JP7271759B1 - 積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、製造ライン、運搬ラインにおいて、基材に由来する異物が付着しにくい保護皮膜を形成可能な保護皮膜形成用樹脂組成物、保護皮膜及び積層体を提供する。【解決手段】基材の保護皮膜形成に用いられる保護皮膜形成用樹脂組成物であって、ポリビニルアルコール樹脂、並びに、可塑剤及び水からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、保護皮膜形成用樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、保護皮膜形成用樹脂組成物、保護皮膜及び積層体に関する。
従来より、板ガラス等の基材は、光学表示装置の表面層や基板、窓ガラス等に幅広く利用されており、特に、光学表示装置等の基板用途においては、該基材表面の汚れや粉塵等を除去する必要があり、例えば、予め強いアルカリ水溶液等で洗浄したり、高温で処理して表面の汚染分を焼き飛ばし洗浄したりすることで清浄な状態を実現している。
これに対して、例えば、特許文献1には、ガラス製品の保護膜として、平均重合度600以下、鹸化度40モル%以上のポリビニルアルコールを用いることが記載されている。
また、特許文献2には、ガラスの表面をポリビニルアルコール系フィルムで被覆して保護する方法が記載されている。
特開平10-226537号公報 特開2006-327881号公報
しかしながら、高精彩液晶用のガラス等の基材については、薄膜化が進むことで、表面付着異物の管理基準が大幅に厳しくなっている。特に、基材の製造ライン及び運搬ラインにおいて、基材のカットカレット等の異物の基材表面への付着や、基材表面の擦傷が問題となっている。
本発明は、製造ライン、運搬ラインにおいて、基材に由来する異物が付着しにくい保護皮膜を形成可能であり、同時に、保護皮膜の高い剥離性を発揮することができる保護皮膜形成用樹脂組成物、保護皮膜及び積層体を提供することを目的とする。
本開示(1)は、基材の保護皮膜形成に用いられる保護皮膜形成用樹脂組成物であって、ポリビニルアルコール樹脂、並びに、可塑剤及び水からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、保護皮膜形成用樹脂組成物である。
本開示(2)は、回転式粘度計で測定した場合の粘度が1mPa・s以上3Pa・s以下である、本開示(1)に記載の保護皮膜形成用樹脂組成物である。
本開示(3)は、ガラス基板との温度23℃、湿度60%RHにおける接触角が10°以上75°以下である、本開示(1)又は(2)に記載の保護皮膜形成用樹脂組成物である。
本開示(4)は、可塑剤は、グリセリン、ジグリセリン、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールからなる群から選択される少なくとも1種を含む、本開示(1)~(3)のいずれかに記載の保護皮膜形成用樹脂組成物である。
本開示(5)は、本開示(1)~(4)のいずれかに記載の保護皮膜形成用樹脂組成物からなる、保護皮膜である。
本開示(6)は、保護皮膜の基材と反対側主面の表面粗さSaが0.1μm以上、30μm以下である、本開示(5)に記載の保護皮膜である。
本開示(7)は、保護皮膜の基材と反対側主面の表面粗さSzが10μm以上、300μm以下である、本開示(5)又は(6)に記載の保護皮膜である。
本開示(8)は、保護皮膜の基材と反対側主面の表面粗さSdrが0.1以上、30以下である、本開示(5)~(7)のいずれかに記載の保護皮膜である。
本開示(9)は、保護皮膜の基材側主面の表面粗さSaが0.05μm以上、15μm以下である、本開示(5)~(8)のいずれかに記載の保護皮膜である。
本開示(10)は、保護皮膜の基材側主面の表面粗さSzが8μm以上、240μm以下である、本開示(5)~(9)のいずれかに記載の保護皮膜である。
本開示(11)は、保護皮膜の基材側主面の表面粗さSdrが0.01以上、15以下である、本開示(5)~(10)のいずれかに記載の保護皮膜である。
本開示(12)は、本開示(5)~(11)のいずれかに記載の保護皮膜と基材とを有する、積層体である。
本開示(13)は、保護皮膜は、更に、基材側に可塑剤層を有する、本開示(12)に記載の積層体である。
本開示(14)は、前記可塑剤層はポリビニルアルコール樹脂を含まないか、又は、前記可塑剤層のポリビニルアルコール樹脂含有量は、保護皮膜のポリビニルアルコール樹脂含有量よりも少ない、本開示(13)に記載の積層体である。
本開示(15)は、保護皮膜と基材との剥離強度が、180°剥離強度試験で2.5N/25mm以下である、本開示(12)~(14)のいずれかに記載の積層体である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、ポリビニルアルコール樹脂、並びに、可塑剤及び水からなる群より選択される少なくとも1種を含有する樹脂組成物を保護皮膜の形成に用いることで、製造ライン、運搬ラインにおいて、基材に由来する異物が付着しにくい保護皮膜を形成することが可能となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、基材の保護皮膜形成に用いられるものである。
上記基材としては、ガラス、プラスチック基材(有機高分子基材)、金属基材等が挙げられる。
上記ガラスとしては、特に限定されないが、ソーダ石灰ガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、溶融石英等が挙げられる。本発明は、高精彩液晶用の薄型ガラスに特に好適に用いることができ、例えば厚みが好ましくは0.05~1.0mm、より好ましくは0.08~0.8mm、さらに好ましくは0.1~0.6mm、例えば0.15~0.55mmの基材(特にガラス)に用いることができる。
上記プラスチック基材としては、特に限定されないが、ポリカーボネート板及びポリ(メタ)アクリル樹脂板等が挙げられる。上記ポリ(メタ)アクリル樹脂板としては、ポリメチル(メタ)アクリレート板等が挙げられる。
上記金属基材としては、特に限定されないが、銅、鉄、錫、アルミニウム、銀、ステンレス、真鍮、ニッケル、チタン、及び、それらの合金などの金属からなる基材が挙げられる。具体的には、鋼板、銅板、アルミニウム板、アルミニウムめっき鋼板等が挙げられる。
また、車の塗装鋼板等を用いてもよい。
本発明の保護皮膜形成用樹脂組成物は、ポリビニルアルコール樹脂を含有する。
上記ポリビニルアルコール樹脂を用いることで、保護皮膜を水溶性とすることが可能となる。また、土中生分解性を付与することができる。
上記ポリビニルアルコール樹脂のケン化度は、好ましい下限が50モル%、好ましい上限が99.5モル%である。上記範囲内とすることで、水溶液等の樹脂組成物を作製することができる。
上記ケン化度のより好ましい下限は60モル%、更に好ましい下限は70モル%、特に好ましい下限は80モル%、より好ましい上限は99モル%である。更に好ましい上限は95モル%であり、特に好ましい上限は90モル%である。
なお、上記ケン化度は、JIS K6726に準拠して測定される。ケン化度は、ケン化によるビニルアルコール単位に変換される単位のうち、実際にビニルアルコール単位にケン化されている単位の割合の平均値を示す。
水溶液(樹脂組成物)化の容易さや水溶液(樹脂組成物)の貯蔵安定性の観点からは、上記ポリビニルアルコール樹脂のケン化度は98モル%超の高ケン化品ではなく、98モル%以下の中ケン化以下が好ましく、特に90モル%以下の部分ケン化品が好ましい。
上記ポリビニルアルコール樹脂の重合度は特に限定されないが、好ましい下限は100、好ましい上限は2500である。より好ましい下限は200、より好ましい上限は1800である。更に好ましい下限は250、更に好ましい上限は1300であり、特に好ましい下限は300、特に好ましい上限は1000である。上記範囲内であると、皮膜強度と製膜性の両方を高いレベルで両立することができる。なお、上記重合度は、JIS K6726に準拠して測定される。
