JPWO2014050788A1 - カルボン酸無水物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

下記一般式(1):[化1][式(1)中、R1は、少なくとも隣接する2つの炭素原子を有する4価の有機基であり、該隣接する2つの炭素原子に式:−COOR2及び−COOR3で表わされる基がそれぞれ結合されており、R2、R3は、それぞれ水素原子等を示し、Xは水素原子等を示し、Yは水素原子等を示す。]で表わされる原料化合物を、不均一系触媒を用いて、炭素数1〜5のカルボン酸中において加熱することにより、カルボン酸無水物を得るカルボン酸無水物の製造方法であって、前記不均一系触媒が、多孔性の布からなる触媒を収容するための容器中に収容されており、前記多孔性の布が、耐熱性及び耐酸性を有する材料からなる布である、カルボン酸無水物の製造方法。

Description

本発明は、カルボン酸無水物の製造方法に関する。
カルボン酸無水物は、ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド等の原料や熱硬化性樹脂の硬化剤等として利用されている。このようなカルボン酸無水物を製造する方法としては様々な方法が知られており、例えば、特開平5−140141号公報(特許文献1)においては、不均一系触媒(例えば、酸性イオン交換樹脂等)を利用して、低級カルボン酸中において、下記一般式(A):
[一般式(A)中、Rは2〜4価の有機基であり、Zは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は−COOR基であり、Zは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は−COOR基であり、ここでR〜Rは同一又は異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。]
で表されるカルボン酸又はカルボン酸エステルを加熱することにより、カルボン酸無水物を製造する方法が開示されている。なお、このような特許文献1においては、前記カルボン酸無水物を製造する方法により、原料化合物として特にカルボン酸エステルを用いた場合には、そのカルボン酸エステル中のエステル基のカルボン酸分解反応及びそれに続く酸無水物化反応といった二つの反応を一工程で併せて実施することができる旨が開示されている。
特開平5−140141号公報
しかしながら、特許文献1に記載のような方法を利用した場合には、一般にカルボン酸無水物が溶媒(低級カルボン酸)に対する溶解性に乏しいものであるため、前述の酸無水物化反応により酸無水物が製造されると、酸無水物の結晶が析出する現象が起こり、結晶状態で存在する生成物と不均一系触媒(例えばイオン交換樹脂等)とが共存する状態(混合物の状態)となるため、酸無水物の製造後に前記混合物(生成物)から反応に利用した不均一系触媒を除去する必要があった。一方、生成物と不均一系触媒との分離は極めて困難であり、実験室的に(ラボレベルで)熱時濾過により不均一系触媒を分離する方法を採用することが可能であるに過ぎなかった。なお、このような熱時濾過により不均一系触媒を分離する方法は、カルボン酸無水物が反応性の高い化合物であるため、使用できる溶媒が限られるばかりか、カルボン酸無水物が溶媒への溶解性に乏しいものであるため、大量の溶媒を使用する必要があり、工業的に実施することが困難な方法である。このように、特許文献1に記載のような方法において不均一系触媒を利用した場合には、工業的にカルボン酸無水物を効率よく製造することはできなかった。一方、特許文献1に記載のような方法においては、p−トルエンスルホン酸等の均一系触媒を利用することも提案されているが、このような均一系触媒を利用した場合には、生成物に着色が見られ、着色の無いカルボン酸無水物を効率よく製造することはできなかった。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、不均一系触媒を利用しながら、不均一系触媒とカルボン酸無水物の結晶との分離を効率よく行うことができ、結晶本来の色に対して着色の無いカルボン酸無水物を効率よく製造することが可能なカルボン酸無水物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、下記一般式(1)で表わされる原料化合物を、不均一系触媒を用いて、炭素数1〜5のカルボン酸中において加熱することによりカルボン酸無水物を得るカルボン酸無水物の製造方法において、前記不均一系触媒を、多孔性の布からなる触媒を収容するための容器中に収容しつつ、前記多孔性の布を耐熱性及耐酸性を有する材料からなるものとすることにより、不均一系触媒を利用しながら、不均一系触媒とカルボン酸無水物の結晶の分離を効率よく行うことが可能となり、これにより結晶本来の色に対して着色の無いカルボン酸無水物を効率よく製造することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、化合物を製造する方法において反応に利用する触媒を容器に収容することは、一般に、触媒と反応物との接触性が阻害されて却って反応効率が低下して収率が低下するものと考えられるものの、本発明者らが上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、上述のような耐熱性及耐酸性を有する材料からなる多孔性の布により形成された容器を利用することにより、本発明のカルボン酸無水物の製造方法に利用される反応系(炭素数1〜5のカルボン酸中において加熱するような反応系)においては、驚くべきことに、十分に高い収率でカルボン酸無水物が製造されることを見出し、これにより、不均一系触媒とカルボン酸無水物の結晶の分離を効率よく行うことが可能となることを見出して、本発明を完成するに至った。
本発明のカルボン酸無水物の製造方法は、下記一般式(1):
[式(1)中、Rは、少なくとも隣接する2つの炭素原子を有する4価の有機基であり、該隣接する2つの炭素原子に式:−COOR及び−COORで表わされる基がそれぞれ結合されており、
、Rは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数7〜20のアラルキル基よりなる群から選択される1種を示し、
Xは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基及び式:−COOR(Rは前記Rと同義であり、Rと同一であっても異なっていてもよい。)で表わされる基よりなる群から選択される1種を示し、
Yは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基及び式:−COOR(Rは前記Rと同義であり、Rと同一であっても異なっていてもよい。)で表わされる基よりなる群から選択される1種を示す。]
で表わされる原料化合物を、不均一系触媒を用いて、炭素数1〜5のカルボン酸中において加熱することにより、カルボン酸無水物を得るカルボン酸無水物の製造方法であって、
前記不均一系触媒が、多孔性の布からなる触媒を収容するための容器中に収容されており、
前記多孔性の布が、耐熱性及び耐酸性を有する材料からなる布である、方法である。
上記本発明のカルボン酸無水物の製造方法においては、前記多孔性の布が、下記条件(A)及び(B):
(A)前記材料が非晶性樹脂材料以外の材料である場合には融点が150℃以上であり、前記材料が非晶性樹脂材料である場合にはガラス転移点が150℃以上であること。
(B)該布から1cm角の試料を作成して該試料を酢酸中に120℃の温度条件で200時間浸漬する耐酸性試験において該試料に由来する成分が溶出しないこと。
を満たす耐熱性及び耐酸性を有する材料からなる布であることが好ましい。
上記本発明のカルボン酸無水物の製造方法においては、前記多孔性の布が、JIS L 1096に記載の測定方法により求められる通気性が2cm/cm・sec以上のものであることが好ましい。
また、上記本発明のカルボン酸無水物の製造方法においては、前記多孔性の布の材料は耐熱性及び耐酸性を有する材料であれば、樹脂材料であっても或は無機材料であってもよいが、中でも、樹脂材料であることが好ましい。
さらに、上記本発明のカルボン酸無水物の製造方法においては、前記原料化合物が下記一般式(2):
[式(2)中、R、R、R、Rは上記一般式(1)において説明したR、R、R、Rと同義であり、R、R、Rは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは0〜12の整数を示す。]
で表わされるスピロ化合物であることが好ましい。
また、上記本発明のカルボン酸無水物の製造方法においては、前記不均一系触媒がイオン交換樹脂であることが好ましい。
本発明によれば、不均一系触媒を利用しながら、不均一系触媒とカルボン酸無水物の結晶との分離を効率よく行うことができ、結晶本来の色に対して着色の無いカルボン酸無水物を効率よく製造することが可能なカルボン酸無水物の製造方法を提供することが可能となる。
実施例1等において形成された、多孔性の布からなる触媒を収容するための容器の前駆体の形状(実施例2〜3においては触媒を収容するための容器の前駆体の開口部を開いた場合の形状)を模式的に示す模式図である。 実施例1において利用された多孔性の布からなる触媒を収容するための容器を模式的に示す模式図である。 実施例1で得られた化合物のH−NMR(DMSO−d)スペクトルを示すグラフである。 実施例1で得られた化合物の13C−NMR(DMSO−d)スペクトルを示すグラフである。 実施例2〜3において利用された多孔性の布からなる触媒を収容するための容器を模式的に示す模式図である。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明のカルボン酸無水物の製造方法は、下記一般式(1):
[式(1)中、Rは、少なくとも隣接する2つの炭素原子を有する4価の有機基であり、該隣接する2つの炭素原子に式:−COOR及び−COORで表わされる基がそれぞれ結合されており、
、Rは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数7〜20のアラルキル基よりなる群から選択される1種を示し、
Xは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基及び式:−COOR(Rは前記Rと同義であり、Rと同一であっても異なっていてもよい。)で表わされる基よりなる群から選択される1種を示し、
Yは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基及び式:−COOR(Rは前記Rと同義であり、Rと同一であっても異なっていてもよい。)で表わされる基よりなる群から選択される1種を示す。]
で表わされる原料化合物を、不均一系触媒を用いて、炭素数1〜5のカルボン酸中において加熱することにより、カルボン酸無水物を得るカルボン酸無水物の製造方法であって、
前記不均一系触媒が、多孔性の布からなる触媒を収容するための容器中に収容されており、
前記多孔性の布が、耐熱性及び耐酸性を有する材料からなる布である、方法である。
