JP2001031747A - 印刷インキ用樹脂 - Google Patents

印刷インキ用樹脂

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JP2001031747A
JP2001031747A JP20940999A JP20940999A JP2001031747A JP 2001031747 A JP2001031747 A JP 2001031747A JP 20940999 A JP20940999 A JP 20940999A JP 20940999 A JP20940999 A JP 20940999A JP 2001031747 A JP2001031747 A JP 2001031747A
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resin
rosin
acid
printing ink
phenol
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JP20940999A
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Shoichi Yano
省一 矢野
Yoshihisa Misawa
嘉久 三澤
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Harima Chemical Inc
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Harima Chemical Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ホルムアルデヒドを合成過程で使用しない樹
脂であり、広い用途を持つインキ調製に適用する樹脂に
好適な程度に樹脂粘度が高く、あるいは、高い分子量を
有する新規な印刷インキ用樹脂または樹脂組成物の提
供。 【解決手段】 ロジン類、フェノール類、脂肪族多塩基
酸、多価アルコールとを加熱反応させて得られる樹脂ま
たは樹脂組成物である。特には、ロジン類100重量部
に対して、フェノール類10〜150重量部を用いて、
前記の加熱反応を行い得られる樹脂または樹脂組成物で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、印刷インキ用樹脂
に関し、具体的には、オフセット印刷用インキの調製に
用いられるインキ用樹脂または樹脂組成物に関する。特
には、オフセット印刷において、要求される優れたイン
キ性能と印刷作業性を与える印刷インキ用樹脂、ならび
に、係る特質を利用し、この印刷インキ用樹脂を用いて
調製される印刷用インキに関する。
【0002】
【従来の技術】オフセット印刷は、多様な印刷原版の印
刷が可能である利点を持ち、その利点から、広く用いら
れている代表的な印刷方式である。このオフセット印刷
方式には、熱によってインキを乾燥させるヒートセット
式のオフセット輪転印刷と乾性油を触媒に用いて硬化、
乾燥させる枚葉式印刷の二種の方式がある。オフセット
印刷に用いられるインキでは、それを構成する樹脂とし
て、天然物であるロジンを、フェノール樹脂、特にレゾ
ール樹脂で変性したロジン変性フェノール樹脂が広く用
いられている(特開平9−268211号公報等を参
照)。
【0003】このロジン変性フェノール樹脂は、ロジン
を樹脂骨格中に有しているため、顔料との濡れ性が向上
し、顔料が均一分散しやすいという利点を有している。
このロジンをフェノール樹脂で変性している理由は、ロ
ジン自体は、高分子重合を起こさないモノカルボン酸類
であるため、樹脂に必要な架橋構造を導入する必要があ
り、フェノール樹脂で変性することにより、架橋構造の
導入を図ったものである。さらに、フェノール樹脂の合
成には、主原料のフェノール類とホルムアルデヒドを、
アルカリ又は酸触媒を用いて反応させる方法が用いられ
ている。そのため、ロジン変性フェノール樹脂の合成過
程では、ホルムアルデヒドは合成上必須な構成成分とな
っている。また、フェノール樹脂、具体的には、レゾー
ル樹脂には、ホルムアルデヒドに由来する末端メチロー
ル基が存在している。
【0004】ところで、ヒートセット式のオフセット印
刷では、印刷工程中、インキ乾燥など、インキにかなり
の熱がかかる工程がある。この加熱の際、ロジン変性フ
ェノール樹脂中に、未反応のホルムアルデヒドが僅かで
も残存していれば、ホルムアルデヒドの飛散が起こる可
能性がある。また、例えば、レゾール樹脂の末端メチロ
ール基に由来するホルムアルデヒドなど、樹脂骨格より
遊離するホルムアルデヒドの飛散が起こる可能性も、必
ずしも否定することはできない。このホルムアルデヒド
は、シックハウス問題等で、大きな関心が寄せられてい
る化学物質過敏症を引き起こす原因化合物の一つである
と、指摘を受けている。
【0005】上記の理由により、印刷インキ用に用いら
れる樹脂でも、ホルムアルデヒドの遊離を抑えた樹脂の
使用が望まれ、その開発が急がれている。ホルムアルデ
ヒドの遊離を抑える手段としては、従来から検討と改良
が進められている幾つかの方法がある。例えば、ホルム
アルデヒドを含有する樹脂系に、ホルムアルデヒド捕捉
能を有する添加剤、いわゆるキャッチャーを添加する方
