JP6395817B2 - ビススピロノルボルナン構造を有する脂環式ジオール化合物、その製造方法およびその使用 - Google Patents

ビススピロノルボルナン構造を有する脂環式ジオール化合物、その製造方法およびその使用 Download PDF

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Description

本発明は、特に、縮合反応を経由してなる高分子材料に使用可能な多官能化合物であって、透明性と耐熱性に優れた高分子材料を与える脂環式ジオール化合物、その製造方法並びに製造中間体に関する。また、本発明に関する脂環式ジオール化合物は、化学修飾が可能であることから、各種化合物の反応中間体としても使用可能である。
ポリエチレンテレフタレートは透明性、機械的強度、電気絶縁性、耐薬品性に優れており、フィルム、中空容器等に広く利用されているポリエステル樹脂である。しかしながら、ポリエチレンテレフタレートはガラス転移温度が必ずしも十分に高いとは言えない。近年、脂環式骨格を有するジオールを構成単位として用いることでガラス転移温度上昇などの耐熱性を向上させる検討が行われている(例えば、特許文献1〜2参照)。これらの試みは、一定の成果を上げているが、さらなる改良が期待されている。
なお、ポリイミド系材料の分野では、本出願人より、光透過性と耐熱性に優れたポリイミド系材料の製造に使用可能な脂環式構造を有する化合物として、ビススピロノルボルナン構造を有するテトラカルボン酸およびその誘導体が開示されているが、ジオール化合物の開示はない(特許文献3)。
特開2013−227384号公報 特開2007−238856号公報 特開2011−162479号公報
本発明の目的は、主として、光透過性と耐熱性に優れた高分子材料の提供に有効に利用し得る脂環式ジオール化合物並びにその製造方法および製造中間体を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、基本骨格となる脂環構造に、対称性を導入する一方で、自由回転を生じる可能性のある炭素−炭素単結合を除外することにより得られる脂環式ジオール化合物が、光透過性と耐熱性の両面で、極めて優れた高分子材料の製造に有効に利用し得ることが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の第一は、下記一般式(1)で表されるビススピロノルボルナン構造を有する脂環式ジオール化合物に関する。
(一般式(1)中、R、Rのいずれか一方は−OH、他方は−Hであり、R、Rのいずれか一方は−OH、他方は−Hであり、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは2〜5の整数を示す。)
すなわち本発明の第二は、前記一般式(1)において、n=2または3である、本発明第一の脂環式ジオール化合物に関する。
すなわち本発明の第三は、前記一般式(1)において、n=2である、本発明第一の脂環式ジオール化合物に関する。
すなわち、本発明の第四は、下記一般式(2)で表されるビススピロノルボルネン構造を有する化合物中の二つの炭素−炭素不飽和結合に酢酸を付加させてジアセトキシ化して、下記一般式(3)で表される脂環式ジアセトキシ化合物を得、当該化合物中のアセトキシ基を加水分解することにより、下記一般式(1)で表されるビススピロノルボルナン構造を有する脂環式ジオール化合物を得る、下記一般式(1)で表されるビススピロノルボルナン構造を有する脂環式ジオール化合物の製造方法に関する。
(一般式(2)中、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは2〜5の整数を示す。)
(一般式(3)中、R、Rのいずれか一方はアセトキシ基、他方は−Hであり、R、Rのいずれか一方はアセトキシ基、他方は−Hであり、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは2〜5の整数を示す。)
(一般式(1)中、R、Rのいずれか一方は−OH、他方は−Hであり、R、Rのいずれか一方は−OH、他方−Hであり、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは2〜5の整数を示す。)
すなわち本発明の第五は、前記一般式(3)を経由して得られる上記一般式(1)において、n=2または3である、本発明第四の脂環式ジオール化合物の製造方法に関する。
すなわち本発明の第六は、前記一般式(3)を経由して得られる上記一般式(1)において、n=2である、本発明第四の脂環式ジオール化合物の製造方法に関する。
すなわち本発明の第七は、下記一般式(3)で表される脂環式ジアセトキシ化合物に関する。
(一般式(3)中、R、Rのいずれか一方はアセトキシ基、他方は−Hであり、R、Rのいずれか一方はアセトキシ基、他方は−Hであり、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは2〜5の整数を示す。)
すなわち本発明の第八は、前記一般式(3)において、n=2または3である、本発明第七の脂環式アセトキシ化合物に関する。
すなわち本発明の第九は、前記一般式(3)において、n=2である、本発明第七の脂環式アセトキシ化合物に関する。
すなわち本発明の第十は、下記一般式(2)で表されるビススピロノルボルネン構造を有する化合物中の二つの炭素−炭素不飽和結合にボランを付加させてヒドロホウ素化して、下記一般式(4)で表される脂環式ジホウ素化合物を得、当該化合物中のジホウ素基を酸化することにより、下記一般式(1)で表されるビススピロノルボルナン構造を有する脂環式ジオール化合物を得る、下記一般式(1)で表されるビススピロノルボルナン構造を有する製造方法に関する。
(一般式(2)中、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは2〜5の整数を示す。)
(一般式(4)中、R、Rのいずれか一方は−BR基(Rはアルキル基または−H)、他方は−Hであり、R、Rのいずれか一方は−BR基(Rはアルキル基または−H)、他方は−Hであり、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは2〜5の整数を示す。)
(一般式(1)中、R、Rのいずれか一方は−OH、他方は−Hであり、R、Rのいずれか一方は−OH、他方−Hであり、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは2〜5の整数を示す。)