上記ポリビニルアルコール樹脂は、ケン化度、重合度等が異なる2種以上の樹脂を混合したものであってもよいし、変性物と未変性物を混合してもよい。
上記ポリビニルアルコール樹脂は、従来公知の方法に従って、ビニルエステルを重合してポリマーを得た後、ポリマーをケン化、すなわち加水分解することにより得られる。ケン化には、一般に、アルカリ又は酸が用いられる。ケン化には、アルカリを用いることが好ましい。上記ポリビニルアルコールとしては、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル及び安息香酸ビニル等が挙げられる。ケン化度を好適な範囲に制御しやすいので、上記ビニルエステルを重合して得られるポリマーは、ポリビニルエステルであることが好ましい。
上記ビニルエステルの重合方法は特に限定されない。この重合方法として、溶液重合法、塊状重合法及び懸濁重合法等が挙げられる。
上記ビニルエステルを重合する際に用いる重合触媒としては、例えば、2-エチルヘキシルペルオキシジカーボネート(Tianjin McEIT社製「TrigonoxEHP」)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、t-ブチルペルオキシネオデカノエート、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルペルオキシジカーボネート、ジ-n-ブチルペルオキシジカーボネート、ジ-セチルペルオキシジカーボネート及びジ-s-ブチルペルオキシジカーボネート等が挙げられる。上記重合触媒は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ポリビニルアルコール樹脂には、変性ポリビニルアルコール樹脂が含まれる。
上記変性ポリビニルアルコール樹脂は、上記ビニルエステルと他のモノマーとの共重合体であってもよく、ポリビニルアルコール樹脂を変性させたものであってもよい。
上記変性ポリビニルアルコール樹脂としては、例えば、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、オレフィン変性ポリビニルアルコール、ニトリル変性ポリビニルアルコール、アミド変性ポリビニルアルコール、ピロリドン変性ポリビニルアルコールやケイ素原子を含む変性ポリビニルアルコール、或いはポリビニルアルコールと(アクリルアミド、ビニルピロリドン、アクリロニトリル)の共重合物とのグラフト重合体等が挙げられる。
上記他のモノマー、すなわち共重合されるコモノマーとしては、例えば、オレフィン類、(メタ)アクリル酸及びその塩、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド誘導体、N-ビニルアミド類、ビニルエーテル類、ニトリル類、ハロゲン化ビニル類、アリル化合物、マレイン酸及びその塩、マレイン酸エステル、イタコン酸及びその塩、イタコン酸エステル、ビニルシリル化合物、ポリビニルピロリドン、並びに酢酸イソプロペニル等が挙げられる。上記他のモノマーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記オレフィン類としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン及びイソブテン等が挙げられる。上記(メタ)アクリル酸エステル類としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸i-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、及び(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル等が挙げられる。上記(メタ)アクリルアミド誘導体としては、アクリルアミド、n-メチルアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、及び(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸及びその塩等が挙げられる。上記N-ビニルアミド類としては、N-ビニルピロリドン等が挙げられる。上記ビニルエーテル類としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、i-プロピルビニルエーテル及びn-ブチルビニルエーテル等が挙げられる。上記ニトリル類としては、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。上記ハロゲン化ビニル類としては、塩化ビニル及び塩化ビニリデン等が挙げられる。上記アリル化合物としては、酢酸アリル及び塩化アリル等が挙げられる。上記ビニルシリル化合物としては、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
上記変性ポリビニルアルコール樹脂における変性量(変性した構成単位の割合)の好ましい上限は25モル%、より好ましい上限は20モル%、更に好ましい上限は15モル%、更により好ましい上限は10モル%、特に好ましい上限は5モル%であり、好ましい下限は1モル%、より好ましい下限は2モル%である。上記範囲内とすることで、皮膜物性と、水溶性とを高いレベルで両立することができる。
本発明の保護皮膜形成用樹脂組成物におけるポリビニルアルコール樹脂の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上、更に好ましくは3重量%以上、更により好ましくは5重量%以上、特に好ましくは8重量%以上であり、特により好ましくは10重量%以上であり、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下、更に好ましくは30重量%以下、更により好ましくは25重量%以下、特に好ましくは22.5重量%以下であり、特により好ましくは20.0重量%以下である。上記含有量を上記下限以上とすることで、被覆率が高い保護皮膜を形成することが容易とすることができ、上記上限以下とすることによって、均一な皮膜形成を行うことが容易とすることが出来る。
本発明の保護皮膜形成用樹脂組成物は、可塑剤及び水からなる群より選択される少なくとも1種を含有する。本発明では、特に、水を含有すること、可塑剤及び水の両方を含有することが好ましい。
本発明の保護皮膜形成用樹脂組成物は、可塑剤を含有することで、保護皮膜の耐久性を向上させることができる。また、上記可塑剤を含有することで、保護皮膜の水に対する溶解性、及び基材からの剥離性を向上させることもできる。
上記可塑剤としては、ポリビニルアルコールの可塑剤として一般に用いられているものであれば特に制限はなく、例えば、多価アルコール、ポリエーテル、フェノール誘導体、アミド化合物等が挙げられる。また、多価アルコールにエチレンオキサイドを付加した化合物を挙げることができる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を用いてもよい。
上記多価アルコールとしては、グリセリン、ジグリセリン、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。
上記ポリエーテルとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
上記フェノール誘導体としては、ビスフェノールA、ビスフェノールS等が挙げられる。上記アミド化合物としては、N-メチルピロリドン等が挙げられる。
なかでも、上記可塑剤は、グリセリン、ジグリセリン、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、グリセリン及びジグリセリンからなる群から選択される少なくとも1種を含むことがより好ましく、ジグリセリンを含むことが特に好ましい。
