多価アルコールとを加
熱反応させて得られる樹脂または樹脂組成物である。特
には、ロジン類100重量部に対して、α,β−不飽和
カルボン酸またはその無水物1〜15重量部、より好ま
しくは3〜12重量部を用いて、前記の加熱反応を行い
得られる樹脂または樹脂組成物である。すなわち、ロジ
ン類の主成分であるアビエチン酸とその類縁体1分子に
対して、α,β−不飽和カルボン酸またはその無水物
を、0.01〜0.6分子の割合、好ましくは、0.1
〜0.5分子の割合で用い、前記の加熱反応を行い得ら
れる樹脂または樹脂組成物である。
【0012】つまり、ロジン類とα,β−不飽和カルボ
ン酸またはその無水物とを加熱して、ロジン骨格にα,
β−不飽和カルボン酸が付加反応した、α,β-不飽和カ
ルボン酸とロジン類との付加体とするとともに、反応系
内に生成するα,β-不飽和カルボン酸とロジン類との付
加体、残留するロジン類とα,β−不飽和カルボン酸ま
たはその無水物、脂肪族多塩基酸、一般式Iで示される
オルガノポリシロキサン、多価アルコールとをさらに加
熱反応させて、エステル結合形成による架橋構造の導入
を行ったものである。従って、最終的に得られる樹脂に
は、原料のロジン類に由来するロジン炭素骨格を保持す
るとともに、エステル結合形成による架橋構造をとり、
高い分子量となり、その粘度も印刷インキ用樹脂に好ま
しい程度に高いものとなる。
【0013】なお、上述するように、ロジン類とα,β
−不飽和カルボン酸またはその無水物とを加熱して、付
加反応させたα,β-不飽和カルボン酸とロジン類との付
加体を主要な中間原料とする。従って、予め、ロジン類
とα,β−不飽和カルボン酸またはその無水物とを加熱
して、付加反応させた中間原料混合物を別途に調製し、
その後、この中間原料混合物に、脂肪族多塩基酸、一般
式Iで示されるオルガノポリシロキサン、多価アルコー
ルを加えて、加熱反応させることによっても、実質的に
同じ樹脂を調製することができる。
【0014】例えば、ロジン類とα,β-不飽和カルボン
酸と付加反応させて調製されるα,β-不飽和カルボン酸
とロジン類との付加体類、脂肪族多塩基酸、一般式Iで
示されるオルガノポリシロキサン、多価アルコールとを
加熱反応させて得られる印刷インキ用樹脂も、実質的
に、本発明の印刷インキ用樹脂に包含される。
【0015】本発明の印刷インキ用樹脂は、好ましく
は、原料のロジン類、α,β−不飽和カルボン酸または
その無水物及び脂肪族多塩基酸中のカルボキシル基1当
量に対して、一般式Iで示されるオルガノポリシロキサ
ンおよび多価アルコール中の水酸基を、少なくとも、
0.3当量以上、好ましくは0.5〜2当量、より好ま
しくは0.9〜1.2当量の割合で添加して、加熱反応
させて得られる樹脂または樹脂組成物である。
【0016】本発明の印刷インキ用樹脂は、より好まし
くは、原料のロジン類、α,β−不飽和カルボン酸また
はその無水物、脂肪族多塩基酸、一般式Iで示されるオ
ルガノポリシロキサンおよび多価アルコールの重量総和
に対して、0.1%〜2%の2価金属化合物を添加し
て、加熱反応を行い得られる樹脂または樹脂組成物であ
る。
【0017】加えて、本発明の印刷インキ用樹脂は、上
記の加熱反応時に、石油樹脂を存在させ、加熱反応を行
い得られる樹脂に石油樹脂が添加されている樹脂組成物
とすることもできる。この石油樹脂としては、主とし
て、C5系のオレフィンを重合して得られる脂肪族系石
油樹脂を用いるとより好ましい。
【0018】さらに、本発明の印刷用インキは、上記本
発明の印刷インキ用樹脂、乾性油、溶剤及び顔料を必須
成分として含み、これらを混練して得られるインキであ
る。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の印刷インキ用樹脂は、ロ
ジン類、α,β−不飽和カルボン酸またはその無水物、
脂肪族多塩基酸、一般式Iで示されるオルガノポリシロ
キサン、多価アルコールとを混合し、加熱反応を行わせ
て、得られる高い分子量の樹脂としたものである。この
加熱反応において、次に述べる二種の反応が起こり、樹
脂内に架橋構造が導入されたものとなる。すなわち、加
熱を行うと、ロジン類とα,β−不飽和カルボン酸また
