JP7339721B2 - 水溶性包装用フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、ロールの繰り出しの際のロールの汚染を防止することができるとともに、薬剤を短時間で放出することができ、耐薬品性に優れ、フィルムの水溶性の低下や着色を防止することができる水溶性包装用フィルムに関する。
ポリビニルアルコール(以下、PVAともいう)は、透明性、耐油性、耐薬品性及び酸素等のガスバリア性に優れていることから、包装材料として広く用いられている。近年、酸化による劣化が特性に大きな影響を与える食品、医薬品、工業薬品、農薬等の包装材料としても、多く使用されている。
また、PVAは、高い水溶性を有することから、製品や部材の一時的な保護用フィルム又はシートとしても利用されている。例えば、金属加工時の表面保護用途、ゴム部材の加硫時の保護用途、樹脂成形品の表面保護用途等において、一時的な保護膜としてPVAを利用することで、水や温水、あるいは熱水により容易に除去できることから、使用した後の保護膜の剥離工程や廃棄工程を省略することが可能となる。
このようなPVAフィルムとして、例えば、特許文献1には、スルホン酸基単位を0.5~20モル%含有し、ケン化度が70~99.5モル%である変性ポリビニルアルコール100重量部に対して、多価アルコール等の可塑剤を5~30重量部含有する農薬包装用の水溶性フィルムが記載されている。
また、特許文献2には、1、2-ピロリドン環を含む共重合単位を分子内に1~20モル%含有し、ケン化度が50~99モル%であるピロリドン環含有ポリビニルアルコールからなる水溶性フィルムが記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載の水溶性フィルムは、塩素含有衛生剤や酸化性化学薬品等の薬品に対する耐性が低く、経時的にフィルムの劣化が生じ、長期保管中に水に不溶化又は難溶化して、水溶性フィルムとして使用できなくなるという問題があった。
また、特許文献2に記載の水溶性フィルムは、耐薬品性には優れるもののピロリドン環がポリビニルアルコールの水溶性を低下させて、薬剤包装用フィルムとして用いた際に、薬剤の放出に時間がかかる等、使用上の問題があった。
特開平7-118407号公報 特開平2-124945号公報
本発明は、ロールの繰り出しの際のロールの汚染を防止することができるとともに、薬剤を短時間で放出することができ、耐薬品性に優れ、フィルムの水溶性の低下や着色を防止することができる水溶性包装用フィルムを提供することを目的とする。
本発明は、ポリビニルアルコール、可塑剤、及び、ヒドロキシ酸又はその塩を含有する水溶性包装用フィルムであって、前記ポリビニルアルコールは、ピロリドン環変性ポリビニルアルコール及びスルホン酸変性ポリビニルアルコールを含有し、前記ポリビニルアルコール100重量部中の前記ピロリドン環変性ポリビニルアルコールの含有量が50重量部以上、前記スルホン酸変性ポリビニルアルコールの含有量が50重量部未満であり、前記ポリビニルアルコール100重量部に対する前記可塑剤の含有量が3~15重量部、前記ヒドロキシ酸又はその塩の含有量が1~5重量部である水溶性包装用フィルムである。
以下、本発明を詳述する。
本発明者は、PVAフィルムの成分であるポリビニルアルコールとして、スルホン酸変性ポリビニルアルコール及びピロリドン環変性ポリビニルアルコールを所定の割合で配合し、可塑剤、ヒドロキシ酸又はその塩を所定の割合で添加することで、長期間に渡ってロールのブロッキングを防止できる水溶性包装用フィルムが得られることを見出した。また、ロールの繰り出しの際の擦り傷やロールの汚染を防止することができる水溶性包装用フィルムが得られることを見出した。更に、このような水溶性包装用フィルムを薬剤包装用フィルムとして薬剤を包装した場合、長時間保管しても薬剤との接触による水溶性の低下や着色等の劣化が起こりにくい薬剤包装用フィルムとすることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
以下、本発明の水溶性包装用フィルムに用いられる各成分の詳細を説明する。
(ポリビニルアルコール(PVA))
本発明の水溶性包装用フィルムは、ポリビニルアルコールを含有する。
上記ポリビニルアルコールは、本発明の水溶性包装用フィルムの主たる構成成分となる。
上記ポリビニルアルコールは、従来公知の方法に従って、ビニルエステルを重合してポリマーを得た後、ポリマーをケン化、すなわち加水分解することにより得られる。ケン化には、一般に、アルカリ又は酸が用いられる。ケン化には、アルカリを用いることが好ましい。上記ポリビニルアルコールとしては、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル及び安息香酸ビニル等が挙げられる。
上記ビニルエステルの重合方法は特に限定されない。この重合方法として、溶液重合法、塊状重合法及び懸濁重合法等が挙げられる。
上記ビニルエステルを重合する際に用いる重合触媒としては、例えば、2-エチルヘキシルペルオキシジカーボネート(Tianjin McEIT社製「TrigonoxEHP」)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、t-ブチルペルオキシネオデカノエート、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルペルオキシジカーボネート、ジ-n-ブチルペルオキシジカーボネート、ジ-セチルペルオキシジカーボネート及びジ-s-ブチルペルオキシジカーボネート等が挙げられる。上記重合触媒は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