本発明に用いる触媒を収容するための容器は、多孔性の布からなるものである。このような多孔性の布は、耐熱性及び耐酸性を有する材料からなる布である。ここにいう「耐熱性」とは、前記材料が非晶性樹脂材料以外の材料である場合にはカルボン酸無水物を製造する際に実際に選択される加熱温度において溶融しないような性質を有すること、言い換えれば、カルボン酸無水物を製造する際に原料化合物等の種類に応じて実際に選択される加熱温度よりも高い融点を有することをいい、また、前記材料が非晶性樹脂材料(非晶性高分子)である場合にはカルボン酸無水物を製造する際に原料化合物等の種類に応じて実際に選択される加熱温度よりも高いガラス転移点を有することをいう(このように多孔性の布の材料が非晶性樹脂材料である場合は、非晶性樹脂材料がガラス転移点のみが検出され、融点が検出されない特性を有する樹脂材料であるため、ガラス転移点が融点に代わる指標となる)。なお、このようなカルボン酸無水物を製造する際に選択される加熱温度は、カルボン酸無水物を製造する際に利用される原料化合物等の種類に応じて適宜採用される加熱温度が異なるものであるため、その加熱温度に応じて該温度で溶融や熱分解しないような性質を有する材料からなる布を適宜選択すればよい。このような耐熱性を有さない材料を用いた場合には、カルボン酸無水物を得る工程において加熱により容易に容器が変形あるいは劣化してしまい、結果として不均一系触媒が容器の外部に流出して触媒と生成物との分離を効率よく行うことができなくなったり、容器を形成する材料の溶融した成分と原料化合物とが反応して副生成物が形成されたりして、目的とするカルボン酸無水物を効率よく製造することができなくなる。
また、このような耐熱性を有する多孔性の布を形成する材料としては、より効率よく高度な耐熱性を発揮させるという観点から、前記材料が非晶性樹脂材料以外の材料である場合には融点が150℃以上であり、前記材料が非晶性樹脂材料である場合にはガラス転移点が150℃以上のものであること(耐熱性に関する好適な条件(以下、場合により単に「条件(A)」という。))が好ましい。すなわち、耐熱性を有する材料としては、前記融点(前記材料が非晶性樹脂材料以外の材料である場合)または前記ガラス転移点(前記材料が非晶性樹脂材料である場合)が150℃以上となるような耐熱性を有する材料を利用することが好ましい。このような材料の前記融点又は前記ガラス転移点が前記下限未満では、容器を形成する材料の耐熱性が十分なものとならず、目的とするカルボン酸無水物を効率よく製造することができなくなる傾向にある。また、このような材料の前記融点または前記ガラス転移点は、加熱時に採用する加熱温度を考慮しながら、上記条件(A)を満たす材料の中から適宜好適な材料を選択して用いることが好ましい。なお、このような融点またはガラス転移点は例えばDSC測定(示差走査熱量測定)をすることによって確認できる。
また、前記多孔性の布を形成するための材料においては、前記材料が非晶性樹脂材料以外の材料である場合には融点が180℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることが更に好ましく、また、前記材料が非晶性樹脂材料である場合にはガラス転移点が180℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることが更に好ましい。このような材料の前記融点または前記ガラス転移点が前記温度範囲内にある場合には、より高度な耐熱性が得られるため、より効率よく容器の変形(劣化)や容器を形成する材料の溶解を防止でき、より効率よくカルボン酸無水物を製造できる傾向にある。
前記多孔性の布を形成する材料は、前記耐熱性とともに耐酸性を有する必要がある。このような耐酸性を有する材料としては、前記多孔性の布から1cm角の試料を作成して該試料を酢酸中に120℃の温度条件で200時間浸漬する耐酸性試験において該試料に由来する成分が溶出しないことといった条件(耐酸性に関する好適な条件(以下、場合により単に「条件(B)」という。))を満たすものが好ましい。すなわち、前記多孔性の布を形成する材料としては、前記耐酸性試験において成分が溶出しないような耐酸性を有する材料であることが好ましい。なお、このような耐酸性試験においては酢酸の使用量は20mLとする。また、かかる耐酸性試験は、容器として50mlナス型フラスコを用いて、雰囲気ガスとして空気を利用して、密閉した条件で行う。このような耐酸性試験において前記材料(試料)に由来する成分が溶出してしまう場合には、材料の耐酸性が不十分でカルボン酸無水物を得る工程において容器の成分が溶解してしまい、結果として不均一系触媒が容器の外部に流出して触媒と生成物との分離を効率よく行うことができず、更には、溶出した成分と原料化合物とが反応するなどして副生成物が形成され、目的とするカルボン酸無水物を効率よく製造することができなくなる。なお、前記試料に由来する成分が溶出しているか否かは、耐酸性試験に利用した酢酸の組成の変化をNMR分析、LC分析、GPC分析により測定し、不純物の溶出がないことを確認することにより求めることができる。なお、このようなNMR分析においては、例えば、測定装置としてAgilent(Varian)社製の商品名「INOVA600」を用い、周波数600MHz、積算回数32回の条件を採用することにより成分分析を行う方法を採用してもよい。また、前記LC分析においては、例えば、測定装置としてAgilent社製の商品名「Infinity 1220」を用い、カラム:ZORBAX SB−C18、展開溶媒:水/アセトニトリル=70/30の条件を採用することにより成分分析を行う方法を採用してもよい。更に、前記GPC分析においては、例えば、測定装置としてTOSOH社製の商品名「HLC−8220GPC」を用い、カラム:TSKgel SuperMultiporeHZ、調温部40℃の条件を採用することにより成分分析を行う方法を採用してもよい。また、このような材料としては、上記耐酸性試験における温度条件を150℃に変更した場合においても前記材料(試料)に由来する成分が溶出しないようなものを用いることがより好ましい。なお、このような条件(B)を満たすような耐酸性を有する材料は、カルボン酸中において加熱しても十分な耐性を有するものであるといえる。
このように、前記多孔性の布としては、上記条件(A)及び(B)を満たすような耐熱性及び耐酸性を有する材料からなる布を利用することが好ましい。
また、このような多孔性の布を形成する具体的な材料としては、前述のような耐熱性及び耐酸性を有するものであればよく、特に制限されず、樹脂材料であっても無機材料であってもよい。このような樹脂材料としては、例えば、ポリフェニレンスルファイド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリアリレート、芳香族ポリアミド、シクロオレフィンポリマー、エチレン−ノルボルネン共重合体等の樹脂が挙げられる。また、前記無機材料としては、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、カーボンファイバー、カーボンナノファイバー、ボロン繊維、ポリフォスファゼン繊維等が挙げられる。このような多孔性の布を形成する材料としては、容器に加工する際の設計自由度等の観点から、樹脂材料であることが好ましく、結晶性樹脂材料であることがより好ましく、ポリフェニレンスルファイド、ポリテトラフルオロエチレンであることが更に好ましく、ポリフェニレンスルファイドが特に好ましい。
また、このような多孔性の布に形成されている孔は、不均一系触媒が容器から流出しないような大きさを有していればよく、用いる不均一系触媒の大きさに応じて、その孔の大きさを適宜変更することができる。また、このような多孔性の布としては、特に制限されず、糸状の材料を織って形成した織布、繊維状の材料からなる不織布、不織布や樹脂シートにニードルパンチなどにより孔を形成した布であってもよく、酢酸中において不均一系触媒と反応物質との接触が可能となるような孔が形成されている布を適宜利用することができる。
また、このような多孔性の布としては、表面に微小な凹凸が形成されて、容器の表面上に結晶が析出した際に、容器から結晶をより容易に回収できる(容器に結晶がこびりつくことをより容易に防止できる)という観点から、糸状の材料を織って形成した織布であることが好ましい。このような材料の糸としては特に制限されず、マルチフィラメント糸、短繊維紡績糸、モノフィラメント糸等、公知の形状の前記材料からなる糸を適宜利用することができる。さらに、前記多孔性の布として織布を用いる場合、平織、綾織、繻子織、模紗織等の公知の構造をとるものでもよく、特に制限されないが、入手が容易で且つ、多孔布としての性能である、ケーキ(ろ滓)剥離性、目詰まり抵抗性のバランスの取れた、綾織のものや、平織のものを利用することがより好ましい。なお、このように、多孔性の布として織布を用いる場合、例えば、網目状に織った織布(いわゆるメッシュクロス等:例えば、前記樹脂材料のモノフィラメント糸を平織等で織って所望の目開き等を有する多孔性の布としたもの等)を利用してもよい。
また、前記多孔性の布の細孔の状態は、孔の形状や大きさが複雑であるため、通気性により確認することが好ましい。このような多孔性の布の通気性としては、JIS L 1096(2010年)に記載の測定方法により求められる通気性の値(単位:cm/cm・sec)が2以上であることが好ましく、12以上であることがより好ましい。このような通気性の値が前記下限未満では反応液と、容器(例えば袋)内の触媒との接触効率が低下する傾向にある。なお、このような多孔性の布は、反応中に容器から不均一系触媒が流出しないような大きさの孔を有しているものであればよく、前記布の通気性の上限値は特に制限されるものではない。
なお、このような多孔性の布の孔(目)としては、反応中に容器から不均一系触媒が流出しないように、布の目開きの最大の部分が不均一系触媒の最小粒子よりも小さいことがより好ましく、更には、0.01〜0.50mm程度の目開きの数値範囲内から、布の目開きの最大の部分が不均一系触媒の使用粒子の中の最小粒子よりも小さくなるように選択することが好ましい。また、このような多孔性の布の孔(目)の目開きの数値範囲としては、0.20〜0.40mmであることがより好ましい。このような目開きの大きさが前記下限未満では反応液と、容器(例えば袋)内の触媒との接触効率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、容器(例えば袋)内で反応中に粒子同士の衝突等により粉砕された触媒の一部が袋の外へ出てしまい、反応系中に共存してしまう傾向にある。
また、このような多孔性の布としては、その素材や、使用する不均一系触媒の種類等によっても異なるものであり、一概には言えないが、1インチあたりのメッシュ数(目数)が30〜100メッシュのものを好適に用いることができ、50〜80メッシュのものをより好適に用いることができる。このようなメッシュ数が前記下限未満では反応液と、容器(例えば袋)内の触媒との接触効率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると容器(例えば袋)内で反応中に粒子同士の衝突等により粉砕された触媒の一部が袋の外へ出てしまい、反応系中に共存してしまう傾向にある。