はその無水物とが付加反応し、反応系内にα,β−不飽
和カルボン酸とロジン類との付加体が生成する。さら
に、このα,β−不飽和カルボン酸とロジン類との付加
体、残留するロジン類とα,β−不飽和カルボン酸また
はその無水物を、反応系内に存在する多価アルコール、
一般式Iで示されるオルガノポリシロキサンおよび脂肪
族多塩基酸とエステル化反応を行わせることにより、樹
脂が架橋構造を形成することができ、分子量の増大がな
される。従って、得られる樹脂または樹脂組成物は、架
橋構造を有する高い分子量となり、それに伴い樹脂粘度
も高いものとなる。
【0020】なお、上記の加熱反応において、ロジン類
とα,β-不飽和カルボン酸またはその無水物の付加反応
と、多価アルコールや一般式Iで示されるオルガノポリ
シロキサンとのエステル化反応とは、競合して起こるた
め、反応生成物は、種々の構成単位からなる混合物とな
る。ロジン類とα,β-不飽和カルボン酸またはその無水
物の付加反応が優先的に進行する条件とすると、樹脂粘
度は一層高いものとなる。すなわち、アルダーのエン反
応またはディールズ-アルダー反応は、通常、加熱のみ
で反応が開始するが、これら付加反応を触媒する化合物
を添加すると、より好ましい結果が得られる。なお、
α,β-不飽和カルボン酸のエステル化が先に進行した際
にも、α,β-不飽和カルボン酸エステルも前記のアルダ
ーのエン反応またはディールズ-アルダー反応における
反応性を保持するので、著しい差異とはならない。
【0021】本発明の樹脂調製に用いるロジン類として
は、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、また
はこれらの混合物が挙げられる。さらには、前記ロジン
の変性物を用いることもできる。変性物としては、部分
的水素添加、不均化、重合化、エステル化などの変性処
理を施したものを例示できる。一般に、ロジンとは、マ
ツ科植物から得られる樹脂油をもとに、精油などの揮発
性物質を留去したあとの残留樹脂であり、組成にバラツ
キはあるものの、アビエチン酸とその類縁体を主成分と
する樹脂酸と少量の中性成分を含有する混合物である。
このアビエチン酸とその類縁体に存在する不飽和結合に
おいて、下記のα,β−不飽和カルボン酸との付加反応
を行うことを、本発明は大きな特徴の一つとしている。
つまり、ロジン自体の重合体形成による架橋を利用する
ことなく、主として、下記のα,β−不飽和カルボン酸
との付加体を形成することにより、十分な樹脂粘度を有
する樹脂形成を可能としている点に特徴を有するもので
ある。なお、前記の特徴、すなわち、非重合体であるア
ビエチン酸とその類縁体が、α,β−不飽和カルボン酸
との付加体を形成し、この付加体が樹脂の架橋構造に主
要な役割を示すことが明確である限り、また、原料のロ
ジン類がアビエチン酸とその類縁体を主成分とする限
り、副次的な成分として、若干のロジン重合体を含む態
様であってもよい。
【0022】α,β−不飽和カルボン酸またはその無水
物としては、アルダーのエン反応またはディールズ-ア
ルダー反応において利用される種々のα,β−不飽和カ
ルボン酸またはその無水物を用いることができる。なか
でも、炭素数3〜5の鎖状α,β-不飽和モノカルボン
酸、α,β-不飽和ジカルボン酸またはその無水物、ある
いは、前記鎖状α,β-不飽和モノカルボン酸等の炭素-
炭素二重結合と共役しえる芳香環が置換している置換鎖
状α,β-不飽和モノカルボン酸等が好ましく、例えば、
アクリル酸(2-プロペン酸)、メタクリル酸(α-メチ
ルアクリル酸)、マレイン酸(cis-ブテン二酸)、無水
マレイン酸、フマル酸(trans-ブテン二酸)、イタコン
酸(メチレンコハク酸)、無水イタコン酸、クロトン酸
(trans-2-ブテン酸)あるいはケイ皮酸(3-フェニル-2
-プロペン酸)等をより好ましいα,β-不飽和モノカル
ボン酸、α,β-不飽和ジカルボン酸またはその無水物等
の例として挙げることができる。
【0023】本発明の樹脂調製に利用される脂肪族多塩
基酸は、主として、多価アルコールや一般式Iで示され
るオルガノポリシロキサンとエステル結合を形成して、
樹脂の架橋構造の一部となる。従って、種々の脂肪族ポ