すなわち本発明の第十一は、上記一般式(4)を経由して得られる上記一般式(1)において、n=2または3である、本発明第十の脂環式ジオール化合物の製造方法に関する。
すなわち本発明の第十二は、上記一般式(4)を経由して得られる上記一般式(1)において、n=2である、本発明第十の脂環式ジオール化合物の製造方法に関する。
すなわち本発明の第十三は、塩基と酸化剤を用いて酸化反応を行う、本発明の第十乃至第十二の何れかに記載の脂環式ジオール化合物の製造方法に関する。
すなわち本発明の第十四は、本発明第一乃至第三の何れかに記載の脂環式ジオール化合物の高分子材料モノマーとしての使用に関する。言い換えると、本発明の第十四は、本発明第1乃至第3の何れかに記載の脂環式ジオール化合物からなる、高分子材料の製造用モノマーに関する。
本発明によれば、光透過性と耐熱性に優れた高分子材料の提供に有効に利用し得る脂環式ジオール化合物並びにその製造方法および製造中間体を提供することが可能である。
本発明に係る上記一般式(1)で表される新規脂環式ジオール化合物は、基本骨格となる脂環構造がビススピロノルボルナン構造を有し、対称性を有する一方で、自由回転を生じる可能性のある炭素−炭素単結合を有さず、高度の透明性と耐熱性とを有する高分子材料用製造モノマーとして有用である。また、耐熱性高分子材料として使用されている他の多官能化合物と比較して、モノマー分子としての適切な大きさ、有機溶媒への溶解性を有しており、前記高分子材料の製造工程において、取扱い易く、有用である。また、これら化合物は、その中間体を含め、各種有用化合物の反応中間体の分野においても有用である。
実施例1で得られた化学式(7)の脂環式ジオール化合物のIRスペクトルを示すチャートである。 実施例1で得られた化学式(7)の脂環式ジオール化合物のH−NMR(CDOD)スペクトルを示すチャートである。 実施例1で得られた化学式(7)の脂環式ジオール化合物のFD−MSスペクトルを示すチャートである。 多孔性の布を利用して形成された筒の斜視図である。 実施例2に用いる、イオン交換樹脂を収納する触媒充填袋の断面図である。 実施例2で得られた、化学式(9)のシクロペンタノンビススピロノルボルネンジアセトキシ化合物のH−NMRスペクトル(DMSO−d)である。
(本発明の脂環式ジオール化合物の構造)
本発明に係る脂環式ジオール化合物は、下記一般式(1)で表されるシクロアルカノンビススピロノルボルナンジオール化合物である。
(一般式(1)中、R、Rのいずれか一方は−OH(ヒドロキシ基)、他方は−H(水素原子)であり、R、Rのいずれか一方は−OH(ヒドロキシ基)、他方は−H(水素原子)であり、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは2〜5の整数を示す。)
本発明に係る脂環式ジオール化合物は、シクロアルカノンの対称位置にノルボルナン環を有し、対称性が強く、かつ、自由回転可能な炭素−炭素結合を持たないビススピロノルボルナン構造を基本構造として有する。現在まで、当該基本構造を有する脂環式ジオール化合物の製造例は知られていない。
なお、上記一般式(1)は、シクロアルカノン環とノルボルナン環、および、ノルボルナン環とヒドロキシ基との立体配座の関係から生じる複数異性体を一括して表している。
耐熱性高分子材料の分野では、高分子材料分子鎖の剛直性や対称性を阻害する構造を有する化合物(モノマー)が、高分子材料の耐熱性を低下させる可能性が高いことが、経験的に知られている。また、自由回転可能な、炭素−炭素結合を有する化合物(モノマー)にも同様の傾向が経験的に知られている。
また、化合物(構成モノマー)が、高分子材料を構成する他の化合物(構成モノマー)より嵩高い構造を有する場合、あるいは、反応系溶媒に対する溶解性が劣る場合、これら化合物が高分子材料中に適切に取り込まれないことがあることも知られている。
本発明に係る脂環式ジオール化合物においては、これらの課題を、耐熱性高分子材料に含有される芳香族化合物(モノマー)中の芳香環と近似した炭素数の脂環構造を対称構造に配置し、これらを、自由回転の生じ得ない、スピロ結合して介して連結することで解決している。また、不対電子対を有する酸素を含むカルボニル基を含有するので、高分子鎖分子内、高分子分子鎖間の水素結合の生成により耐熱性が向上する。
このように、本発明の脂環式ジオール化合物は、高分子材料のモノマーとして有用であり、特に、高度の透明性と耐熱性とを有する高分子材料を製造するためのモノマーとして有用である。
このような本発明の脂環式ジオール化合物に関し、前記一般式(1)中のR、Rとして選択され得るアルキル基は、炭素数が1〜10のアルキル基である。このような炭素数が10を超えると、ポリエステルのモノマーとして用いた場合に、得られるポリエステルの耐熱性が低下する。また、このようなR、Rとして選択され得るアルキル基の炭素数としては、ポリエステルを製造した際に、より高度な耐熱性が得られるという観点から、1〜6であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、1〜4であることが更に好ましく、1〜3であることが特に好ましい。また、このようなR、Rとして選択され得るアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
前記一般式(1)中のR、Rとしては、ポリエステルを製造した際に、より高度な耐熱性が得られるといった観点から、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基であることがより好ましく、水素原子、メチル基であることが特に好ましい。また、このような式中のR、Rは、それぞれ、同一のものであってもあるいは異なるものであってもよいが、精製の容易さ等の観点からは、同一のものであることが好ましい。
また、前記一般式(1)中のnは2〜5の整数を示す。このようなnの値が前記上限を超えると、前記一般式(1)で表されるビススピロノルボルナン類の精製が困難になる。また、前記下限未満では前記一般式(1)で表されるビススピロノルボルナン類の製造が困難になる。更に、このようなnの値は、前記一般式(1)で表されるビススピロノルボルナン化合物の構造安定性の観点から、2または3であることが好ましく、2であることが特に好ましい。