また、このような多孔性の布の孔(目)を形成する材料の平均線径は、その布の種類等によっても異なるものであり、特に制限されるものではないが、0.12〜0.19mmであることが好ましく、0.15〜0.16mmであることがより好ましい。このような平均線径が前記下限未満では布を容器(例えば袋)として成型した際に強度が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると通気性が低下して、反応液と容器(例えば袋)内の触媒との接触効率が低下する傾向にある。
さらに、前記多孔性の布としては、1mあたりの重さが200〜400gのものが好ましく、250〜300gのものがより好ましい。このような布の重さ(g/m)が前記下限未満では布の強度が小さくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると厚みが大きくなり、触媒と原料との接触効率が低下する傾向にある。
また、このような多孔性の布の平均厚みは、0.05〜0.5mmであることが好ましく、0.15〜0.45mmであることがより好ましい。このような平均厚みが前記下限未満では強度が脆くなるため、複数回の再使用により容器(例えば袋)が劣化、破損し易くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると通気性の減少と布の厚みの増加により、触媒と反応溶液との接触効率の低下が生じる傾向にある。
また、このような多孔性の布としては、一般的な化合物の合成において、生成化合物を濾過して分離する際に利用する、いわゆる濾布(前記耐熱性及び耐酸性を有する材料からなる濾布)を利用することが好ましい。一般的に、濾布は、生成物を回収するため、濾別したろ滓を濾布と容易に分離できるような微小な凹凸などが形成されたものからなるため、そのような性質を有する濾布を利用することで、より効率よく生成物と触媒の分離を行うことが可能となる。
また、このような多孔性の布としては、前記耐熱性及び耐酸性を有する材料からなる布であればよく、公知の方法により製造した布を適宜利用してもよく、或は、市販の濾布(例えば、中尾フィルター工業株式会社製の商品名「PS9A」や「PS10DN2」)や、市販のメッシュクロス(例えば、NBCメッシュテック社製の商品名「PPSP50」や「PPSP60」、グンゼ社製の商品名「NET」等)等を適宜利用してもよい。
また、このような多孔性の布からなる触媒を収容するための容器の形状としては、前記不均一系触媒を収容することが可能な形状であればよく、特に制限されず、例えば、袋状のものであっても箱状のものであってもよく、中でも、袋状のものを用いることが好ましい。また、このような容器の具体的な形状としては、例えば、球状、楕円球状、封筒形状、正八面体形状(ティーバッグ型)等の袋の形状等としてもよい。また、このような触媒を収容するための容器は、容器内で触媒が互いに凝集することを防止するために、その容器内に前記多孔性の布により小部屋を設けてもよい。
さらに、前記触媒を収容するための容器の容量としては、反応容器(前記原料化合物、前記低級カルボン酸及び前記収容容器の混合物を導入して反応を進行させるための容器)のスケールに応じて適宜調整できるものであり、一概には言えないが、例えば、反応容器が100mlスケールの場合は0.5〜0.15cmであることが好ましく、0.7〜1.0cmであることがより好ましい。このような容量が前記下限未満では触媒と反応溶液との接触効率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると布の表面積が大きい分、生成した結晶がこびりつく面積が増加し、収率の低下に繋がる傾向にある。
なお、前記触媒を収容するための容器は、反応容器の形状、大きさ等に応じて、1つのみ用いてもよく、あるいは、複数用いてもよい。
また、本発明に用いる原料化合物は、下記一般式(1):
[式(1)中、Rは、少なくとも隣接する2つの炭素原子を有する4価の有機基であり、該隣接する2つの炭素原子に式:−COOR及び−COORで表わされる基がそれぞれ結合されており、
、Rは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数7〜20のアラルキル基よりなる群から選択される1種を示し、
Xは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基及び式:−COOR(Rは前記Rと同義であり、Rと同一であっても異なっていてもよい。)で表わされる基よりなる群から選択される1種を示し、
Yは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基及び式:−COOR(Rは前記Rと同義であり、Rと同一であっても異なっていてもよい。)で表わされる基よりなる群から選択される1種を示す。]
で表わされる化合物(カルボン酸化合物又はカルボン酸エステル化合物)である。
このような一般式(1)中のRは、少なくとも隣接する2つの炭素原子を有する4価の有機基である。すなわち、前記Rは少なくとも隣接する2つの炭素原子を有し且つ式:X、Y、COOR、COORで表わされる基と結合するための4つの結合手を有する4価の有機基であればよく、特に制限されるものではなく、例えば、ヘテロ原子を有していてもよい4価の鎖状の飽和炭化水素基、ヘテロ原子を有していてもよい4価の環状の飽和炭化水素基、ヘテロ原子を有していてもよい4価の鎖状の不飽和炭化水素基、ヘテロ原子を有していてもよい4価の環状の不飽和炭化水素基等が挙げられる。また、このようなRとしては、例えば、下記一般式(101)〜(115):
[式(101)〜(115)中、*1は式(1)中のCOORに結合する結合手を示し、*2は式(1)中のCOORに結合する結合手を示し、*3は式(1)中のXに結合する結合手を示し、*4は式(1)中のYに結合する結合手を示し、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは0〜12の整数を示し、mは0〜5の整数を示す。]
で表わされる有機基を好適に利用してもよい。
このような一般式(101)〜(115)中のRとして選択され得るアルキル基の炭素数は1〜10である。このようなアルキル基の炭素数が前記上限を超えると、製造および精製が困難となる傾向にある。また、このようなRとして選択され得るアルキル基の炭素数としては、製造および精製の容易さという観点から、1〜5であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。また、このようなRとして選択され得るアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。また、前記一般式(101)〜(115)中のRとしては、製造および精製の容易さという観点から、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であることがより好ましく、中でも、原料の入手が容易であることや精製がより容易であるという観点から、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基又はイソプロピル基であることがより好ましく、水素原子又はメチル基であることが特に好ましい。また、このような式中の複数のRは製造および精製の容易さ等の観点から、同一のものであることが特に好ましい。
また、このような一般式(101)〜(115)中のR、Rとして選択され得る炭素数1〜10のアルキル基は、Rとして選択され得る炭素数1〜10のアルキル基と同様のものである。このようなR、Rとして選択され得る置換基としては、原料化合物の製造および精製の容易さの観点から、上記置換基の中でも、水素原子、炭素数1〜10(より好ましくは1〜5、更に好ましくは1〜3)のアルキル基が好ましく、水素原子又はメチル基であることが特に好ましい。
また、前記一般式(101)〜(115)中のnは0〜12の整数を示す。このようなnの値が前記上限を超えると、前記一般式(101)〜(115)で表される原料化合物の精製が困難になる。また、このような一般式(101)〜(115)中のnの数値範囲の上限値は、原料化合物の精製がより容易となるといった観点から、5であることがより好ましく、3であることが特に好ましい。また、このような一般式(101)〜(115)中のnの数値範囲の下限値は、原料の安定性の観点から、1であることがより好ましく、2であることが特に好ましい。このように、一般式(101)〜(115)中のnとしては、2〜3の整数であることが特に好ましい。
さらに、前記一般式(106)〜(111)中のmは0〜5の整数を示す。このようなmの値が前記上限を超えると、前記一般式(106)〜(111)で表される化合物の製造および精製が困難になる。また、このような一般式(106)〜(111)中のmの数値範囲の上限値は、製造および精製の容易さの観点から、3であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。また、このような一般式(106)〜(111)中のmの数値範囲の下限値は、製造および精製の容易さの観点から、0であることが特に好ましい。このように、一般式(106)〜(111)中のmとしては、0〜1の整数であることが特に好ましい。
また、前記一般式(1)で表される化合物において、R、Rは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数7〜20のアラルキル基よりなる群から選択される1種を示す。
このような一般式(1)中のR、Rとして選択され得るアルキル基は炭素数が1〜10のアルキル基である。このようなアルキル基の炭素数が10を超えると、精製が困難となる。また、このようなR、Rとして選択され得るアルキル基の炭素数としては、精製がより容易となるという観点から、1〜5であることがより好ましく、1〜3であることが更に好ましい。また、このようなR、Rとして選択され得るアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
また、前記一般式(1)中のR、Rとして選択され得るシクロアルキル基は、炭素数が3〜10のシクロアルキル基である。このようなシクロアルキル基の炭素数が10を超えると精製が困難となる。また、このようなR、Rとして選択され得るシクロアルキル基の炭素数としては、精製がより容易となるという観点から、3〜8であることがより好ましく、5〜6であることが更に好ましい。
さらに、前記一般式(1)中のR、Rとして選択され得るアルケニル基は、炭素数が2〜10のアルケニル基である。このようなアルケニル基の炭素数が10を超えると、精製が困難となる。また、このようなR、Rとして選択され得るアルケニル基の炭素数としては、精製がより容易となるという観点から、2〜5であることがより好ましく、2〜3であることが更に好ましい。
また、前記一般式(1)中のR、Rとして選択され得るアリール基は、炭素数が6〜20のアリール基である。このようなアリール基の炭素数が20を超えると精製が困難となる。また、このようなR、Rとして選択され得るアリール基の炭素数としては、精製がより容易となるという観点から、6〜10であることがより好ましく、6〜8であることが更に好ましい。
また、前記一般式(1)中のR、Rとして選択され得るアラルキル基は、炭素数が7〜20のアラルキル基である。このようなアラルキル基の炭素数が20を超えると精製が困難となる。また、このようなR、Rとして選択され得るアラルキル基の炭素数としては、精製がより容易となるという観点から、7〜10であることがより好ましく、7〜9であることが更に好ましい。