ケン化度を好適な範囲に制御しやすいので、上記ビニルエステルを重合して得られるポリマーは、ポリビニルエステルであることが好ましい。また、上記ビニルエステルを重合して得られるポリマーは、上記ビニルエステルと他のモノマーとの共重合体であってもよい。すなわち、上記ポリビニルアルコールは、ビニルエステルと他のモノマーとの共重合体を用いて形成されていてもよい。上記他のモノマーすなわち共重合されるコモノマーとしては、例えば、オレフィン類、(メタ)アクリル酸及びその塩、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド誘導体、N-ビニルアミド類、ビニルエーテル類、ニトリル類、ハロゲン化ビニル類、アリル化合物、マレイン酸及びその塩、マレイン酸エステル、イタコン酸及びその塩、イタコン酸エステル、ビニルシリル化合物、並びに酢酸イソプロペニル等が挙げられる。上記他のモノマーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記オレフィン類としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン及びイソブテン等が挙げられる。上記(メタ)アクリル酸エステル類としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸i-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、及び(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル等が挙げられる。上記(メタ)アクリルアミド誘導体としては、アクリルアミド、n-メチルアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、及び(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸及びその塩等が挙げられる。上記N-ビニルアミド類としては、N-ビニルピロリドン等が挙げられる。上記ビニルエーテル類としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、i-プロピルビニルエーテル及びn-ブチルビニルエーテル等が挙げられる。上記ニトリル類としては、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。上記ハロゲン化ビニル類としては、塩化ビニル及び塩化ビニリデン等が挙げられる。上記アリル化合物としては、酢酸アリル及び塩化アリル等が挙げられる。上記ビニルシリル化合物としては、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
上記ポリビニルアルコールは、ピロリドン環変性ポリビニルアルコールを含有する。
ピロリドン環変性ポリビニルアルコールを含有することで、塩素含有衛生剤や酸化性化学薬品を包装した際にも、長期間に渡って、充分な水溶性を維持できるとともに、変色しにくいものとすることができる。
なお、上記ピロリドン環変性ポリビニルアルコールとしては、未変性ポリビニルアルコールとピロリドン環基を有するモノマーとを共重合して得られるもののほか、未変性ポリビニルアルコールにピロリドン環基を付与することによって得られるもの等が挙げられる。
上記ピロリドン環変性ポリビニルアルコールは、下記式(1)で表されるピロリドン環基を有する構成単位を有することが好ましい。
Figure 0007339721000001
上記ピロリドン環変性ポリビニルアルコールにおけるピロリドン環基を有する構成単位の含有量(以下、ピロリドン環変性量ともいう)は好ましい下限が0.1モル%、より好ましい下限が0.2モル%、更に好ましい下限が0.5モル%、特に好ましい下限が1.0モル%である。また、上記ピロリドン環変性量は、好ましい上限が20.0モル%、より好ましい上限が18.0モル%、更に好ましい下限が15.0モル%、特に好ましい上限が10.0モル%である。
上記ピロリドン環変性量が上記好ましい下限以上及び上記好ましい上限以下であると、塩素含有衛生剤や酸化性化学薬品を包装した際にも、長期間に渡って、充分な水溶性を維持できるとともに、変色しにくいものとすることができる。
上記ピロリドン環変性ポリビニルアルコールのケン化度は、好ましい下限が80.0モル%、より好ましい下限が85.0モル%、更に好ましい下限が87.0モル%、特に好ましい下限が90.0モル%である。上記ケン化度は、好ましい上限が99.9モル%、より好ましい上限が99.0モル%、更に好ましい上限が98.0モル%、特に好ましい上限が97.0モル%である。
上記ケン化度が上記好ましい下限以上及び上記好ましい上限以下であると、水溶性包装用フィルムの耐水性及び薬剤を解放する際の溶解時間を制御しやすいものとすることができる。
耐水性と溶解時間とのバランスをより高める観点から、上記ピロリドン環変性ポリビニルアルコールのケン化度は85.0モル%以上、97.0モル%以下であることが特に好ましい。
上記ケン化度は、JIS K6726に準拠して測定される。ケン化度は、ケン化によるビニルアルコール単位に変換される単位のうち、実際にビニルアルコール単位にケン化されている単位の割合を示す。
上記ケン化度の調整方法は特に限定されない。ケン化度は、ケン化条件、すなわち加水分解条件により適宜調整可能である。
上記ピロリドン環変性ポリビニルアルコールは、ケン化度分布標準偏差(σ)が0.1~1.0モル%であることが好ましい。
