JP6397323B2 - 多層薬剤包装用フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、優れた耐薬品性及び透明性を有しつつ、高い密着性を実現することが可能な多層薬剤包装用フィルムに関する。
ポリビニルアルコール樹脂(以下、PVAともいう)は、透明性、耐油性、耐薬品性、及び酸素等のガスバリア性に優れていることから、包装材料として広く用いられている。近年、酸化による劣化が特性に大きな影響を与える食品、医薬品、工業薬品、農薬などの包装材料としても、多く使用されている。
PVAからなるフィルムを薬剤等の包装用途に使用する場合は、例えば、単層フィルムを連続して繰り出しながら、薬剤を充填した後、製袋する方法等が用いられる。
しかしながら、このような単層フィルムを用いて酸性またはアルカリ性の物質を包装した場合、保存期間中に内容物(酸性またはアルカリ性の物質)とポリビニルアルコール樹脂とが反応して、水溶性フィルムが不溶化してしまうという問題があった。また、保存期間中に落下強度の低下が生じるという問題も新たに発生していた。
これに対して、特許文献1には、ポリビニルアルコール系重合体を含む層と、多糖類、アクリル系樹脂を含む層を有する水溶性多層フィルムが記載されており、このような水溶性多層フィルムでは、水溶性及び落下強度の低下を効果的に防止できるとしている。
しかしながら、特に、内容物が塩素含有薬剤である場合、長時間保管すると、多糖類、アクリル系樹脂を含む層が変色したり、破れが生じたりする等の問題が発生していた。
また、ポリビニルアルコール系重合体を含む層と、多糖類、アクリル系樹脂を含む層は、密着性が低く、界面で剥離してしまうという問題も生じていた。
特開2011−116430号公報
本発明は、上記現状に鑑み、優れた耐薬品性及び透明性を有しつつ、高い密着性を実現することが可能な多層薬剤包装用フィルムを提供することを目的とする。
本発明は、少なくとも保護層と基材層とを有する多層薬剤包装用フィルムであって、前記保護層は、スルホン酸基、ピロリドン環、アミノ基及びカルボキシル基からなる群より選択される少なくとも1種の親水性基を有する変性ポリビニルアルコール樹脂を含有し、前記変性ポリビニルアルコール樹脂は、親水性基を有する構成単位の含有量が0.1〜15モル%、鹸化度が90.0モル%以上、99.0モル%未満、4重量%水溶液粘度が5〜35mPa・sであり、前記基材層は、鹸化度85.0モル%以上90.0モル%未満、4重量%水溶液粘度が5〜35mPa・s未満であるポリビニルアルコール樹脂を含有し、前記保護層を構成する変性ポリビニルアルコール樹脂と、前記基材層を構成するポリビニルアルコール樹脂とは、鹸化度の差が10モル%以下である多層薬剤包装用フィルムである。
以下に本発明を詳述する。
本発明の多層薬剤包装用フィルムは、少なくとも保護層と基材層とを有する。
以下、各層について説明する。
(保護層)
上記保護層は、変性ポリビニルアルコール樹脂(以下、変性PVAともいう)を含有する。
なお、本発明において、保護層とは、多層薬剤包装用フィルムとして使用する場合に、内容物である薬剤と接する層のことをいう。
上記変性ポリビニルアルコール樹脂は、スルホン酸基、ピロリドン環、アミノ基及びカルボキシル基からなる群より選択される少なくとも1種の親水性基を有する。上記親水性基には、上述した官能基に加えて、ナトリウム、カリウム等の塩も含む。
上記スルホン酸基、ピロリドン環、アミノ基及びカルボキシル基からなる群より選択される少なくとも1種の親水性基を有する変性ポリビニルアルコール樹脂を用いることで、塩素等の塩基性物質との反応が起こりにくいことから、特に包装する薬剤が塩素含有薬剤である場合に、耐薬品性の優れた多層薬剤包装用フィルムとすることができる。
なお、上記変性ポリビニルアルコール樹脂としては、上記ポリビニルアルコール樹脂と上記親水性基を有する他のモノマーとを共重合して得られるもののほか、上記ポリビニルアルコール樹脂に親水性基を付加することによって得られるものも含まれる。
上記変性PVAとしては、例えば、ピロリドン環変性ポリビニルアルコール樹脂、スルホン酸ナトリウム変性ポリビニルアルコール樹脂、アミノ基変性ポリビニルアルコール樹脂、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール樹脂が挙げられる。
上記変性PVAが、ピロリドン環変性ポリビニルアルコール樹脂である場合、ピロリドン環変性ポリビニルアルコール樹脂としては、下記式(1)で表される構成単位を有することが好ましい。
Figure 0006397323
上記変性PVAが、スルホン酸ナトリウム変性ポリビニルアルコール樹脂である場合、スルホン酸ナトリウム変性ポリビニルアルコール樹脂としては、下記式(2)で表される構成単位を有することが好ましい。
Figure 0006397323
上記式(2)中、Rは炭素数1〜4のアルキレン基を表す。