本発明の保護皮膜形成用樹脂組成物は、上記可塑剤の含有量が好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、更に好ましくは1.0重量%以上、更により好ましくは1.5重量%以上、特に好ましくは3.0重量%以上であり、特により好ましくは5.0重量%であり、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下、更に好ましくは35重量%以下、更により好ましくは30重量%以下、特に好ましくは25重量%以下であり、特により好ましくは20重量%以下である。上記可塑剤含有量が上記範囲内であると、基材表面の親水性を制御し、均一な皮膜形成を容易とすることができる。
本発明の保護皮膜形成用樹脂組成物は、ポリビニルアルコール樹脂100重量部に対して、上記可塑剤を好ましくは0.2重量部以上、より好ましくは1.0重量部以上、更に好ましくは2.0重量部以上、更により好ましくは3.0重量部以上、特に好ましくは6.0重量部以上、特により好ましくは10.0重量部以上であり、好ましくは50000重量部以下、より好ましくは4000重量部以下、更に好ましくは1167重量部以下であり、更により好ましくは600重量部以下であり、特に好ましくは344重量部以下であり、特により好ましくは200重量部以下含有することが好ましい。上記可塑剤の含有量が上記範囲内であると、保護皮膜に靭性を付与することができる。
上記水としては特に限定されず、例えば、イオン交換水、純水等が挙げられる。これらは、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
本発明の保護皮膜形成用樹脂組成物は、上記水の含有量が10~99.9重量%であることが好ましい。上記水含有量が上記範囲内であると、基材表面に塗布する際に、糸引きを抑制することができ、均一な塗布を容易とすることができる。
上記水含有量のより好ましい下限は20重量%、より好ましい上限は99.0重量%である。更に好ましい下限は35.0重量%、更に好ましい上限は97.0重量%であり、更により好ましい下限45.0重量%、更により好ましい上限は95.0重量%であり、特に好ましい下限は52.5重量%であり、特に好ましい上限は92.0重量%であり、特により好ましい下限は60.0重量%であり、特により好ましい上限は90.0重量%である。
なお、上記保護皮膜形成用水溶液は、含有成分の含有量の合計は100重量%である。
本発明の保護皮膜形成用樹脂組成物は、ポリビニルアルコール樹脂100重量部に対して、上記水を好ましくは20重量部以上、より好ましくは50重量部以上、更に好ましくは116重量部以上、更により好ましくは180重量部以上、特に好ましくは233重量部以上、特により好ましくは300重量部以上であり、好ましくは99900重量部以下、より好ましくは9900重量部以下、更に好ましくは3233重量部以下であり、更により好ましくは1900重量部以下であり、特に好ましくは1150重量部以下であり、特により好ましくは900重量部以下含有することが好ましい。上記水の含有量が上記範囲内であると、基材表面に塗布する際に、糸引きを抑制することができ、均一な塗布を容易とすることができる。
本発明の保護皮膜形成用樹脂組成物には、本発明の効果を妨げない範囲で、公知の各種添加剤を配合してもよい。上記添加剤としては、界面活性剤、酸化防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、チタンカップリング剤、レベリング剤、チキソ付与剤、皮張り防止剤、増粘剤、希釈剤、反応性希釈剤、架橋剤、フィラー、色素(顔料、染料)、防腐、防カビ剤等が挙げられる。
本発明の保護皮膜形成用樹脂組成物は、更に、防カビ剤を含有することが好ましい。
なお、上記防カビ剤としては、アルコール系防カビ剤、アルデヒド系防カビ剤、チアゾリン系防カビ剤、イミダゾール系防カビ剤、エステル系防カビ剤、塩素系防カビ剤、過酸化物系防カビ剤、カルボン酸系防カビ剤、カーバメイト系防カビ剤、スルファミド系防カビ剤、第四アンモニウム塩系防カビ剤、ピリジン系防カビ剤、フェノール系防カビ剤、ヨウ素系防カビ剤、トリアゾール系防カビ剤等が挙げられる。
本発明の保護皮膜形成用樹脂組成物は、JIS K7117-1に準拠して、回転式粘度計で測定した場合の粘度が1mPa・s以上3Pa・s以下であることが好ましい。上記範囲内であると、均一な皮膜の形成を容易とすることができる。
上記粘度のより好ましい下限は10mPa・s、更に好ましい下限は50mPa・s、更により好ましい下限は100mPa・sであり、より好ましい上限は1.8Pa・s、更に好ましい上限は1.0Pa・s、更により好ましい上限は0.5Pa・sである。
なお、上記粘度は23℃で測定したものである。また、上記回転式粘度計としては、例えば、TVC-10(東機産業社製)を使用することができる。
本発明の保護皮膜形成用樹脂組成物は、ガラス基板との温度23℃、湿度60%RHにおける接触角が10°以上75°以下であることが好ましい。上記範囲内であると、例えば、基材としてガラス基板を用いる場合に、基材上に均質な皮膜を形成しやすい。
上記接触角のより好ましい下限は20°、更に好ましい下限は25°であり、更により好ましい下限は30°であり、より好ましい上限は70°、更に好ましい上限は65°であり、更により好ましい上限は60°である。
なお、上記接触角は、接触角計(例えば、協和界面科学社製、DMo-502、解析ソフト:FAMAS)により測定することができる。接触角測定基板としては、ガラス基板(テンパックス)0.5mmを用いることができ、更に具体的には、ガラス基板(SCHOTT社製、TEMPAX Float)を使用することできる。また、測定方法としてはθ/2法(A half-angle Method)があげられる。
本発明の保護皮膜形成用樹脂組成物を製造する方法としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール樹脂、可塑剤及び水を公知の方法で混合する方法が挙げられる。
本発明の保護皮膜は、本発明の保護皮膜形成用樹脂組成物からなる。すなわち、本発明の保護皮膜は、ポリビニルアルコール樹脂及び必要に応じて可塑剤からなり、水を含んでもよい。
このような保護皮膜を基材の皮膜として使用することで、基材の製造ライン、運搬ラインにおいて、基材由来の異物が付着することを防止することができる。本発明の保護皮膜は、例えば、上記保護皮膜形成用樹脂組成物を基材に塗布し加熱乾燥することにより水の一部又は全てを除去することにより得ることができる。
なお、本発明の保護皮膜は、単層であってもよく、複数の層を有するものであってもよい。
本発明において形成される保護皮膜は、基材と反対側主面の表面粗さSa(ISO 25178記載の算術平均高さ)が0.1μm以上であることが好ましい。上限は特に限定されないが、30μmが実質的な上限である。
上記範囲であると、保護皮膜同士の自着力や、他の基材との接着性を低減することができる。上記表面粗さSaは、より好ましくは0.2μm以上、更に好ましくは0.4μm以上、更により好ましくは0.8μm以上、特に好ましくは1.5μm以上、特により好ましくは2.0μm以上である。
また、本発明において形成される保護皮膜は、基材と反対側主面の表面粗さSz(ISO 25178記載の最大高さ)が10μm以上であることが好ましい。上限は特に限定されないが、300μmが実質的な上限である。
上記範囲であると、保護皮膜同士の自着力や、他の基材との接着性を低減することができる。
上記表面粗さSzは、より好ましくは20μm以上、更に好ましくは30μm以上、更により好ましくは40μm以上、特に好ましくは50μm以上、特により好ましくは60μm以上である。
また、本発明において形成される保護皮膜は、基材と反対側主面の表面粗さSdr(ISO 25178記載の最大高さ)が0.1以上であることが好ましい。上限は特に限定されないが、30が実質的な上限である。上記範囲であると、基材へ加えられる表面擦傷や、基材にかかる圧力による損傷から基材を保護したり、基材の断熱性を高めたりすることができる。
上記表面粗さSdrは、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.3以上、更により好ましくは0.5以上、特に好ましくは0.7以上、特により好ましくは0.9以上である。