上記ケン化度分布標準偏差が上記好ましい下限以上及び上記好ましい上限以下であると、水溶性包装用フィルムの溶解性、薬品耐性がよくなり、薬剤を開放するときの溶解時間、及び薬品を包装した際の保存期間の双方をバランスよく高めることができる。
上記ピロリドン環変性ポリビニルアルコールのケン化度分布標準偏差のより好ましい下限は0.2モル%、より好ましい上限は0.9モル%である。
なお、上記ケン化度分布標準偏差は、PVA中のケン化度バラつきを示す指標であり、例えば、FT-IR等を用いて測定し、算出することができる。
上記ピロリドン環変性ポリビニルアルコールの重合度は特に限定されないが、好ましい下限は400、より好ましい下限は500、更に好ましい下限は600、特に好ましい下限は900である。上記重合度の好ましい上限は2000、より好ましい上限は1800、更に好ましい上限は1500である。上記重合度が上記好ましい下限以上及び上記好ましい上限以下であると、水溶性包装用フィルムを製膜するときの適度な水溶液の粘度になる。上記重合度が上記好ましい上限以下であると、水溶性包装用フィルムの強度がより一層高くなり、耐水性が得られる。なお、上記重合度は、JIS K6726に準拠して測定される。
上記ピロリドン環変性ポリビニルアルコールを作製する方法としては、例えば、未変性ポリビニルアルコールとピロリドン環基を有するモノマーとを共重合する方法、未変性ポリビニルアルコールにピロリドン環基を付加する方法等が挙げられる。
上記ピロリドン環変性ポリビニルアルコールの含有量は、ポリビニルアルコール100重量部中、50重量部以上である。
上記ピロリドン環変性ポリビニルアルコールの含有量が50重量部以上であると、塩素含有衛生剤や酸化性化学薬品を包装した際にも、長期間に渡って、充分な水溶性を維持できるとともに、変色しにくいものとすることができる。
上記ピロリドン環変性ポリビニルアルコールの含有量は、ポリビニルアルコール100重量部中の好ましい下限が51重量部、より好ましい下限が70重量部、好ましい上限が95重量部、より好ましい上限が97重量部である。
上記ポリビニルアルコールは、スルホン酸変性ポリビニルアルコールを含有する。
スルホン酸変性ポリビニルアルコールを含有することで、水溶性包装用フィルムの耐水性及び薬剤を解放する際の溶解時間を制御しやすいものとすることができる。
なお、上記スルホン酸変性ポリビニルアルコールとしては、未変性ポリビニルアルコールとスルホン酸基を有するモノマーとを共重合して得られるもののほか、未変性ポリビニルアルコールにスルホン酸基を付与することによって得られるもの等が挙げられる。
上記スルホン酸変性ポリビニルアルコールとしては、変性によってスルホン酸基が導入されたものであれば特に限定されないが、スルホン酸基が連結基を介して高分子主鎖と結合されたものであることが好ましい。
上記連結基としては、アミド基、アルキレン基、エステル基、エーテル基等が挙げられる。なかでも、アミド基とアルキレン基の組み合わせが好ましい。
また、上記スルホン酸基は、スルホン酸塩からなるものであることが好ましく、特にスルホン酸ナトリウム基であることが好ましい。
特に、上記スルホン酸変性ポリビニルアルコールは、スルホン酸ナトリウム基が連結基を介して高分子主鎖と結合されたものであることが好ましい。また、スルホン酸ナトリウム基がアミド基を介して高分子主鎖と結合されたものであることがより好ましい。更に、スルホン酸ナトリウム基がアミド基及びアルキレン基を介して高分子主鎖と結合されたものであることが更に好ましい。
また、上記スルホン酸変性ポリビニルアルコールがスルホン酸ナトリウム変性ポリビニルアルコールである場合、スルホン酸ナトリウム変性ポリビニルアルコールとしては、下記式(2)で表される構成単位を有することが好ましい。
Figure 0007339721000002
上記式(2)中、Rは炭素数1~4のアルキレン基を表す。
上記スルホン酸変性ポリビニルアルコールにおけるスルホン酸基を有する構成単位の含有量(以下、スルホン酸変性量ともいう)は好ましい下限が0.1モル%、より好ましい下限が0.2モル%、更に好ましい下限が0.5モル%、特に好ましい下限が1.0モル%である。上記スルホン酸変性量は、好ましい上限が6.0モル%、より好ましい上限が5.5モル%、更に好ましい下限が5.0モル%、特に好ましい上限が4.5モル%である。
上記スルホン酸変性量が上記好ましい下限以上及び上記好ましい上限以下であると、水溶性包装用フィルムの耐水性及び薬剤を解放する際の溶解時間を制御しやすいものとすることができる。
上記スルホン酸変性ポリビニルアルコールのケン化度は、好ましい下限が80.0モル%、より好ましい下限が85.0モル%、更に好ましい下限が87.0モル%、特に好ましい下限が90.0モル%である。上記ケン化度は、好ましい上限が99.9モル%、より好ましい上限が99.0モル%、更に好ましい上限が98.0モル%、特に好ましい上限が97.0モル%である。
上記ケン化度が上記好ましい下限以上及び上記好ましい上限以下であると、水溶性包装用フィルムの耐水性及び薬剤を解放する際の溶解時間を制御しやすいものとすることができる。
耐水性と溶解時間とのバランスをより高める観点から、上記ピロリドン環変性ポリビニルアルコールのケン化度は85.0モル%以上、97.0モル%以下であることが特に好ましい。
上記スルホン酸変性ポリビニルアルコールは、ケン化度分布標準偏差(σ)が0.1~1.0モル%であることが好ましい。
上記ケン化度分布標準偏差が上記好ましい下限以上及び上記好ましい上限以下であると、水溶性包装用フィルムの溶解性、薬品耐性がよくなり、薬剤を開放するときの溶解時間、及び薬品を包装した際の保存期間の双方をバランスよく高めることができる。