さらに、前記一般式(1)中のR、Rは、それらのうちの一方は−OH(ヒドロキシ基)であり、もう一方(他方)は−H(水素原子)である。また、一般式(1)中のR、Rは、それらのうちの一方は−OH(ヒドロキシ基)であり、もう一方(他方)は−H(水素原子)である。このような式(1)中のR、R、R、Rの置換基に由来して、上記一般式(1)で表される化合物は、ジオール化合物となる。
(本発明の脂環式ジオール化合物の製造方法)
本発明に係る脂環式ジオール化合物の製造には、これらに対応する構造を有するビススピロノルボルネン化合物、すなわち、一般式(1)で表される脂環式ジオール化合物には、下記一般式(2)で表さるビススピロノルボルネン化合物を原料とし、これら化合物中の不飽和結合の化学修飾を経て製造することが好ましい。一般式(2)で表される化合物の製造方法は本出願人によって出願された、特許文献3(段落[0119]〜[0132])に開示されている。
なお、後述するように、シクロヘプタノン、シクロオクタノンを骨格とするビススピロノルボルネン構造を有する化合物も上記と同様にして合成することができる。
(一般式(2)中、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは2〜5の整数を示す。)
特許文献3に開示する製造方法によって製造された(後述の実施例も参照)、ビススピロノルボルネン構造を有する化合物は、単離せず、反応混合液をそのまま使用することもできるし、単離・精製してから以降の反応に使用してもよい。
以下、上記ビススピロノルボルネン化合物から、本発明に係る脂環式ジオール化合物を製造する方法を述べる。
(酢酸付加によるアセトキシ化を経由する製造方法)
上記ビススピロノルボルネン化合物から、本発明に係る脂環式ジオール化合物を製造するには、炭素−炭素二重結合をアセトキシ化して脂環式ジアセトキシ化合物を得、これに公知の方法を用いて加水分解反応を行うことで、脂環式ジオール化合物が得られる。アセトキシ化は公知の方法を適宜使用すればよいが、その中でも、基質として酢酸を、触媒として固体酸類を使用する方法が簡便であり、好ましい。
固体酸類としては、例えば、イオン交換樹脂、固体リン酸、活性アルミナ、シリカ−アルミナ、ゼオライトなどの固体酸が挙げられる。これらの中でも、反応収率、反応温度、操作の簡便性、経済性などの観点からは、イオン交換樹脂を使用するのが好ましい。
ビススピロノルボルネン化合物のジアセトキシ化の反応温度としては、50〜150℃の範囲であるのが好ましい。50℃未満の場合、反応速度が極めて小さく、反応効率が悪く、150℃を超える場合、原料、固体酸、および、生成物の分解が生じることがある。
脂環式ジアセトキシ化合物の加水分解反応は、例えば、塩基存在下、アルコールと水の混合溶媒中で反応を行うことで実施できる。加水分解の反応温度としては50〜150℃の範囲であるのが好ましい。50℃未満の場合、反応速度が極めて小さく、反応効率が悪く、150℃を超える場合、原料、および、生成物の分解が生じることがある。
ここで、アセトキシ化を経由する場合における、本発明の上記一般式(1)で表される脂環式ジオール化合物の製造方法(以下、場合により単に「脂環式ジオール化合物の第一の製造方法」と称する。)について、より詳細に説明する。
本発明の脂環式ジオール化合物の第一の製造方法は、上記一般式(2)で表されるビススピロノルボルネン構造を有する化合物中の二つの炭素−炭素不飽和結合に酢酸を付加させてジアセトキシ化して、上記一般式(3)で表される脂環式ジアセトキシ化合物を得、当該化合物中のアセトキシ基を加水分解することにより、上記一般式(1)で表されるビススピロノルボルナン構造を有する脂環式ジオール化合物を得る方法である。
なお、このような一般式(2)で表されるビススピロノルボルネン構造を有する化合物は、上述のビススピロノルボルネン化合物と同様のものである。また、前記一般式(2)中のR、R、nは、前記一般式(1)中のR、R、nとそれぞれ同様のものであり、その好適なものも同様である(好適な数値範囲等も同様である。)。また、酢酸を付加してジアセトキシ化する方法としては、酢酸を付加する必要がある以外は、前述のアセトキシ化の方法(例えば基質として酢酸を、触媒として固体酸類を使用する方法等)を適宜利用できる。また、加水分解の方法も特に制限されず、上述の方法を適宜利用できる。なお、このようなジアセトキシ化の反応温度としては、前述の温度範囲(50〜150℃の範囲)とすることが好ましい。また、このような加水分解の際の反応温度も前述の温度範囲(50〜150℃の範囲)とすることが好ましい。
また、このような本発明の脂環式ジオール化合物の第一の製造方法においては、ジアセトキシ化に際して、基質である酢酸を化学量論比よりも過剰量に用いて、その過剰分を溶媒として利用することが好ましい。このようにして酢酸を利用するジアセトキシ化の方法としては、例えば、前記ビススピロノルボルネン化合物に対して、化学量論比よりも過剰量の酢酸を準備し、該酢酸中に、前記ビススピロノルボルネン化合物及び固体酸触媒(例えば、所定の多孔質の袋に入れた状態で利用してもよい。)を添加し、その混合物を撹拌しながら、前記反応温度に加熱して還流する等して、ジアセトキシ化する方法を好適な方法として挙げることができる。
なお、このようにしてジアセトキシ化することで得られる脂環式ジアセトキシ化合物は、前記一般式(3)で表されるものとなる。なお、前記一般式(3)中のR、R、nは、前記一般式(1)中のR、R、nとそれぞれ同義であり、その好適なものも同様である(好適な数値範囲等も同様である。)。また、上記一般式(3)中のR、Rは、それらのうちのいずれか一方はアセトキシ基であり、もう一方(他方)は水素原子(−H)である。さらに、上記一般式(3)中のR、Rは、それらのうちのいずれか一方はアセトキシ基であり、もう一方(他方)は水素原子(−H)である。このような式(3)中のR、R、R、Rの置換基に由来して、上記一般式(3)で表される化合物は、ジアセトキシ化合物となる。
また、このようにしてジアセトキシ化して上記一般式(3)で表される脂環式ジアセトキシ化合物を得た後には、当該化合物中のアセトキシ基を加水分解する。このようにして加水分解することにより、上記一般式(1)で表される脂環式ジオール化合物を製造することができる。
このような加水分解の方法は特に制限されず、公知の方法を適宜採用できる。また、このような加水分解の方法としては、上述のように、塩基の存在下、アルコールと水の混合溶媒中に、上記一般式(3)で表される脂環式ジアセトキシ化合物を添加して加熱する方法(加熱工程)を採用することが好ましい。