なお、上記表面粗さSa、Sz及びSdrは、作製した保護皮膜の基材と反対側主面を、レーザー顕微鏡(例:形態解析レーザー顕微鏡、VK-X1050、キーエンス社製)で、1mm×1mmの範囲を計測し、ISO 25178に準拠して算出される。これをランダムに10か所測定し、平均値をそれぞれの値とした。
本発明において形成される保護皮膜は、基材側主面の表面粗さSa(ISO 25178記載の算術平均高さ)が0.01μm以上であることが好ましい。上限は特に限定されないが、15μmが実質的な上限である。
上記範囲であると、保護皮膜の基材への接着性を低減し剥離性を向上することができる。上記表面粗さSaは、より好ましくは0.1μm以上、更に好ましくは0.2μm以上、更により好ましくは0.3μm以上、特に好ましくは0.4μm以上、特により好ましくは0.5μm以上である。
また、本発明において形成される保護皮膜は、基材側主面の表面粗さSz(ISO 25178記載の最大高さ)が8μm以上であることが好ましい。上限は特に限定されないが、240μmが実質的な上限である。
上記範囲であると、保護皮膜の基材への接着性を低減し剥離性を向上することができる。上記表面粗さSzは、より好ましくは16μm以上、更に好ましくは24μm以上、更により好ましくは32μm以上、特に好ましくは40μm以上、特により好ましくは48μm以上である。
また、本発明において形成される保護皮膜は、基材側主面の表面粗さSdr(ISO 25178記載の最大高さ)が0.05以上であることが好ましい。上限は特に限定されないが、15が実質的な上限である。上記範囲であると、基材へ加えられる表面擦傷や、基材にかかる圧力による損傷から基材を保護したり、基材の断熱性を高めたりすることができる。
上記表面粗さSdrは、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.2以上、更により好ましくは0.3以上、特に好ましくは0.4以上、特により好ましくは0.5以上である。
なお、上記表面粗さSa、Sz及びSdrは、作製した保護皮膜の基材側主面を、レーザー顕微鏡(例:形態解析レーザー顕微鏡、VK-X1050、キーエンス社製)で、1mm×1mmの範囲を計測し、ISO 25178に準拠して算出される。これをランダムに10か所測定し、平均値をそれぞれの値とした。
上記保護皮膜は、平均気泡径(発泡径)の好ましい下限が0.05μm、好ましい上限が280μmである。上記平均気泡径がこの範囲内にあることにより、基材表面の擦傷等からの保護性を高めることができる。上記平均気泡径のより好ましい下限は0.5μm、より好ましい上限は225μmである。
更に好ましい下限は1.0μm、更に好ましい上限は180μmであり、更により好ましい下限は1.5μm、更により好ましい上限は135μmであり、特に好ましい下限は2.0μm、特に好ましい上限は108μmであり、特により好ましい下限は2.5μm、特に好ましい上限は90μmである。
なお、上記平均気泡径は、気泡の断面観察写真より気泡壁部と空隙部とをレーザー顕微鏡(例:形態解析レーザー顕微鏡、VK-X1050、キーエンス社製)で観察して、空隙部のサイズを測定する方法により測定することができる。
上記保護皮膜の厚みの好ましい下限は1.0μm、好ましい上限は300μmである。発泡体の厚み上記範囲内であれば、保護皮膜を剥離する事も水溶させる事もできる。上記複層皮膜の厚みはより好ましい下限が2.0μm、より好ましい上限が250μmである。
更に好ましい下限は4.0μm、更に好ましい上限は200μmであり、更により好ましい下限は6.0μm、更により好ましい上限は150μmであり、特に好ましい下限は8.0μm、特に好ましい上限は120μmであり、特により好ましい下限は10.0μm、特により好ましい上限は100μmである。
なお、上記保護皮膜の厚みは、定圧厚さ測定機(例:テクロック社製、PG-02J)を用いて、JIS K6783準拠した方法で測定することができる。
上記保護皮膜におけるポリビニルアルコール樹脂の含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは4重量%以上、更に好ましくは8重量%以上であり、好ましくは100重量%以下、より好ましくは90重量%以下、更に好ましくは85重量%以下である。
また、上記保護皮膜における可塑剤の含有量は、好ましくは0重量%以上、より好ましくは1重量%以上、更に好ましくは3重量%以上であり、更により好ましくは5重量%以上であり、特に好ましくは8重量%以上であり、好ましくは50重量%以下、より好ましくは45重量%以下、更に好ましくは40重量%以下であり、更により好ましくは35重量%以下であり、特に好ましくは30重量%以下である。
上記保護皮膜におけるポリビニルアルコール樹脂の含有量が上記下限以上であると、保護皮膜の形成時の乾燥が容易となり、積層体の取り扱い性を向上させることができる。上記保護皮膜におけるポリビニルアルコール樹脂の含有量が上記上限以下であると、均一な製膜を容易とすることができる。上記保護皮膜におけるポリビニルアルコール樹脂及び可塑剤の含有量が上記範囲内であると、接着性、保護性、及び剥離性を更に向上させることができる。
本発明の積層体は、本発明の保護皮膜と基材とを有する。
また、本発明の積層体において、上記保護皮膜は、更に、基材側に可塑剤層を有することが好ましい。この場合、保護皮膜と基材との間に上記可塑剤層を有する構成となる。
このような可塑剤層を有することで、保護皮膜を容易に剥離することが可能となる。可塑剤層は単層であってもよく、複層であってもよい。本明細書において、保護皮膜単独、又は保護皮膜及び可塑剤層を合わせてガラス皮膜ともいう。このようなガラス皮膜を総称して保護皮膜としても良い。
本発明の好適な実施態様において、保護性及び剥離性の制御の観点から、上記可塑剤層は、ポリビニルアルコール樹脂を含まないか、又は、上記可塑剤層におけるポリビニルアルコール樹脂含有量は、保護皮膜のポリビニルアルコール樹脂含有量よりも少ないことが好ましい。
この可塑剤層は保護皮膜と界面で接合しており、保護皮膜を剥離する際には、一体化して剥離される。
上記可塑剤層がポリビニルアルコール樹脂を含む場合、上記可塑剤層におけるポリビニルアルコール樹脂の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.2重量%以上、更に好ましくは0.3重量%以上であり、更により好ましくは0.5重量%以上であり、特に好ましくは0.7重量%以上であり、特により好ましくは1.0重量%以上であり、好ましくは87重量%以下、より好ましくは83重量%以下、更に好ましくは80重量%以下、更により好ましくは77重量%以下、特に好ましくは74重量%以下、特により好ましくは71.5重量%以下である。
また、上記可塑剤層における可塑剤の含有量は、好ましくは13.0重量%以上、より好ましくは16.5重量%以上、更に好ましくは20.0重量%以上であり、更により好ましくは23.0重量%以上であり、特に好ましくは25.0重量%以上、特により好ましくは28.5重量%以上であり、好ましくは100.0重量%以下、より好ましくは99.9重量%以下、更に好ましくは99.7重量%以下であり、更により好ましくは99.5重量%以下、特に好ましくは99.3重量%以下であり、特により好ましくは99.0重量%である。
上記可塑剤層におけるポリビニルアルコール樹脂及び可塑剤の含有量が上記範囲内であると、保護性を高く維持しながらも剥離性を更に向上させることができる。
なお、可塑剤層は保護皮膜と分離できないため、可塑剤層におけるポリビニルアルコール樹脂及び可塑剤の含有量は、計算上の値となる。
本発明において、可塑剤層の厚みの好ましい下限は0.001μm、より好ましい下限は0.005μm、更に好ましい下限は0.01μm、更により好ましい下限0.05μm、特に好ましい下限は0.1μm、特により好ましい下限は0.5μmであり、好ましい上限は50μm、より好ましい上限は40μm、更に好ましい上限は30μm、更により好ましい上限は20μm、特に好ましい上限は15μm、特により好ましい上限は10μmである。可塑剤層の厚みが上記範囲内であれば、保護皮膜を基材から容易に剥離することができる。