リカルボン酸類を利用できるが、炭素数2〜32の直鎖
アルカン二酸またはその無水物が好ましく、例えば、コ
ハク酸(ブタン二酸)、アジピン酸(ヘキサン二酸)、
アゼライン酸(1,7-ヘプタンジカルボン酸)、セバシン
酸(1,8-オクタンジカルボン酸)ならびにこれらの無水
物、例えば、無水コハク酸などはより好ましい。さらに
は、ダイマー酸、トリマー酸、不飽和脂肪酸とα,β-不
飽和カルボン酸の反応で得られるダイアシッドまたは不
飽和脂肪酸付加体等、もしくはこれらに対応する酸無水
物等も、同様に好ましいものとして挙げることができ
る。例えば、ダイマー酸、トリマー酸は、種々の不飽和
脂肪酸を二量化、三量化したものであるが、植物油に由
来するオレイン酸などを原料とし、比較的高分子量のも
のが利用され、市販されているダイマー酸、商品名ハリ
ダイマーDA−270S、DA−250、DA−200
K(ハリマ化成(株)製)等を利用することができる。こ
れらの脂肪族多塩基酸を分子内に含むことで、インキ用
溶剤への溶解性向上を図る作用をも有する必須構成成分
である。なお、長鎖の炭素鎖を有する脂肪族多塩基酸に
おいては、その長鎖の炭素鎖に付随して、前記の溶剤へ
の溶解性向上の効果が増す。
【0024】本発明の樹脂調製に利用される一般式Iで
示されるオルガノポリシロキサンは、末端のR1は、H
またはメチル基であり、シロキサン構造(−Si(R2)2
−O−)に置換するR2は、メチル基、エチル基または
フェニル基である。一方、R2は、互いに同じでなくと
もよく、更には、数種の構成単位かるヘテロポリマーで
あってもよい。重合度を示すnは、1〜500の範囲に
選択する。好ましくは、一般式Iで示されるオルガノポ
リシロキサンにおいて、両末端のR1にHを選択する。
より好ましくは、両末端のR1にHを選択するととも
に、全てのR2にメチル基を選択する。加えて、重合度
を示すnは、好ましくは、5〜200の範囲に、より好
ましくは20〜100の範囲に選択する。但し、末端の
1にメチル基を選択する際にも、反応条件、利用する
触媒等によっては、縮合反応を起こすので、本発明にお
いては、水酸基の当量を算出する際には、末端のR1
依らず、一般式Iで示されるオルガノポリシロキサンは
2当量と見なす。
【0025】本発明の樹脂調製に利用される多価アルコ
ールとしては、例えば、鎖状の多価アルコールである、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチ
レングリコール、ポリエチレングリコール、プロプレン
グリコール(1,2-プロパンジオール)、ジプロピレング
リコール、トリプロピレングリコール、ブチレングリコ
ール(ブタンジオール)、ネオペンチルグリコール(2,
2-ジメチル-1,3-プロパンジオール)、ヘキサンジオー
ル、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチ
ロールプロパン、ペンタエリトリトール(C(CH2O
H)4)、ジペンタエリトリトール、D-ソルビトール(D-
グルシトール)など、ならびに脂環式の多価アルコール
である、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキ
サンジメタノール(1,4-ジメチロールシクロヘキサン)
等が挙げられる。
【0026】出発原料として、多価アルコールならびに
一般式Iのオルガノポリシロキサンは、樹脂形成のエス
テル化反応に使用されるものであり、ロジン類、α,β-
不飽和ジカルボン酸、脂肪族多塩基酸が有するカルボキ
シル基1当量に対して、その添加量中に含まれる水酸基
が、少なくとも、0.3当量〜過剰量となる量を添加す
ればよい。カルボキシル基1当量に対して、0.5〜2
当量の割合で添加するとより好ましく、0.9〜1.2
当量を添加して、反応を行うと一層好ましい。すなわ
ち、樹脂の主成分となるα,β-不飽和ジカルボン酸とロ
ジン類との付加体は、多価アルコールあるいは一般式I
のオルガノポリシロキサンとエステルを形成し、この多
価アルコールあるいは一般式Iのオルガノポリシロキサ
ンに残るヒドロキシル基と脂肪族多塩基酸がエステルを
形成することにより、樹脂に架橋構造が導入されるとよ