上記変性PVAが、アミノ基変性ポリビニルアルコール樹脂である場合、アミノ基変性ポリビニルアルコール樹脂としては、下記式(3)で表される構成単位を有することが好ましい。
Figure 0006397323
上記式(3)中、Rは単結合又は炭素数1〜10のアルキレン基を表す。
上記変性PVAが、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール樹脂である場合、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール樹脂としては、下記式(4−1)、(4−2)又は(4−3)で表される構成単位を有することが好ましい。
Figure 0006397323
上記式(4−1)、(4−2)及び(4−3)中、X、X、X、X及びXは、それぞれ独立し、水素原子、金属原子又はメチル基を表す。即ち、本明細書中、カルボキシル基を有する構成単位に含まれるカルボキシル基には、カルボキシル基の塩及びメチルエステルも含まれる。金属原子として、例えば、ナトリウム原子等が挙げられる。
上記式(4−2)中、Rは炭素数1〜10のアルキレン基を表す。
上記変性PVAにおける親水性基を有する構成単位の含有量は0.1〜15モル%である。上記親水性基を有する構成単位の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、内容物が塩素含有衛生剤又は酸化性化学薬品であっても、長期間に渡って、フィルムの変色や破れることのない抵抗性のあるフィルムを得ることができる。上記親水性基を有する構成単位の含有量は1〜10モル%であることがより好ましい。
上記変性ポリビニルアルコール樹脂の鹸化度は、90.0モル%以上、99.0モル%未満である。上記鹸化度が上記下限以上及び上記上限以下であると、薬剤包装用フィルムの耐水性及び薬剤を開放するときの溶解時間の制御がし易い。耐水性と溶解時間の制御との双方をバランスよく高める観点からは、上記変性PVAの鹸化度91.0モル%以上、98.0モル%未満であることが好ましい。
上記鹸化度は、JIS K6726に準拠して測定される。鹸化度は、鹸化によるビニルアルコール単位に変換される単位のうち、実際にビニルアルコール単位に鹸化されている単位の割合を示す。
上記鹸化度の調整方法は特に限定されない。鹸化度は、鹸化条件、すなわち加水分解条件により適宜調整可能である。
上記変性PVAの重合度は特に限定されない。上記変性PVAの重合度の好ましい下限は400、より好ましい下限は500、更に好ましい下限は600、特に好ましい下限は900、好ましい上限は2000、より好ましい上限は1800、更に好ましい上限は1500である。上記重合度が上記下限以上及び上記上限以下であると、多層薬剤包装用フィルムを製膜するときの適度な水溶液の粘度になる。上記重合度が上記上限以下であると、多層薬剤包装用フィルムの強度がより一層高くなり、耐水性が得られる。なお、上記重合度は、JIS K6726に準拠して測定される。
上記変性PVAは、4重量%水溶液として、20℃で測定した粘度の下限が5mPa・s、上限が35mPa・sである。上記粘度が5mPa・s未満であると、耐水性を損なう。上記粘度が35mPa・sを超えると、溶解時間が長くなる。上記粘度の好ましい下限は8mPa・s、好ましい上限は20mPa・sである。
なお、上記粘度はJIS K6726に準じて測定することができる。
上記保護層は、ガラス転移温度の好ましい下限が40℃、好ましい上限が70℃である。上記ガラス転移温度が40℃以上であると、多層薬剤包装用フィルムの強度を保ったまま基材層との密着力が高めることができ、上記ガラス転移温度が70℃以下とすることで、基材層と保護層との密着性を改善することができる。より好ましい下限は45℃、より好ましい上限は65℃である。
なお、上記ガラス転移温度は、JIS K7121(1987)の「9.3ガラス転移温度の求め方」に基づき測定することができる。具体的には例えば、保護層から採取した試料を示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した場合の中間点ガラス転移温度をいう。
上記保護層において、上記変性ポリビニルアルコール樹脂の含有量の好ましい下限は70重量%、好ましい上限は97重量%であることが好ましい。
上記変性ポリビニルアルコール樹脂の含有量が上記下限以上であると、多層薬剤包装用フィルムから可塑剤のブリードアウトがないより一層良好な品質の多層薬剤包装用フィルムとなることがある。上記変性ポリビニルアルコール樹脂の含有量が上記上限以下であると、多層薬剤包装用フィルムの強度がより一層高くなり、耐水性が得られることがある。
上記保護層は、可塑剤を含有することが好ましい。
多層薬剤包装用フィルムは、高温多湿の地域や寒冷地でも運搬、貯蔵、使用がなされるため、高い引張強度や耐久性が要求される。特に低温での耐衝撃性が重視される。上記保護層に可塑剤を含有することで、ガラス転移点を下げることが可能となり、低温での耐久性を向上させることができる。また、上記可塑剤を含有することで、多層薬剤包装用フィルムの水に対する溶解性を向上させることもできる。