上記スルホン酸変性ポリビニルアルコールのケン化度分布標準偏差のより好ましい下限は0.2モル%、より好ましい上限は0.9モル%である。
上記スルホン酸変性ポリビニルアルコールの重合度は特に限定されないが、好ましい下限は400、より好ましい下限は500、更に好ましい下限は600、特に好ましい下限は900である。上記重合度の好ましい上限は2000、より好ましい上限は1800、更に好ましい上限は1500である。上記重合度が上記好ましい下限以上及び上記好ましい上限以下であると、水溶性包装用フィルムを製膜するときの適度な水溶液の粘度になる。上記重合度が上記好ましい上限以下であると、水溶性包装用フィルムの強度がより一層高くなり、耐水性が得られる。
上記スルホン酸変性ポリビニルアルコールを作製する方法としては、例えば、未変性ポリビニルアルコールとスルホン酸基を有するモノマーとを共重合する方法、未変性ポリビニルアルコールにスルホン酸基を付加する方法等が挙げられる。
上記スルホン酸変性ポリビニルアルコールの含有量は、ポリビニルアルコール100重量部中、50重量部未満である。
上記スルホン酸変性ポリビニルアルコールの含有量が50重量部未満であると、塩素含有衛生剤や酸化性化学薬品を包装した際にも、長期間に渡って、充分な水溶性を維持できるとともに、変色しにくいものとすることができる。
上記スルホン酸変性ポリビニルアルコールの含有量は、ポリビニルアルコール100重量部中の好ましい下限が3重量部、より好ましい下限が5重量部、好ましい上限が49重量部、より好ましい上限が30重量部である。
上記ピロリドン環変性ポリビニルアルコールにおけるピロリドン環基を有する構成単位の含有量と上記スルホン酸変性ポリビニルアルコールにおけるスルホン酸基を有する構成単位の含有量との比率(ピロリドン環基を有する構成単位の含有量/スルホン酸基を有する構成単位の含有量)は、好ましい下限が0.1、より好ましい下限が0.4、好ましい上限が1.5、より好ましい上限が1.1である。
上記ピロリドン環変性ポリビニルアルコールの重合度と上記スルホン酸変性ポリビニルアルコールの重合度との比率(ピロリドン環変性ポリビニルアルコールの重合度/スルホン酸変性ポリビニルアルコールの重合度)は、好ましい下限が0.5、より好ましい下限が0.8、好ましい上限が1.5、より好ましい上限が1.2である。
上記ポリビニルアルコールは、上記ピロリドン環変性ポリビニルアルコール及びスルホン酸変性ポリビニルアルコールの他に、未変性ポリビニルアルコールを含んでいてもよい。
上記未変性ポリビニルアルコールは、ケン化度の好ましい下限が85.0モル%、好ましい上限が99.0モル%である。
上記ケン化度が上記下限以上及び上記上限以下であると、水溶性包装用フィルムの耐水性及び薬剤を開放するときの溶解時間の制御がし易くなり、耐水性と溶解時間の制御との双方をバランスよく高めることができる。
上記未変性ポリビニルアルコールのケン化度のより好ましい下限は92.0モル%、より好ましい上限は98.0モル%である。
上記未変性ポリビニルアルコールは、ケン化度分布標準偏差(σ)が0.1~1.0モル%であることが好ましい。
上記ケン化度分布標準偏差が上記下限以上及び上記上限以下であると、PVAフィルムの溶解性、薬品耐性がよくなり、薬剤を開放するときの溶解時間及び薬品を包装した際の保存期間の双方をバランスよく高めることができる。
上記PVAのケン化度分布標準偏差のより好ましい下限は0.2モル%、より好ましい上限は0.9モル%である。
上記未変性ポリビニルアルコールの重合度は特に限定されない。上記未変性ポリビニルアルコールの重合度の好ましい下限は400、より好ましい下限は500、更に好ましい下限は600、特に好ましい下限は900、好ましい上限は2000、より好ましい上限は1800、更に好ましい上限は1500である。上記重合度が上記下限以上及び上記上限以下であると、水溶性包装用フィルムを製膜する際に水溶液の粘度を適度なものとすることができる。上記重合度が上記上限以下であると、PVAフィルムの強度がより一層高くなり、耐水性が得られる。
上記ポリビニルアルコール100重量部中の未変性ポリビニルアルコールの含有量は、好ましい下限が5重量部、好ましい上限が30重量部である。
また、上記ポリビニルアルコールは、上記ピロリドン環変性ポリビニルアルコール及びスルホン酸変性ポリビニルアルコール以外の他の変性ポリビニルアルコールを含んでいてもよい。
上記他の変性ポリビニルアルコールとしては、アミノ基、カルボキシル基等の変性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
なお、上記他の変性ポリビニルアルコールとしては、未変性ポリビニルアルコールと変性基を有するモノマーとを共重合して得られるもののほか、未変性ポリビニルアルコールに変性基を付与することによって得られるもの等が挙げられる。
上記他の変性ポリビニルアルコールが、アミノ基変性ポリビニルアルコールである場合、アミノ基変性ポリビニルアルコールとしては、下記式(3)で表される構成単位を有することが好ましい。
Figure 0007339721000003
上記式(3)中、Rは単結合又は炭素数1~10のアルキレン基を表す。
上記他の変性ポリビニルアルコールが、カルボキシル基変性ポリビニルアルコールである場合、カルボキシル基変性ポリビニルアルコールとしては、下記式(4-1)、(4-2)又は(4-3)で表される構成単位を有することが好ましい。
Figure 0007339721000004