り好ましいものとなる。従って、多価アルコールおよび
一般式Iのオルガノポリシロキサンの添加量合計を、お
おむね前記二種類のエステル化反応に要する量である、
カルボキシル基1当量に対して、0.9〜1.2当量と
すると一層好ましい。また、エステル化反応により、樹
脂に架橋構造が導入される点を考慮すると、多価アルコ
ールは、ジオールのみではなく、3価アルコール以上の
多価アルコールを含むものを用いると、そこに架橋構造
の形成がなされるので、より好ましい結果が得られる。
【0027】加熱反応を行う際、原料のロジン類、α,
β-不飽和ジカルボン酸、脂肪族多塩基酸、一般式Iの
オルガノポリシロキサン、多価アルコールを、無触媒又
は触媒の存在下に同時に反応させる手法を採ることがで
きる。あるいは、予め、ロジン類とα,β-不飽和ジカル
ボン酸とを加熱反応させ、次いで、脂肪族多塩基酸、一
般式Iのオルガノポリシロキサン、多価アルコールを加
えてエステル形成を行う手法を採ることもできる。すな
わち、採用する反応方法、手順に応じて、各原料の添加
順序、添加時期を適宜選択することができる。さらに
は、予め、ロジン類とα,β-不飽和ジカルボン酸とを加
熱反応させた生成物を出発原料として、脂肪族多塩基
酸、一般式Iのオルガノポリシロキサン、多価アルコー
ルを加えて、エステル形成を行う方法を採用しても、得
られる樹脂に実質的な差異はないものとなる。
【0028】加熱反応において、触媒を使用する際に
は、エステル化反応に対する触媒となる、水酸化カルシ
ウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化カルシウムな
どの2価金属化合物、または、公知の酸触媒、例えば、
硫酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸など
の有機スルホン酸類を添加すると好ましい。前記の触媒
として添加する化合物のうちでも、得られる樹脂の粘度
をより高くする上では、ロジン類、α,β-不飽和ジカル
ボン酸またはその無水物、脂肪族多塩基酸、一般式Iの
オルガノポリシロキサン、多価アルコールの重量総和に
対して、2価金属化合物を0.1%〜2%添加するのが
好ましく、具体的には、亜鉛、マグネシウム、カルシウ
ム等の2価金属化合物、特に、これら2価金属、つま
り、亜鉛、マグネシウム、カルシウムの酸化物、水酸化
物等を使用するとより好ましい。
【0029】また、上記加熱反応において、その反応温
度は、100〜290℃の範囲に選択するのが適当であ
り、特に、200〜270℃の範囲に選択するとより好
ましい。なお、加熱反応温度は、用いられる原料とその
組成に応じて、上記の好適な範囲と実質的に差異のない
温度を選択することもできる。最適な反応時間は、原料
中のロジン類、α,β-不飽和ジカルボン酸またはその無
水物、脂肪族多塩基酸、一般式Iのオルガノポリシロキ
サン、多価アルコール各成分比率、さらには、触媒とし
て添加される亜鉛、マグネシウム、カルシウムの酸化
物、水酸化物等の量に依存して、変化するが、前記の温
度範囲においては、通常、2〜20時間の範囲であり、
好ましくは、3〜10時間の範囲とする。
【0030】本発明の印刷インキ用樹脂は、上記の加熱
反応で得られる、α,β-不飽和ジカルボン酸とロジン類
との付加体、残留するロジン類とα,β-不飽和ジカルボ
ン酸、脂肪族多塩基酸、一般式Iのオルガノポリシロキ
サン、多価アルコールとがエステル結合して、高分子化
した樹脂を主成分とするが、本発明の目的を逸脱しない
範囲で、これに石油樹脂を添加して、樹脂組成物とする
こともできる。ここで石油樹脂は、主に、石油分解油留
分から得られる低分子量の熱可塑性炭化水素樹脂を意味
し、さらには、石油化学において副産物として得られる
石油副生成物樹脂、コールタール樹脂等をも含む。な
お、添加する石油樹脂は、その後インキを調製する際、
インキ用溶剤に対する溶解性を増す目的と効果を持つ。
その目的では、主として、C5系のオレフィンを重合して
得られる脂肪族系石油樹脂を用いるとより好ましい。
【0031】石油樹脂の添加時期は、加熱反応後、冷却
すると本発明の印刷インキ用樹脂は、粘度が高く、均一
な混合を行うには、多くの労力を要するので、予め加熱
