JP2013023395A - ガラス積層構造体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 封止剤として、下記一般式(1)で表される1,2−ジオール構造単位を有し、エチレン含有率が20〜60モル%であるエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物を用いる。
【化1】
[式中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示し、Xは単結合
または結合鎖を示し、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示
す。]
【選択図】 なし
Description
これらのデバイスは、通常、対向するガラス基板と封止剤で形成される密閉空間を有するガラス積層構造体から構成されており、かかる密閉空間に、光電気化学電池では、電解液(アセトニトリルなどの揮発性溶媒)や光増感色素(ヨウ素など)が充填され、また、有機ELディスプレイでは、有機色素(ジアミン、アントラセンなど)が充填されている。
また、有機ELディスプレイの場合は、デバイス内に酸素または水分が浸入することによって、発光成分である有機EL素子の劣化が促進されて、デバイス内に非発光箇所(ダークスポット)が発生する問題がある。
または結合鎖を示し、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示
す。]
または結合鎖を示し、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示
す。]
まず、本発明のガラス積層構造体において封止剤として用いるEVOH系樹脂について説明する。
本発明で用いられるEVOH系樹脂は、下記(1)式で示される側鎖1,2−ジオール構造単位を含有するEVOH系樹脂である。
または結合鎖を示し、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示
す。]
上記Xが結合鎖である場合は、例えば、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、フェニレン、ナフチレン等の炭化水素鎖(これらの炭化水素はフッ素、塩素、臭素等のハロゲン等で置換されていても良い)の他、−O−、−(CH2O)m−、−(OCH2)m−、
−(CH2O)nCH2−等のエーテル結合部位を含む構造単位;−CO−、−COCO−、−CO(CH2)mCO−、−CO(C6H4)CO−等のカルボニル基を含む構造単位;−S−、−CS−、−SO−、−SO2−等の硫黄原子を含む構造単位;−NR−、−CONR−、−NRCO−、−CSNR−、−NRCS−、−NRNR−等の窒素原子を含む構造単位;−HPO4−等のリン原子を含む構造などのヘテロ原子を含む構造単位;−Si(OR)2−、−OSi(OR)2−、−OSi(OR)2O−等の珪素原子を含む構造単位;−Ti(OR)2−、−OTi(OR)2−、−OTi(OR)2O−等のチタン原子を含む構造単位;−Al(OR)−、−OAl(OR)−、−OAl(OR)O−等のアルミニウム原子等の金属原子を含む構造単位などが挙げられる。これらの構造単位中、Rは各々独立して任意の置換基であり、水素原子、アルキル基であることが好ましい。またmは自然数であり、通常1〜30、好ましくは1〜15、特に好ましくは1〜10である。これらのうち、製造時あるいは使用時の安定性の点から、炭素数1〜10の炭化水素鎖が好ましく、さらには炭素数1〜6の炭化水素鎖、特に炭素数1の炭化水素鎖が好ましい。
R1〜R6のすべて水素原子であり、Xが単結合である構造単位である。すなわち、下記
式(1a)で示される構造単位が最も好ましい。
なお、側鎖1、2−ジオール構造単位の含有量は、1H−NMRの測定結果より算出することができる。
点から、代表的には酢酸ビニルである。このほか、例えば具体的には、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等の脂肪族ビニルエステル、安息香酸ビニル等の芳香族ビニルエステル等が挙げられ、通常、炭素数3〜20、好ましくは炭素数4〜10、特に好ましくは炭素数4〜7の脂肪族ビニルエステルである。これらは通常単独で用いるが、必要に応じて複数種を同時に用いてもよい。
して5モル%以下にて)で共重合可能なモノマーを含有していても良い。例えば具体的に
は、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸
、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸等の不飽和
酸類あるいはその塩あるいは炭素数1〜18のモノまたはジアルキルエステル類、アクリ
ルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルア
ミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、アクリルアミドプロピル
ジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のアクリルアミド類、メタアクリ
ルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリ
ルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、メタクリルアミド
プロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のメタクリルアミド類、
N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニ
ルアミド類、アクリルニトリル、メタクリルニトリル等のシアン化ビニル類、炭素数1〜
18のアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキ
ルビニルエーテル等のビニルエーテル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、
フッ化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル化合物類、トリメトキシビニルシラ
ン等のビニルシラン類、酢酸アリル、塩化アリル等のハロゲン化アリル化合物類、アリル
アルコール、ジメトキシアリルアルコール等のアリルアルコール類、トリメチル−(3−
アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2
−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。これらのモノマーは、単独でまたは2種以
上を同時に用いてもよい。
が混合されていてもよい。EVOH系樹脂混合物の場合、側鎖1,2−ジオール構造単位の含有量が、EVOH系樹脂混合物全体の平均値として、通常、0.5〜30モル%であり、好ましくは1〜20モル%であり、特に好ましくは1〜10モル%となるような割合で混合されることが好ましい。
これらのEVOH系樹脂以外の配合剤は、通常30重量%未満であり、好ましくは20重量%未満であり、特に好ましくは10重量%未満である。
溶液流延製膜法とは、EVOH系樹脂を含有する溶液を金属ロール等の支持体上に流延し、加熱乾燥することで膜状に成形する方法であり、その際の溶液の濃度、流延量は所望するフィルムまたはシート状接着剤の膜厚に応じて選定すればよい。
溶融押出製膜法とは、EVOH系樹脂を押出機(単軸押出機、二軸押出機など)内で加熱溶融させて押出製膜する方法である。代表的なフィルムまたはシートの製膜方法としては、Tダイに代表されるフラットダイを通した溶融樹脂を金属ロール等の支持体上で冷却固化させてフィルムまたはシートを成形するTダイキャスト製膜法や、あるいはサーキュラーダイを通した溶融樹脂を筒状に押出して空冷、または水冷しながら冷却固化させて円筒状のフィルムまたはシートを成形するチューブラー製膜法などが挙げられる。
また、成形したフィルムまたはシートを一軸延伸や二軸延伸などの公知の方法で延伸処理した延伸フィルムとして用いてもよい。
本発明のガラス積層構造体に用いられる基板について説明する。
基板としては、ガラスが挙げられる。ガラス材料組成については、特に限定されず、例えば、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウ酸塩ガラス、リン酸塩ガラスから選択される。
光電気化学電池として用いる場合には、ガラス基板表面に導電層を積層した導電性ガラスを用いることが好ましい。導電層に用いられる導電性物質としては、鉄、ニッケル、クロム、チタン、アルミニウム、白金、金、銀、コバルト、パラジウム、銅、タンタル、ルテニウム、タングステン、亜鉛、スズ等の金属;該金属のアロイ;インジウム−スズ複合酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)等の導電性金属酸化物;炭素、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリアニリン等の導電性高分子などが挙げられる。導電性物質そのものを基板に積層する、または基板表面に導電性物質の薄膜を蒸着、スパッタリング、接着等することにより導電層が形成される。
得られたフィルムまたはシートから任意形状に切り取ることで封止枠を作製して、封止枠をガラス基板間に配置して張り合わせることで、側鎖1,2−ジオール構造単位を含有するEVOH系樹脂を封止剤として用い、対向するガラス基板と封止剤で形成される密閉空間を有するガラス積層構造体が得られる。
枠内領域の形状としては四角状、三角状、ライン状、円形状、六角状が例示され、複数枠を組み合わせた場合の配置形状としては格子状やハニカム状や網目状などが例示される。
また、構造体の側面方向から材料を注入する場合には、予め封止枠に注入孔を形成した構造体にしておいて、材料注入後に注入孔を封止する方法が用いられる。
(1)2枚のガラス基板間に封止枠を配置した構造体を加熱して張り合わせる方法
(2)2枚のガラス基板間に封止枠を配置した構造体に加熱プレスを行い張り合わせる方法
(3)2枚のガラス基板間に封止枠を配置した構造体にレーザー光を照射して張り合わせる方法
接着圧力は、0.00001〜50MPa、好ましくは0.0001〜30MPa、さらに好ましくは0.0005〜20MPaである。
[時間]