本発明の積層体は、基材、保護皮膜及び可塑剤層のほかに、別の層を有してもよい。別の層は、上記保護皮膜や可塑剤層と同じ組成を有する層であってもよい。
本発明の積層体は、保護皮膜と基材との剥離強度が、180°剥離強度試験で2.5N/25mm以下であることが好ましい。上記剥離強度が2.5N/25mm以下であることで基材から保護皮膜を容易に剥離することができる。上記剥離強度の好ましい上限は2.0N/25mm、より好ましい上限は1.5N/25mm、更に好ましい上限は1.2N/25mm、更により好ましい上限は1.0N/25mm、特に好ましい上限は0.8N/25mmである。好ましい下限は特に限定されないが例えば0.01N/25mmである。
また、本発明において、上記保護皮膜が、基材側に可塑剤層を有する場合についても、180°剥離強度試験が上述の範囲内であることが好ましい。上記180°剥離強度は、ISO29862:2007又はJIS Z 0237:2009に準じた方法で測定できる。
本発明の積層体の保護皮膜と基材との剥離強度は、上記180°剥離強度試験のほか、90°剥離強度試験でも測定することができる。上記90°剥離強度は、ISO29862:2007又はJISZ 0237:2009に準じた方法で測定できる。
本発明の保護皮膜及び積層体の製造方法は特に限定されないが、基材を成形する工程、及び、成形後の基材に本発明の保護皮膜形成用樹脂組成物を塗布して保護皮膜を形成する工程を有する製造方法が好ましい。
上記製造方法を用いることで、製造ライン、運搬ラインにおいて、基材に由来する異物が付着しにくい保護皮膜を形成することができる。
上記基材を成形する工程としては、公知の方法を用いることができる。
上記基材がガラスである場合、ガラスを成形する方法としては、スロットダウンドロー法、フュージョン法、フロート法等が挙げられる。なかでも、フュージョン法を用いることが好ましい。
上記フュージョン法とは、溶融したガラス原料を細長い樋状の湧き出し口へ導入し、その長手方向に沿う両側に溢れ出させて下へ流し落とし、流れ落ちた溶融ガラスを樋の下で再び合流させそのまま下へ落としながら除冷して固化させることでガラスとするものである。
なお、本発明では、市販のガラス、プラスチック基材、金属基材等の基材を用いた場合についても、上記基材を成形する工程を行ったものとする。
本発明の保護皮膜形成用樹脂組成物を塗布する方法としては、ロールコート、ディップコート、スピンコート、ファウンテンコート、スプレーによる塗布等が挙げられる。なかでも、スプレーによる塗布が好ましい。
なお、基材の状態としては特に限定されず、例えば、ガラスが成形され、固化する前の状態のほか、ガラスが固化した後の状態も含む。
また、上記基材は、必要に応じて、研磨されていてもよく、表面処理されていてもよい。
本発明の保護皮膜形成用樹脂組成物を塗布する際の基材の温度は、0℃以上400℃以下であることが好ましい。上記範囲内であると、高温の基板に塗布すると保護皮膜が作製できて、低温なら塗布後に加熱乾燥で保護皮膜を作製することができる。本発明の保護皮膜形成用樹脂組成物は、上記温度を有する基材に塗布して加熱乾燥して保護皮膜を形成するために用いられることが好ましい。
所望の表面粗さを有する保護皮膜を作製するために、上記温度のより好ましい下限は15℃、更に好ましい下限は40℃、更により好ましい下限は75℃、特に好ましい下限は100℃であり、特により好ましい下限は150℃であり、より好ましい上限は380℃、更に好ましい上限は360℃、更により好ましい上限は340℃、特に好ましい上限は320℃、特により好ましい上限は300℃である。
基材温度が400℃以下であると、破泡を防止して、カットカレットの表面付着を抑制することができる。基材温度が0℃以上であると、後加熱なしでも、保護皮膜を容易に形成できる。
上記基材の温度を調整する方法としては、例えば、フュージョン法を用いてガラスを成形する場合は、溶融ガラスを除冷する工程において、塗布する方法が挙げられる。また、固化後のガラスを用いる場合はガラスを加熱する方法が挙げられる。上記温度は塗布時での基材表面の温度を意味する。
本発明の保護皮膜形成用樹脂組成物を塗布する工程は、複数回に分けて行ってもよい。
また、上記塗布工程を複数回行う場合、種類の異なる保護皮膜形成用樹脂組成物を用いることで、複数層の保護皮膜を形成することが可能となる。例えば、ガラスと接する層(内層)の形成に本発明以外の保護皮膜形成用樹脂組成物を用い、他方の層(外層)に本発明の保護皮膜形成用樹脂組成物を用いることとしてもよい。特に、本発明以外の保護皮膜形成用樹脂組成物として、可塑剤を含有しないものを用いた場合、可塑剤のブロッキング防止性を更に向上することができる。なお、上記塗布工程は、基材の片面のみに行ってもよく、両面に行ってもよい。
ガラスと接する層(内層)に関しては、本発明以外の保護皮膜形成用樹脂組成物を用いて、他方の層(外層)に本発明の保護皮膜形成用樹脂組成物を用いると、特に剥離が容易で、保護皮膜をガラス表面から除去する洗浄工程において、容易に保護皮膜を除去することができる。
本発明の保護皮膜形成用樹脂組成物を塗布する工程を行った後、乾燥する工程(二次乾燥)を行ってもよい。これにより、基材温度に関係なく保護皮膜を形成することができる。上記二次乾燥における乾燥温度は50℃以上、450℃以下であることが好ましい。
本発明によれば、製造ライン、運搬ラインにおいて、基材に由来する異物が付着しにくく、容易に除去が可能な保護皮膜を形成できる保護皮膜形成用樹脂組成物、保護皮膜及び積層体を提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(保護皮膜形成用水溶液[保護皮膜形成用樹脂組成物]の作製)
未変性のポリビニルアルコール(積水化学工業社製 SELVOL 203 重合度300、ケン化度88モル%)100重量部、可塑剤としてジグリセリン30重量部を水370重量部に溶解、混合して樹脂含有量20重量%、可塑剤含有量6重量%の保護皮膜形成用水溶液を作製した。
(保護皮膜[ガラス皮膜]の作製)
ガラス基板(コーニング社製、EagleXG 150mm×150mm×0.5mm)をホットプレート上でガラス基板の中央部が300℃になるように加熱した。
加熱したガラス基板をスプレー台に移動させ、ガラス中央部が250℃になった時点で、得られた保護皮膜形成用水溶液をガラス基板上に1回スプレー塗布し、バッチ式熱風循環乾燥炉(150℃設定)にて60秒乾燥し、ガラス基板の表面にガラス皮膜が形成された積層体を得た。
なお、保護皮膜形成用水溶液を塗布する際のスプレーガンとしてはAGB50(旭サナック社製 口径1.0mmφ、キャップHN400A)塗料供給機器としては圧送ポンプPT-10DW(アネスト岩田社製)及び塗装ロボットとしてはEPX-1250 DX100(安川電機社製)を用いた。なお、以降の実施例、比較例において、特に記載が無い場合は、上記と同様のスプレーガン、塗装供給機器、塗装ロボットを用いてスプレー塗布を行った。
(実施例2)
未変性のポリビニルアルコール(積水化学工業社製 SELVOL 203 重合度300、ケン化度88モル%)100重量部に代えて、未変性のポリビニルアルコール(積水化学工業社製 SELVOL205 重合度500、ケン化度88モル%)100重量部を用い、可塑剤としてジグリセリン30重量部を水537重量部に溶解、混合して樹脂含有量15重量%、可塑剤含有量4.5重量%の保護皮膜形成用水溶液を作製し実施例1と同様にして、保護皮膜形成用水溶液、ガラス皮膜が形成された積層体を作製した。
(実施例3)
未変性のポリビニルアルコール(積水化学工業社製 SELVOL 203 重合度300、ケン化度88モル%)100重量部に代えて、未変性のポリビニルアルコール(積水化学工業社製 SELVOL 103 重合度300、ケン化度98.4モル%)100重量部を用い、可塑剤としてジグリセリン10重量部を水890重量部に溶解、混合して樹脂含有量10重量%、可塑剤含有量1重量%の保護皮膜形成用水溶液を作製し実施例1と同様にして、保護皮膜形成用水溶液、ガラス皮膜が形成された積層体を作製した。