反応を行う際に添加するとよい。すなわち、上記の樹脂
原料を反応容器に入れる際に、石油樹脂を加えることが
できる。なお、加熱反応中、あるいは、加熱反応後に石
油樹脂を添加しても、得られる樹脂組成物の特性は、実
質的に差異を与えるものでない。
【0032】また、加熱反応時に発生する泡を消泡する
目的で、シリコン系の消泡剤を添加することもできる。
加えて、上記混合物に、印刷インキに使用可能な溶剤
類、例えば、0号ソルベント(日本石油化学(株)製)、
AFソルベント(日本石油化学(株)製)等、テレピン油
等を適宜添加できる。これら溶剤類の添加により、反応
終了時に樹脂を反応釜から取り出す際、その作業が容易
となる。この消泡剤や、溶剤等の付加的な添加剤につい
ては、エステル化反応時においても適宜添加することは
可能である。
【0033】なお、本発明の印刷インキ用樹脂は、上記
のロジン類、α,β-不飽和ジカルボン酸またはその無水
物、脂肪族多塩基酸、一般式Iのオルガノポリシロキサ
ン、多価アルコールを加熱反応させて得られる高分子化
した樹脂を主成分とする点に特徴を持つものであるが、
上述する石油樹脂の他、本発明の目的を逸脱しない範囲
で、これに従来から知れている他の樹脂、例えば、ロジ
ン類のエステルなどの樹脂成分を加えて、複合型樹脂組
成物とすることもできる。
【0034】以上の合成反応により調整できる、本発明
の印刷インキ用樹脂を用い、オフセット印刷用インキの
調製方法について説明する。
【0035】本発明のオフセット印刷用インキは、本発
明の印刷インキ用樹脂、乾性油、溶剤及び顔料を必須成
分として含み、これらを混練して得られる。なお、顔料
は、所望の色とするため、適宜選択する顔料が用いられ
る。つまり、顔料は、被印刷物に色付けを行うためのも
ので、必要に応じて、黄色、紅色、藍色または黒色等の
顔料が選択される。
【0036】本発明の印刷インキ用樹脂は、原料のロジ
ン類に由来する炭素骨格を有するので、ロジン類と同等
の顔料との濡れ性を保持している。その顔料との濡れ性
は優れており、例えば、従来のロジン変性フェノール樹
脂を用いるインキに利用されている顔料を同様に利用す
ることができる。これらの顔料は、本発明の印刷インキ
用樹脂に均一に分散させることができる。
【0037】乾性油は、例えば、アマニ油、桐油等が挙
げられる。また、半乾性油であるが大豆油等を、前記の
乾性油に代えて用いることもできる。これらは、ドライ
ヤーと呼ばれる触媒によって、印刷後に乾性油同士が重
合し、皮膜が硬化する。従って、インキを調製する際、
前記乾性油の種類と添加量に合わせて、適合するドライ
ヤー、例えば、ナフテン酸マンガン溶液などを適量添加
することもできる。
【0038】溶剤は、インキ粘度の調整と印刷後のイン
キ乾燥性を早めるために添加される。従来のロジン変性
フェノール樹脂を用いるインキに利用されていた溶剤
を、そのまま利用することができる。好適に利用できる
市販の溶剤として、例えば、0号ソルベント、0号ソル
ベントS、0号ソルベントH、AF4〜7号ソルベント
(以上日本石油化学(株)製)等を挙げることができる。
【0039】本発明の印刷インキ用樹脂は、従来のロジ
ン変性フェノール樹脂と比較して、遜色のない粘度の高
さ、顔料に対する優れた濡れ性、溶剤に対する溶解性を
示すので、これら顔料、乾性油、溶剤の使用量は、従来
のロジン変性フェノール樹脂を利用したインキにおける
使用量と実質的に一致するものとなる。すなわち、従来
のロジン変性フェノール樹脂を利用したインキ(特開平
9−268211号公報等を参照)の組成、調整法に準
じ、ロジン変性フェノール樹脂を本発明の印刷インキ用
樹脂に置き換えることのみで、従来のロジン変性フェノ
ール樹脂を利用したインキと同等のインキ特性を達成で
きるものである。
【0040】その他、インキにゲル味を持たせ、印刷特
性を向上させる目的で、ゲル化剤等を添加することもで
きる。また、印刷後の印刷光沢性を向上させる目的で、
脂肪酸エステル等を添加することもできる。このゲル化
剤や脂肪酸エステル等の添加は、本発明のインキにおい
て好ましい態様である。
【0041】
【実施例】以下に具体例を挙げて、本発明の印刷インキ