法などである。また、発想の転換を図って、ホルムアル
デヒドを合成過程で使用しない樹脂を用いることで、ホ
ルムアルデヒド遊離の問題を回避することも考えられ
る。
【0006】しかしながら、前者のキャッチャーを添加
する方法では、インキ化したとき、要望される作業性を
保つように、添加率を調整するのは容易ではない。そも
そも、キャッチャーの添加は、僅かに残留している未反
応ホルムアルデヒドに対しては有効な手段ではあるが、
レゾール樹脂の末端メチロール基が脱離することに由来
するホルムアルデヒドなど、経時的に徐々に遊離してく
るものは、キャッチャーのみで捕捉すること自体、相当
に難しい。
【0007】一方、後者のホルムアルデヒドを合成過程
で使用しない樹脂への転換は、本質的な解決策ではある
ものの、現状では、インキ用樹脂としての特性を一応満
足する樹脂ですら、限られた数しかない。その一つに、
ロジンの多価アルコールエステル類があり、特定用途の
インキ用樹脂として使用されている。すなわち、このロ
ジンと多価アルコールのエステル化反応により得られた
樹脂は、高分子量化が不十分なため、広い用途を持つイ
ンキ調製に適用する樹脂としては、その樹脂粘度がなお
低く、特定用途にしか利用できないものである。また、
石油樹脂もその一つであるが、顔料に対する親和性は満
足する水準にあるものの、粘度が十分に高いものでな
く、限られた用途のインキ用樹脂として使用できるのみ
である。つまり、石油樹脂自体では、高分子量化が不十
分なため、広い用途を持つインキ調製に適用する樹脂と
しては、その樹脂粘度がなお低いといった、今後さらな
る改良・解決すべき問題点を残している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の課題
を解決するもので、本発明の目的は、ホルムアルデヒド
を合成過程で使用しない樹脂であり、広い用途を持つイ
ンキ調製に適用する樹脂に好適な程度に樹脂粘度が高
く、あるいは、高い分子量を有する新規な印刷インキ用
樹脂または樹脂組成物を提供することにある。より具体
的には、本発明の目的は、その合成において、ホルムア
ルデヒドを原料として用いず、あるいは、加熱した際、
容易にホルムアルデヒドとして遊離するメチロール基を
含まない樹脂または樹脂組成物であり、オフセット印刷
用インキの調製に利用する際、好適な樹脂粘度又は分子
量を持つ新規な樹脂または樹脂組成物を提供することに
ある。さらに、本発明は、上記の樹脂または樹脂組成物
を用いて、調製される良好な印刷特性を有する新規なオ
フセット印刷用インキを提供することをも目的とする。
【0009】すなわち、本発明の目標とする印刷インキ
用樹脂は、現状オフセット印刷用インキの調製に利用さ
れているロジン変性フェノール樹脂を代替できる特性、
すなわち、ロジン変性フェノール樹脂と比較して、遜色
の無い樹脂粘度又は分子量を持ちつつ、その合成におい
て、ホルムアルデヒドを原料として用いず、あるいは、
加熱した際、容易にホルムアルデヒドとして遊離するメ
チロール基を含まない樹脂である。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく、鋭意研究を進め、分子内にロジン骨格
を保持し、加えて、樹脂に必要な架橋構造をも持ち、高
い分子量ならびに高い粘度を持つ新規な樹脂の合成を行
った。その過程において、ロジン2分子以上が多量体化
したロジン重合体を用い、このロジン重合体等、脂肪酸
が二量体化したダイマー酸および多価アルコールとのエ
ステル化反応を行い得られる樹脂は、前記する要件を満
たす樹脂であるとして、係る新規な樹脂の発明を完成さ
せ、特許出願を行った(特願平10−337460号に
添付の明細書を参照)。本発明者らは、このロジン重合
体自体における、分子内重合構造を架橋構造として利用
する方法以外の解決手段を提供すべく、さらに研究・検
討を継続した。つまり、樹脂の分子内にロジンの骨格を
有する新たな樹脂の創出目標として、さらに研究・検討
を進めた。その結果、主原料として、ロジン類、フェノ
ール類、脂肪族多塩基酸、多価アルコールを用い、これ
ら原料を混合し、加熱反応させて得られる生成物は、樹
脂に必要な架橋構造を持ち、従って、高い分子量を示
し、また、その粘度も印刷インキ用樹脂に好ましい程度
に高いものであることを見出した。係る知見に基づき、
本発明を完成するに至った。
【0011】すなわち、本発明の印刷インキ用樹脂は、
ロジン類、フェノール類、脂肪族多塩基酸、多価アルコ
ールとを加熱反応させて得られる樹脂または樹脂組成物
である。特には、ロジン類100重量部に対して、フェ
ノール類10〜150重量部、より好ましくは20〜1
00重量部を用いて、前記の加熱反応を行い得られる樹
脂または樹脂組成物である。すなわち、ロジン類の主成
分であるアビエチン酸とその類縁体1分子に対して、フ
ェノール類を、0.1〜2.0分子の割合、好ましく
は、0.5〜1.5分子の割合で用い、前記の加熱反応
を行い得られる樹脂または樹脂組成物である。
【0012】つまり、ロジン類とフェノール類とを加熱
して、付加反応したロジン-フェノール類とするととも
に、反応系内に生成するロジン-フェノール類と、脂肪
族多塩基酸、多価アルコールとをさらに加熱反応させ
て、エステル結合形成による架橋構造の導入を行ったも