(実施例4)
(保護皮膜[ガラス皮膜]の作製)
ガラス基板(コーニング社製、EagleXG 150mm×150mm×0.5mm)をホットプレート上でガラス基板の中央部が300℃になるように加熱した。
加熱したガラス基板をスプレー台に移動させ、ガラス中央部が250℃になった時点で、実施例1で得られた保護皮膜形成用水溶液をガラス基板上に1回スプレー塗布し、更に、その上から実施例3で得られた保護皮膜形成用水溶液を1回スプレー塗布してから、バッチ式熱風循環乾燥炉(150℃設定)にて60秒乾燥し、ガラス基板の表面に2層[内層、外層]のガラス皮膜が形成された積層体を得た。
なお、保護皮膜形成用水溶液を塗布する際のスプレーガンとしてはAGB50(旭サナック社製 口径1.0mmφ、キャップHN400A)、塗料供給機器としては圧送ポンプPT-10DW(アネスト岩田社製)及び塗装ロボットとしてはEPX-1250 DX100(安川電機社製)を用いた。
(実施例5)
(保護皮膜形成用水溶液の作製)
未変性のポリビニルアルコール(積水化学工業社製 SELVOL 203 重合度300、ケン化度88モル%)100重量部を用い、可塑剤を添加しなかった以外は実施例1と同様にして、保護皮膜形成用水溶液を作製した。
(保護皮膜[ガラス皮膜]の作製)
ガラス基板(コーニング社製、EagleXG 150mm×150mm×0.5mm)をホットプレート上でガラス基板の中央部が300℃になるように加熱した。
加熱したガラス基板をスプレー台に移動させ、ガラス中央部が250℃になった時点で、実施例1で得られた保護皮膜形成用水溶液をガラス基板上に1回スプレー塗布し、更に、その上から実施例5で得られた保護皮膜形成用水溶液を1回スプレー塗布してから、バッチ式熱風循環乾燥炉(150℃設定)にて60秒乾燥し、ガラス基板の表面に2層[内層、外層]のガラス皮膜が形成された積層体を得た。
なお、保護皮膜形成用水溶液を塗布する際のスプレーガンとしてはAGB50(旭サナック社製 口径1.0mmφ、キャップHN400A)、塗料供給機器としては圧送ポンプPT-10DW(アネスト岩田社製)及び塗装ロボットとしてはEPX-1250 DX100(安川電機社製)を用いた。
(実施例6)
未変性のポリビニルアルコール(積水化学工業社製 SELVOL 203 重合度300、ケン化度88モル%)100重量部に代えて、未変性のポリビニルアルコール(積水化学工業社製 SELVOL 513 重合度1300、ケン化度88モル%)100重量部を用い、可塑剤の添加量、樹脂含有量、可塑剤含有量を表1に示す通りとした以外は実施例1と同様にして、保護皮膜形成用水溶液、ガラス皮膜が形成された積層体を作製した。
(実施例7)
可塑剤を使用しなかった事以外は実施例6と同様にして保護皮膜形成用水溶液、ガラス皮膜が形成された積層体を作製した。
(実施例8)
未変性のポリビニルアルコール(積水化学工業社製 SELVOL 203 重合度300、ケン化度88モル%)100重量部に代えて、未変性のポリビニルアルコール(積水化学工業社製 SELVOL 518 重合度1800、ケン化度88モル%)100重量部を用い、可塑剤の添加量、樹脂含有量、可塑剤含有量を表1に示す通りとした以外は実施例1と同様にして、保護皮膜形成用水溶液、ガラス皮膜が形成された積層体を作製した。
(実施例9)
可塑剤を使用しなかった事以外は実施例8と同様にして保護皮膜形成用水溶液、ガラス皮膜が形成された積層体を作製した。
(実施例10)
未変性のポリビニルアルコール(積水化学工業社製 SELVOL 203 重合度300、ケン化度88モル%)100重量部に代えて、未変性のポリビニルアルコール(積水化学工業社製 SELVOL 418 重合度1800、ケン化度92.0モル%)100重量部を用い、可塑剤の添加量、樹脂含有量、可塑剤含有量を表1に示す通りとした以外は実施例1と同様にして、保護皮膜形成用水溶液、ガラス皮膜が形成された積層体を作製した。
(実施例11)
可塑剤を使用しなかった事以外は実施例10と同様にして保護皮膜形成用水溶液、ガラス皮膜が形成された積層体を作製した。
(実施例12)
(保護皮膜形成用水溶液[内層用、外層用]の作製)
未変性のポリビニルアルコールを添加せず、可塑剤としてジグリセリン100重量部を水1900重量部に溶解、混合して、可塑剤含有量5重量%の保護皮膜形成用水溶液[内層用]を作製した。
また、未変性のポリビニルアルコール(積水化学工業社製 SELVOL 203 重合度300、ケン化度88モル%)100重量部、可塑剤としてジグリセリン15重量部を水385重量部に溶解、混合して樹脂含有量20重量%、可塑剤含有量3重量%の保護皮膜形成用水溶液[外層用]を作製した。
(保護皮膜[ガラス皮膜]の作製)
ガラス基板(コーニング社製、EagleXG 150mm×150mm×0.5mm)をホットプレート上でガラス基板の中央部が400℃になるように加熱した。
加熱したガラス基板をスプレー台に移動させ、ガラス中央部が350℃になった時点で、実施例12で得られた保護皮膜形成用水溶液[内層用]をガラス基板上に1回スプレー塗布し、更に、その上から実施例12で得られた保護皮膜形成用水溶液[外層用]を1回スプレー塗布してから、バッチ式熱風循環乾燥炉(150℃設定)にて60秒乾燥し、ガラス基板の表面に2層[内層、外層]のガラス皮膜が形成された積層体を得た。
(実施例13~15)
外層用の保護皮膜形成用水溶液の可塑剤量を表1記載の通りに変更したこと以外は実施例12と同様にしてガラス基板(コーニング社製、EagleXG 150mm×150mm×0.5mm)の表面に2層[内層、外層]のガラス皮膜が形成された積層体を得た。
(実施例16)
未変性のポリビニルアルコール(積水化学工業社製 SELVOL 203 重合度300、ケン化度88モル%)100重量部に代えて、未変性のポリビニルアルコール(積水化学工業社製 SELVOL 205 重合度500、ケン化度88モル%)100重量部を用い、可塑剤の添加量、樹脂含有量、可塑剤含有量を表1に示す通りとした以外は実施例12と同様にして、保護皮膜形成用水溶液[外層用]を作製した。
得られた保護皮膜形成用水溶液[外層用]を用いた以外は実施例12と同様にして、ガラス基板(コーニング社製 EagleXG 150mm×150mm×0.5mm)の表面に2層[内層、外層]のガラス皮膜が形成された積層体を得た。
(実施例17~19)
外層用の保護皮膜形成用水溶液の可塑剤量を表1記載の通りに変更したこと以外は実施例12と同様にしてガラス基板(コーニング社製、EagleXG 150mm×150mm×0.5mm)の表面に2層[内層、外層]のガラス皮膜が形成された積層体を得た。
(実施例20)
可塑剤としてジグリセリン15重量部に代えて、グリセリン15重量部を用い、可塑剤の添加量、樹脂含有量、可塑剤含有量を表1に示す通りとした以外は実施例12と同様にして、保護皮膜形成用水溶液[外層用]を作製した。
得られた保護皮膜形成用水溶液[外層用]を用いた以外は実施例12と同様にして、ガラス皮膜が形成された積層体を作製した。
(実施例21)
未変性のポリビニルアルコールを添加せず、可塑剤としてグリセリン60重量部を水1940重量部に溶解、混合して、可塑剤含有量3重量%の保護皮膜形成用水溶液[内層用]を作製した。
未変性のポリビニルアルコール(積水化学工業社製 SELVOL 203 重合度300、ケン化度88モル%)100重量部に代えて、未変性のポリビニルアルコール(積水化学工業社製 SELVOL 205 重合度500、ケン化度88モル%)100重量部を用い、可塑剤としてジグリセリン15重量部に代えて、グリセリン15重量部を用い、可塑剤の添加量、樹脂含有量、可塑剤含有量を表1に示す通りとした以外は実施例12と同様にして、保護皮膜形成用水溶液[外層用]を作製した。
得られた保護皮膜形成用水溶液[内層用]及び保護皮膜形成用水溶液[外層用]を用いた以外は実施例12と同様にして、ガラス皮膜が形成された積層体を作製した。
(実施例22)
(保護皮膜形成用水溶液の作製)