上記式(4-1)、(4-2)及び(4-3)中、X、X、X、X及びXは、それぞれ独立し、水素原子、金属原子又はメチル基を表す。即ち、本明細書中、カルボキシル基を有する構成単位に含まれるカルボキシル基には、カルボキシル基の塩及びメチルエステルも含まれる。金属原子として、例えば、ナトリウム原子等が挙げられる。
上記式(4-2)中、Rは炭素数1~10のアルキレン基を表す。
上記他の変性ポリビニルアルコールにおける変性基を有する構成単位の含有量は、好ましい下限が0.2モル%、好ましい上限が10モル%である。上記変性基を有する構成単位の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、塩素含有衛生剤又は酸化性化学薬品に対しても、長期間に渡って、フィルムの変色や破れることのない抵抗性のあるフィルムを得ることができる。
上記変性基を有する構成単位の含有量のより好ましい下限は0.5モル%、より好ましい上限は8モル%である。
上記ポリビニルアルコール100重量部中の他の変性ポリビニルアルコールの含有量は、好ましい下限が1重量部、好ましい上限が10重量部である。
上記ポリビニルアルコールは、4重量%水溶液として、20℃で測定した粘度の好ましい下限が3mPa・s、好ましい上限が30mPa・sである。上記粘度が3mPa・s以上であると、耐水性を充分に向上させることができる。上記粘度が30mPa・s以下であると、溶解時間を充分に短くすることができる。上記粘度のより好ましい下限は8mPa・s、より好ましい上限は20mPa・sである。
なお、上記粘度はJIS K 6726に準じて測定することができる。
本発明の水溶性包装用フィルム100重量%中、上記ポリビニルアルコールの含有量の好ましい下限は70重量%、好ましい上限は95重量%である。
上記ポリビニルアルコールの含有量が上記下限以上であると、水溶性包装用フィルムから可塑剤のブリードアウトがないより一層良好な品質の水溶性包装用フィルムとすることができる。上記ポリビニルアルコールの含有量が上記上限以下であると、水溶性包装用フィルムの強度がより一層高くなり、耐水性に優れたものとすることができる。
(可塑剤)
本発明の水溶性包装用フィルムは、可塑剤を含有する。
水溶性包装用フィルムは、高温多湿の地域や寒冷地でも運搬、貯蔵、使用がなされるため、高い引張強度や耐久性が要求される。特に低温での耐衝撃性が重視される。本発明の水溶性包装用フィルムは、可塑剤を含有することで、ガラス転移点を下げることが可能となり、低温での耐久性を向上させることができる。また、上記可塑剤を含有することで、水溶性包装用フィルムの水に対する溶解性を向上させることもできる。
上記可塑剤としては、ポリビニルアルコールの可塑剤として一般に用いられているものであれば特に制限はなく、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールなどの多価アルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリエーテル類、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどのフェノール誘導体、N-メチルピロリドンなどのアミド化合物、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの多価アルコールにエチレンオキサイドを付加した化合物や水等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を用いてもよい。
上記可塑剤のなかでは、水溶性を向上させることができることから、グリセリン、トリメチロールプロパン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールが好ましく、特に水溶性向上の効果が大きいことからグリセリン、トリメチロールプロパン、プロピレングリコールが特に好ましい。
本発明の水溶性包装用フィルムは、ポリビニルアルコール100重量部に対して、上記可塑剤を3~15重量部含有する。上記可塑剤の含有量が3重量部以上であると、可塑剤の配合効果を充分に発揮させることができる。また、上記可塑剤の含有量が15重量部以下であると、可塑剤のブリードアウトを抑制して、得られる水溶性包装用フィルムのブロッキング防止性を向上させることができる。
上記可塑剤含有量の好ましい下限は3.2重量部、好ましい上限は13重量部である。
(ヒドロキシ酸又はその塩)
本発明の水溶性包装用フィルムは、ヒドロキシ酸又はその塩を含有する。
上記ヒドロキシ酸又はその塩を含有することにより、耐薬品性を向上させることができる。
上記ヒドロキシ酸としては、脂肪族ヒドロキシ酸、芳香族ヒドロキシ酸が挙げられ、脂肪族ヒドロキシ酸が好ましい。
上記脂肪族ヒドロキシ酸としては、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、ヒドロキシ酪酸等のモノカルボン酸、リンゴ酸、タルトロン酸、酒石酸等のジカルボン酸、クエン酸、イソクエン酸等のトリカルボン酸等の多価カルボン酸であるヒドロキシ酸等が挙げられ、多価カルボン酸であるヒドロキシ酸が好ましく、クエン酸が特に好ましい。
上記芳香族ヒドロキシ酸としては、サリチル酸、オルセリン酸、没食子酸、クマル酸等が挙げられる。
上記ヒドロキシ酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が挙げられ、ナトリウム塩が好ましい。