上記可塑剤としては、PVAの可塑剤として一般に用いられているものであれば特に制限はなく、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールなどの多価アルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリエーテル類、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどのフェノール誘導体、N−メチルピロリドンなどのアミド化合物、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの多価アルコールにエチレンオキサイドを付加した化合物や水等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を用いてもよい。
上記可塑剤のなかでは、水溶性を向上させることができることから、グリセリン、トリメチロールプロパン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールが好ましく、特に水溶性向上の効果が大きいことからグリセリン、トリメチロールプロパンが特に好ましい。
上記保護層において、変性ポリビニルアルコール樹脂100重量部に対する上記可塑剤の含有量の好ましい下限が3重量部、好ましい上限が15重量部である。上記可塑剤の含有量が3重量部未満であると、可塑剤の配合効果が得られない場合がある。一方、可塑剤の配合割合が15重量部を超えると、可塑剤のブリードアウトが大きくなり、得られる多層薬剤包装用フィルムのブロッキング防止性が悪化する場合がある。
上記可塑剤含有量のより好ましい下限は3.2重量部、より好ましい上限は13重量部である。
上記保護層の厚さは、好ましい下限が3μm、好ましい上限が50μmである。上記保護層の厚さが上記下限以上であると、内容物が塩素含有衛生剤であっても、長期間に渡って、フィルムの変色や破れることのない抵抗性のあるフィルムを得ることができる。
(基材層)
上記基材層は、ポリビニルアルコール樹脂を含有する。アセチル基、水酸基を有するポリビニルアルコール樹脂を基材層に用いることで、透明性に優れた多層薬剤包装用フィルムを得ることができる。
なお、本発明において、基材層とは、多層薬剤包装用フィルムとして使用する場合に、内容物である薬剤と接しない層のことをいう。また、本発明において、ポリビニルアルコール樹脂は、変性されていないポリビニルアルコール樹脂のことをいう。
また、上記基材層にも保護層と同様の可塑剤を添加してもよい。
上記ポリビニルアルコール樹脂の鹸化度は、85.0モル%以上、90.0モル%未満である。上記鹸化度が上記下限以上及び上記上限以下であると、薬剤包装用フィルムの耐水性及び薬剤を開放するときの溶解時間の制御がし易い。耐水性と溶解時間の制御との双方をバランスよく高める観点からは、上記PVAの鹸化度86.0モル%以上、88.0モル%未満であることが好ましい。
上記PVAの重合度は特に限定されない。上記変性PVAの重合度の好ましい下限は400、より好ましい下限は500、更に好ましい下限は600、特に好ましい下限は900、好ましい上限は2000、より好ましい上限は1800、更に好ましい上限は1500である。上記重合度が上記下限以上及び上記上限以下であると、多層薬剤包装用フィルムを製膜するときの適度な水溶液の粘度になる。上記重合度が上記上限以下であると、多層薬剤包装用フィルムの強度がより一層高くなり、耐水性が得られる。
上記PVAは、4重量%水溶液として、20℃で測定した粘度の下限が5mPa・s、上限が35mPa・sである。上記粘度が5mPa・s未満であると、耐水性を損なう。上記粘度が35mPa・sを超えると、溶解時間が長くなる。上記粘度の好ましい下限は8mPa・s、好ましい上限は20mPa・sである。
上記基材層は、ガラス転移温度の好ましい下限が40℃、好ましい上限が55℃である。上記ガラス転移温度が40℃以上であると、保護層との密着力を高めることができ、上記ガラス転移温度が55℃以下であることで、多層薬剤包装用フィルムの溶解時間を短縮して、保護層との密着性が改善することができる。より好ましい下限は45℃、より好ましい上限は52℃である。
なお、上記ガラス転移温度はJIS K7121(1987)の「9.3ガラス転移温度の求め方」により測定することができる。具体的には例えば、基材層から採取した試料を示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した場合の中間点ガラス転移温度をいう。
上記基材層において、上記ポリビニルアルコール樹脂の含有量の好ましい下限は70重量%、好ましい上限は97重量%であることが好ましい。