このような塩基としては、特に制限されず、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ナトリウムメトキサイド、カリウムメトキサイド、アンモニア、メチルアミン、エタノールアミン、アニリン、トルイジン、ピリジン等が挙げられ、反応性の観点からは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキサイド、カリウムメトキサイドが好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムがより好ましい。
また、このようなアルコールとしては、特に制限されず、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、iso−ブタノール、tert−ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール等の工業的に入手可能な炭素数1〜18のアルキルアルコール等が挙げられ、塩基及び水に対する溶解性の観点からは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールが好ましく、メタノール、エタノールがより好ましい。
また、このような加熱工程における温度条件としては、加水分解反応を進行せしめることが可能な範囲に設定すればよく、特に制限されないが、より効率よく反応を進行せしめるといった観点から、前述の加水分解の反応温度の温度範囲(50〜150℃の範囲)とすることが好ましい。
なお、このようにして得られる一般式(1)で表される脂環式ジオール化合物は、上記本発明の脂環式ジオール化合物と同様のものである(式(1)中のR、R、R、R、R、R及びnも同様であり、それらの好適なものも同様である。)。このように、上記一般式(3)で表される脂環式ジアセトキシ化合物を反応中間体(製造中間体)として製造した後に得られる上記本発明の脂環式ジオール化合物においても、すなわち、上記一般式(3)で表される化合物を経由して得られる一般式(1)で表される化合物においても、その好適なものは上記本発明の脂環式ジオール化合物と同様のものであり、例えば、式中のnの値は2又は3であることが好ましく、2であることがより好ましい。
(ボランによるヒドロホウ素化を経由する製造方法)
また、本発明に係る脂環式ジオール化合物を製造するには、下記の方法も採用できる。すなわち、上記ビススピロノルボルネン化合物の炭素−炭素二重結合をヒドロホウ素化してジホウ素化化合物を得、これに公知の方法を用いて酸化反応を行うことでも、本発明に係る脂環式ジオール化合物が得られる。公知の酸化方法の中でも、無機塩基類と過酸化水素の組み合わせで使用する方法が簡便であり、好ましい。
ヒドロホウ素化はボラン錯体を用いて実施することができる。ボラン錯体は適宜、公知の錯体から選択すればよいが、収率の観点から、ボラン・テトラヒドロフラン錯体が好ましい。
酸化反応で用いる無機塩基類としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウムなどの無機塩基が挙げられる。これらの中でも、反応収率、反応温度、操作の簡便性、経済性などの観点からは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムを使用するのが好ましい。
過酸化水素は、市販のものをそのまま使用することができる。過酸化水素の使用量は、原料化合物のビススピロノルボルネン化合物中の炭素−炭素不飽和結合に対して1〜5倍モルの範囲であるのが好ましく、1〜2倍モルの範囲であるのがより好ましい。1倍モルより少ない場合、反応が十分に進行せず、また5倍モルを超える場合、生成した脂環式ジオール化合物の酸化などの副反応が進行して収率が低下する傾向となる。
ビススピロノルボルネン化合物のヒドロホウ素化の反応温度としては、−80〜80℃の範囲であるのが好ましく、より好ましいのは、−20〜50℃の範囲である。−80℃未満の場合、反応速度が極めて小さく、反応効率が悪く、80℃を超える場合、原料、および、生成物の分解が生じることがある。
脂環式ジホウ素化合物の酸化の反応温度としては、20〜100℃の範囲であるのが好ましい。20℃未満の場合、反応速度が極めて小さく、反応効率が悪く、100℃を超える場合、原料、および、生成物の分解が生じることがある。
ここで、ヒドロホウ素化を経由する場合における、本発明の上記一般式(1)で表される脂環式ジオール化合物の製造方法(以下、場合により単に「脂環式ジオール化合物の第二の製造方法」と称する。)について、より詳細に説明する。
本発明の脂環式ジオール化合物の第二の製造方法は、前記一般式(2)で表されるビススピロノルボルネン構造を有する化合物中の二つの炭素−炭素不飽和結合にボランを付加させてヒドロホウ素化して、前記一般式(4)で表される脂環式ジホウ素化合物を得、当該化合物中のジホウ素基を酸化することにより、下記一般式(1)で表されるビススピロノルボルナン構造を有する脂環式ジオール化合物を得る方法である。
なお、このような一般式(2)で表されるビススピロノルボルネン構造を有する化合物は、上述のビススピロノルボルネン化合物と同様のものである。また、前記一般式(2)中のR、R、nは、前記一般式(1)中のR、R、nとそれぞれ同様のものであり、その好適なものも同様である。
また、前記ビススピロノルボルネン化合物にボランを付加させてヒドロホウ素化する方法としては、特に制限されないが、前述のようなボラン錯体を用いて、前記ビススピロノルボルネン化合物にボランを付加させてヒドロホウ素化する方法を採用することが好ましい。このようなヒドロホウ素化の方法としては、例えば、溶媒中に、前記ビススピロノルボルネン化合物とボラン錯体を添加し、撹拌しながら反応温度に維持することで、ビススピロノルボルネン化合物の二つの炭素−炭素不飽和結合にボランを付加させる方法を採用することができる。なお、このようにして、ヒドロホウ素化する際の反応温度としては、前述のヒドロホウ素化の反応温度と同様の温度範囲(−80〜80℃)とすることが好ましい。
このような溶媒としては、特に制限されず、n−ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、アセトニトリル、アセトン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルフィド、トリメチルアミン等が挙げられ、収率の観点からは、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフィド、トリメチルアミンが好ましく、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランがより好ましい。