表1に示す配合にて、実施例1と同様にして、保護皮膜形成用水溶液を作製した。
得られた保護皮膜形成用水溶液を用いて、ガラス中央部が350℃になった時点で、ガラス基板上に1回スプレー塗布した以外は、実施例1同様にして、ガラス皮膜が形成された積層体を作製した。
(実施例23)
保護皮膜形成用水溶液を作製する際に樹脂含有量を20重量%から3重量%に変更した以外は実施例22と同様にして保護皮膜形成用水溶液及びガラス皮膜が形成された積層体を作製した。
(実施例24)
未変性のポリビニルアルコール(積水化学工業社製、SELVOL 203、重合度300、ケン化度88モル%)100重量部に代えて、未変性のポリビニルアルコール(積水化学工業社製、SELVOL 103、重合度300、ケン化度98.4モル%)を用い、表1の配合・濃度で実施例23と同様にして、保護皮膜形成用水溶液、ガラス皮膜が形成された積層体を作製した。
(比較例1)
未変性のポリビニルアルコール(積水化学工業社製、SELVOL 203、重合度300、ケン化度88モル%)100重量部を使用せず、可塑剤であるジグリセリンだけを表1に示す通りに水溶液として作製した事以外は実施例1と同様にして、可塑剤含有量5重量%の保護皮膜形成用水溶液、ガラス皮膜が形成された積層体を作製した。皮膜は可塑剤であるジグリセリンと水分だけで構成されていた。
(比較例2)
表1に示す通りに可塑剤であるジグリセリンだけを水溶液として作製した事以外は比較例1と同様にして、可塑剤含有量40重量%の保護皮膜形成用水溶液、ガラス皮膜が形成された積層体を作製した。皮膜は可塑剤であるジグリセリンと水分だけで構成されていた。
(比較例3)
ジグリセリンに変えてグリセリンを可塑剤として、表1に示す通りに水溶液を作製した事以外は比較例1と同様にして、可塑剤含有量3重量%の保護皮膜形成用水溶液、ガラス皮膜が形成された積層体を作製した。皮膜は可塑剤であるグリセリンと水分だけで構成されていた。
(比較例4)
表1に示す通りに可塑剤であるグリセリンだけを水溶液として作製した事以外は比較例3と同様にして、可塑剤含有量20重量%の保護皮膜形成用水溶液、ガラス皮膜が形成された積層体を作製した。皮膜は可塑剤であるグリセリンと水分だけで構成されていた。
<評価>
実施例及び比較例で得られた保護皮膜形成用水溶液、ガラス皮膜が形成された積層体について以下の評価を行った。結果を表1に示した。
1.保護皮膜形成用水溶液の評価
(接触角測定)
接触角計(協和界面科学社製、DMo-502)及び解析ソフトFAMAS(協和界面科学社製)を用い、θ/2法(A half-angle Method)により、温度23℃、湿度60%R/Hにて接触角測定を実施した。
測定条件としては、液適量を2μLとして、接触角測定基板として0.5mm厚みのガラス(TEMPAX Float、SCHOTT社製)を用い、経時測定モードで、測定までの待ち時間を100msecとした。測定間隔は1000msecで、繰り返し5回の測定を行った。評価結果のうち4100msecの5回のデータを平均して測定結果とした。用いたガラス基板のイオン交換水での接触角は37.5°であった。
(粘度測定)
作製した保護皮膜形成用水溶液をマヨネーズ瓶に分取して蓋をし、温度23℃、湿度60%RHで2日間(48時間)養生した。養生後の保護皮膜形成用水溶液を、回転式粘度計(東機産業社製、TVC-10)を用いて、温度23℃、湿度60%RHの条件下で、JIS K7117-1に準拠した方法で粘度評価を実施した。
2.積層体の評価
(厚み評価)
得られたガラス皮膜が形成された積層体からガラス皮膜を剥離して、ガラス皮膜の厚みを、定圧厚さ測定機(例:テクロック社製、PG-02J)を用いてJIS K6783準拠した方法で測定した。剥離が難しい場合は、ガラス皮膜が形成された積層体の厚みを上記定圧厚さ測定機で測定し、あらかじめ同様の方法で測定しておいたガラス基板の厚みを引いた値を厚みとして用いた。
(表面粗さ評価)
表面粗さSa、Sz及びSdrは、作製したガラス皮膜が形成された積層体からガラス皮膜を剥離し、基材と反対側の主面(空気界面側表面)及びガラス基材側の主面(ガラス界面側表面)を、それぞれレーザー顕微鏡(例:形態解析レーザー顕微鏡、VK-X1050、キーエンス社製)で、1mm×1mmの範囲を計測した。得られた計測値から、ISO 25178に準拠して各表面粗さを算出した。これをランダムに10か所測定し、平均値をそれぞれの値とした。
(被覆率)
得られた積層体について、目視にて、ガラス基板の主面面積に対するガラス皮膜が被覆された面積の比率を確認し、得られた面積比(被覆率)から以下の基準で評価した。
◎:90%以上の領域で皮膜による被覆がなされている
○:90%未満、80%以上の領域で皮膜による被覆がなされている
△:80%未満、70%以上の領域で皮膜による被覆がなされている
×:皮膜による被覆が70%未満である
(発泡性)
得られた積層体のガラス皮膜を剥離し、剥離した皮膜の断面を光学顕微鏡で確認し、発泡の有無を確認し、以下の基準で評価した。
○:発泡していた
×:発泡が認められなかった
(発泡径)
得られた積層体のガラス皮膜をカットして、カミソリ刃で厚さ方向に平行な面に沿って切断した。
その後、デジタルマイクロスコープ(キーエンス社製、製品名VHX-900)を用いて200倍の拡大写真を撮り、厚さ方向の切断面に関して、法線方向の最大発泡径を測定した。
その操作を、測定箇所を変えて10回繰り返し、観察された発泡径の平均値を平均気泡径とした。なお、各気泡の発泡径は、観察された気泡に対して内接する内接円を描いた時の直径が最大となる内接円の直径とした。
得られた発泡径(平均気泡径)について、以下の基準で評価した。
◎:発泡径がガラス皮膜の厚みの20%以上であった
〇:発泡径がガラス皮膜の厚みの20%未満5%以上であった
△:発泡径がガラス皮膜の厚みの5%未満1%以上であった
×:発泡径がガラス皮膜の厚みの1%未満であった
(結晶化度)
得られた積層体のガラス皮膜から作製した試験片について、XRD回折装置(リガク社製、Rint2500)を用いて、X線入射角2θ=2°~40°における回折光の計測を行い、ピークとハローの強度から、結晶化度を算出し、以下の基準で評価した。
なお、測定条件は、X線管球はCuKα線(λ=1.54Å)、X線出力は40kV200mA、走査方法はステップスキャン(FT法)、ステップ幅は0.02、1ステップあたり2秒間反射強度とした。
また、結晶化度の測定は積層体からガラス皮膜を剥離し、ガラスと密着していた面を「ガラス界面」として測定し、反対面を「表面」として測定した。2層構成である場合も同様に、ガラスと密着していた面を「ガラス界面」として測定し、反対面を「表面」として測定した。
高:50%以上
中:50%未満30%以上
低:30%未満
(剥離・除去性)
[剥離性]
得られた積層体(150mm×150mm)を皮膜側からガラスカッター(三星ダイヤモンド社製、MS500)を用い、ガラスカッティングツール(三星ダイヤモンド社製、Mrcs-APIO「Mrcs-ADP030065080-115000000A4」)を使用して、周辺10mmカットし、130mm角のサンプルを作製した。その後、角部に粘着テープ(積水化学工業社製、セロテープ(登録商標)No.252、24mm幅)を付着させ、約135°の角度で剥離を行い、以下の基準で評価した。
◎:皮膜が完全に剥離できた
○:皮膜が一部残るものの、皮膜が完全にちぎれずに一回の剥離で剥離出来た
△:一部破断が発生するものの複数回の剥離にて皮膜が剥離できた
×:皮膜が破断してしまい剥離できなかった
[180°剥離強度]
作製した皮膜とガラス基板の接着力を評価するため、得られた積層体(150mm×150mm)をカットして、25mm×150mmの皮膜付きガラスサンプルを作製し、180°剥離試験用サンプルとした。なお、カットの方法は上述の[剥離性]の場合と同様とした。
皮膜の全面に、基材付き粘着テープ(テープ品番スプライシングテープNO.642、寺岡製作所製)を貼付して裏打ちを施してから、粘着テープで裏打ちされた皮膜と粘着テープごとテンシロン万能材料試験機(RTF-2430、ジーエルサイエンス社製)で180°剥離強度を測定した。測定方法はISO29862:2007又はJIS Z 0237:2009に準じた。