上記ポリビニルアルコール樹脂の含有量が上記下限以上であると、多層薬剤包装用フィルムから可塑剤のブリードアウトがないより一層良好な品質の薬剤包装用フィルムとなることがある。上記ポリビニルアルコール樹脂の含有量が上記上限以下であると、多層薬剤包装用フィルムの強度がより一層高くなり、耐水性が得られることがある。
上記保護層の厚さは、好ましい下限が3μm、好ましい上限が50μmである。上記保護層の厚さが上記下限以上であると、多層薬剤包装用フィルムの溶解時間を短くすることができる。
本発明では、保護層を構成する変性ポリビニルアルコール樹脂と、基材層を構成するポリビニルアルコール樹脂とは、鹸化度の差が10モル%以下であることが好ましい。
上記鹸化度の差が10モル%以下であることで、保護層と基材層との親和性が優れることにより密着力を高めることができる。
なお、上記鹸化度の差のより好ましい上限は12モル%である。
本発明では、保護層と基材層のガラス転移温度の差が−5℃以上15℃以下であることが好ましい。
上記ガラス転移温度の差が−5℃以上15℃以下であることにより、保護層と基材層の界面の追随性を高めることができ、密着性に優れた多層薬剤包装用フィルムを得ることが可能となる。
なお、上記ガラス転移温度の差のより好ましい上限下限は0℃以上10℃以下である。
本発明の多層薬剤包装用フィルムの全体の厚みは、好ましい下限が30μm、好ましい上限が100μmである。上記多層薬剤包装用フィルムの厚さが上記下限以上であると、薬剤を包装するフィルムの強度がより一層高くなる。上記薬剤包装用フィルムの厚さが上記上限以下であると、薬剤包装用フィルムとしてのパッケージング性やヒートシール性がより一層高くなり、加工時間がより一層短くなって生産性がより一層高くなる。
また、上記保護層の厚みと、基材層を厚みとの差は80μm以下であることが好ましい。上記厚みの差が80μm以下とすることで、多層薬剤包装用フィルムの溶解時間と塩素含有衛生剤への抵抗性を両立することができる。
本発明の多層薬剤包装用フィルムには、さらに必要に応じて、着色剤、香料、増量剤、消泡剤、剥離剤、紫外線吸収剤、界面活性剤などの通常の添加剤を適宜配合しても差し支えない。特に製膜装置のダイスやドラムなどの金属表面と、製膜したフィルムやフィルム原液との剥離性を向上させるために、界面活性剤を配合することが好ましい。
本発明の多層薬剤包装用フィルムは、特に包装する薬剤が塩素含有薬剤である場合に、その効果を最大限に発揮することができる。
上記塩素含有薬剤としては、次亜塩素酸塩、塩素化イソシアヌル酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩等が挙げられ、具体的には例えば、次亜塩素酸カルシウム、ジクロロイソシアヌル酸、トリクロロイソシアヌル酸、その塩およびその水和物等が挙げられる。なかでも、トリクロロイソシアヌル酸またはその塩またはその水和物を用いる場合が好ましい。
上記塩素含有薬剤は、任意の適当な形態、例えば顆粒剤、粉末、液体、ゲルまたは錠剤であってもよい。
上記塩素含有薬剤以外の酸化性化学薬品としては、臭素化イソシアヌル酸塩、臭素酸塩、過臭素酸塩、過硼酸塩、過ヨウ素酸塩、過硫酸塩、過マンガン酸塩、クロム酸塩、二クロム酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、過酸化物、過酸化ケトン、ペルオキシ酸、無機酸等が挙げられる。
(多層薬剤包装用フィルムの製造方法)
本発明の薬剤包装用フィルムの製造方法としては、特に限定されないが、最初に変性PVA、可塑剤及び水を含有する変性PVA水溶液を支持部材に流延し、乾燥した後、得られた変性PVAフィルムの表面に、PVA、可塑剤及び水を含有するPVA水溶液を支持部材に流延し、乾燥する方法を用いることができる。具体的には、溶液流延法(キャスト法)、ロールコーティング法、スピンコーティング法、スクリーンコーティング法、ファウンテンコーティング法、ディッピング法及びスプレー法が挙げられる。なお、上記変性PVA水溶液、PVA水溶液を流延、乾燥する順序は逆であってもよい。
また、保護層と基材層とを押出成形により別々に作製した後、積層する方法や、多層押出により作製する方法を用いてもよい。
上記変性PVA水溶液、PVA水溶液は、上記変性PVA、PVA、可塑剤とともに水を含む。上記変性PVA、PVAは、主として、上記水中に溶解されている。
上記変性PVA水溶液、PVA水溶液において、上記変性PVA、PVAを含む水以外の成分100重量部に対して、上記水の含有量は300重量部以上、好ましくは400重量部以上、より好ましくは500重量部以上である。
また、上記水の含有量は900重量部以下、好ましくは800重量部以下、より好ましくは700重量部以下である。上記水の含有量が上記下限以上であると、上記変性PVA水溶液、PVA水溶液の粘度が適度に低くなり、上記変性PVA水溶液、PVA水溶液の流延が容易になる。上記水の含有量が上記上限以下であると、上記変性PVA水溶液、PVA水溶液の粘度が適度に高くなり、上記変性PVA水溶液、PVA水溶液の流延が容易になり、乾燥時間がより一層短くなり、多層薬剤包装用フィルムの配向がより一層高められた、より一層良好な品質の多層薬剤包装用フィルムが得られる。