のである。従って、最終的に得られる樹脂には、原料の
ロジン類に由来するロジン炭素骨格を保持するととも
に、エステル結合形成による架橋構造をとり、高い分子
量となり、その粘度も印刷インキ用樹脂に好ましい程度
に高いものとなる。
【0013】なお、上述するように、ロジン類とフェノ
ール類とを加熱して、付加反応したロジン-フェノール
類を中間原料とし、他の原料である脂肪族多塩基酸、多
価アルコールと反応を行わせるものであり、予め、ロジ
ン類とフェノール類とを加熱して、付加反応したロジン
-フェノール類を別途に調製し、その後、中間原料のロ
ジン-フェノール類、脂肪族多塩基酸、多価アルコール
とを加熱反応させることによっても、実質的に同じ樹脂
を調製することができる。
【0014】すなわち、ロジン類とフェノール類と付加
反応させて調製されるロジン-フェノール類、脂肪族多
塩基酸、多価アルコールとを加熱反応させて得られる印
刷インキ用樹脂も、実質的に、本発明の印刷インキ用樹
脂に包含される。
【0015】本発明の印刷インキ用樹脂は、好ましく
は、原料のロジン類及び脂肪族多塩基酸中のカルボキシ
ル基1当量に対して、多価アルコールを、少なくとも、
0.3当量以上、好ましくは0.5〜2当量の割合で添
加して、加熱反応させて得られる樹脂または樹脂組成物
である。
【0016】本発明の印刷インキ用樹脂は、より好まし
くは、原料のロジン類、フェノール類、脂肪族多塩基
酸、多価アルコールの重量総和に対して、0.1%〜3
%の2価金属化合物を添加して、加熱反応を行い得られ
る樹脂または樹脂組成物である。
【0017】加えて、本発明の印刷インキ用樹脂は、原
料のロジン類、フェノール類、脂肪族多塩基酸、多価ア
ルコールの他に、上記の加熱反応時に、石油樹脂を存在
させ、加熱反応を行い得られる樹脂に石油樹脂が添加さ
れている樹脂組成物とすることもできる。
【0018】さらに、本発明の印刷用インキは、上記本
発明の印刷インキ用樹脂、乾性油、溶剤及び顔料を必須
成分として含み、これらを混練して得られるインキであ
る。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の印刷インキ用樹脂は、ロ
ジン類、フェノール類、脂肪族多塩基酸、多価アルコー
ルとを混合し、加熱反応を行わせて、得られる高い分子
量の樹脂としたものである。この加熱反応において、次
に述べる二種の反応が起こり、樹脂内に架橋構造が導入
されたものとなる。すなわち、加熱を行うと、ロジン類
とフェノール類とが付加反応し、反応系内にロジン-フ
ェノール類が生成する。さらに、このロジン類とフェノ
ール類との付加体、ロジン-フェノール類を、反応系内
に存在する多価アルコールおよび脂肪族多塩基酸とエス
テル化反応を行わせることにより、樹脂が架橋構造を形
成することができ、分子量の増大がなされる。従って、
得られる樹脂または樹脂組成物は、架橋構造を有する高
い分子量となり、それに伴い樹脂粘度も高いものとな
る。
【0020】なお、上記の加熱反応において、反応方法
は、特に制限はなく、ロジン類とフェノール類の付加反
応と、得られる付加体ロジン-フェノール類ならびに脂
肪族多塩基酸と多価アルコールとのエステル化反応と
は、それぞれ従来公知の方法を採用することができる。
従って、各原料成分の添加順序、添加時期は、採用する
反応方法に応じて、適宜選択することができる。さらに
は、予め、このロジン類とフェノール類の付加反応を別
途行ない、その後、得られる付加体ロジン-フェノール
類を中間原料とし、脂肪族多塩基酸と多価アルコールと
を加え、エステル化反応を行う構成とすることができ
る。
【0021】本発明の印刷用インキの調製に用いるロジ
ン類としては、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロ
ジン、またはこれらの混合物が挙げられる。さらには、
前記ロジンの変性物を原料ロジン類として用いることも
できる。一般に、ロジンとは、マツ科植物から得られる
樹脂油をもとに、精油などの揮発性物質を留去したあと
の残留樹脂であり、組成にバラツキはあるものの、アビ
エチン酸とその類縁体を主成分とする樹脂酸と少量の中
性成分を含有する混合物である。ロジンの変性物として
は、例えば、このアビエチン酸とその類縁体に存在する
不飽和結合において、不飽和カルボン酸やその酸無水物
との付加反応を行ったもの、その他に、部分的な水素添
加、不均化、重合化、エステル化などの変性処理を施す
ものも例示できる。
【0022】上述するロジンへの不飽和カルボン酸やそ
の酸無水物の付加は、アビエチン酸とその類縁体に存在
する不飽和結合において、好ましくは、次に例示する
α,β−不飽和カルボン酸やその酸無水物等を、例え
ば、アルダーのエン反応またはディールズ-アルダー反
応に依って、付加反応したものである。従って、アルダ
ーのエン反応またはディールズ-アルダー反応において
利用される種々の不飽和カルボン酸やその酸無水物、な
かでも、α,β−不飽和カルボン酸またはその無水物を
変性処理に用いることができる。具体的には、炭素数3
〜5の鎖状α,β-不飽和モノカルボン酸、α,β-不飽和
ジカルボン酸またはその無水物、あるいは、前記鎖状
α,β-不飽和モノカルボン酸等の炭素-炭素二重結合と
共役しえる芳香環が置換している置換鎖状α,β-不飽和