用樹脂、その調製方法、さらに本発明の印刷インキ用樹
脂を用いたインキの印刷特性について、より詳細に説明
する。
【0042】(実施例1)反応容器中で、トール油ロジ
ン1500gに、アクリル酸120g、セバシン酸45
g、一般式Iのオルガノポリシロキサン(R1はH、R2
はメチル基、nは49である)としてXF−3905
(東芝シリコン社製)20g、ペンタエリトリトール1
96.9gを添加・混合し、さらに触媒として酸化マグ
ネシウム1.5gを添加し、均一化した。この反応容器
を、275℃に加熱し、その後8時間反応を行い、樹脂
を作製した。
【0043】得られた樹脂について、軟化点、酸価と、
インキ用樹脂として重要な特性、粘度(アマニ油粘
度)、溶剤への溶解性(0号ソルベント溶解性)、重量
平均分子量を評価した。なお、評価方法は、以下のよう
に行った。結果を、表1に示す。アマニ油粘度(ガード
ナー気泡型粘度):アマニ油と樹脂とを、重量比2:1
の割合で配合し、加熱溶解させたものを、ガードナー気
泡型粘度計により測定した。
【0044】0号ソルベント溶解性:樹脂を0号ソルベ
ントに溶解し、25℃に放置したときに、白濁しない最
小量の樹脂の重量%を測定した。
【0045】重量平均分子量:GPCによるポリスチレ
ン換算の分子量を測定した。
【0046】表1に示すとおり、この樹脂のアマニ油粘
度、0号ソルベント溶解性ともに、従来のフェノール変
性ロジン樹脂:ロジンフェノール樹脂ハリフェノールP
−600(ハリマ化成(株)製)と比較し、遜色のないも
のである。
【0047】ついで得られた樹脂を細かく砕き、この粉
砕された樹脂40重量部、アマニ油20重量部、AF6
号溶剤40重量部を反応容器にいて、窒素ガスを吹き込
みながら昇温し、200℃で攪拌しながら30分保温し
ワニスを得た。得られたワニスを100℃に冷却し、ゲ
ル化剤を添加した。ゲル化剤は、ALCH(川研ファイ
ンケミカルス(株)製)1.4重量部を、AF6号溶剤
1.4重量部で希釈したものを用いた。さらに、再度2
00℃に昇温し、1時間保温しインキ用ゲルワニスを得
た。
【0048】ついで、この得られたゲルワニス60重量
部に紅色顔料としてカーミン6B(東洋インキ製造(株)
製)18重量部を三本ロールミルを用いて分散し、さら
に、タックが5〜6、フローが33〜35になるように
調製するため、AF6号溶剤とゲルワニスを適量添加し
て、総量100重量部とし、ついで6%ナフテン酸マン
ガン溶液(ハリマ化成(株)製ドライヤー)0.5部を
添加した。これを均一に混合して、印刷用インキを得
た。
【0049】表2に、得られたインキの特性評価の結果
を示す。なお、表2には、実施例、比較例の各物性の測
定結果とともに、各物性に対する許容される範囲(目標
値の範囲)についても掲載した。
【0050】表2に示す物性の評価方法は以下のように
行った。
【0051】光沢値:インキ0.3ccをRIテスター
((株)明製作所製)全面ロールでアート紙に展色した
後、24時間経過した時点で、光沢値を60°−60°
光沢計で測定した。
【0052】セット:インキ0.1ccをRIテスター
((株)明製作所製)4カットロールで展色した後、展色
物を切り、それを別のアート紙に貼り合わせる。この試
料について、RIテスターのロールを用いて、インキが
アート紙に付着しなくなるまでの時間(分)を測定し
た。
【0053】通常、この評価では、12〜21分の範囲
が最適とされる。12分より短くなるにつれ、インキの
保存性が悪いことが多くなり、また、21分より長くな
るにつれ、印刷物を重ねたときに、裏写りが発生しやす
い。従って、おおよそ前記12〜21分の範囲から大き
く外れなければ、作業性の低下は引き起こされない。な
お、含まれる溶剤の自然蒸発等を考慮すると、21分を
若干超えるものも最適な範囲と見なせる。
【0054】紙上乾燥性:インキ0.1ccをRIテス
ター((株)明製作所製)4カットロールで硫酸紙に展色
した後、硫酸紙を重ね合わせ、朝陽会式乾燥試験器にセ
ットし0.1rpmの条件で乾燥時間を比較した。
【0055】ここで採用した評価基準は、以下の通りで
ある。 ◎:乾燥時間が、 4時間未満である。最も良好なレベ
ルである。 ○:乾燥時間が、4以上7時間未満である。良好なレベ