さらに、前記一般式(1)中のR、Rとしては、精製がより容易となるという観点から、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、アリル基、フェニル基又はベンジル基であることが好ましく、メチル基であることが特に好ましい。なお、前記一般式(1)中のR、Rは同一のものであっても異なっていてもよいが、合成上の観点からは、同一のものであることがより好ましい。
また、前記一般式(1)で表わされる化合物において、式:−COOR及び−COORで表わされる基は、前記4価の有機基中の隣接する2つの炭素原子にそれぞれ結合されている必要がある。すなわち、Rが前記一般式(101)〜(115)で表わされる有機基である場合を例にして説明すると、前記原料化合物は、各有機基中の隣接する炭素に結合する各結合手(例えば*1及び*2)に、それぞれ式:COORで表わされる基及び式:COORで表わされる基が結合したものとなる。このように、前記原料化合物としては、隣接する2つの炭素原子に式:−COOR及び−COORで表わされる基がそれぞれ導入されているものを用いる必要があり、これにより、酸無水物を形成することが可能となる。
また、前記一般式(1)において、前記Xは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基及び式:−COOR(Rは前記Rと同義であり、Rと同一であっても異なっていてもよい。)で表わされる基よりなる群から選択される1種を示す。
このような一般式(1)中のXとして選択され得るアルキル基の炭素数が前記上限を超えると、製造および精製が困難となる傾向にある。また、このようなXとして選択され得るアルキル基の炭素数としては、製造および精製の容易さという観点から、1〜6であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。また、このようなXとして選択され得るアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
また、前記一般式(1)中のXとして選択され得るアルケニル基の炭素数が前記上限を超えると、製造および精製が困難となる傾向にある。また、このようなXとして選択され得るアルケニル基の炭素数としては、製造および精製の容易さという観点から、2〜6であることが好ましく、2〜4であることがより好ましい。また、このようなXとして選択され得るアルケニル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
また、前記一般式(1)中のXとして選択され得る式:−COORで表わされる基において、前記Rは前記Rと同様のもの(水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数7〜20のアラルキル基よりなる群から選択される1種)であり、その好適なものも前記Rと同様のものである。
このようなXとしては、式:−COOMe、−COOEtで表わされる基であることがより好ましい。
また、前記一般式(1)において、前記Yは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基及び式:−COOR(Rは前記Rと同義であり、Rと同一であっても異なっていてもよい。)で表わされる基よりなる群から選択される1種を示す。このような式(1)中のYとして選択され得る炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基は、前記Xにおいて説明したものと同様のものである。また、前記一般式(1)中のYとして選択され得る式:−COORで表わされる基において、前記Rは前記Rと同様のもの(水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数7〜20のアラルキル基よりなる群から選択される1種)であり、その好適なものも前記Rと同様のものである。このようなYとしては、式:−COOMe、−COOEtで表わされる基であることがより好ましい。
また、上記一般式(1)で表わされる原料化合物において、式:−COOR及び/又は−COORで表わされる基を含む場合において、R、R、R、Rはそれぞれ同一のものであっても異なっていてもよいが、その原料化合物の合成上の観点からは、同一のものであることがより好ましい。
また、前記一般式(1)で表わされる原料化合物においては、製造および精製の容易さの観点から、X及びYはそれぞれ式:−COORで表わされる基及び−COORで表わされる基であることが好ましい。このように、前記一般式(1)で表わされる原料化合物としてはテトラカルボン酸化合物又はテトラカルボン酸エステル化合物であることが好ましい。
また、このような一般式(1)で表わされる原料化合物としては、例えば、下記一般式(1−1)〜(1−16):
[式中、R、Rは上記一般式(1)において説明したR、Rと同義である。]
で表わされる化合物(式(1)中のX及びYが共に水素原子の場合の化合物の例)、下記一般式(1−17)〜(1−19):
[式中、R、Rは上記一般式(1)において説明したR、Rと同義である。]
で表わされる化合物(式(1)中のX及びYの一方が水素原子であり且つもう一方がアルキル基又はアルケニル基である場合の化合物の例)、下記一般式(1−20)〜(1−26):
[式中、R、R、R、Rは上記一般式(1)において説明したR、R、R、Rと同義である。]
で表わされる化合物(式(1)中のXが式:−COORで表わされる基であり且つYが式:−COOR表わされる基である場合の化合物の例)等が挙げられる。
また、このような一般式(1)で表わされる原料化合物としては、耐熱性に優れ且つ線膨張係数が十分に低いポリイミドを形成するための材料(モノマー)として好適に利用可能なカルボン酸無水物を製造できるという観点からは、下記一般式(2):
[式(2)中、R、R、R、Rは上記一般式(1)において説明したR、R、R、Rと同義であり(その好適なものも同様である。)、R、R、Rは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは0〜12の整数を示す。]
で表わされるスピロ化合物が好ましい。なお、上記一般式式(2)中のR、R、Rは上記一般式(101)〜(115)中のR、R、Rと同様のものであり、その好適なものも同様である。
また、このような原料化合物を調製するための方法としては特に制限されず、公知の方法を適宜利用することができ、例えば、前記原料化合物として前記一般式(2)で表される化合物(スピロ化合物)を利用する場合には、国際公開2011/099518号に開示されているスピロ化合物を調製するための方法を適宜利用してもよい。
また、本発明に用いる不均一系触媒としては特に制限されないが、イオン交換樹脂、金属酸化物、ゼオライト、金属錯体等の固体酸触媒が挙げられ、中でも、酸強度の観点から、イオン交換樹脂(アンバーリスト、アンバーライト等)がより好ましい。このような不均一系触媒は1種を単独で或は2種以上を組み合わせて利用してもよい。また、このような不均一系触媒は、市販品(例えばオルガノ社製のイオン交換樹脂:商品名「アンバーリスト15」、「アンバーリスト35」、「アンバーライト200CT」等)を利用してもよい
また、このような不均一系触媒としては、原料化合物に対する接触性をより向上させることが可能となることから、粒子状のものを利用することが好ましい。このような粒子状の不均一系触媒としては、平均粒子径が0.3〜1.0mmのものを利用することが好ましく、平均粒子径が0.6〜0.8mmのものを利用することがより好ましい。このような平均粒子径が前記下限未満では触媒が容器(例えば袋)から反応溶液中へ流出してしまう傾向にあり、他方、前記上限を超えると触媒の比表面積が小さくなり、反応時間が長時間化する傾向にある。
また、前記不均一系触媒の使用量としては、特に制限されないが、前記一般式(1)で表される化合物の使用量(モル量)に対して、不均一系触媒(例えば、固体酸触媒)のモル量が30〜70モル%(0.3〜0.7倍モル)となるような量とすることが好ましく、40〜60モル%(0.4〜0.6倍モル)となるような量とすることがより好ましい。このような不均一系触媒の使用量が前記下限未満では、反応速度が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えても、触媒を利用することにより得られる効果がそれ以上向上させることが困難となり、却って経済性が低下する傾向にある。なお、ここにいう不均一系触媒のモル量は、前記不均一系触媒がイオン交換樹脂である場合にはイオン交換樹脂中の官能基(例えばスルホン酸基(スルホ基)等)換算によるモル量であり、また、前記不均一系触媒が金属酸化物又は金属錯体からなる酸触媒である場合には該触媒中のプロトン換算によるモル量である。
また、前記触媒を収容するための容器に前記不均一系触媒を収容して利用する際において、前記容器中に占める前記不均一系触媒の容積率は、前記容器の容量の50〜90%とすることが好ましく、65〜75%とすることがより好ましい。このような触媒の容積率が前記下限未満では前記容器の中の空間が広くなりすぎて、前記容器の中で目的化合物が析出(結晶化)してしまい、却って収率が低下してしまう傾向にあり、他方、前記上限を超えると、触媒が前記容器の中に密に充填(収容)されることにより、原料化合物と内部の触媒との接触性が却って低下するため(触媒が均一に濡れないため)、触媒の使用量に対して十分な効果が得られなくなる傾向にある。なお、このような容積率は、前記容器の形状が、いわゆるマチ(厚み)がない形状である場合(例えば封筒型のような形状の場合等)には、例えば、下記計算式(I−A):
[容器の容積]=(0.33×S×a)−(0.11×a) (I−A)
(計算式(I−A)中、Sは容器の片面の表面積(a×b、単位:cm)を示し、a、bはいずれも、容器の片面の辺の長さ(内寸:単位:cm)を示し、b≧aの条件を満たす。)
で表わされる食品包装用フィルムの容積計算式(大須賀弘著の「食品包装用フイルム(日報出版発行)」に記載されている計算式)を利用して容器の容積を求め、その容積に基づいて、前記容器中に占める前記不均一系触媒の容積率を算出することができる。
また、本発明においては、炭素数1〜5のカルボン酸(以下、場合により単に「低級カルボン酸」という。)を用いる。このような低級カルボン酸の炭素数が前記上限を超えると、製造および精製が困難となる。また、このような低級カルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等が挙げられ、中でも、製造および精製の容易さの観点から、ギ酸、酢酸、プロピオン酸が好ましく、ギ酸、酢酸がより好ましい。このような低級カルボン酸は1種を単独で或は2種以上を組み合わせて利用してもよい。
また、このような低級カルボン酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸)の使用量としては特に制限されないが、前記一般式(1)で表される原料化合物に対して4〜100倍モルとすることが好ましい。このような低級カルボン酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸等)の使用量が前記下限未満では反応速度が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると収量が低下する傾向にある。また、前記低級カルボン酸中における前記一般式(1)で表される原料化合物の含有量としては、1〜40質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましい。