また、ボラン錯体の使用量としては特に制限されないが、原料化合物のビススピロノルボルネン化合物中の炭素−炭素不飽和結合に対して1.0〜3.0倍モルの範囲であるのが好ましく、1.1〜1.5倍モルの範囲であるのがより好ましい。このような使用量が前記下限未満では反応当量が足りず、収率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると精製が困難になる傾向にある。
なお、このようにしてヒドロホウ素化することで得られる脂環式ジホウ素化合物は、上記一般式(4)で表されるものとなる。なお、上記一般式(4)中のR、R、nは、前記一般式(1)中のR、R、nとそれぞれ同義であり、その好適なもの又は数値も同様である。なお、上記一般式(4)中のR、Rは、それらのうちのいずれか一方は−BR基(Rはアルキル基または水素原子(−H))であり、もう一方(他方)は水素原子(−H)である。また、上記一般式(4)中のR、Rは、それらのうちのいずれか一方は−BR基(Rはアルキル基または水素原子(−H))であり、もう一方(他方)は水素原子(−H)である。
また、上記一般式(4)中のR、R、R、Rとして選択され得る−BR基に関して、Rはアルキル基又は水素原子を示す。このようなRのアルキル基としては、炭素数が1〜10(更に好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜2)のものがより好ましい。このような炭素数が前記上限を超えると反応収率が低下する傾向にある。
また、式(4)中のR、R、R、Rとして選択され得る−BR基中のRとしては、反応収率の観点からは、水素原子、メチル基、エチル基がより好ましく、水素原子、メチル基が更に好ましく、水素原子が特に好ましい。なお、このような式(4)中のR、R、R、Rの置換基に由来して、上記一般式(4)で表される化合物は、脂環式ジホウ素化合物となる。
また、このようにしてヒドロホウ素化することで上記一般式(4)で表される脂環式ジホウ素化合物を得た後には、当該化合物中のジホウ素基を酸化することで、上記一般式(1)で表される脂環式ジオール化合物を製造することができる。このようなジホウ素基の酸化の方法は特に制限されず、公知の方法を適宜採用できる。また、このような酸化の方法としては、公知の酸化方法の中でも、塩基と酸化剤を用いて酸化反応を行う方法を採用することが好ましい。
このような塩基としては、特に制限されず、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウムなどの無機塩基(前述の無機塩基類)、および、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ピリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の有機塩基が挙げられるが、反応収率、反応温度、操作の簡便性、経済性の観点から、前述の無機塩基類を用いることがより好ましく、特に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムが好ましい。また、酸化剤としては、特に制限されず、過マンガン酸カリウム、二クロム酸カリウム、過酸化水素、次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、過塩素酸、硝酸カリウム、デス・マーチン試薬、コリンズ試薬、ジョーンズ試薬等を適宜利用することができ、反応収率、反応温度、操作の簡便性、経済性の観点から、過酸化水素を用いることが好ましい。
このように、上記一般式(4)で表される脂環式ジホウ素化合物中のジホウ素基を酸化する方法としては、塩基として前述の無機塩基類を用い、かつ、酸化剤として前述の過酸化水素を用いて、これらを組み合わせて使用することにより酸化反応を行う方法(前述の無機塩基類と過酸化水素の組み合わせで使用する方法)を採用することがより好ましい。
なお、このように無機塩基類と過酸化水素とを使用して上記一般式(1)で表される脂環式ジオール化合物を製造する場合、例えば、溶媒中に、前記ビススピロノルボルネン化合物とボラン錯体を添加し、撹拌しながら反応温度に維持することで、ビススピロノルボルネン化合物の二つの炭素−炭素不飽和結合にボランを付加させてヒドロホウ素化することにより、上記一般式(4)で表される脂環式ジホウ素化合物を得た後、その一般式(4)で表される脂環式ジホウ素化合物が含まれる反応液をそのまま用いて、該反応液中に無機塩基類と過酸化水素とを添加して、酸化することが可能な反応温度に維持する方法を適宜利用してもよい。このような酸化により式(4)中の−BR基をヒドロキシル基に置換することができる。なお、このような酸化の際の反応温度としては、前述の酸化の反応温度の温度範囲(20〜100℃の範囲)と同様の温度範囲に適宜設定することが好ましい。
なお、このようにして得られる一般式(1)で表される脂環式ジオール化合物は、上記本発明の脂環式ジオール化合物と同様のものである(式(1)中のR、R、R、R、R、R及びnも同様であり、それらの好適なものも同様である。)このように、上記一般式(4)で表される脂環式ジホウ素化合物を反応中間体(製造中間体)として製造した後、得られる上記本発明の脂環式ジオール化合物においても、すなわち、上記一般式(4)で表される化合物を経由して得られる一般式(1)で表される化合物においても、その好適なものは上記本発明の脂環式ジオール化合物と同様のものであり、例えば、式中のnの値は2又は3であることが好ましく、2であることがより好ましい。
(本発明の脂環式ジアセトキシ化合物)
本発明の脂環式ジアセトキシ化合物は、上記一般式(3)で表されるものである。このような一般式(3)中のR、R、nは、上記一般式(1)中のR、R、nと同義であり、その好適なものも同様のものである。このような一般式(3)中のR、R、R、Rに関して、R、Rは、それらのうちのいずれか一方がアセトキシ基(CHCOO−)であり、他方が水素原子(−H)である。また、一般式(3)中のR、Rは、それらのうちのいずれか一方がアセトキシ基であり、他方が水素原子(−H)である。
