JP7339721B2 - 水溶性包装用フィルム - Google Patents
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Description
また、特許文献2には、1、2-ピロリドン環を含む共重合単位を分子内に1~20モル%含有し、ケン化度が50~99モル%であるピロリドン環含有ポリビニルアルコールからなる水溶性フィルムが記載されている。
また、特許文献2に記載の水溶性フィルムは、耐薬品性には優れるもののピロリドン環がポリビニルアルコールの水溶性を低下させて、薬剤包装用フィルムとして用いた際に、薬剤の放出に時間がかかる等、使用上の問題があった。
以下、本発明を詳述する。
以下、本発明の水溶性包装用フィルムに用いられる各成分の詳細を説明する。
本発明の水溶性包装用フィルムは、ポリビニルアルコールを含有する。
上記ポリビニルアルコールは、本発明の水溶性包装用フィルムの主たる構成成分となる。
ピロリドン環変性ポリビニルアルコールを含有することで、塩素含有衛生剤や酸化性化学薬品を包装した際にも、長期間に渡って、充分な水溶性を維持できるとともに、変色しにくいものとすることができる。
なお、上記ピロリドン環変性ポリビニルアルコールとしては、未変性ポリビニルアルコールとピロリドン環基を有するモノマーとを共重合して得られるもののほか、未変性ポリビニルアルコールにピロリドン環基を付与することによって得られるもの等が挙げられる。
上記ピロリドン環変性量が上記好ましい下限以上及び上記好ましい上限以下であると、塩素含有衛生剤や酸化性化学薬品を包装した際にも、長期間に渡って、充分な水溶性を維持できるとともに、変色しにくいものとすることができる。
上記ケン化度が上記好ましい下限以上及び上記好ましい上限以下であると、水溶性包装用フィルムの耐水性及び薬剤を解放する際の溶解時間を制御しやすいものとすることができる。
耐水性と溶解時間とのバランスをより高める観点から、上記ピロリドン環変性ポリビニルアルコールのケン化度は85.0モル%以上、97.0モル%以下であることが特に好ましい。
上記ケン化度の調整方法は特に限定されない。ケン化度は、ケン化条件、すなわち加水分解条件により適宜調整可能である。
上記ケン化度分布標準偏差が上記好ましい下限以上及び上記好ましい上限以下であると、水溶性包装用フィルムの溶解性、薬品耐性がよくなり、薬剤を開放するときの溶解時間、及び薬品を包装した際の保存期間の双方をバランスよく高めることができる。
上記ピロリドン環変性ポリビニルアルコールのケン化度分布標準偏差のより好ましい下限は0.2モル%、より好ましい上限は0.9モル%である。
なお、上記ケン化度分布標準偏差は、PVA中のケン化度バラつきを示す指標であり、例えば、FT-IR等を用いて測定し、算出することができる。
上記ピロリドン環変性ポリビニルアルコールの含有量が50重量部以上であると、塩素含有衛生剤や酸化性化学薬品を包装した際にも、長期間に渡って、充分な水溶性を維持できるとともに、変色しにくいものとすることができる。
上記ピロリドン環変性ポリビニルアルコールの含有量は、ポリビニルアルコール100重量部中の好ましい下限が51重量部、より好ましい下限が70重量部、好ましい上限が95重量部、より好ましい上限が97重量部である。
スルホン酸変性ポリビニルアルコールを含有することで、水溶性包装用フィルムの耐水性及び薬剤を解放する際の溶解時間を制御しやすいものとすることができる。
なお、上記スルホン酸変性ポリビニルアルコールとしては、未変性ポリビニルアルコールとスルホン酸基を有するモノマーとを共重合して得られるもののほか、未変性ポリビニルアルコールにスルホン酸基を付与することによって得られるもの等が挙げられる。
上記連結基としては、アミド基、アルキレン基、エステル基、エーテル基等が挙げられる。なかでも、アミド基とアルキレン基の組み合わせが好ましい。
また、上記スルホン酸基は、スルホン酸塩からなるものであることが好ましく、特にスルホン酸ナトリウム基であることが好ましい。
特に、上記スルホン酸変性ポリビニルアルコールは、スルホン酸ナトリウム基が連結基を介して高分子主鎖と結合されたものであることが好ましい。また、スルホン酸ナトリウム基がアミド基を介して高分子主鎖と結合されたものであることがより好ましい。更に、スルホン酸ナトリウム基がアミド基及びアルキレン基を介して高分子主鎖と結合されたものであることが更に好ましい。