モノカルボン酸等が好ましく、例えば、アクリル酸(2-
プロペン酸)、メタクリル酸(α-メチルアクリル
酸)、マレイン酸(cis-ブテン二酸)、無水マレイン
酸、フマル酸(trans-ブテン二酸)、イタコン酸(メチ
レンコハク酸)、無水イタコン酸、クロトン酸(trans-
2-ブテン酸)あるいはケイ皮酸(3-フェニル-2-プロペ
ン酸)等をより好ましいα,β-不飽和モノカルボン酸、
α,β-不飽和ジカルボン酸またはその無水物等の例とし
て挙げることができる。
【0023】本発明の印刷インキ用樹脂の調整に利用さ
れるフェノール類としては、フェノール性水酸基を有す
る芳香族化合物であり、ロジン類に付加が可能である限
り、種々の化合物を用いることができ、具体的には、フ
ェノール(石炭酸)ならびにフェノールと同等の反応性
を示す種々のアルキルフェノール、あるいは、β−ナフ
トール等のフェノール性水酸基を有する多環芳香環化合
物なども好適に利用される。より好適なものとして、例
えば、フェノール(石炭酸)、p−アルキルフェノール
である、クレゾール(p−メチルフェノール)、p−t-
ブチルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ドデ
シルフェノール、p−ノニルフェノール、p−sec-ブチ
ルフェノール、p−ペンタデシルフェノール、p−オク
タデシルフェノール、p−ジオクチルフェノール、p−
シクロヘキシルフェノール、p−フェニルフェノール、
p−クミルフェノール(4-(1-メチル-1-フェニルエチ
ル)フェノール)、ビスフェノール、p−アミノフェノ
ール、ハイドロキノン(1,4-ベンゼンジオール)、カテ
コール(1,2-ベンゼンジオール)、レゾシノール(1,3-
ベンゼンジオール)など、さらには、β−ナフトール等
を挙げることができる。
【0024】本発明の樹脂調製に利用される脂肪族多塩
基酸は、主として、多価アルコールとエステル結合を形
成して、樹脂の架橋構造の一部となる。従って、種々の
脂肪族ポリカルボン酸類を利用できるが、炭素数2〜3
2の直鎖アルカン二酸またはその無水物が好ましく、例
えば、コハク酸(ブタン二酸)、アジピン酸(ヘキサン
二酸)、アゼライン酸(1,7-ヘプタンジカルボン酸)、
セバシン酸(1,8-オクタンジカルボン酸)ならびにこれ
らの無水物、例えば、無水コハク酸などはより好まし
い。さらには、ダイマー酸、トリマー酸、不飽和脂肪酸
とα,β-不飽和カルボン酸の反応で得られるダイアシッ
ドまたは不飽和脂肪酸付加体等、もしくはこれらに対応
する酸無水物等も、同様に好ましいものとして挙げるこ
とができる。例えば、ダイマー酸、トリマー酸は、種々
の不飽和脂肪酸を二量化、三量化したものであるが、植
物油に由来するオレイン酸などを原料とし、比較的高分
子量のものが利用され、市販されているダイマー酸、商
品名ハリダイマーDA−270S、DA−250、DA
−200K(ハリマ化成(株)製)等を利用することがで
きる。これらの脂肪族多塩基酸を分子内に含むことで、
インキ用溶剤への溶解性向上を図る作用をも有する必須
構成成分である。なお、長鎖の炭素鎖を有する脂肪族多
塩基酸においては、その長鎖の炭素鎖に付随して、前記
の溶剤への溶解性向上の効果が増す。
【0025】本発明の樹脂調製に利用される多価アルコ
ールとしては、例えば、鎖状の多価アルコールである、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチ
レングリコール、ポリエチレングリコール、プロプレン
グリコール(1,2-プロパンジオール)、ジプロピレング
リコール、トリプロピレングリコール、ブチレングリコ
ール(ブタンジオール)、ネオペンチルグリコール(2,
2-ジメチル-1,3-プロパンジオール)、ヘキサンジオー
ル、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチ
ロールプロパン、ペンタエリトリトール(C(CH2O
H)4)、ジペンタエリトリトール、D-ソルビトール(D-
グルシトール)など、ならびに脂環式の多価アルコール
である、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキ
サンジメタノール(1,4-ジメチロールシクロヘキサン)
等が挙げられる。
【0026】出発原料として、多価アルコールは、樹脂
形成のエステル化反応に使用されるものであり、その添
加量は、ロジン類(及び/またはロジン-フェノール
類)、脂肪族多塩基酸が有するカルボキシル基1当量に
対して、少なくとも、0.3当量〜過剰量を添加すれば
よい。カルボキシル基1当量に対して、0.5〜2当量
の割合で添加するとより好ましく、0.9〜1.2当量
を添加して、反応を行うと一層好ましい。すなわち、ロ
ジン類とフェノール類との付加体、ロジン-フェノール
類は、多価アルコールとエステルを形成し、この多価ア
ルコールに残るヒドロキシル基と脂肪族多塩基酸がエス
テルを形成することにより、樹脂に架橋構造が導入され
るとより好ましいものとなる。従って、多価アルコール
の添加量を、おおむね前記二種類のエステル化反応に要
する量である、カルボキシル基1当量に対して、0.9
〜1.2当量とすると一層好ましい。また、エステル化