なお、皮膜面を剥がす際には裏打ち面の背面が重なるようにテープの端を把持して180°に折り返して、皮膜面を25mm剥がした後、試験機下側の治具に皮膜面を剥がした部分を固定し、上側の治具に基材付き粘着テープを固定した。
評価条件は300mm/sec、温度25℃、湿度50%で実施した。
[水溶性]
得られた積層体からガラス皮膜を1cm剥離し、10℃の水を入れたビーカーに浸漬し、以下の基準で水溶性[10℃水溶性]を評価した。なお、95℃の水を入れた場合の水溶性[95℃水溶性]についても評価した。
○:60秒以内に溶解した
△:61秒以上120秒以内に溶解した
×:120秒以内に溶解しなかった
(皮膜除去後残渣)
得られた積層体のガラス皮膜をガラス基板より除去した後の残渣を評価した。
なお、ガラス皮膜の除去は、「1.剥離による除去」、「2.水洗浄による除去」、「3.剥離後に水洗浄による除去(剥離後水洗浄)」の3通りの方法で実施した。
[1.剥離による除去]
得られた積層体(150mm×150mm)をカットして、10mm×10mmのガラス皮膜付きガラスサンプルを作製し、ガラス皮膜を剥離により除去した。
[2.水洗浄による除去]
得られた積層体(150mm×150mm)のガラス皮膜面に、85~90℃のスチームを最大蒸気圧0.2MPa、2L/minでスリット幅0.1mmのノズルから噴霧照射の後、90℃の温水洗浄を行い、次にスリットノズルで常温水洗浄を行い、ガラス皮膜を除去した。
[3.剥離後に水洗浄による除去(剥離後水洗浄)]
得られた積層体(150mm×150mm)をカットして、10mm×10mmのガラス皮膜付きガラスサンプルを作製し、ガラス皮膜を剥離により除去した。
次いで、ガラス皮膜を剥離により除去したサンプルに、85~90℃のスチームを最大蒸気圧0.2MPa、2L/minでスリット幅0.1mmのノズルから噴霧照射の後、90℃の温水洗浄を行い、次にスリットノズルで常温水洗浄を行った。
[XPS評価]
「1.剥離による除去」「2.水洗浄による除去」「3.剥離後に水洗浄による除去(剥離後水洗浄)」を行った部分のガラス表面をX電子分光(XPS、PHI5000 VersaProbe II、アルバックファイ社製)により測定し、最表面の残存物の組成と定量化を行った。
測定条件は、単色化AlKα(1486.6eV)を光源として用い、光電子取出角45度、X線ビーム径200μmにて測定した。
なお、作製に使用したものと同一種類のガラス基板に関して、「2.水洗浄による除去」を行い、リファレンスサンプルとした。
測定に用いたガラス基板(コーニング社製、EagleXG 150mm×150mm×0.5mm)自体を2.水洗浄による除去と同じ工程で処理したものを評価すると、炭素原子量は14.0atom%であった。
ガラス表面のXPS評価を実施し、リファレンスサンプルの炭素原子量(atom%)を基準とした、炭素原子量(%)を算出し[(測定した炭素原子量/リファレンスサンプルの炭素原子量)×100]、以下の基準で評価した。なお、リファレンスサンプルを基準とした炭素原子量(atom%)は、ガラス皮膜除去後の目視できないレベルの残存皮膜量に比例し、これが少なければ少ないほど、皮膜除去後のガラス表面の洗浄による清浄化が容易であることを示す。
◎:炭素原子量が150%以下である
○:炭素原子量が150%超、250%以下である
△:炭素原子量が250%超、400%以下である
×:炭素原子量が400%超である
(貯蔵性)
得られた2枚の積層体(150mm×150mm)を、ガラス皮膜面同士が密着するように重ねて、その上から同サイズ以上のSUS板3.0kgを乗せて、25℃50%RHの環境下に1週間放置した。その後、2枚の積層体の剥離を行い、ガラス皮膜の破損割合を確認し、以下の基準で評価した。
◎:ガラス皮膜の破損割合が10%以下である
○:ガラス皮膜の破損割合が10%超、30%以下である
△:ガラス皮膜の破損割合が30%超、50%以下である
×:ガラス皮膜の破損割合が50%超である
(異物排除効果)
得られた積層体のガラス皮膜側にシリカ粒子(平均粒子径:3μm)を0.05g乾式スプレーし皮膜に付着させた。次いで、皮膜を剥離し、シリカ粒子の有無を光学顕微鏡で15cm角ガラスの中央部の5cm四方を確認し、以下の基準で評価した。
◎:シリカ粒子が10個以下確認できた
○:シリカ粒子を11個以上20個以下確認できた
△:シリカ粒子を21個以上50個以下確認できた
×:シリカ粒子を51個以上確認できた
(表面保護性:対擦傷性)
得られた積層体のガラス皮膜側に、シリカ粒子(平均粒子径:3μm)0.05gを乾式スプレーして皮膜に付着させ、更にその上に同じサイズのガラス基板(コーニング社製、EagleXG 150mm×150mm×0.5mm)を積層し、面方向にこすり合わせた。その後、皮膜を剥離して、表面を観察し、以下の基準で評価した。
〇:表面に擦傷傷が無かった
×:表面に擦傷傷があった
(環境適応性)
剥離した皮膜について、土中生分解性を有するか否かを評価した。土中生分解性を有する場合は、環境適合性を有しているといえる。
なお、水洗浄により除去可能な皮膜は、水に完全に溶解することができ、洗剤入りジェルボールの洗剤を包んでいるフィルム等と同様に、通常の下水廃棄が可能であることから、環境適合性を有している。
〇:土中生分解性を有している
×:土中生分解性が無い
Figure 0007271759000001
本発明によれば、製造ライン、運搬ラインにおいて、基材に由来する異物が付着しにくい皮膜を形成可能な保護皮膜形成用樹脂組成物、保護皮膜及び積層体を提供することができる。


Claims (11)

  1. 保護皮膜形成用樹脂組成物からなる保護皮膜と、基材とを有し、
    前記保護皮膜形成用樹脂組成物は、ポリビニルアルコール樹脂、並びに、可塑剤及び水からなる群より選択される少なくとも1種を含有し、前記ポリビニルアルコール樹脂は、重合度が100以上、2500以下、ケン化度が50モル%以上、99.5モル%以下であり、
    前記保護皮膜は、更に、基材側に可塑剤層を有し、
    前記可塑剤層はポリビニルアルコール樹脂を含まないか、又は、前記可塑剤層のポリビニルアルコール樹脂含有量は、保護皮膜のポリビニルアルコール樹脂含有量よりも少なく、
    前記基材は、ガラス及び金属基材からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、
    積層体。
  2. 保護皮膜と基材との剥離強度が、180°剥離強度試験で2.5N/25mm以下である、請求項1に記載の積層体。
  3. 保護皮膜形成用樹脂組成物は、回転式粘度計で測定した場合の粘度が1mPa・s以上3Pa・s以下である、請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 保護皮膜形成用樹脂組成物は、ガラス基板との温度23℃、湿度60%RHにおける接触角が10°以上75°以下である、請求項1又は2に記載の積層体。
  5. 可塑剤は、グリセリン、ジグリセリン、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1又は2に記載の積層体。
  6. 保護皮膜の基材と反対側主面の表面粗さSaが0.1μm以上、30μm以下である、請求項1又は2に記載の積層体。
  7. 保護皮膜の基材と反対側主面の表面粗さSzが10μm以上、300μm以下である、請求項1又は2に記載の積層体。
  8. 保護皮膜の基材と反対側主面の表面粗さSdrが0.1以上、30以下である、請求項1又は2に記載の積層体。
  9. 保護皮膜の基材側主面の表面粗さSaが0.05μm以上、15μm以下である、請求項1又は2に記載の積層体。
  10. 保護皮膜の基材側主面の表面粗さSzが8μm以上、240μm以下である、請求項1又は2に記載の積層体。
  11. 保護皮膜の基材側主面の表面粗さSdrが0.01以上、15以下である、請求項1又は2に記載の積層体。
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