上記支持部材は、上記変性PVA水溶液、PVA水溶液の流延時に、上記変性PVA水溶液、PVA水溶液を表面上に維持し、かつ得られる変性PVAフィルム、PVAフィルムを支持可能であることが好ましい。上記支持部材の材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル及びアクリル樹脂等が挙げられる。これら以外の材料により形成された支持部材を用いてもよい。上記ポリオレフィンとしては、エチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−ビニルアルコール共重合体等が挙げられる。上記ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート等が挙げられる。上記支持部材の材料は、PVAではないことが好ましい。
上記支持部材上に上記変性PVA水溶液、PVA水溶液を流延した後の乾燥方法は、適宜の方法を用いることができ、特に限定されない。乾燥方法としては、自然乾燥する方法、及びPVAのガラス転移温度以下の温度での加熱乾燥する方法等が挙げられる。
本発明によれば、優れた耐薬品性及び透明性を有しつつ、高い密着性を実現することが可能な多層薬剤包装用フィルムを提供することが可能である。
以下に実施例を掲げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(保護層フィルムの作製)
ポリビニルアルコール樹脂として上記式(1)で表される構成単位を有するピロリドン環変性ポリビニルアルコール樹脂(重合度1000、鹸化度95.8モル%、ピロリドン環基変性量4モル%、4重量%水溶液粘度10mPa・s)94重量部、可塑剤として、グリセリン(和光純薬工業社製)3.0重量部、トリメチロールプロパン(和光純薬工業社製)3.0重量部、を水667重量部に溶解させて15重量%の変性PVA水溶液を作製した。
得られた変性PVA水溶液を支持部材であるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ50μm)上に、リップコーター法により塗布し、70℃で10分間乾燥させ、次に110℃で10分間乾燥させ、支持部材上に変性PVAフィルム(厚さ25μm)が積層された積層フィルムを得た。なお、得られた積層フィルムからPETを剥離させた変性PVAフィルムのガラス転移温度は以下の方法で測定したところ、58℃であった。
(ガラス転移温度)
ガラス転移温度(Tg)は、試料約10mgを、示差走査熱量計(DSC)を用いて下記条件で測定し、JIS K7121(1987)の「9.3ガラス転移温度の求め方」に基づいて求めた中間点ガラス転移温度をガラス転移温度とした。
装置:TA Instruments社製 Q−2000
平均昇温速度:5℃/min
温度振幅:±0.53℃
変調周期:40sec
(多層薬剤包装用フィルムの作製)
ポリビニルアルコール樹脂(セキスイスペシャリティケミカルズ社製Selvol513、重合度1300、鹸化度87.5モル%、4重量%水溶液粘度14mPa・s)94重量部、可塑剤として、グリセリン(和光純薬工業社製)3.0重量部、トリメチロールプロパン(和光純薬工業社製)3.0重量部を667重量部の水に溶解させて15重量%のPVA水溶液を作製した。
次いで、得られた積層フィルムの変性PVAフィルム側にPVA水溶液を塗布し、乾燥温度を70℃で10分間乾燥させ、次に110℃で10分間乾燥させ、変性PVAフィルム(保護層)に厚み25μmの基材層が積層された多層薬剤包装用フィルムを得た。
得られた基材層のガラス転移温度は50℃であった。
(実施例2)
(保護層フィルムの作製)
ポリビニルアルコール樹脂として上記式(2)で表される構成単位を有し、上記式(2)中、Rが2−メチレンプロピレン基であるスルホン酸ナトリウム変性ポリビニルアルコール樹脂(重合度1200、鹸化度95.4モル%、スルホン酸基変性量4モル%、4重量%水溶液粘度12mPa・s)92重量部、可塑剤として、グリセリン(和光純薬工業社製)4.0重量部、トリメチロールプロパン(和光純薬工業社製)4.0重量部、を水667重量部に溶解させて15重量%の変性PVA水溶液を作製した。
得られた変性PVA水溶液を支持部材であるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ50μm)上に、リップコーター法により塗布し、70℃で10分間乾燥させ、次に110℃で10分間乾燥させ、支持部材上に変性PVAフィルム(厚さ5μm)が積層された積層フィルムを得た。なお、得られた積層フィルムからPETを剥離させた変性PVAフィルムのガラス転移温度は63℃であった。
(多層薬剤包装用フィルムの作製)
得られた積層フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして多層薬剤包装用フィルムを作製した。なお、基材層の厚みは45μmとした。