本発明の水溶性包装用フィルムは、ポリビニルアルコール100重量部に対して、上記ヒドロキシ酸又はその塩を1~5重量部含有する。上記ヒドロキシ酸又はその塩の含有量が1重量部以上であると耐薬品性を充分に向上させることができる。また、上記ヒドロキシ酸又はその塩の含有量が5重量部以下であると、得られる水溶性包装用フィルムのブロッキング防止性を向上させることができる。
本発明の水溶性包装用フィルムの厚さは、好ましい下限が10μm、好ましい上限が100μm、より好ましい上限が80μm、更に好ましい上限が75μmである。上記水溶性包装用フィルムの厚さが上記下限以上であると、薬剤を包装するフィルムの強度がより一層高くなる。上記水溶性包装用フィルムの厚さが上記上限以下であると、水溶性包装用フィルムとしてのパッケージング性やヒートシール性がより一層高くなり、加工時間をより一層短くなって生産性がより一層高くなる。
本発明の水溶性包装用フィルムは、さらに必要に応じて、着色剤、香料、増量剤、消泡剤、剥離剤、紫外線吸収剤等の通常の添加剤を適宜配合しても差し支えない。
本発明の水溶性包装用フィルムの用途は特に限定されないが、特に薬剤包装用フィルムとして好適に用いることができる。
(水溶性包装用フィルムの製造方法)
本発明の水溶性包装用フィルムの製造方法としては、特に限定されないが、ピロリドン環変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、可塑剤、ヒドロキシ酸又はその塩及び水を含有するポリビニルアルコール水溶液を支持部材に流延し、乾燥する方法等を用いることができる。具体的には、溶液流延法(キャスト法)、ロールコーティング法、スピンコーティング法、スクリーンコーティング法、ファウンテンコーティング法、ディッピング法及びスプレー法が挙げられる。
上記ポリビニルアルコール水溶液は、上記ポリビニルアルコール、可塑剤、ヒドロキシ酸又はその塩とともに水を含む。上記PVAは、主として、上記水中に溶解されている。
上記ポリビニルアルコール水溶液において、上記ポリビニルアルコールを含む水以外の成分100重量部に対して、上記水の含有量は、好ましい下限が300重量部、より好ましい下限が400重量部、更に好ましい下限が500重量部である。
また、上記水の含有量は、好ましい上限が900重量部、より好ましい上限が800重量部、更に好ましい上限が700重量部である。上記水の含有量が上記下限以上であると、ポリビニルアルコール水溶液の粘度が適度に低くなり、ポリビニルアルコール水溶液の流延が容易になる。上記水の含有量が上記上限以下であると、ポリビニルアルコール水溶液の粘度が適度に高くなり、ポリビニルアルコール水溶液の流延が容易になり、乾燥時間がより一層短くなり、水溶性包装用フィルムの配向がより一層高められた、より一層良好な品質の水溶性包装用フィルムが得られる。
上記支持部材は、ポリビニルアルコール水溶液の流延時に、ポリビニルアルコール水溶液を表面上に維持し、かつ得られる水溶性包装用フィルムを支持可能であることが好ましい。上記支持部材の材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル及びアクリル樹脂等が挙げられる。これら以外の材料により形成された支持部材を用いてもよい。上記ポリオレフィンとしては、エチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体及びエチレン-ビニルアルコール共重合体等が挙げられる。上記ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート等が挙げられる。上記支持部材の材料は、ポリビニルアルコールではないことが好ましい。
上記支持部材上に上記ポリビニルアルコール水溶液を流延した後の乾燥方法は、適宜の方法を用いることができ、特に限定されない。乾燥方法としては、自然乾燥する方法、及び、ピロリドン環変性ポリビニルアルコール又はスルホン酸変性ポリビニルアルコールのガラス転移温度以下の温度での加熱乾燥する方法等が挙げられる。
本発明の水溶性包装用フィルムを作製する場合、上記乾燥中や乾燥を行った後に延伸工程を行うことが好ましい。このような工程を行うことで、より好適に水溶性包装用フィルムの配向性を所定の範囲内とすることができる。
上記延伸工程としては、例えば、ロールを用いた延伸、テンターを用いた延伸、巻取装置を用いた延伸、乾燥収縮を利用した延伸、又は、これらを組み合わせた延伸等の方法が挙げられる。
また、上記延伸工程における延伸倍率としては、1.05~3倍が好ましい。また、1.1~2.8倍がより好ましい。
本発明によれば、ロールの繰り出しの際のロールの汚染を防止することができるとともに、薬剤を短時間で放出することができ、耐薬品性に優れ、フィルムの水溶性の低下や着色を防止することができる水溶性包装用フィルムを提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
ポリビニルアルコールとして上記式(1)で表される構成単位を有するピロリドン環変性ポリビニルアルコール(重合度1000、ケン化度95.8モル%、ピロリドン環変性量4.0モル%)51重量部、上記式(2)で表される構成単位を有するスルホン酸変性ポリビニルアルコール(重合度1200、ケン化度95.4モル%、スルホン酸変性量4.0モル%、式(2)中、Rが2-メチレンプロピレン基)49重量部、可塑剤として、グリセリン(和光純薬工業社製)3重量部、トリメチロールプロパン(TMP、和光純薬工業社製)3重量部、ヒドロキシ酸としてクエン酸(和光純薬工業社製)2.5重量部を水に溶解させて15重量%のポリビニルアルコール水溶液を作製した。