また、前記不均一系触媒を用いて前記低級カルボン酸中で前記原料化合物を加熱する工程(加熱工程)においては、前記低級カルボン酸に更に他の溶剤を添加して利用してもよい。このような溶剤(他の溶媒)としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族系溶媒;エーテル、THF、ジオキサン等のエーテル系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ペンタン等の炭化水素系溶媒;アセトニトリルやベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒;アセトンやMEKなどのケトン系溶媒;DMF、NMP、DMI、DMAc等のアミド系溶媒が挙げられる。
また、このような加熱工程においては、前記低級カルボン酸とともに無水酢酸を利用してもよい。このように無水酢酸を利用することにより、反応時に生成された水と無水酢酸を反応させて酢酸を形成させることが可能となり、反応時に生成される水の除去を効率よく行うことが可能となる。また、このような無水酢酸を利用する場合において、該無水酢酸の使用量は特に制限されないが、前記一般式(1)で表される原料化合物に対して4〜100倍モルとすることが好ましい。このような無水酢酸の使用量が前記下限未満では、反応速度が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、収量が低下する傾向にある。
また、前記原料化合物を前記低級カルボン酸中において加熱する際の温度条件としては特に制限されないが、加熱温度の上限を180℃(より好ましくは150℃、更に好ましくは140℃、特に好ましくは130℃)とすることが好ましく、他方、前記加熱温度の下限を80℃(より好ましくは100℃、更に好ましくは110℃)とすることが好ましい。このような加熱の際の温度範囲(温度条件)としては、80〜180℃とすることが好ましく、80〜150℃とすることがより好ましく、100〜140℃とすることが更に好ましく、110〜130℃とすることが特に好ましい。このような温度条件が前記下限未満では反応が十分に進行せず、目的とするカルボン酸無水物を十分に効率よく製造することができなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると触媒活性が低下する傾向にある。また、このような加熱温度は、上記温度条件の範囲内において、多孔性の布を形成する材料の融点等よりも低い温度に設定することが好ましい。このように加熱温度を設定することにより、容器の変形(劣化)等をより効率よく防止することができる。
また、前記原料化合物を前記低級カルボン酸中において加熱する際の圧力条件(反応時の圧力条件)としては特に制限されず、常圧下であっても、加圧条件下であっても或は減圧条件下であってもよく、いずれの条件下であっても反応を進行させることが可能である。そのため、加熱工程の際には、例えば、特に圧力を制御せずに、還流を採用する場合には溶媒となる低級カルボン酸の蒸気等による加圧条件下で反応を行ってもよい。また、このような圧力条件としては、0.001〜10MPaとすることが好ましく、0.1〜1.0MPaとすることがより好ましい。このような圧力条件が前記下限未満では低級カルボン酸が気化してしまう傾向にあり、他方、前記上限を超えると反応で生成する低級カルボン酸エステルが揮発せず、エステル化の平衡反応が進行しにくくなる傾向にある。また、前記原料化合物を前記低級カルボン酸中において加熱する際の雰囲気ガスとしては特に制限されず、例えば、空気であっても不活性ガス(窒素、アルゴン等)であってもよい。
また、前記原料化合物を前記低級カルボン酸中において加熱する際の加熱時間としては、特に制限されないが、0.5〜100時間とすることが好ましく、1〜50時間とすることがより好ましい。このような加熱時間が前記下限未満では反応が十分に進行せず、十分な量のカルボン酸無水物を製造することができなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、反応がそれ以上進行せず、生産効率が低下して経済性等が低下する傾向にある。
また、このような前記原料化合物を前記低級カルボン酸中において加熱する際には、均一に反応を進行せしめるという観点から、前記原料化合物が導入された前記低級カルボン酸を撹拌しながら反応を進行せしめてもよい。なお、このような撹拌工程を施す場合や後述のように加熱還流を施す場合には、撹拌や還流等により、前記不均一系触媒を収容している前記容器(場合により単に「収容容器」という。)が前記低級カルボン酸中において流動して、反応容器(前記原料化合物、前記低級カルボン酸及び前記収容容器の混合物を導入するための容器)の壁や撹拌羽等に接触(衝突)して破れたり或は変形したりして、内部に収容した前記不均一系触媒が前記収容容器の外に出てしまうといった問題が生じ得る。そのため、前記収容容器は加熱工程を実施する際(特に好適な工程として撹拌工程を実施する際等)に前記反応容器内に固定すること(例えば、前記収容容器を反応容器の端に耐酸性を有する材料からなる紐で吊るす等して、反応容器の壁や撹拌羽に衝突しないように固定することや、収容容器を撹拌羽自体に結び付けて壁や撹拌羽に衝突しないように固定すること、反応容器の壁に固定すること等)が好ましい。
また、前記不均一系触媒を用いて前記低級カルボン酸中において前記原料化合物を加熱する工程(加熱工程)においては、少なくとも、前記原料化合物中の式:−COOR及び−COORで表わされる基から(X及びYが−COOR及び−COORで表わされる基の場合には、場合によりそれらの基からも)、下記一般式(3):
*5−CO−O−OC−*6 (3)
[式(3)中、*5及び*6はそれぞれ原料化合物中の式:−COOR及び−COORで表わされる基(X及びYが−COOR及び−COORで表わされる基の場合には、場合により−COOR及び−COORで表わされる基並びに−COOR及び−COORで表わされる基)がそれぞれ結合していた炭素原子に結合する結合手を示す。]
で表わされる酸無水物基が形成されて、カルボン酸無水物が生成される。このようなカルボン酸無水物が生成される反応を、上記一般式(2)で表わされるスピロ化合物を利用した場合を例にして簡単に説明すると、その反応は、下記反応式(I):
[反応式(I)中、R、R、R、R、R、R、Rは上記一般式(2)において説明したR、R、R、R、R、R、Rと同義である(その好適なものも同様である。)。]
で表わされるような反応となる。このように、原料化合物として、上記一般式(2)で表わされるスピロ化合物を用いた場合には、上記一般式(4)で表わされるようなテトラカルボン酸無水物が得られることとなる。また、同様に、原料化合物として、それぞれ、上記一般式(1−5)で表わされる化合物、上記一般式(1−21)で表わされる化合物、上記一般式(1−22)で表わされる化合物を用いた場合についての反応を例示すると、各反応は、それぞれ、下記反応式(II)、(III)、(IV):
[反応式(II)〜(IV)中、R、R、R、Rは上記一般式(1)において説明したR、R、R、Rと同義である。(その好適なものも同様である。)。]
で表わされるような反応となる。このような反応式(I)〜(IV)に示すように、上記加熱工程においては、原料化合物中の隣接する二つの炭素原子に結合するエステル基及び/又はカルボン酸基(式:−COOR及び−COORで表わされる基(場合により−COOR及び−COORで表わされる基))から、上記一般式(3)で表わされる酸無水物基が形成されて、カルボン酸無水物が生成される。なお、このような加熱工程により、最終的な生成物であるカルボン酸無水物は沈澱物として得ることが可能である。
また、このような加熱工程により生じる反応は必ずしも明らかではないが、前記原料化合物として上記一般式(1)中のXが式:−COORで表わされる基であり、Yが式:−COORで表わされる基であり、XとYとが化合物中の隣接する炭素原子にそれぞれ接続されており且つR、R、R、Rがいずれも水素原子以外の基である化合物を利用し、更に、前記低級カルボン酸として酢酸を利用した場合(好適な実施形態)を例に挙げて説明すると、下記反応式(V)及び(VI):
[反応式(V)中、Rは上記一般式(1)中のRと同義であり、R、R、R、Rは水素原子以外のものである以外は上記一般式(1)において説明したR、R、R、Rと同様のものであり、Rは、前記原料化合物中のR、R、R及びRのいずれかの基であることを示す。]
[反応式(VI)中、Rは上記一般式(1)において説明したRと同様のものである。]
で表わされるような反応となるものと推察される。なお、このような反応式(V)は原料化合物中のエステル基をカルボン酸分解する反応を示し、反応式(VI)は、それに続く酸無水物化反応を示すものである。また、このような反応式(V)で表されるエステル基をカルボン酸分解する反応と、それに引き続く反応式(VI)で表される酸無水物化反応とは連続的に起こるものと推察される。なお、原料化合物中のR、R、R、Rがいずれも水素原子である場合には、加熱工程により、上記反応式(VI)で表わされる反応が進行することとなる。
また、このような反応式(V)及び(VI)に例示されるようなカルボン酸無水物を生成するための反応はどちらも平衡反応である。なお、反応によって生成されるカルボン酸無水物は、前記低級カルボン酸に対して溶解度が極めて低く反応途上で容易に析出する傾向にある。このように、上記反応により、カルボン酸無水物が低級カルボン酸中に沈澱物として容易に析出される傾向にあるため、溶液中における上記反応は酸無水物の生成に有利であり、反応がより効率よく進行する傾向にある。
また、反応式(V)及び(VI)に例示されるようなカルボン酸無水物を生成するための反応はどちらも平衡反応であることから、前記原料化合物がエステル化合物(例えば、少なくとも一般式(1)中のR及び/又はRが水素原子以外のものである原料化合物等)である場合において、前記原料化合物を前記低級カルボン酸中において加熱する場合には、目的とするカルボン酸無水物を効率よく製造するという観点から、例えば、前記原料化合物中のエステル基をカルボン酸分解する反応(上記反応式(V)で表されるような反応)においては、形成される低級カルボン酸のエステル(上記反応式(V)で表されるような反応においては式:CHCOORで表される酢酸エステル)を反応系外へ留去しながら反応を進行させることが好ましく、これに続く酸無水物化反応(反応(VI)で表わされるような反応)においては、反応中に生成される水を反応系外へ留去するかあるいは別の物質(例えば酢酸無水物)と反応させて除去することが好ましい。