(実施例3)
(保護層フィルムの作製)
ポリビニルアルコール樹脂として上記式(1)で表される構成単位を有するピロリドン環変性ポリビニルアルコール樹脂(重合度1000、鹸化度95.8モル%、ピロリドン環基変性量4モル%、4重量%水溶液粘度10mPa・s)86重量部、可塑剤として、グリセリン(和光純薬工業社製)7.0重量部、トリメチロールプロパン(和光純薬工業社製)7.0重量部、を水667重量部に溶解させて15重量%の変性PVA水溶液を作製した。
得られた変性PVA水溶液を支持部材であるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ50μm)上に、リップコーター法により塗布し、70℃で10分間乾燥させ、次に110℃で10分間乾燥させ、支持部材上に変性PVAフィルム(厚さ10μm)が積層された積層フィルムを得た。得られた積層フィルムからPETを剥離させた変性PVAフィルムのガラス転移温度は46℃であった。
(多層薬剤包装用フィルムの作製)
得られた積層フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして多層薬剤包装用フィルムを作製した。なお、基材層の厚みは40μmとした。
(実施例4)
(保護層フィルムの作製)
ポリビニルアルコール樹脂として上記式(2)で表される構成単位を有し、上記式(2)中、Rが2−メチレンプロピレン基であるスルホン酸ナトリウム変性ポリビニルアルコール樹脂(重合度1200、鹸化度92モル%、スルホン酸基変性量4モル%、4重量%水溶液粘度12mPa・s)92重量部、可塑剤として、グリセリン(和光純薬工業社製)4.0重量部、トリメチロールプロパン(和光純薬工業社製)4.0重量部、を水667重量部に溶解させて15重量%の変性PVA水溶液を作製した。
得られた変性PVA水溶液を支持部材であるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ50μm)上に、リップコーター法により塗布し、70℃で10分間乾燥させ、次に110℃で10分間乾燥させ、支持部材上に変性PVAフィルム(厚さ45μm)が積層された積層フィルムを得た。得られた積層フィルムからPETを剥離させた変性PVAフィルムのガラス転移温度は65℃であった。
(多層薬剤包装用フィルムの作製)
得られた積層フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして多層薬剤包装用フィルムを作製した。なお、基材層の厚みは5μmとした。
(実施例5)
(保護層フィルムの作製)
ポリビニルアルコール樹脂として上記式(3)で表される構成単位を有し、上記式(3)中、Rが単結合であるアミノ基変性ポリビニルアルコール樹脂(重合度600、鹸化度91.8モル%、アミノ基変性量8モル%、4重量%水溶液粘度6mPa・s)95重量部、可塑剤として、グリセリン(和光純薬工業社製)2.5重量部、トリメチロールプロパン(和光純薬工業社製)2.5重量部、を水667重量部に溶解させて15重量%の変性PVA水溶液を作製した。
得られた変性PVA水溶液を支持部材であるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ50μm)上に、リップコーター法により塗布し、70℃で10分間乾燥させ、次に110℃で10分間乾燥させ、支持部材上に変性PVAフィルム(厚さ25μm)が積層された積層フィルムを得た。得られた積層フィルムからPETを剥離させた変性PVAフィルムのガラス転移温度は60℃であった。
(多層薬剤包装用フィルムの作製)
得られた積層フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして多層薬剤包装用フィルムを作製した。
(比較例1)
(保護層フィルムの作製)
ポリビニルアルコール樹脂として上記式(1)で表される構成単位を有するピロリドン環変性ポリビニルアルコール樹脂(重合度1000、鹸化度95.8モル%、ピロリドン環基変性量4モル%、4重量%水溶液粘度10mPa・s)94重量部、可塑剤として、グリセリン(和光純薬工業社製)3.0重量部、トリメチロールプロパン(和光純薬工業社製)3.0重量部、を水667重量部に溶解させて15重量%の変性PVA水溶液を作製した。
得られた変性PVA水溶液を支持部材であるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ50μm)上に、リップコーター法により塗布し、70℃で10分間乾燥させ、次に110℃で10分間乾燥させ、支持部材上に変性PVAフィルム(厚さ25μm)が積層された積層フィルムを得た。得られた積層フィルムからPETを剥離させた変性PVAフィルムのガラス転移温度は58℃であった。
(多層薬剤包装用フィルムの作製)