また、上記スルホン酸変性ポリビニルアルコールがスルホン酸ナトリウム変性ポリビニルアルコールである場合、スルホン酸ナトリウム変性ポリビニルアルコールとしては、下記式(2)で表される構成単位を有することが好ましい。
上記スルホン酸変性量が上記好ましい下限以上及び上記好ましい上限以下であると、水溶性包装用フィルムの耐水性及び薬剤を解放する際の溶解時間を制御しやすいものとすることができる。
上記ケン化度が上記好ましい下限以上及び上記好ましい上限以下であると、水溶性包装用フィルムの耐水性及び薬剤を解放する際の溶解時間を制御しやすいものとすることができる。
耐水性と溶解時間とのバランスをより高める観点から、上記ピロリドン環変性ポリビニルアルコールのケン化度は85.0モル%以上、97.0モル%以下であることが特に好ましい。
上記ケン化度分布標準偏差が上記好ましい下限以上及び上記好ましい上限以下であると、水溶性包装用フィルムの溶解性、薬品耐性がよくなり、薬剤を開放するときの溶解時間、及び薬品を包装した際の保存期間の双方をバランスよく高めることができる。
上記スルホン酸変性ポリビニルアルコールのケン化度分布標準偏差のより好ましい下限は0.2モル%、より好ましい上限は0.9モル%である。
上記スルホン酸変性ポリビニルアルコールの含有量が50重量部未満であると、塩素含有衛生剤や酸化性化学薬品を包装した際にも、長期間に渡って、充分な水溶性を維持できるとともに、変色しにくいものとすることができる。
上記スルホン酸変性ポリビニルアルコールの含有量は、ポリビニルアルコール100重量部中の好ましい下限が3重量部、より好ましい下限が5重量部、好ましい上限が49重量部、より好ましい上限が30重量部である。
上記ケン化度が上記下限以上及び上記上限以下であると、水溶性包装用フィルムの耐水性及び薬剤を開放するときの溶解時間の制御がし易くなり、耐水性と溶解時間の制御との双方をバランスよく高めることができる。
上記未変性ポリビニルアルコールのケン化度のより好ましい下限は92.0モル%、より好ましい上限は98.0モル%である。
上記ケン化度分布標準偏差が上記下限以上及び上記上限以下であると、PVAフィルムの溶解性、薬品耐性がよくなり、薬剤を開放するときの溶解時間及び薬品を包装した際の保存期間の双方をバランスよく高めることができる。
上記PVAのケン化度分布標準偏差のより好ましい下限は0.2モル%、より好ましい上限は0.9モル%である。
上記他の変性ポリビニルアルコールとしては、アミノ基、カルボキシル基等の変性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
なお、上記他の変性ポリビニルアルコールとしては、未変性ポリビニルアルコールと変性基を有するモノマーとを共重合して得られるもののほか、未変性ポリビニルアルコールに変性基を付与することによって得られるもの等が挙げられる。
上記式(4-2)中、R3は炭素数1~10のアルキレン基を表す。
上記変性基を有する構成単位の含有量のより好ましい下限は0.5モル%、より好ましい上限は8モル%である。
なお、上記粘度はJIS K 6726に準じて測定することができる。
上記ポリビニルアルコールの含有量が上記下限以上であると、水溶性包装用フィルムから可塑剤のブリードアウトがないより一層良好な品質の水溶性包装用フィルムとすることができる。上記ポリビニルアルコールの含有量が上記上限以下であると、水溶性包装用フィルムの強度がより一層高くなり、耐水性に優れたものとすることができる。
本発明の水溶性包装用フィルムは、可塑剤を含有する。
水溶性包装用フィルムは、高温多湿の地域や寒冷地でも運搬、貯蔵、使用がなされるため、高い引張強度や耐久性が要求される。特に低温での耐衝撃性が重視される。本発明の水溶性包装用フィルムは、可塑剤を含有することで、ガラス転移点を下げることが可能となり、低温での耐久性を向上させることができる。また、上記可塑剤を含有することで、水溶性包装用フィルムの水に対する溶解性を向上させることもできる。
上記可塑剤のなかでは、水溶性を向上させることができることから、グリセリン、トリメチロールプロパン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールが好ましく、特に水溶性向上の効果が大きいことからグリセリン、トリメチロールプロパン、プロピレングリコールが特に好ましい。
上記可塑剤含有量の好ましい下限は3.2重量部、好ましい上限は13重量部である。