反応により、樹脂に架橋構造が導入される点を考慮する
と、多価アルコールは、ジオールのみではなく、3価ア
ルコール以上の多価アルコールを含むものを用いると、
そこに架橋構造の形成がなされるので、より好ましい結
果が得られる。
【0027】加熱反応を行う際、原料のロジン類、フェ
ノール類、脂肪族多塩基酸、多価アルコールを、無触媒
又は触媒の存在下に同時に反応させる手法を採ることが
できる。あるいは、予め、ロジン類とフェノール類とを
加熱反応させ、次いで、脂肪族多塩基酸、多価アルコー
ルを加えてエステル形成を行う手法を採ることもでき
る。すなわち、採用する反応方法、手順に応じて、各原
料の添加順序、添加時期を適宜選択することができる。
さらには、予め、ロジン類とフェノール類とを加熱反応
させた生成物を出発原料として、脂肪族多塩基酸、多価
アルコールを加えて、エステル形成を行う方法を採用し
ても、得られる樹脂に実質的な差異はないものとなる。
【0028】触媒を使用する際には、フリーデル-クラ
フツ系触媒としてカチオン反応に利用される、ルイス酸
触媒、例えば、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素とフェ
ノール、エーテル、酢酸などのコンプレックス、塩化ア
ルミニウムなど、または、硫酸、パラトルエンスルホン
酸、メタンスルホン酸などの有機スルホン酸類を添加す
ると好ましい。例えば、アルダーのエン反応は、加熱に
より反応が起こるが、ルイス酸が共存すると反応が容易
となる傾向が強く、フリーデル-クラフツ系触媒自体
は、カチオングラフト重合を触媒する。あるいは、反応
系に、エステル化反応に対する触媒となる、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどのアル
カリ触媒、または酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化カ
ルシウムなどの2価金属化合物を添加することも好まし
い。前記の触媒として添加する化合物のうちでも、得ら
れる樹脂の粘度をより高くする上では、ロジン類、フェ
ノール類、脂肪族多塩基酸、多価アルコールの重量総和
に対して、2価金属化合物を0.1%〜3%添加するの
が好ましく、具体的には、亜鉛、マグネシウム、カルシ
ウム等の2価金属化合物、特に、これら2価金属、つま
り、亜鉛、マグネシウム、カルシウムの酸化物、水酸化
物等を使用するとより好ましい。
【0029】また、上記加熱反応において、その反応温
度は、100〜290℃の範囲に選択するのが適当であ
り、特に、200〜270℃の範囲に選択するとより好
ましい。なお、加熱反応温度は、用いられる原料とその
組成に応じて、上記の好適な範囲と実質的に差異のない
温度を選択することもできる。最適な反応時間は、原料
中のロジン類、フェノール類、脂肪族多塩基酸、多価ア
ルコール各成分比率、さらには、触媒として添加される
亜鉛、マグネシウム、カルシウムの酸化物、水酸化物等
の量に依存して、変化するが、前記の温度範囲において
は、通常、2〜20時間の範囲であり、好ましくは、3
〜10時間の範囲とする。
【0030】本発明の印刷インキ用樹脂は、上記の加熱
反応で得られる、ロジン類とフェノール類を付加反応さ
せた付加体、脂肪族多塩基酸、多価アルコールとがエス
テル結合して、高分子化した樹脂を主成分とするが、本
発明の目的を逸脱しない範囲で、これに石油樹脂を添加
して、樹脂組成物とすることもできる。添加する石油樹
脂は、その後インキを調製する際、インキ用溶剤に対す
る溶解性を増す目的と効果を持つ。
【0031】ここで石油樹脂は、主に、石油分解油留分
から得られる低分子量の熱可塑性炭化水素樹脂を意味
し、さらには、石油化学において副産物として得られる
石油副生成物樹脂、コールタール樹脂等をも含む。これ
ら石油樹脂、ならびに石油副生成物樹脂やコールタール
樹脂は、その特徴的な構成成分により、例えば、インデ
ン系、クロマン系、ビニルトルエン系、α-メチルスチ
レン系、シクロペンタジエン系、ジシクロペンタジエン
系、ペンテン系、ペンタジエン系などと称される。本発
明の印刷インキ用樹脂に添加される石油樹脂には、前記
の石油樹脂類、ならびに、これらの混合物が利用でき
る。具体的には、環状構造のインデン系、クロマン系、
シクロペンタジエン系、ジシクロペンタジエン系など、
鎖状のペンテン系、ペンタジエン系など、芳香環が置換
するビニルトルエン系、α-メチルスチレン系などとの
石油樹脂、あるいは、これらの混合物は、好適に利用で
きる。また、加熱反応時に発生する泡を消泡する目的
で、シリコン系の消泡剤を添加することもできる。加え
て、上記混合物に、印刷インキに使用可能な溶剤類、例
えば、0号ソルベント(日本石油化学(株)製)、AFソ
ルベント(日本石油化学(株)製)等、テレピン油等を適
宜添加できる。これら溶剤類の添加により、反応終了時
に樹脂を反応釜から取り出す際、その作業が容易とな
る。この消泡剤や、溶剤等の付加的な添加剤について
は、エステル化反応時においても適宜添加することは可
能である。
【0032】なお、本発明の印刷インキ用樹脂は、上記
のロジン類、フェノール類、脂肪族多塩基酸、多価アル
コールを加熱反応させて得られる高分子化した樹脂を主
成分とする点に特徴を持つものであるが、上述する石油