このように、前記原料化合物を前記低級カルボン酸中において加熱してカルボン酸無水物を得る反応において、原料化合物中のエステル基のカルボン酸分解反応及びそれに続く無水物化反応をより効率よく行うという観点からは、前記加熱工程に際して、例えば、前記一般式(1)で表される化合物と前記低級カルボン酸と前記収容容器に収容された不均一系触媒との混合液を調製し、前記混合液を加熱還流する工程(I)と、前記還流後の溶液から蒸気を留去しながら、減少した分の低級カルボン酸を連続的に追加して加熱を行うことによりカルボン酸無水物を得る工程(II)とを含む方法を採用してもよい。このような方法によれば、工程(II)において生成される低級カルボン酸エステルや水を蒸気として系外に除去することが可能である。なお、反応の進行の程度は留去した蒸気中に含まれる低級カルボン酸のエステル化合物(上記反応式(V)で表されるような反応においては式:CHCOORで表される酢酸エステル)の量を確認することにより判断することができる。
このような工程(I)において前記混合液を製造する際に、前記低級カルボン酸の使用量は、前記一般式(1)で表される化合物に対して2〜500倍モル(より好ましくは50倍モル程度)とすることが好ましい。
また、このような工程(II)において、還流後の溶液に対して蒸気を留去しながら前記低級カルボン酸の添加を連続的に行うことにより、一般式(1)中のR及び/又はRが水素原子以外の基である原料化合物を用いた場合(X及びYがそれぞれ式:−COOR、−COORで表わされる基である場合には、R及び/又はR及び/又はR及び/又はRが水素原子以外の基である原料化合物を用いた場合)に、その水素原子以外の基が結合されていたエステル基を完全にカルボン酸基(−COOH)にすること(水素原子以外の基であるR及び/又はR及び/又はR及び/又はRを、水素原子に変換すること:水素化)が可能となり、そのようにして得られたカルボン酸化合物をそのまま加熱することより脱水縮合でき、一連の工程によりカルボン酸無水物基が形成でき、カルボン酸無水物基の形成時に製造される水も蒸気として系外に容易に除去できるため、カルボン酸無水物を、より効率よく製造することも可能となる。また、工程(II)において蒸気を留去する方法としては特に制限されず、公知の方法を適宜利用することができ、例えば、リービッヒコンデンサーを用いる方法などを採用してもよい。
また、工程(II)において生成される低級カルボン酸のエステル化合物や水を蒸気として系外に留去する際に、より効率よく低級カルボン酸エステルや水を留去(除去)するという観点から、前記低級カルボン酸中に、低級カルボン酸のエステル化合物や水と共沸現象を生ずる化合物を添加することが好ましい。このような共沸剤としては、前記原料化合物、前記低級カルボン酸及び不均一系触媒と反応しないものであればよく、特に限定されず、公知の共沸剤を適宜利用することができる。このような共沸剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素類;ジエチルエーテル、プロピルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;メチレンクロライド、クロロホルム、トリクロルエタン等のハロゲン化炭化水素類;を好適に利用することができる。
また、前記工程(I)〜(II)における加熱の温度条件としては、100℃〜180℃とすることが好ましく、100℃〜140℃とすることがより好ましい。このような加熱還流の温度が前記下限未満では収量が低下する傾向があり、他方、前記上限を超えると、副生物が増加するとともに着色して透明性が低下する傾向にある。また、このような加熱時間としては30分から24時間程度とすることが好ましい。
また、前記原料化合物を前記低級カルボン酸中において加熱してカルボン酸無水物を得る反応において、原料化合物中のエステル基のカルボン酸分解反応及びそれに続く無水物化反応を効率よく行うという観点からは、前記加熱工程に際して、以下に示す工程(A)〜(C)を実施する方法を採用してもよい。すなわち、前記加熱工程においては、前記一般式(1)で表される化合物と前記低級カルボン酸と前記触媒収容容器に収容された不均一系触媒との混合液を調製し、前記混合液を加熱還流する工程(A)と、前記混合液中の液体の一部を減圧留去して前記混合液を濃縮し、得られた濃縮液に再度、前記低級カルボン酸を添加して加熱還流した後、得られた混合液中の液体の一部を減圧留去して再度濃縮することにより濃縮液を得る工程(B)と、前記濃縮液に前記低級カルボン酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸等)とともに前記無水酢酸を加えて加熱還流することによりカルボン酸無水物を得る工程(C)とを含む加熱工程を施してもよい。
このような工程(A)〜(C)を含む加熱工程を採用することにより、より効率よく、前記一般式(1)で表される原料化合物から、カルボン酸無水物を得ることが可能である。なお、反応式(V)及び(VI)を例にして説明すると、このような工程(A)及び(B)においては反応式(V)で示すような反応(原料化合物中のエステル基のカルボン酸分解反応)が進行し、工程(C)においては反応式(VI)で示すような反応(無水物化反応)が進行することとなる。
また、このような工程(A)〜(C)を含む方法を採用する場合には、工程(B)において、前記濃縮液に対する前記低級カルボン酸の添加・濃縮を行う工程を繰り返し実施(好ましくは1〜5回繰り返し実施)することが好ましく、あるいは、工程(B)を、生成される低級カルボン酸のエステル化合物や水を、低級カルボン酸とともに留去した後、減少した分の低級カルボン酸を連続的に追加する工程とすることが好ましい。このような工程(B)により、一般式(1)中のR及び/又はRが水素原子以外の基である原料化合物を用いた場合(X及びYがそれぞれ式:−COOR、−COORで表わされる基である場合には、R及び/又はR及び/又はR及び/又はRが水素原子以外の基である原料化合物を用いた場合)に、その水素原子以外の基が結合されていたエステル基を、完全にカルボン酸基(−COOH)にすること(水素原子以外の基であるR及び/又はR及び/又はR及び/又はRを、水素原子に変換すること)をより効率よく実施することが可能となり、その後に実施する工程(C)により、より効率よくカルボン酸無水物を得ることが可能となる。なお、工程(B)における反応の進行の程度は留去した蒸気中に含まれる低級カルボン酸のエステル化合物(上記反応式(V)で表されるような反応においては式:CHCOORで表される酢酸エステル)の量を確認することにより判断することができる。
更に、工程(A)において前記混合液を製造する際に、前記低級カルボン酸の使用量は、前記一般式(1)で表される化合物に対して2〜500倍モル(より好ましくは50倍モル程度)とすることが好ましい。また、工程(B)及び(C)において濃縮液に添加する低級カルボン酸(ギ酸等)の量は濃縮の際に留去した液体の量と同程度とすることが好ましい。
また、前記工程(B)における混合液の濃縮(減圧留去)の方法は特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。また、前記工程(A)〜(C)における加熱還流の温度条件としては、100℃〜180℃とすることが好ましく、100℃〜140℃とすることがより好ましい。このような加熱還流の温度が前記下限未満では収量が低下する傾向があり、他方、前記上限を超えると、副生物が増加するとともに着色して透明性が低下する傾向にある。また、このような加熱還流の時間としては30分から24時間程度とすることが好ましい。
さらに、このような加熱工程後においては、前記触媒を収容するための容器を反応系から取り出すとともに、その容器に付着した結晶を分離することで、カルボン酸無水物を効率よく得ることが可能である。このように、本発明においては、前記不均一系触媒を、触媒を収容するための容器に収容して用いているため、従来困難であった析出した結晶と触媒との分離を、十分に効率よく行うことができ、しかも分離工程中に結晶の量が減少(目減り)してしまうことも十分に防止できることから、十分な収率で目的化合物を製造することができる。また、本発明においては、生成物と触媒との分離を上述のように容易に行うことができることから、該容器に収容した状態の触媒を繰り返し使用することもでき、繰り返しカルボン酸無水物の製造を行う際に十分に効率よく製造を行うことができる。
また、このようにして、前記一般式(1)で表される原料化合物からカルボン酸無水物の粗生成物を得た後には、その粗生成物に対して再結晶、昇華等の精製工程を適宜実施してもよい。このような精製工程により、より高純度のカルボン酸無水物を得ることが可能となる。このような精製の方法としては、特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
先ず、多孔性の布としてポリフェニレンサルファイド(PPS)の織布(中尾フィルター工業株式会社製の商品名「PS9A」、マルチフィラメント糸からなる綾織の織布、1mあたりの質量:256g、平均厚み:0.42mm、通気性(JIS L 1096):12cm/cm・sec、融点:240℃、1インチあたりのメッシュ数(目数):60メッシュ、平均線径(経線、横線の双方とも):0.2mm)を準備した。
なお、かかる多孔性の布の耐酸性を測定するため、前記多孔性の布から1cm角の試料を作成し、その試料を酢酸(20mL)中に120℃の温度条件で200時間浸漬した(耐酸性試験)。なお、かかる耐酸性試験は、容器として50mlナス型フラスコを用いて、雰囲気ガスとして空気を利用して、密閉した条件で行った。次いで、かかる耐酸性試験に用いた酢酸に対して、NMR分析、LC分析、GPC分析を行い、酢酸以外の成分がないか(前記試料に由来する成分の溶出がないか)確認した。なお、このようなNMR分析においては、測定装置としてAgilent(Varian)社製の商品名「INOVA600」を用い、周波数600MHz、積算回数32回の条件を採用した。また、前記LC分析においては、測定装置としてAgilent社製の商品名「Infinity 1200」を用い、カラム:ZORBAX SB−C18、展開溶媒:水/アセトニトリル=70/30の条件を採用した。更に、前記GPC分析においては、測定装置としてTOSOH社製の商品名「HLC−8220GPC」を用い、カラム:TSKgel SuperMultiporeHZ、調温部40℃の条件を採用した。このようなNMR分析、LC分析、GPC分析の結果、前記耐酸性試験において、酢酸中に前記試料に由来する成分が溶出していないことが確認され、前記多孔性の布は十分な耐酸性を有することが確認された。
次に、前記多孔性の布を利用して、図1に示すような形状の筒(直径x1:10mm、長さy1:15mm)を形成した。次いで、触媒として酸型のイオン交換樹脂(オルガノ社製の商品名「アンバーライト200CT」、平均粒子径:0.60〜0.85mm)を0.5g([原料化合物(モル)]:[触媒(官能基(スルホ基)換算によるモル量)]=1:0.6)準備し、該触媒を前記筒の中心付近に置いた。その後、前記筒の両端(図1中、点線にて示す位置)を、該布と同様の材料(PPS)からなるマルチフィラメント糸により縫製することにより、図2に示すような楕円球状の容器(直径x2(短軸方向の長さ):5mm、長さy2(長軸方向の長さ):8.5mm)を形成した。このようにして、イオン交換樹脂からなる触媒を収容した、多孔性の布からなる容器(以下、「触媒充填袋」という。)を準備した。なお、前記容器の内部の全容量中に占める前記イオン交換樹脂の容積率は70%であった。
次いで、下記一般式(5):