本発明の水溶性包装用フィルムは、ヒドロキシ酸又はその塩を含有する。
上記ヒドロキシ酸又はその塩を含有することにより、耐薬品性を向上させることができる。
上記ヒドロキシ酸としては、脂肪族ヒドロキシ酸、芳香族ヒドロキシ酸が挙げられ、脂肪族ヒドロキシ酸が好ましい。
上記脂肪族ヒドロキシ酸としては、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、ヒドロキシ酪酸等のモノカルボン酸、リンゴ酸、タルトロン酸、酒石酸等のジカルボン酸、クエン酸、イソクエン酸等のトリカルボン酸等の多価カルボン酸であるヒドロキシ酸等が挙げられ、多価カルボン酸であるヒドロキシ酸が好ましく、クエン酸が特に好ましい。
上記芳香族ヒドロキシ酸としては、サリチル酸、オルセリン酸、没食子酸、クマル酸等が挙げられる。
上記ヒドロキシ酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が挙げられ、ナトリウム塩が好ましい。
本発明の水溶性包装用フィルムの製造方法としては、特に限定されないが、ピロリドン環変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、可塑剤、ヒドロキシ酸又はその塩及び水を含有するポリビニルアルコール水溶液を支持部材に流延し、乾燥する方法等を用いることができる。具体的には、溶液流延法(キャスト法)、ロールコーティング法、スピンコーティング法、スクリーンコーティング法、ファウンテンコーティング法、ディッピング法及びスプレー法が挙げられる。
また、上記水の含有量は、好ましい上限が900重量部、より好ましい上限が800重量部、更に好ましい上限が700重量部である。上記水の含有量が上記下限以上であると、ポリビニルアルコール水溶液の粘度が適度に低くなり、ポリビニルアルコール水溶液の流延が容易になる。上記水の含有量が上記上限以下であると、ポリビニルアルコール水溶液の粘度が適度に高くなり、ポリビニルアルコール水溶液の流延が容易になり、乾燥時間がより一層短くなり、水溶性包装用フィルムの配向がより一層高められた、より一層良好な品質の水溶性包装用フィルムが得られる。
上記延伸工程としては、例えば、ロールを用いた延伸、テンターを用いた延伸、巻取装置を用いた延伸、乾燥収縮を利用した延伸、又は、これらを組み合わせた延伸等の方法が挙げられる。
また、上記延伸工程における延伸倍率としては、1.05~3倍が好ましい。また、1.1~2.8倍がより好ましい。
ポリビニルアルコールとして上記式(1)で表される構成単位を有するピロリドン環変性ポリビニルアルコール(重合度1000、ケン化度95.8モル%、ピロリドン環変性量4.0モル%)51重量部、上記式(2)で表される構成単位を有するスルホン酸変性ポリビニルアルコール(重合度1200、ケン化度95.4モル%、スルホン酸変性量4.0モル%、式(2)中、R1が2-メチレンプロピレン基)49重量部、可塑剤として、グリセリン(和光純薬工業社製)3重量部、トリメチロールプロパン(TMP、和光純薬工業社製)3重量部、ヒドロキシ酸としてクエン酸(和光純薬工業社製)2.5重量部を水に溶解させて15重量%のポリビニルアルコール水溶液を作製した。
ピロリドン環変性ポリビニルアルコールの配合量を75重量部、スルホン酸変性ポリビニルアルコールの配合量を25重量部に変更し、クエン酸に代えてクエン酸ナトリウム(和光純薬工業社製)を用いた以外は実施例1と同様にして支持部材上に水溶性包装用フィルム(厚さ50μm)が積層された巻回体を得た。
ピロリドン環変性ポリビニルアルコールの配合量を95重量部、スルホン酸変性ポリビニルアルコールの配合量を5重量部に変更した以外は実施例1と同様にして支持部材上に水溶性包装用フィルム(厚さ50μm)が積層された巻回体を得た。
可塑剤として、グリセリン3重量部、ポリエチレングリコール1000(PEG1000、和光純薬工業社製)3重量部を用い、クエン酸ナトリウムに代えてクエン酸を用いた以外は実施例2と同様にして支持部材上に水溶性包装用フィルム(厚さ50μm)が積層された巻回体を得た。
クエン酸に代えてクエン酸ナトリウムを用いた以外は実施例4と同様にして支持部材上に水溶性包装用フィルム(厚さ50μm)が積層された巻回体を得た。
クエン酸の配合量を1重量部に変更した以外は実施例4と同様にして支持部材上に水溶性包装用フィルム(厚さ50μm)が積層された巻回体を得た。