樹脂の他、本発明の目的を逸脱しない範囲で、これに従
来から知れている他の樹脂、例えば、ロジン類のエステ
ルなどの樹脂成分を加えて、複合型樹脂組成物とするこ
ともできる。あるいは、本発明の特徴(作用)を損なわ
ない範囲で、ホルムアルデヒドを原料とするロジン変性
フェノール樹脂を少量加え、複合型樹脂組成物とするこ
ともでき、この種の樹脂組成物でも、従来のロジン変性
フェノール樹脂におけるホルムアルデヒド飛散の可能性
を実質的に回避するものとできる。
【0033】以上の合成反応により調整できる、本発明
の印刷インキ用樹脂を用い、オフセット印刷用インキの
調製方法について説明する。
【0034】本発明のオフセット印刷用インキは、本発
明の印刷インキ用樹脂、乾性油、溶剤及び顔料を必須成
分として含み、これらを混練して得られる。なお、顔料
は、所望の色とするため、適宜選択する顔料が用いられ
る。つまり、顔料は、被印刷物に色付けを行うためのも
ので、必要に応じて、黄色、紅色、藍色または黒色等の
顔料が選択される。
【0035】本発明の印刷インキ用樹脂は、原料のロジ
ン類に由来する炭素骨格を有するので、ロジン類と同等
の顔料との濡れ性を保持している。その顔料との濡れ性
は優れており、例えば、従来のロジン変性フェノール樹
脂を用いるインキに利用されている顔料を同様に利用す
ることができる。これらの顔料は、本発明の印刷インキ
用樹脂に均一に分散させることができる。
【0036】乾性油は、例えば、アマニ油、桐油等が挙
げられる。また、半乾性油であるが大豆油等を、前記の
乾性油に代えて用いることもできる。これらは、ドライ
ヤーと呼ばれる触媒によって、印刷後に乾性油同士が重
合し、皮膜が硬化する。従って、インキを調製する際、
前記乾性油の種類と添加量に合わせて、適合するドライ
ヤー、例えば、ナフテン酸マンガン溶液などを適量添加
することもできる。
【0037】溶剤は、インキ粘度の調整と印刷後のイン
キ乾燥性を早めるために添加される。従来のロジン変性
フェノール樹脂を用いるインキに利用されていた溶剤
を、そのまま利用することができる。好適に利用できる
市販の溶剤として、例えば、0号ソルベント、0号ソル
ベントS、0号ソルベントH、AF4〜7号ソルベント
(以上日本石油化学(株)製)等を挙げることができる。
【0038】本発明の印刷インキ用樹脂は、従来のロジ
ン変性フェノール樹脂と比較して、遜色のない粘度の高
さ、顔料に対する優れた濡れ性、溶剤に対する溶解性を
示すので、これら顔料、乾性油、溶剤の使用量は、従来
のロジン変性フェノール樹脂を利用したインキにおける
使用量と実質的に一致するものとなる。すなわち、従来
のロジン変性フェノール樹脂を利用したインキ(特開平
9−268211号公報等を参照)の組成、調整法に準
じ、ロジン変性フェノール樹脂を本発明の印刷インキ用
樹脂に置き換えることのみで、従来のロジン変性フェノ
ール樹脂を利用したインキと同等のインキ特性を達成で
きるものである。
【0039】その他、インキにゲル味を持たせ、印刷特
性を向上させる目的で、ゲル化剤等を添加することもで
きる。また、印刷後の印刷光沢性を向上させる目的で、
脂肪酸エステル等を添加することもできる。このゲル化
剤や脂肪酸エステル等の添加は、本発明のインキにおい
て好ましい態様である。
【0040】
【実施例】以下に具体例を挙げて、本発明の印刷インキ
用樹脂、その調製方法、さらに本発明の印刷インキ用樹
脂を用いたインキの印刷特性について、より詳細に説明
する。
【0041】(実施例1)反応容器中で、ガムロジン1
500gに、石炭酸850gを添加・混合し、この混合
物に触媒としてパラトルエンスルホン酸0.75gを添
加し、均一化した。150℃に加熱し、その後8時間反
応を行った。次に、セバシン酸45g、ペンタエリトリ
トール178.3gを添加・混合し、均一化した。この
反応容器を、275℃に昇温し、その後5時間反応を行
い、樹脂を作製した。
【0042】得られた樹脂について、軟化点、酸価と、
インキ用樹脂として重要な特性、粘度(アマニ油粘
度)、溶剤への溶解性(0号ソルベント溶解性)、重量
平均分子量を評価した。なお、評価方法は、以下のよう
に行った。結果を、表1に示す。
【0043】アマニ油粘度(ガードナー気泡型粘度):
アマニ油と樹脂とを、重量比2:1の割合で配合し、加
熱溶解させたものを、ガードナー気泡型粘度計により測
定した。
【0044】0号ソルベント溶解性:樹脂を0号ソルベ
ントに溶解し、25℃に放置したときに、白濁しない最
小量の樹脂の重量%を測定した。
【0045】重量平均分子量:GPCによるポリスチレ
ン換算の分子量を測定した。
【0046】表1に示すとおり、この樹脂のアマニ油粘
度、0号ソルベント溶解性ともに、従来のフェノール変
性ロジン樹脂:ロジンフェノール樹脂ハリフェノールP
−600(ハリマ化成(株)製)と比較し、遜色のないも
のである。
【0047】ついで得られた樹脂を細かく砕き、この粉
砕された樹脂40重量部、アマニ油20重量部、AF6
号溶剤40重量部を反応容器にいて、窒素ガスを吹き込
みながら昇温し、200℃で攪拌しながら30分保温し
ワニスを得た。得られたワニスを100℃に冷却し、ゲ
ル化剤を添加した。ゲル化剤は、ALCH(川研ファイ
ンケミカルス(株)製)1.4重量部を、AF6号溶剤
1.4重量部で希釈したものを用いた。さらに、再度2