上記式(1)で表される構成単位を有するピロリドン環変性ポリビニルアルコール樹脂(重合度1000、鹸化度95.8モル%、ピロリドン環基変性量4モル%、4重量%水溶液粘度10mPa・s)94重量部、可塑剤として、グリセリン(和光純薬工業社製)3.0重量部、トリメチロールプロパン(和光純薬工業社製)3.0重量部を667重量部の水に溶解させて15重量%のPVA水溶液を作製した。
次いで、得られた積層フィルムの変性PVAフィルム側にPVA水溶液を塗布し、乾燥温度を70℃で10分間乾燥させ、次に110℃で10分間乾燥させ、変性PVAフィルム(保護層)に厚み25μmの基材層(ガラス転移温度:58℃)が積層された多層薬剤包装用フィルムを得た。
(比較例2)
(保護層フィルムの作製)
ポリビニルアルコール樹脂(重合度1800、鹸化度99.3モル%、4重量%水溶液粘度28mPa・s)92重量部、可塑剤として、グリセリン(和光純薬工業社製)4.0重量部、トリメチロールプロパン(和光純薬工業社製)4.0重量部、を水667重量部に溶解させて15重量%のPVA水溶液を作製した。
得られたPVA水溶液を支持部材であるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ50μm)上に、リップコーター法により塗布し、70℃で10分間乾燥させ、次に110℃で10分間乾燥させ、支持部材上にPVAフィルム(厚さ25μm)が積層された積層フィルムを得た。得られた積層フィルムからPETを剥離させたPVAフィルムのガラス転移温度は45℃であった。
(多層薬剤包装用フィルムの作製)
得られた積層フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして多層薬剤包装用フィルムを作製した。
(比較例3)
(多層薬剤包装用フィルムの作製)
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業社製、TC−5S)100重量部を667重量部の水に溶解させて15重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース水溶液を作製した。
次いで、比較例1で得られた積層フィルムの変性PVAフィルム側にヒドロキシプロピルメチルセルロース水溶液を塗布し、乾燥温度を70℃で10分間乾燥させ、次に110℃で10分間乾燥させ、変性PVAフィルム(保護層)に厚み25μmの基材層(ガラス転移温度:160℃)が積層された多層薬剤包装用フィルムを得た。
(比較例4)
(多層薬剤包装用フィルムの作製)
ポリビニルアルコール樹脂(重合度900、鹸化度98.0モル%、4重量%水溶液粘度10mPa・s)100重量部を667重量部の水に溶解させて15重量%のPVA水溶液を作製した。
次いで、実施例1で得られた積層フィルムの変性PVAフィルム側にPVA水溶液を塗布し、乾燥温度を70℃で10分間乾燥させ、次に110℃で10分間乾燥させ、変性PVAフィルム(保護層)に厚み25μmの基材層(ガラス転移温度:74℃)が積層された多層薬剤包装用フィルムを得た。
(比較例5)
(保護層フィルムの作製)
ポリビニルアルコール樹脂(重合度2300、鹸化度88.0モル%、4重量%水溶液粘度50mPa・s)92重量部、可塑剤として、グリセリン(和光純薬工業社製)4.0重量部、トリメチロールプロパン(和光純薬工業社製)4.0重量部、を水667重量部に溶解させて15重量%のPVA水溶液を作製した。
得られたPVA水溶液を支持部材であるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ50μm)上に、リップコーター法により塗布し、70℃で10分間乾燥させ、次に110℃で10分間乾燥させ、支持部材上にPVAフィルム(厚さ25μm)が積層された積層フィルムを得た。得られた積層フィルムからPETを剥離させたPVAフィルムのガラス転移温度は49℃であった。
(多層薬剤包装用フィルムの作製)
得られた積層フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして多層薬剤包装用フィルムを作製した。
(比較例6)
(多層薬剤包装用フィルムの作製)
ポリビニルアルコール樹脂(重合度2300、鹸化度88.0モル%、4重量%水溶液粘度50mPa・s)92重量部、可塑剤として、グリセリン(和光純薬工業社製)4.0重量部、トリメチロールプロパン(和光純薬工業社製)4.0重量部、を667重量部の水に溶解させて15重量%のPVA水溶液を作製した。
次いで、実施例1で得られた積層フィルムの変性PVAフィルム側にPVA水溶液を塗布し、乾燥温度を70℃で10分間乾燥させ、次に110℃で10分間乾燥させ、変性PVAフィルム(保護層)に厚み25μmの基材層(ガラス転移温度:49℃)が積層された多層薬剤包装用フィルムを得た。
(比較例7)
(保護層フィルムの作製)