ルである。 △:乾燥時間が、7以上10時間未満である。普通のレ
ベルである。 ×:乾燥時間が、10時間以上である。不適なレベルで
ある。
【0056】インキ粘度及び降伏値:L型粘度計(東洋
精機(株)製)により測定した。
【0057】フロー60s:離合社(株)のスプレッドメ
ーターによるインキの広がり(直径)を測定した。
【0058】最大乳化量:リソドロニック乳化試験器
(Novocontrol社製)を用いて、40℃において、25
gのインキに2ml/分の速度で水を添加し、インキが
飽和した時点の水分量を測定した。(乳化試験器の回転
数:1200rpm)表2に示すとおり、比較例1に示
すフェノール変性ロジン(従来樹脂)を用いたインキと
比較して、すべての評価項目について、全く遜色はな
く、性能的には同等なインキが得られたと判断される。
なお、タック値、フロー60s、セットの各項目は、含
まれる溶剤量に大きく依存するもので、表2に示す値
は、実用上いずれも好適な範囲と判断される。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】 (実施例2)反応容器中で、トール油ロジン1125g
に、アクリル酸120g、セバシン酸45g、石油樹脂
T200A(丸善石油化学(株)製)375g、一般式
Iのオルガノポリシロキサン(R1はH、R2はメチル
基、nは37〜40の混合物である)としてXF−30
57(東芝シリコン社製)20g、ペンタエリトリトー
ル196.9gを添加・混合し、さらに、触媒として酸
化マグネシウム1.5gを添加した。この反応容器を、
275℃に加熱し、その後6時間反応を行い、樹脂を作
製した。得られた樹脂について、上記実施例1の同じ項
目について、同じ評価方法により、樹脂特性を評価し
た。表1に、評価結果を併せて示す。
【0061】表1に示すとおり、この樹脂のアマニ油粘
度、0号ソルベント溶解性ともに、従来のフェノール変
性ロジン樹脂:ロジンフェノール樹脂ハリフェノールP
−600(ハリマ化成(株)製)と比較し、遜色のないも
のである。
【0062】また、この樹脂を用いて、実施例1と全く
同様な調製方法により、インキを調製した。このインキ
の特性についても、実施例1に記載の評価方法で、各項
目の評価を行った。表2に、評価されたインキの特性を
併せて示す。
【0063】表2に示すとおり、比較例1に示すフェノ
ール変性ロジン(従来樹脂)を用いたインキと比較し
て、すべての評価項目について、全く遜色はなく、性能
的には同等なインキが得られたと判断される。
【0064】(比較例1)印刷インキ用樹脂として、従
来のロジンフェノール樹脂:商品名ハリフェノールP−
600(ハリマ化成(株)製)を用いて、実施例1と全く
同様な調製方法により、インキを調製した。このインキ
の特性についても、実施例1に記載の評価方法で、各項
目の評価を行った。表2に、対比のため、評価されたイ
ンキの特性を併せて示す。なお、前記ロジンフェノール
樹脂:ハリフェノールP−600(ハリマ化成(株)製)
に関しても、上記実施例1の同じ項目について、同じ評
価方法により、樹脂特性を評価した。表1に、対比のた
め、その評価結果を併せて示す。
【0065】(比較例2)セバシン酸(1,8−オクタ
ンジカルボン酸)45gに代えて、ノナン酸45gを使
用すること以外は、実施例1に記載の原料組成と同様の
合成操作を行い、樹脂を作製した。この樹脂では、アマ
ニ油粘度がWと低く、この樹脂を用いて、実施例1と同
じ条件でインキ化を試みたが、インキ化が不能であっ
た。すなわち、脂肪族ジカルボン酸に代えて、脂肪族モ
ノカルボン酸を用いているため、インキ化を行うに十分
な樹脂粘度が得られていないものであった。
【0066】
【発明の効果】本発明の印刷インキ用樹脂は、ロジン
類、α,β-不飽和カルボン酸またはその無水物、脂肪族
多塩基酸、一般式Iのオルガノポリシロキサン、多価ア
ルコールとを加熱反応させて、調製される樹脂であるの
で、当然にホルムアルデヒド等、揮発性が高く、化学物
質過敏症を誘起する物質を含まないものである。加え
て、加熱等により、遊離してホルムアルデヒドの発生を
起こす可能性を持つ、合成により導入されたメチロール