00℃に昇温し、1時間保温しインキ用ゲルワニスを得
た。
【0048】ついで、この得られたゲルワニス60重量
部に紅色顔料としてカーミン6B(東洋インキ製造(株)
製)18重量部を三本ロールミルを用いて分散し、さら
に、タックが5〜6、フローが33〜35になるように
調製するため、AF6号溶剤とゲルワニスを適量添加し
て、総量100重量部とし、ついで6%ナフテン酸マン
ガン溶液(ハリマ化成(株)製ドライヤー)0.5部を
添加した。これを均一に混合して、印刷用インキを得
た。
【0049】表2に、得られたインキの特性評価の結果
を示す。なお、表2には、実施例、比較例の各物性の測
定結果とともに、各物性に対する許容される範囲(目標
値の範囲)についても掲載した。
【0050】表2に示す物性の評価方法は以下のように
行った。
【0051】光沢値:インキ0.3ccをRIテスター
((株)明製作所製)全面ロールでアート紙に展色した
後、24時間経過した時点で、光沢値を60°−60°
光沢計で測定した。
【0052】セット:インキ0.1ccをRIテスター
((株)明製作所製)4カットロールで展色した後、展色
物を切り、それを別のアート紙に貼り合わせる。この試
料について、RIテスターのロールを用いて、インキが
アート紙に付着しなくなるまでの時間(分)を測定し
た。
【0053】通常、この評価では、12〜21分の範囲
が最適とされる。12分より短くなるにつれ、インキの
保存性が悪いことが多くなり、また、21分より長くな
るにつれ、印刷物を重ねたときに、裏写りが発生しやす
い。従って、おおよそ前記12〜21分の範囲から大き
く外れなければ、作業性の低下は引き起こされない。な
お、含まれる溶剤の自然蒸発等を考慮すると、21分を
若干超えるものも最適な範囲と見なせる。
【0054】紙上乾燥性:インキ0.1ccをRIテス
ター((株)明製作所製)4カットロールで硫酸紙に展色
した後、硫酸紙を重ね合わせ、朝陽会式乾燥試験器にセ
ットし0.1rpmの条件で乾燥時間を比較した。
【0055】ここで採用した評価基準は、以下の通りで
ある。 ◎:乾燥時間が、 4時間未満である。最も良好なレベ
ルである。 ○:乾燥時間が、4以上7時間未満である。良好なレベ
ルである。 △:乾燥時間が、7以上10時間未満である。普通のレ
ベルである。 ×:乾燥時間が、10時間以上である。不適なレベルで
ある。
【0056】インキ粘度及び降伏値:L型粘度計(東洋
精機(株)製)により測定した。
【0057】フロー60s:離合社(株)のスプレッドメ
ーターによるインキの広がり(直径)を測定した。
【0058】最大乳化量:リソドロニック乳化試験器
(Novocontrol社製)を用いて、40℃において、25
gのインキに2ml/分の速度で水を添加し、インキが
飽和した時点の水分量を測定した。(乳化試験器の回転
数:1200rpm) 表2に示すとおり、比較例1に示すフェノール変性ロジ
ン(従来樹脂)を用いたインキと比較して、すべての評
価項目について、全く遜色はなく、性能的には同等なイ
ンキが得られたと判断される。なお、タック値、フロー
60s、セットの各項目は、含まれる溶剤量に大きく依
存するもので、表2に示す値は、実用上いずれも好適な
範囲と判断される。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】 (実施例2)反応容器中で、ガムロジン1300gに、
アクリル酸100gを添加し、170℃に加熱し、その
後2時間アクリル化反応を行い、アクリル化変性ロジン
を作製した。次いで、この反応容器中で、作製されたア
クリル化変性ロジンに、石炭酸700gを添加・混合
し、この混合物に触媒としてパラトルエンスルホン酸
0.7gを添加し、均一化した。170℃に加熱し、そ
の後4時間反応を行った。さらに、セバシン酸45g、
ペンタエリトリトール205.2gを添加・混合し、触
媒として酸化マグネシウム1.5gを添加した。この反
応容器を、275℃に加熱し、その後6時間反応を行
い、樹脂を作製した。得られた樹脂について、上記実施
例1の同じ項目について、同じ評価方法により、樹脂特
性を評価した。表1に、評価結果を併せて示す。
【0061】表1に示すとおり、この樹脂のアマニ油粘
度、0号ソルベント溶解性ともに、従来のフェノール変
性ロジン樹脂:ロジンフェノール樹脂ハリフェノールP
−600(ハリマ化成(株)製)と比較し、遜色のないも
のである。
【0062】また、この樹脂を用いて、実施例1と全く
同様な調製方法により、インキを調製した。このインキ
の特性についても、実施例1に記載の評価方法で、各項
目の評価を行った。表2に、評価されたインキの特性を
併せて示す。
【0063】表2に示すとおり、比較例1に示すフェノ
ール変性ロジン(従来樹脂)を用いたインキと比較し
て、すべての評価項目について、全く遜色はなく、性能
的には同等なインキが得られたと判断される。
【0064】(比較例1)印刷インキ用樹脂として、従
来のロジン変性フェノール樹脂:商品名ハリフェノール
P−600(ハリマ化成(株)製)を用いて、実施例1と
全く同様な調製方法により、インキを調製した。このイ
ンキの特性についても、実施例1に記載の評価方法で、
各項目の評価を行った。表2に、対比のため、評価され
たインキの特性を併せて示す。なお、前記ロジンフェノ