得られたポリビニルアルコール水溶液を、支持部材であるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ50μm)上に、オートフィルムアプリケーター(テスター産業社製「PI-1210」)を用いて塗布し、80℃で5分間、次いで、100℃で20分間乾燥した。その後、内径3インチの紙芯に巻き取り、支持部材上に水溶性包装用フィルム(厚さ50μm)が積層された巻回体を得た。
(実施例2)
ピロリドン環変性ポリビニルアルコールの配合量を75重量部、スルホン酸変性ポリビニルアルコールの配合量を25重量部に変更し、クエン酸に代えてクエン酸ナトリウム(和光純薬工業社製)を用いた以外は実施例1と同様にして支持部材上に水溶性包装用フィルム(厚さ50μm)が積層された巻回体を得た。
(実施例3)
ピロリドン環変性ポリビニルアルコールの配合量を95重量部、スルホン酸変性ポリビニルアルコールの配合量を5重量部に変更した以外は実施例1と同様にして支持部材上に水溶性包装用フィルム(厚さ50μm)が積層された巻回体を得た。
(実施例4)
可塑剤として、グリセリン3重量部、ポリエチレングリコール1000(PEG1000、和光純薬工業社製)3重量部を用い、クエン酸ナトリウムに代えてクエン酸を用いた以外は実施例2と同様にして支持部材上に水溶性包装用フィルム(厚さ50μm)が積層された巻回体を得た。
(実施例5)
クエン酸に代えてクエン酸ナトリウムを用いた以外は実施例4と同様にして支持部材上に水溶性包装用フィルム(厚さ50μm)が積層された巻回体を得た。
(実施例6)
クエン酸の配合量を1重量部に変更した以外は実施例4と同様にして支持部材上に水溶性包装用フィルム(厚さ50μm)が積層された巻回体を得た。
(実施例7)
クエン酸の配合量を4.8重量部に変更した以外は実施例4と同様にして支持部材上に水溶性包装用フィルム(厚さ50μm)が積層された巻回体を得た。
(実施例8)
可塑剤として、グリセリン3重量部を用いた以外は実施例4と同様にして支持部材上に水溶性包装用フィルム(厚さ50μm)が積層された巻回体を得た。
(実施例9)
可塑剤として、グリセリン10重量部、トリメチロールプロパン5重量部を用いた以外は実施例4と同様にして支持部材上に水溶性包装用フィルム(厚さ50μm)が積層された巻回体を得た。
(実施例10)
ピロリドン環変性ポリビニルアルコールとして、上記式(1)で表される構成単位を有するピロリドン環変性ポリビニルアルコール(重合度1000、ケン化度95.3モル%、ピロリドン環変性量6.0モル%)を用いた以外は、実施例6と同様にして支持部材上に水溶性包装用フィルム(厚さ50μm)が積層された巻回体を得た。
(実施例11)
スルホン酸変性ポリビニルアルコール(重合度1200、ケン化度95.4モル%、スルホン酸変性量9.0モル%、式(2)中、Rが2-メチレンプロピレン基)を用いた以外は、実施例6と同様にして支持部材上に水溶性包装用フィルム(厚さ50μm)が積層された巻回体を得た。
(比較例1)
クエン酸を添加しなかった以外は実施例4と同様にして支持部材上に水溶性包装用フィルム(厚さ50μm)が積層された巻回体を得た。
(比較例2)
可塑剤として、グリセリン10重量部、トリメチロールプロパン6重量部を用いた以外は実施例4と同様にして支持部材上に水溶性包装用フィルム(厚さ50μm)が積層された巻回体を得た。
(比較例3)
ピロリドン環変性ポリビニルアルコールの配合量を49重量部、スルホン酸変性ポリビニルアルコールの配合量を51重量部に変更し、可塑剤としてグリセリン3重量部、トリメチロールプロパン6重量部、ヒドロキシ酸又はその塩としてクエン酸1重量部、クエン酸ナトリウム1.5重量部を用いた以外は実施例1と同様にして支持部材上に水溶性包装用フィルム(厚さ50μm)が積層された巻回体を得た。
(比較例4)
ポリビニルアルコールとしてスルホン酸変性ポリビニルアルコール100重量部を用いた以外は実施例1と同様にして支持部材上に水溶性包装用フィルム(厚さ50μm)が積層された巻回体を得た。
(比較例5)
クエン酸の配合量を5.2重量部に変更した以外は実施例4と同様にして支持部材上に水溶性包装用フィルム(厚さ50μm)が積層された巻回体を得た。
(比較例6)
可塑剤として、グリセリン2重量部を用いた以外は実施例4と同様にして支持部材上に水溶性包装用フィルム(厚さ50μm)が積層された巻回体を得た。
(比較例7)
ポリビニルアルコールとしてピロリドン環変性ポリビニルアルコール100重量部を用いた以外は実施例1と同様にして支持部材上に水溶性包装用フィルム(厚さ50μm)が積層された巻回体を得た。
(比較例8)
スルホン酸変性ポリビニルアルコールに代えて未変性ポリビニルアルコール(重合度1300、ケン化度88.0モル%、4重量%水溶液粘度14mPa・s)を用い、ポリビニルアルコールの配合量を表1に示す通りとした以外は実施例1と同様にして支持部材上に水溶性包装用フィルム(厚さ50μm)が積層された巻回体を得た。
(比較例9)
未変性ポリビニルアルコールに代えてカルボン酸変性ポリビニルアルコール(重合度1700、上記式(4-2)中、Rがメチレン基、X及びXがナトリウム原子、ケン化度97.5モル%、カルボン酸変性量1.5モル%)を用いた以外は比較例8と同様にして支持部材上に水溶性包装用フィルム(厚さ50μm)が積層された巻回体を得た。
(評価)
実施例及び比較例で得られた水溶性包装用フィルムについて以下の評価を行った。結果を表1に示した。
(1)速溶解性(破れ時間)
得られた積層フィルムから支持体を剥離して水溶性包装用フィルムを得た後、温度23℃、相対湿度50%RHの環境下に24時間暴露した。