で表わされるノルボルナンテトラカルボン酸テトラメチルエステル(原料化合物)1gを酢酸63.3g中に溶解させた溶液を容量が100mLの還流管付きフラスコ中に入れ、更に、前述のようにして得られた前記触媒充填袋を、該袋と同様の材料からなる紐でフラスコ中に吊るして溶液中に浸した(なお、このようにして紐で吊るすことにより、マグネチックスターラでの撹拌時に触媒充填袋がフラスコの壁や撹拌棒に接触しないように固定した。)。また、前記原料化合物は、国際公開2011/099518号に記載の実施例1に開示されている方法に準じて作成した。次に、前記フラスコ内の前記溶液をマグネチックスターラで撹拌しながら、前記フラスコ内の温度が115℃になるように加熱して還流を0.5時間行った。このような還流工程後、115℃の加熱条件でリービッヒコンデンサーを用いて発生する蒸気を留去すると同時に滴下漏斗を用いて酢酸をフラスコ内に加えて、フラスコ内の液量が一定になるようにする工程(i)を実施した。このような工程(i)を行う際に、留去した留出液を一定時間毎に採取し、重量測定とガスクロマトグラフにより分析を行った結果、留出液中には酢酸の他、酢酸メチル、水の存在が確認された。なお、このような工程(i)においては、フラスコ内の液中に留出開始6時間前後から白色の沈殿物が生成されていることが確認された。そして、このような工程(i)において蒸気の留去を開始した後20時間経過した後、加熱を止めて工程(i)を終了し、フラスコ内から前記触媒充填袋(触媒入りの容器)を取り出した。なお、触媒入りの容器を取り出す際に、容器に付着していた結晶(固形分)をピンセットや薬さじで掻き取ることで容器から分離し、分離して得られた固形分は再度酢酸溶液中に戻した。その後、フラスコ内の溶液から更に酢酸を留去することにより白色の結晶を更に析出させ、濃縮液を得た。次に、前記濃縮液に対して、桐山ロートを用いて減圧ろ過を行い、白色の固形分を得た。そして、得られた白色の固形分をトルエンで洗浄し、乾燥することにより、0.70gの白色粉末を得た。このようにして得られた粉末を一部採取して、液体クロマトグラフ分析を行った結果、得られた白色粉末は単一のピークを与えるものであること(単一の生成物が得られていること)が分かった。なお、前記液体クロマトグラフ分析の結果から、原料化合物の残存は全く確認されなかった。また、このようにして得られた結晶の化合物の種類を同定すべく、NMR測定、LC測定を行ったところ、得られた化合物は下記一般式(6):
で表わされる化合物(酸無水物)であることが確認された。なお、このような化合物のNMR測定の結果として、H−NMR(DMSO−d)スペクトルを図3に示し、13C−NMR(DMSO−d)を図4に示す。また、このようにして得られた化合物(酸無水物)に関して、使用した原料化合物の仕込み量から算出される生成物の理論量に対する収率を求めたところ、収率は87.1%であることが確認された。また、得られた化合物の結晶は本来の結晶の色(白色)を示し、得られた結晶には着色が無いことも分かった。得られた結果を表1に示す。
(実施例2)
先ず、多孔性の布として、ポリフェニレンサルファイド(PPS)の織布(メッシュクロス、NBCメッシュテック株式会社製の商品名「PPSP60」、マルチフィラメント糸からなる平織の織布、1mあたりの質量:156g、平均厚み:0.28mm、通気性(JIS L 1096):>700cm/cm・sec、融点:240℃、1インチあたりのメッシュ数(目数):60メッシュ、目開き:0.28mm、平均線径(経線、横線の双方とも):0.15mm)を準備した。
かかる多孔性の布の耐酸性を測定するため、実施例1と同様の耐酸性試験を実施したところ、NMR分析、LC分析、GPC分析の結果から、実施例1と同様に、前記耐酸性試験において酢酸中に前記試料(多孔性の布の試料)に由来する成分が溶出していないことが確認され、前記多孔性の布は十分な耐酸性を有することが確認された。
次に、前記多孔性の布(60メッシュのメッシュクロス)を利用して、マチが無く、開口部を開いた場合に、図1に示すような筒(直径x1:20mm、長さy1:46mm)となるような、両側に開口部のある筒状体(封筒型)を形成した。次いで、触媒として酸型のイオン交換樹脂(オルガノ社製の商品名「アンバーライト200CT」、平均粒子径:0.60〜0.85mm)を2.5g([原料化合物(モル)]:[触媒(官能基換算によるモル量)]=1:0.3)準備し、該触媒を前記筒状体(封筒型)の内部の中心付近に置いた。その後、前記筒状体(封筒型)の両端の開口部を、前記布と同様の材料(PPS)からなるマルチフィラメント糸により縫製することにより、図5に示すような封筒型のメッシュ状の袋を形成した(図5中の点線部分は縫製した部分を模式的に示すものである)。このようにして、イオン交換樹脂からなる触媒を収容した、多孔性の布からなる容器(以下、「触媒充填袋」という。)を準備した。なお、前記容器の内部の全容量(基本的に袋にマチが無いため、上記計算式(I−A)に記載の食品包装用フィルムの容積計算式にて換算した容積を全容量として採用した。)に占める前記イオン交換樹脂の容積率は61%であった。
次いで、上記一般式(5)で表わされるノルボルナンテトラカルボン酸テトラメチルエステル(原料化合物)10.0gを酢酸165g中に溶解させた溶液を容量が200mLの還流管付きフラスコ中に入れ、更に、前述のようにして得られた前記触媒充填袋を、該袋と同様の材料からなる紐でフラスコ中に吊るして溶液中に浸した(なお、このようにして紐で吊るすことにより、マグネチックスターラでの撹拌時に触媒充填袋がフラスコの壁や撹拌棒に接触しないように固定した。)。次に、前記フラスコ内の前記溶液をマグネチックスターラで撹拌しながら、前記フラスコ内の温度が115℃になるように加熱して還流を0.5時間行った。このような還流工程後、115℃の加熱条件でリービッヒコンデンサーを用いて発生する蒸気を留去すると同時に滴下漏斗を用いて酢酸をフラスコ内に加えて、フラスコ内の液量が一定になるようにする工程(i)を実施した。このような工程(i)を行う際に、留去した留出液を一定時間毎に採取し、重量測定とガスクロマトグラフにより分析を行った結果、留出液中には酢酸の他、酢酸メチル、水の存在が確認された。なお、このような工程(i)においては、フラスコ内の液中に留出開始6時間前後から白色の沈殿物が生成されていることが確認された。そして、このような工程(i)において蒸気の留去を開始し20時間経過した後、加熱を止めて工程(i)を終了し、フラスコ内から前記触媒充填袋(触媒入りの容器)を取り出した。なお、触媒入りの容器を取り出す際に、容器に付着していた結晶(固形分)をピンセットや薬さじで掻き取ることで容器から分離し、分離して得られた固形分は再度酢酸溶液中に戻した。その後、フラスコ内の溶液から更に酢酸を留去することにより白色の結晶を更に析出させ、濃縮液を得た。次に、前記濃縮液に対して、桐山ロートを用いて減圧ろ過を行い、白色の固形分を得た。そして、得られた白色の固形分をトルエンで洗浄し、乾燥することにより、7.12gの白色粉末を得た。このようにして得られた粉末を一部採取して、液体クロマトグラフ分析を行った結果、得られた白色粉末は単一のピークを与えるものであることが分かった。なお、前記液体クロマトグラフ分析の結果から、原料化合物の残存は全く確認されなかった。また、このようにして得られた結晶の化合物の種類を同定すべく、NMR測定、LC測定を行ったところ、得られた化合物は上記一般式(6)で表わされる化合物(酸無水物)であることが確認された。なお、このようにして得られた化合物(酸無水物)に関して、使用した原料化合物の仕込み量から算出される生成物の理論量に対する収率を求めたところ、収率は.88.4%であることが確認された。また、得られた化合物の結晶は本来の結晶の色(白色)を示し、得られた結晶には着色が無いことも分かった。得られた結果を表1に示す。
(実施例3)
先ず、多孔性の布として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の織布(メッシュクロス、グンゼ株式会社製の商品名「NET」、モノフィラメント糸からなる平織の織布、平均厚み:160mm、通気性(JIS L 1096):>700cm/cm・sec、融点:327℃、1インチあたりのメッシュ数(目数):80メッシュ、目開き:0.24mm、平均線径(経線、横線の双方とも):0.11mm)を準備した。
かかる多孔性の布の耐酸性を測定するため、実施例1と同様の耐酸性試験を実施したところ、NMR分析、LC分析、GPC分析の結果から、実施例1と同様に、前記耐酸性試験において酢酸中に前記試料(多孔性の布の試料)に由来する成分が溶出していないことが確認され、前記多孔性の布は十分な耐酸性を有することが確認された。
次に、前記多孔性の布(80メッシュのメッシュクロス)を利用して、マチが無く、開口部を開いた場合に、図1に示すような筒(直径x1:20mm、長さy1:46mm)となるような、両側に開口部のある筒状体(封筒型)を形成した。次いで、触媒として酸型のイオン交換樹脂(オルガノ社製の商品名「アンバーライト200CT」、平均粒子径:0.60〜0.85mm)を2.5g([原料化合物(モル)]:[触媒(官能基換算によるモル量)]=1:0.3)準備し、該触媒を前記筒状体(封筒型)の内部の中心付近に置いた。その後、前記筒状体(封筒型)の両端の開口部を、前記布と同様の材料(PTFE)からなるモノフィラメント糸により縫製することにより、図5に示すような封筒型のメッシュ状の袋を形成した(図5中の点線部分は縫製した部分を模式的に示すものである)。このようにして、イオン交換樹脂からなる触媒を収容した、多孔性の布からなる容器(以下、「触媒充填袋」という。)を準備した。なお、前記容器の内部の全容量(基本的に袋にマチが無いため、上記計算式(I−A)に記載の食品包装用フィルムの容積計算式にて換算した容積を全容量として採用した。)に占める前記イオン交換樹脂の容積率は61%であった。
次いで、上記一般式(5)で表わされるノルボルナンテトラカルボン酸テトラメチルエステル(原料化合物)10.0gを酢酸165g中に溶解させた溶液を容量が200mLの還流管付きフラスコ中に入れ、更に、前述のようにして得られた前記触媒充填袋を、該袋と同様の材料からなる紐でフラスコ中に吊るして溶液中に浸した(なお、このようにして紐で吊るすことにより、マグネチックスターラでの撹拌時に触媒充填袋がフラスコの壁や撹拌棒に接触しないように固定した。)。次に、前記フラスコ内の前記溶液をマグネチックスターラで撹拌しながら、前記フラスコ内の温度が115℃になるように加熱して還流を0.5時間行った。このような還流工程後、115℃の加熱条件でリービッヒコンデンサーを用いて発生する蒸気を留去すると同時に滴下漏斗を用いて酢酸をフラスコ内に加えて、フラスコ内の液量が一定になるようにする工程(i)を実施した。このような工程(i)を行う際に、留去した留出液を一定時間毎に採取し、重量測定とガスクロマトグラフにより分析を行った結果、留出液中には酢酸の他、酢酸メチル、水の存在が確認された。なお、このような工程(i)においては、フラスコ内の液中に留出開始6時間前後から白色の沈殿物が生成されていることが確認された。そして、このような工程(i)において蒸気の留去を開始し20時間経過した後、加熱を止めて工程(i)を終了し、フラスコ内から前記触媒充填袋(触媒入りの容器)を取り出した。なお、触媒入りの容器を取り出す際に、容器に付着していた結晶(固形分)をピンセットや薬さじで掻き取ることで容器から分離し、分離して得られた固形分は再度酢酸溶液中に戻した。その後、フラスコ内の溶液から更に酢酸を留去することにより白色の結晶を更に析出させ、濃縮液を得た。次に、前記濃縮液に対して、桐山ロートを用いて減圧ろ過を行い、白色の固形分を得た。そして、得られた白色の固形分をトルエンで洗浄し、乾燥することにより、5.86gの白色粉末を得た。このようにして得られた粉末を一部採取して、液体クロマトグラフ分析を行った結果、得られた白色粉末は単一のピークを与えるものであることが分かった。なお、前記液体クロマトグラフ分析の結果から、原料化合物の残存は全く確認されなかった。また、このようにして得られた結晶の化合物の種類を同定すべく、NMR測定、LC測定を行ったところ、得られた化合物は上記一般式(6)で表わされる化合物(酸無水物)であることが確認された。なお、このようにして得られた化合物(酸無水物)に関して、使用した原料化合物の仕込み量から算出される生成物の理論量に対する収率を求めたところ、収率は.72.7%であることが確認された。また、得られた化合物の結晶は本来の結晶の色(白色)を示し、得られた結晶には着色が無いことも分かった。得られた結果を表1に示す。