ポリビニルアルコール樹脂として上記式(1)で表される構成単位を有するピロリドン環変性ポリビニルアルコール樹脂(重合度2100、鹸化度95.8モル%、ピロリドン環基変性量4モル%、4重量%水溶液粘度37mPa・s)94重量部、可塑剤として、グリセリン(和光純薬工業社製)3.0重量部、トリメチロールプロパン(和光純薬工業社製)3.0重量部、を水667重量部に溶解させて15重量%の変性PVA水溶液を作製した。
得られた変性PVA水溶液を支持部材であるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ50μm)上に、リップコーター法により塗布し、70℃で10分間乾燥させ、次に110℃で10分間乾燥させ、支持部材上に変性PVAフィルム(厚さ25μm)が積層された積層フィルムを得た。なお、得られた積層フィルムからPETを剥離させた変性PVAフィルムのガラス転移温度は、43℃であった。
(多層薬剤包装用フィルムの作製)
ポリビニルアルコール樹脂(重合度1400、鹸化度92モル%、4重量%水溶液粘度17mPa・s)94重量部、可塑剤として、グリセリン(和光純薬工業社製)3.0重量部、トリメチロールプロパン(和光純薬工業社製)3.0重量部を667重量部の水に溶解させて15重量%のPVA水溶液を作製した。
次いで、得られた積層フィルムの変性PVAフィルム側にPVA水溶液を塗布し、乾燥温度を70℃で10分間乾燥させ、次に110℃で10分間乾燥させ、変性PVAフィルム(保護層)に厚み25μmの基材層が積層された多層薬剤包装用フィルムを得た。
得られた基材層のガラス転移温度は55℃であった。
Figure 0006397323
(評価)
実施例及び比較例で得られた多層薬剤包装用フィルムについて以下の方法により評価を行った。
結果を表2に示した。
(1)耐薬品性
得られた多層薬剤包装用フィルムを用いて、5cm×4cmの袋を作製し、該袋でトリクロロイソシアヌル酸ナトリウム20gを実包し、更にアルミ袋に入れ密封した後、温度40℃、湿度70%RHの恒温恒湿オーブンに1ヶ月間放置した。その後、多層薬剤包装用フィルムの外観を目視観察した。
○:外観変化なし
×:外観に黄変及び/又は着色がみられる
(2)密着性(投錨性)
得られた多層薬剤包装用フィルムを5cm×4cmにカットした後、ドライアイスに10分間挟み、ピペットで多層薬剤包装フィルム中の保護層と基材層の界面を剥離させて、投錨性を以下のように評価した。
○○:剥離できない
○:一部剥離した
×:完全剥離した
(3)水溶性(溶解時間)
得られた積層フィルムから支持体を剥離して多層薬剤包装用フィルムを得た後、温度23℃、相対湿度50%RHの環境下に24時間暴露した。
その後、多層薬剤包装用フィルムを35mm×40mmのサイズにカットして治具に固定し、500mlビーカーに水(500ml)を入れてスターラーにより撹拌(400mlの印に渦巻の下が到達)しながら、水温を23℃に保ちつつ、治具に固定したフィルムをかかる水中に浸漬した。治具からフィルムの残査が視認できなくなった時間を測定し、以下の基準により評価した。
○○:20秒未満
○:20秒以上30秒未満
×:30秒以上
(4)透明性
得られた多層薬剤包装用フィルムについて、ヘイズメーター(東京電色社製、TC−H3DPK)を用いて20℃でのヘイズを測定し、以下の基準により評価した。
○:ヘイズが3.5%未満
×:ヘイズが3.5%以上
Figure 0006397323
本発明によれば、優れた耐薬品性及び透明性を有しつつ、高い密着性を実現することが可能な多層薬剤包装用フィルムを提供することが可能である。

Claims (4)

  1. 少なくとも保護層と基材層とを有する多層薬剤包装用フィルムであって、
    前記保護層は、スルホン酸基、ピロリドン環、アミノ基及びカルボキシル基からなる群より選択される少なくとも1種の親水性基を有する変性ポリビニルアルコール樹脂を含有し、
    前記変性ポリビニルアルコール樹脂は、親水性基を有する構成単位の含有量が0.1〜15モル%、鹸化度が90.0モル%以上、99.0モル%未満、4重量%水溶液粘度が5〜35mPa・sであり、
    前記基材層は、鹸化度85.0モル%以上90.0モル%未満、4重量%水溶液粘度が5〜35mPa・s未満であるポリビニルアルコール樹脂を含有し、
    前記保護層を構成する変性ポリビニルアルコール樹脂と、前記基材層を構成するポリビニルアルコール樹脂とは、鹸化度の差が10モル%以下である
    ことを特徴とする多層薬剤包装用フィルム。
  2. 保護層と基材層のガラス転移温度の差が−5℃以上15℃以下であることを特徴とする請求項1載の多層薬剤包装用フィルム。
  3. 保護層は、変性ポリビニルアルコール樹脂100重量部に対して、可塑剤を3〜15重量部含有することを特徴とする請求項1記載の多層薬剤包装用フィルム。
  4. 多層薬剤包装用フィルムは、全体の厚みが30〜100μm、保護層の厚みが3〜50μmであることを特徴とする請求項1、2記載の多層薬剤包装用フィルム。
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