その後、水溶性包装用フィルムを35mm×40mmのサイズにカットして治具に固定し、500mlビーカーに水(500ml)を入れてスターラーにより撹拌(400mlの印に渦巻の下が到達)しながら、水温を20℃に保ちつつ、治具に固定したフィルムをかかる水中に浸漬した。治具からフィルムが貫通して破れた時間(破れ時間)を測定し、以下の基準により評価した。
○:20秒未満
×:20秒以上
(2)汚染性
得られた水溶性包装用フィルムの50mm幅の巻回体をJIS Z0237に準拠し、巻き戻し速度20m/分の速度で50m巻き戻した際の金属ロールの汚染の程度を目視にて確認し、以下の基準で評価した。なお、比較例2については、水溶性包装用フィルム表面に可塑剤がブリードして金属ロールに水溶性包装用フィルムが張り付いたため、測定することができなかった。また、比較例6については、水溶性包装用フィルムが硬く、破れたため測定することができなかった。
○:ロール汚染が確認されなかった。
×:ロールが光るほどの汚染が確認された、又は、測定できなかった。
(3)耐薬品性
得られた水溶性包装用フィルムを2つに折り、端部を熱シールすることで、一端が開放された5cm×4cmの袋を作製した。得られた袋にトリクロロイソシアヌル酸の粉末25gを加えて、開放端を熱シールすることにより、内部にトリクロロイソシアヌル酸の粉末を有する包装体を得た。得られた包装体を40℃、90%RHの環境下にて24時間放置し、充分にフィルムを吸水させた後、PTFE内筒密閉容器(三商社製、SR-50用金属バルブ付)に入れ、袋から水や可塑剤が飛散しないように密閉した。このサンプルを温度70℃のオーブンに10日間放置した後、包装体を解放して内包物を取り除き、耐薬品性評価用フィルムを作製した。
(3-1)耐薬水溶性
得られた評価用フィルムを30mm×30mmのサイズにカットして秤量後、治具に固定し、500mlビーカーに水(500ml)を入れてスターラーにより撹拌(400mlの印に渦巻の下が到達)しながら、水温を23℃に保ちつつ、治具に固定した評価用フィルムを水中に浸漬した。そのまま60分放置し、得られた水溶液をあらかじめ重量を測定した目開き300μmのメッシュでろ過し、未溶解のゲル成分を分離した。メッシュを80℃で3時間乾燥させ、重量変化から溶解度を算出し、耐薬水溶性を以下の基準で評価した。なお、実施例及び比較例で得られた水溶性包装用フィルムの溶解度はいずれも100%であった。
○:溶解度90%以上
×:溶解度90%未満
(3-2)耐薬視認性
測色色差計(日本電色工業株式会社製 Model「ZE2000」)を用いて得られた評価用フィルムの初期YI値を測定した。
また、得られた評価用フィルムを80℃の環境下に3日間放置し、更に、23℃×50%RHの環境下にて24時間放置した後、評価用フィルムの経時YI値を測定した。黄変度(ΔYI)を以下の式とし、以下の基準で評価した。
黄変度(ΔYI)=経時YI値-初期YI値
○:ΔYIが5未満
×:ΔYIが5以上
Figure 0007339721000005
本発明によれば、ロールの繰り出しの際のロールの汚染を防止することができるとともに、薬剤を短時間で放出することができ、耐薬品性に優れ、フィルムの水溶性の低下や着色を防止することができる水溶性包装用フィルムを提供することができる。

Claims (7)

  1. ポリビニルアルコール、可塑剤、及び、ヒドロキシ酸又はその塩を含有する水溶性包装用フィルムであって、
    前記ポリビニルアルコールは、ピロリドン環変性ポリビニルアルコール及びスルホン酸変性ポリビニルアルコールを含有し、
    前記ポリビニルアルコール100重量部中の前記ピロリドン環変性ポリビニルアルコールの含有量が50重量部以上97重量部以下、前記スルホン酸変性ポリビニルアルコールの含有量が3重量部以上50重量部未満であり、
    前記ピロリドン環変性ポリビニルアルコールにおけるピロリドン環基を有する構成単位の含有量と前記スルホン酸変性ポリビニルアルコールにおけるスルホン酸基を有する構成単位の含有量との比率(ピロリドン環基を有する構成単位の含有量/スルホン酸基を有する構成単位の含有量)が、0.1~1.1であり、
    前記ポリビニルアルコール100重量部に対する前記可塑剤の含有量が3~15重量部、前記ヒドロキシ酸又はその塩の含有量が1~5重量部である
    ことを特徴とする水溶性包装用フィルム。
  2. スルホン酸変性ポリビニルアルコールは、スルホン酸変性量が0.1~6.0モル%であることを特徴とする請求項1記載の水溶性包装用フィルム。
  3. スルホン酸変性ポリビニルアルコールは、ケン化度が80.0~99.9モル%であることを特徴とする請求項1又は2記載の水溶性包装用フィルム。
  4. ピロリドン環変性ポリビニルアルコールは、ピロリドン環変性量が0.1~20.0モル%であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の水溶性包装用フィルム。
  5. ピロリドン環変性ポリビニルアルコールは、ケン化度が80.0~99.9モル%であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の水溶性包装用フィルム。
  6. ヒドロキシ酸は、脂肪族ヒドロキシ酸であることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の水溶性包装用フィルム。
  7. ヒドロキシ酸は、クエン酸であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の水溶性包装用フィルム。
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