なお、上記一般式(3)で表される脂環式ジアセトキシ化合物は、前述のように脂環式ジオール化合物の第一の製造方法を採用して、上記一般式(2)で表されるノルボルネン構造を有する化合物を原料化合物として上記一般式(1)で表される化合物を製造する際に、反応中間体(製造中間体)として得ることが可能である。すなわち、このような一般式(3)で表される脂環式ジアセトキシ化合物は、上記一般式(2)で表されるノルボルネン構造を有する化合物をアセトキシ化することで得ることが可能なものである。また、このようなアセトキシ化に由来して、上記一般式(2)で表されるノルボルネン構造を有する化合物に、一般式(3)中に、前述のようなR、R、R、Rを導入することができる。
(本発明の高分子材料の製造用モノマー)
本発明の高分子材料の製造用モノマーは、上記本発明の脂環式ジオール化合物からなるものである。このように、上記本発明の脂環式ジオール化合物は特に制限されないが、その構造から、例えば、ポリエステルやポリアクリレート等の高分子化合物を形成するための原料化合物(モノマー)として特に有用である。
(本発明の脂環式ジオール化合物の用途)
本発明に係る脂環式ジオール化合物は、例えば、ポリエステル、アクリレートの原料として用いることができ、耐熱性に優れたポリエステル、ポリアクリレートを与えることができる。当該ポリエステルは射出成型体、フィルム、シート、発砲体、を初めとする種々の用途に用いることができる。
<本発明の脂環式ジオール化合物の製造方法の好適な一実施形態>
(シクロヘキサノン型ビススピロノルボルネンの合成):
シクロヘキサノン型ビススピロノルボルネンは、例えば、特許文献3(段落[0126]〜[0132])に記載の実施例2に従って合成される(特許文献3では「収率56%」)。ここにいう「シクロヘキサノン型ビススピロノルボルネン」は、上記一般式(2)中のnが3であり、R及びRがいずれも水素原子である化合物である。このように、シクロヘキサノン型ビススピロノルボルネンは、特許文献3(段落[0126]〜[0132])に記載の実施例2に従って合成できる。
(脂環式ジオール化合物の合成):
上記シクロヘキサノン型のビススピロノルボルネンを原料として、上記の方法や後述の実施例1で採用する方法と同様にして、シクロヘキサノン型のビススピロノルボルナン構造を有する脂環式ジオールが合成され、IR、NMR、MSスペクトルによって、生成物は化学式(8)で表される脂環式ジオール化合物構造であることが確認できる。
(R、Rのいずれか一方は−OH、他方は−Hであり、R、Rのいずれか一方は−OH、他方は−Hである。)
<本発明の脂環式ジオール化合物の製造方法の好適な他の実施形態>
(シクロヘキサノンビススピロノルボルネンの合成):
シクロヘキサノンビススピロノルボルネンは、例えば、特許文献3(段落[0126]〜[0132])に記載の実施例2に従って合成される(特許文献3では「収率56%」)。このように、シクロヘキサノンビススピロノルボルネンは、特許文献3(段落[0126]〜[0132])に記載の実施例2に従って合成できる。
(脂環式ジオール化合物の合成):
上記シクロヘキサノンビススピロノルボルネンを原料として、上記の方法や後述の実施例2で採用する方法と同様にして、シクロヘキサノンビススピロノルボルナン構造を有するジオールが合成され、IR、NMR、MSスペクトルによって、生成物は化学式(8)で表される脂環式ジオール化合物構造であることが確認できる。
(R、Rのいずれか一方は−OH、他方は−Hであり、R、Rのいずれか一方は−OH、他方は−Hである。)
<その他の実施形態>
(その他の脂環式ジオール化合物の合成):
一般式(1)において、シクロアルカノン環のn=4(シクロヘプタノン),n=5(シクロオクタノン)の場合も、上記の方法や後述の実施例の欄で採用する方法と同様にして、シクロヘプタノン型、シクロオクタノン型のビススピロノルボルナン構造を有する化合物を合成し、そのジアセトキシ化反応またはジホウ素化反応、その加水分解反応を経て、脂環式ジオールが合成される(このようにして、他の脂環式ジオールを合成することもできる。)。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下において、各実施例で得られた化合物の分子構造の同定は、IR測定機(日本分光株式会社製、商品名:FT/IR−460、FT/IR−4100)、NMR測定機(VARIAN社製、商品名:UNITY INOVA−600及び日本電子株式会社製JNM−Lambda500)、及びFD−MS測定機(日本電子株式会社製、商品名:JMS−700V)を用いて、IR、NMR及びFD−MSスペクトルを測定することにより行った。
(原料「シクロペンタノン型ビススピロシクロノルボルネン」の合成)
(合成例1)
<第一工程>
先ず、1Lの三口フラスコにジメチルアミン塩酸塩を30.86g(378.5mmol)添加した。次に、前記三口フラスコ中に、パラホルムアルデヒド12.3g(385mmol)と、エチレングリコール23.9g(385mmol)と、シクロペンタノン12.95g(154mmol)とを更に添加した。次いで、前記三口フラスコ中に、メチルシクロヘキサン16.2g(165mmol)を添加した後、35質量%塩酸0.4g(HCl:3.85mmol)を添加して第一混合液を得た。なお、前記第一混合液中の酸(HCl)の含有量は、シクロペンタノン中のケトン基に対して0.025モル当量(3.85[HClのモル量]/154[シクロペンタノンのモル量]=0.025)であった。
次いで、前記三口フラスコの内部を窒素置換し、常圧(0.1MPa)で前記三口フラスコ内の温度を85℃にして、前記第一混合液を8時間加熱攪拌して、下記化学式(5):
で表されるマンニッヒ塩基を含有する反応液を得た。
<第二工程>
次に、前記三口フラスコ中の前記反応液を50℃に冷却した後、前記三口フラスコ中の前記反応液に対してメタノール(250ml)と、50質量%ジメチルアミン水溶液4.17g(ジメチルアミン:46.2mmol)と、シクロペンタジエン30.5g(461.5mmol)とを添加し、第二混合液を得た。次いで、前記三口フラスコの内部を窒素置換し、常圧(0.1MPa)で前記三口フラスコ内の温度を65℃にして、前記第二混合液を65℃で5時間加熱撹拌して化合物を生成せしめた。
次いで、前記三口フラスコ内の前記第二混合液を、メチルシクロヘキサンとメタノールとの共沸により濃縮し、前記第二混合液から液体を100mL除去した。なお、このような液体100mLの除去により、前記第二混合液からメチルシクロヘキサンの大部分(濃縮前の前記第二混合液中のメチルシクロへキサンの全量に対して75質量%)が除去された。次に、このようなメチルシクロヘキサン除去後の前記第二混合液を−20℃の温度条件で12時間冷却して結晶を析出させた後、減圧濾過して結晶を得た。このようにして得られた結晶に対して、−20℃のメタノール20mLを用いて洗浄する工程を3回施した後、蒸発させることによりメタノールを除去し、生成物を17.4g得た(収率47%)。