基をも含まない。従って、いわゆるホルムアルデヒドフ
リーの樹脂であり、しかもオフセット印刷に利用される
インキの調製に適する、十分な樹脂粘度を有する利点を
持つ。オフセット印刷用インキの調製においては、従来
から用いられている、ロジンをレゾール樹脂で変性した
ロジン変性フェノール樹脂と、樹脂としての特性は遜色
なく、ロジン変性フェノール樹脂の代替えが容易に行え
る。すなわち、本発明の印刷インキ用樹脂により、単に
ロジン変性フェノール樹脂と置き換えて調製される印刷
用インキは、従来のロジン変性フェノール樹脂を用いた
インキと比較して、なんらの遜色もないオフセット印刷
特性、作業性を具備するものとなる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 AE053 AF021 BA012 CP031 FD096 GT00 HA05 4J035 BA01 CA022 CA061 FB06 LB20 4J038 BA202 CR012 DD101 DD191 DD231 KA06 KA08 4J039 AB04 AB08 AD18 AE06 AE11 BE01 CA04

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロジン類、α,β−不飽和カルボン酸ま
    たはその無水物、脂肪族多塩基酸、下記一般式I: 【化1】 (式中、nは、1〜500の整数であり、R1は、Hま
    たはメチル基を表し、R2は、メチル基、エチル基また
    はフェニル基を表し、互いに同じでなくともよい)で示
    されるオルガノポリシロキサン、多価アルコールとを加
    熱反応させて得られる印刷インキ用樹脂。
  2. 【請求項2】 一般式Iで示されるオルガノポリシロキ
    サンにおいて、R1がHであることを特徴とする請求項
    1に記載の印刷インキ用樹脂。
  3. 【請求項3】 一般式Iで示されるオルガノポリシロキ
    サンにおいて、R1がHであり、R2がメチル基であるこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載の印刷インキ用
    樹脂。
  4. 【請求項4】 前記ロジン類、α,β−不飽和カルボン
    酸またはその無水物および脂肪族多塩基酸中のカルボキ
    シル基1当量に対して、一般式Iで示されるオルガノポ
    リシロキサンおよび多価アルコール中の水酸基が0.5
    〜2当量となる割合で添加することを特徴とする請求項
    1〜3のいずれかに記載の印刷インキ用樹脂。
  5. 【請求項5】 前記加熱反応時に、原料のロジン類、不
    飽和カルボン酸またはその酸無水物により変性されてな
    る変性ロジン類を用いることを特徴とする請求項1〜4
    のいずれかに記載の印刷インキ用樹脂。
  6. 【請求項6】 前記加熱反応時に、原料のロジン類、
    α,β−不飽和カルボン酸またはその無水物、脂肪族多
    塩基酸、一般式Iで示されるオルガノポリシロキサンお
    よび多価アルコールの重量総和に対して、0.1%〜2
    %の2価金属化合物を添加することを特徴とする請求項
    1〜5のいずれかに記載の印刷インキ用樹脂。
  7. 【請求項7】 前記加熱反応時に、石油樹脂を存在させ
    ることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の印
    刷インキ用樹脂。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の印刷イ
    ンキ用樹脂、乾性油、溶剤及び顔料を必須成分として含
    み、これらを混練して得られる印刷用インキ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003096172A (ja) * 2001-09-27 2003-04-03 Arakawa Chem Ind Co Ltd ポリエステル樹脂、その製造法、印刷インキ用バインダーおよび印刷インキ

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