(比較例1)
上記一般式(5)で表わされるノルボルナンテトラカルボン酸テトラメチルエステル(原料化合物)1gを酢酸63.3g中に溶解させた溶液を容量が100mLの還流管付きフラスコ中に入れた後、前記溶液中に触媒として酸型のイオン交換樹脂(オルガノ社製の商品名「アンバーライト200CT」、平均粒子径:0.60〜0.85mm)0.5g([原料化合物(モル)]:[触媒(官能基(スルホ基)換算によるモル量)]=1:0.6)を添加した。次に、前記フラスコ内の前記溶液をマグネチックスターラーで攪拌しながら、前記フラスコ内の温度が115℃になるように加熱して還流を0.5時間行った。このような還流工程後、115℃の加熱条件でリービッヒコンデンサーを用いて発生する蒸気を留去すると同時に滴下漏斗を用いて酢酸をフラスコ内に加えて、フラスコ内の液量が一定になるようにする工程(i)を実施した。このような工程(i)を行う際に、留去した留出液を一定時間毎に採取し、重量測定とガスクロマトグラフにより分析を行った結果、留出液中には酢酸の他、酢酸メチル、水の存在が確認された。なお、このような工程(i)においては、フラスコ内の液中に留出開始6時間前後から白色の沈殿物が生成されていることが確認された。そして、このような工程(i)において蒸気の留去を開始した後20時間経過した後、加熱を止めて工程(i)を終了し、フラスコ内の溶液を60メッシュのステンレス金網でろ過し、前記加熱後の溶液からイオン交換樹脂を取り除く工程を行った。しかしながら、ろ過の最中に、前記ステンレス金網にイオン交換樹脂と生成物の目詰まりが生じてしまい、生成物を一部回収することができなかった。また、得られた金網通過後の液体から、酢酸を留去することにより白色の結晶を更に析出させ、濃縮液を得た後、その濃縮液からろ別することにより固形分を得た。このような固形分は基本的に白色固体であるが、一部に黒色固体が存在することが確認された。なお、かかる黒色固体は触媒として利用したイオン交換樹脂であることが確認された。したがって、上記工程では、触媒と生成物を収率良く分離することも、生成物中から触媒を除去しきることもできなかった。そこで、前記固形分を大量の溶媒を用いて反応温度下(115℃)で加熱溶解させ、熱ろ過を行いイオン交換樹脂を除去した後、ろ液を濃縮することにより、0.42gの白色粉末を得た。なお、このようにして得られた化合物(白色粉末)に関して、使用した原料化合物の仕込み量から算出される生成物の理論量に対する収率を求めたところ、収率は52.6%であることが確認された。なお、得られた化合物に対してNMR測定、LC測定を行ったところ、かかる化合物は上記一般式(6)で表わされる化合物(酸無水物)であることが確認された。得られた結果を表1に示す。
(比較例2)
触媒充填袋(触媒としては酸型のイオン交換樹脂)を用いる代わりに、均一系触媒であるp−トルエンスルホン酸(p−TsOH)0.24g([原料化合物(モル)]:[触媒(モル)]=1:0.6)を用い、工程(i)において加熱を止めるまでの時間を20時間から8時間に変更した以外は実施例1と同様にして生成物を0.62g得た(なお、本比較例においては、触媒充填袋を利用しなかったことから、触媒充填袋を取り出す工程を実施せずに、工程(i)において加熱を止めた後、すぐに酢酸を留去して濃縮液を得る工程を実施した)。しかしながら、得られた生成物は灰色に着色されたものとなっており、着色の無い結晶を得ることができなかった。なお、得られた生成物に対してNMR測定、LC測定を行ったところ、かかる生成物は上記一般式(6)で表わされる化合物(酸無水物)であることが確認された。得られた結果を表1に示す。
(比較例3)
触媒充填袋(触媒としては酸型のイオン交換樹脂)を用いる代わりに、均一系触媒である硫酸(HSO)0.12g([原料化合物(モル)]:[触媒(モル)]=1:0.6)を用い、工程(i)において加熱を止めるまでの時間を20時間から4時間に変更した以外は実施例1と同様にして生成物を0.60g得た(なお、本比較例においては、触媒充填袋を利用しなかったことから、触媒充填袋を取り出す工程を実施せずに、工程(i)において加熱を止めた後、すぐに酢酸を留去して濃縮液を得る工程を実施した)。しかしながら、得られた生成物は灰色に着色されたものとなっており、着色の無い結晶を得ることができなかった。なお、得られた生成物に対してNMR測定、LC測定を行ったところ、かかる生成物は上記一般式(6)で表わされる化合物(酸無水物)であることが確認された。得られた結果を表1に示す。
表1に示す結果からも明らかなように、融点が240℃以上(実施例1〜3)で耐熱性が十分なものとなっており且つ十分な耐酸性も有する材料からなる多孔性の布により形成された、触媒を収容するための容器を利用した実施例1〜3(本発明のカルボン酸無水物の製造方法)においてはいずれも、触媒と生成物との分離が容易であり、着色の無い目的化合物(テトラカルボン酸無水物)の結晶を効率よく高収率で製造できることが確認された。一方、触媒を収容するための容器を利用せずに不均一系触媒(イオン交換樹脂)を利用した比較例1においては、不均一系触媒と目的化合物(テトラカルボン酸無水物)とが同程度の粒径を有するものとなり、分離工程をろ過等の簡便な方法で行うことができず、しかも分離工程において一部の生成物が脱落するなどして、最終的な収率が十分なものとはならなかった。このような結果から、比較例1のように不均一系触媒を単純に利用した場合には触媒と生成物との分離が困難で、十分な収率で目的化合物(テトラカルボン酸無水物)を効率よく製造することが困難であることが確認された。また、均一系触媒を利用した比較例2〜3においては、得られた生成物がいずれも着色されたものとなっており、着色のない結晶を製造することができなかった。以上のような結果から、本発明のカルボン酸無水物の製造方法(実施例1〜3)によれば、不均一系触媒を利用しながらも、触媒と生成物との分離が容易で、結晶本来の色に対して着色の無いカルボン酸無水物を効率よく製造できることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、不均一系触媒を利用しながら、不均一系触媒とカルボン酸無水物の結晶との分離を効率よく行うことができ、結晶本来の色に対して着色の無いカルボン酸無水物を効率よく製造することが可能なカルボン酸無水物の製造方法を提供することが可能となる。
したがって、本発明のカルボン酸無水物の製造方法は、ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド等の原料や熱硬化性樹脂の硬化剤等として利用するためのカルボン酸無水物を製造するための方法等として特に有用である。
x1…筒の直径、x2…容器の短軸方向の長さ、y1…筒の長さ、y2…容器の長軸方向の長さ。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1):
    [式(1)中、Rは、少なくとも隣接する2つの炭素原子を有する4価の有機基であり、該隣接する2つの炭素原子に式:−COOR及び−COORで表わされる基がそれぞれ結合されており、
    、Rは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数7〜20のアラルキル基よりなる群から選択される1種を示し、
    Xは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基及び式:−COOR(Rは前記Rと同義であり、Rと同一であっても異なっていてもよい。)で表わされる基よりなる群から選択される1種を示し、
    Yは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基及び式:−COOR(Rは前記Rと同義であり、Rと同一であっても異なっていてもよい。)で表わされる基よりなる群から選択される1種を示す。]
    で表わされる原料化合物を、不均一系触媒を用いて、炭素数1〜5のカルボン酸中において加熱することにより、カルボン酸無水物を得るカルボン酸無水物の製造方法であって、
    前記不均一系触媒が、多孔性の布からなる触媒を収容するための容器中に収容されており、
    前記多孔性の布が、耐熱性及び耐酸性を有する材料からなる布である、カルボン酸無水物の製造方法。
  2. 前記多孔性の布が、下記条件(A)及び(B):
    (A)前記材料が非晶性樹脂材料以外の材料である場合には融点が150℃以上であり、前記材料が非晶性樹脂材料である場合にはガラス転移点が150℃以上であること。
    (B)該布から1cm角の試料を作成して該試料を酢酸中に120℃の温度条件で200時間浸漬する耐酸性試験において該試料に由来する成分が溶出しないこと。
    を満たす耐熱性及び耐酸性を有する材料からなる布である、請求項1に記載のカルボン酸無水物の製造方法。
  3. 前記多孔性の布が、JIS L 1096に記載の測定方法により求められる通気性が2cm/cm・sec以上のものである、請求項1又は2に記載のカルボン酸無水物の製造方法。
  4. 前記多孔性の布の材料が樹脂材料である、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のカルボン酸無水物の製造方法。
  5. 前記原料化合物が下記一般式(2):
    [式(2)中、R、R、R、Rは上記一般式(1)において説明したR、R、R、Rと同義であり、R、R、Rは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは0〜12の整数を示す。]
    で表わされるスピロ化合物である、請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載のカルボン酸無水物の製造方法。
  6. 前記不均一系触媒がイオン交換樹脂である、請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載のカルボン酸無水物の製造方法。
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