時間は、1秒〜30分、好ましくは10秒〜20分、さらに好ましくは30秒〜15分である。時間が短すぎると、ガラス基板に対する接着性が不足する。一方で、時間が長すぎると、生産性の低下を招く。
尚、例中「部」、「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
<EVOH系樹脂(A1)の製造>
冷却コイルを持つ1m3の重合缶に酢酸ビニルを300kg、メタノール50kg、アセチルパーオキシド600ppm(対酢酸ビニル)、クエン酸30ppm(対酢酸ビニル)、および3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを25kgを仕込み、系を窒素ガスで一旦置換した後、次いでエチレンで置換して、エチレン圧が49kg/cm2となるまで圧入して、攪拌しながら、67℃まで昇温して、重合率が60%になるまで6時間重合した。その後、重合反応を停止してエチレン含有量37モル%のエチレン−酢酸ビニル−ジアセトキシブテン三元共重合体を得た。
スクリュー:フルフライトタイプ 圧縮比=3.5
スクリーンパック:90/120/90メッシュ
ダイ:幅450mm、コートハンガータイプ
設定温度:C1/C2/C3/C4/A/D=180/200/210/210/210/210℃
スクリュ回転数:68rpm
引取速度:2m/min
ロール温度:50℃
エアーギャップ:15cm
得られた単層フィルムから2cm正方に切り取った接着試験用試験片を作製して、2枚のスライドガラス板(松浪硝子工業製「S1112(白緑磨NO.2) 長さ76mm、幅26mm、厚み1.1mm」)の中央部に試験片を挟みこみ、ガラス板中央部に40gの重石を載せた状態にして160℃に調整した乾燥機内に投入し、10分間加熱して、ガラス板とフィルムの構造体を作製した。
得られた構造体において、接着状態を評価した。
25mm幅の両面テープ(「ナイスタック」品番NW−25 ニチバン製)を用いて得られた構造体の下面側を机上に固定した後、構造体上面側の中央部に幅24mmのセロハンテープ(「セロテープ」(登録商標)品番CT405AP−24 ニチバン製)を貼り付けた。貼り付けたセロハンテープをガラスと垂直方向に手で引っ張り上げた際の剥離状態について評価した。
○:ガラス板とセロハンテープ面が剥離して、セロハンテープのみ剥がれる。
(ガラスとの接着力 > セロハンテープの粘着力)
×:ガラス板とフィルム接着面が剥離して、セロハンテープと一緒に上面ガラス板が持ち上がる。
(ガラスとの接着力 < セロハンテープの粘着力)
得られた構造体において、ヘイズメーター(日本電色社製「NDH2000」)を用い、JIS K7105に順じて、ガラス板とフィルム接着箇所のヘイズ値を測定した。ヘイズ値は、試験片の拡散光線透過率を全光線透過率で割ったものを百分率で表したものであり、ヘイズ値が低い値であるほど接着箇所の透明性が良好であること(白濁度合が少ない)を示す。
実施例1において、EVOH系樹脂として、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂(A1)の代わりにエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂(A2)[エチレン含有量38モル%、ケン化度99.7モル%、側鎖1,2−ジオール構造単位(1a)含有量1.5モル%、MFR4.0g/10分(210℃、2160g)、ホウ酸300ppm(ホウ素換算)]を用いた以外は、実施例1と同様にして構造体を作製し、同様に評価した。
[表1]
従って、特定構造を有するエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物を用いることで、封止部の高透明性に関して有用であることがわかる。
Claims (4)
- 対向するガラス基板と封止剤で形成される密閉空間を有するガラス積層構造体であって、かかる封止剤として下記一般式(1)で表される1,2−ジオール構造単位を有し、エチレン含有量が20〜60モル%であるエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物を用いることを特徴とするガラス積層構造体。
または結合鎖を示し、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示
す。] - 対向するガラス基板と封止剤で形成される密閉空間を有するガラス積層構造体に用いられる封止剤であって、下記一般式(1)で表される1,2−ジオール構造単位を有し、エチレン含有量が20〜60モル%であるエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物からなることを特徴とする封止剤。
または結合鎖を示し、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示
す。] - 対向するガラス基板と封止剤で形成される密閉空間を有するガラス積層構造体に用いられる封止剤であって、厚さ0.10〜10mmであるであることを特徴とするフィルムまたはシート状の封止剤。
- 請求項1記載の構造体を用いたデバイス。
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