ール樹脂:ハリフェノールP−600(ハリマ化成(株)
製)に関しても、上記実施例1の同じ項目について、同
じ評価方法により、樹脂特性を評価した。表1に、対比
のため、その評価結果を併せて示す。
【0065】(比較例2)セバシン酸(1,8-オクタンジ
カルボン酸)45gに代えて、ノナン酸45gを使用し
た以外は、実施例1に記載の原料組成と同様の合成操作
を行い、樹脂を作製した。この樹脂では、アマニ油粘度
がW以下と低く、この樹脂を用いて、実施例1と同じ条
件でインキ化を試みたが、インキ化が不能であった。す
なわち、脂肪族ジカルボン酸に代えて、脂肪族モノカル
ボン酸を用いたので、インキ化を行うに十分な樹脂粘度
が得られていないものであった。
【0066】
【発明の効果】本発明の印刷インキ用樹脂は、ロジン
類、フェノール類、脂肪族多塩基酸、多価アルコールと
を加熱反応させて、調製される樹脂であるので、当然に
ホルムアルデヒド等、揮発性が高く、化学物質過敏症を
誘起する物質を含まないものである。加えて、加熱等に
より、遊離してホルムアルデヒドの発生を起こす可能性
を持つ、合成により導入されたメチロール基をも含まな
い。従って、いわゆるホルムアルデヒドフリーの樹脂で
あり、しかもオフセット印刷に利用されるインキの調製
に適する、十分な樹脂粘度を有する利点を持つ。オフセ
ット印刷用インキの調製においては、従来から用いられ
ている、ロジンをレゾール樹脂で変性したロジン変性フ
ェノール樹脂と、樹脂としての特性は遜色なく、ロジン
変性フェノール樹脂の代替えが容易に行える。すなわ
ち、本発明の印刷インキ用樹脂により、単にロジン変性
フェノール樹脂と置き換えて調製される印刷用インキ
は、従来のロジン変性フェノール樹脂を用いたインキと
比較して、なんらの遜色もないオフセット印刷特性、作
業性を具備するものとなる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J029 AA03 AB01 AE11 AE18 BA02 BA03 BA05 BA08 BA10 BD04A BD07A BF08 BF09 BF10 BF18 BF25 BF26 CA02 CA04 CA06 GA44 JA061 JA191 JC361 JC371 JC731 JE012 JE142 JE242 JF031 JF041 JF131 JF141 JF181 JF221 4J038 BA202 BA231 CR012 KA06 KA08 NA27 4J039 AB04 AB08 AD18 AE06 AF01 AF07 BA13 BA14 BA30 BA31 BE01 BE12 GA02

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロジン類、フェノール類、脂肪族多塩基
    酸、多価アルコールとを加熱反応させて得られる印刷イ
    ンキ用樹脂。
  2. 【請求項2】 ロジン類とフェノール類を予め加熱反応
    させ、付加反応したロジン-フェノール類を調製し、そ
    の後、前記ロジン-フェノール類に、脂肪族多塩基酸、
    多価アルコールとを加え、加熱反応させて得られる印刷
    インキ用樹脂。
  3. 【請求項3】 前記フェノール類に、石炭酸(フェノー
    ル)を用いることを特徴とする請求項1または2に記載
    の印刷インキ用樹脂。
  4. 【請求項4】 前記ロジン類に、不飽和カルボン酸また
    はその酸無水物により変性されてなる変性ロジン類を用
    いることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の
    印刷インキ用樹脂。
  5. 【請求項5】 前記ロジン類及び脂肪族多塩基酸中のカ
    ルボキシル基1当量に対して、前記多価アルコールを
    0.5〜2当量の割合で添加することを特徴とする請求
    項1〜4のいずれかに記載の印刷インキ用樹脂。
  6. 【請求項6】 前記加熱反応時に、原料のロジン類、フ
    ェノール類、脂肪族多塩基酸、多価アルコールの重量総
    和に対して、0.1%〜3%の2価金属化合物を添加す
    ることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の印
    刷インキ用樹脂。
  7. 【請求項7】 前記加熱反応時に、石油樹脂を存在させ
    ることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の印
    刷インキ用樹脂。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の印刷イ
    ンキ用樹脂、乾性油、溶剤及び顔料を必須成分として含
    み、これらを混練して得られる印刷用インキ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003105071A (ja) * 2001-09-27 2003-04-09 Arakawa Chem Ind Co Ltd ポリエステル樹脂、その製造法、印刷インキ用バインダーおよび印刷インキ

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