このようにして得られた化合物の構造を確認するために、IR及びNMR(H−NMR及び13C−NMR)測定を行ったところ、下記化学式(6):
で表される5−ノルボルネン−2−スピロ−2’−シクロペンタノン−5’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネンであることが確認された。
<ボランによるヒドロホウ素化を経由する脂環式ジオール化合物の合成>
(実施例1)
200mL二口フラスコに、テトラヒドロフラン(100mL)及び下記化学式(6):
で表わされるノルボルネン化合物(4.8g、20.0mmol)を仕込んで混合液を得た後、前記容器を密閉して内部の雰囲気を窒素置換した。次に、前記容器を氷浴で冷却しながらボラン‐テトラヒドロフラン錯体(0.9mol/L、49mL、44mmol)を加え、20℃の温度条件で前記混合液を2時間攪拌して反応液を得た。次いで、前記容器を氷浴で冷却しながら水酸化ナトリウム溶液(2mol/L、15mL、30mmol)及び30質量%過酸化水素水(15mL)を加え、60℃の温度条件で3時間撹拌して反応液を得た。その後、ジエチルエーテル(50mL)を加え、飽和食塩水(50mL)で2回洗浄した。有機層に無水硫酸ナトリウムを加え、乾燥させたのち濾液をエバポレーターで濃縮して有機溶媒を留去して生成物を得た(収量5.28g、収率95.5%)。
このようにして得られた生成物中に含まれる化合物の構造確認のために、IR、NMR、FD−MS測定を行った。このような測定の結果として、IRスペクトルを図1に示し、H−NMR(CDOD)スペクトルを図2に示し、FD−MS測定のスペクトルを図3に示す。図1〜3に示す結果からも明らかなように、実施例1で得られた化合物は下記化学式(7):
(R、Rのいずれか一方は−OH、他方は−Hであり、R、Rのいずれか一方は−OH、他方は−Hである。)
で表されるビススピロノルボルナンジオール(目的化合物)であることが確認された。なお、図3に示すFD−MSスペクトルにおいては、上記化学式(7)で表される脂環式ジオール化合物に相当するピークが275(m/z:質量電荷比)の位置において確認された。
<ジアセトキシ化を経由する脂環式ジオール化合物の合成>
(実施例2)
(ジアセトキシ化合物の合成)
まず、多孔性の布としてポリフェニレンサルファイド(PPS)の織布(中尾フィルター工業株式会社製の商品名「PS9A」、マルチフィラメント糸からなる綾織の織布、1mあたりの質量:256g、平均厚み:0.42mm、通気性(JIS L 1096):12cm/cm・sec、引張強度(縦):>135daN/3cm、引張強度(横):>60daN/3cm、融点:240℃)を準備した。
なお、かかる多孔性の布の耐酸性を測定するため、前記多孔性の布から1cm角の試料を作成し、その試料を酢酸(20mL)中に120℃の温度条件で200時間浸漬した(耐酸性試験)。なお、かかる耐酸性試験は、容器として50mlナス型フラスコを用いて、雰囲気ガスとして空気を利用して、密閉した条件で行った。次いで、かかる耐酸性試験に用いた酢酸に対して、NMR分析、LC分析、GPC分析を行い、酢酸以外の成分がないか(前記試料に由来する成分の溶出がないか)確認した。このようなNMR分析、LC分析、GPC分析の結果、前記耐酸性試験において、酢酸中に前記試料に由来する成分が溶出していないことが確認され、前記多孔性の布は十分な耐酸性を有することが確認された。尚、前記LC分析においては、Agilent社製の測定装置(商品名:Infinity 1200)を用いた。LC分析で使用したカラムは「ORBAX SB−C18」であり、展開溶媒は水/アセトニトリル(70/30)混合溶媒を使用した。また、前記GPC分析においては、東ソー社製の測定装置(商品名:HLC−8220GPC)を用いた。
次に、前記多孔性の布を利用して、図4に示すような形状の筒(直径x1:20mm、長さy1:30mm)を形成した。次いで、触媒として酸型のイオン交換樹脂(オルガノ社製の商品名「アンバーライト200CT」、平均粒子径:0.60〜0.85mm)を5.8g([原料化合物(モル)]:[触媒(官能基(スルホ基)換算によるモル量)]=1:0.6)準備し、該触媒を前記筒の中心付近に置いた。その後、前記筒の両端(図4中、点線にて示す位置)を、該布と同様の材料(PPS)からなるマルチフィラメント糸により縫製することにより、図5に示すような楕円球状の容器(直径x2(短軸方向の長さ):20mm、長さy2(長軸方向の長さ):30mm)を形成した。このようにして、イオン交換樹脂からなる触媒を収容した、多孔性の布からなる容器(以下、「触媒充填袋」という。)を準備した。なお、前記容器に内部の全容量中に占める前記イオン交換樹脂の容積率は70%であった。
次いで、5−ノルボルネン−2−スピロ−2’−シクロペンタノン−5’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン(10.0g、41.6mmol)を酢酸(300g)中に溶解させた溶液を容量が500mLの還流管付きフラスコ中に入れ、更に、前述のようにして得られた前記触媒充填袋を、該袋と同様の材料からなる紐でフラスコ中に吊るして溶液中に浸した(なお、このようにして紐で吊るすことにより、マグネチックスターラでの撹拌時に触媒充填袋がフラスコの壁や撹拌棒に接触しないように固定した。)。次に、前記フラスコ内の前記溶液をマグネチックスターラで撹拌しながら、前記フラスコ内の温度が115℃になるように加熱して還流を0.5時間行った。このような還流工程後、115℃の加熱条件でリービッヒコンデンサーを用いて発生する蒸気を留去すると同時に滴下漏斗を用いて酢酸をフラスコ内に加えて、フラスコ内の液量が一定になるようにする工程を実施した。そして、このような工程において蒸気の留去を開始した後12時間経過した後、加熱を止めて工程を終了し、フラスコ内から前記触媒充填袋(触媒入りの容器)を取り出した。その後、フラスコ内の溶液から更に酢酸を留去することにより、褐色のオイルを得た。このオイルのNMR測定を行ったところ、得られた化合物は下記化学式(9):