クエン酸の配合量を4.8重量部に変更した以外は実施例4と同様にして支持部材上に水溶性包装用フィルム(厚さ50μm)が積層された巻回体を得た。
可塑剤として、グリセリン3重量部を用いた以外は実施例4と同様にして支持部材上に水溶性包装用フィルム(厚さ50μm)が積層された巻回体を得た。
可塑剤として、グリセリン10重量部、トリメチロールプロパン5重量部を用いた以外は実施例4と同様にして支持部材上に水溶性包装用フィルム(厚さ50μm)が積層された巻回体を得た。
ピロリドン環変性ポリビニルアルコールとして、上記式(1)で表される構成単位を有するピロリドン環変性ポリビニルアルコール(重合度1000、ケン化度95.3モル%、ピロリドン環変性量6.0モル%)を用いた以外は、実施例6と同様にして支持部材上に水溶性包装用フィルム(厚さ50μm)が積層された巻回体を得た。
スルホン酸変性ポリビニルアルコール(重合度1200、ケン化度95.4モル%、スルホン酸変性量9.0モル%、式(2)中、R1が2-メチレンプロピレン基)を用いた以外は、実施例6と同様にして支持部材上に水溶性包装用フィルム(厚さ50μm)が積層された巻回体を得た。
クエン酸を添加しなかった以外は実施例4と同様にして支持部材上に水溶性包装用フィルム(厚さ50μm)が積層された巻回体を得た。
可塑剤として、グリセリン10重量部、トリメチロールプロパン6重量部を用いた以外は実施例4と同様にして支持部材上に水溶性包装用フィルム(厚さ50μm)が積層された巻回体を得た。
ピロリドン環変性ポリビニルアルコールの配合量を49重量部、スルホン酸変性ポリビニルアルコールの配合量を51重量部に変更し、可塑剤としてグリセリン3重量部、トリメチロールプロパン6重量部、ヒドロキシ酸又はその塩としてクエン酸1重量部、クエン酸ナトリウム1.5重量部を用いた以外は実施例1と同様にして支持部材上に水溶性包装用フィルム(厚さ50μm)が積層された巻回体を得た。
ポリビニルアルコールとしてスルホン酸変性ポリビニルアルコール100重量部を用いた以外は実施例1と同様にして支持部材上に水溶性包装用フィルム(厚さ50μm)が積層された巻回体を得た。
クエン酸の配合量を5.2重量部に変更した以外は実施例4と同様にして支持部材上に水溶性包装用フィルム(厚さ50μm)が積層された巻回体を得た。
可塑剤として、グリセリン2重量部を用いた以外は実施例4と同様にして支持部材上に水溶性包装用フィルム(厚さ50μm)が積層された巻回体を得た。
ポリビニルアルコールとしてピロリドン環変性ポリビニルアルコール100重量部を用いた以外は実施例1と同様にして支持部材上に水溶性包装用フィルム(厚さ50μm)が積層された巻回体を得た。
スルホン酸変性ポリビニルアルコールに代えて未変性ポリビニルアルコール(重合度1300、ケン化度88.0モル%、4重量%水溶液粘度14mPa・s)を用い、ポリビニルアルコールの配合量を表1に示す通りとした以外は実施例1と同様にして支持部材上に水溶性包装用フィルム(厚さ50μm)が積層された巻回体を得た。
未変性ポリビニルアルコールに代えてカルボン酸変性ポリビニルアルコール(重合度1700、上記式(4-2)中、R3がメチレン基、X2及びX3がナトリウム原子、ケン化度97.5モル%、カルボン酸変性量1.5モル%)を用いた以外は比較例8と同様にして支持部材上に水溶性包装用フィルム(厚さ50μm)が積層された巻回体を得た。
実施例及び比較例で得られた水溶性包装用フィルムについて以下の評価を行った。結果を表1に示した。
得られた積層フィルムから支持体を剥離して水溶性包装用フィルムを得た後、温度23℃、相対湿度50%RHの環境下に24時間暴露した。
その後、水溶性包装用フィルムを35mm×40mmのサイズにカットして治具に固定し、500mlビーカーに水(500ml)を入れてスターラーにより撹拌(400mlの印に渦巻の下が到達)しながら、水温を20℃に保ちつつ、治具に固定したフィルムをかかる水中に浸漬した。治具からフィルムが貫通して破れた時間(破れ時間)を測定し、以下の基準により評価した。
○:20秒未満
×:20秒以上
得られた水溶性包装用フィルムの50mm幅の巻回体をJIS Z0237に準拠し、巻き戻し速度20m/分の速度で50m巻き戻した際の金属ロールの汚染の程度を目視にて確認し、以下の基準で評価した。なお、比較例2については、水溶性包装用フィルム表面に可塑剤がブリードして金属ロールに水溶性包装用フィルムが張り付いたため、測定することができなかった。また、比較例6については、水溶性包装用フィルムが硬く、破れたため測定することができなかった。
○:ロール汚染が確認されなかった。
×:ロールが光るほどの汚染が確認された、又は、測定できなかった。
得られた水溶性包装用フィルムを2つに折り、端部を熱シールすることで、一端が開放された5cm×4cmの袋を作製した。得られた袋にトリクロロイソシアヌル酸の粉末25gを加えて、開放端を熱シールすることにより、内部にトリクロロイソシアヌル酸の粉末を有する包装体を得た。得られた包装体を40℃、90%RHの環境下にて24時間放置し、充分にフィルムを吸水させた後、PTFE内筒密閉容器(三商社製、SR-50用金属バルブ付)に入れ、袋から水や可塑剤が飛散しないように密閉した。このサンプルを温度70℃のオーブンに10日間放置した後、包装体を解放して内包物を取り除き、耐薬品性評価用フィルムを作製した。
得られた評価用フィルムを30mm×30mmのサイズにカットして秤量後、治具に固定し、500mlビーカーに水(500ml)を入れてスターラーにより撹拌(400mlの印に渦巻の下が到達)しながら、水温を23℃に保ちつつ、治具に固定した評価用フィルムを水中に浸漬した。そのまま60分放置し、得られた水溶液をあらかじめ重量を測定した目開き300μmのメッシュでろ過し、未溶解のゲル成分を分離した。メッシュを80℃で3時間乾燥させ、重量変化から溶解度を算出し、耐薬水溶性を以下の基準で評価した。なお、実施例及び比較例で得られた水溶性包装用フィルムの溶解度はいずれも100%であった。
○:溶解度90%以上
×:溶解度90%未満
測色色差計(日本電色工業株式会社製 Model「ZE2000」)を用いて得られた評価用フィルムの初期YI値を測定した。
また、得られた評価用フィルムを80℃の環境下に3日間放置し、更に、23℃×50%RHの環境下にて24時間放置した後、評価用フィルムの経時YI値を測定した。黄変度(ΔYI)を以下の式とし、以下の基準で評価した。
黄変度(ΔYI)=経時YI値-初期YI値
○:ΔYIが5未満
×:ΔYIが5以上
Claims (7)
- ポリビニルアルコール、可塑剤、及び、ヒドロキシ酸又はその塩を含有する水溶性包装用フィルムであって、
前記ポリビニルアルコールは、ピロリドン環変性ポリビニルアルコール及びスルホン酸変性ポリビニルアルコールを含有し、
前記ポリビニルアルコール100重量部中の前記ピロリドン環変性ポリビニルアルコールの含有量が50重量部以上97重量部以下、前記スルホン酸変性ポリビニルアルコールの含有量が3重量部以上50重量部未満であり、
前記ピロリドン環変性ポリビニルアルコールにおけるピロリドン環基を有する構成単位の含有量と前記スルホン酸変性ポリビニルアルコールにおけるスルホン酸基を有する構成単位の含有量との比率(ピロリドン環基を有する構成単位の含有量/スルホン酸基を有する構成単位の含有量)が、0.1~1.1であり、
前記ポリビニルアルコール100重量部に対する前記可塑剤の含有量が3~15重量部、前記ヒドロキシ酸又はその塩の含有量が1~5重量部である
ことを特徴とする水溶性包装用フィルム。 - スルホン酸変性ポリビニルアルコールは、スルホン酸変性量が0.1~6.0モル%であることを特徴とする請求項1記載の水溶性包装用フィルム。
- スルホン酸変性ポリビニルアルコールは、ケン化度が80.0~99.9モル%であることを特徴とする請求項1又は2記載の水溶性包装用フィルム。
- ピロリドン環変性ポリビニルアルコールは、ピロリドン環変性量が0.1~20.0モル%であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の水溶性包装用フィルム。
- ピロリドン環変性ポリビニルアルコールは、ケン化度が80.0~99.9モル%であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の水溶性包装用フィルム。
- ヒドロキシ酸は、脂肪族ヒドロキシ酸であることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の水溶性包装用フィルム。
- ヒドロキシ酸は、クエン酸であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の水溶性包装用フィルム。
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