(R、Rのいずれか一方はアセトキシ基、他方は−Hであり、R、Rのいずれか一方はアセトキシ基、他方は−Hである。)
で表わされる化合物(ジアセトキシ化合物)であることが確認された。なお、このような化合物のNMR測定の結果として、H−NMR(DMSO−d)スペクトルを図6に示す。
(脂環式ジオール化合物の合成)
得られた褐色のオイルにエタノール(100mL)、水酸化カリウム(18.7g)を純水(100mL)に溶かした溶液を加え、加熱して還流を9時間実施した。反応終了後、溶液を濃縮し、濃赤色のオイルを得た。このオイルを酢酸エチルと水で洗いながら分液ロートに移し、分液操作を行って、水層と酢酸エチル層に分けた。水層に対し、2回酢酸エチルで抽出操作を行い、酢酸エチル層を集めた。この酢酸エチル層に5%塩酸を加えて洗浄し、次いで、5%重層水を加えて洗浄を行った。洗浄後の酢酸エチル溶液に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥処理を実施し、ろ過を行い、ろ液を濃縮することで、褐色のオイルを得た。得られた化合物の分析を実施例1と同様に実施したところ、下記化学式(7):
(R、Rのいずれか一方は−OH、他方は−Hであり、R、Rのいずれか一方は−OH、他方は−Hである。)
で表わされるビススピロノルボルネンジオール(目的化合物)であることが確認された。
本発明に係るビススピロノルボルナン構造を有する脂環式ジオール化合物は、高度の透明性と耐熱性とを有する高分子材料の製造用モノマーとして有用である。また、これら化合物は、耐熱性高分子材料として使用されている他の多官能性化合物と比較して、有機溶媒への溶解性を有しており、前記高分子材料の製造工程において取扱い易く、また、医農薬等各種有用化合物の反応中間体としても応用される可能性がある。

Claims (14)

  1. 下記一般式(1)で表される脂環式ジオール化合物。
    (一般式(1)中、R、Rのいずれか一方は−OH、他方は−Hであり、R、Rのいずれか一方は−OH、他方は−Hであり、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは2〜5の整数を示す。)
  2. 前記一般式(1)において、n=2または3である、請求項1記載の脂環式ジオール化合物。
  3. 前記一般式(1)において、n=2である、請求項1記載の脂環式ジオール化合物。
  4. 下記一般式(2)で表されるビススピロノルボルネン構造を有する化合物中の二つの炭素−炭素不飽和結合に酢酸を付加させてジアセトキシ化して、下記一般式(3)で表される脂環式ジアセトキシ化合物を得、当該化合物中のアセトキシ基を加水分解することにより、下記一般式(1)で表されるビススピロノルボルナン構造を有する脂環式ジオール化合物を得る、下記一般式(1)で表されるビススピロノルボルナン構造を有する脂環式ジオール化合物の製造方法。
    (一般式(2)中、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは2〜5の整数を示す。)
    (一般式(3)中、R、Rのいずれか一方はアセトキシ基、他方は−Hであり、R、Rのいずれか一方はアセトキシ基、他方は−Hであり、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは2〜5の整数を示す。)
    (一般式(1)中、R、Rのいずれか一方は−OH、他方は−Hであり、R、Rのいずれか一方は−OH、他方−Hであり、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは2〜5の整数を示す。)
  5. 上記一般式(3)を経由して得られる上記一般式(1)において、n=2または3である、請求項4記載の脂環式ジオール化合物の製造方法。
  6. 上記一般式(3)を経由して得られる上記一般式(1)において、n=2である、請求項4記載の脂環式ジオール化合物の製造方法。
  7. 下記一般式(3)で表される脂環式ジアセトキシ化合物。
    (一般式(3)中、R、Rのいずれか一方はアセトキシ基、他方は−Hであり、R、Rのいずれか一方はアセトキシ基、他方は−Hであり、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは2〜5の整数を示す。)
  8. 前記一般式(3)において、n=2または3である、請求項7記載の脂環式アセトキシ化合物。
  9. 前記一般式(3)において、n=2である、請求項7記載の脂環式アセトキシ化合物。
  10. 下記一般式(2)で表されるビススピロノルボルネン構造を有する化合物中の二つの炭素−炭素不飽和結合にボランを付加させてヒドロホウ素化して、下記一般式(4)で表される脂環式ジホウ素化合物を得、当該化合物中のジホウ素基を酸化することにより、下記一般式(1)で表されるビススピロノルボルナン構造を有する脂環式ジオール化合物を得る、下記一般式(1)で表されるビススピロノルボルナン構造を有する脂環式ジオール化合物の製造方法。
    (一般式(2)中、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは2〜5の整数を示す。)
    (一般式(4)中、R、Rのいずれか一方は−BR基(Rはアルキル基または−H)、他方は−Hであり、R、Rのいずれか一方は−BR基(Rはアルキル基または−H)、他方は−Hであり、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは2〜5の整数を示す。)
    (一般式(1)中、R、Rのいずれか一方は−OH、他方は−Hであり、R、Rのいずれか一方は−OH、他方−Hであり、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは2〜5の整数を示す。)
  11. 上記一般式(4)を経由して得られる上記一般式(1)において、n=2または3である、請求項10記載の脂環式ジオール化合物の製造方法。
  12. 上記一般式(4)を経由して得られる上記一般式(1)において、n=2である、請求項10記載の脂環式ジオール化合物の製造方法。
  13. 塩基と酸化剤を用いて酸化反応を行う、請求項10乃至12の何れかに記載の脂環式ジオール化合物の製造方法。
  14. 請求項1乃至請求項3の何れかに記載の脂環式ジオール化合物からなる、高分子材料の製造用モノマー。
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